説明

マルチバンド無線通信システムおよび端末装置

【課題】時間フレーム同期処理に要する演算量を削減し、時間フレーム同期に要する時間を低減することが可能なマルチバンド無線通信システムを得ること。
【解決手段】不連続な複数の周波数帯を用いて通信を行う基地局装置および端末装置から構成されるマルチバンド無線通信システムであって、前記基地局装置は、所定の周波数帯の時間フレームと他の周波数帯の時間フレームとのタイミング差の情報を生成し、当該タイミング差の情報を当該所定の周波数帯を用いて前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記所定の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立し、さらに、前記基地局装置から受信したタイミング差の情報に基づいて、前記他の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不連続な複数の周波数帯を用いて通信を行うマルチバンド無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速通信への高い需要により高速無線通信システムの構築が求められている。また、通信の高速化に伴い、無線通信システムは、より広い周波数帯域の利用が必要であるが、利用できる周波数帯域には限界がある。そのため、不連続な複数の周波数帯を用いて一つの無線通信システムを構築する技術が求められている。このような技術は、3GPP(3rd Generation Partnership)ではマルチアグリゲーションと呼ばれており、下記非特許文献1において開示されている。なお、以降、不連続な複数の周波数帯を用いる無線通信方式をマルチバンド方式とよぶ。
【0003】
たとえば、下記引用文献1には、従来のマルチバンド方式として、基地局装置が、各周波数帯における伝搬特性およびQoS(Quality of Service)に基づいて、端末装置に対して周波数帯域を割り当てる方法が開示されている。ここでは、離散周波数帯における伝播特性の特徴を考慮して制御チャネルおよび通信チャネルに適した周波数帯を選定している。
【0004】
また、下記非特許文献2には、基地局装置が、端末装置から通知される複数の周波数帯のチャネル品質情報に基づいて、端末装置に対してできるだけ高い周波数帯域を割り当てる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−094001号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TR36.814 V1.5.0 (2009-11)
【非特許文献2】Y.Hara, K.Oshima著 「Multiband mobile communication system for wide coverage and high data rate,」 IEICE Trans. on Commun. vol.E89-B, no.9, pp.2537-2547, Sep.2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術によれば、マルチバンド方式では、基地局装置が端末装置に対してさまざまな周波数帯でデータを送信する可能性があるため、端末装置は、データ受信に先立って基地局装置との時間フレーム同期を確立する必要がある。そのため、端末装置では、周波数帯ごとに個別に時間フレーム同期を確立しようとすると、周波数帯域ごとに時間同期制御が必要となり、演算処理量が増加する、という問題があった。また、端末装置において、時間フレーム同期を確立するまでに所定の時間が必要となる、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、時間フレーム同期処理に要する演算量を削減し、さらに、時間フレーム同期に要する時間を低減することが可能なマルチバンド無線通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、不連続な複数の周波数帯を用いて通信を行う基地局装置および端末装置から構成されるマルチバンド無線通信システムであって、前記基地局装置は、所定の周波数帯の時間フレームと他の周波数帯の時間フレームとのタイミング差の情報を生成し、当該タイミング差の情報を当該所定の周波数帯を用いて前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記所定の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立し、さらに、前記基地局装置から受信したタイミング差の情報に基づいて、前記他の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、時間フレーム同期処理に要する演算量を削減し、時間フレーム同期に要する時間を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、マルチバンド無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、利用可能な周波数帯の一例を示す図である。
【図3】図3は、時間フレームの構成例を示す図である。
【図4】図4は、時間フレームの構成例を示す図である。
【図5】図5は、基地局装置から端末装置へタイミング差の情報を通知する図である。
【図6】図6は、時間フレームの構成例を示す図である。
【図7】図7は、時間フレームの構成例を示す図である。
【図8】図8は、時間フレームの構成例を示す図である。
【図9】図9は、マルチバンド方式の導入シナリオを示す図である。
【図10】図10は、2つの基地局装置が個別に信号を送信する様子を示す図である。
【図11】図11は、時間フレームの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかるマルチバンド無線通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態のマルチバンド無線通信システムの構成例を示す図であり、詳細には、マルチバンド無線通信システムに含まれる、基地局装置内の送信制御部10と、端末装置内の受信制御部20の、それぞれの構成例を示す図である。また、図2は、本実施の形態のマルチバンド無線通信システムにおいて利用可能な周波数帯の一例を示す図である。本実施の形態では、一例として、f1とf2とf3の不連続な3つの周波数帯を利用する。各周波数帯f1,f2,f3の大きさは、f1<f2<f3の関係を有することとする。なお、図2では離散的な周波数帯を表しているが、周波数帯は互いに隣接していてもよい。また、周波数帯の数は2つ以上のいかなる値であっても構わない。
【0014】
図1において、基地局装置の送信制御部10は、時間フレーム差管理部11と、周波数帯管理部12と、信号生成部13と、周波数帯f1送信部14と、周波数帯f2送信部15と、周波数帯f3送信部16と、を備える。
【0015】
時間フレーム差管理部11は、各周波数帯の時間フレームに生じているタイミング差を管理する。周波数帯管理部12では、複数の周波数帯(f1,f2,f3)を一元管理することとし、さらに、現在のトラヒック状態、端末装置の利用周波数帯、およびチャネル品質等を把握している。また、特定の端末装置から通信要求を受信した場合に、その端末装置から得られるチャネル品質に基づいて周波数帯の割り当て制御(周波数割り当て制御)を行う。また、通信中の端末装置とのチャネル品質が悪化した場合は、全体の利用状態を見たうえで、端末装置に対して適切な利用周波数の変更を通知する。信号生成部13は、制御信号およびデータ信号を生成し、生成した信号を、周波数帯管理部12による周波数割り当て制御に基づき所定の送信部へ転送する。周波数帯f1送信部14は、周波数帯f1を使用して制御信号またはデータ信号を端末装置へ送信する。周波数帯f2送信部15は、周波数帯f2を使用して制御信号またはデータ信号を端末装置へ送信する。周波数帯f3送信部16は、周波数帯f3を使用して制御信号またはデータ信号を端末装置へ送信する。
【0016】
また、図1において、端末装置の受信制御部20は、周波数帯f1受信部21と、周波数帯f2受信部22と、周波数帯f3受信部23と、信号検出抽出部24と、時間フレーム同期確立部25と、周波数帯管理部26と、を備える。また、上記信号検出抽出部24は、信号検出部241と、時間フレーム差抽出部242と、を備える。
【0017】
周波数帯f1受信部21は、周波数帯f1の制御信号またはデータ信号を受信する。周波数帯f2受信部22は、周波数帯f2の制御信号またはデータ信号を受信する。周波数帯f3受信部23は、周波数帯f3の制御信号またはデータ信号を受信する。信号検出部241は、受信信号から制御情報またはデータを検出する。時間フレーム差抽出部242は、それぞれの受信部(21,22,23)で受信した制御信号に含まれている時間フレームのタイミング差の情報を抽出する。時間フレーム同期確立部25は、時間フレームのタイミング差の情報に基づいて、各周波数帯の時間フレームの同期を確立する。周波数帯管理部26は、基地局装置による周波数割り当て制御によって割り当てられた周波数帯に基づいて、信号を受信する受信部を選択する。
【0018】
つづいて、マルチバンド無線通信システムにおける時間フレーム同期を確立する処理について説明する。本実施の形態では、複数の周波数帯において同じフレーム時間を有する方式を用いる場合に、時間フレーム同期を効率的に確立する方法について説明する。
【0019】
図3は、マルチバンド方式における基本的な時間フレームの構成例を示す図である。横軸を時間、縦軸を周波数としたグラフで表したものである。複数の周波数帯(f1,f2)は、同じタイミングに時間フレーム同期されている。図3に示す時間フレーム構成を持つマルチバンド方式の場合、端末装置は、1つの周波数帯に対して時間フレーム同期を確立すれば、他の周波数帯に存在する信号に対しても自動的に時間フレーム同期を確立できる。従って、端末装置では、周波数帯ごとに個別に時間フレーム同期を確立する必要が無いため、時間フレーム同期処理を削減することができる。
【0020】
しかしながら、複数の周波数帯の時間フレームは、必ずしも同じタイミングを持つとは限らない。図4は、マルチバンド方式における基本的な時間フレームの構成例を示す図である。図4に示すように、時間フレームは周波数帯によって異なる時間タイミングで送信される場合がある。このような場合、端末装置は、1つの周波数帯に対して時間フレーム同期を確立しても、他の周波数帯の時間フレームに対して自動的に時間フレーム同期を確立することができない。
【0021】
そこで、本実施の形態では、基地局装置が、複数の周波数帯で送信される時間フレームのタイミング差Δtの情報を端末装置へ通知する。図5は、基地局装置から端末装置へ制御信号によってタイミング差Δtの情報を通知する図である。このように、基地局装置は、データ信号とは別に、制御信号によってタイミング差Δtの情報を通知する。図6は、マルチバンド方式における基本的な時間フレームの構成例を示す図である。周波数f2におけるタイミングがΔtだけ遅れている状態を示すものである。このとき、基地局装置の送信制御部10では、時間フレーム差管理部11から、タイミング差Δtの情報を信号生成部13へ通知する。そして、信号生成部13は、タイミング差Δtの情報を含んだ制御信号を生成する。そして、周波数帯管理部12の指示に基づいて、所定の送信部から制御信号を送信する。
【0022】
なお、図5では複数の周波数帯として2つの場合を示しているが、例えば、周波数帯が5つ(f1〜f5)であった場合、基地局装置は、周波数帯f1において、周波数帯f1と残りの4つの周波数帯(f2〜f5)とのそれぞれのタイミング差として4つの情報を端末装置へ通知する。
【0023】
端末装置の受信制御部20では、所定の受信部において受信した信号のうち、信号検出部241において制御信号を検出し、時間フレーム差抽出部242が、制御信号からタイミング差Δtの情報を抽出する。そして、時間フレーム同期確立部25が、タイミング差Δtの情報に基づいて、時間フレーム同期の確立を行う。これにより、端末装置では、1つの周波数帯で時間フレーム同期を確立する場合に、タイミング差Δtの情報を用いることによって、他の周波数帯についても自動的に時間フレーム同期を確立できる。具体的に、端末装置は、確立された時間フレーム同期タイミングに対して、タイミング差Δtだけずらしたタイミングを他の周波数帯の時間同期タイミングとする。
【0024】
従来のように個別に時間フレーム同期を確立する場合、端末装置では、多くの可能性の時間タイミングから適したタイミングを検出する必要があるため、多くの演算規模とサーチ時間が必要であった。本実施の形態では、端末装置は、周波数帯ごとに個別に時間フレーム同期を確立することがないため、時間フレーム同期に要する処理量を低減できる。また、時間フレーム同期処理に要する時間を削減できる。
【0025】
なお、基地局装置から端末装置へ通知されるタイミング差Δtの情報は、端末装置がその情報を認識できる限り、基地局装置は、どの周波数帯を用いて通知してもよい。例えば、端末装置において周波数帯f1の時間同期を最初に確立することがあらかじめ決められている場合、基地局装置は、タイミング差Δtの情報を、周波数帯f1を用いて通知する。図7は、マルチバンド方式における基本的な時間フレームの構成例を示す図である。周波数帯f1の制御信号にタイミング差Δtの情報を含ませた状態を示すものである。
【0026】
この場合、端末装置は、周波数帯f1の時間フレーム同期を確立した後、基地局装置から通知されたタイミング差Δtの情報を、周波数帯f1において検出する。端末装置は、このタイミング差Δtの情報と周波数帯f1における時間タイミングとに基づいて、周波数帯f2における時間フレームの受信タイミングを認識することができる。そのため、端末装置では、周波数帯f2において、独立して時間フレーム同期を確立する必要は無い。
【0027】
また、基地局装置では、1つの周波数帯の制御信号にタイミング差Δtの情報を含ませるだけでなく、複数の周波数帯の制御信号に、他の周波数帯とのタイミング差Δtの情報を含ませて通知することとしてもよい。図8は、マルチバンド方式における基本的な時間フレームの構成例を示す図である。複数の周波数帯の制御信号に、それぞれ他の周波数帯とのタイミング差の情報を含ませている状態を示すものである。
【0028】
この場合、端末装置では、最初に時間同期を確立する周波数帯が決められていなくても、ある1つの周波数帯に対して時間フレーム同期を確立し、その周波数帯で通知された制御信号を受信することにより、他の周波数帯で送信される時間フレームのタイミング差を知ることができる。そのため、端末装置は、他の周波数帯に対して独立な時間フレーム同期処理を行わなくても、時間フレーム同期を確立することができる。
【0029】
また、図8の場合では、基地局装置は、周波数帯f1では周波数帯f1を基準とした周波数帯f2の時間フレームのタイミング差Δtを通知する。一方、基地局装置は、周波数帯f2では周波数帯f2を基準とした周波数帯f1の時間フレームのタイミング差「−Δt」を通知する。このように、周波数帯f1、f2では、それぞれ正負が逆転したタイミング差の値が制御信号として通知される。すなわち、基地局装置は、タイミング差の情報を、その周波数帯を基準とし、他の周波数帯との相対的な時間差を表す形式で通知する。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態では、基地局装置が、ある周波数帯の制御信号に、当該周波数帯の時間フレームと他の周波数帯の時間フレームとのタイミング差の情報を含ませて端末装置へ通知する。そして、端末装置では、ある周波数帯の時間フレーム同期を確立する際に、制御信号に含まれるタイミング差の情報に基づいて、他の周波数帯についても時間フレーム同期の確立をすることができる。これにより、端末装置では、周波数帯ごとに独立に時間フレーム同期を確立する必要はないため、時間フレーム同期処理に要する演算量を削減し、時間フレーム同期に要する時間を低減することができる。さらに、演算量の削減により、必要な消費電力を抑えることが可能となる。
【0031】
ここで、マルチバンド方式において、基地局装置が周波数帯ごとに異なる時間タイミングで時間フレームを送信することが必要となる場合について説明する。
【0032】
図9は、マルチバンド方式の導入シナリオを示す図である。図9に示す導入シナリオでは、周波数帯f1,f2でそれぞれ運用していた既存方式A,Bを新たに新方式(例えば3GPPにおいて標準化の行われているLTE(Long Term Evolution)−Advanced)に置き換える場合を示している。この場合、既存方式A,Bは、これまで独立に運用されていたため、同じフレーム時間タイミングを持たない場合がある。また、既存方式を新方式に置き換える場合、既存方式と新方式で同じフレーム時間タイミングを維持する必要性が生じる場合がある。例えば、TDD(Time division Duplex)方式では、上りリンクに用いる時間と下りリンクに用いる時間は干渉を低減するために隣接周波数の他のシステムとも一致させることが好ましい。このような環境で既存方式を新方式に置き換える場合、新方式も既存方式と同じ時間フレームタイミングを保持することが望まれる。
【0033】
既存方式A,Bを新方式に置き換える導入シナリオでは、周波数帯f1,f2によって時間フレームタイミングを同じにすることができない。そのため、マルチバンド方式では、周波数帯ごとに異なる時間タイミングで時間フレームを送信することが必要となる場合が発生する。
【0034】
なお、本実施の形態では「基地局装置」および「端末装置」として表現したが、これに限定するものではなく、いかなる無線局であっても構わない。また、複数の周波数帯は連続帯域であっても不連続帯域であっても構わない。また、本実施の形態で示した「時間フレーム」は、「時間スロット」、「サブフレーム」、「時間シンボル」、「時間サンプル」など時間同期を必要とするいかなる無線リソースについても適用可能である。
【0035】
実施の形態2.
実施の形態1では、1つの基地局装置が複数の周波数帯から信号を送信する場合について説明した。本実施の形態では、2つの基地局装置がそれぞれ異なる周波数帯で個別に信号を送信する場合について説明する。実施の形態1と異なる部分について説明する。
【0036】
図10は、2つの基地局装置A,Bがそれぞれ周波数帯f1,f2で個別に信号を送信する様子を示す図である。このとき、基地局装置Aから端末装置へ制御信号によってタイミング差Δtの情報を通知する。図11は、マルチバンド方式における基本的な時間フレームの構成例を示す図である。基地局装置Bが使用する周波数帯f2における時間フレームのタイミングが、基地局装置Aが使用する周波数帯f1の時間フレームよりもΔtだけ遅れている状態を示すものである。このような場合であっても、端末装置は、基地局装置Aとの通信に使用している周波数帯f1について時間フレーム同期を確立し、さらに、基地局装置Aから通知を受けた周波数帯f2とのタイミング差の情報を利用して、周波数帯f2についても時間タイミング同期を確立する。
【0037】
基地局装置A,Bからの信号が遅延時間差を有する場合には、周波数帯f1に対して時間タイミング同期を確立しても、基地局装置Bから送信された周波数帯f2の時間フレームに関して遅延時間差分のタイミング誤差が発生する。この場合、端末装置が、周波数帯f2における時間フレーム同期処理を行う必要が生じるが、時間フレームのタイミングを遅延時間差の誤差の範囲に絞ってサーチすることができる。これに対して、時間フレームのタイミング差の情報が制御信号で通知されない場合には、端末装置は、全ての時間タイミングをサーチする必要がある。そのため、端末装置は、タイミング差の情報の通知を受けていれば、時間フレーム同期処理を行うに際して、タイミングサーチを行う範囲を狭くでき、時間同期処理量を低減できる。このように、2つの基地局装置A,Bがそれぞれ周波数帯f1,f2で個別に信号を送信する場合であっても、端末装置では、一方の基地局装置から通知を受けたタイミング差の情報を利用することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態では、端末装置が異なる周波数帯を用いて複数の基地局装置と通信を行っている場合に、端末装置は、1つの基地局装置との間で使用している周波数帯において時間フレーム同期を確立し、さらに、当該周波数帯で通信を行っている基地局装置から通知を受けたタイミング差の情報を利用し、当該タイミング差の範囲内でサーチを行うことによって、他の周波数帯の時間フレーム同期を確立することとした。これにより、端末装置では、時間同期の処理量を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかるマルチバンド無線通信システムは、基地局装置と端末装置から構成される無線通信システムに有用であり、特に、端末装置が時間フレームの同期を確立する場合に適している。
【符号の説明】
【0040】
10 送信制御部
11 時間フレーム差管理部
12 周波数帯管理部
13 信号生成部
14 周波数帯f1送信部
15 周波数帯f2送信部
16 周波数帯f3送信部
20 受信制御部
21 周波数帯f1受信部
22 周波数帯f2受信部
23 周波数帯f3受信部
24 信号検出抽出部
241 信号検出部
242 時間フレーム差抽出部
25 時間フレーム同期確立部
26 周波数帯管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不連続な複数の周波数帯を用いて通信を行う基地局装置および端末装置から構成されるマルチバンド無線通信システムであって、
前記基地局装置は、所定の周波数帯の時間フレームと他の周波数帯の時間フレームとのタイミング差の情報を生成し、当該タイミング差の情報を当該所定の周波数帯を用いて前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記所定の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立し、さらに、前記基地局装置から受信したタイミング差の情報に基づいて、前記他の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立する、
ことを特徴とするマルチバンド無線通信システム。
【請求項2】
前記端末装置において、最初に時間フレームの同期を確立する周波数帯が決まっている場合、
前記基地局装置は、前記所定の周波数帯を、前記端末装置が最初に時間フレームの同期を確立する周波数帯とする、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチバンド無線通信システム。
【請求項3】
前記基地局装置は、前記タイミング差の情報を複数の周波数帯を用いて前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記複数の周波数帯のいずれかの周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立し、当該同期を確立した周波数帯で受信したタイミング差の情報に基づいて、前記他の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチバンド無線通信システム。
【請求項4】
不連続な複数の周波数帯を用いて通信を行う複数の基地局装置および1つの端末装置から構成されるマルチバンド無線通信システムであって、
前記端末装置が、1つの周波数帯を用いて1つの基地局装置と通信を行うことによって、複数の周波数帯を用いて複数の基地局装置と通信を行っている場合に、
各基地局装置は、前記端末装置との通信に用いている周波数帯の時間フレームと他の周波数帯の時間フレームとのタイミング差の情報を生成し、当該タイミング差の情報を当該端末装置との通信に用いている周波数帯を用いて前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、いずれかの基地局装置と時間フレームの同期を確立し、さらに、当該同期を確立した基地局装置との通信に用いている周波数帯以外の他の周波数帯において、当該同期を確立した基地局装置から受信したタイミング差の情報に基づいて、当該タイミング差の範囲内で他の周波数帯のサーチを行って時間フレームの同期を確立する、
ことを特徴とするマルチバンド無線通信システム。
【請求項5】
前記基地局装置は、制御信号により前記タイミング差の情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のマルチバンド無線通信システム。
【請求項6】
不連続な複数の周波数帯を用いて基地局装置と通信を行う端末装置であって、
周波数帯ごとに時間フレーム同期を確立する時間フレーム同期確立手段、
を備え、
前記基地局装置から、所定の周波数帯の時間フレームと他の周波数帯の時間フレームとのタイミング差の情報を、当該所定の周波数帯を用いて受信した場合に、
前記時間フレーム同期確立手段は、前記所定の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立し、さらに、前記基地局装置から受信したタイミング差の情報に基づいて、前記他の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立する、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項7】
前記基地局装置から、前記タイミング差の情報を複数の周波数帯を用いて受信した場合に、
前記時間フレーム同期確立手段は、前記複数の周波数帯のいずれかの周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立し、当該同期を確立した周波数帯で受信したタイミング差の情報に基づいて、前記他の周波数帯において前記基地局装置と時間フレームの同期を確立する、
ことを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
不連続な複数の周波数帯を用いて複数の基地局装置と通信を行う端末装置であって、
周波数帯ごとに時間フレーム同期を確立する時間フレーム同期確立手段、
を備え、
1つの周波数帯を用いて1つの基地局装置と通信を行うことによって、複数の周波数帯を用いて複数の基地局装置と通信を行い、各基地局装置から、自装置との通信に用いている周波数帯の時間フレームと他の周波数帯の時間フレームとのタイミング差の情報を、自装置との通信に用いている周波数帯を用いて受信した場合に、
前記時間フレーム同期確立手段は、いずれかの基地局装置と時間フレームの同期を確立し、さらに、当該同期を確立した基地局装置との通信に用いている周波数帯以外の他の周波数帯において、当該同期を確立した基地局装置から受信したタイミング差の情報に基づいて、当該タイミング差の範囲内で他の周波数帯のサーチを行って時間フレームの同期を確立する、
ことを特徴とする端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−77864(P2013−77864A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26611(P2010−26611)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】