説明

マルチワイヤ配線板の製造方法

【目的】 絶縁被覆ワイヤが正確に布線され、かつ接着層にボイドが発生しないマルチワイヤ配線板の製造方法を提供する。
【構成】 マルチワイヤ配線板の製造方法において、接着層に絶縁被覆ワイヤを布線する際に、接着層の材料として無溶剤でかつ光硬化樹脂を含む材料を用い、布線後接着層を部分的に硬化させ、加熱プレスによってボイドを除去した後、接着層を完全に硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は絶縁被覆金属ワイヤを導体回路に用いたマルチワイヤ配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】予め導体回路を形成した基板、又は絶縁板上などに接着層を設け、導体回路形成のための絶縁被覆ワイヤを布線、固定して得られた多層配線板の層間をめっきされたスルーホールによって電気的に接続するマルチワイヤ配線板は特性インピーダンスの整合やクロストークの低減に有利なプリント配線板として知られている。
【0003】近年、マルチワイヤを含むプリント配線板は高密度実装に対応するため、高多層、微細化が進んでいる。この高多層、微細化をマルチワイヤ配線板で行う場合、ワイヤの位置精度が極めて重要である。すなわち、ワイヤが布線、あるいは布線後の工程で動かないようにすることが必要であり、特公平1−33958号に記載されているように、ワイヤを布線するために従来の熱硬化型に対し、光硬化型の接着層を設け、該接着層にワイヤを押し込んで布線したあと、ワイヤ布線部分の付近に局部的に光照射を行って布線済の部分を硬化させる方法が提案されている。また、特開昭62−20579号公報には、上記光硬化型の接着層材料組成物が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】絶縁被覆ワイヤを布線し、正確に固定する方法として上述した公知例があるが、光硬化型の接着層上に布線したあと、布線部分に光照射を行って接着層を硬化させてしまうと、接着層内にボイドが残ってしまうという問題が生じる場合がある。このボイドは空気、あるいは接着層に残存する溶剤に起因する。このようなボイドがあると、スルーホールショートを引き起こしたり、耐電食性を低下させる原因となる。特に微細回路を形成する場合には大きな問題になる。このように従来技術ではワイヤを正確に布線することと、ボイドをなくすこととの両立を図ることが難しい問題があった。
【0005】本発明は絶縁被覆ワイヤを正確に布線し、かつ接着層にボイドが発生しないマルチワイヤ配線板の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は予め導体回路を形成した基板、又は絶縁板上に絶縁被覆ワイヤを布線、固定するための接着層を設け、次いで絶縁被覆ワイヤを該接着層上に布線、固定した後、絶縁被覆ワイヤ上にオーバーレイ層を形成して多層配線板を作製し、得られた多層配線板の必要箇所に穴をあけてスルーホールを形成し、多層配線板のスルーホール及び必要に応じて表面にめっきを行って導体回路を形成するマルチワイヤ配線板の製造方法において、前記接着層に実質的に溶剤を含まず、かつ少なくとも光硬化性材料又は光硬化性材料と熱硬化性材料を含む接着材料を用い、かつ必要に応じて布線に先立ち、接着層を完全に硬化するには不十分な量の光を照射して接着層の部分硬化を進め、かつ布線後に更に完全に接着層を硬化させるには不十分な量の光を照射して接着層の部分硬化を進めるか、又は光硬化、熱硬化併用系では光硬化性材料を完全に硬化させ、次いでワイヤが布線された基板を加熱プレスして熱硬化性材料を含む場合は熱硬化性材料を硬化させ、更に必要に応じて光を照射して光硬化性材料をほぼ完全に硬化させて、該絶縁ワイヤを接着層に固定させるところに特徴がある。
【0007】本発明においては、接着層を完全に硬化させない状態で絶縁被覆ワイヤを布線し、布線後、ワイヤが布線された基板を加熱プレスすることにより、接着層のボイドが発生しないようにしたものである。このワイヤの布線、固定の方法としては具体的には次の3つの方法がある。
【0008】(1)接着層に実質的に溶剤を含まない光硬化型接着材料を用い、かつ絶縁被覆ワイヤを布線した後、接着層が完全に硬化するには不十分な量の光を接着層に照射して接着層の部分硬化を進め、次いでワイヤが布線された基板を加熱プレスした後、接着層に再度光を照射して接着層を完全に硬化させて該絶縁被覆ワイヤを固定させる方法。
【0009】(2)接着層に実質的に溶剤を含まない光硬化性材料と熱硬化性材料とを併用した接着材料を用い、かつ絶縁被覆ワイヤを布線した後、接着層に光を照射して光硬化材料を完全に硬化させた後、ワイヤが布線された基板を加熱プレスして熱硬化性成分を硬化させて該絶縁ワイヤを固定させる方法。
【0010】(3)接着層に実質的に溶剤を含まない光硬化性材料と熱硬化性材料とを併用した接着材料を用い、かつ該絶縁ワイヤを布線した後、接着層に光硬化性材料を完全に硬化させるには不十分な量の光を照射して接着層の部分硬化を進め、次いでワイヤが布線された基板を加熱プレスして熱硬化性材料を硬化させた後、更に光を接着層に照射して光硬化性材料を完全に硬化させて該絶縁被覆ワイヤを固定させる方法。
【0011】いずれの方法においても絶縁被覆ワイヤを布線するに先立ち、接着層中の光硬化性材料が完全に硬化するには不十分な量の光を接着層に照射して接着層の部分硬化を進める工程を設けることができる。
【0012】本発明を図1を用いて説明する。まず図1のAは電源、グランドなど導体回路の層を予め設けた状態を示す。1は絶縁板、2は内層銅回路である。この回路は銅張積層板をエッチングして作る公知の方法で形成できる。また、この内層回路を必要に応じて多層若しくは全くなくすることもできる。
【0013】図1のBはアンダーレイ層3として絶縁層を形成した図である。これは耐電食性を向上させたり、インピーダンスを調整したりするために設けられるが、必ずしも必要としない場合がある。このアンダーレイには通常のガラスクロス入りのBステージプリプレグ、あるいはガラスクロスを含まない樹脂が用いられる。必要に応じて硬化、あるいはプレスによる硬化などを行う。
【0014】次に、図1のCに示すように、絶縁被覆ワイヤを布線、固定するための接着層4を形成する。この接着層には布線時に実質的に溶剤を含まないことが要求される。接着層中の溶剤の許容量は接着層を形成する組成にもよるが、一般には1%以下が要求される。これにより最終的に接着層中に残存するボイドをなくすことができる。この接着層はフィルムあるいはインク印刷によって形成される。この接着層には少なくとも光硬化性材料若しくは光硬化性材料と熱硬化性材料とを併用した接着材料が用いられる。例えば、光硬化性材料としてはポリアクリレートあるいはポリメタクリレートなどとベンゾフェノンなどの開始剤、あるいはエポキシ樹脂とエポキシ樹脂をカチオン重合させるための光重合開始剤がある。熱硬化性材料としてはエポキシ樹脂と及びその重合開始剤などが用いられる。更に布線性や取扱い性を良くするために、ポリビニルブチラールなどの可撓化剤、粘度調整のためのフィラー類などを含むことができる。光硬化のための光源は可視、UVなどが適している。熱硬化性材料を含む場合には接着材料中に熱硬化性樹脂中の官能基と当量程度の硬化剤が含有されていることが好ましい。
【0015】次に図1のDに示すように、絶縁被覆ワイヤを布線する。この布線は一般に布線機により超音波振動などを加えながら加熱して行う。これにより接着層が軟化して接着層中に埋め込まれる。しかし、接着層の粘度が低過ぎると、布線後にワイヤの残存応力のためにワイヤが動いてしまい十分な精度が得られない場合がある。このときは予め光を照射して、布線に適した粘度、硬さまでに反応を進めることができる。ここでは光硬化反応を途中で停止させることが必要である。このため、光の照射量をコントロールすることが必要となる。このようなコントロールは熱によって行うよりは光によって行う方がはるかにコントロールしやすい。、時間的にも光の方が短い時間ででき、有利である。
【0016】布線のためのワイヤは同一平面上に布線、クロスさせてもショートしないように絶縁被覆されたものが用いられる。ワイヤ芯材は銅で、その上にポリイミドなどで被覆したものが用いられる。また、ワイヤ〜ワイヤ間の交叉部の密着力を高めるために絶縁被覆層の外側に、更にワイヤ接着層を設けることができる。このワイヤ接着層には熱可塑、熱硬化、光硬化タイプの材料が適用できる。
【0017】布線を終了した後、ワイヤの移動、動きをなくすために接着層に光照射を行い、接着層の硬化を進める。このとき硬化が進みすぎると、ボイドの残留が生じ、問題となる。また硬化が不十分すぎると十分なワイヤの固定ができない。このため、熱硬化性材料を含まない光硬化性材料で完全に光硬化を行わせるには不十分な量の光照射を行うことが必須である。この量は材料の種類によって異なるので、それぞれの材料で最適値を得る必要がある。
【0018】ただし、熱硬化性材料を併用する場合は、光硬化性材料をほぼ完全に硬化させても熱硬化性材料が未硬化のまま残り、接着層全体としては十分な硬化状態に至らないようにコントロールすることが可能である。これによりワイヤの固定を十分に行いつつ、後の工程でボイドの残留を防止することができる。
【0019】光により部分的に硬化を行ったのち、ワイヤが布線された基板を加熱プレスする。ここで接着層内に残存していたボイドを除去する。接着層中のボイドは布線時にワイヤを超音波加熱しながら布線するときに生じたりするので、加熱プレスによるボイド除去が不可欠となる。この加熱プレスと同時に熱硬化性材料を含む場合は熱硬化性材料を硬化させる。加熱プレス後、必要に応じて十分に光を照射して光硬化性材料をほぼ完全に硬化させる。
【0020】次に図1のEに示すように布線したワイヤを保護するためのオーバーレイ層が設けられる。このオーバーレイ層は通常の熱硬化、光硬化の樹脂、あるいはガラスクロスを含む樹脂からなるプリプレグなどが適用され、最終的に硬化する。工程短縮などのため、前述の加熱プレスをオーバーレイ層形成と同時に行うこともできる。この場合、オーバーレイ層形成後、必要に応じてオーバーレイ層を通して光を照射し、接着層の光硬化性材料を硬化させることができる。
【0021】次に図1のFに示すように穴あけを行った後、スルーホールめっきを行い、マルチワイヤ配線板を完成させる。ここで、穴あけ前にオーバーレイ層形成と同時、あるいはオーバーレイ層形成後、プリプレグを介して表面に銅箔などを貼りつけ、表面回路付のマルチワイヤ配線板を製造することもできる。また、本発明のバリエーションとして従来から知られているマルチワイヤ配線板、例えばブラインドホール付のマルチワイヤ配線板等を製造することができる。
【0022】
【作用】本発明はワイヤを布線、固定するための接着層内にボイドが残留するのを防ぎ、かつワイヤの動きを抑制するところが重要である。このため、無溶剤でかつ光硬化性材料を含む接着層を適用する。無溶剤系を用いることにより、溶剤によって生じるボイドを極力低減させることができる。また、光硬化性材料は熱硬化性材料に比べて、反応すなわち硬化の度合をコントロールすることが容易なために用いられる。これを用いることによって布線前後での光の照射料をコントロールすることによって必要な硬さ、あるいは粘性をもつ部分的に硬化した接着層を形成することができる。布線後の光照射による部分的硬化後の加熱プレスは溶剤以外に起因するボイド、例えば空気のだき込みによるボイドを除去するために不可欠である。プレス時にボイドが除去できるように、接着層へ流動性を残しておくことが必要である。光硬化性材料と熱硬化性材料を併用する系では、それぞれ別個に硬化反応を進めることができ、光硬化性材料を光の照射量で硬化量をコントロールする場合と同様に制御が容易である。
【0023】
【実施例】次に、以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1(工程1) 両面銅張積層板(日立化成工業製、商品名MCL−E−168)に通常のエッチング法により回路を形成した。次いで、ガラスクロス入りプリプレグ(日立化成工業製、商品名GEA−168)を該基板の両面にプレス、硬化してアンダーレイ層を形成した。
(工程2) 次いで、無溶剤、光硬化タイプの接着層(日立化成工業製、商品名フォテックSR−1300G、75μm)を両面にラミネートして形成した。続いて片面づつポリイミド被覆ワイヤ(日立電線製、商品名ワイヤHAW、銅線の径0.1mm)を布線機により超音波加熱を加えながら布線した。
(工程3) 布線に続いて、高圧水銀灯により、両面に500mJ/cm2 光照射を行い、接着層を部分硬化させた。次いで、該基板をシリコンゴムをクッション材として130℃、30分、20kgf/cm2 の条件で加熱プレスした。ひき続き高圧水銀灯により、両面に3J/cm2の光照射を行って接着層を硬化させた。
(工程4) 次に、ガラスクロス入りプリプレグ(日立化成工業製、商品名GEA−168)を両面に適用しプレス、硬化させてオーバーレイ層を形成した。続いてオーバーレイ層表面にポリエチレンフィルムをラミネートして、必要箇所に穴をあけた。穴をあけた後、ホールクリーニングなどの前処理を行い、更に無電解銅めっき液に浸漬した。30μmスルーホールにめっきを行ったのち、上記ポリエチレンフィルムを剥離し、マルチワイヤ配線板を製造した。
【0024】実施例2実施例1の工程2を次の工程2′のように行った以外は実施例1と全く同様の工程でマルチワイヤ配線板を製造した。
【0025】(工程2′) 次いで、無溶剤、光硬化タイプの接着層(日立化成工業製、フォテック、SR−1300G、75μm)を両面にラミネートして形成した。次に超高圧水銀灯により、500mJ/cm2 を両面に照射して、一部分光硬化を進めた。続いて片面づつポリイミド被覆ワイヤ(日立電線製、商品名ワイヤHAW、銅線径0.1mm)を布線機により、超音波加熱を行いながら布線した。
【0026】実施例3(工程1) 両面銅張積層板(日立化成工業製、商品名MCL−E−168)に通常のエッチング法により回路を形成した。次いで、ガラスクロス入りプリプレグ(日立化成工業製、GEA−168)を該基板の両面にプレス、硬化してアンダーレイ層を形成した。
【0027】(工程2) 次に下記組成の100μm厚フィルムを両面にラミネートして接着層を形成した。
エポキシアクリレート(オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のアク リル酸付加物) 40重量部 フェノキシ樹脂(東都化成製商品名YP−50) 10重量部 エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製商品名EP−828)30重量部 エポキシ樹脂(住友化学製商品名ESB−400T) 20重量部 ポリビニルブチラール(電気化学工業製商品名#5000A)5重量部 シリカ粉末 10重量部 イミダゾール系硬化剤(四国化成製商品名2E4MZ)0.15重量部 ジシアンジアミド 1重量部 光開始剤(チバガイギー製商品名I−651) 6重量部 塩化パラジウム 0.01重量部
【0028】続いてポリイミド被覆ワイヤ(日立電線製、商品名ワイヤHAW、銅線径0.1mm)を片面づつ布線機により超音波加熱を加えながら布線した。
【0029】(工程3) 布線に続いて高圧水銀灯により、両面に4J/cm2 光照射を行った。次いで、該基板をシリコンゴムをクッション材として160℃、60分、20kgf/cm2 の条件で加熱プレスした。
【0030】(工程4) 次に、ガラスクロス入りプリプレグ(日立化成工業製、GEA−168)を両面に適用しプレス、硬化させてオーバーレイ層を形成した。続いて、オーバーレイ層表面にポリエチレンフィルムをラミネートして、必要箇所に穴をあけた。穴をあけた後、ホールクリーニングなどの前処理を行い、更に無電解銅めっき液に浸漬した。30μmスルーホールにめっきを行ったのち、上記ポリエチレンフィルムを剥離し、マルチワイヤ配線板を製造した。
【0031】実施例4実施例3の工程3を次の工程3′のように変えた以外は実施例3と同様の方法でマルチワイヤ配線板を製造した。
(工程3′) 布線に続いて高圧水銀灯により、両面に500mJ/cm2 光照射を行ない、接着層を部分的に硬化させた。次いで、該基板をシリコンゴムをクッション材として160℃、90分、20kgf/cm2の条件で加熱プレスした。ひき続き高圧水銀灯により、両面に3J/cm2 の光照射を行って接着層を硬化させた。
【0032】実施例5実施例3における工程2で、接着層をラミネートした後で高圧水銀灯により、1J/cm2 光照射して部分硬化させてから布線した以外は実施例3と同様の工程でマルチワイヤ配線板を製造した。
【0033】実施例6実施例4の工程2で、接着層をラミネートした後で高圧水銀灯により、800mJ/cm2 の光を照射して接着層を部分硬化させてから布線した以外は実施例4と全く同様の工程でマルチワイヤ配線板を製造した。
【0034】比較例1実施例1の工程2で光硬化タイプの接着層の代わりに熱硬化タイプの接着層(日立化成工業製、接着シート、商品名AS−102)を用い、かつ布線後の光照射を行わなかったこと、並びに加熱プレス条件を160℃、90分、20kgf/cm2 とした以外は実施例1と同様の方法でマルチワイヤ配線板を製造した。
【0035】比較例2実施例1の工程3で、布線に続く高圧水銀灯による500mJ/cm2の光照射を行わなかった以外は実施例1と全く同様の工程でマルチワイヤ配線板を製造した。
【0036】比較例3実施例3の工程3で、布線に続く高圧水銀灯による4J/cm2 の光照射を行わなかった以外は実施例3と全く同様の工程でマルチワイヤ配線板を製造した。
【0037】比較例4実施例1の工程3で、加熱プレスを行わなかった以外は実施例1と全く同様の工程でマルチワイヤ配線板を製造した。
【0038】以上、実施例1〜6、比較例1〜4で製造したマルチワイヤ配線板の布線したワイヤの位置、並びに切断した断面をそれぞれ調べた。その結果、実施例1〜6、並びに比較例4は布線したワイヤの位置が50μm以下のずれであった。特に実施例2、5、6では30μm以下のずれであった。これに対して比較例1〜3のワイヤのずれは200μmを超えている部分があった。また、断面観察の結果、実施例1〜6、並びに比較例2、3にでは接着層にボイドは認められなかった。これに対して比較例1と4には50μm前後の大きさのボイドが接着層10μmの長さ当たり、それぞれ5ケ、30ケ認められた。
【0039】
【発明の効果】本発明により、ワイヤの布線を行うための接着層にボイドを含まず、かつワイヤ動きの少ないマルチワイヤ配線板を製造することができる。また、熱硬化を必要としない接着層では加熱温度を低くすることができるなどで基板の寸法変化を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すマルチワイヤ配線板製造工程の断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す製造工程のフローシトであり、図1の断面図に対応させたものである。
【符号の説明】
1 絶縁板
2 内層銅回路
3 アンダーレイ
4 接着層
5 絶縁被覆ワイヤ
6 オーバーレイ層
7 スルーホールめっき

【特許請求の範囲】
【請求項1】 予め導体回路を形成した基板、又は絶縁板上に絶縁被覆ワイヤを布線、固定するための接着層を設け、次いで絶縁被覆ワイヤを該接着層上に布線、固定した後、絶縁被覆ワイヤ上にオーバーレイ層を形成して多層配線板を作製し、得られた多層配線板の必要箇所に穴をあけてスルーホールを形成し、多層配線板のスルーホール及び必要に応じて表面にめっきを行って導体回路を形成するマルチワイヤ配線板の製造方法において、前記接着層に実質的に溶剤を含まない光硬化型接着材料を用い、かつ絶縁被覆ワイヤを布線した後、接着層が完全に硬化するには不十分な量の光を接着層に照射して接着層の部分硬化を進め、次いでワイヤが布線された基板を加熱プレスした後、接着層に再度光を照射して接着層を完全に硬化させて該絶縁被覆ワイヤを固定させることを特徴とするマルチワイヤ配線板の製造方法。
【請求項2】 絶縁被覆ワイヤを布線するに先立ち、接着層が完全に硬化するには不十分な量の光を接着層に照射して接着層の部分硬化を進める工程を設けることを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤ配線板の製造方法。
【請求項3】 予め導体回路を形成した基板、又は絶縁板上に絶縁被覆ワイヤを布線、固定するための接着層を設け、次いで絶縁被覆ワイヤを該接着層上に布線、固定した後、絶縁被覆ワイヤ上にオーバーレイ層を形成して多層配線板を作製し、得られた多層配線板の必要箇所に穴をあけてスルーホールを形成し、多層配線板のスルーホール及び必要に応じて表面にめっきを行って導体回路を形成するマルチワイヤ配線板の製造方法において、前記接着層に実質的に溶剤を含まない光硬化性材料と熱硬化性材料とを併用した接着材料を用い、かつ絶縁被覆ワイヤを布線し、接着層に光を照射して光硬化材料を完全に硬化させ、次いでワイヤが布線された基板を加熱プレスして熱硬化性材料を硬化させて該絶縁ワイヤを固定させることを特徴とするマルチワイヤ配線板の製造方法。
【請求項4】 絶縁被覆ワイヤを布線するに先立ち、接着層中の光硬化性材料が完全に硬化するには不十分な量の光を接着層に照射して接着層の部分硬化を進める工程を設けることを特徴とする請求項3に記載のマルチワイヤ配線板の製造方法。
【請求項5】 予め導体回路を形成した基板、又は絶縁板上に絶縁被覆ワイヤを布線固定するための接着層を設け、次いで絶縁被覆ワイヤを該接着層上に布線、固定した後、絶縁被覆ワイヤ上にオーバーレイ層を形成して多層配線板を作製し、得られた多層配線板の必要箇所に穴をあけてスルーホールを形成し、多層配線板のスルーホール及び必要に応じて表面にめっきを行って導体回路を形成するマルチワイヤ配線板の製造方法において、前記接着層に実質的に溶剤を含まない光硬化性材料と熱硬化性材料とを併用した接着材料を用い、かつ該絶縁ワイヤを布線した後、接着層に光硬化性材料を完全に硬化させるには不十分な量の光を照射して接着層の部分硬化を進め、次いでワイヤが布線された基板を加熱プレスして熱硬化性材料を硬化させた後、更に光を接着層に照射して光硬化性材料を完全に硬化させて該絶縁被覆ワイヤを固定させることを特徴とするマルチワイヤ配線板の製造方法。
【請求項6】 絶縁被覆ワイヤを布線するに先立ち、接着層中の光硬化性材料が完全に硬化するには不十分な量の光を接着層に照射して接着層の部分硬化を進める工程を設けることを特徴とする請求項5に記載のマルチワイヤ配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平5−75268
【公開日】平成5年(1993)3月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−236235
【出願日】平成3年(1991)9月17日
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)