説明

マット及び該マットを用いたタイルマット

【課題】 本発明は、マットとタイルとを接着するための接着剤を外れ難くすることができるマット及び該マットを用いたタイルマットを提供することを課題とする。
【解決手段】 タイルTが接着剤Sを用いて表面に取り付けられるタイル取付部2を備えるマット1であって、タイル取付部2には、表裏方向に貫通し内側面が滑面である貫通孔Kであって、裏面側の周縁部に接着する鍔部Saが形成されるように接着剤Sが充填される貫通孔Kが形成されており、該貫通孔Kの裏面側の周縁部に前記接着剤Sの鍔部Saが接着する鍔受け部3が形成されており、前記鍔受け部3は、貫通孔Kの径外方向の厚さが厚い厚肉部31と厚肉部31より薄い薄肉部32とが周方向に連設されてなり、薄肉部32の径方向外側面32bが接着剤Sの鍔部Saと接着するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床やベランダ等をタイルフロアとするために敷設されるマット及び該マットを用いたタイルマットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のマットとして、例えば、タイルが接着剤を用いて表面に取り付けられるタイル取付部を備えるマットであって、タイル取付部には、表裏方向に貫通し接着剤が充填される貫通孔が形成されており、該貫通孔の内側面に係止部が形成されてなるものが公知である(特許文献1)。
【0003】
かかるマットでは、タイル取付部の表面にタイルを取り付ける際に、貫通孔に裏面側から接着剤を充填して硬化させることで、係止部が接着剤を係止して接着剤がマットから外れ難くすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−42349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記マットでは、接着剤を貫通孔に充填する際に、係止部が邪魔となって貫通孔全体に接着剤を充填することができずに接着剤とマットとの接着面を十分に確保することができず、その結果、接着剤による接着力が不足して接着剤が外れ易くなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、マットとタイルとを接着するための接着剤を外れ難くすることができるマット及び該マットを用いたタイルマットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマットは、上記課題を解決するためになされたもので、タイルが接着剤を用いて表面に取り付けられるタイル取付部を備えるマットであって、タイル取付部には、表裏方向に貫通し内側面が滑面である貫通孔であって、裏面側の周縁部に接着する鍔部が形成されるように接着剤が充填される貫通孔が形成されており、該貫通孔の裏面側の周縁部に前記接着剤の鍔部が接着する鍔受け部が形成されており、前記鍔受け部は、貫通孔の径外方向の厚さが厚い厚肉部と厚肉部より薄い薄肉部とが周方向に連設されてなり、薄肉部の径方向外側面が接着剤の鍔部と接着するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
かかるマットにあっては、貫通孔の内側面が滑面に構成されているため、タイル取付部の表面にタイルを取り付ける際に、接着剤を貫通孔全体に隙間なく充填することができ、接着剤によるマットとタイルとの接着力を十分に確保することができる。
【0009】
ここで、接着剤が充填される際には、貫通孔の裏面側の周縁部に鍔部が形成されるところ、該周縁部には、厚肉部と薄肉部とを備える鍔受け部が設けられており、前記鍔部は、前記鍔受け部の薄肉部の径方向外側面と接着するように形成される。よって、厚肉部と薄肉部との径方向の厚さの違いによる段差を利用して、鍔部と鍔受け部との接着面を増加させることができる結果、接着剤をマットから外れ難くすることができる。
【0010】
また、本発明に係るマットは、前記厚肉部と薄肉部とが、前記周縁部の周方向全周に亘って交互に並ぶように複数設けられていることが好ましい。
【0011】
かかるマットにあっては、接着剤の鍔部と鍔受け部との接着面を周方向全周に亘るように増加させることができ、接着剤をマットから外れ難くすることができる。
【0012】
また、本発明に係るタイルマットは、請求項1又は2に記載のマットのタイル取付部の表面に接着剤によってタイルを取り付けてなるタイルマットであって、接着剤は、タイル取付部に形成された貫通孔の裏面側の周縁部に接着する鍔部が形成されるように、前記貫通孔に充填されてなり、該貫通孔を介してタイルの裏面に固着されると共に、鍔部が鍔受け部の薄肉部の径方向外側面と接着して固着されていることを特徴とする。
【0013】
かかるタイルマットにあっては、マットのタイル取付部に形成された貫通孔の内側面が滑面に構成されているので、接着剤は、貫通孔全体に隙間なく充填されて、貫通孔を介してタイルの裏面に固着される。よって、接着剤によるマットとタイルとの接着力を十分に確保することができる。
【0014】
ここで、貫通孔の裏面側の周縁部に接着するように形成される接着剤の鍔部は、前記周縁部に設けられる鍔受け部の薄肉部の径方向外側面と接着して固着されるので、厚肉部と薄肉部との径方向の厚さの違いによる段差を利用して、鍔部と鍔受け部との接着面を増加させることができる結果、接着剤をマットから外れ難くすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係るマットによれば、タイル取付部に形成された貫通孔の内側面が滑面に構成されていること、前記貫通孔の裏面側周縁部に設けられる鍔受け部が、厚肉部と薄肉部とが連設されてなり、薄肉部の径方向外側面が接着剤の鍔部と接着すること、によって、タイル取付部の表面にタイルを取り付ける際に、接着剤を貫通孔に隙間なく充填することができ、接着剤によるマットとタイルとの接着力を十分に確保できると共に、厚肉部と薄肉部との径方向の厚さの違いによる段差を利用して、鍔部と鍔受け部との接着面を増加させることができる結果、接着剤をマットから外れ難くすることができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係るタイルマットによれば、マットのタイル取付部に形成された貫通孔の内側面が滑面に構成されていること、前記貫通孔の裏面側周縁部に設けられる鍔受け部が、厚肉部と薄肉部とが連設されてなること、接着剤が、前記貫通孔を介してタイルの裏面に固着されると共に、鍔部において前記鍔受け部の薄肉部の径方向外側面と接着して固着されていること、によって、接着剤が貫通孔全体に隙間なく充填され、貫通孔を介してタイルの裏面に固着されるため、接着剤によるマットとタイルとの接着力を十分に確保できると共に、厚肉部と薄肉部との径方向の厚さの違いによる段差を利用して、鍔部と鍔受け部との接着面を増加させることができる結果、接着剤をマットから外れ難くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るマットの平面図であって、(a)は裏面からの平面図、(b)は表面からの平面図である。
【図2】同マットにタイルを取り付ける際の一部断面図であって、(a)は図1(a)のA−A線断面図、(b)は図1(a)のB−B線断面図である。
【図3】他の実施形態に係るマットの平面図である。
【図4】他の実施形態に係るタイルマットの一部断面図である。
【図5】他の実施形態に係るマットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るマット及び該マットを用いたタイルマットの一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。
【0019】
本実施形態に係るマット及び該マットを用いたタイルマットは、ベランダ、テラス又は玄関等の床面、或いは庭等をタイルフロアとするために敷設されるもので、例えばガーデニング等の用途で利用される。
【0020】
本実施形態に係るマット1は、図1及び図2に示すように、一枚のタイルTが接着剤Sを用いて表面に取り付けられるタイル取付部2と、該タイル取付部2に形成された表裏方向に貫通する貫通孔Kの裏面側の周縁部に設けられ、貫通孔Kに接着剤Sを充填した際に鍔部Saが接着する鍔受け部3と、前記タイル取付部2の裏面に設けられてタイル取付部2を支持する足部4と、前記タイル取付部2の周縁に設けられて各マット1同士を連結する連結部5とを備えてなる。
【0021】
タイル取付部2は、略正方形の平板状の平板部21と、該平板部21の周囲に形成される壁部22とを有している。
【0022】
平板部21は、表面に一枚の略正方形の平板状のタイルTが載置されるように構成されている。当該平板部21には、表裏方向に貫通し内側面が滑面である貫通孔Kであって、裏面側の周縁部に接着する鍔部Saが形成されるように接着剤Sが充填される貫通孔Kが形成されており、また、該貫通孔Kとは別の孔として、軽量化やデザイン性等を目的とした孔Mが形成されている。
【0023】
貫通孔Kは、表裏方向に一定の径からなる略円柱状空間をなす、所謂丸孔である。また、貫通孔Kを形成する平板部21の内側面は、凹凸のない滑らかな曲面として構成されている。具体的には、前記内側面には、径方向に沿う凹凸は形成されておらず、従って、貫通孔Kの内部には、径方向に沿う凸部や凹部は形成されていない。かかる貫通孔Kは、平板部21の四隅近傍に各々形成されている。
【0024】
その他の孔Mは、表裏方向に穿たれた大孔と小孔とからなり、内側面が凹凸のない滑らかな曲面として構成されている。かかるその他の孔Mは、平板部21の中心軸の周方向に大孔(例えば開口が略ハート形状)と小孔(例えば開口が略円形状)とが交互に4つずつ並んで形成されている。
【0025】
壁部22は、前記平板部21の周方向の一辺の長さと略等しい長辺を有する長方形の平板状をなしている。かかる壁部22は、平板部21の裏面側の周縁の四辺から裏面側に垂直に延設されている。即ち、タイル取付部2の壁部22が平板部21の表面側に突出することなく裏面側に延設されている。よって、タイル取付部2の表面側は平面になっている。
【0026】
鍔受け部3は、貫通孔Kの径外方向の厚さが厚い厚肉部31と厚肉部31より薄い薄肉部32とが周方向に連設されてなり、薄肉部32の径方向外側面32bが接着剤Sの鍔部Saと接着するように構成されている。かかる厚肉部31と薄肉部32とは、前記貫通孔Kの裏面側における周縁部の周方向全周に亘って交互に並ぶように複数設けられている。本実施形態では、鍔受け部3は、厚肉部31と薄肉部32とが交互に6つ、貫通孔Kの裏面側における周縁部の周方向全周に亘って等間隔に連設されている。
【0027】
厚肉部31と薄肉部32とは、径方向内側端部同士が周方向に並んだ状態で、各々径外方向に延設されている。つまり、厚肉部31の径方向内側面と薄肉部32の径方向内側面とは、滑らかに連続した滑面であり、鍔受け部3の内側面を形成している。この内側面は、貫通孔Kの内側面と面一であり、1つの滑面を形成している。換言すれば、貫通孔Kは、表裏方向に一定の径を有して平板部21と鍔受け部3とを貫通して形成されている。また、厚肉部31の径方向外側面31bと薄肉部32の径方向外側面32bとは、径方向で離間している。よって、厚肉部31の径方向外側端部と薄肉部32の径方向外側端部とで段差が形成されている。そして、かかる段差が形成されている領域においては、厚肉部31の径方向外側面31bに連続する周方向外側面31cが形成されている。尚、厚肉部31の下面31aと薄肉部32の下面32aとは面一であって1つの平面を形成している。
【0028】
かかる鍔受け部3は、図2(a)に示すように、タイル取付部2の表面にタイルTを取り付ける際に、薄肉部32の下面32aと径方向外側面32b、並びに、図1及び図2(b)に示すように、厚肉部31の下面31aと径方向外側面31bと周方向外側面31cが、鍔部Saに全面的に被覆されるように構成されている。つまり、本実施形態では、タイル取付部2の表面にタイルTを取り付けた状態においては、鍔受け部3は、接着剤Sの鍔部Saによって完全に覆われている。
【0029】
足部4は、円筒状の棒体をなしており、平板部21の裏面側に複数配置されている。かかる配置は任意であるが、本実施形態では、鍔受け部3を間に挟むようにして二つずつ配置され、また、平板部21の表裏方向の中心軸上にも一つ配置されている。尚、足部4は、平板部21の裏面側に突出する壁部22の下端よりも下側に突出するように構成されている。
【0030】
連結部5は、連結凹部5aと、該連結凹部5aに嵌合可能な連結凸部5bとを含み、本実施形態では、連結凹部5aと連結凸部5bのいずれか一方が各壁部22に設けられている。この連結部5を利用して、隣接するマット1同士の連結がなされる。
【0031】
以上のマット1は、そのタイル取付部2の表面にタイルが載せられ、裏面側から貫通孔Kに接着剤Sが充填されてタイル取付部2とタイルTとが接着されることによって、タイルマットを構成する。
【0032】
ここで、かかるタイルマットについて更に詳細に説明する。このタイルマットは、上記マット1のタイル取付部2の表面に接着剤SによってタイルTを取り付けてなるタイルマットであって、上記構成からなるマット1と、タイルTと、該マット1及びタイルTを接着する接着剤Sとからなる。
【0033】
タイルTは、平面視のサイズが平板部21と略等しい又は僅かに小さく構成され、略正方形の平板状からなる。尚、タイルTは、セラミック等の硬質材、又は、樹脂等の軟質材からなる。
【0034】
接着剤Sは、裏面側の周縁部に鍔部Saが形成されるように、タイル取付部2に形成された貫通孔Kに充填されてなる。具体的には、接着剤Sは、貫通孔Kの内部全体に充填されるだけでなく、該貫通孔Kの裏面側から溢れ出して、該貫通孔Kの周囲(貫通孔Kの裏面側の周縁部)にまで拡がるように充填されて形成される。従って、接着剤Sは、貫通孔Kの内部に充填される本体部Sbと、該本体部Sbに一体的に連続し、貫通孔Kの裏面側の周縁部に接着する鍔部Saとを備える(図2(a)(b)参照)。
【0035】
かかる接着剤Sは、貫通孔Kを介してタイルTの裏面に固着されると共に、鍔部Saが鍔受け部3の薄肉部32の径方向外側面32bと接着して固着される。具体的には、本体部Sbが、貫通孔Kの内側面及び鍔受け部3の内側面、並びにタイルT裏面に接着し、鍔部Saは、鍔受け部3を被覆するように該鍔受け部3に接着する。より詳細には、鍔部Saは、図2に示すように、鍔受け部3の薄肉部32の下面32a及び径方向外側面32bを被覆すると共に、鍔受け部3の厚肉部31の下面31a及び径方向外側面31b並びに周方向外側面31cを被覆する。即ち、鍔部Saは、鍔受け部3の外側面、つまり、薄肉部32の径方向外側面32b、厚肉部31の径方向外側面31b並びに周方向外側面31cを全体的に覆って、更に、鍔受け部3近傍の平板部21の裏面に接着する。
【0036】
以上のようなマット1及びタイルマットにあっては、タイル取付部2に形成された貫通孔Kの内側面が滑面に構成されているため、接着剤Sが貫通孔K全体に隙間なく充填される。また、接着剤Sの鍔部Saは、厚肉部31の下面31a及び薄肉部32の下面32aに接着しており、更に、一部が薄肉部32の径方向外側面32bに接着している。具体的には、鍔部Saは、図2(a)に示すように、薄肉部32の下面32aの全面と径方向外側面32bの全面とを覆うように接着して固着していると共に、図2(b)に示すように、厚肉部31の下面31aの全面と径方向外側面31bの全面と周方向外側面31cの全面とを覆うように接着して固着している。即ち、鍔部Saは、鍔受け部3全体を覆うように接着している。よって、鍔部Saにおける鍔受け部3との接着面は、厚肉部31と薄肉部32との径方向の厚さの違いによる段差によって増加している。
【0037】
従って、本実施形態に係るマット1及びタイルマットによれば、接着剤Sを貫通孔K全体に隙間なく充填することができ、接着剤Sによるマット1とタイルTとの接着力を十分に確保することができる。また、厚肉部31と薄肉部32との径方向の厚さの違いによる段差を利用して、鍔部Saと鍔受け部3との接着面を増加させることができ、マット1とタイルTとを接着するための接着剤Sをマット1から外れ難くすることができる。
【0038】
また、鍔受け部3の厚肉部31と薄肉部32とが、貫通孔Kの裏面側の周縁部の周方向全周に亘って交互に並ぶように6つずつ設けられているので、鍔部Saと鍔受け部3との接着面を増加させることができ、接着剤Sをマット1から外れ難くすることができる。
【0039】
また、鍔受け部3の厚肉部31及び薄肉部32が略等間隔で設けられているため、鍔部Saが鍔受け部3に均等に接着して接着力を均等に作用させることができる。
【0040】
また、鍔部Saが、薄肉部32の下面32aと径方向外側面32bとを被覆するように接着する、或いは、厚肉部31の下面31aと径方向外側面31bと周方向外側面31cとを被覆するように接着するので、鍔部Saが鍔受け部3に対し、裏面側から表面側へ向かう方向において錨状に引っ掛かる構造となって、所謂アンカー効果を有する。従って、接着剤Sをマット1から外れ難くすることができる。
【0041】
また、タイル取付部2の裏面の四隅付近及び中心軸上に足部4を備えているため、マット1或いはタイルマットを安定して支持することができる。また、足部4は、貫通孔Kを間に挟むように、該貫通孔Kを中心に対向して配置されている。よって、貫通孔K近傍における表裏方向の撓みを抑制することができ、撓みによる接着剤Sの剥れを抑制することができる。
【0042】
また、連結部5を利用することによって、複数のマット1或いはタイルマットを連結することが可能である。例えば、所定のマット1の連結凹部5aに、他のマット1の連結凸部5bを嵌合して係止することで、両マット1を連結させることができる。よって、床面等の形状に合わせて自由なレイアウトで、複数のマット1を連結して敷設することができ、利便性を向上させることができる。
【0043】
尚、本発明に係るマット1及び該マット1を用いたタイルマットは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、本実施形態では、マット1が、タイル取付部2と鍔受け部3と足部4と連結部5とから構成される場合について説明したが、これに限らず、タイル取付部2と鍔受け部3とのみから構成される場合であってもよい。また、タイル取付部2は、壁部22を有さず、平板部21のみから構成されることも可能である。
【0045】
また、本実施形態では、マット1は、図1のような一枚のタイルTが接着されるように構成される場合について説明したが、マット1は、例えば四枚、六枚或いは九枚などの複数のタイルTが接着可能に構成されることも可能である。
【0046】
ここで、マットが九枚のタイルTを接着可能に構成される場合について、図3を用いて説明すると、図3に示すマットは、タイルTを取り付ける表面がタイルT毎に区画されたマトリックス状をなすように、タイル取付部2が縦3列、横3列に並設されてなる。
【0047】
各タイル取付部2は、略正方形状の平板形状である平板部21Aを備えている。この平板部21Aには、表裏方向に貫通し内側面が滑面である貫通孔Kであって、裏面側の周縁部に接着する鍔部Saが形成されるように接着剤Sが充填される貫通孔Kが形成され、該貫通孔Kの裏面側の周縁部には、前記接着剤Sの鍔部Saが接着する鍔受け部3が形成されている。尚、平板部21Aには、前記貫通孔Kとは別に、軽量化や強度、デザイン等を目的とした孔Mが形成されており、また、タイル取付部2自体を支持する足部4Aが裏面側に複数形成されている。
【0048】
また、マットの各辺沿いに位置するタイル取付部2は、その平板部21Aの外側辺(周縁部)に沿って裏面側に向かって垂直に延設される壁部22を備えている。この壁部22には、マット同士を連結するための連結部5として、連結凹部5a或いは連結凸部5bが形成されている。
【0049】
そして、隣接するタイル取付部2は、平板部21Aの表面同士が面一になるように配置され、平板部21Aの対向する辺同士(周縁部同士)が一体接続されることによって、互いに連結される。
【0050】
尚、各平板部21Aの壁部22が設けられていない辺(周縁部)の裏面側には外側ほど薄肉となる傾斜が設けられている。よって、隣接するタイル取付部2の連結部(平板部21A同士の接続部分)5cには、前記傾斜によって裏面側に溝部が形成されている。
【0051】
また、本実施形態では、マット1のタイル取付部2の貫通孔Kが、表面側から裏面側にかけて一定の径で構成される場合について説明したが、これに限らず、貫通孔Kは、タイルTが取り付けられる表面側ほど小径となるように構成することも可能である。
【0052】
また、貫通孔Kは、略円柱状空間(丸孔)から構成される場合について説明したが、これに限らず、貫通孔Kは、多角柱状空間(多角孔)から構成されてもよく、或いは、楕円孔や長円から構成されてもよい。但し、貫通孔Kを多角孔とする場合、貫通孔Kを形成する内側面は、平滑面、即ち凹凸のない滑らかな平面となる。即ち、貫通孔Kの内側面は、凹凸のない滑らかな面(滑面)であり、丸孔や楕円孔の場合には、凹凸のない滑らかな曲面となり、多角孔の場合には、平滑面となる。
【0053】
また、本実施形態では、タイル取付部2の壁部22が平板部21の表面側に突出することなく裏面側に延設されて、タイル取付部2の表面側が平面となるように構成される場合について説明したが、これに限らず、タイル取付部2は、壁部22の上部が平板部21の周縁から表面側に対して垂直に突出して設けられるように、壁部22を平板部21の周縁に設けて構成することも可能である。この場合、平板部21の表面にタイルTを載置した際に、タイルTの裏面と平板部21の表面とが密着し、タイルTの側面が壁部22(上部)側面に密着して囲まれ、タイルTがタイル取付部2の表面側に嵌合状態で固定されるので、タイルTをタイル取付部2に取り付け易くすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、鍔受け部3の厚肉部31と薄肉部32とは、各々6つずつ3組設けられる場合について説明したが、これに限らず、厚肉部31と薄肉部32との数は、特に限定がなく、例えば各々1つだけ(1組)設けられるように構成されることも可能である。この場合、1つの厚肉部31と1つの薄肉部32とが貫通孔Kの周縁部の周方向全周を形成するように連設する構成、或いは、1つの厚肉部31と1つの薄肉部32とが貫通孔Kの周縁部の周方向の一部を形成するように連設する構成であっても好い。
【0055】
また、本実施形態では、鍔受け部3は、薄肉部32の下面32aと径方向外側面32bとが鍔部Saと接着すると共に、厚肉部31の下面31a及び径方向外側面31bと周方向外側面31cとが鍔部Saと接着するように構成される場合について説明したが、これに限らず、図4(a)に示すように、鍔受け部3は、薄肉部32の下面32aと径方向外側面32bとが鍔部Saと接着すると共に、厚肉部31の下面31aが鍔部Saと接着し径方向外側面31bが鍔部Saと接着されないように構成されても好い。その他にも、図4(b)に示すように、鍔受け部3は、薄肉部32の下面32aと径方向外側面32bとが鍔部Saと接着すると共に、厚肉部31の下面31aの一部、具体的には、前記下面31aのうち、薄肉部32の径方向外側面32bよりも径外方向に突出している突出領域を除く径内側領域だけが鍔部Saと接着するように構成することも可能である。
【0056】
また、本実施形態では、鍔部Saが、鍔受け部3の薄肉部32の径方向外側面32bや厚肉部31の径方向外側面31bや周方向外側面31cから下垂して周縁の平板部21に接着する場合について説明したが、これに限らず、図4(c)に示すように、鍔部Saは、平板部21に接着しないように形成されても好い。
【0057】
また、本実施形態では、薄肉部32の径方向外側面32bが全面的に鍔部Saに被覆される場合について説明したが、これに限らず、前記径方向外側面32bの一部のみを被覆する場合であってもよい。尚、厚肉部31の径方向外側面31bや周方向外側面31cについても同様に、全面が鍔部Saに被覆される場合に限らず、各々の一部のみが鍔部Saに被覆されても好い。
【0058】
さらに、鍔受け部3の厚肉部31には、その径方向中途部分に、周方向に沿った溝部31dを設けてもよい。例えば、図5に示すように、厚肉部31における薄肉部32との段差が生じる基部において、厚肉部31の周方向全幅に亘って、下面31a側から凹設した溝部31dを設けても好い。この溝部31dの深さは、厚肉部31の表裏厚さの全部に相当する深さに設定されており、従って厚肉部31は、薄肉部32に連設した連設部31eと該連設部31eから径外方向に離間した離間部31fとで構成されるように、前記溝部31dによって径方向に二分されている。尚、溝部31dの深さは、例えば、厚肉部31の表裏厚さの途中までの深さに設定することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1…マット、2…タイル取付部、3…鍔受け部、4…足部、5…連結部、5a…連結凹部、5b…連結凸部、21…平板部、22…壁部、31…厚肉部、31a…下面、31b…径方向外側面、32…薄肉部、32a…下面、32b…径方向外側面、32c…周方向外側面、T…タイル、S…接着剤、Sa…鍔部、Sb…本体部、K…貫通孔、M…孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルが接着剤を用いて表面に取り付けられるタイル取付部を備えるマットであって、
タイル取付部には、表裏方向に貫通し内側面が滑面である貫通孔であって、裏面側の周縁部に接着する鍔部が形成されるように接着剤が充填される貫通孔が形成されており、該貫通孔の裏面側の周縁部に前記接着剤の鍔部が接着する鍔受け部が形成されており、
前記鍔受け部は、貫通孔の径外方向の厚さが厚い厚肉部と厚肉部より薄い薄肉部とが周方向に連設されてなり、薄肉部の径方向外側面が接着剤の鍔部と接着するように構成されていることを特徴とするマット。
【請求項2】
前記厚肉部と薄肉部とは、前記周縁部の周方向全周に亘って交互に並ぶように複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のマットのタイル取付部の表面に接着剤によってタイルを取り付けてなるタイルマットであって、接着剤は、タイル取付部に形成された貫通孔の裏面側の周縁部に接着する鍔部が形成されるように、前記貫通孔に充填されてなり、該貫通孔を介してタイルの裏面に固着されると共に、鍔部が鍔受け部の薄肉部の径方向外側面と接着して固着されていることを特徴とするタイルマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−28930(P2013−28930A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164678(P2011−164678)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(595130034)株式会社山善 (7)
【Fターム(参考)】