説明

マッサージ機

【課題】脚の下腿部にマッサージを効果的に行うことができる上に、大腿部のストレッチも行うことができるものとする。
【解決手段】下腿部用のマッサージ部2は下腿部両側面に接するエアバッグ22とふくらはぎに接するエアバッグ21とを有して両エアバッグは異なるバルブVを介してエア供給用のポンプPに接続される。足先部用のマッサージ部その膨張で足先部を固定するエアバッグを有する。エアバッグのエアの給排による膨張収縮を制御する制御手段は、足先部用のエアバッグを膨張させて足先部を固定した後に前記ふくらはぎに接するエアバッグを膨張させる動作モードを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機、殊に膨張収縮するエアバッグによって脚のマッサージを行う脚用のマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアバッグを用いた脚用のマッサージ機は、たとえば特許文献1に示されているように、人体の脚の下腿部が嵌る溝の両側壁と溝の底部とに夫々膨張収縮するエアバッグを配したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−161766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、下腿部へのマッサージのみを行うことができるだけのものとなる。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、脚の下腿部にマッサージを効果的に行うことができる上に、大腿部のストレッチも行うことができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、人体の脚の下腿部用のマッサージ部と、人体の脚の足先部用のマッサージ部と、各マッサージ部が有しているエアバッグのエアの給排による膨張収縮を制御する制御手段とを備え、下腿部用のマッサージ部は下腿部が嵌る溝の両側壁にあって下腿部両側面に接するエアバッグと、上記溝の底部にあって下腿部のふくらはぎに接するエアバッグとを有して両エアバッグは異なるバルブを介してエア供給用のポンプに接続されており、足先部用のマッサージ部はその膨張で足先部を固定するエアバッグを有しており、上記制御手段は、足先部用のエアバッグを膨張させて足先部を固定した後に前記ふくらはぎに接するエアバッグを膨張させる動作モードを備えていることに特徴を有している。
【0007】
下腿部を夫々側面と背面の3方向からマッサージすることができるものであり、しかも足先を固定した状態で下腿部を押し出すことによる足首のアキレス腱のストレッチ動作や、大腿筋のストレッチ動作を得ることができる。
【0008】
請求項2の発明は、人体の脚の下腿部用のマッサージ部と、人体の脚の足先部用のマッサージ部と、各マッサージ部が有しているエアバッグのエアの給排による膨張収縮を制御する制御手段とを備え、下腿部用のマッサージ部は下腿部が嵌る溝の両側壁にあって下腿部両側面に接するエアバッグと、上記溝の底部にあって下腿部のふくらはぎに接するエアバッグとを有して両エアバッグは異なるバルブを介してエア供給用のポンプに接続されており、足先部用のマッサージ部はその膨張で足先部を固定するエアバッグを有しており、上記制御手段は、下腿部用のマッサージ部における側壁にあるエアバッグを膨張させた後、下腿部用のマッサージ部におけるふくらはぎに接するエアバッグを膨張させ、足先部用のエアバッグを膨張させて足先部を固定した状態で上記下腿部用のマッサージ部における側壁にあるエアバッグを収縮させる動作モードを備えていることに特徴を有している。
【0009】
このものにおいても、下腿部のマッサージに加えて大腿筋のストレッチを行うことができる。
【0010】
請求項3の発明は、人体の脚の下腿部用のマッサージ部と、人体の脚の足先部用のマッサージ部と、各マッサージ部が有しているエアバッグのエアの給排による膨張収縮を制御する制御手段とを備え、下腿部用のマッサージ部は下腿部が嵌る溝の両側壁にあって下腿部両側面に接するエアバッグと、上記溝の底部にあって下腿部のふくらはぎに接するエアバッグとを有して両エアバッグは異なるバルブを介してエア供給用のポンプに接続されており、足先部用のマッサージ部はその膨張で足先部を固定するエアバッグを有しており、下腿部用のマッサージ部と足先部用のマッサージ部とは、椅子の座部の先端に回動自在に連結された支持体に設けられてオットマンを形成しており、該支持体の回動も制御する上記制御手段は、下腿部用のマッサージ部における側壁にあるエアバッグと下腿部用のマッサージ部におけるふくらはぎに接するエアバッグとを膨張させてこれらエアバッグで下腿部を挟持した後、足先部用のマッサージ部のエアバッグを膨張させて足先部を固定し且つ下腿部用のマッサージ部におけるすくなくともふくらはぎに接するエアバッグを膨張させた状態で脚における足先が下がる方向に上記支持体を回動させる動作モードを備えていることに特徴を有しており、請求項4の発明は、人体の脚の下腿部用のマッサージ部と、人体の脚の足先部用のマッサージ部と、各マッサージ部が有しているエアバッグのエアの給排による膨張収縮を制御する制御手段とを備え、下腿部用のマッサージ部は下腿部が嵌る溝の両側壁にあって下腿部両側面に接するエアバッグと、上記溝の底部にあって下腿部のふくらはぎに接するエアバッグとを有して両エアバッグは異なるバルブを介してエア供給用のポンプに接続されており、足先部用のマッサージ部はその膨張で足先部を固定するエアバッグを有しており、下腿部用のマッサージ部と足先部用のマッサージ部とは、椅子の座部の先端に回動自在に連結された支持体に設けられてオットマンを形成しており、該支持体の回動も制御する上記制御手段は、足先部用のエアバッグを膨張させて足先部を固定した状態で前記ふくらはぎに接するエアバッグを膨張させる動作と、脚における足先が下がる方向に上記支持体を回動させる動作とを行う動作モードを備えていることに特徴を有している。
【0011】
この場合、支持体の回動が加わることで、大腿部のストレッチを更に有効に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、下腿部を両側面と背面とからエアバッグで加圧することができるものであり、しかも腿部用のマッサージ部と足先部用のマッサージ部とを利用して大腿部の大腿筋を伸ばすストレッチも行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】同上の全体構成を示す概略図である。
【図3】(a)(b)は同上の動作の一例を示す側面図である。
【図4】同上の動作の一例のタイムチャートである。
【図5】同上の動作の他例を示す側面図である。
【図6】同上の動作の他例のタイムチャートである。
【図7】同上の動作の更に他例のタイムチャートである。
【図8】同上の動作の別の例のタイムチャートである。
【図9】同上の動作の他の例のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、マッサージ機は図2に示すように、椅子4の座部40の前端に軸41によって回動自在に連結された支持体10と、この支持体10に軸11によって連結されたベース12と、一面にフラットな足載せ面13を備えたベース12の他面側に設けた2つのマッサージ部2,3とからなる。
【0015】
上記支持体10は、伸縮アクチュエータAによって軸41を中心に上下に回動するものであり、ベース12は軸11を中心に180°回転させることで、図示のマッサージ部2,3が表面に位置している状態から、フラットな足載せ面13が表面に位置している状態に切り換えることができるものとなっている。
【0016】
上記両マッサージ部2,3のうち、座部40寄りのマッサージ部2は、脚における下腿部のマッサージ用、他方のマッサージ部3は足先部のマッサージ用であり、マッサージ部3は図1に示すように上記ベース12に軸35で連結されて所定範囲内で回動自在となっている回動ベース14を備えて、ばね36による付勢で図中矢印方向に付勢されている。
【0017】
マッサージ部2は図1に示すようにほぼ平行に並ぶ左右一対の溝20,20を有しており、下腿部が嵌るこれら溝20,20は夫々溝20の底部となるところにエアバッグ21が配され、左右の側壁部分にエアバッグ22,22が配されている。
【0018】
足先部のマッサージ用であるマッサージ部3もやはり足先が嵌る溝30を回動ベース14が備えており、溝30の底部にはエアバッグ31が、両側壁部分には夫々エアバッグ32,32が配されている。
【0019】
今、座部40に座ってマッサージ機1におけるマッサージ部2の溝20,20に下腿部を嵌めるとともにマッサージ部3の溝30に足先を嵌めれば、溝20の底部に下腿部のふくらはぎが接し、溝30の底部に足裏部分が接する。
【0020】
そして各エアバッグにエアを供給すれば、溝20の左右側壁に位置するエアバッグ22,22は下腿部を左右から圧迫するとともに、下腿部の前面側に被さるようになるために、下腿部を溝20の奥の方に押し込む力も発揮する。
【0021】
溝20の底部に配したエアバッグ21は、その膨張で下腿部のふくらはぎを前方へ押圧することになるが、この力に対して、エアバッグ22による上記力が対抗するために、下腿部が溝20から押し出されてしまうことがなく、エアバッグ21によるふくらはぎに対する圧力が有効に作用する。
【0022】
マッサージ部3におけるエアバッグ31,32へのエアの供給でエアバッグ31,32が膨張すれば、エアバッグ31が足裏を押し上げ、エアバッグ32が足先部を左右から挟持するとともに足の甲の部分に被さるエアバッグ32がエアバッグ31による押し上げで足先部が浮いてしまうことを防ぐ。
【0023】
ここにおいて、上記ふくらはぎの押圧を有効に行うにあたっては、下腿が溝20から抜け出てしまわないようにすることが重要である。このために、マッサージ部2については、溝20の底部に位置するエアバッグ21と、左右の両側壁に位置するエアバッグ22とは別個に膨張収縮させることができるように、エア供給用のポンプPに対して異なるバルブVを介して接続している。なお、各エアバッグの収縮はバルブVを通じた排気で行う。図2中のCは各エアバッグの膨張収縮及び前記アクチュエータ5の動作を制御する制御回路、6は操作器である。
【0024】
そして、下腿部のマッサージを行うにあたっては、側壁部のエアバッグ22を膨張させた後、底面のエアバッグ21を膨張させるものとし、またエアバッグ21を収縮させた後、エアバッグ22を収縮させるものとしてある。つまり、下腿部が溝20から抜け出ることがないようにエアバッグ22で規制している状態でエアバッグ21によるふくらはぎの押圧がなされるようにしているものである。
【0025】
伸縮アクチュエータ5によって支持体10を上方に回動させ、マッサージ部2の溝20が上方を向くようにしている時、つまりは溝20に嵌めた脚が水平に近い状態となる場合は、脚の自重が働くために、側壁部のエアバッグ22の膨張を開始させた後、底面のエアバッグ21を膨張させるものとし、またエアバッグ21の収縮を開始させた後、エアバッグ22を収縮させるものとしてもよい。
【0026】
また、このマッサージ機においては、エアバッグの膨張収縮タイミングや支持体10の回動のタイミングを制御回路Cにて制御することで、足首や大腿部のストレッチ動作も行うことができるようにしてある。
【0027】
すなわち、図3(a)に示すように、マッサージ部3のエアバッグ31,32を膨張させて足先を固定するとともに、マッサージ部2のエアバッグ21,22を膨張させておき、この後、下腿部の側面を押圧しているエアバッグ22を収縮させたならば、図3(b)に示すように下腿部は膨張したままのエアバッグ21によって前方へ押し出されることになる。この時、人体の脚の膝関節の位置も前方にずれる(x2>x1)ことになり、座部40に座っている人体の大腿部が伸ばされることになる。図4はこの際のエアバッグ21,22,31,32の動作のタイムチャートであり、図3(及び図5)中のハッチングを施したエアバッグは膨張中であることを示している。
【0028】
図3(a)に示す状態から下腿部の側面を押圧しているエアバッグ22を収縮させ、更にアクチュエータAを縮めることで図5に示すように脚の足先が下方に下げたならば、膝関節の位置は更に前方にずれる(x3>x2>x1)ことになるために、大腿部のストレッチをより強く行うことができる。図6にこの動作のタイムチャートを示す。なお、ここではエアバッグ22の排気収縮の後にアクチュエータAによる下方回動を行っているが、この順序に限定されるものではなく、図7に示すように、下方回動の後にエアバッグ22を収縮させたり、下方回動とエアバッグ22の収縮とを同時に行ってもよい。
【0029】
ストレッチについては、このほか、図8に示すように、支持体10を上方に回動させた状態(足先をあげた状態)で足先をエアバッグ31,32の膨張で固定し、次いでエアバッグ22を膨張させることなく、ふくらはぎに接するエアバッグ21を膨張させて下腿部を押し上げ、この状態で支持体10を下方に回動させるようにしてもよく、図9に示すように、支持体10を上方に回動させた状態(足先をあげた状態)で足先をエアバッグ31,32の膨張で固定し、次いで支持体10を下方に回動させた後にふくらはぎに接するエアバッグ21を膨張させるようにしてもよい。もちろん、下方への回動とエアバッグ21の膨張を同時に行ってもよい。
【0030】
いずれにしても、下腿部用のマッサージ部2と足先部用のマッサージ部3とを利用して大腿部の大腿筋を伸ばすストレッチも行うことができるものである。
【0031】
マッサージ部2,3を備えたマッサージ機を座部40の先端側に有している椅子4は、その背もたれ部に人体背面のマッサージ用のマッサージ機構が設けられているマッサージ椅子であることが好ましい。
【符号の説明】
【0032】
2 マッサージ部
3 マッサージ部
10 支持体
20 溝
21 エアバッグ
22 エアバッグ
31 エアバッグ
32 エアバッグ
40 座部
V バルブ
P ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の脚の下腿部用のマッサージ部と、人体の脚の足先部用のマッサージ部と、各マッサージ部が有しているエアバッグのエアの給排による膨張収縮を制御する制御手段とを備え、下腿部用のマッサージ部は下腿部が嵌る溝の両側壁にあって下腿部両側面に接するエアバッグと、上記溝の底部にあって下腿部のふくらはぎに接するエアバッグとを有して両エアバッグは異なるバルブを介してエア供給用のポンプに接続されており、足先部用のマッサージ部はその膨張で足先部を固定するエアバッグを有しており、
上記制御手段は、足先部用のエアバッグを膨張させて足先部を固定した後に前記ふくらはぎに接するエアバッグを膨張させる動作モードを備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
人体の脚の下腿部用のマッサージ部と、人体の脚の足先部用のマッサージ部と、各マッサージ部が有しているエアバッグのエアの給排による膨張収縮を制御する制御手段とを備え、下腿部用のマッサージ部は下腿部が嵌る溝の両側壁にあって下腿部両側面に接するエアバッグと、上記溝の底部にあって下腿部のふくらはぎに接するエアバッグとを有して両エアバッグは異なるバルブを介してエア供給用のポンプに接続されており、足先部用のマッサージ部はその膨張で足先部を固定するエアバッグを有しており、
上記制御手段は、下腿部用のマッサージ部における側壁にあるエアバッグを膨張させた後、下腿部用のマッサージ部におけるふくらはぎに接するエアバッグを膨張させ、足先部用のエアバッグを膨張させて足先部を固定した状態で上記下腿部用のマッサージ部における側壁にあるエアバッグを収縮させる動作モードを備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
人体の脚の下腿部用のマッサージ部と、人体の脚の足先部用のマッサージ部と、各マッサージ部が有しているエアバッグのエアの給排による膨張収縮を制御する制御手段とを備え、下腿部用のマッサージ部は下腿部が嵌る溝の両側壁にあって下腿部両側面に接するエアバッグと、上記溝の底部にあって下腿部のふくらはぎに接するエアバッグとを有して両エアバッグは異なるバルブを介してエア供給用のポンプに接続されており、足先部用のマッサージ部はその膨張で足先部を固定するエアバッグを有しており、
下腿部用のマッサージ部と足先部用のマッサージ部とは、椅子の座部の先端に回動自在に連結された支持体に設けられてオットマンを形成しており、
該支持体の回動も制御する上記制御手段は、下腿部用のマッサージ部における側壁にあるエアバッグと下腿部用のマッサージ部におけるふくらはぎに接するエアバッグとを膨張させてこれらエアバッグで下腿部を挟持した後、足先部用のマッサージ部のエアバッグを膨張させて足先部を固定し且つ下腿部用のマッサージ部におけるすくなくともふくらはぎに接するエアバッグを膨張させた状態で脚における足先が下がる方向に上記支持体を回動させる動作モードを備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
人体の脚の下腿部用のマッサージ部と、人体の脚の足先部用のマッサージ部と、各マッサージ部が有しているエアバッグのエアの給排による膨張収縮を制御する制御手段とを備え、下腿部用のマッサージ部は下腿部が嵌る溝の両側壁にあって下腿部両側面に接するエアバッグと、上記溝の底部にあって下腿部のふくらはぎに接するエアバッグとを有して両エアバッグは異なるバルブを介してエア供給用のポンプに接続されており、足先部用のマッサージ部はその膨張で足先部を固定するエアバッグを有しており、
下腿部用のマッサージ部と足先部用のマッサージ部とは、椅子の座部の先端に回動自在に連結された支持体に設けられてオットマンを形成しており、
該支持体の回動も制御する上記制御手段は、足先部用のエアバッグを膨張させて足先部を固定した状態で前記ふくらはぎに接するエアバッグを膨張させる動作と、脚における足先が下がる方向に上記支持体を回動させる動作とを行う動作モードを備えていることを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−78630(P2013−78630A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−284560(P2012−284560)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2010−46840(P2010−46840)の分割
【原出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】