説明

マラリア用ワクチン

本発明は、新規なリポタンパク質粒子、その調製方法および精製方法、特にマラリア感染の予防における該粒子の医薬としての使用、該粒子を含む組成物/ワクチン、またはモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などの該タンパク質粒子に対する抗体、および特に治療における該抗体の使用に関する。特に、本発明は、以下の単量体:
a. プラスモディウム・ビバックス(P.vivax)のCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(CSV-S)、および
b. プラスモディウム・ファルシパルム(P. falciparum)のCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(RTS)、および
c. 場合によりB型肝炎に由来するS抗原
を含む免疫原性タンパク質粒子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なリポタンパク質粒子、その調製方法および精製方法、医療(特にマラリア感染の予防)における該リポタンパク質粒子の使用、該タンパク質を含む組成物/ワクチン、またはモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体などの該タンパク質粒子に対する抗体および特に治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアは世界の主要な健康問題の1つであり、この疾患により毎年200〜400万人以上の人々が死亡している。この疾患の最も蔓延している形態の1つは、熱帯および亜熱帯の地域にみられる寄生原虫であるプラスモディウム・ビバックス(P.vivax)によって引き起こされる。興味深いことに、この寄生虫は15℃という低温で蚊サイクルを完結することができ、マラリアが温帯気候において蔓延するのを可能としている。
【0003】
この疾患の最急性型の1つは、マラリアに起因する死亡の大半に関与する寄生原虫であるプラスモディウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum(P. falciparum))によって引き起こされる。
【0004】
プラスモディウム(Plasmodium)のライフサイクルは複雑であり、完結するためには2つの宿主(ヒトおよび蚊)を必要とする。ヒトの感染は、感染した蚊の唾液中のスポロゾイト(胞子虫の種虫)の移入によって始まる。このスポロゾイトは肝臓へ移動し、そこで肝細胞に感染して、赤血球外細胞内段階を経て赤血球(RBC)に感染するメロゾイト(娘虫体)段階へと分化し、無性血段階で循環複製を開始する。このサイクルは、RBC中の多数のメロゾイトが有性段階の生殖母細胞へと分化することによって完結し、この生殖母細胞は蚊に摂取され、中腸において一連の段階を経て成長してスポロゾイトを産生し、これが唾液腺へと移動する。
【0005】
プラスモディウム・ビバックスによって引き起こされる疾患が致命的であることはほとんどないという事実から、マラリアを予防および治療するための取り組みは、プラスモディウム・ファルシパルムによって引き起こされる疾患のより致命的な症状に集中している。
【0006】
プラスモディウム・ビバックスによって引き起こされる疾患は、通常は患者の死亡をもたらさないが、増加していると考えられる症例の量、患者の生活の質に及ぼす甚大な影響、貧血および死亡をもたらす当該疾患の重度の罹患の報告の増加、ならびに経済的影響に起因して、この疾患に対する有効なワクチン接種は依然として必要とされている。さらに、単一のワクチンで、該疾患の両方の原因に対する防御を提供することができれば有利であろう。
【0007】
プラスモディウム・ビバックスの特徴は、一部の株が、末梢循環に出現して臨床症状を示す前に、肝臓中に残っている潜在型によって遅延型感染を引き起こし得ることである。このため、個人が例えば伝染病汚染地域を旅行する場合、感染する可能性があり、なおかつ数ヶ月間症状を示さない可能性がある。これはマラリアの蔓延を引き起こす可能性があり、このため伝染病汚染地域へ旅行する人は、伝染病汚染地域への旅行後一定の期間中、輸血のために献血を行うことが禁じられている。
【0008】
プラスモディウム・ビバックスによるマラリア感染は、この寄生虫が前赤血球段階でのシゾゴニー(胞子虫類の無性生殖による増殖)を経る間、肝臓内に潜在型を残す。寄生虫が肝臓から逃げる前のこの段階で寄生虫を防除する場合、患者にはこの疾患の臨床症状は観察されない。
【0009】
プラスモディウムのスポロゾイト段階は、マラリアワクチンの潜在的な標的として同定されている。不活性化した(放射線照射された)スポロゾイトを用いたワクチン接種は、実験用のヒトマラリアに対する防御を誘導することが示されている(Am. J, Trop. Med. Hyg 24: 297-402, 1975)。しかし、この方法に基づき、放射線照射されたスポロゾイトを用いて、一般向けのマラリア用ワクチンを実用的且つロジスティックに製造することは可能となってはいない。
【0010】
スポロゾイトの主要な表面タンパク質は、スポロゾイト周囲タンパク質(CSタンパク質)として知られている。このタンパク質は、スポロゾイトが、蚊による播種の開始部位から血液循環(ここでスポロゾイトが肝臓へ移動する)へと移行する間、その運動性および侵入に関与すると考えられている。
【0011】
プラスモディア(Plasmodia)種のCSタンパク質は、非反復アミノ基末端(N末端)フラグメントとカルボキシ末端(C末端)フラグメントにはさまれた中央の反復ドメイン(反復領域)によって特徴付けられる。このプラスモディウム・ビバックスの中央ドメインは、幾つかの反復ユニットのブロック(通常は、9個の直列アミノ酸のブロック)で構成される。
【0012】
特定のアジア株では、中央反復領域の後に約12アミノ酸の付加配列が存在している(配列番号11参照)。この付加配列の機能は未知である。しかし、研究はされていないが、一部の研究者によって、該アミノ酸が疾患の臨床症状の発症の遅延に関連する可能性があるという仮説が立てられている。この付加配列のN末端は、領域Iとして知られる5アミノ酸の配列(配列番号1を参照)によって特徴付けられると考えられている。またC末端は、領域IIとして知られる18アミノ酸の配列を含むことによって特徴付けられると考えられている。領域IIは、全てのマラリアCSタンパク質間で高く保存されている細胞接着モチーフを含む(配列番号2を参照)。
【0013】
幾つかのグループは、スポロゾイト周囲タンパク質に基づくサブユニットワクチンを提案している。これらのワクチンのうち2種類は臨床試験を経ており、その一方は合成ペプチドで、他方は組換えタンパク質である(Ballouら Lancet: i 1277 (1987)およびHerringtonら Nature 328:257 (1987))。これらのワクチンは、抗スポロゾイト応答を刺激することに成功した。それにも関わらず、一部のワクチンが全く応答を生じさせなかったため、応答の大きさは満足のいくものではなかった。さらに、追加注射後の抗体レベルの「ブースティング」の不在およびin vitroリンパ球増殖アッセイの結果は、これらのボランティアの大半のT細胞が、上記の免疫優勢反復配列を認識しなかったことを示唆していた。それにも関わらず、各研究においてワクチン接種を受けた1人のボランティアは、寄生虫血症を発症しなかった。
【0014】
WO 93/10152およびWO 98/05355は、プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質に由来するワクチンについて記載しており、これらの文献に記載される方法を用いて、プラスモディウム・ファルシパルムに対するワクチン接種について多少の進歩がもたらされたと考えられる。Heppnerら 2005, Vaccine 23, 2243-50も参照のこと。
【0015】
プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質は、保存されている中央反復領域を有する。対照的に、プラスモディウム・ビバックスについては、少なくとも2つの形の(VK210またはI型およびVK247またはII型と呼ばれる)CSタンパク質が知られている。このことは、CSタンパク質の特定の種類に関係なくプラスモディウム・ビバックスに対する一般的な防御を与える所望の特性(免疫原性など)を全て有するCSタンパク質の構築物を同定することをさらに困難にする。なぜなら、I型の中央反復領域に向けられた抗体は、必ずしもII型の対応する領域上のエピトープを認識するわけではなく、逆もまた同様であるためである。
【0016】
1980〜1990年代に、組換えプラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質を発現させてワクチンとして試験したが、限られた成果しか挙げられなかった(Collinsら, 1989. Am. J. Trop. Med. Hyg. 40, 455-64)。架橋された1つ以上のエピトープを利用して多重抗原ペプチド(MAP)に基づいてワクチンを開発するために、幾つかの研究が行われている(NardelliおよびTam, 1995, Pharm. Biotechnol. 6, 803-19)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】WO 93/10152
【特許文献2】WO 98/05355
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Am. J, Trop. Med. Hyg 24: 297-402, 1975
【非特許文献2】Ballouら Lancet: i 1277 (1987)
【非特許文献3】Herringtonら Nature 328:257 (1987)
【非特許文献4】Heppnerら 2005, Vaccine 23, 2243-50
【非特許文献5】Collinsら, 1989. Am. J. Trop. Med. Hyg. 40, 455-64
【非特許文献6】NardelliおよびTam, 1995, Pharm. Biotechnol. 6, 803-19
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、マラリアワクチンとして使用するための、体液性応答と、また細胞性免疫応答をも生じさせると考えられる抗原粒子を提供する。この抗原粒子は、プラスモディウム・ファルシパルムおよびプラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質である、I型およびII型に対する抗体の産生を誘導すると考えられる。この抗原は、Tヘルパー細胞、例えば、Th1および/またはTh2細胞も誘導することができる。
【0020】
従って本発明は、以下の単量体:
a. プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(CSV-S)、および
b. プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(RTS)、および場合により
c. B型肝炎ウイルスに由来するS抗原
を含む免疫原性タンパク質粒子を提供する。
【0021】
配列表
配列番号1 N末端の領域I
配列番号2 C末端の領域II
配列番号3-9 I型CSタンパク質の多様な反復ユニット
配列番号10 II型CSタンパク質に由来する大きい方の反復ユニット
配列番号11 アジア株に見られる付加アミノ酸
配列番号12 ハイブリッドタンパク質CSVのヌクレオチド配列
(大腸菌(E Coli)での発現用に最適化)
配列番号13 ハイブリッドタンパク質CSVのアミノ酸配列
配列番号14 II型CSタンパク質に由来する小さい方の反復ユニット
配列番号15 ハイブリッドタンパク質CSVのヌクレオチド配列
(酵母での発現用に最適化)
配列番号16 ハイブリッド融合タンパク質CSV-Sのヌクレオチド配列
配列番号17 ハイブリッド融合タンパク質CSV-Sのアミノ酸配列
配列番号18 RTS発現カセットおよび予測RTS,Sタンパク質のヌクレオチド配 列。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】pRIT15546のプラスミドマップは、酵母エピソームベクターである。
【図2】pGF1-S2のプラスミドマップ。GSKが調製したプラスミドは、所望の抗原と、B型肝炎に由来するS抗原との「融合」を利用した。異種DNA配列をSmaI部位にクローニングし(12bpのSmaI DNAフラグメントの除去後)、S遺伝子とのインフレーム融合を創出する。
【図3】pRIT15582のプラスミドマップ。
【0023】
XhoIを用いた消化は、CSV-S発現カセットとLEU2選択マーカーを有し、酵母染色体への挿入に用いられる8.5 kbの線状DNAフラグメントを遊離させる。
【図4】CSV-Sカセットを組込むために用いられる線状XhoIフラグメントの制限マップ。
【図5】Y1835株中で発現させた組換えタンパク質のウェスタンブロット。
【0024】
パネルA:抗S抗体で示されるウェスタンブロット
ロードしたサンプル(100μgの全タンパク質/ウェル):
1:Y1631(RTS,S産生株、比較として)
2:Y1835
3:Y1835
4:Y1834
パネルB:抗CSV抗体で示されるウェスタンブロット
ロードしたサンプル(100μgの全タンパク質/ウェル):
1:Y1631(RTS,S産生株、比較として)
2:Y1295
3:Y1835
4:Y1834
5:未報告(nr)(別のCSVS構築物)
6:未報告(nr)(別の構築物-S抗原のみ)
【図6】Y1835株中で生産されたCSV-S,S混合粒子の電子顕微鏡写真。
【0025】
CSV-S,S粒子を、可溶性細胞抽出物から(RTS,S精製法に基づいて)精製し、電子顕微鏡解析に供した。粒子は、リンタングステン酸を用いた陰性染色の後に可視化された。顕微鏡のスケールは100nmに相当する。
【図7】Y1845株中で発現させた組換えタンパク質のウェスタンブロット。
【0026】
抗S抗体で示されるウェスタンブロット
(括弧内は、ロードされた全タンパク質の量)。
【0027】
1:Y1835(100μg)
2:Y1631(100μg-RTS,S産生株、比較として)
3:Y1845(100μg)
4:Y1845(50μg)
5:Y1845(25μg)
【図8】Y1845株から調製した無細胞抽出物のCsCl密度解析
【発明を実施するための形態】
【0028】
このように、本発明で用いる融合タンパク質CSV-Sは、プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質(CSV)に由来する部分を含む。このCSV抗原は、プラスモディウム・ビバックスのI型CSタンパク質および/またはプラスモディウム・ビバックスのII型タンパク質に見られるようなネイティブタンパク質であり得る。別法として、このCSVタンパク質は、該I型およびII型のCSタンパク質に由来するエレメントを含むハイブリッドタンパク質またはキメラタンパク質であってよい。後者がS抗原に融合される場合、本明細書中ではこれを「ハイブリッド融合タンパク質」と呼ぶ。
【0029】
「CSV-S」は、本明細書中で、プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質由来の配列/フラグメントと、B型肝炎のS抗原由来の配列/フラグメントとを含む融合タンパク質を包含する総称として使用される。
【0030】
「RTS」は、本明細書中で、プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質由来の配列/フラグメントと、B型肝炎のS抗原由来の配列/フラグメントとを含む融合タンパク質を包含する総称として使用される。
【0031】
ハイブリッド/キメラタンパク質は、通常:
プラスモディウム・ビバックスのI型スポロゾイト周囲タンパク質の中央の反復部分に由来する少なくとも1つの反復ユニット、および
プラスモディウム・ビバックスのII型スポロゾイト周囲タンパク質の中央の反復部分に由来する少なくとも1つの反復ユニット
を含む。
【0032】
一般的に、ハイブリッドタンパク質は、プラスモディウム・ビバックスなどのプラスモディウムのCSタンパク質に由来するN末端フラグメント(例えば、配列番号1に示すアミノ酸のような領域Iを含むフラグメント)も含む。
【0033】
通常、ハイブリッドタンパク質は、プラスモディウム・ビバックスなどのプラスモディウムのCSタンパク質(I型またはII型)に由来するC末端フラグメント(例えば、配列番号2に示すモチーフのような領域IIを含むフラグメント)を含む。
【0034】
理論に拘束されるものではないが、N末端およびC末端のフラグメントは、T細胞およびB細胞のエピトープを幾つか含むと考えられる。
【0035】
本発明においては、プラスモディウム・ビバックスの任意の好適な株を使用することが可能であり、例えばラテンアメリカ株(すなわちSal 1、Belem)、韓国株、中国株、タイ株、インドネシア株、インド株、およびベトナム株が挙げられる。配列番号13の構築物は、韓国株に基づく。
【0036】
I型CSタンパク質を有するプラスモディウム・ビバックスは、II型CSタンパク質を有するプラスモディウム・ビバックスよりも蔓延している。従って、1つの態様において、本発明は、I型に由来するCSタンパク質を利用する。別の態様において、本発明は、I型に由来する反復ユニットとII型に由来する反復ユニットを含む(例えば、I型に由来する反復ユニットの方が、II型の反復ユニットよりも多くハイブリッドに含まれる)ハイブリッドタンパク質を提供する。
【0037】
さらに具体的には、本発明のハイブリッドタンパク質は、1〜15個の反復ユニット(例えば9個の、I型に由来する反復ユニット)を含み得る。
【0038】
I型CSタンパク質に由来する好適な反復ユニットの例は、配列番号3〜9に示される。
【0039】
1つの実施形態において、本発明は、様々なI型の反復ユニット(例えば、配列番号3〜9に記載される各反復ユニットの1つ)の混合物のハイブリッドを提供する。
【0040】
このハイブリッド中で、1つ以上の反復ユニットを複製することができる。例えば、構築物中に配列番号3および/または4の2つの反復ユニットを組み込むことができる。
【0041】
a) 1つの態様において、CSタンパク質は配列番号3のユニットを含む。
【0042】
b) 1つの態様において、CSタンパク質は、場合により直上の段落a)に記載のユニットと組み合わせて、配列番号4のユニットを含む。
【0043】
c) 1つの態様において、CSタンパク質は、場合により直上の段落a)またはb)に記載のユニットと組み合わせて、配列番号5のユニットを含む。
【0044】
d) 1つの態様において、CSタンパク質は、場合により直上の段落a)〜c)に記載のユニットの1つ以上と組み合わせて、配列番号6のユニットを含む。
【0045】
f) 1つの態様において、CSタンパク質は、場合により直上の段落a)〜d)に記載のユニットの1つ以上と組み合わせて、配列番号7のユニットを含む。
【0046】
g) 1つの態様において、CSタンパク質は、場合により直上の段落a)〜f)に記載のユニットの1つ以上と組み合わせて、配列番号8のユニットを含む。
【0047】
h) 1つの態様において、CSタンパク質は、場合により直上の段落a)〜g)に記載のユニットの1つ以上と組み合わせて、配列番号9のユニットを含む。
【0048】
好適な構成成分である、II型のCSタンパク質に由来する反復ユニットの例は、配列番号10および14(例えば10)に示される。
【0049】
本発明の1つの態様では、5個以下のII型に由来する反復ユニット(例えば配列番号10に示される1個の反復ユニット)を有するハイブリッドタンパク質が提供される。
【0050】
上記のハイブリッドは、プラスモディウム・ビバックスの特定のアジア株に見られる反復領域の端において見出される12アミノ酸(例えば配列番号11に示される)の挿入も含み得る。
【0051】
1つの実施形態において、ハイブリッドタンパク質は、プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質に由来する約257個のアミノ酸を含む。
【0052】
本発明のCSV由来の抗原構成成分は、通常、Sタンパク質のアミノ末端に融合される。
【0053】
B型肝炎に由来する表面抗原の存在は、CSタンパク質部分の免疫原性をブーストし、安定性を助け、且つ/またはこのタンパク質の再生産に役立つと考えられる。
【0054】
1つの実施形態において、ハイブリッド融合タンパク質は、約494個のアミノ酸を含む。例えば、約257個のアミノ酸は、プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質に由来する。
【0055】
ハイブリッド融合タンパク質は、プラスモディウム・ファルシパルムおよび/またはプラスモディウム・ビバックスに由来する他の抗原も含み得る。例えば、この抗原は、DBP、PvTRAP、PvMSP2、PvMSP4、PvMSP5、PvMSP6、PvMSP7、PvMSP8、PvMSP9、PvAMA1およびRBPまたはこれらのフラグメントから選択される。
【0056】
他の例では、プラスモディウム・ファルシパルムに由来する抗原として、PfEMP-1、Pfs16抗原、MSP-1、MSP-3、LSA-1、LSA-3、AMA-1およびTRAPが挙げられる。他のプラスモディウムの抗原としては、プラスモディウム・ファルシパルム(P. falciparum)のEBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクエストリン、Pf332、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27/25、Pfs48/45、Pfs230および他のプラスモディウム属の種における類似体が挙げられる。
【0057】
1つの実施形態において、ハイブリッド融合タンパク質(CSV-S)は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する。この配列において、アミノ酸6〜262はCSVに由来し、269〜494はS抗原に由来する。残りのアミノ酸は、遺伝的構造(特に適宜変化させることができる)によって導入される。これらの4個のアミノ酸、Met Met Ala Proは、プラスミドpGF1-S2から特異的に誘導される(図4参照)。
【0058】
配列番号17のCSV-S融合タンパク質の特性は、以下の表に示される。
【表1】

【0059】
配列番号17のタンパク質のヌクレオチド配列は、配列番号16に示される。
【0060】
RTSと呼ばれる(すなわち、プラスモディウム・ファルシパルムに由来する)本発明のタンパク質粒子の構成成分は、RTS*(プラスモディウム・ファルシパルムのNF54/3D7株に由来する)の説明を含むWO 93/10152に記載のとおりに調製することができる。
【0061】
本発明の1つ以上の実施形態において、融合タンパク質中で用いられるプラスモディウム・ファルシパルムに由来する抗原は、実質的にはそのCSタンパク質全体である。
【0062】
本発明の1つの実施形態では、完全長S抗原を用いる。別の実施形態では、上記のS抗原のフラグメントを用いる。
【0063】
1つの実施形態では、プラスモディウム・ファルシパルムに由来する抗原は、中央反復領域に4個以上の反復ユニットを含む。さらに具体的には、この抗原は、CSタンパク質のC末端部分と実質的に相同の、160個以上のアミノ酸を含有する配列を含む。このCSタンパク質は、C末端から数えて最後の12〜14個(例えば12個)のアミノ酸はなくてもよい。
【0064】
特に、この粒子中では、プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質の一部(実質的に、S抗原のN末端に線状リンカーを介してインフレーム融合した、プラスモディウム・ファルシパルム(株NF54[3D7])7G8のCSタンパク質のアミノ酸207〜395に相当)を含む融合タンパク質を用いた。このリンカーは、S抗原に由来するpreS2部分を含み得る。
【0065】
さらに具体的には、プラスモディウム・ファルシパルムに由来する融合タンパク質は、配列番号18に示されるRTS発現カセットのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質である。
【0066】
好適なS抗原はpreS2を含み得る。好適な血清型の例は、adw(Nature 280:815-819, 1979)である。
【0067】
1つの態様において、本発明のハイブリッド融合タンパク質は、例えば公開米国出願第2006/194196号(WO 2004/113369としても公開)に記載のとおり、変異体Sタンパク質に由来する部分を含む。この文献は、変異標識HDB05について記載する。特にこの文献は、図1と図6では変異型タンパク質と野生型タンパク質との比較を、また図4と図5では変異体の遺伝子を表している。文献中の配列12〜22は、変異体Sタンパク質の特定のポリペプチドを表す。上記の各記載は、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0068】
融合タンパク質CSV-Sは、例えば、プラスミドpGF1-S2を用いて調製することが可能であり(さらに詳細には、図2および実施例を参照のこと)、このプラスミドは、CSVに対応する適切な配列がSmaIクローニング部位に挿入されている場合、好適な条件下で融合タンパク質CSV-Sを生産することができる。
【0069】
本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、1つの実施形態において、好ましくは酵母遺伝子に由来する転写制御エレメントに隣接し、発現ベクターに組み込まれる。
【0070】
本発明のハイブリッドタンパク質の発現カセットは、例えば、以下の特性を含めて構築することができる。
【0071】
例えば、サッカロミセス・セレヴィシエ(S.cerevisiae)のTDH3遺伝子に由来するプロモーター配列。
【0072】
適切な融合タンパク質をコードする配列。
【0073】
例えば、サッカロミセス・セレヴィシエのARG3遺伝子に由来する配列中に含まれる転写終結配列。
【0074】
特異的プロモーターの例は、サッカロミセス・セレヴィシエのTDH3遺伝子由来のプロモーターである(Mustiら)。
【0075】
本発明は、ハイブリッド融合タンパク質の調製に用いられるベクターにも及ぶ。
【0076】
次いで、好適なプラスミドを用いて、ハイブリッド融合タンパク質をコードする配列を好適な合成用宿主に挿入することができる。好適なプラスミドの例として、好適な発現カセットを運ぶ2ミクロンベースのベクターであるpRIT15546が挙げられる。さらに詳細には、図1および実施例を参照のこと。
【0077】
このプラスミドは、通常、選択に役立つ組込みマーカー(例えば、抗生物質耐性またはLEU2もしくはHIS栄養要求性をコードする遺伝子)を含む。
【0078】
通常、宿主は、粒子中の各融合タンパク質用の発現カセットを有し、ゲノム中に組み込まれたS抗原用の1つ以上の発現カセットも有し得る。
【0079】
本発明は、本発明のベクターで形質転換された宿主細胞にも関する。宿主細胞は、原核細胞または真核細胞であってよいが、好ましくは酵母であり、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)(例えば、RIT DC5 cir(o)という名称で寄託されているATCCデータベース(寄託番号20820)中のDC5(寄託者:Smith Kline-RIT)などのサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae))、および非サッカロミセスの酵母が挙げられる。これらは、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)(例えば、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe))、クリュイベロミセス(Kluyveromyces)(例えば、クリュイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis))、ピキア(Pichia)(ピキア・パストリス(Pichia pastoris))、ハンセヌラ(Hansenula)(例えば、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))、ヤロウィア(Yarowia)(例えば、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))およびシュワニオミセス(Schwanniomyces)(例えば、シュワニオミセス・オキシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)を含む。
【0080】
1つの態様において、本発明は、融合タンパク質を発現させるための組換え酵母Y1834株(およびその使用)に関する。この組換え酵母株の作製については、実施例を参照されたい。
【0081】
別の実施形態において、本発明は、組換え酵母株Y1835またはY1845(およびその使用)を提供する。本発明の融合タンパク質の発現については、さらに詳細には実施例を参照されたい。
【0082】
本明細書中で用いられるヌクレオチド配列またはその一部(CS/ハイブリッドタンパク質をコードする部分だが、場合によりタンパク質Sをコードする部分ではない)は、酵母などの宿主中での発現用にコドン最適化することができる。
【0083】
本発明は、本発明において用いられる粒子の2つ以上の構成成分をコードするDNAなどのポリヌクレオチドを含む宿主にも及ぶ。
【0084】
1つの実施形態において、宿主細胞は、プラスモディウム・ビバックスに由来する融合タンパク質の発現カセットと、プラスモディウム・ファルシパルムに由来する融合タンパク質の発現カセットを含む。
【0085】
酵母細胞などの特定の宿主中では、融合タンパク質(S抗原を含む)は、発現するとすぐに、該融合タンパク質の多数の単量体から成るタンパク質構造/粒子へと構築される。この酵母が2つの異なる融合タンパク質を発現する場合、これらは粒子中で共に構築されると考えられる。
【0086】
選択されたレシピエント酵母株が、既にそのゲノム中に幾つかの組み込まれたB型肝炎S発現カセットのコピーを有する場合、その後構築された粒子は、融合していないS抗原の単量体も含み得る。
【0087】
これらの粒子は、ウイルス様粒子(VLP)とも呼ばれる。この粒子は、多量体リポタンパク質粒子としても表わされる。
【0088】
あるいはまた、これらの粒子は多数の方法で調製することができる。例えば、プラスモディウム由来の各抗原を、別の融合パートナー(例えば、B型肝炎ウイルスの抗原またはウイルス構造タンパク質)と融合させ、これを酵母または細菌などの好適な宿主中で発現させることによる方法が挙げられる。
【0089】
このようにして、以下の単量体:
a. プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質に由来する配列を含む融合タンパク質、および
b. プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質に由来する配列を含む融合タンパク質
を含む免疫原性タンパク質粒子が提供される。
【0090】
他の態様において、本発明は、
a) プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質に由来する配列
(例えば、I型および/またはII型の反復領域に由来する配列)
b) プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質に由来する配列(例えば、その反復領域に由来する配列)、および
c) B型肝炎のS抗原に由来する配列
を含む融合タンパク質を提供する。
【0091】
このように、本発明は、プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質に由来する融合タンパク質と、プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質に由来する融合タンパク質を含むタンパク質粒子であって、該融合タンパク質を好適な宿主中で発現させる場合、プラスモディウムの抗原と融合している抗原がリポ粒子の形成/構築を誘導するように選択される、上記タンパク質粒子にまで及ぶ。
【0092】
このように、本発明は、CSV-SとRTSのユニットを含むVLPを提供する。1つの態様において、本発明は、CSV-SとRTSのユニットで本質的に構成される粒子を提供する。別の態様において、生成される粒子は、CSV-S、RTSおよびSのユニットを含み、あるいはCSV-S、RTSおよびSのユニットで本質的に構成される。
【0093】
該粒子の調製のため、様々な方法を使用して酵母を操作することができる。例えば、融合タンパク質用の発現カセットを、所要の融合タンパク質の1つおよび/またはS抗原のための発現カセットを既に含んでいる酵母のゲノム中に挿入することができる。しかし、当技術分野で働いている当業者は、本発明による粒子の調製のための好適な宿主を上手く作製することができる。
【0094】
このように、1つの態様において、本発明は、CSV-S、RTSおよび場合によりSをコードするDNAを含む酵母などの好適な宿主を提供する。別の態様において、好適な宿主は、CSV-S、RTSおよび場合によりSを発現し得る1つ以上のプラスミドである。例えば、このプラスミドは、上記のタンパク質を、例えば酵母と共に発現させるために用いることができる。
【0095】
理論に拘泥するものではないが、細胞からタンパク質を遊離させるために用いる界面活性剤も、リポタンパク質粒子の安定化に役立つと考えられる。
【0096】
本発明のリポタンパク質粒子は、in vivoで抗原タンパク質に対する免疫応答をさらに刺激することに寄与し得ると考えられる。
【0097】
1つの態様において、本発明は、1つ以上のCSタンパク質(例えば、本発明の粒子に含まれる1つ以上のCSタンパク質に対応)をコードする複製能欠失型ウイルスベクターを提供する。
【0098】
好適なウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター(AAV)、麻疹ウイルス、レンチウイルス、アルファウイルス、バキュロウイルス、単純ヘルペスウイルス、およびポックスウイルス(例えば牛痘、鶏痘、鳩痘、カナリア痘、スイポックスおよび羊痘/ヤギ痘)に由来するものであってよい。マラリア抗原をコードするアデノウイルスベクターを作製する方法は、例えば、WO 2004/055187に記載されている。
【0099】
このベクターにコードされるタンパク質は、例えば、発現中のタンパク質のグリコシル化を妨げるように改変することができる。例えば、特定のセリン残基をアラニン残基と置換して、グリコシル化を減少させることができる。
【0100】
本発明において使用するウイルスベクターは、組換えであってよい。
【0101】
アデノウイルス
本発明のアデノウイルスベクターは、1つ以上の免疫原性ポリペプチドをコードする1つ以上の異種ポリヌクレオチド(DNA)を含む。
【0102】
本発明において使用するアデノウイルスベクターは、様々な哺乳動物宿主に由来するものであってよい。
【0103】
アデノウイルス(本明細書中では、「Ad」または「Adv」と呼ぶ)は、3つの主要なタンパク質(ヘキソン(II)、ペントンベース(III)および瘤線維(knobbed fibre)(IV))からなる20面体のカプシドを、他の多数の小さなタンパク質(VI、VIII、IX、IIIaおよびIVa2)と共に含む特徴的な形態を有する(Russell W.C. 2000 Gen Viriol, 81:2573-2604)。このウイルスゲノムは、逆方向末端反復配列(ITR)を有する5'末端に共有結合した末端タンパク質を含む線状二本鎖DNAである。ウイルスDNAは、高塩基性タンパク質VIIおよびmuと呼ばれる小ペプチドと密接に結合している。別のタンパク質Vは、DNA-タンパク質複合体と共にパッケージされ、タンパク質VIを介してカプシドへの構造的結合を提供する。このウイルスは、一部の構造タンパク質をプロセシングして成熟感染ウイルスを生成するために必要とされる、ウイルスがコードするプロテアーゼも含む。
【0104】
様々な哺乳動物種に感染する、100種以上の異なるアデノウイルスの血清型が単離されており、このうち51種の血清型はヒト由来である。従って、1つ以上のアデノウイルスベクターが、ヒトアデノウイルスに由来し得る。このようなヒト由来のアデノウイルスの例としては、Ad1、Ad2、Ad4、Ad5、Ad6、Ad11、Ad24、Ad34、Ad35、Ad50/51が挙げられ、特にAd5、Ad11およびAd35が挙げられる。ヒト血清型は、多数の生物学的、化学的、免疫学的および構造的基準に基づいて6つの亜属(A-F)に分類されている。
【0105】
多くの遺伝子治療試験ではAd5ベースのベクターが広く用いられているが、Ad5および他のグループCのアデノウイルスベクターの使用には、自然の感染による一般集団の既存の免疫に起因する制限があり得る。Ad5および他のグループCのメンバーは、最も一般的な血清型となる傾向にある。治療中の既存のベクターへの曝露の結果として、当該ベクターに対する免疫が生じ得る。これらの種類の、一般的な血清型のベクター(seroprevalent vector)に対する既存のまたは発生した免疫は、遺伝子治療またはワクチン接種の取り組みの有効性を制限し得る。このように、代替アデノウイルス血清型は、宿主の免疫応答を回避し得る遺伝子伝達システムの探求において極めて重要な標的を構成する。
【0106】
1つのかかる領域の代替血清型は、非ヒト霊長類(特にチンパンジーアデノウイルス)に由来する血清型である。2種類のチンパンジーアデノウイルスのゲノムについて記載している米国特許第6,083,716号を参照のこと。
【0107】
チンパンジー(「Pan」または「C」)アデノウイルスベクターが、ヒトアデノウイルスベクターと同程度に効率的に導入遺伝子産物に対して強い免疫応答を誘導することが示されている(Fitzgeraldら J. Immunol. 170:1416)。
【0108】
非ヒト霊長類アデノウイルスは、チンパンジーの腸間膜リンパ節から単離することができる。チンパンジーアデノウイルスは、ヒトアデノウイルスのサブタイプCと十分に類似しており、HEK293細胞中でE1欠失ウイルスの複製を可能とする。それにも関わらず、チンパンジーアデノウイルスは、より一般的なヒト血清型(Ad2およびAd5)とは系統発生学的に異なる。Pan6は、Pan5、Pan7およびPan9とはあまり密接には関連しておらず、血清学的に異なる。
【0109】
このように、1つ以上の上記のアデノウイルスベクターは、チンパンジーアデノウイルス(例えば、血清型Pan5、Pan6、Pan7およびPan9から選択されるウイルス)などの非ヒト霊長類アデノウイルスに由来し得る。
【0110】
アデノウイルスベクターは、2種以上のアデノウイルス血清型に由来してもよく、各血清型は、同一のまたは異なる源に由来し得る。例えば、これらの血清型は、2種以上のヒト血清型および/または2種以上の非ヒト霊長類血清型に由来し得る。キメラアデノウイルスベクターを構築するための方法は、WO2005/001103に開示されている。
【0111】
異種DNAをアデノウイルスに挿入することに関連して特定のサイズの制限がある。ヒトアデノウイルスは、野生型ゲノム長の105%までをパッケージする能力を有する(Bettら 1993, J Virol 67 (10), 5911-21)。ヒトアデノウイルスのパッケージングの下限は、野生型ゲノム長の75%であることが示されている(Parksら 1995, J Virol 71(4), 3293-8)。
【0112】
本発明において有用なアデノウイルスの一例は、ヒト集団において一般的なAd2およびAd5などの天然の血清型とは異なるアデノウイルスである。これは、中和抗体を通じてベクターの取り込みを阻害し且つ毒性を及ぼすことにより同一の血清型の追加投与の有効性を制限する、該ベクターに対する強い免疫応答の誘導を回避する。
【0113】
このように、本発明のアデノウイルスは、一般的な天然のヒトウイルス血清型ではないアデノウイルスである。動物から単離されたアデノウイルスは、免疫学的に異なるカプシド、ヘキソン、ペントンおよび線維の構成成分を有するが、系統発生学的には密接に関連している。具体的には、本発明のウイルスは、サルアデノウイルスなどの非ヒトアデノウイルス、特にPan5、Pan6、Pan7またはPan9などのチンパンジーアデノウイルスであってよい。このようなウイルス株の例は、WO 03/000283に記載されており、American Type Culture Collection(10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110-2209)および他の源から入手可能である。望ましいチンパンジーアデノウイルス株は、Pan5(ATCC VR-591)、Pan6(ATCC VR-592)、およびPan7(ATCC VR-593)である。
【0114】
チンパンジーアデノウイルスの使用は、標的集団中のアデノウイルスに対する既存の免疫の欠如、特に交差中和抗体の欠如により、ヒトアデノウイルス血清型の使用よりも有利であると考えられる。チンパンジーアデノウイルスと既存の中和抗体の応答との交差反応は、特定の候補ヒトアデノウイルスベクターの場合の35%と比較すると、標的集団の2%でしか示されない。チンパンジーアデノウイルスは、より一般的なヒトのサブタイプAd2およびAd5とは異なるが、ヒトのサブグループEのAd4(一般的なサブタイプではない)とより密接に関連している。Pan6は、Pan5、Pan7およびPan9とはそれほど密接には関連していない。
【0115】
本発明のアデノウイルスは、複製欠損型であってよい。このことは、本発明のウイルスが、野生型ウイルスと比べて非相補細胞中で複製する能力が低下していることを意味する。これは、例えば複製に関与する遺伝子を欠失させる(例えば、E1a、E1b、E3またはE4遺伝子の欠失)ことによりウイルスを変異させることによってもたらされ得る。
【0116】
本発明によるアデノウイルスベクターは、機能的E1欠失を含む複製欠損型アデノウイルスに由来し得る。このように、本発明によるアデノウイルスベクターは、アデノウイルスE1aおよびE1bを発現させる能力の欠如による複製欠損型であってよく、すなわち、E1aとE1bが機能的に欠失している。組換えアデノウイルスは、他の遺伝子(WO 03/000283参照)の機能的欠失、例えば、E3またはE4遺伝子(もしくはE3の一部分などこれらの一部分)の欠失も生じさせ得る。アデノウイルスの遅延型初期遺伝子E3は、本発明の組換えウイルスの一部を形成するアデノウイルス配列から除去することができる。E3の機能は、組換えアデノウイルス粒子の生産には必要ではない。従って、本発明において有用な組換えアデノウイルスをパッケージするためにこの遺伝子産物の機能を置換することは不必要である。1つの特定の実施形態において、組換えアデノウイルスは、機能的に欠失したE1およびE3遺伝子を有する。このようなベクターの構築は、Royら, Human Gene Therapy 15:519-530, 2004に記載されている。1つの態様において、アデノウイルスは、E1およびE4の欠失ならびにE3の一部の欠失を有する。
【0117】
組換えアデノウイルスは、E4遺伝子の機能的欠失を有するように構築することもできるが、E4 ORF6機能を保持することが望ましい場合がある。本発明によるアデノウイルスベクターは、遅延型初期遺伝子E2aの欠失も含み得る。欠失は、アデノウイルスゲノムの後期遺伝子L1〜L5のいずれかに生じさせることもできる。同様に、中間遺伝子IXおよびIVaの欠失も役立ち得る。
【0118】
アデノウイルスの他の構造遺伝子または非構造遺伝子中に他の欠失を生じさせることができる。上記の欠失は個別に使用することができる。すなわち、本発明において使用するためのアデノウイルス配列は、E1の欠失のみを含み得る。別法として、全遺伝子または該遺伝子の生物学的活性を破壊するのに有効な一部の欠失は、任意の組み合わせで使用することができる。例えば、1つの例となるベクターにおいて、アデノウイルス配列は、E1遺伝子およびE4遺伝子の欠失、またはE1、E2aおよびE3遺伝子の欠失、またはE1およびE3遺伝子の欠失(例えば、E1aおよびE1bの機能的欠失、ならびに少なくともE3の一部の欠失)、またはE3の欠失を伴うもしくは伴わない、E1、E2aおよびE4遺伝子の欠失等を有し得る。このような欠失は、これらの遺伝子の部分的なまたは完全な欠失であってよく、他の変異(例えば温度感受性変異)と組み合わせて使用して所望の結果を得ることができる。
【0119】
アデノウイルスベクターは、ウイルスが複製し得る任意の好適な細胞株上で生産することができる。特に、ウイルスベクターから失われている、その複製特性の低下をもたらす因子(例えば、E1および/またはE4)を提供する相補細胞株を使用することができる。限定するものではないが、このような細胞株は、特にHeLa(ATCC受託番号CCL 2)、A549(ATCC受託番号CCL 185)、HEK 293、KB(CCL 17)、デトロイト(例えばDetroit 510、CCL 72)およびWI-38(CCL 75)細胞であってよい。これらの細胞株は全て、American Type Culture Collection(10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110-2209)から入手することができる。他の好適な親細胞株は、PER.C6(登録商標)細胞(Centre for Applied Microbiology and Research (CAMR, UK)におけるEuropean Collection of Animal Cell Cultures (ECACC)に、ECACC番号96022940で寄託された細胞に代表される)またはHer 96細胞(Crucell社)などの他の源から入手することができる。
【0120】
本発明は、本発明のタンパク質をコードするウイルスベクターを作製するための公知の細胞株の使用にまで及ぶ。
【0121】
免疫原性CSポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、哺乳動物細胞用にコドン最適化することができる。かかるコドン最適化は、WO 05/025614に詳細に記載されている。
【0122】
本発明は、免疫防御量の本発明のタンパク質粒子を好適な希釈剤または担体と混合して含むワクチンにも関する。
【0123】
本発明は、本発明による粒子およびマラリア抗原(特に当該粒子に一般的なマラリア抗原)を含むウイルスベクター、ならびに場合によりアジュバントを含む組成物にも及ぶ。
【0124】
本明細書において、「賦形剤」は、医薬製剤中の、それ自体では治療効果を有さない構成成分を指す。希釈剤または担体は、賦形剤の定義の範囲に含まれる。
【0125】
本明細書において、「免疫原性」は、免疫応答を誘発する能力を意味する。この応答は、例えば、本発明のリポタンパク質粒子が、好適なアジュバントを含み/必要とし得る適切な製剤として投与される場合に生じる。所要の免疫原性応答を得るためには、元の用量と同様の用量またはそれより少ない用量を含むブースターが必要となる可能性がある。
【0126】
本発明による組成物/医薬製剤は、混合して、プラスモディウム・ファルシパルムおよび/またはプラスモディウム・ビバックスに由来する抗原(例えば、DBP、PvTRAP、PvMSP2、PvMSP4、PvMSP5、PvMSP6、PvMSP7、PvMSP8、PvMSP9、PvAMA1およびRBPまたはこれらのフラグメントから選択される抗原)などの1種以上の他の抗原も含み得る。
【0127】
他の例では、プラスモディウム・ファルシパルムに由来する抗原としては、PfEMP-1、Pfs16抗原、MSP-1、MSP-3、LSA-1、LSA-3、AMA-1およびTRAPが挙げられる。他のプラスモディウム抗原としては、プラスモディウム・ファルシパルムのEBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクエストリン、Pf332、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27/25、Pfs48/45、Pfs230および他のプラスモディウム属の種におけるこれらの類似体が挙げられる。
【0128】
本発明による組成物/医薬製剤は、本発明による粒子と混合して、RTS,Sの粒子(WO 93/10152に記載)も含み得る。
【0129】
1つの実施形態において、ウイルスベクター構築物は、WO 2004/055187に記載されている。
【0130】
本発明のワクチンでは、粒子の水溶液を直接使用することができる。別法として、前もって凍結乾燥させた、もしくは凍結乾燥していない本発明のタンパク質を、限定するものではないが、ミョウバン、ムラミルジペプチド、Quil Aなどのサポニンを含む公知のアジュバントのいずれかと共に混合し、あるいはこれらと共に吸収させることができる。
【0131】
特定のアジュバントは、金属塩が、別のアジュバントとの組み合わせにおいてのみ用いられ、約60%以下の抗原が金属塩上に吸着されるようにこれらが製剤化されない限り単独では用いられないという条件で、金属塩、水中油型エマルション、Toll様受容体アゴニスト、(特にToll様受容体2アゴニスト、Toll様受容体3アゴニスト、Toll様受容体4アゴニスト、Toll様受容体7アゴニスト、Toll様受容体8アゴニストおよびToll様受容体9アゴニスト)、サポニンまたはこれらの組み合わせの群から選択されるアジュバントである。さらに具体的には、約50%以下、例えば40%の抗原が金属塩上に吸着され、1つの実施形態においては、約30%以下の抗原が金属塩上に吸着される。金属塩上に吸着される抗体のレベルは、当技術分野で周知の技術によって決定することができる。遊離抗原のレベルは、例えば、リン酸緩衝生理食塩水などのリン酸イオンの存在下で本発明の組成物を製剤化することによって、または金属塩に吸着する抗原の割合を増やすことによって増加させることができる。1つの実施形態では、アジュバントは、金属塩を単独のアジュバントとしては含まない。1つの実施形態では、アジュバントは金属塩を含まない。
【0132】
1つの実施形態において、アジュバントはToll様受容体(TLR)4リガンドであり、好ましくは、リピッドA誘導体(特にモノホスホリルリピッドAまたは、さらに特に3-脱アシル化モノホスホリルリピッドA(3D-MPL))などのアゴニストである。
【0133】
3-脱アシル化モノホスホリルリピッドAは、米国特許第4,912,094号および英国特許出願番号第2,220,211号(Ribi)から公知であり、Ribi Immunochem, Montana, USAから入手可能である。
【0134】
3D-MPLは、Corixa corporationから商標MPL(登録商標)の下に販売されており、主としてIFN-g(Th1)表現型に対するCD4+T細胞の応答を促進する。これは、GB 2 220 211 Aに開示されている方法に従って調製することができる。化学的には、これは3-脱アシル化モノホスホリルリピッドAと、3、4、5または6アシル化鎖との混合物である。好ましくは、本発明の組成物中で、小粒子3D-MPLが使用される。小粒子3D-MPLは、0.22μmのフィルターを通して滅菌ろ過され得るような粒子サイズを有する。かかる調製は、国際特許出願のWO 94/21292号に記載されている。リピッドAの合成誘導体は公知であり、限定するものではないが、以下:
OM174 (2-デオキシ-6-O-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルジヒドロゲンホスフェート)(WO 95/14026)
OM294 DP(3S,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(ジヒドロゲンホスフェート)(WO99 /64301およびWO 00/0462)
OM197 MP-Ac DP(3S,9R)-3-(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-ジヒドロゲンホスフェート 10-(6-アミノヘキサノエート)(WO 01/46127)
を含むTLR4アゴニストであると考えられている。
【0135】
典型的には、3D-MPLを使用する場合、抗原と3D-MPLはミョウバンと共に送達され、または水中油型エマルションもしくは多重水中油型エマルションとして提供される。3D-MPLの組込みは、これがエフェクターT細胞応答の促進剤であるため有利である。
【0136】
使用し得る他のTLR4リガンドは、WO 9850399またはUS 6303347(AGPの調製方法も開示されている)に開示されるようなグルコサミンリン酸アルキル(AGP)、またはUS 6764840に開示される、製薬上許容されるAGPの塩である。一部のAGPはTLR4アゴニストであり、他の一部はTLR4アンタゴニストである。両方とも、アジュバントとして役立つと考えられている。
【0137】
本発明で使用する別の免疫賦活剤は、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは、南米の木であるキラヤ・サポナリア・モリナ(Quilaja Saponaria Molina)から単離されるサポニン調製物であり、これがアジュバント活性を有することは、Dalsgaardらが1974年に初めて説明した("Saponin adjuvant", Archiv. fuer die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)。Quil Aに付随する毒性を有することなくアジュバント活性を保持しているQuil Aの精製フラグメント(例えば、QS7とQS21(QA7とQA21としても知られている))は、HPLCによって単離されている(EP 0 362 278)。QS-21は、キラヤ・サポナリア・モリナの樹皮に由来する天然のサポニンであり、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞および顕著なIgG2a抗体応答を誘導する。
【0138】
さらにステロールを含むQS21の特定の製剤が記載されている(WO 96/33739)。QS21:ステロールの比は、典型的には、重量比でほぼ1:100〜1:1程度である。通常は過剰のステロールが存在し、QS21:ステロールの比は、少なくとも1:2 w/wである。典型的には、ヒトへの投与のため、QS21とステロールは、ワクチン中に約1μg〜約100μgの範囲(例えば、単位用量当たり約10μg〜約50μg)で存在する。
【0139】
リポソームは一般的に、例えば、通常は室温で非晶質のホスファチジルコリン(卵黄ホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリンまたはジラウリルホスファチジルコリン)などの中性脂肪を含む。リポソームは、飽和脂質で構成されるリポソームのリポソーム-QS21構造の安定性を高める荷電脂質も含み得る。これらの場合、荷電脂質の量は1〜20% w/w、例えば5〜10%であることが多い。リン脂質に対するステロールの比は、1〜50%(モル/モル)、例えば20〜25%である。
【0140】
これらの組成物は、MPL(3-脱アシル化モノホスホリルリピッドA、3D-MPLとしても公知)を含み得る。3D-MPLは、3種類の、4、5または6アシル化鎖を有する脱-O-アシル化されたモノホスホリルリピッドAの混合物として、GB 2 220 211(Ribi)から公知であり、Ribi Immunochem(Montana)により製造されている。
【0141】
サポニンは、コレステロールおよび脂質と共に製剤化される場合には、ミセル、混合ミセル(通常、限定するものではないが、胆汁塩を含む)の形態、またはISCOMマトリックス(EP 0 109 942)、リポソームもしくは関連のコロイド構造(例えばワーム様もしくはリング様多量体複合体または脂質/層状構造およびラメラ)の形態に分けることが可能であり、あるいは水中油型エマルション(例えば、WO 95/17210に記載される)の形態に分けることができる。サポニンは、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどの金属塩と結合していることが多い(WO 98/15287)。
【0142】
通常、サポニンは、リポソーム、ISCOMまたは水中油型エマルションの形態で提供される。
【0143】
免疫賦活オリゴヌクレオチドも使用することができる。本発明のアジュバントまたはワクチンとして使用するためのオリゴヌクレオチドの例として、CpG含有オリゴヌクレオチド(通常は、少なくとも3個、より好ましくは少なくとも6個以上のヌクレオチドで分けられた2つ以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含む)が挙げられる。CpGモチーフは、シトシンヌクレオチドにグアニンヌクレオチドが続いたものである。CpGオリゴヌクレオチドは、典型的にはデオキシヌクレオチドである。1つの実施形態において、このオリゴヌクレオチド中の中間ヌクレオチドはジチオリン酸であり、またはより好ましくはホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステルおよび他の中間ヌクレオチド結合も本発明の範囲に含まれる。本発明の範囲に同様に含まれるのは、混合された中間ヌクレオチド結合を含むオリゴヌクレオチドである。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートの調製法は、US 5,666,153、US 5,278,302およびWO 95/26204に記載されている。
【0144】
オリゴヌクレオチドの例は、以下:
TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826)
TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758)
ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG
TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006)
TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668)
TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456)
であり、これらの配列は、ホスホロチオエート改変中間ヌクレオチド結合を含み得る。
【0145】
別のCpGオリゴヌクレオチドは、重要ではない欠失または付加を有する上記の配列を1つ以上含み得る。
【0146】
CpGオリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の任意の方法によって合成することができる(例えば、EP 468520参照)。好都合なことに、このようなオリゴヌクレオチドは自動合成装置を利用して合成することができる。
【0147】
TLR2アゴニストの例として、ペプチドグリカンまたはリポタンパク質が挙げられる。イミキモッドおよびレシキモッドなどのイミダゾキノリン類は、公知のTLR7アゴニスト類である。一本鎖RNAも公知のTLRアゴニスト(ヒトではTLR8、またマウスではTLR7)であるが、他方、二本鎖RNAおよびポリIC(ポリイノシン酸-ポリシチジル酸 - 市販のウイルスRNAの合成模倣剤)は、典型的なTLR3アゴニストである。3D-MPLはTLR4アゴニストの一例であるが、他方、CpGはTLR9アゴニストの一例である。
【0148】
免疫賦活剤は、別法として、あるいは付加的に包含することができる。1つの実施形態において、この免疫賦活剤は、3-脱アシル化モノホスホリルリピッドA(3D-MPL)である。
【0149】
1つの態様において、アジュバントは3D-MPLを含む。
【0150】
1つの態様において、アジュバントはQS21を含む。
【0151】
1つの態様において、アジュバントはCpGを含む。
【0152】
1つの態様において、アジュバントは、水中油型エマルションとして製剤化される。
【0153】
1つの態様において、アジュバントは、リポソームとして製剤化される。
【0154】
アジュバントの組み合わせとして、3D-MPLとQS21(EP 0 671 948 B1)、3D-MPLとQS21を含む水中油型エマルション(WO 95/17210, WO 98/56414)、または他の担体と共に製剤化された3D-MPL(EP 0 689 454 B1)が挙げられる。他の好ましいアジュバント系は、US 6558670およびUS 6544518に記載される、3D-MPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチドの組み合わせを含む。
【0155】
本発明の1つの実施形態において、本明細書中に記載の粒子を、3D-MPLおよび担体と組み合わせて含むワクチンが提供される。典型的には、この担体は、水中油型エマルションまたはミョウバンである。
【0156】
本発明のタンパク質粒子を、リポソームなどの微粒子中にカプセル化することもできる。
【0157】
ワクチン調製物は、Vollerら(University Park Press, Baltimore, Maryland, U.S.A., 1978)によって編集された"New Trends and Developments in Vaccines"に一般的に記載されている。リポソーム中へのカプセル化は、例えば、Fullertonによる米国特許第4,235,877号に記載されている。
【0158】
各ワクチン用量中に存在する本発明のタンパク質粒子の量は、標準的なワクチン中で重大な副作用を伴うことなく免疫防御応答を誘導する量として選択される。かかる量は、どの特異的免疫源が使用されるか、及びそのワクチンがアジュバント化されているか否かによって異なる。通常、各単位用量は、1-1000μgのタンパク質、好ましくは1-200μg、最も好ましくは10-100μgのタンパク質を含むことが期待される。特定のワクチンの最適量は、抗体力価および患者における他の応答の観察を含む標準的な研究によって確定することができる。最初のワクチン接種の後、被験体は、好ましくは約4週間以内にブーストを受け、その後、感染のリスクが存在する限り6ヶ月毎にブーストを繰り返す。本発明のタンパク質に対する免疫応答は、アジュバントおよび/または免疫賦活剤の使用により増強される。
【0159】
使用される3D MPLの量は、通常は少ないが、ワクチン製剤に依存して、単位用量当たり1-1000μg、例えば単位用量当たり1-500μg、および単位用量当たり1〜100μg程度であってよい。
【0160】
本発明のアジュバントまたはワクチン中のCpGオリゴヌクレオチドまたは免疫賦活オリゴヌクレオチドの量は、通常は少ないが、ワクチン製剤に依存して、単位用量当たり1-1000μg、好ましくは単位用量当たり1-500μg、またさらに好ましくは単位用量当たり1-100μg程度であってよい。
【0161】
本発明のアジュバント中で使用するサポニンの量は、単位用量当たり1-1000μg、好ましくは単位用量当たり1-500μg、さらに好ましくは単位用量当たり1-250μg、また最も好ましくは単位用量当たり1-100μg程度であってよい。
【0162】
本発明の製剤は、予防目的および治療目的の両方に使用することができる。「治療」は、予防的治療を包含する。従って本発明は、例えばマラリアの治療(予防を含む)用の医薬において使用するための、本明細書中に記載されるワクチン組成物を提供する。
【0163】
本発明の他の態様は、本発明のハイブリッドタンパク質の製造方法を提供することであり、この方法は、好適な宿主(好ましくは酵母)中で、当該タンパク質をコードするDNA配列を発現させるステップと、その発現産物を回収するステップを含んでなる。
【0164】
本発明の他の態様は、有効量の上記のワクチンを投与することによって、プラスモディウム感染に感受性の患者を治療する方法にある。
【0165】
他の態様において、本発明による免疫原性粒子と、前記ハイブリッド抗原などのマラリア抗原をコードするウイルスベクターを含む、治療のための組み合わせが提供される。
【0166】
例えば、ここで前記粒子と前記ウイルスベクターは併用して投与される。例えば、これらは、同時投与用に混合してよく、あるいは、連続投与用に製剤化してもよい。
【0167】
本明細書において使用される用語「併用して」は、前記構成成分の組み合わせが、12時間以下の期間(例えば、1時間以下の期間)で投与されること、典型的には、1度に(医療従事者を訪問したときに同時に、例えばこれらが連続的にまたは同時に投与される場合など)投与されることを意味する。
【0168】
本発明は、本明細書中に記載される様々な構成成分を用いるプライムブーストレジメンも包含する。例えば、ウイルスベクターでプライミングし、上記の粒子でブースティングする、あるいはその逆を行う。
【0169】
本明細書において、含む(comprising)は、包含する(including)と解釈される。
【0170】
特定のエレメントを含む本発明の態様はまた、関連するエレメントからなる、あるいは本質的に関連するエレメントからなる上記の態様にまで及ぶことも意図する。
【0171】
以下の実施例は、本発明の粒子を調製するために採り得る方法を説明するために示す。この実施例は、本発明の態様を形成し得るものでもあるし、形成し得ないものでもある。
【実施例】
【0172】
実施例1
Y1834株の説明
酵母組換え株Y1834を使用して、融合タンパク質を発現させることができる。この株は、組換え発現ベクターpRIT15546で形質転換されたサッカロミセス・セレヴィシエ宿主株DC5からなる。
【0173】
DC5は、以下の遺伝子型:leu2-3、leu2-112、his3、can1-11を有する実験室酵母株(ATCC No: 20820)である。二重のleu-2変異は、機能的LEU-2遺伝子のコピーを運ぶpRIT15546ベクターの取り込みと維持の選択を可能とする。成長培地中にロイシンが欠如している場合、LEU-2遺伝子を有するベクターを含む細胞だけが成長することができる。
【0174】
ベクターpRIT15546は、発現カセットを含む酵母エピソーム発現ベクター(2μベースのベクター)である。組換え発現は、酵母TDH3遺伝子由来のプロモーターによって駆動される(構成的発現)。pRIT15546ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0175】
pRIT15546ベクターの構築
酵母発現用の適切なコドン使用頻度を有する合成遺伝子を構築し、pUC57ベクター中にサブクローニングした。結果として得られたプラスミドpUC57/CSVと酵母発現ベクターpGf1-S2は、いずれも適切な酵素で制限消化した。ベクターpGf1-S2は、多段階クローニング法により(GSKにおいて)構築した。既にS発現カセットを含むこのベクターは、B型肝炎ウイルスのS遺伝子とのN末端インフレーム融合などの融合遺伝子の構築を可能とする。配列検証後の最終的な発現ベクターは、pRIT15546と名付けた(図3)。
【0176】
DC5株の形質転換
ロイシンおよびヒスチジン栄養要求性DC5株を、酵母標準プロトコルを用いて組換えプラスミドpRIT15546で形質転換した。形質転換した細胞を、寒天選択プレート上にプレーティングした。1つの形質転換細胞を選択し、Y1834という正式名称を受けた。
【0177】
組換えタンパク質の発現:
Y1834を、30℃において、8μg/mlのヒスチジンをO.D.(620nm)で0.5になるまで補充した、YNB(Yeast Nitrogen Base、Kracker Scientific社から発売)最小培地中で成長させた。その後細胞を回収し、細胞抽出物を調製した。
【0178】
抽出物の調製:
細胞を破壊緩衝液中で再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズ)。抽出物は、5000rpmで15分間遠心分離する。上清画分はSDS-PAGE(4-20%)にかける。
【0179】
破壊緩衝液: 50mM リン酸ナトリウムバッファ(PH:7.5)
4mM EDTA
Tween20(0.5%)
+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete/ROCHE社)
細胞濃度: 5mlの破壊緩衝液中に100 mlの培養液(OD:0.5)
= 濃度10 OD単位/ml。
【0180】
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、15分間/5000rpmで遠心分離した。
【0181】
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(4-20%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に移し、免疫染色に供した。
【0182】
ウェスタンブロット解析:
試薬 = マウスモノクローナル抗体抗S(GSK Biologicalsが製造)-(希釈:1/500)
市販の抗S抗体は、本発明の方法において用いる抗S抗体に代替することができる。別法として抗CSV抗体を使用することができる(例えば国立衛生研究所(NIH)から入手可能な、MR4として知られる抗CSV抗体)。
【0183】
実施例2:
Y1835株の説明
酵母組換え株Y1835株は、CSV-S融合タンパク質とS抗原とを同時に発現する。CSV-SとSタンパク質を共発現する株を得るため、5個のS発現カセットの組込みコピーを既に含むサッカロミセス・セレヴィシエY1295株を、組換え組込み発現ベクターpRIT15582で形質転換した。
【0184】
Y1295株は、多段階形質転換法によってGSKにおいて構築した。Y1295株の構築は、WO 93/10152に記載されている。Y1295株は、以下の遺伝子型:leu2-3、leu2-112、gal1を有する。leu-2の変異は、CSV-Sカセットと機能的LEU2遺伝子を含むpRIT15582由来の線状DNAフラグメントの取り込みの選択を可能とする。
【0185】
ベクターpRIT15582は、CSV-S発現カセットを運ぶ酵母組込み発現ベクター(Tyベースのベクター)である。組換え発現は、酵母TDH3遺伝子由来のプロモーターによって駆動される(構成的発現)。pRIT15582ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0186】
pRIT15582組込みベクターの構築
pRIT15582ベクターを構築するために使用した出発物質は、発現プラスミドpRIT15546(図1)であった。このプラスミドの構築は、実施例1に記載される。HindIIIエンドヌクレアーゼを用いたpRIT 15546の消化で、完全長CSV-S発現カセット(pTDH3 + CSV-S + tARG3)に対応する、3706bpの長さのDNAフラグメントを遊離させる。このHindIII DNAフラグメント(T4DNAポリメラーゼで充填した後)を、Tyベースの組込みベクターpRIT13144上の固有のSalIクローニング部位に挿入した(SalI制限消化/T4処理)。結果として得られたプラスミドpRIT15582は、上記の発現カセットに加えて、選択マーカーとして酵母LEU2遺伝子を含む(図3)。XhoIエンドヌクレアーゼを用いたpRIT15582の消化は、内在性Tyエレメントを含む自由端の相同組換えによって酵母ゲノム中に組込み得る、図4に示す8500bpの線状フラグメントを遊離させる。
【0187】
Y1295株の形質転換
SとCSV-Sタンパク質の両方を発現する株を得るため、Y1295株を8500bpの線状XhoIフラグメント(図4)で形質転換し、Leu+コロニーを選抜した。様々な割合でゲノム中に存在する、両方の発現カセットのセットを含む幾つかの組込み体を得た。4つのCSV-Sカセットのコピーを含む1つの形質転換体を選択し、正式名称Y1835が与えられた。
【0188】
組換えタンパク質の発現:
Y1835を、30℃で、YNB(Yeast Nitrogen Base、Kracker Scientific社から発売)最小培地中で、O.D.(620nm)が約0.5(0.8)になるまで成長させる。その後細胞を回収し、細胞抽出物を調製する。
【0189】
免疫ブロッティングによる発現産物の解析:
抽出物の調製:
細胞を破壊緩衝液中で再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズ)。抽出物は、5000rpmで5-10分間遠心分離する。上清画分はSDS-PAGE(12.5%)にかける。
【0190】
破壊緩衝液: 50mM リン酸ナトリウムバッファ(PH:7.5)
4mM EDTA
Tween20(0.5%)
+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete/ROCHE社)
細胞濃度: 2.5mlの破壊緩衝液中に100 mlの培養液(OD:0.5)
= 濃度20 OD単位/ml。
【0191】
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、5-10分間/5000rpmで遠心分離した
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(12.5%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に移し、免疫染色に供した。
【0192】
ウェスタンブロット解析(図5):
試薬: 1/マウスモノクローナル抗体抗S(GSK Biologicalsにより製造)
-(希釈:1/250)
2/ウサギポリクローナル抗体抗CSV(WRAIRより好意により提供)
-(希釈:1/20,000)。
【0193】
市販の抗S抗体ならびに抗プラスモディウム・ビバックス/CSP抗体は、本発明の方法において用いられる抗S抗体ならびに抗プラスモディウム・ビバックス/CSP抗体に代替し得る。
【0194】
実施例3:
Y1845株の説明
酵母組換え株Y1845は、CSV-S融合タンパク質、RTS融合タンパク質およびS抗原を同時に発現する。CSV-S、RTSおよびSタンパク質を共発現する株を得るため、5個のS発現カセットの組込みコピーを既に含むサッカロミセス・セレヴィシエY1295株を、pRIT13540組込みベクターとpRIT15582組込みベクターにそれぞれ由来するRTSとCSV-Sの線状DNAフラグメントの等モル溶液で形質転換した。
【0195】
Y1295株は、多段階形質転換法によりGSKにおいて構築した。Y1295株の構築は、WO 93/10152ファイルに記載されている。Y1295株は、以下の遺伝子型:leu2-3、leu2-112、gal1を有する。leu-2の変異は、CSV-Sカセットと機能的LEU2遺伝子を含むpRIT15582由来の線状DNAフラグメントの取り込みの選択を可能とする。
【0196】
ベクターpRIT13540とpRIT15582は、RTS発現カセットとCSV-S発現カセットをそれぞれ含む酵母組込み発現ベクター(Tyベースのベクター)である。いずれのベクターについても、組換え発現は、酵母TDH3遺伝子由来のプロモーターによって駆動される(構成的発現)。pRIT15582ベクターの構築は、実施例2に詳述する。pRIT13540ベクターの構築は、WO 93/10152ファイルに記載されている。
【0197】
線状組込みDNAフラグメントの調製
組込みベクターpRIT13540とpRIT15582を、いずれもXhoIエンドヌクレアーゼで制限し、それぞれ8200bpと8500bpのDNAフラグメントを遊離させた。これらのフラグメントは、内在性Tyエレメントを含む自由端の相同組換えによって酵母ゲノム中に組み込むことができる。
【0198】
Y1295株の形質転換
RTS、CSV-SおよびSの3種類のタンパク質を発現する株を得るため、8200bpと8500bpの線状XhoIフラグメントの等モル溶液でY1295株を形質転換し、Leu+コロニーを選抜した。様々な割合でゲノム中に存在する、2つの発現カセットのセットを含む幾つかの組込み体を得た。CSV-Sの4つのコピーとRTSの2つのコピー(Sカセットの5つのコピーに加えて)を含む1つの形質転換体を選択し、正式名称Y1845を与えた。
【0199】
組換えタンパク質の発現:
Y1845を、30℃で、YNB(Yeast Nitrogen Base、Kracker Scientific社から発売)最小培地中で、O.D.(620nm)が0.5になるまで成長させる。その後細胞を回収し、細胞抽出物を調製する。
【0200】
免疫ブロッティングによる発現産物の解析:
抽出物の調製:
細胞を破壊緩衝液中で再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズ)。抽出物は、5000rpmで5-10分間遠心分離する。上清画分は、SDS-PAGE(12.5%)にかける。
【0201】
破壊緩衝液: 50mM リン酸ナトリウムバッファ(PH:7.5)
4mM EDTA
Tween20(0.5%)
+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete/ROCHE社)
細胞濃度: 5mlの破壊緩衝液中に100 mlの培養液(OD:0.5)
= 濃度10 OD単位/ml。
【0202】
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、5-10分間/5000rpmで遠心分離した
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(12.5%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に移し、免疫染色に供した。
【0203】
ウェスタンブロット解析:
試薬: マウスモノクローナル抗体抗S(GSK Biologicalsが製造)
-(希釈:1/500)
CSCL密度勾配遠心分離:
Y1845株中での粒子の形成を、CsCl密度勾配遠心分離によって解析した。粗抽出物(全タンパク質のうち20mg以下)を、12mlの1.5 M CsCl勾配上で解析した(Beckman 70.1 Tiローター中で、40.000 rpm、+8℃で88時間)。画分(0.6ml以下)を回収し、抗S抗体を用いた免疫ブロッティングによって解析した。図8に示すように、ウェスタンブロットのピークは浮遊密度1.21および1.20g/cm3に相当する勾配と同じ画分(No.10および11)に現れる。3種類の粒子の形成は、勾配解析によって裏付けられる。
【0204】
参考文献:


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の単量体:
a. プラスモディウム・ビバックス(P.vivax)のCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(CSV-S)、および
b. プラスモディウム・ファルシパルム(P. falciparum)のCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(RTS)、および
c. 場合によりB型肝炎に由来するS抗原
を含む免疫原性タンパク質粒子。
【請求項2】
B型肝炎抗原がadw血清型に由来する、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
プラスモディウム・ファルシパルムおよび/またはプラスモディウム・ビバックスに由来する1つ以上の他の抗原をさらに含む、請求項1または2に記載の粒子。
【請求項4】
プラスモディウム・ビバックスの構成成分が、DBP、PvTRAP、PvMSP2、PvMSP4、PvMSP5、PvMSP6、PvMSP7、PvMSP8、PvMSP9、PvAMA1およびRBPから選択されるハイブリッドポリペプチドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項5】
配列番号13に示すハイブリッドスポロゾイト周囲タンパク質配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の粒子と、アジュバントとを含む組成物。
【請求項7】
アジュバントが、
水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどの金属塩、
水中油型エマルション、
Toll様受容体2アゴニスト、Toll様受容体3アゴニスト、Toll様受容体4アゴニスト、Toll様受容体7アゴニスト、Toll様受容体8アゴニストおよびToll様受容体9アゴニストなどのToll様受容体アゴニスト、
Quil AならびにQS7および/またはQS21のような誘導体などのサポニン、
CpGを含むオリゴヌクレオチド、
3D-MPL、
(2-デオキシ-6-o-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルジヒドロゲンホスフェート)、
DP(3S,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール-1,10-ビス(ジヒドロゲンホスフェート)、および
MP-Ac DP(3S,9R)-3-(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール-1-ジヒドロゲンホスフェート 10-(6-アミノヘキサノエート)、
またはこれらの組み合わせ
を含む群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
アジュバントが:
水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどの金属塩と会合したサポニン、
水中油型製剤の形態などの3D MPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチド、
QS21およびステロールなどのステロールをさらに含む、リポソーム形態のサポニン、
ISCOM、
を含む群から選択される、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
プラスモディウム・ファルシパルムおよび/またはプラスモディウム・ビバックスに由来する1つ以上の他の抗原をさらに混合して含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が非経口ワクチンである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
治療において使用するための、請求項1〜5のいずれか1項に定義される粒子または請求項6〜10のいずれか1項に定義される組成物。
【請求項12】
マラリアの治療/予防用の医薬の製造のための、請求項1〜5のいずれか1項に定義されるタンパク質または請求項6〜10のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれか1項に定義されるタンパク質または請求項6〜11のいずれか1項に定義される組成物の有効量を、特にワクチンとして投与するステップを含んでなる、プラスモディウム感染に感受性の患者を治療する方法。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に定義される粒子の構成成分であるDNA配列をコードする宿主(ベクター/プラスミド)であって、該ベクタープラスミドが、前記関連粒子を製造するための宿主に該DNAを挿入するのに適している、または該プラスミドが、適切な条件下で、関連粒子へと組み立てられる該構成成分を製造することができる、上記宿主(ベクター/プラスミド)。
【請求項15】
好適な宿主中で前記タンパク質をコードするヌクレオチド配列を発現させるステップと、その生成物を回収するステップとを含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に定義される粒子の製造方法。
【請求項16】
宿主が酵母である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
酵母が:
サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(S. carlsberoensis)、クリュイベロミセス・ラクティス(K. Lactis)、Y1834およびDC5などの、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomycees)、クリュイベロミセス(Kluveromyces)、ピキア(Pichia)(ピキア・パストリア(Pichia pastoria)など)、ハンセヌラ(Hansenula)(ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)など)、ヤロウィア(Yarowia)、シュワニオマイセス(Schwaniomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、ザイゴサッカロミセス(Zygoaccharomyces)
を含む群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
生成物が、界面活性剤を含む好適な組成物を用いた処理による宿主細胞の溶解により回収される、請求項16〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
界面活性剤が、Tween20などのTween、briji、ポリエチレングリコールを含む群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法によって得られる生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−543846(P2009−543846A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519964(P2009−519964)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057296
【国際公開番号】WO2008/009650
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【出願人】(509016520)
【Fターム(参考)】