説明

マルチシート簡易敷設装置

【課題】土中への埋め込み前に畝の溝きりやシート両裾の踏圧等は過大な労力を必要とし、機体の複雑化やコストアップとなっていた為、この前工程をすることなくシート両裾を埋め込む方法を提供する。
【解決手段】通常、圃場を使用する場合、事前に耕転作業が行われるため畝の土壌は柔らかい状態である。このため溝きり等をせずに薄板を円盤状にしたディスクを用いることによりマルチシートSの両裾を直接押し込む。同時にマルチシートS両裾に対しディスク4aより内側に備えられ、ディスク4aと連結連動してマルチシートS上を転動するホイール4bにより、マルチシートS両裾の過度な埋め込みと皺や損傷を防止すると共にロール状からの引き出しを容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝にマルチシートを敷設する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野菜の栽培等において、土温の保持や土壌消毒の効果を高める為、更には雑草の成育を阻止する為に畝に所謂マルチシートと称されるプラスチックフィルム製のシートを被せている。
【0003】
前記敷設装置はロール状のシートからシートを繰り出しながらシート両裾部分を畝の土中に埋め込む。このため事前に溝きり培土や溝きりディスク等であらかじめ畝に溝を形成する。
【0004】
形成された溝内でシート両裾部分を押さえる踏圧ローラと、シート両裾部分に土壌を被せる土掛ディスクとを一定の機体に備えたもので、この機体を人力牽引やトラクター等による機械牽引をしてマルチシートで畝を覆い乍踏圧ローラでシート両裾を押さえ、押さえた状態で機体進行によって土掛ディスクで溝内のシート両裾上に土を被せていくもの(特許文献1,2)等があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−248071号公報。
【特許文献2】特許2919242号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例によるマルチシート敷設装置は前工程として溝きりを必要とするが、この作業は過度な労力を必要とする。更に、溝内のマルチシート両裾を押さえる為、踏圧ローラを必要とするなど機体の構造が大きくなり、取り回しの悪さとコストアップの要因となっていた。
そこで本発明は前記問題点を鑑みて安価で省力化を伴う簡易マルチシート敷設装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるマルチシート敷設装置は、ロール状から引き出されたマルチシートの両裾部分を、あらかじめ溝きりすることなく埋め込む為に金属の薄板を円盤状にした埋め込みディスクを用い、更にマルチシート両裾に対し埋め込みディスクの内側に位置し、埋め込みディスクと密接固定されたホイールがシート上を転動することによって過度な埋め込み等を防止し、埋め込みディスクにより畝の土中に押し込まれたシートの両裾部分に土壌を被せるスクレパーを備えることを特徴とするマルチシート敷設装置である。
被土、盛土に関しては、従来例のような土掛けディスクでも良い。
【発明の効果】
【0008】
マルチシート両裾部分を畝の土中に埋め込む際、前工程の溝きりや踏圧は行わず直接薄板円盤状の埋め込みディスクとホイールとの連結回転体のみで行う為、構造がシンプルであり安価で済む。
【0009】
前記のようにマルチシート両裾部分の土中への埋め込みは薄板円盤状の埋め込みディスクとホイールを組み合わせた連結回転体で行う為、過度な労力を必要とせず人力でも十分対応可能である。
【0010】
機体の構造がシンプルな上、占有面積を必要としない為、取り回しが良く他の農作業機械との連結連動が容易である。
【0011】
マルチシート敷設以外に保温用ビニールシートなどの敷設作業にも対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本マルチシート敷設装置の平面図である。
【図2】本マルチシート敷設装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態1を図面に基付いて説明する。
図1は本マルチシート敷設装置1の平面図である。本敷設装置1は、フレーム2とその進行方向前方の左右両端には前輪3を、後方左右両端には埋め込みディスク4aとホイール4bとの連結回転体4を備え概四輪車の機体を成し、人力によって畝R上を走行しながらマルチシートSの両裾を埋め込み敷設していくものである。
【0014】
マルチシートSのロール状体は、フレーム2の前方前輪3の付近に備えられたロールシート装着部5にマルチシートSが引き出されやすいように装着される。(従来技術)また、埋め込みディスク4aにより畝Rの土中に埋め込まれたマルチシートSの両裾に被土及び盛土するため、フレーム2の後方(連結回転体4の後方)に土掛けスクレパー6を備える。
【0015】
連結回転体4は、図1にあるように薄板(鋼板、板厚1,6)を円盤状にした埋め込みディスク4aとホイール4b(本発明では前輪と同様の運搬用一輪車用のタイヤ)に同軸となるよう取り付け、フレーム2の後方左右両端に対称に回転軸7により軸支される。
【0016】
軸支位置は調整可能な構造であり、敷設されるマルチシートSの幅に対し両裾の外側端から畝Rの土中に埋め込む量を考慮して固定される。埋め込みディスク4aと共に連結回転体4を構成するホイール4bは埋め込みディスク4aよりマルチシートS両裾より内側に位置する為、常にマルチシートS上を転動することになる。
連結回転体4を軸支する回転軸7は、フレーム2cの後方に備えられた軸受8に支持される。
【0017】
土掛スクレパー6は図1にあるようにフレーム2cの後方軸受8に隣設され、マルチシートSの両裾が埋め込みディスク4aによって畝Rの土中に埋め込まれた直後に被土及び盛土する。被土、盛土に関しては、従来技術の土掛ディスクを用いても良い。
【0018】
次に使用方法として、作業開始時は本敷設装置1を畝R上に移動しロール状マルチシートSの一端を引き出し、本敷設装置1の後部を持ち上げ、マルチシートSの両裾が均等に埋め込まれるように埋め込みディスク4aの下方を通過させセットする。
【0019】
本敷設装置1の後部を畝R上に戻すことにより、装置の自重で埋め込みディスク4aがマルチシートSの両裾部分を畝Rの土中に埋め込む為、その後はフレーム2aに立設したフレーム2dの上端に設けられたハンドル9を把持し前進することにより、順次ロール状からマルチシートSが引っ張り出され埋め込みディスク4aにより畝Rの土中にマルチシートSの両裾が埋め込まれていく。
【0020】
この時、連結回転体4を構成するホイール4bがマルチシートS上を転動することによってマルチシートSの両裾が過度に埋め込まれるのを防止し、マルチシートSの損傷を防ぎ、皺等を減少させると共にロール状からマルチシートSが引っ張られ易くする。
【0021】
埋め込みディスク4aによってマルチシートSの両裾が土中に押し込まれた後、埋め込みを確実にするために土掛スクレパー6もしくは土掛ディスクによって被土及び盛土を行う。(従来技術)
【符号の説明】
【0022】
1 機体
2 フレーム
3 前輪
4 連結回転体
4a 埋め込みディスク
4b ホイール
5 ロールシート装着部
6 土掛スクレパー
7 回転軸
8 軸受
9 ハンドル
R 畝
S マルチシート
M 被土、盛土部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチシートやビニールシートの敷設作業においてシートの両裾を土中に埋め込む際、前工程の溝きりやシートの踏圧を省略するべく薄板円盤状の埋め込み用ディスクを用いることにより直接シートの両裾を埋め込むことを特徴とする方法及び機器。
【請求項2】
シート敷設作業が確実に行われるべく請求項1記載の埋め込み用ディスクに密接してシート両裾に対し内側に位置し、埋め込み用ディスクと連結連動してシート上面を転動するホイールを用いることを特徴とする方法及び機器。
【請求項3】
本敷設装置を他の農業機械(土壌消毒機、野菜移植機等)と連結連動し用いる方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−90613(P2012−90613A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252290(P2010−252290)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(304003055)
【Fターム(参考)】