説明

マッサージ機

【課題】マッサージ機において、一時停止されたマッサージ動作の再開時に、一時停止時と異なるユーザが着座した場合であっても、そのユーザに適したマッサージ動作を行うことにある。
【解決手段】マッサージ動作が一時停止された状態において、一時停止スイッチ15が操作されたとき、一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かが判断される。そして、ユーザが同一と判断された場合にはマッサージ動作が再開され、ユーザが同一でないと判断された場合にはマッサージ動作は終了される。このようにマッサージ動作が終了された場合には、各種の操作スイッチ14の操作を通じて、マッサージ動作が再び最初から開始される際に、肩位置が検知されることで、新たなユーザに適したマッサージを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子に配置される施療子及びエアバッグを動作させることで、ユーザの施療部位に対して押圧等のマッサージを行うマッサージ機が存在する。
この種のマッサージ機において施療中のユーザが一時的に離座することがある。この場合、離座前に休止スイッチ(一時停止スイッチ)が操作されることで、マッサージ動作が一時停止される。再び着座する際に、休止スイッチが再操作されることで、途中からマッサージ動作が再開される(例えば、特許文献1に記載)。また、離座が検出されたときにマッサージ動作が自動で一時停止され、再び着座が検出されたときに自動でマッサージ動作が再開される構成も存在する(例えば、特許文献2に記載)。
【0003】
また、マッサージ機において、マッサージ動作を開始するにあたってユーザの肩位置を検知し、その検知結果に基づき、そのユーザの体形に適したマッサージを行う構成も存在する(例えば、特許文献3に記載)。
【0004】
また、上記特許文献1〜3を組み合わせた、すなわち一時停止機能及び体格検知機能を備えたマッサージ機も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−24400号公報
【特許文献2】特開2006−149417号公報
【特許文献3】特開2006−326000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記一時停止機能及び体格検知機能を備えたマッサージ機において、マッサージ動作が一時停止された状態において、最初にマッサージを受けていたユーザと異なる新たなユーザが着座する場合がある。この場合において、マッサージ動作が再開されても、再び肩位置の検知は実行されないため、新たなユーザに適したマッサージ動作が行われていなかった。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一時停止されたマッサージ動作の再開時に、一時停止時と異なるユーザが着座した場合であっても、そのユーザに適したマッサージ動作を行うマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージ機は、ユーザに対してマッサージ動作を行うマッサージ機構と、ユーザの体格を検知する体格検知部と、前記体格検知部の検知結果に基づき、前記マッサージ機構を通じてユーザの体格に適したマッサージ動作を実行する制御部と、を備えた椅子型のマッサージ機において、前記制御部は、前記マッサージ動作の一時停止機能を備えるとともに、一時停止後に前記マッサージ動作を再開するにあたって一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断し、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一である旨判断すると、前記マッサージ動作を再開し、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一でない旨判断すると、前記体格検知部を通じて再度体格の検知を行った後に、再開時のユーザの体格に適した前記マッサージ動作を実行する。
【0009】
また、上記構成において、前記制御部は、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一でない旨判断すると、前記一時停止されていた前記マッサージ動作を終了するとともに、ユーザのスイッチ操作を通じて前記マッサージ動作を開始するにあたって、前記体格検知部を通じて体格の検知を行い、その検知結果に基づき前記再開時のユーザの体格に適した前記マッサージ動作を実行することが好ましい。
【0010】
また、上記構成において、前記マッサージ動作を一時停止する一時停止スイッチを備え、前記制御部は、前記マッサージ動作中に前記一時停止スイッチが操作された旨認識すると前記マッサージ動作を一時停止し、この一時停止した状態において前記一時停止スイッチが操作された旨認識すると前記マッサージ動作を再開するにあたって、一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、ユーザの着座及び離座を検出する着座センサを備え、前記制御部は、前記マッサージ動作が一時停止された状態において、前記着座センサの検出結果に基づき、ユーザが着座した旨認識したとき、一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、前記体格検知部は、着座したユーザの肩の位置を検出する肩位置検知部であって、前記制御部は、前記マッサージ動作を開始するにあたって前記肩位置検知部を通じてユーザの肩位置を認識し、その肩位置の体格に適した前記マッサージ動作を実行するとともに、一時停止後に前記マッサージ動作を再開するにあたって前記肩位置検知部を通じてユーザの肩位置を認識し、その肩位置と前記マッサージ動作の開始時の肩位置との比較に基づき、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することが好ましい。
【0013】
また、上記構成において、前記制御部は、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一でない旨判断すると、表示器を通じてユーザに対して一時停止前のユーザと同一であるか否かの回答を要求し、ユーザのスイッチ操作を通じてユーザが同一である旨の回答を受けた旨判断したとき、前記マッサージ動作を再開し、ユーザのスイッチ操作を通じてユーザが同一でない旨の回答を受けた旨判断したとき、前記体格検知部を通じて再度体格の検知を行った後に、再開時のユーザの体格に適した前記マッサージ動作を実行することが好ましい。
【0014】
また、上記構成において、着座したユーザの生体情報を取得する生体情報取得部を備え、前記制御部は、前記マッサージ動作が一時停止される前に前記生体情報取得部を通じてユーザの生体情報を認識するとともに、一時停止後に前記マッサージ動作を再開するにあたって前記生体情報取得部を通じてユーザの生体情報を認識し、前記両生体情報の比較に基づき、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することが好ましい。
【0015】
また、上記構成において、着座したユーザの体重を検出する体重センサを備え、前記制御部は、前記マッサージ動作が一時停止される前に前記体重センサを通じてユーザの体重を認識するとともに、一時停止後に前記マッサージ動作を再開するにあたって前記体重センサを通じてユーザの体重を認識し、認識された前記両体重の比較に基づき、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、マッサージ機において、一時停止されたマッサージ動作の再開時に、一時停止時と異なるユーザが着座した場合であっても、そのユーザに適したマッサージ動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る一実施形態におけるマッサージ機の概略構成を示す正面図。
【図2】本発明に係る一実施形態のマッサージ機の電気的構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る一実施形態の制御回路の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明のマッサージ機を具体化した第1の実施形態を図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0019】
まず、マッサージ機の機械的構成について説明する。
図1に示すように、マッサージ機1は椅子型であって、座部5と、背もたれ部3と、肘掛け部7と、リクライニング機構4と、マッサージ機構10と、を備える。
【0020】
座部5は、図示しない支持脚部にて支持されている。そして、背もたれ部3は、リクライニング機構4を通じて座部5の後端に対して傾動可能に取り付けられている。また、座部5の両側部には肘掛け部7が組み付けられている。
【0021】
また、背もたれ部3の中央部には、マッサージ機構10が内蔵されている。マッサージ機構10は施療子8を備える。施療子8は、ユーザの肩、背中、腰に対して、上下幅方向への動作、並びに接触及び離間動作をすることでマッサージを行う。
【0022】
次に、マッサージ機の電気的構成について説明する。
マッサージ機1は、制御回路11と、圧力センサ17と、駆動部18と、表示器13と、各種の操作スイッチ14と、リクライニング用モータ19とを備える。
【0023】
制御回路11はマイクロコンピュータにて構成されるとともに、不揮発性のメモリ11aと、タイマ11b,11cとを備える。メモリ11aには、所定の順番でマッサージが実行されるマッサージのコースに係るプログラム等が記憶されている。
【0024】
各種の操作スイッチ14は操作されると、その旨の操作信号を制御回路11に出力する。複数の操作スイッチのうち1つは一時停止スイッチ15である。
圧力センサ17及び駆動部18は、マッサージ機構10を構成するものである。制御回路11は、駆動部18を通じて施療子8を動作させることでマッサージ動作を実行する。
【0025】
圧力センサ17は、施療子8に加わる圧力を検出し、その検出結果を制御回路11に出力する。制御回路11は、各種の操作スイッチ14からの操作信号に基づき、マッサージのコースを開始する際に、施療子8を上下方向に動作させたときの圧力センサ17の検出結果に基づき肩位置を検知する。そして、制御回路11は、検知された肩位置に適したストロークでマッサージ動作を行う。すなわち、圧力センサ17及び制御回路11は、肩位置検知部又は体格検知部に相当する。
【0026】
リクライニング用モータ19は、リクライニング機構4を構成するものである。制御回路11は、リクライニング用モータ19の駆動を通じて、背もたれ部3を初期位置から傾動させ、その傾動した状態から初期位置に収納する。
【0027】
表示器13は、動作中のマッサージの内容等を表示するものであって、制御回路11によって制御される。
制御回路11は、マッサージ動作中に、一時停止スイッチ15からの操作信号を受けると、そのマッサージ動作を一時停止する。このとき、制御回路11は、タイマ11cを通じて一時停止時間Tstの計測を開始する。制御回路11は、一時停止時間Tstが一定時間T1に達した旨判断したとき、背もたれ部3が初期位置に対して傾いた状態であればリクライニング用モータ19の駆動を通じて背もたれ部3を収納した後にマッサージ動作を終了する。この場合には、一時停止された状態はリセットされる。このとき、検知された肩位置もリセットされる。その後にマッサージ機の電源がオフ状態とされる。
【0028】
また、制御回路11は、一時停止時間Tstが一定時間T1に達する前に、一時停止スイッチ15からの操作信号を再び受けると、上記肩位置検知を再び行う。そして、制御回路11は、マッサージのコースを開始する際に検知された肩位置と、今回検知された肩位置との差が閾値未満である旨判断した場合には、一時停止前及び再開時のユーザが同一であるとして、マッサージ動作を再開する。一方、制御回路11は、両肩位置の差が閾値以上である旨判断した場合には、一時停止前及び再開時のユーザが異なるとして、背もたれ部3が初期位置に対して傾いた状態であればリクライニング用モータ19の駆動を通じて背もたれ部3を収納した後にマッサージ動作を終了する。この場合にも、一時停止された状態はリセットされる。このとき、検知された肩位置もリセットされる。その後にマッサージ機の電源がオフ状態とされる。電源オフ状態から新たなユーザは各種の操作スイッチ14の操作を通じて、自身の肩位置に適したマッサージをコースの最初から受けることができる。
【0029】
次に、制御回路11によって実行されるマッサージのコースに係る処理手順について図3のフローチャートを参照しつつ説明する。このフローチャートは、各種の操作スイッチ14からの操作信号に基づき所定のコースが選択されたときに開始される。
【0030】
まず、タイマ11bを通じてコース開始からの経過時間であるコース時間の計測が開始される(S101)。そして、肩位置が検知される(S102)。この検知された肩位置に適したマッサージ動作が開始される(S103)。次に、一時停止スイッチ15の操作の有無が判断される(S104)。一時停止スイッチ15の操作がない旨判断されたとき(S104でNO)、計測中のコース時間が一定時間T2以上となったか否かが判断される(S105)。コース時間が一定時間T2未満である旨判断されたとき(S105でNO)、ステップS103の処理に戻ってマッサージ動作が継続される。一方、コース時間が一定時間T2以上となった旨判断されたとき(S105でYES)、背もたれ部3が初期位置に対して傾いた状態にあれば背もたれ部3が収納された後に(S106)、処理が終了される。
【0031】
一時停止スイッチ15の操作がある旨判断されたとき(S104でYES)、マッサージ動作が一時停止される(S107)。それと同時に、タイマ11cを通じて一時停止時間Tstの計測が開始される(S108)。このとき、コース時間の計測は一時停止される。
【0032】
そして、一時停止時間Tstが一定時間T1以上となったか否かが判断される(S109)。一時停止時間Tstが一定時間T1未満である旨判断された場合(S109でNO)、一時停止スイッチ15の再操作の有無が判断される(S110)。一時停止スイッチ15の操作がない旨判断されると(S110でNO)、再び、一時停止時間Tstが一定時間T1以上となったか否かが判断される(S109)。一時停止時間Tstが一定時間T1以上となった旨判断されたとき(S109でYES)、背もたれ部3が初期位置に対して傾いた状態にあれば背もたれ部3が収納された後に(S106)、処理が終了される。
【0033】
一時停止スイッチ15が再操作された旨判断されると(S110でYES)、再び肩位置が検知される(S111)。そして、今回検知された肩位置と、ステップS102において検知された肩位置との差に基づき、一時停止前のユーザと、再開時のユーザとが同一であるか否かが判断される(S112)。上記両肩位置の差が閾値以上である場合には一時停止前のユーザと、再開時のユーザとが同一でない旨判断されて(S112でNO)、背もたれ部3が初期位置に対して傾いた状態にあれば背もたれ部3が収納された後に(S106)、処理が終了される。この場合、ステップS110において、一時停止スイッチ15を操作したユーザは、各種の操作スイッチ14の操作を通じて、コースを最初から開始することで、自身の肩位置に適したマッサージを受けることができる。
【0034】
上記両肩位置の差が閾値未満である場合には一時停止前のユーザと、再開時のユーザとが同一である旨判断されて(S112でYES)、マッサージ動作が再開され(S113)、ステップS103の処理が実行される。このマッサージ動作の再開に伴って、タイマ11bを通じたコース時間の計測が再開される。このとき、タイマ11cを通じた一時停止時間Tstの計測はリセットされる。
【0035】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)マッサージ動作が一時停止された状態において、一時停止スイッチ15が操作されたとき、一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かが判断される。そして、ユーザが同一と判断された場合にはマッサージ動作が再開され、ユーザが同一でないと判断された場合にはマッサージ動作は終了される。このようにマッサージ動作が終了された場合には、各種の操作スイッチ14の操作を通じて、マッサージ動作が再び最初から開始される際に、肩位置が検知されることで、新たなユーザに適したマッサージを提供することができる。
【0036】
(2)マッサージ動作が一時停止されている状態において一時停止スイッチ15が操作された旨認識すると、ユーザが着座したとして、ユーザが同一であるか否かの判断が行われる。この場合には、着座を検出する手段を設ける必要がなく、マッサージ機をより簡易に構成することができる。
【0037】
(3)検知された肩位置に基づき、ユーザが同一であるか否かの判断が行われる。ここで、肩位置の検知は、ユーザに適したマッサージを行うにあたって必要な処理である。この肩位置の検知をユーザが同一であるか否かの判断に利用することで、既存のマッサージ機の構成にて容易に当該判断を行うことができる。
【0038】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかるマッサージ機の第2の実施形態について説明する。この実施形態のマッサージ機は、着座センサを備える点が上記第1の実施形態と異なっている。この点を除き、第1の実施形態のマッサージ機と同様の構成を備えている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0039】
図2の1点鎖線で示される着座センサ16は、座部5にユーザが着座したこと、及び座部5からユーザが離座したことを検出し、その検出結果を制御回路11に出力する。着座センサ16としては、例えば着座時に座部5に加わる圧力を検知する圧力検知方式が採用される。
【0040】
本実施形態においては、図3のフローチャートにおいてステップS104でNOと判断されたとき新たにステップS150の処理が、ステップS110でNOと判断されたとき新たにステップS151の処理が制御回路11によって実行される。
【0041】
まず、ステップS150について説明する。
一時停止スイッチ15の操作がない旨判断されたとき(S104でNO)、着座センサ16を通じてユーザが離座したか否かが判断される(S150)。ユーザが離座しない、すなわち着座した状態である旨判断されたとき(S150でNO)、計測中のコース時間が一定時間T2以上となったか否かが判断される(S105)。一方、ユーザが離座した旨判断されたとき(S150でYES)、マッサージ動作が一時停止される(S107)。
【0042】
次に、ステップS151について説明する。
マッサージ動作が一時停止した状態において一時停止スイッチ15の操作がない旨判断されると(S110でNO)、ユーザが着座したか否かが判断される(S151)。ユーザが着座しない、すなわち離座した状態である旨判断されたとき(S151でNO)、ステップS109の処理が実行される。また、ユーザが着座した旨判断されたとき(S151でYES)、再び肩位置が検知される(S111)。その他の処理は、第1の実施形態と同様である。
【0043】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(3)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(4)マッサージ動作中にユーザが離座すると、マッサージ動作は自動で一時停止される。また、一時停止状態においてユーザが着座すると、一時停止前のユーザ及び再開時のユーザが同一であるか否かが判断され、これが同一と判断された場合にはマッサージ動作が再開される。一方、両ユーザが同一でないと判断された場合にはマッサージ動作は終了される。この場合、各種の操作スイッチ14の操作を通じて、マッサージ動作が再び最初から開始される際に、肩位置が検知されることで、新たなユーザの肩位置に適したマッサージが提供される。よって、一時停止スイッチ15の操作なく、ユーザが離座した後に、このユーザと異なる新たなユーザが着座した場合であっても、新たなユーザに適したマッサージを提供することができる。
【0044】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記各実施形態においては、ユーザが同一でない旨の判断がされた場合(S112でNO)には、背もたれ部3が収納された後に(S106)、処理が終了されていた。しかし、ユーザが同一でない旨の判断がされた場合(S112でNO)に、ステップS111における肩位置の検知結果に基づき、新たなユーザに適したマッサージ動作を最初から開始(すなわち、ステップS103の処理に移行)してもよい。さらに、新たなユーザに適したマッサージ動作を途中から再開してもよい。これにより、新たなユーザに対して肩位置の検知が複数回行われることを抑制できる。具体的には、2つのステップS102,S111のうち、ステップS102を省略することができる。
【0045】
また、以下のような処理手順としてもよい。すなわち、ステップS111において検知された肩位置をメモリ11aに記憶させる。そして、ユーザが同一でない旨の判断(S112でNO)を通じてマッサージ動作が終了されたときから一定時間以内に操作スイッチ14の操作を通じてコースが開始された場合にはステップS102の検知を行わずにメモリ11aに記憶される肩位置が利用される。これによっても、新たなユーザに対して肩位置の検知が複数回行われることを抑制できる。
【0046】
・上記各実施形態においては、肩位置が検知されていたが、肩位置のみならずユーザの体格を検知し、その検知された体格の比較に基づき、ユーザが同一であるか否かの判断を行ってもよい。
【0047】
また、上記肩位置を含む体格の比較に限らず、その他の手法を通じて、ユーザが同一であるか否かの判断を行ってもよい。例えば、図2の1点鎖線で示すように、マッサージ機1に生体情報取得部40を設ける。この生体情報取得部40は、肘掛け部7における手指が接触する箇所に設けられるとともに、ユーザの指紋情報を取得する。
【0048】
制御回路11は、図3のステップS107までに指紋情報を取得し、その指紋情報をメモリ11aに記憶させる。そして、制御回路11は、ステップS111に代えて、再び指紋情報を取得し、その指紋情報と、メモリ11aに記憶される指紋情報との照合を行う。制御回路11は、指紋情報の照合が成立した旨判断したとき、ユーザが同一である旨判断する(S112でYES)。一方、制御回路11は、指紋情報の照合が成立しない旨判断したとき、ユーザが同一でない旨判断する(S112でNO)。その他は、上記第1又は第2の実施形態と同様である。本構成によれば、同一人であるか否かに係る判断精度を向上させることができる。また、指紋情報が取得できない場合には、表示器13を通じて手指を生体情報取得部40に接触させることを要求する旨を表示してもよい。この要求は、表示器13に設けられるスピーカからの音声を通じて行われてもよい。さらに、音声及び表示を同時に行ってもよい。また、生体認証であれば、指紋に限らず声紋認証、又は静脈パターンの認証であってもよい。
【0049】
さらに、ユーザの体重を通じて、ユーザが同一であるか否かの判断を行ってもよい。図2に1点鎖線で示すように、マッサージ機1には体重センサ41が設けられる。体重センサ41は、着座したユーザの体重を検出し、その検出結果を制御回路11に出力する。
【0050】
制御回路11は、図3のステップS107までに、体重センサ41を通じて体重を認識し、その体重をメモリ11aに記憶させる。そして、制御回路11は、ステップS111に代えて、再びユーザの体重を認識し、その体重と、メモリ11aに記憶される体重との差が閾値以上となるか否かを判断する。制御回路11は、両体重の差が閾値未満である旨判断したとき、ユーザが同一である旨判断する(S112でYES)。一方、制御回路11は、両体重の差が閾値以上である旨判断したとき、ユーザが同一でない旨判断する(S112でNO)。その他は、上記第1又は第2の実施形態と同様である。本構成によれば、肩位置検知と異なって施療子8を利用せずにユーザが同一であるか否かが判断可能である。このため、マッサージ動作に対して独立して、ユーザが同一であるか否かの判断を行うことができる。よって、より迅速にマッサージ動作を再開させることができる。また、上述の体重、肩位置及び生体情報を組み合わせて、同一人であるか否かに係る判断を行ってもよい。この場合、同一人であるか否かに係る判断精度を向上させることができる。
【0051】
さらに、マッサージ機1は、ユーザが所持する携帯電話との間で無線通信を行うことで、ユーザが同一であるか否かに係る判断を行ってもよい。この場合、制御回路11は、受信した携帯電話からの無線信号に含まれる識別コードに基づき当該判断を行う。
【0052】
・上記各実施形態においては、ユーザが同一でない旨判断された場合(S112でNO)、マッサージ動作が終了されていた。しかし、ユーザが同一でない旨判断された場合に、ユーザに対してユーザが同一であるか否かの回答を要求してもよい。具体的には、制御回路11は、表示器13を通じて、一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かの回答を要求する旨の画面を表示する。制御回路11は、各種の操作スイッチ14からの操作信号に基づき、ユーザが同一でない旨の回答がされたと判断すると、図3のステップS106の処理に進む。一方、制御回路11は、各種の操作スイッチ14からの操作信号に基づき、ユーザが同一である旨の回答がされたと判断すると、図3のステップS113の処理に進む。本構成においては、ユーザが同一でない旨の誤判断がされた場合であっても、即座にマッサージ動作が終了されることを抑制できる。
【0053】
・第2の実施形態において、ステップS104,S110の処理を省略してもよい。本構成においては、離座したときにのみマッサージ動作が一時停止され、その後、着座したときにのみマッサージ動作が再開される。この場合には、一時停止スイッチ15を省略した構成を採用することもできる。
【0054】
・第2の実施形態においては、着座センサ16として圧力検知方式が採用されていたが、ユーザの着座及び離座を検知可能であればこれに限らず、例えば赤外線等で検知する光学検知方式又は着座及び離座に伴いスイッチがオンオフするスイッチ検知方式であってもよい。
【0055】
・上記各実施形態において、図3のステップS106における背もたれ部3を収納する処理を省略してもよい。
・上記各実施形態においては一時停止した状態において、一時停止スイッチ15が操作されたとき又は着座した旨判断されたとき、一時停止前のユーザと、再開時のユーザとが同一であるか否かの判断が行われていた。しかし、この判断を行うトリガはこれに限らず、例えば、一時停止スイッチ15以外の各種の操作スイッチ14の操作であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…マッサージ機、10…マッサージ機構、11…制御回路(制御部)、13…表示器、14…操作スイッチ、15…一時停止スイッチ、16…着座センサ、17…圧力センサ、40…生体情報取得部、41…体重センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対してマッサージ動作を行うマッサージ機構と、
ユーザの体格を検知する体格検知部と、
前記体格検知部の検知結果に基づき、前記マッサージ機構を通じてユーザの体格に適したマッサージ動作を実行する制御部と、を備えた椅子型のマッサージ機において、
前記制御部は、前記マッサージ動作の一時停止機能を備えるとともに、一時停止後に前記マッサージ動作を再開するにあたって一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断し、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一である旨判断すると、前記マッサージ動作を再開し、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一でない旨判断すると、前記体格検知部を通じて再度体格の検知を行った後に、再開時のユーザの体格に適した前記マッサージ動作を実行することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一でない旨判断すると、前記一時停止されていた前記マッサージ動作を終了するとともに、ユーザのスイッチ操作を通じて前記マッサージ動作を開始するにあたって、前記体格検知部を通じて体格の検知を行い、その検知結果に基づき前記再開時のユーザの体格に適した前記マッサージ動作を実行することを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマッサージ機において、
前記マッサージ動作を一時停止する一時停止スイッチを備え、
前記制御部は、前記マッサージ動作中に前記一時停止スイッチが操作された旨認識すると前記マッサージ動作を一時停止し、この一時停止した状態において前記一時停止スイッチが操作された旨認識すると前記マッサージ動作を再開するにあたって、一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のマッサージ機において、
ユーザの着座及び離座を検出する着座センサを備え、
前記制御部は、前記マッサージ動作が一時停止された状態において、前記着座センサの検出結果に基づき、ユーザが着座した旨認識したとき、一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することを特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のマッサージ機において、
前記体格検知部は、着座したユーザの肩の位置を検出する肩位置検知部であって、
前記制御部は、前記マッサージ動作を開始するにあたって前記肩位置検知部を通じてユーザの肩位置を認識し、その肩位置の体格に適した前記マッサージ動作を実行するとともに、一時停止後に前記マッサージ動作を再開するにあたって前記肩位置検知部を通じてユーザの肩位置を認識し、その肩位置と前記マッサージ動作の開始時の肩位置との比較に基づき、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することを特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一でない旨判断すると、表示器を通じてユーザに対して一時停止前のユーザと同一であるか否かの回答を要求し、ユーザのスイッチ操作を通じてユーザが同一である旨の回答を受けた旨判断したとき、前記マッサージ動作を再開し、ユーザのスイッチ操作を通じてユーザが同一でない旨の回答を受けた旨判断したとき、前記体格検知部を通じて再度体格の検知を行った後に、再開時のユーザの体格に適した前記マッサージ動作を実行することを特徴とするマッサージ機。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のマッサージ機において、
着座したユーザの生体情報を取得する生体情報取得部を備え、
前記制御部は、前記マッサージ動作が一時停止される前に前記生体情報取得部を通じてユーザの生体情報を認識するとともに、一時停止後に前記マッサージ動作を再開するにあたって前記生体情報取得部を通じてユーザの生体情報を認識し、前記両生体情報の比較に基づき、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することを特徴とするマッサージ機。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載のマッサージ機において、
着座したユーザの体重を検出する体重センサを備え、
前記制御部は、前記マッサージ動作が一時停止される前に前記体重センサを通じてユーザの体重を認識するとともに、一時停止後に前記マッサージ動作を再開するにあたって前記体重センサを通じてユーザの体重を認識し、認識された前記両体重の比較に基づき、前記一時停止前と再開時とのユーザが同一であるか否かを判断することを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−66552(P2013−66552A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206134(P2011−206134)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】