説明

マラリア治療のための置換テトラサイクリン化合物

【課題】マラリアを治療又は予防する方法の提供。
【解決手段】下記式で表される置換テトラサイクリン化合物および、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。さらに、置換テトラサイクリン化合物は、一種以上の抗マラリア化合物の組み合わせて用いることも、あるいは、一種以上の他の抗マラリア化合物に対して耐性であるマラリアを治療又は予防するために用いることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年10月24日出願の米国仮特許出願第60/421,259号に基づく優先権を主張するものである。さらにこの特許出願は、2001年4月24日出願の標題「マラリア治療のための置換テトラサイクリン化合物」の米国仮特許出願第60/286,193号に基づく優先権を主張した、2002年4月24日出願の標題「マラリア治療のための置換テトラサイクリン化合物」の米国特許出願第10/128,990号にも関する。上記の出願のそれぞれの内容全体を、引用をもってそれらの全文をここに援用することとする。
【背景技術】
【0002】
毎年、約3億乃至5億件のマラリア症例がある。世界人口の約40%がこの疾患に罹患する危険性がある (Croft (2000) BMJ 321:154-160.) 。マラリアは、頭痛、不定愁訴、貧血、脾腫、並びに低温、高温、及び湿性段階のある発作を特徴とする。 (Winstanley (1998) Journal of the Royal College of Physicians of
London 32(3):203-207.) 。溶血及び虚血は、急性マラリアで見られる症状の大半を起こす。マラリアは、プラスモディウム属の原虫により引き起こされる。100を越える種があり、そのうち22種はヒト以外の霊長類に感染し、そして82種はは虫類及び鳥類にとって病原性である。ヒトに通常感染する4つの種は、P.ファルシパルム(原語:P. falciparum)、P.マラリアエ(原語:P. malariae)、P.ヴィヴァックス(原語:P. vivax)及びP.オヴァール(原語:P ovale)である。
マラリアは、アノフェレス蚊の咬傷、感染血の輸注、経胎盤、そして、研究室での播種事故によって、伝播する場合がある。
【0003】
プラスモディウムは複雑な生命周期を有し、その有性生殖期はアノフェレス蚊中で起き、無性生殖期は脊椎動物のホスト(即ちヒト)の体内で起きる (Randall, et al. (1985) Pediatric Clinics of North America
32(4):893-916.) 。蚊の有性生殖のプロセスはスポロゴニーと呼ばれ、生殖母体の成熟からスポロゾイトの発生までの期間を含む。メスのアノフェレス蚊は摂食するとき、感染ホストの血中にある生殖母体を取り込む。この蚊に取り込まれた生殖母体は、蚊の腸まで運ばれる。小配偶子と大配偶子との間の融合により接合子が形成される。12乃至24時間後、この接合子は長く伸びて運動性になり、オーキネットと呼ばれる。このオーキネットは後に、蚊の胃を貫通して卵を形成し、この卵が数千もの紡錐体型のスポロゾイトに分割して、蚊の体内に放出される。
【0004】
血液飼料が、感染アノフェレス蚊に取り込まれると、この蚊の唾液腺から出るスポロゾイトが当該脊椎動物ホスト(即ちヒト)の血流に播種され、肝臓まで運ばれる。発生上の肝臓段階の終わりに、数千ものメロゾイトが循環血中に放出されてそこで赤血球に結合及び赤血球に進入する。無性生殖の赤血球段階はシゾゴニーと呼ばれる。感染した赤血球が破裂すると、それらはメロゾイトを放出するが、このメロゾイトはより多くの赤血球を侵襲することができる。放出されたメロゾイトで他のものは、摂食する蚊に感染してプラスモディウムの生命周期を再開することのできる配偶体に成る。
【0005】
発明の概要
本発明は、少なくとも部分的には、置換テトラサイクリン化合物を有効量、投与することにより、対象においてマラリアを治療又は予防する方法に関する。本方法は、式I:
【0006】
【化1】

【0007】
の置換テトラサイクリン化合物を有効量、対象に投与するステップを含み、
但し式中、
X はCHC(R13Y’Y)、CR6’R6、 S、NR6、又はOであり;
R2、 R2’、R4’、及びR4” はそれぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式、ヘテロ芳香族又はプロドラッグ部分であり;
R4 はNR4’R4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、又は 水素であり;
R3、R11 及びR12 はそれぞれ水素、又はプロドラッグ部分であり;
R10 は水素、プロドラッグ部分であるか、又はR9 に連結して一個の環を形成し;
R5 はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、ヘテロ芳香族, アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、又はアリールカルボニルオキシであり;
R6 及びR6’ は個別に水素、メチレン、存在しない、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R7 は水素、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はマラリア相互作用性部分であり;
R9 は水素、又はマラリア相互作用性部分であり;
R8 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R13 は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
Y’及びY はそれぞれ個別に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;但し条件として、式Iの化合物は、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、ミノサイクリン、又はテトラサイクリン;及び;これらの薬学的に許容可能な塩、ではない。
【0008】
さらに本発明は、少なくとも部分的に、哺乳動物などの対象においてマラリアを治療又は予防する医薬の調製における、式Iの置換テトラサイクリン化合物の使用にも関する。
【0009】
本発明は、少なくとも部分的に、プログアニル、クロルプログアニル、トリメトプリム、クロロキン、メフロキン、ルメファントリン、アトヴァクオン、ピリメタミン-スルファドキシン、ピリメタミン-ダプソン、ハロファントリン、キニン、キニジン、アモジアキン、アモピロキン、スルホンアミド、アルテミシニン、アルテフレン、アルテメーテル、アルテスネート、プリマキン、及びピロナリジンなどの1つ以上の抗マラリア化合物に耐性のマラリアを治療又は予防するための方法に関する。
【0010】
別の局面では、本発明は、有効量の上記の置換テトラサイクリン化合物のうちの1つと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物にも関する。
【0011】
さらに本発明は、本発明の置換テトラサイクリン化合物のうちの一つ以上を、本化合物を用いてマラリアを治療するための指示と一緒に梱包して含む、梱包されたマラリア治療法も特徴とする。
【0012】
発明の詳細な説明
ある局面では、本発明は、置換テトラサイクリン化合物を有効量、投与することにより、対象においてマラリアを治療又は予防する方法に関する。
【0013】
用語「マラリア」は、例えばプラスモディウム属の原虫により引き起こされる異常など、「マラリア」として公知の当業で認識された状態を包含する。マラリアは一般に、頭痛、不定愁訴、貧血、脾腫、並びに低温、高温、及び湿性段階のある発作などの症状を特徴とし、蚊によって伝播する。 (Winstanley (1998) Journal of the Royal College of Physicians of
London 32(3):203-207.) 更なる実施態様では、前記原虫はP.ファルシパルム、P.ヴィヴァックス、P.オヴァール、及びP.マラリアエから成る群より選択される。
【0014】
用語「治療される」、「治療する」又は「治療」は、例えば頭痛、不定愁訴、貧血、脾腫、並びに低温、高温、及び湿性段階のある発作など、マラリアに関連する、又は、マラリアにより引き起こされる少なくとも1つの症状の減衰又は軽減を包含するものである。例えば、治療は、マラリアの1つ又は複数の症状の減衰であっても、あるいは、マラリアの完全な根絶であってもよい。
【0015】
用語「予防される」、又は「予防する」は、現在マラリアに罹患していない対象への、本発明の置換テトラサイクリン化合物の投与であって、その結果、当該対象が、投与後で、マラリアへの曝露後のある期間、マラリアに罹患しないような投与を包含する。
【0016】
用語「テトラサイクリン化合物」は、例えばメタサイクリン、サンサイクリン、アピサイクリン、クロモサイクリン、グアメサイクリン、メグルサイクリン、メピルサイクリン、ペニメピサイクリン、ピパサイクリン、エタモサイクリン、ペニモサイクリン等や、特徴的なナフタセンA-B-C-D環構造を有する他のテトラサイクリン化合物など、テトラサイクリン・ファミリ・メンバを包含するものである。更なるテトラサイクリン化合物は、例えば米国特許出願第09/234,847号、及び米国特許第5,834,450号;第5,532,227号;第5,789,395号;第5,639,742号、並びにドイツ特許DE 28 14 974 及びDE 28 20 983に見ることができる。上記の出願及び特許の内容全体を、引用をもってここに援用することを明示しておく。
【0017】
近年の研究努力は、様々な治療条件及び投与経路で有効な新規なテトラサイクリン抗生物質組成物の開発や、1948年に最初に導入されたテトラサイクリン・ファミリに等しい、又はより有効であることが立証されるような新規なテトラサイクリン類似体の開発に焦点が注がれてきた。このような進展の代表には、米国特許第3,957,980号、第3,674,859号、第2,980,584号、第2,990,331号、第3,062,717号、第3,557,280号、第4,018,889号、第4,024,272号、第4,126,680号、第3,454,697号、及び第3,165,531号がある。これらの発行済み特許は、薬理学的に活性なテトラサイクリン及びテトラサイクリン類似体組成物を探す多様な範囲の調査の例に過ぎず、それぞれの内容を引用をもって援用することを明示しておく。
【0018】
歴史的には、それらの最初の開発及び導入の直後に、テトラサイクリン類は、具体的な処方又は化学構造に関係なく、リケッチア、数多くのグラム陽性及びグラム陰性細菌や、結膜炎及びオウム病を含め、鼠径リンパ芽腫症の原因物質に対して、薬理学的有効性が高いことが見出された。従って、テトラサイクリン類は「広域」抗生物質として知られるようになった。その後、in vitroでそれらの抗菌活性、実験的感染での有効性や、薬理学的特性が確認されたことから、1つのクラスとしてのテトラサイクリンは治療目的に幅広く用いられるようになった。しかしながら、主要な疾病や些細な疾病の両方にこのテトラサイクリンが幅広く使用されたために、共生性及び病原性の両方の感受性の高い細菌種(例えば肺炎双球菌及びサルモネラ)にまで、これらの抗生物質に対する耐性が直接、生じることとなった。テトラサイクリン耐性生物が出現した結果、選択される抗生物質としてのテトラサイクリン及びテトラサイクリン類似体組成物の使用が全体的に減少した。
【0019】
用語「置換テトラサイクリン」及び「置換テトラサイクリン化合物」は、式Iのテトラサイクリン化合物を包含する。ある実施態様では、用語「置換テトラサイクリン化合物」は、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、ミノサイクリン、及びテトラサイクリンを包含しない。更なる実施態様では、「置換テトラサイクリン化合物」は、メタサイクリン及びサンサイクリンを包含しない。別の更なる実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、例えばここに引用をもってそれぞれの全文をここに援用することとする米国特許第6,043,231号、第5,919,775号、第5,789,395号に解説された化合物を包含しない。本発明の置換テトラサイクリン化合物は、例えば当該の置換テトラサイクリン化合物が、マラリアを治療又は予防するなど、それに意図された機能を果たすことができるように、特定の生物学的又は物理的特性が高められるように、置換されてもよい。
【0020】
ある実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、当業で公知又は実施例6で解説された検定で測定したときに、抗菌グラム陽性活性を有するものでもよい。ある実施態様では、本置換テトラサイクリン化合物の抗菌グラム陽性活性は、約0.0001μg/mlを越える、約0.05μg/mlを越える、約0.5μg/mlを越える、約1.0μg/mlを越える、又は約5.0μg/mlを越える。ここで上述した数値に含まれた、及び/又は、中間の数値及び範囲も、本発明の範囲内にあると意図されている。
【0021】
別の実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は抗菌性でない。いくつかの実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、グラム陽性及び/又は陰性細菌に対して抗菌活性を有する。いくつかの実施態様では、本発明のテトラサイクリン化合物は、グラム陽性及び/又はグラム陰性細菌に対して抗菌活性を有さない。他の実施態様では、グラム陽性及び/又はグラム陰性細菌に対して約2μg/mlを越える、約3μg/mlを越える、約4μg/mlを越える、約5μg/mlを越える、約6μg/mlを越える、約8μg/mlを越える、約9μg/mlを越える、約10μg/mlを越える、約11μg/mlを越える、約12μg/mlを越える、約13μg/mlを越える、約14μg/mlを越える、約15μg/mlを越える、約16μg/mlを越える、約17μg/mlを越える、約18μg/mlを越える、約19μg/mlを越える、約20μg/mlを越える、約25μg/mlを越える、約30μg/mlを越える、約40μg/mlを越える、又は約50μg/mlを越えるMICを有する化合物は、抗菌活性を有するとは見なされない。
【0022】
別の実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、本化合物を有効量、対象に投与しても、極端に重い細胞毒性副作用を起こさないような細胞毒性を有する。ある実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物の細胞毒性は、実施例5で解説した検定など、当業で公知の細胞毒性検定で測定したときに、約10μg/ml、約15μg/ml、約20μg/ml、又は約25μg/ml を越える。
【0023】
別の実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、例えば対象においてマラリアを治療又は予防するなど、それに意図された機能をそれが果たせるようにするMICを有する。当該のMICは、マラリア寄生虫を阻害するために必要な化合物濃度の尺度である。当該のMICは、当業で公知の方法や、実施例3で解説されたin vitro法、又は、実施例4で解説したin vivo法を用いて検査することができる。ある実施態様では、in vitroで測定したときの置換テトラサイクリン化合物のMICは、約1000 nM以下、約900
nM以下、約800 nM以下、約700 nM以下、約600 nM以下、約500 nM以下、約450
nM以下、約400 nM以下、約350 nM以下、約300 nM以下、約250 nM以下、約200
nM以下、約190 nM以下、約180 nM以下、約170 nM以下、約160 nM以下、約150
nM以下、約140 nM以下、約130 nM以下、約120 nM以下、約110 nM以下、約100
nM以下、約90 nM以下、約80 nM以下、約70 nM以下、約60 nM以下、約50
nM以下、約45 nM以下、約40 nM以下、約35 nM以下、約30 nM以下、約25
nM以下、約20 nM以下、約15 nM以下、約12.5 nM以下、約10 nM以下、約9
nM以下、約8 nM以下、約7 nM以下、約6 nM以下、約5 nM以下、約4.5
nM以下、約4.0 nM以下、約3.5 nM以下、約3.0 nM以下、約2.5 nM以下、約2.0
nM以下、約1.5 nM以下、約1.0 nM以下、約0.5 nM以下、約0.4 nM以下、約0.3
nM以下、約0.2 nM以下、又は約0.1 nM以下である。
【0024】
別の実施態様では、in vivoで測定したときの置換テトラサイクリン化合物のMICは、約500 mg/kg以下、約250
mg/kg以下、約200 mg/kg以下、約190 mg/kg以下、約180 mg/kg以下、約170 mg/kg以下、約160 mg/kg以下、約150 mg/kg以下、約140 mg/kg以下、約130 mg/kg以下、約120 mg/kg以下、約110 mg/kg以下、約100 mg/kg以下、約95 mg/kg以下、約90 mg/kg以下、約85 mg/kg以下、約80 mg/kg以下、約75 mg/kg以下、約70 mg/kg以下、約65 mg/kg以下、約60 mg/kg以下、約55 mg/kg以下、約50 mg/kg以下、約45 mg/kg以下、約40 mg/kg以下、約35 mg/kg以下、約30 mg/kg以下、約29 mg/kg以下、約28 mg/kg以下、約27 mg/kg以下、約26 mg/kg以下、約25 mg/kg以下、約24 mg/kg以下、約23 mg/kg以下、約22 mg/kg以下、約21 mg/kg以下、約20 mg/kg以下、約19 mg/kg以下、約18 mg/kg以下、約17 mg/kg以下、約16 mg/kg以下、約15 mg/kg以下、14 mg/kg以下、13 mg/kg以下、12 mg/kg以下、11 mg/kg以下、10 mg/kg以下、約9 mg/kg以下、約8 mg/kg以下、約7 mg/kg以下、約6 mg/kg以下、約5 mg/kg以下、約4.5 mg/kg以下、約4 mg/kg以下、約3.5 mg/kg以下、約3 mg/kg以下、約2.5 mg/kg以下、約2 mg/kg以下、約1.5 mg/kg以下、約1 mg/kg以下、約0.8 mg/kg以下、約0.6 mg/kg以下、約0.4 mg/kg以下、約0.2 mg/kg以下、約0.1 mg/kg以下、約0.05 mg/kg以下、又は約0.01 mg/kg 以下である。
【0025】
本発明は、対象においてマラリアが治療又は予防されるように、置換テトラサイクリンを有効量、対象に投与することにより、前記対象においてマラリアを治療又は予防する方法を提供するものである。本置換テトラサイクリン化合物は式I:
【0026】
【化2】

【0027】
のものであり、但し式中、
X は CHC(R13Y’Y)、CR6’R6、S、NR6、又はOであり;
R2、R2’、R4’、及びR4” はそれぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式、ヘテロ芳香族又はプロドラッグ部分であり;
R4 はNR4’R4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、又は水素であり;
R3、R11 及びR12 はそれぞれ水素、又はプロドラッグ部分であり;
R10 は水素、プロドラッグ部分であるか、又はR9 に連結されて一個の環を形成し;
R5 はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、ヘテロ芳香族, アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、又はアリールカルボニルオキシであり;
R6 及びR6’ は個別に水素、メチレン、存在しない、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R7 は水素、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はマラリア相互作用性部分であり;
R9 は水素、又はマラリア相互作用性部分であり;
R8 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアルキルであり;
R13 は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
Y’及びY はそれぞれ個別に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;但し条件として、式Iの化合物はオキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、ミノサイクリン、又はテトラサイクリン;及びこれらの薬学的に許容可能な塩ではない。
【0028】
本発明の方法において用いることのできる式Iの化合物の例には、R2’、R3、R8、R10、R11、及びR12 が水素であり;R4 がNRR”であり、そしてR4’
及びR4” がアルキル(例えばメチル)であり;そしてX がCR6R6’であるような置換テトラサイクリン化合物がある。本発明の置換テトラサイクリン化合物には、さらに、置換ミノサイクリン誘導体、例えばR5、R6、及びR6’ が水素であり、そしてR7がジアルキルアミノであるようなもの、がある。さらに本発明は、例えばR6 がアルキルであり、R6’が水素であり、そしてR7 が水素であるような本発明の置換テトラサイクリン化合物など、置換ドキシサイクリンを用いる方法も包含する。R5 はヒドロキシル又はプロドラッグ部分でもよい。さらに本発明は、 R5、 R6、及びR6’が水素であるような置換サンサイクリン化合物も包含する。いくつかの実施態様では、本置換サンサイクリン化合物には、R7 及びR9 の少なくとも一方がマラリア相互作用性部分であるような化合物が含まれる。別の実施態様では、R4 は水素である。
【0029】
ある実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、水素以外の置換基で少なくとも7位又は9位で(9位又は7位のいずれかで)、あるいは7位のジメチルアミノで置換されている。
【0030】
別の実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、7位又は9位でマラリア相互作用性部分で置換されている。該「マラリア相互作用性部分」とは、本発明の置換テトラサイクリン化合物が、マラリアを治療又は予防するなど、それに意図された機能を果たせるようにする部分である。それはマラリア寄生虫と相互作用するものでも、あるいは、本テトラサイクリン分子の他の部分を当該寄生虫と相互作用可能にするものでもよい。さらにそれは、本テトラサイクリン化合物がマラリア寄生虫、対象、又は他の微生物と相互作用する態様に影響することにより、本分子をマラリア治療可能なものにするものでもよい。例えば、当該のマラリア相互作用性部分は、その結果得られる化合物が例えば非抗菌性であるなど、本テトラサイクリン化合物の特性を変えるものでもよい。
【0031】
限定はしないが、ある実施態様では、本マラリア相互作用性部分は、約2 乃至40個、約3 乃至 30個、約3 乃至 20個の炭素、窒素、酸素及び硫黄原子を含む部分である。さらに本マラリア相互作用性部分を、前記2乃至40個、約3乃至30個、約3 乃至20個の原子の数には入らない水素及び他の置換基(例えばハロゲン)で置換してもよい。更なる実施態様では、本マラリア相互作用性部分一個のアリール又はヘテロアリール部分を含む。さらに、前記アリール又はヘテロアリール部分を、それに意図された機能を果たさせるようにするいずれかの置換基で置換することができる。該マラリア相互作用性部分は、さらに、やはり置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、アルキル、ニトロソ、オキシミル、又は他の部分を含んでいてもよい。別の実施態様では、該マラリア相互作用性部分は、約4 乃至16 個の炭素、硫黄、窒素、及び酸素原子、あるいは約5 乃至約15 個の炭素、硫黄、窒素及び酸素原子を含む。マラリア相互作用性部分の例には、限定はしないが、置換及び非置換のアリール(例えば置換及び非置換のフェニル)アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキニル等がある。別の実施態様では、該マラリア相互作用性部分はアミノアルキルであり、例えば、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルケニルアミノアルキル、アルキニルアミノアルキル、アラルキルアミノアルキル、アリールアミノアルキル等である。
【0032】
ある実施態様では、R7 がマラリア相互作用性部分である場合、このマラリア相互作用性部分はヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、オキシミル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ(例えば非置換アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、等)、置換カルボニル、アリールアルケニル、複素環式、アリールアルキニル、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、又は-(CH2)0-3NR7cC(=W’)WR7aであってよく;但しこの場合Wは CR7dR7e、 NR7b、S、又は Oであり; W’は O又は Sであり;そしてR7a、R7b、R7c、R7d、及びR7e はそれぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式、ヘテロ芳香族又はプロドラッグ部分である。
【0033】
ある実施態様では、R9 がマラリア相互作用性部分である場合、このマラリア相互作用性部分はヒドロキシル、複素環式、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、オキシミル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ(例えば非置換アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ等)、置換カルボニル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、又は -(CH2)0-3NR9cC(=Z’)ZR9aであってよく、但しこの場合、Z は CR9dR9e、NR9b 又は Oであり;Z’は O 又はSであり;そしてR9a、R9b、R9c、R9d、及びR9e はそれぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式、ヘテロ芳香族又はプロドラッグ部分である。実施例では、 Z は N 及であり、Z’はOであり、そしてR9a は選択的にアリールである。別の実施態様では、Z 及びZ’はOであり、そしてR9a は、例えばアルキルである。R9 の更なる例には、 -NR9cC(=Z’)ZR9aがある、但しこの場合、Z は CR9dR9e、NR9b 又はOであり;Z’は O 又はSであり;そしてR9a、R9b、R9c、R9d、及びR9e はそれぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式、ヘテロ芳香族又はプロドラッグ部分である。別の実施態様では、該マラリア相互作用性部分は置換アミノアルキルであり、例えばアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アラルキルアミノアルキル、アルケニルアミノアルキル、アルキニルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、アミノメチル等である。
【0034】
マラリア相互作用性部分の例には、フェニルなどのアリール基及びヘテロアリール基(例えばフラニル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピラゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、インドリル、チエニル、ピリミジル、ピラジニル、プリニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ナフトリジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、及びデアザプリニル)がある。該アリール基は置換されていても、又は置換されていなくてもよい。置換基の例には、限定はしないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、ヒドロキシ、チオール、ホルミル、アセチル、アシル、アルコキシ(例えばメチレンジオキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)及び複素環式(例えばモルホリノ、ピペラジン等)がある。適合な場合には該置換基がさらに置換されていてもよい。
【0035】
マラリア相互作用性部分の他の例には、置換及び非置換のアルキニル基がある。置換アルキニルの例には、アリールアルキニル(例えばメトキシ置換アリールアルキニル、シクロアルケニル置換アルキニル、アミノ置換アルキニル等)がある。マラリア相互作用性基の他の例には、置換及び非置換のアルケニル基、例えばアリールアルケニル基、がある。さらに、R9 基は、置換又は非置換のアルキル基(例えば低級アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、t-ブチル等)であってよい。R9 はまた複素環式(例えばチアゾール、アミノチアゾール等)であっても、又は置換アミノアルキル、アミノアルケニルであってもよい。
【0036】
本マラリア相互作用性部分を、例えばマラリアを治療又は予防するなど、それに意図された機能を果たせるようにする1つ以上の置換基で置換してもよい。置換基の例には、限定はしないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、カルボキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル, アルキルアミノアカルボニル、アリールアルキル アミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミノアルキル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、シリル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、アラルキル、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ、アシルアミノ、アミド、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、アリールチオ, チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリール及びヘテロアリール、がある。いくつかの実施態様では、前記フェニルは少なくとも1つのアルキル、アミノ、複素環、アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アルコキシカルボニル、ジアルキルアミノ、又はアルキルアミノで置換されている。
【0037】
更なる実施態様では、該マラリア相互作用性部分は、1つ以上のイオン化可能な窒素原子を含む。更なる実施態様では、該マラリア相互作用性部分のpKaは約7を越える、約8を越える、約9を越える、約9.5を越える、又は約10を越える。更なる実施態様では、該マラリア相互作用性部分のpKaは、約7乃至約12、約7.5乃至約11.5、約8.0 乃至約11.0、約9.0 乃至約11.0、約9.0 乃至約10.5、約9.0 乃至約10.0である。該マラリア相互作用性部分のpKaは、当業で公知の方法により判定することができる。例えば当該のpKa は、ACD ソフトウェア(カナダ、オンタリオ州、トロント、アデレード・ストリート90、アドバンスド・ケミストリ・デヴェロップメント社)などのコンピュータ法を用いて判定することができる。
【0038】
更なる実施態様では、該マラリア相互作用性部分は:
【0039】
【化3】

【0040】
から成る群より選択されるが、但し式中、
Ra 及びRb はそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アルコキシ、又は複素環式(Ra 及びRb は選択的に連結されて一個の環を形成していてもよく)であり;
gは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20であり;
n は0、1、2、又は3であり;そして
Xa、Xb、Xc、Xd、及び Xe はそれぞれ個別に選択的に置換された炭素、酸素、窒素、又は硫黄である。更に、上に示した該マラリア相互作用性部分の各炭素原子は、さらに本テトラサイクリン化合物がそれに意図された機能を果たせるようにする置換基で置換されていてもよい。このような置換基の例には、限定はしないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ, チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、芳香族、及びヘテロ芳香族の部分がある。
【0041】
別の更なる実施態様では、該マラリア相互作用性部分は、本テトラサイクリン化合物の7位にある。
【0042】
さらに本発明の方法は、例えばR5、R6、及びR6’ が水素であるなど、サンサイクリン誘導体である置換テトラサイクリン化合物の使用も包含する。サンサイクリン誘導体の例には、R7 がマラリア相互作用性部分であるようなテトラサイクリン化合物がある。本発明の置換サンサイクリン化合物に用いてよいマラリア相互作用性部分の例には、上に解説したものがある。更に、マラリア相互作用性部分の他の例には、限定はしないが、アリール基、例えば置換又は非置換のフェニル又はヘテロアリール部分がある。置換基の例には、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、メチレンジオキシ等)、アミノ、及びアルキル
(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、t-ブチル等)がある。他の実施態様では、本発明の置換サンサイクリン化合物には、R7 がアルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル等)、アルキニル (例えばアリール置換、例えばアミノ置換アリールアルキニル等)、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、置換又は非置換のメチルアミドであるような化合物がある。他の置換サンサイクリン化合物には、R9 が水素又はマラリア相互作用性部分であるような化合物がある。
【0043】
さらに本発明の方法は、本置換テトラサイクリン化合物として置換ドキシサイクリン化合物を用いる方法も包含する。置換ドキシサイクリン化合物の例には、R5 がヒドロキシ又は一個のエステル基、例えばアルキルエステル(即ちアルキルカルボニルオキシ基、シクロヘキサンエステル、シクロヘプタンエステル、ペンチルエステル、及びエチルエステル)であるような化合物がある。
【0044】
本発明の置換テトラサイクリン化合物の例には、表1及び2に示した化合物がある。本発明の置換テトラサイクリン化合物のいくつかを下に示す:
【0045】
【化4】







【0046】
いくつかの実施態様では、本置換テトラサイクリン化合物は、800未満、600未満、550未満、500未満、又は400 未満グラム/モルの分子量を有する。
【0047】
本発明の方法で用いてもよい他の置換テトラサイクリン化合物には、限定はしないが、米国一連番号第60/346,930号、第60/346,929号;第60/347,065号;第60/346,956号;第60/367,048号;第60/366,915号;第60/367,045号;第09/823,884号;第09/852,908号;第09/882,505号;第09/882,273号;第09/894,805号;第09/883,137号;第09/895,797号;第09/895,857号;第09/895,812号;第10/097,095号及び第10/097,135号に解説された化合物がある。上記の出願のそれぞれの内容の全文を引用をもってここに援用することとする。本発明の更なるテトラサイクリン化合物を下の表1に示す。
【0048】
【表1】













































































【0049】
更なる実施態様では、本置換テトラサイクリン化合物はマラリアの治療にとって適した経口による生物学的利用能を有し、例えば本置換テトラサイクリン化合物を対象に経口投与した後などに、マラリアを治療するなど、それに意図された機能を本化合物が果たすことができる。ある特定の化合物の生物学的利用能を計算するために使用できる方法の例には、当業で公知の方法や、引用をもってここに援用する米国一連番号第60/318,580号に解説された方法がある。
【0050】
ある実施態様では、本置換テトラサイクリン化合物は、米国第6,043,231号に記載された検定法により測定したときに、過剰なホスホリパーゼA2活性又は産生を阻害する化合物を含まない。別の実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、米国第5,919,395号に解説された検定法で測定したときに誘導性の酸化窒素シンターゼ発現を阻害する化合物を含まない。別の実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物は、米国第5,789,395号に解説された方法で測定したときに、哺乳動物系が内因的に産生する酸化窒素の量を減少させる化合物を含まない。これら3つの特許のそれぞれの全文を、引用をもってここに援用することとする。
【0051】
用語「対象」は、例えばは虫類、鳥類及び哺乳動物(例えばイヌ、ウシ、ブタ、ネコ、ウマ、クマ、ヒツジ、マウス、ラット、ウサギ、リス、及び最も有利にはヒト)など、マラリアに罹患性の動物を包含する。
【0052】
更なる実施態様では、本発明の組成物及び方法を用いて治療するためのマラリアは、プログアニル、クロルプログアニル、トリメトプリム、クロロキン、メフロキン、ルメファントリン、アトヴァクオン、ピリメタミン-スルファドキシン、ピリメタミン-ダプソン、ハロファントリン、キニン、キニジン、アモジアキン、アモピロキン、スルホンアミド、アルテミシニン、アルテフレン、アルテメーテル、アルテスネート、プリマキン、及びピロナリジンなどの一つ以上の抗マラリア化合物に対して耐性である。
【0053】
さらに本発明の方法は、本発明の化合物を補助的な化合物と組み合わせて投与することも包含する。「補助的な化合物」には、抗マラリア化合物や、マラリアの症状を治療する化合物が含まれる。補助的な化合物は、マラリア、直接的には頭痛、不定愁訴、貧血、脾腫、及び/又は発熱を治療するものでよい。
【0054】
用語、補助的な化合物「と組み合わせて」は、本置換テトラサイクリン化合物及び補助的な化合物の同時の投与、本置換テトラサイクリン化合物を最初に、続いて補助的な化合物を投与すること、そして、補助的な化合物を最初に、続いて本置換テトラサイクリン化合物を投与すること、を包含するものと、意図されている。
【0055】
例えば、「補助的な化合物」には、例えばプログアニル、クロルプログアニル、トリメトプリム、クロロキン、メフロキン、ルメファントリン、アトヴァクオン、ピリメタミン-スルファドキシン、ピリメタミン-ダプソン、ハロファントリン、キニン、キニジン、アモジアキン、アモピロキン、スルホンアミド、アルテミシニン、アルテフレン、アルテメーテル、アルテスネート、プリマキン、ピロナリジン、及びホスファチジルコリン合成阻害剤、例えばG25(1,16-ヘキサデカメチレンビス(N-メチルピロリジニウム)ジブロミド)などの抗マラリア化合物を含めることができる。将来開発されるであろうものや、又は、現在調査中のものなど、ここに引用していない他の抗マラリア化合物を投与することもできる。
【0056】
ある実施態様では、抗抗マラリア化合物の抗マラリア活性は、本発明の置換テトラサイクリン化合物と組み合わせて投与されたときに上昇するため、当該の抗マラリア剤を単独で投与した場合に必要な量に比べ、当該抗マラリア化合物の有効量が抑えられる。ある実施態様では、本発明の置換テトラサイクリン化合物の同時投与により、置換テトラサイクリン化合物又は別の相乗作用のある薬剤の助けがない場合など、当該の抗マラリア剤単独の有効量に比較して、当該の抗マラリア剤の有効量が、1分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、又は10分の1に抑えられる。
【0057】
さらに本発明は、マラリアを治療するための本置換テトラサイクリン化合物を有効量、使用するための指示と一緒に梱包された、1つ以上の本化合物を含む、梱包されたマラリア治療を特徴とする。ある実施態様では、本置換テトラサイクリン化合物はオキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、ミノサイクリン、又はテトラサイクリンではない。
【0058】
本発明の置換テトラサイクリン化合物は、実施例1及び2で解説された方法を用い、そして以下のスキームで、合成することができる。ここで解説された全ての新規な置換テトラサイクリン化合物は、化合物として本発明に包含される。当業者であれば、当該の方法は概ね7置換テトラサイクリン化合物の合成について描写されているが、同様な手法は、対応する9位置換テトラサイクリン化合物を作製するためにも使用できることは理解されよう。更に、当該のスキームはある1つの特定の置換テトラサイクリン化合物(例えばサンサイクリン)に関して概略的に示されているが、当該のスキーム及び方法は、他の置換テトラサイクリン化合物(例えばテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン等)にも広く応用可能である。
【0059】
【化5】

【0060】
9- 及び 7- 置換テトラサイクリンは、スキーム1に示す方法により合成することができる。スキーム1に示すように、9- 及び7-置換テトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン化合物(例えばドキシサイクリン、1A)を硫酸及び硝酸ナトリウムで処理することにより、合成することができる。その結果できる生成物は、7-ニトロ及び9-ニトロ異性体(それぞれ1B
及び1C)の混合物である。前記7-ニトロ (1B) 及び9-ニトロ(1C) 誘導体を水素ガス及びプラチナ触媒を用いた水素化により処理して、アミン1D及び1Eを生じさせる。この異性体をこの時点で常法により分離する。7- 又は9-置換アルケニル誘導体を合成するには、7- 又は9-アミノテトラサイクリン化合物(それぞれ1E及び1F)をHONOで処理して、ジアゾニウム塩 (1G 及び1H)を生成させる。この塩
(1G及び1H)を適したハロゲン化試薬(例えばR9Br、但し式中、R9 は一個のアリール、アルケニル、又はアルキニル部分である)で処理して、所望の化合物(例えばスキーム1では、7-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン (1H) 及び9-シクロペント-1-エニルドキシサイクリン(II))を生成させる。
【0061】
【化6】

【0062】
スキーム2に示すように、R7がカルバメート又は尿素誘導体であるような本発明の置換テトラサイクリン化合物は、以下のプロトコルを用いて合成することができる。サンサイクリン (2A) をNaNO2 で酸性条件下で処理して、7-ニトロサンサイクリン (2B) を位置異性体の混合物として形成する。次に、7-ニトロサンサイクリン (2B)をH2 ガス及びプラチナ触媒で処理して、7-アミノサンサイクリン誘導体 (2C)を形成する。尿素誘導体 (2E)を形成するには、イソシアネート (2D)を7-アミノサンサイクリン誘導体(2C)を反応させる。カルバメート (2G)を形成するには、適した酸塩化物エステル(2F) を2Cと反応させる。
【0063】
【化7】

【0064】
スキーム3に示すように、R7 が複素環式(即ちチアゾール)置換アミノ基であるような本発明の置換テトラサイクリン化合物は、上記のプロトコルを用いて合成することができる。7-アミノサンサイクリン (3A)をFmoc-イソチオシアネート (3B)と反応させて、保護されたチオ尿素(3C)を生成させる。次に、この保護されたチオ尿素 (3C)を脱保護して、活性なサンサイクリンチオ尿素 (3D)化合物を生じさせる。該サンサイクリンチオ尿素をα-ハロケトン (3E)と反応させて、チアゾール置換7-アミノサンサイクリン (3F)を生成させる。
【0065】
【化8】

【0066】
7-アルキニルサンサイクリン
(4A) 及び7-アルケニルサンサイクリン (4B)などの7-アルケニル置換テトラサイクリン化合物を水素化して、アルキル7-置換テトラサイクリン化合物(例えば7-アルキルサンサイクリン、4C)を形成することができる。スキーム4は、飽和メタノール及び塩酸溶液中で、加圧した状態で7位の二重もしくは三重結合をパラジウム/炭素触媒で選択的に水素化して本生成物を生じさせる方法を示す。
【0067】
【化9】

【0068】
スキーム5では、7位アリール誘導体を合成するための概略的合成スキームを示す。アリールボロン酸のヨードサンサイクリン化合物とのスズキ・カップリングを示す。ヨードサンサイクリン化合物 (5B)は、サンサイクリンから、サンサイクリン (5A) を少なくとも1つの等量の N-ヨードスクシンイミド (NIS) と酸性条件下で反応させることにより、合成することができる。この反応を停止させ、その後、その結果できた7-ヨードサンサイクリン (5B) を当業で公知の標準的な技術を用いて精製することができる。当該のアリール誘導体を形成するには、7-ヨードサンサイクリン (5B) を水性の塩基(例えばNa2CO3)及び適したボロン酸(5C) と、不活性な雰囲気下で反応させる。この反応はパラジウム触媒(例えばPd(OAc)2)に触媒させる。その生成物 (5D)を当業で公知の方法(例えばHPLC)で精製することができる。他の7-アリール及びアルキニル置換テトラサイクリン化合物は、同様なプロトコルを用いて合成することができる。
【0069】

本発明の7-置換テトラサイクリン化合物はまた、スティルのクロス・カップリングを用いて合成することもできる。スティルのクロス・カップリングは、適したすず試薬(例えばR-SnBu3) 及びハロゲン化テトラサイクリン化合物(例えば7-ヨードサンサイクリン)を用いて行わせることができる。このすず試薬及びヨードサンサイクリン化合物を、パラジウム触媒(例えばPd(PPh3)2Cl2 or Pd(AsPh3)2Cl2) で処理することも、そして選択的には付加的な銅塩、例えばCuI、で処理することもできる。その後、その結果できる化合物を当業で公知の技術を用いて精製することができる。
【0070】
【化10】



【0071】
本発明の化合物は、ヘック型クロス・カップリング反応を用いても合成することができる。スキーム6に示すように、ヘック型クロス・カップリングは、ハロゲン化テトラサイクリン化合物(例えば6-ヨードサンサイクリン、6A) 及び適したパラジウム又は他の遷移金属触媒(例えばPd(OAc)2 及びCuI) を適した溶媒(例えば脱気したアセトニトリル)中に懸濁させることにより、行わせることができる。次に、基質である反応性アルケン (6B) 又はアルキン (6D)と、トリエチルアミンとを加え、その混合液を数時間、加熱してから、室温まで冷ます。その後、その結果できた7-置換アルケニル (6C) 又は7-置換アルキニル (6E) テトラサイクリン化合物を、当業で公知の技術を用いて精製することができる。
【0072】
【化11】



【0073】
7-(2’-クロロ-アルケニル)-テトラサイクリン化合物を調製するには、適した7-(アルキニル)-サンサイクリン
(7A) を飽和メタノール及び塩酸に溶解させ、攪拌する。次にこの溶媒を除去して生成物 (7B)を生じさせる。
【0074】
【化12】



【0075】
スキーム8に示すように、9-置換化合物 (8A) を強酸(例えばHF、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸)に溶解させ、適したカルボン酸を加えて、対応するエステル(8B)を生じさせることにより、9-置換テトラサイクリン化合物の5-エステルを形成することができる。
【0076】
【化13】

【0077】
13-置換チオールは、上のスキーム9に概観した方法により合成することができる。概略的には、13-置換チオールエーテル (9B) は、テトラサイクリン塩 (9A) (例えばメタサイクリンヒドロクロリド)、AIBN (2,2’-アゾビスイソブチロニトリル)、及びチオールのエタノール溶液を還流させなら6時間、不活性の雰囲気下で加熱することにより、合成することができる。
【0078】
下のスキーム10に示すように、7及び9アミノメチルテトラサイクリンは、ヒドロキシメチル-カルバミン酸ベンジルエステルなどの試薬を用いて合成されよう。
【0079】
【化14】



【0080】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、枝分かれ鎖アルキル基 (イソプロピル、t-ブチル、イソブチル等)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族の基を包含する。それには更に、さらに置換されていてもよいアミノアルキルも含まれる。アルキルという用語はさらに、更に酸素、窒素、硫黄又はリン原子が炭化水素骨格の一つ以上の炭素を置換した形で含まれていてもよいアルキル基も含む。ある実施態様では、直鎖又は枝分かれ鎖アルキルは、その主鎖に10個以下の炭素原子(例えば直鎖の場合はC−C10、枝分かれ鎖の場合はC−C10)、より好ましくは6個以下の炭素原子、を有しているとよい。同様に、好適なシクロアルキルは、その環構造内に4から7個の炭素原子、より好ましくはその環構造に5又は6個の炭素を有するものである。
【0081】
さらに、用語「アルキル」は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の両者を包含するが、この後者は、炭化水素の主鎖の一つ又はそれ以上の炭素に付いた水素を置換した置換基を有するアルキル部分を言う。このような置換基には、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ, チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の部分を含めることができる。シクロアルキルは、さらに、上記の置換基などで置換することができる。「アルキルアリール」又は「アラルキル」部分は、アリールで置換されたアルキル(例えばフェニルメチル(ベンジル))である。用語「アルキル」はまた、天然及び非天然のアミノ酸の側鎖も包含する。ハロゲン化アルキル基の例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペルフルオロメチル、ペルクロロメチル、ペルフルオロエチル、ペルクロロエチル等がある。
【0082】
「アリール」という用語には、5−、及び6員環の単一環芳香族の基が含まれ、この基にはゼロから4個のヘテロ原子が含まれていてもよく、例えばベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジン等がある。更に、用語「アリール」は、三環式、二環式などの多環式のアリール基が含まれ、例えばナフタレン、ベンゾキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフトリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、又はインドリジンがある。環構造内にヘテロ原子を有するようなアリール基は、「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」と呼ばれることもある。芳香族の環は、一つ以上の環位置で、上述したような置換基、例えばハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノアカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ (アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ (アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の部分で置換されていてもよい。アリール基を、芳香族ではない非環式もしくは複素環式の環と縮合又は架橋させて、多環(例えばテトラリン、メチレンジオキシフェニル)を形成することもできる。
【0083】
用語「アルケニル」は、上述したアルキルに長さ及び可能な置換で同様であるが、少なくとも1つの二重結合を含有するような不飽和脂肪族の基を包含する。
【0084】
例えば、用語「アルケニル」は、直鎖アルケニル基 (例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等)、枝分かれ鎖アルケニル基、シクロアルケニル (非環式)基 (シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキル又はアルケニル置換シクロアルケニル基、及びシクロアルキルもしくはシクロアルケニル置換アルケニル基を包含する。用語アルケニルには、さらに、炭素骨格の1つ以上の炭素を置換した酸素、窒素、硫黄又はリン原子を含有するアルケニル基も含まれる。いくつかの実施態様では、直鎖又は枝分かれ鎖アルケニル基は、6個以下の炭素原子をその骨格に有する(例えば直鎖の場合C2-C6 に、枝分かれ鎖の場合C3-C6 に)。同様に、シクロアルケニル基は3乃至8個の炭素原子をそれらの環構造に有していてもよく、より好ましくは5又は6個の炭素を環構造に有しているとよい。用語C2-C6 は、2乃至6個の炭素原子を含有するアルケニル基を包含する。
【0085】
さらに、用語アルケニルは、「非置換アルケニル」及び「置換アルケニル」の両者を包含し、この後者は、炭素骨格の一つ以上の炭素に付いた水素を置換した置換基を有するアルケニル部分を言う。このような置換基には、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ (アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ (アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ, チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の部分を含めることができる。
【0086】
用語「アルキニル」は、上述したアルキルに長さ及び可能な置換で同様であるが、少なくとも1つの三重結合を含有する不飽和脂肪族の基を包含する。
【0087】
例えば用語「アルキニル」は、直鎖アルキニル基(例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等)、枝分かれ鎖アルキニル器、及びシクロアルキルもしくはシクロアルケニル置換アルキニル基を包含する。アルキニルという用語は、さらに、炭素骨格の一つ以上の炭素を置換した酸素、窒素、硫黄又はリン原子を含有するアルキニル基も包含する。いくつかの実施態様では、直鎖又は枝分かれ鎖アルキニル基は6個以下の炭素原子をその骨格(例えば直鎖の場合C2-C6 に、枝分かれ鎖の場合C3-C6 に)に有する。用語C2-C6 は、2乃至6個の炭素原子を含有するアルキニル基を包含する。
【0088】
さらに、アルキニルという用語は「非置換アルキニル」及び「置換アルキニル」の両者を包含し、この後者は、炭化水素骨格の一つ以上の炭素に付いた水素を置換した置換基を有するアルキニル部分を言う。このような置換基には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ (アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ (アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む), アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ, チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含めることができる。
【0089】
炭素数を他に特に明示していない場合、ここで用いられる「低級アルキル」は、上に定義した通りの、しかし1個から5個の炭素原子をその主鎖構造に有するようなアルキル基を意味する。「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、例えば2乃至5個の炭素原子などの鎖長を有する。
【0090】
用語「アシル」は、アシルラジカル (CH3CO-) 又は一個のカルボニル基を含有する化合物及び部分を包含するものである。用語「置換アシル」は、アシル基を包含するものであるが、但しこの場合、当該水素原子のうちの1つ以上は、例えばアルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ (アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ (アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ, チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の部分で置換されている。
【0091】
用語「アシルアミノ」は、アシル部分が一個のアミノ基に結合しているような部分を包含する。例えばこの用語は、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイド基を包含する。
【0092】
用語「アロイル」は、一個のアリール又はヘテロ芳香族部分を一個のカルボニル基に結合した状態で持つ化合物及び部分を包含する。アロイル基の例には、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシ等がある。
【0093】
用語「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」及び「チオアルコキシアルキル」は、上述したようなアルキル基であって、例えば酸素、窒素又は硫黄原子など、さらに酸素、窒素又は硫黄原子を、炭素骨格の1つ以上の炭素を置換した状態で含有するアルキル基を包含する。
【0094】
用語「アルコキシ」は、酸素原子に共有結合した置換及び非置換のアルキル、アルケニル、及びアルキニル基を包含するものである。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びペントキシ基があり、シクロペントキシなどの環式の基を含んでいてもよい。置換アルコキシ基の例には、ハロゲン化アルコキシ基がある。アルコキシ基は、例えばアルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ (アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ (アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ, チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の部分等の置換基で置換することができる。ハロゲン置換アルコキシ基の例には、限定はしないが、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ等がある。
【0095】
用語「アミン」又は「アミノ」は、窒素原子が少なくとも1つの炭素又はヘテロ原子に共有結合しているような化合物を包含する。用語「アルキルアミノ」は、窒素が少なくとも1つの付加的なアルキル基に結合しているような基及び化合物を包含する。用語「ジアルキルアミノ」は、窒素原子が少なくとも2つのアルキル基に結合しているような基を包含する。用語「アリールアミノ」及び「ジアリールアミノ」は、窒素がそれぞれ少なくとも1つ又は2つのアリール基に結合しているような基を包含する。用語「アルキルアリールアミノ」、「アルキルアミノアリール」又は「アリールアミノアルキル」とは、少なくとも1つのアルキル基と、少なくとも1つのアリール基とに結合したアミノ基を言う。用語「アルカミノアルキル」とは、やはりアルキル基に結合した窒素原子に結合したアルキル、アルケニル、又はアルキニル基を言う。
【0096】
用語「アミド」又は「アミノカルボキシ」は、カルボニル又はチオカルボニル基の炭素に結合した窒素原子を含有する化合物又は部分を包含する。この用語は、カルボキシ基に結合したアミノ基に結合したアルキル、アルケニル、又はアルキニル基を含む「アルカミノカルボキシ」基を包含する。それは、カルボニル又はチオカルボニル基の炭素に結合したアミノ基に結合したアリール又はヘテロアリール部分を含むアリールアミノカルボキシ基を包含する。用語「アルキルアミノカルボキシ」、「アルケニルアミノカルボキシ」、「アルキニルアミノカルボキシ」及び「アリールアミノカルボキシ」は、それぞれアルキル、アルケニル、アルキニル及びアリール部分が窒素原子に結合し、この窒素原子がひいてはカルボニル基に炭素に結合しているような部分を包含する。
【0097】
用語「カルボニル」又は「カルボキシ」は、二重結合で酸素原子に接続した炭素を含有する化合物及び部分、並びにその互変体型を包含する。カルボニルを含有する部分の例には、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物等がある。用語「カルボキシ部分」又は「カルボニル部分」とは、アルキル基がカルボニル基に共有結合している「アルキルカルボニル」基、アルケニル基がカルボニル基に共有結合している「アルケニルカルボニル」基、アルキニル基がカルボニル基に共有結合している「アルキニルカルボニル」基、アリール基がカルボニル基に共有結合している「アリールカルボニル」基、などの基を言う。更に、この用語は、一つ以上のヘテロ原子がカルボニル部分に共有結合しているような基も言う。例えば、この用語は、例えばアミノカルボニル部分(この場合、窒素原子がカルボニル基の炭素に結合している、アミドなど)、酸素及び窒素原子が両者ともカルボニル基の炭素に結合しているアミノカルボニルオキシ部分、(例えば「カルバメート」とも呼ばれる)などの部分を包含する。更に、アミノカルボニルアミノ基(例えば尿素)や、ヘテロ原子(例えば窒素、酸素、硫黄等や炭素原子)に結合したカルボニル基の他の組合せも含まれる。更に、当該のヘテロ原子を、さらに一つ以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アシル等の部分で置換することができる。
【0098】
用語「尿素」は、2つの窒素原子を連結したカルボニル基を含有する化合物を包含するものである。例えば、NH(C=O)NHAr は芳香族の尿素基である。
【0099】
用語「チオカルボニル」又は「チオカルボキシ」は、二重結合で硫黄原子に接続した炭素を含有する化合物及び部分を包含するものである。用語「チオカルボニル部分」は、カルボニル部分に同様な部分を包含する。例えば「チオカルボニル」部分は、アミノ基がチオカルボニルの炭素原子に結合しているようなアミノチオカルボニルを包含するが、さらに他のチオカルボニル部分には、オキシチオカルボニル(炭素原子に結合した酸素)、アミノチオカルボニルアミノ基等がある。
【0100】
用語「エーテル」は、2つの異なる炭素原子又はヘテロ原子に結合した酸素を含有する化合物又は部分を包含する。例えば、この用語は、別のアルキル基に共有結合した酸素原子に共有結合したアルキル、アルケニル、又はアルキニル基を言う「アルコキシアルキル」を包含する。
【0101】
用語「エステル」は、カルボニル基の炭素に結合した酸素原子に結合した炭素又はヘテロ原子を含有する化合物及び部分を包含する。用語「エステル」は、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル等のアルコキシカルボキシ基を包含する。該アルキル、アルケニル、又はアルキニル基は上に定義した通りである。
【0102】
用語「チオエーテル」は、2つの異なる炭素又はヘテロ原子に結合した硫黄原子を含有する化合物及び部分を包含する。チオエーテルの例には、限定はしないが、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、及びアルクチオアルキニルがある。用語「アルクチオアルキル」は、アルキル基に結合した硫黄原子に結合したアルキル、アルケニル、又はアルキニル基を持つ化合物を包含する。同様に、用語「アルクチオアルケニル」及びアルクチオアルキニル」とは、アルキル、アルケニル、又はアルキニル基が、アルキニル基に共有結合した硫黄原子に結合しているような化合物又は部分を言う。
【0103】
用語「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、-OH 又は -O-を持つ基を包含する。
【0104】
用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素等を包含する。用語「過ハロゲン化」とは、一般に、全ての水素がハロゲン原子に置換されているような部分を言う。
【0105】
用語「ポリシクリル」又は「多環式」は、例えば当該環が「縮合」環であるなど、2つ異常の炭素が2つの隣り合った環に巨通であるような2つ以上の環を持つ部分(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロシクリル)を包含する。隣り合っていない原子を通じて接合された環は「架橋」環と呼ばれる。多環の環のそれぞれは、上述したような置換基、例えばハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノアカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ, チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の部分で置換することができる。
【0106】
用語「ヘテロ原子」は、炭素又は水素以外のあらゆる元素の原子を包含するものである。好適なヘテロ原子は窒素、酸素、硫黄及びリンである。
【0107】
用語「複素環」又は「複素環式」は、一つ以上のヘテロ原子を含有する飽和、不飽和、芳香族(「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」)及び多環式の環を包含する。複素環の例には、例えば、ベンゾジオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾキサゾール、デアザプリン、フラン、インドール、インドリジン、イミダゾール、イソオキサゾール、イソキノリン、イソチアオゾール、メチレンジオキシフェニル、ナフトリジン、オキサゾール、プリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キノリン、テトラゾール、チアゾール、チオフェン、及びトリアゾール、がある。他の複素環には、モルホリン、ピプラジン、ピペリジン、チオモルホリン、及びチオアゾリジン、がある。当該複素環は置換されていても、又は非置換であってもよい。置換基の例には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノアカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ (アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ (アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ, チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の部分、がある。
【0108】
本発明の化合物のいくつかの構造は、非対称の炭素原子を含むことに気付かれよう。従って、このような非対称性がもとで生じる異性体(例えば全てのエナンチオマ及びジアステレオマ)も、そうでないと特に明示しない限り、本発明の範囲内に含まれることを理解されねばならない。このような異性体は、伝統的な分離技術や立体化学制御合成法により、実質的に純粋な形で得ることができる。更に、本出願で論じる構造及び他の化合物並びに部分は、それらの全互変異性体も包含する。
【0109】
用語「プロドラッグ部分」は、in vivoで代謝されてヒドロキシル基になる部分や、適宜in vivoでエステル化したまま留まる部分も包含する。好ましくは、本プロドラッグ部分は、in vivoでエステラーゼ又は他の機序によりヒドロキシル基又は他の有利な基に代謝されるとよい。プロドラッグの例及びそれらの使用法は当業で公知である(例えば Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm.
Sci. 66:1-19を参照されたい)。本プロドラッグは、当該化合物の最終的な単離及び精製過程でin situで調製することも、精製済みの化合物をその遊離酸の形又はヒドロキシルとして、別々に適したエステル化剤に反応させることにより、調製することができる。ヒドロキシル基はカルボン酸での処理によりエステルに転化させることができる。プロドラッグ部分の例には、置換及び非置換の、枝分かれ又は枝分かれしていない、低級アルキルエステル部分(例えばプロピオン酸エステル)、低級アルケニル
エステル、ジ低級アルキル-アミノ低級-アルキルエステル、(例えばジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル、(例えばアセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル、(例えばピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル、(フェニルエステル)、アリール-低級アルキルエステル、(例えばベンジルエステル)、置換(例えばメチル、ハロゲン、又はメトキシ置換基で置換)アリール及びアリール-低級アルキルエステル、アミド、低級-アルキルアミド、ジ-低級アルキルアミド、及びヒドロキシアミド、がある。好適なプロドラッグ部分はプロピオン酸エステル、及びアシルエステルである。
【0110】
別の局面では、本発明はさらに、対象においてマラリアを治療するために有効量の置換テトラサイクリン化合物と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物にも関する。
【0111】
さらに本発明は、対象のマラリアを治療又は予防する医薬の製造における式Iの化合物の使用にも関する。
【0112】
本医薬組成物は、さらに、補助的化合物を含んでいてもよい。「補助的化合物」には、抗マラリア化合物や、マラリアの症状を治療する化合物が含まれる。補助的化合物は、マラリアを直接治療したり、頭痛、不定愁訴、貧血、脾腫、及び/又は発熱などを治療するものでもよい。補助的抗マラリア化合物の例には、プログアニル、クロルプログアニル、トリメトプリム、クロロキン、メフロキン、ルメファントリン、アトヴァクオン、ピリメタミン-スルファドキシン、ピリメタミン-ダプソン、ハロファントリン、キニン、キニジン、アモジアキン、アモピロキン、スルホンアミド、アルテミシニン、アルテフレン、アルテメーテル、アルテスネート、プリマキン、ピロナリジン、及びこれらの組合せ、がある。
【0113】
言語「薬学的に許容可能な担体」は、本置換テトラサイクリン化合物と同時投与できると共に、マラリアを治療又は予防するなど、本置換テトラサイクリン化合物がそれに意図された機能を果たせるようにする物質を包含する。このような担体の例には、溶液、溶媒、分散媒、遅延剤、乳濁液等がある。薬学的に活性な物質のためのこのような媒質のし陽は当業で公知である。本発明の置換テトラサイクリン化合物との使用に適したいずれか他の従来の担体も含まれる。
【0114】
例えば、本発明の一つ以上の化合物を単独で対象に投与してもよいが、あるいはより典型的には、本発明の化合物を、従来の医薬品添加物、即ち、非経口、経口又は他の所望の投与に適し、当該活性化合物と有害反応を起こさず、またそのレシピエントに対しても有害でないような薬学的に許容可能な有機もしくは無機の担体物質との混合物の医薬組成物の一部として投与することになるであろう。適した薬学的に許容可能な担体には、限定はしないが、水、溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、珪酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペトロエスラル(原語:petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等がある。本医薬製剤を滅菌することができ、また必要に応じて、本活性化合物と有害反応を起こさない、例えば潤滑剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳濁剤、浸透圧を左右するための塩、緩衝剤、着色剤、香料及び/又は芳香物質等の補助的作用薬と混合することもできる。
【0115】
本発明の置換テトラサイクリン化合物のいくつかは、適宜、例えばヒドロクロリド、スルフェート、ヘミ-スルフェート、ホスフェート、硝酸塩、酢酸塩、オキサレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、メシレート等、有機もしくは無機酸の薬学的に許容可能な塩などとして、プロトン付加した水溶性の形で対象に投与してもよい。さらに、適当な酸性基が本化合物上に存在する場合、例えばアンモニウム塩、又は有機アミンの塩、あるいは、カリウム、カルシウム又はナトリウム塩など、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩有機又は無機の塩基の許容可能な塩を用いることもできる。
【0116】
本置換テトラサイクリン化合物は、局所(経皮、バッカル又は舌下を含む)及び非経口(腹腔内、皮下、静脈内、皮内又は筋肉な注射を含むなどの多種の経路のいずれかによって、本発明に従って対象に投与することができる。ある実施態様では、本置換テトラサイクリン化合物を経口投与する。
【0117】
非経口投与の場合、特に適しているのは溶液、好ましくは油性又は水性の溶液や懸濁液、乳濁液又は座薬を含むインプラント、である。治療用化合物は、例えば注射可能薬剤に通常、用いられている無菌の生理食塩水又は5%生理食塩水デキストロース溶液など、流動性の担体中に分散させた等の無菌の形、又は多用量又は一回分の用量の形で調合されるであろう。
【0118】
経腸又は経口投与の場合、特に適しているのは錠剤、タルク及び/又は糖質の担体結合剤等を有する糖衣錠又はカプセルであり、当該の担体は好ましくはラクトース及び/又はコーンスターチ及び/又はいもでんぷんであるとよい。甘味付けされた賦形剤を用いる場合はシロップ、エリキシル等を用いることができる。活性化合物が、例えばマイクロ封入法、複層コーティングなどにより示差的に分解可能なコーティングで保護されているようなものを含め、持続放出性組成物を調合することができる。
【0119】
局所投与の場合、本置換テトラサイクリン化合物を、ゲル、軟膏、ローション又はクリームなどの薬理学的に不活性の局所用担体と一緒に適宜混合することができる。このような局所用担体には、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、又は鉱物油がある。他の適した局所用担体は液体ワセリン、イソプロピルパルミテート、ポリエチレングリコール、エタノール95%、モノラウリル酸ポリオキシエチレンの5%水溶液、ラウリル硫酸ナトリウムの5%水溶液等である。加えて、抗酸化剤、湿潤剤、粘性安定化剤などの材料等も必要に応じて加えてよい。
【0120】
ある治療法で用いる有効化合物の実際の好適な量は、用いる化合物、処方する特定の組成物、投与形態、特定の投与部位等に応じて、様々であろう。ある特定の投与プロトコルにとって最適な投与速度は、当業者であれば、前述の指針に関して行われる従来の投薬量決定検査を用いれば容易に確認することができる。
【0121】
一般に、治療用の本発明の化合物は、対象に、従来のテトラサイクリン治療法で用いられた投薬量、対象に投与することができる。例えば
Physicians' Desk Referenceを参照されたい。例えば、本発明の一つ以上の化合物の適した有効量は、1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり0.01 乃至 100ミリグラムの範囲であろうが、好ましくは1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり0.1 乃至 50ミリグラムの範囲、より好ましくは1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり1 乃至 20ミリグラムの範囲内であろう。所望の用量は、一日に一回、適宜投与されるか、あるいは、例えば2乃至5回の小分けした用量などの複数回分の小分けした用量を、全日にわたって適当な間隔をあけて、又は他の適したスケジュールで投与される。
【0122】
比較を目的として、他の特定のテトラサイクリン関連化合物の用量を要約する。テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、及びクロルテトラサイクリンの成人用量は、一般的には、経口により6時間毎に250mgであり、重篤な感染では500mgである。50kg未満の小児の場合、ドキシサイクリン4 mg/kg が一般に第一日目に投与され、その後の日に2 mg/kg が投与される。筋肉内用テトラサイクリンの場合、適した成人用量は、一般に100
mg を一日当たり2乃至3回である。静脈内/胸膜腔内用テトラサイクリンの場合、通常の成人用用量は一般に一日当たり500 mgが2回である。
【0123】
通常の、従来より公知の用法注意を、一般的なテトラサイクリンの投与に関して行って、通常の使用環境下でのそれらの効験を確実にしなければならないとも理解されたい。特に、ヒト及び動物のin vivoでの治療的治療に用いる場合、担当医は、あらゆる気付く限りの注意を払って、従来より公知の禁忌及び毒性作用を避けねばならない。このように、従来より認識されている胃腸管不全及び炎症の有害反応、腎毒性、過敏反応、血中変化、及びアルミニウム、カルシウム、及びマグネシウムイオンを通じて吸収阻害も従来の態様で正しく考慮されねばならない。
【0124】
本置換テトラサイクリン化合物の言語「有効量」は、マラリアにおける様々な形態学的及び身体症状を予防又は改善するためなど、対象においてマラリアをコントロールするために必要又は充分な量である。該有効量は、対象の大きさ及び体重、疾病の種類、又は特定の置換テトラサイクリン化合物などの因子に応じて様々であろう。例えば、本置換テトラサイクリン化合物の選択は、何が「有効量」を構成するかに影響を与える場合がある。当業者であれば、上述の因子を研究でき、また不要な実験なしで、本置換テトラサイクリン化合物の有効量に関する判断を下すことができよう。さらに in vivo 検定法も、置換テトラサイクリン化合物の「有効量」を決定するためにも用いることができる。当業者であれば、上記のin vivo検定法で用いる置換テトラサイクリン化合物の適切な量を選択できよう。好ましくは、本置換テトラサイクリン化合物
の有効量は、マラリアに罹患したヒトなどの対象を治療するために有効であるとよい。
【0125】
用語「対象」は、マラリアに罹患性のある動物を包含するものである。対象の例には、限定はしないが、鳥類(即ちガチョウ、あひる)、は虫類、反芻動物(例えばウシ及びヤギ)、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ライオン、トラ、クマ、サル、チンパンジー、そしてある好適な実施態様ではヒト、が含まれる。
【0126】
さらに本発明を以下の実施例で解説することとするが、以下の実施例を更なる限定的なものと捉えられてはならない。本出願全体を通じて引用した全参考文献、係属中特許出願及び公開済み特許の内容を、引用をもってここに援用することを明示しておく。
【0127】
発明の例示:
本発明の化合物は、当業者の技術範囲内で以下の手法に変更を加えつつ、以下に解説するように作製できよう。
【0128】
実施例1:7置換テトラサイクリンの合成
7ヨードサンサイクリン
1グラムのサンサイクリンを0℃まで(氷上で)冷却した25 mLのTFA (トリフルオロ酢酸) に溶解させた。1.2 等量の N-ヨードスクシンイミド
(NIS) をこの反応混合液に加え、40分間、反応させた。この反応液を氷槽から取り出し、室温でさらに5時間、反応させた。次にこの混合液をHPLC 及びTLCで分析し、NISを段階的に添加することで反応を完了させた。反応の完了後、TFAはin vacuo で除去され、3
mL の MeOHを加えて残渣を溶解させた。メタノール溶液を、高速で攪拌中のジエチルエーテルにゆっくり加えて、緑色がかった茶色の沈殿物を形成させた。この7-ヨード生成物を活性炭で処理し、セライト濾過してサンサイクリンの7-ヨード異性体を精製し、次に溶媒を
in vacuo で除去することで、純粋な黄色の固体として7-異性体化合物を75%の収率で得た。
MS(M+H) (ギ酸溶媒)
541.3.
\Rt: Hypersil C18 BDS カラム、11.73
1H NMR (メタノール d4-300 MHz) d 7.87-7.90 ( d, 1H), 6.66-6.69 (d, 1H), 4.06 (s, 1H),
2.98 (s, 6H), 2.42 (m, 1H), 2.19 (m, 1H), 1.62 (m, 4H), 0.99 (m, 2H)
【0129】
7-フェニルサンサイクリン
7-ヨードサンサイクリン、150
mg (0.28 mM), Pd(OAc)2 及び1 0 mL の MeOH を、攪拌棒付きのフラスコに加え、この系を3x にアルゴンを用いて脱ガスする。水中に溶解させ、アルゴンで脱ガスした Na2CO3 (87 mg, 0.8
mM) を、シリンジを通じて、はやり脱ガスしてあるフェニルボロン酸 (68 mg, 0.55 mM) のMeOH溶液と一緒に加える。この反応に続き、HPLCを2時間行ってから室温まで冷ます。溶液を濾過し、乾燥させて粗混合物を生じさせた。その固体をジメチルホルムアミドに溶解させ、調整用HPLC系にC18逆相シリカを用いて注入した。36-38分の画分を単離し、溶媒をin vacuo で取り除いて生成物を塩と一緒に生じさせた。この塩を50:25:25 の水、ブタノール、酢酸エチル中への抽出により取り除いてin vacuoで乾燥させた。この固体をMeOH に溶解させ、そのHCl塩を、HClガス中での泡沫により作製した。溶媒を取り除いて生成物を42% の収率で黄色の固体として得た。
Rt 21.6 分: MS (M+H、ギ酸溶媒): 491.3
1H NMR (メタノール d4-300 MHz)d 7.87 ( d,
J=8.86 Hz, 1H), 7.38 (m, 5H), 6.64 (d, 8.87 Hz, 1H), 4.00 (s, 1H), 3.84 (s, 2H), 3.01
(s, 6H), 2.46 (m, 2H), 1.63 (m, 4H), 0.95 (m, 2H)
【0130】
7-(4’-クロロフェニル) サンサイクリン
7-ヨードサンサイクリン、500
mg (0.91 mM)、Pd(OAc)2 21 mg、及び 20 mL の
MeOH を攪拌棒付きのフラスコに加え、この系を3x にアルゴンを用いて脱ガスする。水に溶解させ、アルゴンで脱ガスしてあるNa2CO3 (293 mg, 2.8 mM) を、シリンジを通じて、やはり脱ガスしてある4-Cl-フェニルボロン酸 (289 mg, 1.85 mM) のMeOHと一緒に加える。この反応に続きHPLCを45分間行い、室温まで冷ました。この溶液を濾過し、乾燥させて粗混合物を生成させた。その固体をジメチルホルムアミドに溶解させ、調整用HPLC系にC18逆相シリカを用いて注入した。39分での画分を単離し、溶媒をin vacuo で除去して生成物と塩を生じさせた。この塩を50:25:25の水、ブタノール、酢酸エチル中への抽出で取り除き、in vacuoで乾燥させた。この固体をMeOHに溶解させ、そのHCl塩を、HClガス中での泡沫により作製した。溶媒を取り除いて生成物を57% の収率で黄色の固体として生じさせた。
【0131】
Rt 20.3 分: MS (M+H, ギ酸溶媒): 525.7
1H NMR (メタノール d4-300 MHz)d 7.49-7.52 (
d, J=8.54 Hz, 1H), 6.99-7.01 (d, 8.61 Hz, 1H), 4.12 (s, 1H), 3.67 (m, 1H), 3.06
(s, 6H), 2.58 (m, 2H), 1.62(m, 4H), 1.01 (m, 2H)
【0132】
7-(4’-フルオロフェニル) サンサイクリン
7-ヨードサンサイクリン、200
mg (0.3 mM)、Pd(OAc)2 8.3 mg、及び10 mL の MeOH を攪拌棒付きのフラスコに加え、この系を3x にアルゴンを用いて脱ガスする。水に溶解させ、アルゴンで脱ガスしてあるNa2CO3 (104 mg,
1.1mM) を、シリンジを通じて、やはり脱ガスしてある4-F-フェニルボロン酸 (104 mg, 0.7 mM) のMeOHと一緒に加える。この反応に続きHPLCを20分間行い、室温まで冷ました。この溶液を濾過し、乾燥させて粗混合物を生成させた。その固体をジメチルホルムアミドに溶解させ、調整用HPLC系にC18逆相シリカを用いて注入した。19-20分での画分を単離し、溶媒をin vacuo で除去して生成物と塩を生じさせた。この塩を50:25:25の水、ブタノール、酢酸エチル中への抽出で取り除き、in vacuoで乾燥させた。この固体をMeOHに溶解させ、そのHCl塩を、HClガス中での泡沫により作製した。溶媒を取り除き、生成物を47% の収率で黄色の固体として生成させた。
Rt 19.5 分: MS (M+H,
ギ酸溶媒):
509.4

1H NMR (メタノール d4-300 MHz)d 6.92-6.95 ( d,
1H), 7.45-7.48 (d, 1H),
7.15-7.35 (m, 4H), 4.05 (s, 1H), 3.62 (m, 1H), 3.08 (s, 6H), 2.55 (m,
2H), 1.65(m, 4H), 1.00 (m, 2H)
【0133】
7-(4’-ヨード-1’,3’-カルボエトキシ-1’,3’-ブタジエン) サンサイクリン
7-I-サンサイクリン (1 gm,
1.86 mmol)を25 mL のアセトニトリルに溶解させ、窒素で脱ガス及びパージした(三回)。この懸濁液に Pd(OAc)2 (20 mg, .089 mmol)、CuI (10 mg, .053 mmol)、(o-トリル)3P (56 mg, .183 mmol) を加え、窒素でパージした。エチルプロピオレート (1 mL) 及びトリエチルアミン (1 mL) をこの懸濁液に加えた。それはEt3Nを加えると茶色の溶液に変わった。次にこの反応混合液を70℃まで、2時間加熱した。反応の進行をHPLCで観察した。次にそれを室温まで冷まし、セライトで濾過した。溶媒を蒸発させると、茶色の固体ができたが、この茶色の固体を次に調整用HPLCで精製して黄色の固体と生成させた。
【0134】
7-(2’-クロロエテニル)-サンサイクリン
0.65 g (1 mmol) の
7-ヨードサンサイクリンの溶液/懸濁液に、0.05 g のテトラキストリフェニル/ホスフィネートパラデート、 0.012 g の酢酸パラジウム、0.05 gのヨウ化第一銅 (I) の10 mL アセトニトリル溶液、2 mLのトリエチルアミン及び0.5 g のトリメチルシリルアセチレンを室温で加えた。この反応を2時間、進行させてから、セライト床で濾過し、濃縮した。その粗生成物を調整用HPLCで精製した。採集された画分を濃縮し、残渣を約1 mLのメタノール及び2 mL のHCl飽和メタノールの中に取った。その生成物をエーテルで沈殿させた。固体を濾過して取り除き、減圧下で乾燥させた。NMR分光分析法及び LC-MSで、当該化合物が7-(2-クロロエテニル) サンサイクリンであることが示された。
【0135】
7-(4’-アミノフェニル) サンサイクリン
200 mg の7-(4-ニトロフェニル) サンサイクリン の50 mL メタノール溶液に、10 mg の10% パラジウム・オン・チャーコル触媒を加えた。この反応混合液を40 psiの水素圧下で2時間、震盪した後、濾過して濃縮した。その残渣をさらに調整用HPLCで精製した。 35 mg をHCl塩として単離し、その構造をNMR 及びLC-MS で7-(4-アミノフェニル) サンサイクリンとして証明した。
【0136】
7-(NN-ジメチルプロピニル)-サンサイクリン
【0137】
【化15】




【0138】
25 mL のアセトニトリル中に取った7-I-サンサイクリン (1 gm, 1.86 mmol )を脱ガスし、窒素でパージした(三回)。この懸濁液にPd(OAc)2 (20 mg, .089 mmol)、CuI (10 mg, .053 mmol)、(o-tolyl)3P (56 mg, 0.183 mmol)を加え、窒素で数分間、パージした。NN-ジメチルプロピン (308 mg, 3.72 mmol) 及びトリエチルアミン (1 mL) をこの懸濁液に加えた。それはEt3Nを添加すると茶色の溶液に変わった。次にこの反応混合液を70℃まで3時間、加熱した。反応の進行をHPLCで観察した。次にそれを室温まで冷まし、セライトで濾過した。溶媒を蒸発させると、茶色の固体ができたが、この茶色の固体を次に、調整用HPLCで精製して黄色の固体を生じさせた。この化合物の構造は1H NMR、HPLC、及びMSを用いて特徴付けられている。
【0139】
7-(2’-クロロ-3-ヒドロキシプロペニル)-サンサイクリン
【0140】
【化16】






【0141】
7-(アルキニル)-サンサイクリン (100 mg) を20 mlの飽和MeOH/HClの中に取り、20分間、攪拌した。次にこの溶媒を蒸発させて黄色の粉末を生成させた。この化合物の構造は、1H NMR、HPLC、及びMSを用いて特徴付けられている。
【0142】
7-(3’-メトキシフェニルエチル)-サンサイクリン
【0143】
【化17】






【0144】
7-(3’-メトキシフェニルエチニル)-サンサイクリン (1mmol) を、MeOH/HClの飽和溶液の中に取った。この溶液に 10% Pd/C を加え、50 psi で水素化を12時間、行った。次にそれをセライトで濾過した。溶媒を蒸発させて黄色の粉末を生成させた。最後に、それをMeOH/ジエチルエーテルで沈殿させた。この化合物の構造は、1H NMR、HPLC、及びMSを用いて特徴付けられている。
【0145】
(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-サンサイクリン
【0146】
【化18】






【0147】
NN-ジメチルグリシン (1.2
mmol) を DMF (5 mL) に溶解させ、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N, N, N’, N’,-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート (HBTU, 1.2 mmol) を加えた。次にこの溶液を5分間、室温で攪拌した。この溶液に、7-アミノサンサイクリン (1 mmol) を加えた後、ジイソプロピルエチルアミン (DIEA, 1.2 mmol)を加えた。次にこの反応液を室温で2時間、攪拌した。溶媒DMFを真空下で取り除いた。その粗物質を5 mLのMeOH に溶解させ、オートバイアルを用いて濾過し、調整用HPLCを用いて精製した。この生成物の構造は、1H NMR、HPLC、及びMSを用いて特徴付けられている。
【0148】
7-(N-メチルスルホンアミドプロパルギルアミン) サンサイクリン
【0149】
【化19】




【0150】
7-ヨードサンサイクリンモノトリフルオロ酢酸塩 (1g; 1.53 mmoles)、第二酢酸第二パラジウム(17.2 mg;
0.076 mmoles)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (176.8 mg; 0.153
mmoles)、及びヨウ化第一銅(49 mg; 0,228 mmoles) の混合物に、15 ml の試薬級アセトニトリルを、清浄な乾燥した2本首の丸底フラスコ内で加えた。この反応液をゆっくりとしたアルゴンガス流で攪拌しながら5分間、パージしてから、N-メチルスルホンアミドプロパルギルアミン(の固体として一部分の中に)を添加した。該スルホンアミドを当業で公知の方法で調製した (J.Med.Chem 31(3) 1988; 577-82)。この次に、1ミリリットルのトリエチルアミン (1 ml; 0.726 mg; 7.175 mmoles) を加え、その反応液をアルゴン雰囲気下でほぼ1.0 時間、周囲温度で攪拌した。該反応混合液を、珪藻土のパッドで吸引濾過し、アセトニトリルで洗浄した。濾過物を真空下で乾燥するまで濃縮し、その残渣を
トリフルオロ酢酸のアセトニトリル希薄溶液で処理してpHをほぼ2に調節した。その 残渣をより希薄なトリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液で処理して、沈殿物を形成させ、この沈殿物を吸引濾過で取り除いた。この粗濾過物を、DVBを固相とし、勾配を1:1 メタノール/アセトニトリル 1% トリフルオロ酢酸 及び1% トリフルオロ酢酸 の水溶液とした逆相HPLCを用いて精製した。適した画分を減圧下で乾燥するまで濃縮して固体を採集した。生成物を 1H NMR、質量分析法及びLC逆相で特徴付けた。
【0151】
7-(2’-メトキシ-5’-ホルミルフェニル)サンサイクリン
【化20】



【0152】
7-ヨード-サンサイクリン (1g, 1.5 3mmol)、Pd(OAc)2 (34 mg,
0.153 mmol)、及びMeOH (50 mL) をコンデンサ及びアルゴン線を取り付けた250 mL の2本首丸底フラスコ内で配合した。次にこの溶液をアルゴンで、油槽でほぼ70℃まで加熱しながらパージ(15分間)した。炭酸ナトリウム (482mg, 4.58mmol) を水中 (3-5mL)に溶解させ、反応フラスコに加えた。次にこのフラスコをアルゴンでさらに5分間、パージした。2-メトキシ-5-ホルミルフェニルボロン酸 (333mg, 1.83mmol) をMeOH (5mL) 中に溶解させ、反応フラスコに加えた。次にこのフラスコを再度アルゴンで10分間、パージした。反応を3時間以内、完了するまで観察した。フラスコの内容物を濾過紙で濾過し、残った溶媒を排液した。塩酸塩を作製するために、残渣をMeOH (sat. HCl) に溶解させてHCl 塩を作製した。次にその溶液を濾過し、溶媒を排液した。その後その生成物を1H NMR、LC-MSで特徴付けた。
【0153】
7-(2’-メトキシ-5’-N,N’-ジメチルアミノメチルフェニル)サンサイクリン
【0154】
【化21】





【0155】
7-(2’-メトキシ-5’-ホルミルフェニル)サンサイクリン (1g, 1.82mmol)、ジメチルアミンHCl (297 mg, 3.64
mmol)、トリエチルアミン (506μL、3.64 mmol)、及び1,2-DCE (7 mL) を40 mLのバイアル中で配合した。その内容物を数分間の震盪又は攪拌の間に溶解させた。次に水素化トリアセトキシボロナトリウム (772 mg, 3.64 mmol) を固体として加えた。反応をHPLC 及びLC-MSで観察したが、3時間以内に完了した。反応をMeOH (2 0mL)で停止させ、その後溶媒を排液した。残渣を3mL DMF中に再溶解させ、C-18カラム上で分離した。プレップ・カラム上の画分をin vacuoで乾燥させ、そのHCl塩を、培養物をメタノール(飽和HCl)に溶解させることで作製した。溶媒を濃縮し、黄色の粉末を得た。1H NMR、LC-MS、HPLCで特徴付けた。
【0156】
7-フラニルサンサイクリン
7-ヨード サンサイクリン (1.3
mg) 及び Pd(OAc)2 を100 mL のメタノール中に取り、アルゴンで5分間、70℃でパージした。この溶液に炭酸ナトリウム (44 mg)の水溶液(前にアルゴンでパージしたもの)を加えた。黄色の沈殿物を得、この混合液をさらに10分間、加熱した。次に3-フラニルボロン酸 (333 mg, DMF溶液、アルゴンでパージしたもの)を加え、その混合液をさらに2時間、70℃で加熱した。反応をMPLC/MSで観察した。反応が完了したときに、混合液をセライトで濾過し、溶媒を取り除いて、粗物質を生成させた。この粗物質をエーテル(200ml)で沈殿させることで精製した。黄色の沈殿物を濾過し、調整用HPLCを用いて精製した。この物質をMeOH/HCl中に溶解させ、乾燥するまで蒸発させることで、塩酸塩を作製した。その結果できた固体の種類をHPLC、MS、及びNMRを用いて確認した。
【0157】
4S-(4a,12aa)]-4-ジメチルアミノ-7-エチニル-3,10,12,12a-テトラヒドロキシ-1,11-ジオキソ-1,4, 4a,5,5a,6,11,12a-オクタヒドロ-ナフタセン-2-カルボキサミド
300 mg の7-ヨードサンサイクリン 6A を20 mL のアセトニトリルに溶解させ、2.0 mL トリエチルアミン、50.0 mg Pd(PPh3)4、50 mg CuI、12.5 mg Pd(OAc)2 を加えた後、0.5 mL のトリメチルシリルアセチレンを加えた。この反応液を室温で4時間、攪拌し、耳鼻似る-ベンゼン・カートリッジ(25g)で濾過し、in vacuoで濃縮して280 mg の粗物質(LC/MSで観察)を生成させた。この粗物質をメタノールに溶解させ、てTMS基を取り除き、250 mgのof K2CO3 を攪拌しながら室温で4時間かけて加えて化合物6E (スキーム 11)を生成させた。その混合物をジビニルベンゼン・カートリッジで濾過した。溶媒をin vacuo で取り除いて7-エチニルサンサイクリン 6E (スキーム11)を、HPLCにより60% の収率で生成させた。
【0158】
サンサイクリンの7-アセチルサンサイクリン及び7-カルボニルアルキル誘導体の合成のための概略的方法
7-エチニルサンサイクリン 6E (スキーム11, 300 mg) 、又は、7-エチニルサンサイクリンのエチニル置換誘導体を0.1 mLの水、2 mL のH2SO4に、 選択的にはHgSO4 (170 mg) と一緒に溶解させ、一晩、室温で攪拌した。水相をブタノール、CH2Cl2 又は等量に抽出し、溶媒を取り除いて粗化合物11A (スキーム11)を生成させた。7-アセチルサンサイクリン (11A, スキーム11) をC18 逆相HPLC 又は当業で公知の他の方法で単離して、純粋な化合物を良好な収率で得た。 M+H=
457.4
【0159】
サイクリンの7-アセチルもしくは7-カルボニルアルキル誘導体のオキシム又はO-アルキルオキシムへの転化
サンサイクリン11A(スキーム
11, 2 mmol)の、1 グラムの7-アセチルもしくは7-カルボニルアルキル誘導体 及びヒドロキシルアミン HCl をメタノール又はエタノールに溶解させ、室温で2時間以上、攪拌した。当該化合物を
syn 及びanti 異性体として調整用 C18-HPLCか、又は、当業で公知の他の方法で単離して、サンサイクリンの7-オキシムカルボニルアルキル誘導体又は7-O-置換オキシムカルボニル誘導体を良好な収率で生成させた。7-アセチル-オキシム (スキーム 11,
11B); M+H= 473.5. 11C 7-アセチル-オキシム-O-メチルエーテル; M+H= 487.5. 該syn 又はanti 異性体は両者とも、HPLC溶媒体積の分画により得ることができる。
【0160】
サンサイクリンの7-アセチルもしくは7-カルボニルアルキル誘導体の7-カルボニル-a-アミノ誘導体への一般的方法及び転化
サンサイクリン11A(スキーム
11, 2 mmol)の、1グラムの7-アセチルもしくは7-カルボニルアルキル誘導体を臭素(4mmol)又は典型的なハロゲン化剤 (NBS, NCS 又は等量、2-4
mmol)と反応させて、α-ハロゲン化 誘導体 11D
(Br, Cl) を粗固体として生成させる。この化合物を抽出又は当業で公知の他の方法で単離するが、求核性アミン
(2-4 mmol) 又は他の求核試薬 (C 又はO-ベースの)と反応させることで、7-アセチル 11Eの α-アミノ誘導体、又は、サンサイクリンの他の7-カルボニルアルキル誘導体を生成させてもよい。
【0161】
【化22】

【0162】
実施例2: 9-置換ミノサイクリンの調製
9-ヨードミノサイクリンの調製
200mlの97% メタンスルホン酸に、周囲温度で、[30g;56.56mM]部 のミノサイクリン-bis-塩酸塩をゆっくり加えた。次にその暗い黄ばんだ茶色の溶液を周囲温度で攪拌しながら、 [38g;169.7mM] の N-ヨードスクシンイミド を、6回の同等の部分に分けつつ、3.0時間かけて加えた。その反応を分析用 LCで観察したところ、開始物質の消失が認められた。
【0163】
当該の反応を、[17.88g;1134.1mM] のチオ硫酸ナトリウムを含有する2L の氷温の水に攪拌しながら入れて停止させた。この失活剤はほぼ30分間、周囲温度で攪拌された。次に水相を6x200mlの酢酸エチルで抽出してから、この水相を、300mlのn-ブタノールを含有する [259.8g;3.08M] の炭酸水素ナトリウムに注ぎ入れた。この相を分割し、水相を4x250ml のn-ブタノールで抽出した。有機画分を配合し、3x250ml の水で洗浄し、250ml の飽和ブラインで1回、洗浄した。その結果得られた有機相を乾燥するまで減圧下で濃縮した。その残渣をメタノール(~600ml)に懸濁させ、無水HClガスをこの混合液中に、溶解するまで泡沫させた。この溶液を乾燥するまで減圧下で濃縮した。濾過物を乾燥するまで減圧下で濃縮した。その結果できた物質を300ml のメチルt-ブチルエーテルで研磨し、濾過で単離した。この物質を300mlのメタノール中に再溶解させ、0.5g のウッド・カーボンで処理し、濾過し、濾過物を乾燥するまで減圧下で濃縮した。その物質を再度、メチルt-ブチルエーテル下で研磨し、吸引濾過で単離し、より多くのエーテルと、最後はヘキサンとで洗浄した。その物質を真空乾燥させて、22.6g の明るい黄色がかった茶色の粉末を生成させた。
【0164】
9-アルキニルミノサイクリン化合物の調製のための概略的手法
1 mmol 9-ヨード ミノサイクリン、50mg テトラキストリフェニルホスフィネートパラデート、12 mg 酢酸パラジウム、32mg ヨウ化第一銅を、10ml アセトニトリルに溶解/懸濁させる。2 乃至 5ml トリエチルアミン及び
3 乃至5 mmol アルキニル誘導体を加える。この反応混合液を周囲温度と70℃との間でよく攪拌する。反応時間は2乃至24時間である。反応が完了したら、その暗色の懸濁液をセライト床で濾過し、濃縮する。粗生成物を調整用HPLCで精製する。配合した画分を濃縮し、~1mlのメタノール中に取る。~3mlのHCl飽和メタノールを加え、生成物をエーテルで沈殿させる。
【0165】
9-アリールミノサイクリン化合物の調製のための概略的手法
0.15mmol の 9-ヨードミノサイクリン、PdOAc (3.2mg)、229μl
2M Na2CO3 及び2 等量のフェニルボロン酸を10ml
メタノール中に溶解/懸濁させる。この反応フラスコをアルゴンでパージし、反応を最小4時間か、又は、HPLCの観察で開始材料が消費されたこと、及び/又は、生成物が出現したこと、が示されるまで、行わせる。懸濁液をセライトで濾過し、ジビニルベンゼン又はCIE逆相カラムによる調整用HPLCで精製する。
【0166】
9-(4-トリフルオロメトキシフェニルウレイド)-メチルミノサイクリン
【0167】
【化23】



【0168】
3 mL のジメチルホルムアミドに、25℃の150 mg (0.25 mmol) の9-メチルアミノミノサイクリントリヒドロクロリド及び67 mL (0.50 mmol) のトリエチルアミンを加えた。攪拌しながら、75 mL
(0.50 mmol) の4-トリフルオロメトキシフェニルイソシアネートを加え、その結果できた反応混合液を25℃で2時間、攪拌した。反応は分析用HPLC(4.6 x 50mm 逆相Luna
C18 カラム、5 分線形勾配 1-100% B 緩衝剤、A 緩衝剤は0.1% トリフルオロ酢酸を加えた水であり、B 緩衝剤は0.1% トリフルオロ酢酸を加えたアセトニトリルだった)で観察された。完了時、反応を1 mL の水で停止させ、pH をほぼ2.0に濃縮HClで調節した。この溶液を濾過し、当該化合物を調整用HPLCで精製した。生成物の収量は64 mg (37% 収率)だった。生成物の純度は、LCMS (M+1 = 690)で判定したところ95%だった。
【0169】
9-(4’カルボキシフェニル) ミノサイクリン
【0170】
【化24】

【0171】
清浄な乾燥した反応容器内に、9-ヨードミノサイクリン [500mg; 0.762mmoles]ビスHCl 塩、酢酸第二パラジウム [17.2mg; 0.076mmoles] を10ml の試薬級メタノールと一緒に配置した。この溶液を、攪拌しながらアルゴンガス流ですぐにほぼ5分間、パージした。この反応容器を還流させ、それに順に、シリンジを通じて炭酸カリウム溶液[1.91ml; 3.81mmoles]、続いてp-カルボキシフェニルボロン酸 [238.3mg; 1.53mmoles]の5ml の試薬DMF溶液を加えた。これらの溶液の両者とも、予めアルゴンガスでほぼ5分間、脱ガスしてあった。この反応液を45分間、加熱し、その進行を逆相HPLCで観察した。この反応液を、珪藻土のパッドを通して吸引濾過し、DMFで洗浄した。濾過物を真空下で濃縮して油にし、残渣をt-ブチルメチルエーテルで処理した。粗物質を、1.0%トリフルオロ酢酸を含有する水及びメタノール/アセトニトリルの勾配を用いたDVBによる逆相HPLCで精製した。質量スペクトルで確認された生成物:検出 M+1 578.58; その構造は1H NMRで裏付けられた。
【0172】
実施例3: invitroでの抗マラリア活性の評価
以下のプロトコルが、Antimicrob. Agents Chemother.
40:1600-1603, 1996 から適合させ、本実施例で用いられた。
【0173】
寄生虫の調製: P. ファルシパルムの株を培養で継続的に成長させた。ヒトタイプA+赤血球の6% 懸濁液を、25mM HEPES、32mM
NaHCO3 及び10% 熱不活化ヒトタイプA+新鮮凍結血漿(クエン酸-デキストロース抗凝固剤に入れたもの)を加えた無菌水で希釈した粉末状RPMI1640から成る培養基中に調製した。ストック培養株を、25mL入り組織培養フラスコに入れた5mL の6% 赤血球懸濁液中に維持した。このフラスコに5% CO2 、5%O2 及び90% N2 の混合ガスを流し込んだ。次にこのフラスコを密閉し、37℃でインキュベートした。この培養株を、赤血球の2%未満がいずれか一回の時点で感染するように維持した。実験のために、ストック培養株の試料を、充分な非感染タイプA+ヒト赤血球を含有する培養基で希釈して、微量定量プレートへの添加に備えて、最終的なヘマトクリットを1.5% にし、寄生虫血を0.25乃至0.5%とした。
【0174】
薬物の調製: 化合物はすべて、ますDMSO虫に、ストック濃度が20mg/mLになるように溶解させた。最終的な希釈液は、この系では寄生虫に対して測定可能な影響のない1%未満のDMSOを含んでいた。
【0175】
微量定量プレートの準備: 25μlの培養基を96ウェルプレートの各ウェル内に配置した。25μlのDMSO薬物溶液をこのプレートン2つの別々のウェルに添加した。薬物をウェルに添加後、自動希釈器を用いて、連続的2倍希釈を行った。一定の体積(200μl)の被寄生赤血球懸濁液を、コントロールを除く微量定量プレートの各ウェルに添加した。コントロールを200μlの等量の、寄生されていないタイプAヒト赤血球の懸濁液で処理した。各ウェル中の総体積は225μlだった。調製後、プレートを加湿して気密した箱内に、5% O2、 5% CO2 及び90% N2の混合物と一緒に配置し、 密封し、30℃のインキュベータ内に24乃至48時間、配置した。
【0176】
寄生虫の採集及びシンチレーション計数: 二回目のインキュベーション期間の終了時に、 各プレートを、自動細胞採集装置を用いて採集した。この装置は、基本的には、ウェルのそれぞれの特定の内容物を吸引し、濾過紙の小さな円盤上に付着させ、次にこの円盤を蒸留水で完全に洗うものである。その後、各円盤をシンチレーション計数器を用いて計数する。
【0177】
下記の表2では、本発明のいくつかの置換テトラサイクリン化合物について得られた相対的MIC値を示す。*は、寄生虫成長の良好な阻害を表し、**は、寄生虫成長の大変良好な阻害を表し、***は、寄生虫成長の非常に良好な阻害を表す。MICは、30℃24乃至48時間インキュベーションした後のP.ファルシパルムの成長を阻害する化合物の最低濃度を示す。
【0178】
【表2】























【0179】
実施例4: in vivoでの抗マラリア活性の評価
本評価は、急速な致命的マラリアを例外なく起こすと共に、薬物効験の優れたモデルであるすマウス寄生虫であるP.ヴィンクケイ(原語:P.vinckei)を用いて行われている。しかしながら、入手可能な他のマウス寄生虫(例えばp.ベルゲイ(原語:P.bergei))も、同様な方法を用いて研究することができる。
【0180】
20 gm のスイス・ウェブスター・マウスに、別の感染マウスから得られた106個のP.ヴィンクケイ感染赤血球を腹腔内接種する。感染から12時間後に、検査化合物を腹腔内注射することでちりょうを開始する。治療は、1日に2回(BID)、4日間、継続する。実験及びコントロール(希釈剤のみを注射)マウスにおけるマラリア感染の進行を、尾の静脈から得た血液スメアの検査で追跡する。薬理学的終点は、寄生虫血が50%を越えた時点である。非感染動物は6週間追跡し、この期間の間、非感染のまま留まった動物を長期治癒と見なす。
【0181】
検査化合物を、検査マウスの胃へ胃管注射する。標準的なin vivoプロトコルの数多くの変更例を、具体的な目的のために用いてよい。例えば、投薬の間隔は、ある化合物に関する公知の薬物動態や、又は、観察された当初の効験データに基づいて変更してもよい。さらにプロトコルは、真の治療(寄生虫の接種後の遅れのある)又は予防的化学療法(寄生虫の接種前の処理により)の状態をより近く模倣するように変更してもよい。
【0182】
全ての in vivo 実験において、マウスを、実験の少なくとも最初の2週間の間、血液スメアで毎日、観察する。1000 個の赤血球毎の計数が寄生虫血を提供し、次にこの寄生虫血を、経時的に表にし、コントロール及び実験動物に関する結果を比較する。
【0183】
実施例5: 哺乳動物の細胞毒性検定
COS-1及びCHO細胞懸濁液を調製し、96ウェル組織培養用処理済み黒壁面微量定量プレート(細胞株により密度を決定)に接種し、一晩37℃で5% CO2 及びほぼ85%の湿度の中でインキュベートする。次の日、薬物の連続希釈液を無菌条件下で調製し、細胞プレートに移す。細胞/薬物プレートを上記の条件下で24時間、インキュベートする。このインキュベーション期間後、媒質/薬物を吸引し、50μlのレサズリンを加える。次にプレートを上記の条件下で2時間、インキュベートした後、室温で暗室内でさらに20分間、インキュベートする。蛍光測定を行う(励起は 535 nm、放出は 590 nm)。次にIC50 (50%の成長阻害を起こす薬物濃度)を計算する。非置換ミノサイクリン及びドキシサイクリンの両方の細胞毒性は、25μg/mlを越えることを見出した。細胞毒性の良好な置換テトラサイクリン化合物を表2では*で示す。大変良好な細胞毒性を持つ置換テトラサイクリン化合物を表2では**で示す。
【0184】
実施例6: in vitro抗菌活性検定
以下の検定を用いて、普通の細菌に対するテトラサイクリン化合物の効験を判定する。 2
mg の各化合物を100μlのDMSOに溶解させる。次にこの溶液を陽イオン調節したミューラー・ヒントン・ブロス
(CAMHB)に加えて、最終化合物濃度を1ml当たり200μgとする。このテトラサイクリン化合物溶液を50μLまで、0.098μg/mlの検査化合物濃度で希釈する。光学密度(OD)決定を、検査株の新鮮な対数期ブロス培養物から行った。希釈を行って最終細胞密度を1×106 CFU/mlにした。OD=1のとき、様々な属の細胞密度はほぼ以下の通りのはずである:
E. coli 1×109 CFU/ml
S.
aureus 5×108 CFU/ml
Enterococcus
種 2×109 CFU/ml
【0185】
50μlの細胞懸濁液を微量定量プレートの各ウェルに加える。最終細胞密度はほぼ5×105CFU/mlでなければならない。これらのプレートを35℃で周囲大気インキュベータ内でほぼ18時間、インキュベートする。このプレートを微量定量プレート・リーダで読み取り、必要な場合は視覚的に検査する。MIC は、成長を阻害するテトラサイクリン化合物の最低濃度であると定義しておく。
【0186】
均等物
当業者であれば、日常的な実験によって、ここに解説した具体的な実施態様及び方法の均等物を数多く、認識し、又は確認できることであろう。このような均等物は以下の請求の範囲の包含するところと、意図されている。
【0187】
本出願全体を通じて引用された全参考文献、特許及び特許出願の内容を、引用をもってここに援用することとする。これらの特許、出願及び他の文献の適した成分、プロセス、及び方法を、本発明及びその実施態様に向けて選択してよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてマラリアが治療又は予防されるように、有効量の置換テトラサイクリン化合物を前記対象に投与するステップを含む、前記対象においてマラリアを治療又は予防する方法。
【請求項2】
前記テトラサイクリン化合物が式I:




但し式中、
X が CHC(R13Y’Y)、CR6’R6、S、NR6、又は Oであり;
R2、R2’、R4’、及びR4” はそれぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式、ヘテロ芳香族又はプロドラッグ部分であり;
RがNR4’R4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、又は水素であり;
R3、R11 及びR12 がそれぞれ水素、又はプロドラッグ部分であり;
R10 が水素、プロドラッグ部分であるか、又はR9 に連結されて一個の環を形成し;
R5 がヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、ヘテロ芳香族, アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、又はアリールカルボニルオキシであり;
R6 及びR6’が個別に水素、メチレン、存在しない、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R7 が水素、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又は一個のマラリア相互作用性部分であり;
R9 が水素、又は一個のマラリア相互作用性部分であり;
R8 が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R13 が水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
Y’及びY がそれぞれ個別に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
但し条件として、式Iの化合物がオキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、ミノサイクリン、又はテトラサイクリン;及びこれらの薬学的に許容可能な塩ではない、
のものである、請求項1に記載の方法
【請求項3】
R2、R2’、R3、R8、R10、R11、及び R12が水素であり;R4 がNR4’R4”であり; R4’及びR4
がアルキルであり、そしてX が CR6R6’である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
R5、R6、及びR6’が水素であり、そしてR7がジメチルアミノである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R5 がヒドロキシ又はプロドラッグ部分であり、R6 がメチルであり、R6’が水素であり、そしてR7が水素である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
R9 がマラリア相互作用性部分である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マラリア相互作用性部分が置換又は非置換のアリール基を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マラリア相互作用性部分が置換フェニルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記マラリア相互作用性部分がアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、又は一個のハロゲンで置換されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マラリア相互作用性部分がメチレンジオキシフェニルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アリール基が一個のアルキルで置換されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記アルキルが一個の複素環で置換されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アリール基が複素環式である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記複素環が、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ナフタレン、ベンゾキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフトリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、又はインドリジンから成る群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記マラリア相互作用性部分が置換又は非置換のアルキル、アルケニル 又はアルキニルである、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記マラリア相互作用性部分 が-NR9cC(=Z’)ZR9aである、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
Z がN であり、そしてZ’がOである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
R9a がアリールである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
Z がOであり、Z’がOであり、そしてR9a がアルキルである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記マラリア相互作用性部分がアミノアルキルである、請求項6に記載の方法。
【請求項21】
R6 及びR6’が水素であり、そしてR5がプロドラッグ部分又は水素である、請求項3に記載の方法。
【請求項22】
前記マラリア相互作用性部分が:



から成る群より選択され、

但し式中
Ra 及び Rb はそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アルコキシ、又は複素環式であり;
g は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20であり;
n は 0、1、2、又は3であり;
Xa、Xb、Xc、Xd、及びXe はそれぞれ個別に選択的に置換される炭素、酸素、窒素、又は硫黄である、
請求項6に記載の方法。
【請求項23】
前記マラリア相互作用性部分が


である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
g が1であり、そしてRa 及びRb がそれぞれアルキルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
Ra 及びRb が連結されて一個の環を形成している、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
R7 がマラリア相互作用性部分である、請求項3に記載の方法。
【請求項27】
R7 が4乃至20個の炭素、窒素、硫黄、又は酸素原子を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記マラリア相互作用性部分 が一個のアリール基を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記アリール基が置換又は非置換のフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記フェニル基がハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル、アルキル、ニトロ、ホルミル、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアリールで置換されている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記アルコキシ基がメトキシ、エトキシ、プロポキシ、メチレン ジオキシ、又はエチレンジオキシである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アルキル基が置換又は置換メチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチルである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記アルキル基が一個のアミノ、炭素環もしくは複素環式の基で置換されている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アシル基がアセチルである、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記アリール基が置換又は非置換のヘテロアリールである、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記ヘテロアリールがチエニル、イミダゾリル、ピロリル、ピリジニル、フラニル、ピリミジニル、又はベンゾフラニルである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記マラリア相互作用性部分が置換又は非置換のアルキニルである、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記アルキニルが、一個の置換又は非置換のアリール基で置換されている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記マラリア相互作用性部分 がアルキル又はアルケニルである、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記マラリア相互作用性部分が C1-C15である、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
前記マラリア相互作用性部分が置換カルボニルである、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
前記マラリア相互作用性部分がイオン化可能な窒素原子を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項43】
前記マラリア相互作用性部分が:



から成る群より選択され、
但し式中、
Ra 及び Rb はそれぞれ個別に水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アルコキシ、又は複素環式であり;
g が 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20であり;
n が 0、1、2、又は3であり;そして
Xa、Xb、Xc、Xd、及びXe がそれぞれ個別に選択的に置換される炭素、酸素、窒素、又は硫黄
である、請求項26に記載の方法。
【請求項44】
前記マラリア相互作用性部分が




である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
Ra 及び Rb がそれぞれアルキルである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
R5 が一個のアルキルエステルである、請求項3に記載の方法。
【請求項47】
R5 がヒドロキシである、請求項3に記載の方法。
【請求項48】
前記化合物が:







から成る群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物が:







から成る群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項50】
前記化合物が表1又は表2に示された化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項51】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記置換テトラサイクリン化合物が抗菌グラム陽性活性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記抗菌グラム陽性活性が約0.05μg/mlを越える、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記抗菌グラム陽性活性が約約5μg/mlを越える、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記置換テトラサイクリン化合物非抗菌性の、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記置換テトラサイクリン化合物が25μg/ml 以上の細胞毒性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記置換テトラサイクリン化合物が150nM以下のMICを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
前記置換テトラサイクリン化合物 が50nM以下のMICを有する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記置換テトラサイクリン化合物が10nM以下のMICを有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記置換テトラサイクリン化合物が5nM以下のMICを有する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記マラリアが、P.ファルシパルム、P.ヴィヴァックス、P.オヴァール、及びP.マラリアから成る群より選択されるプラスモディウム属原虫により引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
前記マラリアが、プログアニル、クロルプログアニル、トリメトプリム、クロロキン、メフロキン、ルメファントリン、アトヴァクオン、ピリメタミン-スルファドキシン、ピリメタミン-ダプソン、ハロファントリン、キニン、キニジン、アモジアキン、アモピロキン、スルホンアミド、アルテミシニン、アルテフレン、アルテメーテル、アルテスネート、プリマキン、ピロナリジン、プログアニル、及び1,16-ヘキサデカメチレンビス(N-メチルピロリジニウム)ジブロミドから成る群より選択される一つ以上の抗マラリア化合物に対して耐性である、請求項1に記載の方法。
【請求項63】
補助的化合物を投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
前記補助的化合物が、頭痛、不定愁訴、貧血、脾腫、及び発熱から成る群より選択される症状を治療する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記補助的化合物が抗マラリア化合物である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記抗マラリア化合物が、プログアニル、クロルプログアニル、トリメトプリム、クロロキン、メフロキン、ルメファントリン、アトヴァクオン、ピリメタミン-スルファドキシン、ピリメタミン-ダプソン、ハロファントリン、キニン、キニジン、アモジアキン、アモピロキン、スルホンアミド、アルテミシニン、アルテフレン、アルテメーテル、アルテスネート、プリマキン、ピロナリジン、1,16-ヘキサデカメチレンビス(N-メチルピロリジニウム)ジブロミド、及びこれらの組合せ、から成る群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
抗マラリア化合物の抗マラリア活性が高められるように、前記抗マラリア化合物を、有効量の置換テトラサイクリン化合物と組み合わせて投与するステップを含む、前記抗マラリア化合物の抗マラリア活性を高める方法であって、前記テトラサイクリン化合物がI:




を有し、
但し式中、
X がCHC(R13Y’Y)、CR6’R6、S、NR6、又はOであり;
R2、R2’、R4’、及びR4” はそれぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式、ヘテロ芳香族又はプロドラッグ部分であり;
R4が NR4’R4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、又は水素であり;
R3、R11 及びR12 がそれぞれ水素、又はプロドラッグ部分であり;
R10 が水素、プロドラッグ部分であるか、又はR9に連結されて一個の環を形成し;
R5 がヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、ヘテロ芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、又はアリールカルボニルオキシであり;
R6 及びR6’が個別に水素、メチレン、存在しない、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R7 が水素、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はマラリア相互作用性部分であり;
R9 が水素、又は マラリア相互作用性部分であり;
R8 が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R13 が水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
Y’及び Y はそれぞれ個別に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
但し条件として、式Iの化合物がオキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、ミノサイクリン、又はテトラサイクリン;及びこれらの薬学的に許容可能な塩ではない、方法。
【請求項68】
前記抗マラリア化合物がプログアニル、クロルプログアニル、トリメトプリム、クロロキン、メフロキン、ルメファントリン、アトヴァクオン、ピリメタミン-スルファドキシン、ピリメタミン-ダプソン、ハロファントリン、キニン、キニジン、アモジアキン、アモピロキン、スルホンアミド、アルテミシニン、アルテフレン、アルテメーテル、アルテスネート、プリマキン、ピロナリジン、1,16-ヘキサデカメチレンビス(N-メチルピロリジニウム)ジブロミド、及びこれらの組合せから成る群より選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
哺乳動物においてマラリアを予防する方法であって、前記哺乳動物においてマラリアが予防されるように、有効量の置換テトラサイクリン化合物を前記哺乳動物に投与するステップを含み、前記テトラサイクリン化合物が式I:


のものであり、
但し式中、
X がCHC(R13Y’Y)、CR6’R6、S、NR6、又はOであり;
R2、R2’、R4’、及びR4” はそれぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式、ヘテロ芳香族又はプロドラッグ部分であり;
R4 が NR4’R4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、又は水素であり;
R3、R11 及びR12 がそれぞれ水素、又はプロドラッグ部分であり;
R10 が水素、プロドラッグ部分であるか、又はR9に連結されて一個の環を形成し;
R5 がヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、ヘテロ芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、又はアリールカルボニルオキシであり;
R6 及びR6’が個別に水素、メチレン、存在しない、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R7 が水素、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はマラリア相互作用性部分であり;
R9が水素、又はマラリア相互作用性部分であり;
R8 が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R13 が水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
Y’及びY がそれぞれ個別に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
但し条件として、式Iの化合物がオキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、ミノサイクリン、又はテトラサイクリン;及びこれらの薬学的に許容可能な塩ではない、方法。
【請求項70】
前記置換テトラサイクリン化合物が:











から成る群より選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記置換テトラサイクリン化合物が表1又は表2に示された化合物である、請求項67又は69に記載の方法。
【請求項72】
前記置換テトラサイクリン化合物が非抗菌性である、請求項67又は69に記載の方法。
【請求項73】
前記置換テトラサイクリン化合物が抗菌グラム陽性活性を有する、請求項67又は69に記載の方法。
【請求項74】
前記抗菌グラム陽性活性が約0.05μg/mlを越える、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記抗菌グラム陽性活性が約5μg/mlを越える、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記置換テトラサイクリン化合物が25μg/ml 以上の細胞毒性を有する、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記置換テトラサイクリン化合物が150nM以下のMICを有する、請求項67又は69に記載の方法。
【請求項78】
前記置換テトラサイクリン化合物が50nM以下のMICを有する、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記置換テトラサイクリン化合物が10nM以下のMICを有する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記置換テトラサイクリン化合物が5nM以下のMICを有する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
哺乳動物におけるマラリアを治療するために有効量の置換テトラサイクリン化合物と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物であって、前記テトラサイクリン化合物が式I:




のものであり、
但し式中、
X がCHC(R13Y’Y)、CR6’R6、S、NR6、又はOであり;
R2、R2’、R4’、及びR4” がそれぞれ個別に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式、ヘテロ芳香族又はプロドラッグ部分であり;
R4 がNR4’R4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、又は水素であり;
R3、R11 及びR12 がそれぞれ水素、又はプロドラッグ部分であり;
R10 が水素、プロドラッグ部分であるか、又はR9に連結されて一個の環を形成し;
R5 がヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、ヘテロ芳香族、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、又はアリールカルボニルオキシであり;
R6 及びR6’が個別に水素、メチレン、存在しない、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R7 が水素、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はマラリア相互作用性部分であり;
R9 が水素、又はマラリア相互作用性部分であり;
R8 が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
R13 が水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
Y’及びY はそれぞれ個別に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、又は一個のアリールアルキルであり;
但し条件として、式Iの化合物はオキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、ミノサイクリン、又はテトラサイクリン;及びこれらの薬学的に許容可能な塩ではない、医薬組成物。
【請求項82】
前記置換テトラサイクリン化合物が:






から成る群より選択される、請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項83】
前記置換テトラサイクリン化合物が表1又は表2に示された化合物である、請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項84】
第二の作用薬を更に含む、請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項85】
前記第二の作用薬が、プログアニル、クロルプログアニル、トリメトプリム、クロロキン、メフロキン、ルメファントリン、アトヴァクオン、ピリメタミン-スルファドキシン、ピリメタミン-ダプソン、ハロファントリン、キニン、キニジン、アモジアキン、アモピロキン、スルホンアミド、アルテミシニン、アルテフレン、アルテメーテル、アルテスネート、プリマキン、1,16-ヘキサデカメチレンビス(N-メチルピロリジニウム)ジブロミド及びピロナリジンから成る群より選択される、請求項84に記載の医薬組成物。
【請求項86】
マラリアを治療又は予防するために有効量のテトラサイクリン化合物を使用することに関する指示と一緒に梱包された置換テトラサイクリン化合物を含む、梱包されたマラリア治療法又は予防法。

【公開番号】特開2011−37890(P2011−37890A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232352(P2010−232352)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2004−547165(P2004−547165)の分割
【原出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願人】(503334194)パラテック ファーマシューティカルズ, インク. (5)
【氏名又は名称原語表記】PARATEK PHARMACEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】75 Kneeland Street, Boston, MA 02111 (US)
【Fターム(参考)】