マットレスおよびその制御方法
【課題】使用感が向上されると共に、体圧分散による褥瘡の防止が有効に実現される、新規な構造のマットレスおよびその制御方法を提供すること。
【解決手段】人体を支持する基体28の体圧作用面上に複数のセル24を配設して、該セル24の内部に形成された流体室42の圧力を調節して前記セル24の高さを変更設定する圧力調節手段50を設けると共に、前記セル24の内圧(Pc)と、該セル24に加わる体圧(Pb)と、該セル24の高さ(H)との関係から、該セル24の目標高さ(Ht)となる該セル24の目標内圧(Pct)を設定する目標内圧設定工程(S3)を設けた。
【解決手段】人体を支持する基体28の体圧作用面上に複数のセル24を配設して、該セル24の内部に形成された流体室42の圧力を調節して前記セル24の高さを変更設定する圧力調節手段50を設けると共に、前記セル24の内圧(Pc)と、該セル24に加わる体圧(Pb)と、該セル24の高さ(H)との関係から、該セル24の目標高さ(Ht)となる該セル24の目標内圧(Pct)を設定する目標内圧設定工程(S3)を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用ベッド等に用いられるマットレスおよびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、介護用ベッド等における人体の支持部分には、クッション作用を有するマットレスが採用されており、人体を弾性的に支持することで寝心地の改善が図られている。
【0003】
ところで、寝返りをすることが困難な使用者等が、一般的なマットレスを長期に亘って連続的に使用すると、体圧(人体の荷重による圧力)の反力が使用者の局所に連続して作用することから、血流の悪化等に起因する褥瘡が生じるおそれがある。そこで、褥瘡の発生を防止するために、流体の圧力を利用して使用者の体圧の作用位置を変化させて、実質的に使用者に作用する体圧の反力を分散させることが可能なマットレスが提案されている。例えば、特開2000−189472号公報(特許文献1)には、マットレスの内部に荷重センサシートを配設する一方、人体を支持する基体の体圧作用面(人体の支持部分)を複数のセルで構成して、各セルの流体室に外部から空気等の流体を送入/排出することによりセルの内圧を調節可能とした構造が開示されている。このような従来構造のマットレスにおいては、高い荷重圧力が測定されたセルの流体を排出する一方、低い荷重圧力が測定されたセルに流体を送入することで、定期的にセルの内圧を変化させて、使用者の体の一部が体圧の作用で長期に亘って圧迫されるのを防ぐようになっている。
【0004】
ところが、特許文献1のマットレスのようにセルの内圧を調整するのみでは、使用者の体圧作用部を分散させる体圧分散効果は得られるものの、より高精度なセルの制御は困難であり、使用者に良好な寝心地を提供することはできなかった。具体的には、高い荷重圧力が測定されたセルに関して、セル内部の流体を排出してセルの内圧を下げた場合には、セルの変形に伴いセルに加わる体圧も同時に変化することとなる。セルの内圧が同じでも、セルに加わる体圧によりセルの高さは異なってくることから、必要以上にセルが凹んだり或いは突出したりすることを回避できず、使用者に不快感を与える原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−189472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、使用感が向上されると共に、体圧分散による褥瘡の防止が有効に実現される、新規な構造のマットレスおよびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、マットレスの制御方法に関する本発明の第1の態様は、人体を支持する基体の体圧作用面に複数のセルが配設されていると共に、該セルの内部に形成された流体室の圧力を調節して該セルの高さを変更設定する圧力調節手段が設けられているマットレスの制御方法であって、前記セルの目標高さ(Ht)を設定する目標高さ設定工程と、前記セルの内圧(Pcn)を測定する内圧測定工程と、前記セルに加わる体圧(Pbn)を測定する体圧測定工程と、予め記憶された、前記セルの内圧(Pc)と、前記セルに加わる体圧(Pb)と、前記セルの高さ(H)との関係から、前記体圧測定工程で測定された前記体圧(Pbn)が作用した状態で、前記目標高さ設定工程で設定された前記セルの目標高さ(Ht)となる前記セルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定工程と、前記内圧測定工程で測定される前記セルの内圧(Pcn)が、前記目標内圧設定工程で設定された前記セルの目標内圧(Pct)となるように、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する内圧制御工程とを、含むことを特徴とする。
【0008】
本態様に従うマットレスの制御方法によれば、目標内圧設定工程において、セルの内圧のみならず、セルに及ぼされる体圧(外圧)をも考慮して、所定の体圧が及ぼされた状態下で、目的とする目標高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を求めるようにした。即ち、セルの内圧が同じでも、体圧が大きい場合にはセルの高さは小さく、体圧が小さい場合にはセルの高さは大きくなる。それ故、セルの内圧に着目するのみでは、目的とする目標高さ(Ht)を精度良く実現することは困難であった。本発明はかかる所見に基づいて為されたものであり、所定の体圧が及ぼされた状態下でのセルの内圧と高さの関係を予め記憶しておき、かかる関係に基づいて、所定の体圧が及ぼされた状態下で目的高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を求めてセル内圧を調節するようにした。これにより、セルの高さを目的とする目標高さ(Ht)に精度良く設定することが出来て、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【0009】
なお、セルの内圧(Pc)と、セルに加わる体圧(Pb)と、セルの高さ(H)との関係は、例えば、所定の体圧(Pb)が及ぼされた状態下でのセルの内圧(Pc)と高さ(H)の変化の関係を、予め実験などによって得られた数値からデータベース化して記憶しておいて、内圧測定工程で測定された体圧(Pbn)と目標高さ設定工程で設定された目標高さ(Ht)に基づいて、対応する目標内圧(Pct)を該データベースから検索して取得するようにしても良いし、或いはこれらの関係を所定の計算式として予め記憶しておいて、測定された体圧(Pbn)と設定された目標高さ(Ht)から目標内圧(Pct)を算出する等しても良い。
【0010】
マットレスの制御方法に関する本発明の第2の態様は、第1の態様に記載されたマットレスの制御方法において、前記内圧制御工程の実行後に前記セルに加わる体圧(Pbn+1)を再度測定すると共に、該内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)と実行後の体圧(Pbn+1)との差(ΔPbt)が所定値以上の場合に、前記目標高さ(Ht)を実現するために必要な目標内圧(Pct+1)を再設定して、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する追加内圧制御工程をさらに含むものである。
【0011】
内圧制御工程でセルの高さが変化するに連れて、人体のマットレスへの浮き沈み量が変化したり、セルの高さの調節中に使用者の体位が変化する場合がある。これにより、内圧制御工程実行後の体圧(Pbn+1)が、内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)から大きく異なって、内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)に基づいた目標内圧(Pct)では、現状の体圧(Pbn+1)が及ぼされた状態下では目標高さ(Ht)が実現出来ない場合が生じ得る。そこで、本態様によれば、内圧制御工程実行後の体圧(Pbn+1)が、内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)から大きく(ΔPbt以上に)離隔した場合には、目標内圧(Pct+1)を再設定することにより、体圧の変化に追従して、より精度の良い高さ設定を行うことが出来る。
【0012】
マットレスに関する本発明の第1の態様は、人体を支持する基体の体圧作用面に複数のセルが配設されていると共に、該セルの内部に形成された流体室の圧力を調節して該セルの高さを変更設定する圧力調節手段が設けられているマットレスにおいて、前記セルの目標高さ(Ht)を設定する目標高さ設定手段と、前記セルの内圧(Pcn)を測定する内圧測定手段と、前記セルに加わる体圧(Pbn)を測定する体圧測定手段と、予め記憶された、前記セルの内圧(Pc)と、前記セルに加わる体圧(Pb)と、前記セルの高さ(H)との関係から、前記体圧測定手段で測定された前記体圧(Pbn)が作用した状態で、前記目標高さ設定手段で設定された前記セルの目標高さ(Ht)となる前記セルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定手段と、前記内圧測定手段で測定される前記セルの内圧(Pcn)が、前記目標内圧設定手段で設定された前記セルの目標内圧(Pct)となるように、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する内圧制御手段と、を有していることを特徴とする。
【0013】
本発明に従う構造とされたマットレスによれば、所定の体圧が及ぼされた状態下で、目的とする目標高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を求める目標内圧設定手段を設けた。これにより、セルの内圧のみならず、セルに及ぼされる体圧(外圧)をも考慮して目標内圧(Pct)を設定することにより、セルを目的とする目標高さ(Ht)に精度良く設定することが出来る。その結果、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【0014】
マットレスに関する本発明の第2の態様は、第1の態様に記載されたマットレスにおいて、前記セルの高さ方向中間部分に括れ部が形成されており、該セルが該括れ部において首振り変形するようになっているものである。
【0015】
本態様によれば、使用者の体圧等によりセルの上面に面方向の力が作用した場合には、セルの括れ部よりも上側部分が下側部分に対して相対的に傾動する首振り変形が生じるようになっている。これにより、セルの上面を傾斜させて人体の表面形状に沿わせることが出来て、使用者の体がセルによってより広い面積で支持されることから、より優れた体圧分散効果を得ることが出来る。
【0016】
マットレスに関する本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載されたマットレスにおいて、前記体圧測定手段が、前記基体に沿って広がるシート状の静電容量型センサによって構成されており、該静電容量型センサが、エラストマーで形成された誘電層と、該誘電層の一方の面に配置され並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第1電極膜と、該誘電層の他方の面に配置され該第1電極膜に交差する方向で並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第2電極膜を備えており、該第1電極膜および第2電極膜が交差された対向部分で複数の検出部が構成されて、該複数の検出部が前記複数のセルと重なる位置にそれぞれ配設されているものである。
【0017】
本態様によれば、各セルと重なる位置に検出部を配設することにより、検出部の静電容量の変化に基づいて、各セルに加わる体圧を個別に検出することが出来る。そして、静電容量型センサは、誘電層がエラストマーから形成されていると共に、該誘電層に配置される第1電極膜および第2電極膜が、何れも柔軟に形成されている。これにより、静電容量型センサが柔軟且つ伸縮可能とされている。その結果、使用者の体に沿って静電容量型センサを変形させることが出来て、使用者に硬さやごわつき等の違和感を与え難くすることが出来る。また、静電容量型センサが使用者の体の動きに追従して変形することから、優れた体圧検出精度を得ることが出来る。
【0018】
さらに、静電容量型センサの複数の検出部が、それぞれ帯形状を有する第一の電極膜と第二の電極膜を交差させた対向部分で形成されている。これにより、電極の配置数を少なくすることが出来ると共に、検出部から静電容量を検出するための配線数も少なくすることが出来る。
【発明の効果】
【0019】
マットレスの制御方法に関する本発明においては、セルの内圧(Pc)と、セルに加わる体圧(Pb)と、セルの高さ(H)との関係から、所定の体圧(Pbn)が作用した状態下で、目標高さ(Ht)を実現するセルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定工程を設けた。その結果、セルに加わる体圧をも考慮してセルの内圧を調整することにより、セルの高さを目標高さ(Ht)に精度良く設定することが出来る。従って、本発明に従う制御方法によれば、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【0020】
また、マットレスに関する本発明においては、セルに及ぼされる体圧(Pbn)を考慮して、目標高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を設定する目標内圧設定手段を設けた。これにより、本発明に従うマットレスによれば、セルを目的とする目標高さ(Ht)に精度良く設定することが出来て、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のマットレスを備えたベッドの斜視組立図。
【図2】本発明のマットレスの上面図。
【図3】図2におけるIII−III断面図。
【図4】セルの斜視図。
【図5】図4に示したセルの断面図。
【図6】体圧センサの上面図。
【図7】図6におけるVII−VII断面図。
【図8】セルに及ぼされる体圧と、セルの内圧と、セルの高さの関係を示すグラフ。
【図9】セルの高さ調節の作動態様を説明するための説明図。
【図10】本発明の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
先ず、図1に、本発明に従う構造とされたマットレス10を備えたベッド12を示す。ベッド12は、ベッド本体14における床板16の上面にマットレス10が載置された構造とされている。マットレス10は、マットレス本体18と、天部マット20を含んで構成されている。
【0024】
図2および図3に、マットレス10を示す。なお、図2においては、天部マット20を透視して図示する。マットレス本体18は、箱状の筐体部22と、筐体部22に収容された複数のセル24とを備えている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、鉛直上下方向である図3中の上下方向をいう。
【0025】
筐体部22は、全体が弾性を有するクッション材で形成されており、枠体26の下側開口部に基体としての底部マット28が嵌め込まれていると共に、枠体26の上側開口部にクッション層としての天部マット20が嵌め込まれて形成されている。
【0026】
枠体26は、全体が多孔質のウレタンフォームで形成された弾性を有する部材であって、互いに平行をなすように配置された頭部側ブロック30と脚部側ブロック32が一対の側方ブロック34,34で連結された構造とされて、上下方向で矩形枠状を呈している。なお、枠体26の形成材料は特に限定されるものではなく、発泡性材料にも限定されないが、人体への接触や背上げを行う場合の変形追従性等を考慮すると、ウレタンフォームのような弾性を有する材料で形成されていることが望ましい。
【0027】
底部マット28は、枠体26に比して上下方向で薄肉とされた矩形板状の部材であって、本実施形態では多孔質のウレタンフォームによって形成されている。また、底部マット28は、上下方向視の形状が枠体26の開口部と対応している。このような底部マット28が枠体26の下側開口部に嵌め込まれることによって、枠体26の内部に収容空所36が形成されている。
【0028】
収容空所36には、複数のセル24が収容配置されている。図4および図5に示されているように、セル24は例えばウレタンフィルム等から形成されており、平面視(高さ方向視)で角部が円弧状に丸められた略矩形(角丸矩形状)を呈する袋状乃至は風船状とされている。より詳細には、セル24は、開口部を有する略巾着形状とされた上側袋状部38と下側袋状部40が、互いの開口部を相互に固着することで形成されている。
【0029】
セル24の内部には、流体室42が形成されている。流体室42は、上側袋状部38の内部空間と下側袋状部40の内部空間が、それらの開口部を利用した連通部43を通じて相互に連通されることで形成されている。流体室42は外部から略密閉されており、セル24の底部に貫設された筒状のポート44を通じて外部に連通されている。そして、ポート44を通じて流体室42内に空気等の流体が給排されることにより、流体室42の内圧が調節されて、セル24が膨張および収縮されるようになっている。なお、セル24に給排される流体は、空気に限定されるものではなく、例えば、水等の液体を用いることも出来る。
【0030】
セル24の高さ方向中間部分には、括れ部46が形成されている。即ち、上側袋状部38と下側袋状部40が何れも開口部に向かって次第に窄む形状とされていることにより、上側袋状部38と下側袋状部40との固着部分(開口部)に括れ部46が形成されている。これにより、セル24は、括れ部46の設けられた高さ方向中間部分において細くなっており、膨張時の縦断面において略8の字形乃至は瓢箪形を呈する2段構造とされている。
【0031】
このようなセル24の複数が、図1〜図3に示したように、筐体部22の収容空所36内に収容されている。即ち、図3に示したように、底部マット28の上面に複数のセル24が隣接して配設されており、各セル24の底面が中央部分(ポート44の周囲)において底部マット28に固着されて、セル24が底部マット28に対して傾動可能に支持されている。なお、図2に示したように、本実施形態では、縦に21行、横に7列となるように、147個のセル24が配設されている。
【0032】
図3に概略的に示すように、横に配列された7つのセル24について、1組の給排ユニット50が設けられており、本実施形態のマットレス10においては、縦の21行に対応して、21組の給排ユニット50が設けられている。給排ユニット50は、メインポート52と、メインポート52から分岐して各セル24のポート44と連通する複数のサブポート54と、各サブポート54上に設けられたエアバルブ56および圧力計58と、ポンプ60を備えている。
【0033】
メインポート52は、ポンプ60と接続されている。なお、ポンプ60は、21組の給排ユニット50で共通して1つ設けても良いし、各給排ユニット50毎に設けても良い。そして、メインポート52から、各セル24に対応して複数(本実施形態においては、7つ)のサブポート54が分岐されている。図示は省略するが、セル24のポート44が底部マット28を貫通して配設されており、サブポート54がポート44に接続されている。また、サブポート54の途中に、エアバルブ56と圧力計58が配設されている。エアバルブ56は例えば電磁バルブ等であり、制御装置62と接続されて、制御装置62からの制御信号に基づいて、サブポート54のポンプ60との連通と大気への開放を選択的に切り換えられるようになっている。また、圧力計58がサブポート54に接続されると共に、制御装置62と接続されることにより、セル24の内圧を測定することが可能とされており、圧力計58によって、内圧測定手段が構成されている。
【0034】
これらポンプ60、エアバルブ56、圧力計58は、制御装置62に接続されている。制御装置62は、CPU(Central Processing Unit)64と、ROM(Read Only Memory)66と、RAM(Random Access Memory)68と、駆動回路70と、後述する電源回路88を備えている。ROM66には後述する制御方法に基づく制御プログラム等が記憶されている。RAM68には、制御プログラムの演算値や圧力計58からの計測値等が一時的に格納される。そして、CPU64がROM66に記憶された制御プログラムに基づいて、駆動回路70を通じてポンプ60やエアバルブ56に制御信号を送信することによって、ポンプ60の作動が制御されると共に、複数のエアバルブ56の作動が各別に制御されるようになっている。
【0035】
これにより、例えば制御装置62からの制御信号に基づいて、ポンプ60から空気を供給した状態で、複数のエアバルブ56の内の幾つかを選択的に制御して特定のセル24のみをポンプ60と連通することにより、ポンプ60と連通されたセル24の流体室42のみを加圧してセル24を膨張変形させて、セル24の高さを高くすることが出来る。また、複数のエアバルブ56の内の幾つかを選択的に制御して特定のセル24のみを大気と連通することにより、特定のセル24の流体室42のみを減圧してセル24を収縮変形させて、セル24の高さを低くすることが出来る。このように、本実施形態においては、複数のセル24の膨張収縮を個別に制御することが可能とされており、給排ユニット50および制御装置62を含んでセル24の高さを変更設定する圧力調節手段が構成されている。
【0036】
そして、収容空所36に複数のセル24を収容した枠体26の上側開口部に、天部マット20が嵌め込まれて、収容空所36内のセル24に重ね合わされている。天部マット20は、上下方向視の形状が底部マット28と略同一とされると共に、底部マット28よりも厚肉の矩形板状を呈している。天部マット20は、それぞれが多孔質のウレタンフォームで形成された第1クッション層としての表層部72と、第2クッション層としての裏層部74とを有する積層構造とされている。なお、表層部72と裏層部74は同一の材料で形成されていても良いが、弾性係数等が異なる材料で形成することで、より優れた寝心地が発揮され得る。
【0037】
天部マット20において、表層部72と裏層部74の間には、体圧測定手段としての体圧センサ76が設けられている。体圧センサ76としては、歪ゲージや磁歪体を用いたロードセル等を用いることも可能であるが、本実施形態においては、体圧センサ76として、シート状の静電容量型センサが用いられている。このような静電容量型センサとしては、従来公知のものが適宜に採用可能であることから、以下、概略を説明するに留める。
【0038】
図6および図7に、体圧センサ76を概略的に示す。なお、図6においては、後述する誘電層78および表側基材80を透視して図示している。また、図6においては、後述する検出部A0101〜A2107にハッチングを施して示す。
【0039】
図6および図7に示すように、体圧センサ76は、誘電層78と、第一電極膜としての表側電極01X〜21Xと、第二電極膜としての裏側電極01Y〜07Yと、表側配線01x〜21xと、裏側配線01y〜07yと、表側基材80と、裏側基材82と、表側配線用コネクタ84と、裏側配線用コネクタ86と、制御装置62と、を備えている。なお、後述する検出部A0101〜A2107の符号「A○○△△」中、上二桁の「○○」は、表側電極01X〜21Xに対応している。下二桁の「△△」は、裏側電極01Y〜07Yに対応している。
【0040】
誘電層78は、エラストマーとしてのウレタン発泡体製であって、四角形板状のシート状を呈し、弾性変形可能とされている。誘電層78は、枠体26の上側開口部と略等しい大きさとされている。
【0041】
表側基材80は、ゴム製であって、四角形板状を呈している。表側基材80は、誘電層78の上方(表側)に積層されている。裏側基材82は、ゴム製であって、四角形板状を呈している。裏側基材82は、誘電層78の下方(裏側)に積層されている。
【0042】
図7に示すように、表側基材80の外縁と裏側基材82の外縁とは接合されており、表側基材80と裏側基材82が、袋状に貼り合わされている。誘電層78は、当該袋内に収容されている。誘電層78の上面四隅は、表側基材80の下面四隅に、スポット的に接着されている。また、誘電層78の下面四隅は、裏側基材82の上面四隅に、スポット的に接着されている。このように、誘電層78は、表側基材80および裏側基材82に、使用時にシワがよらないように、位置決めされている。ただし、誘電層78は、四隅が接着された状態で、表側基材80および裏側基材82に対して、水平方向(前後左右方向)に弾性変形可能である。
【0043】
表側電極01X〜21Xは、誘電層78の上面に、合計21本配置されている。表側電極01X〜21Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。表側電極01X〜21Xは、各々、帯状を呈しており、柔軟に伸縮可能に形成されている。表側電極01X〜21Xは、各々、横方向(図6中、左右方向)に延在している。表側電極01X〜21Xは、縦方向(図6中、上下方向)に、セル24の縦方向(図2中、上下方向)の配列ピッチと略等しい間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。
【0044】
表側配線01x〜21xは、誘電層78の上面に、合計21本配置されている。表側配線01x〜21xは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。表側配線01x〜21xは、各々、線状を呈している。表側配線用コネクタ84は、表側基材80および裏側基材82の隅部に配置されている。表側配線01x〜21xは、各々、表側電極01X〜21Xの端部と表側配線用コネクタ84と、を接続している。
【0045】
裏側電極01Y〜07Yは、誘電層78の下面に、合計7本配置されている。裏側電極01Y〜07Yは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。裏側電極01Y〜07Yは、各々、帯状を呈しており、柔軟に伸縮可能に形成されている。裏側電極01Y〜07Yは、各々、縦方向(図6中、上下方向)に延在している。裏側電極01Y〜07Yは、横方向(図6中、左右方向)に、セル24の横方向(図2中、左右方向)の配列ピッチと略等しい間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。このように、表側電極01X〜21Xと裏側電極01Y〜07Yとは、上方または下方から見て、互いに直交する格子状に配置されている。
【0046】
裏側配線01y〜07yは、誘電層78の下面に、合計7本配置されている。裏側配線01y〜07yは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。裏側配線01y〜07yは、各々、線状を呈している。裏側配線用コネクタ86は、表側基材80および裏側基材82の隅部に配置されている。裏側配線01y〜07yは、各々、裏側電極01Y〜07Yの端部と裏側配線用コネクタ86と、を接続している。
【0047】
検出部A0101〜A2107は、図6にハッチングで示すように、表側電極01X〜21Xと、裏側電極01Y〜07Yと、が上下方向に交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A0101〜A2107は、各々、表側電極01X〜21Xの一部と、裏側電極01Y〜07Yの一部と、誘電層78の一部と、を備えている。検出部A0101〜A2107は、筐体部22の収容空所36内に収容されたセル24と同数の、合計147個(=21個×7個)配置されている。検出部A0101〜A2107は、誘電層78の略全面に亘って、均等に配置されている。
【0048】
図6に示すように、制御装置62は、表側配線用コネクタ84、裏側配線用コネクタ86と、電気的に接続されている。制御装置62には、電源回路88が設けられている。電源回路88は、検出部A0101〜A2107に、周期的な矩形波電圧を走査的に順番に印加する。ROM66には、予め、検出部A0101〜A2107に構成されたコンデンサの静電容量と体圧(荷重)との対応を示すマップが格納されている。一方、RAM68には、表側配線用コネクタ84、裏側配線用コネクタ86から入力される検出部A0101〜A2107の静電容量が一時的に格納される。そして、CPU64が、RAM68に格納された検出部A0101〜A2107の静電容量から、ROM66に記憶されたマップに基づいて、検出部A0101〜A2107に作用している体圧を検出するようになっている。
【0049】
このような体圧センサ76を備えた天部マット20が、枠体26の上側開口部に嵌め込まれて、枠体26の収容空所36内に収容された複数のセル24に重ね合わされる。これにより、体圧センサ76が複数のセル24を介して底部マット28に沿って広げられると共に、体圧センサ76の各検出部A0101〜A2107が、それぞれ、各セル24に重ね合わされる。その結果、各セル24に作用する体圧を体圧センサ76で検出することが可能とされている。
【0050】
このような構造とされたマットレス10は、図1に示したように、ベッド本体14の床板16上に重ね合わされている。そして、マットレス10上に使用者が横たわると、天部マット20と複数のセル24と底部マット28に使用者の体圧が作用して、ベッド本体14の床板16で支持されるようになっている。なお、給排ユニット50やポンプ60、制御装置62は、ベッド本体14内等に配設される。そして、使用者に作用する重力に基づいた体荷重(体圧)が、下方に向かって作用することにより、天部マット20、セル24、底部マット28、床板16の各上面が、それぞれ体圧作用面とされる。
【0051】
次に、マットレス10における、セル24の高さを調節する制御方法について説明する。先ず、制御装置62のROM66には、図8に示す、セル24の内圧(Pc)と、セル24に加わる体圧(Pb)と、セル24の高さ(H)との関係が、表1に示すセル内圧/高さ関係テーブルとして記憶されている。図8における体圧Pb1〜Pb3は、Pb3>Pb2>Pb1である。図8から明らかなように、セル24は、内圧(Pc)が同じでも、及ぼされる体圧(Pb)が異なれば高さ(H)が異なる。即ち、同じ内圧(Pc)でも、体圧(Pb)が大きい場合には高さ(H)は小さく、体圧(Pb)が小さい場合には高さ(H)は大きくなる。このようなセル内圧/高さ関係テーブルは、予め実測等によって得られたデータから作成される。
【0052】
【表1】
【0053】
以下、例えば、図9に使用者の頭部位置を概略的に示すように、図9(a)に示す初期状態から、図9(b)に示すように、セル24の高さを高さ:Htに調節することにより、天部マット20の形状を使用者の頭部形状に近づける制御方法について、図10に基づいて説明する。なお、図9(a)に示したように、初期状態において、セル24には体圧(Pbn)が及ぼされているものとする。
【0054】
先ず、図10におけるS1において、制御装置62のCPU64は、体圧測定工程を実施する。体圧測定工程において、CPU64は、体圧センサ76から、セル24に加わる体圧(Pbn)を測定する。
【0055】
次に、S2において、CPU64は、目標高さ設定工程を実施する。目標高さ設定工程において、CPU64は、セル24の目標高さ(Ht)を設定する。目標高さ(Ht)は、例えば、セル24に及ぼされる体圧(Pbn)と、該体圧(Pbn)に対応する目標高さ(Ht)を予めデータマップとしてROM66に記憶しておき、該データマップを用いて、S1で得られた体圧(Pbn)に対応する目標高さ(Ht)を取得する等して設定される。このように、本実施形態においては、ROM66とS2を含んで、目標高さ設定手段が構成されている。
【0056】
次に、S3において、CPU64は、目標内圧設定工程を実施する。目標内圧設定工程において、CPU64は、表1に示したセル内圧/高さ関係テーブルに基づいて、S2において設定した目標高さ(Ht)と、S1において測定した体圧(Pbn)に対応する目標内圧(Pct)を取得して設定する。なお、セル内圧/高さ関係テーブル内に測定値が存しない場合には、測定値に近い値を使用する。例えば、S2において目標高さ(Ht)が7h(mm)に設定されて、S1において測定された体圧(Pbn)が2pb(mmHg)であった場合には、表1に示したセル内圧/高さ関係テーブルに基づいて、目標内圧(Pct)=15pc(kPa)を取得して設定する。このように、本実施形態においては、ROM66とS3を含んで、目標内圧設定手段が構成されている。
【0057】
次に、S4において、CPU64は、内圧制御工程を実施する。内圧制御工程において、CPU64は、駆動回路70を通じて給排ユニット50を操作して、セル24の内圧を、S3で設定した目標内圧(Pct)となるように調節する。即ち、圧力計58によってセル24の内圧を測定する内圧測定工程を実施し、内圧測定工程で得られたセル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)よりも低い場合には、セル24の流体室42にポンプ60から給気を供給して加圧する。一方、セル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)よりも高い場合には、セル24の流体室42を大気中に連通して減圧する。このように、本実施形態においては、S4を含んで、内圧制御手段が構成されている。
【0058】
さらに、S5およびS6において、CPU64は、追加内圧制御工程を実施する。CPU64は、S5において、セル24の現状の体圧(Pbn+1)を測定し、S1で測定した時点での体圧(Pbn)との差がΔPbt以上か否かを判定する。即ち、例えばセル24の高さが変化することにより、使用者の体圧分布が変化することから、セル24に及ぼされる現状の体圧(Pbn+1)が、初期のS1の時点で測定した体圧(Pbn)から大きく離れる可能性があり、初期の体圧(Pbn)に基づいて設定された目標内圧(Pct)では、現状の体圧(Pbn+1)が作用している状態下で目的高さ(Ht)を実現できなくなるおそれがある。
【0059】
そこで、S5において、セル24の内圧を調節した結果の現状体圧(Pbn+1)と初期の体圧(Pbn)の差が、予め設定した所定のΔPbt以上か否かを判定する。そして、現状体圧(Pbn+1)と初期の体圧(Pbn)の差がΔPbt以上(S5=Yes)の場合には、S6において、S3と同様に、セル内圧/高さ関係テーブル(表1参照)から、現状体圧(Pbn+1)で目標高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct+1)を再度取得して再設定して、S7に進む。一方、現状体圧(Pbn+1)と初期の体圧(Pbn)の差がΔPbt以上でない(S5=No)場合には、S7に進む。
【0060】
次に、S7において、CPU64は、圧力計58によってセル24の内圧を測定する内圧測定工程を実施して、その測定結果に基づいて、セル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)になったか否かを判定する。セル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)になっていない場合には、S4以降の処理を繰り返す。一方、セル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)になった場合は、処理を終了する。
【0061】
以上のようにして、図9(b)に示したように、セル24の高さが目標高さ(Ht)に設定される。その結果、天部マット20が使用者の体表面に沿う形状とされて、より広い面積で使用者の体を支持することにより、良好な寝心地を得ることが出来る。
【0062】
そして、本実施形態に従う制御方法によれば、目標内圧設定工程(S3)において、表1に示したセル内圧/高さ関係テーブルから、セル24に及ぼされる体圧(Pbn)をも考慮して、目的とする高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を設定するようにした。これにより、セル24の高さを目的とする目標高さ(Ht)により精度良く確実に設定することが出来て、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【0063】
特に本実施形態においては、追加内圧制御工程(S5、S6)によって、セル24の内圧を調節する過程で、内圧調節前に及ぼされていた体圧(Pcn)と現状の体圧(Pcn+1)との差をチェックし、差が大きい場合には目標内圧(Pcn+1)を再設定するようにした。これにより、セル24に及ぼされる体圧の変化に追従して目標内圧を変更設定することによって、セル24を目標高さ(Ht)により正確に設定することが出来る。
【0064】
そして、本実施形態におけるセル24は、上側袋状部38と下側袋状部40が連結されて、括れ部46を有する2段構造とされている。これにより、セル24は、括れ部46において、括れ部46の上部(上側袋状部38)を下部(下側袋状部40)に対して傾動させた首振り変形が可能とされている。従って、例えば図9(b)に示した、目標高さ(Ht)に設定されたセル24に隣接する両側のセル24,24のそれぞれのように、上面(体圧作用面)を天部マット20の変形(変位)に追従して傾斜させることが出来る。その結果、天部マット20の凹凸に対応する形状の支持面が、複数のセル24の上面によって構成されて、マットレス10の表面が人体表面の凹凸に沿った形状に変形可能とされている。このように、セル24の表面がより広い面積で使用者の体表面に接触されることにより、より優れた体圧分散効果を得ることが出来る。
【0065】
また、本実施形態における体圧センサ76は、エラストマーから形成されたシート状の誘電層78と、柔軟な第一電極01X〜21Xおよび第二電極01Y〜07Yから形成されている。これにより、体圧センサ76を使用者の体に沿って変形させることが出来て、使用者に対して硬さ等の違和感を与え難くすることが出来る。更に、複数の検出部A0101〜A2107が、第一電極01X〜21Xと第二電極01Y〜07Yの交差部分で形成されている。これにより、多数の検出部A0101〜A2107を少ない電極で形成することが出来る。そして、各検出部A0101〜A2107が各セル24に重ねて配設されることにより、それぞれのセル24に及ぼされている体圧を個別に且つ正確に検出することが出来る。
【0066】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態においては、各セル24の内圧を個別に制御していたが、複数のセル24をグループ化して、グループ毎に内圧を制御する等しても良い。具体的には、先ず、体圧センサ76から得られた体圧(Pbn)に基づいて、各セル24を表2に示すグループに分類する。次に、各グループ毎に目標高さ(Ht)を設定した後に、前記表1に示したセル内圧/高さ関係テーブルに基づいて、目標高さ(Ht)となる目標内圧(Pct)を取得して、各セル24の内圧を目標内圧(Pct)に調節する。これをグループ毎に繰り返す。なお、内圧の調節は、体圧の高いグループ(表2においてはグループ7)から制御していくことが好ましい。このようにすれば、複数のセル24をグループ化して制御することにより、各セル24を個別に制御するよりも短時間で高さ調節を行なうことが出来る。
【0067】
【表2】
【0068】
また、セル24のグループ分けも、上記分類に限定されない。例えば、表3に示すように、体圧センサ76で得られた体圧分布から、各セル24上に位置する人体の部位を推測し、各セル24を人体の部位毎にグループ化する等しても良い。このような場合には、セル24の内圧の調節は、体圧の高いグループ1から順に制御されることが好ましい。
【0069】
【表3】
【0070】
また、前記実施形態においては、セル24の内圧(Pc)と、セル24に加わる体圧(Pb)と、セル24の高さ(H)との関係をセル内圧/高さ関係テーブルとして予めデータマップとして記憶していたが、例えば、これらの関係を所定の計算式でROM66内に記憶しておいて、目標内圧設定工程(S3)において、該計算式と得られた体圧(Pbn)および目標高さ(Ht)から目標内圧(Pct)を算出するようにしても良い。
【0071】
さらに、前記実施形態においてマットレス10に用いられていたセル24の具体的形状はあくまでも例示であって、従来公知の各種の形状が適宜に採用可能である。従って、セル24としては、前記実施形態の如き2段形状ではなく、単一の袋状体のもの等も採用可能である。
【0072】
また、前記実施形態において、体圧センサ76の検出部A0101〜A2107に、周期的な矩形波電圧を走査的に順番に印加したが、例えば、交流電圧を走査的に順番に印加してもよい。
【0073】
また、正弦波状の交流電圧を走査的に順番に印加する場合、RAM68には、表側配線用コネクタ84、裏側配線用コネクタ86から入力されるインピーダンス、位相を一時的に格納してもよい。そして、CPU64が、RAM68に格納されたインピーダンス、位相を元に検出部A0101〜A2107の静電容量を抽出し、得られた静電容量から、ROM66に記憶されたマップに基づいて、検出部A0101〜A2107に作用している体圧を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10:マットレス、18:マットレス本体、20:天部マット、24:セル、28:底部マット(基体)、38:上側袋状部、40:下側袋状部、42:流体室、46:括れ部、50:給排ユニット(圧力調節手段)、56:エアバルブ、58:圧力計、60:ポンプ、76:体圧センサ(体圧測定手段)、78:誘電層、01X〜21X:表側電極(第一電極膜)、01Y〜07Y:裏側電極(第二電極膜)、A0101〜A2107:検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用ベッド等に用いられるマットレスおよびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、介護用ベッド等における人体の支持部分には、クッション作用を有するマットレスが採用されており、人体を弾性的に支持することで寝心地の改善が図られている。
【0003】
ところで、寝返りをすることが困難な使用者等が、一般的なマットレスを長期に亘って連続的に使用すると、体圧(人体の荷重による圧力)の反力が使用者の局所に連続して作用することから、血流の悪化等に起因する褥瘡が生じるおそれがある。そこで、褥瘡の発生を防止するために、流体の圧力を利用して使用者の体圧の作用位置を変化させて、実質的に使用者に作用する体圧の反力を分散させることが可能なマットレスが提案されている。例えば、特開2000−189472号公報(特許文献1)には、マットレスの内部に荷重センサシートを配設する一方、人体を支持する基体の体圧作用面(人体の支持部分)を複数のセルで構成して、各セルの流体室に外部から空気等の流体を送入/排出することによりセルの内圧を調節可能とした構造が開示されている。このような従来構造のマットレスにおいては、高い荷重圧力が測定されたセルの流体を排出する一方、低い荷重圧力が測定されたセルに流体を送入することで、定期的にセルの内圧を変化させて、使用者の体の一部が体圧の作用で長期に亘って圧迫されるのを防ぐようになっている。
【0004】
ところが、特許文献1のマットレスのようにセルの内圧を調整するのみでは、使用者の体圧作用部を分散させる体圧分散効果は得られるものの、より高精度なセルの制御は困難であり、使用者に良好な寝心地を提供することはできなかった。具体的には、高い荷重圧力が測定されたセルに関して、セル内部の流体を排出してセルの内圧を下げた場合には、セルの変形に伴いセルに加わる体圧も同時に変化することとなる。セルの内圧が同じでも、セルに加わる体圧によりセルの高さは異なってくることから、必要以上にセルが凹んだり或いは突出したりすることを回避できず、使用者に不快感を与える原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−189472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、使用感が向上されると共に、体圧分散による褥瘡の防止が有効に実現される、新規な構造のマットレスおよびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、マットレスの制御方法に関する本発明の第1の態様は、人体を支持する基体の体圧作用面に複数のセルが配設されていると共に、該セルの内部に形成された流体室の圧力を調節して該セルの高さを変更設定する圧力調節手段が設けられているマットレスの制御方法であって、前記セルの目標高さ(Ht)を設定する目標高さ設定工程と、前記セルの内圧(Pcn)を測定する内圧測定工程と、前記セルに加わる体圧(Pbn)を測定する体圧測定工程と、予め記憶された、前記セルの内圧(Pc)と、前記セルに加わる体圧(Pb)と、前記セルの高さ(H)との関係から、前記体圧測定工程で測定された前記体圧(Pbn)が作用した状態で、前記目標高さ設定工程で設定された前記セルの目標高さ(Ht)となる前記セルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定工程と、前記内圧測定工程で測定される前記セルの内圧(Pcn)が、前記目標内圧設定工程で設定された前記セルの目標内圧(Pct)となるように、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する内圧制御工程とを、含むことを特徴とする。
【0008】
本態様に従うマットレスの制御方法によれば、目標内圧設定工程において、セルの内圧のみならず、セルに及ぼされる体圧(外圧)をも考慮して、所定の体圧が及ぼされた状態下で、目的とする目標高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を求めるようにした。即ち、セルの内圧が同じでも、体圧が大きい場合にはセルの高さは小さく、体圧が小さい場合にはセルの高さは大きくなる。それ故、セルの内圧に着目するのみでは、目的とする目標高さ(Ht)を精度良く実現することは困難であった。本発明はかかる所見に基づいて為されたものであり、所定の体圧が及ぼされた状態下でのセルの内圧と高さの関係を予め記憶しておき、かかる関係に基づいて、所定の体圧が及ぼされた状態下で目的高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を求めてセル内圧を調節するようにした。これにより、セルの高さを目的とする目標高さ(Ht)に精度良く設定することが出来て、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【0009】
なお、セルの内圧(Pc)と、セルに加わる体圧(Pb)と、セルの高さ(H)との関係は、例えば、所定の体圧(Pb)が及ぼされた状態下でのセルの内圧(Pc)と高さ(H)の変化の関係を、予め実験などによって得られた数値からデータベース化して記憶しておいて、内圧測定工程で測定された体圧(Pbn)と目標高さ設定工程で設定された目標高さ(Ht)に基づいて、対応する目標内圧(Pct)を該データベースから検索して取得するようにしても良いし、或いはこれらの関係を所定の計算式として予め記憶しておいて、測定された体圧(Pbn)と設定された目標高さ(Ht)から目標内圧(Pct)を算出する等しても良い。
【0010】
マットレスの制御方法に関する本発明の第2の態様は、第1の態様に記載されたマットレスの制御方法において、前記内圧制御工程の実行後に前記セルに加わる体圧(Pbn+1)を再度測定すると共に、該内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)と実行後の体圧(Pbn+1)との差(ΔPbt)が所定値以上の場合に、前記目標高さ(Ht)を実現するために必要な目標内圧(Pct+1)を再設定して、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する追加内圧制御工程をさらに含むものである。
【0011】
内圧制御工程でセルの高さが変化するに連れて、人体のマットレスへの浮き沈み量が変化したり、セルの高さの調節中に使用者の体位が変化する場合がある。これにより、内圧制御工程実行後の体圧(Pbn+1)が、内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)から大きく異なって、内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)に基づいた目標内圧(Pct)では、現状の体圧(Pbn+1)が及ぼされた状態下では目標高さ(Ht)が実現出来ない場合が生じ得る。そこで、本態様によれば、内圧制御工程実行後の体圧(Pbn+1)が、内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)から大きく(ΔPbt以上に)離隔した場合には、目標内圧(Pct+1)を再設定することにより、体圧の変化に追従して、より精度の良い高さ設定を行うことが出来る。
【0012】
マットレスに関する本発明の第1の態様は、人体を支持する基体の体圧作用面に複数のセルが配設されていると共に、該セルの内部に形成された流体室の圧力を調節して該セルの高さを変更設定する圧力調節手段が設けられているマットレスにおいて、前記セルの目標高さ(Ht)を設定する目標高さ設定手段と、前記セルの内圧(Pcn)を測定する内圧測定手段と、前記セルに加わる体圧(Pbn)を測定する体圧測定手段と、予め記憶された、前記セルの内圧(Pc)と、前記セルに加わる体圧(Pb)と、前記セルの高さ(H)との関係から、前記体圧測定手段で測定された前記体圧(Pbn)が作用した状態で、前記目標高さ設定手段で設定された前記セルの目標高さ(Ht)となる前記セルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定手段と、前記内圧測定手段で測定される前記セルの内圧(Pcn)が、前記目標内圧設定手段で設定された前記セルの目標内圧(Pct)となるように、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する内圧制御手段と、を有していることを特徴とする。
【0013】
本発明に従う構造とされたマットレスによれば、所定の体圧が及ぼされた状態下で、目的とする目標高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を求める目標内圧設定手段を設けた。これにより、セルの内圧のみならず、セルに及ぼされる体圧(外圧)をも考慮して目標内圧(Pct)を設定することにより、セルを目的とする目標高さ(Ht)に精度良く設定することが出来る。その結果、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【0014】
マットレスに関する本発明の第2の態様は、第1の態様に記載されたマットレスにおいて、前記セルの高さ方向中間部分に括れ部が形成されており、該セルが該括れ部において首振り変形するようになっているものである。
【0015】
本態様によれば、使用者の体圧等によりセルの上面に面方向の力が作用した場合には、セルの括れ部よりも上側部分が下側部分に対して相対的に傾動する首振り変形が生じるようになっている。これにより、セルの上面を傾斜させて人体の表面形状に沿わせることが出来て、使用者の体がセルによってより広い面積で支持されることから、より優れた体圧分散効果を得ることが出来る。
【0016】
マットレスに関する本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載されたマットレスにおいて、前記体圧測定手段が、前記基体に沿って広がるシート状の静電容量型センサによって構成されており、該静電容量型センサが、エラストマーで形成された誘電層と、該誘電層の一方の面に配置され並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第1電極膜と、該誘電層の他方の面に配置され該第1電極膜に交差する方向で並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第2電極膜を備えており、該第1電極膜および第2電極膜が交差された対向部分で複数の検出部が構成されて、該複数の検出部が前記複数のセルと重なる位置にそれぞれ配設されているものである。
【0017】
本態様によれば、各セルと重なる位置に検出部を配設することにより、検出部の静電容量の変化に基づいて、各セルに加わる体圧を個別に検出することが出来る。そして、静電容量型センサは、誘電層がエラストマーから形成されていると共に、該誘電層に配置される第1電極膜および第2電極膜が、何れも柔軟に形成されている。これにより、静電容量型センサが柔軟且つ伸縮可能とされている。その結果、使用者の体に沿って静電容量型センサを変形させることが出来て、使用者に硬さやごわつき等の違和感を与え難くすることが出来る。また、静電容量型センサが使用者の体の動きに追従して変形することから、優れた体圧検出精度を得ることが出来る。
【0018】
さらに、静電容量型センサの複数の検出部が、それぞれ帯形状を有する第一の電極膜と第二の電極膜を交差させた対向部分で形成されている。これにより、電極の配置数を少なくすることが出来ると共に、検出部から静電容量を検出するための配線数も少なくすることが出来る。
【発明の効果】
【0019】
マットレスの制御方法に関する本発明においては、セルの内圧(Pc)と、セルに加わる体圧(Pb)と、セルの高さ(H)との関係から、所定の体圧(Pbn)が作用した状態下で、目標高さ(Ht)を実現するセルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定工程を設けた。その結果、セルに加わる体圧をも考慮してセルの内圧を調整することにより、セルの高さを目標高さ(Ht)に精度良く設定することが出来る。従って、本発明に従う制御方法によれば、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【0020】
また、マットレスに関する本発明においては、セルに及ぼされる体圧(Pbn)を考慮して、目標高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を設定する目標内圧設定手段を設けた。これにより、本発明に従うマットレスによれば、セルを目的とする目標高さ(Ht)に精度良く設定することが出来て、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のマットレスを備えたベッドの斜視組立図。
【図2】本発明のマットレスの上面図。
【図3】図2におけるIII−III断面図。
【図4】セルの斜視図。
【図5】図4に示したセルの断面図。
【図6】体圧センサの上面図。
【図7】図6におけるVII−VII断面図。
【図8】セルに及ぼされる体圧と、セルの内圧と、セルの高さの関係を示すグラフ。
【図9】セルの高さ調節の作動態様を説明するための説明図。
【図10】本発明の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
先ず、図1に、本発明に従う構造とされたマットレス10を備えたベッド12を示す。ベッド12は、ベッド本体14における床板16の上面にマットレス10が載置された構造とされている。マットレス10は、マットレス本体18と、天部マット20を含んで構成されている。
【0024】
図2および図3に、マットレス10を示す。なお、図2においては、天部マット20を透視して図示する。マットレス本体18は、箱状の筐体部22と、筐体部22に収容された複数のセル24とを備えている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、鉛直上下方向である図3中の上下方向をいう。
【0025】
筐体部22は、全体が弾性を有するクッション材で形成されており、枠体26の下側開口部に基体としての底部マット28が嵌め込まれていると共に、枠体26の上側開口部にクッション層としての天部マット20が嵌め込まれて形成されている。
【0026】
枠体26は、全体が多孔質のウレタンフォームで形成された弾性を有する部材であって、互いに平行をなすように配置された頭部側ブロック30と脚部側ブロック32が一対の側方ブロック34,34で連結された構造とされて、上下方向で矩形枠状を呈している。なお、枠体26の形成材料は特に限定されるものではなく、発泡性材料にも限定されないが、人体への接触や背上げを行う場合の変形追従性等を考慮すると、ウレタンフォームのような弾性を有する材料で形成されていることが望ましい。
【0027】
底部マット28は、枠体26に比して上下方向で薄肉とされた矩形板状の部材であって、本実施形態では多孔質のウレタンフォームによって形成されている。また、底部マット28は、上下方向視の形状が枠体26の開口部と対応している。このような底部マット28が枠体26の下側開口部に嵌め込まれることによって、枠体26の内部に収容空所36が形成されている。
【0028】
収容空所36には、複数のセル24が収容配置されている。図4および図5に示されているように、セル24は例えばウレタンフィルム等から形成されており、平面視(高さ方向視)で角部が円弧状に丸められた略矩形(角丸矩形状)を呈する袋状乃至は風船状とされている。より詳細には、セル24は、開口部を有する略巾着形状とされた上側袋状部38と下側袋状部40が、互いの開口部を相互に固着することで形成されている。
【0029】
セル24の内部には、流体室42が形成されている。流体室42は、上側袋状部38の内部空間と下側袋状部40の内部空間が、それらの開口部を利用した連通部43を通じて相互に連通されることで形成されている。流体室42は外部から略密閉されており、セル24の底部に貫設された筒状のポート44を通じて外部に連通されている。そして、ポート44を通じて流体室42内に空気等の流体が給排されることにより、流体室42の内圧が調節されて、セル24が膨張および収縮されるようになっている。なお、セル24に給排される流体は、空気に限定されるものではなく、例えば、水等の液体を用いることも出来る。
【0030】
セル24の高さ方向中間部分には、括れ部46が形成されている。即ち、上側袋状部38と下側袋状部40が何れも開口部に向かって次第に窄む形状とされていることにより、上側袋状部38と下側袋状部40との固着部分(開口部)に括れ部46が形成されている。これにより、セル24は、括れ部46の設けられた高さ方向中間部分において細くなっており、膨張時の縦断面において略8の字形乃至は瓢箪形を呈する2段構造とされている。
【0031】
このようなセル24の複数が、図1〜図3に示したように、筐体部22の収容空所36内に収容されている。即ち、図3に示したように、底部マット28の上面に複数のセル24が隣接して配設されており、各セル24の底面が中央部分(ポート44の周囲)において底部マット28に固着されて、セル24が底部マット28に対して傾動可能に支持されている。なお、図2に示したように、本実施形態では、縦に21行、横に7列となるように、147個のセル24が配設されている。
【0032】
図3に概略的に示すように、横に配列された7つのセル24について、1組の給排ユニット50が設けられており、本実施形態のマットレス10においては、縦の21行に対応して、21組の給排ユニット50が設けられている。給排ユニット50は、メインポート52と、メインポート52から分岐して各セル24のポート44と連通する複数のサブポート54と、各サブポート54上に設けられたエアバルブ56および圧力計58と、ポンプ60を備えている。
【0033】
メインポート52は、ポンプ60と接続されている。なお、ポンプ60は、21組の給排ユニット50で共通して1つ設けても良いし、各給排ユニット50毎に設けても良い。そして、メインポート52から、各セル24に対応して複数(本実施形態においては、7つ)のサブポート54が分岐されている。図示は省略するが、セル24のポート44が底部マット28を貫通して配設されており、サブポート54がポート44に接続されている。また、サブポート54の途中に、エアバルブ56と圧力計58が配設されている。エアバルブ56は例えば電磁バルブ等であり、制御装置62と接続されて、制御装置62からの制御信号に基づいて、サブポート54のポンプ60との連通と大気への開放を選択的に切り換えられるようになっている。また、圧力計58がサブポート54に接続されると共に、制御装置62と接続されることにより、セル24の内圧を測定することが可能とされており、圧力計58によって、内圧測定手段が構成されている。
【0034】
これらポンプ60、エアバルブ56、圧力計58は、制御装置62に接続されている。制御装置62は、CPU(Central Processing Unit)64と、ROM(Read Only Memory)66と、RAM(Random Access Memory)68と、駆動回路70と、後述する電源回路88を備えている。ROM66には後述する制御方法に基づく制御プログラム等が記憶されている。RAM68には、制御プログラムの演算値や圧力計58からの計測値等が一時的に格納される。そして、CPU64がROM66に記憶された制御プログラムに基づいて、駆動回路70を通じてポンプ60やエアバルブ56に制御信号を送信することによって、ポンプ60の作動が制御されると共に、複数のエアバルブ56の作動が各別に制御されるようになっている。
【0035】
これにより、例えば制御装置62からの制御信号に基づいて、ポンプ60から空気を供給した状態で、複数のエアバルブ56の内の幾つかを選択的に制御して特定のセル24のみをポンプ60と連通することにより、ポンプ60と連通されたセル24の流体室42のみを加圧してセル24を膨張変形させて、セル24の高さを高くすることが出来る。また、複数のエアバルブ56の内の幾つかを選択的に制御して特定のセル24のみを大気と連通することにより、特定のセル24の流体室42のみを減圧してセル24を収縮変形させて、セル24の高さを低くすることが出来る。このように、本実施形態においては、複数のセル24の膨張収縮を個別に制御することが可能とされており、給排ユニット50および制御装置62を含んでセル24の高さを変更設定する圧力調節手段が構成されている。
【0036】
そして、収容空所36に複数のセル24を収容した枠体26の上側開口部に、天部マット20が嵌め込まれて、収容空所36内のセル24に重ね合わされている。天部マット20は、上下方向視の形状が底部マット28と略同一とされると共に、底部マット28よりも厚肉の矩形板状を呈している。天部マット20は、それぞれが多孔質のウレタンフォームで形成された第1クッション層としての表層部72と、第2クッション層としての裏層部74とを有する積層構造とされている。なお、表層部72と裏層部74は同一の材料で形成されていても良いが、弾性係数等が異なる材料で形成することで、より優れた寝心地が発揮され得る。
【0037】
天部マット20において、表層部72と裏層部74の間には、体圧測定手段としての体圧センサ76が設けられている。体圧センサ76としては、歪ゲージや磁歪体を用いたロードセル等を用いることも可能であるが、本実施形態においては、体圧センサ76として、シート状の静電容量型センサが用いられている。このような静電容量型センサとしては、従来公知のものが適宜に採用可能であることから、以下、概略を説明するに留める。
【0038】
図6および図7に、体圧センサ76を概略的に示す。なお、図6においては、後述する誘電層78および表側基材80を透視して図示している。また、図6においては、後述する検出部A0101〜A2107にハッチングを施して示す。
【0039】
図6および図7に示すように、体圧センサ76は、誘電層78と、第一電極膜としての表側電極01X〜21Xと、第二電極膜としての裏側電極01Y〜07Yと、表側配線01x〜21xと、裏側配線01y〜07yと、表側基材80と、裏側基材82と、表側配線用コネクタ84と、裏側配線用コネクタ86と、制御装置62と、を備えている。なお、後述する検出部A0101〜A2107の符号「A○○△△」中、上二桁の「○○」は、表側電極01X〜21Xに対応している。下二桁の「△△」は、裏側電極01Y〜07Yに対応している。
【0040】
誘電層78は、エラストマーとしてのウレタン発泡体製であって、四角形板状のシート状を呈し、弾性変形可能とされている。誘電層78は、枠体26の上側開口部と略等しい大きさとされている。
【0041】
表側基材80は、ゴム製であって、四角形板状を呈している。表側基材80は、誘電層78の上方(表側)に積層されている。裏側基材82は、ゴム製であって、四角形板状を呈している。裏側基材82は、誘電層78の下方(裏側)に積層されている。
【0042】
図7に示すように、表側基材80の外縁と裏側基材82の外縁とは接合されており、表側基材80と裏側基材82が、袋状に貼り合わされている。誘電層78は、当該袋内に収容されている。誘電層78の上面四隅は、表側基材80の下面四隅に、スポット的に接着されている。また、誘電層78の下面四隅は、裏側基材82の上面四隅に、スポット的に接着されている。このように、誘電層78は、表側基材80および裏側基材82に、使用時にシワがよらないように、位置決めされている。ただし、誘電層78は、四隅が接着された状態で、表側基材80および裏側基材82に対して、水平方向(前後左右方向)に弾性変形可能である。
【0043】
表側電極01X〜21Xは、誘電層78の上面に、合計21本配置されている。表側電極01X〜21Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。表側電極01X〜21Xは、各々、帯状を呈しており、柔軟に伸縮可能に形成されている。表側電極01X〜21Xは、各々、横方向(図6中、左右方向)に延在している。表側電極01X〜21Xは、縦方向(図6中、上下方向)に、セル24の縦方向(図2中、上下方向)の配列ピッチと略等しい間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。
【0044】
表側配線01x〜21xは、誘電層78の上面に、合計21本配置されている。表側配線01x〜21xは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。表側配線01x〜21xは、各々、線状を呈している。表側配線用コネクタ84は、表側基材80および裏側基材82の隅部に配置されている。表側配線01x〜21xは、各々、表側電極01X〜21Xの端部と表側配線用コネクタ84と、を接続している。
【0045】
裏側電極01Y〜07Yは、誘電層78の下面に、合計7本配置されている。裏側電極01Y〜07Yは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。裏側電極01Y〜07Yは、各々、帯状を呈しており、柔軟に伸縮可能に形成されている。裏側電極01Y〜07Yは、各々、縦方向(図6中、上下方向)に延在している。裏側電極01Y〜07Yは、横方向(図6中、左右方向)に、セル24の横方向(図2中、左右方向)の配列ピッチと略等しい間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。このように、表側電極01X〜21Xと裏側電極01Y〜07Yとは、上方または下方から見て、互いに直交する格子状に配置されている。
【0046】
裏側配線01y〜07yは、誘電層78の下面に、合計7本配置されている。裏側配線01y〜07yは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。裏側配線01y〜07yは、各々、線状を呈している。裏側配線用コネクタ86は、表側基材80および裏側基材82の隅部に配置されている。裏側配線01y〜07yは、各々、裏側電極01Y〜07Yの端部と裏側配線用コネクタ86と、を接続している。
【0047】
検出部A0101〜A2107は、図6にハッチングで示すように、表側電極01X〜21Xと、裏側電極01Y〜07Yと、が上下方向に交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A0101〜A2107は、各々、表側電極01X〜21Xの一部と、裏側電極01Y〜07Yの一部と、誘電層78の一部と、を備えている。検出部A0101〜A2107は、筐体部22の収容空所36内に収容されたセル24と同数の、合計147個(=21個×7個)配置されている。検出部A0101〜A2107は、誘電層78の略全面に亘って、均等に配置されている。
【0048】
図6に示すように、制御装置62は、表側配線用コネクタ84、裏側配線用コネクタ86と、電気的に接続されている。制御装置62には、電源回路88が設けられている。電源回路88は、検出部A0101〜A2107に、周期的な矩形波電圧を走査的に順番に印加する。ROM66には、予め、検出部A0101〜A2107に構成されたコンデンサの静電容量と体圧(荷重)との対応を示すマップが格納されている。一方、RAM68には、表側配線用コネクタ84、裏側配線用コネクタ86から入力される検出部A0101〜A2107の静電容量が一時的に格納される。そして、CPU64が、RAM68に格納された検出部A0101〜A2107の静電容量から、ROM66に記憶されたマップに基づいて、検出部A0101〜A2107に作用している体圧を検出するようになっている。
【0049】
このような体圧センサ76を備えた天部マット20が、枠体26の上側開口部に嵌め込まれて、枠体26の収容空所36内に収容された複数のセル24に重ね合わされる。これにより、体圧センサ76が複数のセル24を介して底部マット28に沿って広げられると共に、体圧センサ76の各検出部A0101〜A2107が、それぞれ、各セル24に重ね合わされる。その結果、各セル24に作用する体圧を体圧センサ76で検出することが可能とされている。
【0050】
このような構造とされたマットレス10は、図1に示したように、ベッド本体14の床板16上に重ね合わされている。そして、マットレス10上に使用者が横たわると、天部マット20と複数のセル24と底部マット28に使用者の体圧が作用して、ベッド本体14の床板16で支持されるようになっている。なお、給排ユニット50やポンプ60、制御装置62は、ベッド本体14内等に配設される。そして、使用者に作用する重力に基づいた体荷重(体圧)が、下方に向かって作用することにより、天部マット20、セル24、底部マット28、床板16の各上面が、それぞれ体圧作用面とされる。
【0051】
次に、マットレス10における、セル24の高さを調節する制御方法について説明する。先ず、制御装置62のROM66には、図8に示す、セル24の内圧(Pc)と、セル24に加わる体圧(Pb)と、セル24の高さ(H)との関係が、表1に示すセル内圧/高さ関係テーブルとして記憶されている。図8における体圧Pb1〜Pb3は、Pb3>Pb2>Pb1である。図8から明らかなように、セル24は、内圧(Pc)が同じでも、及ぼされる体圧(Pb)が異なれば高さ(H)が異なる。即ち、同じ内圧(Pc)でも、体圧(Pb)が大きい場合には高さ(H)は小さく、体圧(Pb)が小さい場合には高さ(H)は大きくなる。このようなセル内圧/高さ関係テーブルは、予め実測等によって得られたデータから作成される。
【0052】
【表1】
【0053】
以下、例えば、図9に使用者の頭部位置を概略的に示すように、図9(a)に示す初期状態から、図9(b)に示すように、セル24の高さを高さ:Htに調節することにより、天部マット20の形状を使用者の頭部形状に近づける制御方法について、図10に基づいて説明する。なお、図9(a)に示したように、初期状態において、セル24には体圧(Pbn)が及ぼされているものとする。
【0054】
先ず、図10におけるS1において、制御装置62のCPU64は、体圧測定工程を実施する。体圧測定工程において、CPU64は、体圧センサ76から、セル24に加わる体圧(Pbn)を測定する。
【0055】
次に、S2において、CPU64は、目標高さ設定工程を実施する。目標高さ設定工程において、CPU64は、セル24の目標高さ(Ht)を設定する。目標高さ(Ht)は、例えば、セル24に及ぼされる体圧(Pbn)と、該体圧(Pbn)に対応する目標高さ(Ht)を予めデータマップとしてROM66に記憶しておき、該データマップを用いて、S1で得られた体圧(Pbn)に対応する目標高さ(Ht)を取得する等して設定される。このように、本実施形態においては、ROM66とS2を含んで、目標高さ設定手段が構成されている。
【0056】
次に、S3において、CPU64は、目標内圧設定工程を実施する。目標内圧設定工程において、CPU64は、表1に示したセル内圧/高さ関係テーブルに基づいて、S2において設定した目標高さ(Ht)と、S1において測定した体圧(Pbn)に対応する目標内圧(Pct)を取得して設定する。なお、セル内圧/高さ関係テーブル内に測定値が存しない場合には、測定値に近い値を使用する。例えば、S2において目標高さ(Ht)が7h(mm)に設定されて、S1において測定された体圧(Pbn)が2pb(mmHg)であった場合には、表1に示したセル内圧/高さ関係テーブルに基づいて、目標内圧(Pct)=15pc(kPa)を取得して設定する。このように、本実施形態においては、ROM66とS3を含んで、目標内圧設定手段が構成されている。
【0057】
次に、S4において、CPU64は、内圧制御工程を実施する。内圧制御工程において、CPU64は、駆動回路70を通じて給排ユニット50を操作して、セル24の内圧を、S3で設定した目標内圧(Pct)となるように調節する。即ち、圧力計58によってセル24の内圧を測定する内圧測定工程を実施し、内圧測定工程で得られたセル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)よりも低い場合には、セル24の流体室42にポンプ60から給気を供給して加圧する。一方、セル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)よりも高い場合には、セル24の流体室42を大気中に連通して減圧する。このように、本実施形態においては、S4を含んで、内圧制御手段が構成されている。
【0058】
さらに、S5およびS6において、CPU64は、追加内圧制御工程を実施する。CPU64は、S5において、セル24の現状の体圧(Pbn+1)を測定し、S1で測定した時点での体圧(Pbn)との差がΔPbt以上か否かを判定する。即ち、例えばセル24の高さが変化することにより、使用者の体圧分布が変化することから、セル24に及ぼされる現状の体圧(Pbn+1)が、初期のS1の時点で測定した体圧(Pbn)から大きく離れる可能性があり、初期の体圧(Pbn)に基づいて設定された目標内圧(Pct)では、現状の体圧(Pbn+1)が作用している状態下で目的高さ(Ht)を実現できなくなるおそれがある。
【0059】
そこで、S5において、セル24の内圧を調節した結果の現状体圧(Pbn+1)と初期の体圧(Pbn)の差が、予め設定した所定のΔPbt以上か否かを判定する。そして、現状体圧(Pbn+1)と初期の体圧(Pbn)の差がΔPbt以上(S5=Yes)の場合には、S6において、S3と同様に、セル内圧/高さ関係テーブル(表1参照)から、現状体圧(Pbn+1)で目標高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct+1)を再度取得して再設定して、S7に進む。一方、現状体圧(Pbn+1)と初期の体圧(Pbn)の差がΔPbt以上でない(S5=No)場合には、S7に進む。
【0060】
次に、S7において、CPU64は、圧力計58によってセル24の内圧を測定する内圧測定工程を実施して、その測定結果に基づいて、セル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)になったか否かを判定する。セル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)になっていない場合には、S4以降の処理を繰り返す。一方、セル24の内圧(Pcn)が目標内圧(Pct)になった場合は、処理を終了する。
【0061】
以上のようにして、図9(b)に示したように、セル24の高さが目標高さ(Ht)に設定される。その結果、天部マット20が使用者の体表面に沿う形状とされて、より広い面積で使用者の体を支持することにより、良好な寝心地を得ることが出来る。
【0062】
そして、本実施形態に従う制御方法によれば、目標内圧設定工程(S3)において、表1に示したセル内圧/高さ関係テーブルから、セル24に及ぼされる体圧(Pbn)をも考慮して、目的とする高さ(Ht)を実現する目標内圧(Pct)を設定するようにした。これにより、セル24の高さを目的とする目標高さ(Ht)により精度良く確実に設定することが出来て、より優れた使用感や体圧分散効果を得ることが出来る。
【0063】
特に本実施形態においては、追加内圧制御工程(S5、S6)によって、セル24の内圧を調節する過程で、内圧調節前に及ぼされていた体圧(Pcn)と現状の体圧(Pcn+1)との差をチェックし、差が大きい場合には目標内圧(Pcn+1)を再設定するようにした。これにより、セル24に及ぼされる体圧の変化に追従して目標内圧を変更設定することによって、セル24を目標高さ(Ht)により正確に設定することが出来る。
【0064】
そして、本実施形態におけるセル24は、上側袋状部38と下側袋状部40が連結されて、括れ部46を有する2段構造とされている。これにより、セル24は、括れ部46において、括れ部46の上部(上側袋状部38)を下部(下側袋状部40)に対して傾動させた首振り変形が可能とされている。従って、例えば図9(b)に示した、目標高さ(Ht)に設定されたセル24に隣接する両側のセル24,24のそれぞれのように、上面(体圧作用面)を天部マット20の変形(変位)に追従して傾斜させることが出来る。その結果、天部マット20の凹凸に対応する形状の支持面が、複数のセル24の上面によって構成されて、マットレス10の表面が人体表面の凹凸に沿った形状に変形可能とされている。このように、セル24の表面がより広い面積で使用者の体表面に接触されることにより、より優れた体圧分散効果を得ることが出来る。
【0065】
また、本実施形態における体圧センサ76は、エラストマーから形成されたシート状の誘電層78と、柔軟な第一電極01X〜21Xおよび第二電極01Y〜07Yから形成されている。これにより、体圧センサ76を使用者の体に沿って変形させることが出来て、使用者に対して硬さ等の違和感を与え難くすることが出来る。更に、複数の検出部A0101〜A2107が、第一電極01X〜21Xと第二電極01Y〜07Yの交差部分で形成されている。これにより、多数の検出部A0101〜A2107を少ない電極で形成することが出来る。そして、各検出部A0101〜A2107が各セル24に重ねて配設されることにより、それぞれのセル24に及ぼされている体圧を個別に且つ正確に検出することが出来る。
【0066】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態においては、各セル24の内圧を個別に制御していたが、複数のセル24をグループ化して、グループ毎に内圧を制御する等しても良い。具体的には、先ず、体圧センサ76から得られた体圧(Pbn)に基づいて、各セル24を表2に示すグループに分類する。次に、各グループ毎に目標高さ(Ht)を設定した後に、前記表1に示したセル内圧/高さ関係テーブルに基づいて、目標高さ(Ht)となる目標内圧(Pct)を取得して、各セル24の内圧を目標内圧(Pct)に調節する。これをグループ毎に繰り返す。なお、内圧の調節は、体圧の高いグループ(表2においてはグループ7)から制御していくことが好ましい。このようにすれば、複数のセル24をグループ化して制御することにより、各セル24を個別に制御するよりも短時間で高さ調節を行なうことが出来る。
【0067】
【表2】
【0068】
また、セル24のグループ分けも、上記分類に限定されない。例えば、表3に示すように、体圧センサ76で得られた体圧分布から、各セル24上に位置する人体の部位を推測し、各セル24を人体の部位毎にグループ化する等しても良い。このような場合には、セル24の内圧の調節は、体圧の高いグループ1から順に制御されることが好ましい。
【0069】
【表3】
【0070】
また、前記実施形態においては、セル24の内圧(Pc)と、セル24に加わる体圧(Pb)と、セル24の高さ(H)との関係をセル内圧/高さ関係テーブルとして予めデータマップとして記憶していたが、例えば、これらの関係を所定の計算式でROM66内に記憶しておいて、目標内圧設定工程(S3)において、該計算式と得られた体圧(Pbn)および目標高さ(Ht)から目標内圧(Pct)を算出するようにしても良い。
【0071】
さらに、前記実施形態においてマットレス10に用いられていたセル24の具体的形状はあくまでも例示であって、従来公知の各種の形状が適宜に採用可能である。従って、セル24としては、前記実施形態の如き2段形状ではなく、単一の袋状体のもの等も採用可能である。
【0072】
また、前記実施形態において、体圧センサ76の検出部A0101〜A2107に、周期的な矩形波電圧を走査的に順番に印加したが、例えば、交流電圧を走査的に順番に印加してもよい。
【0073】
また、正弦波状の交流電圧を走査的に順番に印加する場合、RAM68には、表側配線用コネクタ84、裏側配線用コネクタ86から入力されるインピーダンス、位相を一時的に格納してもよい。そして、CPU64が、RAM68に格納されたインピーダンス、位相を元に検出部A0101〜A2107の静電容量を抽出し、得られた静電容量から、ROM66に記憶されたマップに基づいて、検出部A0101〜A2107に作用している体圧を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10:マットレス、18:マットレス本体、20:天部マット、24:セル、28:底部マット(基体)、38:上側袋状部、40:下側袋状部、42:流体室、46:括れ部、50:給排ユニット(圧力調節手段)、56:エアバルブ、58:圧力計、60:ポンプ、76:体圧センサ(体圧測定手段)、78:誘電層、01X〜21X:表側電極(第一電極膜)、01Y〜07Y:裏側電極(第二電極膜)、A0101〜A2107:検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を支持する基体の体圧作用面に複数のセルが配設されていると共に、該セルの内部に形成された流体室の圧力を調節して該セルの高さを変更設定する圧力調節手段が設けられているマットレスの制御方法であって、
前記セルの目標高さ(Ht)を設定する目標高さ設定工程と、
前記セルの内圧(Pcn)を測定する内圧測定工程と、
前記セルに加わる体圧(Pbn)を測定する体圧測定工程と、
予め記憶された、前記セルの内圧(Pc)と、前記セルに加わる体圧(Pb)と、前記セルの高さ(H)との関係から、前記体圧測定工程で測定された前記体圧(Pbn)が作用した状態で、前記目標高さ設定工程で設定された前記セルの目標高さ(Ht)となる前記セルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定工程と、
前記内圧測定工程で測定される前記セルの内圧(Pcn)が、前記目標内圧設定工程で設定された前記セルの目標内圧(Pct)となるように、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する内圧制御工程と
を、含むことを特徴とするマットレスの制御方法。
【請求項2】
前記内圧制御工程の実行後に前記セルに加わる体圧(Pbn+1)を再度測定すると共に、該内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)と実行後の体圧(Pbn+1)との差(ΔPbt)が所定値以上の場合に、前記目標高さ(Ht)を実現するために必要な目標内圧(Pct+1)を再設定して、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する追加内圧制御工程をさらに含む請求項1に記載のマットレスの制御方法。
【請求項3】
人体を支持する基体の体圧作用面に複数のセルが配設されていると共に、該セルの内部に形成された流体室の圧力を調節して該セルの高さを変更設定する圧力調節手段が設けられているマットレスにおいて、
前記セルの目標高さ(Ht)を設定する目標高さ設定手段と、
前記セルの内圧(Pcn)を測定する内圧測定手段と、
前記セルに加わる体圧(Pbn)を測定する体圧測定手段と、
予め記憶された、前記セルの内圧(Pc)と、前記セルに加わる体圧(Pb)と、前記セルの高さ(H)との関係から、前記体圧測定手段で測定された前記体圧(Pbn)が作用した状態で、前記目標高さ設定手段で設定された前記セルの目標高さ(Ht)となる前記セルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定手段と、
前記内圧測定手段で測定される前記セルの内圧(Pcn)が、前記目標内圧設定手段で設定された前記セルの目標内圧(Pct)となるように、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する内圧制御手段と、
を有していることを特徴とするマットレス。
【請求項4】
前記セルの高さ方向中間部分に括れ部が形成されており、該セルが該括れ部において首振り変形するようになっている請求項3に記載のマットレス。
【請求項5】
前記体圧測定手段が、前記基体に沿って広がるシート状の静電容量型センサによって構成されており、該静電容量型センサが、エラストマーで形成された誘電層と、該誘電層の一方の面に配置され並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第1電極膜と、該誘電層の他方の面に配置され該第1電極膜に交差する方向で並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第2電極膜を備えており、該第1電極膜および第2電極膜が交差された対向部分で複数の検出部が構成されて、該複数の検出部が前記複数のセルと重なる位置にそれぞれ配設されている
請求項3又は4に記載のマットレス。
【請求項1】
人体を支持する基体の体圧作用面に複数のセルが配設されていると共に、該セルの内部に形成された流体室の圧力を調節して該セルの高さを変更設定する圧力調節手段が設けられているマットレスの制御方法であって、
前記セルの目標高さ(Ht)を設定する目標高さ設定工程と、
前記セルの内圧(Pcn)を測定する内圧測定工程と、
前記セルに加わる体圧(Pbn)を測定する体圧測定工程と、
予め記憶された、前記セルの内圧(Pc)と、前記セルに加わる体圧(Pb)と、前記セルの高さ(H)との関係から、前記体圧測定工程で測定された前記体圧(Pbn)が作用した状態で、前記目標高さ設定工程で設定された前記セルの目標高さ(Ht)となる前記セルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定工程と、
前記内圧測定工程で測定される前記セルの内圧(Pcn)が、前記目標内圧設定工程で設定された前記セルの目標内圧(Pct)となるように、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する内圧制御工程と
を、含むことを特徴とするマットレスの制御方法。
【請求項2】
前記内圧制御工程の実行後に前記セルに加わる体圧(Pbn+1)を再度測定すると共に、該内圧制御工程実行前の体圧(Pbn)と実行後の体圧(Pbn+1)との差(ΔPbt)が所定値以上の場合に、前記目標高さ(Ht)を実現するために必要な目標内圧(Pct+1)を再設定して、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する追加内圧制御工程をさらに含む請求項1に記載のマットレスの制御方法。
【請求項3】
人体を支持する基体の体圧作用面に複数のセルが配設されていると共に、該セルの内部に形成された流体室の圧力を調節して該セルの高さを変更設定する圧力調節手段が設けられているマットレスにおいて、
前記セルの目標高さ(Ht)を設定する目標高さ設定手段と、
前記セルの内圧(Pcn)を測定する内圧測定手段と、
前記セルに加わる体圧(Pbn)を測定する体圧測定手段と、
予め記憶された、前記セルの内圧(Pc)と、前記セルに加わる体圧(Pb)と、前記セルの高さ(H)との関係から、前記体圧測定手段で測定された前記体圧(Pbn)が作用した状態で、前記目標高さ設定手段で設定された前記セルの目標高さ(Ht)となる前記セルの目標内圧(Pct)を求めて設定する目標内圧設定手段と、
前記内圧測定手段で測定される前記セルの内圧(Pcn)が、前記目標内圧設定手段で設定された前記セルの目標内圧(Pct)となるように、前記圧力調節手段により前記セルの内圧を制御する内圧制御手段と、
を有していることを特徴とするマットレス。
【請求項4】
前記セルの高さ方向中間部分に括れ部が形成されており、該セルが該括れ部において首振り変形するようになっている請求項3に記載のマットレス。
【請求項5】
前記体圧測定手段が、前記基体に沿って広がるシート状の静電容量型センサによって構成されており、該静電容量型センサが、エラストマーで形成された誘電層と、該誘電層の一方の面に配置され並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第1電極膜と、該誘電層の他方の面に配置され該第1電極膜に交差する方向で並列配置された複数の帯状且つ柔軟な第2電極膜を備えており、該第1電極膜および第2電極膜が交差された対向部分で複数の検出部が構成されて、該複数の検出部が前記複数のセルと重なる位置にそれぞれ配設されている
請求項3又は4に記載のマットレス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−27532(P2013−27532A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165307(P2011−165307)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
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