説明

マッサージ機

【課題】エアポンプの負荷を軽減してエアバッグを膨張状態で保圧できるマッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージ機は、エアバッグ23a,23b,24a,24bを有する複数の制御系統34a,34bと、その制御系統34a,34bと同数の電磁弁32a,32bとがそれぞれ設けられている。制御部の制御により、エアバッグ23a,23b,24a,24bを用いた保圧によるマッサージを行う際、エアポンプ31を非駆動状態とし、自身に備える逆止弁31aから電磁弁32a,32bを介して制御系統34a,34bのエアバッグ23a,23b,24a,24bまでの空気路内が密閉区間S1とされて、各エアバッグ23a,23b,24a,24bの保圧を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアポンプ及び電磁弁にてエアバッグを膨縮動作させ、使用者のマッサージ部位に対して押圧や圧迫等のマッサージを行うマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のマッサージ機を椅子型としたマッサージ椅子においては、着座した使用者の臀部や腰部、ふくらはぎ部等の各マッサージ部位をマッサージするための各エアバッグが接続された複数の制御系統を備えるものがある(例えば特許文献1参照)。このようなマッサージ機では、エアポンプと各制御系統の電磁弁との動作にて空気を給排させてエアバッグを膨縮させ、使用者の各マッサージ部位にエアマッサージが施される構成となっている。
【0003】
ここで、駆動装置の動作について、エアポンプでは圧縮空気が生成されており、電磁弁(この場合、三方電磁弁)が大気開放側から供給側に切り替わることでエアポンプからの圧縮空気の給気に基づいて各制御系統のエアバッグが膨張する。また電磁弁が供給側から大気開放側に切り替わることで各制御系統内の空気が大気に排気されてエアバッグが収縮する。エアマッサージ時には、このエアバッグの膨縮動作が繰り返されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−260173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エアバッグの単純な膨縮動作のみならず、エアバッグの膨張状態を維持(保圧)してマッサージ部位の押圧や圧迫状態を所定時間継続させ、マッサージ効果の向上やマッサージ動作のバリエーションを増加させたいという要求がある。この場合、所定膨張状態に達した後もエアポンプからの給気を継続して保圧する場合があるが、このような保圧を行う方法ではエアポンプに対する負荷が増加するとともに稼働時間が長くなることで、エアポンプ内部の温度が上昇することが問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エアポンプの負荷を軽減してエアバッグを膨張状態で保圧できるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージ機は、使用者のマッサージ部位をマッサージするためのエアバッグが少なくとも一つ接続された制御系統を複数備え、エアポンプ及び前記制御系統毎に電磁弁を備えてなる駆動装置の空気の給排動作を制御部の制御に基づいて行わせ、その駆動装置の空気の給排動作にて前記エアバッグを膨縮させて前記使用者のマッサージ部位のマッサージを行うマッサージ機であって、前記制御部は、膨張状態の前記エアバッグの保圧によるマッサージを行う際、前記エアポンプを非駆動状態とするとともに、前記エアポンプと保圧対象の前記エアバッグとを前記電磁弁にて接続し、前記エアポンプの逆止弁による同対象のエアバッグの保圧を行うことを特徴とする。
【0008】
また上記構成においては、前記制御部は、前記エアポンプを非駆動状態とするとともに、複数の制御系統の前記エアバッグをそれぞれの電磁弁を介して前記エアポンプと接続し、複数の制御系統の前記エアバッグ間で空気の流通を可能とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エアポンプの負荷を軽減してエアバッグを膨張状態で保圧できるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態におけるマッサージ機の概略斜視図。
【図2】エアマッサージの構成を説明するためのブロック図。
【図3】(a)は給気における電磁弁の状態を説明するための説明図、(b)は排気における電磁弁の状態を説明するための説明図。
【図4】エアマッサージの制御を説明するためのタイミングチャート。
【図5】保圧状態を説明するためのブロック図。
【図6】保圧状態を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、椅子型マッサージ機10の椅子本体10aは、支持脚部11にて支持された座部12の後端に背もたれ部13が組み付けられるとともに、座部12の前端にオットマン14が組み付けられてなる。また、着座した使用者の腕部を置くことのできる肘掛け部15が座部12の左右に設けられている。また、肘掛け部15の近傍には、使用者によるマッサージ機10の各部を操作可能な操作器16が設けられている。
【0012】
オットマン14は、使用者の脚部のうち下腿部分を保持するための脚部用保持部21と、足先部分の足裏部分を保持するための足部用保持部22とを別体に設けたものである。ここでの「下腿部分」は膝から足首までの部分を意味し、「足先部分」は足首から先の部分を意味する。
【0013】
オットマン14の脚部用保持部21は、使用者の下腿部分の裏側(脹脛)から保持可能な2つの下腿保持面21aと、各下腿保持面21aの左右両側から延出する側壁21bとを有している。このため、各側壁21b間に使用者の脚部(下腿)を挿入可能となっている。各側壁21bには、使用者の左右の脚部に対応して膨収動作が可能なエアバッグ23a,23bがそれぞれ内装されている。また、オットマン14の足部用保持部22は、使用者の足裏部分を保持可能な1つの足裏保持面22aと、この足裏保持面22aの左右方向両側から延出する側壁22bとを有している。足部用保持部22には、使用者の左右の足裏部分に対応して膨収動作が可能なエアバッグ24a,24bがそれぞれ内装されている。各マッサージ部位に対応して設けられたエアバッグ23a,23b,24a,24bは、接続ホース35a〜35cを介して(図2参照)、座部12の下側の支持脚部11間に設置される図2に示す駆動装置30に向けて取り回されている。
【0014】
このようなオットマン14は、本実施形態では、スライド機構27によってオットマン14が前後方向に移動可能に構成されるとともに、座部12の下部に収納される収納状態と、座部12の前方にオットマン14が露出されてオットマン14を使用可能な使用状態とに切り替え可能となっている。
【0015】
図2に示すように、駆動装置30は、電動駆動されるエアポンプ31と、該エアポンプ31にそれぞれ接続された三方電磁弁32a,32bと、エアポンプ31及び電磁弁32a,32bを制御する制御部33とを備えてなる。エアポンプ31の吐出口(電磁弁32a,32bとの接続口)には、逆止弁31aが設けられている。電磁弁32aには、使用者の左右の脚部のマッサージを行う制御系統34aに属するエアバッグ23a,23bが接続されている。また、電磁弁32bには、使用者の左右の足裏部分のマッサージを行う制御系統34bに属するエアバッグ24a,24bが接続されている。電磁弁32a,32bは、制御部33の制御に基づいて、図3(a)に示すエアポンプ31からの空気が各制御系統34a,34bのエアバッグ23a,23b,24a,24bに供給される供給側と、図3(b)に示す各制御系統34a,34bのエアバッグ23a,23b,24a,24b内の空気が大気中に排気される大気開放側とに切り替わる。
【0016】
そして、制御部33の制御の下、エアポンプ31の駆動により圧縮空気が生成され、マッサージ対象の電磁弁32a,32bが大気開放側から供給側に切り替わる。該エアポンプ31からの圧縮空気は、その対象の制御系統34a,34bのエアバッグ23a,23b,24a,24bに給気されて膨張する。一方、エアバッグ23a,23b,24a,24bの所定の膨張動作が終了すると、電磁弁32a,32bが供給側から大気開放側に切り替わり、制御系統34a,34bのエアバッグ23a,23b,24a,24b内の空気が大気中に排気されてエアバッグ23a,23b,24a,24bが収縮する。エアマッサージ時には、この膨張・収縮動作が繰り返される。
【0017】
また、制御部33は、エアバッグ23a,23b,24a,24bの単純な膨縮動作に加え、膨張状態を所定時間(例えば1秒)維持してマッサージ部位の押圧や圧迫状態を所定時間継続させる制御も行っている。因みに、本実施形態では、使用者の足裏部分を下方から押圧し、脚部を左右から圧迫するマッサージが行われる。
【0018】
図4には、所定のエアマッサージ時におけるエアポンプ31及び電磁弁32a,32bの動作態様を示す。所定時間T1において、エアポンプ31の駆動(ON)に基づいて圧縮空気が生成されるとともに、電磁弁32aが大気開放側から供給側に切り替わることで、脚部をマッサージ対象とする制御系統34aに給気されエアバッグ23a,23bが膨張する。やがて、所定膨張状態となる所定時間T2においてマッサージ対象の電磁弁32aを供給側に維持したまま、エアポンプ31が停止(OFF)される。これにより、図5に示すように、エアポンプ31の逆止弁31aから電磁弁32aを介して制御系統34aのエアバッグ23a,23bまでの空気路内が密閉区間S1となる。その密閉区間S1を形成することでエアバッグ23a,23b内の空気の逃げ場がなく制御系統34aのエアバッグ23a,23bの保圧がなされる。そして、所定時間T3において、電磁弁32aが供給側から大気開放側に切り替わり、エアバッグ23a,23bの収縮が行われる。
【0019】
その後、所定時間T4において、エアポンプ31の駆動(ON)に基づいて圧縮空気が生成されるとともに、電磁弁32aが大気開放側から供給側に切り替わることで、先の制御系統34aのエアバッグ23a,23bに再び給気が行われる。また、所定時間T5において、エアポンプ31の駆動状態を維持したまま電磁弁32bが大気開放側から供給側に切り替わることで、足部をマッサージ対象とする制御系統34bに給気されマッサージ対象のエアバッグ24a,24bが膨張する。やがて、所定膨張状態となる所定時間T6において電磁弁32a,32bを供給側に維持したまま、エアポンプ31が停止(OFF)される。これにより、図6に示すように、エアポンプ31の逆止弁31aから各電磁弁32a,32bを介して各制御系統34a,34bのエアバッグ23a,23b,24a,24bまでの空気路内が密閉区間S2となり、両制御系統34a,34bのエアバッグ23a,23b,24a,24bの保圧がなされる。
【0020】
その後、所定時間T7において、電磁弁32bが供給側から大気開放側に切り替わり、エアバッグ24a,24b内の空気が大気中に排気される。この場合、電磁弁32aが供給側に維持されており、制御系統34aのエアバッグ23a,23bは保圧される。そして、所定時間T8において、電磁弁32bが大気開放側から供給側に切り替わり、所定時間T6と同様の密閉区間S2が再び形成される。この場合、制御系統34aのエアバッグ23a,23bを保圧していた空気は、電磁弁32a,32bを介して制御系統34bのエアバッグ24a,24bに移動する。つまり、両エアバッグ23a,23b,24a,24bの保圧力は先のそれに比べて減圧される。所定時間T9において、所定のエアマッサージの終了に伴って電磁弁32a,32bが供給側から大気開放側に切り替わりエアバッグ23a,23b,24a,24bの収縮が行われて一連のマッサージ動作が終了し、また次のマッサージ動作に移行する。
【0021】
この実施形態は、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のマッサージ機10は、エアバッグ23a,23b,24a,24bを有する複数の制御系統34a,34bと、その制御系統34a,34bと同数の電磁弁32a,32bとがそれぞれ設けられている。制御部33の制御により、エアバッグ23a,23b,24a,24bを用いた保圧によるマッサージを行う際、エアポンプ31を非駆動状態とし、自身に備える逆止弁31aから電磁弁32a,32bを介して制御系統34a,34bのエアバッグ23a,23b,24a,24bまでの空気路内が密閉区間S1や密閉区間S2とされて、各エアバッグ23a,23b,24a,24bの保圧が行われる。これにより、従来のような所定膨張状態に達した後も給気を継続させる場合に比べてエアポンプ31の負荷を軽減できるとともに、エアポンプ31を非駆動状態にすることでエアポンプ31内部の温度上昇を低減することができる。また、所定のエアマッサージにおいて保圧を行う際にエアポンプ31を停止することで、稼働時間を短くしてエアポンプ31の長寿命化を図ることができる。
【0022】
(2)制御系統34a,34bと同数の電磁弁32a,32bを用いてエアバッグ23a,23b,24a,24bの保圧が可能である。つまり、更に二方電磁弁を追加してエアバッグ23a,23b,24a,24bからの空気を遮断して保圧を行う構成のものに対して部品点数の低減が図られるため、簡易な構成で実現することができる。
【0023】
(3)所定時間T8の状態等において、制御系統34a,34b間で空気の流通を可能とし、制御系統34aのエアバッグ23a,23b内の空気がもう一方の制御系統34bのエアバッグ24a,24bに移動するようにした。これにより、エアポンプ31を駆動が不要なため、エアポンプ31の負荷を軽減することができる。また、この場合の両エアバッグ23a,23b,24a,24bの保圧力は減圧したものとなるため、マッサージのバリエーションが増加する。
【0024】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、使用者の脚部の左右からの圧迫を行うエアバッグ23a,23bと、足裏部分の押圧を行うエアバッグ24a,24bとの動作態様を図4のように設定したが、各動作態様、即ちエアポンプ31や電磁弁32a,32bのそれぞれの動作タイミングや動作時間長さ等を適宜変更してもよい。
【0025】
・上記実施形態において、エアバッグによるマッサージを使用者の脚部や足裏部分(2系統)に行うものであったが、それ以外で例えば、座部12、背もたれ部13、肘掛け部15等に設定してもよい。
【0026】
・上記実施形態において、電磁弁32a,32bとして三方電磁弁を用いたが給排気を切り替え可能な他の電磁弁を用いてもよい。
・上記実施形態では、オットマン14をスライド機構27によって座部12の下部に収納可能に構成したが、スライド機構27を省略しオットマン14の収納が不能な構成に変更してもよい。
【0027】
・上記実施形態において、背中のマッサージを行う施療子(揉み玉)を備えたマッサージ機構を背もたれ部13に内装した構成に変更してもよい。
・上記実施形態では、座部12の後部に背もたれ部13を備えた椅子型のマッサージ機10に適用したが、例えば使用者が寝た状態で使用可能なベッド(マット)タイプのマッサージ機や、特定部位のみのマッサージを行うその他のマッサージ機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0028】
10…マッサージ機、23a,23b,24a,24b…エアバッグ、30…駆動装置、31…エアポンプ、31a…逆止弁、32a,32b…電磁弁、33…制御部、34a,34b…制御系統。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者のマッサージ部位をマッサージするためのエアバッグが少なくとも一つ接続された制御系統を複数備え、エアポンプ及び前記制御系統毎に電磁弁を備えてなる駆動装置の空気の給排動作を制御部の制御に基づいて行わせ、その駆動装置の空気の給排動作にて前記エアバッグを膨縮させて前記使用者のマッサージ部位のマッサージを行うマッサージ機であって、
前記制御部は、膨張状態の前記エアバッグの保圧によるマッサージを行う際、前記エアポンプを非駆動状態とするとともに、前記エアポンプと保圧対象の前記エアバッグとを前記電磁弁にて接続し、前記エアポンプの逆止弁による同対象のエアバッグの保圧を行うことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、前記エアポンプを非駆動状態とするとともに、複数の制御系統の前記エアバッグをそれぞれの電磁弁を介して前記エアポンプと接続し、複数の制御系統の前記エアバッグ間で空気の流通を可能としたことを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−170611(P2012−170611A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35261(P2011−35261)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】