説明

マッサージ機

【課題】使用者の施療部(首部、肩部、腰部、下肢部等)に対して、マッサージを行うことのできるマッサージ機に関し、特に、足を多様な揉み感をもってして良好にマッサージするマッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明のマッサージ機1は、床に載置可能とされた本体部2に、使用者の足Fを両側から挟み込むようにマッサージする第1マッサージエリアAと、使用者の足Fを片側から押すようにマッサージする第2マッサージエリアBと、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の施療部(首部、肩部、腰部、下肢部等)に対して、マッサージを行うことのできるマッサージ機に関するものであって、特に、足(下肢であって足首から先の部分)を良好にマッサージするマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下肢に対してマッサージ可能な載置型のマッサージ機が開発されている。例えば、特許文献1は、左右一対のマッサージ部材によって足を左右両側から抱持して良好にマッサージすることができるマッサージ機を開示している。
詳しくは、特許文献1は、左右方向で対向配置された一対のマッサージ部材を近接離反させることにより、該左右マッサージ部材間で足を左右両側から押圧してマッサージするようにしたマッサージ機であって、左右各マッサージ部材は、足の側部の踝から前側を押圧する前側押圧部と、足の側部の踝から後側を押圧する後側押圧部とを備えており、これらの前側押圧部と後側押圧部とは、踝の下側で接続されているマッサージ機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−74163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1のマッサージ機は、下肢、特に足に対するマッサージを効果的に施術することが可能なものである。
しかしながら、昨今、使用者(ユーザ)からは多様な揉み感を求める声が挙がってきている。特許文献1のマッサージ機は、左右方向で対向配置された一対のマッサージ部材による挟み込みマッサージのみを提供するものであって、斯かる要望には一部対応できないものとなっている。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、使用者の施療部(首部、肩部、腰部、下肢部等)に対して、マッサージを行うことのできるマッサージ機に関し、特に、足を多様な揉み感をもってして良好にマッサージするマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
すなわち、本発明に係るマッサージ機は、床に載置可能とされた本体部に、施療部を両側から挟み込むようにマッサージする第1マッサージエリアと、施療部を片側から押すようにマッサージする第2マッサージエリアと、が設けられていることを特徴とする。
好ましくは、前記本体部の上面の中央部に前記第1マッサージエリアが設けられ、前記第1マッサージエリアの幅方向両側で且つ当該第1マッサージエリアに隣接して第2マッサージエリアが設けられているとよい。
【0007】
好ましくは、前記第1マッサージエリアと第2マッサージエリアとの間には、前記第1マッサージエリア側に向かって揺動することで第1マッサージエリアに位置する施療部に対してマッサージを可能にすると共に、第2マッサージエリア側に向かって揺動することで第2マッサージエリアに位置する施療部へのマッサージを可能にするマッサージ手段が設けられているとよい。
【0008】
好ましくは、前記マッサージ手段は、前記第1マッサージエリアと第2マッサージエリアとに向かって交互に揺動する揺動アーム部材と、前記揺動アーム部材の先端部であって、第1マッサージエリアに面する側に設けられた第1揉み部と、前記揺動アーム部材の先端部であって、第2マッサージエリアに面する側に設けられた第2揉み部と、を備えているとよい。
【0009】
好ましくは、前記第1揉み部と第2揉み部とは、前記第1マッサージエリアと第2マッサージエリアとで施療部に対する異なったマッサージ施術が可能なように、互いに異なる
形状に形成されているとよい。
好ましくは、前記第2マッサージエリアには、前記マッサージ手段に対向する位置にマッサージ板が固定状に配備されていて、前記マッサージ手段は、第2マッサージエリアに位置する施療部をマッサージ板側へ向かって押し付けるように揺動するように構成されているとよい。
【0010】
好ましくは、前記第1マッサージエリア若しくは第2マッサージエリアには、施療部に対する押しマッサージを可能とする突起部が設けられているとよい。
好ましくは、前記第1マッサージエリア及び第2マッサージエリアには、施療部に対する押しマッサージを可能とする突起部が設けられており、前記第1マッサージエリアの突起部と第2マッサージエリアの突起部とが、同じ形状又は異なる形状に形成されているとよい。
【0011】
好ましくは、前記マッサージ板の幅方向の厚み又はマッサージ板の幅方向の位置が、施療部の大きさ乃至は形状に合わせて可変とされているとよい。
好ましくは、前記本体部の上面がバイブレーション可能に構成されているとよい。
好ましくは、前記施療部が、使用者の足とされているとよい。
好ましくは、前記本体部の上面であって第1マッサージエリア及び第2マッサージエリア以外の部位に、使用者の足以外をマッサージ可能とするマッサージ部が形成されているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るマッサージ機によれば、使用者の施療部(首部、肩部、腰部、下肢部等)に対して、マッサージを行うことのでき、特に、足を多様な揉み感をもってして良好にマッサージを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るマッサージ機の作動態様を示す外観斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るマッサージ機の上面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るマッサージ機の内部機構の斜視図である。
【図5】揺動アーム部材の先端に取り付けられた第1揉み部と第2揉み部とを示した図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1、図3に示すように、本発明のマッサージ機1は、床面上に載置されて使用されるものであり、使用者の施療部(首部、肩部、腰部、下肢部等)に対して、マッサージを行うことができる。特に、このマッサージ機1は、使用者の足F(下肢であって足首から先の部分)を良好にマッサージ可能である。
【0015】
以下、説明を進めるにあたり、図3の左右方向を装置の左右方向(幅方向)と呼び、図3の上下方向を装置の後前方向と呼ぶ。図3の紙面貫通方向を上下方向と呼ぶ。
図1、図3などに示す如く、マッサージ機1は、床に載置可能とされた本体部2を有し、この本体部2の上面には、使用者の足F(施療部)を両側から挟み込むようにマッサージする第1マッサージエリアAと、足Fを片側から押すようにマッサージする第2マッサージエリアBと、が設けられている。
【0016】
この第1マッサージエリアAと第2マッサージエリアBとの間には、第1マッサージエリアA側に向かって揺動することで第1マッサージエリアAに位置する足Fに対してマッサージを可能にすると共に、第2マッサージエリアB側に向かって揺動することで第2マッサージエリアBに位置する足Fへのマッサージを可能にするマッサージ手段3が設けられている。このマッサージ手段3は、マッサージ機1の本体部2に内蔵された駆動機構4により駆動される。
【0017】
加えて、本体部2の上面をバイブレーション可能とすべく、本体部2の上面には、振動
して足Fをマッサージする振動板5と、この振動板5を振動させる振動発生機構6とが設けられている。この振動発生機構6も駆動機構4と同様に本体部2に内蔵されている。
図3に示すように、本体部2の上面左側には、マッサージ動作をオン/オフさせたり、マッサージ速度や種類を変更するためのスイッチが配備された操作部7が設けられている。
【0018】
以下、本発明のマッサージ機1の詳細について説明する。
マッサージ機1の本体部2は、平面視左右方向に長い矩形状とされたケーシング8を有している。このケーシング8は、上方開放状の下部ケーシング8aと、この下部ケーシング8aに嵌り合う下方開放状とされた上部ケーシング8bとからなり、下部ケーシング8aに上部ケーシング8bが嵌り合うことで、内部に収容空間を有する本体部2が構成されている。
【0019】
下部ケーシング8aの下面側四隅部には、下方突出状に設けられた脚部9が備えられており、この各脚部9の下部には、ゴム等の弾性体からなる防振部材が設けられている。
上部ケーシング8bの左右両側には、マッサージ機1を把持可能なように凹部からなる把持部10が形成されている。また、上部ケーシング8bの上面は大きく開放され、この開放部45には、振動板5が左右・前後に振動可能に配備されるものとなっている。この振動板5がマッサージ機1の本体部2の上面となっている。
【0020】
本発明のマッサージ機1の本体部2の上面に関しては、その中央部に足Fを両側から挟み込んでマッサージ施術する領域である第1マッサージエリアAが設けられている。この第1マッサージエリアAの幅方向両側(左右方向両側)には、第1マッサージエリアAでのマッサージ施術とは異なったマッサージを行うことのできる領域である第2マッサージエリアBが一対設けられている。第2マッサージエリアBは第1マッサージエリアAの左右両側に隣接して設定されている。
【0021】
具体的には、振動板5の略中央部に開口部11が形成され、この開口部11から左右一対の揺動アーム部材12が、当該振動板5に接触しないように上方へ突出状に設けられている。
この揺動アーム部材12の先端部であって、幅方向内側(左右一対の揺動アーム部材12が対面する側)には、第1揉み部13が設けられている。さらに、揺動アーム部材12の先端部であって、幅方向外側(第1揉み部13の反対側)には、第2揉み部14が設けられている。これら揺動アーム部材12の先端部、第1揉み部13、第2揉み部14で構成されるマッサージ手段3は、布などで構成されたカバー体15で覆われている。
【0022】
揺動アーム部材12の基端部は、正面視において、後述する駆動機構4の第1回転軸23に交差するように連結され、左右一対の揺動アーム部材12が互いに近接離反するように揺動して、図2(a)に示す如く、左右一対の揺動アーム部材12間に差し入れられた足Fを挟み込みマッサージする。この左右一対の揺動アーム部材12間は、第1マッサージエリアAとされている。
【0023】
右側の揺動アーム部材12の更に右側は、第2マッサージエリアBとされており、左側の揺動アーム部材12の更に左側も、第2マッサージエリアBとされている。すなわち、マッサージ機1の本体部2の上面は、幅方向に一方側から第2マッサージエリアB、第1マッサージエリアA、第2マッサージエリアBが形成されており、第1マッサージエリアAと第2マッサージエリアBとの間で揺動アーム部材12が立設状に配備されている。
【0024】
この揺動アーム部材12は、駆動機構4により駆動され、第1マッサージエリアA側に向かって揺動することで、第1マッサージエリアAに位置する使用者の足Fに対して、第1揉み部13によりマッサージを可能にする。同様に、図2(b)に示す如く、第2マッサージエリアB側に向かって揺動することで、第2揉み部14により、左右の第2マッサージエリアBに位置するそれぞれ左右の足Fへのマッサージを可能にするものとなっている。揺動アーム部材12が第2マッサージエリアB側に向かって揺動した際には、使用者の足Fを内側(土踏まず側)から押すようにマッサージする。すなわち、揺動アーム部材12は、第1マッサージエリアAと第2マッサージエリアBとに向かって交互に揺動するように構成され、両エリアに位置する使用者の足Fに対してマッサージを施す。
【0025】
揺動アーム部材12は長片板状の部材であり、比較的撓みやすく(弾性変形しやすく)なっている。
揺動アーム部材12の先端部には、左右一対の揺動アーム部材12,12間(第1マッサージエリアA)に載置された足Fに対して、挟み込むようにして揉みマッサージを行う第1揉み部13が備えられている。
【0026】
図4、図5に示すように、第1揉み部13は、突状の突起41とその突起の後側に設けられた円弧状の突起42、当該円弧状の突起42の下側に逆ハの字状に設けられた突起43を有している。これらの突起により、足Fの両側を効果的に指圧することができるようになる。本実施形態の第1揉み部13は、ゴムやプラスチックなどの可撓性を有する材料で構成されている。
【0027】
本体部2の上面の一対の揺動アーム部材12,12間(第1マッサージエリアA)には、第1突起部18が設けられ、使用者の足Fの裏側をマッサージすることができる。この第1突起部18は、第1マッサージエリアAに配置された突起部である。
一方、揺動アーム部材12の先端部であって、第1揉み部13の反面側(幅方向で反対側)には、足Fの内側方を押すようにマッサージする第2揉み部14が備えられている。
【0028】
図4、図5に示すように、第2揉み部14は、揺動アーム部材12の先端部より大きく張り出すように形成された突起44を有しており、揺動アーム部材12が揺動し第2マッサージエリアBへ張り出すと共に、第1マッサージ板16(後述)へ向かって押し付けるように揺動する際に、この突起により足Fの内側の方を効果的に指圧することができるようになる。本実施形態の第2揉み部14は、ゴムやプラスチックなどの可撓性を有する材料で構成されている。
【0029】
なお、第2揉み部14を第1揉み部13と異なる形状とすることで、第1マッサージエリアAでのマッサージ感と、第2マッサージエリアBでのマッサージ感とが異なるものとなり、使用者の様々なマッサージに対するニーズに対応することが可能となる。
第2マッサージエリアBには、当該エリアを挟んで第2揉み部14に対向する位置、すなわち振動板5の左右両縁であって前後中央部に第1マッサージ板16が垂直固定状に配備されている。この第1マッサージ板16は、マッサージ手段3に対向する位置に垂直固定状に配備されたマッサージ板である。第1マッサージ板16の前後幅は第2揉み部14と略同じとされ、第1マッサージ板16の高さは、第2マッサージエリアBに載置された足Fの甲高さより高いものとされている。
【0030】
このマッサージ板16の幅方向の厚み又は第1マッサージ板16の幅方向の位置が、施療部の大きさ乃至は形状に合わせて可変とされている。具体的には、第1マッサージ板16に嵌り込むキャップ状の調整部材を用意し、当該キャップ部材を嵌め込むことで、第2揉み部14〜第1マッサージ板16の幅方向の距離を狭めたり、第1マッサージ板16の高さを高くすることができるようになる。これにより、様々な大きさの足Fに対しても、確実なマッサージを行うことができるようになる。
【0031】
また、第2マッサージエリアBに対応する本体部2の上面には、当該第2マッサージエリアBに配置された足Fの裏に対する押しマッサージを可能とする第2突起部19が設けられている。この第2突起部19は、第2マッサージエリアBに配置された突起部である。第2突起部19を第1突起部18と異なる形状とすることで、第1マッサージエリアAでの押しマッサージ感と、第2マッサージエリアBでの押しマッサージ感とが異なるものとなり、使用者の様々なマッサージに対するニーズに対応可能となる。
【0032】
なお、本実施形態のマッサージ機1では、二つの突起部18、19が本体部2の上面に設けられているが、これらの突起部18,19はいずれか一つのマッサージエリアだけに設けられていてもよい。また、突起部18,19の位置や本数は任意で配置されており、使用者の足Fの裏に接触する位置であればどの位置にあってもよい。
さらに、本実施形態のマッサージ機1は、本体部2の上面であって第1マッサージエリアA及び第2マッサージエリアB以外の部位に、使用者の足F乃至はそれ以外をマッサージ可能とするマッサージ部が形成されている。
【0033】
このマッサージ部を具体的に説明すれば、まず、第2マッサージエリアBの後方側、す
なわち、振動板5の後方縁であって左右両端側には、上方に凸設状とされた第2マッサージ板17が形成されている。この第2マッサージ板17は、当該マッサージ板の上部に使用者の足F(特にアキレス腱など)が載置され、振動マッサージを施術可能となっている。
【0034】
この第2マッサージ板17の左右幅は、第1マッサージ板16の前後幅と略同じとされ、載置された足Fがずれ落ちないように、第2マッサージ板17の両端部は上方に凸設状に形成されている。また、第2マッサージ板17の高さは第1マッサージ板16と略同じとされている。
第1マッサージエリアAに対応する振動板5の開口部11の後方側には、第3突起部20が設けられている。第3突起部20は、第1マッサージエリアAを挟んで対向した位置に、複数個が前後に並んで配置されている。第1マッサージエリアAの後方側は、使用者が座り込むことが可能となっており、座り込んだ場合、第3突起部20が使用者の臀部に当たるようになる。それ故、本体部2内に備えられた振動発生機構6を作動させることで、第3突起部20が臀部に対して押しマッサージ乃至は振動マッサージを行うことができるようになる。
【0035】
このように、本発明のマッサージ機1は、使用者の様々な部分に対してマッサージを行うことが可能となっている。
ところで、以上述べた揺動アーム部材12を駆動する機構としては、様々なものが採用可能であるが、本実施形態では、以下に述べる駆動機構4(揉み駆動機構21、叩き駆動機構22)を採用している。同様に、振動板5を振動させる機構としても、以下に述べる振動発生機構6を採用している。
【0036】
図4には、マッサージ機1の内部機構が斜視状態で示されている。この内部機構は、揺動アーム部材12を駆動させ揉み動作を行わせる揉み駆動機構21と、揺動アーム部を駆動させ叩き動作を行わせる叩き駆動機構22と、振動板5を振動させる振動発生機構6とからなる。
揉み駆動機構21は、駆動部28、変換部30および規制部31から構成されている。
【0037】
駆動部28は、駆動機構4の中央下方に配置された第1回転軸23と、駆動機構4の左方向に配置されると共に駆動軸を前方向に向けて設けられた第1電動モータ25と、で構成される。第1電動モータ25は図示しない制御部および電源部に接続され、使用者が操作部7を操作することにより、第1電動モータ25を回転させたり、第1電動モータ25の回転数を変更されたり、第1電動モータ25の回転方向が変更(正転/逆転)されたりする。
【0038】
変換部30は、第1回転軸23の回転運動を揉み運動(揺動運動)へ変換する。変換部30は、揺動アーム部材12の基端部に一体的に形成された環状嵌合部32と、第1回転軸23に固着され第1回転軸23とともに回転運動する左右一対の回転ボス部33とで構成される。環状嵌合部32は、回転ボス部33の周縁に相対回転自在に嵌り込むように取り付けられている。さらに、回転ボス部33に対して環状嵌合部32が供回りすることを規制する規制部31が備えられている。
【0039】
回転ボス部33の周縁面(摺動面)には、第1回転軸23に対して傾斜する軸心を有する略円形であって無端状の軌道(カム面)が形成されている。この軌道に沿って環状嵌合部32が回転ボス部33に対して相対回転自在となっている。左右の回転ボス部33の軌道の傾斜方向は、互いに逆向きになるように、回転ボス部33が第1回転軸23に固定されている。
【0040】
規制部31は、環状嵌合部32の下方(揺動アーム部材12が延びていない側)に設けられた棒状の規制突起34と、この規制突起34が嵌り込む規制溝部35とで構成される。規制溝部35の溝は、第1回転軸23の軸心に沿うように左右方向に形成されている。規制突起34が規制溝部35を左右方向に摺動するため、規制溝部35により規制突起34の前後方向の動きが規制される。
【0041】
従って、第1回転軸23が回転すると、回転ボス部33が第1回転軸23と共に回転して、この回転軸に対して傾斜した軌道に沿って環状嵌合部32が摺動することになる。規
制部31によって、環状嵌合部32の回転運動は規制され、第1揉み部13、第2揉み部14が揺動運動(マッサージ動作)することになる。
加えて、叩き駆動部29は、揉み駆動機構21の第1回転軸23より前側の位置でこの回転軸と平行するように軸心を左右方向へ向けて設けられた第2回転軸24と、第2回転軸24を回転駆動する第2電動モータ26と、この回転軸の左右両端部に対して180°の位相差で偏心して設けられた左右の偏心駆動体36と、これら左右の偏心駆動体36の周縁に相対回転自在に嵌り込むリング部材37とを有している。このリング部材37からは、環状嵌合部32の下方、すなわち後方に向けてリンクレバー38(長尺のクランク軸)が延びており、このリング部材37の先端には、前述した規制溝部35が形成されている。
【0042】
従って、この叩き駆動部29では、第2電動モータ26を駆動させると、偏心駆動体36が回転軸の軸心に対して偏心回転し、これを受けてリング部材37が偏心駆動体36の周回りを摺動するようになる。それに伴い、このリング部材37からリンクレバー38(長尺のクランク軸)に対して前後方向の押引動作(クランク動作)が伝えられるようになる。この押引動作は、規制溝部35に嵌り込む規制部31を前後させ、ひいては、環状嵌合部32を第1回転軸23回りで往復回動させることとなる。
【0043】
このようなことから、左右の揺動アーム部材12は前後に小刻みに往復動するようになり、叩き動作を発生させることになる。なお、左右の揺動アーム部材12に生じる往復動は、左右の偏心駆動体36が180°の位相差で設けられていることから、交互に生じるようになっている。
一方、振動板5を振動させる振動発生機構6は、以下の構成を有している。
【0044】
図3に示すように、前述した如く、振動板5は、平面視矩形状に形成されており、上部ケーシング8bの開放部45を覆うように配置されている。
この振動板5の下面側には、ゴム等の弾性体からなる円柱状の弾性支持部材が取り付けられ、この弾性支持部材を介して、振動板5は下部ケーシング8aに弾性的に支持されている。これによって、振動板5が下部ケーシング8aに対して、横方向(前後左右及びそれらの間の方向、水平方向)移動自在となる。
【0045】
一方、振動発生機構6は、ケーシング8内の左右方向中央部の後部側に配置されており、振動電動モータ27と、偏心体39とを有する。
振動電動モータ27は、その出力軸が上方を向くように下部ケーシング8aに対して固定されている。また、振動電動モータ27の出力軸には、偏心体39が取り付けられている。この偏心体39の回転作用により、微振動すなわちバイブレーションが発生する。発生したバイブレーションは、振動電動モータ27の出力軸の先端に設けられたベアリング機構40(出力軸とこの出力軸が遊嵌状に嵌り込む円筒体からなる機構、円筒体は振動板5の下面に形成されている)により、振動板5へと伝わる。
【0046】
つまり、振動電動モータ27の出力軸が回転すると、偏心体39の作用により、振動板5が上下軸廻りに偏心回転運動をするように横方向で振動し、振動板5上の様々な突部(第1突起〜第3突起)によって、足Fの裏や他の部位が適度に刺激されてマッサージされるようになっている。
以上のような構造を備えるマッサージ機1の作動態様について説明する。
【0047】
本実施形態のマッサージ機1を使用するに際しては、まず本体部2の左右にある把持部10を持って平らな床面にマッサージ機1を移動させると共に、電源を供給するようにする。
その後、図2(a)に示すように、使用者は、左右一対の揺動アーム部に挟まれた第1マッサージエリアAに右足Fもしくは左の足F(図2(a)では、右足F)を置く。このとき、足Fが第1マッサージエリアAにある左右一対の揺動アーム部材12,に挟まれるようにする。
【0048】
ここで、使用者が操作部7に設けられた揉みマッサージ用のスイッチをオンにすることで、揉みマッサージが開始される。この揉みマッサージは、揉み駆動機構21によって揺動アーム部材12が「うねる」ように揺動することで実現される。この揉みマッサージの
揺動動作は、揉み駆動機構21に備えられた回転ボス部33の回転が、左右一対の揺動アーム部材12の近接離反動作に変換されたものである。
【0049】
また、使用者が、操作部7に設けられた叩きマッサージ用のスイッチをオンにすることで、叩きマッサージが開始される。この叩きマッサージは、叩き駆動機構22によって揺動アーム部材12を前後に往復動させることで実現される。この叩き動作は、叩き駆動機構22に備えられた偏心駆動体36が偏心回転し、それに伴い規制部31に押引動作が行われ、左右の揺動アーム部が小刻みに前後動することで実現される。なお、この揺動アーム部の前後揺動は、使用者の足Fを前後に「さする」ような動作として働くものと考えることもできる。
【0050】
一方、図2(b)に示すように、使用者は、左右一対の揺動アーム部材12の外側の第2マッサージエリアBに両足Fを載置することも可能である。
このとき、使用者は、足Fの外側を第1マッサージ板16に接触させ、足Fの内側(足Fの土踏まず)に第2揉み部14が接するようにする。
この状態において、揉みマッサージ用のスイッチをオンにすることで、揺動アーム部が「うねる」ように動作し、揺動アーム部材12の先端に配備された第2揉み部14が、足Fの内側を押圧するように作用する。この時、足Fの外側は第1マッサージ板16に接触しており、この第1マッサージ板16により足Fの外側が押圧されるようになる。
【0051】
また、使用者が、操作部7に設けられた叩きマッサージ用のスイッチをオンにすることで、足Fの内側に対する叩きマッサージ乃至はさすりマッサージが開始される。この叩きマッサージは、叩き駆動機構22によって揺動アーム部を前後に往復動させることで実現される。
ところで、使用者の足Fのサイズが小さいなどしてマッサージ効果が十分に得られない場合は、第1マッサージ板16に対してキャップ状の調整部材を嵌め込んで、第2揉み部14〜第1マッサージ板16の幅方向の距離を狭めるようにするとよい。
【0052】
上記した如く、第1揉み部13と第2揉み部14とを異なる形状とすることで、第1マッサージエリアAでのマッサージ感と、第2マッサージエリアBでのマッサージ感とが異なるものとなり、使用者の様々なマッサージに対するニーズに対応することが可能となる。
ところで、足Fを第1マッサージエリアA、第2マッサージエリアBのどちらに載置した場合であっても、操作部7に設けられたバイブレーション用のスイッチをオンにすることで、振動板5は左右・前後に振動するようになる。この振動板5の動きは、振動発生機構6に備えられた偏心体39が振動電動モータ27により回転し、発生した偏心回転が振動板5へと伝わることで発現する。
【0053】
振動板5の左右・前後振動は、振動板5に備えられた突起部によって使用者の足Fの裏を適度に刺激するものとなる。第1マッサージエリアAに設けられた第1突起部18、第2マッサージエリアBに設けられた第2突起部19のそれぞれが、足Fに対して指圧作用を奏すると共にバイブレーションを効果的に伝えるものとなる。
さらに、本発明のマッサージ機1は、使用者の足Fをマッサージするだけではなく、様々な人体の部位をマッサージすることができる。
【0054】
例えば、第2マッサージエリアBの後方に垂直固定状に設けられた第2マッサージ板17にアキレス腱を載せ、第2揉み部14を脹ら脛部に接触させた上で、揺動アーム部材12及び振動板5を動作させることで、使用者のアキレス腱〜脹ら脛部をマッサージすることができる。
また、使用者が、床面に仰向けになった状態で頭部を第1マッサージエリアAの後方に載せると共に、第1マッサージエリアA対応するように首筋を配備させると、首筋の施療部にマッサージを行うことも可能である。
【0055】
また、第1マッサージエリアAの後方には、第3突起部20が設けられている。この第3突起部20に対して使用者が座り込み、振動発生機構6を作動させると振動マッサージが行われ、臀部の施療部を施療することも可能である。
以上のように、本実施の形態に係るマッサージ機1によると、使用者の施療部(首部、
肩部、腰部、下肢部等)に対して、マッサージを行うことのでき、特に、足Fを多様な揉み感をもってして良好にマッサージを行うことが可能となる。また、本発明のマッサージ機1はマッサージエリアを複数設けていることで、使用者の施療部に対して様々なマッサージを提供することが可能であり、使用者に対して複数の揉み感を提供することができる。
【0056】
本発明のマッサージ機1に関しては、上記した実施形態以外にも、以下のような変形を加えることができる。
例えば、振動板5にヒータを埋め込み、施術対象である足Fを適度な温度に温めることは非常に好ましい。また、下部ケーシング8aの下面には、使用時に、マッサージ機1の上面を斜め状態とするためのスタンド部材が設けられてもよい。
【0057】
なお、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【符号の説明】
【0058】
1 マッサージ機
2 本体部
3 マッサージ手段
4 駆動機構
5 振動板
6 振動発生機構
7 操作部
8 ケーシング
8a 下部ケーシング
8b 上部ケーシング
9 脚部
10 把持部
11 開口部
12 揺動アーム部材
13 第1揉み部
14 第2揉み部
15 カバー体
16 第1マッサージ板
17 第2マッサージ板
18 第1突起部
19 第2突起部
20 第3突起部
21 揉み駆動機構
22 叩き駆動機構
23 第1回転軸
24 第2回転軸
25 第1電動モータ
26 第2電動モータ
27 振動電動モータ
28 駆動部
29 叩き駆動部
30 変換部
31 規制部
32 環状嵌合部
33 回転ボス部
34 規制突起
35 規制溝部
36 偏心駆動体
37 リング部材
38 リンクレバー
39 偏心体
40 ベアリング機構
41 突状の突起
42 円弧状の突起
43 逆ハの字状に設けられた突起
44 張り出すように形成された突起
45 開放部
A 第1マッサージエリア
B 第2マッサージエリア
F 足

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に載置可能とされた本体部に、施療部を両側から挟み込むようにマッサージする第1マッサージエリアと、施療部を片側から押すようにマッサージする第2マッサージエリアと、が設けられていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記本体部の上面の中央部に前記第1マッサージエリアが設けられ、
前記第1マッサージエリアの幅方向両側で且つ当該第1マッサージエリアに隣接して第2マッサージエリアが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記第1マッサージエリアと第2マッサージエリアとの間には、前記第1マッサージエリア側に向かって揺動することで第1マッサージエリアに位置する施療部に対してマッサージを可能にすると共に、第2マッサージエリア側に向かって揺動することで第2マッサージエリアに位置する施療部へのマッサージを可能にするマッサージ手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記マッサージ手段は、前記第1マッサージエリアと第2マッサージエリアとに向かって交互に揺動する揺動アーム部材と、前記揺動アーム部材の先端部であって、第1マッサージエリアに面する側に設けられた第1揉み部と、前記揺動アーム部材の先端部であって、第2マッサージエリアに面する側に設けられた第2揉み部と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記第1揉み部と第2揉み部とは、前記第1マッサージエリアと第2マッサージエリアとで施療部に対する異なったマッサージ施術が可能なように、互いに異なる形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記第2マッサージエリアには、前記マッサージ手段に対向する位置にマッサージ板が固定状に配備されていて、
前記マッサージ手段は、第2マッサージエリアに位置する施療部をマッサージ板側へ向かって押し付けるように揺動するように構成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記第1マッサージエリア若しくは第2マッサージエリアには、施療部に対する押しマッサージを可能とする突起部が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記第1マッサージエリア及び第2マッサージエリアには、施療部に対する押しマッサージを可能とする突起部が設けられており、
前記第1マッサージエリアの突起部と第2マッサージエリアの突起部とが、同じ形状又は異なる形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記マッサージ板の幅方向の厚み又はマッサージ板の幅方向の位置が、施療部の大きさ乃至は形状に合わせて可変とされていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記本体部の上面がバイブレーション可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記施療部が、使用者の足とされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記本体部の上面であって第1マッサージエリア及び第2マッサージエリア以外の部位に、使用者の足以外をマッサージ可能とするマッサージ部が形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のマッサージ機。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−103004(P2013−103004A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249645(P2011−249645)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(592009214)大東電機工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】