説明

マルチエリアネットワークにおけるルーティングテーブル設定方法、通信システム及びノード

【課題】マルチエリアネットワークにおいて、エリアごとにルーティングプロトコルを動作させる場合に、ループを発生させないルーティングテーブル設定方法を提供する。
【解決手段】複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、複数のエリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが備えるルーティングプロトコル部の何れかが、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリをルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、ルーティングテーブルに既に或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが他のルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、第2の経路エントリの経路コストよりも第1の経路エントリの経路コストの方が小さいのであれば第1の経路エントリをルーティングテーブルに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチエリアネットワークにおけるルーティングテーブル設定方法、通信システム及びノードに関し、特に、複数の無線インターフェースを有するノード間で、各ノードにおける無線インターフェースのそれぞれに割り当てる無線通信用周波数を自由に変えながら構成されるコグニティブ無線ネットワークにおけるルーティングテーブル設定に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、コグニティブ無線ネットワークの実現に対する期待が高まっている。ここで、コグニティブ無線ネットワークとは、ネットワーク内に存在する各ノードが、複数の利用可能な無線通信用周波数(以下、適宜「チャネル」と表す)の候補のなかから1つ以上のチャネルを周辺環境(未使用チャネル、ノード間距離、通信需要など)に基づいて適宜選択することによって周辺環境に合わせたネットワークを構成する、というものである。
【0003】
コグニティブ無線ネットワークでは、同一チャネルを割り当てた任意の2つのノードが互いに伝播距離範囲内にある場合に、当該2つのノード間にリンクが作られる。したがって、各ノードに割り当てるチャネルによって作られるリンク及び全体のトポロジが異なる。また、チャネルごとに伝播距離やキャパシティ、ロス率などの特性が異なるため、必要に応じて各ノードに割り当てるチャネルを変えることで自由にネットワークのプロビジョニングを変更できることが大きな特徴である。
【0004】
例えば、多くの通信需要が存在するノード間にはより大きなキャパシティをもつリンク又は経路を作ることが可能である。具体的には、該リンク又は経路上のノードにはできるだけ大きいキャパシティをもつチャネルを割り当てたり、障害時の予備経路のためにディスジョイント経路ができるだけ作れるトポロジになるようにチャネルを割り当てたり、といった自由度の高いネットワーク構成が可能である。
【0005】
ここで、コグニティブ無線ネットワークについて更に説明するために、ノードのモデル及びネットワークの構成例を図1に示す。
【0006】
図1を参照すると本構成例におけるコグニティブ無線ネットワークは、7つのノード(ノードA〜G)を含む。
【0007】
また、本構成例のノードのモデルでは、ノード本体が複数の無線インターフェースを有していることを特徴とする。具体的には、各ノードがそれぞれ第1の無線インターフェースと第2の無線インターフェースの2つの無線インターフェースを有している。
【0008】
また、同じチャネルを共有し、共有するチャネルによって作られるリンクで互いに接続されるノード同士でエリア(サブネットワーク)が構成される。本構成例では、11のリンク(L11〜L42)により、4つのエリア(エリアX、Y、W及びZ)が構成されている。
【0009】
例えば、エリアXでは、ノードAの第2の無線インターフェースとノードBの第2の無線インターフェースに同じチャネルが割り当てられている。そして、そのチャネルによって作られるリンクL11がノードAとノードBを接続している。
【0010】
また、エリアYでは、ノードAの第1の無線インターフェースとノードBの第1の無線インターフェースとノードCの第1の無線インターフェースに同じチャネルが割り当てられている。そして、そのチャネルによって作られるリンクL21〜L23によってノードA〜Cが互いに接続されている。
【0011】
同様に、エリアZでは、ノードCの第2の無線インターフェースとノードG、D、E及びFの第1の無線インターフェースに同じチャネルが割り当てられている。そして、そのチャネルによって作られるリンクL31〜L34がノードC〜Fを接続している。
【0012】
更に、エリアWでは、ノードD、E及びGの第2の無線インターフェースに同じチャネルが割り当てられている。そして、そのチャネルによって作られるリンクL41、L42がノードD、E及びGを接続している。
【0013】
このように、コグニティブ無線ネットワークでは、同じチャネルを共有し、共有するチャネルによって作られるリンクで互いに接続されるノード同士でエリアが定義される。そしてこれら定義された複数のエリアによりコグニティブ無線ネットワークが実現される。また、1つのノードには複数のチャネルが割り当てられるため、1つのノードが複数のエリアに所属することができるという特徴も有する。本構成例で言えば、例えばノードAはエリアY及びエリアXの双方に所属している。
【0014】
このようなコグニティブ無線ネットワークについては、例えば特許文献1、2及び3に開示がある。
【0015】
具体的には、特許文献1には特性の異なる複数の無線システムの通信帯域を利用し、周波数の利用効率を向上させる旨の記述がある。
【0016】
また特許文献2には全パストのコストの合計が最小となる通信ルートを選択する技術が、特許文献3には適切なルーティングを行うことに関する技術が記載されている。
【0017】
各特許文献に記載のような、複数のエリアから構成されるネットワークにおいてルーティングを行うための1つの方法として、各エリア内でリンクステート情報を交換する方法が考えられる。ここで、リンクステート情報とは、各ノードにおける隣接ノードとの間を接続するリンクに関する情報である。
【0018】
リンクステート情報を交換するためのルーティングプロトコルとして、非特許文献1に開示されているOLSR(Optimized Link State Routing)が挙げられる。OLSRでは同一パケットを1つのノードからすべてのノードへ配信するフラッディングという技術によりリンクステート情報を交換することが可能となる。もっとも、ネットワーク全体が大規模な場合、ネットワークの全ノード間でリンクステート情報を交換すると負荷が高く、スケーラビリティに乏しいという問題が生じる。
【0019】
そこで、リンクステート情報を交換するノード数を少なくするため、リンクステート情報を交換する領域をエリア内に止めることが考えられる。もっともこれでは異なるエリア間での到達性が確保できない。よって、エリア境界に存在するノードが、異なるエリアに存在するノードへの経路コスト(経路上のリンクのリンクコストを合算したもの)及び対応するエリア境界ノードの情報を各エリアに広告することにより、エリア間の到達性も確保する。これは非特許文献2に開示されているOSPF(Open Shortest Path First)におけるエリア間ルーティングと同じアイディアである。
【0020】
このアイディアに基づいて、エリア境界に存在するノードが、異なるエリアに存在するノードへの経路コスト及び対応するエリア境界ノードの情報を各エリアに広告することにより、エリア間の到達性も確保する例を図2に示す。
【0021】
図2では、説明の便宜上図1のネットワークの構成例と比べて、エリアX及びエリアWが省略された構成をとるものとする。
【0022】
このとき、エリア境界に存在するノードCは、エリアY側のノードに対して、エリアYと異なるエリアに存在するノードであるノードD、E、F及びGへの経路コスト並びに対応するエリア境界ノード(ノードC)を広告する。またノードCは同時に、エリアZ側へのノードに対して、エリアZと異なるエリアに存在するノードであるノードA、Bへの経路コスト及び対応するエリア境界ノード(ノードC)を広告する。エリアY、Z内の各ノードは、広告された異なるエリアに存在するノードへの経路コストと、該経路コストを広告したエリア境界ノード(ノードC)までの経路コストとを合算することにより、異なるエリアに存在するノードへの最小コスト経路を計算することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2007−306206号公報
【特許文献2】特開2008−131574号公報
【特許文献2】特開2008−227740号公報
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】T. Clausen and P. Jacquet, "Optimized Link State Routing Protocol (OLSR)," RFC 3626, October 2003.
【非特許文献2】J. Moy, "OSPF Version 2," RFC 2328, April 1998.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
上述したような技術を利用することにより、エリア間の到達性を確保することができる。しかしながら、上述の技術には問題点があるため、この点について説明する。
【0026】
コグニティブ無線ネットワークにおいて、各エリア内でリンクステート情報を交換する場合、同一のノード内で複数のルーティングプロトコルが動作することがある。エリアは、同じチャネルを共有し、共有するチャネルによって作られるリンクで互いに接続されるノード同士で定義されるため、複数のチャネルが割り当てられたノードは複数のエリアに属することがありうるからである。
【0027】
昨今一般的に利用されているOS(Operating System)では、各ノードにおいて1つのルーティングテーブルしか設定できないことが多い。そして、各ノードにおいて1つのルーティングテーブルしか設定できない場合、同一ノードにおいて複数のルーティングプロトコルが動作するとパケットのループが発生する可能性がある。
【0028】
同一のノード内で複数のルーティングプロトコルが動作することによってパケットのループが発生する例を図3を参照して説明する。説明の便宜上、図3で示すネットワーク構成は、図1のネットワークの構成例と比べて、エリアX及びエリアYが省略された構成を
とるものとする。
【0029】
リンクコストテーブル501にはエリアZにおける各リンクのリンクコストが示されている。また、リンクコストテーブル502にはエリアWにおける各リンクのリンクコストが示されている。
【0030】
このリンクコストは、事前に設定により定められても良いし、リンクキャパシティやリンクの遅延時間などに基づいて計算されてもよい。リンクコストテーブル501及び502の例では、リンクL35だけがリンクコスト=4であり、その他のリンクはリンクコスト=1であるものとする。
【0031】
ルーティングプロトコルは最小コスト経路を計算する。そのため、エリアZにおけるルーティングプロトコルが計算する経路エントリは、ノードDにおいてはルーティングテーブル503、ノードEにおいてはルーティングテーブル504のようになる。
【0032】
また、エリアZにおけるルーティングプロトコルが計算する経路エントリは、ノードDにおいてはルーティングテーブル505、ノードEにおいてはルーティングテーブル506のようになる。なお、今回の説明ではエリア外のノードへの経路エントリは省略している。
【0033】
ここで、ノードDにおいてはルーティングテーブル503が有効なルーティングテーブルとして設定され、ノードEにおいてはルーティングテーブル506が有効なルーティングテーブルとして設定されるとする。ただしエリアWに含まれないノードであるノードC、Fへの経路エントリはルーティングテーブル504のエントリが設定される。
【0034】
この場合、ノードGを宛先とするパケットはノードDとノードEの間でループする。
【0035】
上記の例のように、コグニティブ無線ネットワークにおいてエリアごとにルーティングプロトコルを動作させる場合、複数のルーティングプロトコルが動作していると、ループが発生することがある、という課題がある。
【0036】
そこで本発明は、
コグニティブ無線ネットワークにおいて、エリアごとにルーティングプロトコルを動作させる場合に、複数のルーティングプロトコルが動作していても、ループを発生させない、マルチエリアネットワークにおけるルーティングテーブル設定方法、通信システム及びノードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の第1の観点によれば、複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが行うルーティングテーブル設定方法において、当該ノードは、前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、前記ルーティングプロトコル部の何れかが、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが他のルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、前記第2の経路エントリの経路コストよりも前記第1の経路エントリの経路コストの方が小さいのであれば前記第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法が提供される。
【0038】
本発明の第2の観点によれば、複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが行うルーティングテーブル設定方法において、当該ノードは、前記所属するエリア毎に対応しており、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のルーティングプロトコル部を備え、第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部の識別番号と第2のルーティングプロトコル部の識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法が提供される。
【0039】
本発明の第3の観点によれば、複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであり、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のエリアが存在する環境下で、複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが行うルーティングテーブル設定方法において、当該ノードは、前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号と第2のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法が提供される。
【0040】
本発明の第4の観点によれば、複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードにおいて、前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、前記ルーティングプロトコル部の何れかが、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが他のルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、前記第2の経路エントリの経路コストよりも前記第1の経路エントリの経路コストの方が小さいのであれば前記第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定することを特徴とするノードが提供される。
【0041】
本発明の第5の観点によれば、複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードにおいて、前記所属するエリア毎に対応しており、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のルーティングプロトコル部を備え、第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部の識別番号と第2のルーティングプロトコル部の識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするノードが提供される。
【0042】
本発明の第6の観点によれば、複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであり、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のエリアが存在する環境下で、複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードにおいて、前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号と第2のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするノードが提供される。
【0043】
本発明の第7の観点によれば、複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであり、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のエリアが存在する環境下で、複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードを複数備えた通信システムにおいて、前記ノードが上記本発明の第4の観点乃至第6の観点の何れかにより提供されるノードであることを特徴とする通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、或る宛先ノードに対する経路エントリを設定しようとする際に、所定のポリシを満たす場合にのみ当該経路エントリをルーティングテーブルに設定することから、1つのルーティングテーブルしかない場合に、複数のルーティングプロトコル部が同一宛先ノードに対する経路エントリを設定しようとしたとしても、ループを発生させる経路エントリの設定を防ぐことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】コグニティブ無線ネットワークの基本的構成の一例を表す図である。
【図2】エリア間経路の広告・計算を説明するための図である。
【図3】複数のルーティングプロトコルが動作するコグニティブ無線ネットワークの基本的構成の一例を表す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の基本的構成を表すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態におけるリンクステートデータベースの例を表す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるルーティングテーブルの例を表す図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるノード1000の動作を示す流れ図(1/2)である。
【図8】本発明の実施の形態におけるノード1000の動作を示す流れ図(2/2)である。
【図9】本発明の実施形態におけるリンクステートデータベースの別の例を表す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の基本的構成を表すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるノード2000の動作を示す流れ図である。
【図12】本発明の第2の実施形態におけるルーティングテーブルの例を表す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態におけるルーティングテーブルの別の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[実施形態1]
次に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
図4に本発明の第1の実施の形態であるノード1000を示す。ノード1000は、コグニティブ無線ネットワーク内に含まれるノードの1つであり、無線リンクにより他のノードと接続されている。また、本実施形態におけるコグニティブ無線ネットワーク全体の構成は図1のネットワーク構成例と同様である。なお、ノード1000に接続される他のノードもノード1000と同様の構成をしているものとする。すなわち、本実施形態はノード1000単独でも成立するが、ノード1000を含む複数のノードからなるコグニティブ無線ネットワークとしても成立する。
【0048】
図4を参照すると、ノード1000は、ルーティングプロトコル群100と、最小経路コストエントリ判定部200と、ルーティングテーブル300とを含む。
【0049】
ルーティングプロトコル群100は、ノード1000が属するエリア毎に対応する複数のルーティングプロトコル部を含む。図4の構成例では、ノード1000はN個のエリアに属しているものとする。そのため、ルーティングプロトコル群100は、第1のエリアルーティングプロトコル部110−1、第2のエリアルーティングプロトコル部110−2、・・・、第Nのエリアルーティングプロトコル部110−N、のN個のルーティングプロトコル部を含む。なお、図4においては3つのルーティングプロトコル部のみが示されているが、これはあくまで図示の都合のためである。実際には、ノードが属するエリアの数だけのルーティングプロトコルを含む。つまり、図4では第3のエリアルーティングプロトコル部110−3、・・・、第N−1のエリアルーティングプロトコル部110−N−1に関しては図示を省略する。なお、接続状況によってはルーティングプロトコル部は2つのみであってもよい。
【0050】
第1のエリアルーティングプロトコル部110−1、第2のエリアルーティングプロトコル部110−2、・・・、第Nのエリアルーティングプロトコル部110−Nは全て同じ構成をとる。そのため各ルーティングプロトコル部を代表して第1のエリアルーティングプロトコル部110−1について説明する。なお、上述のように第Nのエリアルーティングプロトコル部110−Nも第1のエリアルーティングプロトコル部110−1と同様の構成をしているが、第Nのエリアルーティングプロトコル部110−N内の各部の図示は省略する。
【0051】
第1のエリアルーティングプロトコル部110−1は、リンクステート情報交換部111−1と、リンクステートデータベース112−1と、経路計算部113−1と、経路設定部114−1とを含む。
【0052】
リンクステート情報交換部111−1は、同じエリアに属する隣接ノードと当該エリア内のリンクステート情報の交換を行う。ここで、リンクステート情報とは、各ノードにおける隣接ノードとの間を接続するリンクに関する情報である。このリンクに関する情報としては、例えば、リンクステート情報を広告したノードを識別するための情報、各リンクに対応する隣接ノードを識別するための情報及びリンクコストなどが挙げられる。また、リンクステート情報を交換するプロトコルの例としては、OLSRやOSPFが挙げられる。なお、これらはあくまで例示であり、他の情報を更に用いるようにしたり、他のプロトコルに準拠するようにしてもよい。また、リンクステート情報の交換は、隣接するノードからの通知を契機として行ってもよいし、定期的に隣接するノードに問い合わせてもよい。
【0053】
リンクステートデータベース112−1は、リンクステート情報交換部111−1が交換した各エリア内のリンクステート情報を格納する機能を有するデータベースである。
【0054】
リンクステートデータベース112−1に格納されるリンクステート情報の例を図5に示す。図5のリンクステートデータベース507は図3におけるノードC〜Gが格納するエリアZのリンクステート情報の例である。また、リンクステートデータベース508は図3におけるノードD、E、Gが格納するエリアWのリンクステート情報の例である。例えば、リンクステートデータベース507を参照すると、リンクステート情報を広告したノードごとに、各リンクに対応する隣接ノード及びリンクコストが登録されている。例えば、ノードCはノードDへのリンクを持っており、該リンクのリンクコストは1であることが分かる。また、ノードDは、ノードC,E,Gへのリンクを持っており、それぞれのリンクのリンクコストは1,1,4であることが分かる。
【0055】
経路計算部113−1は、リンクステートデータベース112−1に格納されているリンクステート情報を参照して、第1のエリアルーティングプロトコル部110−1が属するエリア内の各宛先ノードへの最小コスト経路を計算する。最小コスト経路を計算するアルゴリズムの例として、ダイクストラ法(Dijkstra's Algorithm)というアルゴリズムが挙げられる。経路計算は、定期的に行ってもよいし、リンクステートデータベース112−1が更新されたときに行われてもよい。
【0056】
経路設定部114−1は、経路計算部113−1が計算した各ノードへの経路に対応する次ホップノード、経路コスト及び該経路エントリを設定したルーティングプロトコル部の識別子を経路エントリとしてルーティングテーブル300へ設定する機能を有する。
【0057】
経路設定部114−1は、ルーティングテーブル300へ経路エントリを設定する前に、最小経路コストエントリ判定部200に問い合わせ、設定しようとしている経路エントリが、ノード1000内の他のルーティングプロトコル部がルーティングテーブル300に設定した同じ宛先ノードへの経路エントリと比べて、最小の経路コストをもつものであるかどうか調べる。
【0058】
最小経路コストエントリ判定部200は、経路設定部114−1〜経路設定部114−Nの問い合わせに対し、経路設定部114−1〜経路設定部114−Nが設定しようとする経路エントリが、ノード1000内の他のルーティングプロトコル部がルーティングテーブル300に設定した同じ宛先ノードへの経路エントリと比べて、最小の経路コストをもつものであるかどうかを判定する。そして、その判定結果を問い合わせもとの経路設定部114(経路設定部114−1〜経路設定部114−Nの何れか)へ応答する。
【0059】
具体的な判定方法として、今回の問い合わせもとの経路設定部114が設定しようとする経路エントリの宛先ノードと同じ宛先ノードに対する経路がルーティングテーブル300に既に設定されているかどうかを調べる。もし設定されていないならば、今回の問い合わせもとの経路設定部114が設定しようとする経路エントリは該宛先ノードへの最小経路コストをもつ経路であると判定する。もし既に設定されているエントリが存在する場合は、設定されているエントリを参照し、該エントリを設定したルーティングプロトコル部の識別子を調べる。識別子が今回の問い合わせもとの経路設定部114を含むルーティングプロトコル部の識別子と一致する場合、今回の問い合わせもとの経路設定部114が設定しようとする経路エントリは該宛先ノードへの最小経路コストをもつ経路であると判定する。また、一致しない場合は、既に設定されているエントリの経路コストと、今回の問い合わせもとの経路設定部114が設定しようとする経路エントリの経路コストとを比較する。そして比較の結果、今回の問い合わせもとの経路設定部114が設定しようとする経路エントリの経路コストの方が小さいならば、今回の問い合わせもとの経路設定部114が設定しようとする経路エントリは該宛先ノードへの最小経路コストをもつ経路であると判定する。
【0060】
ルーティングテーブル300は、各宛先ノードごとに次ホップノード、該宛先ノードへの経路コスト及び設定したルーティングプロトコル部の識別子のエントリが登録された表であり、経路設定部114−1〜経路設定部114−Nによって設定される。ルーティングテーブル300に設定される経路エントリの例を図6のルーティングテーブル509に示す。
【0061】
図6を参照すると、ルーティングテーブル509は、図3におけるノードDにおいて設定されるルーティングテーブルを示しており、各宛先ノードごとに、対応する経路の次ホップノード、該宛先ノードへの経路コスト及び設定したルーティングプロトコル部の識別子のエントリが登録されている。
【0062】
例えば、1番目のエントリでは、ノードCを宛先ノードとする経路の次ホップノードはノードC、経路コストは1、該エントリを設定したルーティングプロトコル部はルーティングプロトコル部110−1であることが分かる。また、同様に、2番目のエントリでは、ノードEを宛先ノードとする経路の次ホップノードはノードE、経路コストは1、該エントリを設定したルーティングプロトコル部はルーティングプロトコル部110−2であることが分かる。3番目のエントリでは、ノードFを宛先ノードとする経路の次ホップノードはノードE、経路コストは2、該エントリを設定したルーティングプロトコル部はルーティングプロトコル部110−1であることが分かる。4番目のエントリでは、ノードGを宛先ノードとする経路の次ホップノードはノードG、経路コストは1、該エントリを設定したルーティングプロトコル部はルーティングプロトコル部110−2であることが分かる。
【0063】
次に、図7を参照して、本実施の形態においてノード1000のリンクステート情報交換部111−1、リンクステート情報交換部111−2及びリンクステート情報交換部111−N並びにリンクステートデータベース112−1、リンクステートデータベース112−2及びリンクステートデータベース112−Nによるリンクステートテーブルの作成時の動作について詳細に説明する。今回は、リンクステート情報交換部111−1及びリンクステートデータベース112−1を例に取って説明するが他のリンクステート情報交換部及びリンクステートデータベースも同様の動作を行うものとする。
【0064】
まず、リンクステート情報交換部111−1が同じエリアに属する隣接ノードと当該エリア内のリンクステート情報の交換を行う(ステップS601)。
【0065】
続いて、リンクステートデータベース112−1は、ステップS601においてリンクステート情報交換部111−1が取得したリンクステート情報を、リンクステートテーブルとして格納する(ステップS602)。
【0066】
上述の動作を各隣接ノード毎に行うことにより、図5に示されるリンクステートデータベース507やリンクステートデータベース508のようなデータベースが作成される。
【0067】
次に、図8を参照して、本実施の形態においてノード1000の経路設定部114−1、114−2及び経路設定部114−Nがルーティングテーブル300を設定する動作について詳細に説明する。
【0068】
まず、ルーティングプロトコル群100内の第1のエリアルーティングプロトコル部110−1内の経路計算部113−1は、リンクステートデータベース112−1を参照し、第1のエリアルーティングプロトコル部110−1が属するエリア内の各宛先ノードへの最小コスト経路を計算する(図8のステップS611)。
【0069】
次に、経路設定部114−1は、ステップS611で経路計算部113−1が計算した各ノードへの経路に対応する次ホップノード、経路コスト及び該経路エントリを設定したルーティングプロトコル部の識別子を経路エントリとして最小経路コストエントリ判定部200へ送る。これにより、該経路エントリが、ノード1000内の他のルーティングプロトコル部がルーティングテーブル300に設定した同じ宛先ノードへの経路エントリと比べて、最小の経路コストをもつものであるかどうかを問い合わせる。経路設定部114−1の問い合わせに対して、最小経路コストエントリ判定部200は、経路設定部114−1が設定しようとする経路エントリと同一宛先ノードへのエントリがルーティングテーブル300に既に設定されているか調査する(ステップS612、S613)。
【0070】
もしも、設定されていない場合は(ステップS613においてNo)、経路設定部114−1が設定しようとする経路エントリは該宛先ノードへの最小経路コストをもつ経路であると判定し、ステップS618へ移行する。
【0071】
一方、もし既に設定されているエントリが存在する場合は(ステップS613においてYes)、設定されているエントリを参照し、該エントリを設定したルーティングプロトコル部の識別子を調べる(ステップS614、S615)。
【0072】
もしも、識別子が経路設定部114−1を含むルーティングプロトコル部110−1の識別子と一致する場合(ステップS615においてYes)、経路設定部114−1が設定しようとする経路エントリは該宛先ノードへの最小経路コストをもつ経路であると判定し、ステップS618へ移行する。
【0073】
一方、もし識別子が経路設定部114−1を含むルーティングプロトコル部の識別子と一致しない場合(ステップS615においてNo)、既に設定されているエントリの経路コストと、経路設定部114−1が設定しようとする経路エントリの経路コストとを比較する(ステップS616、S617)。
【0074】
比較の結果、経路設定部114−1が設定しようとする経路エントリの経路コストの方が小さいならば(ステップS617においてYes)、経路設定部114−1が設定しようとする経路エントリは該宛先ノードへの最小経路コストをもつ経路であると判定し、ステップS618へ移行する。反対に、経路設定部114−1が設定しようとする経路エントリの経路コストの方が小さくないならば(ステップS617においてNo)、経路設定部114−1は該経路エントリを設定せずに動作を終了する。
【0075】
最小経路コストエントリ判定部200によって、経路設定部114−1が設定しようとする経路エントリは最小の経路コストをもつものであると判断された場合、経路設定部114−1はステップS611で算出した経路エントリをルーティングテーブル300に設定する(ステップS618)。
【0076】
ここで、上記のステップS611〜S618の動作の具体例を、ノード1000が図3のノードDの位置にあるものとして説明する。加えて今回の説明では、第1のエリアルーティングプロトコル部110−1はエリアZのリンクステート情報を交換し、第2のエリアルーティングプロトコル部110−2はエリアWのリンクステート情報を交換し、それぞれが経路を計算・設定するものとして説明する。
【0077】
まず、エリアZ内の各リンクのリンクコストが、図3のリンクコストテーブル501に示したものであるとき、リンクステートデータベース112−1に格納されるリンクステート情報は図5のリンクステートデータベース507のようになり、ステップS611において経路計算部113−1が計算する各宛先ノードへの経路は図3のルーティングテーブル503のようになる。
【0078】
また、エリアW内の各リンクのリンクコストが、図3のリンクコストテーブル502に示したものであるとき、リンクステートデータベース112−2に格納されるリンクステート情報は図5のリンクステートデータベース508のようになり、ステップS611において経路計算部113−2が計算する各宛先ノードへの経路は図3のルーティングテーブル505のようになる。
【0079】
ステップS612以降の動作の例として、エリアWに対応する経路エントリを設定する場合を想定する。具体的には、経路設定部114−2がノードGを宛先ノードとする経路エントリを設定しようとするものとする。ステップS612を開始する前のルーティングテーブル300の状態は、図9に示すルーティングテーブル510に示すものであったとする。
【0080】
まず、ステップS612で、最小コストエントリ判定部200は、ノードGを宛先ノードとするエントリがルーティングテーブル300に設定されているか調査する。この例の場合はノードGを宛先ノードとする経路エントリが設定されているため、ステップS613においてNoとなるためステップS614へ移行する。
【0081】
次に、ステップS614では、最小コストエントリ判定部200は、ルーティングテーブル510を参照することにより、ノードGを宛先ノードとする経路エントリを設定したルーティングプロトコル部はルーティングプロトコル部110−1であると分かる。これは、いまノードGへの経路エントリを設定しようとするルーティングプロトコル部110−2の識別子とは異なる。そのため、ステップS615においてNoとなりステップS616へ移行する。
【0082】
ステップS616では、最小コストエントリ判定部200は、経路設定部114−2が設定しようとしているノードGへの経路エントリの経路コストである1と、ルーティングテーブル510におけるノードGへの経路エントリの経路コストである3とを比較する。比較の結果、経路設定部114−2が設定しようとしているノードGへの経路エントリの経路コストの方が小さいため、ステップS617においてNoとなりステップS618へ移行する。
【0083】
ステップS618では、経路設定部114−2がルーティングテーブル300に対してノードGへの経路を上書きする形で設定し、その結果、ルーティングテーブル300は図6に示すルーティングテーブル509のようになる。
【0084】
上述した本実施の形態の説明では、ルーティングプロトコル群100においては、OLSRなどのリンクステート型のルーティングプロトコルが動作するものとして説明を行ったが、他にも、AODV(Ad hoc On-Demand Distance Vector)など、リンクステート型以外の任意のルーティングプロトコルが用いられても同様に実施することが可能である。
【0085】
次に本実施の形態の効果について説明する。
【0086】
本実施の形態では、経路設定部がある宛先ノードに対する経路エントリを設定しようとするとき、
1.当該宛先ノードに対する経路エントリがルーティングテーブルにまだ設定されていない
2.当該宛先ノードに対する経路エントリがルーティングテーブルに既に設定されているが、該エントリを、今回エントリを設定証としているルーティングプロトコル部と同一のルーティングプロトコル部が設定している
3.当該宛先ノードに対する経路エントリがルーティングテーブルに既に設定されており、該エントリを、今回エントリを設定証としているルーティングプロトコル部と異なるルーティングプロトコル部が設定しているが、既に設定されている経路エントリの経路コストよりも設定しようとしている経路エントリの経路コストの方が小さい
のいずれかの条件を満たす場合に、当該経路エントリをルーティングテーブルに設定する。
【0087】
このようにすることにより、ノードごとに1つのルーティングテーブルしかない場合に、複数のルーティングプロトコル部が同一宛先ノードに対する経路エントリを設定しようとしたとしても、ネットワーク内の各ノードにおいて、「同一宛先ノードに対しては、最小経路コストをもつ経路エントリを優先的に設定する」、という一貫したポリシで経路設定が行われる。そのため、一般的な技術のようにループを発生させる経路エントリの設定を防ぐことが可能になる。
【0088】
[実施形態2]
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0089】
図10を参照すると、本発明の第2の実施の形態は、ノード2000によって構成される。ノード2000は、本発明の第1の実施の形態におけるノード1000と同様、コグニティブ無線ネットワーク内のノードで、無線リンクにより他のノードと接続されている。また、本実施形態におけるコグニティブ無線ネットワーク全体の構成は図1のネットワーク構成例と同様である。なお、ノード2000に接続される他のノードの全て又は一部もノード2000と同様の構成をしているものとする。すなわち、本実施形態はノード2000単独でも成立するが、ノード2000を含む複数のノードからなるコグニティブ無線ネットワークとしても成立する。
【0090】
図10を参照すると、ノード2000は、ルーティングプロトコル群100と、経路設定可否判定部400と、ルーティングテーブル300とを含む。ルーティングプロトコル群100は、ノード2000が属するエリア毎に対応する複数のルーティングプロトコル部を含む。
【0091】
これら複数のルーティングプロトコル部は全て同じ構成をとる。そのため各ルーティングプロトコル部を代表して第1のエリアルーティングプロトコル部110−1について説明する。また、第Nのエリアルーティングプロトコル部110−Nに関しては各部の図示を省略する。
【0092】
第1のエリアルーティングプロトコル部110−1は、リンクステート情報交換部111−1と、リンクステートデータベース112−1と、経路計算部113−1と、経路設定部114−1とを含む。
【0093】
これら、ルーティングプロトコル部110−1に含まれる各部のうち、リンクステート情報交換部111−1、リンクステートデータベース112−1及び経路計算部113−1並びにルーティングテーブル300は、第1の実施形態として同一の符号を付して説明した各部及びルーティングテーブル300と同様の構成及び機能を有しているものとする。よって、ルーティングプロトコル部110−1に含まれる各部のうち、リンクステート情報交換部111−1、リンクステートデータベース112−1及び経路計算部113−1並びにルーティングテーブル300に関しては再度の説明を省略する。
【0094】
一方、本実施形態のノード2000では、第1の実施形態におけるノード1000が有していた経路設定部114−1、経路設定部114−2及び経路設定部114−Nが、それぞれ経路設定部115−1、経路設定部115−2及び経路設定部115−Nに置き換わっている。更に、本実施形態のノード2000では、第1の実施形態におけるノード1000が有していた最小経路コストエントリ判定部200が経路設定可否判定部400に置き換わっている。これら置き換わっている各部に関して以下詳細に説明する。
【0095】
経路設定部115−1は、第1の実施の形態における経路設定部114−1と比べて、経路エントリを設定する前に最小経路コストエントリ判定部200に問い合わせを行う代わりに、経路設定可否判定部400に問い合わせ、設定しようとしている経路エントリを設定してもよいかどうか調べる点が異なる。
【0096】
経路設定可否判定部400は、経路設定部115−1が設定しようとしている経路エントリを設定してもよいかどうかの問い合わせに対して、予め設定されるポリシに基づいて、経路設定部115−1が設定しようとする経路エントリを設定してよいかどうかを判定する。そして、設定してよいかどうかの応答を経路設定部115−1に対して行う。
【0097】
予め設定されるポリシの例として、
1.既存の経路エントリを設定したルーティングプロトコル部の識別子よりも、これから設定しようとするルーティングプロトコル部の識別子の値の方が小さい(または大きい)場合にのみ、該経路エントリを上書きできる
2.既存の経路エントリを設定したルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別子よりも、これから設定しようとするルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別子の値の方が小さい(または大きい)場合にのみ、該経路エントリを上書きできる
などが挙げられる。
【0098】
これらのポリシは、ネットワーク内の各ノードにおいて、同一のものが用いられる必要がある。異なるノードにおいて別のポリシが用いられると、一般的な技術同様、ループを発生させる経路エントリが設定されてしまう可能性がある。
【0099】
以下では、経路設定可否判定部400において、上記の1のポリシ(これから設定しようとするルーティングプロトコル部の識別子の値の方が小さい場合にのみ、該経路エントリを上書きできる)が使われる場合を例として説明を行う。
【0100】
本実施の形態におけるノード2000のリンクステート情報交換部111−1、リンクステート情報交換部111−2及びリンクステート情報交換部111−N並びにリンクステートデータベース112−1、リンクステートデータベース112−2及びリンクステートデータベース112−Nによるリンクステートテーブルの作成時の動作については、図7を参照して上述した動作と同一であるので、説明は省略する。
【0101】
次に、図11を参照して、本実施の形態においてノード2000の経路設定部115−1、115−2及び経路設定部115−Nがルーティングテーブル300を設定する動作について詳細に説明する。
【0102】
図11のステップS621〜S625の動作は、図8におけるステップS611〜S615の動作と同一であるため、説明は省略する。
【0103】
ステップS625において、もし識別子が経路設定部115−1を含むルーティングプロトコル部の識別子と一致しない場合、既に設定されているエントリを設定したルーティングプロトコル部の識別子と、これから経路エントリを設定しようとする経路設定部115−1に対応するルーティングプロトコル部の識別子の値の大小を比較する(ステップS626、S627)。
【0104】
比較の結果、経路設定部115−1に対応するルーティングプロトコル部の識別子の値の方が小さいならば(ステップS627においてYes)、ステップS628へ移行する。反対に、経路設定部115−1に対応するルーティングプロトコル部の識別子の値の方が小さくないならば(ステップS627においてNo)、経路設定部115−1は該経路エントリを設定せずに動作を終了する。
【0105】
経路設定可否判定部400によって、経路設定部115−1が設定しようとする経路エントリを設定してもよいと判定された場合、経路設定部115−1はステップS621で計算した経路エントリをルーティングテーブル300に設定する(ステップS628)。
【0106】
ここで、上記のステップS621〜S628の動作の具体例を、ノード2000が図3のノードDの位置にあるものとして説明する。加えて今回の説明では、第1のエリアルーティングプロトコル部110−1はエリアZのリンクステート情報を交換し、第2のエリアルーティングプロトコル部110−2はエリアWのリンクステート情報を交換し、それぞれが経路を計算・設定するものとして説明する。
【0107】
まず、エリアZ内の各リンクのリンクコストが、図3のリンクコストテーブル501に示したものであるとき、リンクステートデータベース112−1に格納されるリンクステート情報は図5のリンクステートデータベース507のようになり、ステップS621において経路計算部113−1が計算する各宛先ノードへの経路は図3のルーティングテーブル503のようになる。
【0108】
また、エリアW内の各リンクのリンクコストが、図3のリンクコストテーブル502に示したものであるとき、リンクステートデータベース112−2に格納されるリンクステート情報は図5のリンクステートデータベース508のようになり、ステップS621において経路計算部113−2が計算する各宛先ノードへの経路は図3のルーティングテーブル505のようになる。
【0109】
ステップS622以降の動作の例として、エリアZに対応する経路エントリを設定する場合を想定する。具体的には、経路設定部115−1がノードGを宛先ノードとする経路エントリを設定しようとするものとする。ステップS622を開始する前のルーティングテーブル300の状態は、図12に示すルーティングテーブル511に示すものであったとする。
【0110】
ステップS622〜S625の動作は、第1の実施の形態において説明した動作例と同じ動作となるため、説明は省略する。
【0111】
ステップS626では、経路設定可否判定部400は、経路設定部115−1に対応するルーティングプロトコル部の識別子である110−1と、ルーティングテーブル403におけるノードGへの経路エントリを設定したルーティングプロトコル部の識別子である110−2の値の大小を比較する。比較の結果、経路設定部115−1に対応するルーティングプロトコル部の識別子である110−1の値の方が小さいため、ステップS627からステップS628へ移行する。
【0112】
ステップS628では、経路設定部115−1がルーティングテーブル300に対してノードGへの経路を上書きする形で設定し、その結果、ルーティングテーブル300は図13に示すルーティングテーブル512のようになる。
【0113】
次に本実施の形態の効果について説明する。
【0114】
本実施の形態では、経路設定部がある宛先ノードに対する経路エントリを設定しようとするとき、
1.当該宛先ノードに対する経路エントリがルーティングテーブルにまだ設定されていない
2.当該宛先ノードに対する経路エントリがルーティングテーブルに既に設定されているが、該エントリを同一のルーティングプロトコル部が設定している
3.当該宛先ノードに対する経路エントリがルーティングテーブルに既に設定されており、該エントリを異なるルーティングプロトコル部が設定しているが、既に設定されている経路エントリを設定したルーティングプロトコル部の識別子よりも、これから経路エントリを設定しようとするルーティングプロトコル部の識別子の値の方が小さい
のいずれかの条件を満たす場合に、当該経路エントリをルーティングテーブルに設定する。
【0115】
このようにすることにより、ノードごとに1つのルーティングテーブルしかない場合に、複数のルーティングプロトコル部が同一宛先ノードに対する経路エントリを設定しようとしたとしても、ネットワーク内の各ノードにおいて、「同一宛先ノードに対しては、最小の識別子の値をもつルーティングプロトコル部が経路エントリ優先的に設定する」、という一貫したポリシで経路設定が行われる。そのため、一般的な技術のようにループを発生させる経路エントリの設定を防ぐことが可能になる。
【0116】
以上説明した本発明の実施形態は、1つのルーティングテーブルしかない場合に、複数のルーティングプロトコル部が同一宛先ノードに対する経路エントリを設定しようとしたとしても、ループを発生させる経路エントリの設定を防ぐことが可能になる、という効果を奏する。
【0117】
その第1の理由は、経路設定部が或る宛先ノードに対する経路エントリを設定しようとするとき、既に設定されている経路エントリの経路コストよりも設定しようとしている経路エントリの経路コストの方が小さい場合にだけ、当該経路エントリをルーティングテーブルに設定することで、全エリアのなかで最小コスト経路の経路エントリだけが有効なものとして設定されるからである。
【0118】
その第2の理由は、経路設定部がある宛先ノードに対する経路エントリを設定しようとするとき、既に設定されている経路エントリを設定したルーティングプロトコル部の識別子よりも、これから経路エントリを設定しようとするルーティングプロトコル部の識別子の値の方が小さい場合だけ、当該経路エントリをルーティングテーブルに設定することで、ネットワーク内の全ノードが一貫したポリシで経路エントリを設定するからである。
【0119】
なお、上記実施形態では、本実施形態のノードとして実現させるためのプログラムが、各ノードに予め組み込まれているものとして説明した。しかし、コンピュータを、本実施形態のノードの全部又は一部として動作させ、あるいは、上述の処理を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disk(Disc))BD(Blu-ray Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0120】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波にプログラムを重畳させて、コンピュータにダウンロード等してプログラムを実行してもよい。
【0121】
また、本発明の実施形態によるルーティングテーブル設定方法は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータにその方法を実行させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0122】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0123】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0124】
(付記1) 複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが行うルーティングテーブル設定方法において、
当該ノードは、前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、
前記ルーティングプロトコル部の何れかが、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが他のルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、前記第2の経路エントリの経路コストよりも前記第1の経路エントリの経路コストの方が小さいのであれば前記第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【0125】
(付記2) 複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが行うルーティングテーブル設定方法において、
当該ノードは、前記所属するエリア毎に対応しており、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のルーティングプロトコル部を備え、
第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部の識別番号と第2のルーティングプロトコル部の識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【0126】
(付記3) 複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであり、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のエリアが存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが行うルーティングテーブル設定方法において、
当該ノードは、前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、
第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号と第2のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【0127】
(付記4) 付記1乃至3の何れか1に記載のルーティングテーブル設定方法において、
前記第2の経路エントリが設定されていない場合、及び、前記第2のエントリを設定したルーティングプロトコル部が前記第1のエントリの設定を試みているルーティングプロトコル部と同一であった場合、には前記第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【0128】
(付記5) 付記1乃至4の何れか1に記載のルーティングテーブル設定方法において、
前記複数のルーティングプロトコル部は、
当該ルーティングプロトコル部に対応したエリアに所属している隣接ノードとリンクステート情報を交換するリンクステート情報交換ステップと、
前記リンクステート情報交換部が交換した前記リンクステート情報を格納するリンクステートデータベースを用意するステップと、
前記格納されている前記リンクステート情報に基づいて当該ルーティングプロトコル部に対応したエリアに所属している各宛先ノードへの最小コスト経路を計算する経路計算ステップと、
を備え、
前記経路計算ステップの計算結果に基づいて前記経路エントリを算出することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【0129】
(付記6) 付記1乃至5の何れか1に記載のルーティングテーブル設定方法において、
前記リンクは、相互の伝播距離内に存在する2つのノードの無線インターフェースに同一の無線通信周波数を割り当てることにより作られるリンクであり、同一の無線通信周波数によって作られる1つ以上のリンクのことを、同一のグループに所属するリンクと定義することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【0130】
(付記7) 複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードにおいて、
前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、
前記ルーティングプロトコル部の何れかが、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが他のルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、前記第2の経路エントリの経路コストよりも前記第1の経路エントリの経路コストの方が小さいのであれば前記第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定することを特徴とするノード。
【0131】
(付記8) 複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードにおいて、
前記所属するエリア毎に対応しており、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のルーティングプロトコル部を備え、
第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部の識別番号と第2のルーティングプロトコル部の識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするノード。
【0132】
(付記9) 複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであり、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のエリアが存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードにおいて、
前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、
第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号と第2のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするノード。
【0133】
(付記10) 付記7乃至9の何れか1に記載のノードにおいて、
前記第2の経路エントリが設定されていない場合、及び、前記第2のエントリを設定したルーティングプロトコル部が前記第1のエントリの設定を試みているルーティングプロトコル部と同一であった場合、には前記第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定することを特徴とするノード。
【0134】
(付記11) 付記7乃至10の何れか1に記載のノードにおいて、
前記複数のルーティングプロトコル部は、
当該ルーティングプロトコル部に対応したエリアに所属している隣接ノードとリンクステート情報を交換するリンクステート情報交換部と、
前記リンクステート情報交換部が交換した前記リンクステート情報を格納するリンクステートデータベースを用意する部と、
前記格納されている前記リンクステート情報に基づいて当該ルーティングプロトコル部に対応したエリアに所属している各宛先ノードへの最小コスト経路を計算する経路計算部と、
を備え、
前記経路計算部の計算結果に基づいて前記経路エントリを算出することを特徴とするノード。
【0135】
(付記12) 付記7乃至11の何れか1に記載のノードにおいて、
前記リンクは、相互の伝播距離内に存在する2つのノードの無線インターフェースに同一の無線通信周波数を割り当てることにより作られるリンクであり、同一の無線通信周波数によって作られる1つ以上のリンクのことを、同一のグループに所属するリンクと定義することを特徴とするノード。
【0136】
(付記13) 複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであり、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のエリアが存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードを複数備えた通信システムにおいて、
前記ノードが付記7乃至12の何れか1に記載のノードであることを特徴とする通信システム。
【符号の説明】
【0137】
L11,L21〜L23,L31〜L35,L42 リンク
A〜F、ノード1000、ノード2000 ノード
X、Y、Z、W エリア
110−1 第1のエリアルーティングプロトコル部
110−2 第2のエリアルーティングプロトコル部
110−N 第Nのエリアルーティングプロトコル部
111−1、111−2、111−N リンクステート情報交換部
112−1、112−2、112−N リンクステートデータベース
113−1、113−2、113−N 経路計算部
114−1、114−2、114−N 経路設定部
200 最小経路コストエントリ判定部
300 ルーティングテーブル
400 経路設定可否判定部
501、502 リンクコストテーブル
503〜506 ルーティングテーブル
507、508 リンクステートデータベース
509〜512 ルーティングテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが行うルーティングテーブル設定方法において、
当該ノードは、前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、
前記ルーティングプロトコル部の何れかが、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが他のルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、前記第2の経路エントリの経路コストよりも前記第1の経路エントリの経路コストの方が小さいのであれば前記第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【請求項2】
複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが行うルーティングテーブル設定方法において、
当該ノードは、前記所属するエリア毎に対応しており、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のルーティングプロトコル部を備え、
第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部の識別番号と第2のルーティングプロトコル部の識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【請求項3】
複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであり、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のエリアが存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードが行うルーティングテーブル設定方法において、
当該ノードは、前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、
第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号と第2のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のルーティングテーブル設定方法において、
前記第2の経路エントリが設定されていない場合、及び、前記第2のエントリを設定したルーティングプロトコル部が前記第1のエントリの設定を試みているルーティングプロトコル部と同一であった場合、には前記第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のルーティングテーブル設定方法において、
前記複数のルーティングプロトコル部は、
当該ルーティングプロトコル部に対応したエリアに所属している隣接ノードとリンクステート情報を交換するリンクステート情報交換ステップと、
前記リンクステート情報交換部が交換した前記リンクステート情報を格納するリンクステートデータベースを用意するステップと、
前記格納されている前記リンクステート情報に基づいて当該ルーティングプロトコル部に対応したエリアに所属している各宛先ノードへの最小コスト経路を計算する経路計算ステップと、
を行い、
前記経路計算ステップの計算結果に基づいて前記経路エントリを算出することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のルーティングテーブル設定方法において、
前記リンクは、相互の伝播距離内に存在する2つのノードの無線インターフェースに同一の無線通信周波数を割り当てることにより作られるリンクであり、同一の無線通信周波数によって作られる1つ以上のリンクのことを、同一のグループに所属するリンクと定義することを特徴とするルーティングテーブル設定方法。
【請求項7】
複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードにおいて、
前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、
前記ルーティングプロトコル部の何れかが、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが他のルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、前記第2の経路エントリの経路コストよりも前記第1の経路エントリの経路コストの方が小さいのであれば前記第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定することを特徴とするノード。
【請求項8】
複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであるエリアが複数存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードにおいて、
前記所属するエリア毎に対応しており、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のルーティングプロトコル部を備え、
第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部の識別番号と第2のルーティングプロトコル部の識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするノード。
【請求項9】
複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであり、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のエリアが存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードにおいて、
前記所属するエリア毎に対応した複数のルーティングプロトコル部を備え、
第1の前記ルーティングプロトコル部が、或る宛先ノードに対する第1の経路エントリを前記ルーティングテーブルに設定しようと試みたとき、前記ルーティングテーブルに既に前記或る宛先ノードに対する第2の経路エントリが第2の前記ルーティングプロトコル部により設定されていた場合は、当該第1のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号と第2のルーティングプロトコル部に対応するエリアの識別番号の大小関係に基づいて前記第1の経路エントリを設定するか否かを判定することを特徴とするノード。
【請求項10】
複数のノード間を接続するリンクによって構成されたサブネットワークであり、それぞれ個別の識別番号を割り当てられた複数のエリアが存在する環境下で、
複数の前記エリアに所属し、当該複数のエリア全てに対し1つのルーティングテーブルを共有するノードを複数備えた通信システムにおいて、
前記ノードが請求項7乃至9の何れか1項に記載のノードであることを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−26710(P2013−26710A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157831(P2011−157831)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】