マルチポイント・タッチスクリーン
透明な容量感知媒体を有するタッチ・パネルであって、そのタッチ・パネルの平面内の別々の位置で同時に生じる複数の接触または接触に近い状態を検知するように、およびそれらの複数の接触のそれぞれに関してタッチ・パネルの平面上におけるそれらの接触の位置を表す別々の信号を生成するように構成されているタッチ・パネルについて開示する。
【発明の詳細な説明】
【技法分野】
【0001】
本発明は、一般には、タッチ・スクリーンを有する電子デバイスに関する。より詳細には、複数のポイントを同時に感知できるタッチ・スクリーンに関する。
【背景技法】
【0002】
現在、コンピュータ・システム内でオペレーションを実行するための多くのスタイルの入力デバイスが存在する。一般にこれらのオペレーションは、ディスプレイ・スクリーン上でカーソルを動かすこと、および/または選択を行うことに相当する。例えば入力デバイスとしては、ボタンまたはキー、マウス、トラックボール、タッチ・パッド、ジョイ・スティック、タッチ・スクリーンなどを含むことができる。とりわけタッチ・スクリーンは、その操作が容易で用途が幅広く、ならびに価格が安くなってきているため、ますます普及してきている。タッチ・スクリーンによって、ユーザは、指またはスタイラスを介してディスプレイ・スクリーンに触れるだけで、選択を行ったりカーソルを動かすことができる。一般にタッチ・スクリーンは、ディスプレイ・スクリーン上の接触とその接触の位置を認識し、コンピュータ・システムがその接触を解釈し、次いで接触の事象に基づいてアクションを実行する。
【0003】
タッチ・スクリーンは通常、タッチ・パネル、コントローラ、ソフトウェア・ドライバを含む。タッチ・パネルは、接触感知面を備えた透明のパネルである。タッチ・パネルは、接触感知面がディスプレイ・スクリーンのうちの見えるエリアを覆うように、ディスプレイ・スクリーンの前に配置される。タッチ・パネルは、接触の事象を登録し、これらの信号をコントローラへ送る。コントローラは、これらの信号を処理し、そのデータをコンピュータ・システムへ送る。ソフトウェア・ドライバは、接触の事象をコンピュータの事象へ変換する。
【0004】
抵抗式、容量式、赤外線式、表面弾性波式、電磁式、近接場イメージング式などを含むいくつかのタイプのタッチ・スクリーン技術がある。これらのデバイスのそれぞれには、有利な点と不利な点があり、それらは、タッチ・スクリーンの設計や構成を行う際に考慮される。抵抗式の技術では、タッチ・パネルは、薄い金属製の導電性の抵抗層でコーティングされている。パネルに触れると層どうしが接触し、これによって、接触事象の位置を登録するスイッチが閉じる。この情報はさらなる処理のためにコントローラへ送られる。容量式の技術では、タッチ・パネルは、電荷を蓄える材料でコーティングされている。パネルに触れると、少量の電荷が接触ポイントへ引き寄せられる。パネルのそれぞれの隅に配置されている回路が電荷を測定し、その情報を処理のためにコントローラへ送る。
【0005】
表面弾性波式の技術では、超音波が、例えばトランスデューサによって、タッチ・スクリーン・パネルの全面にわたって縦横に射出される。パネルに触れると、超音波の音響エネルギーが吸収される。トランスデューサの向かい側に配置されているセンサが、この変化を検知し、その情報を処理のためにコントローラへ送る。赤外線式の技術では、光のビームが、例えば発光ダイオードによって、タッチ・パネルの全面にわたって縦横に射出される。パネルに触れると、発光ダイオードから射出されている光のビームの一部が遮断される。発光ダイオードの向かい側に配置されている光検出器が、この変化を検知し、この情報を処理のためにコントローラへ送る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの技術のすべてに見受けられる1つの問題は、たとえ感知面上に複数の物体が置かれている場合でも単一のポイントを報告することしかできないことである。すなわち、複数の接触ポイントを同時に探知することができないのである。抵抗式と容量式の技術では、同時に生じるすべての接触ポイントの平均が決定され、接触ポイントどうしの間のどこかにある単一のポイントが報告される。表面波式と赤外線式の技術では、マスキングのために、同じ横または縦のライン上にある複数の接触ポイントの正確な位置を識別することはできない。いずれの場合も、誤った結果がもたらされる。
【0007】
これらの問題は、タブレットPCにおいて特に問題であり、タブレットPCでは、一方の手を使用してタブレットを持ち、他方の手を使用して接触事象が生み出される。例えば図1A、図1Bに示されているように、タブレット2を手に持つと、親指3が、タッチ・スクリーン5の接触感知面4の縁部と重なる。図1Aに示されているように、タッチ・技術が、抵抗式のパネルや容量式のパネルによって使用される平均化の技法を使用している場合には、左手の親指3と右手の人差し指6の間のどこかにある単一のポイントが報告される。図1Bに示されているように、技術が、赤外線式のパネルやSAW式のパネルによって使用される射出走査の技法を使用している場合には、親指3の大きな縦の構成要素のために、人差し指6の正確な縦の位置を識別することが困難になる。タブレット2は、グレーで表示されるパッチを分割することしかできない。実質的に親指3は、人差し指6の縦の位置を覆い隠してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一実施態様においては、透明な容量感知媒体を有するタッチ・パネルであって、そのタッチ・パネルの平面内の別々の位置で同時に生じる複数の接触または接触に近い状態を検知するように、およびそれらの複数の接触のそれぞれに関してタッチ・パネルの平面上におけるそれらの接触の位置を表す別々の信号を生成するように構成されているタッチ・パネルに関する。
【0009】
本発明は、別の実施態様においては、ディスプレイ装置に関する。このディスプレイ装置は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを表示するためのスクリーンを有するディスプレイを含む。このディスプレイ装置は、スクリーンを見ることができる透明なタッチ・パネルであって、タッチ・スクリーンの接触感知面上の別々の位置で同時に生じる複数の接触事象を認識することができ、その情報をホスト・デバイスへ出力するタッチ・パネルをさらに含む。
【0010】
本発明は、別の実施態様においては、コンピュータによって実施される方法に関する。この方法は、透明なタッチ・スクリーンの表面上で複数の接触を同時に受けるステップを含む。この方法は、それらの複数の接触のそれぞれを別々に認識するステップを含む。この方法は、認識した複数の接触に基づいて接触データを報告するステップをさらに含む。
【0011】
本発明は、別の実施態様においては、コンピュータ・システムに関する。このコンピュータ・システムは、命令を実行するように、およびこのコンピュータ・システムに関連付けられているオペレーションを実行するように構成されているプロセッサを含む。このコンピュータは、プロセッサへ動作可能に結合されているディスプレイ・デバイスを含む。このコンピュータ・システムは、プロセッサへ動作可能に結合されているタッチ・スクリーンをさらに含む。このタッチ・スクリーンは、ディスプレイの前に配置されている実質的に透明なパネルである。このタッチ・スクリーンは、このタッチ・スクリーン上に載っている複数の物体、このタッチ・スクリーン上に触れる複数の物体、あるいはこのタッチ・スクリーン上を移動する複数の物体を同時に探知するように構成されている。このタッチ・スクリーンは、容量感知デバイスを含み、この容量感知デバイスは、いくつかの独立した空間的に別々の感知ポイントへと分割されており、タッチ・スクリーンの平面の全体にわたって配置されている。それぞれの感知ポイントは、1つの信号を同時に生成することができる。このタッチ・スクリーンはまた、感知回路を含み、この感知回路は、感知デバイスからデータを入手し、その入手したデータをプロセッサに提供する。
【0012】
本発明は、別の実施態様においては、タッチ・スクリーンについての方法に関する。この方法は、複数の感知ポイントを駆動するステップを含む。この方法はまた、それらの感知ポイントに接続されているすべての感知ラインからの出力を読み取るステップを含む。この方法は、物体がタッチ・スクリーンのどこに接触しているかを判定するために1つの時点におけるタッチ・スクリーンの平面のイメージを作成して分析するステップをさらに含む。この方法は、タッチ・スクリーンに接触している物体における変化を判定するために現在のイメージを過去のイメージと比較するステップをさらに含む。
【0013】
本発明は、別の実施態様においては、デジタル信号の処理方法に関する。この方法は、未加工のデータを受け取るステップを含む。この未加工のデータは、タッチ・スクリーンのそれぞれの透明な容量感知ノードに関する値を含む。この方法はまた、未加工のデータをフィルタにかけるステップを含む。この方法は、勾配データを生成するステップをさらに含む。この方法は、勾配データに基づいて接触領域に関する境界を計算するステップをさらに含む。さらにこの方法は、それぞれの接触領域に関する座標を計算するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明については、以降の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによって、容易に理解できるであろう。添付の図面においては、同様の参照番号は、同様の構造要素を指している。
【0015】
以降で図2〜図19を参照して、本発明の実施形態について論じる。しかし、ここでこれらの図を参照して与えられる詳細な説明は、説明のためのものであり、本発明は、これらの限られた実施形態を超えるものであるということを当業者なら容易に理解できるであろう。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置30を示す斜視図である。ディスプレイ装置30は、ディスプレイ34と、ディスプレイ34の前に配置されている透明なタッチ・スクリーン36とを含む。ディスプレイ34は、おそらくはポインタまたはカーソルと、ユーザへのその他の情報とを含むグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を表示するように構成されている。その一方で、透明なタッチ・スクリーン36は、ユーザの接触を感知する入力デバイスであり、これによってユーザは、ディスプレイ34上のグラフィカル・ユーザ・インターフェースと対話することができる。例えばタッチ・スクリーン36は、ユーザが、ディスプレイ34上のグラフィカル・ユーザ・インターフェースに触れるだけで、そのGUI上で入力ポインタを動かしたり、選択することができる。
【0017】
一般にタッチ・スクリーン36は、タッチ・スクリーン36の表面38での接触事象を認識し、次いでこの情報をホスト・デバイスへ出力する。ホスト・デバイスは、例えばデスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピュータ、タブレット・コンピュータなどのコンピュータに相当する。ホスト・デバイスは、接触事象を解釈し、次いでその接触事象に基づいてアクションを実行する。従来、タッチ・スクリーンは、たとえ複数のポイントを同時に触れられている場合でも、単一の接触事象を認識することしかできなかった(例えば平均化、マスキングなど)。しかし、ここで示されているタッチ・スクリーン36は、従来のタッチ・スクリーンとは異なり、タッチ・スクリーン36の接触感知面38上の別々の場所で同時に生じる複数の接触事象を認識するように構成されている。つまり、タッチ・スクリーン36によって、複数の接触ポイントT1〜T4を同時に探知することができる。すなわち、4つの物体がタッチ・スクリーンに触れている場合には、タッチ・スクリーンは4つの物体をすべて探知する。図示されているように、タッチ・スクリーン36は、タッチ・スクリーン36の表面上で同時に生じるそれぞれの接触ポイントT1〜T4に関する別々の探知信号S1〜S4を生成する。認識できる接触の数は、約15とすることができる。15個の接触ポイントによって、すべての指用として10個、両方の手のひら用として2個、その他用として3個の接触ポイントが可能となる。
【0018】
複数の接触事象を別々に、あるいは共に使用して、ホスト・デバイス内において単一の、あるいは複数のアクションを実行することができる。別々に使用する場合には、第1のアクションを実行するために第1の接触事象を使用することができ、その一方で、第1のアクションとは異なる第2のアクションを実行するために第2の接触事象を使用することができる。これらのアクションとしては、例えばカーソルまたはポインタなどの物体を動かすこと、スクロールまたはパンを行うこと、コントロールの設定を調整すること、ファイルまたはドキュメントを開くこと、メニューを表示すること、選択を行うこと、命令を実行すること、ホスト・デバイスに接続されている周辺デバイスを操作することなどを含む。共に使用する場合には、1つの特定のアクションを実行するために、第1の接触事象と第2の接触事象を使用することができる。この特定のアクションとしては、例えばコンピュータまたはコンピュータ・ネットワークにログオンすること、権限のある個人にコンピュータまたはコンピュータ・ネットワークのアクセス禁止エリアへのアクセスを認めること、コンピュータのデスクトップに関するユーザの好みの配置に関連付けられているユーザ・プロファイルをロードすること、ウェブ・コンテンツへのアクセスを認めること、特定のプログラムを起動すること、メッセージの暗号化や復号を行うことなどを含むことができる。
【0019】
複数の接触事象を認識することは、一般にマルチポイント感知装置を用いて達成される。マルチポイント感知装置は、タッチ・スクリーン36の接触感知面38の全面にわたって別々のポイントで複数の接触とそれらの接触の大きさを同時に検知し、モニタすることができる。一般にマルチポイント感知装置は、複数の透明なセンサ座標またはノード42を提供し、これらは、互いに独立して機能し、タッチ・スクリーン36上の別々のポイントを表す。複数の物体がタッチ・スクリーン36に押し当てられると、1つまたは複数のセンサ座標が、それぞれの接触ポイント、例えば接触ポイントT1〜T4に関してアクティブになる。それぞれの接触ポイントT1〜T4に関連付けられているセンサ座標42は、探知信号S1〜S4を生成する。
【0020】
一実施形態においては、タッチ・スクリーン36は、複数の静電容量感知ノード42を含む。これらの容量感知ノードは、広範囲にわたる様々なものとすることができる。例えば容量感知ノードは、自己静電容量または相互静電容量に基づく。自己静電容量では、単一の電極の「自己」静電容量が、例えばグラウンドに対して測定される。相互静電容量では、少なくとも第1の電極と第2の電極の間における相互静電容量が測定される。いずれの場合も、ノード42のそれぞれは、タッチ・スクリーン36上の別々のポイントを表す同時に生じる信号を生成するために、他のノード42から独立して機能する。
【0021】
透明なタッチ・スクリーン36を作成するために、静電容量感知ノード42は、インジウム錫酸化物(ITO)などの透明な導電媒体を用いて形成される。自己静電容量感知装置では、透明な導電媒体は、空間的に分離された電極とトレースへパターニングされる。電極のそれぞれは、別々の座標を表し、トレースは、電極を容量感知回路へ接続する。これらの座標は、デカルト座標系(xおよびy)、極座標系(r、θ)、あるいはその他の何らかの座標系に関連付けられる。デカルト座標系では、電極を列と行の状態で配置して、それぞれの電極が別々のx、y座標を表すグリッド・アレイを形成する。操作中に、容量感知回路は、電極のそれぞれにおいて生じる静電容量の変化をモニタする。複数の接触事象を認識する上で役立てるために、変化が生じている位置と、それらの変化の大きさとが使用される。通常、静電容量の変化が電極において生じるのは、ユーザが指などの物体を電極のすぐそばに置いたとき、すなわちその物体が電荷を奪い、それによって静電容量が影響を受けたときである。
【0022】
相互静電容量では、透明な導電媒体は、2つの異なる層の上に形成される空間的に分離されたラインのグループへとパターニングされる。駆動ラインが第1の層の上に形成され、感知ラインが第2の層の上に形成される。別々の層の上にあることによって分離されているが、感知ラインは、駆動ラインを横断し、駆動ラインと交差し、あるいは駆動ラインを横切り、それによって静電結合ノードを形成する。一般に、感知ラインが駆動ラインを横切る方法は、使用される座標系によって異なる。例えばデカルト座標系では、感知ラインは、駆動ラインに対して垂直であり、それによって、別々のx座標とy座標を有するノードを形成する。あるいは極座標系では、感知ラインは、同心円にすることができ、駆動ラインは、放射状に延びるラインにすることができる(または、その逆も可能である)。駆動ラインは電源に接続され、感知ラインは容量感知回路に接続される。操作中に、電流は、一度に1本の駆動ラインを通って駆動され、静電結合のために、その電流は、ノード(例えば交点)のそれぞれにおける感知ラインまで運ばれる。さらに感知回路は、ノードのそれぞれにおいて生じる静電容量の変化をモニタする。複数の接触事象を認識する上で役立てるために、変化が生じている位置と、それらの変化の大きさとが使用される。通常、静電容量の変化が静電結合ノードにおいて生じるのは、ユーザが指などの物体を静電結合ノードのすぐそばに置いたとき、すなわちその物体が電荷を奪い、それによって静電容量が影響を受けたときである。
【0023】
一例として、タッチ・スクリーン36のノード42において生成される信号を使用して、特定の時点におけるタッチ・スクリーンの平面のイメージを生成することができる。図3を参照すると、タッチ・スクリーン36の接触感知面38と接触するそれぞれの物体は、接触パッチ・エリア44を形成する。接触パッチ・エリア44のそれぞれは、いくつかのノード42を覆っている。覆われているノード42は、表面の接触を検知し、その一方で残りのノード42は、表面の接触を検知しない。結果として、タッチ・スクリーンの平面のピクセル化された・イメージを形成することができる。それぞれの接触パッチ・エリア44に関する信号を各グループにまとめて、接触パッチ・エリア44を表す個々のイメージを形成することができる。それぞれの接触パッチ・エリア44のイメージは、それぞれのポイントにおける圧力に基づいて高いポイントや低いポイントを含む。イメージの形状とともにイメージ内の高いポイントと低いポイントを使用して、互いのすぐそばにある接触パッチ・エリア44どうしを区別することができる。さらに、現在のイメージ、より詳細にはそれぞれの接触パッチ・エリア44のイメージを以前のイメージと比較して、ホスト・デバイス内でどのアクションを実行すべきかを決定することができる。
【0024】
再び図2を参照すると、ディスプレイ装置30は、スタンド・アロンのユニットでもよく、あるいはその他のデバイスと統合されてもよい。スタンド・アロンの場合には、ディスプレイ装置32は(あるいは、そのコンポーネントのそれぞれは)、周辺デバイス(モニタ)のように機能し、自分自身の筐体を含み、有線接続や無線接続を通じてホスト・デバイスに結合される。統合する場合には、ディスプレイ装置30は、1つの筐体を共有し、ホスト・デバイスに配線で接続され、それによって単一のユニットを形成する。例えばディスプレイ装置30は様々なホスト・デバイスの内部に配置される。それらのホスト・デバイスとしては、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータなどの汎用コンピュータ、PDAなどの手持ちサイズのコンピュータ、および音楽プレーヤなどのメディア・プレーヤ、あるいはカメラやプリンタなどの周辺デバイスが含まれるが、これらには限定されない。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態による複数ポイントへの接触に関する方法45である。この方法は、一般にブロック46において開始し、このブロック46では、タッチ・スクリーンの表面上で同時に複数の接触を受ける。これは、例えばタッチ・スクリーンの表面上に複数の指を置くことによって達成される。ブロック46に続いて、処理の流れはブロック47へ進み、このブロック47では、複数の接触のそれぞれが、タッチ・スクリーンによって別々に認識される。これは、例えばタッチ・スクリーン内に配置されたマルチポイント静電容量センサによって達成される。ブロック47に続いて、処理の流れはブロック48へ進み、このブロック48では、複数の接触に基づく接触データが報告される。この接触データは、例えば汎用コンピュータなどのホスト・デバイスへ報告される。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態によるコンピュータ・システム50を示すブロック図である。コンピュータ・システム50は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピュータなどのパーソナル・コンピュータ・システムに相当する。例えば、このコンピュータ・システムは、任意のAppleあるいはPCベースのコンピュータ・システムに相当する。このコンピュータ・システムは、インフォメーション・センタ、自動テラーマシン(ATM)、販売時点情報管理マシン(POS)、産業機械、ゲームマシン、業務用ゲームマシン、自動販売機、航空券用電子端末、レストラン予約端末、顧客サービス・ステーション、図書館用端末、学習用デバイスなどの公共のコンピュータ・システムに相当する。
【0027】
図示されているように、コンピュータ・システム50はプロセッサ56を含み、このプロセッサ56は、命令を実行するように、またコンピュータ・システム50に関連付けられているオペレーションを実行するように構成されている。例えばプロセッサ56は、例えばメモリから検索される命令を使用して、コンピューティング・システム50のコンポーネントどうしの間における入力データと出力データの受け取りや操作をコントロールすることができる。プロセッサ56は、シングルチップ・プロセッサとすることもでき、あるいは複数のコンポーネントと共に実装することもできる。
【0028】
ほとんどの場合、プロセッサ56は、オペレーティング・システムと共にコンピュータ・コードを実行し、データを作成して使用するように機能する。コンピュータ・コードとデータは、プログラム・ストレージ・ブロック58内に存在し、このプログラム・ストレージ・ブロック58は、プロセッサ56へ動作可能に結合されている。一般にプログラム・ストレージ・ブロック58は、コンピュータ・システム50によって使用されているデータを保持するための場所を提供する。例えばプログラム・ストレージ・ブロックは、リードオンリメモリ(ROM)60、ランダムアクセスメモリ(RAM)62、ハード・ディスク・ドライブ64などを含むことができる。コンピュータ・コードとデータは、取り外し可能なストレージ・メディアに存在することもでき、必要とされるときにコンピュータ・システムにロードしたりインストールしたりすることができる。取り外し可能なストレージ・メディアとしては、例えばCD−ROM、PCカード、フロッピー(登録商標)・ディスク、磁気テープ、ネットワーク・コンポーネントが含まれる。
【0029】
コンピュータ・システム50はまた、入出力(I/O)コントローラ66を含み、このI/Oコントローラ66は、プロセッサ56へ動作可能に結合されている。I/Oコントローラ66は、プロセッサ56と統合することもでき、あるいは図示されているように別個のコンポーネントとすることもできる。一般にI/Oコントローラ66は、1つまたは複数のI/Oデバイスとの対話をコントロールするように構成されている。一般にI/Oコントローラ66は、プロセッサと、そのプロセッサと通信することを希望するI/Oデバイスとの間でデータをやり取りすることによって動作する。I/OデバイスとI/Oコントローラは、通常はデータ・リンク67を通じて通信する。データ・リンク67は、一方向のリンクあるいは双方向のリンクとすることができる。場合によっては、I/Oデバイスは有線接続を通じてI/Oコントローラ66に接続されてもよい。場合によっては、I/Oデバイスは、無線接続を通じてI/Oコントローラ66に接続されてもよい。例えばデータ・リンク67は、PS/2、USB、Firewire、IR、RF、Bluetoothなどに相当することができる。
【0030】
コンピュータ・システム50はまた、ディスプレイ・デバイス68を含み、このディスプレイ・デバイス68は、プロセッサ56へ動作可能に結合されている。ディスプレイ・デバイス68は、別個のコンポーネント(周辺デバイス)とすることもでき、あるいはプロセッサやプログラム・ストレージと統合して、1つのデスクトップ・コンピュータ(オール・イン・ワンのマシン)、ラップトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピュータ、タブレット・コンピュータなどを形成することもできる。ディスプレイ・デバイス68は、おそらくはポインタまたはカーソルと、ユーザへのその他の情報とを含むGUIを表示するように構成されている。例えばディスプレイ・デバイス68は、モノクロ・ディスプレイ、からー・グラフィック・アダプタ(CGA)ディスプレイ、エンハンスト・グラフィック・アダプタ(EGA)ディスプレイ、バリアぶるグラフィックアレイ(VGA)ディスプレイ、スーパーVGAディスプレイ、液晶ディスプレイ(例えばアクティブ・マトリックス、パッシブ・マトリックスなど)、CRT、プラズマ・ディスプレイなどとすることができる。
【0031】
コンピュータ・システム50はまた、タッチ・スクリーン70を含み、このタッチ・スクリーン70は、プロセッサ56へ動作可能に結合されている。タッチ・スクリーン70は、透明なパネルであり、ディスプレイ・デバイス68の前に配置されている。タッチ・スクリーン70は、ディスプレイ・デバイス68と統合することもでき、あるいは別個のコンポーネントとすることもできる。タッチ・スクリーン70は、ユーザの接触から入力を受け取り、この情報をプロセッサ56へ送るように構成されている。ほとんどの場合、タッチ・スクリーン70は、その表面上における接触と、その接触の位置と大きさを認識する。タッチ・スクリーン70は、それらの接触をプロセッサ56に報告し、プロセッサ56は、そのプログラミングに従ってそれらの接触を解釈する。例えばプロセッサ56は、特定の接触に従ってあるタスクを開始する。
【0032】
一実施形態によれば、タッチ・スクリーン70は、タッチ・スクリーンの接触感知面上に載っている複数の物体、接触感知面に触れる複数の物体、あるいは接触感知面上を移動する複数の物体を同時に探知することができる。これらの複数の物体は、例えば指や手のひらに相当する。本タッチ・スクリーンは複数の物体を探知できるため、ユーザは、接触によって開始されるいくつかのタスクを同時に実行することができる。例えばユーザは、1本の指でスクリーン上のボタンを選択し、その一方で別の指でカーソルを動かすことができる。さらにユーザは、1本の指でスクロール・バーを動かし、その一方で別の指でメニューからアイテムを選択することができる。さらに、1本の指で第1のオブジェクトをドラッグすることができ、その一方で別の指で第2のオブジェクトをドラッグすることができる。さらに、複数の指でジェスチャーを行うこともできる。
【0033】
詳細に述べると、一般にタッチ・スクリーン70は感知デバイス72を含み、この感知デバイス72は、すぐそばの物体および/または加えられる圧力を検知するように構成されている。感知デバイス72は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。特定の一実施形態においては、感知デバイス72は、いくつかの独立した空間的に別々の感知ポイント、ノード、あるいは領域74へと分割され、タッチ・スクリーン70の全面にわたって配置される。感知ポイント74は、通常は視界から隠されて、タッチ・スクリーン70の周囲に分散され、それぞれの感知ポイント74は、タッチ・スクリーン70の表面(すなわちタッチ・スクリーンの平面)上の別々の位置を表す。感知ポイント74は、グリッドあるいはピクセル・アレイの状態で配置することができ、それぞれのピクセル化された感知ポイント74は1つの信号を同時に生成することができる。最も単純な場合では、1つの物体が1つの感知ポイント74の上に配置されるたびに1つの信号が生成される。1つの物体が複数の感知ポイント74の上に配置される場合や、その物体が複数の感知ポイント74の間や上で動かされる場合には、複数の信号が生成される。
【0034】
感知ポイント74の数と構成は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。感知ポイント74の数は、一般にタッチ・スクリーン70の希望の感度と希望の透明度によって異なる。ノードや感知ポイントが多くなれば、一般に感度は高まるが、透明度は低下する(またノードや感知ポイントが少なくなれば、一般に透明度は高まるが、感度は低下する)。配置に関しては、一般に感知ポイント74は、タッチ・スクリーンの平面をデカルト座標系、極座標系、あるいはその他の何らかの座標系などの座標系へと対応付ける。(図示されているように)デカルト座標系が使用される場合には、感知ポイント74は通常、x座標とy座標に対応する。極座標系が使用される場合には、感知ポイントは通常、動径座標(r)と角座標(θ)に対応する。
【0035】
タッチ・スクリーン70は、感知回路76を含むことができ、この感知回路76は、感知デバイス72からデータを入手し、その入手したデータをプロセッサ56に提供する。あるいは、プロセッサがこの機能を含むこともできる。一実施形態においては、感知回路76が、未加工のデータをプロセッサ56へ送り、それによってプロセッサ56が、その未加工のデータを処理するように構成される。例えばプロセッサ56は、感知回路76からデータを受け取り、次いでそのデータがコンピュータ・システム50内でどのように使用されることになるかを判断する。このデータは、それぞれの感知ポイント74の座標やそれぞれの感知ポイント74に加えられる圧力を含む。別の実施形態においては、感知回路76が、未加工のデータを自分で処理するように構成される。すなわち感知回路76は、感知ポイント74からパルスを読み取り、それらのパルスを、プロセッサ56が理解できるデータに変換する。感知回路76は、フィルタリング・プロセスおよび/または変換プロセスを実行することができる。フィルタリング・プロセスは通常、プロセッサ56が余分なデータや不要なデータによって過負荷にならないように、混み合ったデータ・ストリームを減らすように実施される。変換プロセスは、未加工のデータをプロセッサ56へ送ったり報告したりする前に、それらの未加工のデータを調整するために実施することができる。それらの変換は、それぞれの接触領域の中心点(例えば重心)を決定するステップを含む。
【0036】
感知回路76は、タッチ・スクリーン・プログラムを格納するためのストレージ・エレメントを含み、このタッチ・スクリーン・プログラムは、タッチ・スクリーン70の様々な側面をコントロールする。例えばタッチ・スクリーン・プログラムは、選択された感知ポイント74に基づいてどんなタイプの値を出力すべきか(例えば座標)を含む。実際には、感知回路はタッチ・スクリーン・プログラムと共に、所定の通信プロトコルに従う。一般によく知られているように、通信プロトコルは、2つのデバイスの間でデータをやり取りするためのルールと手続きのセットである。通信プロトコルは通常、情報をデータのブロックすなわちパケットに含めて送信し、それらのパケットは、送信されるデータと、パケットをその送信先へ導くために必要とされるデータと、途中で生じるエラーを訂正するデータとを含む。例えば感知回路は、ヒューマン・インターフェース・デバイス(HID)フォーマットのデータを配置することができる。
【0037】
一般に感知回路76は、1つまたは複数のマイクロコントローラを含み、それらのマイクロコントローラのそれぞれは、1つまたは複数の感知ポイント74をモニタする。マイクロコントローラは、例えばASICに相当し、これは、ファームウェアと共に機能して、感知デバイス72からの信号をモニタし、そのモニタした信号を処理し、その情報をプロセッサ56へ報告する。
【0038】
一実施形態によれば、感知デバイス72は静電容量に基づく。2つの導電性部材が実際に接触することなく互いに接近する場合は常に、それらの電界が相互作用して、静電容量が形成されるということは理解できるはずである。ほとんどの場合、第1の導電性部材が感知ポイント74であり、第2の導電性部材が指などの物体80である。物体80がタッチ・スクリーン70の表面に接近する際に、物体80と、その物体80のすぐそばの感知ポイント74との間において、わずかな静電容量が形成される。感知ポイント74のそれぞれにおける静電容量の変化を検知し、感知ポイントの位置に注目することによって、感知回路は、複数の物体を認識し、それらの物体80がタッチ・スクリーン70上で動かされるのに伴ってそれらの物体80の位置、圧力、方向、速度、加速度を決定することができる。例えば感知回路は、1つまたは複数の手の指や手のひらのそれぞれがいつどこに触れているか、および(1つまたは複数の)手の指や手のひらによって加えられている圧力を同時に決定することができる。
【0039】
静電容量の簡単さによって、感知デバイス72の設計と構造に多大な柔軟性が可能となる。例えば感知デバイス72は自己静電容量または相互静電容量に基づく。自己静電容量では、感知ポイント74のそれぞれは、個々の帯電した電極によって提供される。ある物体がタッチ・スクリーン70の表面に接近する際、その物体は、その物体のすぐそばの電極に静電結合し、それによってそれらの電極から電荷を奪い去る。電極のそれぞれにおける電荷の量は、複数の物体がタッチ・スクリーン70に接触した場合のそれらの物体の位置を決定するために感知回路76によって測定される。相互静電容量では、感知デバイス72は、空間的に分離されたラインまたはワイヤの2つの層のグリッドを含む。最も単純な場合では、上側の層が行のラインを含み、その一方で下側の層が列の(例えば直交する)ラインを含む。感知ポイント74は、行と列の交点において提供される。操作中に、行が帯電し、その電荷が、交点において列に静電結合する。ある物体がタッチ・スクリーンの表面に接近する際、その物体は、その物体のすぐそばの交点において行に静電結合し、それによってそれらの行から、したがって列からも電荷を奪い去る。列のそれぞれにおける電荷の量は、複数の物体がタッチ・スクリーン70に接触した場合のそれらの物体の位置を決定するために感知回路76によって測定される。
【0040】
図6は、本発明の一実施形態による透明な複数ポイント・タッチ・スクリーン100を示す部分平面図である。例えば、一般にタッチ・スクリーン100は、図2、図4に示されているタッチ・スクリーンに相当する。マルチポイント・タッチ・スクリーン100は、複数の物体の位置と圧力を同時に感知することができる。この特定のタッチ・スクリーン100は、自己静電容量に基づき、したがって複数の透明な容量感知電極102を含み、これらの電極102のそれぞれは、タッチ・スクリーン100の平面内の別々の座標を表す。電極102は、それらの電極102の付近のタッチ・スクリーン100に接触している1つまたは複数の物体から容量性の入力を受け取るように構成されている。ある物体が電極102に接近すると、その物体は電荷を奪い、それによって電極102における静電容量が影響を受ける。電極102は、トレース106を通じて容量感知回路104に接続されており、これらのトレース106は、間隔を隔てた電極102どうしの間に見られる隙間108内に配置されている。これらの電極102は、互いに電気的に絶縁するために、および感知トレース106を別々に経路設定するためのスペースを提供するために間隔を隔てている。隙間108は、感知エリアを最大化するために、またスペースと透明な電極の間における光学的な差異を最小化するために小さくすることが好ましい。
【0041】
図示されているように、感知トレース106は、それぞれの電極102からタッチ・スクリーン100の側部へ経路設定され、そこから容量感知回路104に接続される。容量感知回路104は、1つまたは複数のセンサIC110を含み、これらのセンサIC110は、それぞれの電極102において静電容量を測定し、その検出事項やそれに類するものをホスト・コントローラへ報告する。センサIC110は、例えばアナログの容量性信号をデジタル・データに変換し、次いでそのデジタル・データを、シリアル・バスを介してホスト・コントローラへ送ることができる。任意の数のセンサICを使用することができる。例えば、すべての電極に対して単一のチップを使用することもでき、あるいは単一の電極や電極のグループに対して複数のチップを使用することもできる。ほとんどの場合、センサIC110は探知信号を報告し、これらの探知信号は、電極102の位置と、電極102における静電容量の強度の双方の関数である。
【0042】
一般に電極102、トレース106、感知回路104は、光透過部材112上に配置される。ほとんどの場合、光透過部材112は、ガラスやプラスチックなどの透明な材料から形成される。電極102とトレース106は、例えば蒸着、エッチング、印刷などを含む任意の適切なパターニング技法を用いて部材112上に設置することができる。電極102と感知トレース106は、任意の適切な透明な導電材料から作成することができる。例えば電極102とトレース106は、ITOから形成することができる。さらに感知回路104のセンサIC110は、任意の適切な技法を用いてトレース106へ電気的に結合することができる。一実装形態においては、センサIC110は、部材112(フリップ・チップ)上に直接配置される。別の実装形態においては、フレックス回路が部材112に接合され、センサIC110は、そのフレックス回路に取り付けられる。さらに別の実装形態においては、フレックス回路が部材112に接合され、PCBがフレックス回路に接合され、センサIC110は、そのPCBに取り付けられる。センサICは、例えばカリフォルニア州サンノゼのSynaptics、デラウェア州ニューアークのFingerworks、あるいはカリフォルニア州サンノゼのAlpsによって製造されたものなどの静電容量感知ICとすることができる。
【0043】
電極102の配置は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。例えば電極102は、タッチ・スクリーン100の平面内のほとんどどこにでも配置することができる。電極102は、タッチ・スクリーン100の周囲に不規則に、あるいは特定のパターンで配置することができる。後者に関しては、電極102の位置は、使用される座標系によって異なるものとすることができる。例えば電極102は、デカルト座標の場合には行と列のアレイの状態で、あるいは極座標の場合には同心円状のセグメントと放射状のセグメントのアレイの状態で配置することができる。それぞれのアレイ内では、行、列、同心円状のセグメント、または放射状のセグメントは、他の行、列、またはセグメントに対して一律に積み重ねることもでき、あるいは他の行、列、またはセグメントに対して互い違いにするか、もしくは埋め合わせる形にすることもできる。さらに、それぞれの行や列内では、またはそれぞれの同心円状のセグメントや放射状のセグメント内では、電極102は、隣の電極102に対して互い違いにすることもでき、あるいは埋め合わせる形にすることもできる。
【0044】
さらに電極102は、単純(例えば、正方形、円、楕円、三角形、長方形、多角形など)か、複雑(例えば、不規則な形状)かを問わず、ほとんどいかなる形状にも形成することができる。またさらに、電極102の各形状は、同一の形状とすることもでき、あるいは別々の形状とすることもできる。例えば、電極102の1つのセットが第1の形状を有することができ、その一方で電極102の第2のセットが、第1の形状とは異なる第2の形状を有することができる。一般にこれらの形状は、感知エリアを最大化するように、また隙間と透明な電極の間における光学的な差異を最小化するように選択される。
【0045】
さらに電極102のサイズは、それぞれのデバイスの固有のニーズによって様々なサイズとすることができる。場合によっては、電極102のサイズは、ほぼ指先の大きさに相当する。例えば電極102のサイズは、約4〜5mm2とすることができる。場合によっては、電極102のサイズは、タッチ・スクリーン100の分解能を高めるために指先の大きさよりも小さい(指は、どの時点においても複数の電極に影響を与える可能性があり、それによって補間が可能となる)。形状と同様、電極102の各サイズは、同一のサイズとすることもでき、あるいは別々のサイズとすることもできる。例えば電極102の1つのセットは、電極102の別のセットよりも大きくすることができる。さらに、任意の数の電極102を使用することができる。電極102の数は通常、タッチ・スクリーン100のサイズや、それぞれの電極102のサイズによって決定される。ほとんどの場合、より高い分解能を提供するには、すなわち加速度などに関してさらに多くの情報を利用できるようにするには、電極102の数を多くすることが望ましいであろう。
【0046】
感知トレース106は、様々な方法で経路設定することができるが、通常は、それらの電極102とセンサ回路104の間で移動しなければならない距離を短くする方法で、また隣の電極102どうしの間に見られる隙間108のサイズを小さくする方法で経路設定する。感知トレース106の幅もまた、広範囲にわたって様々である。一般にこれらの幅は、そこを通って分配されている電荷の量、隣のトレース106の数と、トレース106が移動する際に通る隙間108のサイズによって決定される。隙間108の内側を最も多く覆い、それによってさらに均一な光学的な見え方がもたらされるように、隣のトレース106の幅を最大化することが一般には望ましい。
【0047】
図示されている実施形態においては、電極102は、ピクセルのアレイ内に配置されている。図示されているように、電極102は行116内に配置されており、これらの行116は、タッチ・スクリーン100の側部へかつ側部から延びている。それぞれの行116内では、同一の各電極102が、間隔を隔てて互いに横に(例えば並列に)配置されている。さらに行116は、互いの上に積み重ねられており、それによってピクセルのアレイが形成されている。感知トレース106は、隣の行106どうしの間に形成されている隙間108内を通るように経路設定される。それぞれの行に関する感知トレース106は2つの異なる方向に経路設定される。行116の一方の側の上の感知トレース106は、左側部の上に配置されているセンサIC110へ経路設定され、行116の他方の側の上の感知トレース106は、タッチ・スクリーン100の右側部の上に配置されている別のセンサIC110へ経路設定される。これは、行116どうしの間に形成されている隙間108を最小化するように行われる。隙間108は、例えば約20ミクロンまでに保持することができる。トレースどうしの間のスペースは積み重ねることができ、それによって電極どうしの間に広い隙間が生み出されるということが理解できるはずである。一方の側へ経路設定されるならば、スペースの大きさは実質的に倍増することになり、それによってタッチ・スクリーンの分解能が低下する。さらに電極102の形状は、平行四辺形の形態であり、より詳細には、側部の両辺が傾斜している平行四辺形である。
【0048】
図7は、本発明の一実施形態による透明なマルチ・ポイント・タッチ・スクリーン120を示す部分平面図である。この実施形態においては、タッチ・スクリーン120は、図6に示されているタッチ・スクリーン100に類似しているが、図6のタッチ・スクリーン100とは異なり、図7に示されているタッチ・スクリーン120は、様々なサイズの電極122を含む。図示されているように、タッチ・スクリーン120の中央に配置されている電極122は、タッチ・スクリーン120の側部に配置されている電極122よりも大きい。実際に各電極122の高さは、タッチ・スクリーン120の中央から縁部へいくほど低くなる。こうなっているのは、より中央に位置する電極122の側部から延びる感知トレース124のための余地を設けるためである。有利なことに、この構成によって、電極122の隣の行126どうしの間に見られる隙間が小さくなる。それぞれの電極122の高さは低くなるが、行126の高さHと、それぞれの電極122の幅Wは変わらない。ある構成においては、行126の高さは、それぞれの電極122の幅と実質的に等しい。例えば行126の高さとそれぞれの電極122の幅は、約4mm〜約5mmとすることができる。
【0049】
図8は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置130の断面を示す正面図である。ディスプレイ装置130は、LCDディスプレイ132と、LCDディスプレイ132の上に配置されているタッチ・スクリーン134とを含む。このタッチ・スクリーンは、例えば図6や図7に示されているタッチ・スクリーンに相当する。LCDディスプレイ132は、当技法分野で知られている任意の従来のLCDディスプレイに相当してもよい。図示されていないが、LCDディスプレイ132は通常、蛍光パネル、偏光フィルタ、液晶セルの層、カラー・フィルタなどを含む様々な層を含む。
【0050】
タッチ・スクリーン134は透明な電極層136を含み、この透明な電極層136は、ガラス部材138の上に配置されている。このガラス部材138は、LCDディスプレイ132の一部とすることもでき、あるいはタッチ・スクリーン134の一部とすることもできる。いずれの場合も、ガラス部材138は、比較的厚い透明なガラスであり、タッチ・スクリーン134上に加えられる力からディスプレイ132を保護する。ガラス部材138の厚さは、例えば約2mmとすることができる。ほとんどの場合、電極層136は、ITOや印刷など、適切な透明な導電材料とパターニング技法とを用いてガラス部材138上に設置される。図示されていないが、場合によっては、タッチ・スクリーンの視覚的な見え方を改善するために、類似した屈折率の材料で電極層136をコーティングすることが必要となることもある。電極とトレースの間に位置する隙間は、それらの電極やトレースと同じ光学指数を有しておらず、したがって、より類似した光学指数を提供するための材料が必要とされる可能性もあるということが理解できるはずである。例えば、屈折率整合ジェルを使用することができる。
【0051】
また、タッチ・スクリーン134は保護カバー・シート140を含み、この保護カバー・シート140は電極層136の上に配置されている。したがって電極層136は、ガラス部材138と保護カバー・シート140の間にはさまれている。保護シート140は、下にある層を保護する役割と、その上を物体が滑らかに動けるようにするための表面とする役割とを果たす。また、保護シート140は物体と電極層136の間に絶縁層となっている。保護カバー・シート140は、ガラスやプラスチックなどの任意の適切な透明な材料から形成することができる。保護カバー・シート140は、十分な電極結合を可能にするだけの薄さであることが適切である。例えばカバー・シート140の厚さは、約0.3〜0.8mmとすることができる。さらに保護カバー・シート140は、触れた際の粘着性を少なくするために、また下にあるLCDディスプレイ132を見る際のまぶしさを抑えるために、コーティングを用いて処理することができる。例えば、低粘着性/反射防止用のコーティング142をカバー・シート140の上に塗布することができる。電極層136は、通常はガラス部材138上にパターニングされるが、場合によっては別法として、または追加として、保護カバー・シート140上にパターニングすることもできるという点に留意されたい。
【0052】
図9は、本発明の別の実施形態による透明なマルチポイント・タッチ・スクリーン150を示す平面図である。例えば、一般にタッチ・スクリーン150は、図2や図4のタッチ・スクリーンに相当する。図6〜図8に示されているタッチ・スクリーンとは異なり、図9のタッチ・スクリーンは、自己静電容量ではなく相互静電容量のコンセプトを利用する。図示されているように、タッチ・スクリーン150は、空間的に分離されたラインまたはワイヤ152の2つの層のグリッドを含む。ほとんどの場合、それぞれの層の上のライン152は互いに平行である。さらに、別々の層の上のライン152は、別々の平面内にあるが、容量感知ノード154を形成するために交差するように、すなわち交わるように構成されており、それらの容量感知ノード154のそれぞれは、タッチ・スクリーン150の平面内の別々の座標を表す。ノード154は、そのノード154の付近のタッチ・スクリーン150に接触している物体から容量性の入力を受け取るように構成されている。ある物体がノード154に接近すると、その物体は電荷を奪い、それによってノード154における静電容量が影響を受ける。
【0053】
詳細に述べると、別々の層の上のライン152は2つの異なる機能を果たす。ライン152Aの1つのセットが、それらの間を通る電流を駆動し、その一方でライン152Bの第2のセットが、ノード154のそれぞれにおける静電結合を感知する。ほとんどの場合、上の層が駆動ライン152Aとなり、その一方で下の層が感知ライン152Bとなる。駆動ライン152Aは、電源(図示せず)に接続されており、この電源は、駆動ライン152Aのそれぞれを通る電流を別々に駆動する。すなわち、刺激は1つのラインの上で生じるだけであり、その一方で他のすべてのラインが接地される。これらは、同様にラスタ走査へと駆動することもできる。感知ライン152Bは、容量感知回路(図示せず)に接続されており、この容量感知回路は、感知ライン152Bのすべてを継続的に感知する(常に感知する)。
【0054】
駆動されると、駆動ライン152A上の電荷はノード154を通じて交差している感知ライン152Bへ静電結合し、容量感知回路は、感知ライン152Bのすべてを並行して感知する。その後、次の駆動ライン152Aが駆動され、次の駆動ライン152A上の電荷がノード154を通じて、交差している感知ライン152Bへ静電結合し、容量感知回路が感知ライン152Bのすべてを並行して感知する。これは、すべてのライン152Aが駆動されるまで順次行われる。すべてのライン152Aが駆動されると、シーケンスは、再び最初から開始する(継続的に繰り返す)。ほとんどの場合、ライン152Aは、一方の側から反対側へ順次駆動される。
【0055】
容量感知回路は通常、1つまたは複数のセンサICを含み、これらのセンサICは、感知ライン152Bのそれぞれにおいて静電容量を測定し、その検出事項をホスト・コントローラへ報告する。センサICは、例えばアナログの容量性信号をデジタル・データに変換し、次いでそのデジタル・データを、シリアル・バスを介してホスト・コントローラへ送ることができる。任意の数のセンサICを使用することができる。例えば、すべてのラインに対して1つのセンサICを使用することもでき、あるいは単一のラインやラインのグループに対して複数のセンサICを使用することもできる。ほとんどの場合、センサIC110は探知信号を報告し、これらの探知信号は、ノード154の位置と、ノード154における静電容量の強度の双方の関数である。
【0056】
一般にライン152は、1つまたは複数の光透過部材156上に配置され、この光透過部材156は、ガラスやプラスチックなどの透明な材料から形成されている。例えばライン152は、同じ部材156の対向する両側の上に配置することもでき、あるいは別々の部材156の上に配置することもできる。ライン152は、例えば蒸着、エッチング、印刷などを含む任意の適切なパターニング技法を用いて部材156上に設置することができる。さらにライン152は、任意の適切な透明な導電材料から作成することができる。例えば、これらのラインはITOで形成させることができる。駆動ライン152Aは通常、フレックス回路158Aを通じて電源に結合され、感知ライン152Bは通常、感知回路に、より詳細にはフレックス回路158Bを通じてセンサICに結合される。センサICは、印刷回路基板(PCB)に取り付けることができる。あるいはセンサICは、部材156上に直接配置することもでき、それによって、フレックス回路158Bがなくなる。
【0057】
ライン152の配置は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。例えばライン152は、タッチ・スクリーン150の平面内のほとんどどこにでも配置することができる。ライン152は、タッチ・スクリーン150の周囲に不規則に、あるいは特定のパターンで配置することができる。後者に関しては、ライン152の位置は、使用される座標系によって異なるものとすることができる。例えばライン152は、デカルト座標の場合には行と列の状態で、あるいは極座標の場合には同心円状かつ放射状に配置することができる。行と列を使用する場合には、それらの行と列は、互いに様々な角度で配置することができる。例えば、縦、横、あるいは斜めにすることができる。
【0058】
さらにライン152は、直線状か曲線状かを問わず、ほとんどいかなる形状にも形成することができる。それぞれの層の上のラインは、同じものとすることもでき、あるいは異なるものとすることもできる。例えばこれらのラインは、直線状と曲線状の間で切り替えることができる。またさらに、対向するラインどうしの形状は、同一の形状とすることもでき、あるいは別々の形状とすることもできる。例えば、駆動ラインが第1の形状を有することができ、その一方で感知ラインが、第1の形状とは異なる第2の形状を有することができる。ライン152の幾何学的構成(例えば、ライン幅と間隔)もまた、広範囲にわたる様々なものとすることができる。それぞれの層におけるラインの幾何学的構成は、同一のものとすることもでき、あるいは別々のものとすることもでき、またさらに、双方の層に関するラインの幾何学的構成は、同一のものとすることもでき、あるいは別々のものとすることもできる。例えば、駆動ライン152Aに対する感知ライン152Bのライン幅は、約2:1の比率を有することができる。
【0059】
さらに、任意の数のライン152を使用することができる。一般にラインの数は、タッチ・スクリーン150の希望の分解能によって異なると考えられる。それぞれの層におけるラインの数は、同一の数とすることもでき、あるいは別々の数とすることもできる。ラインの数は通常、ライン152の希望の間隔とライン幅だけでなく、タッチ・スクリーンのサイズによって決定される。
【0060】
図示されている実施形態においては、駆動ライン152Aが行の状態で配置されており、感知ライン152Bが、それらの行に垂直な列の状態で配置されている。行は、タッチ・スクリーン150の側部へと横に延びており、列は、タッチ・スクリーン150の上部および下部へと縦に延びている。さらに、ライン152Aと152Bのセットに関するライン幅は互いに異なり、ライン152Aと152Bのセットに関する間隔は、互いに等しい。ほとんどの場合、感知ライン152Bのライン幅は、駆動ライン152Aのライン幅よりも広い。例えば、駆動ラインと感知ライン152どうしの間隔は約5mmとすることができ、駆動ライン152Aのライン幅は約1.05mmとすることができ、感知ライン152Bのライン幅は約2.10mmとすることができる。さらに、それぞれの層におけるライン152の数は異なる。例えば、約38本の駆動ラインと約50本の感知ラインを設けることができる。
【0061】
上述のように、半透明な導体をガラス、フィルム、あるいはプラスチック上に形成するためのラインは、ITO材料を用いてパターニングすることができる。これは一般に、ITO層を基板の表面上に蒸着し、次いでラインを形成するためにITO層の部分をエッチングで除去することによって達成される。ITOを伴うエリアは、ITOを伴わないエリアよりも低い透明度を有する傾向があるということが理解できるはずである。これは一般に、ユーザにとってあまり望ましくない。というのは、ユーザが、ラインをそれらのラインどうしの間にあるスペースから見分けられるためであり、すなわち、パターニングされたITOが非常に目立つようになり、それによって望ましくない光学的特性を有するタッチ・スクリーンが作成される可能性があるためである。この問題をさらに深刻にするものとして、ITO材料は通常、比較的低い抵抗を生み出す方法で塗布され、残念なことに、低い抵抗のITOは、高い抵抗のITOよりも透明度が劣る傾向がある。
【0062】
上述の問題を防止するために、ITOの間の死角を屈折率整合材料で満たすことができる。別の実施形態においては、単にITOのすべてをエッチングで除去するのではなく、死角(覆われていないスペース)を、連続していない電気的に浮いているITOパッドへさらに分割することができ、すなわち死角を、空間的に分離されたパッドを用いてパターニングすることができる。これらのパッドは通常、最小のトレース幅で分離されている。さらに、これらのパッドは通常、容量の測定に対する影響を少なくするために小さくされる。この技法は、均一な光学的抑制物を作成することによって、ITOが目立つのを最小限に抑えようとするものである。すなわち、ITOの均一なシートを作成しようとすることによって、パネルは、均一な光学的抑制物にさらに近く機能することになり、したがって視覚的な見え方における不均一さが最小化されると考えられる。さらに別の実施形態においては、屈折率整合材料と、連続していない浮いているパッドとの組合せを使用することができる。
【0063】
図10は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置170の断面を示す部分正面図である。ディスプレイ装置170は、LCDディスプレイ172とそのLCDディスプレイ172の上に配置されているタッチ・スクリーン174とを含む。このタッチ・スクリーンは、例えば図9に示されているタッチ・スクリーンに相当することができる。LCDディスプレイ172は、当技法分野で知られている任意の従来のLCDディスプレイに相当する。図示されていないが、LCDディスプレイ172は通常、蛍光パネル、偏光フィルタ、液晶セルの層、カラー・フィルタなどを含む様々な層を含む。
【0064】
タッチ・スクリーン174は透明な感知層176を含み、この透明な感知層176は第1のガラス部材178の上に配置されている。この感知層176は複数のセンサ・ライン177を含み、これらのセンサ・ライン177は列の状態で配置されている(ページの中および外へ延びている)。第1のガラス部材178はLCDディスプレイ172の一部とすることもでき、あるいはタッチ・スクリーン174の一部とすることもできる。例えば第1のガラス部材178はLCDディスプレイ172の前面のガラスとすることもでき、あるいはタッチ・スクリーン174の底面のガラスとすることもできる。センサ層176は通常、適切な透明な導電材料とパターニング技法を用いてガラス部材178上に設置される。場合によっては、視覚的な見え方を改善するために、すなわちより均一にするために、類似した屈折率の材料でセンサ層176をコーティングすることが必要となる可能性もある。
【0065】
また、タッチ・スクリーン174は透明な駆動層180を含み、この透明な駆動層180は第2のガラス部材182の上に配置されている。第2のガラス部材182は第1のガラス部材178の上に配置されている。したがって感知層176は第1のガラス部材178と第2のガラス部材182の間にはさまれている。第2のガラス部材182は、駆動層180と感知層176の間の絶縁層となっている。駆動層180は複数の駆動ライン181を含み、これらの駆動ライン181は行の状態で配置されている(ページの右および左へ延びている)。駆動ライン181は、複数の静電結合ノード182を形成するために、列の状態で配置されている感知ライン177と交差するように、すなわち交わるように構成されている。感知層176と同様に、駆動層180は適切な材料およびパターニング技法を用いてガラス部材上に設置される。さらに場合によっては、視覚的な見え方を改善するために、類似した屈折率の材料で駆動層180をコーティングすることが必要となる可能性もある。感知層は、通常は第1のガラス部材上にパターニングされるが、場合によっては別法として、または追加として、第2のガラス部材上にパターニングすることもできるという点に留意されたい。
【0066】
また、タッチ・スクリーン174は保護カバー・シート190を含む。この保護カバー・シート190は駆動層180の上に配置されている。したがって駆動層180は、第2のガラス部材182と保護カバー・シート190の間にはさまれている。保護カバー・シート190は下にある層を保護する役割と、その上を物体が滑らかに動けるようにするための表面となる役割とを果たす。保護カバー・シート190は物体と駆動層180の間に絶縁層を提供する。この保護カバー・シートは、十分な結合を可能にするだけの薄さであることが適切である。保護カバー・シート190は、ガラスやプラスチックなどの任意の適切な透明な材料で形成することができる。さらに保護カバー・シート190は、触れた際の粘着性を少なくするために、また下にあるLCDディスプレイ172を見る際のまぶしさを抑えるために、コーティングを用いて処理することができる。例えば、低粘着性/反射防止用のコーティングをカバー・シート190の上に塗布することができる。ライン層は通常はガラス部材上にパターニングされるが、場合によっては別法として、または追加として、保護カバー・シート上にパターニングすることもできるという点に留意されたい。
【0067】
また、タッチ・スクリーン174は様々な接合層192を含む。これらの接合層192は、積層構造を形成してその積層構造に剛性と硬度を与えるために、ガラス部材178、182と保護カバー・シート190を1つに接合する。要するに、接合層192は、個々の層のそれぞれを単独で利用するよりも強力なモノリシック・シートを作成するのに役に立つ。ほとんどの場合、第1のガラス部材178と第2のガラス部材182、および第2のガラス部材182と保護シート190が、接着剤などの結合剤を用いて1つに積層される。望ましい全体的な幾何学的形状を有する単一の複合構造を形成するために、接着剤の弾性を利用して幾何学的形状のばらつきを吸収することができる。場合によっては、結合剤は、タッチ・スクリーン170の視覚的な見え方を改善するための屈折率整合材料を含む。
【0068】
構成に関しては、様々な層のそれぞれは様々なサイズや形状などを有するように形成される。例えば、それらの層のそれぞれは、構造内のその他の層と同じ厚さとることも、あるいは異なる厚さとすることもできる。図示されている実施形態においては、第1のガラス部材178の厚さは約1.1mmであり、第2のガラス部材182の厚さは約0.4mmであり、保護シートの厚さは約0.55mmである。各接合層192の厚さは通常、希望の高さの積層構造とするために様々に異なる。さらに、これらの層のそれぞれは、様々な材料を用いて形成することができる。例えば、それぞれの特定のタイプの層は、同じ材料からも、あるいは別々の材料からも形成することができる。例えば、任意の適切なガラスやプラスチックの材料をガラス部材用として使用することができる。同様に、任意の適切な結合剤を接合層192用として使用することができる。
【0069】
図11A、図11Bは、一実施形態による駆動層200と感知層202を示す部分平面図である。この実施形態においては、層200と層202のそれぞれは、ダミー・フィーチャ204を含む。このダミー・フィーチャ204は駆動ライン206と感知ライン208の間に配置されている。ダミー・フィーチャ204は、各ラインの光学指数をより厳密に整合することによってタッチ・スクリーンの視覚的な見え方を光学的に改善するように構成されている。屈折率整合材料は、視覚的な見え方を改善することができるが、依然としていくらかの不均一さが存在する可能性もあることが分かっている。ダミー・フィーチャ204は、より均一な見え方をタッチ・スクリーンに提供する。ダミー・フィーチャ204は電気的に絶縁されており、ライン206とライン208のそれぞれの間の隙間に配置されている。ダミー・フィーチャ204は別々にパターニングすることもできるが、通常はライン206、ライン208と共にパターニングされる。さらに各ダミー・フィーチャ204は、別々の材料から形成することもできるが、通常は、可能な限り最良の屈折率整合をもたらすように、例えばITOとしてのラインと同じ透明な導電材料を用いて形成される。ダミー・フィーチャを使用しても、おそらくは依然としていくらかの隙間が生じるであろうが、これらの隙間はラインどうしの間に見られる隙間よりもずっと小さい(はるかに小さい)ということが理解できるはずである。したがってこれらの隙間は、視覚的な見え方に最小限の影響しか及ぼさない。たしかにそのとおりかもしれないが、その一方で、屈折率整合材料をダミー・フィーチャどうしの間の隙間へさらに適用して、タッチ・スクリーンの視覚的な見え方をさらに改善することもできる。ダミー・フィーチャの配置、サイズ、数、次元、形状は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。
【0070】
図12は、本発明の一実施形態による相互静電容量回路220を示す略図である。相互静電容量回路220は駆動ライン222と感知ライン224を含み、それらの駆動ライン222と感知ライン224は空間的に分離されており、それによって静電結合ノード226を形成している。駆動ライン222は電源228へ電気的に結合されており、感知ライン224は容量感知回路230へ電気的に結合されている。駆動ライン222は静電結合ノード226へ電流を運ぶように構成されており、感知ライン224は容量感知回路230へ電流を運ぶように構成されている。物体がまったく存在しない場合には、ノード226における静電結合はほとんど一定のままである。指などの物体232がノード226の近くに置かれると、静電結合はノード226の変化を通じて変化する。物体232は実質的に電界の一部を押しのけ、それによって、ノード226の全体にわたって放射される電荷は少なくなる。静電結合における変化は感知ライン224によって運ばれている電流に変化を及ぼす。容量感知回路230は、電流の変化と、その電流の変化が生じたノード226の位置とに注目し、その情報をそのまま、あるいは何らかの処理を経た形でホスト・コントローラへ報告する。容量感知回路は、マルチポイントの感知を提供するために、それぞれのノード226に関して(ユーザから見て)ほぼ同時にこれを行う。
【0071】
例えば、行と列のラインの表面積がその他のラインと比べて広いことや、グラウンド電位におけるシステム筐体によって、寄生容量237が生じる可能性があるが、感知ライン224はこの寄生容量237を除去するためのフィルタ236を含む。一般的には、このフィルタは浮遊容量の影響を排除し、それによって、ノード226の全体にわたって移動する電荷のきれいな表示が出力される(そしてそれには、不要なものは何も付加されていない)。すなわちフィルタ236は、寄生容量の影響は受けずにノード226における静電容量の影響を受ける出力を生成する。その結果、より正確な出力が生成される。
【0072】
図13は、本発明の一実施形態による反転増幅器240を示す図である。一般に反転増幅器240は、図12に示されているフィルタ236に相当する。図示されているように、反転増幅器は、一定の電圧(この場合はグラウンド)に維持されている非反転入力と、ノードへ結合されている反転入力と、容量感知回路230へ結合されている出力とを含む。この出力は、キャパシタを通じて反転入力へ再び結合されている。操作中には、ノードからの入力は、浮遊容量の影響、すなわち寄生容量によって乱される可能性がある。その場合には、反転増幅器は入力を駆動して、その刺激の前と同じ電圧へ戻すように構成されている。そのようなものとして、寄生容量の値は問題にならない。
【0073】
図14は、本発明の一実施形態による容量感知回路260を示すブロック図である。容量感知回路260は例えば前の各図に記載されている容量感知回路に相当する。容量感知回路260は複数の感知ポイント262(電極、ノードなど)から入力データを受け取って、そのデータを処理し、処理したデータをホスト・コントローラへ出力するように構成されている。
【0074】
感知回路260はマルチプレクサ(MUX)264を含む。マルチプレクサ264は時分割を実行するように構成されているスイッチである。図示されているように、MUX264は、感知ポイント262のそれぞれからの信号を同時に受け取るための複数の独立した入力チャネル266を含む。MUX264は入力信号をすべて同時に保存し、その一方で出力チャネル268を通じてそれらの入力信号を一度に1つずつ順番に放つ。
【0075】
感知回路260はまた、アナログ・ディジタル変換器(ADC)270を含み、このADC270は出力チャネル268を通じてMUX264へ動作可能に結合されている。ADC270は入力アナログ信号を一度に1つずつ順番にデジタル化するように構成されている。すなわちADC270は入力アナログ信号のそれぞれを出力デジタル信号へ変換する。一般にADC270への入力は理論的には無限の数の値を有する電圧に相当する。電圧は、感知ポイント262のそれぞれにおける静電結合の量によって様々である。その一方で、ADC270への出力は、確定した数の状態を有する。一般にこれらの状態は、予想可能な正確な電圧や電流を有する。
【0076】
感知回路260はまた、デジタル信号プロセッサ(DSP)272を含み、このDSP272は、別のチャネル274を通じてADC270へ動作可能に結合されている。DSP272は、プログラム可能なコンピュータ処理装置であり、高速の数学的処理を介してデジタル信号を明確化したり標準化したりするように機能する。人間の作り出す信号は秩序とノイズを有し、本質的に混沌としたものであるが、DSP274はこうした人間の作り出す信号どうしを識別することができる。ほとんどの場合、DSPは未加工のデータを用いてフィルタリングや変換アルゴリズムを実行する。例えばDSPはノイズの事象を未加工のデータからフィルタで除去し、タッチ・スクリーン上で同時に生じるそれぞれの接触に関する接触境界を計算し、次いでそれぞれの接触事象に関する座標を決定することができる。そして接触事象の座標はホスト・コントローラへ報告され、コントローラは接触事象の以前の座標と比較して、ホスト・デバイス内でどんなアクションを実行すべきかを決定する。
【0077】
図15は、本発明の一実施形態による流れ図280である。この方法は、一般にブロック282において開始し、このブロック282では、複数の感知ポイントが駆動される。例えば、電圧が自己静電容量式のタッチ・スクリーン内の電極に、または相互静電容量式のタッチ・スクリーン内の駆動ラインを通じて印加される。後者の場合、それぞれの駆動ラインは別々に駆動される。すなわち駆動ラインは、一度に1本ずつ駆動され、それによって、交差するすべての感知ライン上で電荷が生成される。ブロック282に続いて、処理の流れはブロック284へ進み、このブロック284では、すべての感知ポイントからの出力(電圧)が読み取られる。このブロックは、出力を多重化し、デジタル化するステップを含む。例えば相互静電容量式のタッチ・スクリーンでは、1つの行の上のすべての感知ポイントが多重化され、デジタル化される。これは、すべての行がサンプリングされるまで繰り返される。ブロック284に続いて、処理の流れはブロック286へ進み、このブロック286では、1つの時点におけるタッチ・スクリーンの平面のイメージやその他の形態のデータ(1つまたは複数の信号)を生成し、次いでそれらを分析して、物体がタッチ・スクリーンのどこに接触しているかを判定することができる。例えば、それぞれの個別の接触に関する境界を計算することができ、次いでその座標を決定することができる。ブロック286に続いて、処理の流れはブロック288へ進み、このブロック288では、タッチ・スクリーンの平面上のそれぞれの物体に関する圧力、位置、方向、速度、加速度における変化を判定するために、現在のイメージや信号が、過去のイメージや信号と比較される。次いで、ブロック290に示されているように、この情報を使用して、例えばポインタまたはカーソルを動かすこと、選択を行うことなどのアクションを実行することができる。
【0078】
図16は、本発明の一実施形態によるデジタル信号の処理方法300を示す流れ図である。例えば、一般にこの方法は、図15に表示され、説明されているブロック286に対応する。この方法300は、一般にブロック302において開始し、このブロック302では、未加工のデータが受け取られる。この未加工のデータは、通常はデジタル化された形態であり、タッチ・スクリーンのそれぞれのノードに関する値を含む。これらの値は、0〜256とすることができ、0は、最も高い静電結合(接触圧力なし)に相当し、256は、最小の静電結合(最大の接触圧力)に相当する。1つの時点における未加工のデータの一例が、図17Aに示されている。図17Aに示されているように、それぞれのポイントに関する値はグレー・スケールで提供され、最小の静電結合を伴うポイントは白で表示され、最も高い静電結合を伴うポイントは黒で表示され、最小の静電結合と最も高い静電結合の間に見られるポイントはグレーで表示される。
【0079】
ブロック302に続いて、処理の流れはブロック304へ進み、このブロック304では、未加工のデータがフィルタにかけられる。未加工のデータは、通常は何らかのノイズを含むということが理解できるはずである。このフィルタリング・プロセスは、ノイズを削減するように構成されている。例えば、他のポイントと連続していないポイントを除去するノイズ・アルゴリズムを実行することができる。単独のポイント、すなわち連続していないポイントは、一般にノイズを表し、その一方で、複数の連続しているポイントは、一般に1つまたは複数の接触領域、すなわち物体によって接触されているタッチ・スクリーンの領域を表す。フィルタにかけられたデータの一例が図17Bに示されている。図示されているように、単独で散在している各ポイントが除去され、それによって、いくつかの集中したエリアが残る。
【0080】
ブロック304に続いて、処理の流れはブロック306へ進み、このブロック306では、勾配データが生成される。勾配データは連続しているポイントのそれぞれのグループのトポロジを表す。トポロジは通常はそれぞれのポイントに関する容量の値に基づく。最も低い値を有するポイントは勾配が急であり、その一方で最も高い値を有するポイントは浅い。急勾配のポイントはより大きな圧力によって生じた接触ポイントを表し、その一方で浅いポイントはより低い圧力によって生じた接触ポイントを表すということが理解できるはずである。勾配データの一例が図17Cに示されている。
【0081】
ブロック306に続いて、処理の流れはブロック308へ進み、このブロック308では、接触領域に関する境界が勾配データに基づいて計算される。一般に、どのポイントどうしが各グループにまとめられてそれぞれの接触領域を形成しているかが判定される。接触領域の一例が、図17Dに示されている。
【0082】
一実施形態においては、境界は分水界アルゴリズム(watershed algorithm)を用いて決定される。一般にこのアルゴリズムは、イメージのセグメント化を実行する。すなわち、1つのイメージを別々の領域へ、例えばタッチスクリーンに接触している複数の物体の接触領域へと分割する。分水界というコンセプトは、はじめは地理学、より詳細には地形学の領域から来たものであり、起伏の上に落ちる水滴は下降する経路を辿り、ついには最低限度に達し、分水界は水滴を引き込む領域の分割ラインである。ここでは、分水界のラインはタッチ・スクリーンに接触している別々の物体を最良のポイントで分割するピクセルの位置を表している。分水界アルゴリズムは広範囲にわたる様々なものとすることができる。特定の一実装形態においては、分水界アルゴリズムは(それぞれのポイントの大きさに基づいて)低い各ポイントから1つの最高ポイントへの経路を形成するステップと、その最高ポイントを、特定の接触領域を表すIDラベルとして区分するステップと、その経路上のそれぞれのポイント(ピクセル)をその最高ポイントに関連付けるステップとを含む。これらのステップは、イメージ・マップの全体にわたって実行され、したがって、タッチスクリーンに接触しているそれぞれの物体に関連する接触領域が浮き彫りになる。
【0083】
ブロック308に続いて、処理の流れはブロック310へ進み、このブロック310では、接触領域のそれぞれに関する座標が計算される。これは、それぞれの接触領域に関連付けられている未加工のデータを用いて重心の計算を実行することによって達成することができる。例えば接触領域が決定されると、そこに関連付けられている未加工のデータを使用して、接触領域の重心を計算することができる。重心は、接触領域の中心の座標を表すことができる。例えばXの重心とYの重心は下記の式を用いて求めることができる。
Xc=ΣZ*x/ΣZ、
Yc=ΣZ*y/ΣZ、
ここでは、Xcは接触領域のxの重心を表し、
Ycは接触領域のyの重心を表し、
xは接触領域内のそれぞれのピクセルすなわちポイントのx座標を表し、
yは接触領域内のそれぞれのピクセルすなわちポイントのy座標を表し、
Zはそれぞれのピクセルすなわちポイントにおける大きさ(静電容量の値)を表す。
【0084】
接触領域に関する重心計算の一例が図17Eに示されている。図示されているように、それぞれの接触領域は、別々のx、y座標を表している。これらの座標を使用して、ブロック312に示されているようにマルチポイントの探知を実行することができる。例えば接触領域のそれぞれに関する座標を、接触領域の以前の座標と比較して、タッチ・スクリーンに接触している物体の位置の変化、または接触している物体の数が増えたか否か、減ったか否か、あるいは特定の物体が触れているかどうかについて判断することができる。
【0085】
図18、図19は、本発明の複数の実施形態による電子デバイス350を示す側面図である。電子デバイス350は、LCDディスプレイ352と、そのLCDディスプレイ352の上に配置されている透明なタッチ・スクリーン354とを含む。タッチ・スクリーン354は、保護シート356と、1つまたは複数の感知層358と、底面のガラス部材360とを含む。この実施形態においては、底面のガラス部材360はLCDディスプレイ352の前面のガラスである。さらに感知層358は、上述のように、自己静電容量または相互静電容量のいずれかに対して構成させることができる。一般に感知層358は、感知層358を感知回路(図示せず)へ結合するための複数の相互接続をタッチ・スクリーンの縁部に含む。例えば感知層358は、タッチ・スクリーン354の側部に取り付けられている1つまたは複数のフレックス回路362を通じて感知回路へ電気的に結合することができる。
【0086】
図示されているように、LCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354は、筐体364内に配置されている。筐体364は、これらのコンポーネントを電子デバイス350内のそれらの組み立てられた位置において覆って支持する役割を果たす。筐体364は、LCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354とを配置するためのスペースと開口部366を提供し、これによって、筐体364を通してディスプレイ・スクリーンを見ることができる。一実施形態においては、図18に示されているように、筐体364は、LCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354の側部を覆うための外面370を含む。あまり詳細には図示されていないが、外面370は、LCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354の全外周のまわりに配置されている。外面370は、相互接続を隠してLCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354のアクティブなエリアのみを視界に残す役割を果たす。
【0087】
別の実施形態においては、図19に示されているように、筐体364は、外面370ではなくマスク372を含み、このマスク372は、筐体364の側部の間に延びるタッチ・スクリーン354の上面のガラス374の内側部分に印刷される。この特定の構成によって、マスク372は上面のガラス356内に沈んでいるように見える。マスク372は外面370と同じ機能を果たすが、より洗練されたソリューションである。一実装形態においては、マスク372は高温の黒いポリマーから形成される。図19に示されている実施形態においては、タッチ・スクリーン354は、相互静電容量の感知に基づいており、したがって感知層358は、駆動ライン376と感知ライン378を含む。駆動ライン376は上面のガラス356とマスク372の上に配置されており、感知ライン378は底面のガラス360の上に配置されている。駆動ライン376と感知ライン378はスペーサ380を介して互いに絶縁されている。スペーサ380は例えば光学的に整合する材料を内部に保有するかまたは塗布された透明なプラスチック片とすることができる。
【0088】
一実施形態においては、図18と図19の双方を参照すると、電子デバイス350は、タブレット・コンピュータに相当する。この実施形態においては、筐体364はタブレット・コンピュータのためのコンピューティング・オペレーションを提供する様々な集積回路チップやその他の回路382を収納している。例えば、それらの集積回路チップとその他の回路としては、マイクロプロセッサ、マザーボード、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random−Access Memory)、ハード・ドライブ、ディスク・ドライブ、バッテリー、様々な入力/出力サポート・デバイスを含むことができる。
【0089】
いくつかの好ましい実施形態の観点から本発明について説明したが、本発明の範囲内に収まる変更、置換、均等物が存在する。例えばこのタッチ・スクリーンは、主として容量感知を対象としたが、本明細書に記載されている特徴の一部またはすべては、その他の感知方法に適用することもできるという点に留意されたい。本発明の方法と装置を実装する多くの代替方法が存在するという点にも留意されたい。したがって添付の特許請求の範囲は、本発明の真正な趣旨および範囲内に収まる変更、置換、および均等物をすべて含むものとして解釈されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】従来のタッチ・スクリーンを手に持っているユーザを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による特定の時点におけるタッチ・スクリーンの平面のイメージを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による複数ポイントへの接触に関する方法を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるコンピュータ・システムのブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による透明な複数ポイント・タッチ・スクリーンを示す部分平面図である。
【図7】本発明の一実施形態による透明なマルチ・ポイント・タッチ・スクリーンを示す部分平面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の断面を示す正面図である。
【図9】本発明の別の実施形態による透明なマルチポイント・タッチ・スクリーンを示す平面図である。
【図10】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の断面を示す部分正面図である。
【図11】一実施形態による駆動層および感知層を示す部分平面図である。
【図12】本発明の一実施形態による相互静電容量回路を示す略図である。
【図13】本発明の一実施形態による電荷増幅器を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態による容量感知回路を示すブロック図である。
【図15】本発明の一実施形態による流れ図である。
【図16】本発明の一実施形態によるデジタル信号の処理方法を示す流れ図である。
【図17】本発明の一実施形態によるいくつかのステップにおける接触データを示す図である。
【図18】本発明の一実施形態による電子デバイスを示す側面図である。
【図19】本発明の一実施形態による電子デバイスを示す側面図である。
【技法分野】
【0001】
本発明は、一般には、タッチ・スクリーンを有する電子デバイスに関する。より詳細には、複数のポイントを同時に感知できるタッチ・スクリーンに関する。
【背景技法】
【0002】
現在、コンピュータ・システム内でオペレーションを実行するための多くのスタイルの入力デバイスが存在する。一般にこれらのオペレーションは、ディスプレイ・スクリーン上でカーソルを動かすこと、および/または選択を行うことに相当する。例えば入力デバイスとしては、ボタンまたはキー、マウス、トラックボール、タッチ・パッド、ジョイ・スティック、タッチ・スクリーンなどを含むことができる。とりわけタッチ・スクリーンは、その操作が容易で用途が幅広く、ならびに価格が安くなってきているため、ますます普及してきている。タッチ・スクリーンによって、ユーザは、指またはスタイラスを介してディスプレイ・スクリーンに触れるだけで、選択を行ったりカーソルを動かすことができる。一般にタッチ・スクリーンは、ディスプレイ・スクリーン上の接触とその接触の位置を認識し、コンピュータ・システムがその接触を解釈し、次いで接触の事象に基づいてアクションを実行する。
【0003】
タッチ・スクリーンは通常、タッチ・パネル、コントローラ、ソフトウェア・ドライバを含む。タッチ・パネルは、接触感知面を備えた透明のパネルである。タッチ・パネルは、接触感知面がディスプレイ・スクリーンのうちの見えるエリアを覆うように、ディスプレイ・スクリーンの前に配置される。タッチ・パネルは、接触の事象を登録し、これらの信号をコントローラへ送る。コントローラは、これらの信号を処理し、そのデータをコンピュータ・システムへ送る。ソフトウェア・ドライバは、接触の事象をコンピュータの事象へ変換する。
【0004】
抵抗式、容量式、赤外線式、表面弾性波式、電磁式、近接場イメージング式などを含むいくつかのタイプのタッチ・スクリーン技術がある。これらのデバイスのそれぞれには、有利な点と不利な点があり、それらは、タッチ・スクリーンの設計や構成を行う際に考慮される。抵抗式の技術では、タッチ・パネルは、薄い金属製の導電性の抵抗層でコーティングされている。パネルに触れると層どうしが接触し、これによって、接触事象の位置を登録するスイッチが閉じる。この情報はさらなる処理のためにコントローラへ送られる。容量式の技術では、タッチ・パネルは、電荷を蓄える材料でコーティングされている。パネルに触れると、少量の電荷が接触ポイントへ引き寄せられる。パネルのそれぞれの隅に配置されている回路が電荷を測定し、その情報を処理のためにコントローラへ送る。
【0005】
表面弾性波式の技術では、超音波が、例えばトランスデューサによって、タッチ・スクリーン・パネルの全面にわたって縦横に射出される。パネルに触れると、超音波の音響エネルギーが吸収される。トランスデューサの向かい側に配置されているセンサが、この変化を検知し、その情報を処理のためにコントローラへ送る。赤外線式の技術では、光のビームが、例えば発光ダイオードによって、タッチ・パネルの全面にわたって縦横に射出される。パネルに触れると、発光ダイオードから射出されている光のビームの一部が遮断される。発光ダイオードの向かい側に配置されている光検出器が、この変化を検知し、この情報を処理のためにコントローラへ送る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの技術のすべてに見受けられる1つの問題は、たとえ感知面上に複数の物体が置かれている場合でも単一のポイントを報告することしかできないことである。すなわち、複数の接触ポイントを同時に探知することができないのである。抵抗式と容量式の技術では、同時に生じるすべての接触ポイントの平均が決定され、接触ポイントどうしの間のどこかにある単一のポイントが報告される。表面波式と赤外線式の技術では、マスキングのために、同じ横または縦のライン上にある複数の接触ポイントの正確な位置を識別することはできない。いずれの場合も、誤った結果がもたらされる。
【0007】
これらの問題は、タブレットPCにおいて特に問題であり、タブレットPCでは、一方の手を使用してタブレットを持ち、他方の手を使用して接触事象が生み出される。例えば図1A、図1Bに示されているように、タブレット2を手に持つと、親指3が、タッチ・スクリーン5の接触感知面4の縁部と重なる。図1Aに示されているように、タッチ・技術が、抵抗式のパネルや容量式のパネルによって使用される平均化の技法を使用している場合には、左手の親指3と右手の人差し指6の間のどこかにある単一のポイントが報告される。図1Bに示されているように、技術が、赤外線式のパネルやSAW式のパネルによって使用される射出走査の技法を使用している場合には、親指3の大きな縦の構成要素のために、人差し指6の正確な縦の位置を識別することが困難になる。タブレット2は、グレーで表示されるパッチを分割することしかできない。実質的に親指3は、人差し指6の縦の位置を覆い隠してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一実施態様においては、透明な容量感知媒体を有するタッチ・パネルであって、そのタッチ・パネルの平面内の別々の位置で同時に生じる複数の接触または接触に近い状態を検知するように、およびそれらの複数の接触のそれぞれに関してタッチ・パネルの平面上におけるそれらの接触の位置を表す別々の信号を生成するように構成されているタッチ・パネルに関する。
【0009】
本発明は、別の実施態様においては、ディスプレイ装置に関する。このディスプレイ装置は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを表示するためのスクリーンを有するディスプレイを含む。このディスプレイ装置は、スクリーンを見ることができる透明なタッチ・パネルであって、タッチ・スクリーンの接触感知面上の別々の位置で同時に生じる複数の接触事象を認識することができ、その情報をホスト・デバイスへ出力するタッチ・パネルをさらに含む。
【0010】
本発明は、別の実施態様においては、コンピュータによって実施される方法に関する。この方法は、透明なタッチ・スクリーンの表面上で複数の接触を同時に受けるステップを含む。この方法は、それらの複数の接触のそれぞれを別々に認識するステップを含む。この方法は、認識した複数の接触に基づいて接触データを報告するステップをさらに含む。
【0011】
本発明は、別の実施態様においては、コンピュータ・システムに関する。このコンピュータ・システムは、命令を実行するように、およびこのコンピュータ・システムに関連付けられているオペレーションを実行するように構成されているプロセッサを含む。このコンピュータは、プロセッサへ動作可能に結合されているディスプレイ・デバイスを含む。このコンピュータ・システムは、プロセッサへ動作可能に結合されているタッチ・スクリーンをさらに含む。このタッチ・スクリーンは、ディスプレイの前に配置されている実質的に透明なパネルである。このタッチ・スクリーンは、このタッチ・スクリーン上に載っている複数の物体、このタッチ・スクリーン上に触れる複数の物体、あるいはこのタッチ・スクリーン上を移動する複数の物体を同時に探知するように構成されている。このタッチ・スクリーンは、容量感知デバイスを含み、この容量感知デバイスは、いくつかの独立した空間的に別々の感知ポイントへと分割されており、タッチ・スクリーンの平面の全体にわたって配置されている。それぞれの感知ポイントは、1つの信号を同時に生成することができる。このタッチ・スクリーンはまた、感知回路を含み、この感知回路は、感知デバイスからデータを入手し、その入手したデータをプロセッサに提供する。
【0012】
本発明は、別の実施態様においては、タッチ・スクリーンについての方法に関する。この方法は、複数の感知ポイントを駆動するステップを含む。この方法はまた、それらの感知ポイントに接続されているすべての感知ラインからの出力を読み取るステップを含む。この方法は、物体がタッチ・スクリーンのどこに接触しているかを判定するために1つの時点におけるタッチ・スクリーンの平面のイメージを作成して分析するステップをさらに含む。この方法は、タッチ・スクリーンに接触している物体における変化を判定するために現在のイメージを過去のイメージと比較するステップをさらに含む。
【0013】
本発明は、別の実施態様においては、デジタル信号の処理方法に関する。この方法は、未加工のデータを受け取るステップを含む。この未加工のデータは、タッチ・スクリーンのそれぞれの透明な容量感知ノードに関する値を含む。この方法はまた、未加工のデータをフィルタにかけるステップを含む。この方法は、勾配データを生成するステップをさらに含む。この方法は、勾配データに基づいて接触領域に関する境界を計算するステップをさらに含む。さらにこの方法は、それぞれの接触領域に関する座標を計算するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明については、以降の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによって、容易に理解できるであろう。添付の図面においては、同様の参照番号は、同様の構造要素を指している。
【0015】
以降で図2〜図19を参照して、本発明の実施形態について論じる。しかし、ここでこれらの図を参照して与えられる詳細な説明は、説明のためのものであり、本発明は、これらの限られた実施形態を超えるものであるということを当業者なら容易に理解できるであろう。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置30を示す斜視図である。ディスプレイ装置30は、ディスプレイ34と、ディスプレイ34の前に配置されている透明なタッチ・スクリーン36とを含む。ディスプレイ34は、おそらくはポインタまたはカーソルと、ユーザへのその他の情報とを含むグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を表示するように構成されている。その一方で、透明なタッチ・スクリーン36は、ユーザの接触を感知する入力デバイスであり、これによってユーザは、ディスプレイ34上のグラフィカル・ユーザ・インターフェースと対話することができる。例えばタッチ・スクリーン36は、ユーザが、ディスプレイ34上のグラフィカル・ユーザ・インターフェースに触れるだけで、そのGUI上で入力ポインタを動かしたり、選択することができる。
【0017】
一般にタッチ・スクリーン36は、タッチ・スクリーン36の表面38での接触事象を認識し、次いでこの情報をホスト・デバイスへ出力する。ホスト・デバイスは、例えばデスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピュータ、タブレット・コンピュータなどのコンピュータに相当する。ホスト・デバイスは、接触事象を解釈し、次いでその接触事象に基づいてアクションを実行する。従来、タッチ・スクリーンは、たとえ複数のポイントを同時に触れられている場合でも、単一の接触事象を認識することしかできなかった(例えば平均化、マスキングなど)。しかし、ここで示されているタッチ・スクリーン36は、従来のタッチ・スクリーンとは異なり、タッチ・スクリーン36の接触感知面38上の別々の場所で同時に生じる複数の接触事象を認識するように構成されている。つまり、タッチ・スクリーン36によって、複数の接触ポイントT1〜T4を同時に探知することができる。すなわち、4つの物体がタッチ・スクリーンに触れている場合には、タッチ・スクリーンは4つの物体をすべて探知する。図示されているように、タッチ・スクリーン36は、タッチ・スクリーン36の表面上で同時に生じるそれぞれの接触ポイントT1〜T4に関する別々の探知信号S1〜S4を生成する。認識できる接触の数は、約15とすることができる。15個の接触ポイントによって、すべての指用として10個、両方の手のひら用として2個、その他用として3個の接触ポイントが可能となる。
【0018】
複数の接触事象を別々に、あるいは共に使用して、ホスト・デバイス内において単一の、あるいは複数のアクションを実行することができる。別々に使用する場合には、第1のアクションを実行するために第1の接触事象を使用することができ、その一方で、第1のアクションとは異なる第2のアクションを実行するために第2の接触事象を使用することができる。これらのアクションとしては、例えばカーソルまたはポインタなどの物体を動かすこと、スクロールまたはパンを行うこと、コントロールの設定を調整すること、ファイルまたはドキュメントを開くこと、メニューを表示すること、選択を行うこと、命令を実行すること、ホスト・デバイスに接続されている周辺デバイスを操作することなどを含む。共に使用する場合には、1つの特定のアクションを実行するために、第1の接触事象と第2の接触事象を使用することができる。この特定のアクションとしては、例えばコンピュータまたはコンピュータ・ネットワークにログオンすること、権限のある個人にコンピュータまたはコンピュータ・ネットワークのアクセス禁止エリアへのアクセスを認めること、コンピュータのデスクトップに関するユーザの好みの配置に関連付けられているユーザ・プロファイルをロードすること、ウェブ・コンテンツへのアクセスを認めること、特定のプログラムを起動すること、メッセージの暗号化や復号を行うことなどを含むことができる。
【0019】
複数の接触事象を認識することは、一般にマルチポイント感知装置を用いて達成される。マルチポイント感知装置は、タッチ・スクリーン36の接触感知面38の全面にわたって別々のポイントで複数の接触とそれらの接触の大きさを同時に検知し、モニタすることができる。一般にマルチポイント感知装置は、複数の透明なセンサ座標またはノード42を提供し、これらは、互いに独立して機能し、タッチ・スクリーン36上の別々のポイントを表す。複数の物体がタッチ・スクリーン36に押し当てられると、1つまたは複数のセンサ座標が、それぞれの接触ポイント、例えば接触ポイントT1〜T4に関してアクティブになる。それぞれの接触ポイントT1〜T4に関連付けられているセンサ座標42は、探知信号S1〜S4を生成する。
【0020】
一実施形態においては、タッチ・スクリーン36は、複数の静電容量感知ノード42を含む。これらの容量感知ノードは、広範囲にわたる様々なものとすることができる。例えば容量感知ノードは、自己静電容量または相互静電容量に基づく。自己静電容量では、単一の電極の「自己」静電容量が、例えばグラウンドに対して測定される。相互静電容量では、少なくとも第1の電極と第2の電極の間における相互静電容量が測定される。いずれの場合も、ノード42のそれぞれは、タッチ・スクリーン36上の別々のポイントを表す同時に生じる信号を生成するために、他のノード42から独立して機能する。
【0021】
透明なタッチ・スクリーン36を作成するために、静電容量感知ノード42は、インジウム錫酸化物(ITO)などの透明な導電媒体を用いて形成される。自己静電容量感知装置では、透明な導電媒体は、空間的に分離された電極とトレースへパターニングされる。電極のそれぞれは、別々の座標を表し、トレースは、電極を容量感知回路へ接続する。これらの座標は、デカルト座標系(xおよびy)、極座標系(r、θ)、あるいはその他の何らかの座標系に関連付けられる。デカルト座標系では、電極を列と行の状態で配置して、それぞれの電極が別々のx、y座標を表すグリッド・アレイを形成する。操作中に、容量感知回路は、電極のそれぞれにおいて生じる静電容量の変化をモニタする。複数の接触事象を認識する上で役立てるために、変化が生じている位置と、それらの変化の大きさとが使用される。通常、静電容量の変化が電極において生じるのは、ユーザが指などの物体を電極のすぐそばに置いたとき、すなわちその物体が電荷を奪い、それによって静電容量が影響を受けたときである。
【0022】
相互静電容量では、透明な導電媒体は、2つの異なる層の上に形成される空間的に分離されたラインのグループへとパターニングされる。駆動ラインが第1の層の上に形成され、感知ラインが第2の層の上に形成される。別々の層の上にあることによって分離されているが、感知ラインは、駆動ラインを横断し、駆動ラインと交差し、あるいは駆動ラインを横切り、それによって静電結合ノードを形成する。一般に、感知ラインが駆動ラインを横切る方法は、使用される座標系によって異なる。例えばデカルト座標系では、感知ラインは、駆動ラインに対して垂直であり、それによって、別々のx座標とy座標を有するノードを形成する。あるいは極座標系では、感知ラインは、同心円にすることができ、駆動ラインは、放射状に延びるラインにすることができる(または、その逆も可能である)。駆動ラインは電源に接続され、感知ラインは容量感知回路に接続される。操作中に、電流は、一度に1本の駆動ラインを通って駆動され、静電結合のために、その電流は、ノード(例えば交点)のそれぞれにおける感知ラインまで運ばれる。さらに感知回路は、ノードのそれぞれにおいて生じる静電容量の変化をモニタする。複数の接触事象を認識する上で役立てるために、変化が生じている位置と、それらの変化の大きさとが使用される。通常、静電容量の変化が静電結合ノードにおいて生じるのは、ユーザが指などの物体を静電結合ノードのすぐそばに置いたとき、すなわちその物体が電荷を奪い、それによって静電容量が影響を受けたときである。
【0023】
一例として、タッチ・スクリーン36のノード42において生成される信号を使用して、特定の時点におけるタッチ・スクリーンの平面のイメージを生成することができる。図3を参照すると、タッチ・スクリーン36の接触感知面38と接触するそれぞれの物体は、接触パッチ・エリア44を形成する。接触パッチ・エリア44のそれぞれは、いくつかのノード42を覆っている。覆われているノード42は、表面の接触を検知し、その一方で残りのノード42は、表面の接触を検知しない。結果として、タッチ・スクリーンの平面のピクセル化された・イメージを形成することができる。それぞれの接触パッチ・エリア44に関する信号を各グループにまとめて、接触パッチ・エリア44を表す個々のイメージを形成することができる。それぞれの接触パッチ・エリア44のイメージは、それぞれのポイントにおける圧力に基づいて高いポイントや低いポイントを含む。イメージの形状とともにイメージ内の高いポイントと低いポイントを使用して、互いのすぐそばにある接触パッチ・エリア44どうしを区別することができる。さらに、現在のイメージ、より詳細にはそれぞれの接触パッチ・エリア44のイメージを以前のイメージと比較して、ホスト・デバイス内でどのアクションを実行すべきかを決定することができる。
【0024】
再び図2を参照すると、ディスプレイ装置30は、スタンド・アロンのユニットでもよく、あるいはその他のデバイスと統合されてもよい。スタンド・アロンの場合には、ディスプレイ装置32は(あるいは、そのコンポーネントのそれぞれは)、周辺デバイス(モニタ)のように機能し、自分自身の筐体を含み、有線接続や無線接続を通じてホスト・デバイスに結合される。統合する場合には、ディスプレイ装置30は、1つの筐体を共有し、ホスト・デバイスに配線で接続され、それによって単一のユニットを形成する。例えばディスプレイ装置30は様々なホスト・デバイスの内部に配置される。それらのホスト・デバイスとしては、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータなどの汎用コンピュータ、PDAなどの手持ちサイズのコンピュータ、および音楽プレーヤなどのメディア・プレーヤ、あるいはカメラやプリンタなどの周辺デバイスが含まれるが、これらには限定されない。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態による複数ポイントへの接触に関する方法45である。この方法は、一般にブロック46において開始し、このブロック46では、タッチ・スクリーンの表面上で同時に複数の接触を受ける。これは、例えばタッチ・スクリーンの表面上に複数の指を置くことによって達成される。ブロック46に続いて、処理の流れはブロック47へ進み、このブロック47では、複数の接触のそれぞれが、タッチ・スクリーンによって別々に認識される。これは、例えばタッチ・スクリーン内に配置されたマルチポイント静電容量センサによって達成される。ブロック47に続いて、処理の流れはブロック48へ進み、このブロック48では、複数の接触に基づく接触データが報告される。この接触データは、例えば汎用コンピュータなどのホスト・デバイスへ報告される。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態によるコンピュータ・システム50を示すブロック図である。コンピュータ・システム50は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピュータなどのパーソナル・コンピュータ・システムに相当する。例えば、このコンピュータ・システムは、任意のAppleあるいはPCベースのコンピュータ・システムに相当する。このコンピュータ・システムは、インフォメーション・センタ、自動テラーマシン(ATM)、販売時点情報管理マシン(POS)、産業機械、ゲームマシン、業務用ゲームマシン、自動販売機、航空券用電子端末、レストラン予約端末、顧客サービス・ステーション、図書館用端末、学習用デバイスなどの公共のコンピュータ・システムに相当する。
【0027】
図示されているように、コンピュータ・システム50はプロセッサ56を含み、このプロセッサ56は、命令を実行するように、またコンピュータ・システム50に関連付けられているオペレーションを実行するように構成されている。例えばプロセッサ56は、例えばメモリから検索される命令を使用して、コンピューティング・システム50のコンポーネントどうしの間における入力データと出力データの受け取りや操作をコントロールすることができる。プロセッサ56は、シングルチップ・プロセッサとすることもでき、あるいは複数のコンポーネントと共に実装することもできる。
【0028】
ほとんどの場合、プロセッサ56は、オペレーティング・システムと共にコンピュータ・コードを実行し、データを作成して使用するように機能する。コンピュータ・コードとデータは、プログラム・ストレージ・ブロック58内に存在し、このプログラム・ストレージ・ブロック58は、プロセッサ56へ動作可能に結合されている。一般にプログラム・ストレージ・ブロック58は、コンピュータ・システム50によって使用されているデータを保持するための場所を提供する。例えばプログラム・ストレージ・ブロックは、リードオンリメモリ(ROM)60、ランダムアクセスメモリ(RAM)62、ハード・ディスク・ドライブ64などを含むことができる。コンピュータ・コードとデータは、取り外し可能なストレージ・メディアに存在することもでき、必要とされるときにコンピュータ・システムにロードしたりインストールしたりすることができる。取り外し可能なストレージ・メディアとしては、例えばCD−ROM、PCカード、フロッピー(登録商標)・ディスク、磁気テープ、ネットワーク・コンポーネントが含まれる。
【0029】
コンピュータ・システム50はまた、入出力(I/O)コントローラ66を含み、このI/Oコントローラ66は、プロセッサ56へ動作可能に結合されている。I/Oコントローラ66は、プロセッサ56と統合することもでき、あるいは図示されているように別個のコンポーネントとすることもできる。一般にI/Oコントローラ66は、1つまたは複数のI/Oデバイスとの対話をコントロールするように構成されている。一般にI/Oコントローラ66は、プロセッサと、そのプロセッサと通信することを希望するI/Oデバイスとの間でデータをやり取りすることによって動作する。I/OデバイスとI/Oコントローラは、通常はデータ・リンク67を通じて通信する。データ・リンク67は、一方向のリンクあるいは双方向のリンクとすることができる。場合によっては、I/Oデバイスは有線接続を通じてI/Oコントローラ66に接続されてもよい。場合によっては、I/Oデバイスは、無線接続を通じてI/Oコントローラ66に接続されてもよい。例えばデータ・リンク67は、PS/2、USB、Firewire、IR、RF、Bluetoothなどに相当することができる。
【0030】
コンピュータ・システム50はまた、ディスプレイ・デバイス68を含み、このディスプレイ・デバイス68は、プロセッサ56へ動作可能に結合されている。ディスプレイ・デバイス68は、別個のコンポーネント(周辺デバイス)とすることもでき、あるいはプロセッサやプログラム・ストレージと統合して、1つのデスクトップ・コンピュータ(オール・イン・ワンのマシン)、ラップトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピュータ、タブレット・コンピュータなどを形成することもできる。ディスプレイ・デバイス68は、おそらくはポインタまたはカーソルと、ユーザへのその他の情報とを含むGUIを表示するように構成されている。例えばディスプレイ・デバイス68は、モノクロ・ディスプレイ、からー・グラフィック・アダプタ(CGA)ディスプレイ、エンハンスト・グラフィック・アダプタ(EGA)ディスプレイ、バリアぶるグラフィックアレイ(VGA)ディスプレイ、スーパーVGAディスプレイ、液晶ディスプレイ(例えばアクティブ・マトリックス、パッシブ・マトリックスなど)、CRT、プラズマ・ディスプレイなどとすることができる。
【0031】
コンピュータ・システム50はまた、タッチ・スクリーン70を含み、このタッチ・スクリーン70は、プロセッサ56へ動作可能に結合されている。タッチ・スクリーン70は、透明なパネルであり、ディスプレイ・デバイス68の前に配置されている。タッチ・スクリーン70は、ディスプレイ・デバイス68と統合することもでき、あるいは別個のコンポーネントとすることもできる。タッチ・スクリーン70は、ユーザの接触から入力を受け取り、この情報をプロセッサ56へ送るように構成されている。ほとんどの場合、タッチ・スクリーン70は、その表面上における接触と、その接触の位置と大きさを認識する。タッチ・スクリーン70は、それらの接触をプロセッサ56に報告し、プロセッサ56は、そのプログラミングに従ってそれらの接触を解釈する。例えばプロセッサ56は、特定の接触に従ってあるタスクを開始する。
【0032】
一実施形態によれば、タッチ・スクリーン70は、タッチ・スクリーンの接触感知面上に載っている複数の物体、接触感知面に触れる複数の物体、あるいは接触感知面上を移動する複数の物体を同時に探知することができる。これらの複数の物体は、例えば指や手のひらに相当する。本タッチ・スクリーンは複数の物体を探知できるため、ユーザは、接触によって開始されるいくつかのタスクを同時に実行することができる。例えばユーザは、1本の指でスクリーン上のボタンを選択し、その一方で別の指でカーソルを動かすことができる。さらにユーザは、1本の指でスクロール・バーを動かし、その一方で別の指でメニューからアイテムを選択することができる。さらに、1本の指で第1のオブジェクトをドラッグすることができ、その一方で別の指で第2のオブジェクトをドラッグすることができる。さらに、複数の指でジェスチャーを行うこともできる。
【0033】
詳細に述べると、一般にタッチ・スクリーン70は感知デバイス72を含み、この感知デバイス72は、すぐそばの物体および/または加えられる圧力を検知するように構成されている。感知デバイス72は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。特定の一実施形態においては、感知デバイス72は、いくつかの独立した空間的に別々の感知ポイント、ノード、あるいは領域74へと分割され、タッチ・スクリーン70の全面にわたって配置される。感知ポイント74は、通常は視界から隠されて、タッチ・スクリーン70の周囲に分散され、それぞれの感知ポイント74は、タッチ・スクリーン70の表面(すなわちタッチ・スクリーンの平面)上の別々の位置を表す。感知ポイント74は、グリッドあるいはピクセル・アレイの状態で配置することができ、それぞれのピクセル化された感知ポイント74は1つの信号を同時に生成することができる。最も単純な場合では、1つの物体が1つの感知ポイント74の上に配置されるたびに1つの信号が生成される。1つの物体が複数の感知ポイント74の上に配置される場合や、その物体が複数の感知ポイント74の間や上で動かされる場合には、複数の信号が生成される。
【0034】
感知ポイント74の数と構成は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。感知ポイント74の数は、一般にタッチ・スクリーン70の希望の感度と希望の透明度によって異なる。ノードや感知ポイントが多くなれば、一般に感度は高まるが、透明度は低下する(またノードや感知ポイントが少なくなれば、一般に透明度は高まるが、感度は低下する)。配置に関しては、一般に感知ポイント74は、タッチ・スクリーンの平面をデカルト座標系、極座標系、あるいはその他の何らかの座標系などの座標系へと対応付ける。(図示されているように)デカルト座標系が使用される場合には、感知ポイント74は通常、x座標とy座標に対応する。極座標系が使用される場合には、感知ポイントは通常、動径座標(r)と角座標(θ)に対応する。
【0035】
タッチ・スクリーン70は、感知回路76を含むことができ、この感知回路76は、感知デバイス72からデータを入手し、その入手したデータをプロセッサ56に提供する。あるいは、プロセッサがこの機能を含むこともできる。一実施形態においては、感知回路76が、未加工のデータをプロセッサ56へ送り、それによってプロセッサ56が、その未加工のデータを処理するように構成される。例えばプロセッサ56は、感知回路76からデータを受け取り、次いでそのデータがコンピュータ・システム50内でどのように使用されることになるかを判断する。このデータは、それぞれの感知ポイント74の座標やそれぞれの感知ポイント74に加えられる圧力を含む。別の実施形態においては、感知回路76が、未加工のデータを自分で処理するように構成される。すなわち感知回路76は、感知ポイント74からパルスを読み取り、それらのパルスを、プロセッサ56が理解できるデータに変換する。感知回路76は、フィルタリング・プロセスおよび/または変換プロセスを実行することができる。フィルタリング・プロセスは通常、プロセッサ56が余分なデータや不要なデータによって過負荷にならないように、混み合ったデータ・ストリームを減らすように実施される。変換プロセスは、未加工のデータをプロセッサ56へ送ったり報告したりする前に、それらの未加工のデータを調整するために実施することができる。それらの変換は、それぞれの接触領域の中心点(例えば重心)を決定するステップを含む。
【0036】
感知回路76は、タッチ・スクリーン・プログラムを格納するためのストレージ・エレメントを含み、このタッチ・スクリーン・プログラムは、タッチ・スクリーン70の様々な側面をコントロールする。例えばタッチ・スクリーン・プログラムは、選択された感知ポイント74に基づいてどんなタイプの値を出力すべきか(例えば座標)を含む。実際には、感知回路はタッチ・スクリーン・プログラムと共に、所定の通信プロトコルに従う。一般によく知られているように、通信プロトコルは、2つのデバイスの間でデータをやり取りするためのルールと手続きのセットである。通信プロトコルは通常、情報をデータのブロックすなわちパケットに含めて送信し、それらのパケットは、送信されるデータと、パケットをその送信先へ導くために必要とされるデータと、途中で生じるエラーを訂正するデータとを含む。例えば感知回路は、ヒューマン・インターフェース・デバイス(HID)フォーマットのデータを配置することができる。
【0037】
一般に感知回路76は、1つまたは複数のマイクロコントローラを含み、それらのマイクロコントローラのそれぞれは、1つまたは複数の感知ポイント74をモニタする。マイクロコントローラは、例えばASICに相当し、これは、ファームウェアと共に機能して、感知デバイス72からの信号をモニタし、そのモニタした信号を処理し、その情報をプロセッサ56へ報告する。
【0038】
一実施形態によれば、感知デバイス72は静電容量に基づく。2つの導電性部材が実際に接触することなく互いに接近する場合は常に、それらの電界が相互作用して、静電容量が形成されるということは理解できるはずである。ほとんどの場合、第1の導電性部材が感知ポイント74であり、第2の導電性部材が指などの物体80である。物体80がタッチ・スクリーン70の表面に接近する際に、物体80と、その物体80のすぐそばの感知ポイント74との間において、わずかな静電容量が形成される。感知ポイント74のそれぞれにおける静電容量の変化を検知し、感知ポイントの位置に注目することによって、感知回路は、複数の物体を認識し、それらの物体80がタッチ・スクリーン70上で動かされるのに伴ってそれらの物体80の位置、圧力、方向、速度、加速度を決定することができる。例えば感知回路は、1つまたは複数の手の指や手のひらのそれぞれがいつどこに触れているか、および(1つまたは複数の)手の指や手のひらによって加えられている圧力を同時に決定することができる。
【0039】
静電容量の簡単さによって、感知デバイス72の設計と構造に多大な柔軟性が可能となる。例えば感知デバイス72は自己静電容量または相互静電容量に基づく。自己静電容量では、感知ポイント74のそれぞれは、個々の帯電した電極によって提供される。ある物体がタッチ・スクリーン70の表面に接近する際、その物体は、その物体のすぐそばの電極に静電結合し、それによってそれらの電極から電荷を奪い去る。電極のそれぞれにおける電荷の量は、複数の物体がタッチ・スクリーン70に接触した場合のそれらの物体の位置を決定するために感知回路76によって測定される。相互静電容量では、感知デバイス72は、空間的に分離されたラインまたはワイヤの2つの層のグリッドを含む。最も単純な場合では、上側の層が行のラインを含み、その一方で下側の層が列の(例えば直交する)ラインを含む。感知ポイント74は、行と列の交点において提供される。操作中に、行が帯電し、その電荷が、交点において列に静電結合する。ある物体がタッチ・スクリーンの表面に接近する際、その物体は、その物体のすぐそばの交点において行に静電結合し、それによってそれらの行から、したがって列からも電荷を奪い去る。列のそれぞれにおける電荷の量は、複数の物体がタッチ・スクリーン70に接触した場合のそれらの物体の位置を決定するために感知回路76によって測定される。
【0040】
図6は、本発明の一実施形態による透明な複数ポイント・タッチ・スクリーン100を示す部分平面図である。例えば、一般にタッチ・スクリーン100は、図2、図4に示されているタッチ・スクリーンに相当する。マルチポイント・タッチ・スクリーン100は、複数の物体の位置と圧力を同時に感知することができる。この特定のタッチ・スクリーン100は、自己静電容量に基づき、したがって複数の透明な容量感知電極102を含み、これらの電極102のそれぞれは、タッチ・スクリーン100の平面内の別々の座標を表す。電極102は、それらの電極102の付近のタッチ・スクリーン100に接触している1つまたは複数の物体から容量性の入力を受け取るように構成されている。ある物体が電極102に接近すると、その物体は電荷を奪い、それによって電極102における静電容量が影響を受ける。電極102は、トレース106を通じて容量感知回路104に接続されており、これらのトレース106は、間隔を隔てた電極102どうしの間に見られる隙間108内に配置されている。これらの電極102は、互いに電気的に絶縁するために、および感知トレース106を別々に経路設定するためのスペースを提供するために間隔を隔てている。隙間108は、感知エリアを最大化するために、またスペースと透明な電極の間における光学的な差異を最小化するために小さくすることが好ましい。
【0041】
図示されているように、感知トレース106は、それぞれの電極102からタッチ・スクリーン100の側部へ経路設定され、そこから容量感知回路104に接続される。容量感知回路104は、1つまたは複数のセンサIC110を含み、これらのセンサIC110は、それぞれの電極102において静電容量を測定し、その検出事項やそれに類するものをホスト・コントローラへ報告する。センサIC110は、例えばアナログの容量性信号をデジタル・データに変換し、次いでそのデジタル・データを、シリアル・バスを介してホスト・コントローラへ送ることができる。任意の数のセンサICを使用することができる。例えば、すべての電極に対して単一のチップを使用することもでき、あるいは単一の電極や電極のグループに対して複数のチップを使用することもできる。ほとんどの場合、センサIC110は探知信号を報告し、これらの探知信号は、電極102の位置と、電極102における静電容量の強度の双方の関数である。
【0042】
一般に電極102、トレース106、感知回路104は、光透過部材112上に配置される。ほとんどの場合、光透過部材112は、ガラスやプラスチックなどの透明な材料から形成される。電極102とトレース106は、例えば蒸着、エッチング、印刷などを含む任意の適切なパターニング技法を用いて部材112上に設置することができる。電極102と感知トレース106は、任意の適切な透明な導電材料から作成することができる。例えば電極102とトレース106は、ITOから形成することができる。さらに感知回路104のセンサIC110は、任意の適切な技法を用いてトレース106へ電気的に結合することができる。一実装形態においては、センサIC110は、部材112(フリップ・チップ)上に直接配置される。別の実装形態においては、フレックス回路が部材112に接合され、センサIC110は、そのフレックス回路に取り付けられる。さらに別の実装形態においては、フレックス回路が部材112に接合され、PCBがフレックス回路に接合され、センサIC110は、そのPCBに取り付けられる。センサICは、例えばカリフォルニア州サンノゼのSynaptics、デラウェア州ニューアークのFingerworks、あるいはカリフォルニア州サンノゼのAlpsによって製造されたものなどの静電容量感知ICとすることができる。
【0043】
電極102の配置は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。例えば電極102は、タッチ・スクリーン100の平面内のほとんどどこにでも配置することができる。電極102は、タッチ・スクリーン100の周囲に不規則に、あるいは特定のパターンで配置することができる。後者に関しては、電極102の位置は、使用される座標系によって異なるものとすることができる。例えば電極102は、デカルト座標の場合には行と列のアレイの状態で、あるいは極座標の場合には同心円状のセグメントと放射状のセグメントのアレイの状態で配置することができる。それぞれのアレイ内では、行、列、同心円状のセグメント、または放射状のセグメントは、他の行、列、またはセグメントに対して一律に積み重ねることもでき、あるいは他の行、列、またはセグメントに対して互い違いにするか、もしくは埋め合わせる形にすることもできる。さらに、それぞれの行や列内では、またはそれぞれの同心円状のセグメントや放射状のセグメント内では、電極102は、隣の電極102に対して互い違いにすることもでき、あるいは埋め合わせる形にすることもできる。
【0044】
さらに電極102は、単純(例えば、正方形、円、楕円、三角形、長方形、多角形など)か、複雑(例えば、不規則な形状)かを問わず、ほとんどいかなる形状にも形成することができる。またさらに、電極102の各形状は、同一の形状とすることもでき、あるいは別々の形状とすることもできる。例えば、電極102の1つのセットが第1の形状を有することができ、その一方で電極102の第2のセットが、第1の形状とは異なる第2の形状を有することができる。一般にこれらの形状は、感知エリアを最大化するように、また隙間と透明な電極の間における光学的な差異を最小化するように選択される。
【0045】
さらに電極102のサイズは、それぞれのデバイスの固有のニーズによって様々なサイズとすることができる。場合によっては、電極102のサイズは、ほぼ指先の大きさに相当する。例えば電極102のサイズは、約4〜5mm2とすることができる。場合によっては、電極102のサイズは、タッチ・スクリーン100の分解能を高めるために指先の大きさよりも小さい(指は、どの時点においても複数の電極に影響を与える可能性があり、それによって補間が可能となる)。形状と同様、電極102の各サイズは、同一のサイズとすることもでき、あるいは別々のサイズとすることもできる。例えば電極102の1つのセットは、電極102の別のセットよりも大きくすることができる。さらに、任意の数の電極102を使用することができる。電極102の数は通常、タッチ・スクリーン100のサイズや、それぞれの電極102のサイズによって決定される。ほとんどの場合、より高い分解能を提供するには、すなわち加速度などに関してさらに多くの情報を利用できるようにするには、電極102の数を多くすることが望ましいであろう。
【0046】
感知トレース106は、様々な方法で経路設定することができるが、通常は、それらの電極102とセンサ回路104の間で移動しなければならない距離を短くする方法で、また隣の電極102どうしの間に見られる隙間108のサイズを小さくする方法で経路設定する。感知トレース106の幅もまた、広範囲にわたって様々である。一般にこれらの幅は、そこを通って分配されている電荷の量、隣のトレース106の数と、トレース106が移動する際に通る隙間108のサイズによって決定される。隙間108の内側を最も多く覆い、それによってさらに均一な光学的な見え方がもたらされるように、隣のトレース106の幅を最大化することが一般には望ましい。
【0047】
図示されている実施形態においては、電極102は、ピクセルのアレイ内に配置されている。図示されているように、電極102は行116内に配置されており、これらの行116は、タッチ・スクリーン100の側部へかつ側部から延びている。それぞれの行116内では、同一の各電極102が、間隔を隔てて互いに横に(例えば並列に)配置されている。さらに行116は、互いの上に積み重ねられており、それによってピクセルのアレイが形成されている。感知トレース106は、隣の行106どうしの間に形成されている隙間108内を通るように経路設定される。それぞれの行に関する感知トレース106は2つの異なる方向に経路設定される。行116の一方の側の上の感知トレース106は、左側部の上に配置されているセンサIC110へ経路設定され、行116の他方の側の上の感知トレース106は、タッチ・スクリーン100の右側部の上に配置されている別のセンサIC110へ経路設定される。これは、行116どうしの間に形成されている隙間108を最小化するように行われる。隙間108は、例えば約20ミクロンまでに保持することができる。トレースどうしの間のスペースは積み重ねることができ、それによって電極どうしの間に広い隙間が生み出されるということが理解できるはずである。一方の側へ経路設定されるならば、スペースの大きさは実質的に倍増することになり、それによってタッチ・スクリーンの分解能が低下する。さらに電極102の形状は、平行四辺形の形態であり、より詳細には、側部の両辺が傾斜している平行四辺形である。
【0048】
図7は、本発明の一実施形態による透明なマルチ・ポイント・タッチ・スクリーン120を示す部分平面図である。この実施形態においては、タッチ・スクリーン120は、図6に示されているタッチ・スクリーン100に類似しているが、図6のタッチ・スクリーン100とは異なり、図7に示されているタッチ・スクリーン120は、様々なサイズの電極122を含む。図示されているように、タッチ・スクリーン120の中央に配置されている電極122は、タッチ・スクリーン120の側部に配置されている電極122よりも大きい。実際に各電極122の高さは、タッチ・スクリーン120の中央から縁部へいくほど低くなる。こうなっているのは、より中央に位置する電極122の側部から延びる感知トレース124のための余地を設けるためである。有利なことに、この構成によって、電極122の隣の行126どうしの間に見られる隙間が小さくなる。それぞれの電極122の高さは低くなるが、行126の高さHと、それぞれの電極122の幅Wは変わらない。ある構成においては、行126の高さは、それぞれの電極122の幅と実質的に等しい。例えば行126の高さとそれぞれの電極122の幅は、約4mm〜約5mmとすることができる。
【0049】
図8は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置130の断面を示す正面図である。ディスプレイ装置130は、LCDディスプレイ132と、LCDディスプレイ132の上に配置されているタッチ・スクリーン134とを含む。このタッチ・スクリーンは、例えば図6や図7に示されているタッチ・スクリーンに相当する。LCDディスプレイ132は、当技法分野で知られている任意の従来のLCDディスプレイに相当してもよい。図示されていないが、LCDディスプレイ132は通常、蛍光パネル、偏光フィルタ、液晶セルの層、カラー・フィルタなどを含む様々な層を含む。
【0050】
タッチ・スクリーン134は透明な電極層136を含み、この透明な電極層136は、ガラス部材138の上に配置されている。このガラス部材138は、LCDディスプレイ132の一部とすることもでき、あるいはタッチ・スクリーン134の一部とすることもできる。いずれの場合も、ガラス部材138は、比較的厚い透明なガラスであり、タッチ・スクリーン134上に加えられる力からディスプレイ132を保護する。ガラス部材138の厚さは、例えば約2mmとすることができる。ほとんどの場合、電極層136は、ITOや印刷など、適切な透明な導電材料とパターニング技法とを用いてガラス部材138上に設置される。図示されていないが、場合によっては、タッチ・スクリーンの視覚的な見え方を改善するために、類似した屈折率の材料で電極層136をコーティングすることが必要となることもある。電極とトレースの間に位置する隙間は、それらの電極やトレースと同じ光学指数を有しておらず、したがって、より類似した光学指数を提供するための材料が必要とされる可能性もあるということが理解できるはずである。例えば、屈折率整合ジェルを使用することができる。
【0051】
また、タッチ・スクリーン134は保護カバー・シート140を含み、この保護カバー・シート140は電極層136の上に配置されている。したがって電極層136は、ガラス部材138と保護カバー・シート140の間にはさまれている。保護シート140は、下にある層を保護する役割と、その上を物体が滑らかに動けるようにするための表面とする役割とを果たす。また、保護シート140は物体と電極層136の間に絶縁層となっている。保護カバー・シート140は、ガラスやプラスチックなどの任意の適切な透明な材料から形成することができる。保護カバー・シート140は、十分な電極結合を可能にするだけの薄さであることが適切である。例えばカバー・シート140の厚さは、約0.3〜0.8mmとすることができる。さらに保護カバー・シート140は、触れた際の粘着性を少なくするために、また下にあるLCDディスプレイ132を見る際のまぶしさを抑えるために、コーティングを用いて処理することができる。例えば、低粘着性/反射防止用のコーティング142をカバー・シート140の上に塗布することができる。電極層136は、通常はガラス部材138上にパターニングされるが、場合によっては別法として、または追加として、保護カバー・シート140上にパターニングすることもできるという点に留意されたい。
【0052】
図9は、本発明の別の実施形態による透明なマルチポイント・タッチ・スクリーン150を示す平面図である。例えば、一般にタッチ・スクリーン150は、図2や図4のタッチ・スクリーンに相当する。図6〜図8に示されているタッチ・スクリーンとは異なり、図9のタッチ・スクリーンは、自己静電容量ではなく相互静電容量のコンセプトを利用する。図示されているように、タッチ・スクリーン150は、空間的に分離されたラインまたはワイヤ152の2つの層のグリッドを含む。ほとんどの場合、それぞれの層の上のライン152は互いに平行である。さらに、別々の層の上のライン152は、別々の平面内にあるが、容量感知ノード154を形成するために交差するように、すなわち交わるように構成されており、それらの容量感知ノード154のそれぞれは、タッチ・スクリーン150の平面内の別々の座標を表す。ノード154は、そのノード154の付近のタッチ・スクリーン150に接触している物体から容量性の入力を受け取るように構成されている。ある物体がノード154に接近すると、その物体は電荷を奪い、それによってノード154における静電容量が影響を受ける。
【0053】
詳細に述べると、別々の層の上のライン152は2つの異なる機能を果たす。ライン152Aの1つのセットが、それらの間を通る電流を駆動し、その一方でライン152Bの第2のセットが、ノード154のそれぞれにおける静電結合を感知する。ほとんどの場合、上の層が駆動ライン152Aとなり、その一方で下の層が感知ライン152Bとなる。駆動ライン152Aは、電源(図示せず)に接続されており、この電源は、駆動ライン152Aのそれぞれを通る電流を別々に駆動する。すなわち、刺激は1つのラインの上で生じるだけであり、その一方で他のすべてのラインが接地される。これらは、同様にラスタ走査へと駆動することもできる。感知ライン152Bは、容量感知回路(図示せず)に接続されており、この容量感知回路は、感知ライン152Bのすべてを継続的に感知する(常に感知する)。
【0054】
駆動されると、駆動ライン152A上の電荷はノード154を通じて交差している感知ライン152Bへ静電結合し、容量感知回路は、感知ライン152Bのすべてを並行して感知する。その後、次の駆動ライン152Aが駆動され、次の駆動ライン152A上の電荷がノード154を通じて、交差している感知ライン152Bへ静電結合し、容量感知回路が感知ライン152Bのすべてを並行して感知する。これは、すべてのライン152Aが駆動されるまで順次行われる。すべてのライン152Aが駆動されると、シーケンスは、再び最初から開始する(継続的に繰り返す)。ほとんどの場合、ライン152Aは、一方の側から反対側へ順次駆動される。
【0055】
容量感知回路は通常、1つまたは複数のセンサICを含み、これらのセンサICは、感知ライン152Bのそれぞれにおいて静電容量を測定し、その検出事項をホスト・コントローラへ報告する。センサICは、例えばアナログの容量性信号をデジタル・データに変換し、次いでそのデジタル・データを、シリアル・バスを介してホスト・コントローラへ送ることができる。任意の数のセンサICを使用することができる。例えば、すべてのラインに対して1つのセンサICを使用することもでき、あるいは単一のラインやラインのグループに対して複数のセンサICを使用することもできる。ほとんどの場合、センサIC110は探知信号を報告し、これらの探知信号は、ノード154の位置と、ノード154における静電容量の強度の双方の関数である。
【0056】
一般にライン152は、1つまたは複数の光透過部材156上に配置され、この光透過部材156は、ガラスやプラスチックなどの透明な材料から形成されている。例えばライン152は、同じ部材156の対向する両側の上に配置することもでき、あるいは別々の部材156の上に配置することもできる。ライン152は、例えば蒸着、エッチング、印刷などを含む任意の適切なパターニング技法を用いて部材156上に設置することができる。さらにライン152は、任意の適切な透明な導電材料から作成することができる。例えば、これらのラインはITOで形成させることができる。駆動ライン152Aは通常、フレックス回路158Aを通じて電源に結合され、感知ライン152Bは通常、感知回路に、より詳細にはフレックス回路158Bを通じてセンサICに結合される。センサICは、印刷回路基板(PCB)に取り付けることができる。あるいはセンサICは、部材156上に直接配置することもでき、それによって、フレックス回路158Bがなくなる。
【0057】
ライン152の配置は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。例えばライン152は、タッチ・スクリーン150の平面内のほとんどどこにでも配置することができる。ライン152は、タッチ・スクリーン150の周囲に不規則に、あるいは特定のパターンで配置することができる。後者に関しては、ライン152の位置は、使用される座標系によって異なるものとすることができる。例えばライン152は、デカルト座標の場合には行と列の状態で、あるいは極座標の場合には同心円状かつ放射状に配置することができる。行と列を使用する場合には、それらの行と列は、互いに様々な角度で配置することができる。例えば、縦、横、あるいは斜めにすることができる。
【0058】
さらにライン152は、直線状か曲線状かを問わず、ほとんどいかなる形状にも形成することができる。それぞれの層の上のラインは、同じものとすることもでき、あるいは異なるものとすることもできる。例えばこれらのラインは、直線状と曲線状の間で切り替えることができる。またさらに、対向するラインどうしの形状は、同一の形状とすることもでき、あるいは別々の形状とすることもできる。例えば、駆動ラインが第1の形状を有することができ、その一方で感知ラインが、第1の形状とは異なる第2の形状を有することができる。ライン152の幾何学的構成(例えば、ライン幅と間隔)もまた、広範囲にわたる様々なものとすることができる。それぞれの層におけるラインの幾何学的構成は、同一のものとすることもでき、あるいは別々のものとすることもでき、またさらに、双方の層に関するラインの幾何学的構成は、同一のものとすることもでき、あるいは別々のものとすることもできる。例えば、駆動ライン152Aに対する感知ライン152Bのライン幅は、約2:1の比率を有することができる。
【0059】
さらに、任意の数のライン152を使用することができる。一般にラインの数は、タッチ・スクリーン150の希望の分解能によって異なると考えられる。それぞれの層におけるラインの数は、同一の数とすることもでき、あるいは別々の数とすることもできる。ラインの数は通常、ライン152の希望の間隔とライン幅だけでなく、タッチ・スクリーンのサイズによって決定される。
【0060】
図示されている実施形態においては、駆動ライン152Aが行の状態で配置されており、感知ライン152Bが、それらの行に垂直な列の状態で配置されている。行は、タッチ・スクリーン150の側部へと横に延びており、列は、タッチ・スクリーン150の上部および下部へと縦に延びている。さらに、ライン152Aと152Bのセットに関するライン幅は互いに異なり、ライン152Aと152Bのセットに関する間隔は、互いに等しい。ほとんどの場合、感知ライン152Bのライン幅は、駆動ライン152Aのライン幅よりも広い。例えば、駆動ラインと感知ライン152どうしの間隔は約5mmとすることができ、駆動ライン152Aのライン幅は約1.05mmとすることができ、感知ライン152Bのライン幅は約2.10mmとすることができる。さらに、それぞれの層におけるライン152の数は異なる。例えば、約38本の駆動ラインと約50本の感知ラインを設けることができる。
【0061】
上述のように、半透明な導体をガラス、フィルム、あるいはプラスチック上に形成するためのラインは、ITO材料を用いてパターニングすることができる。これは一般に、ITO層を基板の表面上に蒸着し、次いでラインを形成するためにITO層の部分をエッチングで除去することによって達成される。ITOを伴うエリアは、ITOを伴わないエリアよりも低い透明度を有する傾向があるということが理解できるはずである。これは一般に、ユーザにとってあまり望ましくない。というのは、ユーザが、ラインをそれらのラインどうしの間にあるスペースから見分けられるためであり、すなわち、パターニングされたITOが非常に目立つようになり、それによって望ましくない光学的特性を有するタッチ・スクリーンが作成される可能性があるためである。この問題をさらに深刻にするものとして、ITO材料は通常、比較的低い抵抗を生み出す方法で塗布され、残念なことに、低い抵抗のITOは、高い抵抗のITOよりも透明度が劣る傾向がある。
【0062】
上述の問題を防止するために、ITOの間の死角を屈折率整合材料で満たすことができる。別の実施形態においては、単にITOのすべてをエッチングで除去するのではなく、死角(覆われていないスペース)を、連続していない電気的に浮いているITOパッドへさらに分割することができ、すなわち死角を、空間的に分離されたパッドを用いてパターニングすることができる。これらのパッドは通常、最小のトレース幅で分離されている。さらに、これらのパッドは通常、容量の測定に対する影響を少なくするために小さくされる。この技法は、均一な光学的抑制物を作成することによって、ITOが目立つのを最小限に抑えようとするものである。すなわち、ITOの均一なシートを作成しようとすることによって、パネルは、均一な光学的抑制物にさらに近く機能することになり、したがって視覚的な見え方における不均一さが最小化されると考えられる。さらに別の実施形態においては、屈折率整合材料と、連続していない浮いているパッドとの組合せを使用することができる。
【0063】
図10は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置170の断面を示す部分正面図である。ディスプレイ装置170は、LCDディスプレイ172とそのLCDディスプレイ172の上に配置されているタッチ・スクリーン174とを含む。このタッチ・スクリーンは、例えば図9に示されているタッチ・スクリーンに相当することができる。LCDディスプレイ172は、当技法分野で知られている任意の従来のLCDディスプレイに相当する。図示されていないが、LCDディスプレイ172は通常、蛍光パネル、偏光フィルタ、液晶セルの層、カラー・フィルタなどを含む様々な層を含む。
【0064】
タッチ・スクリーン174は透明な感知層176を含み、この透明な感知層176は第1のガラス部材178の上に配置されている。この感知層176は複数のセンサ・ライン177を含み、これらのセンサ・ライン177は列の状態で配置されている(ページの中および外へ延びている)。第1のガラス部材178はLCDディスプレイ172の一部とすることもでき、あるいはタッチ・スクリーン174の一部とすることもできる。例えば第1のガラス部材178はLCDディスプレイ172の前面のガラスとすることもでき、あるいはタッチ・スクリーン174の底面のガラスとすることもできる。センサ層176は通常、適切な透明な導電材料とパターニング技法を用いてガラス部材178上に設置される。場合によっては、視覚的な見え方を改善するために、すなわちより均一にするために、類似した屈折率の材料でセンサ層176をコーティングすることが必要となる可能性もある。
【0065】
また、タッチ・スクリーン174は透明な駆動層180を含み、この透明な駆動層180は第2のガラス部材182の上に配置されている。第2のガラス部材182は第1のガラス部材178の上に配置されている。したがって感知層176は第1のガラス部材178と第2のガラス部材182の間にはさまれている。第2のガラス部材182は、駆動層180と感知層176の間の絶縁層となっている。駆動層180は複数の駆動ライン181を含み、これらの駆動ライン181は行の状態で配置されている(ページの右および左へ延びている)。駆動ライン181は、複数の静電結合ノード182を形成するために、列の状態で配置されている感知ライン177と交差するように、すなわち交わるように構成されている。感知層176と同様に、駆動層180は適切な材料およびパターニング技法を用いてガラス部材上に設置される。さらに場合によっては、視覚的な見え方を改善するために、類似した屈折率の材料で駆動層180をコーティングすることが必要となる可能性もある。感知層は、通常は第1のガラス部材上にパターニングされるが、場合によっては別法として、または追加として、第2のガラス部材上にパターニングすることもできるという点に留意されたい。
【0066】
また、タッチ・スクリーン174は保護カバー・シート190を含む。この保護カバー・シート190は駆動層180の上に配置されている。したがって駆動層180は、第2のガラス部材182と保護カバー・シート190の間にはさまれている。保護カバー・シート190は下にある層を保護する役割と、その上を物体が滑らかに動けるようにするための表面となる役割とを果たす。保護カバー・シート190は物体と駆動層180の間に絶縁層を提供する。この保護カバー・シートは、十分な結合を可能にするだけの薄さであることが適切である。保護カバー・シート190は、ガラスやプラスチックなどの任意の適切な透明な材料で形成することができる。さらに保護カバー・シート190は、触れた際の粘着性を少なくするために、また下にあるLCDディスプレイ172を見る際のまぶしさを抑えるために、コーティングを用いて処理することができる。例えば、低粘着性/反射防止用のコーティングをカバー・シート190の上に塗布することができる。ライン層は通常はガラス部材上にパターニングされるが、場合によっては別法として、または追加として、保護カバー・シート上にパターニングすることもできるという点に留意されたい。
【0067】
また、タッチ・スクリーン174は様々な接合層192を含む。これらの接合層192は、積層構造を形成してその積層構造に剛性と硬度を与えるために、ガラス部材178、182と保護カバー・シート190を1つに接合する。要するに、接合層192は、個々の層のそれぞれを単独で利用するよりも強力なモノリシック・シートを作成するのに役に立つ。ほとんどの場合、第1のガラス部材178と第2のガラス部材182、および第2のガラス部材182と保護シート190が、接着剤などの結合剤を用いて1つに積層される。望ましい全体的な幾何学的形状を有する単一の複合構造を形成するために、接着剤の弾性を利用して幾何学的形状のばらつきを吸収することができる。場合によっては、結合剤は、タッチ・スクリーン170の視覚的な見え方を改善するための屈折率整合材料を含む。
【0068】
構成に関しては、様々な層のそれぞれは様々なサイズや形状などを有するように形成される。例えば、それらの層のそれぞれは、構造内のその他の層と同じ厚さとることも、あるいは異なる厚さとすることもできる。図示されている実施形態においては、第1のガラス部材178の厚さは約1.1mmであり、第2のガラス部材182の厚さは約0.4mmであり、保護シートの厚さは約0.55mmである。各接合層192の厚さは通常、希望の高さの積層構造とするために様々に異なる。さらに、これらの層のそれぞれは、様々な材料を用いて形成することができる。例えば、それぞれの特定のタイプの層は、同じ材料からも、あるいは別々の材料からも形成することができる。例えば、任意の適切なガラスやプラスチックの材料をガラス部材用として使用することができる。同様に、任意の適切な結合剤を接合層192用として使用することができる。
【0069】
図11A、図11Bは、一実施形態による駆動層200と感知層202を示す部分平面図である。この実施形態においては、層200と層202のそれぞれは、ダミー・フィーチャ204を含む。このダミー・フィーチャ204は駆動ライン206と感知ライン208の間に配置されている。ダミー・フィーチャ204は、各ラインの光学指数をより厳密に整合することによってタッチ・スクリーンの視覚的な見え方を光学的に改善するように構成されている。屈折率整合材料は、視覚的な見え方を改善することができるが、依然としていくらかの不均一さが存在する可能性もあることが分かっている。ダミー・フィーチャ204は、より均一な見え方をタッチ・スクリーンに提供する。ダミー・フィーチャ204は電気的に絶縁されており、ライン206とライン208のそれぞれの間の隙間に配置されている。ダミー・フィーチャ204は別々にパターニングすることもできるが、通常はライン206、ライン208と共にパターニングされる。さらに各ダミー・フィーチャ204は、別々の材料から形成することもできるが、通常は、可能な限り最良の屈折率整合をもたらすように、例えばITOとしてのラインと同じ透明な導電材料を用いて形成される。ダミー・フィーチャを使用しても、おそらくは依然としていくらかの隙間が生じるであろうが、これらの隙間はラインどうしの間に見られる隙間よりもずっと小さい(はるかに小さい)ということが理解できるはずである。したがってこれらの隙間は、視覚的な見え方に最小限の影響しか及ぼさない。たしかにそのとおりかもしれないが、その一方で、屈折率整合材料をダミー・フィーチャどうしの間の隙間へさらに適用して、タッチ・スクリーンの視覚的な見え方をさらに改善することもできる。ダミー・フィーチャの配置、サイズ、数、次元、形状は、広範囲にわたる様々なものとすることができる。
【0070】
図12は、本発明の一実施形態による相互静電容量回路220を示す略図である。相互静電容量回路220は駆動ライン222と感知ライン224を含み、それらの駆動ライン222と感知ライン224は空間的に分離されており、それによって静電結合ノード226を形成している。駆動ライン222は電源228へ電気的に結合されており、感知ライン224は容量感知回路230へ電気的に結合されている。駆動ライン222は静電結合ノード226へ電流を運ぶように構成されており、感知ライン224は容量感知回路230へ電流を運ぶように構成されている。物体がまったく存在しない場合には、ノード226における静電結合はほとんど一定のままである。指などの物体232がノード226の近くに置かれると、静電結合はノード226の変化を通じて変化する。物体232は実質的に電界の一部を押しのけ、それによって、ノード226の全体にわたって放射される電荷は少なくなる。静電結合における変化は感知ライン224によって運ばれている電流に変化を及ぼす。容量感知回路230は、電流の変化と、その電流の変化が生じたノード226の位置とに注目し、その情報をそのまま、あるいは何らかの処理を経た形でホスト・コントローラへ報告する。容量感知回路は、マルチポイントの感知を提供するために、それぞれのノード226に関して(ユーザから見て)ほぼ同時にこれを行う。
【0071】
例えば、行と列のラインの表面積がその他のラインと比べて広いことや、グラウンド電位におけるシステム筐体によって、寄生容量237が生じる可能性があるが、感知ライン224はこの寄生容量237を除去するためのフィルタ236を含む。一般的には、このフィルタは浮遊容量の影響を排除し、それによって、ノード226の全体にわたって移動する電荷のきれいな表示が出力される(そしてそれには、不要なものは何も付加されていない)。すなわちフィルタ236は、寄生容量の影響は受けずにノード226における静電容量の影響を受ける出力を生成する。その結果、より正確な出力が生成される。
【0072】
図13は、本発明の一実施形態による反転増幅器240を示す図である。一般に反転増幅器240は、図12に示されているフィルタ236に相当する。図示されているように、反転増幅器は、一定の電圧(この場合はグラウンド)に維持されている非反転入力と、ノードへ結合されている反転入力と、容量感知回路230へ結合されている出力とを含む。この出力は、キャパシタを通じて反転入力へ再び結合されている。操作中には、ノードからの入力は、浮遊容量の影響、すなわち寄生容量によって乱される可能性がある。その場合には、反転増幅器は入力を駆動して、その刺激の前と同じ電圧へ戻すように構成されている。そのようなものとして、寄生容量の値は問題にならない。
【0073】
図14は、本発明の一実施形態による容量感知回路260を示すブロック図である。容量感知回路260は例えば前の各図に記載されている容量感知回路に相当する。容量感知回路260は複数の感知ポイント262(電極、ノードなど)から入力データを受け取って、そのデータを処理し、処理したデータをホスト・コントローラへ出力するように構成されている。
【0074】
感知回路260はマルチプレクサ(MUX)264を含む。マルチプレクサ264は時分割を実行するように構成されているスイッチである。図示されているように、MUX264は、感知ポイント262のそれぞれからの信号を同時に受け取るための複数の独立した入力チャネル266を含む。MUX264は入力信号をすべて同時に保存し、その一方で出力チャネル268を通じてそれらの入力信号を一度に1つずつ順番に放つ。
【0075】
感知回路260はまた、アナログ・ディジタル変換器(ADC)270を含み、このADC270は出力チャネル268を通じてMUX264へ動作可能に結合されている。ADC270は入力アナログ信号を一度に1つずつ順番にデジタル化するように構成されている。すなわちADC270は入力アナログ信号のそれぞれを出力デジタル信号へ変換する。一般にADC270への入力は理論的には無限の数の値を有する電圧に相当する。電圧は、感知ポイント262のそれぞれにおける静電結合の量によって様々である。その一方で、ADC270への出力は、確定した数の状態を有する。一般にこれらの状態は、予想可能な正確な電圧や電流を有する。
【0076】
感知回路260はまた、デジタル信号プロセッサ(DSP)272を含み、このDSP272は、別のチャネル274を通じてADC270へ動作可能に結合されている。DSP272は、プログラム可能なコンピュータ処理装置であり、高速の数学的処理を介してデジタル信号を明確化したり標準化したりするように機能する。人間の作り出す信号は秩序とノイズを有し、本質的に混沌としたものであるが、DSP274はこうした人間の作り出す信号どうしを識別することができる。ほとんどの場合、DSPは未加工のデータを用いてフィルタリングや変換アルゴリズムを実行する。例えばDSPはノイズの事象を未加工のデータからフィルタで除去し、タッチ・スクリーン上で同時に生じるそれぞれの接触に関する接触境界を計算し、次いでそれぞれの接触事象に関する座標を決定することができる。そして接触事象の座標はホスト・コントローラへ報告され、コントローラは接触事象の以前の座標と比較して、ホスト・デバイス内でどんなアクションを実行すべきかを決定する。
【0077】
図15は、本発明の一実施形態による流れ図280である。この方法は、一般にブロック282において開始し、このブロック282では、複数の感知ポイントが駆動される。例えば、電圧が自己静電容量式のタッチ・スクリーン内の電極に、または相互静電容量式のタッチ・スクリーン内の駆動ラインを通じて印加される。後者の場合、それぞれの駆動ラインは別々に駆動される。すなわち駆動ラインは、一度に1本ずつ駆動され、それによって、交差するすべての感知ライン上で電荷が生成される。ブロック282に続いて、処理の流れはブロック284へ進み、このブロック284では、すべての感知ポイントからの出力(電圧)が読み取られる。このブロックは、出力を多重化し、デジタル化するステップを含む。例えば相互静電容量式のタッチ・スクリーンでは、1つの行の上のすべての感知ポイントが多重化され、デジタル化される。これは、すべての行がサンプリングされるまで繰り返される。ブロック284に続いて、処理の流れはブロック286へ進み、このブロック286では、1つの時点におけるタッチ・スクリーンの平面のイメージやその他の形態のデータ(1つまたは複数の信号)を生成し、次いでそれらを分析して、物体がタッチ・スクリーンのどこに接触しているかを判定することができる。例えば、それぞれの個別の接触に関する境界を計算することができ、次いでその座標を決定することができる。ブロック286に続いて、処理の流れはブロック288へ進み、このブロック288では、タッチ・スクリーンの平面上のそれぞれの物体に関する圧力、位置、方向、速度、加速度における変化を判定するために、現在のイメージや信号が、過去のイメージや信号と比較される。次いで、ブロック290に示されているように、この情報を使用して、例えばポインタまたはカーソルを動かすこと、選択を行うことなどのアクションを実行することができる。
【0078】
図16は、本発明の一実施形態によるデジタル信号の処理方法300を示す流れ図である。例えば、一般にこの方法は、図15に表示され、説明されているブロック286に対応する。この方法300は、一般にブロック302において開始し、このブロック302では、未加工のデータが受け取られる。この未加工のデータは、通常はデジタル化された形態であり、タッチ・スクリーンのそれぞれのノードに関する値を含む。これらの値は、0〜256とすることができ、0は、最も高い静電結合(接触圧力なし)に相当し、256は、最小の静電結合(最大の接触圧力)に相当する。1つの時点における未加工のデータの一例が、図17Aに示されている。図17Aに示されているように、それぞれのポイントに関する値はグレー・スケールで提供され、最小の静電結合を伴うポイントは白で表示され、最も高い静電結合を伴うポイントは黒で表示され、最小の静電結合と最も高い静電結合の間に見られるポイントはグレーで表示される。
【0079】
ブロック302に続いて、処理の流れはブロック304へ進み、このブロック304では、未加工のデータがフィルタにかけられる。未加工のデータは、通常は何らかのノイズを含むということが理解できるはずである。このフィルタリング・プロセスは、ノイズを削減するように構成されている。例えば、他のポイントと連続していないポイントを除去するノイズ・アルゴリズムを実行することができる。単独のポイント、すなわち連続していないポイントは、一般にノイズを表し、その一方で、複数の連続しているポイントは、一般に1つまたは複数の接触領域、すなわち物体によって接触されているタッチ・スクリーンの領域を表す。フィルタにかけられたデータの一例が図17Bに示されている。図示されているように、単独で散在している各ポイントが除去され、それによって、いくつかの集中したエリアが残る。
【0080】
ブロック304に続いて、処理の流れはブロック306へ進み、このブロック306では、勾配データが生成される。勾配データは連続しているポイントのそれぞれのグループのトポロジを表す。トポロジは通常はそれぞれのポイントに関する容量の値に基づく。最も低い値を有するポイントは勾配が急であり、その一方で最も高い値を有するポイントは浅い。急勾配のポイントはより大きな圧力によって生じた接触ポイントを表し、その一方で浅いポイントはより低い圧力によって生じた接触ポイントを表すということが理解できるはずである。勾配データの一例が図17Cに示されている。
【0081】
ブロック306に続いて、処理の流れはブロック308へ進み、このブロック308では、接触領域に関する境界が勾配データに基づいて計算される。一般に、どのポイントどうしが各グループにまとめられてそれぞれの接触領域を形成しているかが判定される。接触領域の一例が、図17Dに示されている。
【0082】
一実施形態においては、境界は分水界アルゴリズム(watershed algorithm)を用いて決定される。一般にこのアルゴリズムは、イメージのセグメント化を実行する。すなわち、1つのイメージを別々の領域へ、例えばタッチスクリーンに接触している複数の物体の接触領域へと分割する。分水界というコンセプトは、はじめは地理学、より詳細には地形学の領域から来たものであり、起伏の上に落ちる水滴は下降する経路を辿り、ついには最低限度に達し、分水界は水滴を引き込む領域の分割ラインである。ここでは、分水界のラインはタッチ・スクリーンに接触している別々の物体を最良のポイントで分割するピクセルの位置を表している。分水界アルゴリズムは広範囲にわたる様々なものとすることができる。特定の一実装形態においては、分水界アルゴリズムは(それぞれのポイントの大きさに基づいて)低い各ポイントから1つの最高ポイントへの経路を形成するステップと、その最高ポイントを、特定の接触領域を表すIDラベルとして区分するステップと、その経路上のそれぞれのポイント(ピクセル)をその最高ポイントに関連付けるステップとを含む。これらのステップは、イメージ・マップの全体にわたって実行され、したがって、タッチスクリーンに接触しているそれぞれの物体に関連する接触領域が浮き彫りになる。
【0083】
ブロック308に続いて、処理の流れはブロック310へ進み、このブロック310では、接触領域のそれぞれに関する座標が計算される。これは、それぞれの接触領域に関連付けられている未加工のデータを用いて重心の計算を実行することによって達成することができる。例えば接触領域が決定されると、そこに関連付けられている未加工のデータを使用して、接触領域の重心を計算することができる。重心は、接触領域の中心の座標を表すことができる。例えばXの重心とYの重心は下記の式を用いて求めることができる。
Xc=ΣZ*x/ΣZ、
Yc=ΣZ*y/ΣZ、
ここでは、Xcは接触領域のxの重心を表し、
Ycは接触領域のyの重心を表し、
xは接触領域内のそれぞれのピクセルすなわちポイントのx座標を表し、
yは接触領域内のそれぞれのピクセルすなわちポイントのy座標を表し、
Zはそれぞれのピクセルすなわちポイントにおける大きさ(静電容量の値)を表す。
【0084】
接触領域に関する重心計算の一例が図17Eに示されている。図示されているように、それぞれの接触領域は、別々のx、y座標を表している。これらの座標を使用して、ブロック312に示されているようにマルチポイントの探知を実行することができる。例えば接触領域のそれぞれに関する座標を、接触領域の以前の座標と比較して、タッチ・スクリーンに接触している物体の位置の変化、または接触している物体の数が増えたか否か、減ったか否か、あるいは特定の物体が触れているかどうかについて判断することができる。
【0085】
図18、図19は、本発明の複数の実施形態による電子デバイス350を示す側面図である。電子デバイス350は、LCDディスプレイ352と、そのLCDディスプレイ352の上に配置されている透明なタッチ・スクリーン354とを含む。タッチ・スクリーン354は、保護シート356と、1つまたは複数の感知層358と、底面のガラス部材360とを含む。この実施形態においては、底面のガラス部材360はLCDディスプレイ352の前面のガラスである。さらに感知層358は、上述のように、自己静電容量または相互静電容量のいずれかに対して構成させることができる。一般に感知層358は、感知層358を感知回路(図示せず)へ結合するための複数の相互接続をタッチ・スクリーンの縁部に含む。例えば感知層358は、タッチ・スクリーン354の側部に取り付けられている1つまたは複数のフレックス回路362を通じて感知回路へ電気的に結合することができる。
【0086】
図示されているように、LCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354は、筐体364内に配置されている。筐体364は、これらのコンポーネントを電子デバイス350内のそれらの組み立てられた位置において覆って支持する役割を果たす。筐体364は、LCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354とを配置するためのスペースと開口部366を提供し、これによって、筐体364を通してディスプレイ・スクリーンを見ることができる。一実施形態においては、図18に示されているように、筐体364は、LCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354の側部を覆うための外面370を含む。あまり詳細には図示されていないが、外面370は、LCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354の全外周のまわりに配置されている。外面370は、相互接続を隠してLCDディスプレイ352とタッチ・スクリーン354のアクティブなエリアのみを視界に残す役割を果たす。
【0087】
別の実施形態においては、図19に示されているように、筐体364は、外面370ではなくマスク372を含み、このマスク372は、筐体364の側部の間に延びるタッチ・スクリーン354の上面のガラス374の内側部分に印刷される。この特定の構成によって、マスク372は上面のガラス356内に沈んでいるように見える。マスク372は外面370と同じ機能を果たすが、より洗練されたソリューションである。一実装形態においては、マスク372は高温の黒いポリマーから形成される。図19に示されている実施形態においては、タッチ・スクリーン354は、相互静電容量の感知に基づいており、したがって感知層358は、駆動ライン376と感知ライン378を含む。駆動ライン376は上面のガラス356とマスク372の上に配置されており、感知ライン378は底面のガラス360の上に配置されている。駆動ライン376と感知ライン378はスペーサ380を介して互いに絶縁されている。スペーサ380は例えば光学的に整合する材料を内部に保有するかまたは塗布された透明なプラスチック片とすることができる。
【0088】
一実施形態においては、図18と図19の双方を参照すると、電子デバイス350は、タブレット・コンピュータに相当する。この実施形態においては、筐体364はタブレット・コンピュータのためのコンピューティング・オペレーションを提供する様々な集積回路チップやその他の回路382を収納している。例えば、それらの集積回路チップとその他の回路としては、マイクロプロセッサ、マザーボード、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random−Access Memory)、ハード・ドライブ、ディスク・ドライブ、バッテリー、様々な入力/出力サポート・デバイスを含むことができる。
【0089】
いくつかの好ましい実施形態の観点から本発明について説明したが、本発明の範囲内に収まる変更、置換、均等物が存在する。例えばこのタッチ・スクリーンは、主として容量感知を対象としたが、本明細書に記載されている特徴の一部またはすべては、その他の感知方法に適用することもできるという点に留意されたい。本発明の方法と装置を実装する多くの代替方法が存在するという点にも留意されたい。したがって添付の特許請求の範囲は、本発明の真正な趣旨および範囲内に収まる変更、置換、および均等物をすべて含むものとして解釈されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】従来のタッチ・スクリーンを手に持っているユーザを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による特定の時点におけるタッチ・スクリーンの平面のイメージを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による複数ポイントへの接触に関する方法を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるコンピュータ・システムのブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による透明な複数ポイント・タッチ・スクリーンを示す部分平面図である。
【図7】本発明の一実施形態による透明なマルチ・ポイント・タッチ・スクリーンを示す部分平面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の断面を示す正面図である。
【図9】本発明の別の実施形態による透明なマルチポイント・タッチ・スクリーンを示す平面図である。
【図10】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の断面を示す部分正面図である。
【図11】一実施形態による駆動層および感知層を示す部分平面図である。
【図12】本発明の一実施形態による相互静電容量回路を示す略図である。
【図13】本発明の一実施形態による電荷増幅器を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態による容量感知回路を示すブロック図である。
【図15】本発明の一実施形態による流れ図である。
【図16】本発明の一実施形態によるデジタル信号の処理方法を示す流れ図である。
【図17】本発明の一実施形態によるいくつかのステップにおける接触データを示す図である。
【図18】本発明の一実施形態による電子デバイスを示す側面図である。
【図19】本発明の一実施形態による電子デバイスを示す側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な容量感知媒体を有するタッチ・パネルであって、前記タッチ・パネルの平面内の別々の位置で同時に生じる複数の接触または接触に近い状態を検知し、かつ前記複数の接触のそれぞれに関して前記タッチ・パネルの平面上における前記接触の位置を表す別々の信号を生成するように構成されているタッチ・パネル。
【請求項2】
前記透明な感知媒体が透明な静電容量感知ノードのピクセルのアレイを含む請求項1に記載のタッチ・パネル。
【請求項3】
前記透明な容量感知媒体が、透明な導電材料から形成されている複数の電気的に絶縁された電極と電極トレースを含む透明な電極層を含み、
前記電極のそれぞれが前記タッチ・パネルの平面内の別々の位置に配置されており、かつ容量モニタリング回路へ動作可能に結合する個々のトレースを有する請求項1に記載のタッチ・パネル。
【請求項4】
前記トレースを介して前記電極へ動作可能に結合されており、前記電極のそれぞれにおける静電容量をモニタするための1つまたは複数の集積回路をさらに含む請求項3に記載のタッチ・パネル。
【請求項5】
前記電極が行と列の状態で配置されている請求項3に記載のタッチ・パネル。
【請求項6】
前記透明な容量感知媒体が、
互いに電気的に絶縁されて透明な導電材料から形成されている複数のラインを有する第1の層と、
前記第1の層から空間的に分離されている第2の層であって、互いに電気的に絶縁されて透明な導電材料から形成されている複数のラインを有し、前記第2の導電性ラインが前記第1の導電性ラインに直交する状態で配置されており、直交する両ラインの交点が前記タッチ・パネルの平面内の別々の位置に配置されており、前記導電性ラインのそれぞれが容量モニタリング回路へ動作可能に結合されている、前記第2の層とを含む請求項1に記載のタッチ・パネル。
【請求項7】
前記層のそれぞれの上の前記ラインが、互いに実質的に平行である請求項6に記載のタッチ・パネル。
【請求項8】
別々の層の上の前記ラインが互いに実質的に垂直である請求項7に記載のタッチ・パネル。
【請求項9】
前記第1の層の前記ラインが第1のガラス部材上に配置されており、前記第2の層の前記ラインが第2のガラス部材上に配置されており、前記第1のガラス部材が前記第2のガラス部材の上に配置されている請求項6に記載のタッチ・パネル。
【請求項10】
前記第1のガラス部材の上に配置されている第3のガラス部材をさらに含み、前記第1のガラス部材と前記第2のガラス部材が1つの接着層を介して互いに連結されており、前記第3のガラス部材が別の接着層を介して前記第1のガラス部材に連結されている請求項9に記載のタッチ・パネル。
【請求項11】
グラフィカル・ユーザ・インターフェースを表示するためのスクリーンを有するディスプレイと、
前記スクリーンを見ることができる透明なタッチ・パネルであって、前記タッチ・スクリーンの接触感知面上の別々の位置で同時に生じる複数の接触事象を認識し、その情報をホスト・デバイスへ出力するタッチ・パネルと
を含むディスプレイ装置。
【請求項12】
前記タッチ・パネルが、前記タッチ・パネルの前記接触感知面の全面にわたって別々のポイントでの接触とそれらの接触の大きさを同時に検知してモニタするように構成されているマルチポイント感知装置を含む請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記マルチポイント感知装置が、互いに独立して機能して前記タッチ・スクリーン上の別々のポイントを表す複数の透明な容量感知ノードを提供する請求項12に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記容量感知ノードが透明な導電媒体を用いて形成される請求項2と13に記載のタッチ・パネル。
【請求項15】
前記容量感知ノードが自己静電容量に基づく請求項14に記載のタッチ・パネル。
【請求項16】
前記透明な導電媒体が電気的に絶縁された電極およびトレースへとパターニングされており、それぞれの電極が前記タッチ・スクリーンの前記平面内の別々の座標を表し、前記トレースが前記電極を容量感知回路へ接続する請求項15に記載のタッチ・パネル。
【請求項17】
前記容量感知ノードが相互静電容量に基づく請求項14に記載のタッチ・パネル。
【請求項18】
前記透明な導電媒体が2つの異なる層の上に形成されている空間的に分離されたラインのグループへとパターニングされており、駆動ラインが第1の層の上に形成されており、感知ラインが第2の層の上に形成されており、前記感知ラインが容量感知ノードを形成するために前記駆動ラインと直交しており、前記駆動ラインが電源へ接続されており、前記感知ラインが容量感知回路へ接続されており、前記電源が一度に1本の駆動ラインを通じて電流を駆動し、静電結合のために、前記電流が前記容量感知ノードのそれぞれにおける前記感知ラインまで運ばれる請求項17に記載のタッチ・パネル。
【請求項19】
前記透明な導電材料がITOに相当する請求項3から10および14から18のいずれか1項に記載のタッチ・パネル。
【請求項20】
前記容量感知ノードが容量感知回路へ結合されており、前記容量感知回路が前記容量感知ノードのそれぞれにおいて生じる静電容量の変化をモニタし、その際、複数の接触事象を認識する上で役立てるために、変化が生じている位置とそれらの変化の大きさとが使用される請求項2または13に記載のタッチ・パネル。
【請求項21】
前記容量感知回路が、
前記容量感知ノードのそれぞれからの信号を同時に受け取り、前記信号をすべて保存し、出力チャネルを通じて前記信号を一度に1つずつ順番に放つマルチプレクサ(MUX)と、
前記出力チャネルを通じて前記MUXへ動作可能に結合されているアナログ/デジタル・コンバータであって、入力アナログ信号を出力デジタル信号へ変換するように構成されているアナログ/デジタル・コンバータと、
前記アナログ/デジタル・コンバータへ動作可能に結合されているデジタル・シグナル・プロセッサであって、ノイズの事象を未加工のデータからフィルタで除去し、前記タッチ・スクリーン上で同時に生じるそれぞれの接触に関する接触境界を計算し、次いでそれぞれの接触に関する座標を決定するデジタル・シグナル・プロセッサとを含む請求項3、6、16、18、20のいずれか1項に記載のタッチ・パネル。
【請求項22】
前記タッチ・パネルが、
前記ディスプレイの前記スクリーンの上に配置されているガラス部材と、
前記ガラス部材の上に配置されている透明な導電層であって、電気的に絶縁された電極のピクセルのアレイを含む導電層と、
前記電極層の上に配置されている透明なカバー・シートと、
前記電極へ動作可能に結合されている1つまたは複数のセンサ集積回路とを含む請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項23】
前記タッチ・パネルが、
前記ディスプレイの前記スクリーンの上に配置されている第1のガラス部材と、
前記第1のガラス部材の上に配置されている第1の透明な導電層であって、同じ間隔とライン幅を有する複数の間隔を隔てた平行なラインを含む第1の透明な導電層と、
前記第1の透明な導電層の上に配置されている第2のガラス部材と、
前記第2のガラス部材の上に配置されている第2の透明な導電層であって、同じ間隔とライン幅を有する複数の間隔を隔てた平行なラインを含み、前記第2の透明な導電層の前記平行なラインが前記第1の透明な導電層の前記平行なラインに対して実質的に垂直である第2の透明な導電層と、
前記第2の透明な導電層の上に配置されている第3のガラス部材と、
前記ラインへ動作可能に結合されている1つまたは複数のセンサ集積回路とを含む請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項24】
前記ラインどうしの間のスペース内に配置されているダミー・フィーチャをさらに含み、前記ダミー・フィーチャが、前記ラインの光学指数をより厳密に整合することによって前記タッチ・スクリーンまたはパネルの視覚的な見え方を光学的に改善する請求項6から10、18、23のいずれか1項に記載のタッチ・パネル。
【請求項25】
前記ダミー・フィーチャが電気的に絶縁されており、透明な導電材料から形成されている請求項24に記載のタッチ・パネル。
【請求項26】
少なくともコンピュータによって実行可能なコンピュータ・コードを含むコンピュータ可読メディアであって、前記コンピュータ・コードが、
透明なタッチ・スクリーンの表面上で複数の接触を同時に受けるステップと、
前記複数の接触のそれぞれを別々に認識するステップ、
前記認識した複数の接触に基づいて接触データを報告するステップとを含むコンピュータ可読メディア。
【請求項27】
前記複数の接触が請求項1から25に記載されているタッチ・パネルのいずれかによって認識される請求項26に記載のコンピュータ・コード。
【請求項28】
前記複数の接触のそれぞれを別々に認識するステップが、
前記タッチ・スクリーンの第1の層に配置されている複数の空間的に分離された駆動ラインを通じて第1の電流を別々に駆動するステップと、
前記タッチ・スクリーンの第2の層に配置されている複数の空間的に分離された感知ラインのそれぞれにおける電流を継続的に測定するステップであって、前記感知ラインが前記駆動ラインに直交するように配向されており、前記複数の空間的に分離された感知ラインのそれぞれにおける前記電流が、前記駆動ラインと前記感知ラインの間に見られる交点における静電結合を介して生成され、1つの感知ラインにおける電流の変化が前記感知ラインとその時点で駆動されている前記駆動ラインとの前記交点における接触を示すステップとを含む請求項26に記載のコンピュータ・コード。
【請求項29】
前記複数の接触のそれぞれを別々に認識するステップが、
前記タッチ・スクリーンの同じ層に配置されていて互いに空間的に分離されている複数の電極での静電容量を測定するステップであって、前記静電容量が1つの電極の上でいつ接触が生じているかを示すステップを含む請求項26に記載のコンピュータ・コード。
【請求項30】
命令を実行するように、およびコンピュータ・システムに関連付けられているオペレーションを実行するように構成されているプロセッサと、
前記プロセッサへ動作可能に結合されているディスプレイ・デバイスと、
前記プロセッサへ動作可能に結合されているタッチ・スクリーンとを含み、前記タッチ・スクリーンが前記ディスプレイの前に配置されている実質的に透明なパネルであり、前記タッチ・スクリーンが、前記タッチ・スクリーン上に載っている複数の物体、前記タッチ・スクリーン上に触れる複数の物体、あるいは前記タッチ・スクリーン上を移動する複数の物体を同時に探知するように構成されており、前記タッチ・スクリーンが、前記タッチ・スクリーンの平面の全体にわたって配置されたいくつかの独立した空間的に別々の感知ポイントへと分割されている容量感知デバイスを含み、それぞれの感知ポイントが1つの信号を同時に生成することができ、さらに、前記タッチ・スクリーンが前記感知デバイスからデータを入手して前記入手したデータを前記プロセッサに提供する感知回路を含むコンピュータ・システム。
【請求項31】
前記タッチ・スクリーンが請求項1から25に記載されているタッチ・スクリーンのいずれかの中から選択される請求項30に記載のコンピュータ・システム。
【請求項32】
タッチ・スクリーン方法であって、
前記タッチ・スクリーンの複数の感知ポイントを駆動するステップと、
前記感知ポイントに接続されているすべての感知ラインからの出力を読み取るステップと、
物体が前記タッチ・スクリーンのどこに接触しているかを判定するために1つの時点における前記タッチ・スクリーンの平面のイメージを作成して分析するステップと、
前記タッチ・スクリーンに接触している前記物体のそれぞれにおける変化を判定するために前記現在のイメージを過去のイメージと比較するステップと
を含む方法。
【請求項33】
前記タッチ・スクリーンが請求項1から25に記載されているタッチ・スクリーンのいずれかの中から選択される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記イメージを作成して分析するステップがそれぞれの個別の接触に関して境界を計算して座標を決定するステップを含む請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記物体のそれぞれにおける変化を判定するステップが前記物体のそれぞれに関する圧力、位置、方向、速度、加速度における変化を判定するステップを含む請求項32に記載の方法。
【請求項36】
デジタル信号の処理方法であって、
タッチ・スクリーンのそれぞれの透明な容量感知ノードに関する値を含む未加工のデータを受け取るステップと、
ノイズを削減するために前記未加工のデータをフィルタにかけるステップと、
勾配データを生成するステップと、
前記勾配データに基づいて接触領域に関する境界を計算するステップと、
それぞれの接触領域に関する座標を計算するステップと
を含む方法。
【請求項37】
前記勾配データが連続しているデータ・ポイントのそれぞれのグループのトポロジを表し、そのトポロジがそれぞれのデータ・ポイントに関する容量の値に基づく請求項36に記載の方法。
【請求項38】
フィルタにかけるステップが、他のデータ・ポイントと連続していないデータ・ポイントを除去するステップを含み、前記境界を計算するステップがどのデータ・ポイントどうしがグループにまとめられて1つの接触領域を形成しているかを判定するステップを含み、前記座標を計算するステップが前記未加工のデータを用いて、前記接触領域の中心の座標を表す重心の計算を実行するステップを含む請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記接触領域のそれぞれに関する前記座標を、前記接触領域の以前の座標と比較して、前記タッチ・スクリーンに接触している物体の位置の変化、または前記タッチ・スクリーンから物体の数が増えたか否か、減ったか否か、あるいは特定の物体が触れているかどうかについて判断するステップをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記境界が分水界アルゴリズムを用いて計算される請求項36に記載の方法。
【請求項1】
透明な容量感知媒体を有するタッチ・パネルであって、前記タッチ・パネルの平面内の別々の位置で同時に生じる複数の接触または接触に近い状態を検知し、かつ前記複数の接触のそれぞれに関して前記タッチ・パネルの平面上における前記接触の位置を表す別々の信号を生成するように構成されているタッチ・パネル。
【請求項2】
前記透明な感知媒体が透明な静電容量感知ノードのピクセルのアレイを含む請求項1に記載のタッチ・パネル。
【請求項3】
前記透明な容量感知媒体が、透明な導電材料から形成されている複数の電気的に絶縁された電極と電極トレースを含む透明な電極層を含み、
前記電極のそれぞれが前記タッチ・パネルの平面内の別々の位置に配置されており、かつ容量モニタリング回路へ動作可能に結合する個々のトレースを有する請求項1に記載のタッチ・パネル。
【請求項4】
前記トレースを介して前記電極へ動作可能に結合されており、前記電極のそれぞれにおける静電容量をモニタするための1つまたは複数の集積回路をさらに含む請求項3に記載のタッチ・パネル。
【請求項5】
前記電極が行と列の状態で配置されている請求項3に記載のタッチ・パネル。
【請求項6】
前記透明な容量感知媒体が、
互いに電気的に絶縁されて透明な導電材料から形成されている複数のラインを有する第1の層と、
前記第1の層から空間的に分離されている第2の層であって、互いに電気的に絶縁されて透明な導電材料から形成されている複数のラインを有し、前記第2の導電性ラインが前記第1の導電性ラインに直交する状態で配置されており、直交する両ラインの交点が前記タッチ・パネルの平面内の別々の位置に配置されており、前記導電性ラインのそれぞれが容量モニタリング回路へ動作可能に結合されている、前記第2の層とを含む請求項1に記載のタッチ・パネル。
【請求項7】
前記層のそれぞれの上の前記ラインが、互いに実質的に平行である請求項6に記載のタッチ・パネル。
【請求項8】
別々の層の上の前記ラインが互いに実質的に垂直である請求項7に記載のタッチ・パネル。
【請求項9】
前記第1の層の前記ラインが第1のガラス部材上に配置されており、前記第2の層の前記ラインが第2のガラス部材上に配置されており、前記第1のガラス部材が前記第2のガラス部材の上に配置されている請求項6に記載のタッチ・パネル。
【請求項10】
前記第1のガラス部材の上に配置されている第3のガラス部材をさらに含み、前記第1のガラス部材と前記第2のガラス部材が1つの接着層を介して互いに連結されており、前記第3のガラス部材が別の接着層を介して前記第1のガラス部材に連結されている請求項9に記載のタッチ・パネル。
【請求項11】
グラフィカル・ユーザ・インターフェースを表示するためのスクリーンを有するディスプレイと、
前記スクリーンを見ることができる透明なタッチ・パネルであって、前記タッチ・スクリーンの接触感知面上の別々の位置で同時に生じる複数の接触事象を認識し、その情報をホスト・デバイスへ出力するタッチ・パネルと
を含むディスプレイ装置。
【請求項12】
前記タッチ・パネルが、前記タッチ・パネルの前記接触感知面の全面にわたって別々のポイントでの接触とそれらの接触の大きさを同時に検知してモニタするように構成されているマルチポイント感知装置を含む請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記マルチポイント感知装置が、互いに独立して機能して前記タッチ・スクリーン上の別々のポイントを表す複数の透明な容量感知ノードを提供する請求項12に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記容量感知ノードが透明な導電媒体を用いて形成される請求項2と13に記載のタッチ・パネル。
【請求項15】
前記容量感知ノードが自己静電容量に基づく請求項14に記載のタッチ・パネル。
【請求項16】
前記透明な導電媒体が電気的に絶縁された電極およびトレースへとパターニングされており、それぞれの電極が前記タッチ・スクリーンの前記平面内の別々の座標を表し、前記トレースが前記電極を容量感知回路へ接続する請求項15に記載のタッチ・パネル。
【請求項17】
前記容量感知ノードが相互静電容量に基づく請求項14に記載のタッチ・パネル。
【請求項18】
前記透明な導電媒体が2つの異なる層の上に形成されている空間的に分離されたラインのグループへとパターニングされており、駆動ラインが第1の層の上に形成されており、感知ラインが第2の層の上に形成されており、前記感知ラインが容量感知ノードを形成するために前記駆動ラインと直交しており、前記駆動ラインが電源へ接続されており、前記感知ラインが容量感知回路へ接続されており、前記電源が一度に1本の駆動ラインを通じて電流を駆動し、静電結合のために、前記電流が前記容量感知ノードのそれぞれにおける前記感知ラインまで運ばれる請求項17に記載のタッチ・パネル。
【請求項19】
前記透明な導電材料がITOに相当する請求項3から10および14から18のいずれか1項に記載のタッチ・パネル。
【請求項20】
前記容量感知ノードが容量感知回路へ結合されており、前記容量感知回路が前記容量感知ノードのそれぞれにおいて生じる静電容量の変化をモニタし、その際、複数の接触事象を認識する上で役立てるために、変化が生じている位置とそれらの変化の大きさとが使用される請求項2または13に記載のタッチ・パネル。
【請求項21】
前記容量感知回路が、
前記容量感知ノードのそれぞれからの信号を同時に受け取り、前記信号をすべて保存し、出力チャネルを通じて前記信号を一度に1つずつ順番に放つマルチプレクサ(MUX)と、
前記出力チャネルを通じて前記MUXへ動作可能に結合されているアナログ/デジタル・コンバータであって、入力アナログ信号を出力デジタル信号へ変換するように構成されているアナログ/デジタル・コンバータと、
前記アナログ/デジタル・コンバータへ動作可能に結合されているデジタル・シグナル・プロセッサであって、ノイズの事象を未加工のデータからフィルタで除去し、前記タッチ・スクリーン上で同時に生じるそれぞれの接触に関する接触境界を計算し、次いでそれぞれの接触に関する座標を決定するデジタル・シグナル・プロセッサとを含む請求項3、6、16、18、20のいずれか1項に記載のタッチ・パネル。
【請求項22】
前記タッチ・パネルが、
前記ディスプレイの前記スクリーンの上に配置されているガラス部材と、
前記ガラス部材の上に配置されている透明な導電層であって、電気的に絶縁された電極のピクセルのアレイを含む導電層と、
前記電極層の上に配置されている透明なカバー・シートと、
前記電極へ動作可能に結合されている1つまたは複数のセンサ集積回路とを含む請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項23】
前記タッチ・パネルが、
前記ディスプレイの前記スクリーンの上に配置されている第1のガラス部材と、
前記第1のガラス部材の上に配置されている第1の透明な導電層であって、同じ間隔とライン幅を有する複数の間隔を隔てた平行なラインを含む第1の透明な導電層と、
前記第1の透明な導電層の上に配置されている第2のガラス部材と、
前記第2のガラス部材の上に配置されている第2の透明な導電層であって、同じ間隔とライン幅を有する複数の間隔を隔てた平行なラインを含み、前記第2の透明な導電層の前記平行なラインが前記第1の透明な導電層の前記平行なラインに対して実質的に垂直である第2の透明な導電層と、
前記第2の透明な導電層の上に配置されている第3のガラス部材と、
前記ラインへ動作可能に結合されている1つまたは複数のセンサ集積回路とを含む請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項24】
前記ラインどうしの間のスペース内に配置されているダミー・フィーチャをさらに含み、前記ダミー・フィーチャが、前記ラインの光学指数をより厳密に整合することによって前記タッチ・スクリーンまたはパネルの視覚的な見え方を光学的に改善する請求項6から10、18、23のいずれか1項に記載のタッチ・パネル。
【請求項25】
前記ダミー・フィーチャが電気的に絶縁されており、透明な導電材料から形成されている請求項24に記載のタッチ・パネル。
【請求項26】
少なくともコンピュータによって実行可能なコンピュータ・コードを含むコンピュータ可読メディアであって、前記コンピュータ・コードが、
透明なタッチ・スクリーンの表面上で複数の接触を同時に受けるステップと、
前記複数の接触のそれぞれを別々に認識するステップ、
前記認識した複数の接触に基づいて接触データを報告するステップとを含むコンピュータ可読メディア。
【請求項27】
前記複数の接触が請求項1から25に記載されているタッチ・パネルのいずれかによって認識される請求項26に記載のコンピュータ・コード。
【請求項28】
前記複数の接触のそれぞれを別々に認識するステップが、
前記タッチ・スクリーンの第1の層に配置されている複数の空間的に分離された駆動ラインを通じて第1の電流を別々に駆動するステップと、
前記タッチ・スクリーンの第2の層に配置されている複数の空間的に分離された感知ラインのそれぞれにおける電流を継続的に測定するステップであって、前記感知ラインが前記駆動ラインに直交するように配向されており、前記複数の空間的に分離された感知ラインのそれぞれにおける前記電流が、前記駆動ラインと前記感知ラインの間に見られる交点における静電結合を介して生成され、1つの感知ラインにおける電流の変化が前記感知ラインとその時点で駆動されている前記駆動ラインとの前記交点における接触を示すステップとを含む請求項26に記載のコンピュータ・コード。
【請求項29】
前記複数の接触のそれぞれを別々に認識するステップが、
前記タッチ・スクリーンの同じ層に配置されていて互いに空間的に分離されている複数の電極での静電容量を測定するステップであって、前記静電容量が1つの電極の上でいつ接触が生じているかを示すステップを含む請求項26に記載のコンピュータ・コード。
【請求項30】
命令を実行するように、およびコンピュータ・システムに関連付けられているオペレーションを実行するように構成されているプロセッサと、
前記プロセッサへ動作可能に結合されているディスプレイ・デバイスと、
前記プロセッサへ動作可能に結合されているタッチ・スクリーンとを含み、前記タッチ・スクリーンが前記ディスプレイの前に配置されている実質的に透明なパネルであり、前記タッチ・スクリーンが、前記タッチ・スクリーン上に載っている複数の物体、前記タッチ・スクリーン上に触れる複数の物体、あるいは前記タッチ・スクリーン上を移動する複数の物体を同時に探知するように構成されており、前記タッチ・スクリーンが、前記タッチ・スクリーンの平面の全体にわたって配置されたいくつかの独立した空間的に別々の感知ポイントへと分割されている容量感知デバイスを含み、それぞれの感知ポイントが1つの信号を同時に生成することができ、さらに、前記タッチ・スクリーンが前記感知デバイスからデータを入手して前記入手したデータを前記プロセッサに提供する感知回路を含むコンピュータ・システム。
【請求項31】
前記タッチ・スクリーンが請求項1から25に記載されているタッチ・スクリーンのいずれかの中から選択される請求項30に記載のコンピュータ・システム。
【請求項32】
タッチ・スクリーン方法であって、
前記タッチ・スクリーンの複数の感知ポイントを駆動するステップと、
前記感知ポイントに接続されているすべての感知ラインからの出力を読み取るステップと、
物体が前記タッチ・スクリーンのどこに接触しているかを判定するために1つの時点における前記タッチ・スクリーンの平面のイメージを作成して分析するステップと、
前記タッチ・スクリーンに接触している前記物体のそれぞれにおける変化を判定するために前記現在のイメージを過去のイメージと比較するステップと
を含む方法。
【請求項33】
前記タッチ・スクリーンが請求項1から25に記載されているタッチ・スクリーンのいずれかの中から選択される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記イメージを作成して分析するステップがそれぞれの個別の接触に関して境界を計算して座標を決定するステップを含む請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記物体のそれぞれにおける変化を判定するステップが前記物体のそれぞれに関する圧力、位置、方向、速度、加速度における変化を判定するステップを含む請求項32に記載の方法。
【請求項36】
デジタル信号の処理方法であって、
タッチ・スクリーンのそれぞれの透明な容量感知ノードに関する値を含む未加工のデータを受け取るステップと、
ノイズを削減するために前記未加工のデータをフィルタにかけるステップと、
勾配データを生成するステップと、
前記勾配データに基づいて接触領域に関する境界を計算するステップと、
それぞれの接触領域に関する座標を計算するステップと
を含む方法。
【請求項37】
前記勾配データが連続しているデータ・ポイントのそれぞれのグループのトポロジを表し、そのトポロジがそれぞれのデータ・ポイントに関する容量の値に基づく請求項36に記載の方法。
【請求項38】
フィルタにかけるステップが、他のデータ・ポイントと連続していないデータ・ポイントを除去するステップを含み、前記境界を計算するステップがどのデータ・ポイントどうしがグループにまとめられて1つの接触領域を形成しているかを判定するステップを含み、前記座標を計算するステップが前記未加工のデータを用いて、前記接触領域の中心の座標を表す重心の計算を実行するステップを含む請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記接触領域のそれぞれに関する前記座標を、前記接触領域の以前の座標と比較して、前記タッチ・スクリーンに接触している物体の位置の変化、または前記タッチ・スクリーンから物体の数が増えたか否か、減ったか否か、あるいは特定の物体が触れているかどうかについて判断するステップをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記境界が分水界アルゴリズムを用いて計算される請求項36に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2007−533044(P2007−533044A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508653(P2007−508653)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014364
【国際公開番号】WO2005/114369
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(500027770)アプル・コンピュータ・インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014364
【国際公開番号】WO2005/114369
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(500027770)アプル・コンピュータ・インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】
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