マットソックスとしての履物
本発明は、新しい概念に基づく機能的な履物に関し、このような履物は足の形状に適合し、かつ、歩行時に柔らかな感触を付与するものである。そのような履物は、足の上部を覆いかつ固定するための上部足固定部分(1)と、上部足固定部分に取り付けられて、足の下部を支持するための足支持部分とを備える。足支持部分は、軟質の弾性体を有する弾力マット(2)を備え、足の形状に応じて変形可能である。この履物は、単純な構造を有し、かつ、スポンジマットや、柔らかいカーペットのような芝生の上を裸足で歩いているような感触を付与して、歩行時に着用者に完璧な履き心地を提供することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい概念に基づく機能的な履物に関し、このような履物は足の形状に適合し、かつ、歩行時に柔らかな感触を付与するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な履物の例は、靴や靴下である。
一般的な靴の構造は、その用途に応じて様々に開発されてきた。一般的な靴は、足のつま先を覆い、かつ、靴の外観や形状を維持するための上部と、靴底(sole)とを備える。靴底には、地面と接触するアウトソールと、アウトソールとテクシオン(texion)との間に配置されるミッドソールと、不用な糸やタックや釘を隠すためのインソールとが順に積み重ねられている。なお、テクシオンとは靴の外観を維持し、上部と靴底との間の連結部として機能するために硬質材料から形成されているものである。
【0003】
また、一般的な靴下、特に足首までの短い靴下は、足のつま先を覆う上部と、足裏を包囲する底部とを含む。
歩行時の感触に関しては、テクシオンとアウトソールとの間の部分に弾性体を挿入または弾性材料からミッドソールを形成することにより、歩行中または運動中における着用者の体重による衝撃を吸収するための靴が提案されてきた。しかしながら、従来の靴の構造においては、テクシオンは、軟性または弾性材料から形成することができず、靴の上部と底との連結部として機能し、靴の形状を維持し、さらにミッドソールやミッドソールに挿入する弾性体を固定するために硬質材料からのみ形成が可能であった。そのため、歩行時における感触という点については、靴が足の形状に適合できるような十分に柔らかい感触を得るには限度があった。
【0004】
従来の靴においては、硬質なテクシオンに関する問題は、一般にインソールを使用することで補われてきた。しかしながら、このような場合であっても、靴はインソールの下部において硬質なテクシオンを有するため、歩行時における感触という点については、十分に柔らかい感触を得るには限度があった。
【0005】
足首までの靴下の場合は、その底部に二重織り繊維を使用することにより、部分的な衝撃を減少させ、かつ、着用感を向上させる努力がなされてきた。しかしながら、靴下には靴を着用するという機能があり、歩行時における感触という点については、靴が足の形状に適合できるような十分に柔らかい感触を得るには限度があった。
【0006】
筋肉や骨格における問題に対する形状矯正、改善または防止、リハビリの補助等の整形外科的な目的、さらに所定の筋肉を強化する等の所定部分の運動に使用される機能靴の場合は、これらの目的は、概して靴のインソールにより達成されている。
【0007】
さらに、特許文献1および特許文献2には、整形外科的な目的や人体の所定の部分の運動に使用される機能靴が開示されている。
これらの特許文献において、硬質−軟質移行部分を含む形状が、足と地面との間に形成される。その結果、歩行時に所望のタイプに依存してローリング工程が強制的に行われたり、または他の負荷が歩行時に所定の筋肉に付与されるため、そのような靴は、着用者にとって必要な所定の目的に対応する。
【0008】
さらに、上記の靴は、例えば、砂地や森林土壌や牧草地のような非平坦面上を歩行する場合の感触をシミュレートするという目的を有するものの、アスファルト道路やコンクリートや平底(plate bottom)等の平坦面において使用される。
【0009】
しかしながら、上記の機能靴は、硬質なテクシオン、すなわち靴の外観を維持するための別の硬質構造を含むため、歩行時における感触という点については、靴が足の形状に適合できるような十分に柔らかい感触を得るには依然限度があった。
【0010】
さらに、機能靴は、所定の歩行方法や所定の姿勢を着用者に求める強制的な治療として機能するため、着用者は、筋肉や骨格等の必要とされる移動器官を用いて、バランスを維持しなければならない。歩行方法や歩行姿勢の調整は、所定の形状の底構造を有する硬質または軟質の挿入材を使用して決定される。整形外科医は、着用者がどのように行動し、着用者がどの姿勢をとるべきかを慎重に決定し、それによって、底構造の所定の形状が決定される。
【0011】
しかしながら、底構造の所定の形状は、各自の症状に適合しないこともあり、整形外科医の不適切な診断により長期にわたって間違った姿勢を求められる危険もある。
幾つかの機能に使用される従来の靴において、各自の歩行方法や、整形外科的な目的や所定の部分の運動に対して優れた効果を得るために、各自の移動器官の構造に靴を適合させる必要が生じることが多い。しかしながら、一般には、着用者が間違った構造を選択したり、整形外科医が正しくない診断をした場合に、機能靴は、最初に着用した時には快適ではなく、着用が困難であり、最悪の場合には全く不便なものとなる。着用者が靴に合わせる必要がある場合に、このような状況が生じる。
【0012】
着用者が靴に合わせるだけでなく、靴も着用者の足の形状や、簡易な方法により革や布から製造された靴やテクシオンを着用した着用者の歩行方法に合わせることになる。
しかしながら、ファイバやプラスチックやゴムは、合成材料として近年使用されているが、上記の靴の特性や構造により、着用者の足に軟質材料を適合させることには基本的に限度がある。
【0013】
また、着用者の足を快適にし、最大限の自由度を可能にすることが、着用者の運動シーケンスによる整形外科的な治療効果を有することが研究され経験的に証明されている。このことは、柔らかい自然の地面を裸足で歩く地方の人々のほうが、標準化された靴を履く都市部の住民よりも、移動器官をはるかに健康に保っているという報告に結びつく危険性がある。
【0014】
したがって、着用者に適合して歩行中に完璧な履き心地を提供でき、また、履物の外観を維持するための構造の一部や全体が廃棄されても、足に最大限の自由度を付与できるような、新しい概念による履物を開発する必要性がある。
【特許文献1】欧州特許第0999764号明細書
【特許文献2】欧州特許第1124462号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明は、従来技術において生じた上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、簡単な構造を有し、かつ、スポンジマットや、柔らかいカーペットのような芝生の上を裸足で歩いているような感触を付与することにより、歩行時に着用者に完璧な履き心地を付与することのできる履物を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、必要に応じて、歩行時の履き心地や補正機能を容易に変更できる履物を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、歩行時に着用者に完璧な履き心地を付与し、かつ、足に最大限の自由度を付与する履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するために、足の上部を覆いかつ固定するための上部足固定部分と、この上部足固定部分に取り付けられて足の下部を支持するための足支持部分とを備える履物が提供される。この足支持部分は、足の形状によって変形可能な軟質の弾性体を有する弾力マットを含む。
【0018】
従来の靴は、硬質のテクシオン、すなわち、靴の外観を維持するための硬質な構造を備えるが、本発明は、硬質のテクシオン、すなわち、歩行時の感触を向上させるために、靴の外観を維持するための他の構造を含まない。
【0019】
本発明においては、靴の外観を維持するための態様を部分的に放棄しているにもかかわらず、比較的簡単な構造を有し、かつ、スポンジマットや、柔らかいカーペットのような芝生の上を裸足で歩いているような感触を付与して、歩行時に着用者に完璧な履き心地を付与できるだけでなく、足との接触部分を足の裏の形状に合わせることにより、足に最大限の自由度を付与することができる。
【0020】
好適には、足支持部分は、軟性の弾力マットの外表面の一部または全体を覆い、かつ、その弾力マットを固定するシュラウドをさらに備える。
構造においては、弾性体から形成された弾力マットは、保護、容易に収納および固定可能であり、弾力マット(シュラウドがチャンバを形成する場合において、チャンバ内に受容される弾性体)は交換可能であり、上部足固定部分およびシュラウドを有する履物の外観は本来の形状を維持する。
【0021】
好適には、足支持部分は、シュラウドの外表面上に形成された底部を含み、履物が地面と接触する時に履物の滑り運動(slide movement)を防止する。この底部は、シュラウドの地面接触部を他の部分よりも厚く形成することにより、シュラウドと一体に形成され、あるいは、別々に形成されてから接合される。また、底部は、シュラウドの地面接触部の少なくとも一部をコーティングすることにより形成することも可能である。
【0022】
好適には、弾力マットを挿入および回収するための部分が、シュラウドの表面に形成される。
この構成により、足支持部分を上部足固定部分から分離することなく、弾力マットのみを容易に挿入および回収することができる。
【0023】
より好適には、シュラウドを足固定部分に着脱可能に取り付けることにより、足支持部分を足固定部分に取り付けることが可能である。
このような構成により、シュラウドおよび上部足固定部分を部分的に変形させて係合部を形成するだけで、弾力マットの種類や形状に制限されることなく、様々な方法で足支持部分を足固定部分に対して取り付けることができる。そして、足支持部分を取り付けまた取り外すことができ、シュラウド内の弾力マットは必要に応じて交換することができる。シュラウドを弾力マットに対して取り付けることは、上記の足固定部分に対して着脱可能に取り付けることに限定されるものではなく、シュラウドは弾力マットと一体的に形成されても、あるいは、別々に形成されて接着(bonding)等により弾力マットに堅固に取り付けられてもよい。
【0024】
さらに、上記したように、シュラウドは、開閉可能かつ弾力マットを挿入および回収するために使用可能な部分を有してもよく、シュラウド全体を上部足固定部分から分離することなく、弾力マットを交換することができる。
【0025】
好適には、シュラウドは、弾性体を受容するための少なくとも1つのチャンバを含む。
したがって、異なる弾力性を有する複数の弾性体をチャンバへ収容することにより、そのような弾性体は、歩行時に着用者が求める感触を付与し、さらに、足の接触部分に応じて、交換して弾力性を容易に変更することができる。
【0026】
好適には、弾力マットは複数の区分に分割され、各区分は弾性体を含む。
このような構成により、区分の形状および/または材料を調整して、着用感や歩行時の補正機能を着用者の要求に応じて変更することも可能である。
さらに、弾性体は、開放弾性体(opened elastic body)、閉鎖弾性体(closed elastic body)、あるいはこれら両方を使用できる。
【0027】
ここで、開放弾性体とは、例えば、その内部や構造において空気を含むスポンジ、ゴム、あるいは天然樹脂/合成樹脂から形成された発泡材料やフォーム構造からなる弾性体を指し、圧力を付与し弾性体を押圧することにより空気を排出し、圧力を減少させることにより空気を再吸収する。
【0028】
開放弾性体を含む弾力マットを形成する場合には、弾性体を圧縮すると、材料または構造の中空間にある空気が、上部足固定部分の内部へ移動でき、着用者の足は、空気の圧縮および拡張時に生じた空気流により通風状態となり、また、弾性体により歩行時に柔らかい感触を得ることができる。
【0029】
閉鎖弾性体とは、例えば、空気、流体、ゲル、あるいはゴム等の充填材料で満たされた閉じた袋の形状を有する充填体からなる弾性体を指し、その弾力性により、形状のみが圧力を付与することにより変化できるが、空気すなわち充填材料は導入も排出もされない。袋状の充填体には弁(図示せず)が形成されているため、必要に応じてその内部の充填材料を排出または再充填することにより、弾力性を変更することができる。
【0030】
好適には、弾力マットは、少なくとも1つの開放弾性体を含む上部および閉鎖弾性体を含む下部に分けられる。
このような弾力マットの二重構造により、下部は比較的安定した弾力性を提供し、上部は開放弾性体を用いて、弾力マットが弛緩かつ収縮して発生した空気により、歩行時における履物の通気性を向上させることができる。
【0031】
より好適には、弾力マットを形成する弾性体は、内部に硬質の弾性粒子を含む。
この構成により、軟質の弾性体の内部の弾性粒子は、履物を装着した時に軟質の弾性体が急激に押圧される現象を軽減し、軟質の弾性体が最も圧縮された時に固い地面の感触が足に伝わることを防止するバッファとして機能できる。さらに、履物を着用する時の感触や歩行時の感触は、弾性体を製造する時に挿入される硬質の弾性粒子の数、寸法、種類を変更することにより調節可能であり、それによって、圧縮度や最大圧縮厚さを調節する。
【0032】
好適には、本発明は、足支持部分の外表面に取り付けられた底部を備えており、弾力マットを含む足支持部分を保護して、地面と接触する際の滑り運動を防止する。
底部は、地面接触部においてのみ形成されるが、これに限定されるものではない。底部は、さらに足支持部分を上部足固定部分に係合させるために、足の正面、背面、右側および左側の少なくとも一方へ延びて覆い、あるいは、さらに足の一部または全体を固定するために延びる。
【0033】
また、上部足固定部分は軟質材料から形成され、靴下の形状を有する。軟質材料は、通常の靴下におけるように、天然または合成繊維を含み、さらに、天然または合成ラテックスや合成樹脂等の履物を着脱するのに十分な可撓性を有する任意の材料を含む。
【0034】
上部足固定部分は一般的な靴下の形状を有するため、容易に着脱可能であり、さらに、従来の靴と比較して、着用感や歩行時の柔らかい感触を最大限にすることができる。
好適には、上部足固定部分は、繊維材料(textile material)からなる靴下の形状を有し、さらに、足の上端部分においてシュラウドに取り付けられて、シュラウドと一体に形成される。この場合、シュラウドは、縫合、接着等の様々な方法で取り付けることができる。特に、シュラウドの材料が上部足固定部分の材料と同じ場合には、シュラウドは、製織により上部足固定部分と一体に形成されてもよく、あるいは、別々に製造されてから、下端部において収容空間を有する二重靴下の形状を有するように、縫合等により上部足固定部分に取り付けられてもよい。
【0035】
より好適には、上部足固定部分とシュラウドとの係合部の一部は、弾力マットを回収および交換するために、開閉可能であってもよい。さらに、上部足固定部分の形状は、靴下の形状に限定されるものではなく、靴、サンダル等の異なる形状に適合可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の上記ならびに他の目的、特徴および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明からより明らかとなろう。
【0037】
本明細書において、好適な実施例について、添付の図面を参照して詳細に説明をする。同一の要素については、図面において同一の参照番号により示される。
図1は、本発明の履物の好適な実施例を示す図である。基本的に、本発明の履物は、足の上部を覆いかつ固定するための上部足固定部分1と、この上部足固定部分に取り付けられた、足の下部を支持するための足支持部分とを備える。好適な実施例において、足支持部分は、足の裏の形状によって変形可能な軟質の弾力マット2と、弾力マット2と一体に形成、または弾力マット2を固定するために弾力マット2に対して別々に取り付けられたシュラウド3と、履物の滑り運動を防止するために地面との接触面上に形成された底部(図示せず)とを備える。
【0038】
この好適な実施例において理解されるように、本発明は、一般の靴と異なり、履物の外観を維持するための硬質のテクシオンや他の部分を含まないため、歩行時に弾力マット2の感触が足に伝わり、そのため着用者は、柔らかいスポンジやカーペットや芝生の上を裸足で歩いているような快適さを感じる。
【0039】
さらに、足支持部分の地面との接触面の滑り運動を防止するための底部(図示せず)は、選択的に形成することが可能である。底部は、弾力マット2の材料や形状または履物を使用する場所により、必要がなければ省くことも可能である。底部が省かれる場合は、弾力マット2のみが足支持部分を形成する。また、シュラウド3が履物に用いられる場合は、シュラウドを形成する時に底部をシュラウドと一体に形成することも可能であり、あるいは、底部をシュラウドの地面との接触面に取り付けることも可能である。
【0040】
さらに、以下に述べるように、底部(図示せず)は、上方へ延びて足支持部分を上部足固定部分に対して固定、または、歩行時に足を履物に固定するために使用することも可能である。
【0041】
好適な実施例において、接着剤で接合、縫合、ベルクロ(商標)ファスナやスライドファスナ(すなわちジッパー)やスナップ式ファスナによる係合等の周知の係合方法の一つにより、弾力マット2を上部足固定部分に固定してもよい。シュラウド3が弾力マットに用いられる場合は、周知の方法によりシュラウド3の係合部分を用いて、弾力マット2を取り付けることも可能である。さらに、場合によっては、底部(図示せず)が延びて取り付けられてもよい。
【0042】
上部足固定部分1は、軟質材料からなり、その用途に応じて、靴下、ゴム長靴、運動靴、サンダル、スリッパ等の様々な形状を取ることが可能である。上部足固定部分1の材料は、軟質ゴム、織物、網目織物(net)、革等の異なる材料を含むことも可能である。
【0043】
さらに、複数の通気穴を上部足固定部分に形成することも可能であり、足固定部分のデザインは、例えば、透明窓を形成して、変更することも可能である。
弾力マット2は、軟質の弾性体から形成され、あるいは、シュラウドを含む。弾性体の材料は、開放弾性体と閉鎖弾性体とに分類され、開放弾性体とは、例えば、その内部や構造において空気を含むスポンジ、あるいは天然樹脂/合成樹脂から形成された発泡材料やフォーム構造からなる弾性体を指し、圧力を付与したり弾性体を押圧することにより空気を排出し、圧力を減少させることにより空気を再吸収する。閉鎖弾性体とは、例えば、空気、流体、ゲル、あるいはゴム等の充填材料で満たされた閉じた袋の形状を有する充填体からなる弾性体を指し、その弾力性により、形状のみが圧力を付与することにより変化できるが、空気すなわち充填材料は導入も排出もされない。弾力マット2の様々な実施例において、このような弾性体の一方または両方を使用することができる。
【0044】
軟質の弾性体の材料および構造は、履物の着用時に、弾力マットの圧縮率が50%〜90%になるように選択される。
また、袋状の閉鎖弾性体には弁(図示せず)が形成されているため、必要に応じて内部の充填材料を排出または再充填することにより、弾力性を変更することができる。
【0045】
弾力マット2の平面形状は、履物の底面の形状にほぼ従っている。弾力マット2の厚さ(底部が形成されない場合は、弾力マット自身の厚さ)は、着用者の体重や弾性体の弾力性により変更される。また、上記したように、本発明の軟質の弾性体は、履物の着用時に50%〜90%の圧縮率を有する。したがって、本発明により、弾性体の厚さが地面との接触面から少なくとも1cmであって、子供の場合は少なくとも0.5cmであることが望ましい。
【0046】
シュラウド3は、上部足固定部分と同一の材料から形成され、あるいは、上部足固定部分とは異なる材料から形成される。シュラウド3は、軟質の弾性材料から形成可能であり、さらに、合成または天然の繊維材料、合成または天然のラテックス、ポリウレタン等の異なる材料を使用することも可能である。
【0047】
図2は、本発明の他の好ましい実施例の構成を示す斜視図である。
図2の好適な実施例において、その基本的な技術精神は図1の好適な実施例と同様であるため、説明を反復することは省略する。
好適な実施例における履物は、一般的な靴や運動靴の形状を有する。足支持部分を形成する弾力マットは、履物を着用する前の圧力が付与されない状態においては、一般的な靴や運動靴のソールの形状を有する。また、履物を着用して圧力をかけると、履物の圧縮率が50%〜90%になるため、履物の形状が変形する。
【0048】
上部足固定部分1は一般的な運動靴の形状を有する。上部足固定部分1の材料は、軟質ゴム、織物、網目織物、革等の異なる材料を含む。
図3は、本発明の他の好適な実施例の構成を示す斜視図であり、サンダルの形状が上部足固定部分1に適用されている場合を示す。図3の好適な実施例の基本的な技術精神は、図1の好適な実施例と同様であるため、説明を反復することは省略する。
【0049】
サンダルの形状を形成する上部足固定部分1は、接合や縫合等の異なる方法により、足支持部分に取り付けられてもよい。足支持部分を形成する弾力マット2は、履物を着用する前の圧力が付与されない状態においては、一般的な靴や運動靴のソールの形状を有する。
【0050】
シュラウドを履物に用いる場合には、弾力マット2はシュラウドの表面に堅固に固定される。サンダルの形状を有する上部足固定部分1および足支持部分を形成する弾力マット2は、必要に応じて交換可能であり、互いに取り外し可能に取り付けられる。
【0051】
図4aは、本発明の他の好適な実施例の構成を示す斜視図であり、本発明の技術的精神が靴下の形態に適用されている好適な例を示す。
図4bは弾力マット2を交換する方法を示す図である。
好適な実施例において、上部足固定部分1および足支持部分は、その外見において靴下の形状を形成する。弾力マット2を収容するための受容空間は、上部足固定部分1と足支持部分との間に形成されるため、弾力マット2はこの受容空間内に収容される。
【0052】
好適な実施例において、上部足固定部分は、合成または天然の繊維材料から形成され、さらに、必要に応じて軟質ゴムから形成することも可能である。上部足固定部分および足支持部分は、一体に形成され、あるいは、別々に形成されて縫合により互いに取り付けられる。
【0053】
さらに、上部足固定部分および足支持部分の一部または全体は、ベルクロ(商標)ファスナやスライドファスナ(ジッパー)やスナップ式ファスナ等の係合具により、着脱可能に取り付けることも可能であり、上部足固定部分および足支持部分が分離すると、弾力マット2を挿入または回収することができる。好適な実施例において、履物全体が縫合により取り付けられて、スライドファスナが足の踵部分に取り付けられるため、図4bに示すようにスライドファスナが開放されると、弾力マット2を受容空間へ挿入または受容空間から回収することができる。
【0054】
図5a−5fは、本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を説明する図である。本発明の好適な実施例において、足支持部分は、軟質の弾力マット2の外表面の一部を覆い、さらに、軟質の弾力マット2を受容かつ固定するためのシュラウド3を備えている。この場合、上部足固定部分および足支持部分は、シュラウド3の一部から互いに取り付けられる。シュラウド3は弾力マット2と一体または別に形成することも可能である。
【0055】
参考までに、係合構造において、係合部はシュラウド3の延長部分として示されているが、底部(図示せず)の延長部分であってもよい。
本明細書において、上部足固定部分および足支持部分の係合構造は、図面を参照して詳細に説明される。
【0056】
図5aにおいて、足支持部分の弾力マットのシュラウド3は、弾力マットを含む足支持部分を足固定部分に取り付けるために、接着または縫合により足固定部分に固定かつ取り付けられる。シュラウド全体を上部足固定部分から分離させることなく弾力マットを挿入および回収することにより、弾力マットを交換するために開閉可能な部分は、シュラウド3の外表面に形成される。
【0057】
本発明の好適な実施例において、スライドファスナ4を用いることにより開閉可能な部分は、シュラウド3の踵部分に形成されるが、履物の用途やデザインにより任意の表面に取り付けることも可能である。
【0058】
好適な実施例において、このように開閉可能な部分を使用することにより、弾性体から形成された弾力マット2は、保護され、加えて容易に収容かつ固定可能である。さらに、弾力マットのみを交換することが可能であるが、履物の外観は本来の形状を維持する。
【0059】
図5bは、足支持部分の先端を覆いかつ固定するために、足支持部分のシュラウド3の上部を延ばすことにより、足支持部分がオーバーシューズの形態において取り外し可能に取り付けられる状態を示す図である。
【0060】
好適な実施例において、上部足固定部分は、オーバーシューズの形態においてシュラウドを取り外すことにより、足支持部分から分離させることが可能である。分離の際に、弾力マット2を交換することも可能であり、足支持部分のみを他のものに置換したり、あるいは洗うことができる。
【0061】
図5cは、シュラウド3が固定されるべき足のつま先から足首部分まで延び、さらに、足支持部分が二重靴下の形態において固定されている状態を示す断面図である。
好適な実施例において、上部足固定部分は、オーバーシューズの形態におけるように、上部足固定部分からシュラウドを取り外すことにより、足支持部分から分離させることが可能である。また、分離の際に、弾力マット2を交換することも可能であり、上部足固定部分のみを他のものに置換したり、あるいは洗うことができる。
【0062】
さらに、このような場合、図示されるように、通気のための空間を足の踵部分に形成することができる。
図5dは、シュラウドを固定するために、足の前方部において足のつま先を越えて足首部分までシュラウドを延ばすことにより、足支持部分が二重靴下の形態において固定されている構成を示す。シュラウドの後部は、足の踵部分まで延びて縫合により取り付けられる。このような構成において、弾力マット2は、シュラウドの後端部においてスライドファスナを取り付けて、踵部分のみを開閉することにより交換可能である。
【0063】
この係合構造は、足固定部分および足支持部分が繊維材料または軟質ゴムから形成されて、靴下状に成形されている場合には特に適している。
図5eは、係合部分としてスライドファスナ4がシュラウド3の上端部に取り付けられており、さらに、シュラウド3が、対応する上部足固定部分の下端部に取り付けられたスライドファスナに対して連結されている状態を示している。
【0064】
この係合構造において、スライドファスナを開くと、足支持部分が分離するため、弾力マット2を交換することができる。好適な実施例において、シュラウドが弾力マットに適用されない場合には、スライドファスナ4は弾力マットに形成される。
【0065】
図5fにおいて、底部、シュラウドの上端部、または弾力マットは、ベルクロ(商標)ファスナを用いて上部足固定部分1に取り付けられる。
好適な実施例において、ベルクロ(商標)ファスナ5aは、足支持部分の上部の外周面に対してのみ取り付けられて、上部足固定部分の下端部に取り付けられたベルクロ(商標)ファスナ5bに連結されるため、ベルクロ(商標)ファスナによる係合で履物の着用感を低下させることを防止する。また、ベルクロ(商標)ファスナ部分は、足固定部分および足支持部分の係合面に延びるだけではなく、これらの部分の側面の周囲にも延びるため、ベルクロ(商標)ベルト5cを用いることにより係合状態を強化することができる。
【0066】
実際の実施例において、これら2つの係合方法を別々または一緒に使用することが可能である。
図6a−6gは、本発明の弾力マット2、シュラウド3および底部4の構成により、足支持部分を形成する方法を説明する図である。
【0067】
図6aは、弾力マット2のみを含む好適な実施例を示す。弾性体である弾力マットは、製造工程において、その外表面に一体に形成されたシュラウドとして機能する部分を有してもよい。この場合、使用する製造方法により、シュラウドまたはシュラウドとして機能する部分は、弾性体と同じ材料から形成されてもよく、このことにより、弾性体の外表面の機械的摩擦力を高める。弾力マットは、上部足固定部分に直接装着されても、あるいは、実施例の態様に応じて挿入材として使用することも可能である。さらに、履物の滑り運動を防止する底部(図示せず)は、地面との接触面に選択的に形成されてもよい。
【0068】
後述するシュラウドが適用される場合には、シュラウドは、弾力マットを製造する際に弾力マットと一体に形成されてもよい。シュラウドを別に製造する場合には、弾力マットに着脱可能に取り付けても、接着等により弾力マットに堅固に取り付けることも可能である。
【0069】
図6bは、シュラウド3が弾性体全体を覆う好適な実施例を示す。この場合、例えば、シュラウドは本質的に軟質の弾性メンブレン、または、薄ゴム、弾性繊維等のフィルム材からなる必要がある。この好適な実施例において、シュラウドを製造する際に、地面と接触する面は、その接触する面部分を他の部分よりも厚くすることにより、底部として機能する。
【0070】
図6cは、履物の着用感の変化を最小限にするために、シュラウド3が弾力マットの上面の周囲のみを覆う場合を示す。同様に、シュラウドを製造する際に、地面と接触する面部分は、他の部分よりも厚く形成される。
【0071】
弾力マットを覆うシュラウドの部分は、接着や縫合やベルクロ(商標)ファスナ等により、上部足固定部分がシュラウドに対して取り付けられる時に、係合部分として機能する。
【0072】
図6dにおいて、シュラウドは弾力マットの上側まで延びる。スライドファスナ、ベルクロ(商標)ファスナ、またはスナップ式ファスナ等の連結部分は、シュラウドの延長部分に取り付けられて、上部足固定部分の対応する部分に対して連結される。シュラウドは、オーバーシューズや二重靴下の形態において、上部足固定部分までさらに延びてもよい。同様に、地面と接触する面部分は、シュラウドが製造される時に、他の部分よりも厚く形成される。
【0073】
図6e−6gにおいては、底部6が、シュラウドの地面との接触面に別々に形成される。
図7aおよび7bは、弾力マットが区分を有する好適な実施例を示す。
図7aにおいては、弾力マットは、足の左右に分けられている。図7bにおいては、弾力マットは、足の左右および前後に分けられているため、マトリックス形状をなす。
【0074】
この場合、シュラウド(図示せず)は、弾力マット2を収容するために弾力マット2の外形と同じ形状を有してもよく、あるいは、弾力マットの形状に関係なく弾力マットを収容することも可能である。
【0075】
また、この場合には、シュラウドまたはシュラウドとして機能する部分は、弾性体と同じ材料から形成され、それによって、製造方法に応じて弾性体の外表面の機械的摩擦力を強化することも可能である。弾力マットは、上部足固定部分に直接取り付けられてもよく、あるいは、実施例の態様に応じて、挿入材として使用することも可能である。さらに、履物の滑り運動を防止する底部(図示せず)は、地面との接触面に選択的に形成されてもよい。またさらには、歩行時の着用感や補正機能は、弾力マットの区分の形状および/または材料を調節することにより、着用者の求めに応じて変更することが可能である。
【0076】
図8aおよび8bはシュラウド3の構成を示しており、弾力マットは、分割されたシュラウド3に形成されたチャンバへ弾性体を挿入して製造される。シュラウドは、弾性体を受容する複数のチャンバを形成し、弾力マット2は、その複数の弾性体をチャンバ内へ挿入して形成される。この場合、弾力マットの開放部分を覆うシュラウドカバー(図示せず)は、選択的に使用される。シュラウドカバーが使用される場合は、このシュラウドカバーは、軟質かつ通気性のある材料から形成される。
【0077】
図9および10は、履物を着用する時に、挿入材を弾性マットの弾性体へ挿入する前後における圧縮率を説明する図である。
弾力マットの本体を例えば、ポリウレタン等の合成樹脂からなる発泡材料で形成する場合に、挿入材を含む弾性体は、発泡材料の形状を作るための発泡工程において、ポリウレタン粒子や顆粒を挿入して製造することが可能である。さらに、流体やゲルを袋の内部に充填する閉鎖弾性体の場合には、流体やゲルを袋の内部に充填する前に、ポリウレタン顆粒等の弾性粒子を加えて製造することも可能である。
【0078】
図9cは、一般的な弾性体を弾力マットに適用した場合において、履物を着用する前の弾力マットの厚さd1と、履物を着用した後の弾力マットの厚さd2との差Δdの変化の関数としての弾性反発力(resilient repulsive force)Fを示すグラフである。
【0079】
図10cは、一般的な弾性体よりも硬質な顆粒を弾力マットの内部に挿入した場合において、履物を着用する前の弾力マットの厚さd1と、履物を着用した後の弾力マットの厚さd2との差Δdの変化の関数としての弾性反発力Fを示すグラフである。
【0080】
図9aは、弾性反発力が、所定の線形状における弾力マット臨界厚さd1付近まで変化することを示す。
一方、図10aに示す弾力マットの場合は、弾性体の材料よりも硬質な顆粒を含んでおり、弾性反発力の曲線は、グラフに示すように、顆粒の数や種類に応じて調節可能である。
【0081】
図面は便宜上断面のみを示しているが、本発明は、様々な形状からなる弾力マットを形成する弾性体に適用される。
本発明による履物は、単純な構造を有し、かつ、スポンジマットや、柔らかいカーペットのような芝生の上を裸足で歩いているような感触を付与して、歩行時に着用者に完璧な履き心地を提供することが可能である。
【0082】
また、本発明は、必要に応じて歩行時に、着用感や補正機能を容易に変更することが可能である。
さらに、本発明は、歩行時に着用者に完璧な履き心地を提供し、かつ、足に対して最大限の自由度を付与することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の履物の第1の好適な実施例を示す斜視図。
【図2】本発明の履物の第2の好適な実施例を示す斜視図。
【図3】本発明の履物の第3の好適な実施例を示す斜視図。
【図4】本発明の履物の第4の好適な実施例を示す斜視図。
【図5a】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す図。
【図5b】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図5c】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図5d】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図5e】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図5f】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図6a】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する図。
【図6b】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6c】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6d】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6e】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6f】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6g】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図7a】弾性マットが分割される場合好適な実施例を示す斜視図。
【図7b】弾性マットが分割される場合の好適な実施例を示す他の斜視図。
【図8a】弾性体が弾性マットを分割することにより形成されたチャンバへ挿入される場合におけるシュラウドの構造を示す図。
【図8b】弾性体が弾性マットを分割することにより形成されたチャンバへ挿入される場合におけるシュラウドの構造を示す他の図。
【図9】履物を装着する場合に、挿入材を弾性マットの弾性体へ挿入する前後における圧縮率を説明する図。
【図10】本発明の履物を装着する場合に、挿入材を弾性マットの弾性体へ挿入する前後における圧縮率を説明する図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい概念に基づく機能的な履物に関し、このような履物は足の形状に適合し、かつ、歩行時に柔らかな感触を付与するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な履物の例は、靴や靴下である。
一般的な靴の構造は、その用途に応じて様々に開発されてきた。一般的な靴は、足のつま先を覆い、かつ、靴の外観や形状を維持するための上部と、靴底(sole)とを備える。靴底には、地面と接触するアウトソールと、アウトソールとテクシオン(texion)との間に配置されるミッドソールと、不用な糸やタックや釘を隠すためのインソールとが順に積み重ねられている。なお、テクシオンとは靴の外観を維持し、上部と靴底との間の連結部として機能するために硬質材料から形成されているものである。
【0003】
また、一般的な靴下、特に足首までの短い靴下は、足のつま先を覆う上部と、足裏を包囲する底部とを含む。
歩行時の感触に関しては、テクシオンとアウトソールとの間の部分に弾性体を挿入または弾性材料からミッドソールを形成することにより、歩行中または運動中における着用者の体重による衝撃を吸収するための靴が提案されてきた。しかしながら、従来の靴の構造においては、テクシオンは、軟性または弾性材料から形成することができず、靴の上部と底との連結部として機能し、靴の形状を維持し、さらにミッドソールやミッドソールに挿入する弾性体を固定するために硬質材料からのみ形成が可能であった。そのため、歩行時における感触という点については、靴が足の形状に適合できるような十分に柔らかい感触を得るには限度があった。
【0004】
従来の靴においては、硬質なテクシオンに関する問題は、一般にインソールを使用することで補われてきた。しかしながら、このような場合であっても、靴はインソールの下部において硬質なテクシオンを有するため、歩行時における感触という点については、十分に柔らかい感触を得るには限度があった。
【0005】
足首までの靴下の場合は、その底部に二重織り繊維を使用することにより、部分的な衝撃を減少させ、かつ、着用感を向上させる努力がなされてきた。しかしながら、靴下には靴を着用するという機能があり、歩行時における感触という点については、靴が足の形状に適合できるような十分に柔らかい感触を得るには限度があった。
【0006】
筋肉や骨格における問題に対する形状矯正、改善または防止、リハビリの補助等の整形外科的な目的、さらに所定の筋肉を強化する等の所定部分の運動に使用される機能靴の場合は、これらの目的は、概して靴のインソールにより達成されている。
【0007】
さらに、特許文献1および特許文献2には、整形外科的な目的や人体の所定の部分の運動に使用される機能靴が開示されている。
これらの特許文献において、硬質−軟質移行部分を含む形状が、足と地面との間に形成される。その結果、歩行時に所望のタイプに依存してローリング工程が強制的に行われたり、または他の負荷が歩行時に所定の筋肉に付与されるため、そのような靴は、着用者にとって必要な所定の目的に対応する。
【0008】
さらに、上記の靴は、例えば、砂地や森林土壌や牧草地のような非平坦面上を歩行する場合の感触をシミュレートするという目的を有するものの、アスファルト道路やコンクリートや平底(plate bottom)等の平坦面において使用される。
【0009】
しかしながら、上記の機能靴は、硬質なテクシオン、すなわち靴の外観を維持するための別の硬質構造を含むため、歩行時における感触という点については、靴が足の形状に適合できるような十分に柔らかい感触を得るには依然限度があった。
【0010】
さらに、機能靴は、所定の歩行方法や所定の姿勢を着用者に求める強制的な治療として機能するため、着用者は、筋肉や骨格等の必要とされる移動器官を用いて、バランスを維持しなければならない。歩行方法や歩行姿勢の調整は、所定の形状の底構造を有する硬質または軟質の挿入材を使用して決定される。整形外科医は、着用者がどのように行動し、着用者がどの姿勢をとるべきかを慎重に決定し、それによって、底構造の所定の形状が決定される。
【0011】
しかしながら、底構造の所定の形状は、各自の症状に適合しないこともあり、整形外科医の不適切な診断により長期にわたって間違った姿勢を求められる危険もある。
幾つかの機能に使用される従来の靴において、各自の歩行方法や、整形外科的な目的や所定の部分の運動に対して優れた効果を得るために、各自の移動器官の構造に靴を適合させる必要が生じることが多い。しかしながら、一般には、着用者が間違った構造を選択したり、整形外科医が正しくない診断をした場合に、機能靴は、最初に着用した時には快適ではなく、着用が困難であり、最悪の場合には全く不便なものとなる。着用者が靴に合わせる必要がある場合に、このような状況が生じる。
【0012】
着用者が靴に合わせるだけでなく、靴も着用者の足の形状や、簡易な方法により革や布から製造された靴やテクシオンを着用した着用者の歩行方法に合わせることになる。
しかしながら、ファイバやプラスチックやゴムは、合成材料として近年使用されているが、上記の靴の特性や構造により、着用者の足に軟質材料を適合させることには基本的に限度がある。
【0013】
また、着用者の足を快適にし、最大限の自由度を可能にすることが、着用者の運動シーケンスによる整形外科的な治療効果を有することが研究され経験的に証明されている。このことは、柔らかい自然の地面を裸足で歩く地方の人々のほうが、標準化された靴を履く都市部の住民よりも、移動器官をはるかに健康に保っているという報告に結びつく危険性がある。
【0014】
したがって、着用者に適合して歩行中に完璧な履き心地を提供でき、また、履物の外観を維持するための構造の一部や全体が廃棄されても、足に最大限の自由度を付与できるような、新しい概念による履物を開発する必要性がある。
【特許文献1】欧州特許第0999764号明細書
【特許文献2】欧州特許第1124462号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明は、従来技術において生じた上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、簡単な構造を有し、かつ、スポンジマットや、柔らかいカーペットのような芝生の上を裸足で歩いているような感触を付与することにより、歩行時に着用者に完璧な履き心地を付与することのできる履物を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、必要に応じて、歩行時の履き心地や補正機能を容易に変更できる履物を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、歩行時に着用者に完璧な履き心地を付与し、かつ、足に最大限の自由度を付与する履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するために、足の上部を覆いかつ固定するための上部足固定部分と、この上部足固定部分に取り付けられて足の下部を支持するための足支持部分とを備える履物が提供される。この足支持部分は、足の形状によって変形可能な軟質の弾性体を有する弾力マットを含む。
【0018】
従来の靴は、硬質のテクシオン、すなわち、靴の外観を維持するための硬質な構造を備えるが、本発明は、硬質のテクシオン、すなわち、歩行時の感触を向上させるために、靴の外観を維持するための他の構造を含まない。
【0019】
本発明においては、靴の外観を維持するための態様を部分的に放棄しているにもかかわらず、比較的簡単な構造を有し、かつ、スポンジマットや、柔らかいカーペットのような芝生の上を裸足で歩いているような感触を付与して、歩行時に着用者に完璧な履き心地を付与できるだけでなく、足との接触部分を足の裏の形状に合わせることにより、足に最大限の自由度を付与することができる。
【0020】
好適には、足支持部分は、軟性の弾力マットの外表面の一部または全体を覆い、かつ、その弾力マットを固定するシュラウドをさらに備える。
構造においては、弾性体から形成された弾力マットは、保護、容易に収納および固定可能であり、弾力マット(シュラウドがチャンバを形成する場合において、チャンバ内に受容される弾性体)は交換可能であり、上部足固定部分およびシュラウドを有する履物の外観は本来の形状を維持する。
【0021】
好適には、足支持部分は、シュラウドの外表面上に形成された底部を含み、履物が地面と接触する時に履物の滑り運動(slide movement)を防止する。この底部は、シュラウドの地面接触部を他の部分よりも厚く形成することにより、シュラウドと一体に形成され、あるいは、別々に形成されてから接合される。また、底部は、シュラウドの地面接触部の少なくとも一部をコーティングすることにより形成することも可能である。
【0022】
好適には、弾力マットを挿入および回収するための部分が、シュラウドの表面に形成される。
この構成により、足支持部分を上部足固定部分から分離することなく、弾力マットのみを容易に挿入および回収することができる。
【0023】
より好適には、シュラウドを足固定部分に着脱可能に取り付けることにより、足支持部分を足固定部分に取り付けることが可能である。
このような構成により、シュラウドおよび上部足固定部分を部分的に変形させて係合部を形成するだけで、弾力マットの種類や形状に制限されることなく、様々な方法で足支持部分を足固定部分に対して取り付けることができる。そして、足支持部分を取り付けまた取り外すことができ、シュラウド内の弾力マットは必要に応じて交換することができる。シュラウドを弾力マットに対して取り付けることは、上記の足固定部分に対して着脱可能に取り付けることに限定されるものではなく、シュラウドは弾力マットと一体的に形成されても、あるいは、別々に形成されて接着(bonding)等により弾力マットに堅固に取り付けられてもよい。
【0024】
さらに、上記したように、シュラウドは、開閉可能かつ弾力マットを挿入および回収するために使用可能な部分を有してもよく、シュラウド全体を上部足固定部分から分離することなく、弾力マットを交換することができる。
【0025】
好適には、シュラウドは、弾性体を受容するための少なくとも1つのチャンバを含む。
したがって、異なる弾力性を有する複数の弾性体をチャンバへ収容することにより、そのような弾性体は、歩行時に着用者が求める感触を付与し、さらに、足の接触部分に応じて、交換して弾力性を容易に変更することができる。
【0026】
好適には、弾力マットは複数の区分に分割され、各区分は弾性体を含む。
このような構成により、区分の形状および/または材料を調整して、着用感や歩行時の補正機能を着用者の要求に応じて変更することも可能である。
さらに、弾性体は、開放弾性体(opened elastic body)、閉鎖弾性体(closed elastic body)、あるいはこれら両方を使用できる。
【0027】
ここで、開放弾性体とは、例えば、その内部や構造において空気を含むスポンジ、ゴム、あるいは天然樹脂/合成樹脂から形成された発泡材料やフォーム構造からなる弾性体を指し、圧力を付与し弾性体を押圧することにより空気を排出し、圧力を減少させることにより空気を再吸収する。
【0028】
開放弾性体を含む弾力マットを形成する場合には、弾性体を圧縮すると、材料または構造の中空間にある空気が、上部足固定部分の内部へ移動でき、着用者の足は、空気の圧縮および拡張時に生じた空気流により通風状態となり、また、弾性体により歩行時に柔らかい感触を得ることができる。
【0029】
閉鎖弾性体とは、例えば、空気、流体、ゲル、あるいはゴム等の充填材料で満たされた閉じた袋の形状を有する充填体からなる弾性体を指し、その弾力性により、形状のみが圧力を付与することにより変化できるが、空気すなわち充填材料は導入も排出もされない。袋状の充填体には弁(図示せず)が形成されているため、必要に応じてその内部の充填材料を排出または再充填することにより、弾力性を変更することができる。
【0030】
好適には、弾力マットは、少なくとも1つの開放弾性体を含む上部および閉鎖弾性体を含む下部に分けられる。
このような弾力マットの二重構造により、下部は比較的安定した弾力性を提供し、上部は開放弾性体を用いて、弾力マットが弛緩かつ収縮して発生した空気により、歩行時における履物の通気性を向上させることができる。
【0031】
より好適には、弾力マットを形成する弾性体は、内部に硬質の弾性粒子を含む。
この構成により、軟質の弾性体の内部の弾性粒子は、履物を装着した時に軟質の弾性体が急激に押圧される現象を軽減し、軟質の弾性体が最も圧縮された時に固い地面の感触が足に伝わることを防止するバッファとして機能できる。さらに、履物を着用する時の感触や歩行時の感触は、弾性体を製造する時に挿入される硬質の弾性粒子の数、寸法、種類を変更することにより調節可能であり、それによって、圧縮度や最大圧縮厚さを調節する。
【0032】
好適には、本発明は、足支持部分の外表面に取り付けられた底部を備えており、弾力マットを含む足支持部分を保護して、地面と接触する際の滑り運動を防止する。
底部は、地面接触部においてのみ形成されるが、これに限定されるものではない。底部は、さらに足支持部分を上部足固定部分に係合させるために、足の正面、背面、右側および左側の少なくとも一方へ延びて覆い、あるいは、さらに足の一部または全体を固定するために延びる。
【0033】
また、上部足固定部分は軟質材料から形成され、靴下の形状を有する。軟質材料は、通常の靴下におけるように、天然または合成繊維を含み、さらに、天然または合成ラテックスや合成樹脂等の履物を着脱するのに十分な可撓性を有する任意の材料を含む。
【0034】
上部足固定部分は一般的な靴下の形状を有するため、容易に着脱可能であり、さらに、従来の靴と比較して、着用感や歩行時の柔らかい感触を最大限にすることができる。
好適には、上部足固定部分は、繊維材料(textile material)からなる靴下の形状を有し、さらに、足の上端部分においてシュラウドに取り付けられて、シュラウドと一体に形成される。この場合、シュラウドは、縫合、接着等の様々な方法で取り付けることができる。特に、シュラウドの材料が上部足固定部分の材料と同じ場合には、シュラウドは、製織により上部足固定部分と一体に形成されてもよく、あるいは、別々に製造されてから、下端部において収容空間を有する二重靴下の形状を有するように、縫合等により上部足固定部分に取り付けられてもよい。
【0035】
より好適には、上部足固定部分とシュラウドとの係合部の一部は、弾力マットを回収および交換するために、開閉可能であってもよい。さらに、上部足固定部分の形状は、靴下の形状に限定されるものではなく、靴、サンダル等の異なる形状に適合可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の上記ならびに他の目的、特徴および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明からより明らかとなろう。
【0037】
本明細書において、好適な実施例について、添付の図面を参照して詳細に説明をする。同一の要素については、図面において同一の参照番号により示される。
図1は、本発明の履物の好適な実施例を示す図である。基本的に、本発明の履物は、足の上部を覆いかつ固定するための上部足固定部分1と、この上部足固定部分に取り付けられた、足の下部を支持するための足支持部分とを備える。好適な実施例において、足支持部分は、足の裏の形状によって変形可能な軟質の弾力マット2と、弾力マット2と一体に形成、または弾力マット2を固定するために弾力マット2に対して別々に取り付けられたシュラウド3と、履物の滑り運動を防止するために地面との接触面上に形成された底部(図示せず)とを備える。
【0038】
この好適な実施例において理解されるように、本発明は、一般の靴と異なり、履物の外観を維持するための硬質のテクシオンや他の部分を含まないため、歩行時に弾力マット2の感触が足に伝わり、そのため着用者は、柔らかいスポンジやカーペットや芝生の上を裸足で歩いているような快適さを感じる。
【0039】
さらに、足支持部分の地面との接触面の滑り運動を防止するための底部(図示せず)は、選択的に形成することが可能である。底部は、弾力マット2の材料や形状または履物を使用する場所により、必要がなければ省くことも可能である。底部が省かれる場合は、弾力マット2のみが足支持部分を形成する。また、シュラウド3が履物に用いられる場合は、シュラウドを形成する時に底部をシュラウドと一体に形成することも可能であり、あるいは、底部をシュラウドの地面との接触面に取り付けることも可能である。
【0040】
さらに、以下に述べるように、底部(図示せず)は、上方へ延びて足支持部分を上部足固定部分に対して固定、または、歩行時に足を履物に固定するために使用することも可能である。
【0041】
好適な実施例において、接着剤で接合、縫合、ベルクロ(商標)ファスナやスライドファスナ(すなわちジッパー)やスナップ式ファスナによる係合等の周知の係合方法の一つにより、弾力マット2を上部足固定部分に固定してもよい。シュラウド3が弾力マットに用いられる場合は、周知の方法によりシュラウド3の係合部分を用いて、弾力マット2を取り付けることも可能である。さらに、場合によっては、底部(図示せず)が延びて取り付けられてもよい。
【0042】
上部足固定部分1は、軟質材料からなり、その用途に応じて、靴下、ゴム長靴、運動靴、サンダル、スリッパ等の様々な形状を取ることが可能である。上部足固定部分1の材料は、軟質ゴム、織物、網目織物(net)、革等の異なる材料を含むことも可能である。
【0043】
さらに、複数の通気穴を上部足固定部分に形成することも可能であり、足固定部分のデザインは、例えば、透明窓を形成して、変更することも可能である。
弾力マット2は、軟質の弾性体から形成され、あるいは、シュラウドを含む。弾性体の材料は、開放弾性体と閉鎖弾性体とに分類され、開放弾性体とは、例えば、その内部や構造において空気を含むスポンジ、あるいは天然樹脂/合成樹脂から形成された発泡材料やフォーム構造からなる弾性体を指し、圧力を付与したり弾性体を押圧することにより空気を排出し、圧力を減少させることにより空気を再吸収する。閉鎖弾性体とは、例えば、空気、流体、ゲル、あるいはゴム等の充填材料で満たされた閉じた袋の形状を有する充填体からなる弾性体を指し、その弾力性により、形状のみが圧力を付与することにより変化できるが、空気すなわち充填材料は導入も排出もされない。弾力マット2の様々な実施例において、このような弾性体の一方または両方を使用することができる。
【0044】
軟質の弾性体の材料および構造は、履物の着用時に、弾力マットの圧縮率が50%〜90%になるように選択される。
また、袋状の閉鎖弾性体には弁(図示せず)が形成されているため、必要に応じて内部の充填材料を排出または再充填することにより、弾力性を変更することができる。
【0045】
弾力マット2の平面形状は、履物の底面の形状にほぼ従っている。弾力マット2の厚さ(底部が形成されない場合は、弾力マット自身の厚さ)は、着用者の体重や弾性体の弾力性により変更される。また、上記したように、本発明の軟質の弾性体は、履物の着用時に50%〜90%の圧縮率を有する。したがって、本発明により、弾性体の厚さが地面との接触面から少なくとも1cmであって、子供の場合は少なくとも0.5cmであることが望ましい。
【0046】
シュラウド3は、上部足固定部分と同一の材料から形成され、あるいは、上部足固定部分とは異なる材料から形成される。シュラウド3は、軟質の弾性材料から形成可能であり、さらに、合成または天然の繊維材料、合成または天然のラテックス、ポリウレタン等の異なる材料を使用することも可能である。
【0047】
図2は、本発明の他の好ましい実施例の構成を示す斜視図である。
図2の好適な実施例において、その基本的な技術精神は図1の好適な実施例と同様であるため、説明を反復することは省略する。
好適な実施例における履物は、一般的な靴や運動靴の形状を有する。足支持部分を形成する弾力マットは、履物を着用する前の圧力が付与されない状態においては、一般的な靴や運動靴のソールの形状を有する。また、履物を着用して圧力をかけると、履物の圧縮率が50%〜90%になるため、履物の形状が変形する。
【0048】
上部足固定部分1は一般的な運動靴の形状を有する。上部足固定部分1の材料は、軟質ゴム、織物、網目織物、革等の異なる材料を含む。
図3は、本発明の他の好適な実施例の構成を示す斜視図であり、サンダルの形状が上部足固定部分1に適用されている場合を示す。図3の好適な実施例の基本的な技術精神は、図1の好適な実施例と同様であるため、説明を反復することは省略する。
【0049】
サンダルの形状を形成する上部足固定部分1は、接合や縫合等の異なる方法により、足支持部分に取り付けられてもよい。足支持部分を形成する弾力マット2は、履物を着用する前の圧力が付与されない状態においては、一般的な靴や運動靴のソールの形状を有する。
【0050】
シュラウドを履物に用いる場合には、弾力マット2はシュラウドの表面に堅固に固定される。サンダルの形状を有する上部足固定部分1および足支持部分を形成する弾力マット2は、必要に応じて交換可能であり、互いに取り外し可能に取り付けられる。
【0051】
図4aは、本発明の他の好適な実施例の構成を示す斜視図であり、本発明の技術的精神が靴下の形態に適用されている好適な例を示す。
図4bは弾力マット2を交換する方法を示す図である。
好適な実施例において、上部足固定部分1および足支持部分は、その外見において靴下の形状を形成する。弾力マット2を収容するための受容空間は、上部足固定部分1と足支持部分との間に形成されるため、弾力マット2はこの受容空間内に収容される。
【0052】
好適な実施例において、上部足固定部分は、合成または天然の繊維材料から形成され、さらに、必要に応じて軟質ゴムから形成することも可能である。上部足固定部分および足支持部分は、一体に形成され、あるいは、別々に形成されて縫合により互いに取り付けられる。
【0053】
さらに、上部足固定部分および足支持部分の一部または全体は、ベルクロ(商標)ファスナやスライドファスナ(ジッパー)やスナップ式ファスナ等の係合具により、着脱可能に取り付けることも可能であり、上部足固定部分および足支持部分が分離すると、弾力マット2を挿入または回収することができる。好適な実施例において、履物全体が縫合により取り付けられて、スライドファスナが足の踵部分に取り付けられるため、図4bに示すようにスライドファスナが開放されると、弾力マット2を受容空間へ挿入または受容空間から回収することができる。
【0054】
図5a−5fは、本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を説明する図である。本発明の好適な実施例において、足支持部分は、軟質の弾力マット2の外表面の一部を覆い、さらに、軟質の弾力マット2を受容かつ固定するためのシュラウド3を備えている。この場合、上部足固定部分および足支持部分は、シュラウド3の一部から互いに取り付けられる。シュラウド3は弾力マット2と一体または別に形成することも可能である。
【0055】
参考までに、係合構造において、係合部はシュラウド3の延長部分として示されているが、底部(図示せず)の延長部分であってもよい。
本明細書において、上部足固定部分および足支持部分の係合構造は、図面を参照して詳細に説明される。
【0056】
図5aにおいて、足支持部分の弾力マットのシュラウド3は、弾力マットを含む足支持部分を足固定部分に取り付けるために、接着または縫合により足固定部分に固定かつ取り付けられる。シュラウド全体を上部足固定部分から分離させることなく弾力マットを挿入および回収することにより、弾力マットを交換するために開閉可能な部分は、シュラウド3の外表面に形成される。
【0057】
本発明の好適な実施例において、スライドファスナ4を用いることにより開閉可能な部分は、シュラウド3の踵部分に形成されるが、履物の用途やデザインにより任意の表面に取り付けることも可能である。
【0058】
好適な実施例において、このように開閉可能な部分を使用することにより、弾性体から形成された弾力マット2は、保護され、加えて容易に収容かつ固定可能である。さらに、弾力マットのみを交換することが可能であるが、履物の外観は本来の形状を維持する。
【0059】
図5bは、足支持部分の先端を覆いかつ固定するために、足支持部分のシュラウド3の上部を延ばすことにより、足支持部分がオーバーシューズの形態において取り外し可能に取り付けられる状態を示す図である。
【0060】
好適な実施例において、上部足固定部分は、オーバーシューズの形態においてシュラウドを取り外すことにより、足支持部分から分離させることが可能である。分離の際に、弾力マット2を交換することも可能であり、足支持部分のみを他のものに置換したり、あるいは洗うことができる。
【0061】
図5cは、シュラウド3が固定されるべき足のつま先から足首部分まで延び、さらに、足支持部分が二重靴下の形態において固定されている状態を示す断面図である。
好適な実施例において、上部足固定部分は、オーバーシューズの形態におけるように、上部足固定部分からシュラウドを取り外すことにより、足支持部分から分離させることが可能である。また、分離の際に、弾力マット2を交換することも可能であり、上部足固定部分のみを他のものに置換したり、あるいは洗うことができる。
【0062】
さらに、このような場合、図示されるように、通気のための空間を足の踵部分に形成することができる。
図5dは、シュラウドを固定するために、足の前方部において足のつま先を越えて足首部分までシュラウドを延ばすことにより、足支持部分が二重靴下の形態において固定されている構成を示す。シュラウドの後部は、足の踵部分まで延びて縫合により取り付けられる。このような構成において、弾力マット2は、シュラウドの後端部においてスライドファスナを取り付けて、踵部分のみを開閉することにより交換可能である。
【0063】
この係合構造は、足固定部分および足支持部分が繊維材料または軟質ゴムから形成されて、靴下状に成形されている場合には特に適している。
図5eは、係合部分としてスライドファスナ4がシュラウド3の上端部に取り付けられており、さらに、シュラウド3が、対応する上部足固定部分の下端部に取り付けられたスライドファスナに対して連結されている状態を示している。
【0064】
この係合構造において、スライドファスナを開くと、足支持部分が分離するため、弾力マット2を交換することができる。好適な実施例において、シュラウドが弾力マットに適用されない場合には、スライドファスナ4は弾力マットに形成される。
【0065】
図5fにおいて、底部、シュラウドの上端部、または弾力マットは、ベルクロ(商標)ファスナを用いて上部足固定部分1に取り付けられる。
好適な実施例において、ベルクロ(商標)ファスナ5aは、足支持部分の上部の外周面に対してのみ取り付けられて、上部足固定部分の下端部に取り付けられたベルクロ(商標)ファスナ5bに連結されるため、ベルクロ(商標)ファスナによる係合で履物の着用感を低下させることを防止する。また、ベルクロ(商標)ファスナ部分は、足固定部分および足支持部分の係合面に延びるだけではなく、これらの部分の側面の周囲にも延びるため、ベルクロ(商標)ベルト5cを用いることにより係合状態を強化することができる。
【0066】
実際の実施例において、これら2つの係合方法を別々または一緒に使用することが可能である。
図6a−6gは、本発明の弾力マット2、シュラウド3および底部4の構成により、足支持部分を形成する方法を説明する図である。
【0067】
図6aは、弾力マット2のみを含む好適な実施例を示す。弾性体である弾力マットは、製造工程において、その外表面に一体に形成されたシュラウドとして機能する部分を有してもよい。この場合、使用する製造方法により、シュラウドまたはシュラウドとして機能する部分は、弾性体と同じ材料から形成されてもよく、このことにより、弾性体の外表面の機械的摩擦力を高める。弾力マットは、上部足固定部分に直接装着されても、あるいは、実施例の態様に応じて挿入材として使用することも可能である。さらに、履物の滑り運動を防止する底部(図示せず)は、地面との接触面に選択的に形成されてもよい。
【0068】
後述するシュラウドが適用される場合には、シュラウドは、弾力マットを製造する際に弾力マットと一体に形成されてもよい。シュラウドを別に製造する場合には、弾力マットに着脱可能に取り付けても、接着等により弾力マットに堅固に取り付けることも可能である。
【0069】
図6bは、シュラウド3が弾性体全体を覆う好適な実施例を示す。この場合、例えば、シュラウドは本質的に軟質の弾性メンブレン、または、薄ゴム、弾性繊維等のフィルム材からなる必要がある。この好適な実施例において、シュラウドを製造する際に、地面と接触する面は、その接触する面部分を他の部分よりも厚くすることにより、底部として機能する。
【0070】
図6cは、履物の着用感の変化を最小限にするために、シュラウド3が弾力マットの上面の周囲のみを覆う場合を示す。同様に、シュラウドを製造する際に、地面と接触する面部分は、他の部分よりも厚く形成される。
【0071】
弾力マットを覆うシュラウドの部分は、接着や縫合やベルクロ(商標)ファスナ等により、上部足固定部分がシュラウドに対して取り付けられる時に、係合部分として機能する。
【0072】
図6dにおいて、シュラウドは弾力マットの上側まで延びる。スライドファスナ、ベルクロ(商標)ファスナ、またはスナップ式ファスナ等の連結部分は、シュラウドの延長部分に取り付けられて、上部足固定部分の対応する部分に対して連結される。シュラウドは、オーバーシューズや二重靴下の形態において、上部足固定部分までさらに延びてもよい。同様に、地面と接触する面部分は、シュラウドが製造される時に、他の部分よりも厚く形成される。
【0073】
図6e−6gにおいては、底部6が、シュラウドの地面との接触面に別々に形成される。
図7aおよび7bは、弾力マットが区分を有する好適な実施例を示す。
図7aにおいては、弾力マットは、足の左右に分けられている。図7bにおいては、弾力マットは、足の左右および前後に分けられているため、マトリックス形状をなす。
【0074】
この場合、シュラウド(図示せず)は、弾力マット2を収容するために弾力マット2の外形と同じ形状を有してもよく、あるいは、弾力マットの形状に関係なく弾力マットを収容することも可能である。
【0075】
また、この場合には、シュラウドまたはシュラウドとして機能する部分は、弾性体と同じ材料から形成され、それによって、製造方法に応じて弾性体の外表面の機械的摩擦力を強化することも可能である。弾力マットは、上部足固定部分に直接取り付けられてもよく、あるいは、実施例の態様に応じて、挿入材として使用することも可能である。さらに、履物の滑り運動を防止する底部(図示せず)は、地面との接触面に選択的に形成されてもよい。またさらには、歩行時の着用感や補正機能は、弾力マットの区分の形状および/または材料を調節することにより、着用者の求めに応じて変更することが可能である。
【0076】
図8aおよび8bはシュラウド3の構成を示しており、弾力マットは、分割されたシュラウド3に形成されたチャンバへ弾性体を挿入して製造される。シュラウドは、弾性体を受容する複数のチャンバを形成し、弾力マット2は、その複数の弾性体をチャンバ内へ挿入して形成される。この場合、弾力マットの開放部分を覆うシュラウドカバー(図示せず)は、選択的に使用される。シュラウドカバーが使用される場合は、このシュラウドカバーは、軟質かつ通気性のある材料から形成される。
【0077】
図9および10は、履物を着用する時に、挿入材を弾性マットの弾性体へ挿入する前後における圧縮率を説明する図である。
弾力マットの本体を例えば、ポリウレタン等の合成樹脂からなる発泡材料で形成する場合に、挿入材を含む弾性体は、発泡材料の形状を作るための発泡工程において、ポリウレタン粒子や顆粒を挿入して製造することが可能である。さらに、流体やゲルを袋の内部に充填する閉鎖弾性体の場合には、流体やゲルを袋の内部に充填する前に、ポリウレタン顆粒等の弾性粒子を加えて製造することも可能である。
【0078】
図9cは、一般的な弾性体を弾力マットに適用した場合において、履物を着用する前の弾力マットの厚さd1と、履物を着用した後の弾力マットの厚さd2との差Δdの変化の関数としての弾性反発力(resilient repulsive force)Fを示すグラフである。
【0079】
図10cは、一般的な弾性体よりも硬質な顆粒を弾力マットの内部に挿入した場合において、履物を着用する前の弾力マットの厚さd1と、履物を着用した後の弾力マットの厚さd2との差Δdの変化の関数としての弾性反発力Fを示すグラフである。
【0080】
図9aは、弾性反発力が、所定の線形状における弾力マット臨界厚さd1付近まで変化することを示す。
一方、図10aに示す弾力マットの場合は、弾性体の材料よりも硬質な顆粒を含んでおり、弾性反発力の曲線は、グラフに示すように、顆粒の数や種類に応じて調節可能である。
【0081】
図面は便宜上断面のみを示しているが、本発明は、様々な形状からなる弾力マットを形成する弾性体に適用される。
本発明による履物は、単純な構造を有し、かつ、スポンジマットや、柔らかいカーペットのような芝生の上を裸足で歩いているような感触を付与して、歩行時に着用者に完璧な履き心地を提供することが可能である。
【0082】
また、本発明は、必要に応じて歩行時に、着用感や補正機能を容易に変更することが可能である。
さらに、本発明は、歩行時に着用者に完璧な履き心地を提供し、かつ、足に対して最大限の自由度を付与することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の履物の第1の好適な実施例を示す斜視図。
【図2】本発明の履物の第2の好適な実施例を示す斜視図。
【図3】本発明の履物の第3の好適な実施例を示す斜視図。
【図4】本発明の履物の第4の好適な実施例を示す斜視図。
【図5a】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す図。
【図5b】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図5c】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図5d】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図5e】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図5f】本発明の上部足固定部分および足支持部分の係合構造を示す他の図。
【図6a】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する図。
【図6b】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6c】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6d】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6e】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6f】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図6g】本発明の構造による足支持部分を形成する方法、ならびに、本発明の弾性マット、シュラウドおよび底部を形成する方法を説明する他の図。
【図7a】弾性マットが分割される場合好適な実施例を示す斜視図。
【図7b】弾性マットが分割される場合の好適な実施例を示す他の斜視図。
【図8a】弾性体が弾性マットを分割することにより形成されたチャンバへ挿入される場合におけるシュラウドの構造を示す図。
【図8b】弾性体が弾性マットを分割することにより形成されたチャンバへ挿入される場合におけるシュラウドの構造を示す他の図。
【図9】履物を装着する場合に、挿入材を弾性マットの弾性体へ挿入する前後における圧縮率を説明する図。
【図10】本発明の履物を装着する場合に、挿入材を弾性マットの弾性体へ挿入する前後における圧縮率を説明する図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の上部を覆いかつ固定するための上部足固定部分と、
該上部足固定部分に取り付けられて、足の下部を支持するための足支持部分とを備え、
該足支持部分は、足の形状によって変形可能な軟質の弾性体を有する弾力マットを含むことを特徴とする履物。
【請求項2】
前記足支持部分は、前記弾力マットの外表面の少なくとも一部を覆い、かつ、該弾力マットを固定するシュラウドをさらに備える請求項1に記載の履物。
【請求項3】
前記足支持部分は、前記シュラウドの外表面に形成された底部を備え、前記履物が地面と接触する時に、該履物の滑り運動を防止する請求項2に記載の履物。
【請求項4】
前記底部は、前記シュラウドの地面との接触部を他の部分よりも厚く形成することにより、該シュラウドと一体に形成される請求項3に記載の履物。
【請求項5】
前記底部は、前記シュラウドの地面との接触部の少なくとも一部をコーティングすることにより形成される請求項3に記載の履物。
【請求項6】
前記シュラウドは、繊維材料から形成される請求項2に記載の履物。
【請求項7】
前記シュラウドは、ラテックス材料から形成される請求項2に記載の履物。
【請求項8】
前記弾力マットを挿入かつ回収するための部分は、前記シュラウドの表面に形成される請求項2に記載の履物。
【請求項9】
前記足支持部分を前記足固定部分に対して取り付けられるように、前記シュラウドを該足固定部分に着脱可能に取り付ける請求項2に記載の履物。
【請求項10】
前記シュラウドが前記足固定部分の上部の少なくとも一部を覆いかつ固定することができるように、該シュラウドの上端部を延ばして、前記足支持部分を該足固定部分に対して取り付ける請求項9に記載の履物。
【請求項11】
スライドファスナを用いて前記シュラウドの上端部を前記足固定部分と係合させることにより、前記足支持部分を該足固定部分に対して取り付ける請求項9に記載の履物。
【請求項12】
ベルクロ(商標)ファスナを用いて前記シュラウドを前記足固定部分と係合させることにより、前記足支持部分を該足固定部分に対して取り付ける請求項9に記載の履物。
【請求項13】
前記シュラウドの上端部を前記足固定部分の下端部に接着することにより、前記足支持部分を該足固定部分に対して取り付ける請求項2に記載の履物。
【請求項14】
前記シュラウドは、前記弾性体を受容するための少なくとも1つのチャンバを備える請求項2に記載の履物。
【請求項15】
前記チャンバに受容される弾性体は交換可能である請求項14に記載の履物。
【請求項16】
前記弾力マットを形成する弾性体は、圧力を付与かつ該弾性体を押圧することにより空気を排出し、さらに圧力を減少させることにより空気で再充填可能な開放弾性体からなる請求項1に記載の履物。
【請求項17】
前記弾力マットを形成する弾性体は、圧力を付与することにより空気を排出しない閉鎖弾性体からなる請求項1に記載の履物。
【請求項18】
前記閉鎖弾性体は、内部が充填材料で充填された充填体からなり、該充填体には弁が形成されているため、その内部の充填材料を排出または再充填することができる請求項17に記載の履物。
【請求項19】
前記弾力マットは、靴のソールの形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項20】
前記弾力マットは、運動靴のソールの形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項21】
前記弾力マットは、サンダルのソールの形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項22】
前記弾力マットは、複数の区分に分割され、該区分の各々は弾性体からなる請求項1に記載の履物。
【請求項23】
前記複数の区分は、異なる弾力性を有する弾性体からなる請求項22に記載の履物。
【請求項24】
前記区分を形成する弾性体の少なくとも1つは、圧力を付与かつ該弾性体を押圧することにより空気を排出し、さらに圧力を減少させることにより空気で再充填可能な開放弾性体からなる請求項23に記載の履物。
【請求項25】
前記区分を形成する弾性体の少なくとも1つは、圧力を付与することにより空気を排出しない閉鎖弾性体からなる請求項23に記載の履物。
【請求項26】
前記閉鎖弾性体は、内部が充填材料で充填された充填体からなり、該充填体には弁が形成されているため、その内部の充填材料を排出または再充填することができる請求項25に記載の履物。
【請求項27】
前記弾力マットは、少なくとも1つの開放弾性体からなる上部と、少なくとも1つの閉鎖弾性体を含む下部とに分割される請求項1に記載の履物。
【請求項28】
前記弾力マットを形成する弾性体は、その内部に硬質の弾性粒子を含む請求項1に記載の履物。
【請求項29】
前記足支持部分の厚さは、着用者の体重に比例して可変である請求項1に記載の履物。
【請求項30】
前記足支持部分の厚さは、50%〜90%の圧縮率において着用者の体重に比例して圧縮される請求項29に記載の履物。
【請求項31】
前記足支持部分の厚さは、子供の場合には、地面との接触面から少なくとも0.5cmである請求項29に記載の履物。
【請求項32】
前記足支持部分の厚さは、地面との接触面から少なくとも1cmである請求項29に記載の履物。
【請求項33】
前記上部足固定部分は靴の形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項34】
前記上部足固定部分はサンダルの形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項35】
前記上部足固定部分は軟質材料から形成され、かつ、靴下の形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項36】
前記上部足固定部分は繊維材料から形成され、靴下の形状を有し、さらに前記シュラウドと一体に形成されて足の上端部において該シュラウドに取り付けられる請求項2に記載の履物。
【請求項37】
前記上部足固定部分およびシュラウドの係合部分の一部は、開閉可能である請求項36に記載の履物。
【請求項38】
前記上部足固定部分は複数の通気穴を有する請求項1に記載の履物。
【請求項39】
前記上部足固定部分は複数の透明窓を有する請求項1に記載の履物。
【請求項1】
足の上部を覆いかつ固定するための上部足固定部分と、
該上部足固定部分に取り付けられて、足の下部を支持するための足支持部分とを備え、
該足支持部分は、足の形状によって変形可能な軟質の弾性体を有する弾力マットを含むことを特徴とする履物。
【請求項2】
前記足支持部分は、前記弾力マットの外表面の少なくとも一部を覆い、かつ、該弾力マットを固定するシュラウドをさらに備える請求項1に記載の履物。
【請求項3】
前記足支持部分は、前記シュラウドの外表面に形成された底部を備え、前記履物が地面と接触する時に、該履物の滑り運動を防止する請求項2に記載の履物。
【請求項4】
前記底部は、前記シュラウドの地面との接触部を他の部分よりも厚く形成することにより、該シュラウドと一体に形成される請求項3に記載の履物。
【請求項5】
前記底部は、前記シュラウドの地面との接触部の少なくとも一部をコーティングすることにより形成される請求項3に記載の履物。
【請求項6】
前記シュラウドは、繊維材料から形成される請求項2に記載の履物。
【請求項7】
前記シュラウドは、ラテックス材料から形成される請求項2に記載の履物。
【請求項8】
前記弾力マットを挿入かつ回収するための部分は、前記シュラウドの表面に形成される請求項2に記載の履物。
【請求項9】
前記足支持部分を前記足固定部分に対して取り付けられるように、前記シュラウドを該足固定部分に着脱可能に取り付ける請求項2に記載の履物。
【請求項10】
前記シュラウドが前記足固定部分の上部の少なくとも一部を覆いかつ固定することができるように、該シュラウドの上端部を延ばして、前記足支持部分を該足固定部分に対して取り付ける請求項9に記載の履物。
【請求項11】
スライドファスナを用いて前記シュラウドの上端部を前記足固定部分と係合させることにより、前記足支持部分を該足固定部分に対して取り付ける請求項9に記載の履物。
【請求項12】
ベルクロ(商標)ファスナを用いて前記シュラウドを前記足固定部分と係合させることにより、前記足支持部分を該足固定部分に対して取り付ける請求項9に記載の履物。
【請求項13】
前記シュラウドの上端部を前記足固定部分の下端部に接着することにより、前記足支持部分を該足固定部分に対して取り付ける請求項2に記載の履物。
【請求項14】
前記シュラウドは、前記弾性体を受容するための少なくとも1つのチャンバを備える請求項2に記載の履物。
【請求項15】
前記チャンバに受容される弾性体は交換可能である請求項14に記載の履物。
【請求項16】
前記弾力マットを形成する弾性体は、圧力を付与かつ該弾性体を押圧することにより空気を排出し、さらに圧力を減少させることにより空気で再充填可能な開放弾性体からなる請求項1に記載の履物。
【請求項17】
前記弾力マットを形成する弾性体は、圧力を付与することにより空気を排出しない閉鎖弾性体からなる請求項1に記載の履物。
【請求項18】
前記閉鎖弾性体は、内部が充填材料で充填された充填体からなり、該充填体には弁が形成されているため、その内部の充填材料を排出または再充填することができる請求項17に記載の履物。
【請求項19】
前記弾力マットは、靴のソールの形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項20】
前記弾力マットは、運動靴のソールの形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項21】
前記弾力マットは、サンダルのソールの形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項22】
前記弾力マットは、複数の区分に分割され、該区分の各々は弾性体からなる請求項1に記載の履物。
【請求項23】
前記複数の区分は、異なる弾力性を有する弾性体からなる請求項22に記載の履物。
【請求項24】
前記区分を形成する弾性体の少なくとも1つは、圧力を付与かつ該弾性体を押圧することにより空気を排出し、さらに圧力を減少させることにより空気で再充填可能な開放弾性体からなる請求項23に記載の履物。
【請求項25】
前記区分を形成する弾性体の少なくとも1つは、圧力を付与することにより空気を排出しない閉鎖弾性体からなる請求項23に記載の履物。
【請求項26】
前記閉鎖弾性体は、内部が充填材料で充填された充填体からなり、該充填体には弁が形成されているため、その内部の充填材料を排出または再充填することができる請求項25に記載の履物。
【請求項27】
前記弾力マットは、少なくとも1つの開放弾性体からなる上部と、少なくとも1つの閉鎖弾性体を含む下部とに分割される請求項1に記載の履物。
【請求項28】
前記弾力マットを形成する弾性体は、その内部に硬質の弾性粒子を含む請求項1に記載の履物。
【請求項29】
前記足支持部分の厚さは、着用者の体重に比例して可変である請求項1に記載の履物。
【請求項30】
前記足支持部分の厚さは、50%〜90%の圧縮率において着用者の体重に比例して圧縮される請求項29に記載の履物。
【請求項31】
前記足支持部分の厚さは、子供の場合には、地面との接触面から少なくとも0.5cmである請求項29に記載の履物。
【請求項32】
前記足支持部分の厚さは、地面との接触面から少なくとも1cmである請求項29に記載の履物。
【請求項33】
前記上部足固定部分は靴の形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項34】
前記上部足固定部分はサンダルの形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項35】
前記上部足固定部分は軟質材料から形成され、かつ、靴下の形状を有する請求項1に記載の履物。
【請求項36】
前記上部足固定部分は繊維材料から形成され、靴下の形状を有し、さらに前記シュラウドと一体に形成されて足の上端部において該シュラウドに取り付けられる請求項2に記載の履物。
【請求項37】
前記上部足固定部分およびシュラウドの係合部分の一部は、開閉可能である請求項36に記載の履物。
【請求項38】
前記上部足固定部分は複数の通気穴を有する請求項1に記載の履物。
【請求項39】
前記上部足固定部分は複数の透明窓を有する請求項1に記載の履物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図6f】
【図6g】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図6f】
【図6g】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−511108(P2009−511108A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534136(P2008−534136)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053634
【国際公開番号】WO2007/042971
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508054839)キブン アクチェンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】KYBUN AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053634
【国際公開番号】WO2007/042971
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508054839)キブン アクチェンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】KYBUN AG
【Fターム(参考)】
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