説明

マットレス用シーツ

【課題】クリーニングしてシーツ主体が縮んでもマットレスに対してフィット性が優れ、さらに業務用アイロンへの挿入が容易で、アイロン掛けの作業性を向上できるマットレス用シーツを提供する。
【解決手段】マットレス10の上面部及び左右両側部を覆う表地部及び周側部14を有する1枚の織物布地によって形成されたシーツ主体11と、マットレス10の長手方向の両端部の上面部、下面部及び左右両側部を覆うように袋状に形成され、該袋状の開口縁部が前記シーツ主体11の長手方向の両端部と縫着されたニット素材によって形成された両端袋状部12と、シーツ主体11の周側部14及び両端袋状部12の下面部によって囲まれた矩形状の開口部18とから平面的なマットレス用シーツを構成し、マットレス10をシーツ主体11と両端袋状部12覆ったとき、両端袋状部12が持つ伸縮性によってシーツ主体11にテンションを付与させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、病院用ベッドのマットレスに着脱可能に装着されるマットレス用シーツに関する。
【背景技術】
【0002】
病院用ベッドのマットレスに敷設されるシーツには、1枚のシート状タイプのものと、袋状でマットレスを包むように覆い被せるタイプのものがある。前者のものは、シーツの前後・左右両側部をマットレスの下側に挿し込んで保持するようになっているが、就寝者の寝返り等によってシーツがずれ易いという問題がある。また、後者のものは、前述のようなシーツのずれ等は防止できるものの、マットレスに対する着脱が面倒である。
【0003】
そこで、マットレスを包むように覆い被せる袋状のシーツの裏地部に、マットレスを挿通させるために設けられる開口部の開口縁部を筒状に縫合し、この筒部にゴム紐を挿通してゴム紐の弾性によって開口部を広げることができ、しかもゴム紐の弾性によってシーツを緊張できるようにしたものがある。
【0004】
また、下敷きマットレスと上敷きマットレスに被せるシーツを袋状に形成するとともに、シーツの裏面部にマットレスを挿通させるために設けられた開口部のコーナ部の角度を約80°にし、皺の発生を防止したマットレス用シーツも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
さらに、シーツ布地の少なくとも一端側を裏面側に折り返してシーツ部と折り返し部とを形成し、シーツ部と折り返し部とを剥離自在な係着体によって係着してマットレス挿入部を形成したものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2004−33555号公報
【特許文献2】特開2002−360400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、病院用ベッドのマットレス用シーツは、汚れの有無に拘らず、マットレスから取り外して定期的にクリーニング業者にクリーニングを依頼されるものであり、また病院ではクリーニングされたシーツを看護士あるいは看護助士の手によってベッドメーキングされる。
【0007】
従って、看護士あるいは看護助士の負担を軽減するためマットレスに対する着脱が容易であることが望ましい。この点、前述したように、シーツの裏地部に設けられた開口縁部にゴム紐を入れたものは、開口部の開口幅が伸縮するため、マットレスに対する着脱が容易であるが、繰り返しクリーニングされると、ゴム紐の伸縮性が損なわれてシーツがマットレスにフィットしなくなる。また、シーツにゴム紐が入っていると、アイロン掛けもし難く作業性が悪いとともに、ゴム紐に無理な張力が加わってゴム紐の伸縮性が早期に損なわれるという問題がある。
【0008】
また、特許文献1のものは、シーツの裏面部に設けられた開口部のコーナ部の角度を約80°にして皺の発生を防止するものは、シーツが新しいうちは、その効果が期待できるが、繰り返しクリーニングされると、型崩れしてコーナ部の角度が80°以上に広がり、シーツがマットレスにフィットしなくなるという問題がある。
【0009】
さらに、特許文献2のものは、洗濯によってシーツが縮むことを想定し、シーツが縮んでも係着体を外してマットレスの下側に敷き込むようにしたものであり、係着体の着脱が面倒である。
【0010】
この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、マットレスに対する着脱が容易であるとともに、繰り返しクリーニングしてシーツ主体が縮んでもマットレスに対してフィット性が優れ、さらに平面的で業務用アイロンに挿入することが容易で、アイロン掛けの作業性を向上できるマットレス用シーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、前記目的を達成するために、請求項1は、長方形状のマットレスの上面部に覆うように装着されるマットレス用シーツにおいて、前記マットレスの長手方向の両端部を除き、該マットレスの上面部及び左右両側部を覆う表地部及び周側部を有する1枚の織物布地によって形成されたシーツ主体と、前記マットレスの長手方向の両端部の上面部、下面部及び左右両側部を覆うように袋状に形成され、該袋状の開口縁部が前記シーツ主体の長手方向の両端部と縫着されたニット素材によって形成された両端袋状部と、前記シーツ主体の周側部及び両端袋状部の下面部によって囲まれた矩形状の開口部とから平面的なマットレス用シーツを構成し、前記マットレスを前記開口部から潜らせて該マットレスを前記シーツ主体と両端袋状部で覆ったとき、両端袋状部が持つ伸縮性によって前記シーツ主体にテンションを付与させたことを特徴とする。
【0012】
請求項2は、請求項1の前記シーツ主体の周側部及び前記両端袋状部の周側部には、1本の連続した折り目が形成され、業務用アイロンに挿入するときには、前記折り目がシーツ輪郭を形成するように平面的になることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、シーツ主体の縮みを両端袋状部の伸縮で吸収することができ、さらにシーツ主体の皺を両端袋状部の弾力性で取り除くことができ、マットレスに対するフィット性が優れているとともに、マットレスに対するシーツの着脱が容易である。さらに、全体が平面的であるため、業務用アイロンに挿入すること及び折り畳みの作業性の向上を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図3に示すように、例えば、病院用ベッドの長方形状のマットレス10の上面部に覆うように装着されるマットレス用シーツは、1枚の織物布地によって形成されたシーツ主体11とニット素材によって形成された両端袋状部12とから構成されている。シーツ主体11は、例えば綿、ポリエステル等の混紡で安価であるが、繰り返しクリーニングすると、5〜10%程度縮む布地である。両端袋状部12は、ニット(編物)であるため、伸縮性、弾力性、柔軟性に富んだ素材である。
【0016】
前記シーツ主体11は、1枚の布地でマットレス10の長手方向の両端部10a,10b(頭部側と足部側)を除き、マットレス10の上面部10cを覆う表地部13及びマットレス10の左右両側部10dを覆う周側部14が形成されている。両端袋状部12は、マットレス10の長手方向の両端部10a,10bの上面部10c、下面部10e及び左右両側部10dを覆うように上地部15及び下地部16によって袋状に形成されている。
【0017】
そして、両端袋状部12の開口縁部の上地部15はシーツ主体11の表地部13の両端部に、下地部16はシーツ主体11の周側部14の両端部にそれぞれ縫着(縫着部17)されている。従って、シーツ主体11と両端袋状部12は一体的に連結されている。さらに、シーツ主体11の周側部14及び両端袋状部12の下地部16によって囲まれた矩形状の開口部18が形成されている。そして、マットレス10を開口部18から潜らせてマットレス10をシーツ主体11と両端袋状部12で覆ったとき、両端袋状部12が持つ伸縮性によってシーツ主体11にテンションを付与させることができる。さらに、マットレス10を開口部18から潜らせる際に、両端袋状部12が伸長するため、マットレス10の対しての着脱が容易であり、同時にシーツ主体11の縮みを両端袋状部12の伸縮で吸収することができるとともに、シーツ主体11の皺を両端袋状部12の弾力性で取り除くことができる。
【0018】
また、シーツ主体11の周側部14及び両端袋状部12の周縁部には1本の連続した折り目19が形成され、この折り目19がシーツ輪郭を形成しており、シーツ全体が平面的である。従って、シーツを洗濯した後、シーツを業務用アイロン(複数本の熱ロールとプレートとの間)に挿入するが、シート主体11は、折り目19が基準となって表地部13と周側部14とが扁平状に二つ折りとなり、両端袋状部12は、折り目18が基準となって上地部15と下地部16とが扁平状に二つ折りとなるため、アイロン掛け・折り畳みの作業性が容易となる。
【0019】
このように構成されたマットレス用シーツによれば、シーツ主体11は繰り返しクリーニングすると、5〜10%程度縮む布地であるが、両端袋状部12は、ニット(編物)であるため、伸縮性、弾力性、柔軟性に富んだ素材である。従って、両端袋状部12の伸縮でシーツ主体11の縮みを吸収することができ、さらにシーツ主体11の皺を両端袋状部12の弾力性で取り除くことができる。
【0020】
また、病院等においては、ベッドのマットレスに対するシーツの交換作業は看護師や看護助手が行っているが、ベッド数の多い病院等においては、シーツの交換作業に多くの時間を費やし、看護師や看護助手の負担になっている。一般的にはマットレスに対するシーツの交換作業に要する時間は、1枚当たり、二人で3分と言われているが、この発明のシーツによれば、マットレス10を開口部18から潜らせる際に、両端袋状部12が伸長するため、マットレス10の対しての着脱が容易であり、一人でも1分前後で行えるため、看護師や看護助手の労力を大幅に軽減できる。
【0021】
なお、この発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るマットレス用シーツの裏面側から見た斜視図。
【図2】同実施形態を示し、図1のA−A線に沿って断面した拡大図。
【図3】同実施形態を示し、シーツ自体の斜視図。
【符号の説明】
【0023】
10…マットレス、11…シーツ主体、12…両端袋状部、13…表地部、14…周側部、15…上地部、16…下地部、17…縫着部、18…開口部、19…折り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状のマットレスの上面部に覆うように装着されるマットレス用シーツにおいて、
前記マットレスの長手方向の両端部を除き、該マットレスの上面部及び左右両側部を覆う表地部及び周側部を有する1枚の織物布地によって形成されたシーツ主体と、
前記マットレスの長手方向の両端部の上面部、下面部及び左右両側部を覆うように袋状に形成され、該袋状の開口縁部が前記シーツ主体の長手方向の両端部と縫着されたニット素材によって形成された両端袋状部と、
前記シーツ主体の周側部及び両端袋状部の下面部によって囲まれた矩形状の開口部とから平面的なマットレス用シーツを構成し、
前記マットレスを前記開口部から潜らせて該マットレスを前記シーツ主体と両端袋状部で覆ったとき、両端袋状部が持つ伸縮性によって前記シーツ主体にテンションを付与させたことを特徴とするマットレス用シーツ。
【請求項2】
前記シーツ主体の周側部及び前記両端袋状部の周側部には、1本の連続した折り目が形成され、業務用アイロンに挿入するときには、前記折り目がシーツ輪郭を形成するように平面的になることを特徴とする請求項1記載のマットレス用シーツ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−183165(P2008−183165A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18533(P2007−18533)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000213910)朝日事業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】