説明

マルチディスプレイ制御装置

【課題】 少ない表示装置によってマルチディスプレイを構成した場合であっても、適切に画像を表示させるマルチディスプレイ制御装置を提供すること。
【解決手段】 制御センタ20は、必要最小限の移動可能な表示装置10によって不均一に構成されるマルチディスプレイにおいて表示すべき画像を設定する。続いて、制御センタ20は、マルチディスプレイの画面上にて少ない表示装置10によって画像を表示するときの最適な表示位置を特定する。そして、制御センタ20は、マルチディスプレイを構成する表示装置10ごとに、特定した表示位置を目標位置に設定し、複数の表示装置10に対して設定した目標位置を表す目標位置情報及び移動指令を送信する。これにより、各表示装置10は、自身の現在位置と目標位置とを比較して一致しなければ、移動指令に従って目標位置まで移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の小型の表示装置から構成されて種々の画像を表示するマルチディスプレイの表示作動を制御するマルチディスプレイ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に示されているようなマルチ映像表示装置は、知られている。この従来のマルチ映像表示装置は、パネルユニットを左右方向に隣接して架体フレームに固定して、マルチディスプレイを構成するようになっている。
【0003】
又、従来から、例えば、下記特許文献2に示されているような移動体発光表示装置も知られている。この従来の移動体発光表示装置は、ELパネルが発光面とは反対側に面をマグネットシートを介して自動車の車体側面に貼り付けられるようになっている。そして、このELパネルの発光面上に、透光性の広告・メッセージパネルは配置されるようになっている。
【0004】
又、従来から、例えば、下記特許文献3に示されているような表示装置、マルチディスプレイシステム、マルチディスプレイ方法、及びその方法を実現するためにコンピュータにより実行されるプログラムも知られている。この従来の表示装置等は、マルチディスプレイ画面を構成する1つの表示装置と代表として設定し、この代表の表示装置に他の表示装置で検出された照度を収集し、この代表の表示装置においてマルチディスプレイ画面を構成する各表示装置で検出された照度の平均値を求めて、この平均値に対応する輝度を求め、この求めた輝度に各表示装置の画面の輝度を調節して、各表示装置の画面の輝度を均一化するようになっている。これにより、マルチディスプレイ画面の輝度ムラを生じることがないようにしている。
【0005】
更に、従来から、例えば、下記特許文献4に示されているようなマルチディスプレイシステムも知られている。この従来のマルチディスプレイシステムは、表示装置群のそれぞれの小型液晶パネルに表示するための表示データをフレームメモリに保存し、フレームメモリに書き込まれた表示データをフレームメモリ読み出し回路が読み出し、読み出し時に読み出し開始アドレス設定回路にて表示装置群を構成する複数の小型液晶パネルに表示するためにどの表示装置に表示するかのアドレスを設定し、このアドレスに従って1水平同期期間に表示装置群に対応したラインメモリに映像信号が送信されて、表示装置に映像を表示するようになっている。これにより、複数の小型液晶パネルを使用して、大画面サイズの表示を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−180988号公報
【特許文献2】特開2004−151629号公報
【特許文献3】特開2009−216809号公報
【特許文献4】特開2010−156846号公報
【発明の概要】
【0007】
ところで、上記特許文献1に示されたマルチ映像表示装置や、上記特許文献3に示された従来の表示装置等、上記特許文献4に示された従来のマルチディスプレイシステムにおいては、複数の表示装置を規則的に固定してマルチディスプレイ画面を構成する必要がある。このため、マルチディスプレイを大型化する場合には、表示領域に対応させて表示装置の数を増やす必要がある。言い換えれば、上記従来の装置等においては、少ない表示装置によって大型画面を構成することが不能である。
【0008】
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、少ない表示装置によってマルチディスプレイを構成した場合であっても、適切に画像を表示させるマルチディスプレイ制御装置を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、画像を表示する複数の表示装置によって構成されるマルチディスプレイの表示画像を制御するマルチディスプレイ制御装置において、前記マルチディスプレイは、少なくとも一つの移動可能な表示装置を備え、前記マルチディスプレイ制御装置は、前記マルチディスプレイに表示する画像に合わせて、前記移動可能な表示装置を移動させることにある。尚、この場合、前記マルチディスプレイ制御装置は、前記マルチディスプレイの画面上に表示する画像に合わせて、前記マルチディスプレイを構成する前記移動可能な表示装置を移動させる移動指示手段を備えることが可能である。そして、この場合、前記マルチディスプレイを構成する前記移動可能な表示装置は、構成する前記マルチディスプレイの画面内にて移動可能に設けられるとよい。
【0010】
この場合、前記マルチディスプレイ制御装置は、前記マルチディスプレイに表示する画像に関し、この画像を前記マルチディスプレイの画面上に表示するための表示位置を特定し、前記移動可能な表示装置について前記特定した表示位置を目標位置に設定し、前記移動可能な表示装置を前記設定した目標位置まで移動させることができる。尚、この場合、前記マルチディスプレイ制御装置は、前記マルチディスプレイの画面上に表示する画像に関し、この画像を前記マルチディスプレイの画面上に表示するための表示位置を特定する表示位置特定手段と、前記マルチディスプレイを構成する前記移動可能な表示装置について前記特定した表示位置を目標位置に設定する目標位置設定手段とを備えることができ、前記移動指示手段は、前記移動可能な複数の表示装置を前記設定した目標位置まで移動させることを指示することができる。
【0011】
又、この場合、前記移動可能な表示装置は、前記設定された目標位置を表す目標位置情報を取得し、現在位置を検出し、前記取得した目標位置情報によって表される目標位置と前記検出した現在位置とを比較し、前記目標位置と前記現在位置とが一致しておらず、前記目標位置まで移動する必要があるときに移動することができる。尚、この場合、前記移動可能な複数の表示装置は、前記設定された目標位置を表す目標位置情報を取得する目標位置情報取得手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、前記目標位置情報取得手段によって取得された目標位置情報によって表される目標位置と前記位置検出手段によって検出された現在位置とを比較する比較手段とを備えることができ、前記比較手段による比較に基づき、前記目標位置と前記現在位置とが一致しておらず、前記目標位置まで移動する必要があるときに移動することができる。
【0012】
これらによれば、マルチディスプレイを構成する複数の表示装置のうちの少なくとも一部がこの画面内にて移動することができるように、少ない表示装置によって不均一にマルチディスプレイを構成することができる。すなわち、少ない表示装置によって大画面のマルチディスプレイを構成することが可能である。そして、このようなマルチディスプレイの画面上に画像を表示させる場合、この画像に合わせて一部の表示装置を移動させることにより、表現力を向上させて画像を適切に表示することができる。又、マルチディスプレイを構成する際に、複数の表示装置を規則正しく配置する必要がなく、又、表示装置の数を適切に低減することができる。従って、マルチディスプレイを構成するために必要な時間を短縮することができるとともに、設置に伴うコストを低減することができる。
【0013】
更に、本発明の他の特徴は、前記マルチディスプレイを構成する前記移動可能な表示装置が車両に搭載されており、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記表示部が前記車両の外板の外表面上に設けられたことにもある。これによれば、例えば、大規模な駐車場に車両を並べる(駐車する)ことによって、車両すなわち表示部が極めて容易に大画面のマルチディスプレイを構成することができる。又、並べる(駐車する)車両すなわち表示部の数を増加させることにより、所謂、表示における解像度が向上することになり、大画面かつ高精細なマルチディスプレイの画面を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係り、移動可能な複数の表示装置(車両)から構成されるマルチディスプレイ及び制御センタを示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係り、図1の表示装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図2の表示装置における表示部を車両の外板の外表面上に設けた状態を説明するための概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係り、図1の制御センタの構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係り、図4の制御センタにおける制御サーバによって実行される表示制御プログラムのフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係り、図2の表示装置における電子制御ユニットによって実行される表示移動制御プログラムのフローチャートである。
【図7】マルチディスプレイを構成する移動可能な表示装置(車両)の表示位置(目標位置)への移動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置の制御装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るマルチディスプレイ制御装置を有する制御システムを概略的に示した概略ブロック図である。この制御システムは、図1に示すように、マルチディスプレイを構成する移動可能な複数の表示装置10と、複数の表示装置10に対して表示させる画像(映像)を設定して画像(映像)データを供給するとともに表示させる画像(映像)に応じてマルチディスプレイを構成する際の目標位置までの表示装置10の移動を指示する制御センタ20とを備えている。
【0016】
表示装置10は、図2に概略的に示すように、画像(映像)を表示する表示部11を備えている。表示部11は、周知の自発光型表示パネル(例えば、プラズマ表示パネルや有機EL表示パネル等)や透過光型表示パネル(例えば、バックライトを有する液晶表示パネル等)を備えるとともに、これら表示パネルを作動させるための周知の駆動回路(図示省略)を備えている。
【0017】
ここで、本実施形態においては、図1に概略的に示したように、移動可能な車両を用いて表示装置10を構成する。すなわち、本実施形態においては、表示装置10を構成する表示部11について、車両の外板の外表面上に、例えば、上述した薄板状の自発光型表示パネルや透過光型表示パネルを貼付するように設け、車両外に向けて画像(映像)表示が可能となるように構成する。具体的には、図3に概略的に示すように、車両の外形を形成するフード(ボンネット)、左右のサイドパネル(フェンダやドアパネル、ピラー等)、ルーフやトランクリッド(リアゲート)、或いは、必要な透明性を確保できる場合にはフロント、リア及びサイドガラスに対して、薄板状に形成された表示部11を貼付するとともにこの貼付した表示部11の外表面に透明な保護層(例えば、ポリカーボネート等の樹脂材料)を設ける。これにより、貼付された表示部11は、種々の画像(映像)を車両外部に向けて表示(再生)することができる。
【0018】
又、表示装置10は、図2に示すように、電子制御ユニット12、通信ユニット13、記憶ユニット14及び位置検出ユニット15を必要最小限の構成として備えている。
【0019】
電子制御ユニット12は、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータであり、後述するプログラムを含む各種プログラムを実行することにより、表示装置10の表示作動及び移動動作を統括的に制御する。このため、電子制御ユニット12に対して、通信ユニット13、記憶ユニット14及び位置検出ユニット15がそれぞれ電気的に通信可能に接続されている。
【0020】
通信ユニット13は、他の表示装置10や制御センタ20等の外部との間における種々の通信を可能とするものである。尚、通信ユニット13による通信方法自体は、本発明に直接関係するものではなく、周知の通信方法(例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)を利用した近距離通信、通信基地局を含む携帯電話回線及びインターネット回線網を利用した通信等)を採用することができる。これにより、例えば、後述するようにマルチディスプレイ(より具体的には、マルチディスプレイ画面)を構成する際に電子制御ユニット12が通信ユニット13を利用して他の表示装置10における電子制御ユニット12と通信したり、制御センタ20と通信して画像(映像)データや目標位置情報を受信したりすることができる。
【0021】
記憶ユニット14は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、電子制御ユニット12が表示装置10の表示作動や移動動作を統括的に制御するために必要な各種プログラム及び各種データを予め或いは更新可能に記憶している。ここで、記憶ユニット14に記憶される各種データとしては、例えば、後述するように制御センタ20から提供される画像(映像)データや目標位置情報、情報テーブル等がある。
【0022】
位置検出ユニット15は、表示装置10(すなわち、本実施形態においては車両)の現在位置を検出するものである。このため、位置検出ユニット15は、例えば、3つ以上のGPS(Global Positioning System)衛星からそれぞれ送出されるGPS信号を取得し、これらのGPS信号に基づいて表示装置10(すなわち車両)の現在位置を検出したり、通信ユニット13と協働して携帯電話回線用の通信基地局からの送信信号を取得し、この送信信号に基づいて表示装置10(すなわち車両)の現在位置を検出したり、或いは、GPS衛星からのGPS信号と通信基地局からの送信信号の両方に基づいて表示装置10(すなわち車両)の現在位置を検出する。そして、位置検出ユニット15は、検出した現在位置を表す現在位置情報を電子制御ユニット12に出力するようになっている。
【0023】
制御センタ20は、移動可能な複数の表示装置10がマルチディスプレイ(より詳しくは、マルチディスプレイ画面)を構成したときの画像(映像)の表示作動を制御するためのものである。すなわち、制御センタ20は、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成した表示装置10が表示すべき画像(映像)を設定するとともに、設定した画像(映像)に応じてマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)内における最適な表示位置に表示装置10を配置する。
【0024】
このため、制御センタ20は、図4に示すように、制御サーバ21と、通信ユニット22と、記憶ユニット23とを備えている。制御サーバ21は、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータであり、後述するプログラムを含む各種プログラムを実行することにより、制御センタ20を統括的に制御する。このため、制御サーバ21に対して、通信ユニット22及び記憶ユニット23がそれぞれ電気的に通信可能に接続されている。
【0025】
通信ユニット22は、複数の表示装置10や、ユーザが利用する情報端末(例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、パソコン等)との間における種々の通信を可能とするものである。尚、通信ユニット22による通信方法自体も、本発明に直接関係するものではなく、周知の通信方法(例えば、通信基地局を含む携帯電話回線及びインターネット回線網を利用した通信等)を採用することができる。これにより、後述するようにマルチディスプレイ(より具体的には、マルチディスプレイ画面)を構成する表示装置10に対して画像(映像)データ及び目標位置情報を送信したり、ユーザから提供される画像(映像)データ等を受信したりすることができる。
【0026】
記憶ユニット23は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、制御サーバ21が制御センタ20や表示装置10の作動を統括的に制御するために必要な各種プログラム及び各種データを予め或いは更新可能に記憶している。ここで、記憶ユニット23に記憶される各種データとしては、例えば、複数の表示装置10によってマルチディスプレイが構成される際に必要な情報テーブルがある。この情報テーブルは、例えば、マルチディスプレイ(より詳しくは、マルチディスプレイ画面)を構成する表示装置10の数を示す構成数情報や、表示すべき画像(映像)の位置を示す表示位置情報、マルチディスプレイ画面によって画像(映像)を表示するときの各表示装置10に要求される輝度を表す輝度値情報等から構成されるものである。
【0027】
又、記憶ユニット23の所定記憶位置には、表示装置10の表示部11に表示すべき画像(映像)データが検索可能に記憶されている。ここで、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶される画像(映像)データは、予め記憶されている特定の画像(映像)データであったり、ネットワーク(例えば、インターネット回線網等)を介して通信可能に接続されたユーザの情報端末等から提供される更新可能な画像(映像)データである。
【0028】
次に、上記のように構成した制御システムに適用される表示装置10及び制御センタ20の作動を説明する。
【0029】
表示装置10においては、電子制御ユニット12による制御に従い、表示部11に種々の画像(映像)を表示又は再生することができる。ここで、本実施形態においては、表示装置10の表示部11が車両の外板上に設けられている。このため、電子制御ユニット12が記憶ユニット14の所定記憶位置に記憶されている画像(映像)データを取得し、この取得した画像(映像)データを周知の駆動回路を介して表示部11に供給することにより、表示部11は供給された画像(映像)データに基づく種々の画像(映像)やメッセージを車両外部に向けて表示することができる。そして、このように移動可能な、言い換えれば、自由にレイアウト可能な複数の表示装置10が連携することによって、マルチディスプレイ(より詳しくは、マルチディスプレイ画面)を構成することができ、構成されるマルチディスプレイ画面上に種々の画像(映像)やメッセージを表示することができる。
【0030】
ところで、一般に、複数の表示装置からマルチディスプレイを構成する場合には、マルチディスプレイ画面内にて、各表示装置同士を隣接させて(密となるように)規則正しく配置することが行われる。これに対して、本実施形態における制御システムでは、複数の表示装置10からマルチディスプレイを構成する際に、制御センタ20がマルチディスプレイ画面上にて表示する画像(映像)に合わせて表示装置10を最適な表示位置に移動させることによって、必要最低限の数の表示装置10を用いて、言い換えれば、マルチディスプレイ画面内で移動可能に不均一にマルチディスプレイを構成し、適切に画像(映像)を表示させることができる。尚、本実施形態においては、図1に概略的に示すように、便宜上、表示装置10(車両)が一方向を向いて配置されるように実施するが、各表示装置10(車両)は自由にレイアウト可能であるため、後述する表示制御及び移動制御から明らかなように、向きは限定されるものではなく如何なる向きであってもよい。
【0031】
このように、必要最小限の表示装置10を用いてマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成して画像(映像)を適切に表示するために、制御システムを構成する制御センタ20においては制御サーバ21が図5に示す表示制御プログラムを実行し、制御システムを構成する複数の表示装置10においては電子制御ユニット12が図6に示す表示移動制御プログラムを実行する。そして、制御センタ20と複数の表示装置10とは、図5に示す表示制御プログラムと図6に示す表示移動制御プログラムとを協調して実行する。
【0032】
まず、制御センタ20においては、制御サーバ21が図5に示すフローチャートにおけるステップS10にて表示制御プログラムの実行を開始し、続くステップS11にて、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する複数の表示装置10に表示させるべき画像(映像)を特定して取得する。すなわち、制御サーバ21は、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶されている画像(映像)データのうちから、例えば、ユーザが所望する画像データ(例えば、写真等の静止画像データ)や映像データ(例えば、コマーシャルフィルムやアニメーション等の動画データ)を取得する。そして、制御サーバ21は、画像(映像)データ)を取得すると、ステップS12に進む。
【0033】
ステップS12においては、制御サーバ21は、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成し得る各表示装置10(すなわち車両)から同装置10の現在位置を表す現在位置情報を取得する。具体的に説明すると、表示装置10(車両)においては、電子制御ユニット12が位置検出ユニット15によって検出された現在位置を表す現在位置情報を取得する。そして、表示装置10(車両)の電子制御ユニット12は、それぞれ位置検出ユニット15から取得した現在位置情報とともに自身を識別するための識別情報を通信ユニット13を介して制御センタ20に送信する。制御センタ20においては、制御サーバ21が通信ユニット22を介して各表示装置10(車両)から送信されたそれぞれの現在位置情報及び識別情報を取得する。そして、制御サーバ21は、取得したそれぞれの現在位置情報及び識別情報とを互いに関連付けて記憶ユニット23の所定記憶位置に一時的に記憶し、ステップS13に進む。
【0034】
ステップS13においては、制御サーバ21は、前記ステップS11にて取得した画像(映像)データによって表される画像(映像)の表示位置(大きさ)と前記ステップS12にて取得した各表示装置10の現在位置情報によって表される現在位置とに基づき、各表示装置10がマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成したときに、このマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)上に取得した画像(映像)データによって表される画像(映像)を表示させるためのデータ(以下、このデータをマルチ画像(映像)データと称呼する。)を作成する。そして、制御サーバ21は、マルチ画像(映像)データを作成すると、ステップS14に進む。
【0035】
ステップS14においては、制御サーバ21は、前記ステップS13にて作成したマルチ画像(映像)データによって表される画像(映像)を各表示装置10によって構成されるマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)上に表示するにあたり、必要最小限の表示装置10によって画像(映像)を適切に表示するために位置すべき表示装置10の最適な表示位置を特定する。そして、制御サーバ21は、特定した表示位置と、前記ステップS12にて取得した各表示装置10の現在位置情報によって表される現在位置とを比較し、表示装置10ごとに表示位置を目標位置に設定する。そして、制御サーバ21は、設定した目標位置を表す目標位置情報とともに目標位置まで移動することを指示する移動指令を、通信ユニット22を介して、各表示装置10に送信する。これにより、後述するように、各表示装置10は、目標位置情報によって表される目標位置、すなわち、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)上にて画像(映像)を適切に表示するために最適な表示位置に存在するようになる。このように、目標位置情報及び移動指令を送信すると、制御サーバ21はステップS15に進む。
【0036】
ステップS15においては、制御サーバ21は、各表示装置10が目標位置に到着したか否かを判定する。すなわち、制御サーバ21は、後述するように、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する全表示装置10から送信される移動完了情報を通信ユニット22を介して受信していれば、各表示装置10が目標位置に到着しているために「Yes」と判定してステップS16に進む。一方、全表示装置10から移動完了情報を受信していなければ、制御サーバ21は全表示装置10から移動完了情報を受信するまで「No」と判定して繰り返しステップS15の判定処理を実行する。
【0037】
ステップS16においては、制御サーバ21は、前記ステップS15における判定処理に従い、全表示装置10が目標位置(表示位置)までの移動が完了しているために、前記ステップS13にて作成したマルチ画像(映像)データとともに記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶されている情報テーブルを、通信ユニット22を介して、各表示装置10に送信する。そして、制御サーバ21は、マルチ画像(映像)データ及び情報テーブルを送信すると、ステップS17に進み、表示制御プログラムの実行を終了する。
【0038】
一方、制御センタ20の制御サーバ21から図5に示した表示制御プログラムのステップS14の送信処理に従って目標位置情報及び移動指令が送信されると、図6に示す表示移動制御プログラムをステップS30にて実行を開始している各表示装置10においては、電子制御ユニット12が、ステップS31にて前記送信された目標位置情報及び移動指令を、通信ユニット13を介して受信して取得する。そして、電子制御ユニット12は、取得した目標位置情報及び移動指令を記憶ユニット14の所定記憶位置に一時的に記憶し、ステップS32に進む。
【0039】
ステップS32においては、電子制御ユニット12は、前記ステップS31にて記憶ユニット14に一時的に記憶した目標位置情報によって表される目標位置(表示位置)と、位置検出ユニット15によって検出された自身の表示装置10(車両)の現在位置とを比較し、目標位置(表示位置)まで移動する必要があるか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット12は、目標位置(表示位置)と現在位置とが略一致しており、自身の表示装置10が移動する必要がなければ「No」と判定してステップS34に進む。尚、このように、表示装置10を移動させる必要がない場合においても、電子制御ユニット12は、通信ユニット13を介して、目標位置までの移動が完了したことを表す移動完了情報を制御センタ20の制御サーバ21に送信する。一方、目標位置(表示位置)と現在位置とが一致しておらず、目標位置(表示位置)まで移動する必要があれば、電子制御ユニット12は「Yes」と判定してステップS33に進む。
【0040】
ステップS33においては、電子制御ユニット12は、前記ステップS31にて取得した移動指令に従い、図7に示すように、自身の表示装置10(車両)を目標位置(表示位置)まで移動させる。すなわち、電子制御ユニット12は、位置検出ユニット15によって検出される表示装置10(車両)の現在位置を取得しながら、表示装置10(車両)を目標位置(表示位置)に向けて移動させる。そして、電子制御ユニット12は、位置検出ユニット15によって検出される表示装置10(車両)の現在位置と目標位置(表示位置)とが略一致すると、通信ユニット13を介して、制御センタ20の制御サーバ21に対して、目標位置(表示位置)までの移動が完了したことを表す移動完了情報を送信する。これにより、制御センタ20の制御サーバ21は、図5に示した表示制御プログラムにおけるステップS15にて移動完了情報を受信したか否かを判定することができる。このように、表示装置10(車両)の現在位置と目標位置(表示位置)とが略一致すると、電子制御ユニット12はステップS34に進む。
【0041】
ステップS34においては、電子制御ユニット12は、制御センタ20の制御サーバ21が前記表示制御プログラムのステップS16にて送信したマルチ画像(映像)データ及び情報テーブルを受信する。そして、電子制御ユニット12は、受信したマルチ画像(映像)データ及び情報テーブルを記憶ユニット14の所定記憶位置に記憶し、ステップS35に進む。
【0042】
ステップS35においては、各表示装置10(車両)の電子制御ユニット12は、目標位置(表示位置)にてマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成して、記憶ユニット14の所定記憶位置に記憶した受信したマルチ画像(映像)データ及び情報テーブルに従って画像(映像)を表示する。具体的に、各表示装置10(車両)の電子制御ユニット12は、取得したマルチ画像(映像)データ及び現在位置(表示位置)に従い、自身の表示部11がマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)上で表示すべき(表示を担当する)画像(映像)部分を特定する。そして、各表示装置10(車両)の電子制御ユニット12は、それぞれ、特定した画像(映像)部分を表示する。このように、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する全表示装置10(車両)が、それぞれ、指定された表示位置に移動して(存在して)対応する画像(映像)を表示することにより、必要最小限の表示装置10(車両)によって構成されるマルチディスプレイ画面全体として画像(映像)を適切に表示或いは再生することができる。そして、各表示装置10(車両)の電子制御ユニット12は、マルチ画像(映像)データ及び情報テーブルに基づいて画像(映像)を表示(再生)すると、ステップS36に進み、表示移動制御プログラムの実行を終了する。
【0043】
尚、マルチディスプレイ画面に画像(映像)を表示するにあたり、全表示装置10(車両)が共有する情報テーブルに含まれる輝度値情報について簡単に説明しておく。各表示装置10(車両)の電子制御ユニット12は、表示装置10に設けられる図示省略の照度センサによって検出された表示部11周辺(すなわち、本実施形態においては車両周辺)の照度を表す照度情報を取得し、取得した照度情報によって表される表示部11周辺の照度を記憶ユニット14の所定記憶位置に記憶されている情報テーブルに書き込む。そして、各表示装置10(車両)の電子制御ユニット12は、通信ユニット13を介して、表示装置10を識別する所定の識別情報とともに照度センサによって検出された表示部11周辺(すなわち、車両周辺)の照度情報を制御センタ20に送信する。これにより、制御センタ20の制御サーバ21は、通信ユニット22を介して、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する各表示装置10(車両)から送信された照度情報及び識別情報を取得し、これら照度情報及び識別情報を互いに関連付けて記憶ユニット23の所定記憶位置に検索可能に記憶する。
【0044】
続いて、制御センタ20の制御サーバ21は、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶した照度情報によって表される各表示装置10の表示部11周辺の照度のうちから、例えば、最大値及び最小値を除去した照度の平均値(平均の照度値)を決定する。そして、制御サーバ21は、この決定した平均の照度値に対応する輝度値を決定し、この決定した輝度値を表す輝度値情報を記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶されている情報テーブルに書き込むとともに、上述したように、通信ユニット22を介して、情報テーブル(すなわち輝度値情報)を各表示装置10に送信する。
【0045】
このように、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する全表示装置10の電子制御ユニット12が輝度値情報を共有すると、この共有する輝度値情報に基づいて、電子制御ユニット12は表示部11の輝度を調節する。これにより、複数の表示装置10が連携してマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成して画像(映像)を表示する場合であっても、各表示装置10における表示部11の輝度が均一化され、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の輝度ムラが生じることによる見栄えの悪化を効果的に防止することができる。
【0046】
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する複数の表示装置10のうちの少なくとも一部がマルチディスプレイ画面内にて移動することができるように、言い換えれば、少ない表示装置10によって不均一にマルチディスプレイを構成することができる。すなわち、少ない表示装置10によって大画面のマルチディスプレイを構成することが可能である。そして、このようなマルチディスプレイの画面上に画像(映像)を表示させる(再生させる)場合、この画像(映像)に合わせて一部の表示装置10を移動させることにより、表現力を向上させて画像(映像)を適切に表示する(再生する)ことができる。又、マルチディスプレイを構成する際に、複数の表示装置10を規則正しく配置する必要がなく、又、表示装置10の数を適切に低減することができる。従って、マルチディスプレイを構成するために必要な時間を短縮することができるとともに、設置に伴うコストを低減することができる。
【0047】
又、表示装置10の表示部11を車両の外板の外表面上に設置(貼付)し、車両全体があたかも表示装置10の表示部11であるかのように構成することにより、例えば、大規模な駐車場に車両を並べる(駐車する)ことによって、車両すなわち表示装置10の表示部11が極めて容易に大画面のマルチディスプレイを構成することができる。又、並べる(駐車する)車両すなわち表示装置10の表示部11の数を増加させることにより、所謂、表示における解像度が向上することになり、大画面かつ高精細なマルチディスプレイの画面を容易に構成することができる。
【0048】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態においては、薄板状とされた周知の自発光型表示パネルや透過光型表示パネル等からなる表示部11を車両の外板の外表面上に設置(貼付)し、車両全体があたかも移動可能な表示装置10であるかのように実施した。この場合、移動可能な表示装置10としては、携帯電話やスマートフォン、タブレット型端末やノートパソコン等を採用することができる。これらを採用する場合であっても、表示装置10を必要最小限だけ複数並べることによってマルチディスプレイ画面を構成することができ、このとき、上記実施形態と同様に、制御センタ20及び各表示装置10が図5に示した表示制御プログラム又は図6に示した表示移動制御プログラムを実行することによって、表示装置10を移動させることによって上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0050】
又、上記各実施形態においては、薄板状の表示部11を車両の外板の外表面上に貼付するように設けて実施した。この場合、例えば、車両の前後左右及びルーフに、周知の自発光型表示パネル(例えば、プラズマ表示パネルや有機EL表示パネル等)や透過光型表示パネル(例えば、バックライト有する液晶表示パネル等)からなる所謂筐体を有するディスプレイ装置を設けて実施可能であることは言うまでもない。この場合であっても、上記実施形態と同様に、制御センタ20及び各表示装置10が図5に示した表示制御プログラム又は図6に示した表示移動制御プログラムを実行することによって、表示装置10を移動させることによって上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
更に、上記各実施形態においては、表示装置10に対して別途設けた制御センタ20が目標位置情報やマルチ画像(映像)データを送信(提供)するように実施した。しかし、表示装置10と制御センタ20とを別体として設けることに限定されるものではなく、例えば、表示装置10に対して上述した制御センタ20が発揮する機能を一体的に設けるように構成したり、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する表示装置10が連携することによって上述した制御センタ20が発揮する機能を発揮するように構成して実施可能であることは言うまでもない。そして、このように、表示装置10に制御センタ20の機能を一体的に設ける場合には、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する表示装置10のうちのいずれかを上述した制御センタ20のように機能させて実施することが可能である。このように、表示装置10に対して制御センタ20の機能を一体的に設けて実施する場合であっても、制御センタ20の機能が一体的に設けられた表示装置10が上記実施形態の図5又は図6に示したプログラムを実行することによって、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【符号の説明】
【0052】
10…表示装置、11…表示部、12…電子制御ユニット、13…通信ユニット、14…記憶ユニット、15…位置検出ユニット、20…制御センタ、21…制御サーバ、22…通信ユニット、23…記憶ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する複数の表示装置によって構成されるマルチディスプレイの表示画像を制御するマルチディスプレイ制御装置において、
前記マルチディスプレイは、少なくとも一つの移動可能な表示装置を備え、
前記マルチディスプレイ制御装置は、
前記マルチディスプレイに表示する画像に合わせて、前記移動可能な表示装置を移動させることを特徴とするマルチディスプレイ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載したマルチディスプレイ制御装置において、
前記マルチディスプレイ制御装置は、
前記マルチディスプレイに表示する画像に関し、この画像を前記マルチディスプレイの画面上に表示するための表示位置を特定し、
前記移動可能な表示装置について前記特定した表示位置を目標位置に設定し、
前記移動可能な表示装置を前記設定した目標位置まで移動させることを特徴とするマルチディスプレイ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載したマルチディスプレイ制御装置において、
前記移動可能な表示装置は、
前記設定された目標位置を表す目標位置情報を取得し、
現在位置を検出し、
前記取得した目標位置情報によって表される目標位置と前記検出した現在位置とを比較し、
前記目標位置と前記現在位置とが一致しておらず、前記目標位置まで移動する必要があるときに移動することを特徴とするマルチディスプレイ制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載したマルチディスプレイ制御装置において、
前記マルチディスプレイを構成する前記移動可能な表示装置は、
構成する前記マルチディスプレイの画面内にて移動可能に設けられることを特徴とするマルチディスプレイ制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載したマルチディスプレイ制御装置において、
前記マルチディスプレイを構成する前記移動可能な表示装置が車両に搭載されており、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記表示部が前記車両の外板の外表面上に設けられたことを特徴とするマルチディスプレイ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−64924(P2013−64924A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204380(P2011−204380)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】