説明

マッサージ機

【課題】使用者に十分なマッサージ効果を与えることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明のマッサージ機1は、施療する部位に対応することができるように水平方向へ延びると共に施療する部位に当接してマッサージを行う施療部5を備えている本体部2と、本体部2の一端側および他端側から本体部2に対して交差するように突出すると共に先端部を使用者が把持可能とされている突出部3と、を有していて、施療部5が、施療する部位を向く軸心に対して偏心回転する揉み玉6を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の首肩部に対して、マッサージを行うマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型のマッサージ機として使用者の首部に巻き付け可能なU字形の形状をしたものがある。例えば、特許文献1には、「適宜のマッサージ機能を有するマッサージ体を略U字形状に形成し、このマッサージ体は、首部の後方周囲に当接する中央マッサージ部と両肩部に当接する両側マッサージ部と、両肩部の前方側にならうように湾曲した両先端部より成り、このマッサージ体を前方を開口側に首肩部位に位置させて首肩部周囲をマッサージするようにした」マッサージ機が開示されている。
【0003】
この開示されているマッサージ機は、使用者の首肩部位にマッサージ機を架けることにより、使用者の姿勢を問わずに使用可能なマッサージ機である。このマッサージ機には、電動モータの振動を利用して使用者の患部を施療する装置が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−000685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のマッサージ機は、電動モータの振動を利用した装置である。しかしながら、電動モータが含まれるマッサージ部が、任意の位置に配置されており、配置された電動モータによる振動は、マッサージ部が使用者の施療したい部位(患部)に効果的にマッサージをすることができない場合があると思われる。また、電動モータによる振動だけでは、使用者の患部に対しての揉み方が単純なものになってしまう。このようなマッサージ機の動きだけでは、使用者の患部は十分なマッサージ効果が得ることができない虞がある。
【0006】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、マッサージ機の施療部に回転する揉み玉を採用して、使用者に十分なマッサージ効果を与えることができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
すなわち、本発明に係るマッサージ機は、施療する部位に対応することができるように水平方向へ延びると共に施療する部位に当接してマッサージを行う施療部を備えている本体部と、前記本体部の一端側および他端側から本体部に対して交差するように突出すると共に先端部を使用者が把持可能とされている突出部と、を有していて、前記施療部が、施療する部位を向く軸心に対して偏心回転する揉み玉を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、前記揉み玉は、回転方向を切り替えることが可能であることが好ましい。
また、前記揉み玉の内部には、施療する部位を暖めることが可能な発熱手段が備えられていることが好ましい。
また、前記突出部は、前記本体部と前記突出部が接続されている基端部を有していて、前記基端部の下面側には、施療する部位を振動にてマッサージすることが可能な振動手段を備えていることが好ましい。
【0009】
また、前記本体部は、施療する部位に前記本体部を固定する施療固定部が設けられていて、前記施療固定部は、前記本体部の中央部から下方に向けて膨らむように突出されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るマッサージ機によれば、使用者の施療する部位に高いマッサージ効果が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のマッサージ機の斜視図である。
【図2】マッサージ機の正面図である。
【図3】マッサージ機の底面図である。
【図4】マッサージ機の施療部の前側ハウジングを外した施療部の内部を示す正面図である。
【図5】マッサージ機の施療部の内部を示す断面左側面図である。
【図6】マッサージ機の使用形態図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のマッサージ機を図面に基づいて説明する。
図6に示すように、本発明のマッサージ機1は、使用者Uが肩にかけて装着することができる携行型のマッサージ機1である。
以降の説明では、前後方向・上下方向・水平方向の表現を用いてマッサージ機1の説明をする。マッサージ機1は、詳細は後述するが、図6のように装着するものであり、このマッサージ機1を装着した使用者Uから見た前後方向、上下方向を、マッサージ機1を説明する際の前後方向、上下方向とする。水平方向は、使用者Uの左右の肩部に平行な方向とする。
【0013】
図1〜図3に示すように、マッサージ機1の形状は、本体部2と左右の突出部3から形成されて、U字形状になっている。本体部2は、水平方向に延びるように形成されている。この本体部2の下部側には、使用者Uの首肩部にマッサージ機1がフィットするように垂下状に設けられた施療固定部4がある。施療固定部4には、施療部5が収められている。
【0014】
突出部3は、本体部2の一端側および他端側の両側から本体部2に対して直交するように(交差するように)前方向に突出している。本体部2と突出部3は、一体成形されてマッサージ機1の全体を形成している。
施療部5は、施療固定部4に形成された開口部に埋め込まれていて、使用者Uの患部を施療する揉み玉6を備えている。この揉み玉6は、その外観が山形状で施療部5の本体から前方向に突出するように設けられている。揉み玉6は、偏心回転して使用者Uの患部を施療する。
【0015】
マッサージ機1の全体には、布製のカバーが全体を覆うように被せられて、ファスナーで閉じられている。
図1〜図3に示すように、本体部2は、使用者Uの肩部に沿いながら、水平方向に延びており、使用者Uの首部から背中上部を覆うように、上下方向に形成されている。マッサージ機1は、前述の形状により、使用者Uの首周りを巻くような形状をしている。本体部2は、使用者Uの首肩部に負担が掛からないように、弾力性のある軟質のクッション材が使用されている。例えば、発泡ウレタンなどのスポンジ体が挙げられる。この本体部2の両側には、前方向に突出している突出部3が形成されている。この本体部2の中央下方側には、施療固定部4が形成されている。
【0016】
突出部3は、本体部2の一端側と他端側の両側から前方に突出していて、突出部3の先端に行くに連れて細くなる形状をしている。突出部3の先端部には、マッサージ機1の施療部5を、使用者Uの首肩部に押し付けるための把持可能手段8が設けられている。この把持可能手段8は、突出部3の先端の下面側に設けられていて、使用者Uが手で握られる形状である。使用者Uが、両手で突出部3の両側にある把持可能手段8を握って、マッサージ機1を使用者Uの下方に引くことで、マッサージ機1の施療部5を使用者Uの首肩部にフィットさせることができる。また、突出部3と使用者Uの両肩部に対応した位置に、振動手段9が設けられている。突出部3も本体部2と同じように軟質のクッション材が使用されている。
【0017】
突出部3の一端側(先端側)には、施療部5のマッサージ機能を選択できる操作スイッチ7が設置されている。また、マッサージ機1には、図示していない外部電源から電力の供給を受けるための電源コードが備えられている。
施療固定部4は、本体部2の中央部から下方向に向けて膨らむように突出していて、使用者Uの背中上部を覆うように形成されている。この施療固定部4には、施療部5が収まる開口部が形成されている。この開口部は、本体部2の前方向に向かって開放されるよう
に開口されていて、施療部5のハウジング11全体が、収まるような形状で形成されている。
【0018】
施療部5は、マッサージ機1の駆動部10を収めるハウジング11があり、このハウジング11は、前側ハウジングと後側ハウジングに分割されている。図4は、前側ハウジングを取り外した状態で示してあり、図5は、施療部5の駆動状態の断面左側面図を示している。
施療部5には、ハウジング11内部に駆動部10と制御部12が配置されていて、前側ハウジングには揉み玉6と揉み玉6を回転させる基部24が備えられている。
【0019】
揉み玉6は、ハウジング11(前側ハウジング)に対して直交するように前方向に突出して形成している。揉み玉6の形状は、外観が山形状であり、揉み玉6の頂部はアールをつけて形成している。また、揉み玉6の頂部は、駆動部10の回転軸20に対して偏心回転するようになっている。また、一対の揉み玉6は、互いに異方向に回転するようになっていて、回転方向の切り替えが可能である。揉み玉の回転方向を切り替えるために、制御部12が反転信号を出力して、駆動部10にある電動モータ13の駆動を反転(逆転)させることで、揉み玉6の回転方向が切り替わる。
【0020】
施療部5の駆動部10は、揉み玉6を回転させている。この駆動部10は、電動モータ13・ウォームギア14・第1ギア15・第2ギア16で構成されている。この駆動部10と駆動部10を制御する制御部12は、ハウジング11の内部に収められている。電動モータ13は、ハウジング11の中央部に備えられていて、揉み玉6の回転軸に対して、電動モータ13の駆動軸が直交するように(交差するように)、配置されている。電動モータ13の駆動軸には、ウォームギア14が取り付けられていて、噛み合った第1ギアに動力を伝達している。この第1ギア15は、第1ギア15の回転軸19を中心に回転して次の第2ギア16へと動力を伝達している。第2ギア16の回転軸20には、揉み玉6が連結されていて、第2ギア16が回転すると共に揉み玉6も同方向に回転する。
【0021】
第1ギア15及び第2ギア16は、電動モータ13の駆動軸を中心線として左右対称に配置されて、ウォームギア14によって、電動モータ13の駆動を左右に振り分けて一対の揉み玉6を異方向に回転させている。また、制御部12は、動作信号及び回転信号などの制御信号を出力して、この制御信号で駆動部10を駆動させている。
制御部12は、使用者Uが希望したマッサージのプログラムに応じた制御信号を送信して、各マッサージ機構を稼働させる。前述した突出部にある操作スイッチ7は、マッサージのプログラムを選択することが可能である。制御部12は、操作スイッチに応じて、マッサージに関する始動信号及び停止信号や、回転に関する反転信号を出力して、駆動部10の電動モータ13を駆動させている。また、制御部12は、発熱手段17や振動手段9に関する制御信号も出力して、発熱手段17及び振動手段9を稼働させている。
【0022】
発熱手段17は、揉み玉6の内部に設けられている。発熱手段17には、発熱体18が備えられている。この発熱体18が発熱することによって、使用者Uの患部を温熱施療することが可能となる。使用者Uが温熱施療することを選択すると、制御部12は、発熱信号を出力して、発熱手段17にある発熱体18を発熱させる。
発熱体18の内部には、発熱用のニクロム線と点灯用のLEDが内蔵されている。このLEDはニクロム線の発熱と同時に点灯するため、使用者Uは、揉み玉6が透過性乃至は半透過性を有していることにより、LEDの発光状態を確認することができて、発熱手段17の動作(発熱状態)の状態を把握することができる。
【0023】
図3に示すように、振動手段9は、突出部3と使用者Uの両肩部に対応した位置に備えられている。この振動手段9が振動することによって、使用者Uの両肩の患部を振動施療することが可能となる。使用者Uが振動施療することを選択すると、制御部12は、振動信号を出力して、振動手段9にある小型電動モータ21を駆動させる。
振動手段9は、内部に小型電動モータ21が内蔵されていて、樹脂などでできたケースで形成されている。この小型電動モータ21の回転軸22には、偏心ウエイト23が取り付けられている。この偏心ウエイト23は、小型電動モータ21が回転すると共に回転して、振動手段9の振動を発生させている。
【0024】
また、振動手段9は、振動の間隔を変更することが可能である。例えば、単純で連続的な振動の速度を変更する方法がある。制御部12は、振動間隔を切り替える制御信号を出力することにより、振動手段9に内蔵されている小型電動モータ21の回転数を変更することができる。このような方法で、振動の間隔(振動の強弱)を変更することが可能である。
【0025】
次に、上述のマッサージ機1の使用方法について、説明する。
まず、マッサージ機1を装着する前に、図示していない外部電源とマッサージ機1の電源コードを繋いでおく。外部電源からマッサージ機1に電流が供給されることによって、マッサージが行われる。
図6に示すように、マッサージ機1を装着する際には、使用者Uは、両側の突出部3の先端部を両手で持ちながら左右外側に広げる。さらに、使用者Uは、マッサージ機1を使用者Uの頭上に持ち上げて、使用者Uの首肩部の後方から首部に架けるように背負う。このように装着することで、マッサージ機1全体が首肩部周りに巻くように覆われる。
【0026】
そして、本体部2に備えている施療部5が、使用者Uの首肩部に当接して、突出部3にある振動手段9が、使用者Uの肩部と対応するような位置に配備される。使用者Uが、突出部3の先端部にある把持可能手段8を両手で握って使用者Uの下方に引くことで、施療部5が押し付けられて、使用者Uの首肩部とマッサージ機1がフィットした状態になり、保持することができる。
【0027】
まず、使用者Uがマッサージを始めるには、電源が入っていることを確認する。使用者Uは、突出部3に設けられている操作スイッチ7にある希望する施療手段を選択することにより、マッサージを行うことが可能となる。
はじめに、使用者Uが、揉み玉6を利用したマッサージを選択した場合には、操作スイッチ7にある回転施療を選択することにより、制御部12は、回転施療に関する始動信号及び停止信号を出力して、施療部5が揉み玉6を回転させて使用者Uの患部を施療する。本発明のマッサージ機1は、揉み玉6の回転方向を切り替えることも可能である。揉み玉6の回転方向を切り替えるには、使用者Uが操作スイッチ7にある揉み玉6の回転方向を切り替える手段を選択することにより、制御部12が揉み玉6の回転方向を切り替える信号を出力して、揉み玉6の回転方向を切り替えることが可能である。
【0028】
この揉み玉6の内部には、発熱手段17が設けられており、揉み玉6を発熱させて温熱施療をすることも可能である。揉み玉6の発熱手段17を発熱させるには、操作スイッチ7にある温熱施療を選択することにより、制御部12が揉み玉6にある発熱手段17に発熱信号を出力して、発熱手段17にある発熱体18を発熱させると共に発熱体18に内蔵されたLEDが点灯する。このLEDが点灯することにより、発熱体18の動作状態を確認することができる。これにより、本発明のマッサージ機1は、使用者Uの首肩部に十分なマッサージ効果を提供することができる。
【0029】
次に、振動手段9を利用したマッサージを選択した場合には、操作スイッチ7にある振動施療を選択することにより、制御部12が振動手段9に振動信号を出力して、小型電動モータ21を駆動させて、振動手段9を振動させている。この振動手段9は、予め単純な連続的振動や規則性のない振動などのマッサージのプログラムを制御部12に設定しておくと、設定されたプログラムに沿ったマッサージが可能である。使用者Uの肩部には、振動手段9が振動することで十分なマッサージ効果を提供することが可能である。
【0030】
マッサージ機1のマッサージを終了させるには、使用者Uが操作スイッチにあるマッサージ動作停止を選択することにより、制御部12がマッサージ動作停止信号を施療部5及び振動手段9に出力して、マッサージ機1の動作が停止して、マッサージが終了する。
本発明のマッサージ機1は、使用者Uが把持可能手段8を握ることで、マッサージ機1と使用者Uの首肩部をフィットさせることが可能である。また、使用者Uが両手で把持可能手段8を握らなくてもマッサージは可能であり、マッサージ中に使用者Uの両手が自由に使えるようになるため、読書や事務作業などの別の作業をすることが可能である。
【0031】
本発明のマッサージ機1は、使用者Uの首肩部だけに限定されるものでは無く、使用者Uの腰部及び脚部などにも使用が可能である。また、マッサージ機1本体の形状は、使用
者Uの首肩部に沿うような形状であれば、種々の変更可能である。
なお、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【符号の説明】
【0032】
1 マッサージ機
2 本体部
3 突出部
4 施療固定部
5 施療部
6 揉み玉
7 操作スイッチ
8 把持可能手段
9 振動手段
10 駆動部
11 ハウジング
12 制御部
13 電動モータ
14 ウォームギア
15 第1ギア
16 第2ギア
17 発熱手段
18 発熱体
19 第1ギアの回転軸
20 第2ギアの回転軸
21 小型電動モータ
22 小型電動モータの回転軸
23 偏心ウエイト
24 基部
U 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療する部位に対応することができるように水平方向へ延びると共に施療する部位に当接してマッサージを行う施療部を備えている本体部と、前記本体部の一端側および他端側から本体部に対して交差するように突出すると共に先端部を使用者が把持可能とされている突出部と、を有していて、前記施療部が、施療する部位を向く軸心に対して偏心回転する揉み玉を備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記揉み玉は、回転方向を切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記揉み玉の内部には、施療する部位を暖めることが可能な発熱手段が備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記突出部は、前記本体部と前記突出部が接続されている基端部を有していて、
前記基端部の下面側には、施療する部位を振動にてマッサージすることが可能な振動手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記本体部は、施療する部位に前記本体部を固定する施療固定部が設けられていて、
前記施療固定部は、前記本体部の中央部から下方に向けて膨らむように突出されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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