マルチディスプレイシステムおよび画像表示装置
【課題】 消費電力を増大させることなく、所定の鑑賞位置から視認したときの輝度ムラを改善することができるマルチディスプレイシステムを提供する。
【解決手段】 マルチディスプレイシステム1は、液晶表示装置10を平面的に複数並べて構成されるマルチ画面Dを有し、各液晶表示装置10は、画像を表示可能な液晶パネル11と、液晶パネル11の背面11b側に設けられる光源22および拡散板24と、液晶パネル11と光源22および拡散板24との間に設けられ、拡散板24からの出射光を所定の方向に集光させる機能を有するプリズム層42を備えるプリズムシート40とを含み、拡散板24からの出射光が、マルチ画面Dの予め定める鑑賞位置Pへ向かう方向に集光するように、液晶表示装置10a〜10dごとに、プリズムシート40a〜40dのプリズム層42a〜42dの集光方向が設定されている。
【解決手段】 マルチディスプレイシステム1は、液晶表示装置10を平面的に複数並べて構成されるマルチ画面Dを有し、各液晶表示装置10は、画像を表示可能な液晶パネル11と、液晶パネル11の背面11b側に設けられる光源22および拡散板24と、液晶パネル11と光源22および拡散板24との間に設けられ、拡散板24からの出射光を所定の方向に集光させる機能を有するプリズム層42を備えるプリズムシート40とを含み、拡散板24からの出射光が、マルチ画面Dの予め定める鑑賞位置Pへ向かう方向に集光するように、液晶表示装置10a〜10dごとに、プリズムシート40a〜40dのプリズム層42a〜42dの集光方向が設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズシートやプリズムシートなどの光学シートを備える画像表示装置を複数台並べて構築されるマルチディスプレイシステム、およびそれに備えられる画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非発光型の表示素子を備える液晶表示装置は、画像表示に必要な光源(バックライト)を内蔵している。従来から、光源が発した光線の利用効率を高めるための手段として、正面方向の輝度を向上させるための光学シートが、液晶パネルと光源あるいは導光板との間に設置されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような光学シートとしては、三角柱状のプリズムを1方向に反復的に配列したアレイ構造を有するプリズムシートや、単位レンズを反復的に配列したアレイ構造を有するマイクロレンズシートおよびレンチキュラーシートなどが挙げられる。
【0004】
図8は、従来技術に係る液晶表示装置100の構成を概略的に示す断面図である。従来技術に係る液晶表示装置100は、TFT(Thin Film Transistor)基板とCF(Color Filter)基板との間に液晶材料を挟みこんで成る液晶パネル110と、液晶パネル110の背面110b側に配置され、光を発生させる光源121を有するバックライトユニット120とを含んで構成され、バックライトユニット120から供給された光によって、液晶パネル110の表示面110a(背面110bとは反対側の面)に画像が表示される。
【0005】
また、バックライトユニット120は、前記光源121のほか、光源121が設置されるシャーシ122と、光源121と液晶パネル110との間に設けられ、光源121からの出射光を散乱・拡散させる透光性を有する拡散板123と、拡散板123上に積層される複数の光学シート124とを含んで構成される。
【0006】
図9は、液晶表示装置100に備えられる光学シート124の1つであるプリズムシート130の構成を示す図であり、図9(a)は断面図を示し、図9(b)は斜視図を示している。プリズムシート130は、透光性を有するフィルム状の基材131と、基材131の厚み方向の一方側の表面から突出する三角柱状の突出部133がストライプ状に配列されて成るプリズム層132とによって構成されている。
【0007】
従来から用いられているプリズムシート130は、プリズム層132における各突出部133が、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、基材131側の底辺133aを除く残余の2つの辺133bの長さが等しい二等辺三角形状の断面を有するように構成されている。換言すれば、各突出部133は、前記2つの辺133bが交わる点が、底辺133aの中点を通過し底辺133aに垂直に延びる一直線上に位置するような断面を有している。
【0008】
従来技術に係る液晶表示装置100では、このようなプリズムシート130を、プリズム層132が液晶パネル110側に配置されるように、拡散板123上に設置される。これにより、拡散板123によって面方向に拡散された光を、液晶表示装置100の正面方向(すなわち、表示面110aの法線方向)Fへ集光させ、正面方向Fの輝度を向上させている。
【0009】
近年、このように構成される液晶表示装置100を、平面的に複数台並べて配置することによって構築されるマルチディスプレイシステムが、インフォメーションディスプレイおよび業務用ディスプレイなどとして用いられている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−17480号公報
【特許文献2】特開2009−162972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図10は、図8に示す液晶表示装置100を平面的に並べて構築されたマルチディスプレイシステム200を視認している状態を示す図である。たとえば、空港の通路や地下街などに設置されるマルチディスプレイシステム200では、そのマルチ画面を鑑賞する鑑賞位置が限定される場合が多い。図10では、そのように予め定められる鑑賞位置から視認している状態を示している。
【0012】
マルチディスプレイシステム200を構成する各液晶表示装置100は、前記のように、光源121から出射され拡散板123を通過した光を、プリズムシート130によって正面方向Fへ集光させるように構成されている。したがって、各液晶表示装置100は、表示面110aの正面から視認した場合に輝度が最も高くなり、正面からずれた斜め方向から視認した場合には、正面方向Fからの角度のずれに応じて、輝度が低下し、画面が暗く見えてしまうことになる。
【0013】
それ故、所定の鑑賞位置からマルチディスプレイシステム200におけるマルチ画面を視認した場合、液晶表示装置100ごとに、正面方向Fと視認方向Gとの成す角度が相違することになる。これにより、正面方向Fと視認方向Gとの成す角度が大きい液晶表示装置100ほど画面が暗く見えるため、マルチ画面全体として輝度にムラが生じ、マルチ画面の画質が劣化してしまっているという問題がある。
【0014】
かかる問題を解決する手段として、所定の鑑賞位置から視認した場合に、視認方向Gに必要な輝度が得られるように、液晶表示装置100ごとに光源121へ供給する電力を調節することが考えられる。しかしながら、この手段を採用した場合には、正面方向Fと視認方向Gとの成す角度が大きい液晶表示装置100ほど、光源121へ余分に電力を供給しなければならず、マルチディスプレイシステム200全体の消費電力が増大してしまうという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、消費電力を増大させることなく、所定の鑑賞位置から視認したときの輝度ムラを改善することができるマルチディスプレイシステムおよびそれに備えられる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、画像表示装置を平面的に複数並べて構成されるマルチ画面を有するマルチディスプレイシステムであって、
各画像表示装置は、
画像を表示可能な光透過型の表示パネルと、
前記表示パネルの背面側に設けられる光照射部と、
前記表示パネルと前記光照射部との間に設けられ、該光照射部からの出射光を所定の方向に集光させる機能を有する集光部を備える光学シートとを含み、
光照射部からの出射光が、前記マルチ画面の予め定める鑑賞位置へ向かう方向に集光するように、画像表示装置ごとに、前記光学シートの集光部の集光方向が設定されていることを特徴とするマルチディスプレイシステムである。
【0017】
また本発明は、前記各画像表示装置において、前記集光部が光照射部側に配置されるように前記光学シートを設けたことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記マルチディスプレイシステムに備えられる画像表示装置であって、
前記光学シートを保持するシート保持体と、
前記表示パネルと前記光照射部との間に設けられ、前記シート保持体が着脱自在に装着される装着部とをさらに含むことを特徴とする画像表示装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像表示装置ごとに、光照射部からの出射光が、予め定める鑑賞位置へ向かうように集光方向が設定された光学シートを備えているので、消費電力を増大させることなく、所定の鑑賞位置から視認したときの輝度ムラを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1を示す正面図である。
【図2】マルチディスプレイシステム1を構成する液晶表示装置10の構成を示す断面図である。
【図3】マルチディスプレイシステム1を予め定められる鑑賞位置Pから視認している状態を示す図であり、マルチディスプレイシステム1を側方から見た様子を示している。
【図4A】各液晶表示装置10a,10bに設置されているプリズムシート40a,40bの構成を示す断面図であり、横方向hに垂直な仮想一平面で切断したときの断面を示している。
【図4B】各液晶表示装置10c,10dに設置されているプリズムシート40c,40dの構成を示す断面図であり、横方向hに垂直な仮想一平面で切断したときの断面を示している。
【図5】他の実施形態に係る液晶表示装置10Aの構成を示す断面図である。
【図6】他の実施形態に係る液晶表示装置10Bの構成を示す断面図である。
【図7】液晶表示装置10Bからシート保持体70を離脱させた状態を示す斜視図である。
【図8】従来技術に係る液晶表示装置100の構成を概略的に示す断面図である。
【図9】液晶表示装置100に備えられる光学シート124の1つであるプリズムシート130の構成を示す図であり、図9(a)は断面図を示し、図9(b)は斜視図を示している。
【図10】図8に示す液晶表示装置100を平面的に並べて構築されたマルチディスプレイシステム200を視認している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1を示す正面図である。図2は、マルチディスプレイシステム1を構成する液晶表示装置10の構成を示す断面図である。
【0022】
マルチディスプレイシステム1は、複数台の液晶表示装置10を、互いに直交する縦方向vおよび横方向hに沿ってマトリクス状に配列することによって構築され、各液晶表示装置10の表示画面により大形のマルチ画面Dが構成されている。マルチディスプレイシステム1を構築する液晶表示装置10の配列構成は、特に限定されないが、本実施形態では、縦方向vに4台ずつ、横方向hに4台ずつ液晶表示装置10を配列して構成されている。
【0023】
また、本実施形態では、各液晶表示装置10は、横置き姿勢、すなわち長辺の延びる方向が横方向hに一致する姿勢で並べられている。なお、縦方向vは、鉛直方向に一致する方向であり、横方向hは、水平方向に一致する方向である。
【0024】
液晶表示装置10は、画像を表示可能な非発光型の表示素子である液晶パネル11と、液晶パネル11の背面11b側に配置され、光を出射可能な光源22を備えるバックライトユニット12と、液晶パネル11およびバックライトユニット12を一体的に保持する枠状のベゼル13とを含んで構成される。
【0025】
液晶パネル10は、横長な矩形状に形成された一対の透光性を有するガラス製の基板と、その一対の基板間に、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を封入することによって形成された液晶層とを備え、液晶層の厚さ分のギャップを維持した状態で、一対の基板がシール材によって貼り合わせられることによって構成されている。
【0026】
一対の基板のうち、一方の基板はCF基板であり、他方の基板はTFT基板である。TFT基板には、液晶層に臨む内面側に、スイッチング素子であるTFTおよび画素電極が多数個並んで設けられるとともに、これらTFTおよび画素電極の周りには、格子状をなすゲート配線およびソース配線が取り囲むようにして配設されている。画素電極は、ITO(Indium Tin Oxide)またはZnO(Zinc Oxide)といった透明電極からなる。
【0027】
一方、CF基板には、液晶層に臨む内面側に、各画素に対応した位置に多数個のカラーフィルタが並んで設けられている。カラーフィルタは、本実施形態では、R(red),G(green),B(blue)の三色のサブピクセルが交互に並ぶ配置とされている。各カラーフィルタ間には、混色を防ぐための遮光層(ブラックマトリクス)が形成されている。カラーフィルタおよび遮光層の表面には、TFT基板側の画素電極と対向する対向電極が設けられている。また、各基板の前記内面側には、液晶層に含まれる液晶分子を配向させるための配向膜がそれぞれ形成され、各基板の内面側とは反対側の外面側には、偏光板がそれぞれ貼り付けられている。
【0028】
バックライトユニット12は、バックライトシャーシ21と、バックライトシャーシ21に収容される光源22と、フレーム23と、拡散板24と、光学シート25とを含んで構成されている。
【0029】
バックライトシャーシ21は、一方に開口した略箱型に形成される金属製の部材であり、液晶パネル11と同様の横長な矩形平板状に形成された底板21aと、底板21aの周縁部から立ち上がる筒状の側板21bとによって構成されている。底板21aの内面には、拡散板24を支持するための複数の拡散板支持ピン27が立設されている。
【0030】
光源22は、バックライトシャーシ21における底板21aの内面に設置され、光を出射して、液晶パネル11を照明する。本実施形態では、光源22は、複数のLED(Light Emitting Diode)ランプ22aを、底板21aの内面上にマトリクス状に配置することによって構成されている。他の実施形態では、光源22は、たとえば複数本の冷陰極管を、底板21aの内面上に、互いに所定の間隔を空けて並列配置することによって構成されてもよく、あるいは、導光部材を用いて構成されてもよい。
【0031】
フレーム23は、樹脂製であり、大略的に筒状であって、バックライトシャーシ21における側板21bの内周面を被覆可能に形成されている。フレーム23は、側板21bに装着され、ビスなどの締結具26によって、側板21bに対して固定される。
【0032】
ここで、フレーム23において、側板21bへの装着時に、底板21aに近接して配置される側の部分を下部23cと称し、下部23cとは反対側の部分を上部23aと称する。フレーム23には、その上部23aに、液晶パネル11を支持するためのパネル支持部31が設けられ、また、上部23aと下部23cとの間の中央部23bに、拡散板24を支持するための拡散板支持部32が設けられる。
【0033】
パネル支持部31は、液晶パネル11を支持するための矩形環状の平坦なパネル支持面を有する。このパネル支持面は、フレーム23を側板21bに装着したとき、バックライトシャーシ21における底板21aに平行となるように形成されている。
【0034】
液晶パネル11は、TFT基板がこのパネル支持面に臨むように、パネル支持部31に設置される。これにより、液晶パネル11は、底板21aに対して平行な姿勢で、パネル支持部31によって支持される。このとき、パネル支持部31は、液晶パネル11の周縁部11cを支持している。
【0035】
パネル支持部31によって支持された液晶パネル11は、その周縁部11cが、厚み方向の両側から、パネル支持部31とベゼル13とによって挟持されて固定される。これにより、表示面11aにおける周縁の領域が、ベゼル13によって被覆される。
【0036】
拡散板支持部32は、拡散板24を支持するための矩形環状の平坦な拡散板支持面を有する。この拡散板支持面は、フレーム23を側板21bに装着したとき、バックライトシャーシ21における底板21aに平行となるように形成されている。また、フレーム23の上部23aには、拡散板24の一部を挿入させるための挿入孔35が形成されている。
【0037】
拡散板24は、透光性を有し、厚み方向一方側の表面に入射した光を面方向に拡散させる機能を有する板状部材であり、厚み方向に見て略矩形状に形成されている。詳細には、矩形板状に形成された板状部と、板状部の側面から外方へ突出する複数の突出部とから成っている。
【0038】
拡散板24は、前記挿入孔35に前記突出部を挿し込んだ状態で、拡散板支持部32に設置される。これにより、拡散板24は、底板21aに対して平行な姿勢で、拡散板支持部32と複数の拡散板支持ピン27とによって支持される。このとき、拡散板支持部32は、拡散板24の周縁部を支持している。
【0039】
本実施形態では、拡散板24の板状部は、拡散板支持部32に設置されたときに、フレーム23の上部23aにおける内壁面との間に間隙が形成されるようなサイズに選択されている。これにより、装置稼動時における拡散板24の面方向への熱膨張分を、前記間隙によって吸収させることができる。
【0040】
フレーム23の上部23aは、パネル支持部31に支持された液晶パネル11と、拡散板支持部32に支持された拡散板24とが、空間Sを空けて離間するように形成されている。ここで、フレーム23の上部23aにおいて、空間Sを外囲する筒状の部分を、周壁部33と称する。したがって、パネル支持部31は、周壁部33に形成されている。周壁部33は、空間Sに臨む内壁面を有し、この内壁面には、光反射部34が全周にわたって設けられている。
【0041】
光反射部34は、光を反射する機能を有し、光源22から出射され、拡散板24を透過して空間Sに入射した光を有効に利用するために設けられている。特に、画面周縁部での輝度の低下を防止するために設けられている。光反射部34は、たとえば光の反射性に優れた白色を呈する合成樹脂製の反射シートを、周壁部33の内壁面を覆うように敷設することによって構成される。
【0042】
本実施形態では、3枚の光学シート25が、拡散板24上に積層されている。各光学シート25は、透光性を有し、所定の光学的機能を有するシート状部材であり、厚み方向に見て矩形状に形成されている。光学シート25の枚数は、3枚に限定されず、他の実施形態では、1枚または2枚であってもよいが、少なくとも光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、所定の方向に集光させることにより、該所定の方向の輝度を向上させる輝度向上シートが含まれているものとする。
【0043】
このような輝度向上シートとしては、プリズムシート、マイクロレンズシートおよびレンチキュラーシートなどが挙げられる。以下では、各液晶表示装置10に、輝度向上シートとしてプリズムシートが搭載されているものとして説明する。
【0044】
図3は、マルチディスプレイシステム1を予め定められる鑑賞位置Pから視認している状態を示す図であり、マルチディスプレイシステム1を側方から見た様子を示している。図3では、縦方向vにおいて、最上段に配置されている液晶表示装置を参照符10aで示し、上から2段目に配置されている液晶表示装置を参照符10bで示し、上から3段目に配置されている液晶表示装置を参照符10cで示し、最下段に配置されている液晶表示装置を参照符10dで示している。
【0045】
図3に示すように、予め定められる鑑賞位置Pからマルチディスプレイシステム1のマルチ画面Dを視認したとき、各液晶表示装置10a〜10dの表示面11aを視認する方向Ga〜Gdは互いに異なってしまう。
【0046】
具体的には、予め定められる鑑賞位置Pから、液晶表示装置10aを視認する方向Gaは、表示面11aの法線方向に対して角度θaを成し、液晶表示装置10bを視認する方向Gbは、表示面11aの法線方向に対して角度θbを成し、液晶表示装置10cを視認する方向Gcは、表示面11aの法線方向に対して角度θcを成し、液晶表示装置10dを視認する方向Gdは、表示面11aの法線方向に対して角度θdを成している。
【0047】
なお、鑑賞位置Pは、マルチディスプレイシステム1の設置環境に応じて設定されるものである。本実施形態では、マルチディスプレイシステム1のマルチ画面Dからの距離Lと、視線の平均的な高さ位置Hとによって鑑賞位置Pが設定されているものとする。
【0048】
図4Aおよび図4Bは、各液晶表示装置10a〜10dに設置されているプリズムシート40a〜40dの構成を示す断面図であり、横方向hに垂直な仮想一平面で切断したときの断面を示している。図4A(a)は、液晶表示装置10aに設置されているプリズムシート40aを示し、図4A(b)は、液晶表示装置10bに設置されているプリズムシート40bを示し、図4B(c)は、液晶表示装置10cに設置されているプリズムシート40cを示し、図4B(d)は、液晶表示装置10dに設置されているプリズムシート40dを示している。
【0049】
各プリズムシート40a〜40dは、透光性を有するフィルム状の基材41と、基材41の厚み方向の一方側の表面から突出する三角柱状の突出部43a〜43dがストライプ状に配列されて成る、集光部であるプリズム層42a〜42dとによって構成されている。
【0050】
基材41は、たとえばポリエステル樹脂から成り、プリズム層42a〜42dは、アクリル樹脂(屈折率n=1.49)またはフォトポリマーから成っている。各プリズムシート40a〜40dは、液晶表示装置10a〜10dにおいて、プリズム層42a〜42dが基材41に対して液晶パネル11側に配置されるように、拡散板24上に設置されている。
【0051】
プリズムシート40aは、図4A(a)に示すように、光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、視認方向Gaに集光するように、プリズム層42aが構成されている。
【0052】
具体的には、プリズム層42aにおける各突出部43aが、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、三角形状の断面を成し、かつ、該断面において、基材41に連接する底辺44の中点から頂点45に向かう方向(以下、「先端方向」と称する)が、底辺44の法線方向に対して角度θaだけ傾いた方向、すなわち視認方向Gaに一致するように形成されている。かかる構成のプリズムシート40aが設置されることにより、液晶表示装置10aの表示面11aからは、視認方向Gaの輝度が他の方向に比べて高くなるように光が出射される。
【0053】
また、プリズムシート40bは、図4A(b)に示すように、光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、視認方向Gbに集光するように、プリズム層42bが構成されている。
【0054】
具体的には、プリズム層42bにおける各突出部43bが、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、三角形状の断面を成し、かつ、該断面において、先端方向が、底辺44の法線方向に対して角度θbだけ傾いた方向、すなわち視認方向Gbに一致するように形成されている。かかる構成のプリズムシート40bが設置されることにより、液晶表示装置10bの表示面11aからは、視認方向Gbの輝度が他の方向に比べて高くなるように光が出射される。
【0055】
また、プリズムシート40cは、図4B(c)に示すように、光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、視認方向Gcに集光するように、プリズム層42cが構成されている。
【0056】
具体的には、プリズム層42cにおける各突出部43cが、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、三角形状の断面を成し、かつ、該断面において、先端方向が、底辺44の法線方向に対して角度θcだけ傾いた方向、すなわち視認方向Gcに一致するように形成されている。かかる構成のプリズムシート40cが設置されることにより、液晶表示装置10cの表示面11aからは、視認方向Gcの輝度が他の方向に比べて高くなるように光が出射される。
【0057】
また、プリズムシート40dは、図4B(d)に示すように、光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、視認方向Gdに集光するように、プリズム層42dが構成されている。
【0058】
具体的には、プリズム層42dにおける各突出部43dが、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、三角形状の断面を成し、かつ、該断面において、先端方向が、底辺44の法線方向に対して角度θdだけ傾いた方向、すなわち視認方向Gdに一致するように形成されている。かかる構成のプリズムシート40dが設置されることにより、液晶表示装置10dの表示面11aからは、視認方向Gdの輝度が他の方向に比べて高くなるように光が出射される。
【0059】
以上のように、本実施形態に係るマルチディスプレイシステム1では、光源22から出射された光が、予め定める鑑賞位置Pへ向かう視認方向Ga〜Gdに集光するように、液晶表示装置10a〜10dごとに、各プリズム層42a〜42dの集光方向が設定されている。これにより、鑑賞位置Pからマルチ画面Dを視認した場合に、各液晶表示装置10a〜10dの輝度を略同等にすることができる。
【0060】
このように、プリズムシート40a〜40dにおけるプリズム層42a〜42dの構成を液晶表示装置10a〜10dごとに変更することで最大の輝度が得られる方向を調整しているので、マルチディスプレイシステム1全体の消費電力を増大させることなく、所定の鑑賞位置から視認したときの輝度ムラを改善することができる。
【0061】
本実施形態に係るマルチディスプレイシステム1では、縦方向vにおける所定の高さHに設定された鑑賞位置Pに集光するように、液晶表示装置10a〜10dごとにプリズム層42a〜42dの構成を変更しているが、他の実施形態では、横方向hに関して鑑賞位置P(たとえば、マルチ画面Dの横方向hにおける中央部に対向する位置)を設定し、該鑑賞位置Pに集光するように、液晶表示装置10a〜10dごとにプリズム層42a〜42dの構成を変更してもよい。
【0062】
また本実施形態では、輝度向上シートの1つであるプリズムシートによって集光方向を変化させていたが、他の実施形態では、プリズムシート以外の輝度向上シート、たとえばマイクロレンズシートおよびレンチキュラーシートなどを用いて、集光方向を変化させるように構成してもよい。この場合には、基材の厚み方向の一表面に反復的に設けられる各マイクロレンズあるいは各シリンドリカルレンズの光軸の方向が視認方向に一致するように、集光部が構成される。
【0063】
また他の実施形態では、複数枚の輝度向上シートを組み合わせることによって、液晶表示装置ごとに、集光方向を変化させるように構成してもよい。
【0064】
また本実施形態では、各液晶表示装置10に搭載されるプリズムシート40を、そのプリズム層42が基材41に対して液晶パネル11側に配置されるように設置することで、光源22からの光を、所定の一方向に集光させているが、他の実施形態では、以下で説明するように、プリズム層が基材に対して拡散板24側に配置されるように設置してもよい。
【0065】
図5は、他の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1Aを構成している一液晶表示装置10Aの構成を示す断面図である。液晶表示装置10Aは、プリズムシート50を除く残余の構成については、前述の実施形態に係る液晶表示装置10と同様に構成されている。なお、図5では、拡散板24およびプリズムシート50を除く残余の構成については省略して示している。
【0066】
液晶表示装置10Aに装着されるプリズムシート50は、前述の実施形態に係るプリズムシート40a〜40dと同様に、透光性を有するフィルム状の基材51と、基材51の厚み方向の一方側の表面から突出する三角柱状の突出部53がストライプ状に配列されて成るプリズム層52とによって構成されている。
【0067】
しかしながら、プリズムシート50におけるプリズム層52は、各突出部53が、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、基材51に連接する底辺53aを除く残余の2つの辺53bの長さが互いに等しい二等辺三角形状の断面を有するように構成されている。換言すれば、各突出部53は、前記2つの辺53bが交わる頂点が、底辺53aの中点を通過し、かつ底辺53aに垂直に延びる直線上に位置するような断面を有している。
【0068】
図5に示すように、液晶表示装置10Aでは、そのプリズム層52が基材51に対して拡散板24側に配置されるように、プリズムシート50が設置されている。このように設置することで、光源22からの光を2つの方向に集光させることができる。かかる構成の場合、プリズムシート50において、プリズム層52の各突出部53における頂点の高さ(底辺53aからの距離)を調節することにより、光が集光する2つの方向を変化させることができる。
【0069】
したがって、液晶表示装置10Aごとに、プリズムシート50のプリズム層52における各突出部53の頂点の高さを適宜調節して、マルチディスプレイシステム1Aを構築することにより、予め定める2つの鑑賞位置から視認したときの輝度ムラを改善することができる。
【0070】
図6は、他の実施形態に係る液晶表示装置10Bの構成を示す断面図である。図7は、液晶表示装置10Bからシート保持体70を離脱させた状態を示す斜視図である。本実施形態に係る液晶表示装置10Bは、光学シート25の設置方法を除き残余の構成については、前述の実施形態に係る液晶表示装置10と同様であり、同一の構成については同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。
【0071】
本実施形態に係る液晶表示装置10Bは、前述の実施形態に係る液晶表示装置10と異なり、光学シート25を容易に着脱できるように構成されている。具体的には、液晶表示装置10Bは、光学シート25を保持するシート保持体70と、液晶パネル11と拡散板24との間に設けられ、シート保持体70が着脱自在に装着される装着部60とを含んで構成される。
【0072】
シート保持体70は、光学シート25の周縁部を保持する矩形枠状の本体部71と、本体部71の一端部に連なるフランジ部72とによって構成されている。一方、装着部60は、液晶表示装置10の一側面に形成された開口を介して挿入されたシート保持体70の本体部71を、光学シート25が液晶パネル11に臨んで配置されるような位置で固定できるように形成されている。
【0073】
このように本実施形態に係る液晶表示装置10Bでは、液晶パネル11と拡散板24との間に設けられるべき光学シート25を、容易に交換することができる。したがって、前述の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1を構築する場合に、本実施形態に係る液晶表示装置10Bを用いれば、各液晶表示装置10Bの配置位置に応じて、集光方向の互いに異なる複数種類のプリズムシートの中から適宜選択し、選択したプリズムシートをシート保持体70に保持させて装着することができる。
【0074】
このように所望のプリズムシートを適宜選択して装着することができるので、集光方向の互いに異なるプリズムシートを備えた複数種類の液晶表示装置を予め準備する必要がなく、マルチディスプレイシステム1の製造コストを低減することができる。また、集光方向の互いに異なるプリズムシートを複数種類準備しておくことにより、前述の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1を容易に構築することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 マルチディスプレイシステム
10 液晶表示装置
11 液晶パネル
12 バックライトユニット
13 ベゼル
21 バックライトシャーシ
22 光源
23 フレーム
24 拡散板
25 光学シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズシートやプリズムシートなどの光学シートを備える画像表示装置を複数台並べて構築されるマルチディスプレイシステム、およびそれに備えられる画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非発光型の表示素子を備える液晶表示装置は、画像表示に必要な光源(バックライト)を内蔵している。従来から、光源が発した光線の利用効率を高めるための手段として、正面方向の輝度を向上させるための光学シートが、液晶パネルと光源あるいは導光板との間に設置されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような光学シートとしては、三角柱状のプリズムを1方向に反復的に配列したアレイ構造を有するプリズムシートや、単位レンズを反復的に配列したアレイ構造を有するマイクロレンズシートおよびレンチキュラーシートなどが挙げられる。
【0004】
図8は、従来技術に係る液晶表示装置100の構成を概略的に示す断面図である。従来技術に係る液晶表示装置100は、TFT(Thin Film Transistor)基板とCF(Color Filter)基板との間に液晶材料を挟みこんで成る液晶パネル110と、液晶パネル110の背面110b側に配置され、光を発生させる光源121を有するバックライトユニット120とを含んで構成され、バックライトユニット120から供給された光によって、液晶パネル110の表示面110a(背面110bとは反対側の面)に画像が表示される。
【0005】
また、バックライトユニット120は、前記光源121のほか、光源121が設置されるシャーシ122と、光源121と液晶パネル110との間に設けられ、光源121からの出射光を散乱・拡散させる透光性を有する拡散板123と、拡散板123上に積層される複数の光学シート124とを含んで構成される。
【0006】
図9は、液晶表示装置100に備えられる光学シート124の1つであるプリズムシート130の構成を示す図であり、図9(a)は断面図を示し、図9(b)は斜視図を示している。プリズムシート130は、透光性を有するフィルム状の基材131と、基材131の厚み方向の一方側の表面から突出する三角柱状の突出部133がストライプ状に配列されて成るプリズム層132とによって構成されている。
【0007】
従来から用いられているプリズムシート130は、プリズム層132における各突出部133が、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、基材131側の底辺133aを除く残余の2つの辺133bの長さが等しい二等辺三角形状の断面を有するように構成されている。換言すれば、各突出部133は、前記2つの辺133bが交わる点が、底辺133aの中点を通過し底辺133aに垂直に延びる一直線上に位置するような断面を有している。
【0008】
従来技術に係る液晶表示装置100では、このようなプリズムシート130を、プリズム層132が液晶パネル110側に配置されるように、拡散板123上に設置される。これにより、拡散板123によって面方向に拡散された光を、液晶表示装置100の正面方向(すなわち、表示面110aの法線方向)Fへ集光させ、正面方向Fの輝度を向上させている。
【0009】
近年、このように構成される液晶表示装置100を、平面的に複数台並べて配置することによって構築されるマルチディスプレイシステムが、インフォメーションディスプレイおよび業務用ディスプレイなどとして用いられている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−17480号公報
【特許文献2】特開2009−162972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図10は、図8に示す液晶表示装置100を平面的に並べて構築されたマルチディスプレイシステム200を視認している状態を示す図である。たとえば、空港の通路や地下街などに設置されるマルチディスプレイシステム200では、そのマルチ画面を鑑賞する鑑賞位置が限定される場合が多い。図10では、そのように予め定められる鑑賞位置から視認している状態を示している。
【0012】
マルチディスプレイシステム200を構成する各液晶表示装置100は、前記のように、光源121から出射され拡散板123を通過した光を、プリズムシート130によって正面方向Fへ集光させるように構成されている。したがって、各液晶表示装置100は、表示面110aの正面から視認した場合に輝度が最も高くなり、正面からずれた斜め方向から視認した場合には、正面方向Fからの角度のずれに応じて、輝度が低下し、画面が暗く見えてしまうことになる。
【0013】
それ故、所定の鑑賞位置からマルチディスプレイシステム200におけるマルチ画面を視認した場合、液晶表示装置100ごとに、正面方向Fと視認方向Gとの成す角度が相違することになる。これにより、正面方向Fと視認方向Gとの成す角度が大きい液晶表示装置100ほど画面が暗く見えるため、マルチ画面全体として輝度にムラが生じ、マルチ画面の画質が劣化してしまっているという問題がある。
【0014】
かかる問題を解決する手段として、所定の鑑賞位置から視認した場合に、視認方向Gに必要な輝度が得られるように、液晶表示装置100ごとに光源121へ供給する電力を調節することが考えられる。しかしながら、この手段を採用した場合には、正面方向Fと視認方向Gとの成す角度が大きい液晶表示装置100ほど、光源121へ余分に電力を供給しなければならず、マルチディスプレイシステム200全体の消費電力が増大してしまうという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、消費電力を増大させることなく、所定の鑑賞位置から視認したときの輝度ムラを改善することができるマルチディスプレイシステムおよびそれに備えられる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、画像表示装置を平面的に複数並べて構成されるマルチ画面を有するマルチディスプレイシステムであって、
各画像表示装置は、
画像を表示可能な光透過型の表示パネルと、
前記表示パネルの背面側に設けられる光照射部と、
前記表示パネルと前記光照射部との間に設けられ、該光照射部からの出射光を所定の方向に集光させる機能を有する集光部を備える光学シートとを含み、
光照射部からの出射光が、前記マルチ画面の予め定める鑑賞位置へ向かう方向に集光するように、画像表示装置ごとに、前記光学シートの集光部の集光方向が設定されていることを特徴とするマルチディスプレイシステムである。
【0017】
また本発明は、前記各画像表示装置において、前記集光部が光照射部側に配置されるように前記光学シートを設けたことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記マルチディスプレイシステムに備えられる画像表示装置であって、
前記光学シートを保持するシート保持体と、
前記表示パネルと前記光照射部との間に設けられ、前記シート保持体が着脱自在に装着される装着部とをさらに含むことを特徴とする画像表示装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像表示装置ごとに、光照射部からの出射光が、予め定める鑑賞位置へ向かうように集光方向が設定された光学シートを備えているので、消費電力を増大させることなく、所定の鑑賞位置から視認したときの輝度ムラを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1を示す正面図である。
【図2】マルチディスプレイシステム1を構成する液晶表示装置10の構成を示す断面図である。
【図3】マルチディスプレイシステム1を予め定められる鑑賞位置Pから視認している状態を示す図であり、マルチディスプレイシステム1を側方から見た様子を示している。
【図4A】各液晶表示装置10a,10bに設置されているプリズムシート40a,40bの構成を示す断面図であり、横方向hに垂直な仮想一平面で切断したときの断面を示している。
【図4B】各液晶表示装置10c,10dに設置されているプリズムシート40c,40dの構成を示す断面図であり、横方向hに垂直な仮想一平面で切断したときの断面を示している。
【図5】他の実施形態に係る液晶表示装置10Aの構成を示す断面図である。
【図6】他の実施形態に係る液晶表示装置10Bの構成を示す断面図である。
【図7】液晶表示装置10Bからシート保持体70を離脱させた状態を示す斜視図である。
【図8】従来技術に係る液晶表示装置100の構成を概略的に示す断面図である。
【図9】液晶表示装置100に備えられる光学シート124の1つであるプリズムシート130の構成を示す図であり、図9(a)は断面図を示し、図9(b)は斜視図を示している。
【図10】図8に示す液晶表示装置100を平面的に並べて構築されたマルチディスプレイシステム200を視認している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1を示す正面図である。図2は、マルチディスプレイシステム1を構成する液晶表示装置10の構成を示す断面図である。
【0022】
マルチディスプレイシステム1は、複数台の液晶表示装置10を、互いに直交する縦方向vおよび横方向hに沿ってマトリクス状に配列することによって構築され、各液晶表示装置10の表示画面により大形のマルチ画面Dが構成されている。マルチディスプレイシステム1を構築する液晶表示装置10の配列構成は、特に限定されないが、本実施形態では、縦方向vに4台ずつ、横方向hに4台ずつ液晶表示装置10を配列して構成されている。
【0023】
また、本実施形態では、各液晶表示装置10は、横置き姿勢、すなわち長辺の延びる方向が横方向hに一致する姿勢で並べられている。なお、縦方向vは、鉛直方向に一致する方向であり、横方向hは、水平方向に一致する方向である。
【0024】
液晶表示装置10は、画像を表示可能な非発光型の表示素子である液晶パネル11と、液晶パネル11の背面11b側に配置され、光を出射可能な光源22を備えるバックライトユニット12と、液晶パネル11およびバックライトユニット12を一体的に保持する枠状のベゼル13とを含んで構成される。
【0025】
液晶パネル10は、横長な矩形状に形成された一対の透光性を有するガラス製の基板と、その一対の基板間に、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を封入することによって形成された液晶層とを備え、液晶層の厚さ分のギャップを維持した状態で、一対の基板がシール材によって貼り合わせられることによって構成されている。
【0026】
一対の基板のうち、一方の基板はCF基板であり、他方の基板はTFT基板である。TFT基板には、液晶層に臨む内面側に、スイッチング素子であるTFTおよび画素電極が多数個並んで設けられるとともに、これらTFTおよび画素電極の周りには、格子状をなすゲート配線およびソース配線が取り囲むようにして配設されている。画素電極は、ITO(Indium Tin Oxide)またはZnO(Zinc Oxide)といった透明電極からなる。
【0027】
一方、CF基板には、液晶層に臨む内面側に、各画素に対応した位置に多数個のカラーフィルタが並んで設けられている。カラーフィルタは、本実施形態では、R(red),G(green),B(blue)の三色のサブピクセルが交互に並ぶ配置とされている。各カラーフィルタ間には、混色を防ぐための遮光層(ブラックマトリクス)が形成されている。カラーフィルタおよび遮光層の表面には、TFT基板側の画素電極と対向する対向電極が設けられている。また、各基板の前記内面側には、液晶層に含まれる液晶分子を配向させるための配向膜がそれぞれ形成され、各基板の内面側とは反対側の外面側には、偏光板がそれぞれ貼り付けられている。
【0028】
バックライトユニット12は、バックライトシャーシ21と、バックライトシャーシ21に収容される光源22と、フレーム23と、拡散板24と、光学シート25とを含んで構成されている。
【0029】
バックライトシャーシ21は、一方に開口した略箱型に形成される金属製の部材であり、液晶パネル11と同様の横長な矩形平板状に形成された底板21aと、底板21aの周縁部から立ち上がる筒状の側板21bとによって構成されている。底板21aの内面には、拡散板24を支持するための複数の拡散板支持ピン27が立設されている。
【0030】
光源22は、バックライトシャーシ21における底板21aの内面に設置され、光を出射して、液晶パネル11を照明する。本実施形態では、光源22は、複数のLED(Light Emitting Diode)ランプ22aを、底板21aの内面上にマトリクス状に配置することによって構成されている。他の実施形態では、光源22は、たとえば複数本の冷陰極管を、底板21aの内面上に、互いに所定の間隔を空けて並列配置することによって構成されてもよく、あるいは、導光部材を用いて構成されてもよい。
【0031】
フレーム23は、樹脂製であり、大略的に筒状であって、バックライトシャーシ21における側板21bの内周面を被覆可能に形成されている。フレーム23は、側板21bに装着され、ビスなどの締結具26によって、側板21bに対して固定される。
【0032】
ここで、フレーム23において、側板21bへの装着時に、底板21aに近接して配置される側の部分を下部23cと称し、下部23cとは反対側の部分を上部23aと称する。フレーム23には、その上部23aに、液晶パネル11を支持するためのパネル支持部31が設けられ、また、上部23aと下部23cとの間の中央部23bに、拡散板24を支持するための拡散板支持部32が設けられる。
【0033】
パネル支持部31は、液晶パネル11を支持するための矩形環状の平坦なパネル支持面を有する。このパネル支持面は、フレーム23を側板21bに装着したとき、バックライトシャーシ21における底板21aに平行となるように形成されている。
【0034】
液晶パネル11は、TFT基板がこのパネル支持面に臨むように、パネル支持部31に設置される。これにより、液晶パネル11は、底板21aに対して平行な姿勢で、パネル支持部31によって支持される。このとき、パネル支持部31は、液晶パネル11の周縁部11cを支持している。
【0035】
パネル支持部31によって支持された液晶パネル11は、その周縁部11cが、厚み方向の両側から、パネル支持部31とベゼル13とによって挟持されて固定される。これにより、表示面11aにおける周縁の領域が、ベゼル13によって被覆される。
【0036】
拡散板支持部32は、拡散板24を支持するための矩形環状の平坦な拡散板支持面を有する。この拡散板支持面は、フレーム23を側板21bに装着したとき、バックライトシャーシ21における底板21aに平行となるように形成されている。また、フレーム23の上部23aには、拡散板24の一部を挿入させるための挿入孔35が形成されている。
【0037】
拡散板24は、透光性を有し、厚み方向一方側の表面に入射した光を面方向に拡散させる機能を有する板状部材であり、厚み方向に見て略矩形状に形成されている。詳細には、矩形板状に形成された板状部と、板状部の側面から外方へ突出する複数の突出部とから成っている。
【0038】
拡散板24は、前記挿入孔35に前記突出部を挿し込んだ状態で、拡散板支持部32に設置される。これにより、拡散板24は、底板21aに対して平行な姿勢で、拡散板支持部32と複数の拡散板支持ピン27とによって支持される。このとき、拡散板支持部32は、拡散板24の周縁部を支持している。
【0039】
本実施形態では、拡散板24の板状部は、拡散板支持部32に設置されたときに、フレーム23の上部23aにおける内壁面との間に間隙が形成されるようなサイズに選択されている。これにより、装置稼動時における拡散板24の面方向への熱膨張分を、前記間隙によって吸収させることができる。
【0040】
フレーム23の上部23aは、パネル支持部31に支持された液晶パネル11と、拡散板支持部32に支持された拡散板24とが、空間Sを空けて離間するように形成されている。ここで、フレーム23の上部23aにおいて、空間Sを外囲する筒状の部分を、周壁部33と称する。したがって、パネル支持部31は、周壁部33に形成されている。周壁部33は、空間Sに臨む内壁面を有し、この内壁面には、光反射部34が全周にわたって設けられている。
【0041】
光反射部34は、光を反射する機能を有し、光源22から出射され、拡散板24を透過して空間Sに入射した光を有効に利用するために設けられている。特に、画面周縁部での輝度の低下を防止するために設けられている。光反射部34は、たとえば光の反射性に優れた白色を呈する合成樹脂製の反射シートを、周壁部33の内壁面を覆うように敷設することによって構成される。
【0042】
本実施形態では、3枚の光学シート25が、拡散板24上に積層されている。各光学シート25は、透光性を有し、所定の光学的機能を有するシート状部材であり、厚み方向に見て矩形状に形成されている。光学シート25の枚数は、3枚に限定されず、他の実施形態では、1枚または2枚であってもよいが、少なくとも光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、所定の方向に集光させることにより、該所定の方向の輝度を向上させる輝度向上シートが含まれているものとする。
【0043】
このような輝度向上シートとしては、プリズムシート、マイクロレンズシートおよびレンチキュラーシートなどが挙げられる。以下では、各液晶表示装置10に、輝度向上シートとしてプリズムシートが搭載されているものとして説明する。
【0044】
図3は、マルチディスプレイシステム1を予め定められる鑑賞位置Pから視認している状態を示す図であり、マルチディスプレイシステム1を側方から見た様子を示している。図3では、縦方向vにおいて、最上段に配置されている液晶表示装置を参照符10aで示し、上から2段目に配置されている液晶表示装置を参照符10bで示し、上から3段目に配置されている液晶表示装置を参照符10cで示し、最下段に配置されている液晶表示装置を参照符10dで示している。
【0045】
図3に示すように、予め定められる鑑賞位置Pからマルチディスプレイシステム1のマルチ画面Dを視認したとき、各液晶表示装置10a〜10dの表示面11aを視認する方向Ga〜Gdは互いに異なってしまう。
【0046】
具体的には、予め定められる鑑賞位置Pから、液晶表示装置10aを視認する方向Gaは、表示面11aの法線方向に対して角度θaを成し、液晶表示装置10bを視認する方向Gbは、表示面11aの法線方向に対して角度θbを成し、液晶表示装置10cを視認する方向Gcは、表示面11aの法線方向に対して角度θcを成し、液晶表示装置10dを視認する方向Gdは、表示面11aの法線方向に対して角度θdを成している。
【0047】
なお、鑑賞位置Pは、マルチディスプレイシステム1の設置環境に応じて設定されるものである。本実施形態では、マルチディスプレイシステム1のマルチ画面Dからの距離Lと、視線の平均的な高さ位置Hとによって鑑賞位置Pが設定されているものとする。
【0048】
図4Aおよび図4Bは、各液晶表示装置10a〜10dに設置されているプリズムシート40a〜40dの構成を示す断面図であり、横方向hに垂直な仮想一平面で切断したときの断面を示している。図4A(a)は、液晶表示装置10aに設置されているプリズムシート40aを示し、図4A(b)は、液晶表示装置10bに設置されているプリズムシート40bを示し、図4B(c)は、液晶表示装置10cに設置されているプリズムシート40cを示し、図4B(d)は、液晶表示装置10dに設置されているプリズムシート40dを示している。
【0049】
各プリズムシート40a〜40dは、透光性を有するフィルム状の基材41と、基材41の厚み方向の一方側の表面から突出する三角柱状の突出部43a〜43dがストライプ状に配列されて成る、集光部であるプリズム層42a〜42dとによって構成されている。
【0050】
基材41は、たとえばポリエステル樹脂から成り、プリズム層42a〜42dは、アクリル樹脂(屈折率n=1.49)またはフォトポリマーから成っている。各プリズムシート40a〜40dは、液晶表示装置10a〜10dにおいて、プリズム層42a〜42dが基材41に対して液晶パネル11側に配置されるように、拡散板24上に設置されている。
【0051】
プリズムシート40aは、図4A(a)に示すように、光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、視認方向Gaに集光するように、プリズム層42aが構成されている。
【0052】
具体的には、プリズム層42aにおける各突出部43aが、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、三角形状の断面を成し、かつ、該断面において、基材41に連接する底辺44の中点から頂点45に向かう方向(以下、「先端方向」と称する)が、底辺44の法線方向に対して角度θaだけ傾いた方向、すなわち視認方向Gaに一致するように形成されている。かかる構成のプリズムシート40aが設置されることにより、液晶表示装置10aの表示面11aからは、視認方向Gaの輝度が他の方向に比べて高くなるように光が出射される。
【0053】
また、プリズムシート40bは、図4A(b)に示すように、光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、視認方向Gbに集光するように、プリズム層42bが構成されている。
【0054】
具体的には、プリズム層42bにおける各突出部43bが、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、三角形状の断面を成し、かつ、該断面において、先端方向が、底辺44の法線方向に対して角度θbだけ傾いた方向、すなわち視認方向Gbに一致するように形成されている。かかる構成のプリズムシート40bが設置されることにより、液晶表示装置10bの表示面11aからは、視認方向Gbの輝度が他の方向に比べて高くなるように光が出射される。
【0055】
また、プリズムシート40cは、図4B(c)に示すように、光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、視認方向Gcに集光するように、プリズム層42cが構成されている。
【0056】
具体的には、プリズム層42cにおける各突出部43cが、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、三角形状の断面を成し、かつ、該断面において、先端方向が、底辺44の法線方向に対して角度θcだけ傾いた方向、すなわち視認方向Gcに一致するように形成されている。かかる構成のプリズムシート40cが設置されることにより、液晶表示装置10cの表示面11aからは、視認方向Gcの輝度が他の方向に比べて高くなるように光が出射される。
【0057】
また、プリズムシート40dは、図4B(d)に示すように、光源22から出射され、拡散板24によって面方向に拡散された光を、視認方向Gdに集光するように、プリズム層42dが構成されている。
【0058】
具体的には、プリズム層42dにおける各突出部43dが、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、三角形状の断面を成し、かつ、該断面において、先端方向が、底辺44の法線方向に対して角度θdだけ傾いた方向、すなわち視認方向Gdに一致するように形成されている。かかる構成のプリズムシート40dが設置されることにより、液晶表示装置10dの表示面11aからは、視認方向Gdの輝度が他の方向に比べて高くなるように光が出射される。
【0059】
以上のように、本実施形態に係るマルチディスプレイシステム1では、光源22から出射された光が、予め定める鑑賞位置Pへ向かう視認方向Ga〜Gdに集光するように、液晶表示装置10a〜10dごとに、各プリズム層42a〜42dの集光方向が設定されている。これにより、鑑賞位置Pからマルチ画面Dを視認した場合に、各液晶表示装置10a〜10dの輝度を略同等にすることができる。
【0060】
このように、プリズムシート40a〜40dにおけるプリズム層42a〜42dの構成を液晶表示装置10a〜10dごとに変更することで最大の輝度が得られる方向を調整しているので、マルチディスプレイシステム1全体の消費電力を増大させることなく、所定の鑑賞位置から視認したときの輝度ムラを改善することができる。
【0061】
本実施形態に係るマルチディスプレイシステム1では、縦方向vにおける所定の高さHに設定された鑑賞位置Pに集光するように、液晶表示装置10a〜10dごとにプリズム層42a〜42dの構成を変更しているが、他の実施形態では、横方向hに関して鑑賞位置P(たとえば、マルチ画面Dの横方向hにおける中央部に対向する位置)を設定し、該鑑賞位置Pに集光するように、液晶表示装置10a〜10dごとにプリズム層42a〜42dの構成を変更してもよい。
【0062】
また本実施形態では、輝度向上シートの1つであるプリズムシートによって集光方向を変化させていたが、他の実施形態では、プリズムシート以外の輝度向上シート、たとえばマイクロレンズシートおよびレンチキュラーシートなどを用いて、集光方向を変化させるように構成してもよい。この場合には、基材の厚み方向の一表面に反復的に設けられる各マイクロレンズあるいは各シリンドリカルレンズの光軸の方向が視認方向に一致するように、集光部が構成される。
【0063】
また他の実施形態では、複数枚の輝度向上シートを組み合わせることによって、液晶表示装置ごとに、集光方向を変化させるように構成してもよい。
【0064】
また本実施形態では、各液晶表示装置10に搭載されるプリズムシート40を、そのプリズム層42が基材41に対して液晶パネル11側に配置されるように設置することで、光源22からの光を、所定の一方向に集光させているが、他の実施形態では、以下で説明するように、プリズム層が基材に対して拡散板24側に配置されるように設置してもよい。
【0065】
図5は、他の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1Aを構成している一液晶表示装置10Aの構成を示す断面図である。液晶表示装置10Aは、プリズムシート50を除く残余の構成については、前述の実施形態に係る液晶表示装置10と同様に構成されている。なお、図5では、拡散板24およびプリズムシート50を除く残余の構成については省略して示している。
【0066】
液晶表示装置10Aに装着されるプリズムシート50は、前述の実施形態に係るプリズムシート40a〜40dと同様に、透光性を有するフィルム状の基材51と、基材51の厚み方向の一方側の表面から突出する三角柱状の突出部53がストライプ状に配列されて成るプリズム層52とによって構成されている。
【0067】
しかしながら、プリズムシート50におけるプリズム層52は、各突出部53が、その延設方向に垂直な仮想一平面で切断したとき、基材51に連接する底辺53aを除く残余の2つの辺53bの長さが互いに等しい二等辺三角形状の断面を有するように構成されている。換言すれば、各突出部53は、前記2つの辺53bが交わる頂点が、底辺53aの中点を通過し、かつ底辺53aに垂直に延びる直線上に位置するような断面を有している。
【0068】
図5に示すように、液晶表示装置10Aでは、そのプリズム層52が基材51に対して拡散板24側に配置されるように、プリズムシート50が設置されている。このように設置することで、光源22からの光を2つの方向に集光させることができる。かかる構成の場合、プリズムシート50において、プリズム層52の各突出部53における頂点の高さ(底辺53aからの距離)を調節することにより、光が集光する2つの方向を変化させることができる。
【0069】
したがって、液晶表示装置10Aごとに、プリズムシート50のプリズム層52における各突出部53の頂点の高さを適宜調節して、マルチディスプレイシステム1Aを構築することにより、予め定める2つの鑑賞位置から視認したときの輝度ムラを改善することができる。
【0070】
図6は、他の実施形態に係る液晶表示装置10Bの構成を示す断面図である。図7は、液晶表示装置10Bからシート保持体70を離脱させた状態を示す斜視図である。本実施形態に係る液晶表示装置10Bは、光学シート25の設置方法を除き残余の構成については、前述の実施形態に係る液晶表示装置10と同様であり、同一の構成については同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。
【0071】
本実施形態に係る液晶表示装置10Bは、前述の実施形態に係る液晶表示装置10と異なり、光学シート25を容易に着脱できるように構成されている。具体的には、液晶表示装置10Bは、光学シート25を保持するシート保持体70と、液晶パネル11と拡散板24との間に設けられ、シート保持体70が着脱自在に装着される装着部60とを含んで構成される。
【0072】
シート保持体70は、光学シート25の周縁部を保持する矩形枠状の本体部71と、本体部71の一端部に連なるフランジ部72とによって構成されている。一方、装着部60は、液晶表示装置10の一側面に形成された開口を介して挿入されたシート保持体70の本体部71を、光学シート25が液晶パネル11に臨んで配置されるような位置で固定できるように形成されている。
【0073】
このように本実施形態に係る液晶表示装置10Bでは、液晶パネル11と拡散板24との間に設けられるべき光学シート25を、容易に交換することができる。したがって、前述の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1を構築する場合に、本実施形態に係る液晶表示装置10Bを用いれば、各液晶表示装置10Bの配置位置に応じて、集光方向の互いに異なる複数種類のプリズムシートの中から適宜選択し、選択したプリズムシートをシート保持体70に保持させて装着することができる。
【0074】
このように所望のプリズムシートを適宜選択して装着することができるので、集光方向の互いに異なるプリズムシートを備えた複数種類の液晶表示装置を予め準備する必要がなく、マルチディスプレイシステム1の製造コストを低減することができる。また、集光方向の互いに異なるプリズムシートを複数種類準備しておくことにより、前述の実施形態に係るマルチディスプレイシステム1を容易に構築することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 マルチディスプレイシステム
10 液晶表示装置
11 液晶パネル
12 バックライトユニット
13 ベゼル
21 バックライトシャーシ
22 光源
23 フレーム
24 拡散板
25 光学シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置を平面的に複数並べて構成されるマルチ画面を有するマルチディスプレイシステムであって、
各画像表示装置は、
画像を表示可能な光透過型の表示パネルと、
前記表示パネルの背面側に設けられる光照射部と、
前記表示パネルと前記光照射部との間に設けられ、該光照射部からの出射光を所定の方向に集光させる機能を有する集光部を備える光学シートとを含み、
光照射部からの出射光が、前記マルチ画面の予め定める鑑賞位置へ向かう方向に集光するように、画像表示装置ごとに、前記光学シートの集光部の集光方向が設定されていることを特徴とするマルチディスプレイシステム。
【請求項2】
前記各画像表示装置において、前記集光部が光照射部側に配置されるように前記光学シートを設けたことを特徴とする請求項1記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマルチディスプレイシステムに備えられる画像表示装置であって、
前記光学シートを保持するシート保持体と、
前記表示パネルと前記光照射部との間に設けられ、前記シート保持体が着脱自在に装着される装着部とをさらに含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
画像表示装置を平面的に複数並べて構成されるマルチ画面を有するマルチディスプレイシステムであって、
各画像表示装置は、
画像を表示可能な光透過型の表示パネルと、
前記表示パネルの背面側に設けられる光照射部と、
前記表示パネルと前記光照射部との間に設けられ、該光照射部からの出射光を所定の方向に集光させる機能を有する集光部を備える光学シートとを含み、
光照射部からの出射光が、前記マルチ画面の予め定める鑑賞位置へ向かう方向に集光するように、画像表示装置ごとに、前記光学シートの集光部の集光方向が設定されていることを特徴とするマルチディスプレイシステム。
【請求項2】
前記各画像表示装置において、前記集光部が光照射部側に配置されるように前記光学シートを設けたことを特徴とする請求項1記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマルチディスプレイシステムに備えられる画像表示装置であって、
前記光学シートを保持するシート保持体と、
前記表示パネルと前記光照射部との間に設けられ、前記シート保持体が着脱自在に装着される装着部とをさらに含むことを特徴とする画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−88529(P2013−88529A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227325(P2011−227325)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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