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マルチバイオセンサチップ組立用キット、マルチバイオセンサチップの製造方法及びマルチバイオセンサチップ
説明

マルチバイオセンサチップ組立用キット、マルチバイオセンサチップの製造方法及びマルチバイオセンサチップ

【課題】複数の作用極を有し、1つの試料について同時または並行して測定が可能なマルチタイプのバイオセンサチップの提供。
【解決手段】第1電極及び第2電極が埋設された、開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する複数の流路用開口部を有する第1基板からなる第1部材、測定対象となる被検体を導入するための貫通孔を有する第2部材を含むバイオセンサ組立用キット。第2電極の流路用開口部における露出表面、各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または露出表面及び先端側の表面にバイオセンサ用の生物材料を固定する。第1接合面と第2接合面が対向するように第1部材と第2部材を積層し接合したときに、第1部材の各流路用開口部と第2部材の各流路用開口部と対向する面との間に空間が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチバイオセンサチップ組立用キット、マルチバイオセンサチップの製造方法及びマルチバイオセンサチップに関する。本発明のマルチバイオセンサチップは、バイオセンサとして機能する複数の作用極を有する「マルチ」タイプのバイオセンサチップである。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサには、酵素サンサ、微生物センサ、免疫センサなどがある。これらは、酵素群や抗原抗体の反応特異性を利用して、多数の有機物質が混在する溶液中でも、選択的に特定の有機物(測定対象、被検体)を識別定量できる。バイオセンサチップは、バイオセンサにおける測定対象を直接収納する部分であり、測定対象と特異的に作用する反応部(空間)を形成したバイオセンサチップ本体と、反応部での反応によって変化する現象を電気的に検出して外部に伝達する手段(電極と配線)を備えている。
【0003】
現在、広く普及している酵素電気化学測定としては、血糖値測定を行うグルコースセンサがある。このセンサ用の電極及び酵素等試薬を含むチップは、フィルムと印刷技術により作製されている。具体的には、フィルムに電極、接着剤、酵素等試薬を印刷して貼り合わせることにより作製している(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
この種のバイオセンサチップは、大量に作ることで安価である利点はあるものの、フィルムの製造ロットの違いによる寸法ばらつきが10%に達する場合もあり、この寸法バラツキは被検体のサンプリング量(測定対象の量)のバラツキに直結する。また、印刷による電極はカーボンを基材としており、電導性が悪いために感度への悪影響から測定精度の低下につながっている。現在は、これらの問題点を緩和するために複雑な補正機能を付与する必要がある(例えば、特許文献3)。そのため、結局は生産性、操作性を犠牲にしている。併せて、上記生産方法は、少量多品種には適さない方法である。
【0005】
また、複数の物性を1つのバイオセンサチップで測定できるバイオセンサチップも提案されている(例えば、特許文献4〜6)。これらのバイオセンサチップは、複数の物性測定を行うために2以上の作用極を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−209219号公報
【特許文献2】特開2004−147845号公報
【特許文献3】特表2008−511841号公報
【特許文献4】特開2007−327965号公報
【特許文献5】特開2007−256092号公報
【特許文献6】特開2001−215208号公報
【特許文献7】WO2006/135061
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4〜6に記載された、複数の物性測定を行うために2以上の作用極を有するバイオセンサチップは、単独の作用極を有するバイオセンサチップに比べて構造が複雑であり、安価に大量生産することが困難であり、また、少量多品種に適した形態でもなかった。1つの試料、例えば、血液について、この1つの血液中の異なる成分について同時にまたは並行して、一度に測定できるマルチタイプのバイオセンサチップが求められている。しかし、安価に大量生産が可能であり、かつ少量多品種に適した形態で、そのようなマルチタイプのバイオセンサチップは知られていない。
【0008】
そこで本発明は、複雑な補正機能を必要としない酵素センサ等のバイオセンサ用のチップであって、マルチタイプのバイオセンサチップを、少量多品種に適した形態で提供することを目的とする。
【0009】
これまでのバイオセンサチップは、基本的に、フィルムと印刷技術を用いて作製されている。フィルムの製造ロットの違いによる寸法ばらつきを解消するためには、射出成形による基板の提供が有力である。1つの構造体で射出成形することも可能であるが、この場合は内部に正確な酵素等の固定化が困難であり、このようなセンサは実現できない。そのため、射出成形のみで作製されたバイオセンサチップは知られていない。
【0010】
また、射出成形品を2分割した構造の場合、これを接合する必要がある。しかし、酵素等の活性に悪影響を与えない方法による接合ができずに、センサに必要な中空構造を実現することができなかった。
【0011】
本発明の目的は、電導性良好な金属電極を含み、射出成形で作製することが可能な2分割した構造体からなるバイオセンサチップであって、酵素等の活性に悪影響を与えない条件で、これら2分割構造体を接合して、寸法ばらつきが低減されたバイオセンサチップを提供するための手段を提供することにある。より具体的には、本発明の目的は、上記バイオセンサチップを形成するために用いることができるバイオセンサチップ組立用キット、このキットを用いるバイオセンサチップの製造方法、さらにはこのキットを用いて作製されるバイオセンサチップを提供することにある。しかも本発明は、これらの条件を満足する、少なくとも2以上の作用極を有し、1つの試料について同時または並行して測定が可能なマルチタイプのバイオセンサチップを提供することにある。
【0012】
本発明者らが検討した結果、電導性良好な金属電極を含む2分割した構造体を射出成形で作製することが可能であり、しかも、酵素等の活性に悪影響を与えない条件で、これら射出成形品(2分割構造体)を接合して、寸法ばらつきが低減された、しかも、少なくとも2以上の作用極を有し、1つの試料について同時または並行して測定が可能なマルチタイプのバイオセンサチップが得られる手段を見出して、本発明を完成させた。
【0013】
本発明では、特許文献7に記載のポリプロピレン系樹脂と一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体とを含有する樹脂組成物を用い、金属電極を一体に成形した射出成形品(2分割構造体)を、特許文献4には記載されていない、新たな方法で酵素等の活性に悪影響を与えることなく接合して、バイオセンサチップが得られることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以下のとおりである。
[1]
開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する少なくとも3つの流路用開口部を有する第1基板、第1基板に埋設され、かつ少なくとも一部が前記開口中心部にて露出する第1電極、第1基板に埋設され、少なくとも一部が前記流路用開口部にて露出し、前記第1電極と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第2電極、前記第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線、及び前記第2電極のそれぞれに接続し、第1部材の外部と接続可能な第2配線を含み、前記開口中心部及び流路用開口部を取り囲む表面からなる、第2部材の第2接合面と接合されるため第1接合面を有する第1部材、並びに
前記第1部材の開口中心部に対応する部分に、厚さ方向に伸びる、バイオセンサの測定対象となる被検体を導入するための貫通孔を有し、かつ前記各流路用開口部の第2電極より先端側の対応する部分のそれぞれに、厚さ方向に伸びる通気用貫通孔を有する第2基板からなり、かつ第1部材の第1接合面と接合されるための第2接合面を有する第2部材
を含むバイオセンサ組立用キットであって、
第2電極の少なくとも1つの流路用開口部における露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または前記露出表面及び前記先端側の表面は、バイオセンサ用の生物材料を固定するために用いられ、
第1接合面と第2接合面が対向するように第1部材と第2部材を積層し接合したときに、第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、第2部材の各通気用貫通孔が、各流路用開口部の第2電極より先端側に位置し、第1部材の各流路用開口部と第2部材の各流路用開口部と対向する面との間に空間が形成され、
第1基板及び第2基板は、ポリプロピレン系樹脂と一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体(但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである)とを含有する樹脂組成物からなり、
積層した第1部材と第2部材は、前記接合面を接着剤を用いることなしに、前記バイオセンサ用の生物材料が失活しない温度条件での接合に付されて組立てられる、
前記バイオセンサチップ組立用キット。
[2]
前記第1電極は、第2電極の数に相当する数に分割され、かつ独立に前記第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線を有する、
[1]に記載のバイオセンサチップ組立用キット。
[3]
前記第1部材は、第1基板に埋設され、一部が前記流路用開口部の前記第2電極より先端側にて露出し、前記第1電極及び第2電極と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第3電極、及び前記第3電極のそれぞれに接続し、第1部材の外部と接続可能な第3配線を含み、
第1接合面と第2接合面が対向するように第1部材と第2部材を積層し接合したときに、第2部材の各通気用貫通孔が、各第3電極と重複する位置または各第3電極より先端側に位置する、[1]または[2]に記載のバイオセンサチップ組立用キット。
[4]
少なくとも前記第1部材は、前記第1電極、第1配線、第2電極及び第2配線を射出成形によりインサート成形したものである[1]に記載のバイオセンサチップ組立用キット。
[5]
少なくとも前記第1部材は、前記第3電極及び第3配線をさらに射出成形によりインサート成形したものである[4]に記載のバイオセンサチップ組立用キット。
[6]
[1]に記載のバイオセンサチップ組立用キットの第1部材の第2電極の少なくとも1つの露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または前記露出表面及び前記先端側の表面にバイオセンサ用の生物材料を固定し、
第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、かつ第2部材の各通気用貫通孔が、各流路用開口部の第2電極より先端側に位置するように、第1接合面と第2接合面を積層し、第1部材と第2部材の接合面を、前記生物材料が失活しない温度条件で接合することを含む、バイオセンサチップの製造方法。
[7]
[3]に記載のバイオセンサチップ組立用キットの第1部材の第2電極の少なくとも1つの露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または前記露出表面及び前記先端側の表面にバイオセンサ用の生物材料を固定し、
第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、かつ第2部材の各通気用貫通孔が、各第3電極と重複する位置または各第3電極より先端側に位置するように、第1接合面と第2接合面を積層し、第1部材と第2部材の接合面を、前記生物材料が失活しない温度条件で接合することを含む、バイオセンサチップの製造方法。
[8]
前記生物材料が、酵素、抗原、抗体、ペプチド、タンパクおよび核酸から成る群から選ばれる少なくとも1種の材料である[7]または[8]に記載の製造方法。
[9]
前記生物材料が失活しない温度条件が、30〜40℃の範囲である[6]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]
[6]〜[9]のいずれかに記載の方法で製造して得られたバイオセンサチップ。
[11]
開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する少なくとも3つの流路用開口部を有する第1基板、第1基板に埋設され、かつ少なくとも一部が前記開口中心部にて露出する第1電極、第1基板に埋設され、少なくとも一部が前記流路用開口部にて露出し、前記第1電極と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第2電極、前記第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線、及び前記第2電極のそれぞれに接続し、第1部材の外部と接続可能な第2配線を含み、前記開口中心部及び流路用開口部を取り囲む表面からなる、第2部材の第2接合面と接合されるため第1接合面を有する第1部材、並びに
前記第1部材の開口中心部に対応する部分に、厚さ方向に伸びる、バイオセンサの測定対象となる被検体を導入するための貫通孔を有し、かつ前記各流路用開口部の第2電極より先端側の対応する部分のそれぞれに、厚さ方向に伸びる通気用貫通孔を有し、かつ第1部材の第1接合面と接合されるための第2接合面を有する第2部材
を含み、
第1基板及び第2基板は、ポリプロピレン系樹脂と一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体(但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである)とを含有する樹脂組成物からなり、
第2電極の少なくとも1つの流路用開口部における露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または前記露出表面及び前記先端側の表面は、バイオセンサ用の生物材料が固定されており、
前記第1部材と第2部材は、第1接合面と第2接合面が対向するように積層し、第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、第2部材の各通気用貫通孔が、各流路用開口部の第2電極より先端側に位置し、第1部材の各流路用開口部と第2部材の各流路用開口部と対向する面との間に空間が形成されるように、前記接合面は接着剤を用いることなしに接合されたものである、
バイオセンサチップ。
[12]
前記第1電極は、第2電極の数に相当する数に分割され、かつ独立に前記第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線を有する、
[11]に記載のバイオセンサチップ。
[13]
前記第1部材は、第1基板に埋設され、一部が前記流路用開口部の前記第2電極より先端側にて露出し、前記第1電極及び第2電極と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第3電極、及び前記第3電極のそれぞれに接続し、第1部材の外部と接続可能な第3配線を含み、
第2部材の各通気用貫通孔が、各第3電極と重複する位置または各第3電極より先端側に位置するように、第1部材と第2部材を積層された、[11]または[12]に記載のバイオセンサチップ。
[14]
前記生物材料が、酵素、抗原、抗体、ペプチド、タンパクおよび核酸から成る群から選ばれる少なくとも1種の材料である[11]〜[13]のいずれかに記載のバイオセンサチップ。
[15]
[11]〜[14]のいずれかに記載のバイオセンサチップを含むバイオセンサ。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複雑な補正機能を必要としない酵素センサ等のバイオセンサ用のチップであって、少なくとも3つの作用極を有し、1つの試料について同時または並行して測定が可能なマルチタイプのチップを、少量多品種に適した形態で提供することを可能にする、バイオセンサ組立用キットを提供することができる。さらにこのキットを用いて、酵素センサ等のバイオセンサ用のチップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材の一例である、第1部材10の第1基板100を、開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部を有する面から見た平面図である。
【図1b】本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材の一例である、第1部材10の第1基板100を、開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部を有する面から見た斜視図である。
【図1c】図1bから開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部のみを抽出した斜視図を示す。
【図1d】本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材に埋設される電極及び配線の一例を示す平面図である。
【図1e】本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材に埋設される電極及び配線の一例を示す平面図である。
【図1f】本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材10の第1接合面150と第2部材20の第2接合面220が対向するように積層し接合したときの第2部材20側からの平面図を示す。
【図2a】上部は、本発明のバイオセンサ組立用キットの第2部材の一例である、第2部材20の斜視図であり、第2部材20の第1部材10の第1接合面150と接合されるための第2接合面220側を描いた図である。図2aの下部は、本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材の一例である、第1部材10の斜視図である。
【図2b】左上部は、第2部材20の第2接合面220と反対側の平面図、左中部は左上部のA−A断面図、左下部は、第2部材20の第2接合面220側の平面図である。右上部は、第2部材20の第2接合面220側の斜視図、右下部は、第2部材20の第2接合面220の反対側から見た断面斜視図である。
【図2c】第2部材20を第1部材10に接合した状態を示す斜視図であり、第2部材20の第2接合面220と反対側が描かれている。
【図2d】第2部材20を第1部材10に接合した状態を示す正面(左中)、側面(右中)、平面(右上)、背面(右下)の各図である。
【図3a】本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材の別の一例である、第1部材11の第1基板101を、開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部を有する面から見た平面図である。
【図3b】本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材の別の一例である、第1部材11の第1基板101を、開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部を有する面から見た図である。
【図3c】本発明のバイオセンサ組立用キットの第2部材の別の一例である、第2部材21の斜視図であり、第2部材21の第1部材11の第1接合面151と接合されるための第2接合面221側を描いた斜視図である。
【図3d】本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材11及び第2部材21を組立てた状態を示す斜視図である。
【図4a】実施例1において射出成形で得られた第1部材および第2部材が一体になった状態の写真を示す。
【図4b】図4aで示した一体品から、不要部分をカットして、第1部材(右側)および第2部材(左側)とした状態の写真を示す。
【図4c】図4bに示した第1部材および第2部材を貼り合わせてチップ形状としたものの写真を示す。
【図5】(a)、(b)、(c)、(d)はPhe濃度をそれぞれ0mM、0.1mM、0.5mM、1.0mMとした各測定液について4つのCHで電流値を同時測定した結果である。
【図6】図5の結果を測定液中のPhe濃度とチップの平均(4CHの平均)電流値との関係で示したものである。
【図7】Phe及びTyr濃度を0mM、Phe濃度を1.0mM、Tyr濃度1.0mMとした各測定液について4つのCHで電流値を同時測定した結果である。
【図8】図7の結果を測定液中のPhe濃度とチップの平均(偶数または奇数の2CHの平均)電流値との関係で示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[バイオセンサ組立用キット]
本発明のバイオセンサ組立用キットは、
開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する少なくとも3つの流路用開口部を有する第1基板、
第1基板に埋設され、かつ少なくとも一部が前記開口中心部にて露出する第1電極、
第1基板に埋設され、少なくとも一部が前記流路用開口部にて露出し、前記第1電極と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第2電極、
前記第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線、及び
前記第2電極のそれぞれに接続し、第1部材の外部と接続可能な第2配線を含み、前記開口中心部及び流路用開口部を取り囲む表面からなる、第2部材の第2接合面と接合されるための第1接合面を有する第1部材、並びに
前記第1部材の開口中心部に対応する部分に、厚さ方向に伸びる、バイオセンサの測定対象となる被検体を導入するための貫通孔を有し、かつ前記各流路用開口部の第2電極より先端側に対応する部分のそれぞれに、厚さ方向に伸びる通気用貫通孔を有し、かつ第1部材の第1接合面と接合されるための第2接合面を有する第2部材
を含む。
【0018】
図1aは、第1部材10の第1基板100を、開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部を有する面から見た平面図であり、図1bは、第1部材10の第1基板100を、開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部を有する面から見た斜視図である。図1bには、電極及び配線が透視像として描かれている。図1cには、図1bから上記開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部のみを抽出した斜視図を示す。
【0019】
第1基板100は、開口中心部110及び開口中心部110から放射状に延存する流路用開口部111を有する。図1に示す態様では、4つの流路用開口部111A、111B、111C、111Dを有する。4つの流路用開口部111A、111B、111C、111Dは、開口中心部110から放射状に延存する。放射状に延存する流路用開口部の数は、少なくとも3つであり、4つ以上であることができる。図1に示す例の流路用開口部の数は4つである。流路用開口部の数の上限については特に制限はないが、第1部材全体の平面寸法、開口中心部の直径、流路用開口部の幅、電極及び配線の寸法、同時に測定結果を得たい物性の数(即ち、第2電極の数であり、流路用開口部の数に相当する)等を考慮して、適宜選択される。実用的な観点からは、流路用開口部の数の上限は、例えば、10であることができる。但し、これを超える数の流路用開口部を有することを妨げる意図ではない。
【0020】
放射状に延存する流路用開口部のそれぞれは、互いに同じ角度または任意の角度を持って隣接する。同じ角度で、流路用開口部の数が3つの場合は、隣接する流路用開口部の間の角度は120°であり、流路用開口部の数が4つの場合は、隣接する流路用開口部の間の角度は90°である。このように隣接する流路用開口部の間の角度が等しいことで、開口中心部に供給された試料が、各流路に均等に流れることができ、測定精度を高めることができる。また、隣接する流路用開口部が任意の角度を持って隣接することで、開口中心部に供給された試料が、任意の配分で、流路用開口部に流れるようにすることもできる。
【0021】
開口中心部110の平面形状は、供給された試料が各流路に均等に流入できるという観点からは、円形であるかまたは流路用開口部の数と等しい数、またはその倍数の多角形であることが適当である。但し、それに限定される意図ではない。開口中心部110の平面寸法は、開口中心部110において表面を露出するように設けられる第1電極の数や形状等、さらには利用できる試料の量等により適宜決定できる。開口中心部110の平面寸法は、円形である場合は、例えば、1〜10mmの範囲であることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。開口中心部110から放射状に延存する流路用開口部111は、開口中心部に供給された試料が各流路に毛細管現象により流入しやすい幅であることが適当であり、例えば、幅は、0.1〜5mmの範囲とすることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。流路用開口部111の深さは、幅と同様に、開口中心部に供給された試料が各流路に毛細管現象により流入しやすい寸法であることが適当であり、例えば、幅は、0.1〜5mmの範囲とすることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。尚、開口中心部に供給される試料の量は、特に制限はないが、例えば、0.1〜5mLの範囲とすることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。流路用開口部111の長さ(開口中心部110からの奥行き)は、流路用開口部111において表面が露出するように設けられる第2電極の露出寸法等を考慮して適宜決定される。また、後述するように、試料の流入を感知するための感知極として機能する第3電極を追加で設ける場合には、流路用開口部111において表面が露出するように設けられる第3電極の露出寸法等も考慮して適宜決定される。流路用開口部111の長さ(開口中心部110からの奥行き)は、例えば、2〜15 mmの範囲とすることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。
【0022】
第1基板には、少なくとも第1電極及び第2電極が埋設されている。
第1電極120は、第1基板100に埋設され、かつその少なくとも一部が開口中心部110にて露出している。第1電極120は、単一の電極であることもできるが、第2電極の数に等しい数またはそれ未満に分割された電極であることもできる。分割された第1電極120は、互いに非接触状態にある。例えば、第2電極の数に等しい数に分割された第1電極を有するバイオセンサは、各第2電極において電気化学的測定を独立に行うことができる。図1に示す態様では、4つの流路用開口部を有し、かつ4つの第2電極を有するので、第1電極も120A、120B、120C、120Dの4つが配設される。各第1電極の電極面積(露出面積)は、利用できる試料の量や測定に求められる精度、電気化学測定条件等を考慮して適宜決定できる。例えば、1〜50mm2の範囲とすることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。
【0023】
第2電極130は、第1基板100に埋設され、かつその一部が流路用開口部111にて露出し、第1電極120と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設される。図1に示す態様では、4つの流路用開口部を有するので、流路用開口部毎に独立して配設される第2電極も、130A、130B、130C、130Dの4つが配設される。第2電極の少なくとも1つの流路用開口部における露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、即ち、第2電極130Aと第3電極140Aの間の流路用開口部表面114A、130Bと第3電極140Bの間の流路用開口部表面114B、130Cと第3電極140Cの間の流路用開口部表面114C、130Dと第3電極140Dの間の流路用開口部表面114D、または前記露出表面及び前記先端側の表面は、バイオセンサ用の生物材料を固定するために用いられる。図1に示す態様では、例えば、4つの第2電極130A、130B、130C、130Dのそれぞれにバイオセンサ用の生物材料を固定することができる。あるいは、図1に示す態様では、例えば、4つの第2電極と第3電極の間の流路用開口部表面114A、114B、114C、114Dのそれぞれにバイオセンサ用の生物材料を固定することもできる。固定される生物材料は、互いに異なっていても、一部または全部が共通していてもよい。各第2電極の電極面積(露出面積)及び各第2電極と第3電極の間の流路用開口部表面は、固定される生物材料の種類や量、利用できる試料の量や測定に求められる精度、電気化学測定条件等を考慮して適宜決定できる。例えば、1〜50mm2の範囲とすることができる。但し、この範囲に限定される意図ではない。本発明のバイオセンサ組立用キットは、少なくとも3つの流路用開口部のそれぞれに作用極となる第2電極を有し、組立後はマルチバイオセンサチップとして利用できる。
【0024】
第1電極120に接続し、第1部材10の外部と接続可能な第1配線121が配設される。図1に示す態様では、4つの第1電極120A〜120Dを有するので、独立に第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線121A〜121Dを有することができる。第2電極130A〜130Dについても、そのそれぞれに接続し、第1部材10の外部と接続可能な第2配線131A〜131Dを含む。第1配線121A〜121D及び第2配線131A〜131Dの電極とは反対側の末端は整列させて、測定機器との接続用の端子160とすることができる。
【0025】
第1部材10は、第1基板100に埋設され、少なくとも一部が流路用開口部111の第2電極130より先端側にて露出し、第1電極120及び第2電極130と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第3電極140を含むことができる。さらに、第3電極140のそれぞれは、第1部材10の外部と接続可能な第3配線141を有することができる。図1に示す態様では、4つの第3電極140A、140B、140C、140Dを有し、かつ4つの第3配線141A、141B、141C、141Dを有する。第3配線141A、141B、141C、141Dは、第1配線及び第2配線と同様に、電極とは反対側の末端は整列させて、測定機器との接続用の端子160とすることができる。
【0026】
第1電極120A、120B、120C、120D、第1電極に接続する第1配線121A、121B、121C、121D、第2電極130A、130B、130C、130D、第2電極に接続する第2配線131A、131B、131C、131D、第3電極140A、140B、140C、140D、第3電極に接続する第3配線141A、141B、141C、141Dを、図1dの左に示す。図の下側が、測定機器との接続用の端子160側である。図1dにおいては、各電極と配線とは一体に形成されている。図1dの右に開口中心部110及び流路用開口部111において露出する第1電極120A、120B、120C、120D、第2電極130A、130B、130C、130D、第3電極140A、140B、140C、140Dを示す。図1eには、第1電極が分割されていないタイプの電極及び配線を示す。第1電極120と第1電極120に接続する第1配線121が設けられ、第2電極、第2配線、第3電極、第3配線は、図1dに示された態様と、電極部分の形状が異なるが、ほぼ同様である。各電極と配線とは一体に形成されている。
【0027】
さらに、後述するように、第3電極140を有する態様においては、図1fに示すように、第1接合面150と第2接合面220が対向するように第1部材10と第2部材20を積層し接合したときに、第2部材20の各通気用貫通孔221A〜221Dが、各第3電極140A〜140Dとそれぞれ重複する位置または各第3電極より先端側に位置する。
【0028】
第1部材10は、開口中心部110及び流路用開口部111を取り囲む表面からなる、第2部材の第2接合面と接合されるため第1接合面150を有する。第1接合面150は、開口中心部110及び流路用開口部111においてのみ、第1電極120及び第2電極130が露出しており、それ以外の部分には、電極の露出部分はなく、第2部材の第2接合面と接合されるための面が広く確保される。第1接合面150は、第2接合面と良好な接合状態を実現ために平滑であることが好ましく、かつ面積が、例えば、10mm2以上であることが適当であり、さらに好ましくは、50mm2以上である。
【0029】
第1部材10の厚みは、特に制限はないが、電極及び配線が外部への露出部以外では密封状態が維持でき、かつ良好に成形できることを考慮して適宜決定される。第1部材10の厚みは、例えば、1〜10mmの範囲とすることができる。
【0030】
図2aの上部は、第2部材20の斜視図であり、第2部材20の第1部材10の第1接合面150と接合されるための第2接合面220側を描いた図である。図2aの下部は、第1部材10の斜視図である。図2bの左上部は、第2部材20の第2接合面220と反対側の平面図、左中部は左上部のA−A断面図、左下部は、第2部材20の第2接合面220側の平面図である。図2bの右上部は、第2部材20の第2接合面220側の斜視図、右下部は、第2部材20の第2接合面220の反対側から見た断面斜視図である。図2cは、第2部材20を第1部材10に接合した状態を示す斜視図であり、第2部材20の第2接合面220と反対側が描かれている。図2dは、第2部材20を第1部材10に接合した状態を示す正面(左中)、側面(右中)、平面(右上)、背面(右下)の各図である。
【0031】
第2部材20は、第2基板200からなり、第2基板200は、第1部材10の開口中心部110に対応する部分に、厚さ方向に伸びる、バイオセンサの測定対象となる被検体を導入するための貫通孔210を有し、かつ各流路用開口部111A〜111Dの第2電極130A〜130Dより先端側の対応する部分のそれぞれに、厚さ方向に伸びる通気用貫通孔221A〜221Dを有する。さらに、第2部材20の第2基板200は、第1部材10の第1接合面150と接合されるための第2接合面220を有する。第2基板200は、第1部材10の開口中心部110及び開口中心部110から放射状に延存する流路用開口部111A〜111Dに対応し、これらのそれぞれ係合する突起230及び231A〜231Dを有することができる。第2部材20が、突起230及び231A〜231Dを有することで、流路の密閉性と第1部材及び第2部材の接合強度が高められるという利点がある。但し、第2部材20は、突起230及び231A〜231Dを有しなくても、流路は形成でき、かつ第1部材及び第2部材の所望の接合強度は得られる。突起230及び231A〜231Dは、開口中心部110及び流路用開口部111A〜111Dの深さより低い高さを有し、第1部材10と第2部材20とを接合した際に、開口中心部110及び流路用開口部111A〜111Dの開口上端付近を突起230及び231A〜231Dのそれぞれが入り込み、突起230及び231A〜231Dの先端表面が開口中心部110及び流路用開口部111A〜111Dとともに流路を形成する。流路の長手方向に垂直な断面形状及び寸法は、流路用開口部111A〜111Dの断面形状及び寸法及び突起231A〜231Dの断面形状及び寸法により適宜決定できる。
【0032】
第2部材20の厚みは、特に制限はないが、第1部材10への組立が容易にでき、かつ良好に成形できることを考慮して適宜決定される。第2部材20の厚みは、例えば、1〜10mmの範囲とすることができる。
【0033】
第1接合面150と第2接合面220が対向するように第1部材10と第2部材20を積層し接合したときに、第2部材20の被検体を導入するための貫通孔210が、第1部材10の開口中心部110に位置し、第2部材20の通気用貫通孔221A〜221Dが、それぞれ流路用開口部の第2電極130A〜130Dより先端側に位置し、第1部材10の各流路用開口部111A〜111Dと第2部材の各流路用開口部と対向する面との間に空間が形成される。この空間には、各流路用開口部の空間の先端側に通気用貫通孔221A〜221Dを有するため、貫通孔210から導入される被検体溶液が毛細管現象により吸引されて、第2電極130A〜130Dに到達する。
【0034】
第1部材10は、第1接合面150の一部に凸部または凹部を有することができ、第2部材20は、第2接合面220の一部に、第1接合面150の凸部または凹部に対応する凹部または凸部を有することができる。第1接合面150の凸部と第2接合面220の凹部または第1接合面150の凹部と第2接合面220の凸部とが係合することで、第1部材10と第2部材20との位置決めが容易になる。図2に示す態様では、第1部材10は、第1接合面150の一部に溝状の凹部180を有し、第2部材20は、第2接合面220の一部に、第1接合面150の凹部180に対応する峰状の凸部240を有する。
【0035】
本発明のバイオセンサ組立用キットにおいて、第1部材の各流路用開口部及び第2部材の前記各流路用開口部と対向する面との間に形成される空間を形成する面の内、樹脂組成物で構成される面は、この空間を被検体である液体が毛細管現象により流れやすくするために、例えば、プラズマ処理、エタノール処理などにより親水化されていることが好ましい。さらに、第2部材の被検体を導入するための貫通孔の内面も、同様に、例えば、プラズマ処理、エタノール処理などにより親水化されていることが好ましい。
【0036】
図3には、図3aに、本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材の別の一例である、第1部材11の第1基板101を、開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部を有する面から見た平面図を示す。図3bには、第1部材11の第1基板101を、開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する流路用開口部を有する面から見た斜視図を示す。但し、図3bに示す第1部材11は第1接合面151の外周の3辺に第2部材21の外周の突出部250と係合し得る段差部190を有する。図3cには、本発明のバイオセンサ組立用キットの第2部材の別の一例である、第2部材21の斜視図であり、第2部材21の第1部材11の第1接合面151と接合されるための第2接合面221側を描いた図を示す。第2部材21の外周の3辺には、第1部材11の外周の3辺に設けた段差部190と係合し得る突出部250を有する。図3dには、本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材11及び第2部材21を組立てた状態を示す斜視図を示す。
【0037】
図3に示す本発明のバイオセンサ組立用キットの第1部材の別の一例は、開口中心部112及び開口中心部112から放射状に延存する流路用開口部113を有し、流路用開口部は、113A〜113Hの8つを有する。8つの流路用開口部131A〜131Hは、開口中心部112から放射状に延存する。第1電極と第1電極に接続する第1配線、第2電極、第2配線、第3電極、第3配線の数も同様に8である。さらに、第2部材21に設けられる通気用貫通孔の数も8である。
【0038】
第1基板100及び第2基板200は、ポリプロピレン系樹脂と一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体(但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである)とを含有する樹脂組成物からなる。
【0039】
ここで、ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリマー又は、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1などのα−オレフィンを含むランダムコポリマーを用いることができる。ポリマーブロックXとして、ビニル芳香族モノマー(例えばスチレン)、エチレン又はメタクリレート(例えばメチルメタクリレート)等の重合したポリマーがある。なお、一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体には、(X−Y)nにおいてn=1〜5の範囲にあるものや、X−Y−X、Y−X−Y等が含まれる。
【0040】
水素添加誘導体のポリマーブロックXとしては、ポリスチレン系とポリオレフィン系のものがあり、ポリスチレン系のものは、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンのうちから選択された1種又は2種以上のビニル芳香族化合物をモノマー単位として構成されるポリマーブロックが上げられる。また、ポリオレフィン系のものは、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンの共重合体がある。更に非共役ジエンが共役重合されていても良い。前記オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等である。前記非共役ジエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボネル、5−ブチリデン−2−ノルボネル、2−イソプロペニル−5−ネルボルネン等がある。共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等が挙げられる。
【0041】
ポリマーブロックYの水素添加前のものとして、2−ブテン−1,4−ジイル基及びビニルエチレン基からなる群から選択される少なくとも1種の基をモノマー単位として構成されるポリブタジエンや、また2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基及び1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群から選択される少なくとも1種の基をモノマー単位として構成されるポリイソプレンが挙げられる。更に水素添加前のポリマーブロックYとして、イソプレン単位及びブタジエン単位を主体とするモノマー単位からなるイソプレン/ブタジエン共重合体で、イソプレン単位が2−メチル−2−ブテン−1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基及び1−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群から選ばれるすくなくとも1種の基であり、ブタジエン単位が2−ブテン−1,4−ジイル基及び/又はビニルエチレン基であるものが挙げられる。ブタジエン単位とイソプレン単位の配置は、ランダム状、ブロック状、テーパブロック状のいずれの形態になっても良い。
【0042】
また、ポリマーブロックYの水素添加前のものとして、ビニル芳香族化合物単位及びブタジエン単位を主体とするモノマー単位からなるビニル芳香族化合物/ブタジエン共重合体で、ビニル芳香族化合物単位が、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンのうちから選択された1種のモノマー単位であり、ブタジエン単位が、2−ブテン1,4−ジイル基及び/又はビニルエチレン基である共重合体が挙げられる。ビニル芳香族化合物単位とブタジエン単位の配置は、ランダム状、ブロック状、テーパブロック状のいずれの形態になっても良い。上記のようなポリマーブロックYにおける水素添加の状態は、部分水素添加であっても、また完全水素添加であっても良い。
【0043】
なお、水素添加誘導体のポリマーブロックXがポリスチレンであり、ポリマーブロックYの水素添加前のものが1,2結合、3,4結合及び/又は1,4結合のポリイソプレンであると原材料を入手しやすい。スチレン成分はポリプロピレン系樹脂等と相溶しないので、その割合が高くなるとポリプロピレンとの混合に時間を要するので、スチレン成分の多い水素添加誘導体を用いるときはマスターバッチ化し、予め十分に混合しておくのが良い。
【0044】
水素添加誘導体のポリマーブロックXがポリスチレンであり、ポリマーブロックYの水素添加前のものが1,2結合及び/又は1,4結合のポリブタジエンである場合も原材料が入手しやすい。
【0045】
生化学研究に用いる器具において、測定対象(被検体)に直接接触する部分(反応部)は生体適合性に優れ、ポリペプチド等が吸着せず、生体物質に影響を与えないことが求められる。さらに、合成樹脂製のバイオセンサチップでは合成樹脂の改質のために添加されている添加剤が各種の操作過程で溶出しないことが必要である。上記のポリプロピレン系樹脂と一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体で形成されるポリマーアロイからなる樹脂組成物は、水素添加誘導体の数十ナノメートルの球状のミクロドメイン、ポリプロピレンの結晶ラメラ、およびマトリックスをなすポリプロピレンの非晶マトリックスからなり、ポリプロピレンの結晶部部分のサイズはポリプロピレン単独の場合に比較して100分の1以下という特徴を有している。
【0046】
積層した第1部材10と第2部材20は、第1接合面150と第2接合面220を、接着剤を用いることなしに、バイオセンサ用の生物材料が失活しない温度条件での接合に付されて組立てられる。第1部材10と第2部材20を構成する第1基板100及び第2基板200は、いずれも上記ポリプロピレン系樹脂と一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体とを含有する樹脂組成物からなる。しかも、第1接合面150は、開口中心部110及び流路用開口部111においてのみ、第1電極120及び第2電極130が露出しており、それ以外の部分には、電極の露出部分はなく、第2部材20の第2接合面220との接合面が確保されている。同様に、第2部材20の第2接合面220も、貫通孔210と通気用貫通孔221 A〜221Dを有し、かつ第1部材10の各流路用開口部と対向する面との間に空間が形成されるように構成されているだけであり、それ以外の部分は、第1部材10の第1接合面150との接合面が確保されている。このように、第1接合面150と第2接合面220とは、電極及び配線がほとんど露出しておらず、接合されるための面が広く確保されている。そのため、バイオセンサ用の生物材料が失活しない温度条件、例えば、30〜50℃、好ましくは40〜50℃での接合に付されて組立てることで、第1部材10と第2部材20とを接合させて、バイオセンサチップとして組立てることができる。
【0047】
第1部材10は、第1電極及び第1配線、第2電極及び第2配線、さらに所望により、第3電極及び第3配線を上記で説明した状態で、上記樹脂組成物と、電極及び配線の材料を用いて射出成形により成形することができる。即ち、第1部材は、少なくとも第1電極、第1配線、第2電極及び第2配線を射出成形によりインサート成形したものであることができる。さらに、第1部材は、第3電極及び第3配線をさらに射出成形によりインサート成形したものであることもできる。射出成形する際にインサート成形により、電極及び配線と基板とが一体成形される。第2部材も射出成形により作製することができる。
【0048】
電極及び配線は、導電性の材料であれば特に制限はなく、種々の金属製の電極及び配線を用いることができ、例えば、導電性の良い非鉄金属である銅または銅合金製の電極または配線に表面処理、(例えば、Ag、Au等のメッキ)を行ったものを挙げることができる。好ましくは、銅製薄板にニッケルメッキを施したあと更に金メッキをしたものを所定の形状に打ち抜いたものである。打ち抜き成形された電極と配線を金型キャビティに固定して、樹脂組成物を射出することにより、上記第1部材を製造することができる。尚、電極の厚みは、例えば、0.05〜0.08mmの範囲とし、基板を構成する樹脂の収縮を考慮して、電極の露出部分に樹脂が被らないようにすることが好ましい。
【0049】
[バイオセンサチップ]
本発明は、バイオセンサチップの製造方法及びこの製造方法で得られるバイオセンサチップの発明を包含する。
バイオセンサチップの製造方法は、以下の工程を含む。
(1)本発明のバイオセンサチップ組立用キットの第1部材の第2電極の少なくとも1つの露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または前記露出表面及び前記先端側の表面にバイオセンサ用の生物材料を固定する工程、
(2)第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、かつ第2部材の各通気用貫通孔が、各流路用開口部の第2電極より先端側に位置するように、第1接合面と第2接合面を積層し、第1部材と第2部材の接合面を、前記生物材料が失活しない温度条件で接合する工程。
【0050】
バイオセンサ用の生物材料には特に制限はないが、例えば、各酵素類、抗原、抗体、ペプチド、タンパク、核酸などの溶液や固形体などがあげられる。また、バイオセンサ用の生物材料の固定量は、バイオセンサチップ検体吸入部の大きさの違いや生体材料の反応性の違いなどにより特に制限はないが、数ピコリットルから数十マイクロリットルの液体を塗布、もしくは、数フェムトグラムから数マイクログラムの固体を固定化することなどが挙げられる。
【0051】
例えば、バイオセンサ用の生物材料が酵素の場合、測定対象物質に対応する1種類あるいは2種類以上の酵素をそれぞれ適する濃度で、適するpHの緩衝溶液に溶解し、酵素溶液を調製する。この溶液には酵素タンパク質を安定化するため、あるいは架橋固定化を行う際のバインダーの役を担うため、酵素以外のタンパク質を加えることも可能である。次いでこの酵素溶液を1種類ずつ順番に、あるいは、2種類以上の酵素溶液を任意の体積で混合して一度に、第2電極(作用極)の上面、あるいは第2電極の外側の流路部底面や第3電極の上面などにマイクロピペットや分注器、あるいはインクジェットスポッターを用いて滴下して、自然乾燥させる。必要に応じて酵素溶液に増粘剤を加え、測定液が流入してきたときに溶解し易くする固定化も可能であるし、また、酵素溶液の塗布後、0.1〜数%のグルタルアルデヒド溶液をさらに塗布することにより、酵素タンパク質を容易に溶解しないようにしっかりと架橋固定化することも可能である。
【0052】
第1部材と第2部材の積層及び接合において、第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、かつ第2部材の各通気用貫通孔が、各流路用開口部の第2電極より先端側に位置するように、第1接合面と第2接合面を積層する。
第1接合面150と第2接合面220が対向するように第1部材10と第2部材20を積層し接合したときに、第2部材20の被検体を導入するための貫通孔210が、第1部材10の開口中心部110に位置し、第2部材20の通気用貫通孔221A〜221Dが、それぞれ流路用開口部の第2電極130A〜130Dより先端側に位置し、第1部材10の各流路用開口部111A〜111Dと第2部材の各流路用開口部と対向する面との間に空間が形成される。この空間には、各流路用開口部の空間の先端側に通気用貫通孔221A〜221Dを有するため、貫通孔210から導入される被検体溶液が毛細管現象により吸引されて、第2電極130A〜130Dに到達する。
【0053】
第1部材と第2部材は積層し、好ましくは接合を促進するように加圧することが好ましく、加圧は、例えば、2枚の板の間に積層した第1部材と第2部材を挟み込み、板の両側から加圧することができる。さらに、複数の積層した第1部材と第2部材を上記2枚の板の間に挟み込み、同時に複数のバイオセンサを作成することもできる。上記加圧は、接合面の接合を促進し、しかし、電極、流路用開口部表面、またはその両者に固定されたバイオセンサ用の生物材料を失活させることのない温度条件で維持することが好ましい。上記温度条件は、例えば、30〜40℃の範囲、好ましくは約35℃である。接合のための時間は、条件により異なるが、例えば、10分〜10時間の範囲である。
【0054】
本発明は、上記本発明のバイオセンサチップを含むバイオセンサに関する。本発明のバイオセンサは、バイオセンサチップに加えて、バイオセンサチップを用いて電気化学測定を行うための装置、例えば、定電流測定装置または定電圧測定装置を含むことができ、さらには電気化学測定を行うための装置からの信号を記録するため記録装置などを含むことができる。
【実施例】
【0055】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらの例に限定される意図ではない。
【0056】
<実施例1>
第1部材および第2部材を成形するための樹脂組成物としては、ポリプロピレン系樹脂として日本ポリプロ製のホモポリマーMA04Aを用い、水素添加誘導体としてクラレ製のハイブラー7311を用いた。両者の混合割合は質量比で50:50であり、あらかじめ十分混合するために、マスターバッチ化した。マスターバッチ化された樹脂組成物を射出成形機のホッパーに入れ、第1部材に電極が配設されるように金型内に電極を設置した後、射出して第1部材および第2部材を成形した。ここで使用する金型は、キャビティの成形面、特に第1部材および第2部材の接合面を成形する面を鏡面研磨した。図4aに射出成形で得られた第1部材および第2部材が一体になった状態の写真を示す。さらに、図4bに、図4aで示した一体品から、不要部分をカットして、第1部材(右側)および第2部材(左側)とした状態を示す。
【0057】
上記MA04Aとハイブラー7311とは、改質剤の添加量を極めて低く抑えており、しかも両者で形成されるポリマーアロイは、ハイブラー7311の数十ナノメートルの球状のミクロドメイン、ポリプロピレンの結晶ラメラ、およびマトリックスをなすポリプロピレンの非晶マトリックスからなり、ポリプロピレンの結晶部部分のサイズはポリプロピレン単独の場合に比較して100分の1以下という特徴を有している。上記ポリマーアロイは精密転写性に優れているから、前記金型で第1部材および第2部材を成形したときに、それらの接合面を金型の鏡面研磨度合い(平面平滑度)と同程度の平滑度の接合面を形成することができる。
【0058】
第1部材の第2電極への酵素含有溶液の塗布、固定化は以下のように行った。フェニルアラニン脱水素酵素(以下、PheDHと略記する)1〜50 UをGly-KOH 緩衝液(pH 9.5)1 mLに溶解し、また、ジアホラーゼ1〜50 Uをリン酸緩衝液(pH 7.0)1 mLに溶解する。次いで、その2つの酵素液を1μLずつ混合して、各流路の第2電極上にマイクロピペットを用いて滴下し、自然乾燥することで、フェニルアラニン脱水素酵素を各流路の第2電極上に固定化した。
【0059】
射出成形された第1部材の接合面に第2部材の接合面を当接して積層体とし、接合補助治具に収めネジにより締め付けた状態で、乾燥機に35℃で4時間保存した。図4cに、第1部材および第2部材を貼り合わせてチップ形状としたものの写真を示す。これにより、フェニルアラニン測定用の酵素チップを作製できた。
【0060】
乾燥機から取り出したチップは、指でその接合面を引き離す方向に剥がそうとしても、相当な力を入れない限り剥離できなかった。得られたチップは、繰り返し使用に耐え得るものであった。
【0061】
<実施例2>
フェニルアラニン(Phe)濃度測定
実施例1と同様の第1部材および第2部材を用いて、4つの各流路(CH)にPheDHを固定化したチップを作製した。但し、PheDHの固定化は、第2電極上ではなく、第2電極と第3電極の間の流路面上とした。具体的な酵素固定化条件は以下の通りである。PheDH/Gly-KOH buffer(pH9.5)+DI/PB(pH 7.0)の混合酵素液25 U/mlを0.5μl、チップの各CHの第2電極(作用極)と第3電極(感知極)の間に滴下し、1時間自然乾燥し、PheDH(バチルス・バディウス(Bacillus badius))とDI(ジアホラーゼ)を全4CHに固定化した。0〜1 mM Phe/PBS 溶液をチップ中央の注入口より添加してCA測定を以下の条件で行い、Pheの酵素反応による電子メディエーター(1-メトキシPMS)の酸化電流の増加を測定した。
【0062】
<電圧印加条件>
1st :0 V,5 sec (酵素反応)
2nd :0.4 V,5 sec (電気化学測定)
吸入(充填)電圧:0.1 V
吸入(充填)電流:0.1μA
<測定溶液の組成>
25 mM NAD+/ Gly-KOH buffer(pH9.5) (final 5mM) 1μL
0.5 M KCl / Gly-KOH buffer(pH9.5) (final 0.1M) 1μL
12.5 mM 1-メトキシPMS / Gly-KOH buffer(pH9.5) (final 5mM) 2μL
5 mM Phe/PBS (pH7.4) (final 1mM) 1μL
全体積 5μL

【0063】
結果を図5及び6に示す。図5は、Phe濃度を0mM、0.1mM、0.5mM、1.0mMとした各測定液について4つのCHで電流値を同時測定した結果である。この結果を測定液中のPhe濃度とチップの平均(4CHの平均)電流値との関係で示したものが、図6である。4つのCHで5%程度の変動係数(相対標準偏差)で,Pheの測定が可能であった。この結果から、PBSに溶かした0.1〜1mMのPheの測定を実現できた。(血漿中のPheは正常人で65μM程度、フェニルケトン尿症患者は、0.2mM以上、重度では0.6mM以上である。)
【0064】
<実施例3>
フェニルアラニン(Phe)とチロシン(Tyr)濃度同時測定
実施例1と同様の第1部材および第2部材を用いた。但し、流路の深さを0.2mmとした(実施例1の流路の深さは0.1mm)。4つの各流路(CH)の奇数CHにPhe選択的なバチルス・バディウス(Bacillus badius)(Bb)のPheDHを、偶数CHにはPheとTyrに選択的なバチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)(Bs)のPheDHを固定化し、PheDHを固定化したチップを作製した。但し、PheDHの固定化は、第2電極上ではなく、実施例2と同様に、第2電極と第3電極の間の流路面上とした。電圧印加条件は実施例2と同様とした。
【0065】
<測定溶液の組成>
25 mM NAD+ 1μL
0.5 M KCl 1μL
12.5 mM 1-メトキシPMS 2μL
+ 5 mM Phe or Tyr (or PBS) 1μL
全体積 5μL
【0066】
結果を図7及び8に示す。図7は、Phe及びTyr濃度を0mM、Phe濃度を1.0mM、Tyr濃度1.0mMとした各測定液について4つのCHで電流値を同時測定した結果である。この結果を測定液中のPhe濃度とチップの平均(偶数または奇数の2CHの平均)電流値との関係で示したものが、図8である。奇数CHはPheのみに応答した。偶数CHはPheとTyrの両方に応答した。即ち、Bb由来のPheDHを固定化した奇数チャンネルではPheのみが測定でき、Bs由来のPheDHを固定化した偶数チャンネルではPheとTyrが測定できることが示された。この結果から、2つのアミノ酸の同時測定が可能であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、バイオセンサに関連する分野に有用である。特に、単一の試料について複数の物性や物質の濃度を簡易に測定する必要がある分野において特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する少なくとも3つの流路用開口部を有する第1基板、第1基板に埋設され、かつ少なくとも一部が前記開口中心部にて露出する第1電極、第1基板に埋設され、少なくとも一部が前記流路用開口部にて露出し、前記第1電極と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第2電極、前記第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線、及び前記第2電極のそれぞれに接続し、第1部材の外部と接続可能な第2配線を含み、前記開口中心部及び流路用開口部を取り囲む表面からなる、第2部材の第2接合面と接合されるための第1接合面を有する第1部材、並びに
前記第1部材の開口中心部に対応する部分に、厚さ方向に伸びる、バイオセンサの測定対象となる被検体を導入するための貫通孔を有し、かつ前記各流路用開口部の第2電極より先端側の対応する部分のそれぞれに、厚さ方向に伸びる通気用貫通孔を有する第2基板からなり、かつ第1部材の第1接合面と接合されるための第2接合面を有する第2部材
を含むバイオセンサ組立用キットであって、
第2電極の少なくとも1つの流路用開口部における露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または前記露出表面及び前記先端側の表面は、バイオセンサ用の生物材料を固定するために用いられ、
第1接合面と第2接合面が対向するように第1部材と第2部材を積層し接合したときに、第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、第2部材の各通気用貫通孔が、各流路用開口部の第2電極より先端側に位置し、第1部材の各流路用開口部と第2部材の各流路用開口部と対向する面との間に空間が形成され、
第1基板及び第2基板は、ポリプロピレン系樹脂と一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体(但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである)とを含有する樹脂組成物からなり、
積層した第1部材と第2部材は、前記接合面を接着剤を用いることなしに、前記バイオセンサ用の生物材料が失活しない温度条件での接合に付されて組立てられる、
前記バイオセンサチップ組立用キット。
【請求項2】
前記第1電極は、第2電極の数に相当する数に分割され、かつ独立に前記第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線を有する、
請求項1に記載のバイオセンサチップ組立用キット。
【請求項3】
前記第1部材は、第1基板に埋設され、一部が前記流路用開口部の前記第2電極より先端側にて露出し、前記第1電極及び第2電極と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第3電極、及び前記第3電極のそれぞれに接続し、第1部材の外部と接続可能な第3配線を含み、
第1接合面と第2接合面が対向するように第1部材と第2部材を積層し接合したときに、第2部材の各通気用貫通孔が、各第3電極と重複する位置または各第3電極より先端側に位置する、請求項1または2に記載のバイオセンサチップ組立用キット。
【請求項4】
少なくとも前記第1部材は、前記第1電極、第1配線、第2電極及び第2配線を射出成形によりインサート成形したものである請求項1に記載のバイオセンサチップ組立用キット。
【請求項5】
少なくとも前記第1部材は、前記第3電極及び第3配線をさらに射出成形によりインサート成形したものである請求項4に記載のバイオセンサチップ組立用キット。
【請求項6】
請求項1に記載のバイオセンサチップ組立用キットの第1部材の第2電極の少なくとも1つの露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または前記露出表面及び前記先端側の表面にバイオセンサ用の生物材料を固定し、
第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、かつ第2部材の各通気用貫通孔が、各流路用開口部の第2電極より先端側に位置するように、第1接合面と第2接合面を積層し、第1部材と第2部材の接合面を、前記生物材料が失活しない温度条件で接合することを含む、バイオセンサチップの製造方法。
【請求項7】
請求項3に記載のバイオセンサチップ組立用キットの第1部材の第2電極の少なくとも1つの露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または前記露出表面及び前記先端側の表面にバイオセンサ用の生物材料を固定し、
第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、かつ第2部材の各通気用貫通孔が、各第3電極と重複する位置または各第3電極より先端側に位置するように、第1接合面と第2接合面を積層し、第1部材と第2部材の接合面を、前記生物材料が失活しない温度条件で接合することを含む、バイオセンサチップの製造方法。
【請求項8】
前記生物材料が、酵素、抗原、抗体、ペプチド、タンパクおよび核酸から成る群から選ばれる少なくとも1種の材料である請求項7または8に記載の製造方法。
【請求項9】
前記生物材料が失活しない温度条件が、30〜40℃の範囲である請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の方法で製造して得られたバイオセンサチップ。
【請求項11】
開口中心部及び開口中心部から放射状に延存する少なくとも3つの流路用開口部を有する第1基板、第1基板に埋設され、かつ少なくとも一部が前記開口中心部にて露出する第1電極、第1基板に埋設され、少なくとも一部が前記流路用開口部にて露出し、前記第1電極と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第2電極、前記第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線、及び前記第2電極のそれぞれに接続し、第1部材の外部と接続可能な第2配線を含み、前記開口中心部及び流路用開口部を取り囲む表面からなる、第2部材の第2接合面と接合されるため第1接合面を有する第1部材、並びに
前記第1部材の開口中心部に対応する部分に、厚さ方向に伸びる、バイオセンサの測定対象となる被検体を導入するための貫通孔を有し、かつ前記各流路用開口部の第2電極より先端側の対応する部分のそれぞれに、厚さ方向に伸びる通気用貫通孔を有し、かつ第1部材の第1接合面と接合されるための第2接合面を有する第2部材
を含み、
第1基板及び第2基板は、ポリプロピレン系樹脂と一般式X−Yで表記されるブロックコポリマーの水素添加誘導体(但し、X:ポリプロピレン系樹脂に相溶しないポリマーブロック、Y:共役ジエンのエラストマー性ポリマーブロックである)とを含有する樹脂組成物からなり、
第2電極の少なくとも1つの流路用開口部における露出表面の少なくとも一部、前記各流路用開口部の第2電極より先端側の表面、または前記露出表面及び前記先端側の表面は、バイオセンサ用の生物材料が固定されており、
前記第1部材と第2部材は、第1接合面と第2接合面が対向するように積層し、第2部材の被検体を導入するための貫通孔が、第1部材の開口中心部に位置し、第2部材の各通気用貫通孔が、各流路用開口部の第2電極より先端側に位置し、第1部材の各流路用開口部と第2部材の各流路用開口部と対向する面との間に空間が形成されるように、前記接合面は接着剤を用いることなしに接合されたものである、
バイオセンサチップ。
【請求項12】
前記第1電極は、第2電極の数に相当する数に分割され、かつ独立に前記第1電極に接続し、第1部材の外部と接続可能な第1配線を有する、
請求項11に記載のバイオセンサチップ。
【請求項13】
前記第1部材は、第1基板に埋設され、一部が前記流路用開口部の前記第2電極より先端側にて露出し、前記第1電極及び第2電極と非接触状態にある、流路用開口部毎に独立して配設された第3電極、及び前記第3電極のそれぞれに接続し、第1部材の外部と接続可能な第3配線を含み、
第2部材の各通気用貫通孔が、各第3電極と重複する位置または各第3電極より先端側に位置するように、第1部材と第2部材を積層された、請求項11または12に記載のバイオセンサチップ。
【請求項14】
前記生物材料が、酵素、抗原、抗体、ペプチド、タンパクおよび核酸から成る群から選ばれる少なくとも1種の材料である請求項11〜13のいずれかに記載のバイオセンサチップ。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載のバイオセンサチップを含むバイオセンサ。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−68602(P2013−68602A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119248(P2012−119248)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【特許番号】特許第5170803号(P5170803)
【特許公報発行日】平成25年3月27日(2013.3.27)
【出願人】(000236920)富山県 (197)
【出願人】(305060567)国立大学法人富山大学 (194)
【出願人】(507106847)NSマテリアルズ株式会社 (8)
【出願人】(501212922)株式会社土田製作所 (6)
【出願人】(000107066)株式会社リッチェル (77)
【Fターム(参考)】