説明

マルチコア光ファイバ、光コネクタ、およびマルチコア光ファイバの製造方法

【課題】接続対象との光学結合が容易なマルチコア光ファイバ、およびこれを用いた光コネクタ、並びにマルチコア光ファイバの製造方法を提供すること。
【解決手段】長手方向に垂直な断面において互いに離隔して配置された複数のコア部と、前記各コア部の外周に位置するクラッド部とを備えたマルチコア光ファイバであって、等径部と、前記等径部に連接し、前記長手方向の少なくとも一方の端面に向かって拡径した拡径部とを有し、前記拡径部において、前記各コア部間の離隔距離が、前記等径部における当該離隔距離よりも拡大している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコア部を有するマルチコア光ファイバ、およびこれを用いた光コネクタ、並びにマルチコア光ファイバの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のコア部を有するマルチコア光ファイバは、光通信ケーブルに光ファイバを高密度に収容することが要求される光伝送路や、機器内における高密度配線が要求されている光インターコネクションシステムなどにおいて利用されることが想定されている。マルチコア光ファイバには、従来の光ファイバと同様に、互いに屈折率が異なる媒質からなるコア部とクラッド部との屈折率差によってコア部に光を閉じ込める種類のもの(非特許文献1)や、クラッド部に空孔が周期的に形成された構造を有し、信号光として可視光域から近赤外光域までの超広帯域を利用できるマルチコアホーリーファイバ(非特許文献2)等がある。これらのマルチコア光ファイバでは、長手方向に垂直な断面において複数のコア部が40μmあるいは50μmの間隔で互いに離隔しており、コア部間のクロストークを抑制しつつコア部の高密度な配置が実現されている。
【0003】
また、非特許文献3には、面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、VCSEL)アレイを信号光源とし、マルチコア光ファイバを光伝送路として光伝送を行なう技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−226886号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. Koshiba, K. Saitoh and Y. Kokubun, “Heterogeneous multi-core fibers proposal and design principle”, IEICE Electronics Express, vol. 6, no. 2, pp. 98-103 (2009)
【非特許文献2】K. Imamura, K. Mukasa, Y. Mimura and T. Yagi, “Multi-core holey fibers for the long-distance (>100 km) ultra large capacity transmission”, Proceedings of Optical Fiber Communication Conference 2009, OtuC3 (2009)
【非特許文献3】D. M. Taylor, C. R. Bennett, T. J. Shepherd, L. F. Michaille, M. D. Nielsen and H. R. Simonsen, “Demonstration of multi-core photonic crystal fibre in an optical interconnect”, Electronics Letters, vol. 42, no. 6, pp. 331-332 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献3において使用されているVCSELアレイはVCSEL素子間のピッチ(離隔距離)が62.5μmである。しかしながら、このように各VCSEL素子が近接したVCSELアレイの製造は困難である。歩留まりと製造コストの観点からは、現状の現実的なVCSELアレイのピッチは250μm程度である。したがって、複数のコア部の離隔距離が40〜50μmである高密度なマルチコア光ファイバと、接続対象である現実的なVCSELアレイとを接続する場合、各コア部とVCSEL素子との光学的な接続が困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、接続対象との光学結合が容易なマルチコア光ファイバ、およびこれを用いた光コネクタ、並びにマルチコア光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るマルチコア光ファイバは、長手方向に垂直な断面において互いに離隔して配置された複数のコア部と、前記各コア部の外周に位置するクラッド部とを備えたマルチコア光ファイバであって、等径部と、前記等径部に連接し、前記長手方向の少なくとも一方の端面に向かって拡径した拡径部とを有し、前記拡径部において、前記各コア部間の離隔距離が、前記等径部における当該離隔距離よりも拡大していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るマルチコア光ファイバは、上記の発明において、前記各コア部は、互いに離隔して配置された複数の接続対象のそれぞれに光学的に結合されるものであり、前記各コア部間の離隔距離が、前記各接続対象間の離隔距離に近づくように拡大していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るマルチコア光ファイバは、上記の発明において、前記接続対象が発光体または光ファイバであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るマルチコア光ファイバは、上記の発明において、前記端面における前記各コア部間の離隔距離が、前記等径部における当該離隔距離よりも1.2〜5倍拡大していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光コネクタは、上記発明のいずれか一つに記載のマルチコア光ファイバを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るマルチコア光ファイバの製造方法は、上記発明のいずれか一つに記載のマルチコア光ファイバを製造する方法であって、マルチコア光ファイバ母材の一端を加熱溶融し、該一端からマルチコア光ファイバを線引きする際に、前記等径部と拡径部とを形成するように前記マルチコア光ファイバ母材の送り速度および/または前記マルチコア光ファイバの線引き速度を変化させる工程と、前記線引きしたマルチコア光ファイバを所定の位置で切断する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るマルチコア光ファイバの製造方法は、上記の発明において、前記マルチコア光ファイバ母材の送り速度を0.01mm/min〜10mm/minの範囲で変化させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るマルチコア光ファイバの製造方法は、上記の発明において、前記マルチコア光ファイバの線引き速度を0.1m/min〜10m/minの範囲で変化させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るマルチコア光ファイバの製造方法は、上記の発明のいずれか一つに記載のマルチコア光ファイバを製造する方法であって、マルチコア光ファイバ母材の一端を加熱溶融し、該一端からマルチコア光ファイバを線引きする線引き工程と、前記線引き工程の中断または終了後に、前記マルチコア光ファイバ母材の一端に形成されたメニスカス部を所定の位置で切断する切断工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一方の端面において、複数のコア部の各コア部間の離隔距離が拡大しているので、接続対象との光学結合が容易であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施の形態1に係るマルチコア光ファイバの模式図である。
【図2】図2は、図1に示すマルチコア光ファイバの等径部および拡径部における長手方向に垂直な断面図である。
【図3】図3は、図1に示すマルチコア光ファイバとVCSELアレイとの接続について説明する図である。
【図4】図4は、図1に示すマルチコア光ファイバとVCSELアレイとの接続の一例を示す図である。
【図5】図5は、図1に示すマルチコア光ファイバとVCSELアレイとの接続の他の一例を示す図である。
【図6】図6は、図1に示すマルチコア光ファイバの製造方法の一例を説明する図である。
【図7】図7は、図1に示すマルチコア光ファイバの製造方法の一例を説明する図である。
【図8】図8は、図1に示すマルチコア光ファイバの製造方法の他の一例を説明する図である。
【図9】図9は、実施の形態2に係るマルチコア光ファイバの端面の模式図である。
【図10】図10は、実施の形態3に係る光コネクタを用いた光通信システムの構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、実施の形態3に係る光コネクタの模式図である。
【図12】図12は、実施の形態4に係る光コネクタの模式図である。
【図13】図13は、実施の形態5に係る光コネクタの模式図である。
【図14】図14は、図13に示す光コネクタのA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明に係るマルチコア光ファイバ、光コネクタ、およびマルチコア光ファイバの製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面において、同一または対応する要素には適宜同一符号を付している。
【0020】
(実施の形態1)
はじめに、本発明の実施の形態1に係るマルチコア光ファイバについて説明する。図1は、本実施の形態1に係るマルチコア光ファイバの模式図である。図1に示すように、このマルチコア光ファイバ1は、長手方向にわたって外径が略一定である等径部1aと、等径部1aに連接し、長手方向の一方の端面1cに向かって徐々に拡径した拡径部1bとを有している。
【0021】
図2は、図1に示すマルチコア光ファイバ1の等径部1aおよび拡径部1bにおける長手方向に垂直な断面図である。図2(a)が等径部1aにおける断面、図2(b)が拡径部1bにおける断面を示している。
【0022】
図2(a)に示すように、このマルチコア光ファイバ1の等径部1aは、互いに離隔して配置された7つのコア部111a〜117aと、コア部111a〜117aの外周に位置するクラッド部12aとを備える。コア部111aは、クラッド部12aのほぼ中心部に配置されており、コア部112a〜117aは、コア部111aを中心とした正六角形の頂点にそれぞれ配置されている。また、クラッド部12aは、コア部111a〜117aの周囲に周期的に配置された、直径d1の複数の空孔13aを有する。すなわち、このマルチコア光ファイバ1は、ホーリーファイバ型のものである。また、空孔13aは、格子定数Λ1の三角格子L1を形成するように配置されており、各コア部111a〜117aを囲むように正六角形状の層を形成している。なお、コア部111a〜117aとクラッド部12aとは、たとえば屈折率調整用のドーパントを含まない純石英ガラスからなる。
【0023】
また、各コア部111a〜117a間の離隔距離を、各コア部111a〜117aの中心間距離で規定する。このマルチコア光ファイバ1では、隣接するコア部間の離隔距離は等しくなっており、たとえば、コア部116aとコア部117aとの離隔距離は、離隔距離D1で示される。離隔距離D1はたとえば40〜50μmである。
【0024】
一方、図2(b)に示すように、このマルチコア光ファイバ1の拡径部1bは、上述したコア部111a〜117a、クラッド部12a、空孔13aにそれぞれ対応するコア部111b〜117b、クラッド部12b、空孔13bを備えている。なお、これらのコア部111b〜117b、空孔13bは、クラッド部12bの外径の拡径に伴って相似形で拡大している。すなわち、空孔13bの直径d2、空孔13bが形成する三角格子L2の格子定数Λ2、各コア部111b〜117b間の離隔距離D2も、クラッド部12bの拡径の比率とほぼ同じ割合で端面1cに向かって徐々に拡大している。
【0025】
つぎに、図3は、図1に示すマルチコア光ファイバ1とVCSELアレイとの接続について説明する図である。図3に示すように、接続対象であるVCSELアレイ2は、共通の基板2a上に、互いに離隔距離D3にて三角格子状に配置されたVCSEL素子2bが形成されたものであり、信号光源として使用される。なお、離隔距離D3の値は、たとえば250μmである。一方、マルチコア光ファイバ1は、その端面1cがVCSELアレイ2に対向するように配置されている。なお、図3において符号11はコア部を示している。また、VCSELアレイ2とマルチコア光ファイバ1との間には、それぞれの開口数に合わせてコリメートレンズや集光レンズが適宜配置される。
【0026】
ここで、このマルチコア光ファイバ1では、端面1cにおける各コア部11間の離隔距離D4が、各VCSEL素子2bの離隔距離D3と同程度まで拡大している。そして、各VCSEL素子2bと、これに光学的に結合すべき各コア部11とが対向するように、マルチコア光ファイバ1とVCSELアレイ2との位置関係が調整されている。その結果、各VCSEL素子2bと各コア部11との光学結合が容易となる。
【0027】
すなわち、このマルチコア光ファイバ1は、等径部1aにおいては各コア部11間の離隔距離D1はたとえば40〜50μmであって高密度に配置されているとともに、拡径部1bにおいては離隔距離D2は徐々に拡大しており、端面1cにおける離隔距離D4は接続対象であるVCSEL素子2bの離隔距離D3と同程度まで拡大しているので、コア部の高密度化と接続対象への接続の容易さとを同時に実現するものとなる。なお、端面1cにおける離隔距離D4が、等径部1aにおける離隔距離D1よりも1.2〜5倍拡大していれば、コア部の高密度化と接続対象への接続の容易さとがバランスよく実現されるので好ましい。
【0028】
なお、等径部1aの長さは、光伝送路を形成するためにたとえば1m〜数十kmである。一方、拡径部1bの長さは、等径部1aの長さに比して、等径部1aの光伝送特性に影響を与えない程度に短いことが好ましく、たとえば1cm〜10mである。
【0029】
また、等径部1aにおいて、空孔13aの直径d1をd[μm]、格子定数Λ1をΛ[μm]とすると、d、Λは要求される伝送特性に応じて適宜設定される。なお、Λを6μm、d/Λを0.43とすると、全ての波長においてシングルモード伝送が可能になるEndlessly Single Mode(ESM)特性が実現されるので好ましい。
【0030】
また、マルチコア光ファイバ1の端面1cとは反対側の端部においても、同様に拡径部を形成してもよい。
【0031】
また、図3においては、端面1cにおける各コア部11間の離隔距離D4が、各VCSEL素子2b間の離隔距離D3と同程度まで拡大している。しかしながら、同程度でなくても、以下に説明するように離隔距離D4が離隔距離D3に近づくように拡大したものであれば、光学結合が容易になるという効果を得ることができる。
【0032】
図4は、図1に示すマルチコア光ファイバ1とVCSELアレイ2との接続の一例を示す図である。図4に示す例では、マルチコア光ファイバ1の端面1cにおける各コア部11間の離隔距離D4は、各VCSEL素子2b間の離隔距離D3よりも狭くなっている。このため、各VCSEL素子2bから出力する信号光SL1の光軸をレンズ3によって適宜屈曲させて各コア部11に結合させるようにしている。なお、レンズ3は、単レンズ、またはコリメートレンズと集光レンズとを適宜組み合わせたレンズ群である。この例の場合も、離隔距離D4は離隔距離D3に近づくように拡大しているので、レンズ3が信号光SL1の光軸を屈曲させる程度は軽減され、光学結合が容易になる。
【0033】
図5は、図1に示すマルチコア光ファイバ1とVCSELアレイ2との接続の他の一例を示す図である。図5に示す例では、図4と同様に、マルチコア光ファイバ1の端面1cにおける各コア部11間の離隔距離D4は、各VCSEL素子2b間の離隔距離D3よりも狭くなっている。このため、各VCSEL素子2bから出力する信号光SL1の光軸を、各VCSEL素子2bごとに設けたレンズ4によって適宜屈曲させて各コア部11に結合させるようにしている。なお、レンズ4は、信号光SL1の光軸を屈曲させる程度に応じて傾斜させて設けられている。この例の場合も、離隔距離D4は離隔距離D3に近づくように拡大しているので、レンズ4が信号光SL1の光軸を屈曲させる程度は軽減され、光学結合が容易になる。
【0034】
なお、上記図3〜図5では、マルチコア光ファイバ1の接続対象はVCSELアレイ2であるが、接続対象はVCSELアレイに限らず、LED等の他の発光体をアレイ状に配置したものや、光ファイバアレイ等でもよい。
【0035】
(製造方法)
つぎに、図1に示すマルチコア光ファイバ1の製造方法について説明する。図6、図7は、マルチコア光ファイバ1の製造方法の一例を説明する図である。図6に示す光ファイバの製造装置100は、通常の光ファイバの製造装置と同様の構成を有するものである。すなわち、この製造装置100は、マルチコア光ファイバ母材5の上端に溶着したガラス製の支持棒6を把持し、マルチコア光ファイバ母材5を昇降させる昇降機構101と、ヒータ102aを有し、マルチコア光ファイバ母材5の一端を加熱溶融するための線引加熱炉102と、マルチコア光ファイバ母材5から線引きしたマルチコア光ファイバ7の外径を測定する外径測定器103と、マルチコア光ファイバ7にHeガス等を吹き付けて冷却することができる冷却塔104と、マルチコア光ファイバ7の通路に配置された、樹脂105を被覆するためのダイス106およびUVランプ照射室107と、引き取り機構としてのゴムからなるキャプスタンローラ108と、ガイドロール109とを備える。また、製造装置100は、さらに、外径測定器103が測定したマルチコア光ファイバ7の外径のデータと、キャプスタンローラ108の回転速度から得られたマルチコア光ファイバ7の線引き速度(線速)のデータとを取り込むとともに、この外径および線速のデータ等に基づいて、昇降機構101、線引加熱炉102、冷却塔104、キャプスタンローラ108を制御する制御器Cを備える。
【0036】
以下、図6を用いて、マルチコア光ファイバ1の製造方法の一例について説明する。はじめに、たとえば、石英系ガラス製ガラス管内にコア部となるべき中実の石英系ガラス製ロッドを配置し、このガラスロッドの周囲に空孔を形成すべき中空の石英系ガラス製キャピラリを配置し、このガラス管とガラスキャピラリとの隙間に中実の石英系ガラス製ロッドを充填し、これを延伸するというスタックアンドドロー法を用いて、マルチコア光ファイバ母材5を作製する。
【0037】
つぎに、支持棒6を上端に溶着したマルチコア光ファイバ母材5を線引加熱炉102にセットし、支持棒6を昇降機構101により把持する。つぎに、昇降機構101によりマルチコア光ファイバ母材5を下方に送りながら、ヒータ102aによってマルチコア光ファイバ母材5の先端を加熱溶融し、マルチコア光ファイバ7を線引きする。つぎに、外径測定器103は、線引きしたマルチコア光ファイバ7の外径を測定し、そのデータを制御器Cへ送信する。つぎに、必要に応じて冷却塔104によりマルチコア光ファイバ7を冷却する。つぎに、所定のタイミングでダイス106によってマルチコア光ファイバ7に樹脂105を塗布し、UVランプ照射室107にて樹脂105を硬化して被覆を形成する。被覆を形成したマルチコア光ファイバ7は、キャプスタンローラ108によって引き取られ、ガイドロール109によってガイドされ、不図示の巻き取り機構によってドラムに巻き取られる。
【0038】
ここで、マルチコア光ファイバ7を線引きする際に、線速を変化させる。すると、図7に示すように、マルチコア光ファイバ7には、長手方向にわたって外径が略一定である等径部7aと、等径部7aに連接し、外径が徐々に拡大または縮小する径変化部7bと、径変化部7bに連接し、外径が等径部7aよりも太く略一定である等径部7cとが繰り返した構造が形成される。具体的には、マルチコア光ファイバ7の線速を一定にした線引きにより等径部7aが形成されている状態で、線速を徐々に遅くすると、ガラスの供給量に対して消費が遅くなるので、外径が徐々に拡大して径変化部7bが形成される。また、これに続いて線速を一定にすると等径部7cが形成され、その後線速を徐々に早くすると、ガラスの消費が早くなるので、外径が徐々に縮小して径変化部7bが形成される。
【0039】
つぎに、線引きしたマルチコア光ファイバ7を、等径部7cと径変化部7bとの境界の位置P1で順次切断すると、図1に示すマルチコア光ファイバ1が形成される。なお、等径部7aが等径部1aとなり、径変化部7bが拡径部1bとなる。以上説明した方法によれば、バーナーと延伸機構とを備えたテーパ作製装置のような特別な装置は不要であり、既存の光ファイバの製造装置100を用いて、マルチコア光ファイバ1を容易に製造することができる。
【0040】
なお、上記の方法では、マルチコア光ファイバ7の線速を変化させているが、マルチコア光ファイバ母材5の送り速度を変化させても、同様に等径部7a、径変化部7b、等径部7cの繰り返し構造が形成されたマルチコア光ファイバ7を線引きすることができる。なお、送り速度を変化させる場合は、送り速度を徐々に早くすると、ガラスの供給量が増加するので、マルチコア光ファイバ7の外径が徐々に拡大し、送り速度を徐々に遅くすると外径は徐々に縮小する。また、マルチコア光ファイバ7の線速とマルチコア光ファイバ母材5の送り速度との両方を変化させてもよい。
【0041】
また、上記の方法では、マルチコア光ファイバ7を等径部7cと径変化部7bとの境界の位置P1で切断しているが、等径部7cのいずれかの位置で切断するようにしてもよい。また、等径部7cは必ずしも形成しなくてもよいが、径変化部7bを形成した後に等径部7cを形成し、線速を一度一定にしたほうが、線速の安定制御の点で好ましい。
【0042】
つぎに、マルチコア光ファイバ7の線速およびマルチコア光ファイバ母材5の送り速度の変化量について具体的に説明する。
【0043】
たとえば、等径部1aにおける離隔距離D1が40μmであり、端面1cにおける離隔距離D4が125μmであるマルチコア光ファイバ1を製造する場合は、離隔距離を約3倍に拡大する必要がある。等径部1aの外径を125μmにする場合において、マルチコア光ファイバ母材5の直径が20mmの場合にマルチコア光ファイバ7の線速の変化によって当該離隔距離を約3倍に拡大するには、マルチコア光ファイバ母材5の送り速度を0.25mm/minで一定とすると、線速を6.4m/minから0.65m/minまで変化させればよい。
【0044】
一方、マルチコア光ファイバ母材5の送り速度の変化によって当該離隔距離を約3倍に拡大するには、マルチコア光ファイバ7の線速を0.5m/minで一定とすると、送り速度を0.02mm/minから0.2mm/minまで変化させればよい。
【0045】
また、たとえば、等径部1aにおける離隔距離D1が50μmであり、端面1cにおけるコ離隔距離D4が250μmであるマルチコア光ファイバ1を製造する場合は、離隔距離を5倍に拡大する必要がある。等径部1aの外径を180μmにする場合において、マルチコア光ファイバ母材5の直径が40mmの場合にマルチコア光ファイバ7の線速の変化によって当該離隔距離を5倍に拡大するには、マルチコア光ファイバ母材5の送り速度を0.1mm/minで一定とすると、線速を4.9m/minから0.20m/minまで変化させればよい。
【0046】
一方、マルチコア光ファイバ母材5の送り速度の変化によって当該離隔距離を5倍に拡大するには、マルチコア光ファイバ7の線速を5m/minで一定とすると、送り速度を0.1mm/minから2.5mm/minまで変化させればよい。
【0047】
なお、上記各制御は制御器Cにより行われる。具体的には、線速は、制御器Cがキャプスタンローラ108の回転速度を増減することにより制御され、送り速度は、制御器Cが昇降機構101の昇降速度を増減することにより制御され、マルチコア光ファイバ7の外径は、制御器Cが、外径測定器103からのデータに基づいて、昇降機構101とキャプスタンローラ108とを制御することにより制御される。
【0048】
また、マルチコア光ファイバ母材5の送り速度は、現実的な昇降機構101の制御精度を考慮すると0.01mm/min〜10mm/minの範囲で変化させることが好ましい。また、マルチコア光ファイバ7の線引き速度は0.1m/min〜10m/minの範囲で変化させることが好ましい。線引き速度が0.1m/min以上であれば、現実的なキャプスタンローラ108の制御精度の点から好ましく、10m/min以下であれば、マルチコア光ファイバ7を数mだけ線引きする間に所望の外径変化を与えるためには適した線速となる。
【0049】
つぎに、図1に示すマルチコア光ファイバ1の製造方法の他の一例について説明する。図8は、マルチコア光ファイバ1の製造方法の他の一例を説明する図である。上述した方法によってマルチコア光ファイバ母材5からマルチコア光ファイバ7を線引きする際には、図8に示すように、マルチコア光ファイバ母材5の一端には、溶融によって外径が徐々に縮径しているメニスカス部5aが形成され、メニスカス部5aの下方からマルチコア光ファイバ7が線引きされる。
【0050】
この状態で線引きを中断または終了すると、メニスカス部5aは略その形状を保持したまま固化するので、固化した後に、メニスカス部5aを所定の位置P2で切断する。すると、切断した部分は、メニスカス部5aの下部が拡径部となり、マルチコア光ファイバ7が等径部となって、マルチコア光ファイバ1となる。
【0051】
なお、上記に例示した2つの製造方法でマルチコア光ファイバ1を製造した場合、マルチコア光ファイバ1の拡径部において各コア部のモードフィールド径も拡大している。したがって、拡径部があまり長い場合は、各コア部を伝送する光同士で光の干渉が生じ、光伝送特性に影響を与える可能性がある。しかしながら、拡径部の長さが10m程度以下であれば干渉の影響は殆ど問題にならない。
【0052】
(実施の形態2)
上記実施の形態1に係るマルチコア光ファイバ1は、ホーリーファイバ型のものであるが、本発明は、互いに屈折率が異なる媒質からなるコア部とクラッド部との屈折率差によってコア部に光を閉じ込める種類のマルチコア光ファイバについても適用できる。以下、本発明の実施の形態2として、屈折率差によってコア部に光を閉じ込めるマルチコア光ファイバについて説明する。なお、本実施の形態2に係るマルチコア光ファイバは、図1に示すマルチコア光ファイバ1と同様に等径部と拡径部とを有するものである。
【0053】
図9は、本実施の形態2に係るマルチコア光ファイバの端面の模式図である。図9に示すように、このマルチコア光ファイバ9は、互いに離隔して配置されたコア部911〜917と、コア部911〜917の外周に位置するクラッド部92とを備える。コア部911は、クラッド部92のほぼ中心部に配置されており、コア部912〜917は、コア部911を中心として正六角形の頂点にそれぞれ配置されている。各コア部912〜917間の離隔距離や、コア部911〜917のコア径は特に限定されないが、たとえば離隔距離は60μm程度であり、コア径は5.0〜10.0μm程度である。また、各コア部911〜917は、ゲルマニウムを添加した石英系ガラスからなり、クラッド部92は、純石英ガラスからなる。その結果、クラッド部92は、各コア部911〜917の屈折率よりも低い屈折率を有し、クラッド部92に対する各コア部911〜917の比屈折率差は、0.3〜1.5%程度である。このマルチコア光ファイバ9は、この屈折率差によって、各コア部911〜917に光を閉じ込めて伝搬させる。
【0054】
そして、このマルチコア光ファイバ9も、等径部においては各コア部間の離隔距離は狭く高密度に配置されているとともに、拡径部においては離隔距離が徐々に拡大しており、端面においては離隔距離が接続対象であるVCSELアレイにおける各VCSEL素子間の離隔距離と同程度まで拡大しているので、コア部の高密度化と接続の容易さとを同時に実現したものとなる。
【0055】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3として、実施の形態1に係るマルチコア光ファイバ1を備えた光コネクタについて説明する。図10は、本実施の形態3に係る光コネクタを用いた光通信システムの構成を示すブロック図である。図10に示すように、この光通信システム200は、信号光を出力する光送信装置210と、光送信装置210が出力した信号光を伝送する光伝送路230と、光伝送路230が伝送した信号光を受信し、信号処理する光受信装置250とを備えている。また、光送信装置210と光伝送路230との間、および光伝送路230と光受信装置250との間は、それぞれ本実施の形態3に係る光コネクタ220、240によって接続している。
【0056】
光送信装置210は、VCSELアレイ等からなり、個々に異なる7つの信号光を出力する信号光源を備えている。また、光伝送路230は、図1に示すマルチコア光ファイバ1の等径部1aと同一構造の7つのコア部を有するマルチコア光ファイバであり、各コア部間の離隔距離は50μmと高密度に配置されている。光コネクタ220は、光送信装置210が出力する各信号光を光伝送路230の7つのコア部のそれぞれに光学的に結合させる。光伝送路230は結合された各信号光を伝送する。
【0057】
また、光受信装置250は、光伝送路230が伝送した各信号光を受信し、電気信号に変換する7つの受光素子と、受光素子が変換した電気信号を処理する信号処理装置とを備えている。また、光コネクタ240は、光伝送路230が伝送した各信号光を光受信装置250の各受光素子に光学的に結合させるものである。
【0058】
つぎに、本実施の形態3に係る光コネクタ240について説明する。なお、光コネクタ220は光コネクタ240と同様の構成を有するので、説明を省略する。図11は、本実施の形態3に係る光コネクタ240の模式図である。図11に示すように、この光コネクタ240は、光伝送路230に接続された、実施の形態1に係るマルチコア光ファイバ1と、マルチコア光ファイバ1を保持するガラス等からなる保持部材241と、3本の光導波路部242aを有するPLC(Planar Lightwave Circuit、平面光波回路)242と、3本の光ファイバアレイ243aを保持するガラス等からなる保持部材243と、3本の光ファイバコード244と、3つのフェルール245とが、順次接続して構成されている。なお、PLC242および保持部材243の、紙面と垂直方向の両側には、さらに他のPLCと、光ファイバアレイが保持された保持部材とが積層され、この光ファイバアレイにはさらに光ファイバコードとフェルールとが接続されているが、これについては後述する。
【0059】
マルチコア光ファイバ1は、その各コア部間の離隔距離が、光伝送路230に接続する等径部において50μmであり、PLC242に接続する拡径部の端面において80μmである。また、光ファイバアレイ243aを構成する各光ファイバの外径は125μmであるから、各光ファイバのコア部の離隔距離は125μmである。また、PLC242の3本の光導波路部242aの離隔距離は、マルチコア光ファイバ1側において80μmであり、各光導波路部242aはマルチコア光ファイバ1の直線状に並んだ3つのコア部(図2のコア部116b、111b、113b)にそれぞれ接続している。また、光導波路部242aの離隔距離は、光ファイバアレイ243a側では125μmに変換されており、光ファイバアレイ243aを構成する各光ファイバのコア部に接続している。
【0060】
光伝送路230のうち、上記のマルチコア光ファイバ1の直線状に並んだ3つのコア部に接続した3つのコア部を伝送してきた各信号光は、マルチコア光ファイバ1、PLC242、光ファイバアレイ243a、光ファイバコード244、フェルール245を順次通過して、光受信装置250に入力する。ここで、光伝送路230と光ファイバアレイ243aとの間は、マルチコア光ファイバ1とPLC242とによって信号光の経路間の離隔距離が徐々に拡大されている。その結果、光伝送路230と光ファイバアレイ243aとは低光損失で接続される。特に、この光コネクタ240では、拡径部においてコア部の離隔間隔が徐々に拡大しているマルチコア光ファイバ1を、光伝送路230とPLC242との間に介在させている。その結果、光伝送路230とPLC242とを直接接続する場合よりも、PLC242の光導波路部242aの離隔距離が広くてもよくなるので、PLC242として製造が容易なものを用いることができるとともに、接続も容易となる。
また、マルチコア光ファイバ1を上述した製造方法で製造した場合、マルチコア光ファイバ1の拡径部において各コア部のモードフィールド径も拡大しているので、PLC242との接続部における両者の光軸ずれの許容量(トレランス)が大きくなるので好ましい。
【0061】
なお、光伝送路230のうち、他の4つのコア部を伝送してきた各信号光は、前述したPLC242、保持部材243の両側に積層された、2つの光導波路を有する他のPLCおよび2つの光ファイバからなる光ファイバアレイが保持された保持部材、ならびにこの光ファイバアレイに接続した光ファイバコードとフェルールとを通過して、光受信装置250に入力する。
【0062】
ただし、本実施の形態3において、光伝送路230の全てのコア部を信号光伝送に用いなくてもよい。たとえば、光伝送路230のうち、マルチコア光ファイバ1の直線状に並んだ3つのコア部に接続する3つのコア部だけを信号光伝送に用いてもよい。さらには、光伝送路230を、コア部としては直線状に並んだ3つのコア部のみを有するマルチコア光ファイバに置き換えてもよい。これらの場合、上述したようなPLC242、保持部材243の両側には、PLC等を積層しなくてもよい。
【0063】
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4に係る光コネクタについて説明する。図12は、実施の形態4に係る光コネクタの模式図である。図12に示すように、この光コネクタ260は、実施の形態1に係るマルチコア光ファイバ1と、光ファイババンドル261と、束状の接続用光ファイバ262と、不図示の光ファイバコードおよびフェルールとが順次接続して構成されたものであり、たとえば図10、11に示す光コネクタ240に置き換えて使用することができるものである。
【0064】
マルチコア光ファイバ1は、そのコア部間の離隔距離が、等径部において50μmであり、光ファイババンドル261に接続する拡径部の端面において80μmである。また、光ファイババンドル261は、その一端が、外径125μmの7本のシングルモードの光ファイバを束ねた状態になっており、他の一端は、これらの光ファイバの束が一体になって縮径し、図9に示すマルチコア光ファイバ9と同様に各コア部が正六角形の頂点及び中心に配置され、その離隔距離が80μmとされた構造になっている(例えば特許文献1参照)。
【0065】
この光コネクタ260においても、拡径部においてコア部のピッチが徐々に拡大しているマルチコア光ファイバ1を、光ファイババンドル261に接続している。その結果、たとえば図10の光伝送路230と光ファイババンドル261とを直接接続する場合よりも、光ファイババンドル261におけるコア部の離隔距離が広くてもよくなるので、光ファイババンドル261として製造が容易なものを用いることができるとともに、接続も容易となる。
【0066】
(実施の形態5)
つぎに、本発明の実施の形態5に係る光コネクタについて説明する。図13は、実施の形態5に係る光コネクタの模式図である。図14は、図13に示す光コネクタのA−A線断面図である。図13に示すように、この光コネクタ270は、実施の形態1に係るマルチコア光ファイバ1と、光ファイババンドル271と、束状の接続用光ファイバ272と、不図示の光ファイバコードおよびフェルールとが順次接続して構成されたものであり、たとえば図10、11に示す光コネクタ240に置き換えて使用することができるものである。
【0067】
また、図14は、図13に示す光コネクタのA−A線断面図である。図14に示すように、この光ファイババンドル271は、V溝治具271aと、押さえ板271bと、外径80μmの7本の光ファイバ271cと、光ファイバ271cと同様に外径80μmであるがコア部の無い3本のダミーファイバ271dとからなる。光ファイバ271cは正六角形の頂点及び中心に配置された状態でV溝治具271aに収容され、ダミーファイバ271dは隙間を埋めるようにV溝治具271aに収容されており、押さえ板271bにより抑えられて保持されている。なお、ダミーファイバ271dはV溝治具271aと略同じ長さであるが、光ファイバ271cはV溝治具271aから突出しており、一端はマルチコア光ファイバ1に接続し、他の一端は接続用光ファイバ272に接続している。
【0068】
この光コネクタ260においても、拡径部においてコア部のピッチが徐々に拡大しているマルチコア光ファイバ1を、光ファイババンドル271に接続している。その結果、たとえば図10の光伝送路230と光ファイババンドル271とを直接接続する場合よりも、光ファイバ271cとして、より取り扱いやすい外径の大きいものを用いることができるとともに、接続も容易となる。
【0069】
なお、上記実施の形態では、マルチコア光ファイバは、各コア部間の離隔距離はいずれも等しいものであるが、等しくなくてもよい。また、マルチコア光ファイバにおける各コア部の配列についても、三角格子状に限られず、たとえば直線状、正方格子状等でもよい。また、マルチコア光ファイバのコア部の数についても特に限定されない。
【0070】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上記各実施形態の各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1、7、9 マルチコア光ファイバ
1a、7a、7c 等径部
1b 拡径部
1c 端面
2 VCSELアレイ
2a 基板
2b VCSEL素子
3、4 レンズ
5 マルチコア光ファイバ母材
5a メニスカス部
6 支持棒
7b 径変化部
11、111a〜117a、111b〜117b、911〜917 コア部
12a、12b クラッド部
13a、13b 空孔
92 クラッド部
100 製造装置
101 昇降機構
102 線引加熱炉
102a ヒータ
103 外径測定器
104 冷却塔
105 樹脂
106 ダイス
107 ランプ照射室
108 キャプスタンローラ
109 ガイドロール
200 光通信システム
210 光送信装置
220、240、260、270 光コネクタ
230 光伝送路
241、243 保持部材
242a 光導波路部
243a 光ファイバアレイ
244 光ファイバコード
245 フェルール
250 光受信装置
261、271 光ファイババンドル
262、272 接続用光ファイバ
271a V溝治具
271b 押さえ板
271d ダミーファイバ
271c 光ファイバ
C 制御器
d1、d2 直径
D1〜D4 離隔距離
L1、L2 三角格子
P1、P2 位置
SL1 信号光
Λ1、Λ2 格子定数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に垂直な断面において互いに離隔して配置された複数のコア部と、前記各コア部の外周に位置するクラッド部とを備えたマルチコア光ファイバであって、
等径部と、前記等径部に連接し、前記長手方向の少なくとも一方の端面に向かって拡径した拡径部とを有し、前記拡径部において、前記各コア部間の離隔距離が、前記等径部における当該離隔距離よりも拡大していることを特徴とするマルチコア光ファイバ。
【請求項2】
前記各コア部は、互いに離隔して配置された複数の接続対象のそれぞれに光学的に結合されるものであり、前記各コア部間の離隔距離が、前記各接続対象間の離隔距離に近づくように拡大していることを特徴とする請求項1に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項3】
前記接続対象が発光体または光ファイバであることを特徴とする請求項2に記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項4】
前記端面における前記各コア部間の離隔距離が、前記等径部における当該離隔距離よりも1.2〜5倍拡大していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のマルチコア光ファイバ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のマルチコア光ファイバを備えたことを特徴とする光コネクタ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のマルチコア光ファイバを製造する方法であって、
マルチコア光ファイバ母材の一端を加熱溶融し、該一端からマルチコア光ファイバを線引きする際に、前記等径部と拡径部とを形成するように前記マルチコア光ファイバ母材の送り速度および/または前記マルチコア光ファイバの線引き速度を変化させる工程と、
前記線引きしたマルチコア光ファイバを所定の位置で切断する工程と、
を含むことを特徴とするマルチコア光ファイバの製造方法。
【請求項7】
前記マルチコア光ファイバ母材の送り速度を0.01mm/min〜10mm/minの範囲で変化させることを特徴とする請求項5に記載のマルチコア光ファイバの製造方法。
【請求項8】
前記マルチコア光ファイバの線引き速度を0.1m/min〜10m/minの範囲で変化させることを特徴とする請求項5に記載のマルチコア光ファイバの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のマルチコア光ファイバを製造する方法であって、
マルチコア光ファイバ母材の一端を加熱溶融し、該一端からマルチコア光ファイバを線引きする線引き工程と、
前記線引き工程の中断または終了後に、前記マルチコア光ファイバ母材の一端に形成されたメニスカス部を所定の位置で切断する切断工程と、
を含むことを特徴とするマルチコア光ファイバの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−145562(P2011−145562A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7480(P2010−7480)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】