説明

マルチゾーンフィルム

本発明は、ニコチンを含み、この有効な頬側(=口腔粘膜)吸収を可能にする、少なくとも2つの別個のゾーンを有する単一層口腔内崩壊フィルムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、禁煙療法におけるニコチン投与のための新規な経口剤形に関する。さらに具体的には、ニコチンを含み、患者の口中において典型的には1から10分以内、好ましくは2から6分以内に完全に崩壊する口腔内崩壊フィルムに関する。さらに、前記口腔内崩壊フィルムは、異なる少なくとも2つのフィルム組成物から構成されており、これらの異なる少なくとも2つのフィルム組成物によって、フィルムの少なくとも2つの別個のゾーンが形成され、これらのゾーンは一緒に存在して、単一ユニットを構成する。
【0002】
典型的には、単一層フィルムが目標とされている。しかし、本発明に従って形成された少なくとも1層を含む2層または多層フィルムも想像することができる。
【背景技術】
【0003】
ニコチンを含み、禁煙療法において使用される周知の経口剤形は、例えばチューインガムおよびロゼンジである。典型的には、そこでは、ニコチンが頬粘膜を経由して吸収されるよう意図されている。しかし、チューインガムおよびロゼンジは、通常はニコチンをかなりゆっくりと放出する剤形であることがわかり、したがって急速な経粘膜吸収を促進するのに理想的でない。
【0004】
本文献内では、「頬粘膜」という用語は、「口腔粘膜」の同義語として使用され、口腔全体の粘膜に及ぶよう意図されている。
【0005】
早期に高い吸収ピークをもつニコチン剤形が、タバコの喫煙を最もよく模倣し、克服できない毒性問題を生じず、したがって禁煙療法において、特にタバコ欲求を低減するのに好ましい場合が多いことが明らかになった。したがって、本発明の目的の1つは、ニコチンの頬側(=口腔粘膜)吸収速度が大きく、したがって急速で高い血漿中ニコチンピークをもたらすニコチン経口剤形を提供することであった。
【0006】
医薬活性物質を含む口腔内崩壊フィルムは、比較的新しい経口剤形を表し、最近最初の市場に到達したばかりである。これらの多くは、口中に入れられると直ちに溶解し、その結果活性物質は容易に嚥下され、「正常な」胃腸吸収が行われる。
【0007】
本発明者らは、こうしたニコチン含有フィルムで実験したとき、遊離塩基の形のニコチンは反応性および揮発性が高すぎて、製造プロセス中および貯蔵中、フィルム内に残存できないことを見出した。したがって、塩の形または「結合している」形のニコチンを好ましくは製薬上許容されるニコチン塩として使用しなければならないことがわかった。結合ニコチンは、例えば製薬上許容されるニコチン複合体および樹脂、例えばニコチンポラクリレックスを意味する。
【0008】
しかし、ニコチン塩または結合ニコチンを含有するフィルムを試験すると、十分な経粘膜吸収、すなわち頬側吸収は得られないことがわかった。おそらく、これは、ニコチン塩を含有する経口製剤剤形では典型的に、この頬側吸収を最適化するためにアルカリ性物質(「pH制御因子」または「緩衝液」とも呼ばれることが多い)の存在を必要とすることによって説明し得る。(経粘膜吸収をほとんどまたは全く示さない)ニコチン塩からよく頬側吸収されるニコチン遊離塩基への変換を最適化するには、頬側pHは8以上に増大すべきであると評価された。
【0009】
pH効果のほかに、本発明者らは、速崩壊フィルム(例えば、30秒未満で崩壊するフィルム)が、ニコチンの経粘膜吸収を確実にするのにあまり適していないようであることを見出した。むしろ、ニコチンは、フィルムの崩壊後に大部分が唾液で嚥下された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、頬粘膜との接触時間を増加させ、ニコチンを徐々に放出し、したがってニコチンの頬側吸収を最適化する徐崩壊性フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明による口腔内崩壊性ニコチンフィルムは、患者の口中に入れた後典型的には1から10分以内、好ましくは2から6分以内に崩壊する。
【0012】
頬粘膜との接触時間を増加するという目的を達成するために、フィルムは、典型的には粘膜付着性(「生体接着性」とも呼ばれる)でなければならない、すなわち口腔粘膜によく付着し、ニコチンフィルム組成物が直ちに嚥下されるのを防止しなければならないことが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、ナイフオーバーロールコーティング装置(210)の頂面図を示す。
【図2(A)】図2(A)は、デュアルスロットダイ装置310の側面概略図を示す。
【図2(B)】図2(B)は、デュアルスロットダイ340の正面図を示す。
【図3】図3は、同じ幅を有する8つのストライプを含むフィルムシートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、ニコチンフィルムは、舌の上に置くことで経口的に摂取されるが、典型的にはあまりよく付着しない。このフィルムは、唾液と接触して、数秒以内にそれぞれ生体接着性ゲルまたは含水ポリマー層を形成し、典型的には舌によって持ち上げられて、口腔の上部(硬口蓋)の粘膜に付着する。本発明の別の実施形態において、ニコチンフィルムを、例えば指先で付けることで片方の頬の内側に配置することができる。別の可能性があるとすれば、ニコチンフィルムを舌の下に配置することである(舌下投与)。原理的には、フィルムを唾液で湿らせ、それぞれ生体接着性ゲルまたは含水ポリマー層が形成されると、どの口腔組織にでもフィルムを付着させることができる。
【0015】
さらに、前述のように、口腔内フィルム製品の崩壊/投与時間全体にわたって口腔のpHを増大させるように、このフィルム中にアルカリ性物質を含有させることが求められた。
【0016】
しかし、同じ相の中でニコチン塩とアルカリ性物質を組み合わせる試みは、主に安定性の理由により成果があがらなかった。その他の点では安定なニコチン塩を単一層フィルム系中で使用すると、ニコチン塩は、揮発性で不安定なニコチン遊離塩基にかなり急速に変換することが明らかになった。
【0017】
したがって、ニコチン活性物質およびアルカリ性物質は、摂取後に本発明の口腔内崩壊性ニコチンフィルムが崩壊し、口腔中に両成分を次第に放出しているときにだけ混合するように、フィルム内において物理的に分離されている必要がある。本発明の目的は、単一層フィルム生成物において両成分を物理的に分離することである。これは、別個のゾーンを有する単一層フィルムを提供することによって行われた。これらのゾーンには、ニコチン活性物質が含まれたものもあれば、アルカリ性物質が含まれたものもある。前記単一層の2ゾーンまたはマルチゾーンフィルムを工業規模で製造する方法を下記に示す。
【0018】
少なくとも1つの領域が他の少なくとも1つの領域と異なる組成物を有する別個の領域を有する可食性フィルムが、US 2004/0120991から知られている。しかし、直ちに崩壊する可食性フィルムだけに焦点がおかれている。これとは対照的に、本発明は、1から10分以内で徐々に崩壊し、典型的にはニコチンの効率的で速い頬側吸収に最適な特性を生成物に与える異なる2つの特定組成物から構成される2ゾーンまたはマルチゾーンフィルム製剤を提供する。
【0019】
「ニコチンの効率的で速い頬側吸収」は、典型的には患者の血漿中におけるtmax値(=「最高血漿中濃度到達時間」)が30分以下または15分以下、好ましくは4から30分、または4からおよび15分、とりわけ10から30分、さらにとりわけ15から30分、特に15から25分を達成することを意味する。
【0020】
特許US 2004/0120991に記載されている組成物とは異なり、本発明には、唾液と接触したとき数秒以内で、それ自体がそれぞれ生体接着性ゲルまたは含水ポリマー層に変換し、(例えば、頬またはより好ましくは硬口蓋の)頬粘膜に付着するフィルム製剤が記載されている。それぞれ前記生体接着性ゲルまたは含水ポリマー層は両ゾーンを含み、徐々(1から10分以内)に崩壊し、これによってニコチン塩とアルカリ性物質の両方が次第に放出される。そうすることにより、溶解したアルカリ性物質の存在によるpH増大の結果として、ニコチン塩が原位置(すなわち、口腔内)でニコチン遊離塩基に変換することが可能となる。
【0021】
したがって、本発明は、少なくとも2つの別個のゾーンを有し、
少なくとも1つのゾーン(a)は、ニコチン活性物質を含む第1の組成物からなり、
少なくとも1つのゾーン(b)は、アルカリ性物質を含む第2の組成物からなり、
ゾーン(a’)および(b’)の群から選択された1つまたは複数のさらに別個のゾーンを場合によって含み、ゾーン(a’)および(b’)は、それぞれ対応するゾーン(a)および(b)と本質的に同じ組成物を有することを特徴とする、単一層の口腔内崩壊フィルムに関する。
【0022】
好ましくは、前記フィルムは、唾液で湿らせると頬粘膜に付着する。
【0023】
製薬上許容されるニコチン塩は、例えばニコチン酒石酸水素塩二水和物などのニコチン酒石酸水素塩、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩またはニコチン硫酸塩である。
【0024】
アルカリ性物質として、頬側pHを増大することができる任意の製薬上許容される賦形剤、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはこれらの任意の混合物;好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはこれらの任意の混合物が考慮される。
【0025】
(1枚のフィルム中に存在する)ニコチン活性物質の量およびアルカリ性物質の量は、ニコチン活性物質ゾーン(a)、(a’)およびアルカリ性物質ゾーン(b)、(b’)のために使用される組成物はもちろんのこと最終フィルム切片のサイズによっても調整することができる。これらの選択肢を用いて、所望の放出プロファイル、典型的にはニコチンの効率的で速い頬側吸収を確実にするプロファイルをもつ2ゾーンまたはマルチゾーンのニコチンフィルムを得ることが可能である。2ゾーンまたはマルチゾーンのニコチンフィルム中に存在する実際の量は、特に使用されるニコチン活性物質およびアルカリ性物質の種類ならびに存在するフィルム形成ポリマーおよび他の賦形剤の種類に応じて大いに変わり得る。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態において、2ゾーンまたはマルチゾーンのニコチンフィルムは、12から30ミリメートルの幅および20から50ミリメートルの長さを有し、ニコチン基剤相当量1から3mg、特に1から2mg、ならびに8から25mg、特に9から20mgの炭酸ナトリウムを含む。
【0027】
ゾーン(a)および(a’)には、典型的には少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマー、例えばセルロース、セルロースエーテル誘導体、合成または天然ゴム、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール;アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸ポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリアクリルアミド、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、例えばポリエチレングリコール−ポリビニルアルコールコポリマー、加工デンプン、アミロース、高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、ダイズタンパク質単離物、ホエータンパク質単離物またはカゼインが含まれる。
【0028】
上記の水溶性フィルム形成ポリマーの定義の範囲内に、例えばこれらの詳細な化学構造または適用されるpH値に応じて水溶性または非水溶性とすることができるいくつかのポリマー群が挙げられることに留意されたい。上記のリストから、対応する水溶性または非水溶性のフィルム形成ポリマーを適切に選択することは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0029】
非水溶性フィルム形成ポリマーは、例えばエチルセルロースおよびある種のメタクリル酸コポリマー、とりわけメタクリル酸およびアクリル酸のエステル、特にアルキルエステル、アミノアルキルエステルおよびアンモニオアルキルエステル、例えばEudragit(登録商標)シリーズ[例えばEvonik Roehm GmbH(Darmstadt, Germany)から供給]、とりわけEudragit(登録商標)L、S、FS、E、RLもしくはRSポリマー(酸性基またはアルカリ性基を含む)または特にEudragit(登録商標)NEポリマー(中性基、例えばメチルエステル基またはn−ブチルエステル基を含む)から誘導されたコポリマーである。非水溶性フィルム形成ポリマーの選択には、エチルセルロースおよびEudragit(登録商標)NE30DまたはEudragit(登録商標)NE40Dなどのエチルアクリラートメチルメタクリラートコポリマーがことさらに強調される。
【0030】
本発明の一実施形態において、ゾーン(a)および(a’)には、上記のリストから選択された異なる少なくとも2つの水溶性フィルム形成ポリマーが含まれる。
【0031】
好適な水溶性セルロースエーテル誘導体としては、アルキルセルロース、例えばメチルセルロース、置換アルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース、および置換アルキルセルロースの塩、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびこれらの混合物が挙げられる。好ましいのは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(=HPMC)である。
【0032】
好適な合成または天然ゴムとしては、キサンタンゴム、トラガカントゴム、グアーゴム、アカシアゴム、アラビアゴム、アルギン酸、アルギン酸の塩、例えばアルギン酸ナトリウム、ダンマルゴム、ジェランガム、グコマンナンゴム、カラゲナンゴム、ガティゴム、カラヤゴム、イナゴマメガム、タラゴムおよびこれらの混合物が挙げられる。好ましいのは、キサンタンゴムである。
【0033】
ポリアルキレンオキシドには、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドまたはこれらのコポリマー、特にポリエチレンオキシドがある。
【0034】
(1つまたは複数の)水溶性フィルム形成ポリマーの全量は、ゾーン(a)および(a’)の乾燥フィルム組成物に対して例えば30−95%、好ましくは40−90%、特に45−90%である。
【0035】
本発明の一実施形態において、ゾーン(a)および(a’)には、セルロースエーテル誘導体からなる群から選択された少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマー、ならびに合成または天然ゴムおよびポリアルキレンオキシドからなる群から選択された少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーが含まれる。前記の場合、ゾーン(a)および(a’)におけるセルロースエーテル誘導体と合成または天然ゴム/ポリエチレンオキシドとの重量比は、典型的には15:1から2:1、好ましくは6:1から2:1である。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、ゾーン(a)および(a’)には、少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーと少なくとも1つの非水溶性フィルム形成ポリマー、例えばエチルセルロースまたはメタクリル酸およびアクリル酸のアルキルエステル、アミノアルキルエステルもしくはアンモニオアルキルエステルから誘導されたコポリマーとの組合せが含まれる。
【0037】
特定の理論に拘泥するものではないが、非水溶性フィルム形成ポリマーの存在は、口中において口腔内崩壊フィルムが所望の方式、すなわち典型的には1から10分以内で崩壊するのを遅延させる助けとなることが想定される。同じ機能は、例えばすでに上述した合成または天然ゴムおよびポリアルキレンオキシドのようないくつかの水溶性フィルム形成ポリマー、特に膨潤性のものによって果たすことができる。
【0038】
本発明のさらにより好ましい実施形態において、ゾーン(a)および(a’)には、ポリビニルピロリドンと非水溶性セルロースエーテル誘導体、例えばエチルセルロースとの組合せが含まれる。特に好ましいのは、ポリビニルピロリドン、非水溶性セルロースエーテル誘導体、例えばエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースの組合せであり、場合によってポリアルキレンオキシドを一緒に含む。
【0039】
本発明の別の好ましい実施形態において、ゾーン(a)および(a’)には、ポリビニルピロリドンとエチルアクリラートメチルメタクリラートコポリマー、例えばEudragit(登録商標)NE30Dとの組合せが含まれる。Eudragit(登録商標)NE30Dは、例えばEvonik Roehm GmbH(Darmstadt, Germany)から供給された30%ポリ(エチルアクリラート−メチルメタクリラート)水性懸濁液である。特に好ましいのは、ポリビニルピロリドン、エチルアクリラートメチルメタクリラートコポリマーおよび非水溶性セルロースエーテル誘導体、例えばエチルセルロースの組合せである。
【0040】
一般に、フィルムシート製造時のレオロジー問題、特に界面における不鮮明なゾーンを回避するために、ゾーン(a)、(a’)の組成物と可能な限り同様のゾーン(b)、(b’)の組成物を形成することが好ましい(例えば、実施例3を参照のこと。)。この文脈で「可能な限り同様」は、とりわけ同様の固形分、特に同じフィルム形成ポリマーミックスを意味する。さらに、例えば両方の組成物の乾燥の動力学が同様であることを意味し、これは、例えば使用する溶媒を適切に選択することによって実現することができる。
【0041】
したがって、ゾーン(b)および(b’)には、典型的には、ゾーン(a)および(a’)について前述したものと同じ水溶性フィルム形成ポリマーのリストから選択される少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーが含まれる。
【0042】
好適な非水溶性フィルム形成ポリマーとしては、ゾーン(a)および(a’)について前述したものと同じ材料が挙げられる。
【0043】
好適なセルロースエーテル誘導体および合成または天然ゴムとしては、ゾーン(a)および(a’)について前述したものと同じ材料が挙げられる。
【0044】
本発明の一実施形態において、ゾーン(b)および(b’)には、セルロース、セルロースエーテル誘導体、ポリアルキレングリコールコポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマー、ならびに合成または天然ゴムからなる群から選択される少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーが含まれる。
【0045】
例えば、ゾーン(b)および(b’)には、セルロースエーテル誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマー、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース、および合成または天然ゴムからなる群から選択される少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーの組合せが含まれ得る。
【0046】
前記実施形態において、合成または天然ゴムは、好ましくはゾーン(b)および(b’)の全組成物の0.1から20重量%、特に0.3から5重量%の量で存在する。
【0047】
本発明の別の実施形態において、ゾーン(b)および(b’)は、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプンおよびこれらの任意の混合物からなる群から選択されるポリマー、特にクロスカルメロースナトリウムをさらに含む。前記の場合、ゾーン(a)および(a’)も、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプンおよびこれらの任意の混合物からなる群から選択されるポリマー、特にクロスカルメロースナトリウムを場合によってさらに含むことがある。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、ゾーン(b)および(b’)には、少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーと少なくとも1つの非水溶性フィルム形成ポリマー、例えばエチルセルロースまたはメタクリル酸およびアクリル酸のアルキルエステル、アミノアルキルエステルもしくはアンモニオアルキルエステルから誘導されたコポリマーとの組合せが含まれる。
【0049】
本発明のさらにより好ましい実施形態において、ゾーン(b)および(b’)には、ポリビニルピロリドンと非水溶性セルロースエーテル誘導体、例えばエチルセルロースとの組合せが含まれる。特に好ましいのは、ポリビニルピロリドン、非水溶性セルロースエーテル誘導体、例えばエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースの組合せであり、場合によってポリアルキレンオキシドを一緒に含む。
【0050】
本発明の別の好ましい実施形態において、ゾーン(b)および(b’)には、ポリビニルピロリドンとエチルアクリラートメチルメタクリラートコポリマー、例えばEudragit(登録商標)NE30Dとの組合せが含まれる。特に好ましいのは、ポリビニルピロリドン、エチルアクリラートメチルメタクリラートコポリマーおよびエチルセルロースの組合せである。
【0051】
本発明の別の好ましい実施形態において、アルカリ性物質、例えば炭酸ナトリウムは、ゾーン(b)、(b’)の組成物中に溶液としてではなく懸濁液として維持される。この好ましい効果は、(1)アルカリ性物質と存在するフィルム形成ポリマーとの相互作用が最小限に抑制されること、(2)不均質なアルカリ内容物をもたらす可能性があるアルカリ性物質の再結晶が乾燥時に起こらないことである。アルカリ性物質を懸濁液として維持することは、アルカリ性物質が溶けないまたは不十分にしか溶けない溶媒組成物、例えば低級アルコール(例えば、イソプロパノールまたはエタノール)および水の混合物(含水率20重量%未満)または低級アルコール単独を使用することで実現される。
【0052】
前記低級アルコール(例えば、イソプロパノールまたはエタノール)および水の混合物(含水率 20重量%未満)または低級アルコール単独をゾーン(b)、(b’)の組成物用の溶媒として使用する場合、後者は、好ましくはポリビニルピロリドンを、組成物の全乾燥質量の特に20重量%以上(例えば、20−40%)の量で含む。
【0053】
ゾーン(a)、(a’)の組成物はもちろんのことゾーン(b)、(b’)の組成物にも存在し得る他の成分としては、例えば可塑剤である。可塑剤として、例えば多価アルコール、例えばグリセロール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールまたはプロピレングリコール;n−オクタン酸またはオレイン酸などの脂肪酸とのグリセロールモノエステル;ソルビトール、ポリソルベート80[=ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート]、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチルまたはセバシン酸ジブチルが考慮される。
【0054】
可塑剤として好ましいのは、グリセロール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリエチルまたはこれらの任意の混合物、特にグリセロールである。
【0055】
可塑剤は、典型的には最終可食性フィルム(乾燥質量)の0.1から15重量%、好ましくは1から8重量%、さらにより好ましくは1.5から7重量%に及ぶ量で存在する。本発明の特定の実施形態において、可塑剤(B)はグリセロールであり、フィルム(乾燥質量)の1から12重量%、好ましくは1から7重量%、より好ましくは1.5から6重量%に及ぶ量で存在する。
【0056】
さらに、ゾーン(a)、(a’)の組成物はもちろんのことゾーン(b)、(b’)の組成物にも、場合によって例えば矯味剤、甘味剤、抗酸化剤、安定化剤、着色剤、溶解補助剤および保存剤など当技術分野で周知である普通の補助剤が含まれる。
【0057】
一般に、本発明の2ゾーンまたはマルチゾーンフィルムの複数ゾーンへの細分化がユーザーに見えないことが好ましい。これは、例えば着色剤を使用しないことまたはフィルムのゾーンのすべてに対して同じ着色剤を使用することによって実施し得る。
【0058】
しかし、着色剤は、例えば生成物に魅力を付加し、2ストライプまたはマルチストライプのフィルムシートを製造する助けとなるのに有用となり得る(下記を参照のこと)。したがって、本発明の別の実施形態において、ゾーン(b)および場合によってゾーン(b’)の色がゾーン(a)および場合によってゾーン(a’)の色と異なり、
ゾーン(a)および場合によってゾーン(a’)の色が同じであり、ゾーン(b)および場合によってゾーン(b’)の色が同じであるフィルムが得られるように、着色剤を第1もしくは第2の組成物に添加し、または異なる着色剤を両方の組成物に添加する。
【0059】
着色剤の例としては、食品、医薬品および化粧品の用途に適した天然食用着色料および染料、例えばFD&C(「Food, Drug & Cosmetics」、USA)染料およびレーキとして知られている着色剤が挙げられる。好ましいのは、水溶性着色剤、例えばFD&CブルーNo.1(=E133)、FD&CブルーNo.2、FD&CグリーンNo.3、ファストグリーンFCF、クロロフィリス(=E140)、グリーンS(=E142)、キノリンイエロー(=E104)、サンセットイエローFCF(=E110)である。顔料、例えば二酸化チタンも、着色剤として考慮される。
【0060】
ストライプ付きのフィルムシートを調製する方法
例えば、少なくとも1つの水溶性ポリマーおよびニコチン塩を混合することによって、(ゾーンaおよびa’を形成するよう意図されている)フィルム形成混合物を調製する。次に、例えば少なくとも1つの水溶性ポリマーおよびアルカリ性物質を混合して、第2の均質混合物(ゾーンbおよびb’を形成するよう意図されている)を生成する。次に、2つのフィルム形成混合物を、それぞれ所定の幅を有するストライプ状(これらを少なくとも2ストライプ、しかし理論的には機械能力によってのみ限定される、すなわち10ストライプ以上、例えば16、32または64ストライプでも多分よい。)として、同時に所望の厚さに流延する(ジョイントコーティング)。これらのストライプは相互に、端部で接触し、合体して1つまたは複数の整った界面となり、単一の一体型フィルムシートを形成する。
【0061】
ジョイントコーティングは、考え得る任意のコーティング技術でコーティングすることを意味する。例えば、ナイフオーバーロールメータリング、スロットダイコーティングなどで、組成物aおよびbが交互に並んでいる一群のストライプが(その幅に)生成される。
【0062】
ナイフオーバーロール技術の場合、aおよびbのフィルム形成混合物は、ナイフの前に配置された同寸コンパートメントにポンプで送り込まれる。前進するウェブが、混合物aおよびbをナイフの下に押し付け、ナイフはコーティング厚さを決定するための計量装置として機能する。生成物aおよびbの流延したストライプは、乾燥する前に整った界面で合体する。図1は、ナイフオーバーロールコーティング装置(210)の頂面図を示す。コーティングミックスA(220)およびコーティングミックスB(230)がそれぞれ領域250および領域240にポンプで送り込まれ、ナイフ(260)がロール(270)と交わるように領域240および領域250の方向に向けて引かれる。ライナー(280)がナイフ(260)の下の平面上に維持される。
【0063】
スロットダイコーティングの場合、製品当たり1個のキャビティを有するコーティングヘッドが特別に設計されている。aおよびbのフィルム形成混合物はそれぞれこれらの適切なキャビティにポンプで送り込まれる。混合物aおよびbのためのスリットが、ストライプと同じ幅の適切な断片で二者択一的に閉鎖される。ストライプは移動ウェブ上に流延される。
【0064】
図2(A)は、デュアルスロットダイ装置310の側面概略図を示す。この装置によって、ストライプ付きフィルムを回転コーティングロール350上でコーティングする。コーティングミックスA320およびコーティングミックスB330は、デュアルスロットダイ340の別々のキャビティ中に射出される。
【0065】
図2(B)は、デュアルスロットダイ340の正面図を示す。コーティングミックスAは、開いているコーティングミックスA用スロット360から出る。コーティングミックスBは、開いているコーティングミックスB用スロット370から出る。図2(B)において黒で塗りつぶされた残りのコーティングミックス用スロットは閉じられている。
【0066】
前記単一の一体型フィルムシートは、本発明の別の実施形態を表す。したがって、本発明はまた、長手方向に少なくとも1回、ニコチン活性物質を含む第1の組成物から構成される少なくとも1つのストライプおよびアルカリ性物質を含む第2の組成物から構成される別の少なくとも1つのストライプに分けられており、それぞれのストライプを構成する異なる組成物が一緒に合体している単一の一体型フィルムシートにも関する。
【0067】
典型的に、フィルムシートの流延には担体の使用が求められる。混合物は剥離可能な担体上に流延され、乾燥される。担体材料は適切な特性をもたなければならず、これによって、フィルム混合物が所期の担体の幅全体にむらなく広がることが可能になり、フィルムと担体基材との間で、浸み込みおよび破壊的結合の形成がない。好適な担体材料の例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、紙またはこれらのいずれかのシリコーン処理品が挙げられる。前記担体材料は、フィルム剥離製品、例えばシリコーン誘導体またはフルオロポリマーで場合によってコーティングすることができる。フィルムシートの乾燥は、フィルムシートを構成する材料に悪影響を及ぼさない乾燥オーブン、乾燥端末、真空乾燥器または他の何らかの好適な乾燥機器を使用して、例えば高温で実施してもよい。乾燥したフィルムシートは、バルクマスターロールに巻きつけてもよい。
【0068】
本発明の2ゾーンまたはマルチゾーンフィルムを得るために、得られたフィルムシートは断片、すなわち剤形に裁断され、これらは、本発明の送達に適した任意の形、例えば細片、長方形、正方形または円形をとることができる。裁断は、当技術分野でよく知られ、使用されているダイカッティング、スリッティング−アンド−ダイカッティング、レーザーカッティングまたは他の何らかの技法で行われる。裁断は、本発明の2ゾーンまたはマルチゾーンフィルムが得られる、すなわち各々の単位剤形に正確な量のニコチン活性物質およびアルカリ性物質が入っているように行われなければならない。これは、例えばそれぞれの単回投与単位の形をフィルムシートの隣接する少なくとも2つのストライプから裁断することによって行われる。例えば図3を参照のこと。
【0069】
図3に、同じ幅を有する8つのストライプを含むフィルムシートを示すが、4つのストライプはaから構成され、4つのストライプはbから構成される。この例において、2つのストライプの幅および所定の長さの正方形が裁断された場合、1つの剤形の正確な量のニコチン活性物質およびアルカリ性物質が得られる(「1」を参照のこと)。この設定では、正方形が、2つのストライプの幅にわたって正確に裁断されず、3つのストライプから裁断された場合も、正確な量のニコチン活性物質およびアルカリ性物質が保証される(「2」、「3」および「4」を参照のこと)。
【0070】
一般に、本発明の2ゾーンまたはマルチゾーンフィルムは、ヒト頬側口腔のサイズに適合させたサイズを有し、例えば典型的には10から40ミリメートル、好ましくは12から30ミリメートルの幅および典型的には15から60ミリメートル、好ましくは20から50ミリメートルの長さを有する長方形のフィルムを表す。2ゾーンまたはマルチゾーンフィルムは、典型的には15から300マイクロメートル、好ましくは30から150マイクロメートルに及ぶ厚さを有する。
【0071】
したがって、本発明は、
ゾーン(a)および場合によってゾーン(a’)を形成するよう意図されているすべての成分を混合して、第1の均質混合物を生成するステップ、
ゾーン(b)および場合によってゾーン(b’)を形成するよう意図されているすべての成分を混合して、第2の均質混合物を生成するステップ、
前記第1および第2の均質混合物を、異なる少なくとも2つの入口を介して、それぞれの組成物を均一な薄層に広げることができるコーティング装置に別々に供給し、別々のゾーンを界面に付与し、特徴のある少なくとも2つのストライプを有する一体型コーティング1枚を生成し、それによって長手方向に少なくとも1回、前記第1の均質混合物から構成される少なくとも1つのストライプおよび前記第2の均質混合物から構成される別の少なくとも1つのストライプに分けられているフィルムが得られ、それぞれのゾーンを構成する異なるコーティングミックスは、整った界面への流延中および単一の一体型フィルムシートの形成中に一緒に合体するステップ、
流延フィルムを乾燥するステップ、ならびに生成したフィルムを口腔内崩壊フィルムに、それぞれの口腔内崩壊フィルムが少なくとも2つの別個のゾーンを有し、そのうちの少なくとも1つは前記第1の均質混合物から構成され、他の少なくとも1つは前記第2の均質混合物から構成されるように裁断するステップを含む口腔内崩壊フィルムを調製する方法に関する。
【実施例】
【0072】
実施例1:(a)、(a’)の均質混合物が調製される(ニコチン活性物質ゾーン用)。
【0073】
実施例2:(b)、(b’)の均質混合物が調製される(アルカリ性物質ゾーン用)。
【0074】
実施例3、5、5a、7、8、9および10:実施例1の混合物と実施例2の混合物の両方をジョイントコーティングして、長手方向にいくつかのストライプ(例えば、8または16)に分けられているフィルムシートを形成する。
【0075】
実施例4、6および6a:フィルムシートを、2ゾーンまたはマルチゾーンの単一層フィルムが得られるように裁断する。
【0076】
以下の実施例1および2において、記載するすべての成分の量は、実施例4、6および6aにおいて裁断された最終フィルム1枚中に存在する量である。同様に、溶媒は、最終フィルムをちょうど1枚製造するための量が算出されている。実際には、多数の最終フィルムを生成するように混合物を調製する。したがって所与の量に、調製する実際のフィルム数を常にかける必要がある。
【0077】
実施例1a:ニコチン酒石酸水素塩二水和物を含有する流延用混合物の調製[ゾーン(a)、(a’)用]
451gの精製水をステンレス鋼ポット中に加え、混合しながら、ホットプレート上で80℃に加熱した。この水溶液に、0.03gのFD&Cブルー着色剤、23.55gのPOLYOX N80および47.14gのMETHOCEL E50を添加し、大きい混合速度で混合した。ステンレス鋼ポットをホットプレートから取り外し、水浴に移し、冷却した。混合物が冷却されると、ステンレス鋼ポットを水浴から取り出し、氷浴中に入れ、混合した。ステンレス鋼ポットを氷浴から取り出し、混合しながらメントール溶液(エタノール中10.56gのメントール)、7.54gのグリセリン、1.95gのスクラロース、49.53gのペパーミント矯味剤およびエチルアルコールを添加した。4.01gのニコチン酒石酸水素塩二水和物を20mlの精製水に添加することによって、ニコチン溶液を調製した。ニコチン酒石酸水素塩二水和物溶液をフィルム流延用混合物に添加した。
乾燥状態のゾーンの組成物:
材料 乾燥状態における%
Polyox N80(ポリエチレンオキシド) 16.32
Methocel E50(=ヒドロキシプロピルメチルセルロース、「HPMC」)
32.67
メントール 7.32
ニコチン酒石酸水素塩二水和物 2.78
グリセリン 5.22
ペパーミント矯味剤 34.32
スクラロース 1.35
FD&Cブルー 0.02
実施例1b:ニコチン酒石酸水素塩二水和物を含有する流延用混合物の調製[ゾーン(a)、(a’)用]
材料 量(mg)
Methocel E50(HPMC) 30.00
グリセロール 4.00
キサンタンゴム 3.00
ニコチン酒石酸水素塩二水和物(=1mg ニコチン基剤) 3.07
メントール 1.50
アセスルファムK 0.50
ミント矯味剤 1.00
全乾燥質量 43.07
精製水 240.00
エタノール96% 250.00
全湿潤質量 533.07
工程:ニコチン酒石酸水素塩二水和物、アセスルファムKおよびメントールを水−エタノールミックスに溶解する。次いで、グリセロールおよび液体ミント矯味剤を添加する。HPMCおよびキサンタンゴムを、強撹拌下で徐々に添加する。粘性混合物が均質化されるまで、ゆっくりと撹拌を続ける。
【0078】
実施例1c:ニコチン酒石酸水素塩二水和物を含有する流延用混合物(クロスカルメロースナトリウムを含む)の調製[ゾーン(a)、(a’)用]
材料 量(mg)
Methocel E50(HPMC) 30.00
クロスカルメロースナトリウム 6.00
グリセロール 3.00
キサンタンゴム 1.00
ニコチン酒石酸水素塩二水和物(=1mg ニコチン基剤) 3.07
メントール 1.50
アセスルファムK 0.50
ミント矯味剤 1.00
全乾燥質量 46.07
精製水 220.00
エタノール96% 140.00
全湿潤質量 406.07
工程:ニコチン酒石酸水素塩二水和物、アセスルファムKおよびメントールを水−エタノールミックスに溶解する。次いで、グリセロールおよび液体ミント矯味剤を添加する。HPMC、クロスカルメロースナトリウムおよびキサンタンゴムを、強撹拌下で徐々に添加する。粘性混合物が均質化されるまで、ゆっくりと撹拌を続ける。
【0079】
実施例1d:ニコチン酒石酸水素塩二水和物を含有する流延用混合物の調製[ゾーン(a)、(a’)用]
材料 量(mg)
ポリビニルピロリドン(PVP)、K−90 24.00
Metolose60SH50(HPMC) 9.00
エチルセルロース 18.00
グリセロール 2.10
FD&CブルーNo.1(着色剤) 0.03
微結晶セルロース 24.00
レボメントール 1.50
アセスルファムK 0.50
ミント矯味剤 0.50
ニコチン酒石酸水素塩二水和物 3.07
イソプロパノール 150.00
精製水 27.00
全湿潤質量 259.70
全乾燥質量 82.70
工程:ニコチン酒石酸水素塩二水和物、アセスルファムK、レボメントールおよびFD&CブルーNo.1を、水−イソプロパノールミックスに溶解する。次いで、グリセロール、液体ミント矯味剤および微結晶セルロースを添加する。HPMC、エチルセルロースおよびPVPを、強撹拌下で徐々に添加する。粘性混合物が均質化されるまで、ゆっくりと撹拌を続ける。
【0080】
実施例1d−2:ニコチン酒石酸水素塩二水和物の使用量が代わりに4.61mg(=1.5mg ニコチン基剤相当量)である点以外は同一の方式で、実施例1dを繰り返す。
【0081】
実施例1d−3:ニコチン酒石酸水素塩二水和物の使用量が代わりに5.53mg(=1.8mg ニコチン基剤相当量)である点以外は同一の方式で、実施例1dを繰り返す。
【0082】
実施例1d−4:ニコチン酒石酸水素塩二水和物の使用量が代わりに6.14mg(=2.0mg ニコチン基剤相当量)である点以外は同一の方式で、実施例1dを繰り返す。
【0083】
実施例1e:ニコチン酒石酸水素塩二水和物を含有する流延用混合物の調製[ゾーン(a)、(a’)用]
材料 量(mg)
PVP 24.00
Metolose60SH50(HPMC) 9.00
エチルセルロース 14.00
ポリエチレンオキシド 3.00
グリセロール 2.10
FD&CブルーNo.1(着色剤) 0.03
微結晶セルロース 19.00
二酸化チタン 1.00
レボメントール 1.50
アセスルファムK 0.50
ミント矯味剤 0.50
ニコチン酒石酸水素塩二水和物 3.07
イソプロパノール 157.50
精製水 28.35
全湿潤質量 263.55
全乾燥質量 77.70
工程:ニコチン酒石酸水素塩二水和物、アセスルファムK、レボメントールおよびFD&CブルーNo.1を、水−イソプロパノールミックスに溶解する。次いで、グリセロール、液体ミント矯味剤、二酸化チタンおよび微結晶セルロースを添加する。HPMC、エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよびPVPを、強撹拌下で徐々に添加する。粘性混合物が均質化されるまで、ゆっくりと撹拌を続ける。
【0084】
実施例1e−2:ニコチン酒石酸水素塩二水和物の使用量が代わりに4.61mg(=1.5mg ニコチン基剤相当量)である点以外は同一の方式で、実施例1eを繰り返す。
【0085】
実施例1e−3:ニコチン酒石酸水素塩二水和物の使用量が代わりに5.22mg(=1.7mg ニコチン基剤相当量)である点以外は同一の方式で、実施例1eを繰り返す。
【0086】
実施例1e−4:ニコチン酒石酸水素塩二水和物の使用量が代わりに6.14mg(=2.0mg ニコチン基剤相当量)である点以外は同一の方式で、実施例1eを繰り返す。
【0087】
実施例1f:ニコチン酒石酸水素塩二水和物を含有する流延用混合物の調製[ゾーン(a)、(a’)用]
材料 量(mg)
PVP 24.000
Eudragit(登録商標)NE30D(30%水性懸濁液) 10.000
エチルセルロース 14.000
ポリエチレングリコール400 0.800
FD&CブルーNo.1(着色剤) 0.050
微結晶セルロース 16.000
二酸化チタン 1.000
レボメントール 1.500
アセスルファムK 0.500
ミント矯味剤 0.500
ニコチン酒石酸水素塩二水和物 3.07
イソプロパノール 157.500
全湿潤質量 228.92
全乾燥質量 64.42
工程:ニコチン酒石酸水素塩二水和物、アセスルファムK、レボメントールおよびFD&CブルーNo.1を、イソプロパノールに溶解する。次いで、ポリエチレングリコール400、液体ミント矯味剤、Eudragit(登録商標)NE30D、二酸化チタンおよび微結晶セルロースを添加する。エチルセルロースおよびPVPを、強撹拌下で徐々に添加する。粘性混合物が均質化されるまで、ゆっくりと撹拌を続ける。
【0088】
実施例1f−2:ニコチン酒石酸水素塩二水和物の使用量が代わりに4.61mg(=1.5mg ニコチン基剤相当量)である点以外は同一の方式で、実施例1fを繰り返す。
【0089】
実施例1f−3:ニコチン酒石酸水素塩二水和物の使用量が代わりに5.53mg(=1.8mg ニコチン基剤相当量)である点以外は同一の方式で、実施例1fを繰り返す。
【0090】
実施例1f−4:ニコチン酒石酸水素塩二水和物の使用量が代わりに6.14mg(=2.0mg ニコチン基剤相当量)である点以外は同一の方式で、実施例1fを繰り返す。
【0091】
実施例2:炭酸ナトリウムを含有する流延用混合物(クロスカルメロースナトリウムを含む)の調製[ゾーン(b)、(b’)用]
材料 量(mg)
Methocel E50(HPMC) 30.00
クロスカルメロースナトリウム 6.00
グリセロール 3.00
キサンタンゴム 1.00
炭酸ナトリウム 8.00
メントール 1.50
アセスルファムK 0.50
ミント矯味剤 1.00
全乾燥質量 51.00
精製水 220.00
エタノール96% 140.00
全湿潤質量 411.00
工程:炭酸ナトリウム、アセスルファムKおよびメントールを、水に溶解する。次いで、グリセロールおよびエタノールを添加する(炭酸ナトリウム沈降)。HPMC、クロスカルメロースナトリウムおよびキサンタンゴムを、強撹拌下で徐々に添加する。粘性混合物が均質化されるまで、ゆっくりと撹拌を続ける。
【0092】
実施例2d:炭酸ナトリウムを含有する流延用混合物の調製[ゾーン(b)、(b’)用]
材料 量(mg)
PVP 24.00
Metolose60SH50(HPMC) 9.00
エチルセルロース 18.00
グリセロール 2.10
炭酸ナトリウム 9.00
微結晶セルロース 15.00
レボメントール 1.50
アセスルファムK 0.50
ミント矯味剤 0.50
イソプロパノール 150.00
精製水 27.00
全湿潤質量 259.67
全乾燥質量 82.67
工程:アセスルファムKおよびレボメントールを、水−イソプロパノールミックスに溶解する。次いで、グリセロール、液体ミント矯味剤、二酸化チタン、炭酸ナトリウムおよび微結晶セルロースを添加する。HMPC、エチルセルロースおよびPVPを、強撹拌下で徐々に添加する。粘性混合物が均質化されるまで、ゆっくりと撹拌を続ける。
【0093】
実施例2d−2:炭酸ナトリウムの使用量が代わりに13.5mgである点以外は同一の方式で、実施例2dを繰り返す。
【0094】
実施例2d−3:炭酸ナトリウムの使用量が代わりに15.3mgである点以外は同一の方式で、実施例2dを繰り返す。
【0095】
実施例2d−4:炭酸ナトリウムの使用量が代わりに18.0mgである点以外は同一の方式で、実施例2dを繰り返す。
【0096】
実施例2e:炭酸ナトリウムを含有する流延用混合物の調製[ゾーン(b)、(b’)用]
材料 量(mg)
PVP 24.00
Metolose60SH50(HPMC) 9.00
エチルセルロース 14.00
ポリエチレンオキシド 3.00
グリセロール 2.10
炭酸ナトリウム 9.00
微結晶セルロース 10.00
二酸化チタン 1.00
レボメントール 1.50
アセスルファムK 0.50
ミント矯味剤 0.50
イソプロパノール 157.50
精製水 28.35
全湿潤質量 260.45
全乾燥質量 74.60
工程:アセスルファムKおよびレボメントールを、水−イソプロパノールミックスに溶解する。次いで、グリセロール、液体ミント矯味剤、二酸化チタン、炭酸ナトリウムおよび微結晶セルロースを添加する。HPMC、エチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよびPVPを、強撹拌下で徐々に添加する。粘性混合物が均質化されるまで、ゆっくりと撹拌を続ける。
【0097】
実施例2e−2:炭酸ナトリウムの使用量が代わりに13.5mgである点以外は同一の方式で、実施例2eを繰り返す。
【0098】
実施例2e−3:炭酸ナトリウムの使用量が代わりに16.2mgである点以外は同一の方式で、実施例2eを繰り返す。
【0099】
実施例2e−4:炭酸ナトリウムの使用量が代わりに18.0mgである点以外は同一の方式で、実施例2eを繰り返す。
【0100】
実施例2f:炭酸ナトリウムを含有する流延用混合物の調製[ゾーン(b)、(b’)用]
材料 量(mg)
PVP 24.00
Eudragit(登録商標)NE30D(30%水性懸濁液) 10.00
エチルセルロース 14.00
ポリエチレングリコール400 0.80
炭酸ナトリウム 9.00
微結晶セルロース 10.00
二酸化チタン 1.00
レボメントール 1.50
アセスルファムK 0.50
ミント矯味剤 0.50
イソプロパノール 157.50
全湿潤質量 228.80
全乾燥質量 64.30
工程:アセスルファムKおよびレボメントールを、イソプロパノールに溶解する。次いで、ポリエチレングリコール400、液体ミント矯味剤、Eudragit(登録商標)NE30D、二酸化チタン、炭酸ナトリウムおよび微結晶セルロースを添加する。エチルセルロースおよびPVPを、強撹拌下で徐々に添加する。粘性混合物が均質化されるまで、ゆっくりと撹拌を続ける。
【0101】
実施例2f−2:炭酸ナトリウムの使用量が代わりに13.5mgである点以外は同一の方式で、実施例2fを繰り返す。
【0102】
実施例2f−3:炭酸ナトリウムの使用量が代わりに15.3mgである点以外は同一の方式で、実施例2fを繰り返す。
【0103】
実施例2f−4:炭酸ナトリウムの使用量が代わりに18.0mgである点以外は同一の方式で、実施例2fを繰り返す。
【0104】
実施例3:実施例1cおよび実施例2の両方の流延用混合物をジョイントコーティングして、長手方向に8つのストライプに分けられている単一の一体型フィルムシートを形成する。
【0105】
PETウェブライナーをスロットダイコーティング用の担体として使用して、実施例1cの流延用混合物から構成される4つのストライプおよび実施例2の流延用混合物から構成される4つのストライプを交互に並べた厚さ120マイクロメートルの乾燥フィルムシートを得る。スロットダイコーティング装置は、8つのストライプのそれぞれの幅が15mmとなるように設計されている。ジョイントコーティングは、生成物1cの乾燥コート重量15.4mg/cmおよび実施例2の生成物の乾燥コート重量17mg/cmを達成するために各生成物の流延用混合物のポンプ速度を適合させて行われる。ウェブ速度を0.3m/分に設定する。フィルムシートの乾燥は、赤外予熱および乾燥オーブン中60℃で実施される。乾燥したフィルムシートは、バルクマスターロールに巻きつけられる。
【0106】
実施例4:実施例3のフィルムシートを、3.07mgのニコチン酒石酸水素塩二水和物(=1mg ニコチン基剤相当量)および9mgの炭酸ナトリウムを含む2ゾーンまたはマルチゾーンの単一層フィルム(30mm×20mm)が得られるように裁断する。
【0107】
幅30mm(=フィルムシートの1つのストライプの幅の2倍)および長さ20mmのフィルムを、ダイカッティングで実施例3のフィルムシートから裁断する。カッティングをストライプに完全に揃えることは必ずしも必要ではない(図3のフィルム「2」、「3」および「4」を比較)。フィルムはすべて、1単位中に同じ量のニコチン活性物質およびアルカリ性物質、すなわち3.07mgのニコチン酒石酸水素塩二水和物および9mgの炭酸ナトリウムを有する。
【0108】
実施例5:実施例1dおよび実施例2dの両方の流延用混合物をジョイントコーティングして、長手方向に8つのストライプに分けられている単一の一体型フィルムシートを形成することは、本質的には実施例3で論じたように行われる:PETウェブライナーをスロットダイコーティング用の担体として使用して、実施例1cの流延用混合物から構成される4つのストライプおよび実施例2の流延用混合物から構成される4つのストライプを交互に並べた厚さ約60マイクロメートルの乾燥フィルムシートを得る。スロットダイコーティング装置は、8つのストライプのそれぞれの幅が22mmとなるように設計されている。ジョイントコーティングは、生成物1dおよび2dの両方の乾燥コート重量25.1mg/cmを達成するために各生成物の流延用混合物のポンプ速度を適合させて行われる。フィルムシートの乾燥は乾燥オーブンで実施される。乾燥したフィルムシートは、バルクマスターロールに巻きつけられる。
【0109】
実施例5a:スロットダイコーティング装置が、16ストライプ(それぞれ幅11mm)が得られるように設計されている点以外は、実施例5を繰り返す。
【0110】
実施例6:実施例5のフィルムシートを、3.07mgのニコチン酒石酸水素塩二水和物(=1mg ニコチン基剤相当量)および9mgの炭酸ナトリウムを含む2ゾーンまたはマルチゾーンの単一層フィルム(30mm×22mm)が得られるように裁断する。
【0111】
幅22mm(=フィルムシートの1つのストライプの幅)および長さ30mmのフィルムを、ダイカッティングで実施例5のフィルムシートから裁断する。この場合、正確な量のニコチンおよびアルカリ性物質の両方(3.07mgのニコチン酒石酸水素塩二水和物および9mgの炭酸ナトリウム)が、それぞれのフィルム中に存在するように、一方のゾーン(例えば、図3の「b」)の真中から他方のゾーン(例えば、図3の「a」)の真中まで非常に正確に裁断しなければならない。
【0112】
実施例6a:幅22mm(=フィルムシートの1つのストライプの幅の2倍)および長さ30mmのフィルムを、ダイカッティングで実施例5aのフィルムシートから裁断する点以外は、実施例6を繰り返す。ここで、カッティングをストライプに完全に揃えることは必ずしも必要ではない(図3のフィルム「2」、「3」および「4」を比較)。フィルムはすべて、1単位中に同じ量のニコチン活性物質およびアルカリ性物質、すなわち3.07mgのニコチン酒石酸水素塩二水和物および9mgの炭酸ナトリウムを有する。
【0113】
実施例7:実施例1eおよび実施例2eの両方の流延用混合物をジョイントコーティングして、長手方向に8つのストライプに分けられている単一の一体型フィルムシートを形成することは、本質的には実施例5で論じたように行われる。同様に、フィルムシートを、3.07mgのニコチン酒石酸水素塩二水和物(=1mg ニコチン基剤相当量)および9mgの炭酸ナトリウムを含む2ゾーンまたはマルチゾーンの単一層フィルム(30mm×22mm)が得られるように裁断することは、本質的には実施例6で論じたように行われる。
【0114】
実施例8:実施例1fおよび実施例2fの両方の流延用混合物をジョイントコーティングして、長手方向に16ストライプに分けられている単一の一体型フィルムシートを形成することは、本質的には実施例5aで論じたように行われる。同様に、フィルムシートを、3.07mgのニコチン酒石酸水素塩二水和物(=1mg ニコチン基剤相当量)および9mgの炭酸ナトリウムを含む2ゾーンまたはマルチゾーンの単一層フィルム(30mm×22mm)が得られるように裁断することは、本質的には実施例6aで論じたように行われる。
【0115】
実施例9:実施例1f−2および実施例2f−2の両方の流延用混合物をジョイントコーティングして、長手方向に16ストライプに分けられている単一の一体型フィルムシートを形成することは、本質的には実施例5aで論じたように行われる。同様に、フィルムシートを、4.61mgのニコチン酒石酸水素塩二水和物(=1.5mg ニコチン基剤相当量)および13.5mgの炭酸ナトリウムを含む2ゾーンまたはマルチゾーンの単一層フィルム(30mm×22mm)が得られるように裁断することは、本質的には実施例6aで論じたように行われる。
【0116】
実施例10:実施例1f−2および実施例2f−4の両方の流延用混合物をジョイントコーティングして、長手方向に16ストライプに分けられている単一の一体型フィルムシートを形成することは、本質的には実施例5aで論じたように行われる。同様に、フィルムシートを、4.61mgのニコチン酒石酸水素塩二水和物(=1.5mg ニコチン基剤相当量)および18mgの炭酸ナトリウムを含む2ゾーンまたはマルチゾーンの単一層フィルム(30mm×22mm)が得られるように裁断することは、本質的には実施例6aで論じたように行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのゾーン(a)は、ニコチン活性物質を含む第1の組成物からなり、
少なくとも1つのゾーン(b)は、アルカリ性物質を含む第2の組成物からなり、
ゾーン(a’)および(b’)の群から選択された1つまたは複数のさらに別個のゾーンを場合によって含み、ゾーン(a’)および(b’)が、それぞれ対応するゾーン(a)および(b)と本質的に同じ組成物を有することにより特徴付けられる、少なくとも2つの別個のゾーンを有する単一層の口腔内崩壊フィルム。
【請求項2】
頬粘膜に付着する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
患者の口中に入れた後1から10分以内に完全に崩壊する、請求項1または請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
ニコチン活性物質およびアルカリ性物質の両方を協奏的に放出し、これによってニコチン遊離塩基の効率的で速い頬側吸収が確実に行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
アルカリ性物質が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびこれらの任意の混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
ニコチン活性物質が、製薬上許容されるニコチン塩、製薬上許容されるニコチン複合体および製薬上許容されるニコチン樹脂酸塩からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
ニコチン活性物質が製薬上許容されるニコチン塩である、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
ゾーン(a)および場合によってゾーン(a’)を形成する第1の組成物が、少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーをさらに含み、
ゾーン(b)および場合によってゾーン(b’)を形成する第2の組成物が、少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーをさらに含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
ゾーン(a)および場合によってゾーン(a’)を形成する第1の組成物が、少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーと少なくとも1つの非水溶性フィルム形成ポリマーとの組合せをさらに含み、
ゾーン(b)および場合によってゾーン(b’)を形成する第2の組成物が、少なくとも1つの水溶性フィルム形成ポリマーと少なくとも1つの非水溶性フィルム形成ポリマーとの組合せをさらに含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
ゾーン(a)および場合によってゾーン(a’)を形成する第1の組成物が、ポリビニルピロリドンとエチルセルロースとの組合せ、またはポリビニルピロリドンとエチルアクリラートメチルメタクリラートコポリマーとの組合せをさらに含み、
ゾーン(b)および場合によってゾーン(b’)を形成する第2の組成物が、ポリビニルピロリドンとエチルセルロースとの組合せ、またはポリビニルピロリドンとエチルアクリラートメチルメタクリラートコポリマーとの組合せをさらに含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
着色剤が第1もしくは第2の組成物または両方の組成物に添加され、ゾーン(b)および場合によってゾーン(b’)の色がゾーン(a)および場合によってゾーン(a’)の色と異なり、ゾーン(a)および場合によってゾーン(a’)の色が同じであり、ゾーン(b)および場合によってゾーン(b’)の色が同じであるフィルムが得られる、請求項1から10のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項12】
長手方向に少なくとも1回、ニコチン活性物質を含む第1の組成物から構成される少なくとも1つのストライプおよびアルカリ性物質を含む第2の組成物から構成される別の少なくとも1つのストライプに分けられており、それぞれのストライプを構成する異なる組成物は一緒に合体している単一の一体型フィルムシート。
【請求項13】
請求項12に記載の単一の一体型フィルムシートおよび前記フィルムシートに密接に結合している少なくとも第2の層を含む2層または多層フィルムシート。
【請求項14】
ゾーン(a)および場合によってゾーン(a’)を形成するよう意図されているすべての成分を混合して、第1の均質混合物を生成するステップ、
ゾーン(b)および場合によってゾーン(b’)を形成するよう意図されているすべての成分を混合して、第2の均質混合物を生成するステップ、
前記第1および第2の均質混合物を、異なる少なくとも2つの入口を介して、それぞれの組成物を均一な薄層に広げることができるコーティング装置に別々に供給し、別々のゾーンを界面に付与し、特徴のある少なくとも2つのストライプを有する一体型コーティング1枚を生成し、それによって長手方向に少なくとも1回、前記第1の均質混合物から構成される少なくとも1つのストライプおよび前記第2の均質混合物から構成される別の少なくとも1つのストライプに分けられているフィルムが得られ、それぞれのゾーンを構成する異なるコーティングミックスは、整った界面への流延中および単一の一体型フィルムシートの形成中に一緒に合体するステップ、
流延フィルムを乾燥するステップ、ならびに生成したフィルムを口腔内崩壊フィルムに、それぞれの口腔内崩壊フィルムが少なくとも2つの別個のゾーンを有し、そのうちの少なくとも1つは前記第1の均質混合物から構成され、他の少なくとも1つは前記第2の均質混合物から構成されるように裁断するステップ
を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の口腔内崩壊フィルムを調製する方法。

【図1】
image rotate

【図2(A)】
image rotate

【図2(B)】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−506384(P2011−506384A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537411(P2010−537411)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067074
【国際公開番号】WO2009/074552
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】