説明

マッサージ機

【課題】安定して椅子本体を前後に揺動させることができるとともに、マッサージ機全体の高さ寸法を抑えたマッサージ機を提供する。
【解決手段】使用者が着座する座部3、及び座部3の後部に設けられた背凭れ部4を有する椅子本体2と、椅子本体2を支持するベース7と、椅子本体2に設けられ使用者の身体をマッサージするマッサージ部9〜12と、椅子本体2をベース7に対して前後に揺り動かすロッキング機構部8と、を有している。ロッキング機構部8は、下部がベース7に枢支され、かつ上部が椅子本体2に枢支されたリンク部材40を有している。リンク部材40は、第1リンク部42と、第1リンク部42の後方に位置する第2リンク部43と、を有している。リンク部材40の上部が前後に揺動することにより、椅子本体2を前後に揺り動かす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子本体を前後に揺り動かすのに適したマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部及び背凭れ部を組み付ける可動フレームと固定フレームとが、ロッキング中心を揺動支点として連結されており、モータを有するロッキング駆動部を駆動させることにより、可動フレームを固定フレームに対してロッキング中心回りに前後に揺り動かすことができるマッサージ機が知られている(例えば、特許文献1の図4及び図5参照)。
また、座部及び背凭れ部を組み付ける被支持部と基台とが、前後2本のリンクにより連結されており、被支持部を基台に対して前後に揺り動かすことができるマッサージ機も知られている(例えば、特許文献2の図14参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−72595号公報
【特許文献2】特開平11−137626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示されたマッサージ機においては、可動フレーム11(椅子本体)がロッキング中心A2ただ1点を可動部分として固定フレーム12(ベース)に支持されているため、当該可動部分には使用者の荷重が集中して作用してしまう。従って、可動フレームを揺動させる際に、ロッキング機構部に過大な負荷が作用してしまい、可動フレームのスムーズな揺動を妨げてしまうという問題があった。
【0005】
一方、上記特許文献2に開示されたマッサージ機においては、被支持部56(椅子本体)の前後両端部が2本のリンク54,54により基台5(ベース)に連結されているため、被支持部56の基台5に対する可動部分(被支持部と基台の連結部分55,55)には使用者の荷重が前後に分散して作用する。従って、被支持部56を揺動させる際に、ロッキング機構部に作用する負荷は小さくて済み、被支持部56をスムーズに揺動させることができる。
しかし、特許文献2に開示されたマッサージ機は、リンク54の下端部が被支持部56(椅子本体)に連結され、かつリンク54の上端部が基台5(ベース)に連結された構成であるため、基台5におけるリンク54の連結部分を床面から高い位置に位置させる必要があり、マッサージ機全体の高さ寸法が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、安定して椅子本体を前後に揺動させることができるとともに、マッサージ機全体の高さ寸法を抑えたマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、使用者が着座する座部、及び該座部の後部に設けられた背凭れ部を有する椅子本体と、前記椅子本体を支持するベースと、前記椅子本体に設けられ使用者の身体をマッサージするマッサージ部と、前記椅子本体を前記ベースに対して前後に揺り動かすロッキング機構部と、を有し、前記ロッキング機構部は、下部が前記ベースに枢支され、かつ上部が前記椅子本体に枢支されたリンク部材を有し、前記リンク部材は、第1リンク部と、該第1リンク部の後方に位置する第2リンク部と、を有し、前記リンク部材の上部が前後に揺動することにより、前記椅子本体を前後に揺り動かすことを特徴とする。
このような構成とすることにより、椅子本体が前後に設けられた第1及び第2リンク部を介してベースに支持されているため、ロッキング機構部に作用する負荷が前後に分散され、安定して椅子本体を前後に揺り動かすことができる。また、リンク部材の下部がベースに連結され、かつリンク部材の上部が椅子本体に連結されているため、ベースにおけるリンク部材の連結部分を床面から高い位置に位置させる必要がなく、マッサージ機全体の高さ寸法を抑えることができる。
【0008】
また、前記椅子本体は、該椅子本体内部に前記ロッキング機構部の少なくとも一部を収容するとともに、前記リンク部材を取り付ける収容部を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、ロッキング機構部の椅子本体外部に露出する部分が少なくなり、美観を向上させることができる。
【0009】
また、前記ロッキング機構部は、前記リンク部材を揺動させるロッキング駆動部を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、ロッキング駆動部を駆動させて、椅子本体を強制的に前後に揺り動かすことができる。
【0010】
また、前記ロッキング駆動部は、モータと、前記モータの回転により出力軸が回転する減速器と、前記出力軸の回転運動を前記リンク部材の前後の往復揺動に変換する変換部と、を有し、前記変換部は、前記出力軸と一体回転可能である回転部材と、前記回転部材に取り付けられた偏心軸と、前記偏心軸と前記ベースとの間に設けられたクランク部材と、を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、モータを一方へ連続回転させることで、椅子本体を連続的に前後に往復揺動させることができる。
【0011】
また、前記椅子本体は、前記座部の前部に上下回動可能に設けられたフットレストを有し、前記椅子本体は、前方移動に応じて座部の前部が上方へ移動し、後方移動に応じて座部の前部が下方へ移動するよう構成され、前記フットレストは、椅子本体の前方移動に応じて上方回動するよう構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、脚部は高い位置に移行しつつ伸ばされていくので、いわゆる求心法のように脚部の血流を心臓に向かうように促進させることができ、リラックス効果を高めることができる。
【0012】
また、前記椅子本体の前後移動に応じて前記フットレストを上下回動させるフットリンク部材を有し、前記フットレストは、前記フットリンク部材を介して前記リンク部材に接続されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、フットレストを上下回動させるための駆動源を別途設ける必要がなくなる。
【0013】
また、前記第1リンク部は前記ロッキング駆動部に連結され、前記第2リンク部は該第1リンク部の動作に従動するよう構成されており、前記フットリンク部材は前記第1リンク部に枢支されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、フットレストには脚部による負荷が作用するが、フットリンク部材が連結された第1リンク部にロッキング駆動部が連結されているため、ロッキング駆動部の駆動力が第1リンク部にダイレクトに伝わり、椅子本体の前後揺動とフットレストの上下回動をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、安定して椅子本体を前後に揺り動かすことができるとともに、マッサージ機全体の高さ寸法を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【図2】図1とは別の角度から見たマッサージ機の斜視図である。
【図3】起立状態にあるマッサージ機の側面図である。
【図4】リクライニング状態にあるマッサージ機の側面図である。
【図5】ベース及びロッキング機構部を示す斜視図である。
【図6】ロッキング機構部を説明するための説明図である。
【図7】ロッキング機構部の動作を説明する説明図であり、(a)は起立状態、(b)は中間状態、(c)はリクライニング状態をそれぞれ示している。
【図8】マッサージ機の機能ブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るマッサージ機のベース及びロッキング機構部を示す側面図である。
【図10】ロッキング駆動部のモータを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[全体構成]
以下、本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1の斜視図である。図2は、図1とは別の角度から見たマッサージ機1の斜視図である。図3は、起立状態にあるマッサージ機1の側面図である。図4は、リクライニング状態にあるマッサージ機1の側面図である。図5は、ベース7及びロッキング機構部8を示す斜視図である。図6は、ロッキング機構部8を説明するための説明図である。図7は、ロッキング機構部8の動作を説明する説明図であり、(a)は起立状態、(b)は中間状態、(c)はリクライニング状態をそれぞれ示している。図8は、マッサージ機1の機能ブロックである。なお、図1及び図2においては、視認性を考慮して、後述するフットリンク部材50を省略して図示しており、図6は、ロッキング機構部8を上方斜め後方から見た模式図である。
【0017】
図1に示すとおり、本発明のマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部3と、座部3の後部に一体的に設けられた使用者が凭れる背凭れ部4と、座部3の前部に上下回動可能に設けられた使用者の脚部を支持するフットレスト5と、により構成される椅子本体2と、この椅子本体2を前後に揺動可能に支持するとともに床面に設置されるベース7と、椅子本体をベースに対して前後に揺り動かすロッキング機構部8と、椅子本体に設けられた使用者の被施療部をマッサージするマッサージ部9〜12と、を有している。
なお、以下の説明で用いる方向の概念は、図3に示す起立状態にあるマッサージ機1に着座した使用者から見たときの方向の概念と一致するものとし、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭部側が「上」であり、腰部側が「下」であり、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0018】
[座部及び背凭れ部の構成]
座部3及び背凭れ部4は一体的に形成され第1身体支持部20を構成している。第1身体支持部20は、座部3から背凭れ部4にかけて連続して前方に開口する開口部21aを有する第1身体支持部本体21と、第1身体支持部本体21の前方に配設され伸縮性を有するパッド部(図示せず)と、を有している。
【0019】
第1身体支持部20には、第1身体支持部本体21の開口部21a内において、第1支持部本体21に設けられたガイド機構22を介して昇降モータM1(図8参照)の駆動により昇降可能に設けられ、使用者の大腿部から背部にかけてパッド部(図示せず)を介して連続的にマッサージする機械式の第1マッサージ部9が設けられている。この第1マッサージ部9は、左右で対をなす施療子9a,9aを有しており、揉みモータM2(図8参照)の駆動により対の施療子9a,9aを左右方向に近接離反させる揉み動作を行うことができるとともに、叩きモータM3(図8参照)の駆動により対の施療子9a,9aを交互に前後方向に進退させる叩き動作を行うことができる。これら、モータM1〜M3の駆動は、座部3の下方に設けられた制御部13(図8参照)により行われる。
【0020】
座部3は、使用者の臀部乃至大腿部の外側面に対向する左右で対をなす側壁3a,3aを有し、側壁3aの内側面には、臀部乃至大腿部をマッサージする空気式の第2マッサージ部10が設けられている。背凭れ部4は、使用者の上腕部の外側面に対向する左右で対をなす側壁4a,4aを有し、側壁4aの内側面には、上腕部をマッサージする空気式の第3マッサージ部11が設けられている。
【0021】
また、図2に示すとおり、第1身体支持部20(椅子本体2)の底部には、後述するロッキング機構部8の少なくとも一部を収容すべく、下方に向かって開口する収容溝23aを有する収容部23が設けられている。この収容溝23aは、ロッキング機構部8の移動に伴うロッキング機構部8と第1身体支持部20との干渉を防止すべく、座部3から背凭れ部4の下部にかけて連続して開口している。
【0022】
[フットレストの構成]
図1に示すとおり、フットレスト5は、使用者の脚部を載置する底壁5aと、使用者の脚部の外側面に対向する左右で対をなす側壁5b,5bと、を有し、底壁5aの前面及び側壁5bの内側面には、脚部をマッサージする空気式の第4マッサージ部12が設けられている。前述した空気式の第2〜第4マッサージ部10〜12は、座部3の下方に配置されるポンプ及びバルブ等からなるエア給排気装置14(図8参照)からのエアの給排気により膨張収縮するよう構成されており、制御部13によりエア給排気装置14の駆動が制御される。そして、フットレスト5は、座部3の前部にヒンジ24を介して上下回動可能に連結されているとともに、詳細は後述するフットリンク部材50を介して座部3(第1身体支持部20)に連結されており、椅子本体2の前後揺動に連動して上下回動するよう構成されている。そして、フットレスト5は、ヒンジ24に枢支されたブラケット25を介して座部3に取り付けられている。
【0023】
[ベースの構成]
図2〜図5に示すとおり、ベース7は、左右方向に所定距離を存して配置された床面に設置する対の脚フレーム7a,7aと、左右方向を軸方向とし両脚フレーム7a,7aを連結する複数のシャフト7b〜7dと、を有している。脚フレーム7aの後部には、床面を転動させるキャスター26が設けられており、マッサージ機1の前部を持ち上げて、マッサージ機1を容易に移動させることができるようになっている。シャフト7b〜7dには、椅子本体2を前後に揺り動かすためのロッキング機構部8を構成する部材が枢支されている。これらのシャフト7b〜7dは、最も前方に位置する第1シャフト7b、第1シャフト7bよりも後方に位置する第2シャフト7c、及び第1シャフト7b及び第2シャフト7cの間に位置する第3シャフト7dである。
【0024】
[ロッキング機構部の構成]
図3〜図5に示すとおり、ロッキング機構部8は、主として、椅子本体2をベース7に対して前後揺動可能に連結するリンク部材40、及びリンク部材40を揺動させるロッキング駆動部60により構成されている。リンク部材40は、前後に所定間隔を存してベースから上方に延設された第1リンク部42及び第2リンク部43を有しており、それぞれ下部がベース7に枢支され、上部が椅子本体2に枢支されている。より具体的には、第1リンク部42は、その下部が第1シャフト7bに枢支され、かつその上部がブラケット44及び枢軸A1を介して座部3(椅子本体2)に枢支されており、その上部が前後に揺動可能に構成されている。第2リンク部43は、第1リンク部42よりも後方において、その下部が第2シャフト7cに枢支され、かつその上部がブラケット44及び枢軸A2を介して座部3(椅子本体2)に枢支されており、その上部が前後に揺動可能に構成されている。
【0025】
このように、椅子本体2が前後に所定間隔を有して設けられた第1リンク部42及び第2リンク部43を介してベース7に支持されているため、図7に示すとおり、ロッキング機構部8に作用する負荷(使用者からの荷重)が前後に分散され、安定して椅子本体2を前後に揺り動かすことができる。また、リンク部材40の下部がベース7に連結され、上部が椅子本体2に連結されているため、ベース7におけるリンク部材40の連結部分(すなわち、第1シャフト7b及び第2シャフト7c)を床面から高い位置に位置させる必要がなく、マッサージ機1全体の高さ寸法を抑えることができる。更には、図2〜図4に示すとおり、椅子本体2は収容部23を有し、リンク部材40を椅子本体2に取り付けるブラケット44、及びロッキング機構部8を構成するリンク部材40の一部(上部)を収容部23内に位置させることにより、椅子本体2の外部に露出させないので、マッサージ機1の美観を向上させることができる。
【0026】
図5及び図6に示すとおり、ロッキング駆動部60は、モータ61と、モータ61の回転数を減速する減速器62と、減速器62の出力軸67aの回転運動をリンク部材40及び椅子本体2の前後方向の往復運動に変換する変換部63と、を有している。そして、ロッキング駆動部60のモータ61の駆動は制御部13により制御される。この減速器62についてより具体的に説明すると、減速器62は、モータ61の出力軸に設けられたウォーム64と、ウォーム64に噛合するねじ歯車65a及び平歯車65bを組み合せた2段歯車65と、平歯車65bに噛合する平歯車66a及び別の平歯車66bを組み合わせた2段歯車66と、平歯車66bに噛合する平歯車67と、を有している。2段歯車65の回転中心と出力軸67aの軸心は一致しており、2段歯車66はギヤケース72(図2〜4参照)の側面に回転可能に軸支されており、平歯車67は出力軸67aに取り付けられている。
【0027】
変換部63は、減速器62(平歯車67)の出力軸67aと同軸に設けられ、すなわち出力軸67aに取り付けられ、この出力軸67aと一体回転可能である回転部材68と、この回転部材68に取り付けられた偏心軸69と、この偏心軸69とベース7との間に設けられたクランク部材70と、を有している。回転部材68は、出力軸67aがその中心線C1回りに回転すると、その回転力が伝達され当該中心線C1回りに回転する。偏心軸69は、回転部材68の回転中心C1に対して偏心した軸線C2を中心として回転部材68に取り付けられている。そして、クランク部材70の一端部が偏心軸69に回転自在として取り付けられ、他端部がベースの第3シャフト7dに回転自在として取り付けられている。なお、出力軸67aは左右方向に延設されており、その左右両端部において対の第1リンク部42,42がそれぞれ連結されている。
【0028】
この変換部63の構成によれば、モータ61が一方向に連続回転することで、減速器62の出力軸67a及び回転部材68が一方向に連続回転する。そうすると、この回転部材68上にある偏心軸69が、回転中心C1回りの円運動を行い、この円運動は、クランク部材70によって、リンク部材40の前後方向の往復運動に変換される。すなわち、この変換部63により往復クランク機構が構成されており、モータ61を一方へ連続回転させることで、椅子本体2を連続的かつ強制的に、座部3の座面角度を変更しながら前後に往復揺動させることができる。この変換部材63は左右で対をなして設けられており、椅子本体2を安定して揺動させることが可能となっている。
【0029】
図5に示すとおり、ロッキング駆動部60はリンク部材40に取り付けられている。具体的には、モータ61と減速器62は、左右一方側(本実施形態では右側)の第1リンク部42に取り付けられており、第1リンク部42と共に移動するよう構成されている。変換部63は、対の第1リンク部42にそれぞれ取り付けられている。減速器62の出力軸67aには、複数(本実施形態では3つ)の磁石等よりなる被検出体71bが設けられ、減速器62を覆うカバー部材(図示せず)には、被検出体71bの位置を検出することにより第4シャフトの回転位置を検出するホールIC等よりなる検出体71aが設けられている。この検出体71a及び被検出体71bにより、ベース7に対する椅子本体2の揺動位置を検出する位置検出センサ71が構成されている。位置検出センサ71は、制御部13に電気的に接続されており、制御部13は、位置検出センサ71の検出結果に応じて、モータ61の駆動を制御するよう構成されている。
【0030】
本実施形態では、3つの被検出体71bの位置を検出することにより、図7に示すとおり、椅子本体2が最も起立した起立状態(図7(a)に示す状態)と、椅子本体2が最も後傾したリクライニング状態(図7(c)に示す状態)と、椅子本体2が起立状態とリクライニング状態の間に位置する中間状態(図7(b)に示す状態)と、を検出することができる。また、モータ61を一方向に連続駆動させることにより、椅子本体2は、起立状態とリクライニング状態との間を、中間状態を経由して連続的に状態変更され、モータ61を停止することにより、椅子本体2は、起立状態とリクライニング状態の間における任意の位置で位置決めされる。
【0031】
また、図8に示すとおり、前述したロッキング駆動部60(モータ61)及びマッサージ部9〜12は、制御部13からの指示に従って予め設定されたプログラムにより動作する他、制御部13に接続されたリモートコントローラ75を被施療者が操作することにより制御部13へ入力された信号に基づいても動作することができる。
【0032】
[フットリンク部材の構成]
図3及び図4に示すとおり、フットリンク部材50は、ブラケット44を介して椅子本体2に枢支された第1フットリンク部51と、第1リンク部42及び第1フットリンク部51に枢支された第2フットリンク部52と、第2フットリンク部52及びブラケット25に枢支された第3フットリンク部53と、を有している。第1フットリンク部51は、その上部が枢軸A1,A2の間において枢軸A3を介してブラケット44(すなわち座部3)に取り付けられ、その下部が第2フットリンク部52の後部に枢軸A4を介して取り付けられている。第2フットリンク部52は、その前部が第3フットリンク部53に枢軸A5を介して取り付けられ、枢軸A4,A5の間において枢軸A6を介して第1リンク部42に取り付けられている。第3フットリンク部53は、その上部が枢軸A7を介してブラケット25(すなわちフットレスト5)に取り付けられ、その下部が枢軸A5を介して第2フットリンク部52に取り付けられている。
【0033】
起立状態から第1リンク部42を第1シャフト7b回りに前方へ揺動させてリクライニング状態へと近づけていくと、第1フットリンク部51は枢軸A3回りに後方へ揺動し、第2フットリンク部52は第1リンク部42に対して枢軸A6回りにその前部が上方へ揺動するとともに、第3フットリンク部53は枢軸A5回りに下方へ揺動する。従って、椅子本体2を前方へ揺り動かしてリクライニング状態へと近づけていくと、フットレスト5は上方へ回動することとなる。より具体的には、椅子本体2が起立状態からリクライニング状態へ移行する過程においては、座部3が後傾していくとともにフットレスト4が上昇していく。このとき、脚部は高い位置に移行しつつ伸ばされていくので、いわゆる求心法のように脚部の血流を足先から心臓に向かうように促進させることができ、リラックス効果を高めることができる。
【0034】
一方、リクライニング状態から第1リンク部42を第1シャフト7b回りに後方へ揺動させて起立状態へと近づけていくと、第1フットリンク部51は枢軸A3回りに前方へ揺動し、第2フットリンク部52は第1リンク部42に対して枢軸A6回りにその前部が下方へ揺動するとともに、第3フットリンク部53は枢軸A5回りに上方へ揺動する。従って、椅子本体2を後方へ揺り動かして起立状態へと近づけていくと、フットレスト5は下方へ回動することとなる。椅子本体2が起立状態にあるときには、フットレスト5は下降しているため、使用者は椅子本体2への乗り降りが容易となる。
【0035】
以下、図9及び図10に基づいて、本発明の第2実施形態に係るマッサージ機100について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係るマッサージ機100のベース7及びロッキング機構部80を示す側面図である。図10は、ロッキング駆動部81のモータ82を示す側面図である。上述した第1実施形態に係るマッサージ機1と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。なお、椅子本体2の構成は、第1実施形態に係るマッサージ機1と同様である。第2実施形態に係るマッサージ機100において、第1実施形態と異なる点は、ロッキング機構部80の構成である。具体的には、ロッキング機構部80は、主として、椅子本体2をベース7に対して前後揺動可能に連結するリンク部材40、及びリンク部40材を揺動させるロッキング駆動部81により構成されている。
【0036】
このロッキング駆動部81は、モータ82と、モータ82の駆動により伸縮するシリンダ83と、を有する直動式のアクチュエータにより構成されている。このロッキング駆動部81は、基部83aがベース7の第3シャフト7d(枢軸)によって回動自在に取り付けられ、先部83bが第1リンク部42(リンク部材40)に枢軸84によって回動自在に取り付けられている。この構成によれば、ロッキング駆動部81を伸張させると、一点鎖線で示すようにリンク部材40を前方へ揺動させて、椅子本体2をリクライニング状態へと移行させることができ、ロッキング駆動部81を短縮させると、実線で示すようにリンク部材40を後方へ揺動させて、椅子本体2を起立状態へと移行させることができる。
【0037】
ロッキング駆動部81は、ベース7に対する椅子本体2の揺動位置を検出する位置検出センサ85を有している。この位置検出センサ85は、モータ82の出力軸82aに取り付けられた磁石等よりなる被検出体85bと、被検出体85bの通過を検出するモータ本体82bに設けられたホールIC等よりなる検出体85aと、により構成され、この検出体85aが出力軸82a(モータ82)の回転数を検出することにより、椅子本体2の起立状態とリクライニング状態の間における任意の揺動位置を検出できるよう構成されている。更に、この検出体85aは、出力軸82aの周方向に近接して2つ設けられており、どちらの検出体85aが先に被検出体85bの通過を検出したかを判別することにより、出力軸82a(モータ82)の回転方向も検出可能となっている。この位置検出センサ85は、制御部13に電気的に接続されており、制御部13は、位置検出センサ85の検出結果に応じて、モータ82の駆動を制御するよう構成されている。
【0038】
また、本発明のマッサージ機は、図示する形態に限らず、この発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。
例えば、ロッキング機構部において、ロッキング駆動部60,81に代えて、ベース7と第1リンク部42(リンク部材40)の間に取り付けられ、椅子本体2を起立状態となるよう付勢するバネ(引張バネ)又はダンパー等よりなる付勢部材を設けてもよい。この場合、付勢部材の付勢力により椅子本体2を起立状態に維持することができるが、座部3に着座した使用者が背凭れ部4に凭れると、背凭れ部4をリクライニング状態とさせることが可能である。そして、使用者が背凭れ部4に凭れる力を弱めると、付勢部材の付勢力によって、リクライニング状態にある背凭れ部4を起立状態に復帰させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、安定して椅子本体を前後に揺動させることができるとともに、マッサージ機全体の高さ寸法を抑えたマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 マッサージ機
2 椅子本体
3 座部
4 背凭れ部
5 フットレスト
7 ベース
8 ロッキング機構部
9〜12 マッサージ部
23 収容部
40 リンク部材
42 第1リンク部
43 第2リンク部
50 フットリンク部材
60 ロッキング駆動部
61 モータ
62 減速器
63 変換部
67a 出力軸
68 回転部材
69 偏心軸
70 クランク部材
80 ロッキング機構部
81 ロッキング駆動部
100 マッサージ機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する座部、及び該座部の後部に設けられた背凭れ部を有する椅子本体と、
前記椅子本体を支持するベースと、
前記椅子本体に設けられ使用者の身体をマッサージするマッサージ部と、
前記椅子本体を前記ベースに対して前後に揺り動かすロッキング機構部と、を有し、
前記ロッキング機構部は、下部が前記ベースに枢支され、かつ上部が前記椅子本体に枢支されたリンク部材を有し、
前記リンク部材は、第1リンク部と、該第1リンク部の後方に位置する第2リンク部と、を有し、
前記リンク部材の上部が前後に揺動することにより、前記椅子本体を前後に揺り動かす
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記椅子本体は、該椅子本体内部に前記ロッキング機構部の少なくとも一部を収容するとともに、前記リンク部材を取り付ける収容部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記ロッキング機構部は、前記リンク部材を揺動させるロッキング駆動部を有している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記ロッキング駆動部は、
モータと、
前記モータの回転により出力軸が回転する減速器と、
前記出力軸の回転運動を前記リンク部材の前後の往復揺動に変換する変換部と、を有し、
前記変換部は、
前記出力軸と一体回転可能である回転部材と、
前記回転部材に取り付けられた偏心軸と、
前記偏心軸と前記ベースとの間に設けられたクランク部材と、を有している
ことを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記椅子本体は、前記座部の前部に上下回動可能に設けられたフットレストを有し、
前記椅子本体は、前方移動に応じて座部の前部が上方へ移動し、後方移動に応じて座部の前部が下方へ移動するよう構成され、
前記フットレストは、椅子本体の前方移動に応じて上方回動するよう構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記椅子本体の前後移動に応じて前記フットレストを上下回動させるフットリンク部材を有し、
前記フットレストは、前記フットリンク部材を介して前記リンク部材に接続されている
ことを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記第1リンク部は前記ロッキング駆動部に連結され、前記第2リンク部は該第1リンク部の動作に従動するよう構成されており、
前記フットリンク部材は前記第1リンク部に枢支されている
ことを特徴とする請求項6に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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