説明

マトリックスメタロプロテアーゼ及びこれを含有する組成物

【課題】 MMP1、MMP9及びMMP13とを総合的に阻害し、総合的に老化に抗う手段を提供する。
【解決手段】 トウダイグサ科アカメガシワ(Mallotus japonicus Mueller-Arg)の抽出物からなる、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤を、総合的老化防止のための組成物に含有させる。該組成物としては、食品や化粧料が好適に例示できる。前記マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の対象とするマトリックスメタロプロテアーゼは、MMP−1、MMP−9及びMMP−13であることを特徴とし、153mU/μg(酵素活性/植物抽出物)溶液において、マトリックスメタロプロテアーゼ1、マトリックスメタロプロテアーゼ9及びマトリックスメタロプロテアーゼ13の3種のMMPに40%以上の阻害作用を有するものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤及びそれを含有する組成物に関し、更に詳細には、総合的な老化の予防、改善に有用な、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤を含有する、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人の加齢変化は避けることの出来ない現象であり、北欧の神話に於いても、主神でさえ、老化には抗うことの出来ない定めにあった。従って、加齢変化に可能な限りに抗うことは人類誕生以来の念願であると言える。加齢変化には、容貌の変化などの外見的変化と、関節の機能不全などの機能変化と二大別できる。現在の対処に於いては、外観的変化に対しては、化粧料の使用、エステティック施術、美容整形などの手段が、機能変化に対しては、ヒアルロン酸塩の関節への注入、形成外科的な手術、鎮痛剤の投与など、それぞれの現象に対して、対症療法的に対応しているのが現状であると言える。これらを具体的に挙げると以下のようになる。
【0003】
皮膚の老化に伴う変化、特に、シワやきめの消失、弾力性の低下等については、従来より紫外線が大きく関与していると言われている。これらの変化の内、ミクロ的には、コラーゲン、エラスチン等の真皮マトリックス成分の減少が存し、この変化を誘導する因子として、特にマトリックスプロテアーゼの関与が指摘されてきている。マトリックスプロテアーゼには多くの種類が知られており、構造的、機能的特徴に共通点を有してはいるものの、それぞれの基質蛋白が異なっている(例えば、非特許文献1を参照)。マトリックスメタロプロテアーゼの中でも、コラゲナーゼに属するMMP1は、皮膚真皮マトリックスの主な構成成分であるタイプI、IIIコラーゲンを分解し、ゼラチナーゼ群に属するMMP2、9は基底膜成分であるタイプIVコラーゲンやラミニン、真皮マトリックス成分のエラスチン等を分解し、さらにストロムライシン群に属するMMP3、10はプロテオグリカンやタイプIVコラーゲン、ラミニン等を分解する酵素として知られている。これらは紫外線の照射により、その発現が亢進し、細胞外マトリックスの減少変性を誘起し、皮膚のシワの形成等の大きな要因の一つとなると言われている(例えば、非特許文献2、非特許文献3を参照)。即ち、皮膚の老化予防、改善には、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9及びMMP10から選択される複数種のMMPを抑制することが重要であることが分かる。特に、MMP1、MMP2又はMMP9、MMP3又はMMP10の3つの組合せの内の何れか2つに阻害活性を示す成分は複数点の阻害が可能となるので広く望まれていたが、得られていないのが現状であった。MMP1乃至はMMP9に対して阻害効果を示す成分は既に知られており、クロバナツルアズキの抽出物(例えば、特許文献1を参照)、エルカンプーレ抽出物(例えば、特許文献2を参照)、茶(Thea sinensis L.)抽出物(例えば、特許文献3を参照)などが存する。
【0004】
一方、骨は生体の骨格としてその構造を維持する上で必要不可欠あると同時に、生体内でのカルシウムの貯蔵庫としての機能も合わせ持つ非常に重要な組織である。骨は骨芽細胞による骨形成と、破骨細胞による骨吸収とのバランスにたった、骨代謝を維持することにより、その強度を保つためのリモデリングとカルシウム供給を行っている。加齢やホルモンバランスの変化などにより骨代謝のバランスが崩れて、破骨細胞の行う骨吸収が優位となることにより骨量減少をきたし、骨強度が低下して骨粗しょう症などの疾病が発生することが知られている。骨基質の大部分はコラーゲンからなり、骨代謝の際のコラーゲン分解は重要な要素で、骨組織にもコラーゲナーゼ群として、MMP-1及びMMP-13、ゼラチナーゼ群として、MMP-2とMMP-9、ストロメライシン群としてMMP-3、さらに膜結合型のMT1-MMPなどのマトリックスメタロプロテアーゼの存在が報告されている。中でも、骨吸収を司る破骨細胞ではMMP-9が強く発現しており(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)、骨吸収の大きな要素としてMMP−9の活性の亢進が推定される。このMMP-9活性を阻害することにより、骨代謝のバランスを整えることにより、骨の老化(脆弱化)を防ぐことができると推定されているが、この様な機能を有する成分であって、日常摂取できるものはまだ見いだせていないのが現状である。
【0005】
即ち、MMP1、MMP9及びMMP13とを総合的に阻害する成分を見いだし、投与すれば、外観的老化と機能老化について、同時に抗うことが出来ることが推定されるが、この様な特性を有する成分は今のところ見いだされていないのが現状である。
【0006】
一方、アカメガシワの抽出物にはダイエット効果が存すること(例えば、特許文献7を参照)、生体コラーゲンの産生を促進する作用の有すること(例えば、特許文献8を参照)、矯味剤として不快な味をマスキングする作用を存すること(例えば、特許文献9を参照)などが知られているが、MMPに対する作用は全く知られていない。
【0007】
【非特許文献1】宮崎香,生化学68巻12号,PP1791−1807(1996)
【非特許文献2】Gary J.Fisher et al. Nature,379(25),335(1996)
【非特許文献3】Gary J.Fisher et al. The New EnglandJournal of Medicine,337(20),1419(1997)
【特許文献1】特開2007−217352号公報
【特許文献2】特開2007−204398号公報
【特許文献3】特開2003−183175号公報
【特許文献4】特開2001−335575号公報
【特許文献5】特表2006−500422号公報
【特許文献6】特表2004−524812号公報
【特許文献4】特開2007−117005号公報
【特許文献5】特開2005−255527号公報
【特許文献6】特開2004−161679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、MMP1、MMP9及びMMP13とを総合的に阻害し、総合的に老化に抗う手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、MMP1、MMP9及びMMP13とを総合的に阻害し、総合的に老化に抗う手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、アカメガシワの抽出物からなる、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤がこの様な阻害効果を有していることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>トウダイグサ科アカメガシワ(Mallotus japonicus Mueller-Arg)の抽出物からなる、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤を含有する、総合的老化防止のための組成物。
<2>前記マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の対象とするマトリックスメタロプロテアーゼは、MMP−1、MMP−9及びMMP−13であることを特徴とする、<1>に記載の総合的老化防止のための組成物。
<3>前記植物の抽出物は、153mU/μg(酵素活性/植物抽出物)溶液において、マトリックスメタロプロテアーゼ1、マトリックスメタロプロテアーゼ9及びマトリックスメタロプロテアーゼ13の3種のMMPに40%以上の阻害作用を有するものであることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の総合的老化防止のための組成物。
<4>次の工程を経て製造されるものであることを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の総合的老化防止のための組成物。
(工程1)トウダイグサ科アカメガシワ(Mallotus japonicus Mueller-Arg)の植物体に抽出溶媒を加え、抽出物を作製する。
(工程2)前記抽出物の153mU/μg(酵素活性/植物抽出物)溶液において、マトリックスメタロプロテアーゼ1、マトリックスメタロプロテアーゼ9及びマトリックスメタロプロテアーゼ13の3種のMMPに40%以上の活性阻害が存したものをマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤として選択する。
(工程3)選択された前記マトリックスプロテアーゼ阻害剤を製剤化のための成分とともに総合的老化防止のための組成物に加工する。
<5>総合的老化防止の対象となる老化が、皮膚の老化、骨の老化及び関節の老化であることを特徴とする、<1>〜<4>何れか1項に記載の総合的老化防止のための組成物。
<6>食品であることを特徴とする、<1>〜<5>何れか1項に記載の総合的老化防止のための組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、MMP1、MMP9及びMMP13とを総合的に阻害し、総合的に老化に抗う手段を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤は、総合的な老化の予防又は改善のためのもの、即ち、皮膚の老化等の外観的な老化、関節炎などの関節部の老化、骨粗鬆症のような骨の老化など、機能的な老化を総合的に予防又は改善する為のものであって、トウダイグサ科アカメガシワ(Mallotus japonicus Mueller-Arg)の抽出物から選択されるものからなることを特徴とする。抽出物の作製は、常法に従って行えば良く、植物体1質量部に対して、溶媒1〜100質量部を加え、常温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、所望により濾過などで不溶物を取り除き、所望により減圧溜去、凍結乾燥等で溶媒を除去することも出来る。更に、これらの抽出物をカラムクロマトグラフィーや液液抽出などで分画精製することも出来る。カラムクロマトグラフィーとしては、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、「ダイアイオンHP−20」のようなイオン交換樹脂、ODS等が好適に例示できる。勿論、植物体の一部又は全部を粉砕など加工しただけのものも本発明の抽出物に含まれる。
【0012】
トウダイグサ科アカメガシワ(Mallotus japonicus Mueller-Arg)については、植物体の何れの部分も使用でき、例えば、葉部、木幹部、樹皮部、根皮部などが例示でき、これらの中では、樹皮の抽出物が特に好ましい。抽出物の作製に用いる溶媒としては、水性の極性溶媒が好ましく、具体的には、エタノールなどのアルコール及び/又は水が好ましい。中でも熱水抽出が特に好ましい。以下に、抽出物の製造例を示す。
【0013】
<製造例1>
トウダイグサ科アカメガシワの樹皮500gに水2Lを加え、3時間沸騰させて抽出を行い、室温まで冷却した後、濾過により不溶物を除き、凍結乾燥して、68gのアモルファスとして抽出物1を得た。
【0014】
斯くして得られた抽出物は、複数種のマトリックスメタロプロテアーゼに対して、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害活性、特に、マトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP1)、マトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP9)、マトリックスメタロプロテアーゼ13(MMP13)3種のMMP阻害作用に優れ、これにより、皮膚の老化等の外観老化、関節炎や骨粗鬆症などの機能老化を同時に予防又は改善する作用に優れる。本発明のマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤としては、MMP1とMMP9とMMP13とを優れて阻害することにより特徴づけられる。ここで、外観老化の代表である、皮膚の老化としては、コラーゲン線維束構造の崩壊、シワの形成、皮膚の弾力消失、及び、皮溝と皮丘の差の減少等が好ましく例示できる。機能老化の代表としては、関節炎乃至は骨粗鬆症などが好ましく例示できる。この様な作用を発揮するには、かかる成分を経口経路で投与する場合は、これらの抽出物は、一日あたり10〜10000mgを1回乃至は数回に分けて、経口経路で投与されることが好ましい。経皮経路で投与する場合には、0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜1質量%皮膚外用剤中に含有させ、1日数回、適宜塗布し投与することが好ましい。この時留意すべきことは、MMP1、MMP9、MMP13の阻害活性が、153mU/μg(酵素活性/植物抽出物)溶液において、40%以上存することを確認することである。阻害活性は既存のMMP1、MMP9、MMP13阻害活性測定用のキット、例えば、フナコシ薬品株式会社から販売されている、「MMP−1 Colorimetric Assay Kit (AK-404)」「MMP−9 Colorimetric Assay Kit (AK-410)」「MMP−13 Colorimetric Assay Kit (AK-412)」等を用い、測定することが出来る。阻害活性は、(1−検体存在下のプロテアーゼの反応速度/検体非存在下でのプロテアーゼの反応速度)×100の式で算出される。前記のMMP1、MMP9、MMP13の阻害活性、が40%を下回るときには、老化に対する作用を発現しない場合が存する。この様にMMP1、MMP9、MMP13をともに阻害することは、MMPをそのサブタイプにかかわらず阻害する蓋然性が高く、前記の老化に含まれない老化に対する効果も潜在する蓋然性が高く、総合的な老化の抑制、改善に於いては大変有用であると言える。
【0015】
かかる本発明のマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤は、製剤化のための任意成分とともに処理することにより、本発明の経口投与組成物に加工することが出来る。本発明の経口投与組成物としては、経口投与される特徴を備えていれば特段の限定無く、例えば、経口投与医薬組成物、食品、飲み物などが好適に例示できる。この中では、食品が特に好ましく、中でも特定の機能を期待される特定保健用食品などの食品が特に好ましい。前記製剤化のための任意成分としては、例えば、乳糖、デキストリン、シクロデキストリンなどの賦形剤、デンプン、セルロースなどの崩壊剤、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアガムなどの結合剤、ペクチン、レシチンなどの乳化・分散剤、白糖、蜂蜜、麦芽糖などの矯味剤、シェラック、ゼラチンなどの被覆剤などが好適に例示できる。又、本発明の皮膚外用剤としては、通常皮膚外用剤で任意成分として使用されている成分、例えば、スクワラン、流動パラフィン、固形パラフィンなどの炭化水素類、ジメチコン、シクロメチコン、ポリエーテル変性ジメチコン、アモジメチコンなどのシリコーン類、ホホバ油、ゲイロウ等のエステル類、オリーブ油、菜種油、グリセリルトリイソオクタネートなどのトリグリセライド類、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン、脂肪酸乃至は脂肪酸石鹸、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ビタミン類等の各種有効成分とともに皮膚外用剤に加工することが出来る。かかる加工は常法に従えばよい。
【0016】
以下に実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加える。
【実施例1】
【0017】
製造例1で作製した抽出物1について、そのMMP1、MMP9、MMP13阻害活性を「MMP−1 Colorimetric Assay Kit (AK-404)」「MMP−9 Colorimetric Assay Kit (AK-410)」「MMP−13 Colorimetric Assay Kit (AK-412)」を用いて測定した。結果を表1に示す。何れの抽出物も153mU/μg(酵素活性/植物抽出物)で40%以上の阻害率を示していることがわかる。
【0018】
【表1】

【実施例2】
【0019】
下記の処方に従って、本発明の経口投与組成物である、食品(錠剤)を作製した。即ち、成分を「ニューマルメライザー」(不二パウダル株式会社製)に仕込み、送風攪拌下、水100mlを噴霧し、造粒し、40℃の温風を3時間送風して、乾燥させ、これを打錠して、錠剤1(100mg)を得た。同時に抽出物1をデキストリンに置換したプラシーボ1も同様に製造した。
【0020】
【表2】

【0021】
<試験例1>
錠剤1とプラシーボ1とを、皮膚のハリ・弾力感の衰えで悩む40〜50歳の女性パネラー10名を使用して、使用テストで評価した。10名は平均年齢が同程度になるように、かたよりの無いように5名ずつ2群に群わけした。それぞれの群は、1日朝晩2回錠剤を2錠ずつ60日間摂取した。最後の摂取後3日目に、皮膚の状態を自分で観察してもらい、改善効果を、スコア0:改善無し、スコア1:少し改善が感じられる、スコア2:改善したと感じる、スコア3:明瞭に改善した、スコア4:著しく改善した、の基準でスコアを賦してもらった。結果を表3に出現例数として示す。これより、改善実感とMMP1及びMMP9の抑制作用がリンクしていることが分かる。
【0022】
【表3】

【0023】
<試験例2>
関節炎・関節症に悩む人10人を選抜して、5人ずつ2群に分け、1群には錠剤1を、残る1群にはプラシーボ1を渡し、60日間朝晩2錠ずつ摂取してもらい、その後に関節炎・関節症の改善度を、著しく改善した、明らかに改善した、わずかに改善した、殆ど改善しない、変わらない、悪化したのカテゴリーに分けてどれであったかをアンケートにて答えてもらった結果を表4に示す。これより、本発明の錠剤1は関節炎・関節症の改善効果に優れることがわかる。
【0024】
【表4】

【実施例3】
【0025】
以下に示す処方に従って、皮膚外用剤を作成した。即ち、イ、ロの成分を80℃に加温し、イを混練りしてゲルを形成させ、この中にハを加えて溶解させ、これに攪拌下徐々にロを加えて乳化し、攪拌冷却して油中水乳化剤形の皮膚外用剤1を得た。同様に操作して、抽出物1を水に置換したプラシーボ2も作成した。
【0026】
【表5】

【0027】
<試験例3>
皮膚外用剤1とプラシーボ2とを、皮膚のハリ・弾力感の衰えで悩む40〜50歳の女性パネラー10名を使用して、使用テストで評価した。10名は平均年齢が同程度になるように、かたよりの無いように5名ずつ2群に群わけした。それぞれの群は、1日朝晩2回適量を塗布してもらい、これを60日続けた。最後の投与の48時間後に、肌の改善度合いを、コア0:改善無し、スコア1:少し改善が感じられる、スコア2:改善したと感じる、スコア3:明瞭に改善した、スコア4:著しく改善した、の基準でスコアを賦してもらった。結果を表8に出現例数として示す。これより、改善実感とMMP1及びMMP9の抑制作用がリンクしていることが分かる。又、MMP13抑制作用も存することから、この皮膚外用剤は関節炎の際に関節付近の皮膚に投与し、関節炎を軽減することも出来る。
【0028】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、食品、皮膚外用剤等に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トウダイグサ科アカメガシワ(Mallotus japonicus Mueller-Arg)の抽出物からなる、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤を含有する、総合的老化防止のための組成物。
【請求項2】
前記マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の対象とするマトリックスメタロプロテアーゼは、MMP−1、MMP−9及びMMP−13であることを特徴とする、請求項1に記載の総合的老化防止のための組成物。
【請求項3】
前記植物の抽出物は、153mU/μg(酵素活性/植物抽出物)溶液において、マトリックスメタロプロテアーゼ1、マトリックスメタロプロテアーゼ9及びマトリックスメタロプロテアーゼ13の3種のMMPに40%以上の阻害作用を有するものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の総合的老化防止のための組成物。
【請求項4】
次の工程を経て製造されるものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の総合的老化防止のための組成物。
(工程1)トウダイグサ科アカメガシワ(Mallotus japonicus Mueller-Arg)の植物体に抽出溶媒を加え、抽出物を作製する。
(工程2)前記抽出物の153mU/μg(酵素活性/植物抽出物)溶液において、マトリックスメタロプロテアーゼ1、マトリックスメタロプロテアーゼ9及びマトリックスメタロプロテアーゼ13の3種のMMPに40%以上の活性阻害が存したものをマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤として選択する。
(工程3)選択された前記マトリックスプロテアーゼ阻害剤を製剤化のための成分とともに総合的老化防止のための組成物に加工する。
【請求項5】
総合的老化防止の対象となる老化が、皮膚の老化、骨の老化及び関節の老化であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の総合的老化防止のための組成物。
【請求項6】
食品であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の総合的老化防止のための組成物。

【公開番号】特開2009−91284(P2009−91284A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261942(P2007−261942)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】