説明

マルチモード携帯無線端末

【課題】携帯端末において、同じ端末をユーザの生活におけるさまざまな場面で使用できるようする。
【解決手段】ユーザーの生活の様々な領域に対するオペレーションの複数の選択可能なモードを有する多機能携帯型ユーザー端末に関し、各モードは、そのモードでのデータベース、アプリケーション、設定、動作の制約及びアクセス制限を有する。モード間の切り替えのために様々なメカニズムが提供されてもよい。各モードにおいて、更なる情報を取得するため又はユーザーから直接要求されていない更なる機能を実行するために、コンテキスト・アウェアネス及びシチュエーショナル・アウェアネスが使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無線通信産業が拡大するにつれ、様々な目的に、様々な機能を有する数多くの種類の携帯端末が使用されるようになってきた。携帯電話は、音声通話及び携帯メールが利用可能であり、パーソナルデジタルアシスタンス(PDA)では、ユーザーは、スケジュール管理及び電子メール(e−mail)にアクセスすることができる。また、音楽プレーヤーは、音楽を携帯することを可能とし、ネットブックコンピュータは、制約されないインターネットアクセスを可能とする。これら携帯端末の統合が一部行われてはいるものの、依然として、一般的なユーザーは、必要に応じて複数の端末を携帯している。また、これら端末の中には、コンテキスト(背景・事情)把握するものが存在しない、すなわち、端末は、ユーザーの環境を把握しないので、ユーザーの環境に適応できない。加えて、生活の異なる場面(すなわち、仕事、プライベート、家庭、旅行等)では、セキュリティレベル、利用可能な機能、連絡先等に関して異なる条件が存在するが、ユーザーは、同じ端末を生活の様々な場面で使用したいと考えている。現在の端末では、ユーザーの生活における異なる場面を区別できないことから、このような要求を満たすことができない。
【0002】
本発明の幾つかの実施形態は、以下に記載する説明及び本発明の実施形態の例示に使用される添付の図面を参照することにより、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】本発明の一実施形態に係る多機能携帯ユーザー端末を示した図である。
【図2A】本発明の様々な実施形態に係る、異なる複数のモードがどのように異なるデータ、機能及び構成にアクセスするかを示した図である。
【図2B】本発明の様々な実施形態に係る、異なる複数のモードがどのように異なるデータ、機能及び構成にアクセスするかを示した図である。
【図2C】本発明の様々な実施形態に係る、異なる複数のモードがどのように異なるデータ、機能及び構成にアクセスするかを示した図である。
【図2D】本発明の様々な実施形態に係る、異なる複数のモードがどのように異なるデータ、機能及び構成にアクセスするかを示した図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る、ボタンの押下を様々な動作へと変換する方法を示したフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る、動作の複数のモードに対するデータを入力する方法を示したフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る、複数のモード間でデータ転送する方法を示したフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る、動作を開始させるべくコンテキスト・アウェアネス及びシチュエーショナル・アウェアネスの両方を使用する方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の説明では、数多くの特定の詳細事項が記載される。しかしながら、本発明の実施形態は、これら特定の詳細事項がなくとも実施可能であることは明らかである。また、本明細書の説明の理解を不明瞭にしてしまうのを避ける目的から、周知の回路、構造及び技術については記載していない。
【0005】
また、「一実施形態」、「ある実施形態」、「実施例」、「様々な実施形態」等の言葉は、本発明の実施形態が特定の特徴、構造及び特性を含むことを示唆するが、必ずしも全ての実施形態が、これら特定の特徴、構造及び特性を含むことを意味しない。また、ある実施形態において、他の実施形態に記載された特徴の幾つか又は全てが含まれていてもよいし、全く含まれていなくてもよい。
【0006】
以下に記載の説明及び特許請求の範囲において、「連結(coupled)」及び「接続(connected)」という言葉、並びにこれらの派生語が使用されることがある。この二つの言葉は、同義語として使用されているのではない。特定の実施例において、「接続(connected)」は、二つ又は二つ以上の要素が物理的に或いは電気的に直接互いに接触していることを示すのに使用され、「連結(connected)」は、二つ又は二つ以上の要素が、協動又は相互作用しているが、物理的或いは電気的に直接接しているか否かは問われない場合を示すのに使用されている。
【0007】
また、特許請求の範囲において、共通の要素に使用される序数詞「第1の」、「第2の」、「第3の」等は、特に記載がない限り、単に同類の要素の異なる例を示しているに過ぎず、当該要素の時間的な若しくは空間的な順序、又は序列等における順番を示しているわけではない。
【0008】
本発明の様々な実施形態が、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及びこれらの組み合わせにより実施可能である。また、本発明は、コンピュータ可読媒体に含まれる命令として、又は、コンピュータ可読媒体に対する命令として実施可能であり、当該命令は、明細書に記載のオペレーションを実行可能にする一つ又は複数のプロセッサによって、読み出され、実行される。コンピュータ可読媒体としては、一つ又は複数のコンピュータが可読な形式で情報を蓄積するあらゆる装置が含まれる。そのようなコンピュータ可読媒体としては、これらに限定されないが、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学式記憶媒体、フラッシュメモリ装置等の有形の記憶媒体が含まれる。
【0009】
多くの人が、自然に形成されるクラスタ(区分)に分けられる様々な活動に携わっている。例えば、職業に就いている人の生活は、仕事、家庭及びプライベートといった活動に分けられる。10代の人の生活は、例えば、学校、家庭及び友達といった活動のクラスタに分けられる。退職した人の生活は、例えば、家計、家族及び健康といった活動のクラスタに分けられる。活動のクラスタはそれぞれ、他のクラスタとは異なる固有の規則、振る舞い、制限及び優先順位を有してもよい。自分の生活の全ての活動領域において、1つの端末を使用する人は、多くの場合、生活の異なる活動領域が相互に割り込んでしまうことを発見し、また、領域同士の割り込みが発生する結果、社会的に望ましくない又は法律的に反してしまうような事態を招いてしまう可能性がある。端末が、私たちの日常生活を管理する重要なツールとなるにつれ、望ましくない事態を回避する又は少なくともそのような機会を低減させるべく、ツール自体が個人の生活の異なる複数の領域に適応することが望まれている。
【0010】
例えば、端末は、個人の生活の領域それぞれに対して、異なる"モード"で動作してもよい。端末は、ユーザーの生活の領域の数と等しい数のモードを有してもよいが、モードの数が少なければ柔軟性に欠け、モードの数が多すぎても通常の人が管理することができなくなってしまう。本明細書では、多くの人にとって最適なモードの数の例として、3つのモードが採用されているが、本発明の概念は、記載される基本的な原理の範囲内で、2つ又は4つ以上のモードにも適用することができる。
【0011】
活動のクラスタについて説明するべく、職業に就いている人の生活の3つの領域として、仕事、家庭及びプライベートを例に挙げて説明する。仕事モードは、オフィス又はその他仕事場における時間を含み、仕事の電子メール、電話、書類、経費報告書、会議、仕事上の連絡先等を中心に展開されると考えられる。これらの活動のうちの一部は、その他の領域では必要でないレベルのセキュリティが必要とされる仕事上の機密情報が関係する場合がある。家庭モードは、例えば、配偶者、子供、その他親戚、隣人及び子供の教師に関連してもよい。家庭モードは、これらの人々に関係する電子メール及び電話、学校での懇談会、休暇のスケジュール、ソーシャル・ネットワーキング・サイト、及び、関連する金銭の支払い等が伴うものであってもよい。パーソナルモードは、趣味及び娯楽といった個人的な興味に関連し、共通の興味のプロファイルに基く友人のサークルを中心に区分されていてもよい。
【0012】
生活のこれら領域の各々において、人は、様々な要望及び要求を持ち、様々な制約に直面する。例えば、仕事をしている人は、家にいる人とは異なるレベルの技術サポートを必要とし、また、仕事をしている人を制限する非行とならないための規則は、遊びで活動している人を制限する規則よりも、厳しくなる。また、失敗した場合の結果も異なってくる。例えば、学校又は仕事場においては、特定の表現の不注意な使用を防ぐフィルタを適用することが非常に重要となるが、一方、友人との情報交換では、このようなフィルタの適用は然程重要ではない。同様に、仕事上でのコミュニケーションスタイルは、友人とのコミュニケーションよりも、儀礼的である場合が多い。また、家族宛ての電子メールを仕事での連絡先に不用意に送信してしまわないようにする、又は、仕事上の機密情報を含む電子メールを親戚に送信しないようにすることが重要である場合も存在する。端末のオペレーションを、個別のモードに分けることにより、この種の問題は、自動的に予防することができる。
【0013】
ユーザーの生活における異なる領域に対応してそれぞれ個別のモードを使用することにより、端末は、ユーザーの行動を良好に解釈すること(及び行動について提案をすること)ができ、また、アクセス、認証及びコンテンツ標準について各モードで異なる規則を適用することができる。金銭に関係するデータは、モード間で別々に保持される。端末の動作(オペレーション)は、端末がどのモードであるかに応じて異なってもよい。異なるデータベースにアクセスする、異なるアプリケーションを実行する、及び、異なる動作制限を適用することによって、動作を異ならせてもよい。本発明の様々な実施形態において、ユーザーは、携帯端末をどのモードで動作させるか(及び生活におけるどの領域向けのモードとするか)を選択可能であってもよく、携帯端末は、選択された生活の領域に対して適切な制約を適用し、適切なデータベース及びアプリケーションにアクセスする。本明細書では、この特性を、"コンテキスト・アウェアネス(Context awareness:背景・事情把握)"と称する。コンテキスト・アウェアネスは、携帯端末が上記3つのモードのうちのどのモードで動作するかを通知することで開始してもよく、その他の内部操作に関する情報も通知してもよい。
【0014】
携帯端末は、検出した環境に基づいて、自動的に動作を調整してもよい。例えば、携帯端末は、仕事場で使用される無線ルータを検出することにより、一日のうちの時間及び曜日からユーザーが仕事中であると推測すること、GPSセンサで現在位置を特定すること、又は、位置を把握するその他の技術を使用することにより、自動的に仕事モードを始動させてもよい。無論、必要に応じて、これらのモードをユーザーが手動で切り替えてもよい。また、携帯端末は、同じモードのままで、検出した環境に基づいて異なる態様で実行を行ってもよい。例えば、端末が典型的な自動車の速度で移動をしていることを検出した場合には、交通情報、天気情報、近隣のレストラン等のデータを提供してもよい。本明細書では、このように周辺環境の検出に基づいて動作を変更するという特性は、シチュエーショナル・アウェアネス(Situational Awareness:状況把握)と称される。コンテキスト・アウェアネス及びシチュエーショナル・アウェアネスは共に、別々に又は連携して、携帯端末が自身の動作(オペレーション)を変更するのに使用される。
【0015】
本発明の様々な実施形態は、ユーザーの生活の様々な領域に対する動作の複数の選択可能なモードを有する多機能携帯型ユーザー端末に関し、各モードは、そのモードでのデータベース、アプリケーション、設定、動作の制約及びアクセス制限を有する。これらのモード間を切り替えるのに、様々な方法が存在する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る多機能携帯型ユーザー端末を示した図である。図示されている端末110は、タッチスクリーン(タッチセンサ式の表示画面)120及びボタンA、B、Cといった様々な構成要素を有する。実施形態によって異なる入出力機能130も示されており、これは、様々な種類の機能を提供し、機能の例としては、特にこれに限定されないが、例えば、1)別のボタン、2)カメラレンズ、3)マイク、4)その他が含まれる。その他にも、その他のボタン、センサ、出力デバイス等が含まれていてもよいが、図面が複雑になるのを避けるために、これらについては図示していない。
【0017】
図示されているボタンは、特定の領域に位置する物理的なボタンであることから、"ハードボタン"と称される。しかしながら、ある実施形態では、タッチセンサ式の画面において画像で形成された"ソフトボタン"が使用されてもよい。ソフトボタンは、画像に触れることによって、起動されてもよい。ある状況では、これらソフトボタンが、モード選択のために使用されてもよい。ソフトボタンを画面上に表示させるか否か、及び、ソフトボタンのグラフィックイメージ及び画面上の位置は、プログラムによって可変であってもよい。様々なソフトボタンが、ハードボタンと同様な又は異なる機能を有してもよい。
【0018】
例示した端末110が、特定の位置にボタンが配置された、特定の形状、比率及び外観を有しているが、これは、一例に過ぎず、本発明の実施形態は、この特定の物理的構成に限定されない。例えば、ある実施形態では、複数のボタンが、様々な大きさ及び/又は形状を有してもよく、また、端末の同じ側又は異なる側の重ならない位置に位置していてもよい。また、異なる色であってもよい。ある実施形態では、端末110の全体的な形状は、図示する形状と異なっていてもよい。
【0019】
端末110は、様々な視覚的入力、音声入力及び物理的入力、並びに、様々な視覚的出力、音声出力及び物理的出力のための無線通信機能を備えてもよい。ある実施形態では、端末は、モードに応じて及び/又は検出される端末の状況及び環境に応じて、様々な態様でこの機能を利用してもよい。
【0020】
[マルチモードオペレーション]
モードをオペレーション的に別個にするのに十分な分離及びアクセス制限を提供する様々な技術を使用して、様々なモードを同じ端末に搭載してもよい。上記したように、端末は、端末がどのモードで動作しているかに応じて、異なって動作してもよい。
【0021】
図2A〜2Dは、本発明の様々な実施形態に係る、異なる複数のモードがどのように異なるデータ、機能及び構成にアクセスするかを示した図である。以下の説明では、3つのモードは、仕事、家庭及びパーソナルとされているが、これは、一例に過ぎない。その他の名称を使用することができ、複数の異なるモードの使用方法は、以下に説明されるものと異なる場合もある。しかしながら、基本的な概念が、以下の例から明らかとなるはずである。
【0022】
例えば、図2Aには、各モードを別々の仮想マシンとして実装する方法が示されている。この技術では、1つの物理マシン内で、複数の仮想マシンがそれぞれ単独で動作してもよい。それぞれソフトウェアに実装される仮想マシンは、この端末内に別の仮想マシンが存在することを知らないため、別の仮想マシンとリソース(例えば、データ、ソフトウェア、ハードウェア等)を意図的に共有することがない。異なる仮想マシン同士が通信を行う必要がある場合には、仮想インターフェースを介して行う。この仮想インターフェースを介した通信は、別々の物理的なマシンがネットワーク接続を使用した通信と同様に行われるが、インターフェースは、外部の物理接続を介するのではなく、端末110内のソフトウェアを介して互いに結合される。仮想マシンは共有について知る能力を有さないことから、異なる複数の仮想マシンが、実際にメモリ又はその他リソースの部分を共有するか否かは、重要ではないと考えられる。
【0023】
図2B〜2Dは、仮想マシンを使用する場合及び使用しない場合における、必要な情報及びデータを様々な態様で分離する様々な方法が示されている。ある実施形態では、図2B〜2Dに示されるブロック各々は、メモリ(物理的メモリ及び/又は仮想メモリ)の各モードの動作に専用の個別部分に規定されると仮定されるが、別の実施形態では、これらエンティティを分離するのにその他の技術を使用してもよい。ある実施形態では、動作用のメモリ(例えば、アプリケーションが実行されるRAMメモリ)と記憶用のメモリ(例えば、将来のアクセスに備えてアプリケーション及びデータが格納されるフラッシュメモリ)との間で区別されていてもよく、これらの種類のメモリをそれぞれ、コンテンツの種類に対して別々に使用してもよい。本明細書において、"アクセス制限"とは、特定のモードの間に、どのデータ、アプリケーション、デバイス、アドレス等がアクセスされるかに関する制限を指す。また、"オペレーション的制限"とは、特定のモードの間に、端末がどの動作を実行するかに関する制約を指す。特定のリソースがどちらのカテゴリにも属する事例(例えば、特定のモードで表計算機能が実行できない場合には、端末が表計算アプリケーションにアクセス不可能である、又は、表計算アプリケーションにアクセスはできるが、データの入力ができないことが考えられ、この表計算機能がそのような事例にあたる)が存在する。この重複の可能性によって、どちらかの定義が崩れるということはなく、実装される態様に応じて重複するカテゴリに属する可能性があるということが意識されるに過ぎない。
【0024】
図2Bに示すように、各モードでは、異なるデータベースが使用され、異なるアプリケーションセットが実行されると仮定してもよい。モードの各々は、そのモードでの動作制限、そのモードでの連絡先リスト、そのモードでのアクセス制限、そのモードでのユーザー設定のリスト、及び、そのモードでのその他の事項を有してもよい。図2Bに示されている構成では、各データベースは、他の2つのデータベースとは分離されており、これらデータベースは、同じデータの一部が複製されたコピーを含む場合もある。同様に、複数のモードにおいて同じアプリケーションが使用される場合であっても、モードが各自、アプリケーションソフトウェアのコピーを有することが考えられる。その他の事項についても、別のモードにおける同様な項目とは別個のものとして、各モードで表示される。これは、例えば、メモリの一部分を各モードに対して専用とすることにより実現されてもよく、各モードに専用のメモリ部分にのみ収容されるモード各々についての、関連するデータ、アプリケーション、ソフトウェア、制約制限等の全てがその専用メモリ部分に格納される。この方法によれば、完全な分離を維持することができるが、オペレーション的メモリ及び記憶的メモリの効率的な利用ができない。この方法は、図2Aに示した仮想マシンの方法を含むが、仮想マシンを使用せずに実現することもできる。
【0025】
図2Cには、別の方法が示されており、この方法では、全データは共通のデータベースセットに保持されるが、各モードのアクセス制限により、各モードにおいて端末がアクセスできるデータベース又はデータベースのどの部分にアクセスできるかが制約される。したがって、複数のモードに共通のデータのコピーを、複数のモードがそれぞれ有する必要がない。また、全アプリケーションについて1つのコピーが記憶メモリに保持されるが、各アプリケーションは、モードのアクセス制限が許可する場合に、そのモードにのみアクセス可能であってもよい。この方法は、外部アクセスに拡張することもできる。(例えば、ある人物の連絡先情報又はウェブサイトを1つの場所に保持して、各モードのアクセス制限により、その人へ連絡する又はウェブサイトに連絡する能力を、限定してもよい。)反対に、モード各々におけるユーザー設定又は動作制限(例えば、電子メールで使用が許可される言葉)等の事項のコピーを別々に保持することが望ましい場合もある。図2Cに示されているリストの項目の何れかが、モード毎に別々に保持されてもよいし、又は、アクセスが許可されたモードが利用可能な共通プールに保持されてもよく、所定の実施形態において望ましいと思われる方が選択される。
【0026】
図2Dには、その他の3つのモードの全体的な制御を提供する第4のモード(共有モードと称される)を使用した方法が示されている。この方法では、ユーザーからは不可視の場合もある第4のモードは、その他のモード各々におけるデータ、アプリケーション、制約等についての制御を保つ。最初の3つのモードにおける、ユーザー設定及び/又は動作の制限は、(図示する)これらのモードの各々によって維持されてもよく、又は、第4のモードの制御の下で維持されてもよい。ある実施形態では、第4のモードは、その他のモード間のデータ転送の制御も行ってもよい。図2A〜2Cに示されたモードの各々は、自身のモードにおける動作上の制約及び制限の一部のリストを保持して、第4のモードは、これらその他のモードと同様なリストを保持することにより、その他のモードからのリソースに対する要求を管理して、要求に対する許可又は拒否を行ってもよい。第4のモードは、どのモードがどのリソースにアクセス可能かを必要に応じて修正するべく、フラグ、インジケータ、リスト等を変更してもよい。この方法では、各モードが実行可能なことについての情報を一箇所にまとめることができることから、この各モードの実行可能情報の維持管理を容易にすることができる。
【0027】
上記した方法のうち何れが使用されるにせよ、モード各々におけるアクセス制限及びオペレーションの制約を規定するポインタ、インデックス及びその他の機能インジケータは、機密性が保たれ区分化された態様で格納されて、適切なモードからのみアクセス及び変更が可能なようにしてもよい。この情報は、オペレーティングシステム(OS)階層に格納されてもよいし、別の実施形態では、ハードウェア(例えば、SIMカード又は埋め込みフラッシュメモリ)に格納されてもよい。一人のユーザーが全てのモードを制御し、そのユーザーが望むように各モードが分離されている状態にある限りは、一のモードに別のモードが不当に割り込むのを防ぐべく一のモードのアクセス優先権を維持する通常のセキュリティ保護は、必要でないと考えられる。しかしながら、複数のユーザーが端末にアクセスする場合には、必要に応じてセキュリティ保護を実装してもよい(例えば、仕事モードへのエントリは、パスワード又はその他のセキュリティ機構により制限される)。
【0028】
[モード選択]
図1に戻り、ボタンA、B及びCを、端末が動作する異なる複数のモードを選択するのに使用してもよい。例えば、ユーザーが、複数のモードに対して、仕事、家庭及びプライベートを割り当てる場合、ユーザーは、ボタンAに仕事モードを、ボタンBに家庭モードを、そしてボタンCにプライベートを割り当てて、選択できるようにする。特定のボタンを押すと、そのボタンに割り当てられているモードがアクティブになるようにしてもよい。ある実施形態では、ボタン各々の下に位置するディスプレイ部分に、ボタンにどのモードが割り当てられているかを示してもよく、また、ユーザーはこれらのラベルをカスタマイズすることができる。
【0029】
これらのボタンをモードの選択に単純に使用するのみでなく、ユーザーは、ボタンの様々な押下方法によりボタンの機能を拡張させることができ、例えば、所定のモードのどこで動作を開始するか、及び、マルチモードでの動作を可能とするか否か等を示すようにすることができる。ボタンの押下時間、押下回数、同時に押下するボタンの数、複数のボタンの各々を連続して押下すること等に基づいて、機能の拡張を行ってもよい。例えば、次のような押下方法を採用することができる。
1)端末がすでに動作状態である場合には、1つのボタンを1回押下することにより、端末をそのボタンに割り当てられたモードにしてもよい。この機能を実装するのに、ハードボタン又はソフトボタンのどちらを使用してもよい。2)端末がスリープ状態である場合には、1つのボタンを短い時間押下する(短押しする)ことにより、端末が起動されて、対応するモードにおけるメニュー構造内の最後に訪問したロケーションが表示されるようにしてもよい。3)端末がスリープ状態である場合には、1つのボタンを長い時間押下する(長押しする)ことにより、端末が起動されて、対応するモードのホームページが表示されるようにしてもよい。4)動作状態又はスリープ状態から、同じボタンを2度素早く押下すると、端末が対応するモード内の分割画面を表示するようにしてもよい。5)動作状態又はスリープ状態から、ハードボタンのうちの2つを同時に押下すると、同じ画面で2つのモードをユーザーが操作できるデュアルモードで、端末が起動されてもよい。6)ボタンを短い時間押下した後に同じボタンを長い時間押すことによって、そのモードに対するより複雑なソフトボタンのセットが呼び出されるようにしてもよく、3つしかないハードボタンで実現可能な選択肢の数よりも多い選択肢をユーザーに提供することが可能となる。
【0030】
上記した例は、モードの選択、モードの開始位置及びマルチモードオペレーションを選択するのに使用可能な数多くのボタン押下方法のうちの、ほんの一部に過ぎない。その他の方法を採用してもよい。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係る、ボタンの押下を様々なオペレーションへと変換する方法のフローチャートである。フローチャート300に示される方法は、基本的に汎用的なものであり、どの動作を実行するかを決定するのに使用されるボタンの押下方法のみについて説明したものである。特定のボタン入力から生じる特定の動作は、端末内に構築された特定の設計制約に応じて、多様に異なる。ある実施形態では、これらの設計制限は、端末内に物理的に組み込まれていてもよい。別の実施形態では、これらの設計制限は、プログラム可能であってもよい。また、ある実施形態では、これらの設計制限が、ユーザーによって変更されてもよい。様々な実施形態において、ボタンの押下方法が、次に記載する条件の1以上に基づいていてもよい。a)どのボタンが押下されるか、b)複数のボタンが同時に押下されるか、c)1回の押下なのか又は複数の押下のシーケンスなのか、d)押下の継続時間。
【0032】
段階310において、ボタンが押下されたことを端末が検出すると、プロセスが開始し、段階320において、どのボタンが押下されたかを端末が検出する。2つ以上のボタンが同時に押下された場合でも同様な検出を行う。ある実施形態では、段階330において、押下の継続時間(すなわち、どれくらいの長さボタンが押されたか)が特定される。具体的には、ボタンが開放されるまでの時間が、規定の時間の長さを超える場合には長押しであると判断し、規定の時間の長さを超えない場合には、短押しであると判断するといったように、長い時間の押下又は短い時間の押下かが区別される。ある実施形態では、マイクロプロセッサによって実行される命令を使用して、ボタン押下の情報を記憶してもよく、別の実施形態では、ステートマシーン又はその他のハードウェア設計によって、ボタンの押下シーケンスが終了するまで情報を保持してもよい。
【0033】
ボタンが開放されると、タイマが始動して、このシーケンスの一部として別のボタンが押下されるかを判断する。段階340において、タイマが満了となる前に別のボタンが押下される場合には、段階310−320−330のオペレーションが繰り返されてもよく、前のボタン押下の情報と共にこの情報も保持される。何もなくタイマが満了した場合には、ボタン押下が完了したと仮定し、端末は、ボタン押下の結果を受けて、どの動作を行うかを決定してもよい。ある実施形態では、段階350に記載されるように、端末は、ボタン押下動作を関連付けられた動作へと変換するテーブルを参照してもよい。その他の実施形態では、その他の技術を使用してもよい。テーブルで示されるオペレーションが特定されると、段階360において、そのオペレーションがデバイスによって実行されてもよい。このオペレーションの例としては、これに限定するわけではないが、例えば、a)指定されたモードの最上階層の開始点の状態にする、b)指定されたモードに端末が前回存在していた点の状態にする、c)デュアルモードオペレーションにする、d)電池の消費電力を低下させるべく低電力オペレーションにする、が含まれる。
【0034】
[クロスモード通信]
多くの場合、利用可能なデータ、連絡先、セキュリティ等が異なるモード間で区別されていることが望ましく、これら事項の一部の内容がモード間で重複する場合であっても、区別されていることが望ましい。しかしながら、ある例では、2以上のモードに同時に同じデータ、制約、制限等を入力する、又は、このような情報を一のモードから別のモードへと移動させることが望ましい場合があるある種のオペレーションでは、ユーザーは、2つのモードに同時に入力を行ってもよい。もう一方の種類のオペレーションでは、ユーザーは、ドラッグ&ドロップ又はカット&ペースト動作を使用して、2つのモード間で情報を転送してもよい。
【0035】
情報の特定の流れを禁止するのに、承認の確認を使用してもよい。例えば、ユーザーは、仕事モードからプライベートモードへと情報をカット&ペーストすることは許されるが、プライベートモードから仕事モードへと情報をカット&ペーストすることは許されない。別の例では、プライベートモードから仕事モードへとドキュメントを転送させることは許されるが、仕事場での使用に適切な言葉であるか否かの検査が終わるまでは、仕事モードでの使用が許可されない。更なる別の例では、仕事モードのデータベースに顧客の連絡先情報を入力することは可能であるが、同じ情報を家庭モードのデータベースに同時に入力することは禁止される。履歴監査及びセキュリティ監査の理由から、モード間でのあらゆる転送が記録され(ログをとる)てもよい。
【0036】
内部的にデータ又はソフトウェアを転送するのに使用される実際の機構は、モード間の分離を維持するのに使用される構造に依存してもよい。例えば、図2Dの方法の場合には、第4モードが、第4モードのデータベースに既に存在する現在共有されている情報に関する、受信側のモードの関連制約を単純に修正してもよい。図2A又は図2Bの方法の場合には、受信側のモードは、受信された情報を格納して、必要に応じて自身の制約/許可のリストを更新してもよい。その他の技術を好適に用いてもよい。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態に係る、マルチモードのオペレーションに対するデータの入力方法を示したフローチャートである。フローチャート400では、段階410において、端末が、データ入力のためにマルチモード状態となり、段階420において、特定のモードが選択される。モードの選択は、あらゆる実現可能な手段を用いて行われてもよく、例えば、ユーザーが、特定の組み合わせ及び/又はシーケンスでボタンを押下することによって、又は、自動化された技術によって選択が行われてもよい。段階430において、選択されたモードを画面に表示して、ユーザーがどのモードを選択したか確認できるようにしてもよい。
【0038】
段階440において、端末は、入力されるデータの種類に適したフォーマットを画面に表示させてもよい。例えば、カレンダーに予定を入力する場合にはスケジュールのフォーマットが表示される、又は、ある人物の電子メールアドレスを入力する場合には、連絡先情報のフォーマットが表示される。データの入力は、新たな情報の入力又は既に存在する情報への変更であってもよい。段階450においてデータの入力が完了すると、段階460において、端末はそのデータを、選択されたモード全てのデータベースに適用する。情報を適用する正確な方法は、モードを分離状態を維持するのに使用される構造に依存する。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係る、モード間でのデータ転送方法のフローチャートである。フローチャート500では、段階510において、ユーザーは、データ転送に使用する2つのモードを選択し、段階520において、端末は分割画面フォーマットを表示する。ある実施形態では、段階510及び段階520は、同時に扱われてもよく、例えば、特定のボタン押下方法を使用して、分割表示データ転送オペレーションにどのモードを使用するかを選択してもよい。
【0040】
様々な種類の表示フォーマットが、様々な種類のデータに対して好適に使用される。ユーザーが、転送されるべきデータの種類を選択する場合には、段階530において、その種のデータを表示するのに最も適したフォーマットが自動的に選択される。これに替えて、ユーザーが、段階530において、表示フォーマットの種類を選択し、特定のデータをそのフォーマットに呼び出してもよい。どちらの場合においても、分割画面の一方の側に選択されたフォーマットが、分割表示の他方の側に複製されるようにしてもよい。段階540において、ユーザーが、画面の一方の側に転送されるべきデータを選択する時に、画面の他方の側の対応する部分にデータがコピーされるようにしてもよい。この転送は、あらゆる実行可能な手段によって起動されてもよく、例えば、ドラッグ&ドロップ、カット&ペースト又はその他の技術を使用してもよい。
【0041】
データが転送されると、段階560において、ユーザーはデータ保存機能を起動して、データを受信するモードのデータベースを更新してもよい。共通のデータにアクセスするのに使用される機構に応じて、データのコピーを受信するモードに格納すること、又は、単純に、送信元のモードと共有されるデータベースへのポインタを更新することが行われてもよい。
【0042】
段階570において、転送するべきデータが更に存在する場合には、フローは段階530に戻る(新たなデータ転送に、異なる表示フォーマットが要求される場合)、又は、段階540に戻る(同じ表示フォーマットが使用される場合)。2つのモード間で、全てのデータが転送されると、プロセスは、段階580で終了する。ある実施形態では、同じ分割画面表示のフォーマットの反対方向から異なるデータを転送してもよく、これは、単純に、分割画面の一方におけるデータを送信元データとして指定し、指定したデータを分割画面の他方に移動させて、別のデータについて反対の方向に同じことを行うことによって実現してもよい。
【0043】
[コンテキスト・アウェアネス]
コンテキスト・アウェアネスは、ユーザーの活動に基づいている。開始点として、コンテキスト・アウェアネスでは、3つのモードのうちどのモードをユーザーが使用しているのかに注目し、そのモードに基づく様々な機能を提供する又は様々な機能を停止させる。これに替えて、ユーザーが、別のモードでのみ実行可能な動作を実行しようとしている場合には、ユーザーにコンフリクトが発生している旨を通知してもよい。このような単純な例にとどまらず、コンテキスト・アウェアネスを更に拡張してもよい。
【0044】
コンテキスト・アウェアネスで鍵となるのは、端末が、端末のどのようなアクティビティ(複数のアクティビティ又は一連のアクティビティ)をユーザーが現在実行しているかについて注目し、ユーザーの過去のアクティビティに基づいて及び/又は典型的な人間の行動についてのデータベースに基づいて、端末が、ユーザーが実行を望む可能性のあるその他のアクティビィを判断し、その他のアクティビティについての情報の検索及び提供を自動的に開始することである。例えば、ユーザーが現在上映中の映画のリストを要求する場合、端末は、近くの映画館、各映画館におけるその日の鑑賞可能な上映映画のリスト及び上映時間、及び、鑑賞可能な映画それぞれについての映画批評記事のリストの検索を自動的に開始してもよい。ユーザーが、端末の電池の状態を調べる場合には、端末は、現在の電池充電状態を表示するだけではなく、ユーザーが頻度多く実行する複数の異なるオペレーションそれぞれにおける電池残量を算出してもよい。別の例では、ユーザーが現在の残高を確認するためにオンラインで銀行取引明細書を要求する場合には、端末は、以前の口座履歴を分析して、自動預金への次の給与振り込みがいつになるのか、どの請求書がその給与振り込み日以前に支払い期限となるか、分析に基づくユーザーが自由に使える預金金額はどれくらいなのか、及び、自由に使える金額のこれまでの履歴を特定してもよい。
【0045】
何れの場合でも、端末は、ユーザーの要求に応えるだけでなく、ユーザーが特に要求していないけれどもユーザーにとって有用であろうその他の情報について仮定を行い、自動的にその他の情報を取得することを試みる。そして、端末は、ユーザーが特に情報又は動作を要求していなくても、その他の情報をユーザーに表示する及び/又は端末が特定の動作を実行してもよく、その他の情報は、ユーザーの要求に応えるのに必要ないものであってもよい。
【0046】
[シチュエーショナル・アウェアネス]
【0047】
シチュエーショナル・アウェアネスは、端末を取り巻く外部環境に基づく。端末は、複数の機構を介して自身を取り巻く環境についての情報を取得してもよい。機構の例としては、これに限定されないが、1)端末の物理的位置を特定するGPSシステム、2)通信可能範囲に存在する無線ネットワーク又は無線端末を特定する1以上の無線システム、3)カメラからの入力を分析する画像認識システム、4)マイクからの入力を認識する音声認識システム、5)端末の動き及び/又は向きを特定するセンサ(例えば、加速度計)、6)温度センサ、7)その他が含まれる。これら検出される入力の1以上を、1以上のデータベースと関連付けて使用して、端末の周辺環境に関する情報を更に導出してもよい。
【0048】
例えば、GPSシステム及びデジタル化されたマップから、端末は、端末が特定の地点に位置し、ある道を下り方向に高速で移動していると判断する。そして、端末の加速度計が、突然の衝撃の大きい力を検出した後に、動きが検出されず、端末のカメラから静止した画像が検出されたとする。この情報から、端末は、自動車の事故が発生したと判断してもよい。音声的にユーザーに応答を促した後で、応答の受信に成功しなかった場合には、端末は、端末が現在関連付けられている携帯電話の中継塔を特定し、車両の位置を特定する自動救難連絡を伴う110番通報を行ってもよい。
【0049】
別の例では、端末は、ユーザーの雇用場所におけるサーバーからの無線トラフィックを検出して、ユーザーが仕事中であると判断してもよい。そして、端末を、自動的に仕事モードへと切り替えてもよい。
【0050】
更なる別の例では、ユーザーは、気に入っている喫茶店まで車で向かったが、喫茶店が閉まっていたとする。別の喫茶店の場所を調べるために、ユーザーは、喫茶店のロゴの写真を端末のカメラで撮影し、系列の最も近い別の店の場所を知らせるよう要求してもよい。そして端末は、a)この喫茶店の系列のブランド名を特定するべく、画像処理を利用する。b)GPSシステムから、ユーザーの位置を特定する。c)その地域での別の喫茶店の場所のリストを無線で要求し、営業時間の情報と共にリストを受信する。d)ユーザーが希望する自動化のレベルによっては、端末がリストから別の喫茶店を選択してもよいし、ユーザーにリストから喫茶店を1つ選択するように促してもよい。e)選択された喫茶店までの道順を提供する。道順は、ユーザーが目的地に向かって移動するに従って、インタラクティブに変更されてもよい。
【0051】
何れの場合においても、端末は、環境情報をモニタする。ユーザーが情報を要求すると、端末は、ユーザーの要求に応えるだけでなく、ユーザーが特に要求していないがユーザーにとって有用であろうその他の情報について仮定を行い、モニタリングされた情報に基づいて、自動的にその他の情報を取得することを試みる。そして、端末は、ユーザーが特に情報又は動作を要求していなくても、その他の情報をユーザーに表示する及び/又は端末が特定の動作を実行してもよい。
【0052】
[コンテキスト・アウェアネス及びシチュエーショナル・アウェアネスの組み合わせ]
図6は、本発明の一実施形態に係る、ある動作を始動させるべくコンテキスト・アウェアネス及びシチュエーショナル・アウェアネスの両方を使用する方法を示したフローチャートである。図示されるフローチャート600では、段階605において、端末のコンテキスト(背景・事情)を繰り返しモニタして、モードの経過を追い、そのモード内でユーザーが実行しているオペレーションを追跡する。コンテキストをモニタすると共に、端末は、段階615において、現在のコンテキストに基づいて関連する有用な情報が存在するかを判断する。存在する場合には、端末は、段階625においてその情報を検索する。関連情報は、端末自身のデータベースに含まれている場合もあるし、外部のリソースから取得する必要がある場合も存在する。データが取得されると、段階635において、この関連情報が端末のデータベースに格納されてもよい。格納された情報は、直ぐに使用されてもよいし、使用されなくてもよいが、有用になった時に備えて格納される。
【0053】
並行して、段階610において、環境センサを使用して、端末の環境を繰り返しモニタリングしてもよい。環境をモニタリングすると共に、段階620において、端末は、現在の環境に基づいて関連する有用な情報が存在するかを判断する。存在する場合には、端末は、段階630においてその情報を検索する。関連情報は、端末自身のデータベースに含まれている場合もあるし、外部のリソースから取得しなければならない場合もある。データが取得されると、段階640において、この関連情報が端末のデータベースに格納されてもよい。格納された情報は、現在使用されてもよいし使用されなくてもよいが、有用になった時に備えて格納される。
【0054】
段階605−615−625−635の処理ループ及び段階610−620−630−640の処理ループは、段階645又は段階650において、引き金(triggering)イベントが発生するまで、継続されてもよい。引き金イベントは、ユーザーが情報を要求する、端末がある動作を開始する、警告が検出される等の様々なイベントの何れであってもよい。引き金イベントに基づいて、段階660において、端末は、これまでに収集された様々なコンテキスト情報及び状況情報を組み合わせる及び/又は関連付けてもよい。この情報の一部は、継続的なモニタリングの結果として収集されてもよく、また、ユーザーの要求又は端末の動作に応答して、情報の一部が収集されてもよい。様々な情報を組み合わせ/関連付けした後、端末は、この情報に基づいて、段階670においてある動作を行ってもよい。一般的な動作としては、ユーザーに情報を表示することが挙げられるが、端末は、ユーザーに直接関係しない別のオペレーションを開始してもよい。この一連のオペレーションで、収集されユーザーに提示される情報は、ユーザーが要求する特定の情報に限られず、また、ユーザーが要求する情報を供給するのに必要な情報に限られない。ユーザーが要求する情報に基づいて、及び、要求された情報と要求されていない情報との間の示唆される、推定される又は発見される関係性に基づいて、要求されていないが有用である可能性のある情報も含まれる。関係性は、ユーザーの過去の履歴、ユーザー設定の記録、一般的に許容される行動規範、一般的な人間の行動、又は、その他の同様な因子に基づいていてもよい。
【0055】
多くの事例において、コンテキスト・アウェアネス及びシチュエーショナル・アウェアネスの両方を使用して、端末の自動オペレーションをトリガしてもよい。外部環境を検出し、この情報を端末における現在のオペレーションのコンテキストと組み合わせることにより、端末は、ユーザーから要求されてはいないが、環境的入力及び現在のコンテキストから導出された仮定に基づいて、別のオペレーションを起動してもよい。
【0056】
上記の説明は、例示することを目的としており、限定することを意図していない。当業者であれば様々な変形例を考えうる。これら変形例についても、本発明の様々な実施形態に含まれることを意図しており、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチスクリーン及び無線通信のための無線機を有する携帯電子端末を備える装置であって、
前記端末は、
第1動作を実行する要求をユーザーから受信し、
前記ユーザーから要求されておらず、前記第1動作の実行に必要ない情報にアクセスし、
前記要求に応答して、前記アクセスした情報の少なくとも一部を前記ユーザーに提供する、装置。
【請求項2】
前記アクセスは、前記第1動作のコンテキスト及び前記要求時に前記端末が動作しているモードに少なくとも一部基づいている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ユーザーから要求されていない情報には、前記端末が検出した環境情報が含まれる請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記提供される情報の選択は、前記ユーザーの要求の過去の履歴に少なくとも一部基づく請求項1に記載の装置。
【請求項5】
現在の動作モードにおいて前記ユーザーがアクセスできない情報は、前記提供される情報からは除外される請求項1に記載の装置。
【請求項6】
携帯電子端末において、ユーザーによる第1動作の実行要求に基づいて、前記第1動作を実行する段階と、
前記要求に基づいて、前記ユーザーから要求されておらず、前記第1動作の実行に必要ない情報にアクセスする段階と、
前記要求に応答して、アクセスした前記情報の少なくとも一部を前記ユーザーに提供する段階と
を備える方法。
【請求項7】
異なる時間に複数のモードの各々で動作する段階を備え、
前記複数のモードの各々は、動作制約の個別のセットを有し、
前記セットはそれぞれ、
アクセス可能なインターネットサイトについての制約、
利用可能な電子メール連絡先についての制約、及び、
閲覧可能なデータについての制約を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アクセスは、前記第1動作のコンテキスト及び前記要求時に前記端末が動作しているモードに少なくとも一部基づいている請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザーから要求されていない情報には、前記端末が検出した環境情報が含まれる請求項6に記載の方法。
【請求項10】
命令を格納するコンピュータ可読記憶媒体を備える物品であって、
前記命令は、1以上のプロセッサによって実行された時に、
携帯電子端末において、ユーザーによる第1動作の実行要求に基づいて、前記第1動作を実行させ、
前記要求に基づいて、前記ユーザーから要求されておらず、前記第1動作の実行に必要ない情報にアクセスさせ、
前記要求に応答して、アクセスした前記情報の少なくとも一部を前記ユーザーに提供させる動作を実行させる物品。
【請求項11】
更に、異なる時間に複数のモードの各々で動作させ、
前記複数のモードの各々は、動作制約の個別のセットを有し、
前記セットはそれぞれ、
アクセス可能なインターネットサイトについての制約、
利用可能な電子メール連絡先についての制約、及び、
閲覧可能なデータについての制約を含む請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記アクセスは、前記第1動作のコンテキスト及び前記要求時に前記端末が動作しているモードに少なくとも一部基づいている請求項10に記載の物品。
【請求項13】
前記ユーザーから要求されていない情報には、前記端末が検出した環境情報が含まれる請求項10に記載の物品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−104124(P2012−104124A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−255436(P2011−255436)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【分割の表示】特願2012−511804(P2012−511804)の分割
【原出願日】平成21年12月31日(2009.12.31)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】