説明

マルチワイヤー配線板の製造方法

【目的】マルチワイヤー配線板の布線性の向上を目的とする。
【構成】長さが2.54mm以下の絶縁電線は、それより長い絶縁電線よりも先に布線すること。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、必要な配線に絶縁電線を用いた配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のマルチワイヤー配線板の絶縁電線布線順序は、コンピュータにより設計された順番に配線するだけで、配線の順序に優先順位は存在しなかった。布線性を改善するものとして、特開昭60−187096号公報に示されているように、直角方向布線を基本布線格子より移動させることにより4交点を避ける方法がある。また、配線板の構造から接続信頼性を向上させるものとして、特開昭63−195号公報に示されるように、絶縁電線をスルーホールを用いずに表面パターンと接続することで、熱応力を加えず接続信頼性を向上させる方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開昭60−187096号に示される方法は、クロストークを低減しながら4重交点を防ぐ布線方法であり、接続信頼性を向上するためのものではない。一方、特開昭63−195号は、金属箔と絶縁電線を溶接する際に、絶縁電線の絶縁層を化学的または機械的に削除する必要があり、量産性に欠け、また布線性が向上するものではない。本発明は、布線性の向上を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、接続信頼性を調査してきた結果、図2に示す接続方法が最も接続信頼性が低いことがわかってきた。つまり、2.54mm格子に存在するスルーホールを長さ2.54mmの絶縁電線で布線し、絶縁電線の下に他の絶縁電線が少なくとも1本存在する場合に、接続信頼性は最も低下すること。また、2.54mmの次に短い絶縁電線は2倍の5.08mmとなるが、その長さでは接続信頼性は全く低下しないことである。これらの知見から、本発明をなすことができた。すなわち、本発明のマルチワイヤー配線板の製造法は、布線性を改善するために、長さが2.54mm以下の絶縁電線は、それより長い絶縁電線よりも先に布線することを特徴とする。
【0005】
【作用】本発明により、長さ2.54mm以下の絶縁電線の下に他の絶縁電線が存在しないようにすることで、接続信頼性を大幅に向上させたマルチワイヤー配線板を得ることができる。
【0006】
【実施例】次に、このマルチワイヤー配線板の製造工程について簡単に説明すると、絶縁板上に形成された銅箔をエッチングにより、電源、グランド層を形成し、その両面にプリプレグを重ねて加熱加圧して、さらにその両面に接着剤層を形成し、NC制御布線機を用いて絶縁電線を布線する。その時、2.54mm以下の絶縁電線を他の絶縁電線より先に布線する。そして、プリプレグを両面に重ね、加熱加圧したあと、NCドリルマシンで穴あけを行い、無電解めっきにより穴内を金属化してスルーホールを形成し、絶縁電線とスルーホールの電気的接続を行う。図1において、スルーホール3とスルーホール4の距離は2.54mmであり、絶縁電線1により電気的に接続している。また、絶縁電線2は絶縁電線の縦断面である。
【0007】
【発明の効果】本発明により、図2に示すように、2.54mm以下の絶縁電線の下に、少なくとも1本の他の絶縁電線が存在した場合、MIL−107試験において、接続信頼性は100サイクルであるが、本発明による図1のように、2.54mm以下の絶縁電線の下に他の絶縁電線が存在しない場合、MIL−107試験による接続信頼性は300サイクルへ向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すマルチワイヤー配線板の断面図である。
【図2】従来のマルチワイヤー配線板の断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁電線 2 絶縁電線
3 スルーホール 4 スルーホール
5 絶縁板 6 絶縁層
7 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁基板上に形成された接着剤層上に絶縁電線を布線し、接続を必要とする個所に絶縁電線を切断するように穴を開け、前記穴内を金属化してスルーホールを形成し、絶縁電線とスルーホールを電気的に接続するマルチワイヤー配線板の製造方法において、長さ2.54mm以下の絶縁電線をそれより長い絶縁電線よりも先に布線することを特徴とするマルチワイヤー配線板の製造方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【公開番号】特開平5−160569
【公開日】平成5年(1993)6月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−326257
【出願日】平成3年(1991)12月11日
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)