説明

マルチリアクタ・分析チップのテスト方法、該分析チップ及びテスト装置

マルチリアクタ・分析チップのテスト方法は、
(a)スポッティングによってサンプルを付着させるステップと、
(b)リアクタ内の残留サンプルの流動性を低減するステップと、
(c)前記残留サンプルを有するリアクタの一方向洗浄を行うステップとのうち少なくとも1つを含む。本発明は、前記テスト方法用のテスト装置、及び、パーティション構造の少なくとも一部の高さが1mm未満である分析チップも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には分析チップでのテストに関し、具体的にはマルチリアクタ・分析チップのテスト方法に関する。本発明はまた、発明方法を実現する装置、特に、マルチリアクタ・分析チップと、リアクタ洗浄システム、残留サンプル処理システム及び/又はサンプル付着・検定システムをつけたテスト装置とに関する。本発明はまた、本発明の分析チップを製作するためのマルチ・セル基板と、本発明の分析チップを含むキットとに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明で前記分析チップ(analitic chip)又はチップ(chip)は、定性及び/又は定量分析用テスト装置を指す。前記チップは、マイクロチャンネルチップ及びマイクロアレイチップのような、異なる形式のチップを含む。チップの核心はリアクタで、リアクタの核心はこれに固定されたプローブである。前記チップは、バイオチップ及び非バイオチップのような、異なるプローブを有するチップを含む。現在、より一般的に使われているチップはバイオチップで、より一般的に使われるバイオチップはペプチド・チップ及び遺伝子チップである。前記チップは、遺伝子発現の確定、遺伝子スクリーニング、薬物スクリーニング、疾患診断及び治療、環境の制御及び管理、司法鑑定等の分野を含む、広範な用途がある。
【0003】
本発明では、チップのリアクタ(試薬)の個数(n)にしたがって、チップはそれぞれモノリアクタ・チップ(n=1)又はマルチリアクタ・チップ(n≧2)と定義される。マルチリアクタ・チップによるテストでは、リアクタのサンプル付着と残留サンプルを有するリアクタの洗浄とが、テストの効率及び自動化に最も影響のある要素である。
【0004】
マルチリアクタ・チップによるテストでは、従来のサンプル付着は注射であり、これは、まず機械的に液体サンプルを吸引し、その後これをリアクタ内に注射することを意味し、例えば、注射器、ピペット又はポンプでのサンプル付着である。注射式サンプル付着はサンプル吸入と排出とからなるので、複雑で、マルチリアクタ・チップ、特に、高密度リアクタのチップのマルチリアクタの応用で多くの制限(例えば、スペースの制限)がある。
【0005】
マルチリアクタ・チップによるテストにおいて、従来のリアクタの洗浄、特に、従来の反応残留物を有するリアクタの洗浄は両方向工程で、(a)リアクタから反応残留物を除去するステップと、(b)まず洗浄液をリアクタ内に付け、その後該洗浄液を除去するステップと、(c)洗浄液を付けるステップと除去するステップとを複数回繰り返すステップとを含む。このリアクタ洗浄はELISAプレートの洗浄に類似する。精密な機器は両方向洗浄を行う必要があるので、マルチリアクタ・チップ、特に、高密度リアクタのチップのマルチリアクタの用途には多くの制限(例えば、スペースの制限)がある。洗浄液の運動量は小さいので、洗浄効果は改善する余地がある。
【0006】
マルチリアクタ・チップは前記テストにとって重要な材料手段である。リアクタを分けるパーティション構造はマルチリアクタ・チップの最も重要な構造の1つである。実際に、現在広範に使用されている初期型チップは、パーティション構造の無い構造のチップであって、顕微鏡スライドを基板とするが新しく追加する構造はないチップのように、プローブで活性化され、サンプル付けされる、単一の開放的で非流動的なリアクタを有するチップであるのが普通である。単一の開放的で非流動的なリアクタを有するこのチップの長所は、サンプリング及びスキャニングが容易で、動作の一部が外力(例えば、噴射洗浄)で駆動される流動媒質により実施される、単純な構造にある。短所は1つのリアクタしか使用できないことである。サンプル中に含まれる関心のある物質の種類が多くない(例えば、100種類未満)とき、マルチリアクタ、特に、高密度マルチリアクタ・チップが、チップ費用を低減し、テスト効率を向上するために、開発されるべきである。マルチリアクタ・チップのパーティション構造は以下の特性を有する。(A)交差汚染又は反応を避けるために、液体媒質の流動を効果的に制限できる。(B)高さはできるだけ低くすべきで、これは、リアクタ洗浄効果を改善し、スキャニング装置の技術的要求を低くするための重要なアプローチとしての役割を果たす。(C)媒質と反応せず、汚染されることもない。現在、前記マルチリアクタのパーティション構造は、高さの差による分離と、異なる平面による分離と、疎水性材料及び超疎水性材料の使用による分離という機構の1つまたは2つ以上に基づく(PCT出願 PCT/CN03/00055及びPCT/CN2004/000169)。しかし、これらのパーティション構造は、パーティション構造の高さが最小のとき、有機媒質の流動及び交差汚染を制御するうえで欠陥があることがわかる。
【特許文献1】国際公開公報PCT/CN03/00055号明細書
【特許文献2】国際公開公報PCT/CN2004/000169号明細書
【0007】
マルチリアクタ・チップでテストするための別の重要な装置は、サンプル付着システム及び/又はリアクタ洗浄システムを備えたテスト装置である。バイオチップテスト装置の一部は公開されているが、該テスト装置のほんのわずかだけがマルチリアクタに使用できる。
【0008】
噴射によるリアクタ洗浄は長い間、単一リアクタのチップテストに採用されてきたが、マルチリアクタ・チップを自動的に洗浄する必要性に応えるために、複数の異なる技術的な設計が開発されなければならない。例えば前記チップのリアクタは、マイクロプレートの反応セルと同じサイズ及び間隔を有するように設計される。同時に、ELISAテスト装置はこの自動的テストを助けるであろう。しかしマイクロプレート洗浄機は、反応残留物の吸引と噴射による洗浄とからなる両方向の洗浄を行うため、手間がかかって、洗浄効率が低い。
【0009】
現行のサンプル付着装置は、ピペット、サンプル付着ポンプ等のような噴射を利用する装置であり、まずサンプルを容器(例えば、注射器の吸入口又はサンプリングポンプのチューブ)に入れて、その後、機械的な力で該容器から押し出す。この種類の装置は常に技術的に複雑で、サンプル装荷に時間がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、集積度がより高く、効率がより高く、感度がより高いテスト方法を見つけること、及び、該方法の任務を果たせるチップ及びテスト装置を作成することは、マルチリアクタ・チップ開発における緊急課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の開示
本発明は、利便性及び安全性を前提として、分析チップのテストの高い集積度と高い効率とを達成することを目的とするが、ここで「高い集積度」とは、複数のリアクタ、特に、高密度のリアクタ(例えば、密度が1リアクタ/cmを超えるマルチリアクタ)で同時に同じ工程を実行できることを指し、「高い効率」とは、短いテスト時間、低いテスト費用、高い感度及び/又は頻繁な繰り返しを指し、「安全性」とは、リアクタ間の交差汚染を制御可能であることを指す。この目的のために、本発明は、前記分析チップのテスト方法と、前記マルチリアクタ・分析チップと、前記マルチリアクタ分析チップのテスト装置とを提供する。
【0012】
本発明の第1の実施態様は、容易な操作及び安全を前提として、集積度が高く効率的なチップテスト方法を提供することである。前記テスト方法では、他のチップ及び/又はテスト装置もこの目的を実現できるが、最適な装置は本発明のチップ及び/又はテスト装置である。本発明の実施態様は、分析チップのマルチリアクタの間の交差汚染に関する研究で得られた予想できない結果に基づく。
【0013】
一般的な見方では、リアクタ洗浄における交差汚染を避けるために、あるリアクタ内の残留サンプルが別のリアクタに入るのを完全に防止しなければならない。単一の開放リアクタを有する分析チップでは液体噴射が反応残留液を直接洗浄するのに使用されるが、マルチリアクタ・分析チップの場合には類似する方法がない。但し、この発明の実施例に示すとおり、一般的な見方に反して、たとえあるリアクタの残留サンプルが隣接する別のリアクタに入るのを防止するパーティション構造がない場合であっても、リアクタ洗浄システムを備えたテスト装置が前記チップのマルチリアクタに直接的な一方向噴射を行うように用いられるときには、前記リアクタ洗浄で必ずしも交差汚染が発生することはないであろう。
【0014】
さらに、サンプのサイズ及び位置をより良く制御できるサンプル付着(例えば、本発明実施例でのサンプルスポッティングによるサンプル付着)、及び/又は、残留サンプルに対する特別な処理(例えば、本発明実施例ので流動性低減方法)が適用できる場合には、交差汚染はよりよく制御できるようになるであろう。そして、リアクタ洗浄、サンプルスポッティングによるサンプル付着及び流動性低減方法がなんらかのやり方で組み合わされるとき、交差汚染はさらに低減できる。
【0015】
したがって本発明の第1の実施態様は、、(a)スポッティングによってサンプルを付けるステップと、(b)前記リアクタ中の残留サンプルの流動性を低減するステップと、(c)残留サンプルを有する前記リアクタの一方向洗浄を行うステップとのうち、少なくとも1つか、いずれかの組み合わせかを含む、マルチリアクタ・分析チップのテスト方法を提供する。
【0016】
本発明のテスト方法では、前記一方向洗浄は、Q個の個別の液体をそれぞれN個のリアクタに付けることを含む。これにより、前記残留サンプルが前記リアクタから洗い出される。ここで、(a)Q≧N≧2で、(b)前記Q個の液がほぼ同時にそれぞれ前記N個のリアクタに付けられる。
【0017】
本発明のテスト方法では、前記液体は1−1000cm/秒の直線速度で前記リアクタに到達する。
【0018】
本発明のテスト方法では、前記流動性の低減は、(a)前記残留サンプルの粘度を増加すること、(b)前記残留サンプルに流動性を低減させる添加剤を加えること、及び、(c)吸水材料によって前記残留サンプルの体積を減少させることという手順のうちの1つ又はいずれかの組み合わせを含む。
【0019】
本発明のテスト方法では、前記サンプルのスポッティングをすることは接触スポッティングをすることを含む。
【0020】
本発明のテスト方法では、(a)前記サンプルを前記リアクタにスポッティングする直線速度が0.1cm/秒を超える、及び/又は(b)前記接触スポッティングにより形成されたサンプルのスポットは前記リアクタ上の面積を覆い、該面積は前記リアクタのプローブ領域の面積の1.5ないし5.0倍を占める。
【0021】
本発明の実施例に示すとおり、本発明のテスト方法は下記目的の達成を図る。
【0022】
(1)本発明のスポッティングによるサンプル付着を用いると、高い集積度と高い効率のサンプル付着を実施できる。
(a)本発明のサンプルのスポッティングを用いると、サンプルを複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)、特に、高密度のリアクタ(例えば、リアクタ密度がリアクタ1個/cmを超えるチップ)に同時に付けられる。したがって高い集積度になる。
(b)本発明のサンプルのスポッティングを用いると、一定の体積、面積及び運動量を有するサンプルを複数のリアクタに付けることができ、サンプルに付けられる量の制御し、感度を増大して、高い効率を達成するのを助けるであろう。
(c)本発明のサンプルのスポッティングを用いると、前記リアクタ内のサンプルの面積及び体積を最小化できるので、交差汚染が有効に制御でき、安全性が達成される。
【0023】
(2)本発明の流動性を低減する手順を用いると、集積度及び効率の高いテストが実施できる。
(a)前記流動性を低減する手順を用いると、複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)、特に、高密度のリアクタ(例えば、リアクタ1個/cmを超えるリアクタ密度のチップ)上のさまざまな液体媒質の流動性が制御できる。したがって高い集積度になる。
(b)前記流動性を低減する手順を用いると、媒質の流動性を制御するために短い時間で済む。したがって効率が高い。
(c)前記流動性を低減する手順を用いると、残留サンプルの流動性が低減でき、交差感染が制御できる。したがって安全性が達成される。
【0024】
(3)本発明の一方向洗浄システムを用いると、高い集積度と高い効率のテストを実施できる。
(a)前記一方向洗浄を用いると、複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)、特に、高密度のリアクタ(例えば、リアクタ1個/cmを超えるリアクタ密度のチップ)上のさまざまな液体媒質の流動性が制御できる。よって、高い集積度になる。
(b)前記一方向洗浄システムを用いると、リアクタ洗浄が短時間(例えば1−10秒)で完了でき、洗浄効果は、洗浄液の直線速度の増加に伴って向上する。したがって効率が高い。
(c)前記一方向洗浄システムを用いると、洗浄液が別々であるため、交差汚染が制御できる。したがって安全性が達成される。
(d)前記一方向洗浄システムを用いると、サンプル付着/液体の吸引の繰り返しの必要がなくなる。したがって便利になる。
【0025】
(4)スポッティングによるサンプル付着と、流動性を低減する手順と、一方向洗浄とが、いずれかのやり方で組み合わされるとき集積度、効率及び安全性を失うことなく、より良い効果(例えば、より高い効率及び/又はより高い安全性)が達成できる。
【0026】
本発明の第2の実施態様は、操作の容易性及び安全性を前提として、集積度及び効率が高いマルチリアクタ・分析チップを提供することを意図する。これはチップリアクタのさまざまな特徴の研究に基づく。他のテスト方法もこの目的を達成できるが、本発明のマルチリアクタ・分析チップは本明細書のテスト方法について最適の選択である。前記分析チップの共通の特徴は、最少の組成(基板、これに固定されたプローブのスポット、これに連結されたリアクタのパーティション構造)と、高さ(パーティション構造の少なくとも一部の高さが1mm未満)である。これを基礎として、本発明は特別な構造を有する2種類の分析チップも提供する。前記チップの全てが本発明のテスト方法に適用できる。
【0027】
よって本発明の第1の分析チップは、少なくとも基板と、これに固定されたプローブのスポットと、これに連結されたパーティション構造とを含む、マルチリアクタ・分析チップであって、(a)前記パーティション構造の少なくとも一部の高さは1mm未満であり、(b)前記パーティション構造は、疎水性−疎油性構造を含み、該構造の表面は前記基板の表面に比べて疎水性及び疎油性がより強い。
【0028】
本発明の第1のチップによる分析チップでは、(a)前記疎水−疎油性構造の表面は前記基板の表面より水の接触角度が40度大きく、(b)前記疎水−疎油性構造の表面は前記基板の表面より油の接触角度が10度大きい。
【0029】
本発明の第1のチップによる分析チップでは、前記疎水−疎油性構造は疎水−疎油性材料を含む。
【0030】
本発明の第1のチップによる分析チップでは、前記疎水−疎油性材料は疎水−疎油性有機材料及び/又は疎水−疎油性ナノ材料を含む。
【0031】
本発明のこの実施態様は、本発明の第1のチップ用の複数のセルを有する基板も提供することを意図する。本発明の複数セルを有する基板は、基板と、これに連結されるリアクタパーティション構造とを少なくとも含み、(a)前記パーティション構造の少なくとも一部の高さが1mm未満であり、(b)前記パーティション構造は請求項7−10に記載のいずれかのパーティション構造を指す。
【0032】
本発明の第2の分析チップは、基板と、これに固定されたプローブのスポットと、これに連結されるパーティション構造とを少なくとも含む、マルチリアクタ・分析チップであり、(a)前記パーティション構造の少なくとも一部の高さは1mm未満であり、(b)前記リアクタは、非プローブ領域と、最小面積であるプローブ領域とを含み、(c)前記パーティション構造の少なくとも一部の表面は前記基板の表面より疎水性が強い。
【0033】
マルチリアクタの第2のチップによる分析チップでは、
(a)前記プローブ領域の最小面積は4.0mm未満で、前記非プローブ領域の面積より小さく、
(b)前記パーティション構造の最低部分の高さは、0.01mmから0.80mmまでの範囲であり、及び/又は
(c)前記パーティション構造の表面は前記基板表面より水の接触角度が40度大きい。
【0034】
第2のマルチリアクタ・チップによる分析チップでは、(a)前記プローブ領域の最小面積が1mm未満で、及び/又は、(b)前記プローブ領域の密度はプローブのスポット9個/mmを超える。
【0035】
マルチリアクタの第2のチップによる分析チップでは、前記プローブ領域の面積、前記パーティション構造の高さ及び前記水の接触角度は、前記チップが360度回転されるとき、前記プローブ領域に付けられた水性サンプルが前記リアクタのいずれからも流出しないやり方で決定される。
【0036】
マルチリアクタの第2のチップによる分析チップでは、前記パーティション構造は、(a)前記基板表面より水の接触角度が20ないし59度大きい表面を有する疎水構造、(b)前記基板表面より水の接触角度が60度大きい表面を有する超疎水構造、及び/又は、(c)請求項7−10のいずれかに記載の疎水−疎油性構造を含む。
【0037】
本発明のこの実施態様は、本発明の第1及び/又は第2の分析チップを含むキットを提供することも意図する。
【0038】
本発明の実施例に示すとおり、前記マルチリアクタ・分析チップは下記の目的の達成を図る。
【0039】
(1)前記分析チップの集積度は高く、
(a)その構造の集積度が高く、例えば、25×75mm(幅×長さ)のチップは複数のリアクタ(例えば、16−48個以上のリアクタ)を含む場合があり、(b)その用途の集積度が高く、例えば、それは本発明の集積度の高いテストに適用できる。
【0040】
(2)前記分析チップは効率が高く、例えば、該チップの上にリアクタが高密度(例えば、リアクタ1−2個/cm以上)で配置される。したがってテスト費用低下を助け、集積度の高いテストの応用により適用できる。
【0041】
(3)前記分析チップは非常に安全性が高く、例えば、本発明実施中に、リアクタの間の交差汚染が観察されない。
【0042】
前記分析チップを含むテストキットも前記の目的を達成できる。
【0043】
本発明の第3の実施態様は、動作の容易性及び安全性の前提の下で、高い集積度と高い効率のある分析チップのテスト装置を提供することを意図する。本発明の分析チップのテスト装置は、他のテスト方法もこの目的を達成できるが、本明細書のテスト方法にとって最適の選択である。
【0044】
そこで本発明のテスト装置は、本発明のマルチリアクタ・分析チップのテスト方法のためのテスト装置であって、(a)前記一方向洗浄方法用の一方向洗浄システム、(b)前記残留サンプルの流動性低減用の流動性低減システム、及び/又は、(c)前記スポッティングによるサンプル付着用のサンプルのスポッティングシステムを含む。
【0045】
本発明でのテスト装置では、前記一方向洗浄システムは、前記Q個の液体が作成されるQ個の排出口を有するノズルを含む。
【0046】
本発明のテスト装置では、(a)前記リアクタ上に到達する前記液体の直線速度は1−1000cm/秒であり、(b)前記排出口の直径は0.1−1.0mmであり、(c)前記ノズルでの排出口の密度は1個/cmを超え、(d)前記個別の液体と前記プローブ領域との間の時計周り角度が1−179度で、及び/又は、(e)前記排出口のいずれかと、前記リアクタの最も近いプローブ領域との距離は0.1−10.0cmである。
【0047】
本発明のテスト装置では、前記流動性低減システムは、(a)前記残存サンプルの粘度を増加させるために用いられる温度制御システム及び/又は湿度制御システムと、(b)前記残留サンプルに前記流動性低減添加剤を付けるための装荷システムと、(c)水吸収剤を含む、吸水システムとのうち少なくとも1つからなる。
【0048】
本発明のテスト装置では、前記サンプルのスポッティングシステムは、1個又は2個以上の接触式スポッティング用先端チップ(tip)を含む。
【0049】
本発明のテスト装置は光信号検出システムも含み、(a)該検出システムは、前記検出チップの背景領域に光輻射及び/又は反射構造を含む、背景信号強化システムを含み、及び/又は、(b)前記検出システムは、前記検出チップの背景領域に、光吸収率が95%を超える光吸収構造を含む、背景信号弱化システムを含む。
【0050】
本発明の実施例に示すとおり、前記分析チップのテスト装置は下記の目的を達成することを意図する。
【0051】
(1)本発明のサンプルスポッティングシステムを用いると、高い集積度、高い効率及び高い安全性を有するサンプル付着を実施でき、
(a)前記サンプルのスポッティングシステムを用いると、サンプルは、複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)、特に、高密度のリアクタ(例えば、リアクタ1個/cmを超えるリアクタ密度を有するチップ)に同時に装荷される。したがって、集積度が高い。
(b)前記サンプルのスポッティングシステムを用いると、一定の体積、面積及び運動量を有するサンプルを複数のリアクタに付けることができる。これは交差汚染の制御を助け、感度を増加できる。したがって、効率が高い。
(c)前記サンプルのスポッティングシステムを用いると、リアクタ内のサンプル面積及び体積を最小にできるので、交差汚染を有効に制御できる。したがって、安全性が高い。
【0052】
(2)本発明の流動性低減システムを用いると、集積度、効率及び安全性が高いテストを実施でき、
(a)前記流動性低減システムを用いると、複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)、特に、高密度リアクタ(例えば、リアクタ1個/cmを超える密度を有するチップ)のさまざまな液体媒質の流動性が制御できるので、集積度が高い。
(b)前記流動性低減システムを用いると、媒質の流動性を制御するのに必要な時間が短いので、効率が高い。
(c)前記流動性低減システムを用いると、前記残留サンプルの流動性が低減でき、交差汚染が制御できるので、安全性が高い。
【0053】
(3)本発明の一方向洗浄システムを用いると、集積度、効率と安全性の高いテスト方法を実施でき、
(a)前記一方向洗浄システムを用いると、いくつかのリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)、特に、高密度(例えば、リアクタ1個/cmを超える密度のマルチチップ)のリアクタを同時に洗浄できる。したがって、集積度が高い。
(b)前記一方向洗浄システムを用いると、リアクタ洗浄を短時間で完成でき(例えば、1−10秒)、洗浄液の直線速度を増加すると、洗浄効果を強化できる。したがって、効率が高い。
(c)前記一方向洗浄システムを用いると、交差汚染を制御できる。したがって、安全性が高い。
【0054】
(4)前記一方向リアクタ洗浄方法、スポッティングによるサンプル付着及び流動性低減方法がいずれかのやり方で組み合わされるとき(流動性低減システムを備えるスポッティングシステム、一方向洗浄システムを備えるスポッティングシステム、一方向洗浄システムを備える流動性低減システム、又は、流動性低減システム及び一方向洗浄システムを備えるスポッティングシステム)、集積度、効率及び安全性を失うことなく、さらにより良い結果を達成できる。
【0055】
要するに、本発明のテスト方法、マルチリアクタ・チップ及び/又はテスト装置が本発明の目的達成を助けるであろう。
【0056】
図面の説明
図1はマルチリアクタ・チップの実施例を示し、基板1と、該基板に固定されたプローブのスポット2と、基板に連結されるリアクタパーティション構造3と、プローブ領域5及び非プローブ領域6を含むリアクタ4とを含む。
【0057】
図2Aは排出口8が凸状体に配置されたノズル7の実施例を示し、図2Bは排出口8が凹陥部に配置されたノズル7の実施例を示し、図2Cは排出口8が平面に配置された平面ノズル7を示す。
【0058】
図3は本発明の用途に用いられるリアクタ洗浄システムを含むテスト装置の異なるシステム間の関係を示す。前記システムは、サンプル製作(調製)システム9、サンプル装荷システム10、サンプル反応システム11、流動性低減システム12、リアクタ洗浄システム13、信号読み取りシステム14及び信号分析システム15である。
【0059】
図4はリアクタ洗浄システムを備えたテスト装置の作動原理を表す。前記テスト装置は、別々の洗浄チャンバー16、温度/湿度コントローラー17、圧力ポンプ18、洗浄液の貯蔵瓶19、パイプライン20、ノズル21、排出口通路22及び制御システム23を含む。
【0060】
図5は本発明の1つの実施例に基づくサンプルのスポッティングシステムを示す。図5Aはスポッティング用先端チップ24の固定器である。図5Bはさまざまな種類の装着可能なスポッティング用先端チップ26を示し、マルチ・スポッティング用先端チップの固定器はステム25を含み、該スポッティング用先端チップは穴27を含む。スポッティング用先端チップの末端は各種の形状をとる場合があり、例えば、あるものはスロット28を有し、あるものは継ぎ目及び溝(slop)を有し、別のものは、円筒、半球、管、円錐又は立方体の形状を有する。時には、これらの形状の組み合わせになる場合がある。
【0061】
発明の詳細な説明
I.用語
本発明を説明するために、下記の用語が使用され、下記のとおり定義される。
【0062】
「分析チップ(analitic chip)」、又は略称して「チップ(chip)」という用語は、定性及び/又は定量分析用リアクタを含む装置を指し、該チップの上に、サンプルの中での関心のある物質と特異的反応を起こし、結果がアドレスを追跡可能なパターンで同定できるプローブが固定される。本発明のチップは、バイオチップ、非バイオチップ、マイクロアレイ等の例を含む。本発明では、チップは、チップ内のリアクタの個数によって、単一リアクタを有するチップ(1個のリアクタしか含まない)又はマルチリアクタ(複数のリアクタを含む)のチップと定義できる。
【0063】
本発明では、マルチリアクタ・チップは少なくとも基板、これに固定されたプローブのスポット及びリアクタパーティション構造を含む。「プローブ」という用語は、DNA、ポリペプチド、蛋白質、細胞又は組織等のような関心のある物質を捕捉するために、基板に固定された材料を指し、「基板」という用語は、前記プローブを固定する固体支持体を指し、「リアクタパーティション構造(reactor partition structure)」、又は、略称して、「パーティション構造」という用語は、分離コート(separating coat)、分離ゾーン又は分離プレート等のような、あるリアクタを他の全てのリアクタから分離する構造を指す。本発明では、対象チップ上の前記パーティション構造は、主にサンプリング及び反応の過程でリアクタを分離するためのものであるが、残留サンプルを有するリアクタを洗浄する際には、この機能を発揮しない可能性がある。
【0064】
本発明では、「分析チップリアクタ」、又は略称して、「リアクタ」という用語は、プローブが固定され、関心のある物質と反応する場所と、該場所と結合した全ての構造とを指す。リアクタの例は、基板と、該基板に固定されたプローブと、パーティション構造その他の結合した関連構造(例えば、流動通路、吸入口構造、排出口構造、固定されたマーカー等)を含むリアクタである。
【0065】
本発明では、リアクタはプローブ領域と非プローブ領域とを含む。「プローブ領域(probe region)」という用語は、プローブのスポットが固定された基板上の領域を指すが、該スポットの境界線は、図1の領域5のように、パーティション構造に最も近いプローブのスポットを連結する線であり、「非プローブ領域(non−probe region)」という用語は、図1の領域6のように、前記プローブ領域とパーティション構造との間のリアクタの基板上の領域を指す。
【0066】
本発明では、マルチリアクタ・チップは、保護構造のような、プローブのスポット、基板及びパーティション構造以外の構造を含む可能性がある。「保護構造(protective structure)」という用語はチップと連結された構造を指すが、該構造はサンプル付着前の段階(例えば、輸送、貯蔵等の際)で、前記リアクタの一部又は全部の構造を閉じることができ、前記構造はサンプル付着の前に部分的又は全面的に除去できる。前記保護構造は、チップ上のリアクタが使用されないとき、該リアクタの汚染を防止するように設計される。テスト中、前記保護構造は、サンプリングが前記リアクタ内で実行されるように、全面的又は部分的のいずれかで、不可逆的に除去されるであろう(参考:PCT/CN2004/000169)。
【0067】
「分析チップテスト(analytical chip testing)」、又は略称して、「チップテスト」という用語は、抗原/抗体プローブを有するバイオチップによる輸血用スクリーニングのような、分析チップを含む装置を利用するテストを指す。
【0068】
本発明では、分析チップテストの異なる段階での状態に応じてリアクタが分類される。例えばリアクタは、チップの輸送及び/又は貯蔵中にリアクタが保護構造により保護されるかどうかによって、保護されたリアクタか、保護されないリアクタかに分類され、リアクタは、サンプル付着工程で、プローブ領域が露出されるかどうかによって、開放リアクタか閉鎖リアクタかに分類され、リアクタは、サンプリング(サンプル付着)工程で添加されたサンプルがプローブ領域上で配向されたとおり流動するかどうかによって、流動性リアクタ(flow reactor)か非流動性リアクタ(non−flow reactor)かに分類され、リアクタは、プローブ領域の上の残留サンプルがリアクタ洗浄工程で露出されるかどうかによって、露出リアクタか、非露出リアクタかに分類される。チップのリアクタは、同じ工程及び異なる工程で異なる反応状態の場合があるので、異なるリアクタとして分類される場合がある。例えば、輸送及び/又は貯蔵の途中でリアクタが保護構造を含むときには、該リアクタは保護されたリアクタであり、サンプリング工程で、プローブ領域が開放されるときには開放リアクタであり、サンプリング工程でプローブ領域が開放され、添加されたサンプルが設定された方向に流動するときには開放流動リアクタであり、残留サンプルのリアクタを洗浄する際に、プローブ領域が開放されるときには露出リアクタである。以上の例に示されるとおり、リアクタはあるテスト工程でのある状態を参照してリアクタが分類されるので、リアクタは異なるプロセスで異なる成分を有する場合がある。例えば、貯蔵中に保護構造と可逆閉鎖構造とからなる保護されたリアクタが、サンプリング工程で該保護構造が除去されたときには、可逆閉鎖リアクタになり、リアクタ洗浄中に可逆閉鎖構造が除去されたときには、露出リアクタになる。
【0069】
「平面リアクタ(plane reactor)」という用語は平面基板を有するリアクタを指し、「平面基板(plane substrate)」という用語は、活性化スライドガラス及び金属板等のように、リアクタ洗浄工程でプローブを固定する表面が水平又はほぼ水平な基板を指す。
【0070】
本発明では、装備するリアクタによってチップが異なる方式で定義される。例えば、開放リアクタ、閉鎖リアクタ、流動リアクタ又は非流動リアクタを有するチップは、それぞれ、開放チップ、閉鎖チップ、流動チップ又は非流動チップと定義される。
【0071】
「可逆(reversible)」という用語は、テストの過程でチップの本来の構造が除去できることを意味する。「可逆閉鎖(reversibly closed)」という用語は、本来閉鎖されていた構造がテストの過程で除去できることを意味する。「閉鎖構造(closed structure)」という用語は、少なくともサンプリングの過程ではプローブ構造が覆われる構造を指す。
【0072】
「可逆閉鎖マルチリアクタを有する分析チップ」という用語は、PCT/CN03/00055に記載の可逆閉鎖マルチリアクタを有する分析チップのような、複数の可逆閉鎖リアクタを含むチップを指す。
【0073】
「広いチャンバーのリアクタを有するチップ」という用語は、該リアクタが、吸入口構造と、排出口構造と、パーティション構造と、幅が600umを超え、好ましくは、1000umを超えるチャンバーとを含むチップを指し、(a)前記広いチャンバーが、吸入口と、排出口と、チャンバー壁と、チャンバー頂部と、底部と、頂部及び/又は底部に固定されたプローブとを含み、(b)前記広いチャンバーの幅と、前記広いチャンバーの壁の高さと、前記底部及び/又は頂部の水接触角度とは、前記固定されたプローブを有する底部及び/又は頂部が水平のとき、前記吸入口を経て添加された非イオン水は、2秒未満、好ましくは、1秒未満で前記吸入口から広いチャンバーに充填されるように設計される。広いチャンバーを有するリアクタの例は、他の発明PCT/CN2004/001128に記載のチップリアクタである。
【0074】
「接触角」という用語は、固体表面上の液滴が熱力学的平衡に達するとき、気体−液体界面の接線と、固体−液体界面接線と間の角度を指す。
【0075】
「疎水性−疎油性構造」という用語は、水及び油の両方をはじく構造である。
【0076】
「疎水性−疎油性有機材料」という用語は、本発明の実施例での疎水性−疎油性高分子材料のように、疎水性−疎油性組織を含む材料を指す。「疎水性−疎油性ナノ材料」という用語は、本発明の実施例で使用するナノ粒子を有する疎水性−疎油性材料のように、疎水性−疎油性ナノ粒子を含む材料を含む、疎水性−疎油性ナノ構造を含む材料を指す。
【0077】
「セル(cell)」という用語はプローブが固定された基板上の反応領域と、その周囲のパーティション構造とを指す。「マルチ・セル(multiple cells)」という用語は2個または3個以上のセルを指す。
【0078】
「サンプル(sample)」という用語は、ヒトの血清、希釈されたヒトの血清、標識されたヒトの血清等のような、テスト用の関心のある物質を含む可能性のある溶液を指し、「関心のある物質(substance of interest)」という用語は、テスト目標物、テスト中間物等のように、関心を引く物質を意味し、「残留サンプル(remnant sample)」という用語は、前記プローブと関心のある物質との反応後、未反応の物質を含むサンプルを意味する。「残留サンプルの洗浄(cleaning of remnant sample)」という用語は、開放リアクタの全ての残留サンプル又は可逆閉鎖リアクタでの残留サンプルの残りのような、残留サンプルを除去した(大部分の残留サンプルはこの工程の前に既に除去されている)後、リアクタを洗浄することを意味する。
【0079】
「流動性低減(fluidity−decreasing)」という用語は、流動性を低減することを意味し、「流動性低減添加剤(fluidity−decreasing additive)」という用語は、流動性を低減するために用いられる不活性材料を意味する。流動性低減添加剤は、砂糖のように、粘性を増加させる可溶性粘性試薬と、樹脂、クロマトグラフィー用ゲル、珪藻土等のように、液体を吸収できる不溶性添加剤とを含む。
【0080】
「サンプリング(sampling)」、又は、「サンプル付着(sample subjecting)」という用語は、関心のある物質を含む可能性のあるサンプルをチップリアクタに付ける、付着する又は適用することを指す。
【0081】
「注射(噴射)によるサンプル付着(sample subjecting by injection)」という用語は、インジェクタ又はポンプのようなある種の機械装置によってサンプルを容器(例えば、注射器の吸入口又はサンプリングのポンプのチューブ)に注射し、その後、機械的な力でがサンプルを該容器から押し出してリアクタに付けることを指す。現在、マルチリアクタ・チップのテストの際のサンプリングは大部分が注射により実施されるが、注射は、位置、サイズ及び運動量を制御するかわりに、サンプルのサイズだけ考慮する。
【0082】
「スポッティングによるサンプル付着(sample subjecting by spotting)」という用語は、スポッティングでサンプルをリアクタに付けることを指す。本発明で、スポッティングはチップ製作で採用されたプローブ溶液を基板に付けるスポッティングと類似する。サンプル付着のスポッティングは、機械的な力でサンプルをリアクタに噴射する注射(噴射)とは異なる。本発明のスポッティングは、非接触スポッティング(例えば、噴射によるスポッティング)と、接触スポッティング(例えば、スポッティング用先端チップをプローブ領域及びその隣接領域と接触させることによるスポッティング)を含む。
【0083】
「非接触スポッティングによるサンプル付着(sample subjecting by non−contact spotting)」という用語は、インクジェット式スポッティングのように、スポッティング用先端チップがプローブ領域に接触しない方式でサンプルを付けることを意味する。「接触スポッティングによるサンプル付着」という用語は、スポッティング用先端チップがプローブ領域に直接接触する方式でサンプルを付けることを意味する。接触スポッティングによるサンプル付着の例は、液体サンプルが、ポンプ、ピペット等のような機械的な補助なしでスポッティング用先端チップに輸送(例えば、毛細現象に基づく輸送)され、その後、該液体サンプルが、一定のサイズ(例えば、プローブ領域の2−3倍)、任意の運動量(例えば、1−100cm/秒を超える直線速度)で、プローブ領域の特定の位置に輸送されることである。
【0084】
「リアクタ洗浄(reactor cleaning)」という用語は、不要な物質(例えば、残留サンプル、残留マーカー等)をリアクタから除去して、リアクタを洗浄することを指す。「残留サンプルを有するリアクタを洗浄する」という用語は、残留サンプルを含むリアクタの洗浄を指す。
【0085】
「両方向洗浄(two−way cleaning)」という用語は、洗浄液をもちいて少なくとも両方向操作が適用されることを指し、まず洗浄液をつけて、その後、1個又は2個以上の装置(例えば、ピペット、サンプリング・ポンプ等)によって排出される。両方向洗浄は、本発明のチップテストで一般的に使用される。例えば、残留サンプルを有するリアクタを洗浄する際の両方向洗浄は、両方向操作、主に、反応残留液を前記リアクタから移動させて、その後、洗浄液をリアクタに付けて、洗浄液をリアクタから除去する両方向操作を含む。前記両方向操作は通常は複数回繰り返されるが、これはELISAテストの洗浄工程と少し似ている。
【0086】
「一方向洗浄(one−way cleaning)」という用語は、洗浄液に対して一方向操作しか実施しないリアクタ洗浄を指す。例えば、残留サンプルを含むリアクタの一方向洗浄は、残留サンプルをリアクタから出すように洗浄液を直接前記リアクタに噴射することによって実施される。一方向洗浄の別の場合では、残留サンプルの除去とリアクタの洗浄は、洗浄液に付けるのと同時に行われる。
【0087】
「洗浄システム(cleaning system)」という用語は、本発明の実施例にある洗浄システムのように、リアクタ洗浄、特に、反応残留サンプルを含むリアクタの洗浄に使用される全てのソフトウェア及びハードウェアを指す。「流動性低減システム」という用語は、リアクタ内の反応残留物の流動性を低減するために用いられる、テスト装置の全てのソフトウェア及びハードウェアを指す。「サンプル・スポッティングシステム(sample spotting system)」という用語は、スポッティングによるサンプル付着に使用するテスト装置の全てのソフトウェアとハードウェアを指す。
【0088】
II.本発明の適用パターン
本発明の詳細を説明する前に、本発明は、(ある種の固定された工程、パラメーター及び組合せのような)固定された適用パターンに限らないことを理解する必要があるが、その理由は、発明の内容は明確であるにもかかわらず、手順又はパラメーターは変えることができるからである。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施態様を説明する目的のためでしかなく、本発明を限定することは意図しないことも理解されるべきである。
【0089】
本発明の第1の実施態様は、マルチリアクタ・分析チップのテスト方法を提供し、その目的は、操作を単純化し、費用を低減し、感度を増加する及び/又は自動化を促進することである。
【0090】
そこで本発明は、マルチリアクタ・分析チップのテスト方法であって、(a)スポッティングによるサンプル付着を行うステップと、(b)該リアクタ内の残留サンプルの流動性を低減させるステップと、(c)残留サンプルを有する前記リアクタを一方向洗浄するステップとのうちの少なくとも1つ又はこれらの組合せを含む、マルチリアクタ・分析チップのテスト方法を提供する。
【0091】
本発明のテスト方法では、残留サンプルを含むリアクタは本発明の一方向洗浄により洗浄される。今では、リアクタ洗浄中、チップ上でのマルチリアクタ間の交差汚染を避ける1つの十分に確立した原理は、絶対的な物理的隔離、即ち、あるリアクタ内の残留物を含む、サンプル、反応残留物及び洗浄液が別のリアクタに入るのを完全に防止することである。現行の両方向洗浄は、この原理に基づく模範例である。特筆すべきこととしては、本発明を実施する際に、交差汚染は、絶対的な物理的隔離を要求しない、本発明の一方向洗浄によって回避できる。理論的な検討をするつもりはないので、この点を明確にするために実施例を提供する。
【0092】
それぞれノズルの排出口Aと隣の排出口Bから流出した洗浄液A及びBがそれぞれリアクタA及びBのプローブ領域A及びBに到達する。水動力学的な理由のため、そこで発生した水滴がほかの洗浄液により覆われたプローブ領域にほとんど到達できない。たとえこれが他の領域に入り、かつ、Aの小滴がB領域に入っても、化学動力学的な理由で、有意な反応は発生しない。原因は、(a)極めて低い濃度の残留サンプルAはリアクタAでのA液だけではなく、同時にリアクタBでのB液により希釈されるためと、(b)洗浄液Bの連続流動はプローブ領域Bと残留可能のサンプルAとの接触時間を短縮するためである。
【0093】
したがって、絶対的な物理的隔離がない(例えば、反応残留液Aが隣のリアクタBに入る可能性がある)場合であっても、リアクタ間の交差汚染のリスクは相変わらず水動力学的及び化学動力学的な隔離により制御される。例えば、反応残留物Aが隣のリアクタB領域に入る場合でも、残留物AとプローブアレイBとの間に有意な反応は発生しない。
【0094】
本発明の方法では、前記一方向洗浄方法は、残留サンプルを含むリアクタだけでなく、他の添加剤(例えば、残留マーカー)を含むリアクタにも適用できる。
【0095】
従来の方法と比べて、本発明の一方向洗浄方法は、より単純で、経済的で、、かつ、自動化工程でより実行可能である。他にも、残留物の除去がより速く、かつ、完全なので、これは便利で、時間を節約し(例えば、10秒未満)、効率的であり(非特異的な標識の残留がより少ない)、より高い感度を保証する。
【0096】
本発明のテスト方法では、サンプル付着は本発明のスポッティングにより実施される。本発明では、スポッティングによるサンプル付着は、接触スポッティング、及び/又は、非接触のスポッティングによるサンプル付着を含む。現在のところ、前記スポッティングは前記リアクタ上のプローブ固定化だけに使用される。
【0097】
前記本発明でのスポッティングによるサンプル付着はリアクタのサンプル付着だけではなく、リアクタへの他の反応添加剤(例えば、マーカー等)付着も応用できる。
【0098】
本発明の実施例によって、本発明のサンプル付着は現行のサンプル付着(例えば、注射によるサンプル付着)と比べて、以下の長所がある。
【0099】
(a)これはサンプルの量、特に、リアクタ底部の液体サンプルに覆われた領域をより良く制御できるので、特に本発明の洗浄方法によって、リアクタ洗浄中の交差汚染をより良く制御できる。
【0100】
(b)スポッティング用先端チップ(例えば、中身があるセンター、中空のチップ及び/又は吸水材料を有するチップ)が他の機械的な排出口/吸入口装置の代わりに採用されるので、スポッティングされたサンプルのサイズを容易に制御できるため、機械化及び自動化を実現し易くなる。
【0101】
(c)運動エネルギーを適用することによって、プローブ領域のサンプル分布を最適化できるので、プローブのスポットが関心のある物質とより良く反応できる。この結果、より高い感度を達成できる。
【0102】
本発明によるテスト方法では、本発明の流動性低減システムで残留サンプルが処理される。流動性低減システムがその移動を制限して、これで交差汚染リスクを低減できる。現在のところ、マルチリアクタ・チップのテストには、類似の残留サンプル処理は適用されていない。
【0103】
いくつかの面から見ると、本発明のテスト方法は、(a)スポッティングによるサンプル付着、(b)リアクタの残留サンプルの流動性低減、及び(c)残留サンプルを含む前記リアクタの一方向洗浄という、本発明の方法のいずれかの組合せを含む。該組合せの例は、(a)前記方法(a)及び(b)を含むテスト方法と、(b)前記方法(a)及び(c)を含むテスト方法と、(c)前記方法(b)及び(c)を含むテスト方法と、(D)前記方法(a)、(b)及び(c)を含むテスト方法である。
【0104】
本発明のテスト方法で、前記チップは高い高度のパーティション構造を要求しない。反対に、パーティション構造の高度が低くなることにつれて、洗浄及び/又はスポッティングの効果が良くなる。本発明では、最適化のパーティション構造が低い(高さ1mm未満、好ましくは0.5mm未満、最適には0.3mm未満)位置にある。但し、現在使用している両方向洗浄では、通常、1mmを超え、3mmを超えることもある、高いパーティション構造(例えば、ELISAプレート洗浄装置)が好ましい。
【0105】
本発明のテスト方法では、前記分析チップは、本発明に記載のチップと、現在市場及び複数の発明(出願)で入手可能なもの(例えば、PCT/CN03/00055及びPCT/CN2004/000169)を含む、マルチリアクタのいずれかのチップを指す。
【0106】
本発明のテスト方法で、前記マルチリアクタチップは、開放マルチリアクタ・チップ、好ましくは、開放的な非流動マルチリアクタを有するチップ、最適には、開放的な非流動平面リアクタを有するチップを含む。
【0107】
本発明のテスト方法では、前記チップは、閉鎖マルチリアクタを有するチップ、好ましくは、可逆閉鎖流動マルチリアクタを含むチップ、最適には、PCT/CN2004/001128に記載の濡れた広いチャンバーを含む可逆閉鎖マルチリアクタを有するチップのような、広いチャンバーを含む可逆閉鎖マルチリアクタを有するチップを含む。
【0108】
本発明の前記方法は、1個の分析チップだけでなく、複数のチップに並列的に適用できる。
【0109】
本発明のテスト方法では、前記一方向洗浄は、Q個の別々の液体をN個のリアクタにそれぞれ付けることを含み、これによって、前記残留サンプルは前記リアクタから洗い出されるが、ここで、(a)Q≧N≧2で、(b)前記Q個の別々の液体はそれぞれ前記N個のリアクタにほとんど同時に付けられる。
【0110】
本発明では、「ほとんど同時に到達する」という表現は、到達時刻の差で説明できる。本発明で、「到達時刻の差」という用語は、Q個の液体のうち最も早くN個のリアクタのうちの1つに到達する時刻と、N個のリアクタのうちの1つに最も遅く到達する時刻との時間差を指す。例えば、N個の別々の液体がN個のリアクタに噴射するとき、最先の液が9:55’55”に到達して、最後の液が9:56’05”に到達する場合には、到達時間差は10秒である。例えば、到達時間差が10秒未満、好ましくは、3秒未満、最適には1秒未満の場合には、我々はこれらは「ほとんど同時に到達する」2つの液体と考えてもかまわない。この発明でのテスト方法でこのパラメーターは有意である(表1)。
【0111】
表1 20回のアッセイにおけるさまざまな洗浄液の到達時間差(DAT)と、リアクタ間の交差汚染発生頻度(OCR)との関係
【0112】
【表1】

:アッセイは実施例8と同様の条件下で実施される。
【0113】
本発明の方法の実施例として、テスト方法は少なくとも以下のステップを含む:(a)M個のリアクタを有する分析チップを提供して、その中のN個のリアクタを準備して後の使用に備え、前記リアクタ数はM≧N≧2である、ステップと、(b)関心のある物質を含む可能性のあるサンプルを用意して、使用準備を整えるステップと、(c)前記ステップ(b)のサンプルとステップ(a)の前記リアクタでのプローブとを、関心のある物質を前記プローブのスポットに結合できる条件下で結合するステップと、(d)前記ステップ(c)の結合反応後、N個の前記リアクタを用意して、後の洗浄に備え、前記リアクタは残留サンプルを含む、ステップと、(e)洗浄のために、Q個の別々の液体を前記ステップ(d)でのN個のリアクタに付け、(i)前記残留サンプルは前記液体噴射によって除去され、(ii)前記液体の数Q≧前記リアクタの数Nである、ステップとを少なくとも含む。
【0114】
「M個のリアクタを有する分析チップを用意して、その中のN個のリアクタの使用準備を整える」という表現の例は、M個の保護されたリアクタを有する分析チップを用意して、その後、該チップのM個のうちのN個のリアクタの保護構造を除去して、サンプリングに備えることを指すが、ここで、用意されるチップは単数又は複数の場合がある。
【0115】
「関心のある物質を含む可能性のあるサンプルを用意して、使用準備を整える」という表現の例は、希釈、濃縮及び/又は標識のような特定の手順で、関心のある物質を含む可能性のあるサンプルを準備することである。
【0116】
「関心のある物質を前記プローブのスポットと結合できる条件下で、前記ステップ(b)のサンプルをステップ(a)の前記リアクタ内のプローブスポットを結合する」という表現の例は、調製されたサンプルを使用準備が整ったリアクタに付けて、存在する可能性がある関心のある物質に前記プローブを反応させることである。前記サンプリングは、本発明のスポッティングで実施できる。
【0117】
「N個の前記リアクタを前記ステップ(c)の結合反応後に洗浄する準備を整えるが、前記リアクタは残留サンプルを含む」という表現の例は、開放リアクタの場合には、前記残留サンプルを有するN個のリアクタを前記反応の直後に洗浄する準備を整えることか、あるいは、閉鎖リアクタの場合には、(a)前記残留サンプルの一部を除去すること、及び、(b)前記プローブ領域の上の閉鎖構造を除去することという、2つの工程によって、N個のリアクタを洗浄する準備を整えることかである。
【0118】
「洗浄するために、Q個の別々の液体を前記ステップ(d)のN個のリアクタに付け、前記残留サンプルは前記液体の噴射によって除去される」という表現の例は、N個の別々の気流又は洗浄液を対応するN個の露出したリアクタに噴射して、撒水(splash)によって前記残留サンプルを洗い出すことである。
【0119】
本発明によるテスト方法では、前記液体は直線速度1−1000cm/秒、好ましくは、100−500cm/秒で前記リアクタに到達する。
【0120】
本発明の残留サンプルを有するリアクタの一方向洗浄では、前記Q個の液体はほとんど同じ運動量、特に、同じ直線速度でN個のリアクタに到達する。前記直線速度は、リアクタ洗浄で可変的又は非可変的(例えば、連続変化又はパルス変化)である。前記テスト方法を用いると、前記固定されたプローブに最初に到達する洗浄液の直線速度は、リアクタの間の交差汚染を最小にするのを助け、リアクタの清浄度を向上させるのに十分高い。表2に示すように、適当な直線速度はバックグランドノイズの妨害を低減するうえでも有意義である。表2では、特異的なバックグランドノイズスポットとは、該バックグランドスポットのサイズがプローブのスポットのサイズより小さくなく、信号強度が陽性サンプルの信号強度の50%より小さくないバックグランドスポットを指す。
【0121】
表2 20回のアッセイでの直線速度(LS)と特異的バックグランドノイズ頻度(FSBN)との関係
【0122】
【表2】

:アッセイは実施例8と同様の条件下で実施される。
【0123】
1つの留意すべき事項は直線速度が(ポンプ又は圧縮空気のような)圧力により発生することである。
【0124】
本発明の残留物を有するリアクタの洗浄では、前記液体は超音波力を含む他の物理力を提供する場合がある。
【0125】
本発明のテスト方法では、リアクタの残留サンプルの流動性低減は、(a)前記残留サンプルの粘度を増加する(例えば、温度制御及び/又は湿度制御によって増加する)ステップ、及び/又は、(b)前記残留サンプルに流動性低減の添加剤を付けるステップ、及び、(c)吸水物質によって前記残留サンプルの体積を低減するステップのうち、1つまたは2つ以上を含む。
【0126】
実際、低い流動性は残留サンプル流動の制限を助けて、交差汚染を制御できる。現行のチップテストを用いると、残留サンプルの体積が大きいため、残留サンプルを除去しやすい。したがって、サンプリング後、残留サンプル流動性を増大させるか、あるいは、サンプルの体積又は反応残留物を定量的に減少させるいかなる試みも排するべきである。しかし、本発明の実施例では、我々は、反応残留液の粘度が流動性がなくなるくらいまで増加する(例えば、30%を超えるくらい)とき、リアクタ洗浄での撒水がより良く制御できることを見つけたが、これは、交差汚染のリスクを最小にするのに役立つであろう。本発明実施例で、残留サンプルの流動性は添加剤によっても低減するが、該添加剤は粘度を増加し、及び/又は、残留サンプルの流動を制限する。本発明で使用される添加剤は、炭水化物、ポリマー粉末、クロマトグラフィー・ゲル、多孔性粒子等を含む、化学的/生物学的に安定な添加剤である。例えば、残留サンプルの流動性は、吸水物質(例えば、紙の繊維)によって前記残留サンプルの体積を減らすことによって低下する。
【0127】
本発明のテスト方法では、スポッティングによるサンプル付着は接触スポッティングによるサンプル付着を含む。
【0128】
本発明の好ましいテスト方法では、接触スポッティングによるサンプル付着は、接触スポッティング用先端チップ(tip)の助けを借りて実施される。該接触スポッティング用先端チップは、毛管、針、キャストのような装置を指し、該装置は、外部構造(例えば、噴射サンプリングでのインジェクター)なしでも、サンプルをリアクタ又はプローブ領域に輸送することができる。最適な接触スポッティング用先端チップは、毛細現象、親水性吸収及び/又は吸水に基づくものである。接触スポッティング用先端チップの例は、溝(slop)を有するキャスト形状の先端チップであって、(a)キャストの直径は1mmを超え、(b)幅が30−200umの1本又は2本以上の溝がキャストの底にある先端チップである。複数のスポッティング用先端チップが異なるサンプルで満たされたマルチウェルプレートに配置されるとき、前記キャストの構造(例えば、溝、先端チップ等)は、サンプルを吸収し、表面張力により分配するのを助けるであろう。本発明の接触先端チップの最適な設計は、中身が詰まった先端チップ(例えば、針先端チップ、キャスト形状の先端チップ等)、中空先端チップ(例えば、毛細管等)及び/又は吸水先端チップ(例えば、繊維棒、紙棒等)を含むべきである。
【0129】
本発明のテスト方法では、接触スポッティングによるサンプル付着は、(a)前記サンプルが前記リアクタに付けられる直線速度が0.1cm/秒以上であること、及び/又は、(b)前記接触スポッティングでリアクタの上に形成したサンプル・スポットの面積が前記リアクタのプローブ領域の1.5ないし5.0倍であることという条件下で実施される。
【0130】
本発明の接触スポッティングによるサンプル付着は、マルチリアクタ・チップの本テスト方法で採用される噴射によるサンプル付着とは異なるが、該サンプル付着は、位置、サイズと運動量を制御するかわりに、サンプル体積だけに関係する。
【0131】
本発明の好ましい接触スポッティングによるサンプル付着では、最小体積のサンプルだけがリアクタ上にスポットされ、該リアクタは、残留サンプルを有するリアクタの一方向洗浄の際に、最小の直径の液体を必要とする。これは残留サンプルを有する噴射液の撒水を最小にするのを助けて、リアクタ洗浄中の交差汚染リスクを最小化するであろう。
【0132】
本発明の好ましい接触スポッティングによるサンプル付着では、1−10uL、好ましくは1−3uLのサンプルがリアクタにスポットされ、1−36mm、好ましくは、1−16mmの面積のサンプル・スポットがリアクタの上に形成される。
【0133】
本発明の第2の実施態様は、本発明のテスト方法で適用できる、リアクタを有する装置、即ち、マルチリアクタ・分析チップを提供することであり、該リアクタでは、パーティション構造の少なくとも一部が1mm未満の高さを提供する。さまざまなチップが前記テスト方法に適用できるが、本発明のチップが最適の選択である。高さが制限されたパーティション構造は本発明のテスト方法の適用に特に役立つことがわかった。多くの場合、前記パーティション構造は異なる部分でほぼ同じ高さを提供する。本発明では、2種類のチップが提供される。特筆すべきことは、本発明のチップは前記テスト方法に対し最適の選択であるが、本テスト方法のような他のテスト方法にも適用できる点である。
【0134】
本発明のチップでは、基板は、アミノ基、アルデヒド基、−CO−NHNH、HN−NH−CONH−、DEAE−、QAE−、CM−、SP−、MEP−、シロキサン基、チオール基のうちの1つまたは2つ以上の誘導体基を含む活性化スライドガラスのような活性化又は未活性化ガラス、プラスチック及び金属である。
【0135】
本発明のマルチリアクタ・チップの第1の種類は、基板と、これに固定されたプローブのスポットと、これに連結されるリアクタパーティション構造とを少なくとも含み、(a)前記パーティション構造の少なくとも一部は、1mm未満の高さを提供し、(b)前記パーティション構造の表面は前記基板の表面より疎水性及び疎油性が強い、疎水−疎油性の構造を含む。
【0136】
パーティション構造の高さが非常に制限された(例えば0.50mm未満)第1のチップは、基板とパーティション構造との高さの差に基づくパーティション構造を有し、パーティション構造の高さがしばしば1.0mmを超える、従来のチップとは異なる。高さの差に基づくパーティション構造は、サンプリング、反応及び残留サンプル洗浄の過程で、水性媒質、油性媒質及び親水−親油性媒質が他のリアクタに移動するのを防止できるが、本発明の疎水−疎油性パーティション構造は高さの差によって制限されない。これは(蛍光スキャナーのような)ある種のスキャナーにアクセス可能であるだけでなく、本発明のテスト方法にもより適用可能である。
【0137】
本発明の第1のチップは、疎水性又は超疎水性パーティションに基づくパーティション構造を有する従来のチップ(PCT/CN03/00055 とPCT/CN2004/000169を参照)とも異なる。パーティションの高さによって制限されない超疎水性パーティション構造は前記テスト方法に適用できるが、本発明の疎水−親油性パーティション構造は、あるリアクタの水性媒質が別のリアクタに侵入するのを防止できるだけでなく、油性媒質及び疎水−親油性媒質が別のリアクタにはいるのを防止できる。それに、われわれが知る通り、疎水−疎油性構造が防汚効果がより良い。したがって、前記テスト方法により広範囲に応用できる。
【0138】
本発明の第1のチップについて、(a)前記疎水−疎油性構造の表面は前記基板より水接触角度が40度、より良いのは80度大きい。及び(b)前記疎水−疎油性構造の表面は前記基板より油接触角度が10度、より良いのは40度大きい。
【0139】
実際に、前記疎水−疎油性構造が前記基板より水接触角度が大きければ大きいほど、水溶液の運動に対する制限が強くなる。油接触角度が大きければ大きいほど、有機溶液の必要ない運動の制限が強くなって、防汚効果が良くなる。
【0140】
本発明の第1のチップによって、前記疎水−疎油性構造は疎水−疎油性材料を含む。本発明のチップの疎水−疎油性構造が異なる型式に製造できて、例えば、機械加工で疎水−疎油性ナノ構造に作る。但し、最適の成分は疎水−疎油性材料である。疎水−疎油性材料が直接リンク方式(例えば、コーティング、塗り、付着等)又は間接方式(例えば、第3方の材料で疎水−疎油性材料を基板に連結する)で基板に連結する。次は間接リンクの1つの例である:疎水−疎油性材料を成形板の相応部分に塗ってから、この板をプローブアレイが固定された基板に付着させる。又は、プローブアレイが固定された前の基板に付着させる。
【0141】
本発明の第1のチップによって、前記疎水−疎油性材料が疎水−疎油性有機材料及び/又は疎水−疎油性ナノ材料を含む。本発明の実施例で一部のこれらの疎水−疎油性有機材料と疎水−疎油性ナノ材料が取り上げられる。
【0142】
本発明の第1のチップの中で、前記リアクタパーティション構造は基板上の疎水−疎油性コーティング、疎水−疎油性凸体(例えば、疎水−疎油性粘着テープ)及び疎水−疎油性構造を有する成形板(形成板)を含む。この中で、前記成形板が可逆又は不可逆的に前記基板に連結する。前記成形板が大分子の材料板、紡績板又は金属板等かもしれない。例えば、疎水−疎油性材料被覆のプラスチック成形板又は疎水−疎油性プラスチック成形板。
【0143】
前記成形板が他の構造を形成できる。例えば、一定の方向で流動する活性媒質の速度を制御できる下記の構造の1つ又はいくつか:毛細管現象に基づく親水コート、疎水コート、吸収性コート及び流動を制御する排水パイプライン、桶、帯。本発明のマルチリアクタ・分析チップについて、チップの表面が基板より大きい。即ち、リアクタの一部の他の構造(例えば、吸入口/排出口構造)は成形板での基板外領域にある。
【0144】
本発明の第1のチップについて、使用されない時に、リアクタが保護構造により覆われる。サンプルが添加されない時、前記保護構造が少なくともリアクタの一部の構造を覆う。但し、サンプリング中、この構造の一部又は全部可逆的に又は不可逆的に除去されることができる。
【0145】
本発明の第1のチップはマルチ開放リアクタを有する分析チップ又は閉鎖マルチリアクタを有するチップを含む。
【0146】
閉鎖マルチリアクタを有する第1のチップはマルチ閉鎖可逆リアクタを有するチップを含む。これらのチップは基板、これに固定されたプローブ、これに連結されるパーティション構造と成形板。基板に連結するパーティション構造は前記疎水−疎油性構造を含む。但し、成形板の上のパーティション構造は疎水−疎油性構造を含むとふくまない可能性が全部ある。本発明での可逆閉鎖マルチリアクタを有する第1のチップは2つの部分を含む:Iの部分:基板、これに固定されたプローブ、基板に連結する疎水−疎油性パーティション構造を含む;IIの部分:リアクタを洗浄する際に部分又は全部除去できる成形板。サンプル付着時、成形板と他の構造(基板、その上にあるプローブ及びリアクタの間のパーティション構造)は可逆連接で可逆閉鎖マルチリアクタを形成できる。前記可逆連接の例は下記の1つ又はいくつかの力に基づく可逆連接を含む:重力、弾力、ねじ又は取り付け具による機械的な力、磁石又は電解器による磁力、粘着剤による除去できる粘着力。前記暴露したリアクタが必要である場合、前記可逆連接を取り消してもよい。例えば、磁性取り付け具による磁力を除去する等。マルチ閉鎖可逆リアクタの1つの例は広いチャンバーを有するマルチ閉鎖可逆リアクタである。
【0147】
それに、本発明はまたマルチ・セルを有する基板を提供することによって、本発明の第1の分析チップを準備する。本発明のマルチ・セルを有する基板は少なくとも基板とこれに連結されるリアクタパーティション構造を含む。ここで、(a)少なくとも一部の前記パーティション構造の高さが1mm以下である。(b)前記パーティション構造は以前記べられた全てのパーティション構造を指す。
【0148】
多くの状況の下で、本発明のチップは次のように製作される:(a)マルチ・セル基板を製作する。(b)プローブを前記基板でのセルに固定する。又は(c)前記形成した基板を可逆閉鎖マルチリアクタを有する分析チップに固定する及び/又は前記保護構造を前記チップに連結する。
【0149】
本発明の第2のチップは少なくとも下記のものを含む:基板、これに固定されたプローブのスポット及びこれに連結されるリアクタパーティション構造。この中で、(a)少なくとも一部の前記パーティション構造の高さが1mm未満、(b)前記リアクタは非プローブ領域と最小化のプローブ領域を含む、及び、(c)少なくとも一部の前記パーティション構造の表面が前記基板より疎水性が強い。本発明の第2のチップは本発明のテストに応用できる。特にサンプル添加が最小化されたテスト。
【0150】
本発明の第2のチップは現行のマルチリアクタ・チップと異なる。現行のチップは特徴付けられるパーティション構造だけ現れるが、本発明の第2のチップは特徴付けられるパーティション構造だけでなく、特徴付けられるプローブ領域も現れる。後者がリアクタの間の交差汚染を防止するには重要な役割を果たす。実際に、プローブ領域が小さければ小さいほど、より少ないサンプルをリアクタに付けることができる。そして、交差汚染のリスクが小さくなる(表3)。
【0151】
表3 異なる構造のバイオチップでの交差汚染防止試験の結果
【0152】
【表3】

:試験の実施条件は実施例9と類似する。
**:PRA− プローブ領域面積
***:PSH− パーティション構造の高さ
****:PSSCA−パーティション構造の水表面接触角度
*****:テスト結果:前記チップを0−360度回転して、プローブ領域に付けた水サンプルを蒸発させる際に、前記のリアクタが流出しないと、結果は陰性(−)である。さもなければ、結果は陽性(+)である。ここで、(i)回転速度が36度/秒である;(ii)前記水サンプルの体積(V)=前記プローブ領域の底部面積×(前記パーティション構造の最小高さ+ 100um)。
【0153】
プローブ領域の最小化によって、サンプルの数量を最小化できると同時に、プローブの消費量を減少できる。
【0154】
本発明の第2のチップについて、(a)前記最小化面積が4.0mm以下、前記の非プローブ領域より小さい及び/又は(b)前記パーティション構造の高さが0.01mm−0.80mmである及び/又は(c)前記パーティション構造の表面が前記基板表面より水接触角度が40度大きい。
【0155】
本発明の第2のチップについて、(a)前記最小化面積が1mm以下、及び/又は (b)前記プローブ領域の密度がプローブのスポット9個/mmより大きい.
【0156】
本発明の第2のチップで、前記プローブ領域の面積、前記パーティション構造の高度と前記水接触角度が次の方式で決められる:前記チップが360度されると、前記プローブ領域に付けたいずれかの水サンプルが前記リアクタから流出しないようにする。このテストは次の条件で実施する:回転速度が36度/秒(ii)前記サンプルの体積(V)=前記プローブ領域の底部面積×(前記パーティション構造の最小高さ+100um)。
【0157】
この好ましい第2チップは特徴付けられるパーティション構造とプローブ領域だけでなく、パーティション構造とプローブ領域との特別な連接構造も含む。実際に、最小化のプローブ領域(添加サンプル量の最小化を助ける)、低いパーティション構造(本発明の運用を助ける)とパーティション構造の最大化された疎水性(水溶液の余剰運動を有効的にさける)が統一的な構造を形成して、交差汚染を防止する。これによって、テストでの交差汚染のリスクを制御できることになる。
【0158】
本発明の第2のチップについて、前記のパーティション構造は次のものを含む:(a)表面の水接触角度が基板表面より20−59度大きい疎水構造及び/又は(b)表面の水接触角度が基板表面より60度大きい疎水構造及び/又は(c)前記疎水−疎油性構造。
【0159】
本発明の第2のチップは下記の分析チップを含む:マルチ開放リアクタを有するチップ、閉鎖マルチリアクタを有するチップ、可逆閉鎖マルチリアクタを有するチップ、マルチ流動リアクタを有するチップ及びマルチ非流動リアクタを有するチップ等。
【0160】
本発明の第2のチップでは、基板は平面基板である。
【0161】
本発明の第2のチップでは、前記のパーティション構造は次の構造の1つ又はいくつかを含む:基板でのコーティング、基板での凸体(例えば、粘着テープ)、基板に可逆又は不可逆的に連接した成形板等。
【0162】
本発明の第2のチップで、前記の成形板が他の構造も含む。例えば、流動を制御できる下記の1つ又はいくつかの構造:親水性コート(被膜)、疎水性コート(被膜)、毛細現象に基づく吸収性コート(被膜)。
【0163】
本発明の第2のチップでは、チップ基板より面積が大きい。この中で、リアクタ構造の一部又は全部が基板外の形成板領域にある。
【0164】
本発明は前記のマルチリアクタ・分析チップを含むチップ・キットも提供する。そのほか、前記のチップ・キットはマーカーを含む及び含有しない可能性が全部ある。
【0165】
本発明の第3の実施態様は本発明のテスト方法のためにテスト装置を提供することにある。本発明のテスト装置は下記のものを含む:(a)本発明のテスト方法の一方向洗浄方法による洗浄システム、及び/又は(b)本発明のテスト方法での残留サンプル流動性低減手順による流動性低減システム、及び/又は(c)本発明のテスト方法でのスポッティングのサンプル付着手順によるスポッティングシステム。
【0166】
現在、マルチリアクタ・チップのテスト装置はスポッティングのサンプル付着システム、リアクタでの反応残留物流動性を低減する流動性低減システム及び残留サンプルを有するリアクタ洗浄用一方向システム。
【0167】
本発明のテスト装置で、前記の一方向システムはQ個の液を発生させるQ個の排出口を含む。
【0168】
一部の他の洗浄システムもノズルを付ける可能性があるが、設計の目的は残留マーカーのリアクタを洗浄することにある。これで、本発明でのテスト方法の洗浄方法を実施できない。したがって、本発明の装置の前記洗浄システムの特徴を持っていない。
【0169】
本発明の洗浄システムを有するテスト装置で、前記のノズルがマルチリアクタの暴露チップと相応的に位置が決められる。
【0170】
前記の洗浄システムを有する装置で、前記の洗浄システムが1つ又はいくつかの下記の成分を含む可能性がある:(a)前記のノズルの排出口での流動性の方向制御システム、(b)ノズルとプローブが固定された基板との距離を制御する機構(例えば、統合ノズル及び/又は先端チップの支持体)、(c)超音波変換器、(d)反応媒質と前記の洗浄液が環境を汚染するのを防止するための閉鎖小チャンバー、(e)液体動力システム等。前記の液体動力システムは液体と気流の速度と圧力を制御するポンプ、パイプ及び液体モード(例えば、起動時間、持続時間、連続流動又はパルス流動)を決める液体速度/圧力制御システムを含む。
【0171】
前記の洗浄システムを有する装置で、前記のノズルは各種類がある。例えば、排出口が凸体にある突出ノズル(図2A)。排出口が凹面にある凹むノズル(図2B)。排出口が平面にある平面ノズル(図2C)。それに、これらの組み合わせ。リアクタ洗浄中、液体をパルスモード、連続モード、水−気体混合モード及び組み合わせモードにしても良い。ノズル及び/又は先端チップは可動で、旋回又は振動によって、均一洗浄を保証する。
【0172】
前記の洗浄システムを有するテスト装置で、マルチリアクタの各種の分析チップ又は各用途によって、各種のノズルを使用できる。
【0173】
前記の洗浄システムを有するテスト装置で、前記の洗浄システムは残留サンプルのリアクタ洗浄だけでなく、他の反応残留物、例えば残留マーカーの洗浄にも応用できる。
【0174】
前記の洗浄システムを有するテスト装置で、マルチリアクタを有する異なるチップを応用できるが、平面基板に基づくマルチリアクタ・チップが最適である。
【0175】
本発明の実施例によって、われわれが次の現象を発見した:前記の洗浄システムがマルチリアクタの間の交差汚染を発生させることがない。例えリアクタがチップに密集してもこのことがない。それに、これはより良い洗浄効果がある。
【0176】
本発明のテスト装置で、(a)前記液が前記リアクタに到達する速度が1−1000cm/秒である。及び/又は(b)前記排出口の直径が0.1−1.0mmである。及び/又は(c)前記ノズルでの排出口の密度が1 ユニット/cm以上である。及び/又は (d)前記別々の液体と前記プローブ領域との時計回り角度が1−179 度である、及び/又は(e)前記いずれかの排出口と最も近い前記リアクタのプローブ領域との距離は0.1−10.0cmである。それに、液体の噴射速度も設計された反応データ、例えば、プローブアレイのサイズ、プローブアレイの間の距離等に関する1つの重要なパラメーターである。要するに、交差汚染のリスクを低減するのはこれらのパラメーターの主な決定性要素である。
【0177】
液体噴射方向とリアクタでのプローブ領域表面との角度が最適な90±5にすることができる(上向き噴射又は下向き噴射)。調整方法は手動調整又は前記の洗浄システム内又は外で取り付けられた角度調整器により調整する。排出口と相応プローブ領域との距離はノズル及び/又は先端チップにより調整できる。われわれの研究で、前記の全てのパラメーターに交差汚染は発見されない。
【0178】
本発明のテスト装置で、前記の流動性低減システムは少なくとも下記のシステムの1つを含む:(a)温度制御システム及び/又は前記の残留サンプル粘度増加ための湿度制御システム(b)前記の残留サンプルに前記の流動性低減添加剤を付ける添加システム及び(c)水吸収材料を含む水吸収システム
【0179】
現在のところ、全ての残留サンプルが吸い方法でマルチリアクタから除去される。よって、現存の洗浄システムは残留材料の粘度を増加しないと予想される。その結果、現存の装置に温度コントローラー及び/又は湿度コントローラーがあるが、これらの装置は反応だけのためで、リアクタ洗浄のためではない。時々反対条件(リアクタの反応媒質の粘度に著しい増加がない)は本発明の条件に反する(リアクタの反応媒質の粘度に著しい増加がある)。
【0180】
それに、現存装置は添加剤添加システムも含むが、液体媒質添加だけのためで、媒質の流動性は低減しない。但し、本発明で添加剤添加システムの設計目的は流動性低減添加剤(最適は粉末の形式)を添加することによって、反応媒質の流動性を低減する。勿論、本発明の温度コントローラー、湿度コントローラー及び/又はサンプリングシステムも自身の特徴を変えない条件の下で、他の目的も助ける。
【0181】
本発明のテスト装置で、前記のサンプル・スポッティングシステムは1つ又はより多い接触スポッティング用先端チップを含む。
【0182】
本発明の接触スポッティング用先端チップの最適設計は中身が詰まった先端チップ(例えば、針先端部、キャスト形状先端等)及び/又は中空先端チップ(毛細管等)及び/又は水吸収先端チップ(例えば、繊維棒、紙棒等)を含む。前記のスポッティング用先端チップが異なる材料からなる可能性がある。(例えば、金属、プラスチック、ガラス等)。
【0183】
前記のスポッティングシステムの特徴は次の通り(a)サンプル・スポットがプローブ領域の中心部と周辺領域にある。(b)サンプル・スポットのリアクタ底部の被覆面積がプローブ領域の1.5−5.0倍になるために、スポッティング用先端チップが十分大きいこと。或いは、(c)スポッティング用先端チップのサンプル付着速度が次の条件を満足する:プローブ領域へのサンプル付着直線速度が0.1cm/秒以上。
【0184】
本発明でのサンプルを含むリアクタ添加用のサンプル付着のスポッティングシステムはチップにプローブを固定するスポッティング装置とすることもできる。
【0185】
本発明でのテスト装置は光信号探知ユニットも含む。この中で、(a)前記の光信号探知システムは背景信号強化システムも含む。このシステムはテストされたチップの背景領域光輻射或いは/および反射構造を含む。それに、(b)前記の光信号探知システムは背景信号弱化システムを含む。このシステムはテストされたチップの背景領域の光吸収構造を含む。この構造の光吸収率は95%以上である。
【0186】
本発明の装置の最適状況はマルチリアクタ・チップにあることであるが、単一リアクタの分析チップにも採用できる。
【0187】
本発明の装置で、マルチリアクタの1つのチップに対して操作したり、マルチリアクタのいくつかのチップに対して同時に操作したりすることができる。操作がチップの一部又は全体のリアクタに対して実施されることができる。
【0188】
本発明の装置は前記の洗浄システムしかないか、洗浄システムと流動性低減システムを含むか、又は洗浄システムと他のチップテスト実行を助けるシステム、例えば、サンプル準備システム、サンプル添加システム、反応システム、マーカー準備システム、マーカー添加システム、信号探知と分析システム等を含むかもしれない。他の多くの装置と同じように、異なった機能システムは異なった又は同じユニット、装置及びコンポーネントを含む可能性がある。
【0189】
下記の例は手順と本発明のテスト装置の異なったシステムの間のロジック関係を説明する。(図3):
(A)サンプリング・システム10はサンプル(希釈サンプル又はマーカーを有するサンプル)の移しに使用される。サンプルはサンプル準備システムによってチップのN個のリアクタに準備する(例えば、このような保護構造は保護被膜として、開放チップに覆われた構造が開かれた)
(B)反応システム11、例えばチップインキュベーションボックスと温度/湿度コントローラーを有する反応システムはリアクタでのサンプル反応に必要な条件を提供する。
(C)反応後、粘度増加システム12、例えば、温度/湿度コントローラーを使用して残留サンプルの粘度を増加する。或いは/およびサンプル添加システムを使用して流動性減少添加剤を添加することによって、残留物の流動性を減少・除去する。
(D)洗浄システム13はリアクタ洗浄に使用される。
(E)必要の場合、マーカー添加システム(例えば、ピペット又はマイクロポンプを有するサンプル添加器)を採用してマーカー準備システムにより準備されたマーカーをマルチリアクタに準備する。このリアクタは洗浄・乾燥された。I標識反応は反応システム操作の条件で発生する。その後、洗浄システムを使用して残留サンプルを除去し、同時にリアクタを洗浄する。
(F)信号探知と分析システムによって、チップリアクタでのテスト信号を探知・分析する。
【0190】
本発明の装置は全ての探知機能又は一部の探知機能を実現できる装置を指す。これらの機能の使用によって、手順A−Fでの全てのテストプロセス又は一部のプロセス、例えば、手順CとD、又はCからDまで、或いはCからFまで。本発明のテスト装置で、中心制御システムが異なる機能を有するシステムを制御する。装置の機能が多ければ多いほど、効率が高くなる。テスト装置が上記機能システムの一部だけ含む場合であっても、この現象もある。
【0191】
それに、本発明のテスト装置と同じコンポーネントは異なる機能システムに応用できる。例えば、本発明の1つの実施例で、上記の洗浄システムでの一部のコンポーネント使用によって、残留サンプル又は残留マーカーを除去できる。他の方法、例えば、単一排出口を有するノズル又は単列の排出口を有するノズルで残留マーカーの除去及び洗浄も達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0192】
本発明の下記の実施例と図をより詳細的に説明する。これらは本発明のいくつかの事例に過ぎないが、専門家はこれらの事例に基づいて自然に他の実施例を推定できる。
【実施例1】
【0193】
マルチリアクタ・分析チップテスト用リアクタ洗浄システムを含むテスト装置
本実施例のテスト装置は下記のサブシステムにより構成されたリアクタ洗浄システムを含む。
(a)液体を発生させ、輸送する液体システム。下記のものを含む:洗浄液の貯蔵瓶、電磁弁、ポンプ、パイプラインと複数排出口を有するノズル等。
(b)汚水排出用システム、下記のものを含む:一部の排水パイプライン、液体廃棄物の廃液槽等。
c漏洩防止システム、1つの別々のリアクタ洗浄チャンバーを含む。この洗浄チャンバーは随意開く又は閉じることができる。
(d)液体の圧力/速度と、ノズルの温度及び位置と、先端チップの位置(角度調整器)とを制御する制御システム。
(e)サブシステム間の協調を行う中心コントローラー。
【0194】
本実施例のテスト装置は制御用反応制御システムを含むか、含まないかもしれない。
【0195】
本実施例でのテスト装置はリアクタ洗浄システム及び反応制御システムを含む。下記の方式で運行する(図4):
まず、別々の洗浄チャンバー(16)を開き、サンプルを付けた開放リアクタを有するチップを洗浄チャンバーにN個(N>1)放置する。放置角度が最適である。それから単独の洗浄チャンバーを閉じる。温度/湿度コントローラー(17)で温度/湿度を調整する。規定時間内に反応が完成した後、圧力ポンプ(18)の運転を開始することによって、最適の温度で貯蔵瓶(19)の洗浄液をパイプライン(20)通して最適なN個の排出口を最適の位置にあるノズルへ圧入する。その結果、それぞれのN個の別々の洗浄液が最適の圧力/速度で同時にN個の排出口からチップのN個リアクタを有する領域に流出(噴射)する。これらの別々の洗浄液は回りへ流出して、リアクタから残留サンプルを洗い出す。流出した全ての液体は廃液槽に入って、液体の廃棄物が排出口通路(22)から除去される.その後、最適な回転状態を有するノズルが引き続き他の領域の反応セルを洗浄完成まで洗浄する。最後に、チップをブロワーの風で25−30°Cの条件の下で乾燥し、そして別々の洗浄チャンバーから取り出す。
【0196】
テスト装置の洗浄システムの操作パラメーター及び変動範囲は実際テストニーズを満足するよう設定されること。本実施例で、別々の洗浄チャンバーにあるチップの最適な角度はチップに連結する角度調整器で調整されて、変動範囲は0−180°である.別々の洗浄チャンバーの最適な温度が温度コントローラーで調整される。変動範囲は20−40°Cである。排出口での洗浄液の圧力/速度は圧力/速度コントローラーにより制御されて、圧力の変動範囲は0−7kg/cm、又は、速度の変動範囲は10−1000ml/分/mmである。ノズルの最適化はノズルの取替えにより実現される。本実施例で製作されたノズルのパラメーターは表4にある。ノズルの最適位置はノズルの排出口間の最適距離を指す。この距離はノズルに連結する距離調整器で0mm−30mmの範囲に調整できる。ノズルの最適回転状態は回転器により提供される。この状態の回転速度は1−5回/秒で、回転直径が4mmである。
【0197】
本発明でのテスト装置は標識システムを含む、又は含まない可能性がある。前記の標識システムは標識溶液の貯蔵瓶、標識溶液添加用ポンプ、標識溶液の注射器等を含む。洗浄システム、反応システム及び標識システムを含む本実施例でのテスト装置は下記の方式で運行する:
【0198】
上記の反応及び残留サンプルのリアクタ洗浄の後、ポンプの運転を開始して、標識溶液を最適な温度で貯蔵瓶から標識溶液の注射器に伝送する。これで、標識溶液を最適量で予め設定されたルートで前記のN個の乾燥したリアクタに注射する。それと同時に、反応で要求されたマルチリアクタの場所の温度/湿度を設定する。標識反応が要求時間内に完成した後、残留サンプルの洗浄との同じ操作原理に従って残留マーカーのリアクタを洗浄する。
【0199】
本実施例での全ての装置は入手し易い。前記の角度調整器、ノズル、別々の洗浄チャンバー、距離調整器等が機械加工工場により製作される。他のコンポーネント、補助部品及び制御装置は市場から入手できる。
【0200】
表4:複数の排出口を有するノズルのパラメーター
【0201】
【表4】

【0202】
本実施例での一方向洗浄システムによって、複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)で同時に洗浄を実施することもできる。特に高密度のリアクタ(例えば、リアクタ1個/cmを超える密度のもの).洗浄液の直線速度が増加すると、かかる時間が短く(例えば、1−10秒)、良い効果を遂げる。その他、洗浄中の交差汚染も制御できる。
【実施例2】
【0203】
流動性低減システムを含むマルチリアクタ・分析チップに基づくテスト装置
本実施例でのマルチリアクタ・チップのテスト装置は流動性低減システムを含む。
【0204】
本実施例での流動性低減システムは温度/湿度制御による流動性低減システム及び流動性低減添加剤による流動性低減システムを指す。この中で、前者は温度/湿度制御システム(温度/湿度コントローラー等を含む)、後者は流動性低減添加剤添加システムを含む。
【0205】
本実施例で、温度及び湿度はそれぞれ15−45°C及び40−95%の範囲で制限される。これはそれぞれ反応制御及び流動性低減用温度/湿度コントローラーにより制限される。前記温度/湿度制御に基づく流動性低減システムは下記の方式で運行する:チップ位置の温度及び湿度の調整によって、われわれは媒質中の水蒸発を制御できて、それで水含有の媒質粘度及び流動性を制御できる。
【0206】
本実施例で、流動性低減添加剤に基づく流動性低減システムは1つの粉末噴射機を含む。この噴射機の排出口が別々の洗浄チャンバーへ向く。必要な場合、流動性低減添加剤の粉末がチップに噴かれる。その後、残留サンプルと接触した後、液体廃棄物として洗浄液によりセルに引かれる。前記の流動性低減添加剤に基づく流動性低減システムは下記の方式で働く:流動性低減添加剤の粉末を付けることによって、水含有媒質の粘度を増加し、及び/又はリアクタでの自由流動液を低減できる。これで水含有媒質の流動性を制御できる。
【0207】
本実施例で、全ての使用される装置は入手し易い普通の装置である。これで、温度/湿度コントローラーは市場で入手できる製品から選ばれる。他のコンポーネント及び補助部品は実施例1のように入手できる。
【0208】
本実施例での流動性低減システムによって、複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)に対して液体媒質の流動性制御を実施できる。特に高密度(例えば、密度リアクタ1個/cm以上のもの)のリアクタ。全体のプロセスのかかる時間が短く(例えば、1−10秒)、有効的に残留サンプルの流動性を減少できる。
【実施例3】
【0209】
サンプル付着のスポッティングシステムを含むマルチリアクタ・分析チップに基づくテスト装置
本実施例でのマルチリアクタ・チップのテスト装置はサンプル付着のスポッティングシステム(図5)を含む。これは下記の成分を含む:接触チップ(26)、マルチ・スポッティング用先端チップの取り付け具(24)及びマルチ・セルのプレート(板)、この中で、スポッティング用先端チップは中身が詰まった先端チップ(先端部)(例えば、針先端チップ、キャスト形状の先端チップ等)及び/又は中空の先端チップ(例えば、毛細管等)及び/又は水吸収先端チップ(例えば、繊維棒、紙棒等)を含む。本実施例の中で、先端チップは嵌め合い(象眼)先端チップである可能性がある。例えば、ピペットのプラスチック先端チップ又ははめ穴を含む国産のプラスチック軸(スポッティング用先端チップの取り付け具が嵌め合う)。前記の国産プラスチック軸は中身が詰まった先端チップを持つ。この部品が吸入口溝を含む、又は含まない可能性がある。
【0210】
前記スポッティング用先端チップの取り付け具はスポッティング用先端チップの押し出しを助けるマルチ軸と近くの可動鞘(ピペットの軸及び鞘と類似する)。その中で、各軸がマルチ・セル板の異なる穴と対応する。同時にスポッティングするリアクタと対応する。
【0211】
本実施例でのスポッティングシステムの特徴は下記の通り:(a)サンプル・スポットはプローブ領域及び付近領域の中心の回りにある。(b)スポッティング用先端チップが十分大きいことによって、サンプル・スポットが覆うリアクタの底部面積はプローブ領域の1.5−5.0倍にする。又は、(c)プローブ領域へのサンプル付着直線速度が0.1cm/秒以上になるようスポッティング用先端チップが液体を噴射する。
【0212】
本実施例でスポッティングシステムは下記の通り働く(図5):取り付け具(24)でのN個の軸(25)をN個のスポッティング用先端チップ(26)と嵌め合うことによって、スポッティング用先端チップの底部を同じ平面にする。その後、マルチ・スポッティング用先端チップの取り付け具を移動することによって、マルチ・セル板のN個のセルに入ったN個のチップがサンプルと接触して、毛細現象のようにサンプル液で吸う。その後、再度スポッティング用先端チップの取り付け具を移動することによって、N個のサンプルに付けられたチップを先端チップでN個のリアクタに接触させて、サンプルをリアクタにスポッティングする。最後に、取り付け具を先端チップから取り外す。
【0213】
本実施例で、スポッティングシステムは、スポッティング用先端チップをほかの方式で取り付け具に繋げる。例えば、スポッティング用先端チップを取り付け具に嵌める。
【0214】
本実施例でスポッティングシステムが手動的又は自動的に操作されることができる。
【0215】
本実施例でのスポッティングシステムが1つだけのスポッティング用先端チップを含む可能性がある。この状況にもかかわらず、このサンプル付着のスポッティングシステムは目的及び技術設計から言うと、固定されたプローブに基づくプローブのスポッティングシステム(例えば、スポッティング機械)と本質的に異なる。スポッティングシステムの目的は設計通りにサンプルをプローブ領域に付けることにあるが、プローブのスポッティングシステムの目的はプローブを基板に付けて、プローブ領域を形成することにある。異なった目的によって、技術設計が異なる。プローブのスポッティングシステムの目的は、プローブが可能範囲で密集する領域を形成することにあるので、スポッティング用先端チップのサイズが0.25mm以下である筈。一般の条件のもとで、小さければ小さいほどより良い。但し、サンプル付着のスポッティングシステムの目的は全プローブ領域を含むリアクタに液体サンプルを形成することにあるので、スポッティング用先端チップのサイズが十分大きい筈、例えば、1mm以上、最適は2mm以上である。
【0216】
本実施例でサンプル付着のスポッティングシステムで使用される先端チップは円形、長方形又は他の幾何形状である(図5(b)である可能性がある。この中で、先端チップの表面積は1mm−16mmである。先端チップのサンプル付着量は1ul−15ulである。
【0217】
本実施例での全ての装置は市場から容易に入手できる。
【0218】
前記のスポッティングによるサンプル付着によって、サンプルを複数のリアクタに添加する(例えば、16−48個のリアクタ)、特に高密度のリアクタ(例えば、リアクタ1個/cmを超える密度のもの)によって特定の体積、接触面積及び運動量を有するマルチリアクタに付けることができる。したがって、サンプルの面積及び体積を最小化できる。
【実施例4】
【0219】
リアクタ洗浄システム及び流動性低減システムを含むテスト装置
本実施例でのテスト装置は実施例1で製作されたリアクタ洗浄システム及び実施例2で製作された流動性低減システムを含む。異なったシステムが通常の方式で連結されて、中心コントローラーにより制御される。
【0220】
本実施例で製作されたテスト装置は制御システムを含む、又は含まない可能性がある。これはリアクタ洗浄システム、温度/湿度制御による流動性低減システム及び反応制御システム。働く方式は下記の通り:
【0221】
まず、別々の洗浄チャンバー(16)を開き、サンプルを付けた開放リアクタを有するチップを洗浄チャンバーのN個(N>1)に放置する。放置角度が最適であること。それから単独洗浄チャンバーを閉じる。その後、温度/湿度コントローラーで温度/湿度を調整する。規定時間内に反応が完成した後、流動性低減のニーズによって、温度/湿度コントローラーで温度/湿度を調整する(例えば、温度を維持して、湿度の増加を切れる)。その後、実施例1で製作された洗浄システム及び反応制御システムでテスト装置の操作原理によってリアクタを洗浄する。
【0222】
本実施例で製作されたテスト装置は実施例1での標識システムを含む、又は含まない可能性がある。
【0223】
本実施例で製作又は調製された全てのものは従来のものである。温度/湿度コントローラーは市場で入手できる製品から選ばれた。他のコンポーネントは実施例1及び2のとおりにして得ることができる。
【実施例5】
【0224】
リアクタ洗浄システム及びサンプル付着のスポッティングシステムを含むテスト装置
本実施例で製作されたテスト装置は、実施例1で製作されたリアクタ洗浄システムと、実施例3で製作されたサンプル付着のスポッティングシステムを含む。異なったシステムは通常の方式で連結されて、中心コントローラーにより制御される。
【0225】
本実施例で製作されたテスト装置は反応制御システムを含む、又は含まない可能性がある。これはリアクタ洗浄システム、サンプル付着のスポッティングシステム及び反応制御システムを含む。働く方式は下記の通り:
まず、実施例3で製作されたサンプル付着のスポッティングシステムの操作原理によってサンプルをスポッティングする。輸送装置でサンプルが添加されたチップを各洗浄チャンバーに移す。その後、実施例1で製作されたリアクタ洗浄システム及び反応制御システムを含むテスト装置の操作原理によって、反応及びリアクタ洗浄を実施する。
【0226】
本実施例で製作されたテスト装置は実施例1での標識システムを含む、又は含まない可能性がある。
【0227】
本実施例での全ての施設は通常の施設である。温度/湿度コントローラーは市場で入手できる製品から選ばれた。他のコンポーネント及び補助部品は実施例1及び3のように獲得できる。
【実施例6】
【0228】
リアクタ洗浄システム、流動性低減システムを含むテスト装置及びサンプル付着のスポッティングシステムを含むテスト装置
本実施例で製作されたテスト装置は実施例1で製作されたリアクタ洗浄システム、実施例2で製作された流動性低減システム及び実施例3で製作されたサンプル付着のスポッティングシステムを含む。異なったシステムが通常の方式で連結されて、中心コントローラーにより制御される。
【0229】
本実施例で製作されたテスト装置は反応制御システムを含む、又は含まない可能性がある。これはリアクタ洗浄システム、サンプル付着のスポッティングシステム及び反応制御システムを含む。働く方式は下記の通り::
まず、実施例3で製作されたサンプル付着のスポッティングシステムの操作原理でサンプルをスポッティングする。その後、実施例4で製作されたリアクタ洗浄システム、温度/湿度制御による流動性低減システム及び反応制御システムを含む装置で行うように反応、流動性低減及びリアクタ洗浄を実施する。
【0230】
本実施例で製作されたテスト装置は実施例1での標識システムを含む、又は含まない可能性がある。
【0231】
本実施例での全ての施設は通常の施設である。温度/湿度コントローラーは市場で入手できる製品から選ばれた。他のコンポーネント及び補助部品は実施例1、2及び3のように獲得できる。
【実施例7】
【0232】
リアクタ洗浄システム、流動性低減システム及び信号走査システムを含むテスト装置
実施例1で製作された信号走査システム及びリアクタ洗浄システム及び実施例2での流動性低減システムを含むテスト装置は次のシステムを含む:(a)信号走査システム(b)チップ輸送システム(c)圧力液の発生及び輸送システム(d)汚水排出システム(e)。漏洩防止システムf反応制御システム官能基標識システム(h)流動性低減添加剤を含む流動性低減システム(i)制御システム
【0233】
本実施例で、信号システム以外の全てのシステムが実施例1又は2のサブシステムと類似する又は同じ。本実施例で、信号走査システムは蛍光スキャナーを含む。このスキャナーはチップ運送システムを通してリアクタ洗浄システムと並列する。
【0234】
本実施例で製作されたテスト装置はリアクタ洗浄システム、流動性低減システム、信号走査システム、反応制御システム及び標識システムを含む。働く方式は下記の通り:
【0235】
次の手順は実施例4で製作されたリアクタ洗浄システム温度/湿度制御による流動性低減システム及び反応制御システムを含むテスト装置の操作原理によって実施される。(1)サンプル/プローブ反応を実施する。(2)残留サンプルの粘度を増加する。(3)残留サンプルを洗浄する。(4)標識溶液を付ける。(5)標識反応によってラベリングを完成する。その後、乾燥されたチップが輸送システムにより蛍光スキャナーに伝送されて、プリセットされた条件で信号走査を行う。
【0236】
本実施例の全ての施設は通常の施設である。使用されたスキャナーは蛍光スキャナー(SCAN−2s、成都光学及び電子研究院、中国科学院製)である。温度/湿度コントローラーは市場で入手できる製品から選ばれた。他のコンポーネント及び補助部品は実施例1及び2のとおり得ることができる。
【実施例8】
【0237】
リアクタ洗浄システム、流動性低減システム及び他のシステムを含むテスト装置
実施例1で製作された信号走査システム及びリアクタ洗浄システム及び実施例2での流動性低減システムを含むテスト装置は次のシステムを含む:(a)信号走査システムにある背景信号強化構造(b)信号走査システムにある背景信号弱化構造(c)信号走査システム(d)チップ輸送(伝送)システム(e)圧力液の発生及び輸送システム(f)汚水排出システム(g)漏洩防止システム(h)反応制御システム(i)標識システム(j)流動性低減添加剤を含む流動性低減システム(k)制御システム。本実施例での全ての他のシステムは背景信号強化及び弱化構造が実施例3と同じ。
【0238】
他の発明(PCT/CN2003/01009)の中で、一種のテスト方法が提供された。このテスト方法によって、背景及びチップリアクタの目標スポットとの色収差を最大化することによって、テスト感度を増加する。
【0239】
本実施例で、背景信号強化構造は塗料、及び/又は蛍光剤を含む薄片を含む。
【0240】
本実施例で、前記の蛍光剤は蛍光材料から選ばれた。前記の背景信号強化構造の1つはチップ及び支持体の上に市場で入手できる蛍光塗料で塗装された後のものである。蛍光スキャナーで、この種類の支持体はチップを固定してチップリアクタの背景信号を強化することに使用される。
【0241】
本実施例で、背景信号弱化構造は塗料、ウエハー及び/又は薄片を含む。その構造の光吸収率は95%以上で、最適は97%以上(又は反射率5%以下、最適は3%以下)。本実施例での前記の背景信号弱化構造はスーパーブラック塗料(光吸収率96%以上)で塗装されたチップ支持体である。蛍光スキャナーで、この種類の支持体はチップを固定してチップリアクタの背景信号を弱化することに使用される。
【0242】
本実施例で製作されたテスト装置はリアクタ洗浄システム、温度/湿度制御による流動性低減システム、信号走査システム、信号走査システムに含む背景信号強化及び弱化システム、反応制御システム及び標識システムを含む。働く方式は下記の通り:
【0243】
まず、前記のチップ支持体を蛍光スキャナーに固定してから、実施例4で製作されたリアクタ洗浄システム、温度/湿度制御による流動性低減システム、信号走査システム、反応制御システム及び標識システムを含むテスト装置に実施される手順と同じ実施する:サンプル/プローブ反応を実施し、残留サンプルの流動性を低減し、残留サンプルを洗浄し、標識溶液を付け、標識反応によってラベリングを完成し、反応残留物を洗浄する。その後、乾燥されたチップが蛍光スキャナーに伝送されて、信号走査を行う。
【0244】
本実施例の全ての施設は通常の施設である。前記のチップ支持体は自作物で、他のコンポーネント及び補助部品は実施例1及び2のように獲得できる。
【0245】
同じ施設で、リアクタ洗浄システム、流動性低減システム及びサンプル付着のスポッティングシステムを含むチップテスト装置も製作できる。
【実施例9】
【0246】
疎水−疎油性パーティション構造を含むマルチ開放リアクタを有するチップ
次の実施例で、スライドガラスはアメリカのESCO SCIENTIFICから購入し、スライドガラスサイズは75×25×1.0mmで、カバー・ガラスサイズは60×24×0.15mmである。プローブは北京人民病院の肝臓病研究院から購入された。それぞれHIV1+2抗原、梅毒(syphilis)抗原及びHCV抗原である。サンプリング濃度が1.0−1.5mg/mlである。全てのサンプルがクラシックのELISA方法で前もって検知された。サンプル1はHCV+血清を指し、サンプル2はHIV1+2+ヒト血清を指し、サンプル3は梅毒抗体+ヒト血清を指し、サンプル4は陰性制御である。
【0247】
本実施例で製作されたテスト装置は疎水−疎油性パーティション構造を含むマルチ開放リアクタを有するチップである。本実施例での前記のパーティション構造は全体又は一部疎水−疎油性構造である。ここで、われわれは最も簡単な例を引用する。
【0248】
1.基板の製作
(1)通常の基板の製作
本実施例で使用された全ての通常の基板は周知されたアミン化及びエポキシ化方法で自作されたアミノ及びエポキシ・スライドガラスである。
【0249】
(2)ナノ構造基板の製作
本実施例で、ナノ構造基板は他の発明(PCT/CN2004/000077、PCT/CN2004/000203及びPCT/CN2004/000437)と同じ方法で製作された。要するに、スライドガラスが1/10000(w/v)のシリコン酸化物粒子(LUDOX AS−40、Sigma−Aldrich)を有する懸濁液に2時間浸漬されてから、洗浄・乾燥されて1/5000(w/v)のポリビニルピロリドン溶液に2時間置かれる。最後に、再度洗浄・乾燥されてから、基板が熱処理(60°C、10時間以上)される。これでナノ構造基板は製作済み。
【0250】
本実施例で製作されたナノ構造基板はDFM SPA−300HV及びその分析ソフトウェアで評価される。基板での固体化されたナノ構造は10 /um(高さが3nm以上、その中で少なくとも半分高さの凸体の一次元サイズが1−500nmで、最適は1−100nm)以上である。
【0251】
2.マルチ・セル基板の製作
本実施例で使用された疎水−疎油性材料は全て市場から入手できる。本実施例で使用された三種の液体材料が次の通り:深センCity Clean科学技術有限公司のCity Clean、中国舟山明日ナノ材料有限公司の高い疎水性のシリコン酸化物塗料及び中国晨光化学工業研究院の高疎水−疎油性のシリコン酸化物塗料。本実施例で使用された3種類の固体材料はサプライヤーにより推薦された乾燥した三つの成形板である。成形板はそれぞれ3種類の疎水−疎油性材料をマルチ・セル基板の一面に付けることによって製作された。成形板の深さは0.3mm以下である。
【0252】
(1)疎水−疎油性液体材料固体化によってマルチ・セル基板を製作する
製作は下記の手順を含む:
(a)疎水−疎油性液体材料をそれぞれ通常の基板の分離領域及び製作されたナノ基板に塗る。それから、
(b)サプライヤーの指示に従っての材料を固体化することによって、分離凸体を形成して、又はこの領域の現有の実施方法によって通常の固体化試薬を付ける(図1−3)。
【0253】
疎水−疎油性凸体は異なった形状である可能性がある。本実施例で、凸体は帯状の形状である。高さ25−115um、幅2.0−2.5mmである。疎水−疎油性凸体が囲んだ表面も各形状である可能性がある。本実施例で、3mm×3mmの長方形である。マルチ・セル基板に合計20個のセルがある。水平に10個のセル及び垂直に2個のセル。
【0254】
(2)マルチ・セル基板の製作は疎水−疎油性固体材料を使用することによる。
製作は下記の手順を含む。
(a)疎水−疎油性液体材料をプリセットされた成形板の分離領域に塗る。
(b)この材料を固体化することによって、成形板の上に疎水−疎油性コーティングを形成する。操作方法はサプライヤーの指示に従う。又はこの領域の現有の実施方法によって通常の固体化試薬を付ける。
【0255】
成形板は次の材料の1つ又はいくつかを含む可能性がある:セルロース膜、紙、プラスチック及びメタル等。本実施例で、成形板はサイズ75×25×0.45mmのプラスチックで、20個の長方形の穴(3mm×3mm)があり、2×10アレイと配置されて、2つの穴の間の距離は2.0−2.5mmである。疎水−疎油性コーティングは穴の内縁にあり、分離領域は成形板の表面の穴の間にある。成形板の低い表面は疎水−疎油性コートにより覆われていないので、基板に粘着して、疎水−疎油性分離領域を有するマルチ・セル基板を形成できる。
【0256】
本実施例での製作方法によって、各種のマルチ・セル基板を製作できる。パーティション構造の高さが異なり(例えば、0.05−0.5mm)、形状もことなり(例えば、帯状又は他の幾何形状)、サイズもそれぞれ違う。この中で、反応セルの形状も異なり(例えば、長方形、円形、楕円形等)、サイズも違い、数量と配置も違う(例えば、56個のセルで、水平に14個、垂直に4個、又は16個のセルで、水平に8個、垂直に2個。
【0257】
本実施例の製作方法によって、基板は直接(例えば疎水−疎油性液体の固体化)、又は間接的(疎水−疎油性固体の固定)に疎水−疎油性チップを固定するいずれかの材料を含む可能性がある。
【0258】
(3)疎水−疎油性構造を有するマルチ・セル基板の評価
本実施例で、パーティション構造での疎水−疎油性構造表面の水接触角度及び油接触角度をテストするには、それぞれ無菌蒸留水及び純化落花生油を使用する。
【0259】
接触角度は接触角度分析器(JC2000A、アモイChemat科学器械会社)を使用して晨光化学工業研究院でテストされた。本実施例で、基板の全ての水接触角度が48度以下で、油接触角度が45度以下である。疎水−疎油性表面の水接触角度が全て100度(例えば、シリコン酸化物の塗料の水接触角度が110度以上である)以上で、油接触角度が80度(例えば、City Cleanの油接触角度が100度以上)以上である。
【0260】
3.疎水−疎油性パーティション構造を含むマルチリアクタを有する分析チップの製作
実際に、本実施例のチップを製作するために、まずプローブを固定したり、基板での疎水−疎油性凸体を製作したりすることもできる。本実施例で、後者を採用した。
【0261】
(1)通常の基板の製作
周知されたプローブ・スポッティング技術(本実施例で、手動スポッティングが採用された)によって、三つの前記の抗原がそれぞれ前記のマルチ・セル基板の中心領域に固定される(疎水−疎油性構造と0.5mm以上の距離がある)ことによって、3×3個のプローブアレイを形成する。抗原ごとに三つのスポットがある。固定反応が終わった後、牛アルブミンを使って、チップを密封して将来使用に備える。
【0262】
(2).活性ナノ構造チップの製作
1つの製作方法はそれぞれ前記の抗原を前記の通常ナノ構造基板のマルチ・セルの中心領域(疎水−疎油性凸体から0.5mm以上の距離がある)に固定して、3×3個のプローブアレイを形成して、各抗原に三つのスポットがある。一旦固定反応が終わったら、牛血清を使ってチップを閉じて将来使用に備える。
【0263】
もう1つの製作方法について、われわれの他の発明を参照せよ。例えば、PCT/CN2004/000077、PCT/CN2004/000203及びPCT/CN2004/000437。要するに、シリコン酸化物(LUDOX AS40、Sigma−Aldrich)のナノ粒子を含む懸濁液を前記の抗原とそれぞれ混ぜることによって、反応後前記の抗原がナノ粒子に固定される。その後、現行のプローブ・スポッティングによって、三つの抗原を前記の通常ナノ構造基板のマルチ・セルの中心領域(疎水−疎油性凸体から0.5mm以上の距離がある)に固定して、3×3個のプローブアレイを形成して、各抗原に三つのスポットがある。一旦抗原及びシリコン酸化物の固定反応が終わったら、牛血清を使ってチップを閉じて将来使用に備える。
【0264】
4.疎水−疎油性パーティション構造を有する分析チップを含むマルチリアクタ分析チップの評価
評価方法は下記の手順を含む:
(a)リアクタの番号を付けた前記のチップから10個を取り出す。
(b)第1の列の奇数リアクタに陽性血清を付ける。陽性血清は同量のサンプル1、2及び3を混ぜることによって製作された。偶数リアクタに陰性血清を付ける。第2の列は逆で、偶数リアクタに陽性血清、奇数リアクタに陰性血清を付ける。第3列は第1の列と同じ。四つ目列は第2列と同じ。
【0265】
ここで使用されたマーカーは自作ローダミン標識のマウスmAbである。この実験で、10ulのサンプルと10ulのマーカーを付ける。反応後、ELISA洗浄のように固定されない材料を吸い取る必要がない。その代わりに、下記の洗浄方法が採用される。
(a)反応セルを水吸収紙に接触することによって、固定されない材料を吸収する。その後、洗浄噴霧器を押すことによってセルを洗浄する。
(b)スライドガラスが平面と45度を成すようにスライドガラスを回転させてから、実施例1で製作された洗浄システムからの噴射洗浄液でこれを洗浄する。
(c)スライドガラスが平面と180度を成すようにスライドガラスを回転させてから、実施例1で製作された洗浄システムからの噴射洗浄液でこれを洗浄する。
【0266】
その後、通常手順によってマーカーを付けて、反応を実施し、洗浄・乾燥する。本実施例で使用されたスキャナーはAfymetrix製レーザースキャナーGMS 418である。励振光の波長が532nmで、発光の波長が570nmである。 探知された信号がJAGUAR IIにより処理される.交差汚染率は結果が付けたサンプルと異なるセル数と調査される総セル数との比率を指す。結果は表5の通り。
【0267】
表5:異なったパーティション構造を有する分析チップの評価結果


































【0268】
【表5】

WCD:疎水−疎油性材料と基板との水接触角度差。
OCD**:疎水−疎油性材料と基板との油接触角度差。
【0269】
本実施例で、マルチリアクタ・チップ構造に高い集積度がある。例えば、25×75mm(幅×長さ)チップがいくつかのリアクタ(例えば.16−48個のリアクタ又はより多い)を含む可能性がある。応用にも高い集積度がある。例えば、本発明の高い集積度のあるテストに応用できる。その他、チップでのリアクタは高密度がある(1 cm基板ごとに1つ以上又はより多いリアクタがある)。これでテストのコストを大きく低減できる。
【0270】
本発明のチップを含むキットは本発明での前記のマルチリアクタ・チップと同じ結果を達成できる。
【実施例10】
【0271】
可逆閉鎖マルチリアクタを有するチップ
本実施例で製作された可逆閉鎖マルチリアクタを有するチップはマルチ可逆閉鎖広いチャンバーリアクタを有するチップである。
【0272】
本実施例で、マルチ可逆閉鎖保湿チャンバーを有するチップはわれわれの他の発明PCT/2004/001128により製作されたチップであるが、本発明の疎水−疎油性パーティション構造を付けた。要するに、これは頂部コンポーネント及び底部コンポーネントの組合せで形成されたマルチ露出リアクタのチップである。
【0273】
本実施例で、底部コンポーネントは次の成分を含む:吸入口領域及び排出口領域を含む底部基板、プローブ、疎水−疎油性パーティション構造及び疎水−疎油性パーティション構造を含むチャンバー壁。前記の底部コンポーネントを製作するために、われわれは前記の疎水−疎油性液体材料を均一に八つの底部領域(1つ毎に12mm×4mm)以外の全ての領域に塗布する。以上の八つの領域はプローブを固定するために保留される。塗料を一夜乾かすと、弾性材料で構成されたパーティション構造を形成する。この後、前記の抗原溶液を保留領域にスポッティングする。使用する器械はGENETIC MICROSYSTEMS会社製GM 417 ARRAYERである。これによって、3X3アレイを形成して、配位子毎に3スポットがある。反応は室温で3時間インキュベーションされてから、チップを洗浄して、乾燥した後、将来使用に備えるために、牛血清で密封する。
【0274】
本実施例で、頂部コンポーネントは、頂部(底部と反対する)、広いチャンバーの吸入口/排出口、リアクタの吸入口構造、リアクタの排出口構造、位置決め構造及びパーティション構造を含む。この中で、吸入口構造は吸入口パイプを指す。排出口構造は他のシステム(液体伝送機構)のパイプにアクセスし易い排出口パイプを指す。前記の頂部コンポーネントはステンレス・スチール板(サイズ100mm×40mm×2mm、長さ×幅×深さ)である。まず機械加工で、その後弾性溶液でコーティングし(例えば、晨光化学工業研究院製弾性溶液)、深度が0.18mm以下である。前記の溶液を底部及び頂部コンポーネントの相応のパーティション構造に塗布する。各対の吸入口及び排出口は底部コンポーネントの各リアクタの吸入口及び排出口に対応する。要するに、底部コンポーネント及び頂部コンポーネントのパーティション構造はそれぞれ対応する。頂部コンポーネントは重複使用できる。
【0275】
複数の保湿チャンバーを有する閉鎖チップは取り付け具の機械圧力による前記頂部コンポーネントと底部コンポーネントとの組み合わせである。これはサンプル添加及びサンプルプローブ反応で使用できる。前記の底部コンポーネントがマルチ露出リアクタを有するチップになる。反応後、残留サンプルが各チャンバーから吸い取られて、取り付け具の機械的な力が除去された後、頂部コンポーネントが底部コンポーネントから分離される。
【0276】
本発明で製作された保湿チャンバーで、各マルチ閉鎖保湿チャンバーの底部サイズが12mm×4mmで、壁の高さが0.25mmである。その中で、陰イオン水が1秒以下乃至0.5秒以下の時間内で、湿度現象によって広いチャンバーに水平的に充填できる。
【実施例11】
【0277】
マルチ開放リアクタを有するチップ
本実施例で、マルチ開放リアクタを有するチップが製作される。ここで最も簡単な例を説明する。
【0278】
実際に、本発明のチップはプローブを基板に固定してからパーティション構造を固定することにより製作される。又はパーティション構造を固定してからプローブを固定することにより製作される。2つの手順の操作原理が同じであるが、順序が反対である。本実施例で後者を採用する。
【0279】
1.マルチ・セルを有する基板の製作
本実施例で、使用中の基板は通常の基板か、実施例9で製作されたナノ構造基板かを指す。本発明のパーティション構造は一部又は全部疎水、超疎水又は疎水−疎油性材料を含むが、われわれは本実施例の最も簡単な例だけ説明する。
【0280】
(1)疎水パーティション構造を有するマルチ・セル基板の製作
本実施例で使用された疎水性材料は市場で入手できる黒いポリエチレンプラスチック又は黒いポリ塩化ビニールである。疎水性材料は熱処理で成形板に流される。成形板のサイズは75.0×25.0×0.5mm(長さ×幅×高さ)である。穴が16個あって、2列8行に配置され、直径が5mmである。2つの成形板の水接触角度はそれぞれ78度及び73度である¥。基板及び成形板が接着した後、16個のセルを有する基板が形成された。
【0281】
(2)超疎水性パーティション構造を有するマルチ・セル基板の製作
本実施例で使用された超疎水液体材料はポリアクリル酸化物塗料(晨光化学工業研究院製、静態水接触角度85度)、有機シリコン防水塗料(晨光化学工業研究院製、静態水接触角度116度)及び超疎水シリコン酸化物塗料(舟山明日ナノ材料会社製、静態水接触角度151度).本実施例で使用された超疎水固体材料はポリテフロン(登録商標)粘着テープ(晨光化学工業研究院製、静態水接触角度117度)及びナノ織物(舟山明日ナノ材料会社製、静態水接触角度155度)である。
【0282】
本実施例で、超疎水液体固体化材料でマルチ・セル基板を製作する方法は下記の通り:
(i)前記の超疎水性材料をそれぞれ前記の通常基板及び前記のナノ構造基板での分離領域に塗る。
(ii)サプライヤー又は当領域の通常慣例によって、適量な固体化試薬を付ける事により材料を固体化して超疎水被膜(コート)を形成する。
【0283】
超疎水被膜は異なった幾何形状を呈することができる。本実施例で、これは帯状で、高さ85−115um、幅4.5mmである。超疎水被膜が囲む反応セルも異なった幾何形状を呈することができる。本実施例で、これは4.5mm×4.5mmの長方形である。製作された基板に合計16セルがあり、8セル水平、2セル垂直である。
【0284】
本実施例で、マルチ・セル基板が超疎水固体材料からなる可能性がある。即ち、流し型の固体材料を基板に接着する。この方式で得られたマルチ・セル基板はその高さだけ異なる。(300um−500um)
【0285】
(3)疎水−疎油性パーティション構造でマルチ・セル基板を製作する
本実施例での疎水−疎油性パーティション構造を有するマルチ・セル基板の製作方法は実施例5と同じ。ここで、疎水−疎油性固体材料を固定することによって製作されたマルチ・セル基板で、パーティション構造の高さは300−600umで、幅は4.5mmである。疎水−疎油性液体材料を固体化することによって製作されたマルチ・セル基板で、被膜高さが100−300umで、幅が4.5mmである。本実施例の製作された基板は合計16セルがあって、水平にセル8個、垂直にセル2個。各セルの形状は4.5mm×4.5mmの長方形である。
【0286】
2.マルチ開放リアクタを有する分析チップの製作
本実施例で、通常チップ又は活性化ナノ構造を有するチップは実施例9の通常チップ又は活性化ナノ構造を有するチップのように製作される。但し、3×3のプローブアレイは北京電子工業研究院製のDY−2003バイオチップスポッティング機械によりスポッティングされる。占める面積は1mm以下である。より多いスポットが必要の場合、他の高密度のスポッティング機械を使用できる。例えば、スポッティング密度がプローブのスポット数5個/mm以上のもの。ここで製作されたチップはマルチリアクタを有するチップを指す。
【0287】
3.マルチ保護リアクタを有するチップの製作
マルチ保護リアクタを有するチップは前記実施例で製作されたマルチリアクタを有するチップから製作できる。本実施例について、われわれのもう1つの例(PCT/CN2004/000169)を参照せよ。要するに、ポリエチレン薄片(予めカットされて、薄片のリアクタカバーが容易に剥離するようにする)を前記のチップの分離領域の中心線に接着する。本実施例での密封コンポーネントは機械的に処理された剥離できる領域を有するプラスチック薄膜及びアルミ・プラスチック薄膜及び剥離領域がある、又はない可能性のあるプラスチック薄膜を含む。
【0288】
4.マルチ開放リアクタを有する分析チップの評価
(1)分離効果の評価
その評価は前記のマルチ保護リアクタを有するチップで保護システムを開放することによって実施される。又は直接マルチ開放リアクタを有する分析チップを使用することによって実施される。より正しく言うと、研究者が下記の手順に従うこと。
【0289】
まず、マルチ開放リアクタを有する分析チップを平面支持体に置く。その後、ピペットで3−5ulの陰性イオン蒸留水を各反応セルでのプローブ領域に移すことによって、半球形の水滴を形成する。水滴の底部面積がプローブ領域より2倍大きい。高さが150um以上。それから、実施例1で製作された支持体に連結する角度調整器で、本実施例でのチップを段々時計回りに回転させて、最も長い中間線を軸とする。この後、これをチェックして、陰イオン蒸留水が反応セルから流出することがあるかどうか確認する。この実施例で製作された分析チップでは、陰イオン蒸留水が反応セルから流出することがない。これはパーティション構造の高さ、表面疎水性及びプローブアレイの面積が適当であるのを説明している。
【0290】
(2)交差汚染率の分析評価
本実施例で、交差汚染率は実施例9と同じように探知し、同じ結果が得られる。
【0291】
本実施例で、マルチリアクタ・チップ構造に高い集積度がある。例えば、1つの25×75mm(幅×長さ)チップは複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ又はこの以上)を含む可能性がある。この応用性にも高い集積度がある。例えば、本発明での高い集積度のあるテストに応用できる。その他、チップでのリアクタの密度が高い(例えば、1cmの基板毎に、1つ又は1つ以上のリアクタがある)。これでテストコストを大きく低減できる。
【0292】
本発明のチップを含むキットでは、本発明のマルチリアクタと同じ結果が得られる。
【実施例12】
【0293】
マルチリアクタ・チップでのテスト方法(1)
本実施例で使用される装置は実施例9及び10で製作された装置である。ここで使用されるチップは前記の実施例で製作されたマルチリアクタを有するチップである。
【0294】
1.マルチリアクタを有するチップを使用する
本実施例で、前記のマルチリアクタを有するチップは実施例9で製作されたマルチ開放リアクタを有するチップである。実際応用中、保護構造があれば、除去すべきである。又は、直接保護構造のないチップを使用する。
【0295】
(1)洗浄システムを有するテスト装置だけ使用する
本実施例でのテスト装置は実施例1で製作されたマルチリアクタを有するチップのテスト装置と同じ。
【0296】
まず、PBS緩衝液で20倍希釈された前記サンプルをチップの反応セルと対応するELISAマイクロプレートのマルチ・セルに付ける。それから、通常のサンプリング又は本発明のスポッティングによってサンプルを添加する。スポッティングを選択するなら、実施例3でのサンプル付着のスポッティングシステムを使用すること。サンプリングの手順は次の通り:まず、適当な形状及びサイズのマルチ接触チップを取り付け具で反応セルと相応する軸に固定する。それから、スポッティング用先端チップをマイクロプレートで相応のセルに浸漬する。この後、1−5ul サンプルを前記の分析チップの各リアクタに付ける。方法は均一にサンプルが覆われた先端チップで塗布すること。その結果、リアクタの底部で2−3mmのスポッティング領域が形成される。スポッティング用先端チップの降下速度は10cm/秒位である。
【0297】
その後、チップを37°Cの条件で1時間保存する。反応後、テスト装置の各洗浄チャンバーを開いて、前記のチップを反転させて、そこにあるチップ支持体に置く。その後、テスト装置の各洗浄チャンバーを閉じる。圧力ポンプの運転を開始して、洗浄液瓶で室温貯蔵されたPBS溶液をNo.4ノズルで最適位置に押し出す。これで、16個の排出口を通じて16個の別々の洗浄液を発生させて、16個のリアクタに付ける。
【0298】
噴射のパラメーターは下記の通り。
(a)ノズルの各排出口が反応セルでの1つのプローブアレイへ向く
(b)排出口の別々の液体と前記のプローブが固定されるチップとの間の時計回り角度は90±5度で、たとえ液体が上向きで噴射する場合も同じ。
(c)前記の排出口とプローブが固定された基板との距離は2.0±0.3cm(本実施例での前記チップの深さは1.0±0.1mmである)にする。
(d)ポンプの作動圧力は2.5±0.5kg/cmに調整する。
(e)噴射は10秒持続する。
【0299】
これらの洗浄液は露出リアクタで固定されたプローブに着いてからはね散る。これで残留サンプルを取り出して、露出リアクタを洗浄する。全てのはね散った液体は廃液として排水パイプを通して廃液槽に排出される。最後に、単独洗浄チャンバーを開いて、チップを取り出す。
【0300】
圧力/超音波の液体洗浄システムの使用は、超音波発生器(例えば、30Wの超音波発生器)を圧力ポンプ及びノズルの間に連結する。
【0301】
チップを噴き乾かした後、リアクタに標識液(ローダミン標識のヤギ抗ヒトIgG +IgM+IgA)を添加して反応を37°Cの温度で1時間保持する。反応が終わった後、前記のチップを単独洗浄チャンバーで、チップ支持体の上に反転させてから、前記の洗浄手順を繰り返す。
【0302】
それから乾かされたチップは共焦点レーザースキャナー(GMS 418、Afymetrix製)で走査・分析される。走査パラメーターは次の通り:励振波長及び発光波長が532nm及び570nmである。レーザーの強度/ゲインはそれぞれ60/69である。探知された信号がソフトウェアJAGUAR IIにより処理される。平均数値を最後の結果とする。各リアクタの陽性又は陰性結果は添加されたサンプルと一致する。この実施例で、20個のチップは20回の前記のチップテストを経過しても、交差汚染のない同じ結果となる。但し、スポッティングでサンプリングされたリアクタは通常のサンプリングよりより多い陽性結果がある。これは高い感度があるのを表明する。
【0303】
(2)洗浄システム及び反応制御システムを有するテスト装置を使用する
本実施例でのテスト装置は実施例1で製作されたマルチリアクタを有するチップのテスト装置と同じ。
【0304】
まず、PBS緩衝液で20倍希釈された10ulの前記サンプルを前記分析チップの各開放リアクタに付けてから、前記チップを平らに各単独洗浄チャンバーでのチップ支持体に置く。置く状態は右側を上向きにすること。この後洗浄チャンバーを閉じる。各単独洗浄チャンバーの温度を37°Cに設定し、湿度レベルを85%に設定する。それから反応を1時間保持する。反応後、チップ支持体の角度を調整することによってチップを反転させる。その後、圧力ポンプの運転を開始して、洗浄液瓶で室温貯蔵されたPBS溶液をNo.4ノズルに押し出す。これで、16個の排出口を通じて16個の別々の洗浄液を発生させて、16個のリアクタに付ける。ここでの噴射のパラメーターは洗浄システムしかないテスト装置のパラメーターと同じ。結果も同じ。
【0305】
(3)洗浄システム、温度/湿度制御による流動性低減システム、反応制御システム及び標識システムを有するテスト装置を使用する
本実施例でのテスト装置は実施例4で製作されたマルチリアクタを有するチップのテスト装置と同じ。
【0306】
まず、PBS緩衝液で20倍希釈された10ulの前記サンプルを前記分析チップの各開放リアクタに付けてから、前記チップを平らに各単独洗浄チャンバーでのチップ支持体に置く。置く状態は右側を上向きにすること。この後洗浄チャンバーを閉じる。
【0307】
各単独洗浄チャンバーの温度を37°Cに設定し、湿度レベルを85%に設定する。それから反応を1時間保持する。その後、湿度レベルが85%に低減される。3−5分間保持する。それから、チップ支持体の角度を調整することによってチップを反転させる。その後、圧力ポンプをNにして、洗浄液瓶で室温貯蔵されたPBS溶液をNo.4ノズルに押し出す。これで、16個の排出口を通じて16個の別々の洗浄液を発生させて、16個のリアクタに付ける。ここでの噴射のパラメーターは洗浄システムしかないテスト装置のパラメーターと同じ。結果も同じ。反応残留物が除去されて乾燥された後、改めてチップ支持体の角度を調整することによってチップを反転させる。各リアクタに10ulの標識液(ローダミン標識のヤギ抗ヒトIgG+IgM+IgA溶液)を添加して反応を37°Cの温度で1時間保持する。反応後、チップ支持体の角度を調整することによってチップを反転させて、それに圧力ポンプの運転を開始することによって、前記の洗浄手順を繰り返す。
【0308】
ここでの他の操作は洗浄システムしかないテスト装置での操作と同じ。結果も同じ。
【0309】
(4)洗浄システム、添加剤による流動性低減システム、反応制御システム及び標識システムを有するテスト装置を使用する
本実施例での装置は実施例4で製作されたマルチリアクタを有するチップのテスト装置と同じ。
【0310】
まず、PBS緩衝液で20倍希釈された10ulの前記サンプルを前記分析チップの各開放リアクタに付けてから、前記チップを平らに各単独洗浄チャンバーでのチップ支持体に置く。置く状態は右側を上向きにすること。この後洗浄チャンバーを閉じる。
【0311】
各単独洗浄チャンバーの温度を37°Cに設定し、湿度レベルを85%に設定する。それから反応を1時間保持する。その後、各リアクタに1mgのブドウ糖粉を添加する。それから、チップ支持体の角度を調整することによってチップを反転させる。その後、圧力ポンプの運転を開始して、洗浄液瓶で室温貯蔵されたPBS溶液をNo.4ノズルに押し出す。これで、16個の排出口を通じて16個の別々の洗浄液を発生させて、16個のリアクタに付ける。ここでの噴射のパラメーターは洗浄システムしかないテスト装置のパラメーターと同じ。
【0312】
反応残留物が除去されて乾燥された後、改めてチップ支持体の角度を調整することによってチップを反転させる。各リアクタに10ulの標識液(ローダミン標識のヤギ抗ヒトIgG+IgM+IgA溶液)を添加して反応を37°Cの温度で1時間保持する。反応後、チップ支持体の角度を調整することによってチップを反転させて、それに圧力ポンプの運転を開始することによって、前記の洗浄手順を繰り返す。
【0313】
他の操作は洗浄システムしかないテスト装置での操作と同じ。結果も同じ。
【0314】
(5)洗浄システム、添加剤による流動性低減システム、信号走査システム、反応制御システム及び標識システムを有するテスト装置を使用する
本実施例での装置は実施例7で製作されたマルチリアクタを有するチップのテスト装置と同じ。
【0315】
前記の洗浄システム、添加剤による流動性低減システム、反応制御システム及び標識システムを有するテスト装置のように、われわれはまずサンプル/プローブ反応を起動してから、添加剤を添加して流動性を低減する。反応残留物を洗浄した後、標識液を添加して標識反応を追跡する。それから残留マーカーを洗浄して、乾燥したチップを、輸送システムを通して蛍光スキャナーに伝送し、プリセットされた通りに信号走査を行う。ここで使用されたスキャナーは中国科学技術院の成都光学及び電子研究院製の共焦点レーザースキャナーSCAN−2である。励振波長が532nmで、発光波長が570nmである。レーザーの強度及びゲインが60/69である。走査結果は本実施例と同じ。
【0316】
(6)洗浄システム、信号走査システム、信号走査システムにある信号強化構造及び弱化構造、反応制御システム及び標識システムを有するテスト装置を使用する。
本実施例での装置は実施例8で製作されたマルチリアクタを有するチップのテスト装置と同じ。
【0317】
まず、蛍光塗料を付けた背景板を蛍光スキャナーに固定する。それから、洗浄システム、添加剤による流動性低減システム、反応制御システム及び標識システムを有するテスト装置のように、われわれはまずサンプル/プローブ反応を起動してから、反応残留物を洗浄する。それから標識溶液を添加して標識反応を追跡する。残留マーカーを洗浄した後、乾燥したチップを、輸送システムを通して蛍光スキャナーに伝送し、プリセットされた通りに走査を行う。ここで使用されたスキャナーは中国科学技術院の成都光学及び電子研究院製の共焦点レーザースキャナーSCAN−2である。走査パラメーターは次の通り:励振波長が532nmで、発光波長が570nmである。レーザーの強度及びゲインが60/69である。走査結果は以上の実施例と同じ。
【0318】
2.可逆閉鎖マルチリアクタを有するチップを使用する
本実施例で使用されるマルチリアクタ・チップは実施例10で製作された可逆閉鎖マルチリアクタを有するチップである。取り付け具の機械圧力によって、チップの前記の頂部コンポーネント及び底部コンポーネントを共役させて、マルチ湿るチャンバーを有する閉鎖チップを形成する。
【0319】
(1)残留サンプルを含むマルチ露出リアクタの製作
PBS緩衝液で20倍希釈された前記のサンプルを37°Cに加熱してから、0.05 ml/時間の速度で、マイクロポンプでサンプルを各リアクタに押し出す。約60分サンプルリングした後、ポンプの運転を停止してから残留サンプルを吹き乾かす。取り付け具の機械圧力が除去された後、頂部コンポーネント及び底部コンポーネントは分離して、マルチ露出リアクタを有するチップになる。
【0320】
(2)少なくとも1つの別々の液体を同時に前記の各リアクタに付ける。これで自動的に前記の残留サンプルを除去する
前記チップの右側を逆様にしてチップ支持体に置く。それから別々の洗浄チャンバーを閉じる。圧力ポンプの運転を開始して、洗浄液瓶で室温貯蔵されたPBS溶液をNo.4ノズルに押し出す。16個の排出口を通じて16個の別々の洗浄液を発生させて、16個のリアクタに付ける。
【0321】
噴射パラメーターは次のとおり。
(a)ノズルの各排出口が反応セルの1つのプローブアレイへ向けられる。
(b)排出口の別々の液体及び前記のプローブが固定されるチップ間の時計回り角度は90±5度で、たとえ液体が上向きで噴射する場合も同じ。
(c)前記の排出口とプローブ領域との距離は2−3cmと調整される。
(d)ポンプの作動圧力は2.5±0.5kg/cmと調整される。
(e)噴射は10秒持続する。
【0322】
これらの洗浄液は露出リアクタで固定されたプローブに着いてからはね散らす。これで残留サンプルを取り出して、露出リアクタを洗浄する。全てのはね散らした液体が廃液として排水パイプを通して廃液槽に排出される。最後に、単独洗浄チャンバーを開いて、チップを取り出す。
【0323】
圧力/超音波の液体洗浄システムを使用すれば、30Wの超音波発生器は圧力ポンプ及びノズルの間に連結する。
【0324】
チップを噴き乾かした後、前記のチップの右側を逆様にして、リアクタに標識液(ローダミン標識のヤギ抗ヒトIgG+IgM+IgA)を添加して反応を37°Cの温度で1時間保持する。反応が終わった後、前記のチップを単独洗浄チャンバーで、右側を逆様にして、チップ支持体の上に置いてから、前記の洗浄手順を繰り返す。
【0325】
それから乾かされたチップが共焦点レーザースキャナー(GMS418、Afymetrix製)で走査・分析される。走査パラメーターは次の通り:励振波長及び発光波長が532nm及び570nmである。レーザーの強度/ゲインはそれぞれ60/69である。探知された信号がソフトウェアJAGUAR IIにより処理される。平均数値を最後の結果とする。各リアクタの陽性又は陰性結果は添加されたサンプルと一致する。この実施例で、20個のチップは20回の前記のチップテストを経過すると、交差汚染のない同じ結果となる。
【0326】
これと類似して、実施例1−8で製作された他のテスト装置はマルチ露出リアクタでの残留サンプル洗浄、標識液の添加、標識反応起動、残留マーカー洗浄、蛍光走査及び信号分析等に使用できる。
【0327】
本実施例で、流動性低減プロセスは複数のリアクタで実施されることができる(例えば.16−48個のリアクタ)。特に高密度のリアクタ(例えば、リアクタ1個/cmを超える密度のもの).これは常に短い時間(例えば、1−100秒)で、残留サンプルの流動性を大きく低減できる。
【0328】
本実施例での一方向洗浄は複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)に実施されることができる。特に高密度(例えば、リアクタ密度1個/cm以上のもの)のリアクタ。これは常に短い時間(例えば、1−10秒)で、洗浄液の直線速度増加(例えば、ポンプ圧力が5.0kg/cm以上の場合、目標信号が失うことがない。その他、チップの背景がより綺麗になる。背景に標識がある確率が2倍低減する)によって、洗浄効果を大きく強化できる。これによって、交差汚染を制御できる。それにこれ高い重複性によって、自動化ができることになる。
【実施例13】
【0329】
マルチリアクタ・チップでのテスト方法(2)
本実施例で使用されるテスト装置は実施例1−8での装置と同じ。使用されるチップは本実施例11で製作されたマルチリアクタ・チップである。
【0330】
本実施例で、サンプルはスポッティングにより添加される:実施例3で製作されたサンプル付着のスポッティングシステムによって、最適量のPBS 緩衝液で20倍希釈された前記サンプルをマルチ開放リアクタを有する前記分析チップの各リアクタに付ける。本実施例でサンプリングの最適量の決定方法は次の通り:サンプル付着の時、形成する液体材料はリアクタの底部に一定の面積を占める。この面積は反応条件でプローブ領域より2倍大きい。但し、4倍のプローブ領域より小さい。最大の高さが150um 以上であるが、300umより小さい。当実験により証明されたように、実施例11で製作されたマルチリアクタ・チップのサンプリング量が2.5−3.5ulである。
【0331】
本実施例で、スポッティング用先端チップはプローブ領域の中心部及び隣領域へ向く。降下速度として、サンプルの対プローブ領域直線速度が5cm/秒 以上である。
【0332】
それに、本実施例で採用された他の方法及び装置は実施例12と同じ。この中でマルチ開放リアクタを有するチップを使用する。結果も同じ。
【0333】
本発明はマルチリアクタを有するチップの1つのテスト方法を提供する。これでサンプリングの量を最適化できる。実施例12のテスト方法の長所の他、多くの利点(長所)がある。例えば、これのサンプル消費量が少なく、交差汚染のリスクを低減できる。実施例9及び11で製作されたマルチ開放リアクタを有するチップが実施例12及び13の方法でそれぞれテストされると、100テストの内に、前者が後者より交差汚染率が高い。
【0334】
その他、通常のピペットでのサンプリング方法と比べて、本発明のスポッティングによるサンプル付着は平均的感度が良い。
【0335】
本実施例での前記のスポッティングで、サンプルを同時に複数のリアクタ(例えば、16−48個のリアクタ)に添加できる。特に高密度を有するリアクタ(例えば、リアクタ1個/cmを超える密度のもの)。この方法で、サンプルを一定体積、接触面積及び運動量でマルチリアクタに付けることができる。これで、平均感度を向上でき、サンプルの面積及び体積を最小化できる。
【0336】
それに、前記のスポッティング、流動性低減及び一方向洗浄をいずれかの方式で結びつける(例えば、スポッティング及び流動性低減手順、スポッティング及び一方向洗浄又はポッティング、一方向洗浄及び流動性低減手順)と、より良い結果(例えば、より高い効率及び/又は高い安全性)が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0337】
高い集積度、高い効率及び高い感度を有する新しいテスト方法を見つけて、当テスト方法に対応するチップ及びテスト装置を生産するのはマルチリアクタを有するチップの開発にある緊迫した問題である。本発明は便利及び安全の前提の下に、分析チップのテストの高い集積度、高い効率を達成した。この中で、高い集積度はバイオチップのリアクタ密度が高いことを指す。高い効率は複数のリアクタに同じプロセスが当時に実施できることを指す。特に高密度のリアクタ及び短いテスト時間、及び/又は低いコスト、及び/又は頻繁な重複性。安全性はリアクタの間の交差汚染が制御できることを指す。
【図面の簡単な説明】
【0338】
【図1】マルチリアクタ・チップの実施例を示す模式図。
【図2A】排出口8が凸状体に配置されたノズル7の実施例を示す透視図。
【図2B】排出口8が凹陥部に配置されたノズル7の実施例を示す透視図。
【図2C】排出口8が平面に配置された平面ノズル7を示す透視図。
【図3】本発明の用途に用いられるリアクタ洗浄システムを含むテスト装置の異なるシステム間の関係を示す図。
【図4】リアクタ洗浄システムを備えたテスト装置の作動原理を表すブロック図。
【図5A】スポッティング用先端チップ24の固定器を含む、本発明の1つの実施例に基づくサンプルのスポッティングシステムの透視図。
【図5B】さまざまな種類の装着可能なスポッティング用先端チップ26を示す断面模式図。
【符号の説明】
【0339】
1 基板
2 プローブのスポット
3 リアクタパーティション構造
4 リアクタ
5 プローブ領域
6 非プローブ領域
7、21 ノズル
8 排出口
9 サンプル調製システム
10 サンプル装荷システム
11 サンプル反応システム
12 流動性低減システム
13 リアクタ洗浄システム
14 信号読み取りシステム
15 信号分析システム
16 別々の洗浄チャンバー
17 温度/湿度コントローラー
18 圧力ポンプ
19 洗浄液の貯蔵瓶
20 パイプライン
22 排出口通路
23 制御システム
24、26 スポッティング用先端チップ
25 ステム
27 穴
28 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチリアクタ・分析チップのテスト方法であって、
(a)スポッティングによってサンプルを付着させるステップと、
(b)リアクタ内の残留サンプルの流動性を低減するステップと、
(c)前記残留サンプルを有するリアクタの一方向洗浄を行うステップとのうち少なくとも1つを含む、テスト方法。
【請求項2】
前記一方向洗浄を行うステップは、Q個の別々の液体をそれぞれN個のリアクタに付着することを含み、これによって前記残留サンプルは前記リアクタから洗い流され、(a)Q≧N≧2で、かつ、(b)前記Q個の液体はそれぞれ前記N個のリアクタにほぼ同時に付着する、請求項1に記載のテスト方法。
【請求項3】
前記液体は、直線速度1−1000cm/秒で前記リアクタに到達する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流動性を低減するステップは、
(a)前記残留サンプルの粘性を増加させること、
(b)前記残留サンプルに流動性を低減する添加剤を添加すること、及び
(c)吸水物質によって前記残留サンプルの粘性を低減すること
のうち少なくとも1つを含む、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルをスポッティングするステップは、接触スポッティングをすることを含む、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
(a)前記リアクタにスポットされる前記サンプルの直線速度は0.1cm/秒を超え、及び/又は、
(b)前記接触スポッティングによって形成されるサンプルのスポットは、前記リアクタのプローブ領域の面積の1.5ないし5.0倍の前記リアクタ上の面積を覆う、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基板と、該基板に固定化されたプローブスポットと、前記基板に連結されたリアクタのパーティション構造とを少なくとも含む、マルチリアクタ・分析チップであって、
(a)前記パーティション構造の少なくとも一部は1mm未満の高さであり、かつ、
(b)前記パーティション構造は、前記基板の表面より疎水性及び疎油性が高い表面を有する疎水−疎油性構造を含む、マルチリアクタ・分析チップ。
【請求項8】
(a)前記疎水−疎油性構造の表面は、前記基板の表面よりも水の接触角が40度大きく、かつ、
(b)前記疎水−疎油性構造の表面は、前記基板の表面よりも油の接触角が10度大きい、請求項7に記載の分析チップ。
【請求項9】
前記疎水−疎油性構造は疎水−疎油性材料を含む、請求項7又は8に記載の分析チップ。
【請求項10】
前記疎水−疎油性材料は、疎水−疎油性有機材料及び/又は疎水−疎油性ナノ材料を含む、請求項9に記載の分析チップ。
【請求項11】
基板と、該基板に連結されたリアクタのパーティション構造とを少なくとも含む、複数のセルを有する基板であって、
(a)前記パーティション構造の少なくとも一部は1mm未満の高さであり、
(b)前記パーティション構造は、請求項7ないし10に記載のいずれかのパーティション構造である、複数のセルを有する基板。
【請求項12】
基板と、該基板に固定化されたプローブスポットと、前記基板に連結されたリアクタのパーティション構造とを少なくとも含む、マルチリアクタ・分析チップであって、
(a)前記パーティション構造の少なくとも一部は1mm未満の高さであり、
(b)前記リアクタは、非プローブ領域と、最小の面積を有するプローブ領域とを含み、かつ、
(c)前記パーティション構造の少なくとも一部は、前記基板の表面より疎水性が高い表面を有する、マルチリアクタ・分析チップ。
【請求項13】
(a)前記最小の面積は、4.0mm未満であり、前記非プローブ領域の面積より小さく、
(b)前記パーティション構造の最も高さが低い部分の高さの範囲は、0.01mmから0.80mmであり、及び/又は
(c)前記パーティション構造の表面は、前記基板の表面より水の接触角が40度大きい、請求項12に記載のマルチリアクタ・分析チップ。
【請求項14】
(a)前記最小の面積は1mm未満であり、及び/又は
(b)前記プローブ領域のプローブスポットの密度はプローブスポット9個/mmである、請求項13に記載の分析チップ。
【請求項15】
前記プローブ領域の面積と、前記パーティション構造の高さと、前記水の接触角とは、前記チップが360度回転するとき、前記プローブ領域に付着した水性サンプルが前記リアクタのいずれにもこぼれ出さないやり方で決定される、サイトカイン13又は14に記載の分析チップ。
【請求項16】
前記パーティション構造は、
(a)前記基板の表面よりも水の接触角が20ないし59度大きい表面を有する疎水性構造、
(b)前記基板の表面よりも水の接触角の大きさが60度大きい表面を有する長疎水性構造、及び/又は
(c)請求項7ないし10いずれか1つに記載の疎水−疎油性構造を含む、請求項12ないし15のいずれか1つに記載の分析チップ。
【請求項17】
請求項7ないし10及び12ないし16のいずれか1つに記載の分析チップを含むキット。
【請求項18】
請求項1ないし6のいずれかに記載のマルチリアクタ・分析チップのテスト方法用のテスト装置であって、
(a)前記一方向洗浄のための一方向洗浄システム、
(b)前記残留サンプルの流動性を低減するための流動性低減システム、及び/又は
(c)前記スポッティングによるサンプル付着のためのサンプルスポッティングシステムを含む、テスト装置。
【請求項19】
前記一方向洗浄システムは、Q個の液体が作成されるQ個の排出口を有するノズルを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
(a)前記リアクタに到達する前記液体の直線速度は1−1000cm/秒であり、
(b)前記排出口の直径は0.1−1.0mmであり、
(c)前記ノズル上の前記排出口の密度は、排出口1個/cmであり、
(d)前記別々の液体と、前記プローブ領域との間の時計回りの角度は、1−179度であり、及び/又は
(e)前記排出口のいずれかと、これに最も近い前記リアクタのプローブ領域との間の距離は0.1−10.0cmである、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記流動性を低減するシステムは、
(a)前記残留サンプルの粘性を増大するために用いられる、温度制御システム及び又は湿度制御システムと、
(b)前記流動性を低減する添加剤を前記残留サンプルに添加するための装荷システムと、
(c)吸水材を含む吸水システムとのうち少なくとも1つからなる、請求項18ないし20のいずれか1つに記載の装置。
【請求項22】
前記サンプルスポッティングシステムは、1個または2個以上の接触スポッティングチップを含む、請求項18ないし21のいずれか1つに記載の装置。
【請求項23】
光学信号検出システムを含み、
(a)該検出システムは、検出されるチップのバックグランド領域に、光を放射及び/又は反射する構造を含むバックグランド信号増強システムを含み、及び/又は
(b)前記検出システムは、前記検出されるチップのバックグランド領域に、光を吸収する構造を含むバックグランド信号減衰システムを含む、請求項18ないし22のいずれか1つに記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2008−506959(P2008−506959A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521771(P2007−521771)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000412
【国際公開番号】WO2006/007773
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(507020587)チェングドゥ クアチャング メディカル インダストリアル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】