マルチプルユニット型徐放性経口製剤およびその製造方法

本発明は、活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒が徐放性基剤でコートされた徐放性ペレットと、活性成分を含有する速放性顆粒とを含んでなるマルチプルユニット型徐放性経口製剤、およびその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、徐放性経口製剤に係り、より具体的には、徐放性パートと速放性パートの両方ともを含むマルチプルユニット型徐放性経口製剤に関する。
【0002】
〔背景技術〕
薬学分野で広く知られている徐放性製剤の利点は、一般に知られている。このような利点の中には、比較的長期間薬物の血中濃度を好適な水準に維持することができるため、従来と同一の効果を得るために必要な投薬回数を減少させることができるうえ、その結果として患者に対する薬物順応性を高めることができることもある。また、特定の薬理学的治療法は、順次方式で薬物の投与を必要とし、これから優れた治療効果を期待することができ、患者が所定の時間スケジュールで構成される処方箋に順応することにより行われ得るが、たまには患者の非順応度により期待の治療効果を得難い場合が多い。したがって、効果的な血漿濃度を保つために1日に何回も反復投与しなければならない薬物を持続的に放出させることが可能な徐放性製剤の開発によって治療法を簡素化し、不適な投与の危険を減らしまたは無くすことができる。現在、このような製剤の必要性は、慢性的な投与が行われている非ステロイド性消炎鎮痛剤の場合に切実に要求されている。
【0003】
患者の順応度の不足によって発生した薬物の消失したドーズ(dose)の効果を最小化し、薬物の血中治療濃度を維持するために、放出調節性および拡張された放出剤形を提供するために多くの技術が使用されてきた。従来の単純な錠剤またはカプセル剤として投与された薬物の体液への到達速度は、初期には非常に高く、以後には急激に減少する傾向を示した。このようなパターンは、多くの薬物において一時的な薬物の過血中濃度とその以後の治療学的に不十分な薬物の濃度を示す。かかる問題点によって臨床的使用が制限された。その送達パターンは1970年代に多様な制御送達システムの導入によって向上した。比較的一定に制御された薬物の送達を提供するこれらのシステムは、過血中濃度および不十分な薬物の血中維持濃度を回避することを可能にした。このような技術は、副作用の減少した有効な薬剤を提供し、投与回数の減少をもたらした。
【0004】
より具体的に、WO98/01117は、目的の徐放期間(12〜24時間)にわたって非ステロイド性消炎鎮痛剤を放出することが可能な徐放性担体からなる徐放性製剤と、その徐放性製剤の製造に適した徐放性賦形剤について開示した。
【0005】
このような活性成分の溶出速度を制御する徐放性製剤は、シングルユニット型およびマルチプルユニット型に分類できる。マルチプルユニット型製剤は、単一ユニットを持つシングルユニット型に比べて、一つの製剤に薬物放出速度の相異なるユニットが2つ以上存在する製剤である。マルチプルユニット型製剤は シングルユニット型に比べて有効成分の吸収変動が少なく、薬物溶出の再現性が容易であり、2種以上の有効成分に対する応用が可能であるなどの優れた特性を持つという点で、シングルユニット型からより進化した徐放性製剤であると言える。
【0006】
特に、非ステロイド性消炎鎮痛剤の場合、薬物の性格上、迅速な薬効発現を必要とするため、服用し次第薬効が発現されながらも24時間の効果持続を可能とすることが求められるので、速放性および徐放性を同時に示すことが可能なマルチプルユニット型の徐放性製剤が必要である。
【0007】
非ステロイド性消炎鎮痛剤であるザルトプロフェン(Zaltoprofen)は、手術、外傷後の慢性炎症にも卓越した効果を持つ。ザルトプロフェンは、成人を基準として通常約80mgの用量で1日3回服用することを必要とする。したがって、患者の便利性および服薬順応度を改善し且つ胃腸管副作用を減少させるために、1日只1回の服用が可能な1日1回投与剤形が好ましいが、現在までザルトプロフェンに対する徐放性製剤については具体的に開発された例がない実情である。
【0008】
〔発明の開示〕
〔技術的課題〕
そこで、本発明の目的は、活性成分の放出調節が容易なマルチプルユニット型徐放性製剤を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、活性成分の放出調節が容易なマルチプルユニット型徐放性製剤の製造方法を提供することにある。
【0010】
〔技術的解決方法〕
上記目的を達成するために、本発明は、活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒が徐放性基剤でコートされた徐放性ペレットと、活性成分を含有する速放性顆粒とを含んでなる、マルチプルユニット型徐放性経口製剤を提供する。このような徐放性経口製剤は、錠剤またはカプセル剤の形態であってもよい。
【0011】
前記徐放性ペレットを構成する顆粒は、徐放性ペレット中の活性成分100重量部に対して水不溶性高分子5〜30重量部で含有されてもよい。また、このような顆粒は、徐放性ペレット中の活性成分100重量部に対して徐放性基剤5〜40重量部でコートされることにより、徐放性ペレットを形成することができる。
【0012】
前記徐放性製剤は、徐放性ペレットに含有された活性成分と速放性顆粒に含有された活性成分との比率が1:1〜100:1であってもよいが、これに限定されない。
【0013】
前記顆粒を構成する水不溶性高分子は、水不溶性セルロースまたはその誘導体、ポリメタクリレート、およびポリメタクリレートとポリアルキルアクリレートの2種以上の混合体よりなる群から選択できるが、これに限定されない。これらの水不溶性高分子の中でも、エチルセルロースが好ましく、さらに好ましくは7〜14cpsの粘度を持つエチルセルロースが使用できる。
【0014】
前記顆粒のコーティングに用いられる徐放性基剤としては、水不溶性高分子が使用でき、特にエチルセルロースが好ましい。
【0015】
前記顆粒が徐放性基剤でコートされてなる前記徐放性ペレットは、0.05〜2mmの直径を持つことが好ましい。
【0016】
前記徐放性製剤の活性成分としては、徐放特性を要求する任意の薬物が使用でき、特に非ステロイド性消炎鎮痛剤であるザルトプロフェンが使用できる。
【0017】
本発明の他の観点によれば、前記マルチプルユニット型徐放性製剤の製造方法を提供し、具体的には、活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒を製造する段階と、前記顆粒に徐放性基剤をコートして徐放性ペレットを製造する段階と、活性成分を含有する速放性顆粒を製造する段階と、前記徐放性ペレットおよび前記速放性顆粒を薬学的に適した添加剤と混合して混合物を打錠する段階とを含む、マルチプルユニット型徐放性錠剤の製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒を製造する段階と、前記顆粒に徐放性基剤をコートして徐放性ペレットを製造する段階と、活性成分を含有する速放性顆粒を製造する段階と、前記徐放性ペレットおよび前記速放性顆粒を硬質カプセルに充填する段階とを含む、マルチプルユニット型徐放性カプセルの製造方法を提供する。
【0019】
〔図面の簡単な説明〕
図1は本発明の実施例3で製造した240mgのザルトプロフェンのマルチプルユニット型の徐放性コーティング錠剤を市販中の 80mgのザルトプロフェンのソレトン錠(CJ Corp、韓国)を対照群として薬物の溶出試験を行った結果を示すグラフである。
【0020】
図2は本発明の実施例3で製造した240mgのザルトプロフェンのマルチプルユニット型の徐放性コーティング錠剤を市販中の80mgのザルトプロフェンのソレトン錠(CJ Corp、韓国)を対照群としてビーグル犬(beagle dog)を対象に1日服用量240mgを1回投与して得られた時間による薬物の平均血漿濃度プロファイルを示すグラフである。
【0021】
〔発明の実施のための最良の形態〕
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0022】
本発明は、マルチプルユニット型の徐放性製剤に関する。本発明者らは、迅速な効果発現のための有効成分の迅速な放出および1日1回投与のための持続的な放出を必要とする薬物、特に非ステロイド性消炎鎮痛剤であるザルトプロフェンの製剤について研究した結果、薬物の迅速な放出のために、活性成分を含有する速放性顆粒を導入し、薬物の持続的な放出のために、水不溶性高分子および活性成分を含有する顆粒に徐放性基剤をコートした徐放性ペレットを導入することにより、薬物の迅速な初期放出および持続的な薬物放出の調節が容易な製剤になれることを見出し、本発明を完成した。
【0023】
したがって、本発明によって提供される徐放性製剤は、活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒が徐放性基剤でコートされた徐放性ペレットと、活性成分を含有する速放性顆粒とを含んでなるマルチプルユニット型徐放性経口製剤である。このような徐放性経口製剤は、具体的に錠剤またはカプセル剤の形態であってもよいが、これに限定されない。
【0024】
前記徐放性ペレットを構成する顆粒は、活性成分および水不溶性高分子を含有し、通常の顆粒の製造方法によって製造されて水不溶性高分子中に活性成分が均質に分散した形態を持つ。このような顆粒を構成する水不溶性高分子は、活性成分の水に対する溶解性を考慮して水不溶性高分子の種類、水不溶性高分子と活性成分との配合比を調節することにより、活性成分の徐放性パターンを調節することができる。
【0025】
前記顆粒を形成する活性成分と水不溶性高分子との配合比は、活性成分の溶出制御を可能にする範囲で適切に選択できるが、好ましくは徐放性ペレット中の活性成分100重量部に対して水不溶性高分子5〜30重量部の範囲、好ましくは10〜20重量部で存在することができる。
【0026】
このような顆粒を構成する水不溶性高分子は、薬学的分野への使用に適したものと知られている任意の水不溶性高分子が使用でき、具体的には、水不溶性セルロースまたはその誘導体、ポリメタクリレート、およびポリメタクリレートとポリアルキルアクリレートの2種以上の混合体よりなる群から選択できる。前記水不溶性セルロースまたはその誘導体としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピレンメチルセルロースフタレート、またはエチルセルロースなどがある。そして、前記ポリメタクリレートとポリアルキルアクリレートの2種以上の混合体としては、例えばポリメタクリレートとポリメチルメタクリレートが1:1の比率で混合された混合体、またはポリエチルアクリレートとポリメチルメタクリレートとポリトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライドが1:2:0.1または1:2:0.2の比率で混合された混合体がある。これらの水不溶性高分子は単独でまたは併用して使用できる。前記水不溶性高分子として、好ましくはエチルセルロースが使用でき、最も好ましくは7〜14cpsの粘度を持つエチルセルロースが使用される。
【0027】
前記顆粒は、徐放性基剤によってコートされて徐放性ペレットを形成することにより、活性成分の放出がさらに調節できる。このような徐放性基剤によるコーティングをさらに導入することにより、活性成分の放出をさらに容易に調節することができ、徐放性ペレット中に含有された活性成分の放出をさらに長時間制御することができる。
【0028】
顆粒のコーティングに用いられる徐放性基剤の量は、活性成分の溶出制御を可能にする範囲で適切に選択できるが、通常、徐放性ペレット中の活性成分100重量部に対して5〜40重量部、好ましくは10〜20重量部の範囲で使用できる。このようなペレットの製造に用いられる徐放性基剤としては、前記水不溶性高分子が使用でき、好ましくはエチルセルロースが使用できる。
【0029】
顆粒が徐放性基剤によってコートされてなる徐放性ペレットは、経口製剤、特に錠剤またはカプセル剤への製剤化に適した0.05〜2mm範囲の粒径を持つことが好ましい。
【0030】
本発明のマルチプルユニット型の徐放性製剤を構成する他のパートである活性成分を含有する速放性顆粒は、徐放性製剤の投与の際に薬物の一部を迅速に放出させて薬物の有効血中濃度への到達時間を最小化するためのもので、公知の速放性顆粒の通常の製造方法によって製造できる。
【0031】
前記マルチプルユニット型の徐放性経口製剤に適用できる活性成分としては、体内への経口投与の際に徐放化が必要な任意の薬物が使用できる。徐放化が必要な薬物とは、治療学的有効量の濃度を維持するために、1日数回の服用を必要する短期活性薬物をいう。このような薬物としては、糖尿治療剤、抗生剤、アンジオテンシン転換抑制剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤、高脂血症治療剤、心血管系用薬剤、喘息治療剤、抗鬱剤、抗ヒスタミン剤などが使用でき、特に非ステロイド性消炎鎮痛剤であるザルトプロフェンが本発明の徐放性製剤に適用できる。
【0032】
本発明の徐放性製剤は、速放性顆粒および徐放性ペレット部分に同一の活性成分を含有して薬物の迅速な放出および持続的な放出を可能にすることにより、1日1回の投与でも活性成分を迅速且つ持続的に血中に有効濃度で維持させることが主な目的であるが、速放性顆粒および徐放性ペレットに含有される薬物をそれぞれ異ならせることにより、一つの製剤の投与で複合的な薬物の効果を引き起こすこともできる。
【0033】
前記マルチプルユニット型の徐放性製剤は、具体的には錠剤およびカプセル剤形態の徐放性製剤に製造できる。
【0034】
前記マルチプルユニット型の徐放性錠剤は、活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒を製造する段階と、前記顆粒に徐放性基剤をコートして徐放性ペレットを製造する段階と、活性成分を含有する速放性顆粒を製造する段階と、前記徐放性ペレットおよび速放性顆粒を薬学的に適した添加剤と混合して 混合物を打錠する段階とを含む方法によって製造できる。
【0035】
顆粒を製造するために、まず、水不溶性高分子を単独で有機溶媒または精製水に溶解させて水不溶性高分子溶液を製造した後、これを用いて通常の顆粒製造方法で顆粒を製造する。顆粒製造方法としては、例えば湿式造粒法または乾式造粒法が使用できる。湿式造粒法としては、流動層造粒器による方法と高速混合器を用いた方法が使用でき、乾式造粒法としては、ローラーコンパクター(roller compactor)を用いたリボン型造粒法と直打型賦形剤としての水不溶性高分子原料を用いた直打法などが使用できる。特に、流動層造粒器を用いる場合には、流入温度60〜85℃、排気温度30〜65℃の条件で十分乾燥および予熱させた後、水不溶性高分子溶液を300mL/時間で1500mL/時間の速度でザルトプロフェンに吸着させながら顆粒を製造することができる。最も適した噴霧条件は流入速度65〜75℃、排気温度30〜45℃、混合液の流入量720mL/時間である。
【0036】
活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒に徐放性基剤を適用するために、徐放性基剤として水不溶性高分子の溶液を製造し、通常の顆粒コーティング法によって徐放性基剤でコートすることができる。このような徐放性基剤として用いられる水不溶性高分子溶液も、前記顆粒の製造に用いられた水不溶性高分子溶液の製造と同一の方式で、水不溶性高分子単独で有機溶媒または精製水に溶解させて使用し、或いは水不溶性高分子と有機酸を有機溶媒または精製水と共に溶解させて使用することができる。このような徐放性基剤の水溶液は、さらにタルク、酸化チタンおよび軽質無水ケイ酸などの滑沢剤のいずれか1種を選択することができ、薬学的に許容される添加剤、例えばポリエチレングリコール、トリアセチンなどの可塑剤などをさらに含むことができる。顆粒コーティング法として、具体的には流動層造粒器を用いた方法が使用できる。この際、形成される徐放性基剤のコーティング厚さに応じて薬物の徐放性がさらに調節できる。
【0037】
前記活性成分を含有する速放性顆粒は、活性成分に通常用いられる、薬学的に許容される賦形剤、結合剤、崩解剤などの添加剤と共に、湿式造粒法による流動層造粒器を用いた方法および高速混合器を用いた方法の中から選択された顆粒製造方法によって製造できる。
【0038】
前記徐放性ペレットおよび速放性顆粒を所定の比率で混合し、ここに例えば錠剤の製造のために通常用いられる賦形剤、滑沢剤、着色剤などの薬学的に許容される少なくとも一つの添加剤を共に混合して打錠することにより、本発明の徐放性錠剤を製造することができる。このような徐放性錠剤は、徐放性ペレットに含有された活性成分と速放性顆粒に含有された活性成分との比率を1:1〜100:1にすることができ、好ましくは7:3〜9:1にすることができる。
【0039】
前記賦形剤は、好ましくはラクトース、未結晶セルロース、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、小麦澱粉、白糖、D−マンニトール、沈降炭酸ナトリウム、デキストリン、予備ゼラチン化澱粉、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択できる。賦形剤は、錠剤の全体重量に対して10〜90重量部で含有できる。
【0040】
前記結合剤は、好ましくはポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、直打型未結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ペースト、アラビアゴム、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択でき、錠剤の全体重量に対して2〜40重量部で使用できる。
【0041】
前記崩解剤は、好ましくは澱粉グリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉、カルボキシメチルセルロースカルシウム、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択でき、崩解剤は、錠剤組成物の全体重量に対して0.1〜32重量部で含有できる。
【0042】
前記滑沢剤は、好ましくはステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、およびこれらの組み合わせよりなる群から選択でき、滑沢剤は、錠剤の全体重量に対して0.1〜20重量部で含有できる。
【0043】
前記着色剤は、二酸化チタン、酸化鉄、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、例えば青色1号アルミニウムレーキ、赤色40号アルミニウムレーキなどのアルミニウムレーキから選ばれた少なくとも1種が含有できる。
【0044】
こうして製造された徐放性錠剤は、さらにフィルムコーティング過程を行うことができる。フィルムコーティング剤としては腸溶性または非腸溶性フィルムコーティング剤が使用でき、腸溶性フィルムコーティング剤としては酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、メタクリル酸高分子(Eudragit L、S)などが使用でき、非腸溶性フィルムコーティング剤としてはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポビドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースアセテート(CA)、セレアック(Shellac)などが使用できる。このような錠剤コーティング過程は、例えばパンコーティング法、流動層コーティング法、圧縮コーティング法などによって行われる。
【0045】
前記マルチプルユニット型徐放性経口製剤のうち、カプセル剤は、前記錠剤の製造の際に製造された徐放性ペレットと速放性顆粒とを混合して硬質カプセルに充填することにより製造できる。カプセルの充填方法は、ペレットを圧入して硬質カプセル内に充填し、或いは自由落下によって硬質カプセルに充填するなどの通常の方法によって可能である。
【0046】
本発明の徐放性製剤の人体投与量は、体内における吸収度、不活性化率、排泄速度、患者の年齢、性別および状態、疾病の重症程度などによって適切に選択することができる。
【0047】
〔発明の様態〕
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。ところが、これらの実施例は本発明を説明するためのもので、本発明を限定するものではない。
【0048】
〔実施例1〕
<A.水不溶性高分子溶液の製造>
水不溶性高分子であるエチルセルロース14cps100gを80%のエタノール水溶液1000gに加えた後、機械的混合器によって1000rpmにて30〜60分間攪拌させて水不溶性高分子溶液を製造した。
【0049】
<B.ザルトプロフェンおよび水不溶性高分子からなる顆粒の製造>
流動層造粒器を流入温度65℃、排気温度30℃の条件で十分乾燥および予熱させた後、前記製造された水不溶性高分子としてのエチルセルロース溶液を720mL/時間の流入速度でザルトプロフェン500gに吸着させながら顆粒600gを製造した。
【0050】
<C.徐放性基剤コーティング液の製造>
徐放性基剤であるエチルセルロース14cps 75gを80%エタノール水溶液750gに加えて機械的混合器によって1000rpmにて30〜60分間溶解させた後、タルク15gを加えて混合した。
【0051】
<D.徐放性ペレットの製造>
前記B段階で製造された顆粒物600gを流動層造粒器を用いて噴霧した後、前記C段階で製造した徐放性基剤コーティング液を720mL/時間の流入速度で噴霧しながら直径0.05〜1.5mm範囲の徐放性ペレット690gを製造した。
【0052】
<E.速放性顆粒の製造>
ポリビニルピロリドン分子量30,000〜50,000Kg/molの結合剤12gを50%エタノール水溶液60gに入れて機械的混合器によって600rpmの速度で攪拌しながら溶かし、結合液を製造した。
【0053】
ザルトプロフェン72g、未晶質セルロース90gおよび澱粉グルコーン酸ナトリウム60gを混合した後、高速混合器に、前記製造された結合液を注入しながら、ザルトプロフェンの速放性顆粒を製造した。この際、高速混合器の条件は表1の通りである。
【0054】
【表1】

前述した条件で顆粒を製造した後、40℃で乾燥減量が3%以下になるまで乾燥を行った後、オシレータによって25〜35メッシュで顆粒をスクリーニングした。
【0055】
<F.マルチプルユニット型徐放性錠剤の製造>
徐放性錠剤を直接打錠方法(直打法)によって製造し、前記ザルトプロフェンの徐放性ペレット298.08gを、前記段階Eで製造された速放性顆粒78g、ステアリン酸マグネシウム2.92gと共に混合した後、硬度が7〜12Kpとなるように379mgの錠剤を製造した。
【0056】
〔実施例2:マルチプルユニット型徐放性カプセルの製造〕
実施例1のDおよびEで製造したザルトプロフェンの徐放性ペレット298.08g、速放性顆粒78gおよびステアリン酸マグネシウム2.92gを一緒に、379mgの硬質カプセル0号に自由落下方法によって充填させて徐放性カプセルを製造した。
【0057】
〔実施例3:マルチプルユニット型徐放性コーティング錠剤の製造〕
<A.マルチプルユニット型徐放性錠剤の製造>
実施例1と同一の方法によって徐放性錠剤を製造した。
【0058】
<B.徐放性錠剤のフィルムコーティング>
Opadry(登録商標) AMB(PVA;カラーコン社)コーティング剤20gを精製水200gに懸濁させてコーティング液を製造し、前記段階Aで製造したザルトプロフェンの徐放性錠剤をコーティングパン(Hi−coater)内に充填した。コーティングパン内に充填されている乾燥した錠剤に、吸入空気温度が75〜85℃、排出空気温度が約35〜45℃となるように維持した。空気圧によって作動する噴霧装置によって、前記乾燥した錠剤に前記コーティング液を噴霧した後、空気供給を約30〜40分間さらに乾燥させ続けた。ここで得られた錠剤のOpadry(PVA;カラーコン社)コーティング材のコーティング量は前記錠剤の總量に対して2.11%であった。
【0059】
前記実施例1〜3で製造された製剤の処方は表2の通りである。
【0060】
【表2】

[実験例:錠剤の溶出試験および吸収実験]
<A.in vitro評価>
実施例3で製造したマルチプルユニット型の徐放性錠剤を対象として溶出試験を行った。溶出試験法は、大韓薬典の一般試験法中の溶出試験第2法に従って前記で製造した錠剤およびカプセル剤に対して、水またはpH7.8の緩衝液を溶出液とし、100回転/分の条件下で12時間行った。溶出試験開始15分、30分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間の間隔で5mLずつ溶出液を取って濾過し、そのろ液を検液として高速液体クロマトグラフィーによって分析した。対照群として現在市販中のソレトン(登録商標)(速放性製剤)を用いた。その結果を図1に示した。
【0061】
図1によれば、実施例1の徐放性製剤の溶出率が1時間に20〜40%、3時間に40〜60%、12時間に80%以上と示された。このような結果より、本発明の徐放性製剤は初期に比較的多量の薬物が放出されながらも12時間以上にわたって持続的に薬物の放出が行われて薬物投与の際に迅速に効果を示すうえ、1日1回投与が可能な製剤であることが分かる。このような放出パターンは、対照群として使用した市販中の速放性ソレトン(登録商標)が短時間に100%の溶出を示すのとは明確に異なった。
【0062】
<B.in vivo評価>
試験物質投与の前日、ビーグル犬(Marshall Beijing、中国、13ヶ月齢、平均体重11.5kg、雄)は絶食させ、実施例3で製造したザルトプロフェンの徐放錠と市販中のソレトン(登録商標)錠を強制経口投与した。投与の後、水10mLを強制投与した。薬物投与スケジュールは表3の通りである。
【0063】
【表3】

前記実験動物から採血した。採血時間は、薬物投与後20分、40分、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、24時間、30時間の間隔で行った。群の構成に従ってそれぞれの採血時間に合わせて頭部静脈(cephalic vein)または頚静脈(jugular vein)から1mL採血した。採血容器は、抗凝固剤(EDTA)またはヘパリン処理の容器を使用し、13,000rpmで3分間遠心分離して得た血漿を分離して分析した。直ちに分析しないときは、分析時まで冷凍室(−20℃)で冷凍保管した。
【0064】
試料の前処理は、200μLの血漿に内部標準液ジフェニルオキサゾル(25μL/m)を100μL加え、酢酸(2M)100μLおよびジクロロメタン1mLを加えて40秒間振とうした後、薬物抽出過程を経てHPLC分析を行うことにより、図2のような血中濃度の平均プロファイルを得た。また、実施例3の徐放性錠剤の徐放性ペレット全体の血中濃度平均および速放性顆粒全体の血中濃度平均を求めて図2に共に示した。
【0065】
このような血中濃度プロファイルに基づいて非コンパートメント(non-compartment)モデル解析法によって最高血中濃度(Cmax)、最高血中濃度到達時間(Tmax)、濃度曲線下面積(AUC)などの一般的な体内薬物動態指数を算出して表4に示した。
【0066】
【表4】

図2の時間経過に伴う血中濃度および表4の薬物動態指数の結果からみて、実施例2で製造したザルトプロフェンの徐放性錠剤が、対照群としてのソレトン(登録商標)錠に比べて体内で効果的に用いられることが分かる。
【0067】
〔産業上の利用可能性〕
上述したように、本発明によれば、投薬の便利性および患者の順応度のために、1日1回投与ができる程度で徐放性を示すだけでなく、投薬の後に迅速に有効血中濃度に到達することが可能な程度の量が迅速に放出される徐放性製剤を提供することができるため、薬物の特性上、持続的な放出および迅速な効果の発現が要求される場合に有用に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は本発明の実施例3で製造した240mgのザルトプロフェンのマルチプルユニット型の徐放性コーティング錠剤を市販中の 80mgのザルトプロフェンのソレトン錠(CJ Corp、韓国)を対照群として薬物の溶出試験を行った結果を示すグラフである。
【図2】図2は本発明の実施例3で製造した240mgのザルトプロフェンのマルチプルユニット型の徐放性コーティング錠剤を市販中の80mgのザルトプロフェンのソレトン錠(CJ Corp、韓国)を対照群としてビーグル犬(beagle dog)を対象に1日服用量240mgを1回投与して得られた時間による薬物の平均血漿濃度プロファイルを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒が徐放性基剤でコートされた徐放性ペレットと、
活性成分を含有する速放性顆粒とを含んでなることを特徴とする、マルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項2】
錠剤またはカプセル剤であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項3】
前記活性成分および前記水不溶性高分子が含有された顆粒は、徐放性ペレット中の活性成分100重量部に対して水不溶性高分子5〜30重量部が含有されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項4】
前記徐放性ペレットは、ペレット中の活性成分100重量部に対して徐放性基剤5〜40重量部でコートされたことを特徴とする、請求項1に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項5】
前記徐放性ペレットに含有された活性成分と速放性顆粒に含有された活性成分との比率は1:1〜100:1であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項6】
前記水不溶性高分子は、水不溶性セルロースまたはその誘導体、ポリメタクリレート、およびポリメタクリレートとポリアルキルアクリレートの2種以上の混合体よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項7】
前記水不溶性高分子は、7〜14cpsの粘度を持つエチルセルロースであることを特徴とする、請求項6に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項8】
前記徐放性製剤は、水不溶性高分子であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項9】
前記水不溶性高分子は、エチルセルロースであることを特徴とする、請求項8に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項10】
前記徐放性ペレットは、0.05〜2mmの直径を持つことを特徴とする、請求項1に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項11】
前記活性成分は、ザルトプロフェンであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のマルチプルユニット型徐放性経口製剤。
【請求項12】
活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒を製造する段階と、
前記顆粒に徐放性基剤をコートして徐放性ペレットを製造する段階と、
活性成分を含有する速放性顆粒を製造する段階と、
前記徐放性ペレットおよび前記速放性顆粒を薬学的に適した添加剤と共に混合して混合物を打錠する段階とを含むことを特徴とする、マルチプルユニット型徐放性錠剤の製造方法。
【請求項13】
活性成分および水不溶性高分子を含有する顆粒を製造する段階と、
前記顆粒に徐放性基剤をコートして徐放性ペレットを製造する段階と、
活性成分を含有する速放性顆粒を製造する段階と、
前記徐放性ペレットおよび前記速放性顆粒を硬質カプセルに充填する段階とを含むことを特徴とする、マルチプルユニット型徐放性カプセルの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−524651(P2009−524651A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552234(P2008−552234)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000439
【国際公開番号】WO2007/086692
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(508064724)シージェイ チェイルジェダン コーポレイション (32)
【Fターム(参考)】