説明

マッサージ装置

【課題】温度刺激を局所的に付与するにもかかわらず、温度刺激による温熱効果を身体の広範囲に至らせるとともに、当該温熱効果を長く持続させることのできるマッサージ装置を提供する。
【解決手段】四肢に対して温度刺激が付与される際、左の上肢に対して温度刺激を付与するヒータと右の上肢に対して温度刺激を付与するヒータのうち少なくとも何れか一方のヒータから温度刺激が付与される。それと同時に、左の下肢に対して温度刺激を付与するヒータと右の下肢の上肢に対して温度刺激を付与するヒータのうち少なくとも一方のヒータから温度刺激が付与される。また、温度刺激を付与される際には、間欠的に温度刺激を付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の四肢に対して温度刺激を付与する際のタイミングを制御するようにしたマッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、もみ玉等によって人体の背部をマッサージする椅子式のマッサージ機において、ヒータ等によって温度刺激を付与するマッサージ装置がある。また、特許文献1以外にも、特許文献2のように、人体の下肢に対してマッサージを行いながら、温度刺激を付与するマッサージ装置もある。これらは、予め定めた温度に温度制御するようになっており、もみやタタキ等の物理的なマッサージを行うことに加えて、温度刺激を付与することで、被施療部の血行を促進し、脚部の冷えやむくみを緩和させることを目的としている。このため、特許文献1や特許文献2には、下肢のマッサージが適切な温度によって行えるようにする方法などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−295756号公報
【特許文献2】特開2010−75659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、身体の深部体温は約37℃に保たれており、暑い時には自律神経が働き、末梢血管が拡張して血流が増加したり、毛穴が開くことで対外に向かって放熱したりする。逆に、寒い時には血管が収縮することで血流を抑えて熱の拡散を防いで、重要な臓器が集まる深部体温を維持しようとする。因みに、末梢血管の約70%は手先や足先に集中しているとされており、冷えるときには手先や足先が始めに冷たくなる。このため、特に冷え性の人は、足も手も冷たい。そのような人が、足だけ(又は手だけ)温めても、手(手だけ温めた場合は、足)が冷たいままだと、暖めていない箇所(例えば、足だけ温めた場合には手)に血液が循環した時点で、温めた血液が冷えてしまう。すなわち、温めた血液が、温かいまま身体を循環し難いために身体全体を温め難く、温めることを止めてしまうと、すぐに冷えてしまい温めた効果(温熱効果)が持続し難かった。だからといって、手と足を常に温めた場合には、温められている温度に使用者(施療者)が慣れてしまい、温度刺激を付与することによる気持ち良さ(温かさを感じる心地良さ)が感じられなくなっていく傾向がある。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、温度刺激を局所的に付与するにもかかわらず、温度刺激による温熱効果を身体の広範囲に至らせるとともに、当該温熱効果を長く持続させることのできるマッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のマッサージ装置は、使用者の上肢を左右それぞれ載置可能な上肢載置部と、使用者の下肢を左右それぞれ載置可能な下肢載置部と、前記上肢載置部及び下肢載置部に載置された肢をマッサージするマッサージ機構と、各載置部に載置された肢に対して間欠的に温度刺激を付与する温熱部を肢毎に設けるとともに、各温熱部が温度刺激を付与するタイミングを制御する制御手段と、を備え、左右の上肢のうち少なくとも一方の上肢と、左右の下肢のうち少なくとも一方の下肢と、に対して同時に温度刺激の付与を開始するように前記制御手段が各温熱部を制御するマッサージモードを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のマッサージ装置において、使用者が操作可能であって、前記制御手段に対して前記マッサージモードで各温熱部を制御することを指示する操作手段を備えることが好ましい。
【0008】
また、本発明のマッサージ装置において、前記温熱部は、使用者の上肢及び下肢に対して熱伝導によって温度刺激を付与するように構成されることが好ましい。
また、本発明のマッサージ装置において、前記温熱部は、使用者の上肢及び下肢に対して流体熱伝導によって温度刺激を付与するように構成されることが好ましい。
【0009】
また、本発明のマッサージ装置において、前記温熱部は、使用者の上肢及び下肢に対して熱放射によって温度刺激を付与するように構成されることが好ましい。
また、本発明のマッサージ装置において、前記温熱部には人体対向面に流出用の吹き出し孔が形成されており、当該吹き出し孔から流出させる気体を加熱する加熱部を備え、前記加熱部によって加熱された気体を前記吹き出し孔から流出させることによって上肢及び下肢に対して温度刺激を付与することが好ましい。
【0010】
また、本発明のマッサージ装置において、前記マッサージ機構は、流体の供給及び排出により膨張又は収縮する袋体で構成されており、当該袋体に供給する流体を加熱する加熱部を備え、前記加熱部によって加熱された流体が供給された袋体のマッサージ機構を前記温熱部とすることが好ましい。
【0011】
また、本発明のマッサージ装置において、前記マッサージ機構は、前記温熱部によって肢に対して温度刺激が付与された後に、肢に対するマッサージを行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度刺激を局所的に付与するにもかかわらず、温度刺激による温熱効果を身体の広範囲に至らせるとともに、当該温熱効果を長く持続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】マッサージ装置の外観を示す斜視図。
【図2】オットマンを示す平面図。
【図3】肘掛け部とカバー片を示す平面図。
【図4】各装置の接続態様を示すブロック図。
【図5】ヒータの発熱開始及び終了タイミングを示すタイムチャート。
【図6】第2実施形態における各装置の接続態様を示すブロック図。
【図7】第2実施形態における熱伝導を説明する説明図。
【図8】第3実施形態における温風装置の外観を示す斜視図。
【図9】第3実施形態における各装置の接続態様を示すブロック図。
【図10】第4実施形態におけるマッサージ装置の外観を示す斜視図。
【図11】第5実施形態におけるマッサージ装置と、その構成を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、マッサージ装置としての椅子型のマッサージ機10の椅子本体部は、左右一対の支持脚部11にて支持された座部12の後端に背もたれ部13が幅方向の回転軸にて傾動可能に組み付けられている。また、座部12の前端に、使用者Pの下肢を左右それぞれ載置可能な下肢載置部としてのオットマン14が幅方向の回転軸にて傾動可能に組み付けられている。なお、本実施形態において、「下肢」とは、主に膝から足先までの部分を意味する一方で、「上肢」とは、主に肘から手先までの部分を意味する。
【0015】
オットマン14は、使用者Pの足(足首から足先までの部分)を施療するための足施療部15と、使用者Pの脚(特に、下腿部(膝から足首までの部分))を施療するための脚施療部16と、を含むように構成されている。図2に示すように、足施療部15において、使用者Pの足を保持するための保持面15aには、使用者Pの各足を両側方から覆う側壁17aが形成されており、当該側壁17aには、膨張及び収縮駆動させる袋体の空気袋18aが埋設されている。以下、オットマン14に使用者Pが下肢を載置した際に、使用者Pの左の下肢と面する空気袋18aを空気袋18aLとし、使用者Pの右の下肢と面する空気袋18aを18aRとして説明する場合がある。
【0016】
また、保持面15aには、使用者Pの足裏と面する底面15bが形成されており、当該底面15bには、使用者Pの足裏に温度刺激を付与する(温める)ための温熱部となるヒータ19aが備えられている。以下、オットマン14に使用者Pが下肢を載置した際に、使用者Pの左の下肢の足裏に温度刺激を付与するヒータ19aをヒータ19aLとし、使用者Pの右の下肢の足裏に温度刺激を付与するヒータ19aをヒータ19aRとして説明する場合がある。
【0017】
また、使用者Pの下腿部の下部と面する保持面15aには、使用者Pの下腿部の下部に温度刺激を付与する(温める)ための温熱部となるヒータ19bが備えられている。以下、オットマン14に使用者Pが下肢を載置した際に、使用者Pの左の下腿部の下部に温度刺激を付与するヒータ19bをヒータ19bLとし、使用者Pの右の下腿部の下部に温度刺激を付与するヒータ19bをヒータ19bRとして説明する場合がある。
【0018】
また、脚施療部16において、使用者Pの脚を保持するための保持面16aには、使用者Pの各脚を両側方から覆う側壁17bが形成されており、当該側壁17bには、膨張及び収縮駆動させる袋体の空気袋18bが埋設されている。以下、オットマン14に使用者Pが下肢を載置した際に、使用者Pの左の下肢と面する空気袋18bを空気袋18bLとし、使用者Pの右の下肢と面する空気袋18bを18bRとして説明する場合がある。
【0019】
また、使用者Pの下腿部の上部と面する保持面16aには、使用者Pの下腿部の上部に温度刺激を付与する(温める)ための温熱部となるヒータ19cが備えられている。以下、オットマン14に使用者Pが下肢を載置した際に、使用者Pの左の下腿部の上部に温度刺激を付与するヒータ19cをヒータ19cLとし、使用者Pの右の下腿部の下部に温度刺激を付与するヒータ19cをヒータ19cRとして説明する場合がある。
【0020】
そして、本実施形態では、使用者Pの左右の下肢のうち左の下肢に温度刺激を付与する場合には、ヒータ19aL,19bL,19cLの全てから同時に温度刺激が付与されるようになっている。同様に、使用者Pの左右の下肢のうち右の下肢に温度刺激を付与する場合には、ヒータ19aR,19bR,19cRの全てから同時に温度刺激が付与されるようになっている。このように、ヒータ19aL,19bL,19cLは使用者Pの左の下肢に温度刺激を付与する左下肢用のヒータ(温熱部)となり、ヒータ19aR,19bR,19cRは使用者Pの右の下肢に温度刺激を付与する右下肢用のヒータ(温熱部)となる。
【0021】
また、図1に示すように、座部12の両側には、使用者Pの上肢を左右それぞれ載置可能な上肢載置部として、前後方向に延びる肘掛け部20が組み付けられている。肘掛け部20の前端には、図3に示すように、カバー片21が幅方向の回転軸にて傾動可能に組み付けられている。すなわち、カバー片21は、その後端側が、肘掛け部20の上面20aから所定の角度で拡開するように設けられており、使用者Pの前腕部(下膊部(肘から手首までの部分)と手(手首から手先までの部分))が肘掛け部20との間に挿入できるようになっている。カバー片21の下面21aのうち肘掛け部20とカバー片21の間に挿入された前腕部の手の部分と面する位置には、膨張及び収縮駆動させる袋体の空気袋18cが埋設されている。以下、肘掛け部20に使用者Pが上肢(前腕部)を載置した際に、使用者Pの左の手と面する空気袋18cを空気袋18cLとし、使用者Pの右の手と面する空気袋18cを空気袋18cRとして説明する場合がある。
【0022】
また、カバー片21の下面21aのうち肘掛け部20とカバー片21の間に挿入された前腕部の下膊部と面する位置には、膨張及び収縮駆動させる袋体の空気袋18dが埋設されている。以下、肘掛け部20に使用者Pが上肢(前腕部)を載置した際に、使用者Pの左の下膊部と面する空気袋18dを空気袋18dLとし、使用者Pの右の下膊部と面する空気袋18dを空気袋18dRとして説明する場合がある。
【0023】
また、肘掛け部20の上面20aのうち、肘掛け部20とカバー片21の間に挿入された前腕部の手の部分と面する位置には、使用者Pの手に温度刺激を付与する(温める)ための温熱部となるヒータ19dが備えられている。以下、肘掛け部20とカバー片21の間に使用者Pが上肢を挿入した際に、使用者Pの左の手に温度刺激を付与するヒータ19dをヒータ19dLとし、使用者Pの右の手に温度刺激を付与するヒータ19dをヒータ19dRとして説明する場合がある。
【0024】
また、肘掛け部20の上面20aのうち、肘掛け部20とカバー片21の間に挿入された前腕部の下膊部と面する位置には、使用者Pの下膊部に温度刺激を付与する(温める)ための温熱部となるヒータ19eが備えられている。以下、肘掛け部20とカバー片21の間に使用者Pの上肢を挿入した際に、使用者Pの左の下膊部に温度刺激を付与するヒータ19eをヒータ19eLとし、使用者Pの右の下膊部に温度刺激を付与するヒータ19eをヒータ19eRとして説明する場合がある。
【0025】
そして、本実施形態では、使用者Pの左右の上肢のうち左の上肢に温度刺激を付与する場合には、ヒータ19dL,19eLの両方から同時に温度刺激が付与されるようになっている。同様に、使用者Pの左右の上肢のうち右の上肢に温度刺激を付与する場合には、ヒータ19dR,19eRの両方から同時に温度刺激が付与されるようになっている。このように、ヒータ19dL,19eLは使用者Pの左の上肢に温度刺激を付与する左上肢用のヒータ(温熱部)となり、ヒータ19dR,19eRは使用者Pの右の上肢に温度刺激を付与する右上肢用のヒータ(温熱部)となる。
【0026】
また、図1に示すように、使用者Pの左の上肢を載置する肘掛け部20の側面には、使用者Pが操作可能な操作手段としての操作部29が備えられている。操作部29には、制御手段としての制御部30が内蔵されている。制御部30は、操作部29が操作されたことに基づき、エアポンプ24や、各空気袋18aL〜18dL,18aR〜18dRに対応して設けられる電磁弁31a〜31h、各ヒータ19aL〜19eL,19aR〜19eRを制御する。
【0027】
図4に示すように、制御部30には、電動駆動されるエアポンプ24、各空気袋18aL〜18dL,18aR〜18dRに対応して設けられる電磁弁31a〜31h、及び各ヒータ19a〜19eが電線(図4では、破線で示す)によって接続されている。また、エアポンプ24には、電磁弁31a〜31hのうち何れか1つの電磁弁31a〜31hを介して、当該電磁弁31a〜31hに対応する空気袋18aL〜18dL,18aR〜18dRが中空構造をなす接続ホース(図4では、実線で示す)にて接続されている。
【0028】
そして、制御部30の制御の下、エアポンプ24の駆動により圧縮空気が生成され、施療対象となる肢に対応する電磁弁31a〜31dを通電状態にして大気開放側から供給側に切り替わる。すると、エアポンプ24からの圧縮空気がその対象の空気袋18a〜18d内に供給されて空気袋18a〜18dが膨張する。一方、空気袋18a〜18dの所定の膨張動作が終了すると、制御部30の制御の下、電磁弁31a〜32dを非通電状態にして供給側から大気開放側に切り替わり、空気袋18a〜18d内の空気が大気中に排出されて空気袋18a〜18dが収縮する。このように、空気袋18a〜18dの膨張動作と収縮動作を繰り返すことで、肢に対して物理的なマッサージが実施されるようになっている。
【0029】
本実施形態のマッサージ機10では、各空気袋18aL〜18dL,18aR〜18dRの膨張動作のタイミングが予め決められた複数の揉みモードが制御部30内のメモリに記憶されている。そして、操作部29が使用者Pによって操作され、揉みモードが選択されると、その選択された揉みモードに対応する動作パターンに基づいて空気袋18aL〜18dL,18aR〜18dRが膨張動作及び収縮動作され、一連の物理的なマッサージが実施される。
【0030】
また、本実施形態では、制御部30の制御の下、施療対象となる肢(左上肢、右上肢、左下肢及び右下肢)に対応するヒータ19a〜19eに電圧が印加されて、その対象のヒータ19a〜19eが発熱するようになっている。このとき、ヒータ19a〜19eは、人の体温よりは十分に高い温度(本実施形態では、40℃)を上限に発熱するようになっている。このようにヒータ19a〜19eの発熱によって、肢に対して温度刺激を付与し(温め)、温熱効果によるマッサージが実施される。また、本実施形態では、間欠的にヒータ19a〜19eに電圧を印加するようになっている。すなわち、ヒータ19a〜19eを発熱させた後、発熱を一旦終了させて一時的に温度刺激の付与を中止し、その後、再び温度刺激を付与するようにヒータ19a〜19eの発熱が制御されるようになっている。
【0031】
本実施形態のマッサージ機10では、各ヒータ19aL〜19eL,19aR〜19eRに電圧が印加されるタイミング(電圧の印加が終了するタイミング)が予め決められた複数の温熱モード(マッサージモード)が制御部30内のメモリに記憶されている。そして、操作部29が使用者Pによって操作され、温熱モードが選択された場合には、その選択された温熱モードに対応する印加パターンに基づいてヒータ19aL〜19eL,19aR〜19eRに電圧が印加されて一連の温度刺激が付与されるようになっている。なお、本実施形態では、何れの温熱モードであっても、左右の上肢のうち少なくとも一方の上肢に温度刺激を付与する際には、同時に、左右の下肢のうち少なくとも一方の下肢に温度刺激を付与するように、各ヒータ19aL〜19eL,19aR〜19eRに電圧を印加するタイミングが設定されている。
【0032】
また、本実施形態のマッサージ機10に搭載された温熱モードの中には、上肢に温度刺激を付与するヒータ19d,19eの発熱する温度が、下肢に温度刺激を付与するヒータ19a〜19cの発熱する温度より高くなるように設定された第1の温熱モードがある。また、温熱モードの中には、ヒータ19a〜19cが発熱する温度が、ヒータ19d,19eが発熱する温度よりも高くなるように設定された第2の温熱モードがある。その他に、温熱モードの中には、ヒータ19a〜19cが発熱する温度と、ヒータ19d,19eが発熱する温度が同じに設定された第3の温熱モードなどがある。なお、本実施形態において、第1の温熱モード〜第3の温熱モードは、各ヒータ19a〜19eの発熱する温度が異なる一方で、各ヒータ19a〜19eが発熱を開始するタイミングは同じに設定されている。
【0033】
なお、本実施形態における揉みモードと温熱モードの組み合わせには、肢に温度刺激を付与した後に、物理的なマッサージが実施される組み合わせがある。また、本実施形態における揉みモードと温熱モードの組み合わせには、肢に温度刺激を付与すると同時に、物理的なマッサージが実施される組み合わせがある。そして、使用者Pは、操作部29を操作して、自らが求めている施療が行われるように、揉みモードと温熱モードの組み合わせ(揉みモードと温熱モードの何れか一方のみを選択する場合も含む)を選択する。
【0034】
以下、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のマッサージ機10に搭載された温熱モードにおいて、各ヒータ19a〜19eが発熱するタイミング及び発熱が終了するタイミング(各ヒータ19a〜19eの温度が下降するタイミング)について、図5に基づき説明する。なお、図5において、「ON」とは、対象となるヒータ19a〜19eに電圧が印加され発熱している状態を示し、「OFF」とは、対象となるヒータ19a〜19eに電圧が印加されず発熱していない状態を示す。
【0035】
図5に示すように、最初に、タイミングt1にて、全てのヒータ19a〜19eへ電圧の印加が開始され、全てのヒータ19a〜19eが発熱し始める。その後、タイミングt2にて、ヒータ19a〜19eへの電圧の印加が終了してヒータ19a〜19eの発熱も終了する。
【0036】
また、タイミングt3では、左上肢に温度刺激を付与するヒータ19dL,19eLと、左下肢に温度刺激を付与するヒータ19aL〜19cLへ電圧の印加が開始され、ヒータ19aL〜19eLが発熱し始める。その後、タイミングt4にて、ヒータ19aL〜19eLへの電圧の印加が終了し、ヒータ19aL〜19eLの発熱も終了する。それとともに、タイミングt4では、右上肢に温度刺激を付与するヒータ19dR,19eRと、右下肢に温度刺激を付与するヒータ19aR〜19cRへの電圧の印加が開始され、ヒータ19aR〜19eRが発熱し始める。その後、タイミングt5にて、ヒータ19aR〜19eRへの電圧の印加が終了し、ヒータ19aR〜19eRの発熱も終了する。
【0037】
また、図5に示すように、タイミングt6では、ヒータ19dR,19eRと、ヒータ19aL〜19cLへの電圧の印加が開始され、ヒータ19aL〜19cL,19dR,19eRが発熱し始める。その後、タイミングt7にて、ヒータ19aL〜19cL,19dR,19eRへの電圧の印加が終了し、ヒータ19aL〜19cL,19dR,19eRの発熱も終了する。それとともに、タイミングt7では、ヒータ19dL,19eLと、ヒータ19aR〜19cRへの電圧の印加が開始され、ヒータ19dL,19eL,19aR〜19cRが発熱し始める。その後、タイミングt8にて、ヒータ19dL,19eL,19aR〜19cRへの電圧の印加が終了し、ヒータ19dL,19eL,19aR〜19cRの発熱も終了する。なお、ヒータ19a〜19eの発熱が終了する場合、再び電圧が印加されて発熱するまで各ヒータ19a〜19eの温度が熱伝導によって下降する(冷える)ことになる。
【0038】
このように、温熱モードにおいては、ヒータ19d,19eの少なくとも左右一方と、ヒータ19a〜19cの少なくとも左右一方から同時に温度刺激の付与が開始される。本実施形態では、同時に温度刺激を付与するヒータ19a〜19eの組み合わせ(以下、「発熱パターン」と示す)は全部で9通りある。そして、9通りの発熱パターンのうち1又は複数種類の発熱パターンの組み合わせ(順序など)や、その繰り返しで温熱モードが構成されている。
【0039】
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)末梢血管が集中する人体の四肢(上肢と下肢)を、各空気袋18a〜18dに空気を供給することによって物理的にマッサージするとともに、ヒータ19a〜19e(温熱部)によって温度刺激を付与する(温める)ようにした。また、ヒータ19a〜19eによって肢(左上肢、右上肢、左下肢及び右下肢)を温める際には、少なくとも左右何れか一方の上肢と、左右何れか一方の下肢に対して同時に温度刺激を付与するようにした。これにより、下肢で温められた血液が上肢にて冷やされてしまうことを防ぐとともに、上肢で温められた血液が下肢にて冷やされてしまうことを防ぐことができる。このため、上肢と下肢のうち何れか一方の肢のみに対して温度刺激を付与する場合と比較して、温められた血液が全身に循環しやすくなり、身体全体を温めやすくなる。また、全身に循環する血液全体を温めることができれば、身体の芯から温めることができるため、温度刺激の付与によって生じる温熱効果を長く持続させることができる。
【0040】
(2)制御部30によって、各ヒータ19a〜19e(温熱部)が発熱を開始するタイミングを間欠的に行うようにした。このため、温度変化によって感じられる心地良さ(温かいと感じることへの気持ち良さ)を使用者Pに与えることができる。
【0041】
(3)操作部29を使用者Pが操作することによって、温熱モードの選択有無(肢に温度刺激を付与するか否かについて)を決めることができるようにした。このため、冷え性に悩む被施療者(使用者P)と、冷え性に悩んでいない被施療者の何れもが同じマッサージ機10を使用することができる。また、同じ被施療者であっても、マッサージ機10を使用する際に感じている冷えに応じて温度刺激の有無を選択できるため、冷えを感じている場合でも、冷えを感じていない場合でも、同じマッサージ機10を使用することができる。
【0042】
(4)ヒータ19a〜19eの発熱から熱伝導によって四肢に温度刺激を付与するようにした。これにより、使用者Pは、ヒータ19a〜19eに触れることで温かさを感じることができ、人の手によって温められているかのような心地良さを感じることもできる。
【0043】
(5)肢に温度刺激を付与した後に、その肢に対して物理的なマッサージを実施する揉みモードと温熱モードの組み合わせを備えた。これにより、ヒータ19a〜19eによって温められた血液をはやく循環させることができる。また、温められた後に物理的なマッサージを実施することで、温められたことによる心地良さを使用者Pに感じさせた後に、物理的なマッサージによる心地良さを使用者Pに感じさせることができ、リラックスさせることができる。
【0044】
(第2実施形態)
図6及び図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0045】
図6に示すように、本実施形態のマッサージ機10におけるエアポンプ24は、エアポンプ24によって供給される空気(流体)を加熱する加熱装置40を介して、各電磁弁31a〜31hが接続ホースにて接続されている。なお、加熱装置40は、エアポンプ24から供給される空気を人の体温よりも十分に温かい温度(本実施形態では、41℃)に加熱するように、加熱装置40の加熱温度が設定されている。
【0046】
なお、本実施形態では、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19aL〜19eL,19aR〜19eRが発熱するタイミングにて、空気袋18a〜18dに加熱された空気が供給されるようになっている。
【0047】
具体的には、温熱モードにて左の上肢に温度刺激を付与するタイミングでは、空気袋18cL,18dLに、加熱された空気が供給されるようになっている。また、温熱モードにて右の上肢に温度刺激を付与するタイミングでは、空気袋18cR,18dRに、加熱された空気が供給されるようになっている。また、温熱モードにて左の下肢に温度刺激を付与するタイミングでは、空気袋18aL,18bLに、加熱された空気が供給されるようになっている。また、温熱モードにて右の下肢に温度刺激を付与するタイミングでは、空気袋18aR,18bRに、加熱された空気が供給されるようになっている。
【0048】
また、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19aL〜19eL,19aR〜19eRの温度が下降するタイミングにて、空気袋18a〜18dの空気を排出するようになっている。
【0049】
また、本実施形態では、操作部29に加熱装置40を機能させないことを選択するための非加熱スイッチ(図示しない)が設けられている。そして、非加熱スイッチが操作された際には、加熱装置40を機能させないで、加熱されていない空気が空気袋18a〜18dに供給されるようになっている。
【0050】
以下、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のマッサージ機10の肘掛け部20とカバー片21の間に、使用者Pの前腕部が挿入された際の、空気袋18dの態様について、図7に基づき説明する。図7には、空気袋18dに空気(流体)が供給されたときであって、肘掛け部20とカバー片21の間に挿入された下膊部の幅方向の断面図を示している。
【0051】
図7に示すように、空気袋18dに空気が供給されると、空気袋18dは面する下膊部の形状に合わせて膨張し、下膊部に対して、物理的なマッサージが実施される。空気袋18dに空気が供給されると、空気袋18dと下膊部が接する面積が広くなる。更に、空気袋18dには、加熱装置40にて加熱された空気が供給されるため、図7に示すように、空気袋18dから、空気袋18dと接触している下膊部へと熱が伝わる。
【0052】
このように、本実施形態では、空気袋18a〜18dがマッサージ機構として機能するとともに、温熱部としても機能するようになっている。
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0053】
(6)人体の四肢(上肢と下肢)を、各空気袋18a〜18dに空気を供給することによって物理的にマッサージすると同時に、温度刺激を付与する(温める)ようにした。また、空気袋18a〜18dによって肢(左上肢、右上肢、左下肢及び右下肢)を温める際には、少なくとも左右何れか一方の上肢と、何れか一方の下肢に対して同時に温度刺激を付与するようにした。これにより、下肢で温められた血液が上肢にて冷やされてしまうことを防ぐとともに、上肢で温められた血液が下肢にて冷やされてしまうことを防ぐことができ、温度刺激の付与によって生じる温熱効果を長く持続させることができる。また、物理的なマッサージを実施すると同時に、温度刺激を付与するようにしたため、血行を良くすると同時に、循環する血液を温めることができるので、全身を温めやすくなる。
【0054】
(7)空気袋18a〜18dへの空気の供給及び排出によって、対応する部位に対しての物理的なマッサージが実施される。また、空気袋18a〜18dには、加熱された空気が供給されるため、肢に対して間欠的に温度刺激が付与されるようになっている。このため、温度変化によって感じられる心地良さ(温かいと感じることへの気持ち良さ)を使用者Pに与えることができる。
【0055】
(8)空気袋18a〜18dに加熱された空気が供給されることにより、空気袋18a〜18dから熱伝導によって四肢に温度刺激を付与するようにした。これにより、使用者Pは、空気袋18a〜18dに触れることで温かさを感じることができ、人の手によって指圧されて温められているかのような心地良さを感じることもできる。
【0056】
(9)ヒータ19a〜ヒータ19eを設けなくても、肢に対して温度刺激を付与することができるため、ヒータ19a〜19eを設ける箇所を考える必要がなくなり、マッサージ機10のデザインや設計上の自由度が増す。
【0057】
(10)操作部29に非加熱スイッチを設けたため、温度刺激を必要としない(例えば、冷えを感じていない)使用者Pであっても、同じマッサージ機10を使用することができる。
【0058】
(第3実施形態)
図8及び図9を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0059】
本実施形態のマッサージ機10では、第1実施形態におけるヒータ19a〜19eの代わりに、図8に示す温風装置50を設けた。図8に示すように、温風装置50は、中空構造をなしており、肢と面する面51(人体対向面)には、空気を流出させる複数の吹き出し孔52が、温風装置50の内部(内部空間)に連通するように形成されている。また、温風装置50の側面のうち1つの面(図8では、側面53)には、温風装置50の内部に供給する空気を取り込むための接続孔54が、温風装置50の内部に連通するように形成されている。
【0060】
以下、本実施形態のマッサージ機10における温風装置50の配置について説明する。
足施療部15において、底面15bには、温風装置50の吹き出し孔52が形成されている面51が使用者Pの足裏と面する方向を向けて、温風装置50が備えられている。以下、オットマン14に使用者Pが下肢を載置した際に、使用者Pの左の下肢の足裏に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50aLとし、使用者Pの右の下肢の足裏に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50aRとして説明する場合がある。
【0061】
また、使用者Pの下腿部の下部と面する保持面15aには、温風装置50の面51が使用者Pの下腿部の下部と面する方向を向けて、温風装置50が備えられている。以下、オットマン14に使用者Pが下肢を載置した際に、使用者Pの左の下腿部の下部に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50bLとし、使用者Pの右の下腿部の下部に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50bRとして説明する場合がある。
【0062】
また、脚施療部16において、使用者Pの下腿部の上部と面する保持面16aには、温風装置50の面51が使用者Pの下腿部の上部と面する方向を向くように、温風装置50が備えられている。以下、オットマン14に使用者Pが下肢を載置した際に、使用者Pの左の下腿部の上部に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50cLとし、使用者Pの右の下腿部の下部に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50cRとして説明する場合がある。
【0063】
そして、本実施形態では、使用者Pの左右の下肢のうち左の下肢に温度刺激を付与する場合には、温風装置50aL,50bL,50cLの全てから同時に温度刺激が付与されるようになっている。同様に、使用者Pの左右の下肢のうち右の下肢に温度刺激を付与する場合には、温風装置50aR,50bR,50cRの全てから同時に温度刺激が付与されるようになっている。このように、温風装置50aL,50bL,50cLは使用者Pの左の下肢に温度刺激を付与する左下肢用の温風装置(温熱部)となり、温風装置50aR,50bR,50cRは使用者Pの右の下肢に温度刺激を付与する右下肢用の温風装置(温熱部)となる。
【0064】
また、肘掛け部20の上面20aのうち、肘掛け部20とカバー片21の間に挿入された前腕部の手の部分と面する位置には、温風装置50の面51が使用者Pの手と面する方向を向くように、温風装置50が備えられている。以下、肘掛け部20とカバー片21の間に使用者Pが上肢を挿入した際に、使用者Pの左の手に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50dLとし、使用者Pの右の手に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50dRとして説明する場合がある。
【0065】
また、肘掛け部20の上面20aのうち、肘掛け部20とカバー片21の間に挿入された前腕部の下膊部と面する位置には、温風装置50の面51が使用者Pの下膊部と面する方向を向くように、温風装置50が備えられている。以下、肘掛け部20とカバー片21の間に使用者Pの上肢を挿入した際に、使用者Pの左の下膊部に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50eLとし、使用者Pの右の下膊部に温度刺激を付与する温風装置50を温風装置50eRとして説明する場合がある。
【0066】
そして、本実施形態では、使用者Pの左右の上肢のうち左の上肢に温度刺激を付与する場合には、温風装置50dL,50eLの両方から同時に温度刺激が付与されるようになっている。同様に、使用者Pの左右の上肢のうち右の上肢に温度刺激を付与する場合には、温風装置50dR,50eRの両方から同時に温度刺激が付与されるようになっている。このように、温風装置50dL,50eLは使用者Pの左の上肢に温度刺激を付与する左上肢用の温風装置(温熱部)となり、温風装置50dR,50eRは使用者Pの右の上肢に温度刺激を付与する右上肢用の温風装置(温熱部)となる。
【0067】
図9に示すように、制御部30には、電動駆動され温風装置50に空気を供給するためのエアポンプ55、エアポンプ55から供給される空気を加熱するための加熱装置56、各温風装置50aL〜50dL,50aR〜50dRに対応して設けられる電磁弁31i〜31lが電線によって接続されている。また、エアポンプ55には、加熱装置56と電磁弁31i〜31lのうち何れか1つの電磁弁31i〜31lを介して、当該電磁弁31i〜31lに対応する温風装置50aL〜50dL,50aR〜50dRが接続ホースにて接続されている。なお、電磁弁31i〜31lと温風装置50aL〜50dL,50aR〜50dRの接続孔54を接続ホースにて接続することで、エアポンプ55からの空気が温風装置50の内部へと供給される。図9では、電線を破線で示し、接続ホースを実線で示す。
【0068】
以下、本実施形態の作用について説明する。
制御部30の制御の下、エアポンプ55の駆動により圧縮空気が生成され、施療対象となる肢に対応する電磁弁31i〜31lを通電状態にして大気開放側から供給側に切り替わる。すると、エアポンプ55からの圧縮空気がその対象の温風装置50aL〜50eL,50aR〜50eLの接続孔54から温風装置50内に供給され、その温風装置50の吹き出し孔から加熱された空気が吹き出す。
【0069】
このように、温風装置50の接続孔54から温風装置50の内部に供給される加熱された空気が、温風装置50の吹き出し孔から吹き出すことによって、対象となる部位に対して温度刺激を付与するようになっている。このように、本実施形態では、温風装置50が温熱部として機能し、加熱装置56が加熱部として機能するようになっている。
【0070】
なお、本実施形態では、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19aL〜19eL,19aR〜19eRが発熱するタイミングにて、温風装置50aL〜50eL,50aR〜50eRの内部へ加熱された空気が供給される。そして、温風装置50aL〜50eL,50aR〜50eRの内部へ供給された空気は、吹き出し孔52から流出し、対象の肢に対して吹き付けられるようになっている。
【0071】
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(11)人体の四肢(上肢と下肢)を、各空気袋18a〜18dに空気を供給することによって物理的にマッサージするとともに、温風装置50aL〜50eL,50aR〜50eR(温熱部)によって温度刺激を付与する(温める)ようにした。また、温風装置50によって肢(左上肢、右上肢、左下肢及び右下肢)を温める際には、少なくとも左右何れか一方の上肢と、何れか一方の下肢に対して同時に温度刺激を付与するようにした。これにより、下肢で温められた血液が上肢にて冷やされてしまうことを防ぐとともに、上肢で温められた血液が下肢にて冷やされてしまうことを防ぐことができる。このため、上肢と下肢のうち何れか一方の肢のみに対して温度刺激を付与する場合と比較して、温められた血液が全身に循環しやすくなり、身体全体を温めやすくなる。また、全身に循環する血液全体を温めることができれば、身体の芯から温めることができるため、温度刺激の付与によって生じる温熱効果を長く持続させることができる。
【0072】
(12)制御部30によって、温風装置50から加熱された空気を吹き出すタイミングを間欠的に行うようにした。このため、温度変化によって感じられる心地良さ(温かいと感じることへの気持ち良さ)を使用者Pに与えることができる。
【0073】
(13)温めた空気(気体)を吹き出し孔52から流出させて肢に吹き付けることによって、当該気体が肢に接触する面積を大きくすることができるとともに、使用者P周辺の空気を温かくすることもできる。また、肢に対して気体を吹き付けることによって、肢が蒸れ難くなる。
【0074】
(第4実施形態)
図10を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0075】
本実施形態のマッサージ機10では、熱放射によって肢に温度刺激を付与するための熱放射装置60を設けている。熱放射装置60は、遠赤外線を放射する放射部61を備えており、制御部30と電線にて接続されている(図示しない)。そして、肢に対して、温度刺激を付与する場合には、熱放射装置60の放射部61から遠赤外線が放射される。
【0076】
本実施形態のマッサージ機10では、図10に示すように、オットマン14に載置された下肢のうち、左の下肢に温度刺激を付与するための熱放射装置60aと、右の下肢に温度刺激を付与するための熱放射装置60bが、オットマン14に設けられている。熱放射装置60aは、熱放射装置60aの放射部61が、オットマン14に載置された使用者Pの下肢のうち左の下肢の方向を向くようにして、オットマン14に設けられている。同様に、熱放射装置60bは、熱放射装置60bの放射部61が、オットマン14に載置された使用者Pの下肢のうち右の下肢の方向を向くようにして、オットマン14に設けられている。
【0077】
また、本実施形態のマッサージ機10では、肘掛け部20に載置された上肢のうち、左の上肢に温度刺激を付与するための熱放射装置60cと、右の上肢に温度刺激を付与するための熱放射装置60dが、肘掛け部20に設けられている。熱放射装置60cは、熱放射装置60cの放射部61が、肘掛け部20とカバー片21の間に挿入された使用者Pの上肢のうち左の上肢の方向を向くようにして、肘掛け部20に設けられている。同様に、熱放射装置60dは、熱放射装置60dの放射部61が、肘掛け部20とカバー片21の間に挿入された使用者Pの上肢のうち右の上肢の方向を向くようにして、肘掛け部20に設けられている。
【0078】
なお、本実施形態では、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19aL〜19eL,19aR〜19eRが発熱するタイミングにて、熱放射装置60a〜60dから遠赤外線が放射されるようになっている。また、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19aL〜19eL,19aR〜19eRの発熱を終了するタイミングにて、熱放射装置60a〜60dからの遠赤外線の放射を終了するようになっている。
【0079】
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(14)人体の四肢(上肢と下肢)を、各空気袋18a〜18dに空気を供給することによって物理的にマッサージするとともに、熱放射装置60a〜60d(温熱部)によって温度刺激を付与する(温める)ようにした。また、熱放射装置60によって肢(左上肢、右上肢、左下肢及び右下肢)を温める際には、少なくとも左右何れか一方の上肢と、何れか一方の下肢に対して同時に温度刺激を付与するようにした。これにより、下肢で温められた血液が上肢にて冷やされてしまうことを防ぐとともに、上肢で温められた血液が下肢にて冷やされてしまうことを防ぐことができ、温度刺激の付与によって生じる温熱効果を長く持続させることができる。
【0080】
(15)熱放射によって肢に対して温度刺激を付与するようにしたので、自然な心地良さ(例えば、太陽光の下で温められているような感覚)を感じさせることができる。また、遠赤外線で温度刺激を与える場合には、肢表面だけでなく肢の芯(内部)からも温めることができるので、肢内部を循環する血液を効率良く温めることができる。
【0081】
(第5実施形態)
図11を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。
【0082】
本実施形態におけるマッサージ装置は、第1実施形態〜第4実施形態に記載した椅子型のマッサージ機10とは異なり、使用者Pが装着可能な装着式のマッサージ機70である。マッサージ機70は、左上肢用のマッサージ部71、右上肢用のマッサージ部72、左下肢用のマッサージ部73、右下肢用のマッサージ部74、及び本体部75によって構成されている。図11に示すように、左上肢用のマッサージ部71は使用者Pの左手に装着され、右上肢用のマッサージ部72は使用者Pの右手に装着されるようになっている。また、左下肢用のマッサージ部73は使用者Pの左足に装着され、右下肢用のマッサージ部74は使用者Pの右足に装着されるようになっている。
【0083】
以下、左上肢用のマッサージ部71と右上肢用のマッサージ部72について、図11に基づき説明する。なお、左上肢用のマッサージ部71の構成と右上肢用のマッサージ部72の構成は同じであるため、図11には、左上肢用のマッサージ部71の構成のみを拡大して示す。
【0084】
マッサージ部71,72は、手を挿入して装着する際に入り口となる開口部70aを有する袋体を成しており、内部には、使用者Pの手の親指を挿入する挿入部76aと、手の人差し指から小指までの4本の指を挿入する挿入部76bが形成されている。以下、「手の人差し指から小指までの4本の指」を「親指以外の指」と示す。
【0085】
また、各挿入部76a,76bに所定の指を挿入した際に、挿入部76bの内側であって親指以外の指と接する面には、親指以外の指に温度刺激を付与する(温める)ためのヒータ19dが備えられている。以下、左上肢用のマッサージ部71に備えられたヒータ19dをヒータ19dLとし、右上肢用のマッサージ部72に備えられたヒータ19dをヒータ19dRとして説明する場合がある。
【0086】
また、マッサージ部71,72の内部において、各挿入部76a,76bに所定の指を挿入した際に、マッサージ部71,72の内部であって掌と接する面には、掌に対して物理的なマッサージを実施するための空気袋18cが設けられている。以下、左上肢用のマッサージ部71に設けられた空気袋18cを空気袋18cLとし、右上肢用のマッサージ部72に設けられた空気袋18cを空気袋18cRとして説明する場合がある。
【0087】
次に、左下肢用のマッサージ部73と右下肢用のマッサージ部74について、図11に基づき説明する。なお、左下肢用のマッサージ部73の構成と右下肢用のマッサージ部74の構成は同じであるため、図11には、左下肢用のマッサージ部73の構成のみを拡大して示す。
【0088】
マッサージ部73,74は、足を挿入して装着する際に入り口となる開口部70bを有する袋体を成しており、内部には、使用者Pの足の先端(つま先)を挿入する挿入部77が形成されている。また、挿入部77につま先を挿入した際に、マッサージ部73の内部(挿入部77を含む)であって足裏と接する面には、足裏に温度刺激を付与する(温める)ためのヒータ19aが備えられている。以下、左下肢用のマッサージ部73に備えられたヒータ19aをヒータ19aLとし、右下肢用のマッサージ部74に備えられたヒータ19aをヒータ19aRとして説明する場合がある。
【0089】
また、挿入部77につま先を挿入した際に、マッサージ部73の内部であって使用者Pの脹脛側面と接する左右の面には、脹脛に対して物理的なマッサージを実施するための空気袋18bが設けられている。以下、左下肢用のマッサージ部73に設けられた空気袋18bを空気袋18bLとし、右下肢用のマッサージ部74に設けられた空気袋18bを空気袋18bRとして説明する場合がある。
【0090】
また、本体部75には、操作部29が設けられている。また、本体部75には、制御部30や、エアポンプ24、各空気袋18bL,18bR,18dL,18dRに対応して設けられる電磁弁31c,31d,31e,31fが内蔵されている。
【0091】
なお、本実施形態では、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19aL〜19cLが発熱を開始するタイミングにてヒータ19aLの発熱を開始し、ヒータ19aR〜19cRが発熱を開始するタイミングにてヒータ19aRの発熱を開始する。また、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19dL,19eLの発熱を開始するタイミングにてヒータ19dLの発熱を開始するようになっている。同様に、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19dR,19eRの発熱を開始するタイミングにてヒータ19dRの発熱を開始するようになっている。
【0092】
そして、本実施形態では、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19aL〜19cLの温度が下降するタイミングにてヒータ19aLの温度が下降し、ヒータ19aR〜19cRの温度が下降するタイミングにてヒータ19aRの温度が下降する。また、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19dL,19eLの温度が下降するタイミングにてヒータ19dLの温度が下降するようになっている。同様に、第1実施形態における温熱モードにてヒータ19dR,19eRの温度が下降するタイミングにてヒータ19dRの温度が下降するようになっている。
【0093】
本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(5)に記載の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
(16)マッサージ機70のマッサージ部71,72,73,74を四肢に装着して、物理的なマッサージが実施されているときや温度刺激が付与されている場合であっても、使用者Pは本体部75を持って移動することができる。また、マッサージ機70は、椅子型のマッサージ機と比較してスペースを必要としないため、使用していないマッサージ機70が邪魔になったり、マッサージ機70の収納に困ったりすることがない。
【0094】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施してもよい。
【0095】
・上記第1実施形態〜第5実施形態において、使用者Pが温熱モードや揉みモードを選択可能に構成しなくても良い。例えば、上記第1実施形態〜第5実施形態において、予め決められた温熱モードにて温度刺激を付与するように構成しても良い。また、上記第1実施形態と第3実施形態〜第5実施形態において、予め決められた揉みモードにて物理的なマッサージが実施されるように構成しても良い。
【0096】
・上記第1実施形態〜第5実施形態において、空気袋18a〜18dに供給する流体は、空気などの気体に限らず、水などの液体であっても良い。
・上記第1実施形態と第3実施形態〜第5実施形態において、空気袋18a〜18dの代わりに、肢に対して物理的なマッサージを実施する固形部材を設けても良い。そして、新たに設けた固形部材が肢に近づく方向に移動させたり、肢から遠ざかる方向に移動させたりして物理的なマッサージを肢に対して実施するように構成しても良い。
【0097】
・上記第1実施形態〜第5実施形態において、四肢以外の人体の部位(例えば、背部や腰部、頸部)に対して物理的なマッサージを実施するマッサージ機構を更に設けても良い。これにより、全身の血行がより良くなり、温められた血液をはやく全身に循環させることができるようになる。
【0098】
・上記第1実施形態〜第5実施形態において、熱源の付近に温度センサを設けても良い。更に、温度センサが検出した温度が制御部30に送信されるように構成しても良い。そして、制御部30は、温度センサが検出した温度が予め定めた上限温度に達した場合には、温度刺激の付与を停止させるように構成しても良い。また、制御部30は、温度センサが検出した温度が予め定めたか下限温度よりも低い場合には、下限温度よりも高い温度となるように熱源を制御するように構成しても良い。なお、熱源とは、第1実施形態ではヒータ19a〜19e、第2実施形態では空気袋18a〜18d、第3実施形態では温風装置50、第4実施形態では熱放射装置60、第5実施形態ではヒータ19a,19dをいう。
【0099】
・上記第1実施形態〜第5実施形態において、温熱モードを構成する発熱パターンの組み合わせ(順序も含む)を変更しても良い。また、温熱モードを構成する発熱パターンの組み合わせを異ならせた温熱モードを複数種類備えて、発熱パターンの組み合わせが異なる温熱モードも使用者Pが選択できるように構成しても良い。
【0100】
・上記第1実施形態と第5実施形態におけるヒータ19a〜19eとして、薄型の面状発熱体であるシリコンラバーヒータを採用しても良い。シリコンラバーヒータを用いることで、シリコンラバーヒータよりも大きいヒータを用いる場合と比較して、ヒータ19a〜19eを設置する箇所のスペース的な問題が生じ難くなり、デザイン及び設計の自由度が増す。
【0101】
・上記第1実施形態〜第5実施形態において、温度刺激を付与する際には、上限となる温度まで段階的に徐々に上昇させていくように構成しても良い。このような構成によれば、温度刺激が付与される皮膚を温度刺激に対して徐々に慣らすことができる。
【0102】
・上記第2実施形態では、空気袋18a〜18dによって肢に温度刺激を付与することが可能なため、ヒータ19a〜19eを備えなくても良い。このように構成する場合には、ヒータ19a〜19eにかかる費用を抑えることができる。
【0103】
・上記第3実施形態における温風装置50に代えて、膨張及び収縮駆動可能な袋体の空気袋を配置しても良い。更に、その空気袋に、加熱された空気が流出する孔を設けても良い。このとき、空気袋に設ける孔の大きさを、空気袋に供給される空気の量よりも孔から流出する空気の量が少なくなるような大きさとしても良い。この場合、空気袋に孔を設けたとしても、空気袋に空気を供給することで、空気袋を膨張させることができる。更に、加熱された新しい空気が循環することにより、空気袋に供給される空気の温度が冷めることなく、常にほぼ一定の温度の空気で肢に温度刺激を付与することができる。なお、この場合、温風装置50の代わりに設けた空気袋が、マッサージ機構及び温熱部として機能する。
【符号の説明】
【0104】
P…使用者、10,70…マッサージ機、12…座部、13…背もたれ部、14…オットマン、15…足施療部、16…脚施療部、18a〜18d…空気袋、19a〜19e…ヒータ、20…肘掛け部、21…カバー片、24…エアポンプ、30…制御部、31a〜31l…電磁弁、40…加熱装置、50…温風装置、52…吹き出し孔、54…接続孔、55…エアポンプ、56…加熱装置、60…熱放射装置、70…マッサージ機、71…左上肢用のマッサージ部、72…右上肢用のマッサージ部、73…左下肢用のマッサージ部、74…右下肢用のマッサージ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の上肢を左右それぞれ載置可能な上肢載置部と、使用者の下肢を左右それぞれ載置可能な下肢載置部と、前記上肢載置部及び下肢載置部に載置された肢をマッサージするマッサージ機構と、各載置部に載置された肢に対して間欠的に温度刺激を付与する温熱部を肢毎に設けるとともに、各温熱部が温度刺激を付与するタイミングを制御する制御手段と、を備え、
左右の上肢のうち少なくとも一方の上肢と、左右の下肢のうち少なくとも一方の下肢と、に対して同時に温度刺激の付与を開始するように前記制御手段が各温熱部を制御するマッサージモードを備えたことを特徴するマッサージ装置。
【請求項2】
使用者が操作可能であって、前記制御手段に対して前記マッサージモードで各温熱部を制御することを指示する操作手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記温熱部は、使用者の上肢及び下肢に対して熱伝導によって温度刺激を付与するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
前記温熱部は、使用者の上肢及び下肢に対して流体熱伝導によって温度刺激を付与するように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のマッサージ装置。
【請求項5】
前記温熱部は、使用者の上肢及び下肢に対して熱放射によって温度刺激を付与するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のうち何れか一項に記載のマッサージ装置。
【請求項6】
前記温熱部には人体対向面に流出用の吹き出し孔が形成されており、当該吹き出し孔から流出させる気体を加熱する加熱部を備え、
前記加熱部によって加熱された気体を前記吹き出し孔から流出させることによって上肢及び下肢に対して温度刺激を付与することを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のマッサージ装置。
【請求項7】
前記マッサージ機構は、流体の供給及び排出により膨張又は収縮する袋体で構成されており、
当該袋体に供給する流体を加熱する加熱部を備え、
前記加熱部によって加熱された流体が供給された袋体のマッサージ機構を前記温熱部とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のマッサージ装置。
【請求項8】
前記マッサージ機構は、前記温熱部によって肢に対して温度刺激が付与された後に、肢に対するマッサージを行うことを特徴とする請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載のマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−106833(P2013−106833A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254880(P2011−254880)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】