説明

マルチキャスト離脱制御装置及びシステム及び方法

【課題】 マルチキャスト装置に瞬間的に負荷が集中すること、脱退処理が大きく遅延すること、新たな参加処理が拒否されることを防止する.
【解決手段】 本発明は、ユーザ端末から送信された、「脱退予定時刻」を含む事前脱退要求信号を受信すると、該事前脱退要求信号の情報を事前脱退情報記憶手段に格納し、事前脱退要求信号の脱退予定時刻に基づいて、該脱退予定時刻の脱退処理が必要なユーザ端末数を求め、該ユーザ端末数及び該脱退予定時刻に基づいて実際に脱退処理を行う実行予定時刻を決定し、事前脱退情報記憶手段に格納し、任意の時刻に、事前脱退情報記憶手段を参照して、該時刻に対応する実行予定時刻に対応する脱退処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャスト離脱制御装置及びシステム及び方法に係り、特に、マルチキャストにより多数の受信者に映像などのストリームを配信するシステムからユーザ端末が脱退するためのマルチキャスト離脱制御装置及びシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同一の映像などを多数のユーザ端末に配信する場合、個別のユーザ端末にユニキャストで配信するのではなく、マルチキャストグループに参加しているユーザ端末にコピーを配信するようにするマルチキャスト技術がある。この技術により、ネットワーク内で転送するストリームの数を減らすことができる。
【0003】
マルチキャストへの参加・脱退を管理する手順として、IGMP(Internet Group Management Protocol)(例えば、非特許文献1参照)、MLD(Multicast Listener Discovery)(例えば、非特許文献2参照)がある。例えば、MLDv2(Multicast Listener Discovery Version 2)では、ホスト(ユーザ端末)は参加、脱退にあたり、State Change Reportをマルチキャストルータ(マルチキャスト装置)に送ることが規定されている。これは、リンク毎の処理として規定されている。
【0004】
同一リンク内に同じマルチキャストストリームを受信したいユーザ端末が複数ある場合、マルチキャスト装置は、1リンクあたり1つのストリームを流せばよい。言い換えると、ユーザ端末数分のストリームを流す必要がない。一方、異リンクに同じマルチキャストストリームを受信したいユーザ端末が存在する場合、マルチキャスト装置は、コピーを作成してそれぞれのリンクにマルチキャストストリームを流す必要がある。また、マルチキャスト装置がユーザ端末から脱退の信号を受けた場合、そのユーザ端末の他のユーザ端末が同一リンク上でそのマルチキャストストリームを受信していなければ、そのリンクへのマルチキャストストリームの送信を止めることができる。同一リンク上にそのマルチキャストストリームを受信しているユーザ端末が残っているかを確認するため、MLDv2では、脱退のState Change Reportがマルチキャストルータに届く毎に、当該リンクにクエリを送信することとなっている。
【0005】
大規模通信事業者のネットワークでは、マルチキャスト装置に多くのユーザ端末が収容され、並行して処理すべきリンクの数は多い。このため、大規模通信事業者の環境では、多数のユーザ端末からの脱退要求信号に対して、それぞれに脱退処理を行う必要がある。
【0006】
以下、テレビ番組など映像配信を例にとって説明するが、配信するストリームは映像に限らず、音声、音楽の配信、データの配信など内容は問わない。
【0007】
ユーザは、ユーザ端末側に事前に配布されている番組表EPG(Electronic Program Guide)などをベースに、ユーザ端末上で、どの番組を視聴するかを事前に指定することができる。例えば、19時から20時までは番組Aを視聴する、あるいは、録画する、などを事前に登録することができる。さらに、19時から20時までは番組Aを視聴あるいは録画、20時から21時までは番組Bを視聴あるいは録画する、など複数の番組を事前に登録することができる。
【0008】
従来の技術では、ユーザ端末上での予約登録状況に従い、上記の例ではユーザ端末は、19時に番組Aに対する参加信号、20時に番組Aに対する脱退信号、及び番組Bへの参加信号、21時に番組Bに対する脱退信号をマルチキャスト装置に送っていた。脱退信号を受信するマルチキャスト装置は、これらのメッセージを受けると、即座に処理を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】IETF RFC3376 Internet Group Management Protocol, Version 3.
【非特許文献2】IETF RFC3810 Multicast Listener Discovery Version 2 (MLDv2) for IPv6.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、テレビ番組などは、30分単位の正時(毎時0分、毎時30分)などに番組が開始されることが多いため、その時刻に脱退信号、参加信号が一斉にネットワークに送られ、マルチキャスト装置に瞬間的に負荷が集中し、輻輳状態に陥ることがある。従来の技術では、大量の脱退信号がマルチキャスト装置に到着し、マルチキャスト装置が輻輳した場合、実際の処理が遅延したり、新たな参加に対する参加処理が実施できない可能性がある。
【0011】
また、番組Aに対する脱退処理と番組Aに対する参加処理を続けて実施する場合、例えば、ユーザ端末がテレビのチャンネルを切り替えるように、一つの番組Aからもう一つの番組Bに切り替える際において、マルチキャスト装置が輻輳していると、マルチキャストストリーム数に上限を設けているようなネットワークでは、脱退処理と参加処理の順序が逆転してストリーム数上限制限により新しい参加処理が実施できない、あるいは、順序を守って脱退処理が完了するまで参加処理が行われずに参加処理の実施が遅れてユーザ端末で番組Bを見ることができるのが番組開始後になってしまう、などの問題が生じる可能性がある。
【0012】
本発明は、事前に脱退信号を送ることを実現し、脱退予定時刻に先立って脱退処理を行うと共に、同一リンクに対するクエリ処理を効率化することにより、マルチキャスト装置に瞬間的に負荷が集中することを防止し、脱退処理が大きく遅延することを防止すると共に、新たな参加処理が拒否されることを防止することが可能なマルチキャスト離脱制御装置及びシステム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明(請求項1)は、マルチキャストにより多数の受信者に映像などのストリームを配信するシステムにおいて、ユーザ端末の離脱制御を行うマルチキャスト離脱制御装置であって、
前記ユーザ端末から送信された、脱退の情報と脱退を希望する時間(以下、「脱退予定時刻」と記す)を含む事前脱退要求信号を受信すると、該事前脱退要求信号の情報を事前脱退情報記憶手段に格納する事前脱退要求信号要求手段と、
前記事前脱退要求信号の前記脱退予定時刻に基づいて、該脱退予定時刻の脱退処理が必要なユーザ端末数を求め、該ユーザ端末数及び該脱退予定時刻に基づいて実際に脱退処理を行う実行予定時刻を決定し、前記事前脱退情報記憶手段に格納する実行予定時刻決定手段と、
任意の時刻に、前記事前脱退情報記憶手段を参照して、該時刻に対応する実行予定時刻に対応する脱退処理を行う脱退実行手段と、を有する。
【0014】
また、本発明(請求項2)のマルチキャスト離脱制御装置は、請求項1の前記実行予定時刻決定手段において、
前記事前脱退要求信号に、前記脱退予定時刻に許容できる時間幅である脱退許容時間差が指定されている場合には、該時間幅を含めて前記実行予定時刻を決定する時間幅−実行予定時刻決定手段を含み、
前記時間幅−実行予定時刻決定手段は、
前記時間幅を含む事前脱退要求信号が複数ある場合には、
前記脱退許容時間差のものから先行して行う、
ランダムに順番を決定する、
事前脱退要求信号の受信時刻が早いものを脱退予定時刻に近い実行予定時刻とし、事前脱退要求信号受信時刻が遅いものは時間的に先に行う、
のいずれかにより前記実行予定時刻を決定する。
【0015】
また、本発明(請求項3)のマルチキャスト離脱制御装置は、請求項1または2の前記実行予定時刻決定手段において、
前記事前脱退要求信号の総数Mから前記脱退許容時間差が指定されている事前脱退要求信号の数Lを差し引いた数P(P=M−L)が、予め定めた処理可能数Nを超えた場合、前記脱退予定時刻以降の時刻を実行予定時刻として前記事前脱退情報記憶手段に格納する手段を含む。
【0016】
また、本発明(請求項4)のマルチキャスト離脱制御装置は、請求項3の前記実行予定時刻決定手段において、
前記処理可能数Nを、当該マルチキャスト装置が所定の時間に処理可能な信号数、前記実行予定時刻に予想される脱退信号数のいずれか、または、両方に基づいて決定する手段を含む。
【0017】
また、本発明(請求項5)のマルチキャスト離脱制御装置は、請求項4の前記事項予定時刻決定手段において、
他のユーザ端末からの参加処理を優先して実行するよう前記実行予定時刻を決定する手段を含む。
【0018】
また、本発明(請求項6)のマルチキャスト離脱制御装置は、請求項1において、
同一リンクからの事前脱退要求信号に対し、クエリを1回にまとめて送信する手段を含む。
【0019】
本発明(請求項7)は、ユーザ端末と、該ユーザ端末の離脱制御を行うマルチキャスト離脱制御装置からなり、マルチキャストにより多数の受信者に映像などのストリームを配信するマルチキャストシステムであって、
前記ユーザ端末は、
脱退の情報と脱退を希望する時間(以下、「脱退予定時刻」と記す)を含む事前脱退要求信号を前記マルチキャスト装置に送信する手段を有し、
前記マルチキャスト離脱制御装置は、
前記ユーザ端末から前記事前脱退要求信号を受信すると、該事前脱退要求信号の情報を事前脱退情報記憶手段に格納する事前脱退要求信号受信手段と、
前記事前脱退要求信号の前記脱退予定時刻に基づいて、該脱退予定時刻の脱退処理が必要なユーザ端末数を求め、該ユーザ端末数及び該脱退予定時刻に基づいて実際に脱退処理を行う実行予定時刻を決定し、前記事前脱退情報記憶手段に格納する実行予定時刻決定手段と、
任意の時刻に、前記事前脱退情報記憶手段を参照して、該時刻に対応する実行予定時刻に対応する脱退処理を行う脱退実行手段と、
を有する。
【0020】
本発明(請求項8)は、ユーザ端末と、該ユーザ端末の離脱制御を行うマルチキャスト離脱制御装置からなり、マルチキャストにより多数の受信者に映像などのストリームを配信するマルチキャストシステムにおけるマルチキャスト離脱制御方法あって、
前記ユーザ端末は、
脱退の情報と脱退を希望する時間(以下、「脱退予定時刻」と記す)を含む事前脱退要求信号を前記マルチキャスト装置に送信し、
前記マルチキャスト離脱制御装置は、
事前脱退要求信号受信手段が前記ユーザ端末から前記事前脱退要求信号を受信すると、該事前脱退要求信号の情報を事前脱退情報記憶手段に格納する事前脱退要求信号受信ステップと、
実行予定時刻決定手段が、前記事前脱退要求信号の前記脱退予定時刻に基づいて、該脱退予定時刻の脱退処理が必要なユーザ端末数を求め、該ユーザ端末数及び該脱退予定時刻に基づいて実際に脱退処理を行う実行予定時刻を決定し、前記事前脱退情報記憶手段に格納する実行予定時刻決定ステップと、
脱退実行手段が、任意の時刻に、前記事前脱退情報記憶手段を参照して、該時刻に対応する実行予定時刻に対応する脱退処理を行う脱退実行ステップと、
を行い、
前記実行予定時刻決定ステップは、
前記事前脱退要求信号に、前記脱退予定時刻に許容できる時間幅である脱退許容時間差が指定されている場合には、該時間幅を含めて前記実行予定時刻を決定する時間幅−実行予定時刻決定手段を含み、
前記時間幅−実行予定時刻決定手段は、
前記時間幅を含む事前脱退要求信号が複数ある場合には、
前記脱退許容時間差のものから先行して行う、
ランダムに順番を決定する、
事前脱退要求信号の受信時刻が早いものを脱退予定時刻に近い実行予定時刻とし、事前脱退要求信号受信時刻が遅いものは時間的に先に行う、
のいずれかにより前記実行予定時刻を決定する。
【発明の効果】
【0021】
上記のように、本発明によれば、脱退要求信号が時間的に集中すると予想される場合にも、脱退処理を前後の時間に分散させることにより、マルチキャスト装置の輻輳を防止することができる。
【0022】
さらに、大量の脱退要求信号によるマルチキャスト装置の輻輳により、ユーザ端末からの新たな参加要求に対し、参加処理が遅れ、ユーザ端末が実際にマルチキャストストリーム配信を受信できる時間が遅れること、ユーザ端末に対して参加処理が実行されないことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態におけるマルチキャスト装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態における事前予約情報保持部の保持情報例である。
【図3】本発明の一実施の形態における概要動作のシーケンスチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態における実行予定時刻の決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態におけるマルチキャスト装置の構成図である。
【0026】
なお、本発明に直接関係しない機能については省略してある。例えば、マルチキャスト装置は、配信元の装置から配信されるストリームを受け取ること、及び、そのルートに関するルーティング制御を行うとが、それらの機能は図示していない。また、マルチキャスト状態を記憶する状態保持部も省略しており、マルチキャストえいある。
【0027】
同図に示すユーザ端末20、マルチキャスト端末10の間で参加・脱退の制御を行う。
【0028】
マルチキャスト装置10は、IPマルチキャスト技術の場合、いわゆるラストホップルータである。マルチキャスト装置10内部には、回線対応部11、コピー部12、制御部13、事前予約情報保持部14がある。
【0029】
ユーザ端末20は、これまでのマルチキャスト技術と同様に、参加、脱退の信号をマルチキャスト装置に送る機能に加え、予約時間を含めた脱退の信号を送る機能を持つ。この信号を事前脱退要求信号と呼ぶ。
【0030】
回線対応部11は、リンク毎に設置され、そのリンクからの受信、リンクへの送信の状態を監視し、許可された以外のものをブロックする機能を持つ。
【0031】
コピー部12は、上流から配信されるストリームを、指定された回線対応部11を通して、ユーザ端末20に送信するために、コピーを行う。さらに、そのリンクで当該マルチキャストストリームを受信していたユーザ端末20が全て脱退した場合、コピーを停止することができる。
【0032】
図2は、本発明の一実施の形態における事前脱退情報保持部の保持情報例である。事前脱退情報保持部14は、ユーザ端末20から受信した事前脱退要求信号の情報と、制御部13により決定された実行予定時刻の情報を保持する。
【0033】
制御部13は、ユーザ端末20から受信した信号に応じて、コピー部12、回線対応部11を制御すると共に、事前脱退要求信号受信時には、事前脱退要求信号の内容を事前脱退情報保持部14に書き込む。さらに、制御部13は、実行予定時間を決定し、事前脱退情報保持部14に書き込む。また、制御部13は、事前脱退情報保持部14に保持された情報に応じて、コピー部12、回線対応部11を制御する。
【0034】
ユーザ端末20は、実際に脱退したい時刻により前の時点で、事前脱退要求信号をマルチキャスト装置10に送ることができる。例えば、ユーザ端末は、番組表での予約があったとき、番組開始時刻の前に、番組終了時刻を載せた事前脱退要求信号をマルチキャスト装置10に送ることができる。なお、ユーザ端末20は、事前脱退要求信号の他に従来の技術と同様に、脱退信号を送ることもできる。
【0035】
事前脱退要求信号には、どのマルチキャストグループへの参加か、どのソースからのマルチキャストストリーム受信かといった従来の技術と同様の情報要素に加え、脱退を希望する時刻(以下、「脱退予定時刻」と呼ぶ)を載せる。さらに脱退希望時間に対して、どれくらいの時間幅での処理を許容するか、の指定を付加してもよい。以下の、この時間幅を「脱退許容時間差」と呼ぶ。
【0036】
図3は、本発明の一実施の形態における概要動作のフローチャートである。
【0037】
ステップ100) ユーザ端末20が事前脱退要求信号をマルチキャスト装置10に送信する。
【0038】
ステップ200) マルチキャスト装置10の制御部13は、事前脱退要求信号を受信すると、事前脱退情報保持部14に、ユーザ端末ID,脱退予定時刻、許容時間差、及び、マルチキャスト情報を記入する。マルチキャスト情報とは、マルチキャストグループID(IPマルチキャスト技術でのマルチキャストアドレス相当)、ソースID(IPマルチキャスト技術でのソースアドレス相当)などである。
【0039】
ステップ300) さらに、制御部130は、事前脱退情報保持部14に、事前脱退要求信号受信時刻及び後述する方法によって決定する実行予定時刻を書き込む。なお、説明では、便宜上、事前脱退情報保持部14を1つのテーブルのように表しているが、これらの情報は分散して管理してもよい。
【0040】
制御部13は、脱退予定時刻毎に、事前脱退情報保持部14を検索し、脱退処理が必要なユーザ端末数を把握する。このサーチ動作は、定期的に行ってもよいし、脱退予定時刻に対応したタイマにより行ってもよい。また、サーチ動作を脱退予定時刻前に複数回行うことも可能である。
【0041】
制御部13は、脱退予定時刻毎に事前脱退要求信号をいくつ受信しているのかの情報に基づき、脱退予定時刻に対して、どれだけ前後の時刻にどの事前脱退要求信号に対する脱退処理を行うかを決定する。これにより、脱退予定時刻のみにマルチキャスト装置10の処理負荷がピークとなることを防止する。更に、事前脱退要求信号に対し、実際に脱退処理をする時刻を決定する際に、その時点までの過去(前日、前週など)のデータからその時刻に脱退信号がいくつ到来するかの予測値を出し、それを利用することもできる。
【0042】
制御部13は、決定された時刻を、事前脱退情報保持部14に保持されたその脱退予定時刻に対する事前脱退要求信号ごとに実行予定時刻として書き込む。
【0043】
ステップ400) 制御部13は、事前予約情報保持部14の実行予定時刻を検索し、その時刻に脱退処理を実施する。その時点での通常の(事前ではない)脱退信号を受信した場合、事前脱退要求信号の脱退処理を優先してもよい。
【0044】
次に、上記のステップ300における実行予定時刻の決定処理について説明する。
【0045】
図4は、本発明の一実施の形態における実行予定時刻の決定処理のフローチャートである。
【0046】
ステップ301) 制御部13は、事前予約情報保持部14を所定の時刻毎に定期的、または、タイマによりサーチする。
【0047】
ステップ302) 制御部13は、事前予約情報保持部14から取得したデータからある時刻に脱退処理を希望するユーザ端末数Mをカウントする。
【0048】
ステップ303) ある時刻に脱退処理を希望するユーザ端末数Mが、予め定めた数Nを超えた場合は、ステップ304に移行し、超えてない場合はステップ309に移行する。
【0049】
この予め定めた数Nとは、マルチキャスト装置10の処理能力の点から、例えば、1秒間に処理可能な信号数Kなどを参考にして決めてもよい。さらに、その時刻に予測される脱退信号数の情報も参考にしてNを決めてもよい。
【0050】
ステップ304) 脱退許容時間差が指定されている要求については、指定時刻から脱退許容時間差で指定された時間幅だけ前の時刻から脱退処理を開始する。制御部13は、それらの実行予定時刻を定め、事前予約情報保持部14の実行予定時刻に記入する。このような要求が複数ある場合は、
・脱退許容時間差が大きいものから先行して行う;
・ランダムに順番を決める;
・事前脱退要求信号受信時刻の早いものは脱退予定時刻に近い時刻を実行予定時刻とし、事前脱退要求信号受信時刻の遅いものは時間的に先に行う;
等の方法を採ることができる。ここで、事前脱退要求信号受信時刻が遅いものは時間的に先に行う、とは、例えば、20時00分の脱退について、19時30分に事前脱退要求信号を受信したユーザ端末Aと、19時55分に事前脱退要求信号を受信したユーザ端末Bがあった場合は、ユーザ端末Aの実際の脱退処理について、本来の時刻(20時)に近い時刻(例えば、19時59分55秒)を実行予定時刻とする、と順序付ける方法である。
【0051】
ステップ305) もし、マルチキャスト装置10の処理能力の点から、脱退許容時間差が指定されている要求すべてについて、脱退許容時間差内で事前脱退処理を行うことが困難な場合、マルチキャスト装置10はユーザ端末20に対して脱退許容時間差内で実施不可能である旨を、信号により通知してもよい。あるいは、マルチキャスト装置10は、ユーザ端末20に対し、脱退許容時間差をどれだけ拡大すれば実施可能であるかを信号により通知してもよい。こうした信号を受信したユーザ端末20は、脱退許容時間差を拡大し、脱退予定時刻より必ず事前に脱退するか、脱退予定時刻よりも事後に脱退するかを選択し、再度事前脱退要求信号をマルチキャスト装置10に送ることができる。その後、マルチキャスト装置10は、実施予定時刻を決めた場合、その時刻をユーザ端末20に通知することも考えられる。
【0052】
ステプ306) さらに、ある時刻を脱退予定時刻として指定した要求(その総数M)のうち、脱退許容時間差を指定した要求数Lを差し引いた数P(P=M−L)が予め定めた数Nを超えた場合は、ステップ307に移行し、超えていない場合はステップ308に移行する。
【0053】
ステップ307) 脱退予定時刻以降の時刻を事前予約情報保持部14の実行予定時刻に記入する。このような要求が複数ある場合は、ランダムに順番を決める、予約信号受信時刻が遅いものから時間的に先に参加処理を行うなどの方法を採ることができる。
【0054】
ステップ308) ステップ306でP≦Nの場合は、P個について希望の脱退予定時刻を実行予定時刻に記入する。
【0055】
ステップ309) ステップ303において、M≦Nの場合には、M個について、希望の脱退予定時刻を実行予定時刻に記入する。
【0056】
上記の実施の形態の処理に加えて、制御部13において、新しいマルチキャストストリームの視聴を希望する参加要求処理を、事前脱退要求信号に対する脱退処理に優先して行うことにより、ユーザが希望する時間からストリームを受信できるようにし、サービス性を上げることも可能である。
【0057】
さらに、制御部13は、同一リンクからの脱退要求信号に対し、MLDv2のようにクエリを送る場合、同一の脱退予定時刻に対する複数の脱退要求信号に対してクエリを一回で送るようにして、クエリの送信回数を削減することも可能である。
【0058】
なお、前述の図1のマルチキャスト装置10の各構成要素の動作をプログラムとして構築し、マルチキャスト装置として利用されるコンピュータにインストールする、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0059】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 マルチキャスト装置
11 回線対応部
12 コピー部
13 制御部
14 事前予約情報保持部
20 ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャストにより多数の受信者に映像などのストリームを配信するシステムにおいて、ユーザ端末の離脱制御を行うマルチキャスト離脱制御装置であって、
前記ユーザ端末から送信された、脱退の情報と脱退を希望する時間(以下、「脱退予定時刻」と記す)を含む事前脱退要求信号を受信すると、該事前脱退要求信号の情報を事前脱退情報記憶手段に格納する事前脱退要求信号受信手段と、
前記事前脱退要求信号の前記脱退予定時刻に基づいて、該脱退予定時刻の脱退処理が必要なユーザ端末数を求め、該ユーザ端末数及び該脱退予定時刻に基づいて実際に脱退処理を行う実行予定時刻を決定し、前記事前脱退情報記憶手段に格納する実行予定時刻決定手段と、
任意の時刻に、前記事前脱退情報記憶手段を参照して、該時刻に対応する実行予定時刻に対応する脱退処理を行う脱退実行手段と、
を有することを特徴とするマルチキャスト離脱制御装置。
【請求項2】
前記実行予定時刻決定手段は、
前記事前脱退要求信号に、前記脱退予定時刻に許容できる時間幅である脱退許容時間差が指定されている場合には、該時間幅を含めて前記実行予定時刻を決定する時間幅−実行予定時刻決定手段を含み、
前記時間幅−実行予定時刻決定手段は、
前記時間幅を含む事前脱退要求信号が複数ある場合には、
前記脱退許容時間差のものから先行して行う、
ランダムに順番を決定する、
事前脱退要求信号の受信時刻が早いものを脱退予定時刻に近い実行予定時刻とし、事前脱退要求信号受信時刻が遅いものは時間的に先に行う、
のいずれかにより前記実行予定時刻を決定する
請求項1記載のマルチキャスト離脱制御装置。
【請求項3】
前記実行予定時刻決定手段は、
前記事前脱退要求信号の総数Mから前記脱退許容時間差が指定されている事前脱退要求信号の数Lを差し引いた数P(P=M−L)が、予め定めた処理可能数Nを超えた場合、前記脱退予定時刻以降の時刻を実行予定時刻として前記事前脱退情報記憶手段に格納する手段を含む
請求項1または2記載のマルチキャスト離脱制御装置。
【請求項4】
前記実行予定時刻決定手段は、
前記処理可能数Nを、当該マルチキャスト装置が所定の時間に処理可能な信号数、前記実行予定時刻に予想される脱退信号数のいずれか、または、両方に基づいて決定する手段を含む
請求項3記載のマルチキャスト離脱制御装置。
【請求項5】
前記実行予定時刻決定手段は、
他のユーザ端末からの参加処理を優先して実行するよう前記実行予定時刻を決定する手段を含む
請求項4記載のマルチキャスト離脱制御装置。
【請求項6】
同一リンクからの事前脱退要求信号に対し、クエリを1回にまとめて送信する手段を含む
請求項1記載のマルチキャスト離脱制御装置。
【請求項7】
ユーザ端末と、該ユーザ端末の離脱制御を行うマルチキャスト離脱制御装置からなり、マルチキャストにより多数の受信者に映像などのストリームを配信するマルチキャストシステムであって、
前記ユーザ端末は、
脱退の情報と脱退を希望する時間(以下、「脱退予定時刻」と記す)を含む事前脱退要求信号を前記マルチキャスト装置に送信する手段を有し、
前記マルチキャスト離脱制御装置は、
前記ユーザ端末から前記事前脱退要求信号を受信すると、該事前脱退要求信号の情報を事前脱退情報記憶手段に格納する事前脱退要求信号受信手段と、
前記事前脱退要求信号の前記脱退予定時刻に基づいて、該脱退予定時刻の脱退処理が必要なユーザ端末数を求め、該ユーザ端末数及び該脱退予定時刻に基づいて実際に脱退処理を行う実行予定時刻を決定し、前記事前脱退情報記憶手段に格納する実行予定時刻決定手段と、
任意の時刻に、前記事前脱退情報記憶手段を参照して、該時刻に対応する実行予定時刻に対応する脱退処理を行う脱退実行手段と、
を有することを特徴とするマルチキャスト離脱制御システム。
【請求項8】
ユーザ端末と、該ユーザ端末の離脱制御を行うマルチキャスト離脱制御装置からなり、マルチキャストにより多数の受信者に映像などのストリームを配信するマルチキャストシステムにおけるマルチキャスト離脱制御方法あって、
前記ユーザ端末は、
脱退の情報と脱退を希望する時間(以下、「脱退予定時刻」と記す)を含む事前脱退要求信号を前記マルチキャスト装置に送信し、
前記マルチキャスト離脱制御装置は、
事前脱退要求信号受信手段が前記ユーザ端末から前記事前脱退要求信号を受信すると、該事前脱退要求信号の情報を事前脱退情報記憶手段に格納する事前脱退要求信号受信ステップと、
実行予定時刻決定手段が、前記事前脱退要求信号の前記脱退予定時刻に基づいて、該脱退予定時刻の脱退処理が必要なユーザ端末数を求め、該ユーザ端末数及び該脱退予定時刻に基づいて実際に脱退処理を行う実行予定時刻を決定し、前記事前脱退情報記憶手段に格納する実行予定時刻決定ステップと、
脱退実行手段が、任意の時刻に、前記事前脱退情報記憶手段を参照して、該時刻に対応する実行予定時刻に対応する脱退処理を行う脱退実行ステップと、
を行い、
前記実行予定時刻決定ステップは、
前記事前脱退要求信号に、前記脱退予定時刻に許容できる時間幅である脱退許容時間差が指定されている場合には、該時間幅を含めて前記実行予定時刻を決定する時間幅−実行予定時刻決定手段を含み、
前記時間幅−実行予定時刻決定手段は、
前記時間幅を含む事前脱退要求信号が複数ある場合には、
前記脱退許容時間差のものから先行して行う、
ランダムに順番を決定する、
事前脱退要求信号の受信時刻が早いものを脱退予定時刻に近い実行予定時刻とし、事前脱退要求信号受信時刻が遅いものは時間的に先に行う、
のいずれかにより前記実行予定時刻を決定する
ことを特徴とするマルチキャスト離脱制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−46114(P2013−46114A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180964(P2011−180964)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】