説明

マットレス

【課題】マットレスの屈曲時に、マットレスの上面での寄り集まりが軽減されて、褥瘡の発生等を抑えることができる、新規な構造のマットレスを提供すること。
【解決手段】ベッド12の支持面上で幅方向に延びるベース部材22が設けられて、ベース部材22の幅方向の両端部分には連結部材24がそれぞれ配設されると共に、それら連結部材24の幅方向の間にはベース部材22上にクッション体26が配設されている一方、複数のベース部材22が幅方向と直交する長さ方向に並んで配設されて、それらベース部材22に取り付けられた連結部材24が長さ方向に並んで配設されていると共に、長さ方向で隣り合う連結部材24の少なくとも1組には、それら連結部材24を傾動可能に連結する連結手段46,48が設けられており、連結手段46,48によって連結された連結部材24の傾動の軸が隣り合う連結部材24の上端部間に位置して幅方向に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドの人体支持面上に配設されるマットレスに係り、特に、介護用ベッド等の背上げ機能を有するベッドと組み合わされて好適に用いられるマットレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、介護用ベッド等における人体の支持部分には、クッション作用を有するマットレスが採用されており、人体を弾性的に支持することで寝心地の改善が図られている。このマットレスは、例えば、ウレタンフォーム等の弾性材によって形成されている。
【0003】
ところで、介護用ベッド等には、介護を容易にする等の目的で、使用者の上体を起こす動作を補助する背上げ機能を備えたものがある。即ち、背上げ機能付きのベッドでは、使用者の上半身を支持する部分が、下半身を支持する部分に対して相対的に傾斜して起き上がることにより、使用者の上体を起こす動作が補助されるようになっている。例えば、特開2010−51598号公報(特許文献1)に記載されているのが、それである。
【0004】
ところが、特許文献1に記載されているように、ベッドの支持面上にウレタンフォームやエアセル等のクッション体を有するマットレスを重ね合わせて配置すると、背上げ時にベッドの屈曲部分においてマットレスの上面が寄り集まってしまう。その結果、使用者の体とマットレスの上面との間で面方向に相対的なずれが生じて、摩擦による剪断力が使用者の体に作用することから、褥瘡が発生する要因となるおそれがあった。また、マットレスが屈曲部分に寄り集まることで、皺が発生したり、硬くなったりするおそれもあった。
【0005】
特に、ベッドの屈曲部分は、上体を起こした姿勢において体荷重が集中的に作用し易い臀部を支持することから、ベッドの屈曲部分で使用者の体とマットレスとの間に相対的なずれが生じると、大きな摩擦力が剪断力として作用して、褥瘡等の発生がより問題になり易く、有効な解決手段が切望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−51598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、マットレスの屈曲時に、マットレスの上面での寄り集まりが軽減されて、褥瘡の発生等を抑えることができる、新規な構造のマットレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、ベッドの支持面上に配設されるクッション体を有するマットレスにおいて、ベッドの支持面上で幅方向に延びるベース部材が設けられて、該ベース部材の幅方向の両端部分には連結部材がそれぞれ配設されると共に、それら連結部材の幅方向の間には該ベース部材上に前記クッション体が配設されている一方、複数の該ベース部材が幅方向と直交する長さ方向に並んで配設されて、それらベース部材に取り付けられた該連結部材が長さ方向に並んで配設されていると共に、長さ方向で隣り合う該連結部材の少なくとも1組には、それら連結部材を傾動可能に連結する連結手段が設けられており、該連結手段によって連結された該連結部材の傾動の軸が隣り合う該連結部材の上端部間に位置して幅方向に延びていることを、特徴とする。
【0009】
このような第1の態様に従う構造とされたマットレスによれば、長さ方向で隣り合う連結部材が、連結手段によって相対的に傾動可能に連結されており、それら連結部材の傾動の軸がそれら連結部材の上端部間に位置して幅方向に延びている。それ故、ベッドの背上げ等の際に、隣り合う連結部材が傾動の軸を中心として相対的に傾動して、マットレスがベッドの変形に追従して凹状に屈曲乃至は湾曲することにより、ベッドの背上げが実現される。
【0010】
さらに、傾動の軸がベース部材よりも上方に位置していることから、背上げ等によってマットレスが屈曲する際に、クッション体の上端部が凹状の屈曲部分に寄り集まるのを抑えることができて、弾性が損なわれたり、クッション体の表面に皺が寄るといった不具合が防止される。
【0011】
また、クッション体の上端部が凹状の屈曲部分に寄り集まるのを抑えることによって、マットレスの屈曲時にクッション体と使用者の体との間で作用する摩擦力(剪断力)が低減されて、褥瘡の発生を防止する効果が発揮され得る。特に、マットレスにおいて凹状に屈曲される部分は、臀部等の人体においてマットレス側に凸となる部分を支持しており、使用者の体荷重が集中的に作用することから褥瘡が問題になり易いが、かかる部分において使用者の体に作用する剪断力が低減されることで、褥瘡の発生が効果的に抑制される。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載されたマットレスにおいて、前記連結手段が幅方向に並んで配設された複数の連結帯状体を含んで構成されており、それら複数の連結帯状体の長さ方向の中間部分が長さ方向で隣り合う前記連結部材の間を上下に延びていると共に、少なくとも1つの該連結帯状体の両端部分が、長さ方向で隣り合う一方の該連結部材の上面と他方の該連結部材の下面とに取り付けられていると共に、他の該連結帯状体の両端部分が、該一方の連結部材の下面と該他方の連結部材の上面とに取り付けられているものである。
【0013】
第2の態様によれば、連結部材が複数の連結帯状体を用いた簡単な構造で傾動可能に連結されていると共に、それら連結部材の傾動によって、マットレスの凹状変形(上方に凹となる屈曲)と凸状変形(上方に凸となる屈曲)の両方に対応することが可能となる。即ち、マットレスの凹状変形部分では、隣り合う連結部材の上端部間を幅方向に延びるように傾動の軸が設定されて、隣り合う連結部材およびクッション体が傾動の軸周りに傾動することで、マットレスの凹状変形に対応することができる。一方、マットレスの凸状変形部分では、隣り合う連結部材の下端部間を幅方向に延びるように傾動の軸が設定されて、隣り合う連結部材およびクッション体が傾動の軸周りに傾動することでマットレスの凸状変形に対応することができる。従って、隣り合う連結部材を複数の連結帯状体で連結した単一構造を用いて、ベッドの機種毎に異なる屈曲態様(背上げ部分での凹状変形と、膝の支持部分での凸状変形等)に自在に対応することができて、ベッドの機種に合わせた屈曲位置や屈曲方向の変更等が不要になる。
【0014】
なお、連結帯状体の長さ方向での変形が制限されていると共に、連結帯状体の厚さ方向での変形(屈曲)が許容されていることによって、隣り合う連結部材が相互に位置決めされて連結状態に保持されると共に、相対的な傾動が容易に許容される。それ故、連結帯状体としては、長さ方向での伸縮変形(歪み)が小さく、且つ厚さ方向での変形(屈曲)を容易に許容されるものが望ましい。また、マットレスの凹状変形部分において連結帯状体が連結手段として機能する。
【0015】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載されたマットレスにおいて、前記連結帯状体の両端部分が前記連結部材に対して面ファスナで着脱可能に取り付けられているものである。
【0016】
第3の態様によれば、連結帯状体を連結部材に対して自由に着脱できることから、連結帯状体を連結部材から取り外すことで、連結帯状体や連結部材、クッション体、ベース部材の交換等を容易に行うことができる。しかも、面ファスナは、面直交方向の力が作用することで容易に外れる一方で、面方向の力が作用しても外れ難いことから、マットレスの屈曲時に連結帯状体に対して長さ方向で作用する力では外れ難く、連結部材が連結状態に安定して保持される。要するに、連結帯状体の連結部材に対する取付け手段として、面ファスナが用いられていることにより、連結帯状体の連結部材に対する着脱時に及ぼされる力の方向と、マットレスの屈曲時に連結帯状体と連結部材の間に作用する力の方向とが、互いに異なる方向とされて、使用状態での安定性と、メンテナンス時等の着脱容易性が、両立して実現されているのである。
【0017】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか1つの態様に記載されたマットレスにおいて、前記クッション体が、内部に流体室を備えた袋状のセルを含んで構成されているものである。
【0018】
第4の態様によれば、クッション体が、流体室の圧力を制御することで弾性や高さを調節可能とされたセルを含んで構成されていることから、寝心地の改善や褥瘡の防止等が実現される。しかも、クッション体の幅方向の両側に配設される連結部材に、セルの制御手段(流体室に流体を給排する管路や管路を開閉する電磁弁、電磁弁をコントロールする制御装置等)等を収容することで、省スペース化が実現される。
【0019】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の何れか1つの態様に記載されたマットレスにおいて、前記クッション体の上面に体圧センサが重ね合わされているものである。
【0020】
第5の態様によれば、マットレスの屈曲時にクッション体の上面に皺が寄り難い構造とされていることから、体圧センサがクッション体の上面から浮き上がったり、体圧センサにも皺等の歪な変形が生じる等といった不具合が回避されて、体圧センサによる検出精度の変化(低下)が防止される。それ故、ベッドの背上げ等によってマットレスが屈曲した状態でも、使用者の体圧の測定結果を高精度に得ることができて、褥瘡の発生防止等に役立てることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、長さ方向で隣り合う連結部材が、連結手段によって相対的な傾動を許容された状態で相互に連結されており、それら連結部材の相対的な傾動によって、ベッドの背上げ時等に、マットレスの凹状変形が許容されている。しかも、隣り合う連結部材の傾動の軸は、それら連結部材の上端部間に位置して幅方向に延びており、ベース部材に対して上方に設定されていることから、連結部材の傾動に伴ってクッション体が傾動する際に、クッション体の上端部が屈曲部分に寄り集まることはなく、クッション体の上面において弾性が損なわれたり、皺が発生するといった不具合が回避される。加えて、マットレスの屈曲によるクッション体の寄り集まりが防止されることで、クッション体の上面が使用者の体に対して面方向に相対変位するのを防ぐことができて、摩擦による褥瘡の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのマットレスを示す平面図。
【図2】図1に示されたマットレスの右側面図。
【図3】図1のIII−III断面図。
【図4】図1に示されたマットレスを構成するマットレスユニットにおいて、セルを拡大して示す縦断面図。
【図5】図1に示されたマットレスを構成する制御ボックスの幾つかを代表的に示す斜視図。
【図6】図5に示された制御ボックスの右側面図。
【図7】図5に示された制御ボックスの相対的な傾動を説明するための斜視図。
【図8】図6に示された制御ボックスの傾動による凹状変形を説明するための右側面図。
【図9】図6に示された制御ボックスの傾動による凸状変形を説明するための右側面図。
【図10】図2に示されたマットレスの背上げ状態を示す右側面図。
【図11】本発明の第2の実施形態としてのマットレスを構成する制御ボックスの幾つかを代表的に示す斜視図。
【図12】本発明の第3の実施形態としてのマットレスを構成する制御ボックスの幾つかを代表的に示す右側面図であって、制御ボックスの傾動による凹状変形状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1〜図3には、本発明の第1の実施形態としてのマットレス10が示されている。マットレス10は、ベッド12の長さ方向の両端部分に配設された頭部側ブロック14と脚部側ブロック16の間に、複数のマットレスユニット18と表層マット20とを配設した構造とされている。なお、以下の説明において、原則として、幅方向とは、図1中の左右方向を、長さ方向とは、図1中の上下方向を、高さ方向とは、図2中の上下方向を、それぞれ言う。また、図1では、後述する制御ボックス24やセル32の配置を見易くするために、表層マット20、後述する天部クッション層30、同じく後述する体圧センサ44の図示が省略されている。
【0025】
頭部側ブロック14および脚部側ブロック16は、互いに略同じ直方体形状で幅方向に延びており、ウレタンフォーム等の弾性体で形成されている。また、頭部側ブロック14と脚部側ブロック16は、ベッド12の長さ方向各一方の端部に配設されており、長さ方向で所定距離を隔てて配置されている。
【0026】
また、頭部側ブロック14と脚部側ブロック16の間には、複数のマットレスユニット18が配設されている。マットレスユニット18は、幅方向に延びるベース部材22と、ベース部材22の幅方向の両端部分に取り付けられる連結部材としての制御ボックス24a,24bと、ベース部材22の幅方向の中間部分に取り付けられるクッション体26とを、含んで構成されている。
【0027】
より詳細には、ベース部材22は、合成樹脂や金属等で形成された硬質の部材であって、幅方向に略一定の断面形状で延びる長手板状とされている。また、本実施形態のベース部材22は、上面がベッド12の面方向に広がる平面とされていると共に、下面が長さ方向の中央側に行くに従って下向きの突出高さが大きくなる湾曲面とされて、逆向きの蒲鉾形を呈しており、重量の増加を抑えつつ、機械的な強度が高められている。
【0028】
制御ボックス24は、硬質の材料で形成された矩形箱形状とされており、図3に示されているように、ベース部材22の幅方向の一方の端部に制御ボックス24aが取り付けられていると共に、幅方向の他方の端部に制御ボックス24bが取り付けられている。なお、制御ボックス24aと制御ボックス24bは、ベース部材22に対する取付け位置が異なる他は、略同一の構造とされている。
【0029】
また、図中では省略されているが、制御ボックス24には、後述するセル32の流体室38の圧力を制御する制御装置や、流体室38に空気を給排する給排管路の一部、更には、給排管路の連通と遮断等を切り替える電磁バルブ等を含んだ制御手段が収容されている。かかる制御手段のメンテナンス性を考慮して、制御ボックス24には、少なくとも壁部の一部に開閉部(ドア部)が設けられていることが望ましい。更に、図示は省略されているが、後述する複数のマットレスユニット18の配設状態において、隣接する制御ボックス24間或いは制御ボックス24と後述するセル32との間で給排流体(空気)や電力を送受するために、制御ボックス24には、電気を伝達するためのソケットや、給排流体を伝達するための外部ポート等が設けられている。
【0030】
また、一対の制御ボックス24a,24bの幅方向の間には、クッション体26が配設されている。クッション体26は、底部クッション層28と天部クッション層30の間に複数のセル32が配設された構造を有している。
【0031】
底部クッション層28は、幅方向に長手の矩形板状を呈する弾性体(発泡性ウレタンフォーム等)であって、長さ方向の寸法がベース部材22と略同じとされていると共に、幅方向の寸法が一対の制御ボックス24a,24bの対向面間距離と略同じとされている。
【0032】
天部クッション層30は、幅方向に延びる板状の弾性体(発泡性ウレタンフォーム等)であって、長さ方向の寸法および幅方向の寸法が、何れも底部クッション層28と略同じとされている。そして、天部クッション層30は、底部クッション層28に対して上方に所定距離を隔てて対向配置されている。
【0033】
また、上下方向で対向して配置された底部クッション層28と天部クッション層30の間には、複数のセル32が配設されている。セル32は、図4に示されているように、全体として袋状とされており、下方に開口する上側袋状部34と、上方に開口する下側袋状部36とを、開口部で相互に固着した構造を有している。なお、本実施形態では、上側袋状部34および下側袋状部36がポリウレタン等の合成樹脂で形成された2枚のシートを重ね合わせて、それらシートの外周端部を溶着することで形成されており、それら上側袋状部34と下側袋状部36の開口部を相互に溶着することでセル32が形成されている。
【0034】
さらに、セル32の内部には、外部から密閉された流体室38が形成されており、下側袋状部36の底壁部の中央部分に設けられたポート40を通じて、給排管路に接続されている。そして、給排管路およびポート40を通じて流体(水等の液体でも良いが、ここでは空気)が流体室38に対して供給又は排出されることで、セル32の高さが変更可能とされている。なお、流体室38への流体の給排は、給排管路に接続された図示しないポンプ等によって実現される。また、セル32は、流体室38内の空気の圧縮性や、上下の袋状部34,36の伸縮性等に基づいて、弾性を有している。
【0035】
また、上側袋状部34と下側袋状部36の開口部分は、何れも、開口側に向かって外径寸法が次第に小さくなっており、セル32におけるそれら上側袋状部34と下側袋状部36の固着部分には、部分的に小径化された括れ部42が形成されている。これにより、セル32は、上側袋状部34で構成された上段部分と、下側袋状部36で構成された下段部分とを有する2段構造とされており、上段部分の内部空間と下段部分の内部空間が連通部43を通じて相互に連通されることで、流体室38が形成されている。
【0036】
このような構造とされたセル32は、底部クッション層28と天部クッション層30の間に配設されて、底部クッション層28によって底面の中央部分を支持されると共に、上面に対して天部クッション層30が重ね合わされることにより、クッション体26が形成されている。また、セル32は、ベッド12の幅方向に並んで複数が配設されており、本実施形態では、7つのセル32が底部クッション層28上で1列に並んで配設されている。なお、セル32に設けられたポート40は、底部クッション層28上を延びるように、或いは底部クッション層28に埋め込まれる等して配設されており、本実施形態では、底部クッション層28の上面に開口する凹所(凹溝)が形成されて、その凹所にポート40が嵌め込まれて配設されている。また、セル32上に重ね合わされた天部クッション層30は、セル32の膨張と収縮によって、底部クッション層28に対して相対的に接近/離隔するようになっている。
【0037】
そして、クッション体26は、ベース部材22の幅方向の中間部分に取り付けられている。即ち、ベース部材22の上面に対して底部クッション層28が重ね合わされて固定されることにより、クッション体26が一対の制御ボックス24a,24bの幅方向対向面間に配設されて、ベース部材22によって支持されている。また、制御ボックス24a,24bの高さ寸法が、セル32の高さ寸法が最も大きい状態におけるクッション体26の高さ寸法(底部クッション層28の下面から天部クッション層30の上面までの高さ)と、略同じとされている。更に、7つのセル32が一対の制御ボックス24a,24bの幅方向間に配設されて、幅方向で一列に並んでいる。また、クッション体26を構成するセル32に設けられたポート40は、制御ボックス24に設けられた給排気用の外部ポート(図示せず)に接続されて、給排管路に連通されている。そして、流体室38の圧力が制御ボックス24に収容された図示しない制御手段によって制御されることによって、セル32の弾性や高さ寸法等が調節されるようになっている。
【0038】
かくの如き構造とされたマットレスユニット18は、ベース部材22がベッド12の支持面(使用者が横たわる上面)上で幅方向に延びるように配設されている。更に、複数のマットレスユニット18がベッド12の長さ方向で隣り合うように配設されており、複数のベース部材22、制御ボックス24a,24b、クッション体26が、それぞれ長さ方向で並んで配置されている。なお、図1に示されているように、本実施形態では、21個のマットレスユニット18が、ベッド12の長さ方向に並んで配設されている。
【0039】
また、長さ方向に並んで配設された複数のマットレスユニット18上には、表層マット20が重ね合わされている。表層マット20は、薄肉の矩形板状とされたウレタンフォーム等の弾性体であって、頭部側ブロック14と脚部側ブロック16の間で、制御ボックス24およびクッション体26の上面を覆うように配設されている。
【0040】
また、クッション体26の上面には、体圧センサ44が重ね合わされており、体圧センサ44が表層マット20とクッション体26の間に挟み込まれて配設されている。かかる体圧センサ44としては、歪ゲージや磁歪体を用いたロードセル等を採用することも可能であるが、本実施形態ではシート状の静電容量型センサが採用されている。このような静電容量型センサとしては、従来公知のもの(例えば、特許第4565359号公報に開示されたもの)が適宜に採用可能であることから、ここでは概略の説明に留める。即ち、体圧センサ44は、ウレタンフォーム等のエラストマーで形成された誘電体層の一方の面に帯状で柔軟な第1電極膜が重ね合わされていると共に、他方の面に第1電極膜と略同一形状で異なる方向を長手とする第2電極膜が重ね合わされており、それら第1, 第2電極膜の対向部分に検出部が構成されるようになっている。そして、検出部に体圧等の外力(体荷重)が作用すると、誘電体層の厚さ(第1, 第2電極膜の対向面間距離)が変化して、検出部に構成されるコンデンサの静電容量が変化することから、静電容量の変化に基づいて検出部に作用した体圧が検出されるようになっている。特に、体圧センサ44は、寝心地に悪影響を及ぼさないために、薄肉であると共に、柔軟性を有することが望ましい。
【0041】
なお、本実施形態では、体圧センサ44の検出部の数がセル32の数に応じて設定されており、検出部が縦21個×横7個で設けられて、各セル32と位置合わせされることで、147個のセル32に作用する荷重を測定可能とされている。尤も、体圧センサ44の検出部の数は、必ずしもセル32の数と同数に限定されるものではなく、例えば、セル32よりも多くの検出部を設けて、より高精度に体荷重を検出することもでき得る。
【0042】
そして、体圧センサ44による使用者の体圧の測定結果に基づいて、各セル32の流体室38の圧力が調節されて、体圧が広範囲に分散して作用するようにセル32の弾性や高さが制御されることにより、褥瘡の発生が抑えられる。より具体的には、例えば、体圧センサ44によって測定された体圧が大きい部分では、流体室38内の流体が排出されて、セル32の高さが低くされると共に、体圧センサ44によって測定された体圧が小さい部分では、流体室38に流体が供給されて、セル32の高さが高くされることにより、使用者の体に対して体圧の反力が広範囲に亘って分散作用するようになっている。
【0043】
また、各マットレスユニット18は、長さ方向で隣り合う別のマットレスユニット18に対して連結されている。即ち、長さ方向で隣り合う制御ボックス24a,24aが相互に連結されると共に、長さ方向で隣り合う制御ボックス24b,24bが相互に連結されることによって、長さ方向で隣り合うマットレスユニット18が相互に連結されている。
【0044】
より詳細には、長さ方向で隣り合う制御ボックス24a,24aおよび制御ボックス24b,24bは、それぞれ連結帯状体としての第1連結ベルト46と第2連結ベルト48によって相互に連結されている。なお、マットレスユニット18の連結構造については、図5〜図9に示されているように、長さ方向に並んだ3つの制御ボックス24aを抜き出して説明する。また、以下では、ベース部材22の幅方向一方の端部に取り付けられた制御ボックス24a,24aの連結構造について説明をするが、ベース部材22の幅方向他方の端部に取り付けられた制御ボックス24b,24bの連結構造も、制御ボックス24a,24aの連結構造と同様である。
【0045】
第1,第2連結ベルト46,48は、何れも、薄肉且つ狭幅の長手帯状とされており、合成樹脂や化学繊維、合成皮革等によって形成されている。また、第1,第2連結ベルト46,48は、外力の作用によって厚さ方向で容易に変形するものであって、長手方向での歪みが小さい(伸縮変形し難い)ものが望ましい。なお、後述する制御ボックス24a,24aの長さ方向での位置決めと傾動を実現するためには、第1,第2連結ベルト46,48の長手方向での歪みは小さいほど良いが、第1,第2連結ベルト46,48や給排管路等の配管、電線等の着脱を容易にする等の目的で、制御ボックス24の位置決め作用等が充分に得られる程度であれば歪みが許容されていても良い。
【0046】
また、第1,第2連結ベルト46,48の両端部分には、それぞれ図示しない面ファスナが配設されている。より具体的には、第1連結ベルト46には、一方の端部の上面に面ファスナが設けられていると共に、他方の端部の下面に面ファスナが設けられている一方、第2連結ベルト48には、一方の端部の下面に面ファスナが設けられていると共に、他方の端部の上面に面ファスナが設けられている。
【0047】
そして、第1連結ベルト46が制御ボックス24の幅方向外側の端部に取り付けられていると共に、第2連結ベルト48が制御ボックス24の幅方向内側の端部に取り付けられている。また、第1連結ベルト46の長さ方向一方の端部が、頭側に位置する制御ボックス24の上面に対して、面ファスナを用いた着脱可能な状態で取り付けられると共に、第1連結ベルト46の他方の端部が、脚側に位置する制御ボックス24の下面に対して、面ファスナを用いた着脱可能な状態で取り付けられる。更に、第2連結ベルト48の一方の端部が、頭側に位置する制御ボックス24の下面に対して、面ファスナを用いた着脱可能な状態で取り付けられると共に、第2連結ベルト48の他方の端部が、脚側に位置する制御ボックス24の上面に対して、面ファスナを用いた着脱可能な状態で取り付けられる。なお、上記からも明らかなように、制御ボックス24の上面および下面には、幅方向両端部分に予め面ファスナが固着されている。尤も、第1,第2連結ベルト46,48は、接着や溶着等の手段によって、制御ボックス24に対して取外し不能な状態で固着されていても良い。
【0048】
また、第1,第2連結ベルト46,48の長さ方向の中間部分は、隣り合う制御ボックス24a,24aの間で略上下方向に延びている。この第1,第2連結ベルト46,48の中間部分は、制御ボックス24a,24aの長さ方向の側面に沿って配置されており、それら制御ボックス24a,24aに対して拘束されることなく接近や離隔等の相対変位が許容されている。なお、本実施形態では、ベース部材22の幅方向の両端に取り付けられた制御ボックス24a,24aの何れにも第1,第2連結ベルト46,48が取り付けられており、長さ方向で隣り合う制御ボックス24a,24aが相互に連結されている。
【0049】
このように第1,第2連結ベルト46,48が長さ方向で隣接する制御ボックス24a,24aに取り付けられることにより、それら制御ボックス24a,24aが第1,第2連結ベルト46,48によって長さ方向で相互に連結されている。なお、制御ボックス24a,24aを長さ方向で離隔させるように作用する外力は、第1,第2連結ベルト46,48の制御ボックス24a,24aに対する取付け部分(面ファスナ)に対して面方向の力として作用することから、かかる外力の作用によって第1,第2連結ベルト46,48が制御ボックス24a,24aから外れることはなく、制御ボックス24a,24aが長さ方向で連結された状態に保持される。
【0050】
さらに、第1,第2連結ベルト46,48が何れも長さ方向での伸縮変形を抑えられていることによって、長さ方向で隣り合う制御ボックス24a,24aの長さ方向および高さ方向での相対変位が制限されて、相互に位置決めされている。即ち、制御ボックス24a,24aが長さ方向又は高さ方向で相対的に変位するためには、第1,第2連結ベルト46,48の少なくとも一方が長さ方向に伸びる必要があるが、第1,第2連結ベルト46,48は、長さ方向での伸縮変形が制限されていることから、制御ボックス24a,24aの長さ方向および高さ方向での相対変位が制限されている。
【0051】
一方、長さ方向に隣り合う制御ボックス24a,24aは、第1,第2連結ベルト46,48による連結状態において、図8に示されているように、上端部間を幅方向に延びる仮想的な傾動の軸(図7参照)周りで、相対的な傾動が許容されている。即ち、制御ボックス24a,24aは、第1連結ベルト46の長さ方向一方の端部と中間部分との相対的な傾斜角度および第2連結ベルト48の長さ方向他方の端部と中間部分との相対的な傾斜角度(図8中のθ1 )が、変化することによって、制御ボックス24a,24aの上端部間を幅方向に延びる傾動の軸周りでの相対的な傾動が許容される。そこにおいて、第1,第2連結ベルト46,48は、何れも、薄肉帯状で厚さ方向に容易に変形することから、外力の作用による上記の如き制御ボックス24a,24aの傾動が許容される。これにより、本実施形態では、連結部材(制御ボックス24)を傾動可能に連結する連結手段が、第1,第2連結ベルト46,48によって構成されている。
【0052】
同様に、長さ方向に隣り合う制御ボックス24a,24aは、第1,第2連結ベルト46,48による連結状態において、図9に示されているように、下端部間を幅方向に延びる仮想的な傾動の軸(図7参照)周りで、相対的な傾動が許容されている。即ち、制御ボックス24a,24aは、第1連結ベルト46の長さ方向他方の端部と中間部分との相対的な傾斜角度および第2連結ベルト48の長さ方向一方の端部と中間部分との相対的な傾斜角度(図9中のθ2 )が、変化することによって、制御ボックス24a,24aの下端部間を幅方向に延びる傾動の軸周りでの相対的な傾動が許容される。そこにおいて、第1,第2連結ベルト46,48は、何れも、薄肉帯状で厚さ方向に容易に変形することから、外力の作用による上記の如き制御ボックス24a,24aの傾動が許容される。
【0053】
なお、長さ方向で隣り合う制御ボックス24b,24bは、制御ボックス24a,24aと同様に第1,第2連結ベルト46,48によって連結されており、長さ方向および高さ方向で相対的に位置決めされている。更に、制御ボックス24b,24bは、上端部間を幅方向に延びる仮想的な傾動の軸周りで、相対的な傾動を許容されていると共に、下端部間を幅方向に延びる仮想的な傾動の軸周りで、相対的な傾動を許容されている。
【0054】
このように、ベース部材22の幅方向両端部に設けられた制御ボックス24a,24bが、何れも、長さ方向で隣り合う別の制御ボックス24a,24bに対して、相対傾動を許容された状態で連結されていることにより、マットレスユニット18が隣り合う別のマットレスユニット18に対して相対的に傾動可能とされている。
【0055】
このような構造とされたマットレス10は、図1〜図3に示されているように、背上げ機構を有するベッド12の人体支持面上に配設されて、制御ボックス24がベッド12の幅方向の両端部に配置されると共に、クッション体26がベッド12の幅方向の中間部分に配置されている。なお、クッション体26の配設部分によって臥床時に使用者の体を柔軟に支持する寝臥部が構成されていると共に、制御ボックス24の配設部分によって使用者がベッド12から起きる際等に腰掛ける形状安定性に優れた腰掛け部が構成されている。
【0056】
そして、ベッド12の背上げ時には、図10に示されているように、長さ方向で隣接する制御ボックス24a,24aおよび制御ボックス24b,24bが相対的に傾動することで、隣接するマットレスユニット18,18が相対的に傾動して、マットレス10がベッド12の屈曲に追従して変形するようになっている。
【0057】
より詳細には、ベッド12の背上げ時には、ベッド12の屈曲部分上に配置された制御ボックス24が、上端部間を幅方向に延びる傾動の軸周りで傾動することにより、マットレスユニット18のクッション体26が制御ボックス24と共に傾動する。これにより、クッション体26の上面がベッド12の表面と略平行をなすように傾斜して、ベッド12の屈曲に応じた凹状面がクッション体26の上面によって構成される。このように、凹状に変形したマットレス10の上面が、クッション体26の傾動によって実現されることから、凹状変形後のマットレス10上面の長さ寸法が、凹状変形前のマットレス10上面の長さ寸法のままで維持されて、クッション体26の上端部が屈曲部分に寄り集まるのを防ぐことができる。それ故、マットレス10の屈曲部分において、クッション体26の弾性が損なわれたり、皺等の歪な変形が生じたりするのを、防ぐことができる。
【0058】
なお、マットレス10の凹状変形時にマットレス10の上面の長さ寸法が変形前に対して維持されるためには、マットレス10の下面の長さ寸法が変形前に対して長くなる必要がある。これを実現するために、マットレス10では、制御ボックス24がベース部材22よりも上方に位置する傾動の軸周りで傾動する際に、ベース部材22が制御ボックス24の傾動に伴ってベッド12の上面に沿って長さ方向で変位するようになっている。これにより、長さ方向で隣り合うベース部材22,22間に隙間が形成されて、マットレス10の下面の実質的な長さが長くなるようにされている。特に本実施形態では、ベース部材22の下面が下方に凸の湾曲面で構成されており、ベース部材22とベッド12の上面との接触面積が小さくされていると共に、ベース部材22がベッド12に対して摺動する際に引っ掛かり難くなっている。それ故、ベース部材22がベッド12の上面に沿ってスムーズに摺動して、マットレス10の凹状変形が安定して実現されるようになっている。
【0059】
また、マットレス10が凹状変形する際に、マットレス10上面の長さ寸法の変化が低減乃至は回避されることから、マットレス10の上面が使用者に対して長さ方向で相対変位する(ずれる)のが防止される。これにより、ベッド12の背上げ等によるマットレス10の凹状変形に際して、マットレス10の上面と使用者の体との間において摩擦力(剪断力)の作用が回避されて、摩擦力に起因する褥瘡の発生が抑制される。特に本実施形態では、マットレス10の凹状変形時に、制御ボックス24の傾動の軸が、クッション体26の上面と略同じ高さに位置していることから、クッション体26上面が使用者の体表面に対して長さ方向でずれるのをより効果的に抑えることができる。
【0060】
さらに、マットレス10の凹状変形時に、クッション体26の上面の歪な変形が防止されることから、クッション体26の上に体圧センサ44を重ね合わせて配設しても、マットレス10の湾曲による体圧センサ44の皺等が防止される。その結果、体圧センサ44の検出精度が安定して維持されて、背上げしてベッド12上に座した姿勢でも、背上げしていないベッド12上に横たわっている場合と同様に、体圧センサ44の検出結果に基づいてセル32の内圧等を調節することで、褥瘡の発生を効果的に防ぐことができる。
【0061】
一方、本実施形態のベッド12は、背上げ時に、膝を支持する部分が上方に凸となるように持ち上がる(凸状変形する)構造とされており、マットレス10がベッド12の凹状変形だけでなく凸状変形にも追従し得る構造とされている。即ち、ベッド12の凸状変形部分に位置する制御ボックス24が、図9に示されているように、下端部間を幅方向に延びる傾動の軸周りで傾動する。それに伴って、制御ボックス24a,24bの幅方向間に配設されたクッション体26が同じ傾動の軸周りで傾動することから、傾斜したクッション体26の上面によって上方に凸の面が構成される。なお、図10に示されているように、長さ方向で隣り合う制御ボックス24,24およびクッション体26,26が傾動することで、上方に向かって長さ方向で次第に拡開する隙間が形成されるが、この隙間の上側開口は、表層マット20によって覆われることから、使用者の体に角部が当接することで痛みを与えたり、隙間に体の一部が入り込んで不快感を与えたりといった問題は生じない。また、上方に凸となる部分では、作用する使用者の体圧が小さいことから、上記隙間の存在による寝心地等への影響は問題にならない。
【0062】
また、本実施形態では、長さ方向に隣り合う制御ボックス24,24の連結構造を工夫することによって、単一の連結構造によって、マットレス10の凹状変形と凸状変形の両方が、長さ方向の任意の位置において許容されるようになっている。即ち、マットレス10の凹状変形は、第1,第2連結ベルト46,48が、制御ボックス24の上面に固着された長さ方向端部と、隣り合う制御ボックス24,24間を延びる中間部分との成す折れ曲がり角度:θ1 が変化(増大)するように、厚さ方向に変形することで、実現される。一方、マットレス10の凸状変形は、第1,第2連結ベルト46,48が、制御ボックス24の下面に固着された長さ方向端部と、隣り合う制御ボックス24,24間を延びる中間部分との成す折れ曲がり角度:θ2 が変化(増大)するように、厚さ方向に変形することで、実現される。
【0063】
このように、第1,第2連結ベルト46,48を用いた単一の連結構造によって、全てのマットレスユニット18が隣り合うもの同士で相互に連結されていると共に、全ての連結部位において凹状変形と凸状変形と変形なしの何れかが任意に選択的に許容されるようになっている。それ故、マットレス10は、特別な調整や部品の交換等を要することなく、脚部を支持する部分での凸状変形の有無等といったベッドの変形(背上げ)態様の違いや、ベッドの屈曲位置の違い等に、自在に対応することが可能とされている。しかも、第1,第2連結ベルト46,48を用いた極めて簡単な構造によってフレキシブルな連結構造が実現されており、製造が容易であると共に、信頼性や軽量化等においてもメリットがある。
【0064】
さらに、第1,第2連結ベルト46,48が、制御ボックス24に対して面ファスナで着脱可能に取り付けられていることから、第1,第2連結ベルト46,48を制御ボックス24から取り外すことによって、マットレスユニット18を他のマットレスユニット18から容易に取り外すことができる。それ故、第1,第2連結ベルト46,48の交換が容易に実現されることは勿論、マットレスユニット18を構成するベース部材22や制御ボックス24、セル32等の交換も容易に行われ得る。それ故、部品の損傷や更新等に対して、部品の交換によって容易に対応可能である。
【0065】
図11には、本発明の第2の実施形態としてのマットレスを構成する複数の制御ボックス24が、第1連結ベルト46および第2連結ベルト48によって連結された状態で示されている。なお、以下の説明において、第1の実施形態と実質的に同一の部材および部位は図中に同じ符号を付すことで説明を省略する。更に、図中に示されていない部分については、第1の実施形態と同様であることから、説明を省略する。
【0066】
すなわち、本実施形態では、長さ方向で隣り合う連結部材としての制御ボックス24a,24aに対して、幅方向の中央部分に第1連結ベルト46が取り付けられていると共に、幅方向の両端部分には、第1連結ベルト46に対して幅方向で離隔して、一対の第2連結ベルト48,48が取り付けられている。なお、第1,第2連結ベルト46,48の制御ボックス24aへの取付けは、第1の実施形態と同様であって、隣り合う制御ボックス24a,24aが長さ方向で位置決めされていると共に、上端部間又は下端部間を軸とする傾動を許容された状態で相互に連結されている。また、本実施形態では、第1連結ベルト46と一対の第2連結ベルト48,48との3つの連結ベルトによって、連結手段が構成されている。
【0067】
このように、隣り合う制御ボックス24a,24aが、幅方向で離隔して配設された3つの連結ベルト46,48,48によって、連結された構造を採用すれば、長さ方向で隣り合うマットレスユニット18においてより安定した連結状態が実現される。
【0068】
しかも、第1連結ベルト46が制御ボックス24aにおける幅方向の中央部に取り付けられていると共に、第1連結ベルト46とは取付け態様の異なる一対の第2連結ベルト48,48が制御ボックス24aにおける幅方向の両端部に取り付けられている。それ故、隣り合う制御ボックス24a,24aの相対的な傾動時に、それら制御ボックス24a,24aには3つの連結ベルト46,48,48の張力がバランス良く及ぼされて、制御ボックス24a,24aがねじり方向等の目的としない方向に相対変位するのが防止される。
【0069】
なお、第1連結ベルト46と第2連結ベルト48を組み合わせて採用して、4つ以上の連結ベルトで連結手段を構成することも可能である。このように連結ベルトの数を増やすことにより、長さ方向で隣り合う制御ボックス24a,24aの連結状態をより安定させることができる。
【0070】
図12には、本発明の第3の実施形態としてのマットレスを構成する複数の制御ボックス24が示されている。より詳細には、長さ方向で隣り合う制御ボックス24a,24aは、上端部分において、丁番50によって傾動可能に連結されている。この丁番50は、制御ボックス24の上面に取り付けられていても良いし、制御ボックス24の長さ方向の面の上端部に取り付けられていても良い。
【0071】
これによれば、長さ方向に隣り合う制御ボックス24a,24aは、制御ボックス24a,24aの上端部間に配設されて幅方向に延びる丁番50のピン52を傾動の軸として、傾動を許容されることから、マットレスにおいて上面に皺等を生じることなく凹状変形が許容される。このように、連結手段としては、前記実施形態に示された連結帯状体(連結ベルト)を用いたもの以外も、採用可能である。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態では、長さ方向に並べられた全ての連結部材(制御ボックス24)に連結手段としての第1,第2連結ベルト46,48が取り付けられていたが、必ずしも全ての連結部材が連結手段によって傾動可能に連結されていなくても良い。即ち、凹状変形が予定される部分に配置されるマットレスユニットの連結部材だけが、連結手段を用いて傾動可能に連結されていると共に、他のマットレスユニットの連結部材は、隣り合う連結部材に対して傾動不能に固定されることで連結されていても良い。また、例えば、一部の連結部材が、連結手段によって、凹状変形だけを許容するように傾動可能に連結されていると共に、他の一部(全部)の連結部材が、凸状変形だけを許容するように傾動可能に連結されていても良い。
【0073】
また、連結部材の構造は、前記実施形態に示された制御ボックス24の矩形箱状に限定されるものではない。具体的には、例えば、連結部材として、矩形箱状の制御ボックス24において角部を丸めてR面で構成した構造のものを採用することもできる。この場合には、長さ方向で隣り合う連結部材の上端部間を幅方向に延びる傾動の軸は、それら連結部材が相対的に傾動するに従って上下に移動する。このように、傾動の軸の位置は、必ずしも固定的に定まっていなくても良い。更に、セル32の制御手段が連結部材に収容された構成は、スペース効率等の観点から望ましいが、必須ではなく、例えば、連結部材が中実ブロック状とされて、制御手段が連結部材内に配設され得ない構造となっていても良い。
【0074】
また、連結帯状体は、連結部材の上下面に密着状態で取り付けられていれば良く、具体的な固定構造は、実施形態に示されているような、連結ベルト46,48の両端部分が、全体に亘って面ファスナで制御ボックス24,24に固定された態様には、限定されない。具体的には、例えば、連結ベルト46,48における制御ボックス24a,24aの上下面に重ね合わされた部分が、ピンやスナップ、フック等によって部分的に固定されていても良い。更に、例えば、長さ方向で隣り合う制御ボックス24a,24aを連結する連結ベルト46,48の両端部分が、それら制御ボックス24a,24aの長さ方向での対向面と反対側に位置する外側面にまで延びており、当該外側面に対して固定されていても良い。このような固定構造によっても、連結ベルト46,48は、それら連結ベルト46,48の張力によって、制御ボックス24a,24aの上下面に対して密着した取付け状態に維持される。
【0075】
また、交換による清潔性の確保等を目的として、マットレス10をカバーで覆うことも可能である。更に、カバーとしては、マットレス10の上部だけを覆うものの他、マットレス10の略全体を覆う袋状のもの等も採用され得る。このような全体を覆うカバーを採用する場合には、ベッド12の背上げ時等にマットレス10のスムーズな屈曲を実現するために、ベース部材22がカバーに対して小さな摩擦抵抗で引っ掛かることなく摺動可能とされていることが望ましい。具体的には、例えば、ベース部材22の形成材料として摩擦係数の小さい材料(フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等)を選択したり、ベース部材22の下面に半球状の支持突起を設ける等してベース部材22とカバーの接触面積を小さくすること等が考えられる。
【0076】
また、クッション体は、必ずしもセル32を含んで構成されたものに限定されず、例えば、全体が多孔質ウレタンフォーム等の弾性体で構成されていても良い。また、セル32を採用する場合には、その具体的な構造や、配設態様(並べ方や位置、間隔等)、配設数等は、何れも任意であって、限定されるものではない。
【符号の説明】
【0077】
10:マットレス、12:ベッド、22:ベース部材、24:制御ボックス(連結部材)、26:クッション体、32:セル、44:体圧センサ、46:第1連結ベルト(連結帯状体)、48:第2連結ベルト(連結帯状体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドの支持面上に配設されるクッション体を有するマットレスにおいて、
ベッドの支持面上で幅方向に延びるベース部材が設けられて、該ベース部材の幅方向の両端部分には連結部材がそれぞれ配設されると共に、それら連結部材の幅方向の間には該ベース部材上に前記クッション体が配設されている一方、
複数の該ベース部材が幅方向と直交する長さ方向に並んで配設されて、それらベース部材に取り付けられた該連結部材が長さ方向に並んで配設されていると共に、長さ方向で隣り合う該連結部材の少なくとも1組には、それら連結部材を傾動可能に連結する連結手段が設けられており、該連結手段によって連結された該連結部材の傾動の軸が隣り合う該連結部材の上端部間に位置して幅方向に延びていることを特徴とするマットレス。
【請求項2】
前記連結手段が幅方向に並んで配設された複数の連結帯状体によって構成されており、それら複数の連結帯状体の長さ方向の中間部分が長さ方向で隣り合う前記連結部材の間を上下に延びていると共に、少なくとも1つの該連結帯状体の両端部分が、長さ方向で隣り合う一方の該連結部材の上面と他方の該連結部材の下面とに取り付けられていると共に、他の該連結帯状体の両端部分が、該一方の連結部材の下面と該他方の連結部材の上面とに取り付けられている請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
前記連結帯状体の両端部分が前記連結部材に対して面ファスナで着脱可能に取り付けられている請求項2に記載のマットレス。
【請求項4】
前記クッション体が、内部に流体室を備えた袋状のセルを含んで構成されている請求項1〜3の何れか1項に記載のマットレス。
【請求項5】
前記クッション体の上面に体圧センサが重ね合わされている請求項1〜4の何れか1項に記載のマットレス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−27533(P2013−27533A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165308(P2011−165308)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】