説明

マニキュア液およびマニキュア液セット

【課題】本発明は、有機溶剤を使用しない無臭で安全なマニキュア液の提供を課題とする。
【解決手段】有機バインダーとしての水系エマルジョンに、貝殻の微粉末、あるいは貝殻の微粉末を溶かした水溶液が有機溶剤の代わりに混合されている。これによれば刺激臭のないマニキュア液にすることができ、しかも貝殻であることから無害で安全かつ衛生的であり、妊婦、乳幼児を育てている母親、お年寄り、アレルギー体質の人も安心して使用することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手や足の爪に塗るマニキュア顔料、ベースコート、あるいはトップコートなどのマニキュア液およびマニキュア液セットに関する。
【背景技術】
【0002】
特に女性を中心として、化粧としての役割のほか、爪の割れや爪の成分の流出を防ぐために、手や足にマニキュア液が塗られる。
【0003】
マニキュア液を塗る手順としては、爪の表面を研ぐなどして爪の状態を整えたあと、爪を保護するための透明のベースコートを塗って乾かす。そして、希望の色のマニキュア顔料を刷毛等を利用して塗って乾かすことを何度か繰り返す。そして、最後に表面を保護するための透明のトップコートを塗って乾かす。
【0004】
マニキュア液の原料は、工業用のラッカー塗料とほぼ同様で、アクリルやニトロセルロースなどの合成樹脂を着色し、トルエン、アセトン、酢酸ブチル、あるいは酢酸エチルなどの有機溶剤に溶いたものからなり、マニキュア液にも種々工夫されたものが知られている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−170802号公報
【特許文献2】特開2004−224721号公報
【特許文献3】特開2002−326911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のマニキュア液は、上述のようにトルエン、アセトン、酢酸ブチル、あるいは酢酸エチルなどの有機溶剤を使用するものであったため、非常に強い刺激臭がするという問題があった。これが微量であれば人の健康には害がないとされているが、妊婦、乳幼児を育てている母親、お年寄り、アレルギー体質の人にとってはマニキュア液は使いづらいものであった。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、有機溶剤を使用せず刺激臭のない安全なマニキュア液の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、有機バインダーとしての水系エマルジョンに、貝殻の微粉末、あるいは貝殻の微粉末を溶かした水溶液が有機溶剤の代わりに混合されていることを特徴とする。これによれば有機溶剤の代わりに貝殻の微粉末あるいは貝殻の微粉末の水溶液を使用するため、刺激臭のないマニキュア液にすることができる。しかも貝殻であることから無害で安全かつ衛生的であり、妊婦、乳幼児を育てている母親、お年寄り、アレルギー体質の人も安心して使用することが可能となる。
【0009】
また、前記貝殻の微粉末は、ホタテの貝殻を燃焼してあとに細かく粉砕したものであるのが好ましい。これによればホタテ貝の貝殻真珠層に含まれている「コンキオリン」という有機マトリックスタンパク質が乳化作用・界面活性剤作用を持つことから、樹脂・顔料等の水への分散をより一層安定的にすることができる。また、ホタテ貝の貝殻による抗菌作用や抗かび作用によりマニキュア液を塗った爪が衛生的なものとなる。また、ホタテ貝は日本でも多く消費されており、同時に生ずる大量の貝殻の処理が問題となっているが、ホタテ貝を使用することにより当該問題も同時に解消することができる。
【0010】
また、前記貝殻の微粉末は、真珠を細かく粉砕したものであってもよい。これによればホタテ貝と同様の効果を有するとともに、真珠本来の高級感や光沢感によりマニキュア液の商品価値をより一層向上させることができる。
【0011】
また、シリコンが混合されていてもよい。これによればマニキュア液の伸びが良くなりべたつき感が低減するため、マニキュア液を爪に塗るときの刷毛ムラを解消することができ、過度な重ね塗りをしなくて済むようになる。また、撥水性が良くなり、光沢を奏することができ、トップコートとしてのマニキュア液がなくてもマニキュア顔料としてのマニキュア液のみで光沢のある綺麗な爪に仕上げることが可能となる。また、マニキュア液を塗った表面が傷付きにくくなり、爪をコーティングすることができるとともに、エタノールなどで簡単に落とすことができる。また、マニキュア液の酸素透過性が良くなり、爪がマニキュア液を通じて呼吸し易くなり、より安心してマニキュア液を使用することができる。さらに、シリコンは人体に無害かつ無臭であるため、本マニキュア液における貝殻の微粉末を使用した効果を阻害することがない。
【0012】
また、香料類が混合されていてもよい。これによればマニキュア液自体が上述のように刺激臭がないことから、マニキュア液に香料類を含有させることにより香りを簡単かつ確実に付けることができ、マニキュア液を塗ることへの楽しみ方を広げることが可能となる。
【0013】
また、本発明に係るマニキュア液セットは、上記マニキュア液に香料類が別個に設けられ、使用時においてユーザが該マニキュア液に香料類を適量混合するものとなされていることを特徴とする。これによればユーザがマニキュア液に希望の香料類を適量混合させることで香りの付いたマニキュア液を簡単かつ確実にカスタマイズすることができ、マニキュア液を塗ることへの楽しみ方をさらに広げることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有機溶剤の代わりに貝殻の微粉末あるいは貝殻の微粉末の水溶液を使用するため、刺激臭のないマニキュア液にすることができる。しかも貝殻であることから無害で安全かつ衛生的であり、妊婦、乳幼児を育てている母親、お年寄り、アレルギー体質の人も安心して使用することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明の一実施形態に係るマニキュア液について説明する。
【0016】
本マニキュア液は、有機バインダーとして水系エマルジョンが使用される。この水系エマルジョンは、例えばアクリルエマルジョン、スチレン/アクリル共重合エマルジョン、水溶性ポリエステル、あるいはこれらの混合物等が用いられる。
【0017】
ところで、従来のマニキュア液にはトルエン、アセトン、酢酸ブチル、あるいは酢酸エチルなどの有機溶剤が混合されていた。この有機溶剤は主に有機バインダーにおいて着色のための顔料を安定して混合させるためのものであり、従来のマニキュア液には必須のものであった。しかしながら、有機溶剤は強い刺激臭がするという大きな問題を有していた。
【0018】
そこで、本マニキュア液では、貝殻の微粉末、あるいは貝殻の微粉末を溶かした水溶液が有機溶剤の代わりに混合されている。貝殻の微粉末の大きさは特に限定されるものではないが平均粒径1ミクロンメートル〜10ミクロンメールが挙げられる。
【0019】
これによれば貝殻に含まれるタンパク質が乳化作用・界面活性剤の役目を果たすために、有機溶剤の作用がなくても着色のための顔料が安定的に分散することができ、刺激臭のないマニキュア液にすることができる。しかも貝殻であることから無害で安全かつ衛生的であり、妊婦、乳幼児を育てている母親、お年寄り、アレルギー体質の人も安心して使用することが可能となる。
【0020】
特に貝殻の微粉末は、ホタテの貝殻を燃焼してあとに細かく粉砕したものが好ましい。ホタテ貝の微粉末を製造するに際しては、例えばホタテの貝殻を800℃〜1200℃程の温度で一定時間を燃焼してアルカリ性となったところで細かく粉砕する。これを水溶液にする場合にはホタテの貝殻の微粉末を水と混合し0.1%〜1%程の濃度とすれば十分機能することができる。
【0021】
ホタテ貝は、貝殻真珠層に含まれている「コンキオリン」という有機マトリックスタンパク質が乳化作用・界面活性剤作用を持つことから、樹脂・顔料等の水への分散をより一層安定的にすることができる。
【0022】
また、ホタテ貝の貝殻による抗菌作用や抗かび作用によりマニキュア液を塗った爪が衛生的なものとなる。
【0023】
また、ホタテ貝は日本でも多く消費されており、同時に生ずる大量の貝殻の処理が問題となっているが、ホタテ貝を使用することにより当該問題も同時に解消することができる。
【0024】
本マニキュア液をマニキュア顔料として使用する場合にはさらに着色のための顔料が混合される。この顔料については特に限定されるものではなく、従来より使用されているものでよい。さらにパールや大小のラメなどを混合すれば光沢や多様な質感を出すことができる。なお、本マニキュア液をベースコートやトップコートとして使用する場合には、通常、着色のための顔料を混合させる必要はない。
【0025】
本マニキュア液にシリコンを混合してもよい。シリコンの混合量は特に限定されるものではないが、例えば全体の2w%前後が挙げられる。
【0026】
これによればマニキュア液の伸びが良くなりべたつき感が低減するため、マニキュア液を爪に塗るときの刷毛ムラを解消することができ、過度な重ね塗りをしなくて済むようになる。
【0027】
また、撥水性が良くなり、光沢を奏することができ、トップコートとしてのマニキュア液がなくてもマニキュア顔料としてのマニキュア液のみで光沢のある綺麗な爪に仕上げることが可能となる。
【0028】
また、マニキュア液を塗った表面が傷付きにくくなり、爪をコーティングすることができるとともに、エタノールなどで簡単に落とすことができる。
【0029】
また、マニキュア液の酸素透過性が良くなり、爪がマニキュア液を通じて呼吸し易くなり、より安心してマニキュア液を使用することができる。
【0030】
さらに、シリコンは人体に無害かつ無臭であるため、本マニキュア液における貝殻の微粉末を使用した効果を阻害することがない。
【0031】
本マニキュア液に香料類を混合してもよい。香料類は一般に使用されている香りの付いた精油などが挙げられる。
【0032】
従来のマニキュア液は有機溶剤により刺激臭が強かったために香料類を混合しても香りを付けることが難しかった。しかし、本マニキュア液は上述のように刺激臭がないことから、マニキュア液に香料類を含有させることにより香りを簡単かつ確実に付けることができ、マニキュア液を塗ることへの楽しみ方を広げることが可能となる。
【0033】
本マニキュア液に香料類を混合する場合、あらかじめマニキュア液に香料類を混合してもよいし、あるいはマニキュア液と香料類を別々なものとして、ユーザが本マニキュア液に香料類を適量混合するマニキュア液セットとしてもよい。
【0034】
これによればユーザがマニキュア液に希望の香料類を適量混合させることで香りの付いたマニキュア液を簡単かつ確実にカスタマイズすることができ、マニキュア液を塗ることへの楽しみ方をさらに広げることが可能となる。特にカスタマイズ化された商品が女性に人気の中、女性が主に使用するマニキュア液がカスタマイズできることは商業的にも非常に意義のあるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機バインダーとしての水系エマルジョンに、貝殻の微粉末、あるいは貝殻の微粉末を溶かした水溶液が有機溶剤の代わりに混合されていることを特徴とするマニキュア液。
【請求項2】
前記貝殻の微粉末は、ホタテの貝殻を燃焼してあとに細かく粉砕したものである請求項1に記載のマニキュア液。
【請求項3】
前記貝殻の微粉末は、真珠を細かく粉砕したものである請求項1に記載のマニキュア液。
【請求項4】
シリコンが混合されている請求項1から請求項3のいずれかに記載のマニキュア液。
【請求項5】
香料類が混合されている請求項1から請求項4のいずれかに記載のマニキュア液。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか記載のマニキュア液に香料類が別個に設けられ、使用時においてユーザが該マニキュア液に香料類を適量混合するものとなされていることを特徴とするマニキュア液セット。

【公開番号】特開2010−195689(P2010−195689A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38869(P2009−38869)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(501398499)
【Fターム(参考)】