説明

マニホルドアセンブリ

【課題】マニホルドであって、これを通じて延びる所定パターンの流体導管を含むマニホルドと、マニホルドに取付けられたプラテンであって、複数のサンプル受容部分を含み、ここで、サンプル受容部分の各々が、マニホルドの少なくとも1つの流体導管と流体連絡する入口、および少なくとも1つの流体導管と流体連絡する出口を含むプラテン、とを備える、マニホルドアセンブリを提供すること。
【解決手段】自動化組織処理システムのためのマニホルドアセンブリであって、マニホルドであって、これを通じて延びる所定パターンの流体導管を含むマニホルドと、マニホルドに取付けられたプラテンであって、複数のサンプル受容部分を含み、ここで、サンプル受容部分の各々が、マニホルドの少なくとも1つの流体導管と流体連絡する入口、および少なくとも1つの流体導管と流体連絡する出口を含むプラテン、とを備える、マニホルドアセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年8月11日に出願され、そして「流体分配装置」と題する同時係属中の米国特許出願第10/639,021号の一部継続出願であり、そして「マニホルドアセンブリ」と題する、2005年2月11日出願された米国仮特許出願第60/652,440号への優先権を主張し、これら両方は、本明細書によって、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、自動化組織処理システムに関し、そして、特に、組織処理システムのためのマニホルドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
組織プロセッサは、種々のレベルの自動化とともに操作され得、組織学的または病理学の使用のためのヒトまたは動物組織標本を処理する。種々の型の化学的試薬が、組織処理の種々のステージで用いられ得、そして種々のシステムが、スライドを含む標本に試薬を送達するために開発されている。公知の試薬送達システムの例は、小量放出ディスペンサー、試薬バットに手動で注ぐこと、または管材を経由してプロセッサと連結されたバルク容器を経由することを含む。
【0004】
公知のシステムの種々の欠点がある。例えば、試薬バットに手動で注ぐか、または排出することは、時間を浪費し、そして注ぐ正確さを必要とし、それによって組織処理システムの全体の効率を低減する。別の欠点は、試薬を手動で注ぎ、かつ排出することは粗雑で、溢れ液の清掃および結果としての機器の停止時間を必要とすることである。さらなる欠点は、正確な試薬を選択することが、オペレーターの注意と正確さを必要とし、そして試薬適用の誤りの増加した可能性が存在し、試験の正確さ、および操作効率の減少を生じることである。
【0005】
自動化システムでは、欠点がまた存在する。試薬は、処理の間に選択され、そしてスライドに投与される必要がある。これら試薬は、しばしば、上から重力促進分配によって送達される必要がある。このような送達システムは、特別の試薬ディスペンサーまたはドライバーまたは自動化ピペッティングシステムのような試薬送達のための特別の装置を必要とする。このようなシステムは、試薬類をセットアップおよび分配するために必要な所定量の努力、処理の間の蒸発の可能性または汚染、ならびに多数の試薬の小量を取り扱う際の困難さのような種々の不利益を受ける。
【0006】
組織を染色するための1つの公知のスライド保持トレイおよびシステムが、米国特許第5,338,358号(特許文献1)に記載され、これは、本明細書中に参考として援用される。このシステムに示されるように、プラテンが提供され、そして種々の取付け要素が提供されてスライドをスライドトレイに取付ける。5つのスライドのためのスペースが示されている。反応チャンバは、プラテン表面とトレイ上に取付けられたスライドとの間に提供される。試薬は、ドリップ表面および付帯する毛管現象を経由して反応チャンバ中に導入される。
【特許文献1】米国特許第5,338,358号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
公知の試薬送達システムの種々の欠点(例えば、試薬バットに手動で注ぐか、または排出することは、時間を浪費し、そして注ぐ正確さを必要とし、それによって組織処理システムの全体の効率を低減すること、試薬を手動で注ぎ、かつ排出することは粗雑で、溢れ液の清掃および結果としての機器の停止時間を必要とすること、ならびに、正確な試薬を選択することが、オペレーターの注意と正確さを必要とし、そして試薬適用の誤りの増加した可能性が存在し、試験の正確さ、および操作効率の減少を生じること)を改善するために、マニホルドであって、これを通じて延びる所定パターンの流体導管を含むマニホルドと、マニホルドに取付けられたプラテンであって、複数のサンプル受容部分を含み、ここで、サンプル受容部分の各々が、マニホルドの少なくとも1つの流体導管と流体連絡する入口、および少なくとも1つの流体導管と流体連絡する出口を含むプラテン、とを備える、マニホルドアセンブリを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
項目1.自動化組織処理システムのためのマニホルドアセンブリであって:
マニホルドであって、これを通じて延びる所定パターンの流体導管を含むマニホルド;および
該マニホルドに取付けられたプラテンであって、複数のサンプル受容部分を含み、ここで、サンプル受容部分の各々が、該マニホルドの少なくとも1つの流体導管と流体連絡する入口、および少なくとも1つの流体導管と流体連絡する出口を含むプラテン、を備える、マニホルドアセンブリ。
項目2.前記マニホルドが、2つの別個の片の材料から形成される、項目1に記載のマニホルドアセンブリ。
項目3.前記2つの別個の片の材料が機械的にエッチングされて相補的通路を形成し、そして該相補的通路が、前記所定パターンの流体導管を形成するように連結されている、項目2に記載のマニホルドアセンブリ。
項目4.前記材料がポリマーである、項目2に記載のマニホルドアセンブリ。
項目5.前記2つの片の材料が機械によってともに固定される、項目2に記載のマニホルドアセンブリ。
項目6.前記マニホルドが、少なくとも1つの供給ボトルおよび少なくとも1つの廃液ボトルと流体連絡している、項目1に記載のマニホルドアセンブリ。
項目7.前記少なくとも1つの供給ボトルと流体連絡する加圧ポンプをさらに備える、項目6に記載のマニホルドアセンブリ。
項目8.前記少なくとも1つの廃液ボトルと流体連絡する減圧ポンプをさらに備える、項目6に記載のマニホルドアセンブリ。
項目9.前記プラテンの近位端上の入口ポートおよび該プラテンの遠位端上の排出ポートをさらに備える、項目1に記載のマニホルドアセンブリ。
項目10.前記流体導管を通る流体流れを制御するような形態の複数の弁をさらに備える、項目1に記載のマニホルドアセンブリ。
項目11.前記マニホルドに連結された弁コントローラをさらに備える、項目10に記載のマニホルドアセンブリ。
項目12.前記マニホルドと前記コントローラとの間のマニホルドに連結されたドリップフレームをさらに備える、項目11に記載のマニホルドアセンブリ。
項目13.前記少なくとも1つの供給ボトルが、流体レベルセンサを含む、項目6に記載のマニホルドアセンブリ。
項目14.前記少なくとも1つの廃液ボトルが、流体レベルセンサを含む、項目13に記載のマニホルドアセンブリ。
項目15.前記流体レベルセンサが、共通センサキャリアに連結される、項目14に記載のマニホルドアセンブリ。
項目16.前記センサキャリアが、前記供給ボトルの垂直軸に平行に移動するような形態である、項目15に記載のマニホルドアセンブリ。
項目17.前記サンプル受容部分の少なくとも1つに連結された少なくとも1つのヒーターをさらに備える、項目1に記載のマニホルドアセンブリ。
項目18.前記プラテンに連結された複数のヒーターをさらに備え、ここで、該複数のヒーターの各々が独立に作動される、項目1に記載のマニホルドアセンブリ。
項目19.自動化組織プロセッサのマニホルドを操作する方法であって:
処理するプログラムに関する命令を受容する工程;
組織サンプルを支持し、供給原とサンプル受容トレイの入口との間の流体経路を作成するマニホルドアセンブリに含められた複数の弁を位置決めする工程であって、ここで、該マニホルドアセンブリが、それを通って延びる複数の流体経路を規定するマニホルドを含む工程;および
該流体経路および該サンプル受容トレイの入口を通って試薬を組織サンプルに適用する工程、を包含する、方法。
項目20.組織処理システムにおける使用のためのマニホルドシステムであって:
マニホルドアセンブリ;
該マニホルドアセンブリと流体連絡する複数のバルク流体ボトル;
複数の流体レベルセンサであって、各流体レベルセンサが、個々のバルク流体ボトルに隣接して配置されている流体レベルセンサ;
供給ボトルの垂直軸に平行な方向に移動するような形態のセンサキャリアであって、ここで、該複数の流体レベルセンサが該センサキャリアと連結されるセンサキャリア、を備える、マニホルドシステム。
項目21.少なくとも1つのバルク流体ボトルに流体により連結される加圧流体出力を含む加圧ポンプをさらに備える、項目20に記載のマニホルドシステム。
項目22.少なくとも1つのバルク流体ボトルに流体により連結される流体入力を含む減圧ポンプをさらに備える、項目21に記載のマニホルドシステム。
項目23.前記マニホルドアセンブリがマニホルドを含み、該マニホルドがそれを通って延びる所定パターンの流体導管を含む、項目20に記載のマニホルドシステム。
項目24.前記マニホルドが、2つの別個の片の材料から形成される、項目23に記載のマニホルドシステム。
【0009】
組織処理システムの個々に選択可能なサンプル受容トレイに、かつそれから流体を方向付けるためのマニホルドアセンブリは、マニホルド、このマニホルド中の機械加工された流体導管、および特定のトレイへの、またはそれからの直接流体経路を提供するように選択的に構成され得る弁を含む。これらの弁は、各弁を所望の経路が生成されるように位置決めするコントローラによって制御される。圧力が供給ボトルおよび/または排出ボトル中に生成され、上記マニホルドアセンブリによって支持されたトレイに流体を供給またはそれらから排出する。独立に操作されるヒーターがこのマニホルドアセンブリ上に提供され、上記トレイを所望の温度に加熱する。熱電冷却要素がまた、上記ヒーターおよび/またはトレイを冷却するために提供され得る。
【0010】
本発明は、流体導管がマニホルド中に直接エッチングされるマニホルドアセンブリを提供することによって、公知の自動化組織処理システムの欠点を大きな程度軽減する。このマニホルドは、好ましくは、2片の腐食耐性のポリマー性材料から形成される。材料の各片は、その中にエッチングされた一致するチャネルを有する。本発明の実施形態によれば、チャネルが上記マニホルドの各片中に機械加工される。これらの片が一緒に連結されるとき、流体がマニホルドの長さを横切り得るように互いに面するチャネルを備えた導管が生成される。これらの片は、例えば、クランプすること、結合、溶接またはその他の公知の機械的に固定する技法によって連結され得る。2つの片の材料をエッチングし、これらの片を接続することによって導管を形成することへの1つの利点は、この導管に対する正確な許容誤差が達成され得ることである。
【0011】
本発明の別の局面では、個々に制御される複数の弁を備えたマニホルドが提供される。これら弁は、これら弁の各々を、供給ボトルから特定のトレイへの、または特定のトレイから所望の廃液ボトルへの直接通路を生成するような様式で位置決めするコントローラによって制御され得る。
【0012】
1つの実施形態では、上記コントローラは、上記トレイ中に提供された組織サンプルがどのように処理されるべきかを示す1つ以上の染色手順に関する命令を中央プロセッサから受容する。このコントローラは、しかし、好ましくは、これらの命令を中央プロセッサからダウントロードし、そしてローカル記憶装置中にこれらの命令を記憶する。これは、中央プロセッサとは独立に作動する自動化組織処理システムを可能にする。
【0013】
1つの実施形態では、流体および/または試薬が、下から、導入、そして/または排出される。例えば、1つ以上の流体進入ポート、または入口が、マニホルド中に提供され得、そして必要に応じて、1つ以上の流体排出ポート、または出口がまた、上記マニホルド中に提供され得る。好ましくは、これらの進入ポートおよび排出ポートは、このマニホルドの1つの端部から他方の端部への流体流れ勾配を生成するように、このマニホルドのほぼ対向する端部にある。
【0014】
対応する入口および出口を有する、顕微鏡スライド保持トレイのようなサンプル保持トレイがまた提供され得る。このトレイ中にスライドを位置決めし、反応チャンバが、1つの端部から他方への流体流れ勾配を備えて、このスライドとトレイとの間に形成され得る。1つの実施形態では、流体進入ポートおよび排出ポートの各々は、比較的に小さい複数の穴を有し、それらはスクリーンとして作用する。必要に応じて、スクリーンは、上記ポート上に位置決めされ得る。
【0015】
本発明の別の局面では、上記トレイの中央部分は、このトレイの底面の上に高められる。この高められた部分の側壁と、トレイの外壁との間にスペースが形成され、そしてこのトレイの底は、上記高められた部分からの流体オーバーフローを保持し得る。このような流体は、排出ポート(単数または複数)を経由して排出され得る。
【0016】
本発明の別の局面では、上記マニホルドアセンブリには、このマニホルドアセンブリ上に提供される各トレイを所望の温度であって、ここで、各所望の温度が異なり得る温度まで加熱するために独立に作動されるヒーターが提供される。熱電クーラーがまた、これらヒーターおよび/または上記トレイの部分を冷却するために提供され得る。
【0017】
本発明のこれら特徴および利点、ならびにその他の特徴および利点は、同様の参照番号が全体で同様のパーツに言及する添付の図面とともに、以下の発明の詳細な説明を考慮することから認識される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、マニホルドであって、これを通じて延びる所定パターンの流体導管を含むマニホルドと、マニホルドに取付けられたプラテンであって、複数のサンプル受容部分を含み、ここで、サンプル受容部分の各々が、マニホルドの少なくとも1つの流体導管と流体連絡する入口、および少なくとも1つの流体導管と流体連絡する出口を含むプラテン、とを備える、マニホルドアセンブリが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(詳細な説明)
以下の段落で、本発明を、図面を参照して例示によって詳細に説明する。本明細書の全体で、示される好ましい実施形態および例は、本発明の限定としてよりはむしろ典型として考慮されるべきである。本明細書で用いられるとき、用語「本発明」は、本明細書中に記載される本発明の実施形態の任意の1つ、および任意の等価物をいう。さらに、本明細書の全体で「本発明」の種々の特徴(単数または複数)への参照は、すべての請求項に記載の実施形態または方法が参照された特徴(単数または複数)を含まなければならないことを意味しない。
【0020】
図1および2を参照して、1つ以上のスライド、またはサンプル、保持トレイ20との使用のために適切な、組織処理プロセス10がここで説明される。このシステム10は、複数のステーション40を有し、そこに流体分配カートリッジ50が取り付けられ得る、流体分配装置30を含む。複数の流体分配カートリッジ50を含む流体分配装置は、米国特許出願第10/639,021号に記載され、その内容は、本明細書によって、その全体が参考として援用される。あるいは、例えば、米国特許第5,338,358号に記載されるような、管材またはピペット操作を用いる分配システムが同様に用いられ得る。これらステーション40は、アクチュエータアセンブリ70に隣接する複数の流体分配カートリッジ50を選択的に位置決めする取り付け開口部60を含み、これは、試薬ディスペンサー80から、第2の試薬、または脱蝋流体のような、所望量の流体の射出を誘因するために用いられる。
【0021】
スライド保持トレイ20は、流体分配開口部30のほぼ下に位置決めされ、カートリッジ50から所望のスライド保持トレイ20のドリップ表面上に流体を送達するために重力を利用する。好ましくは、流体分配開口部30およびスライド保持トレイ20は、互いに対して移動可能であり、その結果、複数のカードリッジ50が、任意の所望のトレイ20上に流体を分配するよう位置決めされ得る。この流体分配開口部30とスライド保持トレイ20の移動度の任意の組み合わせが選択され得る。例えば、両者が移動可能であり得るか、または1つのみが移動可能であり、そして他方は静止している。このスライド保持トレイ20はすべて、スライド、またはそれに代わってスライドおよび/またはその他のサンプル容器のような、同じ型の品目を運び得る。
【0022】
組織処理システム10の操作の1つの例において、上記流体分配開口部30は、個々のカートリッジ50がアクチュエータアセンブリ70に隣接して選択的に位置決めされるように回転される。あるいは、アクチュエータアセンブリは、各カートリッジ50に、上記流体分配開口部30の回転が必要でないように隣接して位置決めされ得る。アクチュエータアセンブリ70は、このカートリッジ50が制御された量の流体を放出することを誘因する任意の能動化デバイスであり得る。好ましくは、この流体分配開口部は、上記スライド保持トレイ20に対して移動かつ回転の両方を行い得、個々のカートリッジ50は、任意のトレイ20の上に選択的に位置決めされ得る。一旦、このカートリッジ50がスライド保持トレイ20の上に位置決めされると、アクチュエータアセンブリ70がカートリッジ50をこのトレイ20上に制御された量の流体を放出するように誘因する。
【0023】
アクチュエータアセンブリ70は、必要に応じ、受容部材の3つの列120、130、140上に流体をそれぞれ分配するために用いられるアクチュエータ90、100、110を含む。操作において、アクチュエータ90は、列120中に配置されたスライド保持トレイ20上に流体を分配するよう適合され、アクチュエータ100は、列130中に配置されたスライド保持トレイ20上に流体を分配するよう適合され、そしてアクチュエータ110は、列140中に配置されたスライド保持トレイ20上に流体を分配するよう適合される。勿論、当業者によって理解されるように、任意の数のアクチュエータおよび/またはスライド保持トレイが、本発明の範囲を逸脱することなく採用され得る。
【0024】
好ましい実施形態では、上記流体分配開口部30は、支持部材150に、上記カートリッジ50がアクチュエータアセンブリ70に関して回転され得るように、回転可能に取り付けられる。アクチュエータアセンブリ70は、必要に応じて流体分配開口部30の下で、支持部材150に固定して取付けられる。好ましくは、支持部材150は、水平方向に、上記カートリッジ50がトレイ20に対して回転および移動の両方を行い得るように移動し得る。この様式では、任意のカートリッジ50が、任意のスライド保持トレイ20の上に選択的に位置決めされ得る。
【0025】
スライド保持トレイ20は、好ましくは、スプリングが装填された加熱/冷却パッド160上に取付けられ、それによって、このスライドの選択的および/または独立の加熱および/または冷却を提供する。さらに、加熱/冷却パッド160は、プラトーまたはプラテン領域および凹部領域を独立に加熱し得る。1つの実施形態では、各トレイは、対応する加熱および/または冷却要素160を有し、このトレイを特定の所望温度で維持する。代替の実施形態では、2つ以上の加熱および/または冷却要素が各トレイについて存在する。好ましくは、これらトレイは、取り付け表面170上に取付けられる。
【0026】
組織処理システム10は、必要に応じて、供給ボトル180、廃液容器190および流体送達マニホルド200を含む。供給ボトル180は、上記スライドと上記プラトーとの間のギャップをすすぎ、またはフラッシュするための水のような液体を保持するために用いられ得る。流体送達マニホルド200は、好ましくは、流体入口ポートおよび導管を通って供給される流体の流れを方向付けるための弁およびスイッチを含む。さらに、この流体送達マニホルドは、流体排出ポートおよび導管から、ドレイン、または廃液容器190への過剰の流体および廃棄材料の流れを方向付けるための弁およびスイッチを含む。
【0027】
図1および2に示されるように、中央プロセッサ210は、組織処理システム10と通信している。この中央プロセッサ210は、特定の組織サンプルがどのように処理されるべきかに関するシーケンスを提供する。これらのシーケンスはまた、所望の試薬が特定の組織に提供されるような弁制御に関する命令を提供する。
【0028】
本発明の原理によるスライド保持トレイ20を製造する方法を、ここで図3に関して説明される。ボックス300として概略的に示されるように、初期ステップは、スライド保持トレイ20を製作することを含む。好ましい実施形態によれば、スライドトレイ20は、射出成形されて所望の構造的形状を形成するポリマー性材料から製作される。しかし、当業者に理解され得るように、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の製作プロセスが用いられ得るか、または所望の構造的特徴を達成し得る材料が選択され得る。
【0029】
ボックス310を参照して、次のステップは、所望の量のゲルをゲル保持領域に分配することを含む。例えば、所定量のゲルが凹部の底面中の開口部を通じて挿入され得るか、またはそれに代わって、上から挿入され得る。この凹部を充填した後、任意の開口部がテープまたはその他の被覆を適用することによってシールされ得る。ボックス320として概略的に示されるように、次のステップは、この凹部をシールすることを含む。上記ゲルをその場に保持し得、そして蒸発および/または流体流れ損失を減少し得る任意の形態のシールが選択され得る。例えば、機械的シールが上記で論議されたように適用され得る。ボックス330に言及して、次のステップは、必要に応じて上記スライド保持トレイ20に識別子を適用することを含む。
【0030】
本発明の原理に従う、スライド保持トレイ10を用いる方法を、ここで図4に関して説明する。ボックス420として概略的に示されるように、初期ステップは、その中に含まれるゲルまたは試薬(単数または複数)の型に基づいてスライド保持トレイ20を選択することを含む。勿論、個々のトレイ20内に含まれるゲル(すなわち、試薬)の型は、組織サンプルに対して実施されるべき試験の型に依存する。換言すれば、スライド保持トレイ20を選択する初期ステップは、この組織サンプルに対して実施されるべき試験の型を決定するステップを含み得る。ボックス430として概略的に示されるように、次のステップは、必要に応じて、試薬、トレイなどに関するデータを入れることを含む。例えば、必要に応じてトレイ上の識別子が、例えば、バーコードを読むことのように読み取られる。突出物パターンまたはサイズ、形状などのような機械で識別可能なトレイの特徴のような、このトレイを識別するその他の方法もまた、用いられ得る。このトレイ識別子は、必要に応じて、トレイ中に含まれる試薬(単数または複数)を識別する。あるいは、識別情報は、キーボードを経由する手動入力、または音声認識ソフトウェアを経由するような音声入力を経由するように、処理システムと組み合わせたメモリー中に入力され得る。オプションの実施形態では、スライド情報が、キーボード入力、音声認識入力、機械的識別子または形状を経由するなど同様に入力され得る。先に論議されたように、スライドは、トレイ10上に表を下にして位置決めされ、そしてそれ故、識別子は、好ましくは、このスライドが、トレイ上または処理器具中に位置決めされるとき、読み取られない。あるいは、好ましい実施形態ではないが、このスライド識別子は読み取られ得る。ボックス450として概略的に示されるように、次のステップは、上記シールをトレイ20から引っ張ることを含み、それによって上記凹部を曝す。ボックス460についていえば、次のステップは、上記スライドをトレイ20上に位置決めすることを含む。好ましくは、このスライドは、組織サンプルがこのスライドとプラテンとの間に配置されるように位置決めされる。ボックス450として概略的に示されるように、次のステップは、必要に応じて、上記スライド保持トレイ20をスプリング装填加熱/冷却パッド160上に位置決めすることを含む。
【0031】
ボックス470として概略的に示されるように、次のステップは、必要に応じて、上記スライド保持トレイ20をスプリング装填加熱/冷却パッド160上に位置決めすることを含む。
【0032】
ボックス480として概略的に示されるように、次のステップは、試薬マトリックス(すなわち、ゲル)を液化することを含む。このステップは、溶融物を形成するために加熱するステップを含み得る。あるいは、上記マトリックスは、上記凹部にそれを溶解するために添加される溶媒中に可溶性であり得る。従って、このマトリックスを液化するステップは、あるいは、溶媒を用いてゲルを溶解するステップを含み得る。ボックス490について言うと、次のステップは、マトリックスを含む液化された試薬をドリップ表面の上に上記プラテンと上記スライドとの間のギャップ中へと流すことを含む。このステップは、上記凹部をそれが上記ドリップ表面および上記ギャップより高いような形態にすることによって重力の補助で達成され得る。例えば、上記スライドトレイは、上記ドリップ表面が、上記試薬凹部から上記ギャップに向かって下方に傾斜するような形態にされ得るか、または取付けられ得る。ボックス500についていえば、次のステップは、必要に応じて、上記ギャップを洗浄流体でフラッシュすることを含み、次の組織処理ステップの組織サンプルを調製する。ボックス501として概略的に示されるように、次のステップは、必要に応じて流体分配装置30からドリップ表面上にさらなる試薬を分配することを含む。ボックス502について言えば、次のステップは、流体戻り導管を通じて廃液リザーバー中に上記トレイから廃液および過剰の流体を引くことを含む。
【0033】
図4をさらに参照して、ボックス430、450、460、および470によって示されるステップは、本発明の範囲から逸脱することなく任意の順序で実施され得る。さらに、トレイ情報を入力するステップ430は、必要に応じて、上記スライドを上記トレイ上に位置決めするステップ(ボックス460)の後に実施され得、そしてこれらステップのいずれかは排除され得る。さらに、トレイ20から上記シールを引くステップ(ボックス430)は、その中に含まれるゲルの型を基にトレイ20を選択する初期ステップ(400)の後任意の時間に実施され得る。
【0034】
図5は、本発明の実施形態によるマニホルドアセンブリ500を示す。このマニホルドアセンブリ500は、このマニホルドアセンブリ500の上部分を形成し、そしてさらなるマニホルドアセンブリ構成要素のための取り付け表面を提供するプラテン510を含む。このプラテン510は、複数のトレイ取り付け要素530を含み得る。このトレイ取り付け要素530は、スライドトレイがプラテン510に離脱可能に固定され、かつそれに位置決めされるようにする特徴である。例えば、取り付け要素530は、(示されるように)スライド保持トレイ550の各側面上に位置する取り付けタブ540を受容するような形態のスロットであり得る。あるいは、取り付け要素530は、スライドトレイまたはこのスライドトレイに一体化されているポストを通って延びるねじまたはドエルロッドのような除去可能な固定具を受容する、ねじ込み穴またはねじ込まない穴であり得る。このトレイ取り付け要素530は、プラテン510の長さに沿って実質的に均一に間隔を置かれ得、その結果、これらトレイ550は、プラテン510の長さに沿って均一に間隔を置かれて取付けられる。しかし、このトレイ取り付け特徴は、任意の配向を有し得、そして当業者によって認識され得るように、均一に間隔を置かれる必要はないことが理解される。
【0035】
マニホルド520は、好ましくは、プラテン510の直下に提供され、そしてそれに、例えば、ファスナーまたは溶接のようなプロセスにより連結され得る。マニホルド520は、複数のプレート構成要素から構築され得るほぼ平面の部材である。マニホルド520は、一般に、スライドトレイに試薬またはその他の流体を供給するため、またはスライドトレイから試薬またはその他の流体を排出するための形態である流体導管のネットワークを含む。1つの実施形態では、流体チャネルは、マニホルド構成要素の各々に直接エッチングされ、そしてこれら構成要素は、流体チャネルが組み合わさってマニホルド520を通って延びる流体導管を形成するように積み上げられる。このマニホルドは、好ましくは、腐食耐性のポリマー性材料の2つのプレートから構築される。これらプレートは、例えば、クランプすること、結合、溶接またはその他の公知の機械的固定技法によって接続され得る。
【0036】
本発明の実施形態によれば、このマニホルド520は、2つの片の機械加工された材料から形成される。この材料は、その中に、チャネルが、機械加工によるように機械的にエッチングされ得、所望の通路を生じ、かつ流体がそれを通過し得る任意の材料であり得る。好ましくは、この材料はポリマーであって、かつ腐食耐性であるが、このような型の任意の材料が用いられ得る。この2つの片の材料は、好ましくは、この2つの片がともに連結されるとき、複数の通路が1つのチャネルを形成するように一致した機械加工された通路を有する。これらの片は、例えば、接着剤、クランプすること、溶接、リベット付けなどのような結合により接続され得る。このような様式でマニホルドを形成する1つの利点は、チャネルのための正確な許容誤差が達成され得ることである。適切な材料の例は、アクリル、DELRIN(Wilmington、DEのE.I.du Pont de Nemours and Co.の登録商標)、ULTEM(Pittsfield、MAのGeneral Electric Co.の登録商標)、およびステンレス鋼を含む。
【0037】
ヒーター560は、プラテン510上に取り付けられているトレイ550の任意の所望の部分を加熱するために提供され得る。ヒーター560は、示されるように、一体化加熱要素とともに熱伝導性材料から構築された加熱パッドを含み得る。この加熱要素は、加熱パッドに成形され得るか、または加熱パッドの任意の表面上に取付けられ得る。加熱パッドは、ポリマーまたは金属のような当該技術分野で公知の任意の材料から構築され得、そしてそれは、成形および/または機械加工のような当該技術分野で公知の任意のプロセスまたはプロセスの組み合わせによって製造され得る。抵抗加熱ワイヤまたはストリップヒーターのような、任意の型の加熱要素が取り込まれ得る。
【0038】
ヒーター560は、1つ以上のスプリング570によってスプリングが装填され得、そしてプラテン510および/またはマニホルド520を通って延びる開口部中に挿入されるような形態である。ヒーター560はまた、トレイ550が存在しないとき、ヒーター560が開口部を完全に通過することを防ぐ保持タブを含み得る。スプリング570は、ヒーター560が、それがプラテン上に取り付けられ、そして取り付け要素530に付着されるとき、トレイ550の底面と同格に押されることを支援して確実にする。さらに、この保持タブは偏向可能で、そしてヒーター560は、スプリング570によって付勢され得、マニホルドアセンブリ500からヒーター560の除去を容易にする。
【0039】
ヒーター560は、所望される任意の様式でマニホルドアセンブリ500内に位置決めされ得る。好ましくは、ヒーター560は、実質的に均一に間隔を置かれ、そしてそれらが、マニホルドアセンブリ500上に取付けられたトレイ550の中央部分の下にあるように配置される。任意の数のヒーター560が提供され得、任意のトレイ550の1つまたは複数位置を加熱するために提供され得ることが認識されるべきである。例えば、ヒーターは、トレイの試薬凹部部分に隣接して提供され、そして別個のヒーターは、トレイ550の中央部分を加熱するために提供され得る。
【0040】
ヒーター560は、独立して、または集合的に制御され得る。本発明の実施形態によれば、ヒーター560は、各トレイ550が同時に異なる温度に加熱され得るように独立に作動される。あるいは、これらヒーターは、すべてのトレイを共通温度に加熱するために集合的に制御され得る。さらなる代替として、これらヒーターは、第1のグループのヒーターが第1の温度に加熱され得、その一方、第2のグループのヒーターが第2の温度まで加熱され、そしてそれらは所望のようにグループ化され得るように、グループ化され得る。
【0041】
1つ以上の冷却アセンブリがまたは、マニホルドアセンブリ500中に含められ得る。1つの実施形態では、冷却は、熱電クーラー(TEC)アセンブリ580によって提供される。このTEC 580は、トレイ550中に提供される(上記に記載の)試薬凹部のような各トレイ550の部分を冷却するために用いられ得る。ヒーター560と同様に、これらTEC 580は、マニホルド520およびプラテン510を通って延びる開口部中に挿入され得る。TEC 580もまた、スプリング590によって付勢され得、マニホルドアセンブリ500上に取り付けられたこのTECとトレイ550との間の接触を支援して確実にする。1つ以上の保持タブが、TEC 580上に提供され得、その結果、このTECは、トレイ550がマニホルドアセンブリ550上に取り付けられていないとき、開口部を完全に通過しない。これらの保持タブは変形可能であり得、TECがマニホルドアセンブリ500から除去可能であるようにし、そしてスプリング590の付勢は、このマニホルドアセンブリ500からのTEC 580の除去を容易にする。本発明の実施形態によれば、これらTEC 580は、これらTEC 580がトレイ550のゲル受容部分または試薬凹部に隣接して提供され、そしてトレイ550と実質的に整列するように実質的に均一に間隔を置かれ得る。これらTEC 580は、代替の冷却機構で置換され得ることが理解されるべきである。例えば、マニホルドアセンブリ500は、冷却流体を輸送するための導管を含み得る。これら冷却導管は、冷却を必要とするマニホルドアセンブリの任意の部分に冷却流体を輸送するような形態であり得る。
【0042】
流体入口600および出口610は、プラテン510およびマニホルド520中に提供される。プラテン510中の入口600は、マニホルド520中に提供される対応する入口600およびトレイ550中に提供される入口ポートと嵌合するような形態である。同様に、プラテン510中の出口610は、マニホルド520中に提供される出口610およびトレイ550中に提供される出口ポートと嵌合するような形態である。好ましくは、1つの入口600および1つの出口610が提供され、そしてそれらが各トレイ550の対向する端部に含められる入口ポートおよび出口ポートに対応するように位置される。図5に示されるように、このような形態はまた、各ヒーター560の対向する端部に位置決めされた入口600および出口610に対応する。
【0043】
上記で述べたように、プラテン510およびマニホルド520中の入口600および出口610は、それらが、スライド受容トレイ550中に提供される開口部、またはポートと実質的に整列されるように提供される。プラテン510およびマニホルド520の入口600および出口610をトレイ開口部と実質的に整列することにより、プラテン510、マニホルド520、およびトレイ550間の完全な流体連絡が生成される。入口継手620および出口継手630には、各入口600および出口610がそれぞれ提供される。この入口継手620および出口継手630は、プラテン510およびマニホルド520の入口600および出口610をもつトレイ開口部間のより強固な流体リンクを生成する機構を提供する。これは、プラテン510、マニホルド520、およびトレイ550間の流体連絡を増加する。
【0044】
弁640は、入口600および出口610を通る流体流れを制御するために提供され得る。これら弁640は、流体流れを、マニホルド520を通って入口600および出口610の各々に方向付ける(以下にさらに詳細に記載される)ために用いられる。この弁640が入口600または出口610のいずれに提供されるかに依存して、弁640は、それぞれ、供給弁またはドレイン弁であり得る。これら弁640は、好ましくは、マニホルドアセンブリ500の上部分でマニホルド520に直接取付けられる。本発明の実施形態によれば、これら弁640は、三方向ソレノイド弁である。しかし、ソレノイド弁、ボール弁またはダイアフラム弁を含む任意の型の弁が用いられ得、そしてこれら弁は、所望により通常閉鎖された配向または通常開放された配向のいずれかの形態であり得る。好ましくは、これら弁は、弁の開放および閉鎖がコントローラにより電子的に制御されるような形態である。これら弁は、電子的、空気により、液圧により、またはそれらの組み合わせのような、当該技術分野で公知の任意の方法により作動され得ることもまた認識される。
【0045】
ドリップフレーム650は、マニホルドアセンブリ500に導入されて、流体がマニホルド520、弁640またはトレイ550から漏出する場合の損傷を防止し得る。具体的には、ドリップフレーム650は、ゲル、試薬または他の溶液もしくは流体が、制御盤710(以下でさらに詳細に記載される)上に漏出することを防ぐために、使用され得る。ドリップフレーム650は、マニホルドアセンブリ500内の弁640の下方に位置し得る。ドリップフレーム650は、例えば、複数の隔離具660および機械的ファスナーを使用して、マニホルド520に固定され得る。隔離具660は、設置先端(図6を参照して以下でより詳細に記載される)を備え得、これらの設置先端は、ドリップフレーム650に提供される設置開口部に挿入される。ドリップフレーム650は、当該分野において公知である任意の材料(例えば、ポリマーまたは金属)から構築され得る。ドリップトレイの材料は、組織処理装置において使用される試薬または他の化学物質による腐食に対して、抵抗性であることが好ましい。
【0046】
入口600は、プラテン510の一端に配置され、そして出口610は、好ましくは、プラテン510の他端に配置される。入口600と出口610とを、プラテン510上で空間的に離すことにより、圧力勾配が、トレイ550の反応チャンバ部分に導入され得、入口600と出口610との間での流体の流れを促す。図示される実施形態において、入口600は、TEC 580に隣接する、ヒーター560の端部に位置し、そして出口610は、ヒーター560の反対側の端部に位置する。入口600をTEC 580に隣接させて位置決めすることによって、反応チャンバに導入される全ての流体が、同じ端部から導入され得、単一方向での流体流れを促し、そしてマニホルド520を通る流体導管の設計を単純化する。さらに、流体流れは、プラテン510上に増分を提供し、これにより、プラテン510上に位置決めされる場合にトレイ550にわずかに角度を付け、プラテンに対するスライドの角度によって方向付けられる毛管現象(すなわち、毛管作用)により誘導される流れを促進することによって、方向がさらに促進され得る。
【0047】
任意のファスナー670が、プラテン510の反対側の端部に提供され得る。ファスナー670は、マニホルドアセンブリ500を組織処理システムに設置すること、およびマニホルドアセンブリ500を組織処理システムから取り外すことを容易にするために、提供され得る。ファスナー670は、つまみねじ、ちょうねじ、または手で容易に操作され得る他の任意のファスナーであり得る。あるいは、ファスナー670は、マニホルドアセンブリを取り付けるかまたは取り外すために、さらなる工具および/または技術者を必要とするように構成され得る。さらなる実施形態において、このマニホルドアセンブリは、電気制御されるロッキング機構を用いて、試薬分配システム内に保持され得る。ハンドルまたは他の把持特徴が提供され得、その結果、このマニホルドアセンブリは、容易に把持され得、そしてこのシステムから容易に取り外され得る。
【0048】
プライミング取付具680がまた、プラテン510およびマニホルド520に提供され得る。プライミング取付具680は、流体をトレイ550に提供するためにカートリッジ50を準備(すなわち、装填)するために使用され得る。カートリッジ50は、カートリッジ50に含まれる流体分配アセンブリを、ポンプで動かし、これによって、この流体分配アセンブリ内の任意の空気または他の汚染物質を排出することによって、準備される。空気および汚染物質を分配アセンブリから除くことによって、選択された体積の汚染されていない流体が、処理の間、カートリッジ50から送達されることが保証される。カートリッジ50の装填プロセスの間、流体は、分配アセンブリからプライミング取付具680へと排出される。好ましくは、プライミング取付具680は、一般に、マニホルド520の出口端部上で、トレイ550に備えられるドリップ表面の位置と整列される。入口600および出口610と同様に、プライミング取付具680は、プライミング弁を備え得、その結果、プライミング取付具680からマニホルド520の流体ネットワーク内へと延びる流体導管の開閉が、制御され得る。
【0049】
図6は、本発明の実施形態によるマニホルドアセンブリ500の分解図を図示する。マニホルドアセンブリ500は、上下逆さの配向で示されている。TEC 580、弁640、および隔離具660は、マニホルド520およびマニホルドプラテン510に設置される。図6に示されるように、TEC 580は、マニホルド520の片側に提供され、そしてマニホルド520の長さに沿って、等しく間隔を開けている。弁640は、マニホルド520の、TEC 580とは反対側に提供され、そして各弁640が、入口600または出口610と実質的に整列するように、位置決めされる。
【0050】
マニホルド520は、流体接続ポートを備え得る。この流体接続ポートは、このシステムの対応する流体接続ポートと嵌合するように構成されており、その結果、このマニホルドアセンブリの供給経路および排液経路は、このシステムの供給導管および排液導管と流体連絡し得る。任意の接続ポートが、使用され得る。例えば、配管が、マニホルドアセンブリとシステムとの両方のポートの間に延び得る。あるいは、各マニホルドアセンブリとこのシステムとの容易な一体化および取り外しを可能にする流体コネクタが利用され得る。このような流体コネクタは、容易な管理を可能にする。圧縮可能な部材(例えば、Oリング)が提供されて、マニホルド520と、このシステムの接続ポートとの間の流体接続を密封し得る。
【0051】
支持部材690は、複数の隔離具660上に設置され得る。支持部材690は、パネル700を支持するために使用され得、そしてまた、ドリップフレーム650を支持するために使用され得る。その結果、ドリップフレーム650は、TEC 580および弁640から所定の距離で間隔を空ける。支持部材690は、(示されるように)複数の隔離具660に設置される単一の構成要素として構築され得るか、または個々の隔離具660に各々設置される複数の個々の設置タブを備え得る。支持部材690は、パネル700をマニホルドアセンブリ500内に設置するための、ねじ切りされた穴を備え得る。仕切り部分がまた、支持部材690内に備えられ得、この仕切り部分は、ほぼTEC 580と弁640との間に位置する壁を提供し、その結果、支持部材690が、パネル700と一緒になって、冷却空気チャネルを作製する。支持部材690は、当該分野において公知である任意の材料(例えば、ポリマーまたは金属)から構築され得、そしてシート材料を成型、機械加工および/または熱形成もしくはハイドロホーミングすることによって、形成され得る。
【0052】
パネル700は、空気チャネルを作製して、冷却空気がTEC 580の間および内部を流れることを可能にするために、使用され得る。パネル700は、例えば、支持部材690と一緒に冷却空気チャンバを作製する、シート金属または他の材料のストリップであり得る。パネル700は、任意の公知の固定機構(例えば、ねじ、鋲、ボルト、クランプ、溶接、はんだ付けまたは他のファスナー)を使用して、支持部材に取り付けられ得る。
【0053】
周辺制御盤710は、マニホルドアセンブリ500に提供され得る。図6に示されるように、制御盤710は、TEC 580および弁640の反対側の、ドリップフレーム650の面に設置され得る。好ましくは、ドリップフレーム650は、制御盤710を囲み、その結果、ドリップフレーム650は、マニホルドアセンブリにおいて漏出する試薬または他の流体が、制御盤710上に流れる可能性を低下させる。
【0054】
制御盤710は、1つ以上のコントローラを備え得、このコントローラは、マニホルド520を通る流体流れ、ヒーター560の作動、TEC 580の作動、および/またはマニホルドアセンブリ500内の構成要素の冷却を制御するために、使用され得る。具体的には、マニホルド520を通る流体の流れは、マニホルドアセンブリ500に備えられる弁640の各々を制御することによって、制御され得る。制御盤710はまた、ヒーター560およびTEC 580の作動を、個々にかまたは群として制御し得る。
【0055】
制御盤710は、好ましくは、組織染色手順を処理する、中央処理装置(CPU)720を備える。この染色手順は、他の情報のうちでもとりわけ、染色されるべき組織、使用されるべき試薬、組織トレイの位置、組織サンプルを試薬に曝露する時間量、および洗浄サイクルを識別する。CPU 720は、直接の流路が、試薬供給容器から所望のトレイ550へ、または特定のトレイ550から廃棄物容器へと提供されるように、弁640を制御するために使用され得る。
【0056】
図7は、本発明の実施形態によるマニホルドアセンブリ500のマニホルド520を通る、流体導管の構成を図示する。上記のように、マニホルドアセンブリ500は、複数のヒーター560、TEC 580、および弁640を備える。これらの弁は、マニホルド520内の流体導管を通る流体の流れを制御する。本実施形態において、流体供給ライン730は、入口600に隣接して、マニホルド520の長さに沿って提供される。供給ライン730は、入口600に隣接し、かつ入口600と流体連絡する、複数の弁640(供給弁と称される)と流体連絡する。供給弁の上流で供給ライン730と流体連絡する、複数の供給経路S1〜S4が提供される。供給経路S1〜S4は、供給容器と供給ライン730との間に流路を提供し、そしてこのシステムが、試薬または他の溶液もしくは流体を、供給容器(図9に示される)から、供給ライン730を通って入口600へと方向付けることを可能にする。本実施形態において、供給経路S1〜S4の各々が、複数の弁640を通して、供給ライン730に流体接続される。示されるように、供給通路S1およびS2は、第一の弁640を介して、中間供給ラインI1に接続され、供給経路S3およびS4は、第二の弁640を介して、第二の中間供給導管I2に接続され、そして中間供給導管I1およびI2は、第三の弁640を介して、供給ライン730に接続される。4つのみの供給導管が示されるが、任意の数の供給導管および弁が使用されて、任意の数の供給容器から供給ライン730へと流体を提供し得る。さらに、1つ以上の供給導管が、供給弁まで直接延び得ること、または供給導管が、単一の共通の供給ライン730に流体接続されるよりむしろ、複数の供給ラインにグループ分けされ得ることが理解されるべきである。
【0057】
作動において、供給経路S1〜S4は、試薬または他の型の溶液もしくは流体を、供給源(図示せず)から受容する。供給通路S1〜S4は、上記のように、供給弁640を介して、供給ライン730と流体連絡する。コントローラによって制御される供給弁640は、流体を、供給経路S1〜S4から、供給ライン730へ、そして特定のスライド受容トレイ(図示せず)へと方向付ける。弁640の各々を制御することによって、このことは、個々のトレイへ、または個々のトレイからの流体の分配を可能にする。例えば、染色手順は、特定の試薬が、トレイ上に提供される組織サンプルに適用されることを必要とし得る。この試薬は、供給経路S3のみと流体連絡する供給容器に貯蔵され得る。このコントローラは、供給経路S1〜S2およびS4と連絡する供給弁640を閉じるため、そして供給導管S3と連絡する供給弁640を開くために、使用され得る。さらに、コントローラは、中間導管I2と供給ライン730とを接続する弁640を開くために、使用され得る。このことは、供給経路S1〜S2およびS4からの流体が、中間供給導管または供給ライン730のいずれかに入ることを防ぎ、そして供給導管S3からの流体が、中間供給導管I2および供給ライン730に入ることのみを可能にする。
【0058】
次に、所望のトレイのための入口600と連絡する供給弁640がまた、開位置で配置される。さらに、所望のトレイのための入口と連絡していない供給弁640が、閉位置で配置される。所定の供給源と所望のスライド受容トレイとの間の流路にある供給弁640のみを開くことによって、直接的な経路が、特定の供給源から所望のトレイの入口へと作製される。種々の機構が使用されて、試薬または他の流体を、供給通路S1〜S4および供給ライン730を通して推進し得る(例えば、供給源に適用される圧力源を使用する(以下でより詳細に記載される))。
【0059】
排液ライン740もまた、出口610に隣接して、マニホルド520の長さに沿って提供され得る。排液ライン740は、出口610に隣接して出口610と流体連絡する弁640(排液弁と称される)の各々と、流体連絡する。複数の排液経路D1〜D4が提供され、これらの排液経路は、排液ライン740と流体連絡する。排液経路D1〜D4は、試薬または他の溶液もしくは流体を、排液ライン740から、例えば、廃棄物容器(図9Aおよび9Bに示される)へと方向付ける。上記供給導管と同様に、排液経路D1〜D4は、複数の弁640および中間排液導管を介して、排液ライン740と流体連絡する。具体的には、排液経路D1およびD2は、第一の弁640を介して第一の中間排液導管I3と流体連絡し、排液経路D3およびD4は、第二の弁640を介して、第二の中間排液導管I4と流体連絡し、そして中間排液導管I3およびI4は、第三の弁640を介して、排液ライン740と流体連絡する。4つのみの排液経路が示されるが、任意の数の排液経路および弁が使用されて、排液ライン740から所望の数の廃棄物容器または他の出口への流体の流れを提供し得る。
【0060】
排液経路D1〜D4は、排液弁、排液ライン740および中間排液導管を介して、出口610と流体連絡する。本発明の実施形態によれば、排液ライン740はまた、出口パージ弁750を介して、供給ライン730と流体連絡し得る。排液ライン740は、供給ライン730を通してスライド受容トレイに導入された試薬または他の溶液もしくは流体を、スライド受容トレイから排液するために、使用される。流体を排液導管内に推進するために、種々の方法が使用され得る。例えば、減圧ポンプが、廃棄物容器に適用されて、流体を、排液ライン740および/または1つ以上のスライドトレイから排液し得る。
【0061】
コントローラは、マニホルドアセンブリ500に備えられる任意の弁の位置を制御し得る。上で議論されたように、このコントローラは、一般に、CPUによって処理される1つ以上の染色手順に基づいて、弁640を作動させる。このCPUは、この手順にわたって、どの弁640が開位置にある必要があり、そしてどの弁640が閉位置にある必要があるかを決定し、その結果、所望の流路が、各工程において、供給源から所望のスライド受容トレイへ、または特定のスライド受容トレイから廃棄物容器へと、作製される。この決定は、特定の染色手順に対してこのコントローラに提供される指示に基づき得る。
【0062】
弁の開位置と閉位置との任意の組み合わせが、任意の所望の流路を作製するために使用され得ることが、注目されるべきである。例えば、供給経路S1〜S4と連絡している全ての供給弁640、およびスライド受容トレイの入口600と連絡している1つ以上の供給弁640が、開位置にあり得る。あるいは、供給経路S1〜S4と連絡している供給弁640の一部、およびスライド受容トレイの入口600と連絡している1つ以上の供給弁640が、開位置にあり得る。当業者は、弁640が、任意の所望の流路を生じるように、開位置と閉位置との任意の組み合わせになり得ることを認識する。
【0063】
図8は、本発明の実施形態によるマニホルドアセンブリ500のマニホルド520の流体概略図である。この図は、複数のトレイ550、弁640、供給経路S1〜S4、および排液経路D1〜D4、中間導管I1〜I4、洗浄経路C1、供給ライン730、および排液ライン740を、概略的に図示する。供給経路S1〜S4および排液経路D1〜D4の各々は、複数の弁640を通して、それぞれ、供給ライン730および排液ライン740と流体連絡して接続される。各トレイ550は、入口600および出口610を有する。入口600は、対応する供給弁640と流体連絡し、そして出口610は、対応する排液弁640と流体連絡する。
【0064】
供給弁および排液弁に加えて、プライミング弁760、入口パージ弁770、および出口パージ弁750がまた、提供される。プライミング弁760は、任意の型の試薬または他の流体(例えば、蒸留水、緩衝溶液、脱蝋溶液、および/または洗浄液)を、スライド受容トレイ550に分配するための準備において、プライミングプロセスの間、カートリッジ50から排出される流体の移動のために使用され得る。本実施形態において、プライミング弁760は、供給ライン730の出口端部に流体接続される。入口パージ弁770もまた、出口端部において、供給ライン730に流体接続され、そして入口600および供給ライン730から、所望でない残留流体をパージするために使用され得る。例えば、供給源からの蒸留水が、供給ラインに注入され得、一方で、入口600の全てが、閉位置にあり、その結果、この蒸留水は、あらゆる残留試薬または他の所望でない流体をフラッシュし得る。洗浄経路C1は、供給経路S1と出口パージ弁750との間の流体連絡を提供し、その結果、トレイ550の出口は、パージされ得る。出口パージ弁640は、出口610および排液ライン740から、所望でない材料をパージするために使用され得る。コントローラによって制御される弁640は、上記のように、供給源から、または廃棄物容器へのいずれかの、所望の流路を提供するために、作動する。すなわち、このコントローラは、弁640の各々を、このコントローラのCPUによって処理される染色手順に基づいて、開位置または閉位置に位置させ、供給源から、または廃棄物容器へのいずれかの、所望の流路を生じる。
【0065】
これらの弁は、望ましい任意の初期状態流体配置を提供するように配向され得ることが、理解されるべきである。具体的には、特定の弁に接続された各導管は、「通常は開いている」接続ポートまたは「通常は閉じている」接続ポートに接続されて、所望の初期状態流路を提供し得る。例えば、図8に示される実施形態において、供給経路S1は、第一の弁640の通常は閉じている接続ポートに接続され、そして供給経路S2は、同じ弁の通常は開いている接続ポートに接続される。その結果、初期状態により、供給経路S2を通って流れている流体は、この弁が、コントローラによって、通常は閉じている接続ポートを開くように構成されない限り、この弁を通って自由に流れ、これによって、供給経路S1からの流体が、この弁を通って流れることを可能にする。同様に、このトレイの入口600および出口610は、それぞれの弁の通常は閉じている接続ポートに、各々接続される。従って、初期状態により、流体は、コントローラがそれぞれの弁を、入口600または出口610が開位置にあるように特に構成しない限り、各トレイを出入りして流れることを防がれる。
【0066】
図9Aおよび9Bは、本発明の実施形態による組織処理システムの給排水設備の概略図である。図9Aに示すように、組織処理システムは、3つのマニホルドアセンブリ500を備えている。各マニホルドアセンブリ500は、片側の端部に4つの供給経路S1〜S4を、そして反対側の端部に4つの排液経路D1〜D4を備えるマニホルド520を備える。この供給経路S1〜S4は、供給弁955および供給導管930を介して供給ボトル900と流体連絡している。この供給弁955は、ボトル900が、供給導管930またはバルク供給容器910のいずれかと流体連絡して配置され得るように構成される。供給弁955はまた、試薬または他の溶液もしくは流体が、バルク供給容器910からバルク供給ライン920を介して供給ボトル900へと、そして、供給ボトル900から供給導管930を介して供給経路S1〜S4へと移動することを可能にする。
【0067】
供給ボトル900はまた、減圧選択弁945および加圧ライン950を介して加圧ポンプ940と連絡して配置され得る。加圧ポンプは、供給ボトル900の内容物を加圧して、この内容物をシステムの流体ネットワークを通して駆動するように構成される。加圧ポンプ940は、加圧ポンプ940が、所定のレベルに維持されることを可能にする加圧スイッチ960、および、加圧ポンプ940により生成された加圧が所定の量を超える場合に、加圧ポンプ940を自動的に切る過剰加圧スイッチ970を有し得る。
【0068】
上で言及したように、加圧ポンプ940は、供給ボトル900内に格納される流体を、弁955および供給導管930を通して、供給経路S1〜S4を介して1つ以上のマニホルドアセンブリ500内へと移動させる、供給ボトル900内の加圧を生成するために使用される。供給ボトル900とバルク供給容器910との間の流体連絡を可能にするように位置決めされた、弁955、945と協働する減圧ポンプは、バルク供給容器910から供給ボトル900内へと流体を引き、供給ボトル900を満たすために使用され得る。一連の減圧選択弁945、1045は、加圧と減圧との間でラインを切り換えて、バルク容器から供給ボトルへと液体を引き、そして、廃液ボトルを空にして、バルク容器へと引くために使用される。
【0069】
濃縮ボトル980がまた、システム内に含まれる。濃縮ボトル980は、過剰の流体が減圧ポンプ内に入ることを防止するために、過剰の流体を回収するために使用され得る。また、供給ボトル900が、1リットルの容量を有し、減圧ポンプ1040が1.2リットルの流体を供給ボトル900内に分配させる場合、過剰の0.2リットルの流体が、減圧選択弁945およびオーバーフローライン990を通って、濃縮ボトル980内へと移動し得る。好ましくは、ボトルのレベルセンサが、大量の過剰な流体が、供給ボトル900内に分配される前に、減圧ポンプ1040を切るために使用される。
【0070】
マニホルドアセンブリ500はまた、排液経路D1〜D4、排液導管1010および排液弁1055を介して、廃液ボトル1000と流体連絡する。廃液ボトル1000はまた、バルク排液ライン1060を通じて排液弁1055を介して、バルク排液容器1020と流体連絡して配置され得る。減圧ポンプ1040が提供され、そして、この減圧ポンプ1040は、減圧ライン1050上で、減圧選択弁1045を通じて、廃液ボトル1000へと減圧を適用するように構成される。減圧ポンプ1040は、廃液ボトル1000内に減圧を生成するために使用され得、この減圧は、マニホルドアセンブリ500上に提供されるスライド受容トレイ上に提供されるか、またはこのトレイ内にある流体を、排出経路D1〜D4、排液導管1010、および排液弁1055を通って、1つ以上の廃液ボトル1000内へと移動させる。
【0071】
減圧ポンプ1040はまた、減圧選択弁945を介して供給ボトル900と流体連絡する減圧ポンプ1040を配置することによって、バルク供給容器910から供給ボトル900内へと流体を引くために使用され得る。さらに、廃液ボトル1000内の廃棄物質は、減圧選択弁1045を介して加圧ポンプ940と流体連絡する廃液ボトルを配置することによって、そして、排液弁1055を介して所望のバルク排液容器1020と流体連絡する所望の廃液ボトルを配置することによって、バルク排液容器内へと移され得る。
【0072】
減圧ポンプ1040は、好ましくは、減圧ポンプ1040が、ボトル内の所定の減圧レベルを維持することを可能にする減圧スイッチ1060、および生成した減圧が所定の量を超える場合に、減圧ポンプ1040を自動的に切る過剰減圧スイッチ1070を備える。本発明の一実施形態によれば、バルク供給容器およびバルク排液容器は、試薬分配システムの外側に収容される。
【0073】
廃液ボトル1000は、有害な廃液ボトルまたは有害でない廃液ボトルのいずれかとして設計され得る。従って、スライド受容トレイから流体を排出する場合、(上記の)コントローラは、トレイ内の流体が有害であるか、有害でないかを決定する。この決定を行なう際に、コントローラは、開放位置もしくは閉鎖位置のいずれかにあるそれぞれのマニホルドアセンブリ500内の弁640の各々に位置する。その結果、直接流体経路が、トレイから、適切な排出経路D1〜D4を通って、そして、その特定の型の廃棄のために設計された所定の廃液ボトル1000へと生成される。
【0074】
図9Bを参照すると、給排水設備の別の実施形態の図が記載される。上記の実施形態と同様に、図9Bに概略的に図示されるこの組織処理システムは、3つのマニホルドアセンブリ500を備え、この各々に、一方の端部に配置された4つの供給経路、および反対の端部に配置された4つの排出経路を有するマニホルドを備え付けられている。さらに、各供給経路は、供給導管930を介して供給ボトル900と流体連絡しており、各排出経路は、排液導管1010を介して廃液ボトル1000と流体連絡している。
【0075】
図9Bの実施形態はまた、加圧ポンプ940および減圧ポンプ1040を備えるが、加圧ポンプ940は、加圧ライン950を通って供給ボトル900専用であり(すなわち、以前の実施形態と同じように、加圧ポンプ940は、供給ボトル900とは流体連絡しているが、廃液ボトル1000とは流体連絡していない)、そして、減圧ポンプ1040は、減圧ライン1050、1030を通って廃液ボトル1000専用である。本実施形態において、システムは、バルク廃液ボトルおよびバルク供給ボトルを省略することによって単純化されている。
【0076】
加圧ポンプ940は、加圧ポンプ940が、所定のレベルに維持されることを可能にする、加圧スイッチ960を有し得る。さらに、加圧ポンプ940により生成された加圧が、所定の量を超える場合に、自動的に加圧ポンプ940を切る、過剰加圧スイッチ970が、加圧ポンプ940に係合され得る。
【0077】
減圧ポンプ1040は、好ましくは、減圧ポンプ1040が、ボトル内の所定の減圧レベルを維持することを可能にする減圧スイッチ1060、および、生成された減圧が所定の量を超える場合に、自動的に減圧ポンプ1040を切る、過剰減圧スイッチ1070を備える。さらに、減圧ポンプ1040は、システムからポンプ注入された気体が追い出され得るように、ファン1075と流体連絡し得る。濃縮ボトル980がまた、減圧ライン1050と減圧ライン1030との間に、システム内に備え付けられる。濃縮ボトル980は、過剰の流体が、減圧ポンプ内へと入ることを防止するように、過剰の流体を回収するために使用され得る。さらに、空気蓄圧器965、1065が、加圧ポンプ945および減圧ポンプ1040の各々と共に備え付けられ得る。このシステムは、好ましくは、供給ボトル900から、または廃液ボトル1000への流体流れを制御するために使用され得る供給弁および排液弁(図示せず)を備えることが理解されるべきである。このシステム内に含まれる任意の流体ラインが、所望されるように、加熱または冷却され得ることが、さらに理解されるべきである。
【0078】
図10は、本発明の一実施形態に従う、組織処理システム1200を図示する。組織処理システム1200は、3つのマニホルドアセンブリ1210を備え、この上で8つのスライド受容トレイ1220が支持される。好ましくは、トレイ1220の各々は、バーコード、またはそれに付随する他の識別子(図示せず)を有する。トレイバーコードスキャナ1230が、トレイ1220に付随するバーコードをスキャンし、トレイに提供されるサンプルに関する情報を入手するために提供され得る。この情報としては、例えば、患者の情報、組織型、試薬の情報などが挙げられ得る。好ましくは、1つのバーコードスキャナが、トレイに関して移動可能なマニホルドアセンブリ1210の各々について提供される。
【0079】
組織処理システム1200はまた、回転ラック1240を備える。この回転ラック1240は、複数の試薬カートリッジ1250を保持する。好ましくは、各試薬カートリッジ1250は、バーコード1260、またはカートリッジバーコードスキャナ1270によって読み取られる他の識別子を有する。回転ラック1240は、時計回りまたは反時計回りの方向に回転し得、そして、カートリッジバーコードスキャナ1270は、回転ラックに関して静置して設置され得、その結果、バーコードスキャナ1270は、各試薬カートリッジバーコード1260をスキャンし得る。
【0080】
回転ラック1240はまた、3つのトレイバーコードスキャナ1230を備え付けられ得る。このトレイバーコードスキャナ1230は、好ましくは、回転ラック1240が、マニホルドアセンブリ1210の長さにわたって移動する場合に、トレイバーコードスキャナ1230が、トレイ1220の各々に付随するバーコードをスキャンするように位置決めされる。
【0081】
回転ラック1240は、好ましくは、組織処理システム1200内での横移動および回転の両方が可能であるように、作動される。モーター1280(例えば、ステッパーモーター、または一定反作用モーター)が、マニホルド1210の長さにわたって回転ラック1240を横移動するために使用され得る。モーターの回転移動を、線形移動に変換する、任意の機構が利用され得ることが理解されるべきである。例えば、回転ラック1240が、可動式カート上に設置され得、そして、ベルトもしくはチェーンドライブが、可動式カートをモーター1280に係合し得る。あるいは、親ねじまたはボールねじ機構が、回転ラック1240をモーター1280に移動可能に係合するために使用され得る。液圧式および/または空気式のアクチュエータが、上記のアクチュエータに加えて、もしくはその代替として使用され得ることが理解されるべきである。
【0082】
1つのみが示されているが、各マニホルドアセンブリ1210はまた、TECのマニホルドアセンブリ1210を冷却するために使用され得るファン1290を備え得る。同様に、各マニホルドアセンブリ1210はまた、1つ以上の供給導管1300、および1つ以上の排液導管1310を有し得る。上記のシステムと同様に、供給導管1300は、供給ボトル1320と流体連絡しており、そして、排液導管1310は、廃液ボトル1330と流体連絡している。
【0083】
加圧ポンプ1340が備えられ得、この加圧ポンプ1340は、供給ボトル1320の内容物を加圧するように構成され得、その結果、供給ボトル1320内に供給される試薬または他の流体が、供給導管1300およびマニホルドアセンブリ1210内に入るように駆動される。供給ボトルの内容物は、好ましくは、上記のようなコントローラ、弁、供給経路、および供給ラインを使用して、個々の選択可能なトレイ1220へと供給される。
【0084】
減圧ポンプ1350がまた備えられ得、この減圧ポンプ1350は、廃液ボトル1330に減圧を適用して、トレイ1220内の試薬または他の流体を、トレイ1220から、排液導管1310を通して排出させるように構成され得る。試薬または他の流体は、好ましくは、上記のようなコントローラ、弁、排出経路、および排出ラインを使用して、個々の選択可能なトレイ1220から除去される。
【0085】
図11〜12は、本発明の一実施形態に従う、供給/廃液ボトル1100を図示する。このボトル1100は、任意の所望の構成であり得る。好ましくは、ボトル1100は、ボトル1100の輸送を容易にするハンドル1110を有する。ボトル1100はまた、従来のねじ切り型キャップ1120、またはスナップオンキャップのような当該分野で公知の任意の他のクロージャーを使用してシールされ得る、アクセス部分または噴出口を有する。ボトル1100にはまた、流体ポート1130および加圧ポート1140が備え付けられる。流体ポート1130は、それぞれ、供給ボトルおよび廃液ボトルに関して、上記のように液体を供給または受容するために使用され得る。流体ポートは、当該分野で公知の任意の流体ポートであり得る。例えば、流体ポートは、組織処理システムの一部である、ニップルを受容するように構成され得る。さらに、シーリング特徴が、ボトル1100の一部として、および/または組織処理システムの一部として、界面に備えられ得る。例えば、止め栓または自己シーリングコネクタが使用され得る。
【0086】
加圧ポート1140は、上記のように、ボトル1100を加圧ポンプまたは減圧ポンプと係合するために使用され得、ボトルが供給ボトルとして使用されるか、または廃液ボトルとして使用されるかに依存して、供給/廃液ボトル1100内の減圧または加圧を生成する。この加圧ポートは、当該分野で公知の任意の流体ポートであり得る。例えば、流体ポートは、組織処理システム内に備えられるニップルを受容するように構成され得る。さらに、シーリング特徴が、ボトル1100の一部として、および/または組織処理システムの一部として、界面に備えられ得る。例えば、止め栓または自己シーリングコネクタが使用され得る。
【0087】
図12に示すように、ボトル1100は、流体ポート1130および加圧ポート1140を、組織処理システム上に提供される取付具1150に固定することによって、組織処理システムの供給導管または排液導管に接続され得る。取付具1150は、マニホルドアセンブリ500につながる供給導管および排液導管へと、ボトル1100を実質的にしっかりと取り付ける。本発明の一実施形態によれば、供給ボトルおよび廃液ボトルの流体ポート1130および加圧ポート1140は、これらが、供給ボトルまたは廃液ボトルのために提供された対応する取付具1150とのみ嵌合し得るように構成される。例えば、供給ボトルのための取付具1150は、廃液ボトルのための取付具1150とは異なる形状であり得る。さらに、または代替的には、加圧ポートは、供給ボトル上の加圧ポートが、廃液ボトル上の加圧ポートよりも高く位置決めされるように、相殺され得る。供給ボトルが、廃液ボトルのために設計された位置でシステムに取り付けられることを防止する(逆もまた同様である)、任意の型の顕著な特徴が使用され得る。
【0088】
ボトル1100の各々の流体レベルに関する情報を提供するために、1つ以上のセンサ1160がまた、図12に示すように備えられ得る。1つの実施形態において、1つのセンサ1160は、ボトル1100の横軸に対して平行に移動可能であるように、各ボトル1100に隣接して移動可能に設置される。例えば、センサ1160は、横移動するセンサキャリア1170(例えば、垂直軌道上に取り付けられた棒)に係合され得る。センサキャリア1170は、システムの固定位置に備えられる、軌道またはガイド上に取り付けられ得、これは、当該分野で公知の任意の方法で作動され得る。例えば、センサキャリア1170は、モーター(例えば、ステッパーモーターまたは一定反作用モーター)によって作動され得るか、または、液圧式もしくは空気式に作動され得る。示されるように、センサ1160の各々は、各ボトル位置に隣接するシステムハウジングの一部を通って延びる、それぞれの開口部1180内に位置決めされ得る。センサ1160を開口部1180内に位置決めすることによって、センサ1160とそれぞれのボトルとの間の距離を減らし得る。好ましくは、1つのセンサ1160が、各ボトル位置に対応し、そして、これらのセンサは、共通のセンサキャリアに係合される。このような実施形態は、各ボトルについてセンサアレイを構築することと比べた場合、センサのコストを低下させ得る。さらに、このようなシステムは、センサの増加または減少を必要とすることなく、所望されるように流体レベルを増加または減少する能力を提供し得る。
【0089】
センサキャリア1170および/またはセンサ1160の位置フィードバックがまた、好ましくは提供される。例えば、位置フィードバックは、センサキャリア1170および/またはセンサ1160の動きによってトリガされる、1つ以上の近位センサにより提供され得る。センサキャリア1170、センサ1160の位置フィードバックを提供するために使用され得る他のデバイスとしては、電気レゾルバーまたは光学レゾルバー、線形可変配置トランスデューサ(LVDT)、または任意の他の型の位置センサが挙げられる。さらに、モーターを利用する実施形態において、モーター駆動ソフトウェアを使用して、例えば、ステッパーモーターの工程を計数することによって、センサキャリア1170および/またはセンサ1160の位置を決定し得る。センサ1160は、システムに流体レベルの情報を提供し得る、当該分野で公知の任意の型のセンサであり得ることがまた理解されるべきである。好ましくは、センサ1160は、センサ1160がボトル1100の外側に位置決めされた場合に、流体レベルを決定し得る、容量センサである。
【0090】
上記組織処理システムの操作の間、このシステムは、システム状態または物質一覧の決定を必要とし得、それは、バルク廃液ボトルおよび/またはバルク供給ボトルの流体レベルを決定する工程を包含し得る。流体レベル情報を集めるために、センサキャリア1170が垂直方向に移動され、キャリア1170の移動に沿って漸増距離でそれぞれのボトル中の流体の存在または非存在を決定するために、センサ1160が使用される。1つの実施形態では、センサキャリア1170は、最初は、底位置に位置決めされ得る。次いでセンサキャリア1170は、漸増的に上方向に移動され得、センサ1160は、各漸増位置で読み取りを行う。1つの実施形態では、センサの読み取りは、255個の漸増位置で行われる。センサ1160は、それがある位置で流体の存在を検出する場合は、「トリガされた」状態を示し得、そしてそれが流体の存在を検出しない場合には「トリガされていない」状態を示し得る。次いで、このシステムは、「トリガされた」から「トリガされていない」へ、または「トリガされていない」から「トリガされた」へ変化されたセンサ1160がどの状態の間の位置にあるかを決定することにより、ボトルの流体レベルを決定し得る。上記センサキャリアおよびセンサは、任意の方向で駆動され得、そして単一の読み取り値を集める間、それらは、複数の方向に移動され得ることが理解される。例えば、上記キャリアは、上方の最初の位置から下向きに移動され得るか、または上記キャリアは、二者択一のより上方の位置とより低い位置との間で移動され得る。各センサ読みの間の距離が一定を保つことが必ずしも必要ではないこともまた、理解される。特に、このキャリアは、センサの状態の変化が検出されるまで、センサの読みの間の相対的に大きい距離を移動され得る。次いで、移動の方向は、逆にされ得、そしてセンサの読みは、そのセンサの状態が変化するまで、より小さい距離を離して行われ得る。複数の反転工程が含まれ得、そして読みの間の距離は、各工程で減少され得る。このような技術は、上記流体レベルを決定するために必要とされる時間を減らすために使用される。この流体レベルの決定の精度は、センサ1160の漸増移動の間の距離に依存し、そしてそのボトルの中に含まれる流体の型/種類にも依存し得ることもまた、理解される。結果として、センサ読みの間の距離が減少するにつれて、流体レベルの決定の精度は高まる。
【0091】
各ボトルについて決定される流体充填レベルに基づき、上記システムは、種々の手順を開始し得る。このような手順としては、1つ以上のボトルを充填することまたは空にすること、ボトルが置き換えを必要としているというシグナルをユーザーインターフェースに送ること、手順を休止すること、またはこのシステムを停止することを含む。バルクボトルを充填することまたは空にすることは、ボトルを置き換えることによるかまたはより大きいバルクボトルおよび本明細書中に記載されるマニホルドアセンブリを利用してボトルの間の所望の流れを開始することにより達成され得ることが理解される。より大きいバルクボトルが、上記システムの内部または外部に含まれ得る。
【0092】
減圧または加圧が供給ボトル900に適用されるかまたは廃液ボトル1000に適用されるかに関わらず、流体流れは、供給ボトル900または廃液ボトル1000と上記マニホルドまたはバルク容器910、1020の入口600または出口610との間の圧力差を作製することにより、もたらされる。供給ボトル900または廃液ボトル1000に適用される減圧または加圧は、所望の流体流れの方向に圧力勾配を作製する。その圧力は、モニタリングされ得、そして流体ポート1130と加圧ポート1140との間で制御され得、上記コントローラが弁を制御して制御された流体流れを提供することを可能にする所望の圧力勾配を作製し得る。
【0093】
上記自動化試薬分配システムにおいて提供される入口600と反応チャンバとの間の圧力差はまた、この反応チャンバを通る流体流れを誘導し得る。さらなる圧力差は、出口610で陰圧(または減圧)を提供することにより発生され得、これは出口610の方向の流れを誘導する。上記反応チャンバに導入された流体(単数または複数)がそのチャンバ内に所望量の時間入っていた後に、残存流体(単数または複数)は、陰圧差または減圧が出口610を介して導入されるのと同様の様式で、出口610を経由して放出され得る。必要に応じて、洗浄流体が、入り口600を通して上記反応チャンバに導入され得るかまたはポンプ注入され得、所望のように上記反応チャンバを洗い流し得る。出口610は、必要に応じてフィルタ(または複数の小さい開口部)を含み、残骸をふるいにかけるかまたは濾過する。
【0094】
図13は、本発明の実施形態に従う自動化組織処理システム1340のブロック図である。システム1340は、主要コントローラ1350を含み得る。この主要コントローラ1350は、中央処理装置(CPU)または他のコントローラであり得る。主要コントローラ1350は、個人用コンピューター1360または他のデバイスと通信し得る。主要コントローラ1350はまた、1つ以上の周辺コントローラ1370と通信し得る。コントローラ1370は、例えば、上記自動化組織処理システム1340の中に提供される(上に記載されたような)回転ラックの回転運動を制御する回転ラックモーターコントローラであり得る。別のコントローラ1370は、上記自動化組織処理システム1340の長さおよび幅に沿った上記回転ラックの水平方向および垂直方向の移動を制御する二車軸モーターコントローラであり得る。
【0095】
主要コントローラ1350はまた、1つ以上のマニホルドアセンブリ1380と通信し得てもよい。主要コントローラ1350は、例えば、マニホルドアセンブリ1380の上に提供される弁の位置を制御して、上に記載されたように、トレイと供給ボトルまたは廃液ボトルとの間の直接の流路を作製し得る。
【0096】
マニホルドアセンブリ1380は、1つ以上の電源1390と通信し得る。電源1390は、上記マニホルドアセンブリが回路基盤上のコントローラを含む場合のように、そのマニホルドアセンブリが独立に作動し得るように、マニホルドアセンブリ1380に電力を供給し得る。電源1390は、様々な量の電力を提供し得る。例えば、電源1390は、24ボルト(V)直流(DC)電源、5ボルトDC電源、および3.3V DC電源を含み得る。各電源1390は、マニホルドアセンブリ1380の種々の部分を作動させるために使用され得る。例えば、様々な電源1390が、(上に記載されたように)弁、減圧ポンプまたは加圧ポンプ、およびスイッチを作動するために使用され得る。
【0097】
自動化組織処理システムのための初期化手順が、ここで、図14を参照して記載される。この初期化手順は、開始状態が検出された後(ボックス1410)で、発生する。開始状態は、例えば、上記自動化組織処理システムのカバーを閉じること、コントローラから開始シグナルを受け取ること、または他の状態であり得る。開始状態が検出されない場合、上記自動化組織処理システムは、開始状態が受け取られるまで、開始状態が検出されるかどうか連続的に点検し得る。
【0098】
開始状態を検出した後、一覧手順が、ボックス1420として概略的に示されるように実行され、試薬カートリッジ、供給ボトル、標本トレイなどの状態を決定し得る。一覧手順の完了の際に、上記自動化試薬分配システムは、ボックス1430として概略的に示されるように、命令シーケンスをコントローラから受け取り得る。この命令シーケンスは、トレイの中に提供されたスライドの上に取り付けられた組織サンプルに適用されるべき、1つ以上の染色プロセスを規定する。上に記載されたように、この染色プロセスは、各試薬または他の流体のどれがどれだけ多く各組織サンプルに適用されるべきか、そしてどれだけの時間にわたって適用されるべきであるかを識別する。
【0099】
上記命令シーケンスを受け取った後に、染色プロトコルが、ボックス1440として概略的に示されるように、自動化試薬分配システムによって実行される。この染色プロセスが実行されている間、上記自動化組織処理システムは、中断シグナルが受け取られたかどうかモニタリングする。中断シグナルは、例えば、自動化試薬分配システムのカバーの開放、コントローラから受け取られた命令、または別の事象によりもたらされ得る。中断シグナルが受け取られた場合、上記自動化試薬分配システムは、ボックス1460として概略的に示されるように、処理を停止する。次いで、処理再開シグナルが受け取られたかどうかに関する決定がなされる。処理シグナルが受け取られなかった場合、この自動化組織処理システムは、停止を続ける(ボックス1460)。しかし、処理再開シグナルが受け取られた場合、上記自動化組織処理システムは、ボックス1440として概略的に示されるように、上記染色プロトコルを実行し続ける。
【0100】
中断シグナルが受け取られなかった場合、処理が完了したかどうかの決定がなされる。処理は、上記自動化組織処理システム中に提供された組織サンプルの各々についてすべての染色プロトコルを完了する工程を包含し得る。その処理が完了していない場合、上記自動化組織処理システムは、ボックス1440として概略的に示されるように、上記染色プロトコルを実行し続ける。処理が完了したという決定がなされる場合、処理完了シグナルがコントローラに出力され得(ボックス1490)、そして上記自動化試薬分配システムは、ボックス1460として概略的に示されるように、処理を停止する。
【0101】
図15は、さらに詳細に、本発明の実施形態に従う中断事象手順を示す。(ボックス1510として概略的に示されるように)中断シグナルが受け取られたかどうかに関して決定がなされる。中断シグナルが受け取られると、ボックス1520として概略的に示されるように、有害状態が存在するかどうかに関して決定がなされる。有害な状態は、例えば、それに伴う有毒な気体を有する試薬が丁度分配され、それにより使用者がそれに暴露された場合に病気になり得ることであり得る。有害な状態が存在するという決定がなされる場合、その有害なプロセスは、ボックス1530として概略的に示されるように、完了され得る。回転ラックまたは他の試薬カートリッジホルダーが、次いで、ボックス1540として概略的に示されるように、元の位置に移動され得る。使用者は、上記自動化組織処理システムの内部部分にアクセスすることが可能になる(ボックス1550)。この使用者は、例えば、鍵または上記自動化組織処理システムのカバーが開かれることを防止する他の機構を開けることにより、アクセスすることが可能になり得る。
【0102】
上記自動化組織処理システムは、次いで、ボックス1560として概略的に示されるように、再開シグナルが受け取られたかどうかを決定する。再開シグナルは、上記カバーを閉じることか、または上に記載されたようなコントローラによリ出力される命令により、もたらされ得る。再開シグナルが受け取られなかった場合、上記自動化組織処理システムは、上記カートリッジ回転ラックまたはホルダーを元の位置に配置し続ける(ボックス1540)。しかし、再開シグナルが受け取られた場合、上記自動化組織処理システムは、ボックス1570として概略的に示されるように、上記染色プロトコル(単数または複数)を再開する。
【0103】
図16は、図14のボックス1440として概略的に示されるような実行プロトコル手順に関連するサブステップを示す。実行プロトコル手順は、ボックス1610として概略的に示されるような、試薬を分配する工程を包含する。上記バルク容器は、さらなる試薬を供給ボトルに供給するために使用され得る。このバルク容器は、上記バルク容器から上記ボトルへ上記試薬を移動させるために使用者の介入が必要とされるように、手動で作動され得る。このことは、例えば、スイッチまたは上記試薬を上記バルク容器から、供給ラインまたは導管を通して、上記供給ボトルへ移動させる他の機構を作動させることにより、なされ得る。あるいは、上記自動化組織処理システムは、自動化的に上記供給ボトルを充填し得る。このことは、スキャン手順が実施された後に、実施され得る。例えば、このスキャン手順は、小量の試薬を含む1つ以上のボトルがさらなる試薬を必要としていることを識別し得る。上記自動化組織処理システムは、適切なバルク容器からの試薬を上記ボトルへ移動させることにより、上記ボトルの充填を開始し得る。このことは、ポンプまたは他の公知の機構を使用して実施され得る。
【0104】
上記実行プロトコルはまた、ボックス1620として概略的に示されるように、上記カートリッジから試薬を分配する工程を包含する。この試薬は、このカートリッジから、例えば、ポンプを使用して、分配され得る。このカートリッジは、ソレノイドにより作動されるポンプを備え得る。特定の試薬が分配される必要がある場合、上記自動化組織処理システムは、そのカートリッジを伴うソレノイドを、そのソレノイドに信号を転送することにより、作動させる。このソレノイドは、上記ポンプを押し、所定量の試薬を上記カートリッジから分配されるようにする。好ましくは、上記試薬は、所望の回数で、染色プロトコルに従って、分配される。上記自動化組織処理システムはまた、ボックス1630として概略的に示されるように、トレイ試薬容器から、試薬を分配し得る。
【0105】
染色プロトコルの完了の際に、上記トレイを伴う排出ポートは、ボックス1640として概略的に示されるように、作動され得る。この排出ポートは、例えば、そのトレイに提供される穴であり得る。減圧が、このトレイに適用され、その減圧によって、そのトレイに位置する試薬が、廃液導管内に吸い込まれる。本発明の1つの実施形態にしたがって、この廃液は、有害な廃液と非有害な廃液に分けられ得、各々がそれぞれの廃液容器に入る。
【0106】
図17は、本発明の1つの実施形態に従う自動化組織処理システムによる全体の手順を概略的に示す。最初の工程として、自動化染色手順を実施するために必要とされる工程を規定するスクリプトまたは処理プログラムが、コントローラからダウンロードされる。この工程は、ボックス1710として概略的に示される。ダウンロードされたスクリプトは、スライドに伴う識別子をスキャンすることにより得られる情報に基づき得る。このスライドに適用されるべき主要な試薬が、ボックス1720として概略的に示されるように、決定される。この主要な試薬情報はまた、上記スライドに伴う識別子から得られ得る。特定のスライドに適用されるべき1つ以上の染色プロトコルは、ボックス1730として概略的に示されるように、識別される上記主要な試薬に基づいて決定される。決定された染色プロトコルは、ボックス1740として概略的に示されるように、次いでマニホルドコントローラに転送される。このマニホルドコントローラは、上記カートリッジが取付けられている回転ラックおよびこのカートリッジからの試薬の分配を制御する。このマニホルドコントローラはまた、(上に記載されたように)弁640の位置を制御する。実行されるべき染色プロトコルに基づき、上記マニホルドコントローラは、どの弁が開位置である必要があり、そしてどの弁が閉位置である必要があるかを決定する。次いでこのマニホルドコントローラは、ボックス1750として概略的に示されるように、上記弁を決定された位置に位置決めする(必要とされる位置にまだ存在していないかも知れない任意の弁の位置を切り替える)。必要な弁の各々を、所望の位置に獲得したとき、上記自動化組織処理システムは、ボックス1760として概略的に示されるように、そのプロトコル(単数または複数)を実行する。
【0107】
次いで、ボックス1770として概略的に示されるように、この処理が完了しているかどうかに関して、決定がなされる。上記処理が完了していないという決定がなされる場合、ボックス1780として概略的に示されるように、リンスサイクルが実施され得る。このリンスサイクルは、上記自動化組織処理システムに導入された試薬および/または他の溶液を排出するために実施され得る。このリンスサイクルは、水または他の洗浄溶液を上記自動化組織処理システムのトレイに導入して、導入された試薬または他の溶液をこのトレイから洗い流す工程を包含し得る。このリンスサイクルが完了した後に、ボックス1750として概略的に示されるように、上記弁は、実行されるべきさらなる染色プロトコルにより必要とされるとおりに、再び位置決めされ得る。しかし、処理が完了しているという決定がなされる場合、ボックス1790として概略的に示されるように、この処理は停止され得る。
【0108】
このように、組織処理システムのためのマニホルドアセンブリおよび方法が提供されることがわかる。当業者は、本発明が、限定の目的のためではなく例示の目的のために本記載の中で提示される種々の実施形態および好ましい実施形態以外のものにより実施され得、そして本発明が、添付の請求の範囲によってのみ限定されることを理解する。本記載中で考察された特定の実施形態に対する等価物が、同様に本発明を実施し得ることが注記される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、本発明に従う、1つ以上のスライド保持トレイとの使用のために適切な組織処理システムの平面図である。
【図2】図2は、図1の組織処理システムの側面図である。
【図3】図3は、本発明に従う、スライド保持トレイを製造するための方法を描写するフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に従う、スライド保持トレイを用いる方法を描写するフローチャートである。
【図5】図5は、本発明に従う、マニホルドアセンブリの部分的に分解した図である。
【図6】図6は、本発明に従う、マニホルドアセンブリの分解図である。
【図7】図7は、本発明に従う、流体経路を示すマニホルドアセンブリの実施形態の平面図である。
【図8】図8は、本発明に従う、例示のマニホルドアセンブリの流体経路および弁の概略図である。
【図9A】図9Aは、本発明に従う、組織処理システムの代替の実施形態の配管系統概略図である。
【図9B】図9Bは、本発明に従う、組織処理システムの代替の実施形態の配管系統概略図である。
【図10】図10は、本発明に従う、組織処理システムの概略図である。
【図11】図11は、本発明に従う、供給/廃液容器の斜視図である。
【図12】図12は、本発明に従う、組織処理システムの一部分に連結された供給/廃液ボトルの斜視図である。
【図13】図13は、本発明に従う、組織処理システムのブロック図である。
【図14】図14は、本発明に従う、試薬分配の初期化手順を描写するフローチャートである。
【図15】図15は、本発明に従う、試薬分配システムの中断事象手順を描写するフローチャートである。
【図16】図16は、本発明に従う、試薬分配システムのプロトコルを実行するためのサブステップを描写するフローチャートである。
【図17】図17は、本発明に従う、全体手順を描写するフローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
500 マニホルドアセンブリ
510 プラテン
520 マニホルド
550 スライド保持トレイ
600 入口
610 出口
640 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化組織処理システムのためのマニホルドアセンブリであって:
マニホルドであって、これを通じて延びる所定パターンの流体導管を含むマニホルド;および
該マニホルドに取付けられたプラテンであって、複数のサンプル受容部分を含み、ここで、サンプル受容部分の各々が、該マニホルドの少なくとも1つの流体導管と流体連絡する入口、および少なくとも1つの流体導管と流体連絡する出口を含むプラテン、を備える、マニホルドアセンブリ。
【請求項2】
前記マニホルドが、2つの別個の片の材料から形成される、請求項1に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項3】
前記2つの別個の片の材料が機械的にエッチングされて相補的通路を形成し、そして該相補的通路が、前記所定パターンの流体導管を形成するように連結されている、請求項2に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項4】
前記材料がポリマーである、請求項2に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項5】
前記2つの片の材料が機械によってともに固定される、請求項2に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項6】
前記マニホルドが、少なくとも1つの供給ボトルおよび少なくとも1つの廃液ボトルと流体連絡している、請求項1に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの供給ボトルと流体連絡する加圧ポンプをさらに備える、請求項6に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの廃液ボトルと流体連絡する減圧ポンプをさらに備える、請求項6に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項9】
前記プラテンの近位端上の入口ポートおよび該プラテンの遠位端上の排出ポートをさらに備える、請求項1に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項10】
前記流体導管を通る流体流れを制御するような形態の複数の弁をさらに備える、請求項1に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項11】
前記マニホルドに連結された弁コントローラをさらに備える、請求項10に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項12】
前記マニホルドと前記コントローラとの間のマニホルドに連結されたドリップフレームをさらに備える、請求項11に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの供給ボトルが、流体レベルセンサを含む、請求項6に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの廃液ボトルが、流体レベルセンサを含む、請求項13に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項15】
前記流体レベルセンサが、共通センサキャリアに連結される、請求項14に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項16】
前記センサキャリアが、前記供給ボトルの垂直軸に平行に移動するような形態である、請求項15に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項17】
前記サンプル受容部分の少なくとも1つに連結された少なくとも1つのヒーターをさらに備える、請求項1に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項18】
前記プラテンに連結された複数のヒーターをさらに備え、ここで、該複数のヒーターの各々が独立に作動される、請求項1に記載のマニホルドアセンブリ。
【請求項19】
自動化組織プロセッサのマニホルドを操作する方法であって:
処理するプログラムに関する命令を受容する工程;
組織サンプルを支持し、供給原とサンプル受容トレイの入口との間の流体経路を作成するマニホルドアセンブリに含められた複数の弁を位置決めする工程であって、ここで、該マニホルドアセンブリが、それを通って延びる複数の流体経路を規定するマニホルドを含む工程;および
該流体経路および該サンプル受容トレイの入口を通って試薬を組織サンプルに適用する工程、を包含する、方法。
【請求項20】
組織処理システムにおける使用のためのマニホルドシステムであって:
マニホルドアセンブリ;
該マニホルドアセンブリと流体連絡する複数のバルク流体ボトル;
複数の流体レベルセンサであって、各流体レベルセンサが、個々のバルク流体ボトルに隣接して配置されている流体レベルセンサ;
供給ボトルの垂直軸に平行な方向に移動するような形態のセンサキャリアであって、ここで、該複数の流体レベルセンサが該センサキャリアと連結されるセンサキャリア、を備える、マニホルドシステム。
【請求項21】
少なくとも1つのバルク流体ボトルに流体により連結される加圧流体出力を含む加圧ポンプをさらに備える、請求項20に記載のマニホルドシステム。
【請求項22】
少なくとも1つのバルク流体ボトルに流体により連結される流体入力を含む減圧ポンプをさらに備える、請求項21に記載のマニホルドシステム。
【請求項23】
前記マニホルドアセンブリがマニホルドを含み、該マニホルドがそれを通って延びる所定パターンの流体導管を含む、請求項20に記載のマニホルドシステム。
【請求項24】
前記マニホルドが、2つの別個の片の材料から形成される、請求項23に記載のマニホルドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−220658(P2006−220658A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34547(P2006−34547)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(504462571)サクラ ファインテック ユー.エス.エー., インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】