説明

マッサージ機

【課題】施療部位に適したマッサージ強さを一括で調整できるマッサージ機を提供することを目的とする。
【解決手段】
被施療者に複数のマッサージ動作を行なうマッサージ機1の操作機7には、マッサージ動作の入/切及び出力を個別に操作する個別操作部74と、各マッサージ動作の複数のパラメータを一括して変更する一括操作部75が設けてあり、各マッサージ動作の複数のパラメータの強弱を一括で操作することで、マッサージ動作のパラメータ設定のわずらわしさを解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者にマッサージを行うマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マッサージ機のマッサージ強さを一括で変更するボタンを備えるマッサージ機が提案されている。(特開2010−172598、以下、特許文献1)特許文献1のマッサージ機は、施療子の人体側への突出量を変化させて人体に対するマッサージ動作を行うとともにマッサージの強さを可変としている。また、マッサージの強さの調整用の操作部を少なくとも二つ備えるとともに、各操作部によって個別に設定される強さ設定の組み合わせに応じて施療子の動作を制御する制御部を備えていることが記載されている。なお、組合せられているマッサージの強さは、粗調整用の操作部51と微調整用の操作部52を操作して、施療子の前後位置方向を変えることで行われる。粗調整用の操作部51を強さ3(7mm)とし、微調整用の操作部52を強さ2(2mm)とした場合、施療子が前方側への調整距離が9mmとなる。このように、各操作部によって個別に設定されるマッサージの強さ設定の組合せに応じて施療子の動作を制御する方法が提案されている。
【0003】
このマッサージの強さの調整は、一方のマッサージ強さ調整用の操作部で調整したパラメータと他方のマッサージ強さ調整用の操作部で調整したパラメータとが、同じ種類のパラメータである。このような、同じ種類のパラメータの設定を組合せるものでは、施療部位によって、体感の良い部分と悪い部分が生じてしまう。例えば、腰部分に対して、強い施療を行いたい場合、腰部はアール形状となっているため、施療子の突出量を変更して施療を行なうほうが体感の良い施療となるが、首部分に対して、強い施療を行いたい場合、施療子を突出させると、首と共に頭が浮いてしまい、施療が安定しにくく、結果的に良い体感を与えることができない。このように、部位によっては、同じ種類のパラメータを組合せることがよくない場合がある。
また、異なる種類のパラメータを組合せて、良い体感のマッサージを行おうとした場合、部位によって、どの種類のマッサージ動作のパラメータを組合せればよいのか、わかりにくい上に、複数のボタンから選択するため操作回数が多く非常にわずらわしい。
【0004】
また、特開平11−197206(以下、特許文献2)には、自動コース中の施療動作全体についての強弱度を下げる方向にシフトさせるスイッチ備える点、自動コース中の施療動作全体についての強弱度を上げる方向にシフトさせるスイッチ備える点、が開示されている。また、コース中の施療動作全体とあり、様々な動作の強弱度を変更しているが、その強弱度の調整は、出代量のパラメータを変更することでおこなわれる。このような出代量のパラメータを変更するのみでは、施療部位によっては、施療感が強い部分と弱い部分がでてきてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010―172598号公報
【特許文献2】特開平11−197206号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであって、施療部位に適したマッサージ強さを一括で調整できるマッサージ機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
被施療者に複数のマッサージ動作を行なうマッサージ機において、前記マッサージ動作は複数のパラメータを有しており、前記マッサージ動作のパラメータを一括して操作する一括操作手段を有することを特徴とする。
一括してマッサージ動作のパラメータを操作する一括操作手段を設けることで、複数の操作部を操作しないでよくなるため、操作のわずらわしさを解消できる。また、一括操作手段により、マッサージ動作が有する複数種のパラメータを一括して調整するため、例えば首部分と腰部分のように異なる施療部位であっても同じように、マッサージ強さを体感として、パラメータ調整前に比べて強く、あるいは弱く感じさせることができる。
【0008】
前記複数のパラメータの内一のパラメータを個別に操作する個別操作手段と、前記一のパラメータとは異なる他のパラメータを含む複数種のパラメータを一括して操作する一括操作手段を有することを特徴とする。
マッサージ動作には、複数のパラメータがあり、個別操作手段により一のパラメータを調整することで、一のパラメータのみを変化させてマッサージ動作の強さを変更することができ、一括操作手段により他のパラメータも調整することで、複数種のパラメータを変化させてマッサージ動作の強さを変更することもできる。また、一括して複数種のパラメータを操作できる一括操作手段を設けることで、わずらわしさを解消できる。
【0009】
前記複数のパラメータを有する一のマッサージ動作のパラメータと、前記一のマッサージ動作と異なる動作態様である他のマッサージ動作のパラメータを一括して操作する一括操作手段を有していることを特徴とする。
一のマッサージ動作のパラメータと他のマッサージ動作のパラメータを夫々調整することにより、体感の良いマッサージを行うことができ、一括して複数のマッサージ動作を操作できる一括操作手段を設けることで、わずらわしさを解消できる。
【0010】
前記一括操作手段は、前記個別操作手段により操作される前記一のパラメータと異なる前記他のパラメータと、前記他のマッサージ動作のパラメータと、を、一括して操作することを特徴とする。このような一括操作手段を設けることで、わずらわしさを解消できる。
【0011】
前記マッサージ機は、少なくとも背凭れ部と座部を有し、前記背凭れ部内に昇降自在に設けられた施療機構を有し、前記施療機構は、少なくとも施療子と、施療子を前後動させる進退駆動部と、を有しており、前記一のマッサージ動作は、施療子を前後動させる動作であって、
前記一のパラメータとしての前記進退駆動部の突出量のパラメータを調整する個別操作手段と前記他のパラメータとしての突出する時間のパラメータ、突出する速度のパラメータ、及び突出回数のパラメータのうち少なくとも1つを一括して操作する一括操作手段を有することを特徴とする。
このような構成とすることで、突出量のパラメータを変化させてマッサージ動作の強さを変更することができる。また、複数の操作部を操作しなくても、突出量とは異なるパラメータも一括して変化させることでマッサージ動作の強さを変更することが可能なため、使用者がわずらわしく思うこともない。
【0012】
前記他のマッサージ動作は、被施療者の姿勢を変更する動作であって、前記一括操作手段によって、前記マッサージ機の姿勢変更に係わるパラメータを変化させることを特徴とする。
このような構成とすることで複数種のパラメータを変化させてマッサージ動作の強さを変更することもできる。また、一括して複数種のパラメータを操作できる一括操作手段を設けることで、わずらわしさを解消できる。
【0013】
前記他のマッサージ動作は、エアセルにエアを給排気することで被施療者にマッサージを行うエア式マッサージ動作であって、前記一括操作手段によって、エアセルへのエアの給配時間のパラメータ、エアセルの膨張量のパラメータ、エアセルの膨張速度のパラメータ、及びエアセルの膨張回数のパラメータの内いずれか2つ以上を変更するものであることを特徴とする。
このような構成とすることで、複数種のパラメータを変化させてマッサージ動作の強さを変更することもできる。また、一括して複数種のパラメータを操作できる一括操作手段を設けることで、わずらわしさを解消できる。
【0014】
前記一括操作手段は、被施療者の施療部位に応じて、各マッサージ動作の複数のパラメータを一括調整することを特徴とする。
各部位ごとに調整することで、施療部位に適したパラメータの調整が可能であり、マッサージ強さを体感として、パラメータ調整前に比べて強く、あるいは弱く感じさせることができる。また、一括調整が可能なため、使用者がわずらわしく思うこともない。
【0015】
前記一括操作手段は、前記他のパラメータとしての前記施療機構が有する左右で対をなす施療子の移動速度のパラメータを一括して操作するものであって、前記施療子の略円状の移動軌跡のうちの少なくとも一部分で移動速度を変更することを特徴とする。
このような構成とすることで、マッサージ動作の強さを変更することもできる。また、一括調整が可能なため、使用者がわずらわしく思うこともない。
【0016】
前記一括操作手段は、前記左右対の施療子が近接する際の移動速度を、前記一括操作手段を操作する前よりも低速に変更することを特徴とする。
このような構成とすることで、マッサージ動作の強さを変更することもできる。具体的には、対の施療子が近接している状態の時間が長くなるため、し、被施療部に体感として強い体感のマッサージを行うことができる。また、一括調整が可能なため、使用者がわずらわしく思うこともない。
【発明の効果】
【0017】
複数のマッサージ動作のパラメータの強弱を一括で操作することで、マッサージ動作のパラメータ設定のわずらわしさを解消する。また、一括操作部により、複数種のパラメータを変化させてマッサージ動作の強さを変更することができるため、被施療部に体感のよいマッサージを行うマッサージ機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る施療機構が最後位置と最前位置にある状態の図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機のリクライニングを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機のブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作機の図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作機で、施療機構の突出動作の個別操作部と一括操作部を操作したときの図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作機で、エアセルの膨張収縮動作の個別操作部と一括操作部を操作したときの図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作機で、背凭れ部の角度変更についての個別操作部と一括操作部を操作したときの図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作機で、フットレストの角度変更についての個別操作部と一括操作部を操作したときの図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作機で、施療機構の揉み動作の個別操作部と一括操作部を操作したときの図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作機で、施療機構の叩き動作の個別操作部と一括操作部を操作したときの図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の操作機で、複数のマッサージ動作のパラメータを一括操作する前と一括操作した後の図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機が「首」対して、施療を行っているときに一括操作部を操作したときのパラメータを示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機が「肩」対して、施療を行っているときのパラメータを示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機が「肩」対して、施療を行っているときに一括操作部を操作したときのパラメータを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機が「腰」対して、施療を行っているときのパラメータを示す図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機が「腰」対して、施療を行っているときに一括操作部を操作したときのパラメータを示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機が、前屈ストレッチ施療を行っているときのパラメータを示す図である。
【図20】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機が、前屈ストレッチ施療を行っているときに一括操作部を操作したときのパラメータを示す図である。
【図21】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機が、身体反らしストレッチ施療を行っているときのパラメータを示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機が、身体反らしストレッチ施療を行っているときに一括操作部を操作したときのパラメータを示す図である。
【図23】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の上側の施療子の動作を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の施療子の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るマッサージ機1について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1,図2は本発明の実施の形態に係るマッサージ機1の全体構成を示す図である。
このマッサージ機1は、使用者を着座させる座部2と、座部2の前側に設けられ使用者の脚を載せるフットレスト3と、使用者が凭れる背凭れ部4とを備えたマッサージ機1である。本明細書において、座部2に着座した使用者が正面を向いて、その前方が「前」であり、後方が「後」であり、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭側が「上」であり、腰側が「下」であり、その他の場合は適宜説明するものとする。また、マッサージ機1の座部2とフットレスト3が接している面が床面Fである。
【0020】
[背凭れ部の構成]
図1及び図2において、背凭れ部4には、マッサージ具として、詳細は後述する中央の施療機構5が設けられている。施療機構5は、背凭れ部4内を昇降動作及び前後動作するように構成されており、また、揉み玉からなる施療子51、施療子51を取り付けているアーム部52が揺動することによって、施療子51に揉みや叩き等のマッサージ動作を実行させる。施療機構5の昇降動作、前後動作、及びマッサージ動作は、後述する施療機構5内に設けられた昇降用モータM1、後述する進退駆動部53、後述する揉み用モータM2、及び後述する叩き用モータM3を駆動することによって行われる。また、背凭れ部4には、エアセルよりなる左右の腰押圧部42L,42Rが左右両側に設けられている。この押圧部42L,42Rは、後述する給排気装置22から空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。
背凭れ部4の左右両側部には、前方へ突出している突出壁43L,43Rが設けられている。突出壁43L,43Rは被施療者の肩又は上腕側面に対向する位置に設けられている。この突出壁43L,43Rの被施療者側(左右方向の内側)に、前記上腕押圧部44L,44Rが設けられている。この押圧部44L,44Rは、後述する給排気装置22から空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。上腕押圧部44L,44Rの膨張方向は、被施療者を左右両側から挟む方向で、かつ、被施療者の肩又は上腕を前方から後方へ押し付ける方向である。
施療機構5の昇降動作及び前後動作、施療子51のマッサージ動作、並びに腰押圧部42L,42R及び上腕押圧部44L,44Rの動作は、後述する制御部6からの指示に基づいて行われる。
腰押圧部42L,42Rの膨張方向は、背凭れ部4の左右中央側が固定端であり背凭れ部4の左右外側が自由端となるように構成されているため、被施療者の腰部乃至背中部の側部を左右両側から挟む方向である。
【0021】
[座部の構成]
図1及び図2において、座部2には、マッサージ具として、エアセルよりなる左右の座押圧部21L,21Rが左右両側に設けられている。この座押圧部21L,21Rは、後述する給排気装置22から空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。座押圧部21L,21Rの膨張方向は、被施療者の臀部乃至大腿部の側部を左右両側から挟む方向である。
【0022】
座部2の下方にエアポンプ及び給排気用の弁体等(図示せず)を有する給排気装置22が設けられている。エアポンプからの空気の供給は、エアセルで施療を行う間、常に供給されており、給排気用の弁体を制御することで、エアセルの膨張や収縮を制御している。前記弁体は、エアセルとエアポンプを連通させる給気状態と、エアセルとエアポンプの連通を解除してエアセル内の空気を大気へ放出させる排気状態とを切換える。
【0023】
[フットレストの記載]
図1及び図2において、フットレスト3には、マッサージ具として、エアセルよりなる左の脚押圧部31L,31R及び右の脚押圧部32L,32Rと、エアセルよりなる左の足裏押圧部33L及び右の足裏押圧部33Rが設けられている。左の脚押圧部31L,31Rは、相互が対向し、右の脚押圧部32L,32Rは、相互が対向している。この押圧部31L,31R,32L,32Rは、給排気装置22から空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。脚押圧部31L,31R及び脚押圧部32L,32Rそれぞれの膨張方向は、被施療者の脚(脹脛乃至足首)を左右両側から挟む方向であり、足裏押圧部33L及び足裏押圧部33Rそれぞれの膨張方向は、被施療者の足裏を下方から上方へ押上げる方向である。座押圧部21L,21R、脚押圧部31L,31R,32L,32R及び足裏押圧部33L,33Rの動作は、後述する制御部6からの指示に基づいて行われる。
【0024】
[リクライニング機構の構成]
図4に示すように、背凭れ部4は、座部2に対して、左右水平軸心回りに回動可能であり、座部2と背凭れ部4との間に設けられた背凭れ部用アクチュエータ45(図5参照)によって、その上部が前後にリクライニング動作可能となっている。背凭れ部4は、座部2に対して、左右水平軸心回りに回動可能であって、床面Fに向かう方向と床面Fから離れる方向に回動する。フットレスト3は、座部2に対して、左右水平軸心回りに回動可能であり、座部2とフットレスト3との間に設けられたフットレスト用アクチュエータ37(図5参照)によって、床面Fに向かう方向と床面Fから離れる方向に回動する。背凭れ部用アクチュエータ45とフットレスト用アクチュエータ37は、伸縮動作する直動式アクチュエータであり、駆動部62a,62bを介して後述する制御部6からの指示に基づいて駆動される。
【0025】
背凭れ部用アクチュエータ45の近傍には、背凭れ部4の座部2に対する角度を検出する背凭れ部用角度検出センサ46が設けられている。背凭れ部用の角度検出センサ46は、前屈ストレッチ位置と、身体反らし位置を検出する背凭れ部用リミットセンサ47が設けられている(図5参照)。
フットレスト用アクチュエータ37の近傍には、フットレスト3の座部2に対する角度を検出する角度検出センサ35が設けられている。フットレスト用の角度検出センサ35は、前屈ストレッチ位置と、身体反らし位置を検出するフットレスト用リミットセンサ36設けられている(図5参照)。この背凭れ部用リミットセンサ47、及びフットレスト用リミットセンサ36による検出結果は制御部6に与えられる。
【0026】
[施療機構の構成]
図3は、本発明の実施の形態に係る施療機構5が最後位置と最前位置にある状態の図である。図3(a)は本発明の実施の形態に係る施療機構5が最後位置まで後退している状態の側面図である。図3(b)は、本発明の実施の形態に係る施療機構5が最前位置にある状態の側面図である。施療機構5は、背凭れ部4内に設けられたネジ棒(図示せず)に沿って、昇降動作可能に設けられている移動機枠54と、この移動機枠54に対して前後動作可能に設けられている移動ユニット55とで構成されている。移動ユニット55は、その上部が移動機枠54の支軸に枢支された固定端55Aとされ下部が自由端55Bとされているため、上部を支点として支軸回りに下部が移動機枠54に対して、最後位置(図3aの状態)から最前位置(図3bの状態)の間を前後に揺動するよう構成されている。
【0027】
移動ユニット55には、「揉み」や「叩き」を行うための揉み用モータM2及び叩き用モータM3(図5参照)が設けられており、支持アーム52を介して、施療子51に「揉み」や「叩き」を行わせる。
【0028】
また、移動機枠54と移動ユニット55の間にはエアセルよりなる進退駆動部53が介在して設けられている。この進退駆動部53は、給排気装置22から空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。この進退駆動部53の膨張方向は、被施療者の背中を前方へ押す方向である。進退駆動部53の膨張収縮により、移動ユニット55は移動機枠54に対して、上部を支点として下部が最後位置(図3aの状態)から最前位置(図3bの状態)の間を前後方向に揺動するように前後動作する。また、本発明の実施の形態の施療機構5は、制御部6が給排気装置22の駆動部を制御して進退駆動部53の膨張度を適宜調節することにより、移動機枠54に対して移動ユニット55を任意の前後位置で保持することができるよう構成されている。
【0029】
また、移動機枠54はネジ棒に沿って上下方向に昇降動作する。図5に示すとおり、昇降用モータM1の近傍には、モータの回転数を検出し施療機構5の上下位置を検出する昇降位置検出センサ56が設けられている。また、ネジ棒には施療機構5の上下方向における可動範囲の上限位置と下限位置を検出する上限リミットセンサ57と下限リミットセンサ58が設けられている。これら昇降位置検出センサ56、上限リミットセンサ57、及び下限リミットセンサ58による検出結果は制御部6に与えられる。
【0030】
[制御部の構成]
図5は本発明の実施の形態に係るマッサージ機1のブロック図である。
制御部6はCPU、メモリ(RAM)、及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなマイコンよりなり、駆動する各部分の動作制御等のための制御処理を行う。この制御部6は座部2の下方に配置され、被施療者が操作することのできる操作機7、及び時間の計測を行うタイマ8に接続されている。また、制御部6は前述した肩位置検出センサ61、昇降位置検出センサ56、上限リミットセンサ57、下限リミットセンサ58、背凭れ部用リミットセンサ47、及びフットレスト用リミットセンサ36に接続されており、その検出結果が記憶装置に記憶される。更に、制御部6は駆動部62a,62b,62cに接続されており、駆動部62aには背凭れ部用アクチュエータ45が、駆動部62bにはフットレスト用アクチュエータ37が、駆動部62cには給排気装置22が接続されている。駆動部62a,62bは制御部6からの指示に従って駆動信号を出力し、この駆動信号によって背凭れ部用アクチュエータ45、フットレスト用アクチュエータ37は伸縮駆動される。駆動部62cも同様に、制御部6からの指示に従って駆動信号を出力し、この駆動信号によって給排気装置22を駆動させる。給排気装置22には可撓性のチューブを介して上述した進退駆動部53、各押圧部21L,21R,31L,31R,32L,32R,42L,42R,44L,44Rに接続されて、これらに対して互いに独立して給排気することができるようになっている。また、昇降用モータM1、揉み用モータM2、及び叩き用モータM3も、制御部6に接続された駆動部(図示せず)を介して駆動される。
【0031】
[操作機の構成]
図6は、本発明の実施の形態に係るマッサージ機1の操作機7の図である。
図6の操作機7には、マッサージ機1の電源を入/切する操作部71と、約5分〜15分程度の時間で施療を行うコース選択用の操作部72と、マッサージ機1を緊急時に停止させる操作部73と、各マッサージ動作が有するパラメータを個別に操作する操作部74(個別操作手段)、各マッサージ動作が有する複数種のパラメータを一括して変更する一括操作部75(一括操作手段)、肩位置を検出した後に、肩位置を調整する位置調節用の操作部76、背凭れ部4をリクライニングさせる角度調整操作部77と、フットレスト3をリクライニングさせる角度調整操作部78とで構成されている。
なお、個別操作手段とは、各マッサージ動作の個別の入/切及びパラメータを個別に操作する操作部74を指し、具体的には、背凭れ部4に設けられた施療機構5の前後移動を操作する突出動作操作部74aと、施療機構5の揉み速度又は揉み動作の入/切を操作する操作部74bと、施療機構5の叩き速度又は叩き動作の入/切を操作する操作部74cと、背凭れ部4に設けられたエアセルよりなる左右の腰押圧部42L,42Rを操作する腰操作部74dと、座部2に設けられたエアセルよりなる左右の座押圧部21L,21Rを操作する座操作部74eと、フットレスト3に設けられたエアセルよりなる左の脚押圧部31L,31R及び右の脚押圧部32L,32Rと、エアセルよりなる左の足裏押圧部33L及び右の足裏押圧部33Rをそれぞれ操作する脚操作部74fと、背凭れ部4をリクライニングさせる角度調整操作部と77、フットレスト3をリクライニングさせる角度調整操作部78である。一括操作手段とは、各マッサージ動作が有する複数種のパラメータを一括して変更する一括操作部75を指す。また、操作機7の操作部による操作結果は、制御部6に与えられる。
【0032】
[個別調整用の操作部]
図6に示す、個別操作部74は、マッサージ動作が有する複数のパラメータの内一のパラメータを個別に操作する。
個別操作部74である、背凭れ部4に設けられた施療機構5の前後移動を操作する突出動作操作部74aは、施療機構5を被施療者に向かって移動させる「+」の操作部と施療機構5を被施療者から離す方向に移動させる「−」の操作部を有している。「+」の操作部を操作するごとに、施療機構5が被施療者に向かって突出し、「−」の操作部を操作するごとに施療機構5が被施療者から離れて行く方向へ移動するようになる。
この操作がされると、制御部6では、施療機構5の突出量のパラメータを操作しており、「+」が操作されると、現在の値に所定値を足して、施療機構5の突出量を調整している。また、「−」が操作されると、現在の値に所定値を引いて、施療機構5の突出量を調整している。
また、図6では、ボタンの表示を「+」,「−」で表現しているが、「→」,「←」などの表示であってもよく、被施療者に向かう方向と被施療者から離れて行く方向に操作できるものであればよい。
【0033】
図6に示す、個別操作部74のエアセルよりなる押圧部(21L,21R,31L,31R,32L,32R,42L,42R,44L,44R)の操作部(74d,74e,74f)は、操作するごとに、「弱」→「中」→「強」→「停止」→「弱」・・・という流れで、強弱が切り替わるよう設定されている。また、押圧部を被施療者に向かって移動させる「+」の操作部と押圧部を被施療者から離す方向に移動させる、「−」の操作部を設けてもよい。その場合、「+」の操作部を操作するごとに、押圧部に給気されるエアの給気量を増やし、「−」の操作部を操作するごとに押圧部に給気されるエアの給気量を減少させる。
上記の操作がされると、制御部6では、押圧部の膨張収縮に係わるパラメータを操作しており、操作部が操作されるたびに、現在の値に所定値を増減して、押圧部を調整している。
【0034】
図6に示す、個別操作部74の背凭れ部4の角度を変更する角度調整操作部77は、背凭れ部4を起立させる方向に角度変更する「+」の操作部と背凭れ部4を倒す方向に角度変更する「−」の操作部で構成されている。「+」の操作部を操作するごとに、背凭れ部4は起立する方向に角度変更し、「−」の操作部を操作するごとに、背凭れ部4は倒れる方向に角度変更される。この操作がされると、制御部6では、マッサージ機1の姿勢変更に係わるパラメータである背凭れ部4の角度変更量のパラメータを操作しており、「+」が操作されると、現在の値に所定値を足して、背凭れ部4の角度を調整している。また、「−」が操作されると、現在の値に所定値を引いて、背凭れ部4の角度を調整している。
【0035】
図6に示す、個別操作部74のフットレスト3の角度を変更する角度調整操作部78は、フットレスト3を上方向に角度変更する「+」の操作部とフットレスト3を下方向に角度変更する「−」の操作部で構成されている。「+」の操作部を操作するごとに、フットレスト3は上方向に角度変更し、「−」の操作部を操作するごとに、フットレスト3は下方向に角度変更される。この操作がされると、制御部6では、マッサージ機1の姿勢変更に係わるパラメータであるフットレスト3の角度変更量のパラメータを操作しており、「+」が操作されると、現在の値に所定値を足して、フットレスト3の角度を調整している。また、「−」が操作されると、現在の値に所定値を引いて、フットレスト3の角度を調整している。
【0036】
図6に示す、個別操作部74の揉み動作の速度変更を行なう操作部74bは、揉み動作の速度を速くする「+」の操作部と、揉み動作の速度を遅くする「−」の操作部で構成されている。制御部6では、揉み動作の速度のパラメータを操作しており、「+」が操作されると、現在の値に所定値を足して、揉み動作の速度を調整している。また、「−」が操作されると、現在の値に所定値を引いて、揉み動作の速度を調整している。
【0037】
図6に示す、個別操作部74の叩き動作の速度変更を行なう操作部74cは、叩き動作の速度を速くする「+」の操作部と、叩き動作の速度を遅くする「−」の操作部で構成されている。制御部6では、叩き動作の速度のパラメータを操作しており、「+」が操作されると、現在の値に所定値を足して、叩き動作の速度を調整している。また、「−」が操作されると、現在の値に所定値を引いて、叩き動作の速度を調整している。
【0038】
また、個別操作部74は、上記に示した、マッサージ動作以外でも転用可能である。例えば、フットレストに、使用者の脚部の側面に沿う方向へ往復動する対の擦り部を設けた擦り動作を行なマッサージ動作などがある。
【0039】
[一括操作部(一括操作手段)について]
図6に示す、一括操作手段(以下、一括操作部75)は、複数のマッサージ動作の複数のパラメータを一括して操作し、使用者が体感するマッサージ強さを調整するものである。一括操作部75は、複数のパラメータを一括して変化させることができ、施療部位ごとに各パラメータを変更させる。一括操作部75のパラメータの設定は、一括操作部75の操作により、操作信号が制御部6へ送信され、制御部6は、施療部位の判別を行い、施療部位に応じて、複数のパラメータを変更する。
一括操作部75の操作により変更される複数のパラメータは、図7〜図22に示すパラメータをいい、施療部位に応じて、各パラメータが変更される。一括操作部75が操作されると、制御部6は、施療部位の判別手段に、モータの回転数を検出し施療機構5の上下位置を検出する昇降位置検出センサ56を利用しており、さらに肩位置検出センサ61より、検出された肩位置から、施療部位を推定している。制御部6は、推定した施療部位に応じて、各施療部位毎に複数のパラメータの値をそれぞれ設定し、マッサージを行う。また、制御部6は、マッサージ動作の判別を行うことにより、各パラメータの値を変更する。制御部6は、各マッサージ動作の各パラメータを記憶するメモリ部を有しており、施療動作に応じたパラメータの変更を行う。
【0040】
また、一括操作部75は、個別操作手段74で操作された一のパラメータとしての進退駆動部53の突出量とは異なる他のパラメータを含む複数種のパラメータを一括して操作してもよい。一括操作部75が操作されると、制御部6は、施療部位又は施療動作に応じて、異なる他のパラメータを含む複数種のパラメータの値を一括して変更する。これは、施療部位又は施療動作によっては、個別操作手段(個別操作部74)で変更したパラメータと同じパラメータの値を変更しない方がいい場合があるためである。例えば、施療機構5の前後移動を操作する突出動作操作部74aの操作を首部にて行い、一括操作部75を操作した場合、突出動作操作部74aのパラメータとは、異なるパラメータを一括して操作する。首部は、施療機構5を突出させて施療を行うと、首の押圧と共に頭部を押し上げてしまい施療の体感を悪くしてしまう。そのため、首部においては、施療機構5を前移動させず、施療機構5の突出に関するパラメータとは異なるパラメータを一括して操作する。
【0041】
また、一括操作部75は、一のマッサージ動作のパラメータと異なる動作態様である他のマッサージ動作のパラメータを一括操作してもよい。一括操作部75が操作されると、制御部6は、現在のマッサージ動作のパラメータから、マッサージ動作を推定し、現在行われているマッサージ動作のパラメータと異なる動作態様である他のマッサージ動作のパラメータを一括操作する。
例えば、現在のマッサージ動作が前屈ストレッチをおこなうマッサージ動作であった場合、前屈動作を行なう背凭れ部用のアクチュエータ45及びフットレスト用アクチュエータ37のパラメータは変更せずに、施療機構5の突出量のパラメータや座部2の左右の座押圧部21L,21Rのパラメータの操作をおこなう。
【0042】
また、一括操作部75は、個別操作手段74により操作される一のマッサージ動作の一のパラメータと異なる他のパラメータと他のマッサージ動作のパラメータを一括操作してもよい。例えば、個別操作手段74で設定されたパラメータが制御部6で変更されるパラメータに等しい場合、個別操作手段74で操作される一のマッサージ動作の一のパラメータと異なる他のマッサージ動作のパラメータを一括操作する。
【0043】
図7は、施療機構5の突出動作の個別操作部74aと一括操作部75を操作したときの図である。図7aは、突出動作の個別操作用の操作部74aや一括操作部75を操作する前の突出動作のパラメータを示す図であり、図7bは突出動作の個別操作用の操作部74aを操作した後の突出量のパラメータを示す図である。図7cは一括操作部75を操作した後の突出動作に係わる複数のパラメータを示す図である。
図7bで示す様に、突出量の個別操作部74aを操作することで、突出量のパラメータが図7aで示す値から、図7bに示す値となる。
図7cで示す様に、一括操作部75を操作することで、突出量、突出維持時間、突出回数、突出速度のパラメータを一括して変更する。一括操作部75の操作によって、図7bで示す各パラメータの値から、図7cに示す値となる。
施療機構5の突出動作の個別操作部74aが操作されることで、突出量のパラメータが変更される。突出量が身体へ向かう方向へ変更されると、図3に示す施療ユニット55が進退駆動部53によって押出され施療子51が突出した状態となる。一括操作部75が操作されると、個別操作部74aで操作された突出量と、個別操作部74aで操作された突出量のパラメータとは異なる突出動作のパラメータを一括して操作する。また、個別操作部74aが操作したパラメータとは異なる突出動作のパラメータのみを一括して操作してもよい。一括操作部75を操作したことにより、進退駆動部53の施療子51の動作である突出維持時間、突出回数、突出速度のパラメータが図7a及び図7bに比べて図7cでは、それぞれ長く、多く、速く設定される。このとき進退駆動部53は、施療ユニット55を個別操作部74a及び一括操作部75で変更されたパラメータに応じた、突出量、突出維持時間、突出回数、突出速度で被施療部に施療を行う。
【0044】
被施療者が、個別操作部74aを操作して、首のマッサージを行っている際に、一括操作部75を操作することで、突出に係わるパラメータである、突出の「量」、突出を維持する「時間」、突出の「回数」、突出の「速度」が変更され、首に対して施療を感じやすいマッサージをおこなうことができる。また、一括操作部75で操作するパラメータは、突出量を除く個別操作部74aで操作したパラメータと異なる突出動作のパラメータのみであってもよい。
被施療部は、施療を感じやすい部分と感じにくい部分があり、突出量の調整のみでは、施療を感じにくいことがある。そこで突出動作に係わるパラメータを一括して操作できる一括操作部75を設けて、施療部位又は施療動作に合せて、施療感を強くすることができるよう構成されていてもよい。なお、突出に係わるパラメータの操作部を夫々個別に設けてもよいが、操作機7の操作部が多くなってしまう。また、突出に係わるパラメータを個別で操作するのは非常にわずらわしいため、一括で操作できるようにするのが好適である。
【0045】
図8は、給排気装置22によってエアセルの膨張収縮動作させる個別操作部74d,74e,74fのいずれかと一括操作部75を操作したときの図である。図8aは、個別操作部74d,74e,74fのいずれか及び一括操作部75を操作する前の膨張収縮動作のパラメータを示している。図8bは、個別操作部74d,74e,74fのいずれかを操作した後の膨張収縮動作のパラメータを示しており、図8cは、一括操作部75を操作した後のエアセルの膨張収縮動作に係わるパラメータの変化を示している。
図8bで示す様に、エアセルの膨張収縮動作の個別操作部74d,74e,74fのいずれかを操作することで、操作されたエアセルの膨張収縮動作のパラメータが図8aで示す値から、図8bに示す値となる。
図8cで示す様に、一括操作部75を操作することで、エアセルの収縮時間、収縮回数、膨張速度、収縮速度のパラメータを一括して変更される。一括操作部75の操作によって、図8a及び図8bで示す各パラメータの値から図8cに示す値となる。
図8、図13及び図15〜図22で示される収縮時間のパラメータは、給排気弁の制御により、排気状態となっている時間を変更することで、エアセルの収縮時間を変更している。エアセルでの施療が行われている間、常にエアの給気がされている。そのため、収縮時間が短ければ、エアセルへの給気時間が長くなり「強」の体感となる。収縮時間が長ければ、エアセルへの給気時間が短くなり「弱」の体感となる。また、収縮回数のパラメータは、排気状態になる回数を変更することで、エアセルの収縮回数を変更している。エアセルの排気回数を少なくすることで、「強」の体感とすることができ、エアセルの排気回数を多くすることで、「弱」の体感とすることができる。また、膨張速度のパラメータは、エアポンプの流量を示しており、エアポンプの流量を変更することで、膨張速度が変更される。また、収縮速度のパラメータは、給排気弁の排気側の弁の開閉度を示しており、給排気弁の排気側の弁の開閉度を変更することで、エアセルの収縮速度が変更される。
【0046】
被施療者が、首のマッサージを行っている際に、一括操作部75を操作することで、膨張及び収縮に係わるパラメータである、収縮時間、収縮回数、膨張速度、収縮速度が変更され、首に対して、施療を感じやすいマッサージをおこなうことができる。また、被施療部は、施療を感じやすい部分と感じにくい部分があり、収縮時間(エアセルの膨張量)の調整のみでは、施療を感じにくいことがある。そこで膨張及び収縮に係わるパラメータを一括して操作できる一括操作部75を設けて、施療部位又は施療動作に合せて、施療感を強くすることができるよう構成されている。なお、エアセルの膨張及び収縮に係わるパラメータの操作部を個別に設けてもよいが、操作機7の操作部が多くなってしまう。また、膨張及び収縮に係わるパラメータを個別で操作するのは非常にわずらわしいため、一括で操作できるようにするのが好適である。
【0047】
図9は、背凭れ部4の角度変更動作についての個別操作部77と一括操作部75を操作したときの図である。図9aは、背凭れ部4の角度変更量についての個別操作部77や一括操作部75を操作する前の角度変更動作のパラメータを示しており、図9bは、背凭れ部4の角度変更量についての個別操作部77を操作した後の角度変更量のパラメータを示しており、図9cは、一括操作部75を操作した後の背凭れ部4の角度変更動作に係わるパラメータの変化を示している。
図9bで示す様に、背凭れ部4の角度変更について個別操作部77を操作することで、背凭れ部4の角度変更量のパラメータが図9aで示す値から、図9bに示す値となる。
図9cで示す様に、一括操作部75を操作することで、背凭れ部4の角度変更量、背凭れ部4の変更した角度を維持する時間、角度変更回数、角度変更速度のパラメータを一括して変更する。一括操作部75の操作によって、図9a及び図9bで示す各パラメータの値から図9cに示す値となる。
【0048】
被施療者が、前屈ストレッチに関するマッサージを行っている際に、一括操作部75を操作することで、背凭れ部4の角度を変更する「量」、背凭れ部4の角度を維持する「時間」、背凭れ部4の角度を変更する「回数」、背凭れ部4の角度変更の「速度」のパラメータが変更され、強いストレッチをおこなうことができる。背凭れ部4の角度変更に係わるパラメータを一括して操作できる一括操作部75を設けて、施療部位又は施療動作に合せて、施療感を強くすることができるよう構成されている。なお、背凭れ部4の角度に係わるパラメータの操作部を個別に設けてもよいが、操作機7の操作部が多くなってしまう。また、背凭れ部4の角度に係わるパラメータを個別で操作するのは非常にわずらわしいため、一括で操作できるようにするのが好適である。
【0049】
図10は、フットレスト3の角度変更動作についての個別操作部78と一括操作部75を操作したときの図である。図10aは、フットレスト3の角度変更動作についての個別操作部78や一括操作部75を操作する前の角度変更量を示しており、図10bは、フットレスト3の角度変更量についての個別操作部78を操作した後の角度変更量のパラメータを示しており、図10cは、一括操作部75を操作した後のフットレスト3の角度変更動作に係わるパラメータの変化を示している。
図10bで示す様に、フットレスト3の角度変更量について個別操作部78を操作することで、フットレスト3の角度変更量のパラメータが図10aで示す値から、図10bに示す値となる。
図10cで示す様に、一括操作部75を操作することで、フットレスト3の角度変更量のパラメータ、フットレスト3の変更した角度を維持する時間、角度変更回数のパラメータ、角度変更速度のパラメータを一括して変更する。一括操作部75の操作によって、図10a及び図10bで示す各パラメータの値にから図10cに示す値となる。
【0050】
被施療者が、屈伸などのストレッチに関するマッサージを行っている際に、一括操作部75を操作することで、フットレスト3の角度を変更する「量」、フットレスト3の角度を維持する「時間」、フットレスト3の角度変更の「回数」、フットレスト3の角度変更の「速度」のパラメータが変更され、強いストレッチをおこなうことができる。
また、フットレスト3が右脚載置部と左脚載置部に2分割されている場合は、個別に操作をしなくても、一括操作部75を操作することで、一括で片足ごとにストレッチが可能となり、わずらわしい思いをせず、更に効果の高いストレッチが可能となる。
また、フットレスト3が脚の長さ方向に伸縮可能に設けられている場合、伸縮動作と角度変更動作を一括操作部75によって行ない、ストレッチ効果を高めてもよい。
なお、フットレスト3の角度に係わるパラメータの操作部を個別に設けてもよいが、操作機7の操作部が多くなってしまう。また、フットレスト3の角度に係わるパラメータを個別で操作するのは非常にわずらわしいため、一括で操作できるようにするのが好適である。
【0051】
図11は、施療機構5の揉み動作の個別操作部74bと一括操作部75を操作したときの図である。図11aは、施療機構5の揉み動作の個別操作部74bと一括操作部75を操作する前の揉み動作のパラメータを示す図であり、図11bは施療機構5の揉み動作の個別操作部74bを操作した後の揉み動作速度のパラメータを示す図である。図11cは一括操作部75を操作した後の揉み動作に係わるパラメータを示す図である。
図11bで示す様に、施療機構5の揉み動作速度について個別操作部74bを操作することで、施療機構5の揉み動作速度のパラメータが図11aで示す値から図11bに示す値となる。
図11cで示す様に、一括操作部75を操作することで、施療機構5の揉み動作速度のパラメータ、施療機構5の揉み動作回数のパラメータを一括して変更される。一括操作部75の操作によって、図11a及び図11bで示す各パラメータの値から図11cに示す値となる。
【0052】
被施療者が、腰のマッサージを行っている際に、一括操作部75を操作することで、揉み動作に係わるパラメータである、揉み動作の「速度」、揉み動作の「回数」が変更され、腰に対して、施療を感じやすいマッサージをおこなうことができる。
なお、揉み動作に係わるパラメータの操作部を個別に設けてもよいが、操作機7の操作部が多くなってしまう。また、揉み動作に係わるパラメータを個別で操作するのは非常にわずらわしいため、一括で操作できるようにするのが好適である。
【0053】
図12は、施療機構5の叩き動作の個別操作部74cと一括操作部75を操作したときの図である。図12aは、施療機構5の叩き動作の個別操作部74cと一括操作部75を操作する前の叩き動作のパラメータを示す図であり、図12bは施療機構5の叩き動作速度の個別操作部74cを操作した後の叩き動作速度のパラメータを示す図である。図12cは一括操作部75を操作した後の叩き動作に係わるパラメータを示す図である。
図12bで示す様に、施療機構5の叩き動作速度について個別操作部74cを操作することで、施療機構5の叩き動作のパラメータが図12aで示す値から図12bに示す値となる。
図12cで示す様に、一括操作部75を操作することで、施療機構5の叩き動作速度のパラメータ、施療機構5の叩き動作時間のパラメータを一括して変更される。一括操作部75の操作によって、図12a及び図12bで示す各パラメータの値から図12cに示す値となる。
【0054】
被施療者が、肩のマッサージを行っている際に、一括操作部75を操作することで、叩き動作に係わるパラメータである、叩き動作の「速度」、叩き動作を行なう「時間」が変更され、肩に対して、施療を感じやすいマッサージをおこなうことができる。
なお、叩き動作に係わるパラメータの操作部を個別に設けてもよいが、操作機7の操作部が多くなってしまう。また、叩き動作に係わるパラメータを個別で操作するのは非常にわずらわしいため、一括で操作できるようにするのが好適である。
【0055】
図13の実施例は、複数のマッサージ動作のパラメータを一括調整した図である。図13aは、個別操作部74と一括操作部75を操作する前の各マッサージ動作のパラメータを示す図であり、図13bでは、いずれかの個別操作部74を操作した図である。図13cは、一括操作部75を操作することで、施療機構5の突出量、施療機構5の揉み動作速度、施療機構5の叩き動作速度、エアセルの収縮時間、エアセルの収縮回数、背凭れ部4の角度変更量、フットレスト3の角度変更量の値が図13a及びbで示すパラメータの値から、図13cで示すパラメータの値に一括して変更される。
図13cでは、一括操作部75を押すことで、図13a及び図13bの状態から、揉み速度を遅く、叩き速度を速く、エアの収縮時間を短く、エアの収縮回数を少なく、背凭れ部4の角度変更量を多く、フットレスト3の角度変更量を多くしている。図13では、図7〜12と異なり、一括操作部75で操作するマッサージ動作のパラメータは、複数のマッサージ動作のパラメータである。
このように複数のマッサージ動作のパラメータを一括して操作することで、操作回数を減らすことができ、被施療者がわずらわしく思うこともない。
【0056】
被施療者が、個別操作手段74を操作してマッサージを行っている際に、一括操作部75を操作することで、施療部位又は施療動作に応じて、個別操作手段74で操作したマッサージ動作のパラメータ以外の複数のマッサージ動作のパラメータを一括して操作することも可能である。
個別操作部74を、被施療者が直感的にマッサージ動作を強くすることがわかるパラメータ(突出量など)の操作部を個別操作部74として設け、一括操作部75で操作するパラメータは、被施療者にとって、体感を強くするものと認識しづらいパラメータを一括して操作するように構成されている。
一般的に、突出量のパラメータを変更することで、施療感が変わることを被施療者が知っていることが多いのに対し、揉み速度や叩き速度等のパラメータを操作することで施療感が変わることを知っている被施療者はすくない。また、複数のマッサージ動作のパラメータを組合せることで、施療感がよくなることについても同様である。このように、一括操作部75を設けることで、操作機の操作回数がへり、操作のわずらわしさを解消することができ、施療感のよいマッサージを被施療者に施すことができる。
【0057】
また、上記一括操作部75のパラメータの制御は、施療部位又は施療動作によって異なり、組み合わされるパラメータの所定値が異なるように構成してもよい。このように施療部位又は施療動作で組合せるパラメータを制御することで、どの施療部位又はどの施療動作であっても、体感のよい施療をおこなうことができる。また、個別操作部74で、操作されたパラメータの値が、一括操作部75で操作するパラメータの値に等しい場合、一括操作部75は、個別操作部74で操作されたパラメータの値を操作しないようにしてもよい。
【0058】
図14は「首」に対して、施療を行っているときに一括操作部75を操作したときのパラメータを示す図である。図14aは、首部に施療機構5が位置し、首部に押圧動作や昇降動作をおこなって入るときの各マッサージ動作のパラメータを示しており、一括操作部75が操作されていない状態を示す図である。図14bは、首部に施療機構5が位置し、首部に押圧動作や昇降動作をおこなっていたときに、一括操作部75を操作した状態を示す図である。図14bでは、図14aの各マッサージ動作のパラメータを図14bで示す値に一括して変更している。一括操作部75が操作されると、首部の押圧動作のパラメータは、首部への「突出量」を少なく、首部への突出を維持する「時間」を短く、首部への突出「回数」を少なく、首部への突出「速度」を速くしている。施療機構5の昇降動作によるローリングマッサージは、昇降動作の「回数」を多く、昇降動作の「速度」を速くしている。揉み動作に関するパラメータは、揉み動作を行なう「速度」を遅く、揉み動作の「回数」を多くしている。このように複数のパラメータを一括変更することで、首部に対しての、施療効果が大きくなり、複数の操作部を操作するわずらわしさも解消される。
【0059】
図15は、「肩」に対して施療を行っているときのパラメータを示す図である。図16は、「肩」に「対して、施療を行っているときに一括操作部75を操作したときのパラメータを示す図である。肩部に施療機構5が位置し、肩部に揉み動作と叩き動作をおこなっていたときに、一括操作部75を操作した場合、背凭れ部4の側方に設けられたれ上腕押圧部44L,44Rを動作させ、身体を拘束し、背凭れ部4のリクライニング角度を変更する。このとき、叩き動作、揉み動作以外に、上腕押圧部44L,44Rを動作させるパラメータと背凭れ部4のリクライニングに関するパラメータを組合せて体感のよいマッサージとしている。
一括操作部75が操作されると、図16に示す様に、各マッサージ動作のパラメータが変更される。上腕押圧部44L,44Rのパラメータは、エアセルの収縮する「時間」を短く、膨張の「速度」を速く、収縮の「速度」を遅くしている。施療機構5の昇降動作によるローリングマッサージは、昇降動作の「回数」を多く、昇降動作の「速度」を速くしている。揉み動作に関するパラメータは、揉み動作を行なう「速度」を遅く、揉み動作の「回数」を多くしている。叩き動作に関するパラメータは、叩き動作を行なう「速度」を速く、叩き動作を行なう「時間」を長くしている。背凭れ部4のリクライニング角度変更のパラメータは、背凭れ部4の角度を変更する「量」を大きく、背凭れ部4の角度を維持する「時間」を長く、背凭れ部4の角度変更の「回数」を少なく、背凭れ部4の角度変更の「速度」を遅くしている。このように複数のパラメータを一括変更することで、身体の側部が拘束され、且つリクライニングによって、被施療者は重力の影響をうけるので、肩への叩き揉みの効果が大きくなり、複数の操作部を操作するわずらわしさも解消される。
【0060】
図17は、「腰」に対して、施療を行っているときのパラメータを示す図である。図18は、「腰」に対して、施療を行っているときに一括操作部75を操作したときのパラメータを示す図である。腰部に施療機構5が位置し、腰部に揉み動作を行っていたときに、一括操作部75を操作した場合、マッサージ機1の座部側方に設けられたれ施療部21L,21Rを動作させ、身体の臀部と大腿部を側方から拘束し、背凭れ部4のリクライニング角度を変更する。このとき、揉み動作以外に、座部側方に設けられたれ施療部21L,21Rを動作させるパラメータと背凭れ部4のリクライニングに関するパラメータを組合せて体感のよいマッサージとしている。
一括操作部75が操作されると、図18に示す様に、座部側方に設けられたれ施療部21L,21Rは、エアセルの収縮する「時間」を短く、膨張の「速度」を速く、収縮の「速度」を遅くしている。施療機構5の昇降動作によるローリングマッサージは、昇降動作の「回数」を多く、昇降動作の「速度」を速くしている。揉み動作に関するパラメータは、揉み動作を行なう「速度」を遅く、揉み動作を行なう「時間」を長くしている。背凭れ部4のリクライニング角度変更のパラメータは、背凭れ部4の角度を変更する「量」を大きく、背凭れ部4の角度を維持する「時間」を長く、背凭れ部4の角度変更の「回数」を少なく、背凭れ部4の角度変更の「速度」を遅くしている。このように複数のパラメータを一括変更することで、身体の臀部と大腿部を側方から拘束され、且つリクライニングによって、被施療者は重力の影響をうけるので、腰部への揉みの効果が大きくなり、複数の操作部を操作するわずらわしさも解消される。
【0061】
図19は、図4cで示すような動作で前屈ストレッチ施療を行っているときのパラメータを示す図である。図20は、図4cで示すような動作で前屈ストレッチ施療を行っているときに一括操作部75を操作したときのパラメータを示す図である。一括操作部75を操作した場合、施療機構5の施療子51を突出させ、座部2の側方に設けられた施療部21L,21Rで被施療者の臀部と大腿部を側方から押圧し、フットレスト3に配設された脚押圧部31L,31R,32L,32R及び足裏押圧部33L,33Rで、被施療者の脚部を押圧する。
図20では、背凭れ部4のリクライニングに係わるパラメータの背凭れ部4の角度を変更する「量」を大きく、背凭れ部4の角度を維持する「時間」を長く、背凭れ部4の角度変更の「回数」を多く、背凭れ部4の角度変更の「速度」を遅くなるよう変更し、フットレスト3の角度を変更する「量」を大きく、フットレスト3の角度を維持する「時間」を長く、フットレスト3の角度変更の「回数」を多く、フットレスト3の角度変更の「速度」を遅くなるよう変更し、施療機構5の「突出量」を大きく、突出を維持する「時間」を長く、突出の「回数」を多く、突出の「速度」を遅くなるよう変更し、座部側方に設けられた施療部21L,21Rは、エアセルの収縮する「時間」を短く、膨張の「速度」を速く、収縮の「速度」を遅くなるよう変更し、フットレスト3に配設されたエアセルの収縮する「時間」を短く、膨張の「速度」を速く、収縮の「速度」が遅くなるよう変更する。このように複数のパラメータを一括変更することで、前屈ストレッチの動作の体感がよくなり、複数の操作部を操作するわずらわしさも解消される。
【0062】
図21は、図4dで示すような身体反らしストレッチ施療を行なっているときのパラメータを示す図である。図22は、図4dで示すような身体反らしストレッチ施療を行っているときに一括操作部75を操作したときのパラメータを示す図である。一括操作部75を操作した場合、上腕押圧部44L,44Rで被施療者の肩部及び上腕部を側方から拘束し、背凭れ部4の背中押圧部42L,42Rを駆動させる。このとき、背凭れ部4と座部2のリクライニング動作の変更角度が大きくなり、ストレッチ運動をさらに強い施療とすることができる。図22では、背凭れ部4の角度を変更する「量」を大きく、背凭れ部4の角度を維持する「時間」を長く、背凭れ部4の角度変更の「回数」を多く、背凭れ部4の角度変更の「速度」を遅くなるよう変更され、フットレスト3の角度を変更する「量」を小さく、フットレスト3の角度を維持する「時間」を長く、フットレスト3の角度変更の「回数」を多く、フットレスト3の角度変更の「速度」を遅くなるよう変更し、上腕押圧部44L,44Rのパラメータは、エアセルの収縮する「時間」を短く、膨張の「速度」を速く、収縮の「速度」を遅くし、背凭れ部4の背中押圧部42L,42Rの収縮する「時間」を短く、膨張の「速度」を速く、収縮の「速度」を遅く、フットレスト3に配設された脚押圧部31L,31R,32L,32R及び足裏押圧部33L,33Rの収縮する「時間」を短く、膨張の「速度」を速く、収縮の「速度」が遅くなるよう変更する。このように複数のパラメータを一括変更することで、身体反らしストレッチの動作の体感がよくなり、複数の操作部を操作するわずらわしさも解消される。
【0063】
ストレッチに関しては、いきなり深い角度でおこなってしまうと、被施療者に不快なマッサージとなってしまうため、はじめは回動角度を浅くし、リクライニング速度を早く、リクライニング回数を多くする。このような動作を複数回繰り返した後に、リクライニング角度を深く、リクライニング速度を遅く、リクライニング回数を少なくといった動作に変更する制御をおこなっている。
【0064】
また、一括操作部75を操作することによって、コース内容を変更してもよい。通常、前屈ストレッチを行う際は、背凭れ部4を最も倒した状態にし、フットレスト3を座部2の座面の高さまで上方向に回動させる第一動作と、前記状態の背凭れ部4を最も起立した状態となるまで起立動作させる第二動作と、施療機構5を背凭れ部4の下方から上昇させ、所定位置で施療機構5を止める第三動作と、前記施療機構5の施療子51を突出させる第四動作を順番に行うことによって前屈ストレッチを行っている。この際、座部2の側方に設けられた座押圧部21L,21Rで被施療者の臀部と大腿部を側方から押圧する第五動作と、フットレスト3に配設された脚押圧部31L,31R,32L,32R及び足裏押圧部33L,33Rで被施療者の脚部を側方から押圧する第六動作は、コースのプログラムにしたがって、所定タイミングで動作している。
一括操作部75が操作されると、第一動作完了後に第五動作と第六動作が行われ、被施療者の下半身を拘束する。次に第二動作中に第三動作が行なわれ、第四動作が行われる様になる。前記第五動作と第六動作は、第二動作〜第四動作が行われている間中に実行される。
このように一括操作することで、被施療者に良い体感を与えることができる。また、この調整は施療部位又は施療動作ごとに行われ、被施療者に良い体感を与えることができるよう、プログラムされている。
【0065】
また、複数のマッサージ動作のパラメータを組合せることで、不意に施療部位に強い力がかかりすぎてしまう場合がある。例えば、肩部の施療を上腕押圧部44L,44Rにておこなっている際に、背凭れ部の施療機構5が上下昇降をおこない、施療子51が突出していた場合、上腕押圧部44L,44Rによって肩の側方を固定された被施療者の身体は弓なりとなり、不意に強い力がかかってしまうこととなる。被施療者は、そのような動作を予期していないため、痛みを感じることとなる。ただ単にマッサージ動作のパラメータを組合せるだけでは、施療部位に強い力がかかりすぎてしまうので、一括操作部75では、施療部位又は施療動作ごとに複数のパラメータを一括して制御している。このように、組み合わされる複数のマッサージ動作のパラメータが設定されているので、被施療者は、体感の良いマッサージを受けることができ、不意に施療部位に強い力がかかりすぎることもない。また、一つの操作部を操作することで、体感の良いマッサージを受けることができるため、わずらわしい操作をおこなうこともない。
【0066】
図23と図24は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機1の施療子51の動作を示す図である。図23の(a)は、施療機構5に設けられた左右一対の上側の施療子51が図示されており、施療子51の動作軌跡を示している。また動作軌跡は、左右一対の上側の施療子51が略円状を描いて動作する。なお、回転方向は、正転、反転自在となっていることが好ましい。図23の(b)は、施療機構5に設けられた左右一対の上側の施療子51が、最も離間した第1位置を示している。図23の(c)は、施療機構5に設けられた左右一対の上側の施療子51が、最も離間した第1位置から所定距離近接した第2位置を示している。図23の(d)は、施療機構5に設けられた左右一対の上側の施療子51が、最も近接した第3位置を示している。図23の(e)は、施療機構5に設けられた左右一対の上側の施療子51が、最も近接した第3位置から所定距離離間した第4位置を示している。
また、図24は第1位置から第2〜4位置を通過して再び第1位置となるまでの施療子の移動速度を示している。図24(a)は、一括操作部75が操作される前の施療子51が略円状の軌跡で第1位置から第2位置、第3位置、第4位置を通って第1位置に戻ってくるまでの施療子51の移動速度を示しているものである。また、揉み動作中は、略円状の軌跡で第1位置から、第2位置、第3位置、第4位置を通って、再び第1位置に戻ってくる動作を繰り返す。図24(b)は、一括操作部75が操作された後の施療子51が略円状に移動しているときの施療子51の移動速度を示しているものである。図24(b)では、図24(a)と異なり、第2位置から第3位置への移動途中で徐々に施療子51の移動速度が変更されており、第3位置から第4位置への移動途中で徐々に施療子51の移動速度が変更されている。なお、図24においては、施療子51の移動速度は、「6」が最も速く、「1」が最も遅いことを示している。
【0067】
図23(a)に示す通り、施療機構5の施療子51は、略円状に移動し、被施療者に揉み動作を行なっている。この揉み動作は、施療機構5の揉み動作駆動源(図示せず)と、前記揉み動作駆動源から駆動力を伝達する駆動伝達機構(図示せず)と、前記駆動伝達機構に繋がれた揉み軸(図示せず)と、前記揉み軸にあって途中で偏角している偏角部(図示せず)と、前記偏角部に固定されている施療子51を有する支持アーム52と、前記揉み軸の回転数をカウントするセンサ部(図示せず)と、前記揉み動作を制御する制御部6によって行われている。このような構成とすることで、施療子51は略円状の軌跡で動作させることができる。
また前記センサ部は、前記施療子51同士の近接離反状態(具体的には、前述した第1位置〜第4位置)を検知する手段として設けられている。前記センサ部は、磁気を検知するホールICで構成されており、磁石は揉み軸に固定されている。前記ホールICは、揉み軸と共に回転する磁石の磁気を検知する。このような構成とすることで、揉み軸の回転回数を検知している。また、制御部6では、軸を何回回転させたかによって、左右一対の施療子51の近接離反状態を判断している。
【0068】
図24(a)は、一括操作部75が操作される前の施療子51が略円状に移動している際の施療子51の移動速度を示している。図24(a)では、第1位置から、再び第1位置へ戻ってくるまで「5」の移動速度で施療子51を移動させている。ここでは、施療子51の移動速度は一律である。図24(b)は、体感が強くなるように一括操作部75が操作された際の施療子51が略円状に移動しているときの施療子51の移動速度を示しているものであり、第1位置から第2位置までの施療子51の移動速度は「5」で設定されており、第2位置から第3位置までの施療子51の移動速度は徐々に遅くして、第3位置へ到達する際の移動速度は「1」で設定されている。そして、第3位置から第4位置までの施療子51の移動速度は徐々に早くして、第4位置へ到達する際の移動速度は「5」で設定されており、第4位置から第1位置までの施療子51の移動速度は「5」で設定されている。このように構成することで、前記略円状の軌跡で揉み動作を行なう施療子51に対して、略円状の一周期の軌跡の一部分で移動速度を変化させることができる。このように、左右一対の施療子51を近接させるときに、一括操作部75が操作される前よりもゆっくり施療子51が動くことで、体感の良い(具体的には、体感としてより強い)マッサージを受けることができる。また、図24(b)では、施療子51の移動速度を「5」から「1」へと徐々に低速となるように変更することで、体感としてより強いマッサージ行っているが、体感が弱くなるように、一括操作部75が操作された場合は、施療子51の移動速度を例えば、第2位置から第3位置にかけて「5」から「6」へと徐々に高速となるように変更してもよい。このように一括操作部75が操作される前よりも速早い速度で施療子51を移動させることで、体感が弱くなり、優しいマッサージを行うことができる。
また、一括操作部75により、このような動作を一つの操作部で操作できるため、体感の良いマッサージを受けることができ、わずらわしい操作をおこなうこともない。
なお、図24では、施療子51の移動速度を徐々に遅くする図を示したが、別の方法として、徐々に速度を変更せず、施療子51が第2位置となった時点で施療子51の移動速度を「5」から「1」に一度に速度変更して施療子51を移動させてもよいし、施療子51が第2位置となった時点で施療子51の動作を一端停止させてから、「5」の速度から「1」の速度に切換えてもよい。
また、別の方法として、第3位置から第4位置を通過して第1位置まで移動する施療子の移動速度を「1」から徐々に「5」の速度に変更し、第1位置から第2位置を通過して第3位置まで移動する施療子の移動速度を「5」から徐々に「1」に変更させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、複数あるマッサージ動作のパラメータを一括で操作する操作部を設けるマッサージ機1に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 マッサージ機
2 座部
3 フットレスト
4 背凭れ部
5 施療機構
6 制御部
7 操作機
74 個別操作部
74a 突出動作操作部
74b 揉み動作操作部
74c 叩き動作操作部
74d,74e,74f エアセルの個別操作部
75 一括操作部
77 背凭れ部角度調整操作部
78 フットレスト角度調整操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者に複数のマッサージ動作を行なうマッサージ機において、
前記マッサージ動作は複数のパラメータを有しており、
前記マッサージ動作のパラメータを一括して操作する一括操作手段を有することを特徴とするマッサージ機。

【請求項2】
前記複数のパラメータの内一のパラメータを個別に操作する個別操作手段と、
前記一のパラメータとは異なる他のパラメータを含む複数種のパラメータを一括して操作する一括操作手段を有することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。

【請求項3】
前記複数のパラメータを有する一のマッサージ動作のパラメータと、
前記一のマッサージ動作と異なる動作態様である他のマッサージ動作のパラメータを一括して操作する一括操作手段を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機。

【請求項4】
前記一括操作手段は、
前記一のマッサージ動作において、前記個別操作手段により操作される前記一のパラメータと異なる前記他のパラメータと、
前記他のマッサージ動作のパラメータと、を、
一括して操作することを特徴とする請求項2又は3に記載のマッサージ機。

【請求項5】
前記マッサージ機は、少なくとも背凭れ部と座部を有し、
前記背凭れ部内に昇降自在に設けられた施療機構を有し、
前記施療機構は、少なくとも施療子と、施療子を前後動させる進退駆動部と、を有しており、
前記一のマッサージ動作は、施療子を前後動させる動作であって、
前記一のパラメータとしての前記進退駆動部の突出量のパラメータを調整する個別操作手段と、
前記他のパラメータとしての突出する時間のパラメータ、突出する速度のパラメータ、及び突出回数のパラメータのうち少なくとも1つを一括して操作する一括操作部を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のマッサージ機。

【請求項6】
前記他のマッサージ動作は、被施療者の姿勢を変更する動作であって、
前記一括操作手段によって、前記マッサージ機の姿勢変更に係わるパラメータを変化させることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のマッサージ機。

【請求項7】
前記他のマッサージ動作は、エアを給排気することで被施療者にマッサージを行うエア式マッサージ動作であって、
前記一括操作手段によって、エアの給配時間のパラメータ、膨張量のパラメータ、膨張速度のパラメータ、及び膨張回数のパラメータの内少なくとも2つ以上を変更するものであることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のマッサージ機。

【請求項8】
前記一括操作手段は、被施療者の施療部位に応じて、各マッサージ動作の複数のパラメータを一括調整することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のマッサージ機。

【請求項9】
前記一括操作手段は、前記他のパラメータとしての前記施療機構が有する左右で対をなす施療子の移動速度のパラメータを一括して操作するものであって、
前記施療子の略円状の移動軌跡のうちの少なくとも一部分で移動速度を変更することを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。

【請求項10】
前記一括操作手段は、
前記左右対の施療子が近接する際の移動速度を、前記一括操作手段を操作する前よりも低速に変更することを特徴とする請求項9に記載のマッサージ機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−39342(P2013−39342A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260994(P2011−260994)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】