説明

マッサージ機

【課題】被施療者の身体部位の側面に擦り動作を行いつつ、身体部位の背面における異なる箇所に個別に擦り動作及び押圧動作を行うことができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】被施療者の身体部位に擦りマッサージを施す対の擦り部2,2と、該擦り部2を駆動する擦り駆動部3と、を有する擦りユニット1を備えたマッサージ機M1(M2)である。前記擦り部2は、前記身体部位の両側方に配置され、該身体部位の側面に沿う方向へ往復動する対の第1擦り部12,12と、前記身体部位の背面に配置され、該身体部位の背面に沿う方向及び該背面と交差する方向へ往復動する対の第2擦り部13,13と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の身体部位に擦りマッサージを施す擦り部と、該擦り部を駆動する擦り駆動部と、を有する擦りユニットを備えたマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の身体部位を擦るマッサージ機が知られている。このようなマッサージ機の一例として、被施療者の身体部位を挟むように該身体部位の両側方に配置された一対の施療板を、身体部位の側面に沿って往復動させて身体部位の側面に擦り動作を施し、前記一対の施療板間であって身体部位の背面に配置された背面施療板を、上下方向及び前後方向へ往復動させて身体部位の背面に擦り動作及び押圧動作を施すよう構成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示されたマッサージ機においては、身体部位の側面に擦り動作を行い、身体部位の背面に擦り動作及び押圧動作を行うことはできるものの、身体部位の背面における異なる箇所を個別に押圧することはできない。
【0005】
そこで本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、被施療者の身体部位の側面に擦り動作を行いつつ、身体部位の背面における異なる箇所に個別に擦り動作及び押圧動作を行うことができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被施療者の身体部位に擦りマッサージを施す対の擦り部と、該擦り部を駆動する擦り駆動部と、を有する擦りユニットを備えたマッサージ機において、前記擦り部は、前記身体部位の両側方に配置され、該身体部位の側面に沿う方向へ往復動する対の第1擦り部と、前記身体部位の背面に配置され、該身体部位の背面に沿う方向及び該背面と交差する方向へ往復動する対の第2擦り部と、を有していることを特徴とする。
このような構成とすることにより、対の第1擦り部により身体部位の側面を擦ることができるとともに、対の第2擦り部により身体部位の背面の異なる箇所を個別に擦りつつ押圧することができる。
【0007】
また、本発明は、被施療者の身体部位に擦りマッサージを施す擦り部と、該擦り部を駆動する擦り駆動部と、を有する擦りユニットを備えたマッサージ機において、前記擦り部は、対の外側擦り部と、該対の外側擦り部間に配置される中間擦り部と、を有し、前記外側擦り部、及び前記中間擦り部は、前記身体部位の側方に配置され、前記身体部位の側面に沿う方向へ往復動する第1擦り部と、前記身体部位の背面に沿う方向及び該背面と交差する方向へ往復動する第2擦り部と、を有していることを特徴とする。
このような構成とすることにより、例えばマッサージを行う身体部位を脚とする場合、対の外側擦り部が有する第1擦り部と中間擦り部が有する第1擦り部とにより、両脚のそれぞれの両側面を擦ることができるとともに、対の外側擦り部が有する第2擦り部と中間擦り部が有する第2擦り部とにより、両脚のそれぞれの背面の異なる箇所を個別に擦りつつ押圧することができる。
【0008】
また、前記第1擦り部と前記第2擦り部は一体に構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1擦り部と第2擦り部の内のいずれか一方に擦り駆動部の動力を伝達するだけで、第1擦り部、及び第2擦り部をともに駆動することができ、かつ、第1擦り部と第2擦り部を連動して駆動することができる。従って、第1擦り部と第2擦り部とを連動して駆動する伝達部等を設ける必要がないため、構造を簡素化することができる。
【0009】
また、前記対の擦り部は、互いに異なる位相で往復動することが好ましい。
このような構成とすることにより、対の第1擦り部が互いに異なる位相で往復動するため、身体部位が該身体部位の側面に沿う方向につられて移動しにくくなる。従って、第1擦り部の往復動作時に、第1擦り部と身体部位との間に該身体部位の側面に沿う方向への位置ずれが生じ、身体部位の側面を適切に擦ることができる。また、対の第2擦り部が互いに異なる位相で往復動するため、身体部位の背面の左右異なる箇所を異なるタイミングで押圧(上下動)することとなり、身体部位を左右方向に捻ることができる。
【0010】
また、前記外側擦り部と前記中間擦り部は、互いに異なる位相で往復動することが好ましい。
このような構成とすることにより、例えばマッサージを行う身体部位を脚とする場合、対の外側擦り部が有する第1擦り部と中間擦り部が有する第1擦り部とが互いに異なる位相で往復動するため、両脚のそれぞれが脚の側面に沿う方向につられて移動しにくくなる。従って、第1擦り部の往復動作時に、第1擦り部と脚との間に脚の側面に沿う方向への位置ずれが生じ、両脚のそれぞれの両側面を適切に擦ることができる。また、対の外側擦り部が有する第2擦り部と中間擦り部が有する第2擦り部とが互いに異なる位相で往復動するため、両脚のそれぞれの背面の左右異なる箇所を異なるタイミングで押圧(上下動)することとなり、両脚を左右方向に捻ることができる。
【0011】
また、前記擦り部は、前記第1擦り部の内側面に配置されて前記身体部位をマッサージするマッサージ部を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1擦り部及び第2擦り部による擦り動作に加えて、マッサージ部によるマッサージを行うことができる。
【0012】
また、前記マッサージ部は、前記身体部位を押圧すべくエアの給排気により膨縮するエアセルであることが好ましい。
このような構成とすることにより、身体部位の大きさ又は形状に応じて、対の擦り部の間隔、又は外側擦り部と中間擦り部の間隔を簡単に調節することができる。また、擦り動作に加えてエアセルの膨縮により身体部位に押圧マッサージを行うことができる。
【0013】
また、前記エアセルは、前記擦り部の往復動の間に膨縮可能であることが好ましい。
このような構成とすることにより、擦り部の往復動作時に、擦り部と身体部位の位置関係が変更されても、エアセルの膨張度合いを適宜調節することにより、対の擦り部の間隔、又は外側擦り部と中間擦り部の間隔を身体部位の形状に応じた状態で維持することができる。
【0014】
また、前記エアセルは、身体部位に沿う方向に複数設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、対の擦り部の間隔、又は外側擦り部と中間擦り部の間隔をより適切に身体部位の形状に略一致させることができる。例えばマッサージを行う身体部位を脚とする場合、脹脛側に位置するエアセルを足首側に位置するエアセルに対して大きく膨張させることにより、対の擦り部の間隔、又は外側擦り部と中間擦り部の間隔を脚の形状に略一致させることができる。
【0015】
また、前記擦りユニットを支持するベース部を有し、前記ベース部は、前記擦り部が前記身体部位の側面と交差する方向へ移動することを規制する規制部を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、エアセルの膨張による反力で、対の擦り部の間隔、又は外側擦り部と中間擦り部の間隔が必要以上に大きくなることを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被施療者の身体部位の側面を擦ることができるとともに、身体部位の背面の異なる箇所を個別に擦りつつ押圧することができるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係るマッサージ機を備えた椅子型マッサージ機の前方斜視図である。
【図2】図1に示す椅子型マッサージ機の機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るマッサージ機の前方斜視図である。
【図4】マッサージ機のベース部を省略した前方正面図である。
【図5】マッサージ機の擦り部を省略した前方斜視図である。
【図6】マッサージ機のベース部を省略した前方斜視図である。
【図7】マッサージ機の左側面図であり、擦り部の動作について説明する図である。
【図8】(a)はマッサージ機の正面図であり、外側擦り部の前後方向一端側が最も下降し、中間擦り部の前後方向他端側が最も上昇した状態の模式図である。(b)はマッサージ機の正面図であり、外側擦り部の前後方向一端側が最も上昇し、中間擦り部の前後方向他端側が最も下降した状態の模式図である。
【図9】施療パターン1における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図である。
【図10】(a)は施療パターン2における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図である。(b)は施療パターン3における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図である。
【図11】施療パターン4における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図である。
【図12】(a)は施療パターン5における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図である。(b)は施療パターン6における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図である。
【図13】第2実施形態に係るマッサージ機の前方斜視図である。
【図14】マッサージ機のマッサージ部を省略した前方斜視図である。
【図15】マッサージ機のベース部の一部を省略した前方正面図である。
【図16】マッサージ機の左側面図である。
【図17】マッサージ機の擦り部の一部を省略した前方斜視図である。
【図18】マッサージ機の動力伝達部の要部を示す前方斜視図である。
【図19】マッサージ機の擦り部の要部を示す左側面図であり、擦り部の動作について説明する図である。
【図20】(a)はマッサージ機の後方斜視図であり、角度調節機構の一例について説明する図である。(b)はマッサージ機の左側面図であり、角度調節機構の他の例について説明する図である。
【図21】マッサージ機の前方斜視図であり、マッサージ部の他の構成について説明する図である。
【図22】強弱調節部(その1)の機能ブロック図であり、実施形態1に係る検出部の構成について説明する図である。
【図23】強弱調節部(その1)の機能ブロック図であり、実施形態2に係る検出部の構成について説明する図である。
【図24】マッサージ機の前方正面模式図であり、強弱調節部(その1)が有する実施形態2に係る検出部の構成について説明する図である。
【図25】(a)はエアセルが収縮した状態におけるマッサージ機の外側擦り部の前方正面模式図であり、強弱調節部(その1)が有する実施形態3に係る検出部の構成について説明する図である。(b)はエアセルが膨張した状態におけるマッサージ機の外側擦り部の前方正面模式図であり、強弱調節部(その1)が有する実施形態3に係る検出部の構成について説明する図である。
【図26】マッサージ機の擦り部を省略した前方斜視図であり、強弱調節部(その2)の構成について説明する図である。
【図27】マッサージ機の前方正面模式図であり、強弱調節部(その3)の構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[全体構成]
以下、本発明の第1実施形態、及び第2実施形態に係るマッサージ機M1,M2を備えた椅子型マッサージ機100の全体構成について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係るマッサージ機を備えた椅子型マッサージ機の前方斜視図であり、図2は、図1に示す椅子型マッサージ機の機能ブロック図である。
【0019】
図1に示す通り、本発明の第1実施形態に係るマッサージ機M1,及び本発明の第2実施形態に係るマッサージ機M2を備えた椅子型マッサージ機100は、被施療者が着座する座部101と、座部101の後部に前後方向(矢視aの方向)に回動可能に連結された背凭れ部102と、座部101の前部に上下方向(矢視bの方向)に回動可能に連結されたフットレスト103と、座部101の左右両側に設けられた肘掛部104,104と、肘掛部104から下方に延び床面に載置される支持脚部105,105とを有している。なお、本明細書における方向の概念は、背凭れ部102を起立させ、フットレスト103を略水平状態まで上昇させた状態の椅子型マッサージ機100に着座した被施療者が正面を向いて、その前方が「前」であり、後方が「後」であり、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭側が「上」であり、腰側が「下」であり、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0020】
図1及び図2に示す通り、背凭れ部102は、電動モータ、流体圧シリンダ、又はエアセル等より成るアクチュエータ106により左右水平方向の軸回りにリクライニング可能であり、図1において実線で示した起立した状態から二点鎖線で示した傾倒した状態までの間の任意の位置で停止できる。また、フットレスト103は、背凭れ部102と同様に、電動モータ、流体圧シリンダ、又はエアセル等により成るアクチュエータ107により左右水平方向の軸回りに上下回動可能であり、図1において実線で示した上昇した状態から二点鎖線で示した垂下した状態までの間の任意の位置で停止できる。
【0021】
図1に示す通り、この椅子型マッサージ機100には、脚をマッサージするフットレスト103としてのマッサージ機M1が座部101の前部に設けられており、臀部をマッサージするマッサージ機M2が座部101に設けられており、胴体をマッサージするマッサージ機M2が背凭れ部102に設けられており、腕をマッサージするマッサージ機M2が両肘掛部104,104に設けられている。
【0022】
(第1実施形態)
以下、図3〜図6に基づいて本発明の第1実施形態に係るマッサージ機M1の構成について説明する。図3は、マッサージ機M1の前方斜視図であり、図4は、マッサージ機M1のベース部4を省略した前方正面図であり、図5は、マッサージ機M1の擦り部2を省略した前方斜視図であり、図6は、マッサージ機M1のベース部4を省略した前方斜視図である。
【0023】
[マッサージ機の全体構成]
図1に示す通り、マッサージ機M1は、その前後方向他端側(後部)が座部101の前部に連結され、その前後方向一端側(前部)が上下方向に回動可能であるように設けられている。図3〜図5に示す通り、このマッサージ機M1は、被施療者の両脚の側面にそれぞれ擦りマッサージを施す擦り部2、及びこの擦り部2を駆動する擦り駆動部3とによって構成される擦りユニット1と、座部101の前部に連結され擦りユニット1を支持するベース部4とによって構成されている。
【0024】
図1及び図2に示す通り、座部101の下方には、後述するマッサージ機M1に設けられたマッサージ部としてのエアセル7にエアを給排気するポンプ及びバルブ等を有する給排気装置5と、擦り駆動部3及び給排気装置5の駆動制御を行うCPU、メモリ(RAM)、及び記憶部(ROM)を有するマイコン等よりなる制御部6とが設けられている。この制御部6は、被施療者が操作する操作部108に電気的に接続されており、操作部108から入力される入力信号に基づいて擦り駆動部3、給排気装置5、及びアクチュエータ106,107を駆動制御するための出力信号を出力する。
【0025】
[ベース部の構成]
図5に示す通り、ベース部4は、板状の底部4aと、この底部4aの左右両側から立設される板状の側部4b,4bと、底部4aの前側から立設される板状の前部4cと、底部4aの後側から立設される板状の後部4dとによって上方が開放された構成となっている。ベース部4の左右の側部4b,4bには、後述する動力伝達部8を介して擦り部2が移動可能に支持されている。また、ベース部4の底部4aには、動力伝達部8と、動力伝達部8を介して擦り部2を駆動するモータ等により構成される擦り駆動源9とが支持されている。
【0026】
[擦り部の構成]
図3〜図6に示す通り、擦り部2は、動力伝達部8を介してベース部4に支持されており、動力伝達部8に連結されて上下方向及び前後方向へ移動可能であり、両脚の外側方に配置されている左右対の外側擦り部10,10と、動力伝達部8に連結されて上下方向及び前後方向へ移動可能であり、この左右対の外側擦り部10,10間に配置されている中間擦り部11とを有している。
【0027】
外側擦り部10は、脚の外側面に対向する対向内側面12aを有する板状の第1擦り部12と、この第1擦り部12と一体に構成されて第1擦り部12の下端部から左右内側方に向かって延設され脚の背面に対向する対向内底面13aを有する板状の第2擦り部13とによって構成されており、この左右対の外側擦り部10,10はベース部4の両側部4b,4bに動力伝達部8を介して移動可能に支持されている。
【0028】
中間擦り部11は、両脚の内側面にそれぞれ対向する対向内側面14a,14aを有する板状の第1擦り部14と、この第1擦り部14と一体に構成されて第1擦り部14の下端部から左右両側方に向かって延設され両脚の背面にそれぞれ対向する対向内底面15a,15aを有する板状の第2擦り部15,15とによって構成されており、この中間擦り部11はベース部4の両側部4b,4bに動力伝達部8を介して移動可能に支持されている。
【0029】
この左右対の外側擦り部10,10及び中間擦り部11が有する第1擦り部12,14と、左右対の外側擦り部10,10及び中間擦り部11が有する第2擦り部13,15とによって、上方及び前後両端が開放された脚を収容するための左右対の凹部M1a,M1aが構成され、この左右対の凹部M1a,M1aに収容された両脚の両側面が第1擦り部12,14に支持され、両脚の背面が第2擦り部13,15に支持されることとなる。
【0030】
図3及び図4に示す通り、左右対の外側擦り部10,10と中間擦り部11が有する第1擦り部12,14は、前後方向(脚の長手方向)に沿って長寸の側方から見て略矩形状であり、第1擦り部12,14の対向内側面12a,14aは、下端側が内側方へ若干傾斜した傾斜面となっている。また第1擦り部12,14は、後述する被施療者の脚の外側面を押圧するエアセル7を有しており、このエアセル7は、第1擦り部12,14の対向内側面12a,14aに前後方向(脚の長手方向)に沿って複数設けられている。このエアセル7は、エア配管(図示せず)を介して給排気装置5に接続されており、エアの給排気により膨縮可能とされている。
【0031】
左右対の外側擦り部10,10と中間擦り部11が有する第2擦り部13,15は、前後方向(脚の長手方向)に沿って長寸の上方から見て略矩形状であり、第2擦り部13,15の対向内底面13a,15aは、内側端側が下方へ若干傾斜した傾斜面となっている。また、外側擦り部10の第2擦り部13と中間擦り部11の第2擦り部15は、両第2擦り部13,15間に脚が落ち込まない程度に近接して配置されている。
【0032】
図4に示す通り、これら左右対の外側擦り部10,10と中間擦り部11とにより構成される擦り部2は、その表面が伸縮性を有する布地等により構成されるカバー部16により一体的に被覆されており、擦り部2が外部へ露出することを防止するとともに、両第2擦り部13,15間に脚が挟み込まれるリスクを低減している。
【0033】
[擦り駆動部の構成]
以下、図5及び図6に基づいて擦り駆動部3の構成について説明する。
図5及び図6に示す通り、擦り駆動部3は、制御部6により駆動制御されるモータ等よりなる擦り駆動源9と、擦り駆動源9の回転動力を伝達して擦り部2を動作させる動力伝達部8とを有しており、この擦り駆動部3はベース部4に設けられている。擦り駆動源9の出力軸は、前後方向(脚の長手方向)に沿って設けられており、動力伝達部8は、擦り駆動源9の出力軸の回転方向を変更して減速するウォームギヤを有するギヤケース17と、このウォームギヤに接続されて左右方向(脚の幅方向)を向く軸芯回りに回転する伝達シャフト18とを有している。この伝達シャフト18は、ベース部4の前後方向における一端部側(本実施形態では前端部)に回転可能に支持されている。本実施形態では、擦り駆動源9はモータよりなり、制御部6によりその出力軸の回転方向、及び回転速度が可変であるよう構成されている。
【0034】
伝達シャフト18は、その左右両端部がベース部4の両側部4b,4bに回転可能に支持されており、より具体的には両側部4b,4bが有する円環状の第1ホルダ19,19に、伝達シャフト18の回転軸の外周部に外嵌されたベアリング20を介して支持されている。また、伝達シャフト18の左右方向における中途部には、各擦り部2に対応する位置に偏心カム21が設けられており、より具体的には、左右対の外側擦り部10,10に連結される外側偏心カム21aが左右2個ずつ、中間擦り部11に連結される中間偏心カム21bが左右2個の計6個の偏心カム21が設けられている。
【0035】
これらの偏心カム21は、左右方向に厚みのある円盤形状を成し、その外形の幾何学的な円の中心から離れた位置に回転軸芯21cが設けられている。なお、この回転軸芯21cは、伝達シャフト18の軸芯と一致している。偏心カム21の回転軸芯21cは左右方向に貫通する貫通孔21dを有しており、この貫通孔21dに伝達シャフト18を挿通することによって偏心カム21は伝達シャフト18に支持され、これら複数の偏心カム21は伝達シャフト18と一体回転可能となっている。そして、左右対の外側擦り部10,10に連結された外側偏心カム21a,21a,21a,21aは、その回転軸芯21cに対する位相が互いに同位相であり、左右対の外側擦り部10,10に連結された外側偏心カム21a,21a,21a,21aと中間擦り部11に連結された中間偏心カム21b,21bは、その回転軸芯21cに対する位相が互いに異なっている。なお、本発明の第1実施形態では、外側偏心カム21aと中間偏心カム21bの回転軸芯21cに対する位相は、互いに180度だけ異なっている。
【0036】
また、これらの偏心カム21は、左右方向を向く開口を有する円環状の第2ホルダ22を介して外側擦り部10及び中間擦り部11に取付けられている。この第2ホルダ22は、ボルト等の連結手段(図示せず)により各擦り部2に取付けられており、偏心カム21はこの環状の第2ホルダ22内に遊嵌している。
【0037】
また、ベース部4の前後方向における他端部側(本実施形態では後端部)には、ベース部4に対する擦り部2の移動をガイドする左右方向に向く軸芯を有する棒状のガイドシャフト23が支持されており、より具体的には、このガイドシャフト23はその左右両端部がベース部4の両側部4b,4bに支持され、その左右方向における中途部がベース部の底部4aに支持されて、回転不能とされている。このガイドシャフト23は、第3ホルダ24を介して外側擦り部10及び中間擦り部11の前後方向他端側(本実施形態では後端部)に取付けられており、より具体的には、第3ホルダ24が有する脚の長手方向に長寸の左右方向に開口するガイド孔25に挿通されている。この第3ホルダは、各擦り部2毎に対応して(すなわち、左右対の外側擦り部10,10及び中間擦り部11に対応して)設けられており、1本のガイドシャフト23が、各擦り部2に設けられた第3ホルダが有するガイド孔に串刺し状に挿通されている。従って、各擦り部2は、その他端部側がガイドシャフト23によって回転運動を規制されながら、ガイド孔25の範囲内においてガイド孔25の長手方向に沿って相対的に前後方向に移動可能となっている。
【0038】
[マッサージ部の構成]
以下、図3に基づいて擦り部2が有するマッサージ部の構成について説明する。
図3に示す通り、本実施形態では、被施療者の身体部位をマッサージするマッサージ部として、破線で示したエアの給排気により膨縮するエアセル7が採用されている。このエアセル7は、対の外側擦り部10,10及び中間擦り部11が有する第1擦り部12,14の対向内側面12a,14aに設けられており、収縮時は側面視で略扁平であるが、給排気装置5からエアが供給される膨張時には、左右方向における内側に膨張する。なお、このエアセル7は、その下部が第1擦り部12,14の対向内側面12a,14aに取付けられ展開不能である基部と、その上部が左右方向における内側に展開可能である展開部とを有し、収縮時は側面視で略扁平であり、給排気装置5からエアが供給される膨張時には、展開部が基部に対して左右方向内側に蛇腹状に膨張して展開するものとしてもよい。
【0039】
このエアセル7は、外側擦り部10が有する第1擦り部12の内側面12aと、中間擦り部11が有する第1擦り部14の両内側面14a,14aとに設けられており、これらエアセル7により左脚に対応してその両側面を押圧するエアセル群26L、右脚に対応してその両側面を押圧するエアセル群26Rが構成されている。そして、このエアセル群26L,26Rは、前後方向(脚の長手方向)に複数設けられており、この複数のエアセル群26L,26Rにより脚の長手方向における太さの変化に対応して両脚を押圧することができる。従って、制御部6からの出力信号により給排気装置5が駆動され左右の複数のエアセル群26L,26Rにエアが供給されると、エアセル7の膨張により脚に押圧マッサージが行われ、また、脚を収容する凹部M1aの間隔を被施療者の脚の太さに対応した間隔に調節される。
【0040】
[擦り部の動作]
以下、図7に基づいて擦り部2の動作について説明する。図7は、マッサージ機M1の側面図であり、擦り部2の動作について説明する図である。
前述した構成を有する擦り駆動部3は、擦り駆動源9が駆動されてその出力軸が回転すると、ギヤケース17を介することによって出力軸の回転に連動してベース部4の前後方向一端側(本実施形態では前端部)に設けられた伝達シャフト18がその軸芯回りに回転し、伝達シャフト18の左右中途部に取付けられた偏心カム21が伝達シャフト18の回転軸芯を中心として公転する。そして、偏心カム21の公転により、偏心カム21を支持する第2ホルダ22が偏心カム21の公転軌道に沿うように円運動することとなる。一方、ベース部4の前後方向他端側(本実施形態では後端部)に設けられたガイドシャフト23が、各擦り部2に設けられた第3ホルダ24が有するガイド孔25に挿通されているため、第2ホルダ22の円運動にも拘らず擦り部2自体の円運動は規制される。その結果、伝達シャフト18が1回転する間に擦り部2は前後方向に所定距離だけ1往復するとともに、前後方向に傾動する周回動作を行う。
【0041】
このとき、左右対の外側擦り部10,10が有する第1擦り部12の側方から見て略中央に位置する定点12Aは、前後方向に長寸の略楕円形状の軌道12Bに沿って周回し、第1擦り部12の上端前部に位置する定点12Cは、前記定点12Aの軌道より長寸の略楕円形状の軌道12Dに沿って周回することとなる。また、外側擦り部10が有する第2擦り部13は、第1擦り部12と一体に構成されているため、第1擦り部12の周回に連動して前後方向に所定距離だけ1往復する間に、前後方向に傾動する周回動作を行うこととなる。なお、擦り駆動部3の擦り駆動源9は、駆動回路(図示せず)を介して制御部6に電気的に接続されており、制御部6からの制御信号に基づいて前記駆動回路から出力される電気信号によりその動作が制御されるようになっている。
【0042】
ところで、前述した通り、外側擦り部10に取付けられた外側偏心カム21aと中間擦り部11に取付けられた中間偏心カム21bは、互いの位相が180度異なっている。従って、周回中の外側擦り部10,10と中間擦り部11も位相が180度だけ異なるために互いに反対方向へ移動する。すなわち、外側擦り部10,10が前後方向一方側(前方)へ移動しているときに、中間擦り部11は前後方向他方側(後方)へ移動し、外側擦り部10,10の前後方向一端側(前端部)が上下方向一方側(上方)へ移動して前後方向他端側(後端部)が上下方向他方側(下方)へ移動しているときに、中間擦り部11の前後方向一端側(前端部)は上下方向他方側(下方)へ移動して前後方向他端側(後端部)が上下方向一方側(上方)へ移動することとなる。
【0043】
[挟み込み防止機構の構成]
以下、図4、図6、及び図8に基づいて挟み込み防止機構について説明する。図8(a)は、マッサージ機1を正面から見た模式図であり、外側擦り部10の前後方向一端側が最も下降し、中間擦り部11の前後方向他端側が最も上昇した状態である。図8(b)は、マッサージ機1を正面から見た模式図であり、外側擦り部10の前後方向一端側が最も上昇し、中間擦り部11の前後方向他端側が最も下降した状態である。
【0044】
図4及び図6に示す通り、外側擦り部10は、その第2擦り部13の対向内底面13aの左右方向における内側端部、及び前後両端部から下方に向かって延設され、上下方向に所定寸法D1を有する板状の側壁13bを有している。また、外側擦り部10と同様に、中間擦り部11は、その第2擦り部15の対向内底面15aの左右方向における内側端部、及び前後両端部から下方に向かって延設され、上下方向に所定寸法D2を有する板状の側壁15bを有している。なお、本発明の第1実施形態においては、外側擦り部10の第2擦り部13が有する側壁13bの所定寸法D1と中間擦り部11の第2擦り部15が有する側壁15bの所定寸法D2とは同じ寸法に設定されているが、異なる寸法であってもよい。
【0045】
図8(a)に示す通り、外側擦り部10の前後方向一端側が最も下降し、中間擦り部11の前後方向一端側が最も上昇した状態において、外側擦り部10の側壁13bの下端部から中間擦り部11の側壁15bの上端部(中間擦り部11の対向内底面15aの上面)までの距離D3が、側壁13bの所定寸法D1と側壁15bの所定寸法D2の合計より小さくなるよう設定されている。また、図8(b)に示す通り、外側擦り部10の前後方向一端側が最も上昇し、中間擦り部11の前後方向一端側が最も下降した状態において、外側擦り部10の側壁13bの上端部(外側擦り部10の対向内底面13aの上面)から中間擦り部11の側壁15bの下端部までの距離D4が、側壁13bの所定寸法D1と側壁15bの所定寸法D2の合計より小さくなるよう設定されている。
【0046】
従って、擦り部2の動作中において、外側擦り部10が有する側壁13bの側面と中間擦り部11が有する側壁15bの側面とが常時オーバーラップすることとなり、外側擦り部10の第2擦り部13と中間擦り部11の第2擦り部15との間に脚が挟み込まれることを防止することができる。すなわち、この外側擦り部10が有する側壁13bと中間擦り部11が有する側壁15bとによって、被施療者の身体部位(脚)が挟み込まれることを防止する挟み込み防止機構が構成されている。
【0047】
[施療パターン]
以下、図9〜図12に基づいてマッサージ機M1の施療パターンの一例について説明する。
図9は、施療パターン1における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図であり、図10(a)は、施療パターン2における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図であり、図10(b)は、施療パターン3における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図であり、図11は、施療パターン4における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図であり、図12(a)は、施療パターン5における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図であり、図12(b)は、施療パターン6における擦り駆動源及びエアセルの動作説明図である。
【0048】
図9に示す通り、施療パターン1は、エアセル群26L,26Rで脚を左右両側方から挟みながら脚の両側面を擦るパターンである。制御部6は、エアセル群26L,26Rにエアを給気してこれを膨張させた後、このエアセル群26L,26Rの膨張を維持した状態で、擦り駆動源9を駆動して擦り部2を周回動作させる。より具体的に説明すると、まずエアセル群26L,26Rにエアを所定時間T1給気させる。前記所定時間T1経過後、エアセル群26L,26Rの膨張を維持した状態で、擦り駆動源9であるモータを正転させて擦り部2を所定時間T2周回動作させる。前記所定時間T2経過後、エアセル群26L,26Rの膨張を維持した状態で、擦り駆動源9であるモータを反転させて擦り部2を所定時間T3前記週回動作とは逆方向へ周回動作させる。前記所定時間T3経過後は、エアセル群26L,26Rの膨張を引続き維持した状態で、この擦り駆動源9であるモータの正転及び反転駆動を繰り返す。この所定時間T2、及び/又は所定時間T3において、擦り駆動源9であるモータの駆動速度を時間の経過とともに徐々に速くしたり遅くしたりしてもよい。
【0049】
図10(a)及び図10(b)に示す通り、施療パターン2は、エアセル群26L,26Rで脚を左右両側方から挟みながら脚の両側面を擦り、挟む力を徐々に強くするパターンであり、施療パターン3は、エアセル群26L,26Rで脚を左右両側方から挟みながら脚の両側面を擦り、挟む力を徐々に弱くするパターンである。施療パターン2においては、制御部6は、擦り駆動源9を駆動して擦り部2を周回動作させた後、擦り部2の周回動作を維持した状態で、エアセル群26L,26Rにエアを給気してこれを膨張させる。より具体的に説明すると、まず擦り駆動源9であるモータを所定時間T4駆動(正転又は反転駆動)させて、前記所定時間T4経過後、擦り駆動源9であるモータを駆動させた状態(モータの正転及び反転駆動の切り替えを繰り返し実行させている状態)で、エアセル群26L,26Rにエアを所定時間T5給気した後に排気する。施療パターン3においては、制御部6は、エアセル群26L,26Rにエアを給気してこれを膨張させた後、エアセル群26L,26Rのエアを排気してこれを収縮させ、エアセル群26L,26Rの収縮開始と略同時に擦り駆動源9を駆動して擦り部2を周回動作させる。より具体的に説明すると、まずエアセル群26L,26Rにエアを所定時間T6給気させる。前記所定時間T6経過後、エアセル群26L,26Rからエアを所定時間T7排気させる。このエアセル群26L,26Rの収縮開始と略同時に擦り駆動源9であるモータを所定時間T8駆動(正転又は反転駆動)させる。これら施療パターン1〜3によれば、脚の太さ方向(左右方向及び上下方向)に束になった筋繊維をほぐすことができる。
【0050】
図11に示す通り、施療パターン4は、擦り部2を小刻みに動作及び停止を繰り返し、擦り部2が停止している状態でエアセル群26L,26Rにより脚を左右両側方から挟むパターンである。制御部6は、擦り駆動源9を駆動して擦り部2の位置を変更した後、擦り駆動源9の駆動を停止してエアセル群26L,26Rにエアを給気してこれを膨張させ、この擦り部2の動作、停止、及びエアセル群26L,26Rの膨張を前記順序で小刻みに繰り返す。より具体的に説明すると、擦り駆動源9であるモータを所定時間T9駆動(正転又は反転駆動)させる。前記所定時間T9経過後、擦り駆動源9の駆動を停止し擦り駆動源9の停止と略同時にエアセル群26L,26Rにエアを所定時間T10給気させる。前記所定時間T10経過後、エアセル群26L,26Rから所定時間T11排気させる。前記所定時間T9〜T11に行われる一連の動作を繰り返す。この施療パターン4によれば、エアセル群26L,26Rにより脚を挟む(押圧する)位置を変化させることができる。
【0051】
図12(a)に示す通り、施療パターン5は、擦り部2の周回動作速度が遅くエアセル群26L,26Rによる押圧力が大きい状態から、擦り部2の周回動作速度が速くエアセル群26L,26Rによる押圧力が小さい状態へと徐々に移行するパターンである。制御部6は、擦り駆動源9を所定速度S1で所定時間T12駆動(正転又は反転駆動)させ、この擦り駆動源9の駆動開始と略同時にエアセル群26L,26Rにエアを所定圧力P1となるまで所定時間T12給気して維持させる。所定時間T12経過後、擦り駆動源9を前記所定速度S1よりも速い所定速度S2で所定時間T13駆動(正転又は反転駆動)させ、この擦り駆動源9の所定速度S2への上昇と略同時にエアセル群26L,26Rにエアを前記所定圧力P1よりも低い所定圧力P2となるまで所定時間T13排気して維持させる。所定時間T13経過後、擦り駆動源9を前記所定速度S2よりも速い所定速度S3で所定時間T14駆動(正転又は反転駆動)させ、この擦り駆動源9の所定速度S3への上昇と略同時にエアセル群26L,26Rにエアを前記所定圧力P2よりも低い所定圧力P3となるまで所定時間T14排気して維持させる。所定時間T14経過後、擦り駆動源9を前記所定速度S1よりも速く前記所定速度S3よりも遅い所定速度S4で所定時間T15駆動(正転又は反転駆動)させ、この擦り駆動源9の所定速度S4への下降と略同時にエアセル群26L,26Rにエアを前記所定圧力P1よりも低く前記所定圧力P3よりも高い所定圧力P4となるまで所定時間T15給気して維持させる。
なお、図12(a)では、各所定時間T12〜T15において、擦り駆動源9に正転駆動のみ行わせる構成を図示しているが、反転駆動のみ行わせてもよいし、正転及び反転駆動の切り替えを繰り返し行わせてもよい。あるいは、各所定時間T12〜T15において、擦り駆動源9の駆動速度を、速度0から各所定速度S1〜S4の間の範囲で、時間の経過とともに徐々に速くしたり遅くしたりしてもよい。
また、図12(a)では、各所定時間T12〜T15において、エアセル群26L,26Rに、各所定圧力P1〜P4となるまでエアを給気して膨張を維持させる構成を図示しているが、各所定時間T12〜T15において、膨縮を繰り返し行わせてもよい。例えば、各所定時間T12〜T15において、エアセル群26L,26Rに、圧力0から各所定圧力P1〜P4の間の範囲で膨縮を繰り返し行わせてもよいし、圧力の平均値が各所定圧力P1〜P4となるよう膨縮を繰り返し行わせてもよい。
この施療パターン5によれば、身体部位に行うマッサージのリズムを徐々に速くすることができ、寝起き後等に有効であるウォームアップ動作となる。
【0052】
図12(b)に示す通り、施療パターン6は、擦り部2の周回動作速度が速くエアセル群26L,26Rによる押圧力が小さい状態から、擦り部2の周回動作速度が遅くエアセル群26L,26Rによる押圧力が大きい状態へと徐々に移行するパターンである。制御部6は、擦り駆動源9を所定速度S5で所定時間T16駆動(正転又は反転駆動)させ、この擦り駆動源9の駆動開始と略同時にエアセル群26L,26Rにエアを所定圧力P5となるまで所定時間T16給気して維持させる。所定時間T16経過後、擦り駆動源9を前記所定速度S5よりも遅い所定速度S6で所定時間T17駆動(正転又は反転駆動)させ、この擦り駆動源9の所定速度S6への低下と略同時にエアセル群26L,26Rにエアを前記所定圧力P5よりも高い所定圧力P6となるまで所定時間T17給気して維持させる。所定時間T17経過後、擦り駆動源9を前記所定速度S6よりも遅い所定速度S7で所定時間T18駆動(正転又は反転駆動)させ、この擦り駆動源9の所定速度S7への低下と略同時にエアセル群26L,26Rにエアを前記所定圧力P6よりも高い所定圧力P7となるまで所定時間T18給気して維持させる。所定時間T18経過後、擦り駆動源9を前記所定速度S5よりも遅く前記所定速度S7よりも速い所定速度S8で所定時間T19駆動(正転又は反転駆動)させ、この擦り駆動源9の所定速度S8への上昇と略同時にエアセル群26L,26Rにエアを前記所定圧力P5よりも高く前記所定圧力P7よりも低い所定圧力P8となるまで所定時間T19排気して維持させる。
なお、図12(b)では、各所定時間T16〜T19において、擦り駆動源9に正転駆動のみ行わせる構成を図示しているが、反転駆動のみ行わせてもよいし、正転及び反転駆動の切り替えを繰り返し行わせてもよい。あるいは、各所定時間T16〜T19において、擦り駆動源9の駆動速度を、速度0から各所定速度S5〜S8の間の範囲で、時間の経過とともに徐々に速くしたり遅くしたりしてもよい。
また、図12(b)では、各所定時間T16〜T19において、エアセル群26L,26Rに、各所定圧力P5〜P8となるまでエアを給気して膨張を維持させる構成を図示しているが、各所定時間T16〜T19において、膨縮を繰り返し行わせてもよい。例えば、各所定時間T16〜T19において、エアセル群26L,26Rに、圧力0から各所定圧力P5〜P8の間の範囲で膨縮を繰り返し行わせてもよいし、圧力の平均値が各所定圧力P5〜P8となるよう膨縮を繰り返し行わせてもよい。
この施療パターン6によれば、身体部位に行うマッサージのリズムを徐々に遅くすることができ、就寝前等に有効であるクールダウン動作となる。
【0053】
(第2実施形態)
以下、図13〜図18に基づいて本発明の第2実施形態に係るマッサージ機M2の構成について説明する。なお、第1実施形態に係るマッサージ機M1と共通する構成については同符号を付し、肘掛部104に設けられたマッサージ機M2について代表して説明する。図13は、マッサージ機M2の前方斜視図であり、図14は、マッサージ機M2のマッサージ部を省略した前方斜視図であり、図15は、マッサージ機M2のベース部4の一部を省略した前方正面図であり、図16は、マッサージ機M2の左側面図であり、図17は、マッサージ機M2の擦り部2の一部を省略した前方斜視図であり、図18は、マッサージ機M2の動力伝達部8の要部を示す前方斜視図である。
【0054】
[マッサージ機の全体構成]
図13〜図15に示す通り、このマッサージ機M2は、被施療者の身体部位(腕)の側面に擦りマッサージを施す擦り部2、及びこの擦り部2を駆動する擦り駆動部3とによって構成される擦りユニット1と、肘掛部104の上面に設置され擦りユニット1を支持するベース部4とによって構成されている。
【0055】
[ベース部の構成]
図17に示す通り、ベース部4は、板状の底部4aと、この底部4aの左右両側から立設される板状の側部4b,4bと、底部4aの前側から立設される板状の前部4cと、底部4aの後側から立設される板状の後部4dとによって上方が開放された構成となっている。ベース部4の左右の側部4b,4bには、後述する動力伝達部8を介して擦り部2が移動可能に支持されている。また、ベース部4の底部4aには、動力伝達部8と、動力伝達部8を介して擦り部2を駆動するモータ等により構成される擦り駆動源9とが支持されている。また、ベース部4の両側部4b,4bの前後方向他端側(本実施形態では後端部)には、後述する擦り部2の回転運動を規制する腕の長手方向に長寸の左右方向に開口するガイド孔54,54が設けられている。
【0056】
[擦り部の構成]
図13〜図15に示す通り、擦り部2は、動力伝達部8を介してベース部4に支持されており、動力伝達部8に連結されて上下方向及び前後方向へ移動可能である板状の連結部50と、連結部50に支持され腕の外側面に対向する対向内側面12aを有する板状の第1擦り部12と、第1擦り部12と一体に構成されて第1擦り部12の下端部から左右内側方に向かって延設され腕の背面に対向する対向内底面13aを有する板状の第2擦り部13とによって構成されており、この擦り部2はベース部4の両側部4b,4bに左右対を成して設けられている。
【0057】
この左右対を成す擦り部2が有する第1擦り部12,12と第2擦り部13,13とによって、上方及び前後両端が開放された腕を収容するための凹部M2aが構成され、この凹部M2aに収容された腕の両側面が第1擦り部12,12に支持され、腕の背面が第2擦り部13,13に支持されることとなる。
【0058】
図14及び図15に示す通り、第1擦り部12は、前後方向(腕の長手方向)に沿って長寸の側方から見て略矩形状であり、第1擦り部12の対向内側面12aは、下端側が内側方へ若干傾斜した傾斜面となっている。また第1擦り部12は、後述する被施療者の腕の外側面を押圧するエアセル7を有しており、このエアセル7は、第1擦り部12の対向内側面12aに前後方向(腕の長手方向)に沿って複数設けられている。このエアセル7は、エア配管(図示せず)を介して給排気装置5に接続されており、エアの給排気により膨縮可能とされている。
【0059】
図14及び図15に示す通り、第2擦り部13は、前後方向(腕の長手方向)に沿って長寸の上方から見て略矩形状であり、第2擦り部13の対向内底面13aは、内側端側が下方へ若干傾斜した傾斜面となっており、左右対の第2擦り部13,13は、両第2擦り部13,13間に腕が落ち込まない程度に近接して配置されている。また、第2擦り部13は、第2擦り部13の対向内底面13aの裏側面である外底面13bに設けられ、第2擦り部13と連結部50とを連結して腕の荷重に抗する補強部51を有している。また、第2擦り部13は、腕の背面から側面にかけて指圧を行う施療突起部52を有しており、この施療突起部52は、第1擦り部12の対向内側面12aの下部、及び第2擦り部13の対向内底面13aを覆い隠す程度に腕の長手方向に沿って長寸の合成樹脂等からなるシート状に構成されて、第2擦り部13の対向内底面13aに設けられている。
【0060】
図15に示す通り、これら左右対を成す擦り部2,2は、その表面が伸縮性を有する布地等により構成されるカバー部16により一体的に被覆されており、擦り部2が外部へ露出することを防止するとともに、両第2擦り部13,13間に腕が挟み込まれるリスクを低減している。
【0061】
図15〜図17に示す通り、連結部50は、第1擦り部12の対向内側面12aの裏側面である外側面12bに対向する内側面50aを有する板状に構成されており、その前端下部に、後述する擦り部2を動作させる動力伝達部8が連結部50にその内側面50aから連結されている。また、連結部50の後端部に、その外側面50bから外側方に突出する棒状のガイドシャフト53が設けられており、このガイドシャフト53は、ベース部4の側部4bに設けられて腕の長手方向に長寸の開口を有するガイド孔54に挿通されている。ガイドシャフト53は、ガイド孔54の長手方向に沿って相対的に前後方向に移動可能であり、かつ、ガイド孔54に対して回転可能に支持されている。
【0062】
図16に示す通り、連結部50は、ベース部4に対する左右方向(腕の側面と交差する方向)への移動を規制する規制部55を有しており、この規制部55は連結部50の上端部に設けられている。規制部55は、連結部50の前後方向における長さ寸法と同程度の長さ寸法を有しているため、前後方向(脚の長手方向)に長寸であり、更に、左右方向に所定の厚みを有し、規制部55の下部に上下方向に開口する前後一対のガイド孔56を有している。このガイド孔56は、ベース部4の側部4bが有する上方に突出する前後一対のガイド突起57が下方から挿通されており、このガイド突起57は、前後方向における中央部が両端部よりも上方に突出する丸みを帯びた略山型形状を成している。ガイド孔56の前後方向における長さ寸法は、ガイド突起57の前後方向における長さ寸法よりも大きく確保されているため、ベース部4に対する連結部50の移動を前後方向及び上下方向には許容し、左右方向には規制している。
【0063】
[擦り駆動部の構成]
以下、図17及び図18に基づいて擦り駆動部3の構成について説明する。
図17及び図18に示す通り、擦り駆動部3は、制御部6により駆動制御されるモータ等よりなる擦り駆動源9と、擦り駆動源9の回転動力を伝達して擦り部2を動作させる動力伝達部8とを有しており、この擦り駆動部3はベース部4に設けられている。擦り駆動源9の出力軸は、前後方向(腕の長手方向)に沿って設けられており、動力伝達部8は、擦り駆動源9の出力軸の回転方向を変更して減速するウォームギヤを有するギヤケース17と、このウォームギヤに接続されて左右方向(腕の幅方向)を向く軸芯回りに回転する伝達シャフト18と、この伝達シャフト18の左右両端部を擦り部2に支持するシャフト支持部58とを有している。この伝達シャフト18は、ベース部4の前後方向における一端部側(本実施形態では前端部)に回転可能に支持されている。本実施形態では、擦り駆動源9はモータよりなり、制御部6によりその出力軸の回転方向、及び回転速度が可変であるよう構成されている。
【0064】
シャフト支持部58は、後述する伝達シャフト18に取付けられている偏心カム59と、偏心カム59の外周部に設けられているベアリング60と、ベアリング60を介して偏心カム59を擦り部2が有する連結部50に取付けるホルダ61とを有している。この伝達シャフト18の左右両端部には、擦り部2を動作させる左右対の偏心カム59,59が設けられており、この偏心カム59は伝達シャフト18と一体回転可能に伝達シャフト18に取付けられている。
【0065】
この偏心カム59は、左右方向に厚みのある円盤形状を成し、その外形の幾何学的な円の中心から離れた位置に回転軸芯59aが設けられており、伝達シャフト18の左右それぞれの端部が、左右対の偏心カム59,59の回転軸芯59a,59aに一致するように取付けられている。この偏心カム59の外周部には円環状のベアリング60が外嵌されており、この偏心カム59がベアリング60を介して回転可能にホルダ61に支持されており、このホルダ61はボルト等の連結手段(図示せず)により、各擦り部2が有する連結部50,50の内側面50a,50aに取付けられている。そして、この左右対の偏心カム59,59は、その回転軸芯59aに対する位相が互いに異なっている。なお、本発明の第2実施形態では、左右対の偏心カム59,59の回転軸芯59aに対する位相は、互いに180度だけ異なっている。
【0066】
[マッサージ部の構成]
以下、図13に基づいて擦り部2が有するマッサージ部の構成について説明する。
図13に示す通り、本実施形態では、被施療者の身体部位をマッサージするマッサージ部として、エアの給排気により膨縮するエアセル7が採用されている。このエアセル7は、左右対の第1擦り部12,12の対向内側面12a,12aにそれぞれ設けられており、収縮時は側面視で略扁平であるが、給排気装置5からエアが供給される膨張時には、左右方向における内側に膨張する。なお、このエアセル7は、その下部が第1擦り部12の対向内側面12aに取付けられ展開不能である基部と、その上部が左右方向における内側に展開可能である展開部とを有し、収縮時は側面視で略扁平であり、給排気装置5からエアが供給される膨張時には、展開部が基部に対して左右方向内側に蛇腹状に膨張して展開するものとしてもよい。
【0067】
この左右対のエアセル7により腕の両側面を押圧するエアセル群26が構成され、このエアセル群26は、前後方向(腕の長手方向)に複数設けられており、この複数のエアセル群26により腕の長手方向における太さの変化に対応して腕を押圧することができる。従って、制御部6からの出力信号により給排気装置5が駆動され複数のエアセル群26にエアが供給されると、エアセル7の膨張により腕に押圧マッサージが行われ、また、腕を収容する凹部M2aの間隔を被施療者の腕の太さに対応した間隔に調節される。
【0068】
[擦り部の動作]
以下、図19に基づいて擦り部2の動作について説明する。図19は、マッサージ機M2の擦り部2の要部を示す左側面図であり、擦り部2の動作について説明する図である。
前述した構成を有する擦り駆動部3は、擦り駆動源9が駆動されてその出力軸が回転すると、ギヤケース17を介することによって出力軸の回転に連動してベース部4の前後方向一端側(本実施形態では前端部)に設けられた伝達シャフト18がその軸芯回りに回転し、伝達シャフト18の左右両端部に取付けられた偏心カム59,59が伝達シャフト18の回転軸芯を中心として公転する。そして、偏心カム59の公転により、偏心カム59を支持する連結部50の前後方向一端側下部に設けられたホルダ61が偏心カム59の公転軌道に沿うように円運動することとなる。一方、連結部50の前後方向他端側に設けられたガイドシャフト53は、ベース部4の両側部4b,4bに設けられたガイド孔54,54に挿通されているため、ホルダ61の円運動にも拘らず連結部50自体の円運動は規制される。その結果、伝達シャフト18が1回転する間に連結部50は前後方向に所定距離だけ1往復するとともに、前後方向に傾動する周回動作を行う。従って、擦り部2は前述した動作に伴い、前後方向に所定距離だけ1往復する間に、前後方向に傾動する周回動作を行うこととなる。
【0069】
このとき、擦り部2が有する第1擦り部12の側方から見て略中央に位置する定点12Aは、前後方向に長寸の略楕円形状の軌道12Bに沿って周回し、第1擦り部の上端後部に位置する定点12Cは、前記定点12Aの軌道より長寸の略楕円形状の軌道12Dに沿って周回することとなる。また、擦り部2が有する第2擦り部13は、第1擦り部12と一体に構成されているため、第1擦り部12の周回に連動して前後方向に所定距離だけ1往復する間に、前後方向に傾動する周回動作を行うこととなる。なお、擦り駆動部3の擦り駆動源9は、駆動回路(図示せず)を介して制御部6に電気的に接続されており、制御部6からの制御信号に基づいて前記駆動回路から出力される電気信号によりその動作が制御されるようになっている。
【0070】
ところで、前述した通り、左右対の偏心カム59,59は、互いの位相が180度異なっている。従って、周回中の左右対の擦り部2,2も位相が180度だけ異なるために互いに反対方向へ移動する。すなわち、一の擦り部2が前後方向一方側(前方)へ移動しているときに、他の擦り部2は前後方向他方側(後方)へ移動し、一の擦り部2の前後方向一端側(前端部)が上下方向一方側(上方)へ移動して前後方向他端側(後端部)が上下方向他方側(下方)へ移動しているときに、他の擦り部2の前後方向一端側(前端部)は上下方向他方側(下方)へ移動して前後方向他端側(後端部)が上下方向一方側(上方)へ移動することとなる。
【0071】
[施療パターン]
第2実施形態に係るマッサージ機M2は、前述した第1実施形態に係るマッサージ機M1と同様の施療パターン1〜6を実行することができる。
【0072】
[マッサージ機の他の実施形態]
また、前述した第1及び第2実施形態に係るマッサージ機M1,M2は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態であってもよい。以下、マッサージ機M1,M2の他の実施形態をマッサージ機M1に適用した場合について代表して説明するが、第2実施形態のマッサージ機M2にも同様に適用することができる。
【0073】
マッサージ機M1は、図1において椅子型マッサージ機100に適用した形態について図示したが、椅子型マッサージ機100とは別個独立させた状態で床面等の載置面に載置して使用する形態とすることも可能である。この場合、給排気装置5及び制御部6は、ベース部4の底部4a等に配置される。このマッサージ機M1を椅子型マッサージ機100とは別個独立させた状態で使用する形態とする場合、ベース部4の底部4aとマッサージ機M1を載置する床面等の載置面Fとの成す角度を変更する角度調節機構190を設けることができる。以下、図20に基づいてこの角度調節機構190について説明する。図20(a)は、マッサージ機M1の後方斜視図であり、角度調節機構190の一例について説明する図であり、図20(b)は、マッサージ機M1の左側面図であり、角度調節機構190の他の例について説明する図である。
【0074】
図20(a)に示す通り、角度調節機構190の一例としては、ベース部4の前後方向他端部(後端部)に回動可能に連結される支持部200により構成される。この支持部200は、マッサージ機M1の使用時にベース部の底部4aが載置面Fに接地される状態において、ベース部4の両側部4b,4bに左右方向の回動軸201を介して枢支され、前後方向に長寸である左右対の側部分200a,200aと、この両側部分200a,200aの前後方向一端部(前端部)を連結し、載置面Fに接地することができる左右方向に長寸である連結部分200bとにより構成されており、この両側部分200a,200aと連結部分200bは一体に構成されている。この底部4aが載置面Fに接地される状態においては、支持部200の両側部分200a,200aは、それぞれベース部4の両側部4b,4bの外側方に位置し、支持部200の連結部分200bは、ベース部4の前部4cの前方に位置する。そして、図20(a)において実線で示した状態から二点鎖線で示した状態まで、支持部200の前後方向他端部(後端部)を後方(矢視cの方向)に回動させて、連結部分200bを載置面Fに接地させることにより、ベース部4の底部4aと載置面Fとの成す角度を変更することができる。なお、この支持部200の回動をロックするロック機構(図示せず)を設けることにより、支持部200を図20(a)において実線で示した状態から二点鎖線で示した状態までの間の任意の位置で位置決めすることができ、ベース部4の底部4aと載置面Fとの成す角度を任意に変更することができる。
【0075】
図20(b)に示す通り、角度調節機構190の他の例としては、ベース部4を支持するベース支持部202と、ベース部4の底部4aとベース支持部202の間に介在するエアセル203とにより構成される。このベース支持部202は、上下方向に面を有する板状に構成されており、その上面202aにベース部4の底部4aを載置することが可能であり、その下面202bを載置面Fに接地することが可能であるよう構成されており、ベース部4の前後方向一端部(前端部)が、ベース支持部202の前後方向一端部(前端部)に左右方向の回動軸204を介して枢支されている。エアセル203は、ベース支持部202の上面202aに設けられており、収縮時は実線で示した通り略扁平であり、膨張時は二点鎖線で示した通り他端部(前後方向後端部)が扇状に展開する。従って、エアセル203の膨張度を適宜調節することにより、ベース部4の底部4aとベース支持部202(すなわち、載置面F)との成す角度を任意に変更することができる。なお、前述した給排気装置5によるエアの給排気によってこのエアセル203の膨縮が行われる。
【0076】
また、マッサージ機M1が有するエアセル7は、外側擦り部10が有する第1擦り部12の対向内側面12aと中間擦り部11が有する第1擦り部14の対向内側面14a,14aのみに配置する構成としたが、外側擦り部10が有する第2擦り部13の対向内底面13a、及び/又は中間擦り部11が有する第2擦り部15の対向内底面15a,15aにも配置する構成としてもよい。また、第1擦り部12と第1擦り部14の内いずれか一方の対向内側面にのみエアセル7を設ける構成としてもよい。
【0077】
また、擦り部2が有するマッサージ部はエアセル7以外の構成であってもよい。以下、図21に基づいてマッサージ部の他の構成について説明する。図21は、マッサージ機M1の前方斜視図であり、マッサージ部の他の構成について説明する図である。
図21に示す通り、第1擦り部12,14に設けられているエアセル7に代えて、被施療者の身体部位(脚)の側面を転動するローラ205が、第1擦り部12,14の対向内側面12a,14aに設けられている。このローラ205は、上下方向に延びる回転軸206を有し、前後方向(身体部位の長手方向)に回転し、このローラ205の身体部位への接触面205aが、擦り部2の周回動作により該身体部位の側面を擦ることとなる。また、このローラ205は、前後方向に沿って複数設けられている。
なお、このローラ205は、第2擦り部13,15の対向内底面13a,15aにも設けることができるのはいうまでもなく、第2擦り部13,15にローラ205を設ける場合、該ローラ205は、左右方向に延びる回転軸を有し、前後方向(身体部位の長手方向)に回転し、このローラの身体部位への接触面が、擦り部2の周回動作により該身体部位の背面を擦ることとなる。
【0078】
前述した第1及び第2実施形態に係る擦りマッサージ機M1,M2は、エアセル7による被施療者の身体部位への押圧力を調節する強弱調節部70を備えている。以下、図22〜図27に基づいて強弱調節部70,80,90の構成について説明する。なお、以下の説明では、代表して第1実施形態に係る擦りマッサージ機M1に強弱調節部70,80,90を設けた構成について説明するが、第2実施形態のマッサージ機M2にも同様に強弱調節部70,80,90を設けることができる。
図22は、強弱調節部(その1)70の機能ブロック図であり、実施形態1に係る検出部71の構成について説明する図である。図23は、強弱調節部(その1)70の機能ブロック図であり、実施形態2に係る検出部71の構成について説明する図である。図24は、マッサージ機M1の前方正面模式図であり、強弱調節部(その1)70が有する実施形態2に係る検出部71の構成について説明する図である。図25(a)は、エアセル7が収縮した状態におけるマッサージ機M1の外側擦り部10の前方正面模式図であり、強弱調節部(その1)70が有する実施形態3に係る検出部71の構成について説明する図である。図25(b)は、エアセル7が膨張した状態におけるマッサージ機M1の外側擦り部10の前方正面模式図であり、強弱調節部(その1)70が有する実施形態3に係る検出部71の構成について説明する図である。図26は、マッサージ機M1の擦り部2を省略した前方斜視図であり、強弱調節部(その2)80の構成について説明する図である。図27は、マッサージ機M1の前方正面模式図であり、強弱調節部(その3)90の構成について説明する図である。
【0079】
[強弱調節部の構成(その1)]
図22及び図23に示す通り、強弱調節部(その1)70は、制御部6と、給排気装置5と、エアセル7による身体部位への押圧力を検出する検出部71とによって構成され、検出部71の検出結果に基づいてエアセル7へのエアの給排気量を調節するよう構成されている。給排気装置5は、ポンプ5a及びバルブ5bから構成され、前後方向一端側(前側)のエアセル7,7により構成されるエアセル群26L,26Rと、前後方向他端側(後側)のエアセル7,7により構成されるエアセル群26L,26Rとは独立系統としてバルブ5bに接続されている。なお、このバルブ5bは、給気状態と排気状態のみを切替えるソレノイドバルブ等により構成されるバルブであってもよいし、給気状態と排気状態を切替えることができ、かつ、バルブからの出力ポートの径を可変とすることによりエアセル7への給気速度が異なる複数の給気状態を切替えることができるロータリバルブ等により構成されるバルブであってもよい。制御部6のメモリには、複数の所定押圧力Fが記憶されており、例えば、押圧力「弱」が所定押圧力F1に、押圧力「中」が所定押圧力F2に、押圧力「強」が所定押圧力F3にそれぞれ設定されている。この所定押圧力Fは、被施療者が操作部108を操作することにより設定することができ、また、制御部6のメモリに格納された自動マッサージプログラムに従って自動で設定することもできる。
なお、ここで「検出部71によって検出されるエアセル7による身体部位への押圧力F」とは、エアセル7内部やエアセル7に接続されるエア配管内部の圧力、エアセル7外部への接触圧、又はエアセル7やエア配管内部を流れる空気量により規定される。
【0080】
図22に示す通り、実施形態1に係る検出部71は、エアセル7の内部圧力や、エアセル7と給排気装置を接続するエア配管72の内部圧力を検出するストレインゲージ等より成る圧力センサ71aにより構成されている。圧力センサ71aは、エアセル7とバルブ5bとの間に介在するエア配管72aに設けられており、より具体的には、前側のエアセル群26L,26Rとバルブ5bとの間に介在するエア配管72aと、後側のエアセル群26L,26Rとバルブ5bとの間に介在するエア配管72aとに個別に設けられている。従って、前側のエアセル群26L,26Rによる押圧力と、後側のエアセル群26L,26Rによる押圧力を圧力センサ71aにより個別に検出することができ、圧力センサ71aの検出結果に基づいて前側のエアセル群26L,26Rへの給排気量と、後側のエアセル群26L,26Rへの給排気量を個別に制御することができるので、脚や腕等の長手方向で太さの異なる身体部位に対して効果的にマッサージすることができる。なお、この圧力センサ71aは、ポンプ5aとバルブ5bとの間に介在するエア配管72bに設けてもよく、この場合は圧力センサ71aの個数を少なくすることができる。また、この圧力センサ71aは、バルブ5bと一体に構成し、ポンプ5aへ接続されるエア配管72bとの接続部5b1、又はエアセル7へ接続されるエア配管72aとの接続部5b2に設けてもよく、この場合は強弱調節部70を小型化することができる。また、この検出部71は、エアセル7へ送り込む空気量を検出する流量センサにより構成してもよく、この場合はポンプ5aの吐出部5a1やエア配管72に設けられる。
【0081】
図24に示す通り、実施形態2に係る検出部71は、身体部位からのエアセル7への接触圧を検出する可撓性を有するシート状に形成された感圧センサ71bにより構成されている。感圧センサ71bは、エアセル7の身体部位への接触面に設けられており、図23に示す通り、前側のエアセル7と後側のエアセル7にそれぞれ個別に設けられている。従って、前側のエアセル群26L,26Rによる押圧力と、後側のエアセル群26L,26Rによる押圧力を感圧センサ71bにより個別に検出することができ、感圧センサ71bの検出結果に基づいて前側のエアセル群26L,26Rへの給排気量と、後側のエアセル群26L,26Rへの給排気量を個別に制御することができるので、脚や腕等の長手方向で太さの異なる身体部位に対して効果的にマッサージすることができる。なお、この感圧センサ71bは、第1擦り部12,14とエアセル7の間に介在させて(すなわち、第1擦り部12,14の対向内側面12a,14aに)設けてもよい。検出部71を感圧センサ71bにより構成した場合、被施療者毎に異なる身体部位の大きさ(太さ)に関わらず、所望の押圧力に調節することができる。また、この検出部71は、エアセル7の歪みを検出するエアセル7と一体に構成された歪みセンサにより構成してもよいし、エアセル7の身体部位への接触面に設けられた被施療者の発汗量を検出する発汗センサにより構成してもよい。
【0082】
図25(a)に示す通り、実施形態3に係る検出部71は、エアセル7の左右方向への膨張度を検出するポテンションメータ71cにより構成されている。ポテンションメータ71cは、外側擦り部10が有する第1擦り部12の対向内側面12aの下部に一端部が連結され、エアセル7の身体部位への接触面を跨いで第1擦り部12の外側面12bまで延設されたワイヤ等よりなる張部材73と、張部材73の他端部に設けられ、上下方向へ移動可能である被検出体74と、被検出体74の位置(上下位置)を検出する外側擦り部10が有する第1擦り部12の外側面12bに設けられた検出体75とにより構成されている。この被検出体74は、その下端部がバネ等よりなる付勢部76により下方向へ常時付勢されている。図25(b)に示す通り、エアセル7が左右方向へ膨張すると、張部材73に連結された被検出体74が付勢部76の付勢力に抗して上方向へ移動し、検出体75が被検出体74の位置を検出することによってエアセル7の膨張度を検出する。ポテンションメータ71cは、前側のエアセル7と後側のエアセル7に対してそれぞれ個別に設けられている。従って、前側のエアセル群26L,26Rによる押圧力と、後側のエアセル群26L,26Rによる押圧力をポテンションメータ71cにより個別に検出することができ、ポテンションメータ71cの検出結果に基づいて前側のエアセル群26L,26Rへの給排気量と、後側のエアセル群26L,26Rへの給排気量を個別に制御することができるので、脚や腕等の長手方向で太さの異なる身体部位に対して効果的にマッサージすることができる。
【0083】
前記実施形態1〜3に係る検出部71を有した強弱調節部70は、設定した所定押圧力Fとなるよう給排気装置5を駆動制御して、エアセル7へのエアの給排気量を調節する。具体的には、制御部6は、検出部71による押圧力の検出を所定時間継続し、前記所定時間内における検出部71により検出される押圧力の平均値が、設定した所定押圧力Fとなるまでエアセル7へのエアの給排気を行い、所定時間経過後、エアの給排気を停止してエアセル7の前記所定押圧力Fを維持するよう給排気装置5を駆動制御する。このように構成することにより、擦り駆動部3による擦り部2の動作中は、被施療者の身体部位に対するエアセル7の位置が変更されることになるが、擦り部2が動作中であってもエアセル7を所望する押圧力に設定することができる。
【0084】
[強弱調節部の構成(その2)]
図26に示す通り、強弱調節部(その2)80は、擦り部2の左右方向における位置を変更して、凹部M1a(図4参照)の左右方向における間隔を調節する幅調節手段により構成されており、この幅調節手段は、伝達シャフト18に支持された偏心カム21を、伝達シャフト18の軸方向(左右方向)に移動させて、伝達シャフト18の軸方向における任意の位置に位置決めする位置決め部81により構成されている。この位置決め部81は、偏心カム21の貫通孔21dに嵌入されたゴム等の弾性部材からなるスライドブッシュにより構成され、偏心カム21を介して擦り部2を伝達シャフト18に対して摺動可能、かつ、位置決め可能とされている。
【0085】
[強弱調節部の構成(その3)]
図27に示す通り、強弱調節部(その3)90は、エアセル7の左右方向における位置を変更して、外側擦り部10が有する第1擦り部12に設けられたエアセル7と中間擦り部11が有する第1擦り部14に設けられたエアセル7との左右方向における間隔を調節する幅調節手段により構成されており、この幅調節手段は、マッサージ部としてのエアセル7と第1擦り部12,14の間に介在させた幅調節用エアセル91により構成されている。この幅調節用エアセル91は、マッサージ部としてのエアセル7と同様に、対の外側擦り部10,10及び中間擦り部11が有する第1擦り部12,14の対向内側面12a,14aに設けられており、収縮時は側面視で略扁平であるが、給排気装置5からエアが供給される膨張時には、左右方向における内側に膨張する。なお、この幅調節用エアセル91は、その下部が第1擦り部12,14の対向内側面12a,14aに取付けられ展開不能である基部と、その上部が左右方向における内側に展開可能である展開部とを有し、収縮時は側面視で略扁平であり、給排気装置5からエアが供給される膨張時には、展開部が基部に対して左右方向内側に蛇腹状に膨張して展開するものとしてもよい。この幅調節用エアセル91とエアセル7は、独立系統としてバルブ5bに接続されている。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、被施療者の身体部位の側面に擦り動作を行いつつ、身体部位の背面における異なる箇所に個別に擦り動作及び押圧動作を行うことができるマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 擦りユニット
2 擦り部
3 擦り駆動部
4 ベース部
7 マッサージ部(エアセル)
8 動力伝達部
9 擦り駆動源
10 外側擦り部
11 中間擦り部
12,14 第1擦り部
13,15 第2擦り部
50 規制部
70,80,90 強弱調節部
71 検出部
81 位置決め部
91 幅調節用エアセル
100 椅子型マッサージ機
101 座部
102 背凭れ部
103 フットレスト
104 肘掛部
190 角度調節機構
205 マッサージ部(ローラ)
D1,D2,D3,D4 所定寸法
M1,M2 マッサージ機
M1a,M2a 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の身体部位に擦りマッサージを施す対の擦り部と、該擦り部を駆動する擦り駆動部と、を有する擦りユニットを備えたマッサージ機において、
前記擦り部は、
前記身体部位の両側方に配置され、該身体部位の側面に沿う方向へ往復動する対の第1擦り部と、
前記身体部位の背面に配置され、該身体部位の背面に沿う方向及び該背面と交差する方向へ往復動する対の第2擦り部と、
を有していることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
被施療者の身体部位に擦りマッサージを施す擦り部と、該擦り部を駆動する擦り駆動部と、を有する擦りユニットを備えたマッサージ機において、
前記擦り部は、対の外側擦り部と、該対の外側擦り部間に配置される中間擦り部と、を有し、
前記外側擦り部、及び前記中間擦り部は、
前記身体部位の側方に配置され、前記身体部位の側面に沿う方向へ往復動する第1擦り部と、
前記身体部位の背面に沿う方向及び該背面と交差する方向へ往復動する第2擦り部と、
を有していることを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
前記第1擦り部と前記第2擦り部は一体に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記対の擦り部は、互いに異なる位相で往復動することを特徴とする請求項1又は3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記外側擦り部と前記中間擦り部は、互いに異なる位相で往復動することを特徴とする請求項2又は3に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記擦り部は、前記第1擦り部の内側面に配置されて前記身体部位をマッサージするマッサージ部を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記マッサージ部は、前記身体部位を押圧すべくエアの給排気により膨縮するエアセルであることを特徴とする請求項6に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記エアセルは、前記擦り部の往復動の間に膨縮可能であることを特徴とする請求項7に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記エアセルは、身体部位に沿う方向に複数設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記擦りユニットを支持するベース部を有し、
前記ベース部は、前記擦り部が前記身体部位の側面と交差する方向へ移動することを規制する規制部を有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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