マッサージ機
【課題】大腿部マッサージャーを左右一対備えたマッサージ機において、小児がマッサージ機に近づいたとしても危険が及ばないようにする。
【解決手段】マッサージ機1は、被施療者の大腿部を左右両側から挟みつけてマッサージを行う大腿部マッサージャー12L、12Rを備える。大腿部マッサージャー12Lには大腿部センサ22Lが配置され、大腿部マッサージャー12Rには大腿部センサ22Rが配置される。制御部30は、大腿部センサ22L、22Rが両方とも大腿部検知信号を出力した場合のみ大腿部マッサージャー12L、12Rを動作可能にする。大腿部マッサージャー12L、12Rは大腿部用エアバッグ19により大腿部の挟みつけを行う。操作/表示部13には、施療中であっても大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけを一時的に解除できる一時解除キー46が配置されている。
【解決手段】マッサージ機1は、被施療者の大腿部を左右両側から挟みつけてマッサージを行う大腿部マッサージャー12L、12Rを備える。大腿部マッサージャー12Lには大腿部センサ22Lが配置され、大腿部マッサージャー12Rには大腿部センサ22Rが配置される。制御部30は、大腿部センサ22L、22Rが両方とも大腿部検知信号を出力した場合のみ大腿部マッサージャー12L、12Rを動作可能にする。大腿部マッサージャー12L、12Rは大腿部用エアバッグ19により大腿部の挟みつけを行う。操作/表示部13には、施療中であっても大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけを一時的に解除できる一時解除キー46が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者の身体に指圧(厳密に言えば「指圧に相当する圧力」であるが、本明細書ではこれを「指圧」と称するものとする)や振動、圧迫、たたき、もみほぐしなどの刺激を与えるマッサージ機は様々なタイプのものが開発され、使用されている。中には大腿部をマッサージする大腿部マッサージャーを備えたものもある。大腿部マッサージャーを備えたマッサージ機の例を特許文献1〜3に見ることができる。
【0003】
特許文献1に記載された椅子型マッサージ機は、押圧子駆動手段により出没する押圧子が椅子の座部に配備され、座部の前方下部に配備された凹状足受部に被施療者の足先を保持させた状態で押圧子駆動手段により押圧子を出没させることにより、被施療者の大腿部にマッサージを施すこととしている。
【0004】
特許文献2に記載された椅子型マッサージ機は、座部の左右両側から上向きに突設された肘掛けに、左右方向に回動可能に支持アームを配備し、該支持アームには、支持アームを座部方向に回動させたときに下側となる面に、被施療者の大腿部の表側をマッサージするマッサージ手段が備えられている。
【0005】
特許文献3に記載された椅子式マッサージ機は、被施療者が腰掛ける座部には、一側面に背凭れ部、背凭れ部に隣接する座部の両側には肘掛部が設けられている。肘掛部の内側には支持アームが座部側に回動自在に支持され、該支持アームの肘掛部と反対側の面には施療指が配置され、該支持アームと肘掛部の間にはエアバッグが配置されている。施療者が座部に腰掛けた状態でエアバッグを膨張させると、支持アームが回動して施療指が施療者の大腿部に押し付けられ、大腿部の上側に存在するつぼが施療指で刺激される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−236916号公報(国際特許分類:A61H7/00)
【特許文献2】特開2005−102904号公報(国際特許分類:A61H7/00)
【特許文献3】特開2005−224256号公報(国際特許分類:A61H7/00、A61H39/04)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大腿部マッサージャーは、被施療者の大腿部を左右両側から挟みつけることでマッサージ効果を得るマッサージャーを左右一対設ける構成とすることができる。かかる構成の大腿部マッサージャーは、成人の大腿部を受け入れるという要請を満たすため幅が広くなっており、小児であればその中に入り込めてしまう。小児が入り込んだ状態で大腿部マッサージャーが動作すると、小児の頭や胴が圧迫される可能性があり、危険である。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであり、被施療者の大腿部を左右両側から挟みつける大腿部マッサージャーを左右一対備えたマッサージ機において、小児がマッサージ機に近づいたとしても危険が及ばないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、マッサージ機は、被施療者の大腿部を左右両側から挟みつけてマッサージを行う大腿部マッサージャーを左右一対備え、前記左右1対の大腿部マッサージャーのそれぞれに大腿部センサが配置され、当該マッサージ機の制御部は、前記大腿部センサが左右両方とも大腿部検知信号を出力した場合のみ前記大腿部マッサージャーを動作可能にする。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、施療中であっても前記大腿部マッサージャーによる大腿部の挟みつけを一時的に解除できる一時解除キーが当該マッサージ機の操作/表示部に配置されている。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、前記大腿部マッサージャーを動作ロック状態にするとともに所定の操作を通じてロック解除を行うチャイルドロックキーが当該マッサージ機の操作/表示部に配置され、前記制御部は、当該マッサージ機が動作停止状態に入ったとき、前記チャイルドロックキーによる動作ロック状態と同等の動作ロック状態を自動的に出現させる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、前記大腿部マッサージャーは、エアバッグにより大腿部の挟みつけを行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、左右一対の大腿部マッサージャーのそれぞれに配置された大腿部センサが両方とも大腿部検知信号を出力しないかぎり、つまり左右一対の大腿部マッサージャーが両方とも大腿部で塞がれないかぎり、大腿部マッサージャーは動作しないから、小児が入り込んだ状態で大腿部マッサージャーが動作する危険を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【図2】図1のマッサージ機を傾けた状態を示す斜視図である。
【図3】図1のマッサージ機から大腿部マッサージユニットを起こした状態を示す斜視図である。
【図4】図3の状態のマッサージ機に被施療者が下肢を入れた状態を示す斜視図である。
【図5】エアバッグと大腿部センサの配置を示す説明図である。
【図6】マッサージ機の制御系統を示すブロック構成図である。
【図7】大腿部マッサージャーの空気配管図である。
【図8】マッサージ機の動作を説明する第1のフローチャートである。
【図9】マッサージ機の動作を説明する第2のフローチャートである。
【図10】マッサージ機の動作を説明する第3のフローチャートである。
【図11】施療タイマーとチャイルドロックの関係を説明するタイムチャートである。
【図12】待機タイマーとチャイルドロックの関係を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るマッサージ機の構造を図1から図7までの図に基づき説明する。マッサージ機1は下肢のマッサージを行うべく設計されたものであり、床の上に置かれるベース部2と、ベース部2に対し揺動可能に取り付けられたクレードル部3を有する。クレードル部3は図2に示すように傾けることができ、寝ころんだ状態で伸ばした下肢を支えるオットマンとしての使用が可能になっている。
【0016】
クレードル部3には、椅子に腰掛けた被施療者が下肢の中で膝から下の部分を入れる左右一対の溝4L、4Rが形成されている。溝4Lは被施療者の左足に対応し、溝4Rは被施療者の右足に対応する。溝4L、4Rは、膝より下でくるぶしより上の脚部を支える箇所がレッグレスト5L、5Rとなり、くるぶしから先の足先を支える箇所がフットレスト6L、6Rとなる。
【0017】
マッサージ機1は大腿部マッサージユニット10を備える。大腿部マッサージユニット10には大腿部を受け入れる左右一対の溝11L、11Rが形成される。溝11Lは被施療者の左大腿部に対応し、溝11Rは被施療者の右大腿部に対応する。溝11L、11Rと、そこに配置されるエアバッグ(後述)により、左右一対の大腿部マッサージャー12L、12Rが構成される。
【0018】
大腿部マッサージユニット10の中で、溝11L、11Rの間の部分には操作/表示部13が設けられる。操作/表示部13には、マッサージ機1に各種の動作を行わせる複数の操作キーと、マッサージ機1の動作状況を表示する複数の表示ランプが設けられている。表示ランプはLEDを光源として発光するものである。
【0019】
大腿部マッサージユニット10は左右一対のリンク14によりクレードル部3に連結される。リンク14がクレードル部3に対し回動し、大腿部マッサージユニット10がリンク14に対し回動することにより、大腿部マッサージユニット10は、図1に示す、クレードル部3の天面に接近した状態(この状態を本明細書では「縮小状態」と呼ぶ)から、図3に示す、クレードル部3から浮き上がった状態(この状態を本明細書では「伸長状態」と呼ぶ)に、あるいはその逆に、変位する。縮小状態において大腿部マッサージユニット10は、椅子に腰掛けた状態の標準的な体格の成人の、ひざ関節周辺をマッサージする。一方伸長状態において大腿部マッサージユニット10は、椅子に腰掛けた状態の標準的な体格の成人の大腿部を受け入れる態勢となる。
【0020】
リンク14と大腿部マッサージユニット10、リンク14とクレードル部3は、自由な回動を防止すると共に、マッサージ中に大腿部マッサージユニット10が安定して位置を保持するために、ラチェット機構(図示せず)等を配備して、大腿部マッサージユニット10やリンク14を回動させるためには、ある程度の力を加えることが必要であることとしている。
【0021】
クレードル部3は、ベース部2に対し、ロック装置により任意の揺動角度で保持されているが、ロック解除レバー15を操作してロックを解除することにより、揺動可能となる。なおクレードル部3の左右側面にはマッサージ機1を運搬するときに手を掛ける手掛け部16が形成されている。
【0022】
クレードル部3の溝4L、4Rの左右両側には複数のエアバッグが配置され、被施療者の脚部と足先を左右両側から間欠的に圧迫してマッサージを行う。図5に描かれた楕円形はそれぞれエアバッグを象徴する。脚部には脚部用エアバッグ17が配置され、足先には足先用エアバック18が配置される。
【0023】
大腿部マッサージユニット10の溝11L、11Rの左右両側には一対のエアバッグが配置され、被施療者の大腿部やひざ関節周辺を左右両側から間欠的に圧迫してマッサージを行う。図5に大腿部用エアバッグ19が描かれている。
【0024】
マッサージ機1は、上記エアバッグ群に加え、フットレスト6L、6Rより出没可能な指圧子(図示せず)を備える。指圧子やエアバッグ群は、レッグレスト5L、5Rとフットレスト6L、6Rの内張となる布帛製のカバー20により隠され、外部からは見えない。指圧子は足裏用モータ21(図6参照)により、ネジ推力等を利用して前後に往復移動可能なエアバッグ(図示せず)の上面に形成することができる。エアバッグを膨張収縮させながら足裏用モータ21により指圧子を前後往復させ、足裏に指圧マッサージを施す。指圧子の前後移動範囲を決定するために、前後に足裏位置センサ33L、33R(図6参照)が設けられ、このセンサで検知された範囲で指圧子が移行する。
【0025】
大腿部マッサージャー12Lには大腿部センサ22Lが配置され、大腿部マッサージャー12Rには大腿部センサ22Rが配置される。大腿部センサ22L、22Rとしては、人体の持つ静電容量を検知するものなどを使用することができる。
【0026】
マッサージ機1の制御システムは図6に示す構成となっている。マッサージ機1の制御を司る制御部30はマイクロコンピュータを中核として構成され、ある構成要素からは出力信号を受け取り、ある構成要素には制御信号を出力する。制御部30に信号を出力する構成要素には、操作/表示部13の他、足裏位置検出回路部31と大腿部検出回路部32が含まれる。足裏位置検出回路部31はフットレスト6L、6Rに配置された足裏位置センサ33L、33Rの出力信号をデータ化して制御部30に伝える。大腿部検出回路部32は大腿部センサ22L、22Rの出力信号をデータ化して制御部30に伝える。
【0027】
制御部30から制御信号を出力される構成要素には、操作/表示部13の他、電磁弁駆動回路部34、足裏用モータ駆動回路部35、及びポンプ駆動回路部36が含まれる。電磁弁駆動回路部34は、脚部用エアバッグ17への空気の供給や排出を制御する脚部用電磁弁37、足先用エアバッグ18への空気の供給や排出を制御する足先用電磁弁38、及び大腿部用エアバッグ19への空気の供給や排出を制御する大腿部用電磁弁39の励磁/被励磁を制御する。足裏用モータ駆動回路部35は足裏用モータ21の駆動を制御する。ポンプ駆動回路部36は、脚部用電磁弁37、足先用電磁弁38、及び大腿部用電磁弁39を通る空気配管40(図6では太い実線で表現されている)を通じて脚部用エアバッグ17、足先用エアバッグ18、及び大腿部用エアバッグ19に圧縮空気を供給するポンプ41の駆動を制御する。
【0028】
この他マッサージ機1の制御システムには、それぞれがAC電源部42に接続される制御用電源回路部43、電磁弁駆動用電源回路部44、及びモータ/ポンプ駆動用電源回路部45が含まれる。
【0029】
操作/表示部13には、他の操作キーと共に、一時解除キー46とチャイルドロックキー47が配置される。
【0030】
一時解除キー46は、それを押すことにより、施療中であっても大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけを一時的に解除できる。一時解除キー46をもう一度押せば、大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけが復活する。
【0031】
チャイルドロックキー47は、それを押すことにより、大腿部マッサージャー12L、12Rを動作ロック状態にできる。チャイルドロックキー47をもう一度操作すると動作ロックが解除されるが、その操作は、単なる押圧ではなく、予め定められたものでなければならない(例えば3秒以上の長押し)。
【0032】
マッサージ機1の動作は次の通りである。脚部と足先に加え、大腿部のマッサージも行うときは、マッサージ機1を図3に示す伸長状態にする。被施療者は図4のようにマッサージ機1の後に置いた図示しない椅子に腰を掛け、左足は溝4Lと溝11Lに入れ、右足は溝4Rと溝11Rに入れる。そして脚部はレッグレスト5L、5Rに委ね、足先はフットレスト6L、6Rに委ねる。操作/表示部13の中の操作キーを操作し、マッサージ機1の電源スイッチをONにする。別の操作キーを操作し、マッサージ機1の運転スイッチをONにすると、マッサージが開始される。
【0033】
制御部30がポンプ駆動回路部36に制御信号を出力し、ポンプ41を駆動させると、圧縮空気が空気配管40を通じて脚部用電磁弁37、足先用電磁弁38、及び大腿部用電磁弁39に送られる。制御部30が電磁弁駆動回路部34に制御信号を出力し、脚部用電磁弁37、足先用電磁弁38、及び大腿部用電磁弁39を所定のリズムで開閉させることにより、脚部用エアバッグ17、足先用エアバッグ18、及び大腿部用エアバッグ19は所定のリズムで膨張と収縮を繰り返す。これにより被施療者の両足はリズミカルに圧迫され、マッサージ効果が生まれる。
【0034】
レッグレスト5L、5Rでは脚部用エアバッグ17により脚部の挟みつけが行われ、フットレスト6L、6Rでは足先用エアバッグ18により足先の挟みつけが行われ、大腿部マッサージャー12L、12Rでは大腿部用エアバッグ19により大腿部の挟みつけが行われる。いずれの部位においても挟みつけを行うのはエアバッグであるから、力のかかり方がソフトで、無理な圧迫が避けられる。
【0035】
大腿部マッサージャー12L、12Rは、成人の大腿部を受け入れるという要請を満たすため幅が広くなっており、小児であればその中に入り込めてしまう。小児が入り込んだ状態で大腿部マッサージャー12L、12Rが動作すると、小児の頭や胴が圧迫される可能性がある。圧迫するのが大腿部用エアバッグ19であっても、この状況は危険と言わざるを得ない。
【0036】
そこで本発明では、大腿部マッサージャー12L、12Rにそれぞれ配置された大腿部センサ22L、22Rを利用して、小児が挟まれる危険を回避する。その動作を図8のフローチャートに基づき説明する。
【0037】
図8において、ステップ#101では制御部30のマイクロコンピュータがリセット状態にされる。ステップ#102ではマッサージ機1がコンセントに接続されているかどうかがチェックされる。コンセントに接続されていればステップ#103に進み、NOであればステップ#101に戻る。
【0038】
ステップ#103では電源スイッチがONであるかどうかがチェックされる。YESであればステップ#104に進み、NOであればステップ#103に戻る。
【0039】
ステップ#104では運転スイッチがONであるかどうかがチェックされる。YESであればステップ105に進み、NOであればステップ#103に戻る。
【0040】
ステップ#105では、左右の大腿部センサ22L、22Rが左右の大腿部を検知して、制御部30に対し大腿部検知信号を出力したかどうかがチェックされる。YESであればステップ#106に進み、NOであればステップ#105に戻る。
【0041】
ステップ#106ではマッサージ機1の運転が開始される。運転は、ステップ#107において運転停止となるまで継続する。
【0042】
本発明によると、左右一対の大腿部マッサージャー12L、12Rのそれぞれに配置された大腿部センサ22L、22Rが両方とも大腿部検知信号を出力しないかぎり、つまり左右一対の大腿部マッサージャー12L、12Rが両方とも大腿部で塞がれないかぎり、大腿部マッサージャー12L、12Rは動作しないから、小児が片方の溝11L(11R)に入り込んだ状態で大腿部マッサージャー12L、12Rが動作する危険を回避することができる。
【0043】
大腿部マッサージャー12L、12Rを使用するとき、大腿部エアバッグ19による圧迫が心地よく感じられないことがある。これは、大腿部の長さや太さが被施療者によって異なることに起因することが多い。また、使用中に大腿部マッサージャー12L、12Rの位置がずれてきて、大腿部の圧迫が心地よく感じられなくなることがある。このような場合には、大腿部の圧迫が心地よく感じられるように、大腿部マッサージャー12L、12Rの位置を調整する必要がある。その際、もしも大腿部用エアバッグ19が大腿部を挟みつけた状態であれば、一旦挟みつけを解除しなければならない。そのためには、運転スイッチや電源スイッチをOFFにして、大腿部への挟みつけを解除しなければならいが、それでは運転を再開したときに大腿部マッサージャー12L、12Rの動作が繰り返されることになり、1回の動作時間がそれだけ延びてしまう。徒にマッサージの時間が延長されることは、大腿部にとり決して好ましいこととは言えない。さらに、脚部と足先に対する施療も中断してしまう。
【0044】
本発明では、一時解除キー46を用いて上記の問題を解決することができる。それを図9のフローチャートで説明する。
【0045】
図9のフローチャートにおいて、図8のフローチャートと共通のステップには図8と同じ符号を付し、説明を省略する。図9で新たに加わったステップは、ステップ#106「運転開始」とステップ#107「運転停止」の間のステップ、すなわちステップ#108からステップ#110までの3ステップである。
【0046】
ステップ#108では施療中に一時解除キー46がONにされたかどうかをチェックする。NOであればステップ#109に進み、YESであればステップ#110に進む。
【0047】
ステップ#109に進んだときは、運転をそのまま継続する。そしてステップ#107で運転停止に至るのを待つ。
【0048】
ステップ#110に進んだときは、大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけを一時的に解除する。すなわち大腿部用エアバッグ19を収縮させ、その状態を維持する。脚部と足先については施療を継続する。
【0049】
被施療者は、大腿部用エアバッグ19が大腿部を挟みつけていないので、大腿部マッサージユニット10をずらしたり、その姿勢を変えたりして、最もマッサージの効果が上がる箇所に大腿部マッサージユニット10を持ってくることができる。その上で一時解除キー46をもう一度押せば、大腿部のマッサージが再開される。図9ではステップ#110からステップ#108に戻ることになる。
【0050】
このように、施療中であっても大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけのみを一時的に解除できるから、大腿部マッサージャー12L、12Rの位置がずれてきたらいつでもそれを修正でき、マッサージを希望する部位でない部位が圧迫されるのを堪え忍ぶ必要がない。また、施療を完全に停止するのでなく、大腿部の施療を一時的に解除するのみであるから、運転再開後、大腿部のマッサージが最初から繰り返されることがなく、マッサージ時間が徒に延長されるという事態を避けることができる。
【0051】
チャイルドロックキー47は、「単純な押圧」の範囲を逸脱した操作を行わないかぎり、マッサージ機1を運転できないようにして、小児がマッサージ機1を遊びの対象にしないようによるためのものである。チャイルドロックキー47を押せばマッサージ機1をチャイルドロック状態にすることができるが、タイマー機能でマッサージ機1が停止したときはチャイルドロック状態にならない。チャイルドロック状態になっていなければ、小児が操作/表示部13に触れたとき、マッサージ機1が動作してしまうことがあり得る。そのようなことになると、小児自身に危険が及ぶのみならず、マッサージ機1の上にたまたま置いてあった物品が転落して破損するといった事故も発生しかねない。
【0052】
上記問題を解決するためには、意図的にチャイルドロックキー47を押した場合に限らず、動作停止中のマッサージ機1を動作状態にするときは必ずチャイルドロック解除操作と同等の操作が必要であることとすることが考えられる。マッサージ機1にはそのような考えが盛り込まれている。以下それを図10のフローチャートで説明する。
【0053】
図10のフローチャートにおいて、図8のフローチャートと共通のステップには図8と同じ符号を付し、説明は省略する。図10では、ステップ#111からステップ#121までのステップが新たに加わっている。
【0054】
図10において、ステップ#104で運転スイッチがONであった場合はステップ#111に進む。
【0055】
ステップ#111では待機状態(電源は入っているが停止した状態)の継続が設定されているかどうかがチェックされる。NOであればステップ#105に向かい、YESであればステップ#115に進む。
【0056】
ステップ#105では、左右の大腿部センサ22L、22Rが左右の大腿部を検知して、制御部30に対し大腿部検知信号を出力したかどうかがチェックされる。YESであればステップ#112に進み、NOであればステップ#105に戻る。
【0057】
ステップ#112では、操作/表示部13の中の施療開始スイッチが押されたかどうかがチェックされる。YESであればステップ#113に進み、NOであればステップ#115に進む。
【0058】
ステップ#113では施療タイマーが計時を開始する。これにより施療が開始される。
続くステップ#114では施療タイマーが計時を終了する。これにより施療が終了する。そしてステップ#117に進む。
【0059】
ステップ#115に進んだときは、待機タイマーが計時を開始する。マッサージ機1は待機状態を保つ。続くステップ#116では待機タイマーが計時を終了する。マッサージ機1は待機状態から通常状態に復帰する。そしてステップ#117に進む。
【0060】
ステップ#117では制御用電源回路部43が遮断される。これによりマッサージ機1は動作停止状態に入る。
【0061】
続くステップ#118では、チャイルドロックがONになる。チャイルドロックキー47が押された訳ではないが、チャイルドロックキー47による動作ロック状態と同等の動作ロック状態が自動的に出現する。これによりマッサージ機1は、チャイルドロックキー47に対し予め定められた操作を行なってチャイルドロックを解除しないかぎり、動作しなくなる。
【0062】
続くステップ#119では、チャイルドロックが継続されているかどうかがチェックされる。チャイルドロックキー47の所定操作でチャイルドロックが解除されていればステップ#120に進み、そうでなければステップ#121に進む。
【0063】
ステップ#120に進んだときは、あらゆる操作キーの操作が有効になり、ステップ#103に戻る。
【0064】
ステップ#121に進んだときは、いずれかの操作キーを操作してもその操作は無効である。そしてステップ#119に戻る。
【0065】
図11にはステップ#113からステップ#114とステップ#117を経てステップ#118に至る一連の動作がタイムチャートの形で示されている。図12にはステップ#115からステップ#116とステップ#117を経てステップ#118に至る一連の動作がタイムチャートの形で示されている。
【0066】
このように、いかなる理由でマッサージ機1が動作停止状態となっているにせよ、マッサージ機1の動作を開始するためにはチャイルドロックキー47でチャイルドロックをかけた場合と同等のロック解除操作が必要であるから、安全性が向上する。タイマー機能でマッサージ機1が停止した場合にも自動的に動作ロック状態になるから、ロックを設定し忘れることがない。
【0067】
図9のステップ#108からステップ#110を、図10の、例えばステップ#113の後に置き、一時解除キー46の併用を可能としてもよい。また、図10において、ステップ#111で待機状態が設定されているかどうかをチェックしているが、運転スイッチがONになれば自動的に待機状態になって待機タイマーが計時を開始し、待機タイマーが計時を終了するまでに施療開始スイッチをONにしなければ、チャイルドロック状態となるようにしてもよい。施療開始スイッチをONにすれば、ステップ#113〜#114、ステップ#117、ステップ#118と移行する。
【0068】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば溝11R、11Lの両側壁に大腿部用エアバッグ19を配備してマッサージするようにしているが、エアバッグの代わりに左右に移動する押圧板を配備し、この押圧板により大腿部を挟みつけるようにしてもよい。
【0069】
本発明はまたエアバッグの代わりにバイブレータや左右のもみローラにより大腿部をマッサージするものにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、下肢用のマッサージ機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 マッサージ機
2 ベース部
3 クレードル部
4L、4R 溝
5L、5R レッグレスト
6L、6R フットレスト
10 大腿部マッサージユニット
11L、11R 溝
12L、12R 大腿部マッサージャー
13 操作/表示部
17 脚部用エアバッグ
18 足先用エアバッグ
19 大腿部用エアバッグ
22L、22R 大腿部センサ
30 制御部
46 一時解除キー
47 チャイルドロックキー
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者の身体に指圧(厳密に言えば「指圧に相当する圧力」であるが、本明細書ではこれを「指圧」と称するものとする)や振動、圧迫、たたき、もみほぐしなどの刺激を与えるマッサージ機は様々なタイプのものが開発され、使用されている。中には大腿部をマッサージする大腿部マッサージャーを備えたものもある。大腿部マッサージャーを備えたマッサージ機の例を特許文献1〜3に見ることができる。
【0003】
特許文献1に記載された椅子型マッサージ機は、押圧子駆動手段により出没する押圧子が椅子の座部に配備され、座部の前方下部に配備された凹状足受部に被施療者の足先を保持させた状態で押圧子駆動手段により押圧子を出没させることにより、被施療者の大腿部にマッサージを施すこととしている。
【0004】
特許文献2に記載された椅子型マッサージ機は、座部の左右両側から上向きに突設された肘掛けに、左右方向に回動可能に支持アームを配備し、該支持アームには、支持アームを座部方向に回動させたときに下側となる面に、被施療者の大腿部の表側をマッサージするマッサージ手段が備えられている。
【0005】
特許文献3に記載された椅子式マッサージ機は、被施療者が腰掛ける座部には、一側面に背凭れ部、背凭れ部に隣接する座部の両側には肘掛部が設けられている。肘掛部の内側には支持アームが座部側に回動自在に支持され、該支持アームの肘掛部と反対側の面には施療指が配置され、該支持アームと肘掛部の間にはエアバッグが配置されている。施療者が座部に腰掛けた状態でエアバッグを膨張させると、支持アームが回動して施療指が施療者の大腿部に押し付けられ、大腿部の上側に存在するつぼが施療指で刺激される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−236916号公報(国際特許分類:A61H7/00)
【特許文献2】特開2005−102904号公報(国際特許分類:A61H7/00)
【特許文献3】特開2005−224256号公報(国際特許分類:A61H7/00、A61H39/04)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大腿部マッサージャーは、被施療者の大腿部を左右両側から挟みつけることでマッサージ効果を得るマッサージャーを左右一対設ける構成とすることができる。かかる構成の大腿部マッサージャーは、成人の大腿部を受け入れるという要請を満たすため幅が広くなっており、小児であればその中に入り込めてしまう。小児が入り込んだ状態で大腿部マッサージャーが動作すると、小児の頭や胴が圧迫される可能性があり、危険である。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであり、被施療者の大腿部を左右両側から挟みつける大腿部マッサージャーを左右一対備えたマッサージ機において、小児がマッサージ機に近づいたとしても危険が及ばないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、マッサージ機は、被施療者の大腿部を左右両側から挟みつけてマッサージを行う大腿部マッサージャーを左右一対備え、前記左右1対の大腿部マッサージャーのそれぞれに大腿部センサが配置され、当該マッサージ機の制御部は、前記大腿部センサが左右両方とも大腿部検知信号を出力した場合のみ前記大腿部マッサージャーを動作可能にする。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、施療中であっても前記大腿部マッサージャーによる大腿部の挟みつけを一時的に解除できる一時解除キーが当該マッサージ機の操作/表示部に配置されている。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、前記大腿部マッサージャーを動作ロック状態にするとともに所定の操作を通じてロック解除を行うチャイルドロックキーが当該マッサージ機の操作/表示部に配置され、前記制御部は、当該マッサージ機が動作停止状態に入ったとき、前記チャイルドロックキーによる動作ロック状態と同等の動作ロック状態を自動的に出現させる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のマッサージ機において、前記大腿部マッサージャーは、エアバッグにより大腿部の挟みつけを行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、左右一対の大腿部マッサージャーのそれぞれに配置された大腿部センサが両方とも大腿部検知信号を出力しないかぎり、つまり左右一対の大腿部マッサージャーが両方とも大腿部で塞がれないかぎり、大腿部マッサージャーは動作しないから、小児が入り込んだ状態で大腿部マッサージャーが動作する危険を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【図2】図1のマッサージ機を傾けた状態を示す斜視図である。
【図3】図1のマッサージ機から大腿部マッサージユニットを起こした状態を示す斜視図である。
【図4】図3の状態のマッサージ機に被施療者が下肢を入れた状態を示す斜視図である。
【図5】エアバッグと大腿部センサの配置を示す説明図である。
【図6】マッサージ機の制御系統を示すブロック構成図である。
【図7】大腿部マッサージャーの空気配管図である。
【図8】マッサージ機の動作を説明する第1のフローチャートである。
【図9】マッサージ機の動作を説明する第2のフローチャートである。
【図10】マッサージ機の動作を説明する第3のフローチャートである。
【図11】施療タイマーとチャイルドロックの関係を説明するタイムチャートである。
【図12】待機タイマーとチャイルドロックの関係を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るマッサージ機の構造を図1から図7までの図に基づき説明する。マッサージ機1は下肢のマッサージを行うべく設計されたものであり、床の上に置かれるベース部2と、ベース部2に対し揺動可能に取り付けられたクレードル部3を有する。クレードル部3は図2に示すように傾けることができ、寝ころんだ状態で伸ばした下肢を支えるオットマンとしての使用が可能になっている。
【0016】
クレードル部3には、椅子に腰掛けた被施療者が下肢の中で膝から下の部分を入れる左右一対の溝4L、4Rが形成されている。溝4Lは被施療者の左足に対応し、溝4Rは被施療者の右足に対応する。溝4L、4Rは、膝より下でくるぶしより上の脚部を支える箇所がレッグレスト5L、5Rとなり、くるぶしから先の足先を支える箇所がフットレスト6L、6Rとなる。
【0017】
マッサージ機1は大腿部マッサージユニット10を備える。大腿部マッサージユニット10には大腿部を受け入れる左右一対の溝11L、11Rが形成される。溝11Lは被施療者の左大腿部に対応し、溝11Rは被施療者の右大腿部に対応する。溝11L、11Rと、そこに配置されるエアバッグ(後述)により、左右一対の大腿部マッサージャー12L、12Rが構成される。
【0018】
大腿部マッサージユニット10の中で、溝11L、11Rの間の部分には操作/表示部13が設けられる。操作/表示部13には、マッサージ機1に各種の動作を行わせる複数の操作キーと、マッサージ機1の動作状況を表示する複数の表示ランプが設けられている。表示ランプはLEDを光源として発光するものである。
【0019】
大腿部マッサージユニット10は左右一対のリンク14によりクレードル部3に連結される。リンク14がクレードル部3に対し回動し、大腿部マッサージユニット10がリンク14に対し回動することにより、大腿部マッサージユニット10は、図1に示す、クレードル部3の天面に接近した状態(この状態を本明細書では「縮小状態」と呼ぶ)から、図3に示す、クレードル部3から浮き上がった状態(この状態を本明細書では「伸長状態」と呼ぶ)に、あるいはその逆に、変位する。縮小状態において大腿部マッサージユニット10は、椅子に腰掛けた状態の標準的な体格の成人の、ひざ関節周辺をマッサージする。一方伸長状態において大腿部マッサージユニット10は、椅子に腰掛けた状態の標準的な体格の成人の大腿部を受け入れる態勢となる。
【0020】
リンク14と大腿部マッサージユニット10、リンク14とクレードル部3は、自由な回動を防止すると共に、マッサージ中に大腿部マッサージユニット10が安定して位置を保持するために、ラチェット機構(図示せず)等を配備して、大腿部マッサージユニット10やリンク14を回動させるためには、ある程度の力を加えることが必要であることとしている。
【0021】
クレードル部3は、ベース部2に対し、ロック装置により任意の揺動角度で保持されているが、ロック解除レバー15を操作してロックを解除することにより、揺動可能となる。なおクレードル部3の左右側面にはマッサージ機1を運搬するときに手を掛ける手掛け部16が形成されている。
【0022】
クレードル部3の溝4L、4Rの左右両側には複数のエアバッグが配置され、被施療者の脚部と足先を左右両側から間欠的に圧迫してマッサージを行う。図5に描かれた楕円形はそれぞれエアバッグを象徴する。脚部には脚部用エアバッグ17が配置され、足先には足先用エアバック18が配置される。
【0023】
大腿部マッサージユニット10の溝11L、11Rの左右両側には一対のエアバッグが配置され、被施療者の大腿部やひざ関節周辺を左右両側から間欠的に圧迫してマッサージを行う。図5に大腿部用エアバッグ19が描かれている。
【0024】
マッサージ機1は、上記エアバッグ群に加え、フットレスト6L、6Rより出没可能な指圧子(図示せず)を備える。指圧子やエアバッグ群は、レッグレスト5L、5Rとフットレスト6L、6Rの内張となる布帛製のカバー20により隠され、外部からは見えない。指圧子は足裏用モータ21(図6参照)により、ネジ推力等を利用して前後に往復移動可能なエアバッグ(図示せず)の上面に形成することができる。エアバッグを膨張収縮させながら足裏用モータ21により指圧子を前後往復させ、足裏に指圧マッサージを施す。指圧子の前後移動範囲を決定するために、前後に足裏位置センサ33L、33R(図6参照)が設けられ、このセンサで検知された範囲で指圧子が移行する。
【0025】
大腿部マッサージャー12Lには大腿部センサ22Lが配置され、大腿部マッサージャー12Rには大腿部センサ22Rが配置される。大腿部センサ22L、22Rとしては、人体の持つ静電容量を検知するものなどを使用することができる。
【0026】
マッサージ機1の制御システムは図6に示す構成となっている。マッサージ機1の制御を司る制御部30はマイクロコンピュータを中核として構成され、ある構成要素からは出力信号を受け取り、ある構成要素には制御信号を出力する。制御部30に信号を出力する構成要素には、操作/表示部13の他、足裏位置検出回路部31と大腿部検出回路部32が含まれる。足裏位置検出回路部31はフットレスト6L、6Rに配置された足裏位置センサ33L、33Rの出力信号をデータ化して制御部30に伝える。大腿部検出回路部32は大腿部センサ22L、22Rの出力信号をデータ化して制御部30に伝える。
【0027】
制御部30から制御信号を出力される構成要素には、操作/表示部13の他、電磁弁駆動回路部34、足裏用モータ駆動回路部35、及びポンプ駆動回路部36が含まれる。電磁弁駆動回路部34は、脚部用エアバッグ17への空気の供給や排出を制御する脚部用電磁弁37、足先用エアバッグ18への空気の供給や排出を制御する足先用電磁弁38、及び大腿部用エアバッグ19への空気の供給や排出を制御する大腿部用電磁弁39の励磁/被励磁を制御する。足裏用モータ駆動回路部35は足裏用モータ21の駆動を制御する。ポンプ駆動回路部36は、脚部用電磁弁37、足先用電磁弁38、及び大腿部用電磁弁39を通る空気配管40(図6では太い実線で表現されている)を通じて脚部用エアバッグ17、足先用エアバッグ18、及び大腿部用エアバッグ19に圧縮空気を供給するポンプ41の駆動を制御する。
【0028】
この他マッサージ機1の制御システムには、それぞれがAC電源部42に接続される制御用電源回路部43、電磁弁駆動用電源回路部44、及びモータ/ポンプ駆動用電源回路部45が含まれる。
【0029】
操作/表示部13には、他の操作キーと共に、一時解除キー46とチャイルドロックキー47が配置される。
【0030】
一時解除キー46は、それを押すことにより、施療中であっても大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけを一時的に解除できる。一時解除キー46をもう一度押せば、大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけが復活する。
【0031】
チャイルドロックキー47は、それを押すことにより、大腿部マッサージャー12L、12Rを動作ロック状態にできる。チャイルドロックキー47をもう一度操作すると動作ロックが解除されるが、その操作は、単なる押圧ではなく、予め定められたものでなければならない(例えば3秒以上の長押し)。
【0032】
マッサージ機1の動作は次の通りである。脚部と足先に加え、大腿部のマッサージも行うときは、マッサージ機1を図3に示す伸長状態にする。被施療者は図4のようにマッサージ機1の後に置いた図示しない椅子に腰を掛け、左足は溝4Lと溝11Lに入れ、右足は溝4Rと溝11Rに入れる。そして脚部はレッグレスト5L、5Rに委ね、足先はフットレスト6L、6Rに委ねる。操作/表示部13の中の操作キーを操作し、マッサージ機1の電源スイッチをONにする。別の操作キーを操作し、マッサージ機1の運転スイッチをONにすると、マッサージが開始される。
【0033】
制御部30がポンプ駆動回路部36に制御信号を出力し、ポンプ41を駆動させると、圧縮空気が空気配管40を通じて脚部用電磁弁37、足先用電磁弁38、及び大腿部用電磁弁39に送られる。制御部30が電磁弁駆動回路部34に制御信号を出力し、脚部用電磁弁37、足先用電磁弁38、及び大腿部用電磁弁39を所定のリズムで開閉させることにより、脚部用エアバッグ17、足先用エアバッグ18、及び大腿部用エアバッグ19は所定のリズムで膨張と収縮を繰り返す。これにより被施療者の両足はリズミカルに圧迫され、マッサージ効果が生まれる。
【0034】
レッグレスト5L、5Rでは脚部用エアバッグ17により脚部の挟みつけが行われ、フットレスト6L、6Rでは足先用エアバッグ18により足先の挟みつけが行われ、大腿部マッサージャー12L、12Rでは大腿部用エアバッグ19により大腿部の挟みつけが行われる。いずれの部位においても挟みつけを行うのはエアバッグであるから、力のかかり方がソフトで、無理な圧迫が避けられる。
【0035】
大腿部マッサージャー12L、12Rは、成人の大腿部を受け入れるという要請を満たすため幅が広くなっており、小児であればその中に入り込めてしまう。小児が入り込んだ状態で大腿部マッサージャー12L、12Rが動作すると、小児の頭や胴が圧迫される可能性がある。圧迫するのが大腿部用エアバッグ19であっても、この状況は危険と言わざるを得ない。
【0036】
そこで本発明では、大腿部マッサージャー12L、12Rにそれぞれ配置された大腿部センサ22L、22Rを利用して、小児が挟まれる危険を回避する。その動作を図8のフローチャートに基づき説明する。
【0037】
図8において、ステップ#101では制御部30のマイクロコンピュータがリセット状態にされる。ステップ#102ではマッサージ機1がコンセントに接続されているかどうかがチェックされる。コンセントに接続されていればステップ#103に進み、NOであればステップ#101に戻る。
【0038】
ステップ#103では電源スイッチがONであるかどうかがチェックされる。YESであればステップ#104に進み、NOであればステップ#103に戻る。
【0039】
ステップ#104では運転スイッチがONであるかどうかがチェックされる。YESであればステップ105に進み、NOであればステップ#103に戻る。
【0040】
ステップ#105では、左右の大腿部センサ22L、22Rが左右の大腿部を検知して、制御部30に対し大腿部検知信号を出力したかどうかがチェックされる。YESであればステップ#106に進み、NOであればステップ#105に戻る。
【0041】
ステップ#106ではマッサージ機1の運転が開始される。運転は、ステップ#107において運転停止となるまで継続する。
【0042】
本発明によると、左右一対の大腿部マッサージャー12L、12Rのそれぞれに配置された大腿部センサ22L、22Rが両方とも大腿部検知信号を出力しないかぎり、つまり左右一対の大腿部マッサージャー12L、12Rが両方とも大腿部で塞がれないかぎり、大腿部マッサージャー12L、12Rは動作しないから、小児が片方の溝11L(11R)に入り込んだ状態で大腿部マッサージャー12L、12Rが動作する危険を回避することができる。
【0043】
大腿部マッサージャー12L、12Rを使用するとき、大腿部エアバッグ19による圧迫が心地よく感じられないことがある。これは、大腿部の長さや太さが被施療者によって異なることに起因することが多い。また、使用中に大腿部マッサージャー12L、12Rの位置がずれてきて、大腿部の圧迫が心地よく感じられなくなることがある。このような場合には、大腿部の圧迫が心地よく感じられるように、大腿部マッサージャー12L、12Rの位置を調整する必要がある。その際、もしも大腿部用エアバッグ19が大腿部を挟みつけた状態であれば、一旦挟みつけを解除しなければならない。そのためには、運転スイッチや電源スイッチをOFFにして、大腿部への挟みつけを解除しなければならいが、それでは運転を再開したときに大腿部マッサージャー12L、12Rの動作が繰り返されることになり、1回の動作時間がそれだけ延びてしまう。徒にマッサージの時間が延長されることは、大腿部にとり決して好ましいこととは言えない。さらに、脚部と足先に対する施療も中断してしまう。
【0044】
本発明では、一時解除キー46を用いて上記の問題を解決することができる。それを図9のフローチャートで説明する。
【0045】
図9のフローチャートにおいて、図8のフローチャートと共通のステップには図8と同じ符号を付し、説明を省略する。図9で新たに加わったステップは、ステップ#106「運転開始」とステップ#107「運転停止」の間のステップ、すなわちステップ#108からステップ#110までの3ステップである。
【0046】
ステップ#108では施療中に一時解除キー46がONにされたかどうかをチェックする。NOであればステップ#109に進み、YESであればステップ#110に進む。
【0047】
ステップ#109に進んだときは、運転をそのまま継続する。そしてステップ#107で運転停止に至るのを待つ。
【0048】
ステップ#110に進んだときは、大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけを一時的に解除する。すなわち大腿部用エアバッグ19を収縮させ、その状態を維持する。脚部と足先については施療を継続する。
【0049】
被施療者は、大腿部用エアバッグ19が大腿部を挟みつけていないので、大腿部マッサージユニット10をずらしたり、その姿勢を変えたりして、最もマッサージの効果が上がる箇所に大腿部マッサージユニット10を持ってくることができる。その上で一時解除キー46をもう一度押せば、大腿部のマッサージが再開される。図9ではステップ#110からステップ#108に戻ることになる。
【0050】
このように、施療中であっても大腿部マッサージャー12L、12Rによる大腿部の挟みつけのみを一時的に解除できるから、大腿部マッサージャー12L、12Rの位置がずれてきたらいつでもそれを修正でき、マッサージを希望する部位でない部位が圧迫されるのを堪え忍ぶ必要がない。また、施療を完全に停止するのでなく、大腿部の施療を一時的に解除するのみであるから、運転再開後、大腿部のマッサージが最初から繰り返されることがなく、マッサージ時間が徒に延長されるという事態を避けることができる。
【0051】
チャイルドロックキー47は、「単純な押圧」の範囲を逸脱した操作を行わないかぎり、マッサージ機1を運転できないようにして、小児がマッサージ機1を遊びの対象にしないようによるためのものである。チャイルドロックキー47を押せばマッサージ機1をチャイルドロック状態にすることができるが、タイマー機能でマッサージ機1が停止したときはチャイルドロック状態にならない。チャイルドロック状態になっていなければ、小児が操作/表示部13に触れたとき、マッサージ機1が動作してしまうことがあり得る。そのようなことになると、小児自身に危険が及ぶのみならず、マッサージ機1の上にたまたま置いてあった物品が転落して破損するといった事故も発生しかねない。
【0052】
上記問題を解決するためには、意図的にチャイルドロックキー47を押した場合に限らず、動作停止中のマッサージ機1を動作状態にするときは必ずチャイルドロック解除操作と同等の操作が必要であることとすることが考えられる。マッサージ機1にはそのような考えが盛り込まれている。以下それを図10のフローチャートで説明する。
【0053】
図10のフローチャートにおいて、図8のフローチャートと共通のステップには図8と同じ符号を付し、説明は省略する。図10では、ステップ#111からステップ#121までのステップが新たに加わっている。
【0054】
図10において、ステップ#104で運転スイッチがONであった場合はステップ#111に進む。
【0055】
ステップ#111では待機状態(電源は入っているが停止した状態)の継続が設定されているかどうかがチェックされる。NOであればステップ#105に向かい、YESであればステップ#115に進む。
【0056】
ステップ#105では、左右の大腿部センサ22L、22Rが左右の大腿部を検知して、制御部30に対し大腿部検知信号を出力したかどうかがチェックされる。YESであればステップ#112に進み、NOであればステップ#105に戻る。
【0057】
ステップ#112では、操作/表示部13の中の施療開始スイッチが押されたかどうかがチェックされる。YESであればステップ#113に進み、NOであればステップ#115に進む。
【0058】
ステップ#113では施療タイマーが計時を開始する。これにより施療が開始される。
続くステップ#114では施療タイマーが計時を終了する。これにより施療が終了する。そしてステップ#117に進む。
【0059】
ステップ#115に進んだときは、待機タイマーが計時を開始する。マッサージ機1は待機状態を保つ。続くステップ#116では待機タイマーが計時を終了する。マッサージ機1は待機状態から通常状態に復帰する。そしてステップ#117に進む。
【0060】
ステップ#117では制御用電源回路部43が遮断される。これによりマッサージ機1は動作停止状態に入る。
【0061】
続くステップ#118では、チャイルドロックがONになる。チャイルドロックキー47が押された訳ではないが、チャイルドロックキー47による動作ロック状態と同等の動作ロック状態が自動的に出現する。これによりマッサージ機1は、チャイルドロックキー47に対し予め定められた操作を行なってチャイルドロックを解除しないかぎり、動作しなくなる。
【0062】
続くステップ#119では、チャイルドロックが継続されているかどうかがチェックされる。チャイルドロックキー47の所定操作でチャイルドロックが解除されていればステップ#120に進み、そうでなければステップ#121に進む。
【0063】
ステップ#120に進んだときは、あらゆる操作キーの操作が有効になり、ステップ#103に戻る。
【0064】
ステップ#121に進んだときは、いずれかの操作キーを操作してもその操作は無効である。そしてステップ#119に戻る。
【0065】
図11にはステップ#113からステップ#114とステップ#117を経てステップ#118に至る一連の動作がタイムチャートの形で示されている。図12にはステップ#115からステップ#116とステップ#117を経てステップ#118に至る一連の動作がタイムチャートの形で示されている。
【0066】
このように、いかなる理由でマッサージ機1が動作停止状態となっているにせよ、マッサージ機1の動作を開始するためにはチャイルドロックキー47でチャイルドロックをかけた場合と同等のロック解除操作が必要であるから、安全性が向上する。タイマー機能でマッサージ機1が停止した場合にも自動的に動作ロック状態になるから、ロックを設定し忘れることがない。
【0067】
図9のステップ#108からステップ#110を、図10の、例えばステップ#113の後に置き、一時解除キー46の併用を可能としてもよい。また、図10において、ステップ#111で待機状態が設定されているかどうかをチェックしているが、運転スイッチがONになれば自動的に待機状態になって待機タイマーが計時を開始し、待機タイマーが計時を終了するまでに施療開始スイッチをONにしなければ、チャイルドロック状態となるようにしてもよい。施療開始スイッチをONにすれば、ステップ#113〜#114、ステップ#117、ステップ#118と移行する。
【0068】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば溝11R、11Lの両側壁に大腿部用エアバッグ19を配備してマッサージするようにしているが、エアバッグの代わりに左右に移動する押圧板を配備し、この押圧板により大腿部を挟みつけるようにしてもよい。
【0069】
本発明はまたエアバッグの代わりにバイブレータや左右のもみローラにより大腿部をマッサージするものにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、下肢用のマッサージ機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 マッサージ機
2 ベース部
3 クレードル部
4L、4R 溝
5L、5R レッグレスト
6L、6R フットレスト
10 大腿部マッサージユニット
11L、11R 溝
12L、12R 大腿部マッサージャー
13 操作/表示部
17 脚部用エアバッグ
18 足先用エアバッグ
19 大腿部用エアバッグ
22L、22R 大腿部センサ
30 制御部
46 一時解除キー
47 チャイルドロックキー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の大腿部を左右両側から挟みつけてマッサージを行う大腿部マッサージャーを左右一対備えたマッサージ機において、
前記左右1対の大腿部マッサージャーのそれぞれに大腿部センサが配置され、当該マッサージ機の制御部は、前記大腿部センサが左右両方とも大腿部検知信号を出力した場合のみ前記大腿部マッサージャーを動作可能にすることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
施療中であっても前記大腿部マッサージャーによる大腿部の挟みつけを一時的に解除できる一時解除キーが当該マッサージ機の操作/表示部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記大腿部マッサージャーを動作ロック状態にするとともに所定の操作を通じてロック解除を行うチャイルドロックキーが当該マッサージ機の操作/表示部に配置され、前記制御部は、当該マッサージ機が動作停止状態に入ったとき、前記チャイルドロックキーによる動作ロック状態と同等の動作ロック状態を自動的に出現させることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記大腿部マッサージャーは、エアバッグにより大腿部の挟みつけを行うものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項1】
被施療者の大腿部を左右両側から挟みつけてマッサージを行う大腿部マッサージャーを左右一対備えたマッサージ機において、
前記左右1対の大腿部マッサージャーのそれぞれに大腿部センサが配置され、当該マッサージ機の制御部は、前記大腿部センサが左右両方とも大腿部検知信号を出力した場合のみ前記大腿部マッサージャーを動作可能にすることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
施療中であっても前記大腿部マッサージャーによる大腿部の挟みつけを一時的に解除できる一時解除キーが当該マッサージ機の操作/表示部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記大腿部マッサージャーを動作ロック状態にするとともに所定の操作を通じてロック解除を行うチャイルドロックキーが当該マッサージ機の操作/表示部に配置され、前記制御部は、当該マッサージ機が動作停止状態に入ったとき、前記チャイルドロックキーによる動作ロック状態と同等の動作ロック状態を自動的に出現させることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記大腿部マッサージャーは、エアバッグにより大腿部の挟みつけを行うものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−125429(P2012−125429A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280025(P2010−280025)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
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