説明

マッサージ機

【課題】マッサージ機において、ヒータの加熱による体感温度の差を抑制することにある。
【解決手段】例えば、ふくらはぎエアバッグ21が膨張すると、足部ヒータ35の上面と足裏とは離間した状態に保たれるため、足部ヒータ35の温度に対する足裏の温度(体感温度)は低くなる。反対に、他のエアバッグ22〜24の膨張時には、足部ヒータ35の上面と足裏との距離は小さくなるため、上記ふくらはぎエアバッグ21の膨張時より足部ヒータ35の温度に対する足裏の温度(体感温度)は高くなる。従って、ふくらはぎエアバッグ21の膨張時の目標温度を、他のエアバッグ22〜24の膨張時の目標温度より高く設定することで、足部ヒータ35の加熱を通じた体感温度の差を抑制できる。また、本発明においては、エアバッグ21〜24の状態は、電磁弁の状態に基づき認識される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子に配置される施療子及びエアバッグを動作させることで、ユーザの施療部位に対して押圧や圧迫等のマッサージを行うマッサージ機が存在する。この種のマッサージ機には、例えば足裏に対応する部分にヒータを内蔵したものがある(例えば、特許文献1参照)。このヒータの加熱を通じて足裏の血行が促進され、マッサージの効果がより高まる。この特許文献1に記載のマッサージ機においては、施療コース毎にヒータの温度を変化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−312857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マッサージ機においては、各エアバッグの膨張又は収縮によって体の位置が変化する。このため、各エアバッグの状態に応じて、人体とヒータとの距離は変化することになる。従って、同一の温度にヒータの温度が設定されている場合であっても、上記距離が変化することでヒータの加熱による体感温度は一定とならないおそれがある。また、人体とヒータとがカバー等を介して接触している場合であっても、その接触圧によって体感温度は一定とならないと考えられる。
【0005】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒータの加熱による体感温度の差を抑制したマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージ機は、ユーザの施療部位を加熱するヒータと、供給又は排出される空気によって膨張又は収縮し、その膨張又は収縮に伴いユーザの施療部位をマッサージするとともに前記ヒータと人体との位置関係を定めるエアバッグと、前記エアバッグに空気を供給可能な給気可能状態と、前記エアバッグ内の空気を外部に放出可能な大気開放状態との間で切り替わる電磁弁と、前記電磁弁を介して前記エアバッグに空気を供給するポンプと、前記ヒータの温度を制御するとともに、前記電磁弁を前記大気開放状態から前記給気可能状態としたとき前記ポンプを駆動させることで前記エアバッグを膨張させ、その膨張状態において前記電磁弁を前記大気開放状態とすることで前記エアバッグを収縮させる制御部と、を備えたマッサージ機において、前記制御部は、前記電磁弁の状態に基づき前記ヒータの温度を設定する。
【0007】
また、上記構成において、前記ヒータは、ユーザの足裏に対向して位置するとともに、前記エアバッグは、膨張時には、ふくらはぎを両側から保持する第1のエアバッグと、膨張時には、前記足裏及び前記ヒータ間の距離を小さくする第2のエアバッグと、を有し、前記制御部は、前記第1のエアバッグに対応する前記電磁弁が給気可能状態にあって、前記第2のエアバッグに対応する前記電磁弁が大気開放状態にあるとき、前記ヒータの温度を第1の温度に設定し、前記第1のエアバッグに対応する前記電磁弁の状態に関わらず、前記第2のエアバッグに対応する前記電磁弁が給気可能状態にあるとき前記ヒータの温度を、前記第1の温度より低い第2の温度に設定することが好ましい。
【0008】
また、上記構成において、前記第2のエアバッグは、膨張時に足の甲を上から押すフット押えエアバッグと、膨張時に前記ヒータを足裏に接近させる態様で足裏を下から押すフット底エアバッグと、からなることが好ましい。
【0009】
また、上記構成において、前記ヒータは、肘掛け部における掌が置かれる位置に内蔵され、前記エアバッグは、前記肘掛け部における腕に対応する位置に内装されるとともに、膨張時には腕を支点として掌を前記ヒータ側に変位させ、前記制御部は、前記エアバッグに対応する前記電磁弁が大気開放状態にあるとき、前記ヒータの温度を第1の温度に設定し、前記エアバッグに対応する前記電磁弁が給気可能状態にあるとき、前記ヒータの温度を前記第1の温度より低い第2の温度に設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マッサージ機において、ヒータの加熱による体感温度の差を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一実施形態における(a)マッサージ機の概略構成を示す側面図、(b)マッサージ機の概略構成を示す正面図。
【図2】本発明に係る一実施形態のマッサージ機の電気的構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る一実施形態の各種電磁弁及び各種エアバッグの構成を示すブロック図。
【図4】本発明に係る一実施形態の(a)ふくらはぎエアバッグが膨らんだときの側面図。(b)フット押え右エアバッグが膨らんだときの側面図。(c)フット底エアバッグが膨らんだときの側面図。
【図5】本発明に係る一実施形態のエアポンプ及び各種電磁弁の動作タイミング、並びに目標温度を示すタイミングチャート。
【図6】本発明に係る他の実施形態における(a)腕エアバッグ、掌エアバッグ及び手部ヒータを備えた肘掛けの断面図、(b)(a)の腕エアバッグが膨らんだときの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のマッサージ機を具体化した一実施形態を図1〜図5を参照しつつ説明する。
まず、マッサージ機の機械的構成について説明する。
【0013】
図1(a)に示すように、マッサージ機10は、座部12と、背もたれ部13と、オットマン14とを備える。
座部12は、支持脚部9にて支持されている。そして、背もたれ部13は、座部12の後端(図中の左端部)に対して傾動可能に取り付けられている。座部12の下側には、背もたれ部13のリクライニング(傾動)を可能とするリクライニング機構16が設けられている。
【0014】
オットマン14は、脚部及び足部を載せる部分であって、座部12の前端(図中の右端部)に対して傾動可能に取り付けられている。また、座部12の下側には、オットマン14の上下方向への移動を可能とする上下動機構17が設けられている。また、座部12の左右の両側には、前後方向に延びる肘掛け部15が組み付けられている。
【0015】
図1(b)に示すように、背もたれ部13の中央部には、施療子18aを有するマッサージ機構18が内装されている。施療子18aは、ユーザの肩、背中、腰に対して上下幅方向への動作、並びに接触及び離間動作をすることでマッサージを行う。
【0016】
また、背もたれ部13おけるユーザの両肩に対応する位置には1対の肩外エアバッグ19が内装されている。背もたれ部13における腰の両側部に対応する位置には1対の腰エアバッグ20が内装されている。
【0017】
オットマン14には、ユーザの左右の脚部をそれぞれ収容するコ字状の収容溝14aが形成される。また、オットマン14には、ふくらはぎエアバッグ21と、フット押え右エアバッグ22と、フット押え左エアバッグ23と、フット底エアバッグ24とが内装されている。
【0018】
ふくらはぎエアバッグ21は、各収容溝14aにおいて、ふくらはぎを挟み込む位置に内装される。また、フット押え右エアバッグ22は、各収容溝14aにおける足の甲の右側に対応する位置に内装される。フット押え左エアバッグ23は、各収容溝14aにおける足の甲の左側に対応する位置に内装される。フット押え右エアバッグ22及びフット押え左エアバッグ23は、足を下側(フット底エアバッグ24側)に押し付ける態様で膨張する。フット底エアバッグ24は、各収容溝14aにおける足裏に対応する位置に内装される。フット底エアバッグ24の上側には、足部ヒータ35が内装されている。本例では、足部ヒータ35として電熱線ヒータが採用される。
【0019】
次に、マッサージ機の電気的構成について説明する。
図2に示すように、マッサージ機10は、制御回路11と、エアポンプ31と、電磁弁32a〜32fと、足部ヒータ35と、施療子駆動部36と、リクライニング用モータ16aと、オットマン用モータ17aと、操作部40とを備える。
【0020】
制御回路11はマイクロコンピュータにて構成されるとともに、不揮発性のメモリ11aを備える。このメモリ11aには、所定の順番でマッサージが実行される自動コースに係るプログラム、電磁弁の状態と足部ヒータ35の目標温度とが関連付けられたテーブル等が記憶されている。
【0021】
操作部40は、複数の操作スイッチから構成されるとともに、特定のスイッチが操作されると、その旨の操作信号を制御回路11に出力する。
制御回路11は、操作部40からの操作信号に基づき各種動作を実行する。以下、各種動作について説明する。制御回路11は、複数のモータからなる施療子駆動部36を通じて施療子18aを動作させることでマッサージ動作を実行する。この施療子駆動部36は、上記マッサージ機構18を構成する。
【0022】
制御回路11は、オットマン用モータ17aの駆動を通じてオットマン14を上下方向に動かす。また、制御回路11は、リクライニング用モータ16aの駆動を通じて背もたれ部13をリクライニングする。
【0023】
制御回路11は、足部ヒータ35に通電することで足部ヒータ35の温度を上昇させる。ここで、足部ヒータ35はサーミスタ35aを備える。サーミスタ35aは、足部ヒータ35の温度を電圧値として検出し、その検出結果を制御回路11に出力する。制御回路11は、サーミスタ35aからの検出結果に基づき足部ヒータ35の温度を認識する。そして、制御回路11は、認識した温度が目標温度より高い場合には足部ヒータ35への通電を停止し、認識した温度が目標温度より低い場合には足部ヒータ35への通電を開始又は継続する。これにより、足部ヒータ35の温度が目標温度に制御される。
【0024】
制御回路11は、電磁弁32a〜32f及びエアポンプ31を通じて各エアバッグ19〜24を膨張又は収縮させる。図3に示すように、エアポンプ31は、経路28を通じて各エアバッグ19〜24に接続されている。詳しくは、経路28は、エアポンプ31に接続される1本の管が途中で枝分かれして各エアバッグ19〜24に接続されている。この枝分かれした経路28には、それぞれエアバッグ19〜24に対応した電磁弁32a〜32fが設けられている。
【0025】
電磁弁32a〜32fは、通電状態においてはエアポンプ31からの空気が各エアバッグ19〜24に供給可能な給気可能状態となる。また、電磁弁32a〜32fは、非通電状態においてはエアバッグ19〜24内の空気が大気中に排気される大気開放状態となる。
【0026】
ここでは、ふくらはぎエアバッグ21の膨張及び収縮動作について代表して説明する。
ふくらはぎエアバッグ21を膨張させる場合、制御回路11は、エアポンプ31を動作させるとともに、電磁弁32cのみを通電状態(給気可能状態)とする。これにより、エアポンプ31からの空気は電磁弁32cを通じてふくらはぎエアバッグ21に供給される。これにより、ふくらはぎエアバッグ21が膨張する。そして、一定時間経過後に制御回路11は電磁弁32cを非通電状態(大気開放状態)とする。これにより、ふくらはぎエアバッグ21内の空気は、電磁弁32cを通じて大気中に排気される。このため、ふくらはぎエアバッグ21が収縮する。これは他のエアバッグについても同様である。複数の電磁弁が通電状態とされることで、複数のエアバッグを同時に膨張させることも可能である。エアバッグ19〜24の膨張及び収縮動作を繰り返すことで、エアバッグによるマッサージが実施される。
【0027】
次に、オットマン14におけるふくらはぎエアバッグ21、フット押え右エアバッグ22及びフット底エアバッグ24の何れかが膨張しているときの足部ヒータ35の温度設定について図4(a)〜(c)を参照して説明する。
【0028】
図4(a)に示すように、ふくらはぎエアバッグ21が膨張すると、ふくらはぎエアバッグ21によって、ユーザのふくらはぎが両側から保持される。従って、足部ヒータ35の上面と足裏とは離間した状態に保たれる。この状態においては、足部ヒータ35からの熱は空気中に放出し易く、足部ヒータ35の温度に対する足裏の温度(体感温度)は低くなる。従って、予め上記熱放出を見込んで、足部ヒータ35における目標温度は高めの45℃に設定される。すなわち、制御回路11は、上記メモリ11aに記憶されるテーブルに基づき、電磁弁32cのみが通電状態にあるとき、サーミスタ35aにより検出される温度に基づき足部ヒータ35を45℃とする温度制御を行う。
【0029】
図4(b)に示すように、フット押え右エアバッグ22が膨張すると、足の甲の右側が下側へ押さえ付けられる。従って、足部ヒータ35の上面と足裏とは接近、ひいてはマッサージ機10を覆うカバー等を介して接触する。このため、上記ふくらはぎエアバッグ21の膨張時より足部ヒータ35の温度に対する足裏の温度は高くなる。従って、足部ヒータ35の目標温度は、上記ふくらはぎエアバッグ21の膨張時より低い37℃に設定される。すなわち、制御回路11は、上記メモリ11aに記憶されるテーブルに基づき、電磁弁32dが通電状態にあるとき、サーミスタ35aの検出結果に基づき足部ヒータ35を37℃とする温度制御を行う。
【0030】
図4(c)に示すように、フット底エアバッグ24が膨張すると、それに伴い足部ヒータ35が足裏に接近、ひいてはカバー等を介して接触する。このため、上記ふくらはぎエアバッグ21の膨張時より足部ヒータ35の温度に対する足裏の温度は高くなる。
【0031】
ここで、上記各目標温度はエアバッグ膨張時における足部ヒータ35の上面と足裏との距離、及び足部ヒータ35の上面と足裏とがカバー等を介して接触している場合には接触面積並びに接触圧等に基づき、体感温度が一定となるように設定される。詳しくは、足部ヒータ35の上面と足裏との距離が小さいほど、足部ヒータ35の上面と足裏とがカバー等を介して接触している場合には接触面積並びに接触圧が大きいほど目標温度は低く設定される。この各エアバッグ21〜24の状態に応じた足部ヒータ35の上面と足裏との距離並びに接触面積及び接触圧は実験を通じて得られる。この実験で得られた足部ヒータ35の上面と足裏との距離等に基づき各目標温度を算出し、その目標温度を上記テーブルに記憶させる。
【0032】
本例のフット押え右エアバッグ22、足部ヒータ35及びフット底エアバッグ24の構成においては、フット底エアバッグ24膨張時における上記接触面積及び接触圧は、フット押え右エアバッグ22膨張時のそれらより小さくなる。従って、フット底エアバッグ24膨張時の目標温度は、上記ふくらはぎエアバッグ21の膨張時より低く、かつ上記フット押え右エアバッグ22の膨張時より高い40℃に設定される。
【0033】
制御回路11は、上記メモリ11aに記憶されるテーブルに基づき、電磁弁32fが通電状態にあるとき、サーミスタ35aの検出結果に基づき足部ヒータ35を40℃とする温度制御を行う。
【0034】
なお、フット底エアバッグ24とともにふくらはぎエアバッグ21を膨張させた場合も、目標温度は40℃に設定される。
また、上記フット押え右エアバッグ22等の構成によっては、上記接触面積及び接触圧が逆転して、フット底エアバッグ24の膨張時の目標温度がフット押え右エアバッグ22の膨張時より低く設定されることもある。
【0035】
上記例では、フット押え右エアバッグ22の膨張時について説明したが、フット押え左エアバッグ23の膨張時も同様である。フット押え右エアバッグ22及びフット押え左エアバッグ23の両方が膨張される場合には、本例では目標温度は、フット押え右エアバッグ22のみの膨張時より低い35℃に設定される。これは、フット押え右エアバッグ22及びフット押え左エアバッグ23の両方が膨張した場合には、足裏がより大きい接触面積及び接触圧にて足部ヒータ35に接触するためである。
【0036】
最後に、エアポンプ31及び各電磁弁32c〜32fの状態、並びにそのときの目標温度について図5のタイミングチャートを参照しつつ説明する。同図における制御は、例えば、メモリ11aに記憶される自動コースの一部分である。
【0037】
制御回路11は、電磁弁32cを通電状態(給気可能状態)とするとともに、エアポンプ31をオンして経路28に空気を送出することでふくらはぎエアバッグ21を膨張させる。制御回路11は、電磁弁32cが通電状態にある旨認識するとき、目標温度を45℃に設定し、足部ヒータ35を45℃に制御する。
【0038】
制御回路11は、その状態を一定時間維持した後に、さらに電磁弁32fを通電状態(給気可能状態)とすることで、フット底エアバッグ24を膨張させる。制御回路11は、電磁弁32fが通電状態にある旨認識するとき、目標温度を40℃に設定し、足部ヒータ35を40℃に制御する。
【0039】
制御回路11は、一定時間経過後に、電磁弁32c,32fを非通電状態(大気開放状態)とするとともに、エアポンプ31の動作をオフする。これにより、ふくらはぎエアバッグ21及びフット底エアバッグ24は収縮する。その後、制御回路11は、電磁弁32dを通電状態(給気可能状態)とするとともに、エアポンプ31をオンして経路28に空気を送出することでフット押え右エアバッグ22を膨張させる。制御回路11は、電磁弁32dが通電状態にある旨認識するとき、目標温度を37℃に設定し、足部ヒータ35を37℃に制御する。
【0040】
制御回路11は、一定時間経過後に、電磁弁32dを非通電状態(大気開放状態)とする。これにより、フット押え右エアバッグ22は収縮する。それと同時に、制御回路11は、電磁弁32eを通電状態(給気可能状態)とすることで、フット押え左エアバッグ23を膨張させる。制御回路11は、電磁弁32eが通電状態にある旨認識するとき、目標温度を37℃に維持する。
【0041】
制御回路11は、その状態を一定時間維持した後に、さらに電磁弁32dを通電状態(給気可能状態)とすることで、フット押え右エアバッグ22を膨張させる。制御回路11は、電磁弁32d,32eが通電状態にある旨認識するとき、目標温度を35℃に設定し、足部ヒータ35を35℃に制御する。制御回路11は、一定時間経過後に、電磁弁32d,32eを非通電状態(大気開放状態)とするとともに、エアポンプ31の動作をオフする。以上で、図5における処理が終了する。
【0042】
なお、本例では、ふくらはぎエアバッグ21は第1のエアバッグに相当し、フット押え右エアバッグ22、フット押え左エアバッグ23及びフット底エアバッグ24は第2のエアバッグに相当する。そして、ふくらはぎエアバッグ21の膨張時の目標温度は第1の温度に相当し、各エアバッグ22〜24の膨張時の目標温度は第2の温度に相当する。
【0043】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)各エアバッグ21〜24の状態に基づき、足部ヒータ35の上面と足裏との距離等が変化することに着目して目標温度が設定される。目標温度は、エアバッグ膨張時における足部ヒータ35の上面と足裏との距離が大きいほど、足部ヒータ35の上面と足裏とがカバー等を介して接触している場合には接触面積並びに接触圧が小さいほど高く設定される。なお、各エアバッグ21〜24の状態に応じた足部ヒータ35の上面と足裏との距離並びに接触面積及び接触圧は実験を通じて得られ、その実験結果から目標温度を決定できる。これによって、膨張するエアバッグに関わらず足部ヒータ35の加熱を通じた体感温度の差を抑制することができる。
【0044】
また、本発明においては、エアバッグ21〜24の状態は、電磁弁32c〜32fの状態に基づき認識される。従って、簡易な制御にて上記作用効果を奏することができる。
(2)ふくらはぎエアバッグ21が膨張すると、ふくらはぎは両側からふくらはぎエアバッグ21によって保持される。従って、足部ヒータ35の上面と足裏とは離間した状態に保たれるため、足部ヒータ35の温度に対する足裏の温度(体感温度)は低くなる。反対に、他のエアバッグ22〜24の膨張時には、足部ヒータ35の上面と足裏とは接近又はカバー等を介して接触するため、上記ふくらはぎエアバッグ21の膨張時より足部ヒータ35の温度に対する足裏の温度(体感温度)は高くなる。従って、ふくらはぎエアバッグ21の膨張時の目標温度を、他のエアバッグ22〜24の膨張時の目標温度より高く設定することで、足部ヒータ35の加熱を通じた体感温度の差を抑制できる。
【0045】
(3)他のエアバッグ22〜24の膨張時に、足裏が必要以上に温められることが抑制される。よって、足部ヒータ35の加熱に係る無駄な消費電力を抑制することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
【0046】
・上記実施形態においては、足部ヒータ35は電熱線ヒータであったが、ユーザの足裏を加熱することができればこれに限らず、PCT(Positive Temperature Coefficient)ヒータや赤外線ヒータ等であってもよい。PCTヒータの場合には、足部ヒータ35をより迅速に目標温度とすることができる。
【0047】
・上記実施形態においては、温度センサとしてサーミスタ35aが採用されていたが、ヒータの温度を検出可能な温度センサであればこれに限らず、例えば、熱伝対や白金測温体であってもよい。
【0048】
・上記実施形態において各肘掛け部15にエアバッグが内装されていてもよい。具体的には、図6(a)に示すように、両肘掛け部15には、腕に対応する腕エアバッグ51と、掌に対応する掌エアバッグ52とが内装されている。掌エアバッグ52の上側には、手部ヒータ53が設けられている。手部ヒータ53は、足部ヒータ35と同様に構成される。
【0049】
ここで、腕エアバッグ51及び掌エアバッグ52が収縮状態にあるとき、手部ヒータ53は特定の目標温度に設定されているとする。図6(b)に示すように、腕エアバッグ51が膨張した場合には、腕が上側に持ち上げられる。この結果、掌は手部ヒータ53にカバー等を介して接触する。従って、腕エアバッグ51の膨張時における目標温度は上記特定の目標温度より低く設定される。本構成において掌エアバッグ52が省略される構成であってもよい。
【0050】
また、掌エアバッグ52が膨張した場合にも、手部ヒータ53が掌にカバー等を介して接触する。従って、掌エアバッグ52の膨張時における目標温度は上記特定の目標温度より低く設定される。なお、この例においても、腕エアバッグ51及び掌エアバッグ52の状態は、それらエアバッグ51,52に対応する電磁弁の状態に基づき認識される。
【0051】
・上記実施形態において、さらに背もたれ部13のリクライニング位置及びオットマン14の上下方向の位置等によって、足裏と足部ヒータ35との距離が変化することを加味して目標温度を設定してもよい。
【0052】
・上記実施形態において、エアバッグ21〜24が全て収縮状態にあるときには、足裏と足部ヒータ35とは離間しているとしてふくらはぎエアバッグ21の膨張時と同様の目標温度(例えば45℃)に設定されてもよい。
【0053】
・上記実施形態においては、各エアバッグ21〜24の状態に基づき、目標温度が設定されていた。しかし、複数のエアバッグではなく、1つのエアバッグに着目して目標温度が設定されてもよい。例えば、フット底エアバッグ24の膨張時には目標温度を低く設定し、フット底エアバッグ24の収縮時には目標温度を高く設定してもよい。この場合には、他のエアバッグを省略してもよい。
【0054】
・上記実施形態においては、電磁弁は通電状態においては給気可能状態であって、非通電状態においては大気開放状態となるものであったが、その逆に通電状態においては大気開放状態となって、非通電状態においては給気可能状態となる電磁弁であってもよい。
【0055】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜4の何れか一項に記載のマッサージ機において、前記ヒータの温度を検出する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサの検出結果に基づき、前記ヒータの温度を設定された目標温度に制御するマッサージ機。
【符号の説明】
【0056】
10…マッサージ機、11…制御回路(制御部)、14…オットマン、15…肘掛け部、19…肩外エアバッグ、20…腰エアバッグ、21…ふくらはぎエアバッグ、22…フット押え右エアバッグ、23…フット押え左エアバッグ、24…フット底エアバッグ、31…エアポンプ、32a〜32f…電磁弁、35…足部ヒータ、35a…サーミスタ、51…腕エアバッグ、52…掌エアバッグ、53…手部ヒータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの施療部位を加熱するヒータと、
供給又は排出される空気によって膨張又は収縮し、その膨張又は収縮に伴いユーザの施療部位をマッサージするとともに前記ヒータと人体との位置関係を定めるエアバッグと、
前記エアバッグに空気を供給可能な給気可能状態と、前記エアバッグ内の空気を外部に放出可能な大気開放状態との間で切り替わる電磁弁と、
前記電磁弁を介して前記エアバッグに空気を供給するポンプと、
前記ヒータの温度を制御するとともに、前記電磁弁を前記大気開放状態から前記給気可能状態としたとき前記ポンプを駆動させることで前記エアバッグを膨張させ、その膨張状態において前記電磁弁を前記大気開放状態とすることで前記エアバッグを収縮させる制御部と、を備えたマッサージ機において、
前記制御部は、前記電磁弁の状態に基づき前記ヒータの温度を設定することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記ヒータは、ユーザの足裏に対向して位置するとともに、
前記エアバッグは、膨張時には、ふくらはぎを両側から保持する第1のエアバッグと、膨張時には、前記足裏及び前記ヒータ間の距離を小さくする第2のエアバッグと、を有し、
前記制御部は、前記第1のエアバッグに対応する前記電磁弁が給気可能状態にあって、前記第2のエアバッグに対応する前記電磁弁が大気開放状態にあるとき、前記ヒータの温度を第1の温度に設定し、
前記第1のエアバッグに対応する前記電磁弁の状態に関わらず、前記第2のエアバッグに対応する前記電磁弁が給気可能状態にあるとき前記ヒータの温度を、前記第1の温度より低い第2の温度に設定することを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項2に記載のマッサージ機において、
前記第2のエアバッグは、膨張時に足の甲を上から押すフット押えエアバッグと、膨張時に前記ヒータを足裏に接近させる態様で足裏を下から押すフット底エアバッグと、からなることを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記ヒータは、肘掛け部における掌が置かれる位置に内蔵され、
前記エアバッグは、前記肘掛け部における腕に対応する位置に内装されるとともに、膨張時には腕を支点として掌を前記ヒータ側に変位させ、
前記制御部は、前記エアバッグに対応する前記電磁弁が大気開放状態にあるとき、前記ヒータの温度を第1の温度に設定し、前記エアバッグに対応する前記電磁弁が給気可能状態にあるとき、前記ヒータの温度を前記第1の温度より低い第2の温度に設定することを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−66507(P2013−66507A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205043(P2011−205043)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】