説明

マルチモニターディスプレイ

マルチモニターディスプレイを開示する。マルチモニターディスプレイは、単一のN×Mビデオディスプレイ用に構成されたビデオデータを受信し、ビデオデータをN×Mディスプレイにわたる複数の部分に分離し、複数の部分を対応する複数のディスプレイに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、本願発明者等によって2009年1月13日に出願され、同じ権利者に特許された、米国特許出願第12/353,132号の優先権を請求し、その全体を参照によって組み込む。
【0002】
本発明は、マルチモニタードライブに関し、特に各モニターについて個別のドライバを備えていないマルチモニタードライブに関する。
【背景技術】
【0003】
複数モニターを利用することは、より一般的になりつつある。2006年4月20日のニューヨークタイムズ誌で引用された、Jon Peddie Researchの調査によれば、複数モニターの使用により作業者の能率は20〜30%増加することが予測されている。また、複数モニターの利用は、ビデオゲームや映像のような娯楽をさらに強化することができる。
【0004】
しかし、複数モニターを取得するためには、通常は各モニターについて1つずつ、複数のビデオグラフィックドライバを必要とする。例えばデスクトップコンピュータは、複数のグラフィックカードまたは複数のドライバを備えた単一のグラフィックカードを備えている。ノートブックコンピュータは、複数モニターを駆動するため、PCMIAカードバスカード等を備えている。さらに、USBポートを利用して、別モニターを駆動することができる。
【0005】
しかし、これらオプションを実装するのはコスト高であり、各追加モニターについてハードウェアのアップグレードを必要とし、通常は大電力を消費する。USBポートは、特に他のデバイスがポートを利用しているとき、モニターへ良好な解像度を提供できるだけの帯域幅を十分に有していない。
【0006】
したがって、複数モニターを使用することができるシステムへのニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、マルチモニターシステムは、N×Mサイズのビデオディスプレイに適したビデオデータを受信するビデオ受信器;対応する各ビデオディスプレイ上でビデオデータの一部を表示するためのビデオデータをそれぞれ提供する複数のビデオ送信器;ビデオ受信器とビデオ送信器の間に接続され、ビデオ受信器からビデオデータを分離してビデオデータの一部を各ビデオ送信器へ提供するスプリッタ;を備える。
【0008】
本発明に係るマルチモニターディスプレイを提供する方法は、単一のN×Mビデオディスプレイ用に構成されたビデオデータを受信するステップ;ビデオデータを、その全体をカバーする複数の部分へ分離するステップ;複数部分を対応するディスプレイへ送信するステップ;を有する。
【0009】
データの送受信は、DisplayPort規格にしたがって実施される。これらおよびその他の実施形態は、図面とともに以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】DisplayPort規格の要素を示す。
【図2A】DisplayPort規格に基づくピクセルデータのパッケージングを示す。
【図2B】DisplayPort規格に基づくピクセルデータのパッケージングを示す。
【図3】本発明に係るマルチモニターシステムを示す。
【図4A】別の構成に基づくマルチモニターシステムの実施形態の利用を示す。
【図4B】別の構成に基づくマルチモニターシステムの実施形態の利用を示す。
【図5A】本発明に係るマルチモニターシステムの実施形態を示す。
【図5B】本発明に係るマルチモニターシステムの実施形態を示す。
【図6A】図5Aと図5Bに示したマルチモニターシステムの画像スプリッタ構成要素を図示する。
【図6B】図5Aと図5Bに示したマルチモニターシステムの画像スプリッタ構成要素を図示する。
【図7】図5Aと図5Bに示すような画像スプリッタのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各図において、同じ符号を有する構成要素は、同じまたは類似する機能を有する。
【0012】
以下の説明において、特定の詳細記述は本発明の特定の実施形態を表す。しかし当業者にとって、本発明はそれら詳細部分のいくつかまたは全てがなくとも実施できることは、明らかであろう。特定の実施形態は、本発明を説明するためのものであり、限定するためのものではない。当業者は、ここでは具体的に説明していないが本開示の範囲および要旨に含まれるその他の構成要素を用いることができる。
【0013】
説明目的のみのため、VESA DisplayPort規格に適用することができる、本発明の実施形態を以下に説明する。VESA DisplayPort規格,Version1,Revision1aは、2008年1月11日にリリースされ、カリフォルニア州95035,860 Hillview Court,Suite 150,Milpitasの、Video Electronics Standard Association(VESA)から入手することができる。同規格は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。当業者は、本発明の実施形態をその他のビデオディスプレイ規格とともに利用できることを理解するであろう。
【0014】
DisplayPort(DP)規格は、図1に示されている。図1は、ビデオシンク120と接続されたビデオソース100を示す。ソース100は、ビデオデータのソースである。シンク120は、表示するビデオデータを受信する。データは、ソース100とシンク120の間を、3つのデータリンクを介して伝搬する。メインリンク、補助チャネル、Hot Plug Detect(HPD)である。ソース100は、ソース100のメインリンク112とシンク120のメインリンク132の間で、メインリンクデータを送信する。これらは広帯域のフォワード伝送リンクである。補助チャネルデータは、ソース100の補助チャネル114とシンク120の補助チャネル134の間で伝送される。これらは双方向補助チャネルである。HDPデータは、ソース100のHDP116とシンク136のHDP136の間で伝送される。
【0015】
DP規格は現在、メインリンク112を介して、10.8Gbps(ギガビット毎秒)までを提供している。これは、QXGA(2048×1536)ピクセルフォーマット以上および24ビット色深度以上をサポートする。さらに、DP規格は現在、色成分毎に6、8、10、12、16ビットの様々な色深度伝送を提供している。DP規格によれば、双方向補助チャネル114は、最大遅延500マイクロ秒で1Mbps(メガビット毎秒)までを提供する。さらに、Hot Plug Detectionチャネル116が提供される。DP規格は、24bppで50160Hzの最小伝送1080pラインを15メートルの4レーン上で提供する。
【0016】
さらにDP規格は、シンク120(通常はディスプレイを含むが、リピータまたは複製器である場合もある)が電源に接続されていれば、拡張ディスプレイ識別データ(EDID)の読み取りをサポートする。さらにDP規格は、ディスプレイデータチャネル/コマンドインターフェース(DDC/CI)、モニターコマンドおよび制御セット(MMCS)コマンド伝送をサポートする。さらにDP規格は、スケーリング、個別のディスプレイコントローラ、またはオンスクリーンディスプレイ(OSD)機能を備えていない構成をサポートする。
【0017】
DP規格は、様々な音声および映像コンテンツ標準をサポートする。例えば、DP規格は高品質非圧縮音声映像コンテンツを伝送するためのCEA−861−Cで規定されている規格セットをサポートする。また、シンク120とソース100の間の遠隔制御コマンドを伝送するためのCEA−931−Bをサポートする。音声面のサポートは本発明の実施形態にとって重要ではないが、DP規格は8チャネルまでの192kHz、24ビットサンプルサイズのリニアパルス符号変調(LPCM)オーディオをサポートする。DP規格はまた、VESA DMTおよびCVT時刻系に準拠した、可変のアスペクト比、ピクセルフォーマット、リフレッシュレートの組み合わせに基づく可変ビデオフォーマットをサポートする。これら時刻モードは、CEA−861−C規格にリストされている。さらにDP規格は、消費者向け電子機器の工業標準比色分析仕様をサポートする。これには、RGB、YCbCr4:2:2、YCbCr4:4:4が含まれる。
【0018】
図1に示すように、データはストリームソース102によってリンク層108へ提供される。リンク層108は、物理層110へデータを提供するように接続されている。ストリームソース102が提供するデータは、ビデオデータを含む場合がある。リンク層108は、ビデオデータを1以上のレーンにパッケージングし、そのデータを物理層110へ送信する。メインリンク112、補助チャネル114、HPD116は、物理層に含まれている。物理層は、シンク120へデータを伝送するための信号処理を提供する。
【0019】
シンク120は、物理層130、リンク層128、ストリームシンク122を備える。物理層130は、メインリンク132、補助チャネル134、HPD136を備える。ストリームシンク122は、例えばビデオディスプレイやデータによって、表示するビデオに関連するラインおよびフレームフォーマットを提供することができる。物理層130は、物理層110からの信号を、通常はケーブルを介して受信し、ソース100が送信したデータを復元する。リンク層128は、復元されたデータを物理層130から受信し、ストリームシンク122へビデオデータを提供する。ストリームポリシー104とリンクポリシー106は、リンク層108へ動作パラメータを提供する。同様に、ストリームポリシー124とリンクポリシー126は、ポリシーデータをリンク層128へ提供する。
【0020】
上述のように、ソース100は、メインリンク112、補助チャネル114、HDP116を有する物理層110を備える。これに対応して、シンク120は、メインリンク132、補助チャネル134、HDP136を有する物理層130を備える。ケーブルおよび適当なコネクタを利用して、メインリンク112とメインリンク132、補助チャネル114と補助チャネル134、HDP116とHDP136を、電子的に接続することができる。DP規格によれば、メインリンク112は、レーン毎に2.7Gbpsおよび1.62Gbpsをサポートする、1つ、2つ、または4つのレーンを伝送する。これは、メインリンク112とメインリンク132の間の接続品質によって定められる。各レーンは物理的には、ACカップリングされ、2重終端された差動ペア線である。
【0021】
メインリンク112とメインリンク132の間のレーン数は、1、2、または4レーンである。レーン数は、ピクセルビット深度(bpp)および成分ビット深度(bpc)から分離される。6、8、10、12、16ビットの成分ビット深度を利用することができる。全レーンがデータを伝送するので、データストリームからクロック信号が抽出される。データストリームは、ANSI 8B/10B コード化規則(ANSI X3.230−1994,第11節)でコード化される。
【0022】
図2Aは、4つのレーンにパッケージングされたデータフォーマットを示す。他のレーン構成も同様にパッケージングされる。図2Aに示すように、表示ラインのビデオデータの伝送開始部は、4つのレーンそれぞれにおいて、ブランクイネーブル信号(BE)で開始する。次にピクセルがレーンにパッケージングされる。図2Aに示す4レーン例において、ピクセル0(PIX0)はレーン0内にあり、ピクセル1(PIX1)はレーン1内にあり、ピクセル2(PIX2)はレーン2内にあり、ピクセル3(PM3)はレーン3内にある。ピクセルは、ラインの最後のピクセル、すなわちN×MサイズディスプレイにおけるPIXNが挿入されるまで、各レーンにわたって同様にパッケージングされる。図2Aに示すように、ラインの最後のピクセルは、全レーン内の全スロットのうち埋められていない部分があるようになっていることもある。図2Aに示す例では、レーン1、2、3が埋められていない。使用されないスロットは、パディングされる。レーン0〜レーン4のスロットの次の行は、ブランクシンボル(BS)を含み、その後は、ビデオブランクID(VB−ID)、ビデオタイムスタンプ(MVID)、オーディオタイムスタンプ(MAUD)が続く。オーディオデータは、ビデオデータの後、次のBEシンボルが送信されるまで続く。その後、次のビデオデータのラインが提供される。
【0023】
図2Bは、30bpp RGB(10bpc)1366×768ビデオデータを、4レーン8ビットリンクへエンコードする例を示す。データの1つの行は、クロック周期毎に送信される。同図において、R0−9:2は、ピクセル0の赤色ビット9:2を意味する。Gは緑を示し、Bは青を示す。BSはブランクスタートを示し、BEはブランクイネーブルを示す。Mvid7:0とMaud7:0は、ビデオおよびオーディオストリームクロックのタイムスタンプの一部である。図2に示すように、4レーンへのエンコードは、ピクセル単位で順番に生じる。ラインのピクセル0はレーン0に配置され、ピクセル1はライン1に配置され、ピクセル2はライン2に配置され、ピクセル3はレーン3に配置される。次に、ピクセル4、5、6、7がレーン0、1、2、3に配置される。ソース100が使用するレーン数に関わらず、同じパッケージング手法が利用される。ソース100とシンク120は、DP規格の下で、1、2、または4レーンをサポートすることができる。2レーンをサポートする場合でも、単一のレーンがサポートされ、4レーンをサポートする場合でも、2レーンと1レーンがサポートされる。
【0024】
補助チャネル114は、DP規格に基づいてケーブルでシンク120の補助チャネル134に接続され、ACカップリングされた2重終端の差動ペアを備える。クロックは、補助チャネル114と補助チャネル134の間を通過するデータストリームから抽出することができる。補助チャネルは、半2重であり、ソース100をマスターとしシンク120をスレーブとする双方向である。シンク120は、HDP116とHDP136の間に連結されたHDP信号をトグルすることにより、干渉することができる。
【0025】
物理層110は、メインリンク112、補助チャネル114、HDP116のための出力ピンとコネクタを備え、ソース100とシンク120の間で信号を伝送するための、物理的な送信および受信回路を備える。同様に、物理層130は、メインリンク132、補助チャネル134、HDP136を備え、データを受信してソース100と通信するための、送信および受信回路を備える。
【0026】
ソース100のリンク層108は、音声および映像データストリームを、図2Aおよび図2Bに示すようなメインリンク112のレーンへマッピングし、シンク120のリンク層128がデータを取得できるようにする。さらに、リンク層108は、データを解釈し、補助チャネル114を介した通信とデバイス管理を処理し、HPD116を監視する。ソース100のリンク層108は、シンク120のリンク層128に対応する。リンク層108とリンク層128において実施されるタスクは、利用できるレーン数とレーン毎のデータレートの判定である。リンク層108がHPD116を介してホットプラグを検出すると、これらパラメータを判定するため、初期化シーケンスが利用される。さらにリンク層108は、メインリンク132へ転送するため、データをメインリンク112へマッピングする。マッピングには、リンク層108およびリンク層128それぞれにおける、パッケージングまたはパッケージング解除、データ詰め込みまたは取り出し、フレーム化またはフレーム化解除、レーン間スキューまたは逆スキュー、が含まれる。リンク層108は、シンク120に関連するレーン数およびディスプレイ装置のピクセルサイズを決定するため、シンクデバイス120の性能、EDID、リンク性能、DPCDを読み取る。リンク層128はまた、補助チャネル114およびメインリンク112双方からのクロック回復を実施する。
【0027】
さらにリンク層108は、制御シンボルを提供する。図2Aに示すように、ブランクスタート(BS)シンボルが最後のアクティブピクセルの後に挿入される。BSシンボルは、各アクティブレーンにおいて、最後のピクセルが挿入された直後に挿入される。BSシンボルの直後に、ビデオブランクID(VB−ID)ワードが挿入される。VB−IDワードは、垂直ブランクフラグ、フィールドIDフラグ、インタレースフラグ、ビデオストリーム無しフラグ、オーディオミュートフラグを含むことができる。垂直ブランクフラグは、最後のアクティブレーンの終端で1にセットされ、垂直ブランク期間にわたって維持する。フィールドIDフラグは、トップフィールドの最後のアクティブレーンの直後において0にセットされ、ボトムフィールドの最後のアクティブレーンの直後において1にセットされる。インタレースフラグは、ビデオストリームがインタレースであるか否かを示す。ビデオストリーム無しフラグは、ビデオストリームが送信されているか否かを示す。オーディオミュートフラグは、音声がミュートであるか否かを示す。MVIDとMAUDは、音声データとビデオデータの間のタイミング同期を提供する。
【0028】
上述したDP規格はデータ伝送に特有のものであるが、本発明に係る実施形態は、その他の規格を利用することができる。DP規格は、本発明に係る実施形態を説明することができるフレームワークとしてのみ説明したものである。
【0029】
図3は、本発明の実施形態に係るマルチモニターシステム300を示す。図3に示すように、マルチモニターシステム300はソース100からレシーバ(RX)302へビデオデータを受信する。そのため、DIsplayPort規格に準じて、RX302は、上述の通り、メインリンクデータ、補助チャネルデータ、HPDデータを含む。RX302は、データを受信し、そのデータを画像スプリッタ304へ提供する。RX302はまた、ソース100と通信し、ソース100がマルチモニターシステム300をDIsplayPort規格に準拠したN×Mディスプレイ装置を備えるシンクとして取り扱うようにする。そのため、マルチモニターコントローラ300は、図1に示すシンク120と同じ態様で、ソース100と通信する。
【0030】
画像スプリッタ304は、レシーバ302からビデオデータを受信し、そのビデオデータをマルチディスプレイ308−1〜308D上で表示する部分に分離する。本発明に係る画像スプリッタは、N×Mサイズのビデオデータを、ビデオデータをカバーする任意個数の個々のディスプレイに分離することができる。複数のディスプレイ上で、実質的に全部、または完全に全部のビデオデータを表示することができる。受信したビデオデータを完全に表示するため、水平方向にNピクセル、垂直方向にMピクセル(すなわちM行N列)を含む場合もあるが、実施形態によっては、N×Mサイズのビデオデータをパディングまたは切り取り、異なるサイズの複数ディスプレイに合わせることができる。図6Aは、個々のディスプレイ上で表示するため、水平ラインを複数ラインへ分離する様子を示す。図6Bは、水平方向および垂直方向で複数モニター上に表示するため、ビデオフレームを水平方向と垂直方向の双方で分離する様子を示す。例えば、3840×1200ビデオデータは、2つの1920×1200ディスプレイ上で表示することができる。3720×1440ビデオデータは、2つの900×1440ディスプレイおよび1つの1920×1440ディスプレイ上で表示することができる。5040×1050ビデオデータは、3つの1680×1440ディスプレイ上で表示することができる。5760×900ビデオデータは、3つの1440×900ディスプレイ上で表示することができる。各ケースにおいて、RX302は、N×Mディスプレイ装置であるかのように振舞って、ソース100と通信する。
【0031】
画像スプリッタ304は、各ディスプレイ308−1〜308−Dへ送信するデータを構成し、新たなディスプレイデータを送信器306−1〜306−Dへ提供する。送信器306−1〜306−Dは、それぞれディスプレイ308−1〜308−Dに接続することができる。各送信器306−1〜306−Dは、例えばDPソースデバイスとして機能し、これによりDPソース100として動作することができる。画像スプリッタ304はストリームソース102と同様に動作する。そのため、送信器306−1〜306−Dとディスプレイ308−1〜308−Dの間のデータ伝送は、1レーン、2レーン、4レーンのDP伝送いずれであってもよく、RX302が1レーン装置、2レーン装置、4レーン装置のいずれであるかは関係ない。
【0032】
図4Aと4Bは、マルチモニターコントローラ300の構成例を示す。図4Aに示すように、マルチモニターコントローラ300は、スタンドアロンボックスとして構成することができる。ソース100は、マルチモニター300に接続されている。各ディスプレイ308−1〜308−Dも、マルチモニター300に接続することができる。図4Bに示すように、マルチモニター300は、ディスプレイのうちの1つ、例えばディスプレイ308−1に組み込むことができる。その他のディスプレイ308−2〜308−Dは、ディスプレイ308−1に接続することができる。ソース100は、ディスプレイ308−1に直接接続することができる。そのため、ディスプレイ308−1はマスターディスプレイとして動作し、ディスプレイ308−2〜308−Dはスレーブディスプレイとして動作する。
【0033】
図5Aと5Bは、マルチモニターシステム300の例をより詳細に示す。図5Aに示すように、RX302は、SERDES RX502、レシーバ504、フレーム解除器508、ビデオクロック回復器CKR510を備える。メインリンクデータは、SERDES RX502に入力される。図5Aは4レーンの例を示しているが、DP規格に準じた任意数のレーンを利用することができる。SERDES RX502はさらに、CRPLL506を備える。CRPLL506は、システム300へのメインリンクデータ入力に埋め込まれたリンクシンボルクロックを復元する。CRPLL506は、発振器512からクロック信号を受信する。発振器512は、外部参照信号XTALINを受信し、外部信号XTALOUT提供することができる。SERDES RX502は、データを物理的に受信し、フィルタリングする。データは、CRPLL506が生成したクロックにしたがって、シリアルデータとして送信され、パラレルデータストリームD0、D1、D2、D3を生成する。受信ブロック504は、フィルタリング、アンチエリアス、逆スキュー、HDCP復号、その他の機能を実施する。
【0034】
データD0、D1、D2、D3は、フレーム解除器508に入力される。フレーム解除器508は、4レーンからのデータのパッケージングを解除し、データイネーブル信号(DE)、水平同期(HS)、垂直同期(VS)、データストリームDを提供する。データストリームDは、フレームの各ピクセルデータを順に含む。4レーン内に含まれるオーディオデータは、ビデオデータから切り離して取り扱うことができる。水平同期信号は各水平ラインの終端を示し、垂直同期信号は各ビデオフレームの終端を示す。信号DE、HS、VS、Dは、図5Bに示すように、画像スプリッタ304へ入力される。
【0035】
画像スプリッタ304は、各ディスプレイ308−1〜308−Dに適した新たな値のDE、HS、VS、Dを、対応する送信器306−1〜306−Dへ提供する。例えば図6Aに示すように、ディスプレイの各ラインのデータは、ディスプレイ上で画面表示するデータを保持するための適切なサイズを有するバッファ内で受信することができる。したがってバッファは、データラインのサイズより小さいか、または数個のデータラインを保持するのに十分な程度のサイズである場合がある。各ディスプレイのデータは、バッファから読み取ることができる。スプリッタ304が受信したデータDは、例えばバッファ602に格納することができる。データラインは、例えばバッファ602からライン604−1〜604−Dへ分離することができる。これらは、水平方向に分布した各ディスプレイセット用である。図6Bは、ディスプレイ308−1〜308−7上で表示するため、データを水平方向と垂直方向の双方で分離する様子を示す。図6Bに示す7個のディスプレイの例において、ディスプレイ308−1〜308−7は全て異なるピクセルサイズを有しており、N×Mピクセルのデータサイズ全範囲をカバーするように配置されている。したがって、ディスプレイ308−1、308−2、308−3にわたるラインピクセルの合計はNであり、ディスプレイ308−4、308−5、308−6、308−7にわたるラインピクセルの合計はNであり、ディスプレイ308−1と308−4の行合計はMであり、ディスプレイ308−2と308−5の行合計はMであり、ディスプレイ308−3と308−6または308−7の行合計はMである。実施形態によっては、D個のディスプレイがN×Mピクセルの全てを利用するように配置されない場合、超過したピクセルは破棄され、または切り取られる。さらに、ディスプレイの合計サイズがN×Mピクセルの範囲を超過した場合、黒色ピクセルを追加することもできる。
【0036】
図7は、本発明の実施形態に係るスプリッタ304のブロック図例を示す。データDは、制御信号HS、VS、DEにしたがって、バッファ602を備えるバッファコントローラ702で受信される。図7に示すように、データを行毎にバッファへ挿入することができる。バッファコントローラ702内に含まれるバッファは、データの全フレームを保持できるほど大きい必要はない。データコントローラ702はまた、コントローラ704からの入力を含むことができる。コントローラ704はさらに、ディスプレイコントローラ706−1〜706−Dに接続される。ディスプレイコントローラ706−1〜706−Dは、ディスプレイ308−1〜308−Dのうち対応するものに適したバッファコントローラ702内のバッファからのデータを読み取る。
【0037】
コントローラ704はさらに、補助チャネル1〜DおよびHPD 1〜Dを介して、各ディスプレイ308−1〜308−3と通信するように接続されている。さらに、構成データをコントローラ704へ供給し、コントローラ704が、ピクセルサイズN×M、各ディスプレイ308−1〜308−Dのピクセルサイズ、ディスプレイ308−1〜308−Dのそれぞれに対する方向、ディスプレイ308−1〜308−Dがアクティブであるか否かまたはより小さいディスプレイセットを利用するか否か、を受信できるようにすることができる。ある例において、D個のディスプレイが水平方向に配置され、各データラインをディスプレイ706−1〜706−Dの1つへ直接伝送することができるようにする。その場合、バッファコントローラ701はラインバッファのみを備える。しかし、垂直分離の場合、バッファコントローラ701はフレームバッファを備えることができる。また、1以上のモニター308−1〜308−Dが回転している場合(すなわち、通常はnピクセルライン×m行であるところが、m×nとなっている)、ラインバッファとフレームバッファを利用することができる。上記のような回転は、対応するディスプレイコントローラ706−1〜706−Dにおいてデジタル的に計算することができる。
【0038】
そのため、ディスプレイコントローラ706−1〜706−Dは、対応するディスプレイ308−1〜308−Dに適したバッファコントローラ702からデータを読み取る。ディスプレイコントローラ706−1〜706−Dは、対応するディスプレイ308−1〜308−Dに適したデータストリームDとともに、制御信号DE、HS、VSを出力する。
【0039】
図5Bに示すように、各ディスプレイ308−1〜308−Dのデータは、DP送信器306−1〜306−Dにおいて、それぞれ送信される。各DP送信器306−1〜306−DのデータDと制御信号DE、HS、VSは、フレーム生成器554−1〜554−Dによってそれぞれ受信される。フレーム生成器554−1〜554−Dは、それぞれパケットコントローラ552−1〜552−Dに接続され、図2Aと2Bに示すように、データをレーンへ収集する。図5Bでは4レーンを示しているが、DP送信器306−1〜306−Dにおいて任意数のレーンを利用することができる。DP送信器306−1〜306−Dは、対応するディスプレイ308−1〜308−Dに合致するように構成されている。送信器558−1〜558−Dは、フレーム生成器554−1〜554−DからそれぞれレーンデータD0、D1、D2、・・・Dnを受信し、データストリームを事前処理する。送信器558−1〜558−DからのデータD0〜Dnは、SERDEX TX560−1〜560−Dへそれぞれ入力され、レーン0〜nにわたって、対応するディスプレイ308−1〜308−Dへシリアル送信される。
【0040】
補助リクエスト送信器562−1〜562−Dは、各ディスプレイ308−1〜308−Dの補助チャネルを介して通信する。各ディスプレイ308−1〜308−Dの識別データ(例えばEDIDデータ)は、画像スプリッタ304へ送信される。さらに、ディスプレイ308−1〜308−Dからの補助リクエストは、さらに処理するため、MCU520へ送信される。
【0041】
MCU520は、マルチモニター300の構成と動作を制御する。MCU520は、例えばI2Cコントローラを介して通信することができる。I2Cコントローラは、EEPROM524と外部不揮発性メモリ532へ接続することができる。さらにMCU520は、通信とセットアップのため、レジスタ528を介してI2Cスレーブデバイス526と通信することができる。MCU520は、補助応答器518を介してビデオソース100からの補助リクエストへ応答することができる。この場合、MCU520はEDIDデータをソース100へ提供し、N×Mピクセルの一部または全部を表示する複数のビデオシンクを駆動しているとき、ソース100がN×Mサイズのビデオシンクと通信しているかのように動作できるようにすることができる。さらに、各ディスプレイ308−1〜308−Dは、協調動作するディスプレイセットではなく、そのディスプレイに適したサイズのソースと通信しているかのように動作する。さらにMCU520は、ディスプレイ308−1〜308−Dからの補助チャネルを介してディスプレイ識別データ(EDID)を読み取り、ビデオソース100が読み取るディスプレイ識別データ(EDID)を構築する。
【0042】
MISC516は、各ディスプレイ308−1〜308−Dの全てのHDPチャネルを受信するように接続され、MCU520へのHDP信号をコンパイルし、RX HDPをソース100へ向けて生成する。電源リセット器514は、システム300の電源をonまたはリセットするリセット信号を生成することができる。さらに、Joint Testing Action Group(JTAG)530は、テスト目的で利用することができる。
【0043】
上述の例は、例示目的のみであり、限定は意図していない。当業者は、本開示の範囲に含まれる、本発明に実施形態に即したその他のマルチモニターシステムを容易に考案することができる。そのため、本願は特許請求の範囲のみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NピクセルM行サイズのビデオディスプレイに適したビデオデータを受信するビデオレシーバと、
前記ビデオデータの一部を対応するビデオディスプレイ上で表示するためのビデオデータを提供する複数のビデオ送信器と、
前記ビデオレシーバと前記複数のビデオ送信器の間に接続され、前記ビデオデータを前記ビデオレシーバから分離し、前記ビデオデータの一部を各前記複数のビデオ送信器へ提供するスプリッタと、
を備えることを特徴とするマルチモニターシステム。
【請求項2】
前記ビデオレシーバは、DisplayPort規格に準拠したレシーバである
ことを特徴とする請求項1記載のマルチモニターシステム。
【請求項3】
前記複数のビデオ送信器のうち少なくとも1つは、DisplayPort規格に準拠した送信器である
ことを特徴とする請求項1記載のマルチモニターシステム。
【請求項4】
前記ビデオデータの一部は水平配置されることを特徴とする請求項1記載のマルチモニターシステム。
【請求項5】
前記ビデオデータの一部は垂直配置されることを特徴とする請求項1記載のマルチモニターシステム。
【請求項6】
前記ビデオデータの一部は水平配置および垂直配置されることを特徴とする請求項1記載のマルチモニターシステム。
【請求項7】
各前記複数のビデオ送信器へ提供される前記ビデオデータの一部はM行を有しており、前記一部全体にわたるピクセルの合計はNピクセルである
ことを特徴とする請求項4記載のマルチモニターシステム。
【請求項8】
各前記複数のビデオ送信器へ提供される前記ビデオデータの一部はNピクセルを有しており、行の合計はM行である
ことを特徴とする請求項5記載のマルチモニターシステム。
【請求項9】
各前記複数のビデオ送信器へ提供される前記ビデオデータの一部は、水平方向に合計Nピクセル、垂直方向に合計M行である
ことを特徴とする請求項6記載のマルチモニターシステム。
【請求項10】
マルチモニターディスプレイを提供する方法であって、
NピクセルM行の単一のビデオディスプレイのために構成されたビデオデータを受信するステップ、
前記ビデオデータを複数の部分へ分離するステップ、
前記複数の部分を対応する複数のディスプレイへ送信するステップ、
を有することを特徴とするマルチモニターディスプレイ提供方法。
【請求項11】
前記ビデオデータを受信するステップは、DisplayPort規格にしたがってデータを受信するステップを有する
ことを特徴とする請求項10記載のマルチモニターディスプレイ提供方法。
【請求項12】
前記複数の部分を送信するステップは、DisplayPort規格にしたがって、データを各前記複数のディスプレイへ送信するステップを有する
ことを特徴とする請求項10記載のマルチモニターディスプレイ提供方法。
【請求項13】
前記複数のディスプレイは水平配置され、
前記ビデオデータを複数の部分へ分離するステップは、M行のNピクセルを前記複数のディスプレイそれぞれについてのピクセルグループへ分離するステップを有する
ことを特徴とする請求項10記載のマルチモニターディスプレイ提供方法。
【請求項14】
各前記ピクセルグループ全体にわたるピクセルの合計はNピクセルである
ことを特徴とする請求項13記載のマルチモニターディスプレイ提供方法。
【請求項15】
前記複数のディスプレイは垂直配置され、
前記ビデオデータを複数の部分へ分離するステップは、NピクセルのM行を前記複数のディスプレイそれぞれについての行グループへ分離するステップを有する
ことを特徴とする請求項10記載のマルチモニターディスプレイ提供方法。
【請求項16】
各前記行グループ全体にわたる行の合計はM行である
ことを特徴とする請求項15記載のマルチモニターディスプレイ提供方法。
【請求項17】
前記複数のディスプレイは、水平方向および垂直方向のアレイに配置され、
前記ビデオデータを複数の部分へ分離するステップは、前記ビデオデータの適切な部分が対応する前記複数のディスプレイに表示されるように、Nピクセルを水平方向のピクセルグループに分離するステップ、およびM行を垂直方向の行グループに分離するステップを有する
ことを特徴とする請求項10記載のマルチモニターディスプレイ提供方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−515367(P2012−515367A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546303(P2011−546303)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/020798
【国際公開番号】WO2010/083168
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(508249697)インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】