説明

マッサージ機

【課題】施療子自体が温かいマッサージ機を提供すること。
【解決手段】固定軸24に、揉み玉23を通過する磁場を変化させる送電用コイル30を設けた。そして、揉み玉23には、磁場の変化に基づき発熱する熱源部31を備えた。より詳しくは、揉み玉23の熱源部31に、磁場の変化により誘導電流が流れる受電用コイル33と、受電用コイル33から供給される電流が流れるヒーター34を埋め込んだ。送電用コイル30は、交流電流が流されることにより、揉み玉23を通過する磁場を変化させる。これにより、ヒーター34に受電用コイル33からの電流を流させ、熱源部31を発熱させて揉み玉23を温めることができる。そして、この状態で、マッサージ機構を動作させることにより、温めた揉み玉23で所定の施療動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の身体を押圧する施療子を備えるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば背もたれ部に施療子としての揉み玉を有するマッサージ機構を組み込んだ椅子型のマッサージ機は、背中のつぼや経絡に揉み玉を当てて所定の動作をさせ、血行を促進させることで肩や背中の凝りを解消させるものである。これらのマッサージ機は、従来より提案されており、一般家庭・公的施設等にも多く普及している。
【0003】
また、近年のマッサージ機では、マッサージ機構に熱源を収容する熱伝達手段を設けることで揉み玉の押圧動作によるマッサージに加えて温熱療法を行うものが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−62448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このマッサージ機では、揉み玉が取り付けられるケース等を温めてそのケースを押し当てることにより身体を温めるように構成されており、揉み玉の押圧部が直接温かくなるものではなかった。このため、温めた箇所をマッサージするわけではなく、温めた箇所の周りをマッサージすることとなり、温めながらマッサージする際と比較してマッサージ効果が劣っていた。つまり、このマッサージ機では、温かい人間の手でマッサージする際のマッサージ効果と、同等のマッサージ効果を得られるものではなかった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、施療子自体が温かいマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
・本発明のマッサージ機は、施療子を動作させて使用者の身体に押圧力を付与するマッサージ機において、施療子が固定される支持部材には、施療子を通過する磁場を変化させる変化手段を備え、施療子には、磁場の変化に基づき発熱する発熱手段を備え、変化手段は、施療子を通過する磁場を変化させることにより、発熱手段を発熱させて施療子を温めることを特徴とする。
【0008】
・このマッサージ機において、施療子の発熱手段として、導電体により構成される熱源部を有し、変化手段は、施療子を通過する磁場を変化させて熱源部に渦電流を発生させることにより、熱源部を自己発熱させ、施療子を温めることが好ましい。
【0009】
・このマッサージ機において、施療子は、支持部材がその中心に挿入されることにより固定されており、支持部材には、変化手段としての送電側コイルが配置されることが好ましい。
【0010】
・このマッサージ機において、施療子は、支持部材がその中心に挿入されることにより回転可能に固定されており、施療子の発熱手段として、導電体により構成される熱源部は、施療子の内部に配置されており、支持部材には、変化手段としての送電側コイルが配置されることが好ましい。
【0011】
・このマッサージ機において、施療子の発熱手段として、導電体により構成される熱源部を有し、施療子が有する熱源部は、筒状に形成されており、熱源部の中心軸が支持部材と同軸となるように配置されていることが好ましい。
【0012】
・このマッサージ機において、施療子の発熱手段として、導電体により構成される熱源部を有し、熱源部の外周面は、施療子の外周面から均一距離となるように形成されていることが好ましい。
【0013】
・このマッサージ機において、施療子は、導電性の弾性体により形成されていることが好ましい。
・このマッサージ機において、施療子の内部より外部に高い導電性を有するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、施療子自体が温かいマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】マッサージ機の斜視構造を示す斜視図。
【図2】(a)及び(b)は、施療装置の断面構造を模式的に示す断面図。
【図3】(a)及び(b)は、施療装置の断面構造を模式的に示す断面図。
【図4】(a)及び(b)は、施療装置の断面構造を模式的に示す断面図。
【図5】(a)及び(b)は、施療装置の断面構造を模式的に示す断面図。
【図6】(a)及び(b)は、施療装置の断面構造を模式的に示す断面図。
【図7】施療装置の断面構造を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1を参照して、マッサージ機10の全体構成について説明する。なお、マッサージ機10の正面視かつ幅方向を幅方向Xとする。また、背もたれ部13の正面視かつ高さ方向を高さ方向Yとする。
【0017】
図1は、本実施形態のマッサージ機10の概略構成を示す。図1に示すように、マッサージ機10の脚部11は図示しない床面に載置されるとともに、その脚部11の上部には使用者が着座可能な座部12が固定されている。その座部12の後部には、使用者が背中をもたれ掛けさせるための背もたれ部13が傾動可能に設けられるとともに、座部12の前部には使用者の脚を載せることができるオットマン14が傾動可能に設けられている。また、使用者の腕を置くための肘掛け部15が背もたれ部13から座部12の両側前方にかけて設けられている。また、背もたれ部13の側面には使用者によるマッサージ機10の各部を操作可能なコントローラー16が設けられている。
【0018】
背もたれ部13は、背もたれ部本体13aと、この背もたれ部本体13aの前面を覆うカバー部13bとで構成される。背もたれ部本体13aは、前面が開口された硬質樹脂材料からなる図示しない本体ケース内に、背もたれ部13の上下方向に沿って図示しないガイドレールが設けられる。そして、背もたれ部本体13aには、このガイドレールに沿って上下方向に移動可能にマッサージ機構20が組み付けられている。マッサージ機構20には、図示しない各種駆動モータが備えられるとともに、これら各種駆動モータの駆動によってマッサージ機構20の上下動や、このマッサージ機構20に備えられる一対の施療装置21による所定の施療動作が行われるようになっている。なお、施療動作は、使用者による操作が可能なコントローラー16により、操作可能とされる。
【0019】
図2(a)に示すように、一対の施療装置21(1つのみ図示)は、それぞれアーム22と、アーム22に取付けられ、身体をマッサージする施療子としての揉み玉23とを有している。詳しく説明すると、アーム22の先端には、幅方向Xの内側に向かって円柱状の固定軸24が突出するように設けられている。この固定軸24に揉み玉23が回転可能に固定されている。具体的には、固定軸24には、揉み玉23の幅方向外側への移動を規制する第1軸受25と、揉み玉23の幅方向内側への移動を規制する第2軸受26が取り付けられる。そして、固定軸24には、幅方向Xにおいて、外側から順番に第1軸受25、揉み玉23、第2軸受26が配置され、ネジなどにより第2軸受26が固定軸24に固定される。これにより、第1軸受25及び第2軸受26は、揉み玉23が幅方向Xにおいて位置がずれないように揉み玉23を挟持する。すなわち、揉み玉23は、幅方向への移動が規制されると共に、回転可能に固定軸24に固定される。
【0020】
この固定軸24には、送電用コイル30が配置されている。すなわち、送電用コイル30は、揉み玉23の内側に配置されている。この送電用コイル30は、図示しない電源と接続されており、交流電流が流れるようになっている。交流電流は、コントローラー16を操作することにより、送電用コイル30に流れるようになっている。また、揉み玉23は、図2(a)に示すように、円筒形状に形成されている熱源部31と、熱源部31を覆うように円筒形状に形成されている押圧部32により構成されている。
【0021】
熱源部31は、その内径が固定軸24(送電用コイル30)の外径よりも大きく形成されており、樹脂などにより構成されている。この熱源部31には、受電用コイル33及び受電用コイル33に接続されているヒーター34が埋め込まれている。ヒーター34としては、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーターなどが用いられている。受電用コイル33及びヒーター34は、複数組、熱源部31に埋め込まれている。なお、受電用コイル33は、熱源部31において、固定軸24の周りにほぼ均等となるように配置されている。また、固定軸24の径方向において、固定軸24から受電用コイル33までの距離はいずれも同じに設定されている。また、ヒーター34は、熱源部31の外周近辺に配置されている。また、受電用コイル33は、熱源部31において、送電用コイル30に交流電流が流された際、送電用コイル30により変化される磁場(磁束)が通過する位置に配置されている。そして、押圧部32は、その内径が熱源部31の外径よりも大きく形成されており、ゴムなどの弾性体により構成されている。また、熱源部31の外径に密接した状態で固定されており、熱源部31から熱が伝わるように構成されている。
【0022】
次に、揉み玉23の作用について図2(b)に基づき説明する。
コントローラー16を操作することにより電源から送電用コイル30に交流電流が流れる。交流電流が流れると、送電用コイル30を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。すなわち、受電用コイル33を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。これにより、受電用コイル33に電磁誘導により誘導電流が流れ(誘導起電力が生じ)、ヒーター34に電流が流れる(電圧が印可される)。従って、ヒーター34が発熱する。ヒーター34が発熱すると、熱源部31が温まり、それが押圧部32に伝わる。従って、揉み玉23全体が温かくなる。この状態で、コントローラー16を操作することによりマッサージ機構20を操作して、所定の施療動作を行わせると、揉み玉23が温かい状態で、使用者の身体を押圧することができる。
【0023】
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)揉み玉23が固定される支持部材としての固定軸24に、揉み玉23を通過する磁場を変化させる送電用コイル30を設けた。そして、揉み玉23には、磁場の変化に基づき発熱する熱源部31を備えた。より詳しくは、揉み玉23の熱源部31に、磁場の変化により誘導電流が流れる受電用コイル33と、受電用コイル33から供給される電流が流れるヒーター34を埋め込んだ。変化手段としての送電用コイル30は、交流電流が流されることにより、揉み玉23を通過する磁場を変化させ、ヒーター34に受電用コイル33からの電流を流させ、熱源部31を発熱させて揉み玉23を温めた。そして、この状態で、マッサージ機構20を動作させることにより、温めた揉み玉23で所定の施療動作を行わせた。このため、使用者の身体を温めた揉み玉23で押圧(マッサージ)することができる。つまり、施療箇所に対して温めながらマッサージすることができ、マッサージ効果を高めることができる。また、人の手で温めながらマッサージするように感じさせることができ、心地よさを一層増加させることができる。
【0024】
(2)揉み玉23は、固定軸24がその中心に挿入されることにより固定されている。そして、固定軸24に、送電用コイル30を配置した。すなわち、揉み玉23の中心軸に沿って、送電用コイル30を配置した。これにより、揉み玉23全体に、磁力線を均一に通過させることができる。そして、受電用コイル33は、熱源部31において均等に配置されている。これにより、受電用コイル33は、位置に関係なく同等の誘導電流が流れ、ヒーター34に同じ量の電流を流すことができる。すなわち、ヒーター34を同じ温度で発熱させ、揉み玉23を均一的に温めることができる。従って、揉み玉23が接触する場所によって温かさのバラツキを感じることが無く、マッサージ効果を高めることができる。また、心地よさを感じさせることができる。
【0025】
(3)揉み玉23は、固定軸24に対して非接触で電力を供給しており、固定軸24に対して回転可能に固定されている。このため、身体に対して回転させながら、押圧することができ、マッサージ効果を高めることができる。また、揉み玉23は、均一に温められているため、回転させても使用者に温度差による違和感なく、心地よさを感じさせることができる。また、非接触で電力を供給し、揉み玉23の熱源部31が発熱して揉み玉23を直接温めることから、固定軸24を発熱させて、揉み玉23を温めるよりも効率よく温めることができる。
【0026】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を説明する。尚、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0027】
本実施形態の揉み玉101は、図3(a)に示すように、円筒形状に形成されている熱源部102と、熱源部102の外周を覆うように円筒形状に形成されている押圧部103により構成されている。熱源部102は、その内径が送電用コイル30の外径よりも大きく形成されており、鉄などの導電体により構成されている。また、熱源部102は、送電用コイル30に交流電流が流された際、送電用コイル30により変化される磁場(磁束)が通過する位置に配置されている。一方、押圧部103は、その内径が熱源部102の外径と同じとなるように形成されており、ゴムなどの弾性体により構成されている。そして、押圧部103は、熱源部102の外径に密接した状態で接着固定されており、熱源部102から熱が伝わるように構成されている。なお、本実施形態において、押圧部103は、非導電体となっている。
【0028】
次に、揉み玉101の作用について図3(b)に基づき説明する。
コントローラー16を使用者が操作することにより電源から送電用コイル30に交流電流が流れる。交流電流が流れると、図3(b)に示すように、送電用コイル30を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。すなわち、熱源部102を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。これにより、熱源部102の中で、渦電流が発生し、電気抵抗によるジュール熱が発生する。すなわち、金属製の熱源部102が、自己発熱する。熱源部102が発熱すると、それが押圧部103に伝わり、揉み玉101全体が温かくなる。この状態で、コントローラー16を使用者が操作することによりマッサージ機構20に所定の施療動作を行わせると、揉み玉101が温かい状態で、使用者の身体を押圧することができる。
【0029】
以上詳述したように、本実施形態は、第1実施形態の効果(3)に加えて、以下の効果を有する。
(4)揉み玉101の熱源部102は、導電体により構成され、揉み玉101が固定される固定軸24に、揉み玉101を通過する磁場を変化させる送電用コイル30を設けた。送電用コイル30は、交流電流が流されることにより、揉み玉101を通過する磁場を変化させ、導電体である熱源部102に渦電流を発生させ、自己発熱させて揉み玉101を温めた。そして、この状態で、マッサージ機構20を動作させることにより、温めた揉み玉101で所定の施療動作を行わせることとなる。このため、使用者の身体を温めた揉み玉101で押圧(マッサージ)することができる。つまり、施療箇所に対して温めながらマッサージすることができ、マッサージ効果を高めることができる。また、人の手で温めながらマッサージするように感じさせることができ、心地よさを一層増加させることができる。
【0030】
(5)揉み玉101は、固定軸24がその中心に挿入されることにより固定されている。そして、固定軸24に、送電用コイル30を配置した。すなわち、揉み玉101の中心軸に沿って、送電用コイル30を配置した。これにより、揉み玉101全体に、磁力線を均一に通過させることができる。そして、熱源部102は、円筒形状に構成されており、固定軸24の中心軸と一致するように固定軸24に配置されている。これにより、熱源部102は、位置に関係なく同等の渦電流が発生し、同等に温めることができる。すなわち、揉み玉101を均一的に温めることができる。従って、揉み玉101が接触する場所によって温かさのバラツキを感じることが無く、マッサージ効果を高めることができる。また、心地よさを感じさせることができる。
【0031】
(第3実施形態)
以下、本発明を具体化した第3実施形態を説明する。尚、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0032】
本実施形態の揉み玉201は、図4(a)に示すように、円筒形状に形成されている熱源部202と、熱源部202の外周を覆うように円筒形状に形成されている押圧部203により構成されている。熱源部202は、幅方向Xの中央において、外径方向に突出する凸部204が形成されている。熱源部202は、鉄などの導電体により構成されており、送電用コイル30に交流電流が流された際、送電用コイル30により変化される磁場(磁束)が通過する位置に配置されている。一方、押圧部203は、凸部204の外周面204a及び幅方向Xにおける側面204bを覆うように幅方向Xの中央において、凹部205が形成されている。そして、図4(a)において、凸部204の側面204bから押圧部203の外側面203bまでの距離X1と、凸部204の外周面204aから押圧部203の外周面203aまでの距離X2が同じとなるように形成されている。同様に、凸部204の角から、押圧部203の角までの距離X3が、距離X1,X2と同じとなるように形成されている。なお、凸部204の角は、丸みを帯びており、押圧部203も凸部204と同様に丸みを帯びて形成されている。また、押圧部203は、ゴムなどの弾性体により構成されている。
【0033】
次に、揉み玉201の作用について図4(b)に基づき説明する。
コントローラー16を使用者が操作することにより電源から送電用コイル30に交流電流が流れる。交流電流が流れると、図4(b)に示すように、送電用コイル30を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。すなわち、熱源部202を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。これにより、熱源部202の中で、渦電流が発生し、電気抵抗によるジュール熱が発生する。すなわち、金属製の熱源部202が、自己発熱する。熱源部202が発熱すると、それが押圧部203に伝わり、揉み玉201全体が温かくなる。この状態で、コントローラー16を使用者が操作することによりマッサージ機構20に所定の施療動作を行わせると、揉み玉201が温かい状態で、使用者の身体を押圧することができる。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態は、第2実施形態の効果(4)、(5)に加えて、以下の効果を有する。
(6)押圧部203の外周面から熱源部202までの距離は、いずれも同じであるため、押圧部203の外周面を均一に温めることができる。従って、揉み玉201が接触する場所によって温かさのバラツキを感じることが無く、マッサージ効果を高めることができる。また、心地よさを感じさせることができる。
【0035】
(第4実施形態)
以下、本発明を具体化した第4実施形態を説明する。尚、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0036】
本実施形態の揉み玉301は、図5(a)に示すように、円筒形状に形成されている取付部302と、取付部302の外周を覆うように円筒形状に形成されている押圧部303により構成されている。取付部302は、非導電体であり、かつ、非弾性体の樹脂などで形成されている。押圧部303は、その内径が取付部302の外径と同じとなるように形成されており、接着などにより固定されている。そして、押圧部303は、カーボンブラックや鉄粉、銀粉などの導電体が混入されたゴムなどの弾性体により構成されている。つまり、本実施形態において、押圧部303は、導電性を有している。なお、押圧部303の外周面には、弾性体のみで構成されていることが好ましい。そして、押圧部303は、送電用コイル30に交流電流が流された際、送電用コイル30により変化される磁場(磁束)が通過する位置に配置されている。なお、図5(a)では、導電体の粒子を白丸「○」にて模式的に図示している。
【0037】
次に、揉み玉301の作用について図5(b)に基づき説明する。
コントローラー16を使用者が操作することにより電源から送電用コイル30に交流電流が流れる。交流電流が流れると、図5(b)に示すように、送電用コイル30を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。すなわち、押圧部303を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。これにより、押圧部303の中で、すなわち、混入された導電体において渦電流が発生し、電気抵抗によるジュール熱が発生する。すなわち、押圧部303が自己発熱し、揉み玉301全体が温かくなる。この状態で、コントローラー16を使用者が操作することによりマッサージ機構20に所定の施療動作を行わせると、揉み玉301が温かい状態で、使用者の身体を押圧することができる。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態は、第1実施形態の効果(3)に加えて、以下の効果を有する。
(7)揉み玉301の押圧部303は、導電体が混入された弾性体により構成されている。送電用コイル30は、交流電流が流されることにより、揉み玉301を通過する磁場を変化させる。これにより、押圧部303に混入する導電体に渦電流が発生し、自己発熱して揉み玉301が温まる。この状態で、マッサージ機構20を動作させることにより、温めた揉み玉301で所定の施療動作が行われる。このため、使用者の身体を温めた揉み玉301で押圧(マッサージ)することができる。つまり、施療箇所に対して温めながらマッサージすることができ、マッサージ効果を高めることができる。また、人の手で温めながらマッサージするように感じさせることができ、心地よさを一層増加させることができる。
【0039】
(8)揉み玉301の押圧部303に、導電体を均一に混入させることにより、渦電流を押圧部303に均一に発生させることができる。すなわち、温度のムラが無く、均一に揉み玉301を温めることができる。従って、揉み玉301が接触する場所によって温かさのバラツキを感じることが無く、マッサージ効果を高めることができる。また、心地よさを感じさせることができる。
【0040】
(第5実施形態)
以下、本発明を具体化した第5実施形態を説明する。尚、以下に説明する実施形態では、既に説明した第4実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0041】
本実施形態の押圧部403は、図6(a)に示すように、カーボンブラックや鉄粉、銀粉などの導電体が混入されたゴムなどの弾性体により構成されている。押圧部403の外周面近辺においては、押圧部403の内周面と比較して導電体の密度が多くなるように形成されている。具体的には、混入させる導電体の数量を多くすることにより、導電体の密度を多くしている。なお、図7に示すように、外周面近辺の導電体の大きさを内部の導電体よりも大きくすることにより、導電体の密度を多くしても良い。一方、押圧部403の外周面は、弾性体のみで構成されていることが好ましい。
【0042】
次に、押圧部403の作用について図6(b)に基づき、説明する。
コントローラー16を使用者が操作することにより電源から送電用コイル30に交流電流が流れる。交流電流が流れると、図6(b)に示すように、送電用コイル30を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。すなわち、押圧部403を通過する磁束密度が変化する(磁場が変化する)。これにより、押圧部403の中で、すなわち、混入された導電体において渦電流が発生し、電気抵抗によるジュール熱が発生する。その際、導電体の密度は、押圧部403の外周面近辺において、その内周面よりも高くなっているため、押圧部403の外周面を効率的に発熱させることができる。そして、押圧部403が自己発熱し、揉み玉301全体が温かくなった状態で、コントローラー16を使用者が操作することによりマッサージ機構20に所定の施療動作を行わせると、揉み玉301が温かい状態で、使用者の身体を押圧することができる。
【0043】
以上詳述したように、本実施形態は、第4実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(9)押圧部403の外周面近辺においては、押圧部403の内周面と比較して導電体の密度が多くなるように形成されている。このため、押圧部403の外周面をその内部と比較して効率的に温めることができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、椅子型のマッサージ機を採用したが、ベッド型、ハンディ型、着用型のマッサージ機を採用しても良い。
【0045】
・上記実施形態では、揉み玉23,101,201,301は、固定軸24に対して回転可能に固定されていたが、回転できなくても良い。
・上記第1実施形態において、受電用コイル33及びヒーター34を押圧部32に埋め込んでも良い。
【0046】
・上記実施形態において、押圧部32,103,203,303,403は、弾性体でなくても良い。
・上記第1実施形態において、受電用コイル33は、均一に配置されているが、均一に配置されなくても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…マッサージ機、11…脚部、12…座部、13…背もたれ部、14…オットマン、15…肘掛け部、20…マッサージ機構、21…施療装置、22…アーム、23,101,201,301…揉み玉(施療子)、24…固定軸(支持部材)、25…第1軸受、26…第2軸受、30…送電用コイル(変化手段)、33…受電用コイル、34…ヒーター、31,102…熱源部(発熱手段)、32,103,203,303,403…押圧部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療子を動作させて使用者の身体に押圧力を付与するマッサージ機において、
施療子が固定される支持部材には、施療子を通過する磁場を変化させる変化手段を備え、
施療子には、磁場の変化に基づき発熱する発熱手段を備え、
変化手段は、施療子を通過する磁場を変化させることにより、発熱手段を発熱させて施療子を温めることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
施療子の発熱手段として、導電体により構成される熱源部を有し、
変化手段は、施療子を通過する磁場を変化させて熱源部に渦電流を発生させることにより、熱源部を自己発熱させ、施療子を温めることを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機において、
施療子は、支持部材がその中心に挿入されることにより固定されており、
支持部材には、変化手段としての送電側コイルが配置されることを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のマッサージ機において、
施療子は、支持部材がその中心に挿入されることにより回転可能に固定されており、
施療子の発熱手段として、導電体により構成される熱源部は、施療子の内部に配置されており、
支持部材には、変化手段としての送電側コイルが配置されることを特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のマッサージ機において、
施療子の発熱手段として、導電体により構成される熱源部を有し、
施療子が有する熱源部は、筒状に形成されており、熱源部の中心軸が支持部材と同軸となるように配置されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載のマッサージ機において、
施療子の発熱手段として、導電体により構成される熱源部を有し、
熱源部の外周面は、施療子の外周面から均一距離となるように形成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項7】
請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のマッサージ機において、
施療子は、導電性の弾性体により形成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項8】
請求項7に記載のマッサージ機において、
施療子の内部より外部に高い導電性を有するように構成されていることを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−111389(P2013−111389A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262406(P2011−262406)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】