説明

マルチプレックス回路

【課題】低コストで信頼性を向上でき汎用性のあるマルチプレックス回路を提供すること。
【解決手段】2個のロジック用ダイオードD2,D4によるロジック構成を含み、2チャンネルの入力信号を1チャンネルの多重化信号に多重化して出力する少なくとも1組のマルチプレックス部MPX1 と、少なくとも1組のマルチプレックス部MPX1 を多重化モードとスリープモードで切り換えて作動させるストロボ信号を供給する1つのストロボ回路2と、ストロボ回路2を制御する制御信号を供給する制御手段(マイコン)1とを備え、マルチプレックス部MPX1 の2個のロジック用ダイオードD2,D4は、ストロボ信号により、多重化モード時には交互に能動状態となり、スリープモード時には一方が非能動状態かつ他方が能動状態となるように作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコン等の制御回路のデジタル入力部において、入力信号を多重化するマルチプレックス回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のマルチプレックス回路の構成例を示す回路図である。図7のマルチプレックス回路では、マルチプレックスIC5を用いて、制御回路としてのマイコン1への入力を多重化し、マイコン1の入出力ポート用ピンの省ピン化を実現している。
【0003】
すなわち、図7において、マイコン1は、出力ポートP1,P3,P4,P5と、入力ポートP2,P6,P7を有する。出力ポートP1からは、スリープ回路3へスリープ制御信号が出力され、入力ポートP2には、マルチプレックスIC5からの多重化出力信号が入力され、出力ポートP3,P4,P5からは、マルチプレックスIC5へマルチプレックス(MPX)制御信号が出力される。
【0004】
スリープ回路3は、抵抗31〜35およびトランジスタ36,37からなる。マルチプレックスIC5は、たとえば、8チャンネルの入力信号を1チャンネルの多重化出力信号に多重化する8→1MPX機能を有する。マルチプレックスIC5の各入力チャンネルには、それぞれ、入力スイッチSW1〜SW8からの入力信号が、ダイオードD11〜D18、抵抗R21〜R28およびR31〜R38を介して入力される。ダイオードD11〜D18と抵抗R21〜R28の接続点には、それぞれ、抵抗R11〜R18を介して、スリープ回路3からスリープ信号が供給される。
【0005】
マイコン1の入力ポートP6には、入力スイッチSW9からの入力信号が、ダイオードD19、抵抗R29およびR39を介して供給される。ダイオードD19と抵抗R29の接続点には、抵抗R19を介して+B電源が接続されている。同様に、マイコン1の入力ポートP7には、入力スイッチSW10からの入力信号が、ダイオードD20、抵抗R30およびR40を介して供給される。ダイオードD20と抵抗R30の接続点には、抵抗R20を介して+B電源が接続されている。
【0006】
入力スイッチSW1〜SW8からの入力信号は、マルチプレックスIC5で多重化されるがスリープ対象入力であり、また、入力スイッチSW9からの入力信号は、多重化できるがスリープしない入力であり、入力スイッチSW10からの入力信号は、多重化しない入力である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図7に示す従来回路では、以下の問題点がある。
(1)スリープ時、スリープ制御信号はオフすなわちロー(Lo)レベルでありかつMPX制御信号もオフとされるために、スリープしない入力信号は多重化することができない。
(2)マルチプレックスIC5のコストが高い。
(3)マルチプレックスIC5の故障・誤動作時、多重化する入力信号全てが、認識不能になってしまう。
(4)8→1MPX機能を有するマルチプレックスIC5が使用される場合、マイコン1においてMPX用のポートは5ポート必要であり、入力が8チャンネル以下になってもポート数が減らない。
(5)スリープしていてウェークアップの対象となる入力(SW1〜SW8)は、スリープ時もマルチプレックスIC5で多重化されているために、ウェークアップ時間が遅れてしまう。スリープ時は、消費電流を軽減するために、マイコン1は、動作クロックを遅くした状態での制御となる。このため、マルチプレックスIC5が遅いクロックによる制御で多重化制御されているため、多重化される入力信号が、マイコン1の入力ポートに達するまでに通常動作時より時間を要する。
【0008】
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑み、低コストで信頼性を向上でき汎用性のあるマルチプレックス回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明のマルチプレックス回路は、2個のロジック用ダイオードによるロジック構成を含み、2チャンネルの入力信号を1チャンネルの多重化信号に多重化して出力する少なくとも1組のマルチプレックス部と、前記少なくとも1組のマルチプレックス部を多重化モードとスリープモードで切り換えて作動させるストロボ信号を供給する1つのストロボ回路と、前記ストロボ回路を制御する制御信号を供給する制御手段とを備え、前記マルチプレックス部の2個のロジック用ダイオードは、前記ストロボ信号により、前記多重化モード時には交互に能動状態となり、前記スリープモード時には一方が非能動状態かつ他方が能動状態となるように作動することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明のマルチプレックス回路は、少なくとも2個のロジック用ダイオードによるロジック構成を含み、少なくとも2チャンネルの入力信号を1チャンネルの多重化信号に多重化して出力する少なくとも1組のマルチプレックス部と、前記少なくとも1組のマルチプレックス部を多重化モードとスリープモードで切り換えて作動させるストロボ信号を供給する少なくとも2つのストロボ回路と、前記少なくとも2つのストロボ回路をそれぞれ制御する制御信号を供給する制御手段とを備え、前記マルチプレックス部の少なくとも2個のロジック用ダイオードは、前記ストロボ信号により、前記多重化モード時には順次能動状態となり、前記スリープモード時には少なくとも1個が非能動状態かつ残りが能動状態となるように作動することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のマルチプレックス回路において、前記マルチプレックス部のロジック用ダイオードと入力信号の間には入力保護用ダイオードが接続されており、前記ロジック用ダイオードと前記入力保護用ダイオードは、2素子入りの同一パッケージ品とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、以下の利点がある。すなわち、
(1)マルチプレックス専用ICを使用せず、従来のスリープ回路に代えたストロボ回路においてトランジスタ1個の追加、およびマルチプレックス部においてダイオード追加のみのため、低コストのマルチプレックス回路が実現できる。
(2)多重化する入力数によっては、マルチプレックス専用IC使用時以上の省ピン化を実現できる。
(3)マルチプレックス専用IC使用時より故障時の影響を軽減できる(ICの故障・誤動作で全ての多重化信号認識不能となる)ため、信頼性を向上できる。
(4)スリープしない入力信号も、スリープ対象入力信号と共に同じチャンネル数だけ多重化することができ、汎用性がある。
(5)スリープしている入力信号も、マルチプレックスICを使用していないので、スリープからの反応時間の遅れなしにウェークアップできる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、以下の利点がある。すなわち、
(1)マルチプレックス専用ICを使用せず、従来のスリープ回路に代えたストロボ回路においてトランジスタ1個の追加、およびマルチプレックス部においてダイオード追加のみのため、低コストのマルチプレックス回路が実現できる。
(2)多重化する入力数によっては、マルチプレックス専用IC使用時以上の省ピン化を実現できる。
(3)マルチプレックス専用IC使用時より故障時の影響を軽減できる(ICの故障・誤動作で全ての多重化信号認識不能となる)ため、信頼性を向上できる。
(4)スリープしない入力信号も、スリープ対象入力信号と共に同じまたは異なる比率のチャンネル数だけ多重化することができ、汎用性がある。
(5)スリープしている入力信号も、マルチプレックスICを使用していないので、スリープからの反応時間の遅れなしにウェークアップできる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、以下の利点がある。すなわち、
(1)マイコン等制御回路選択の自由度が広がる。
(2)分圧回路を削除できる。
(3)多重化によっても、入力SWの電位を制御回路に正確に伝えることができる。
(4)A/Dポートを使用することにより、多重前の入力の状態(電圧損失、レベル浮き)自体もモニタ可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に係るマルチプレックス回路の構成を示す回路図である。図1のマルチプレックス回路は、マイコン1と、ストロボ回路2と、複数(n個)のマルチプレックス部MPX1 〜MPXn とから構成される。なお、nは2以上の整数である。
【0017】
マイコン1は、ストロボ回路2に制御信号を出力する出力ポートP0 と、各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn からの多重化信号が入力される入力ポートP1 〜Pn とを有する。マイコン1は、請求項における制御手段として働く。
【0018】
ストロボ回路2は、抵抗21〜26と、トランジスタ27〜29からなる。マイコン1の出力ポートP0 から出力されるストロボ信号は、抵抗21を介してnpn型のトランジスタ27のベースに供給される。トランジスタ27のベースは、抵抗22を介して接地され、エミッタは、接地され、コレクタは、抵抗23を介してpnp型のトランジスタ28のベースに接続されている。トランジスタ28のエミッタは、+B電源に接続され、コレクタは抵抗25を介してpnp型のトランジスタ29のベースに接続されている。トランジスタ28のエミッタおよびベース間には抵抗24が接続されている。トランジスタ29のエミッタは、+B電源に接続され、エミッタおよびベース間には、抵抗26が接続されている。
【0019】
トランジスタ28のコレクタは、ストロボ回路2の出力端子aとされ、トランジスタ29のコレクタは、出力端子bとされる。
【0020】
各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn は、2チャンネルの入力信号、たとえば2つの入力スイッチからの入力信号を1チャンネルの多重化信号に多重化するダイオードオアのロジック構成を含む。1段目のマルチプレックス部MPX1 は、2個の入力保護用ダイオードD1 ,D3 と、2個のロジック用ダイオードD2 ,D4と、2個の抵抗R1,R2とを含む。入力保護用ダイオードD1のカソードには、入力スイッチSW1 からの入力信号が供給され、入力保護用ダイオードD3のカソードには、入力スイッチSW2 からの入力信号が供給される。入力保護用ダイオードD1のアノードは、ロジック用ダイオードD2のアノードに接続され、ロジック用ダイオードD2のカソードは、抵抗R6を介してマイコン1の入力ポートP1 に接続されている。ロジック用ダイオードD2と抵抗R6の接続点は、抵抗R5を介して接地されている。入力保護用ダイオードD3のアノードは、ロジック用イオードD4のアノードに接続され、ロジック用ダイオードD4のカソードは、ロジック用ダイオードD2のカソードに接続されている。ロジック用ダイオードD2とロジック用ダイオードD4は、オア(OR)ロジックを構成している。
【0021】
以下、マルチプレックス部MPX2 〜MPXn-1 は、図示していないが同様の構成を有する。また、最終段のマルチプレックス回路MPXn も、図示のように、マルチプレックス回路MPX1 と同様の構成を有し、入力スイッチSW2n-1およびSW2nからの入力信号が供給される。
【0022】
各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の入力保護用ダイオードD1とロジック用ダイオードD2の接続点は、それぞれ、抵抗R1を介してストロボ回路2の出力端子aに接続され、入力保護用ダイオードD3とロジック用ダイオードD4の接続点は、それぞれ、抵抗R2を介してストロボ回路2の出力端子bに接続されている。
【0023】
次に、上述の構成を有するマルチプレックス回路の動作を、図2に示す各部信号のタイミングチャートを参照しながら説明する。マルチプレックス回路の多重化モード時、マイコン1の出力ポートP0 から、一定周期でロー(Lo)レベルとハイ(Hi)レベルにレベル変化する制御信号が出力され、ストロボ回路2のトランジスタ27のベースに供給される。それにより、トランジスタ27は、制御信号のLoレベル時にオフ、Hiレベル時にオンとなる。それに応じて、トランジスタ28は、トランジスタ27のオフ時にオフ、トランジスタ27のオン時にオンとなる。また、トランジスタ29は、トランジスタ28のオフ時にオン、トランジスタ28のオン時にオフとなる。
【0024】
したがって、ストロボ回路2の出力端子aには、出力ポートP0 からの制御信号のLoレベル時にLoレベルとなり、Hiレベル時にHiレベルとなるストロボ信号が得られる。また、ストロボ回路2の出力端子bには、出力ポートP0 からの制御信号のLoレベル時にHiレベルとなり、Hiレベル時にLoレベルとなるストロボ信号が得られる。
【0025】
それにより、出力端子aに、それぞれ抵抗R1を介して接続されている各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn のロジック用ダイオードD2は、出力端子aがLoレベルになったときは非能動状態となり、Hiレベルになったときに能動状態となる。また、出力端子bに、それぞれ抵抗R2を介して接続されている各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn のロジック用ダイオードD4は、出力端子bがLoレベルになったときは非能動状態となり、Hiレベルになったときに能動状態となる。
【0026】
そして、ロジック用ダイオードD2が能動状態になったとき、入力スイッチSW1 ,SW3 ,...,SW2n-1のオン/オフ状態を示す入力信号が、それぞれ、入力保護用ダイオードD1、ロジック用ダイオードD2、抵抗R6を介して各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の出力側に伝達される。また、ロジック用ダイオードD4が能動状態になったとき、入力スイッチSW2 ,SW4 ,...,SW2nのオン/オフ状態を示す入力信号が、それぞれ、入力保護用ダイオードD3、ロジック用ダイオードD4、抵抗6を介して各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の出力側に伝達される。
【0027】
したがって、各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn に入力される2つの入力スイッチからの入力信号は多重化され、1つの多重化信号に変換されて、各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn から出力され、それぞれ、マイコン1の入力ポートP1 〜Pn に供給される。
【0028】
たとえば、1段目のマルチプレックス部MPX1 において、入力スイッチSW1 からの入力信号を入力信号A、入力スイッチSW2 からの入力信号を入力信号Bと仮定すれば、図2に示すように、ストロボ信号のレベル変化に応じて、入力信号Aおよび入力信号Bが交互に多重化されてマルチプレックス部MPX1 の出力側から1つの多重化信号に変換されて出力され、マイコン1の入力ポートP1 に供給される。
【0029】
次に、マイコン1は、多重化モードからスリープモードに切り替える場合は、出力ポートP0 から出力する制御信号を、図2に示すようにスリープモード期間の間Loレベルに維持する。それにより、スリープ期間の間、出力端子aはLoレベル、出力端子bはHiレベルに維持される。したがって、スリープ期間の間は、入力信号Aは無効となり、入力信号Bのみが有効となって、マルチプレックス部MPX1 の出力側から出力され、マイコン1の入力ポートP1 に供給される。
【0030】
そこで、スリープ対象入力として、入力スイッチSW1 ,SW3 ,...,SW2n-1の入力信号を設定し、スリープしない入力として、入力スイッチSW2 ,SW4 ,...,SW2nの入力信号を設定することにより、スリープ回路を構成しながら、スリープしない信号も多重化することができるマルチプレックス回路を構成することができる。すなわち、オア(OR)ロジックを構成する2個のロジック用ダイオードD2およびD4は、多重化モード時には交互に能動状態となり、スリープモード時にはロジック用ダイオードD2が非能動状態かつロジック用ダイオードD4が能動状態となるように作動するので、スリープモード期間の間、入力スイッチSW1 ,SW3 ,...,SW2n-1の入力信号は、無効となり、入力スイッチSW2 ,SW4 ,...,SW2nの入力信号のみが、有効となる。したがって、スリープ期間においても、入力スイッチSW2 ,SW4 ,...,SW2nの入力信号のみが、各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn から出力され、それぞれ、マイコン1の入力ポートP1 〜Pn に供給される。
【0031】
図1のマルチプレックス回路は、多重化しない場合に較べて、マイコン1において{入力数−(入力数/2+1)}の数だけ入力ポートの省ピン化効果が実現できる。たとえば、8チャンネル入力なら3ポート減、10チャンネル入力なら4ポート減となる。なお、図1のマルチプレックス回路は、スリープ対象入力とスリープしない入力とが同数のときに多重化する場合に、最も好適である。
【0032】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、以下の利点がある。
(1)マルチプレックス専用ICを使用せず、従来のスリープ回路に代えたストロボ回路においてトランジスタ1個の追加、およびマルチプレックス部においてダイオード追加のみのため、低コストのマルチプレックス回路が実現できる。
(2)多重化する入力数によっては、マルチプレックス専用IC使用時以上の省ピン化を実現できる。
(3)マルチプレックス専用IC使用時より故障時の影響を軽減できる(ICの故障・誤動作で全ての多重化信号認識不能となる)ため、信頼性を向上できる。
(4)スリープしない入力信号も、スリープ対象入力信号と共に多重化することができ、汎用性がある。
(5)スリープしている入力信号も、マルチプレックスICを使用していないので、スリープからの反応時間の遅れなしにウェークアップできる。
【0033】
(第2の実施形態)次に図3は、本発明の第2の実施形態に係るマルチプレックス回路の構成を示す回路図である。図3のマルチプレックス回路は、マイコン1と、4つのストロボ回路2A〜2Dと、複数(n個)のマルチプレックス部MPX1 〜MPXn とから構成される。なお、nは2以上の整数である。
【0034】
マイコン1は、ストロボ回路2A〜2Dに制御信号を出力する出力ポートPa ,Pb ,Pc ,Pd と、各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn からの多重化信号が入力される入力ポートP1 〜Pn とを有する。マイコン1は、請求項における制御手段として働く。
【0035】
ストロボ回路2Aは、抵抗211〜214と、トランジスタ215,216からなる。マイコン1の出力ポートPa から出力されるストロボ信号は、抵抗211を介してnpn型のトランジスタ215のベースに供給される。トランジスタ215のベースは、抵抗212を介して接地され、エミッタは、接地され、コレクタは、抵抗213を介してpnp型のトランジスタ216のベースに接続されている。トランジスタ216のエミッタは、+B電源に接続されている。トランジスタ216のエミッタおよびベース間には抵抗214が接続されている。トランジスタ216のコレクタは、ストロボ回路2Aの出力端子aとされる。
【0036】
ストロボ回路2Bは、抵抗221〜224と、トランジスタ225,226からなる。マイコン1の出力ポートPb から出力されるストロボ信号は、抵抗221を介してnpn型のトランジスタ225のベースに供給される。トランジスタ225のベースは、抵抗222を介して接地され、エミッタは、接地され、コレクタは、抵抗223を介してpnp型のトランジスタ226のベースに接続されている。トランジスタ226のエミッタは、+B電源に接続されている。トランジスタ226のエミッタおよびベース間には抵抗224が接続されている。トランジスタ226のコレクタは、ストロボ回路2Bの出力端子bとされる。
【0037】
ストロボ回路2Cは、抵抗231〜234と、トランジスタ235,236からなる。マイコン1の出力ポートPc から出力されるストロボ信号は、抵抗231を介してnpn型のトランジスタ235のベースに供給される。トランジスタ235のベースは、抵抗232を介して接地され、エミッタは、接地され、コレクタは、抵抗233を介してpnp型のトランジスタ236のベースに接続されている。トランジスタ236のエミッタは、+B電源に接続されている。トランジスタ236のエミッタおよびベース間には抵抗234が接続されている。トランジスタ236のコレクタは、ストロボ回路2Cの出力端子cとされる。
【0038】
ストロボ回路2Dは、抵抗241〜244と、トランジスタ245,246からなる。マイコン1の出力ポートPd から出力されるストロボ信号は、抵抗241を介してnpn型のトランジスタ245のベースに供給される。トランジスタ245のベースは、抵抗242を介して接地され、エミッタは、接地され、コレクタは、抵抗243を介してpnp型のトランジスタ246のベースに接続されている。トランジスタ246のエミッタは、+B電源に接続されている。トランジスタ246のエミッタおよびベース間には抵抗244が接続されている。トランジスタ246のコレクタは、ストロボ回路2Dの出力端子dとされる。
【0039】
各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn は、4チャンネルの入力信号、たとえば4つの入力スイッチからの入力信号を1チャンネルの多重化信号に多重化するダイオードオアのロジック構成を含む。1段目のマルチプレックス部MPX1 は、4個の入力保護用ダイオードD1,D3,D5,D7と、4個のロジック用ダイオードD2,D4,D6,D8と、4個の抵抗R1,R2,R3,R4とを含む。入力保護用ダイオードD1,D3,D5,D7のカソードには、それぞれ、入力スイッチSW1 ,SW2 ,SW3 ,SW4 からの入力信号が供給される。入力保護用ダイオードD1のアノードは、ロジック用ダイオードD2のアノードに接続され、ロジック用ダイオードD2のカソードは、抵抗R6を介してマイコン1の入力ポートP1 に接続されている。ロジック用ダイオードD2と抵抗R6の接続点は、抵抗R5を介して接地されている。入力保護用ダイオードD3のアノードは、ロジック用ダイオードD4のアノードに接続され、ロジック用ダイオードD4のカソードは、ロジック用ダイオードD2のカソードに接続されている。入力保護用ダイオードD5のアノードは、ロジック用ダイオードD6のアノードに接続され、ロジック用ダイオードD6のカソードは、ロジック用ダイオードD2のカソードに接続されている。入力保護用ダイオードD7のアノードは、ロジック用ダイオードD8のアノードに接続され、ロジック用ダイオードD8のカソードは、ロジック用ダイオードD2のカソードに接続されている。ダイオードD2,D4,D6,D8は、オア(OR)ロジックを構成している。
【0040】
以下、マルチプレックス部MPX2 〜MPXn-1 は、図示していないが同様の構成を有する。また、最終段のマルチプレックス回路MPXn も、図示のように、マルチプレックス部MPX1 と同様の構成を有し、入力スイッチSW4n-3,SW4n-2,SW4n-1,SW4nからの入力信号が供給される。
【0041】
各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の入力保護用ダイオードD1とロジック用ダイオードD2の接続点は、それぞれ、抵抗R1を介してストロボ回路2Aの出力端子aに接続されている。各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の入力保護用ダイオードD3とロジック用ダイオードD4の接続点は、それぞれ、抵抗R2を介してストロボ回路2Bの出力端子bに接続されている。各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の入力保護用ダイオードD5とロジック用ダイオードD6の接続点は、それぞれ、抵抗R3を介してストロボ回路2Cの出力端子cに接続されている。各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の入力保護用ダイオードD7とロジック用ダイオードD8の接続点は、それぞれ、抵抗R4を介してストロボ回路2Dの出力端子dに接続されている。
【0042】
次に、上述の構成を有するマルチプレックス回路の動作を、図4に示す各部信号のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0043】
マルチプレックス回路の多重化モード時、マイコン1の出力ポートPa から、一定周期でロー(Lo)レベルとハイ(Hi)レベルにレベル変化する制御信号が出力され、ストロボ回路2Aのトランジスタ215のベースに供給される。それにより、トランジスタ215は、制御信号のLoレベル時にオフ、Hiレベル時にオンとなる。それに応じて、トランジスタ216は、トランジスタ215のオフ時にオフ、トランジスタ215のオン時にオンとなる。したがって、ストロボ回路2Aの出力端子aには、出力ポートPa からの制御信号のLoレベル時にLoレベルとなり、Hiレベル時にHiレベルとなるストロボ信号が得られる。
【0044】
また、多重化モード時、マイコン1の出力ポートPb から、一定周期でロー(Lo)レベルとハイ(Hi)レベルにレベル変化する制御信号が出力され、ストロボ回路2Bのトランジスタ225のベースに供給される。この出力ポートPb から出力される制御信号は、出力ポートPa から出力される制御信号の立ち下がり時にハイ(Hi)に立ち上がるタイミングで発生する。それにより、トランジスタ225は、制御信号のLoレベル時にオフ、Hiレベル時にオンとなる。それに応じて、トランジスタ226は、トランジスタ225のオフ時にオフ、トランジスタ225のオン時にオンとなる。したがって、ストロボ回路2Bの出力端子bには、出力ポートPb からの制御信号のLoレベル時にLoレベルとなり、Hiレベル時にHiレベルとなるストロボ信号が得られる。
【0045】
また、多重化モード時、マイコン1の出力ポートPc から、一定周期でロー(Lo)レベルとハイ(Hi)レベルにレベル変化する制御信号が出力され、ストロボ回路2Cのトランジスタ235のベースに供給される。この出力ポートPc から出力される制御信号は、出力ポートPb から出力される制御信号の立ち下がり時にハイ(Hi)に立ち上がるタイミングで発生する。それにより、トランジスタ235は、制御信号のLoレベル時にオフ、Hiレベル時にオンとなる。それに応じて、トランジスタ236は、トランジスタ235のオフ時にオフ、トランジスタ235のオン時にオンとなる。したがって、ストロボ回路2Cの出力端子cには、出力ポートPc からの制御信号のLoレベル時にLoレベルとなり、Hiレベル時にHiレベルとなるストロボ信号が得られる。
【0046】
また、多重化モード時、マイコン1の出力ポートPd から、一定周期でロー(Lo)レベルとハイ(Hi)レベルにレベル変化する制御信号が出力され、ストロボ回路2Dのトランジスタ245のベースに供給される。この出力ポートPd から出力される制御信号は、出力ポートPc から出力される制御信号の立ち下がり時にハイ(Hi)に立ち上がるタイミングで発生する。それにより、トランジスタ245は、制御信号のLoレベル時にオフ、Hiレベル時にオンとなる。それに応じて、トランジスタ246は、トランジスタ245のオフ時にオフ、トランジスタ245のオン時にオンとなる。したがって、ストロボ回路2Dの出力端子dには、出力ポートPd からの制御信号のLoレベル時にLoレベルとなり、Hiレベル時にHiレベルとなるストロボ信号が得られる。
【0047】
それにより、出力端子aに、それぞれ抵抗R1を介して接続されている各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn のロジック用ダイオードD2は、出力端子aがLoレベルになったときは非能動状態となり、Hiレベルになったときに能動状態となる。また、出力端子bに、それぞれ抵抗R2を介して接続されている各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn のロジック用ダイオードD4は、出力端子bがLoレベルになったときは非能動状態となり、Hiレベルになったときに能動状態となる。また、出力端子cに、それぞれ抵抗R3を介して接続されている各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn のロジック用ダイオードD6は、出力端子cがLoレベルになったときは非能動状態となり、Hiレベルになったときに能動状態となる。また、出力端子dに、それぞれ抵抗R4を介して接続されている各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn のロジック用ダイオードD8は、出力端子dがLoレベルになったときは非能動状態となり、Hiレベルになったときに能動状態となる。
【0048】
そして、ロジック用ダイオードD2が能動状態になったとき、入力スイッチSW1 ,SW5 ,...,SW4n-3のオン/オフ状態を示す入力信号が、それぞれ、入力保護用ダイオードD1、ロジック用ダイオードD2、抵抗R6を介して各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の出力側に伝達される。また、ロジック用ダイオードD4が能動状態になったとき、入力スイッチSW2 ,SW6 ,...,SW4n-2のオン/オフ状態を示す入力信号が、それぞれ、入力保護用ダイオードD3、ロジック用ダイオードD4、抵抗6を介して各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の出力側に伝達される。また、ロジック用ダイオードD6が能動状態になったとき、入力スイッチSW3 ,SW7 ,...,SW4n-1のオン/オフ状態を示す入力信号が、それぞれ、入力保護用ダイオードD5、ロジック用ダイオードD6、抵抗6を介して各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の出力側に伝達される。また、ロジック用ダイオードD8が能動状態になったとき、入力スイッチSW4 ,SW8 ,...,SW4nのオン/オフ状態を示す入力信号が、それぞれ、入力保護用ダイオードD7、ロジック用ダイオードD8、抵抗6を介して各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn の出力側に伝達される。
【0049】
したがって、各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn に入力される4つの入力スイッチからの入力信号は多重化され、1つの多重化信号に変換されて、各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn から出力され、それぞれ、マイコン1の入力ポートP1 〜Pn に供給される。
【0050】
たとえば、1段目のマルチプレックス部MPX1 において、入力スイッチSW1 からの入力信号を入力信号A、入力スイッチSW2 からの入力信号を入力信号B、入力スイッチSW3 からの入力信号を入力信号C、入力スイッチSW4 からの入力信号を入力信号Dと仮定すれば、図4に示すように、ストロボ信号のレベル変化に応じて、入力信号A,B,C,Dが順次多重化されてマルチプレックス部MPX1 の出力側から1つの多重化信号に変換されて出力され、マイコン1の入力ポートP1 に供給される。
【0051】
次に、マイコン1は、多重化モードからスリープモードに切り替える場合は、出力ポートPa から出力する制御信号を、図4に示すようにスリープモード期間の間Loレベルに維持する。また、出力ポートPb 〜Pd から出力する制御信号を、図4に示すようにスリープモード期間の間Hiレベルに維持する。それにより、スリープ期間の間、出力端子aはLoレベル、出力端子b,c,dはHiレベルに維持される。したがって、スリープ期間の間は、入力信号Aは無効となり、入力信号B,C,Dのみが有効となって、マルチプレックス部MPX1 の出力側から出力され、マイコン1の入力ポートP1 に供給される。
【0052】
そこで、スリープ対象入力として、入力スイッチSW1 ,SW5 ,...,SW4n-3のから入力信号を設定し、スリープしない入力として、上述の入力スイッチ以外の入力スイッチからの入力信号、すなわち、入力スイッチSW2 ,SW3 ,SW4 ,...,SW4n-2 ,SW4n-1 ,SW4nからの入力信号を設定することにより、スリープ回路を構成しながら、スリープしない信号も多重化することができるマルチプレックス回路を構成することができる。すなわち、オア(OR)ロジックを構成する4個のロジック用ダイオードD2,D4,D6およびD8は、多重化モード時には順次に能動状態となり、スリープモード時にはロジック用ダイオードD2が非能動状態かつロジック用ダイオードD4,D6,D8が能動状態となるように作動するので、スリープモード期間の間、入力スイッチSW1 ,SW5 ,...,SW4n-3からの入力信号は、無効となり、入力スイッチSW2 ,SW3 ,SW4 ,...,SW4n-2 ,SW4n-1 ,SW4nからの入力信号が、有効となる。したがって、スリープ期間においても、入力スイッチSW2 ,SW3 ,SW4 ,...,SW4n-2 ,SW4n-1 ,SW4nからの入力信号のみが、各マルチプレックス部MPX1 〜MPXn から出力され、それぞれ、マイコン1の入力ポートP1 〜Pn に供給される。
【0053】
図3のマルチプレックス回路は、スリープ期間においてマイコン1の出力ポートPa 〜Pd から出力される制御信号とストロボ回路2A〜2Dの出力端子a〜dからのストロボ信号とのレベルをそれぞれ、選択的にLoレベルまたはHiレベルに維持することができるので、そのレベル選択に応じて、選択スリープ対象入力とスリープしない入力とを同じ比率または異なる比率のどちらでも多重化することができる。また、スリープ入力、スリープしない入力という同種の入力信号のみを多重化する場合は、多重化する入力チャンネルだけそれぞれ専用のストロボ回路を設けて、個別に対応するストロボ回路を駆動すれば対応可能となる。
【0054】
このように、本発明の第2の実施形態によれば、以下の利点がある。
(1)マルチプレックス専用ICを使用せず、従来のスリープ回路に代えたストロボ回路においてトランジスタ1個の追加、およびマルチプレックス部においてダイオード追加のみのため、低コストのマルチプレックス回路が実現できる。
(2)多重化する入力数によっては、マルチプレックス専用IC使用時以上の省ピン化を実現できる。
(3)マルチプレックス専用IC使用時より故障時の影響を軽減できる(ICの故障・誤動作で全ての多重化信号認識不能となる)ため、信頼性を向上できる。
(4)スリープしない入力信号も、スリープ対象入力信号と共に同じまたは異なる比率のチャンネル数だけ多重化することができ、汎用性がある。
(5)スリープしている入力信号も、マルチプレックスICを使用していないので、スリープからの反応時間の遅れなしにウェークアップできる。
【0055】
ところで、図3のマルチプレックス回路においては、入力保護用ダイオードおよびロジック用ダイオードとして、それぞれ個別のものを使用するか、または、たとえば、ロジック用ダイオードD2およびD4、D6およびD8をそれぞれ2素子入りの同一パッケージ品のものを使用した場合、入力保護用ダイオードとロジック用ダイオードの特性差(ダイオードの種類・特性違い、回路構成上の通電電流値の違いなど)による電圧変動が見込めないため、後段のマイコン1の入力ポートにおけるしきい値は、マージンを大きくとらなければならず、入力電圧のしきい値条件によりマイコン1の選定範囲が狭められてしまうので、マルチプレックス部とマイコン1の間に分圧回路の追加を要する場合がある。また、ディスクリートなダイオードオア回路に代えてロジックICを使用しての多重化は、ICコストが高く、かつ入力電圧しきい値の問題でレベル浮きに対応できないという問題がある。そこで、以下に説明する第3の実施形態では、上述の問題を解決している。
【0056】
(第3の実施形態)次に図5は、本発明の第3の実施形態に係るマルチプレックス回路の構成を示す回路図である。図5では、第3の実施形態の説明に要する部分のみを図示し、その他の部分は図3に示す第2の実施形態と同一構成なので省略している。
【0057】
図5においては、マルチプレックス部MPX1 における入力保護用ダイオードD1とロジック用ダイオードD2、入力保護用ダイオードD3とロジック用ダイオードD4、入力保護用ダイオードD5とロジック用ダイオードD6、入力保護用ダイオードD7とロジック用ダイオードD8が、それぞれ2素子入りのダイオードアレイとしての同一パッケージ品PK1 ,PK2 ,PK3 ,PK4 から構成されている。
【0058】
同一パッケージ品PK1 ,PK2 ,PK3 ,PK4 に同梱された2個のダイオードは、定格電流が大電流のものとし、抵抗R1〜R4の抵抗値を適宜な値に選定することによって、これらのダイオードには定格電流に比較して小電流を通電する構成とする。たとえば、定格電流が1アンペアクラスのものに対して、通電電流はその数%、たとえば1%の10ミリアンペア程度を通電する構成とする。
【0059】
このように構成すると、たとえば、入力スイッチSW1 のオン時に、ストロボ回路2Aの出力端子aから抵抗R1を介して入力保護用ダイオードD1に、たとえば10mAが流れる抵抗値設定とすると、回路構成上の影響でロジック用ダイオードD2には、10mAより小さい電流しか流れない。
【0060】
この入力保護用ダイオードの順方向降下電圧Vfによる影響を正確に排除できれば、マルチプレックス回路においても、入力スイッチのオン電圧をマイコン1に正確に伝えることが可能となり、分圧回路等の後段の回路を削除できるだけでなく、入力しきい値のマージンを押さえることができるようになる。
【0061】
図6に示すように、同一パッケージ品PK1 ,PK2 ,PK3 ,PK4 に同梱された2個のダイオードの特性的に、定格電流に対して実際に流す通電電流Ifが小さくなるにつれて、通電電流のIfの変動率に対する順方向降下電圧Vfの変動が小さくなるため、たとえば、図5では、定格電流が1A(アンペア)領域(領域A)の同一パッケージ品を数10mA(ミリアンペア)領域(領域B)で使用するので、電流変動による入力保護用ダイオードの順方向効果電圧とロジック用ダイオードの順方向効果電圧の差がほとんどなくなる。したがって、入力保護用ダイオードの順方向効果電圧とロジック用ダイオードの順方向効果電圧の差は、回路構成上の通電電流差が順方向電圧に影響を与えないので、固体のバラツキに起因するのが支配的となる。
【0062】
そこで、入力保護用ダイオードとロジック用ダイオードの組み合わせ、たとえば入力保護用ダイオードD1とロジック用ダイオードD2の組み合わせに2素子(複数素子)入りの同一パッケージ品を使用すると、同一パッケージ品に同梱された2個のダイオードは、製造上同一ロットばかりか、同一ウェハ上のしかも同一地点の素子となるため、ほぼ同等の特性を示し、かつ、周囲温度により変動する順方向電圧降下特性も、全く同じ影響を受けることになるため同じとなり、お互いの電圧損失分の理想的な補正が可能となる。
【0063】
その結果、全環境下においても、入力保護用ダイオードとロジック用ダイオードの順方向降下電圧特性は全くバラツキがなく同様となるため、入力保護用ダイオードの順方向降下電圧による入力スイッチのオン電位の上昇が、ロジック用ダイオードの順方向降下電圧の損失により正確にかつ確実に排除される。
【0064】
このように、入力スイッチオン時の電位を多重化を行いながらも正確にマイコン1の入力ポートに伝えることが可能となるため、マイコン1に余分なマージンを持たせる必要がなくなり、分圧回路等の回路を削除できると共に、マイコンの選択の自由度が広がる。また、マイコン1の入力ポートとしてA/Dポートを使用すれば、多重化しながら多重前の入力の状態(電圧損失、レベル浮き)自体もモニタ可能となる。
【0065】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、以下の利点がある。
(1)マイコン1の選択の自由度が広がる。
(2)分圧回路を削除できる。
(3)多重化によっても、入力スイッチのオン電位をマイコン1に正確に伝えることができる。
(4)マイコン1の入力ポートとしてA/Dポートを使用することにより、多重前の入力の状態(電圧損失、レベル浮き)自体もモニタ可能となる。
【0066】
以上の通り、本発明の最良の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るマルチプレックス回路の構成を示す回路図である。(第1の実施形態)
【図2】図1のマルチプレックス回路における各部信号のタイミングチャートである。(第1の実施形態)
【図3】本発明の第2の実施形態に係るマルチプレックス回路の構成を示す回路図である。(第2の実施形態)
【図4】図3のマルチプレックス回路における各部信号のタイミングチャートである。(第2の実施形態)
【図5】本発明の第3の実施形態に係るマルチプレックス回路の構成を示す回路図である。(第3の実施形態)
【図6】図5のマルチプレックス回路におけるダイオードの順方向効果電圧特性を示す説明図である。(第3の実施形態)
【図7】従来のマルチプレックス回路の構成例を示す回路図である。(従来例)
【符号の説明】
【0068】
1 マイコン(制御手段)
MPX1 マルチプレックス部
2 ストロボ回路
2A ストロボ回路
2B ストロボ回路
2C ストロボ回路
2D ストロボ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個のロジック用ダイオードによるロジック構成を含み、2チャンネルの入力信号を1チャンネルの多重化信号に多重化して出力する少なくとも1組のマルチプレックス部と、
前記少なくとも1組のマルチプレックス部を多重化モードとスリープモードで切り換えて作動させるストロボ信号を供給する1つのストロボ回路と、
前記ストロボ回路を制御する制御信号を供給する制御手段とを備え、
前記マルチプレックス部の2個のロジック用ダイオードは、前記ストロボ信号により、前記多重化モード時には交互に能動状態となり、前記スリープモード時には一方が非能動状態かつ他方が能動状態となるように作動する
ことを特徴とするマルチプレックス回路。
【請求項2】
少なくとも2個のロジック用ダイオードによるロジック構成を含み、少なくとも2チャンネルの入力信号を1チャンネルの多重化信号に多重化して出力する少なくとも1組のマルチプレックス部と、
前記少なくとも1組のマルチプレックス部を多重化モードとスリープモードで切り換えて作動させるストロボ信号を供給する少なくとも2つのストロボ回路と、
前記少なくとも2つのストロボ回路をそれぞれ制御する制御信号を供給する制御手段とを備え、
前記マルチプレックス部の少なくとも2個のロジック用ダイオードは、前記ストロボ信号により、前記多重化モード時には順次能動状態となり、前記スリープモード時には少なくとも1個が非能動状態かつ残りが能動状態となるように作動する
ことを特徴とするマルチプレックス回路。
【請求項3】
請求項1または2記載のマルチプレックス回路において、
前記マルチプレックス部のロジック用ダイオードと入力信号の間には入力保護用ダイオードが接続されており、
前記ロジック用ダイオードと前記入力保護用ダイオードは、2素子入りの同一パッケージ品とされている
ことを特徴とするマルチプレックス回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−279363(P2006−279363A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93495(P2005−93495)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】