説明

マルチ凝血試験カートリッジ及びその使用方法

【課題】マルチ凝血試験カートリッジ及びこのようなカートリッジの使用方法を提供する。
【解決手段】一実施例では、カートリッジは、凝血の評価で使用するための使い捨て一回使用カートリッジである。カートリッジは、一つ又はそれ以上の凝血影響物質が各々に入ったチューブ等の多数の容器を含む。これらの容器は、一人の患者の血液試料で使用するのに適した量の物質で予備充填できる。カートリッジは一つ又はそれ以上の容器を含んでいてもよく、これらの容器の各々は、多数の区分又は容積を有する。各区分は、異なる凝血影響物質を収容している。別の実施例では、カートリッジは、患者の凝血状態を変化するのに適した少なくとも一つの凝血影響物質をマルチ凝血試験システムを使用して決定するための方法で使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年12月7日に出願された米国特許出願第11/952,914号の優先権を主張するものである。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0002】
本発明は、全体として、凝血機能が低下したために出血を生じるか或いは逆に異常な血栓が生じる即ち血栓症が生じる患者の医療上の診断及び治療を容易にするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えばヘパリン等の様々な抗凝血物質を血液に投与することによって患者の血液の凝固を抑制することは、当該技術分野で周知である。このような抗凝血物質は、患者の凝血機能を低下する(即ち、医原性凝血障害を生じる)。患者の凝血の抑制は、体外循環を使用する医療手順中、例えば心血管手術用の心肺バイパス、体外式膜型人工肺(ECMO)、人工心臓や大動脈内バルーンポンプ等の心臓補助デバイス、及び血液透析等を含む医療手順等で特に有用である。凝血機能の低下を必要とする医療手順の完了後、多くの場合、患者の血液の凝血機能を回復するのが望ましい。この場合も、抗凝血物質を相殺する例えばプロタミンやヘパリネーゼ等の周知の薬剤を投与することによって、凝血機能が低下した患者の血液の凝血機能を回復することは、当該技術分野で周知である。
【0004】
抗凝血試薬及び/又は凝血試薬の影響又は有効性を試験するためのシステム及び方法が周知である。これらのシステムは、各々が全体に非常に狭い試験を行う。試験は凝血の一つの特徴にだけ行われ、非常に少数の試薬を患者の血液と混合することを必要とする。これらのシステムは、更に、オペレータが試薬のボトルを自動分析器内に配置する(この場合、自動分析器は、試薬をボトルからピペットで吸い出して患者の血液試料又は血漿試料に入れる)か或いは、試薬を手作業で患者の試料に加えることを必要とする。これは、例えば、オペレータが試料を手作業でピペットで血漿に入れた後、手作業で血小板凝集検出器に置く場合のように行われる。凝血影響試薬の導入に自動的ピペットが使用されるか或いはオペレータが手作業でピペットを使用するのかに関わらず、このような試薬は、次々に順次加えられる。各試薬が、大きな多回数用量のバイアル/ボトルから取り出されようと、チューブパックから取り出されようと、オペレータは、試薬を手作業で取り扱い、試薬をシステムのリザーバに個々に送出することが必要とされる。更に、試薬が様々な形態及び温度で、例えば凍結状態、冷凍状態、生の状態、及び凍結乾燥状態で(再水和及び混合及び/又は加熱を必要とする)供給されるため、オペレータが試薬を準備してリザーバに送出するのに必要な時間は長い。
【0005】
更に、このような周知のシステムは、処理が非常に迅速に行われるように設計されている。即ち多くの試験を迅速に行うことができるように、多くの患者用の一つの大きな試薬ボトルを提供するように設計されている。試薬が高価であるため、及び大きなボトルの開封後の棚寿命が非常に短いため、病院では、凝血試験を行わないこと、又は試薬が無駄にならないように、試験を必要とする多くの患者の試料を確保するため、限られた日限で特定の試験だけを行う(研究所に送られた試料を、これらの試料のバッチ試験を一緒に行うために数日に亘って保存する)ことを選択することが多い。更に、血液学デバイスは、多くの場合、大きなボトルに入った試薬が駄目にならないように保持するために冷蔵プラットホーム付きで形成される。
【0006】
更に、人間が関わる要素がシステムに導入された場合には、ヒューマンエラーの危険が付き物である。エラーの危険は、試験回数に従って、及び試験毎に使用される凝血影響試薬の数に従って増大する。このようなシステム及び方法では、特に手術室環境のストレスを受けているオペレータや中央研究所の生産性要件のストレスを受けているオペレータは、正しい種類、濃度、又は量の試薬でリザーバを充填することをし損ねたり、これによって試験結果を危うくする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かくして、凝血物質及び/又は抗凝血物質を試験するための、更に詳細には、患者の血液の試験を行うために多数のこのような物質を送出するための改良された方法及びシステムについての必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例は、以上の必要を満たす。一つの実施例は、凝血の評価で使用するための使い捨て一回使用カートリッジである。カートリッジは多数の容器を含み、これらの容器の各々には、一つ又はそれ以上の凝血影響物質が入っている。これらの物質の量は、患者の一つの血液試料について使用するのに適した量である。特定の実施例では、カートリッジを形成する一つ又はそれ以上の容器は、異なる物質が各々に入った多数の容積を含む。
【0009】
別の実施例は、患者の凝血状態を治療上有効な方法で変化するための少なくとも一つの適当な凝血影響物質を決定するための、多数の試験ウェル及びこれらの試験ウェルと流体連通した多数のポートを含むマルチ凝血試験システムを使用する工程を含む方法である。この方法は、一人の患者で使用するのに適した量の様々な凝血影響物質で予備充填した多数の密封容器を含むカートリッジを提供する工程を含む。所定量の患者の血液を試験ウェルの各々に導入し、カートリッジをポートに連結することによって密封容器を開封し、ポートと流体連通状態に置く。凝血影響物質を試験ウェルに導入し、試験ウェル内での凝血を比較し、患者の治療に適した少なくとも一つの凝血影響物質を決定する。使用されたカートリッジを取り外し、廃棄する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、多数の凝血試験カートリッジを使用するマルチ凝血試験システム(MCTS)の一実施例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例によるマルチ凝血試験カートリッジシステムの斜視図である。
【図3】図3は、マルチ凝血試験カートリッジシステムの別の実施例の斜視図である。
【図4a】図4aは、本発明の一実施例によるマルチ凝血試験カートリッジの夫々の容器の分解斜視図である。
【図4b】図4bは、本発明の一実施例によるマルチ凝血試験カートリッジの斜視図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例によるマルチ凝血試験カートリッジの夫々の容器の分解斜視図である。
【図6】図6は、本発明の一実施例によるマルチ凝血試験カートリッジの夫々の容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の特定の実施例を、同様の構成要素に同じ参照番号を付した添付図面を参照して説明する。本明細書中の「実施例」又は「一実施例」というフレーズは、当該実施例と関連した説明した特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれるけれども、本発明を実施する上で必ずしも必要とされないということを意味する、ということは理解されるべきである。本明細書中の様々な場所に記載された「一実施例では」というフレーズは、必ずしも同じ実施例を指すものではないが、同じ実施例と関連した場合もある。
【0012】
図1を参照すると、2000年9月5日に出願された「マルチ凝血試験システム及びマルチ凝血試験システムの使用方法」という表題の米国特許第6,114,135号と同様の種類のマルチ凝血システム(MCTS)とともに使用した、本発明の一実施例によるマルチ凝血試験カートリッジ140が示してある。出典を明示することにより、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。この特許に詳細に記載されているように、MCTS10は、患者の凝血塊形成機能を改善し又は抑制するための治療として患者に投与するための適当な凝血促進物質又は凝血抑制物質を決定するのに使用される。
【0013】
一般的には、MCTS10は、患者の血液35を収容するためのホルダ15を含む。所定の計測された量の患者の血液35を取り出すため、部分標本メータ(aliquot meter)55がホルダ15と流体連通している。様々なリザーバ95A−Dの各々には、様々な凝血促進物質105A−Dが収容されている。各凝血促進物質105A−Dは、用途に応じて患者の凝血塊形成機能を改善でき又は抑制できる薬剤又は薬剤の組み合わせであってもよい。従って、凝血物質又は抗凝血物質(及び同様の用語)についての言及は、限定を意図したものではなく、両方の種類の物質を使用することは本発明の範疇に含まれるということは理解されるべきである。凝血促進物質の予め選択された等価な用量をリザーバ95A−Dから取り出すため、計量供給メータ115A−Dがリザーバ95A−Dと流体連通している。
【0014】
一実施例では、MCTS10は、更に、各リザーバ95A−Dと対応するウェル75A−D、及び対照標準として機能するベースライン又は標準として未処理の血液35を収容するための少なくとも一つの追加のウェル75Eを含む。これらのウェル75A−Eの各々は、計量された血液試料35を、部分標本メータ55を通して配分されることによって、ホルダ15から受け取る。ウェル75Aは、計量供給メータ115Aを通して、凝血促進物質105Aの計量された用量を受け取り、ウェル75Bは、計量供給メータ115Bを通して、凝血促進物質105Bの計量された用量を受け取り、リザーバ95と対応する追加のウェル75の各々は、ウェル75、リザーバ95、及び計量供給メータ115の数について適当であるように、計量供給メータ115を通して、凝血促進物質105の計量された用量を受け取る。少なくとも一つの追加のウェル75Eは、ホルダ15からの血液35を収容しており、凝血促進物質105は全く加えられていない。この追加のウェル75Eは、対照標準として機能するベースライン又は標準の凝血時間を決定するのに使用される。患者の凝血塊形成機能を改善するための適切な治療は、対照標準試料のベースライン凝血塊形成インジケータ時間(clotting indicator time)を、凝血促進物質105A−Dと混合した患者の血液35の凝血塊形成インジケータ時間 と比較することによって決定される。
【0015】
MSCT10は、更に、凝血検出器125A−Eを含む。これらの凝血検出器125A−Eは、光学式システム又は磁気システム、又は凝血塊の形成を評価するための他のシステム、又は他の凝血塊形成インジケータであってもよい。凝血塊形成の計測は、画像検出器、光学式検出器、磁気検出器、等のデバイスを使用する方法を含むがこれらの方法に限定されない多くの方法で実施でき、計測特性には、医学的に関連した結果が得られるように、ウェル75A−Dで形成された凝血塊を互いに比較できる限り、ファクタレベル、凝血塊形成開始、凝血塊の拡がり、凝血塊の強さ、粘度、濁度測定、電気インピーダンスが含まれるがこれらの特性に限定されない。更に、凝血塊形成評価検出器は、凝血促進物質によって異なっていてもよく、即ち血漿の追加を評価するための凝血塊形成インジケータと比較して、血小板の追加を評価するのに様々な凝血塊形成インジケータを使用してもよい。患者の凝血機能の低下に低体温症が関与しているかどうかを試験するため、MCTS10は、更に、各ウェル75A−E毎に温度制御装置135A−Eを備えていてもよい。
【0016】
本実施例のMCTS10は、リザーバ95A−Dの充填で使用するためのカートリッジ140が設置されるように形成されている。しかしながら、カートリッジ140は、MCTS用の専用の凝血影響物質源でなくてもよいということは理解されるべきである。変形例では、例えば従来のピペット機構(自動機構及び手動機構)を使用してもよい。カートリッジ140は、好ましくは、予備充填された、患者毎に一回使用されるカートリッジ、即ち使い捨てカートリッジである。カートリッジ140は、好ましくは、密封された複数の予備充填された容器、例えば四つの容器140A−Dを含む。四つの容器140A−Dが示してあるけれども、カートリッジ140に含まれる容器の数は幾つでもよいということに着目されるべきである。容器140A−Dは、好ましくは互いに連結され、単一のカートリッジ140を形成する。連結は、例えば、一つ又はそれ以上の連結構造142、144によって行われてもよい。
【0017】
各容器140A−Dは、好ましくは、MCTS10で使用するための様々な個々の凝血促進物質又は凝血抑制物質又はこれらの組み合わせを収容している。容器140A−Dは、更に、凝血機能に影響を及ぼす任意の種類の試薬又は物質(又は組み合わせ)を収容していてもよい。様々な実施例では、凝血影響物質は、以下の三つの範疇、即ち、1)凝血活性化因子又は凝血抑制因子、2)血液製剤、及び3)医薬品に分けられるものと考えられる。凝血活性化因子又は凝血抑制因子の範疇には、組織ファクタ、組織トロンボスラスチン、脳トロンボスラスチン、珪藻土、カオリン、塩化カルシウム、カルシウムグルコネート、プロタミン、ヘパリナーゼ、りん脂質、脳りん脂質、ADP、コラーゲン、ガラスビーズ、セライト、カオリン、セロトニン、フィブリノゲンでコーティングしたガラスビーズ、フィブリノゲンでコーティングしたアルブミンマイクロカプセル、蛋白質でコーティングしたアルブミン微小球、エピネフリン、リストセチン、アラキドン酸、トロンビン、トロンビン受容体作用薬ペプチド(TRAP)、ヘパリン、又はクエン酸ナトリウムが(単独で又は組み合わせて)含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
血液製剤の範疇には、ヒト由来、ウシ由来、ブタ由来、組換型、及び凍結乾燥した血液細胞、及び/又は例えば血小板、低温型沈降物、血漿、第I因子(フィブリノゲン)、第II因子(プロトロンビン)、第III因子(組織トンボプラスチン又は組織因子)、第IV因子(イオン化カルシウム)、第V因子(不安定因子又はプロアクセレリン)、第VII因子(安定因子又はプロコンベルチン)、第VIII因子(抗血友病因子)、第IX因子(血漿トロンボプラスチン成分又はクリスマス因子)、第X因子(スチュアート−プロウアー因子)、第XI因子(血漿トロンボプラスチン前駆体)、第XII因子(ハゲマン因子)、第XIII因子(フィブリン安定因子)、フォンヴィレブランド因子、及びフィブロネクチンを含む蛋白質が含まれるが、これらに限定されない。治療上有効な凍結乾燥血小板は、本発明のカートリッジで使用するのに特に適しているものと考えられる。従来の凝血試験等で現在は使用されていないけれども、有効であると考えられている試験等で、凝血影響物質は冷蔵状態で貯蔵でき、かくして単一のカートリッジに入れておける。治療上有効なこれらの凍結乾燥血小板は、リストセチンコファクター血小板試薬の部分として現在使用されている血小板とは区別される。これは、リストセチンコファクター血小板試薬が、糖蛋白質Ib受容体活性しか顕現しないのに対し、本発明の範囲に含まれる一回使用カートリッジで使用するのに特に適した治療上有効な凍結乾燥血小板は、更に、糖蛋白質IIb/IIIa放出及び分泌機能を顕現するためである。糖蛋白質IIb/IIIa放出及び分泌機能の量は、前記治療上有効な凍結乾燥血小板の製造プロセスによって変化する。カートリッジに入った血液製剤を(多くの他の物質と関連して)使用すること及び多くの試験において、患者の凝血システムを有利な態様で変化するために患者に対して行われるべき最適治療の決定が容易になるということは理解されるべきである。
【0019】
凝血影響医薬品の範疇には、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、酢酸デスモプレシン、アプロチニン、フィブリノーゲンでコーティングしたアルブミンマイクロカプセル、蛋白質でコーティングしたアルブミン微小球、及び遺伝子組換活性化第VII因子(recombinant VIIa)等の組換型凝血因子、又は第VIII因子(抗血友病因子)、アンチインヒビター凝血剤、フォンヴィレブランド因子、第XI因子、第IX因子、第XIII因子、及びフィブリノーゲン等の滅菌/殺菌済凝血因子が(単独で又は組み合わせて)含まれるがこれらに限定されない。凝血影響物質の上掲のリストは、網羅的でなく、凝血に影響を及ぼす限り、この他の物質を使用してもよい、ということは理解されるべきである。更に、こうした物質の各範疇からの物質を、同じ範疇の物質と組み合わせて使用してもよく、一つ又はそれ以上の他の範疇の物質と組み合わせて使用してもよく、任意の数の物質を組み合わせてもよいということに着目されたい。
【0020】
カートリッジ140は、予め充填してあることにより、幾つかの利点を備えている。例えば、一つのカートリッジ140を使用して全てのリザーバ95A−Dを充填するため、カートリッジ140により、リザーバ95A−Dを手作業で充填する必要がなくなる。凝血促進物質又は凝血抑制物質は、代表的には、大きな多用量容器で提供され、開封し室温に露呈した場合には、棚寿命が限られる。その結果、大量の凝血促進物質又は凝血抑制物質が、開封後許容時間内に使用されなかったために、最終的に廃棄されていた。更に、カートリッジ140を使用することにより、各リザーバ95A−Dを個々に充填する必要がなくなり、これにより充填プロセスがはかどり(全てのリザーバ95A−Dを同時に充填することにより)、オペレータがリザーバ95A−Dを不適切に(例えば誤った物質を使用することによって、誤った濃度の物質を使用することによって、又は誤った量の物質を使用することによって)充填することがなくなる。
【0021】
使用では、カートリッジ140を、挿入又は他の態様でリザーバ95A−Dと流体連通状態に置き、容器140A−Dの内容物をリザーバ95A−D内に放出する。次いで、MCTS10によって凝血試験を行う。
【0022】
カートリッジ140は、更に、識別子145を含んでいてもよい。識別子145は、無線周波数識別(RFID)タグ、バーコード、ピンコード、又は他の識別子等の物理的、光学式、又は他の識別手段であってもよい。識別子145は、各容器140A−D又はカートリッジ140全体に収容された一つ又はそれ以上の物質の種類、量、濃度、及び他の特性に関する情報を含むがこれらに限定されない任意の関連した情報を含んでいてもよい。
【0023】
本実施例は、更に、コンピュータ又は他のプロセッサ、及びソフトウェアやファームウェア等で作動する関連したメモリーであってもよいモジュール150を含む。モジュール150は、読取機155並びに部分標本メータ55及び用量メータ115A−Dに接続されている。一般的には、読取機155は識別子145から情報を受け取り、この情報をモジュール150に伝送し、モジュール150は読取機155から受け取った情報及びメモリーに記憶された情報を使用し、部分標本メータ55及び用量メータ115A−Dに制御信号を提供し、適当な量の血液35及び対応するウェル75A−Dの各々の各凝血物質105A−Dを入れる。部分標本メータ55及び用量メータ115A−Dの制御に使用される、メモリーに記憶された情報には、例えば、読取機155から受け取ったカートリッジ140及び/又はカートリッジ140に収容された特定の物質105A−Dを識別する情報を、各ウェル75A−Dに適切な量(及び/又はタイミング)の凝血物質105A−Dを入れる適当な情報と関連する参照表が含まれる。別の態様では、識別子145は、凝血物質105A−D及び/又は血液35をウェル75A−Eにどれ程入れるのかについての指令をモジュール150に直接提供する。特定の実施例では、幾つかの容器を単一のリザーバに挿入でき、又は流体連通できる。同様に、図1には、別個のウェル75A−Dと流体連通した各リザーバ95A−Dが示してあるが、二つ又はそれ以上のリザーバが単一の試験ウェルと連通していてもよい。これによって試験時に物質を組み合わせることができる。このような実施例では、識別子145は、入れられる各物質の量(対応する用量メータ115A−Dに制御信号を提供することにより)や各物質を入れるタイミングについての情報、及び他の関連した情報をモジュール150に提供してもよい。他の実施例では、一つの容器140A−D及び/又はリザーバ95A−Dが多数のウェル75A−Dと流体連通していてもよい。
【0024】
一般的には、米国特許第6,114,135号に更に詳細に記載されているように、特定の凝血促進物質を他の凝血促進物質と様々な速度及び割合で血液と混合する必要がある。従って、モジュール150は、容器140A−Dに収容された凝血促進物質105A−Dの割合及び/又は種類に関する情報を識別子145から受け取ったとき、好ましくは、夫々の用量メータ115A−Dを、これらのファクタを考慮に入れて、例えば一つの用量メータを大きく/小さく開放することによって、又は他の用量メータよりも長く/短く開放することによって、又は一つの用量メータを他の用量メータよりも後に/早期に開放することによって、又は用量メータを他の用量メータよりも頻繁に/少ない回数で開放することによって調節する。モジュールは、用量メータの作動を任意の関連した方法でカスタマイズできるということは理解されるべきである。
【0025】
様々な実施例において、読取機155を、カメラ、自動スキャナ、手動スキャナ、受信アンテナ、又は識別情報の演算処理を行うことができる任意の器具にすることができる。
【0026】
識別子145を単一の識別子として示したが、多数の識別子を使用してもよく、例えば各容器140A−Dと対応する識別子を使用してもよいということは理解されるべきである。従って、対応する数の、又は任意の数の読取機を使用してもよい。
【0027】
更に、識別子及び読取機がない実施例を含むことは本発明の範疇に含まれるということは理解されるべきである。このような実施例では、システムは、手動で制御してもよいし、予めプログラムしてあってもよいし、他の手段で制御されてもよい。
【0028】
カートリッジ140は、リザーバ95に適切に挿入されるように形成されていてもよい。例えば、図1に示すように、容器105A−Dは、互いに非対称に連結されていてもよく、又はこれらの容器140A−D間の間隔が不均等であってもよく、これによってカートリッジ140を一つの位置だけで挿入できる。機能が損なわれない限り、容器140A−Dが確実に適正に設置されるようにするこの他の非対称構成又は他の構造が可能である。
直線的構成のカートリッジ140が示してあるが、容器140A−Dは、円、矩形、多角形、L字形状、平面的構成(例えば多数の列等)を含むがこれらに限定されない任意の他の対称な又は非対称な構成で配置できる。例えば、MCTSは、円形をなして配置された(図示せず)ウェル75A−Dを持つように形成されていてもよい。この場合、カートリッジ140の容器140A−Dは、対応する円形の構成(図示せず)を有する。
【0029】
次に、図2を参照し、予め挿入した状態のマルチ凝血試験カートリッジ140の別の実施例を説明する。カートリッジ140は、円錐形の端部を持つ密封状態の四つの円筒形容器140A−Dを含んでいてもよい。他の実施例と同様に、これらの容器は、立方体や球形等の任意の形状であってもよく、各容器の端部は、例えば円筒形や面取りを施した漏斗状等の任意の形状であってもよいということは理解されるべきである。図示のように、各容器140A−Dは、様々な量の様々な凝血促進物質又は凝血抑制物質105A−Dで又はこれらの組み合わせによって予め充填してあってもよい。各容器140A−Dは、好ましくは、一端がメンブレン205A−Dによって密封されている。
【0030】
容器140A−Dは、安全に且つ衛生的に輸送するために密封してあるけれども、開放することにより、物質105A−Dをリザーバ95A−Dに入れることができる。容器140A−Dの開放は、多くの方法で行うことができるということは当業者には明らかであろう。例えば、本発明では、メンブレン205A−Dは、システムの機能又は物質105A−Dに悪影響を及ぼさない任意の組成のメンブレンであってもよい。メンブレンの組成には、各容器140A−Dの端部に対してシールされる、ポリプロピレン、プラスチック、ワックス、ポリマー、ホイル、及び他の物質が含まれるが、これらに限定されない。メンブレン205A−Dは、形状又は組成が同じであってもよいが、同じでなくてもよい。
【0031】
メンブレン205A−Dは、好ましくは、シリンダ140A−Dをリザーバ95A−Dに挿入した後、又は挿入により、これらのシリンダの内容物を放出するように形成されている。本明細書中に説明したメンブレンは、所望のときに物質を解放できるように、穿刺可能であってもよく、取り外し自在であってもよく、溶解可能であってもよく、又は他の方法で変形可能であってもよいということは理解されるべきである。例えば、図2に示すように、MCTS10のリザーバ95A−Dは、穿刺エレメント210A−Dを持つように形成されていてもよい。各穿刺エレメント210A−Dは、好ましくは、対応するメンブレン205A−Dを貫通し、凝血物質105A−Dをリザーバ95A−Dに入れることができる。穿刺エレメント210A−Dの各々は、オベリスク形状のニードルであってもよく、物質105A−Dをリザーバ95A−Dに迅速に入れることができるように、その側部に沿って溝が設けられていてもよく、又はチップが拡大してあってもよく、又は中空であって様々な穴が設けられていてもよい。穿刺エレメント210A−Dは、物質105A−Dを解放できる限り、ブレード形状等の任意の他の形状であってもよく、任意の長さを備えていてもよい。穿刺エレメント210Cは、メンブレン205A−D(図示せず)を切り開く切断器具や高さ/長さを(識別子145に基づいて)手動で又は自動で調節できる入れ子式エレメント等の機構を含むがこれらの機構に限定されない様々な種類の機構を備えていてもよい。更に、連結構造142もまた穿刺可能なメンブレンであってもよく、穿刺エレメント210A−Dは、凝血物質105A−Dのドレンを容易にするため、連結構造もまた穿刺するような大きさ及び形体を備えていてもよい。幾つかの実施例では、穿刺エレメントは、識別子145によって提供された情報に従って、モジュール150及びモータによって(例えば穿刺エレメントの高さをメンブレンに対して制御することによって)制御されてもよい。識別子145が提供する情報には、穿刺エレメントが容器140A−D及び/又は各容器140A−D内のメンブレンを穿刺する速度、穿刺エレメントが各容器140A−D又はメンブレンを穿刺する時間が含まれるが、これらに限定されない。
更に、容器140A−Dの様々な他の解放方法が可能である。例えば、カートリッジ140をリザーバ95に挿入する前にメンブレン205を引き剥がすことができるように、メンブレン205を取り外し自在可能な接着剤で接着してもよい。別の態様では、穿刺エレメントを使用してメンブレンを各容器140A−Dの上から(例えば構造142を通して)、又は各容器140A−Dの内部から穿刺してもよい。メンブレン205は、様々な形状及び大きさで形成されていてもよく、例えば、全ての容器140A−Dを密封する単一の構造であってもよく(図示せず)、その場合、好ましくは、軟質の延びるプラスチックで形成されるか或いは、シリンダをリザーバに挿入可能にする脆性の壊れ易いプラスチックで形成される。
【0032】
リザーバ95A−Dは、カートリッジの容器を受け入れるためのポート又はソケットとして役立ち、物質を貯蔵するための追加の容積を提供する必要はないということは理解されるべきである。例えば、変形例では、リザーバ95A−Dを使用せずに、カートリッジ140を試験ウェル75A−Dと連通状態に置いてもよい。一つのこのような実施例では、例えば、試験ウェル75A−Dと流体連通した複数のポートを使用し、容器140A−D自体がリザーバとして役立つ。
【0033】
次に図3を参照し、予め挿入した状態のマルチ凝血試験カートリッジ140の変形例を説明する。容器140A−Dの各々は、メンブレンによって互いから分離された複数の様々な量の様々な凝血促進物質又は凝血抑制物質で又はその組み合わせで予備充填されていてもよい。例えば、容器140Aは、メンブレン305A及び310Aを含んでいてもよく、これらのメンブレンの各々は、容器140Aの適当な大きさの区分又は容積を分ける。各区分は、異なる凝血物質315A、320Aで予備充填されている。血小板試薬だけを使用することは、特定の凝血試験については十分でなく、活性化因子(又は抑制因子)及び/又は他の試薬を使用する必要があるということがわかっている。例えば、このような活性化因子及び/又は抑制因子は容器140A−Dに含まれており、容器には血小板も入っている。試験は、一つ又はそれ以上の容器140A−Dの各々で、例えば、活性化因子、試薬、医薬品、及び/又は血液製剤を含む二つ乃至七つの凝血影響物質の組み合わせを使用することが予測される。
【0034】
使用に当たっては、好ましくは、カートリッジ140をリザーバ95A−Dに挿入することにより、容器140A−Dの内容物をリザーバ95A−Dに入れる。これは、好ましくは、内容物を全て、対応するリザーバ95A−Dに入れるため、所与の容器140A−Dのメンブレン305A−D、310A−Dを全て(同時に又は異なる時期に)、対応する穿刺エレメント210A−Dによって、又は何らかの他の機構によって穿刺することによって行われる。
【0035】
次に、図4a、図4b、及び図5を参照し、カスタマイズ可能なマルチ凝血試験カートリッジ140を説明する。概して言えば、マルチ凝血試験カートリッジ140のカスタマイズ可能な容器400は、複数の区分405X−Zから形成されていてもよい。これらの区分は、使用時に、カートリッジ140のオペレータによって、例えば区分405X−Zを互いにスナップ嵌めし、カートリッジの一つ又はそれ以上の容器を形成することによって、互いに組み立てられてもよい。(一つの容器400しか示してないけれども、カートリッジは、このような容器を多数含んでいてもよく、このような容器は、例えば組み立て済の容器が挿入されるホルダ450によって互いに連結される。)組み立てに続き、カートリッジ140をリザーバ95A−Dに挿入する。これにより、複数の区分のシールが除去され(例えば、上文中に説明した穿刺エレメントによって)、 区分405X−Zの内容物が夫々のリザーバ95A−Dに入れられる。別の態様では、区分405X−Zの組み合わせによって形成された容器を、互いに何らかの方法で連結せずに、ポート、リザーバ、又はホルダに直接的に挿入してもよい。カスタマイズ可能なマルチ凝血試験カートリッジの容器を形成する上で、任意の数の区分405を使用してもよいということに着目されるべきである。
【0036】
図4aに概略に示すように、カスタマイズ可能なマルチ凝血試験カートリッジの一実施例では、予備充填された区分405X−Zの各々は、好ましくは、所与の直径を持つ主チャンバ即ち上チャンバ410X−Zと、直径が比較的小さい第2チャンバ即ち下チャンバ415X−Zとを含む。上チャンバ410X−Zは、一端がメンブレン420X−Zによってシールされており、第2端が第2メンブレン425X−Zによってシールされており、これによって凝血物質/抗凝血物質用の容積を形成する。一つの区分405Xの下チャンバ415Xは、好ましくは、別の区分405Yの上チャンバ410Yにぴったりと挿入されるように大きさ及び形体が定められている。これによって、これらの二つの区分405X、405Yは、例えば上チャンバ410Yの壁の内側にぴったりと嵌まることによって、互いに連結される。下チャンバ405Xを上チャンバ410Yに挿入すると、第2区分405Yのメンブレン420Yも破られる。
【0037】
図4bに概略に示すように、容器の頂部が開放している(例えば、シールを取り外した後)場合又は穿刺可能なメンブレンが設けられている場合、オペレータは、区分405Xをカートリッジ140の容器140aにスナップ嵌めすることによって、カスタム化したマルチ区分容器140Aを形成する。使用にあたっては、リザーバ(図示せず)の穿刺エレメントは、このようなカスタム化したマルチ区分容器140Aの全てのメンブレンを通して穿通するのに十分に長い。
【0038】
図5に概略に示すように、カスタマイズ可能なマルチ凝血試験カートリッジの予備充填された区分505は、図4Aの区分とほぼ同様に形成されているが、上チャンバ510が、第1メンブレン520によって、その長さに沿って(その端部でなく)シールされており、一端が第2メンブレン525によってシールされており、チャンバ510の壁が、メンブレン520を越えて延びている。かくして、メンブレン520、525によって、物質530を収容するための容積が形成される。その結果、図4a及び図4bを参照して上文中に説明した方法で一つの区分505を別の区分に連結してもメンブレン520は破られず、かくしてチャンバ510の内容物が漏れ出す危険が低下する。穿刺エレメントは(上文中に説明したように)、リザーバに挿入したときにメンブレン520、525を穿刺するのに使用される。
【0039】
図4a、図4b、及び図5の様々な予備充填区分の連結を、これらの区分を互いに嵌着することによる機械的連結として説明したけれども、任意の他の連結方法を使用してもよいということは理解されるべきである。例えば、これらの区分は、接着、螺合、溶接、又は他の方法で固定されてもよい。予備充填区分の構造は、連結を行う上で選択された方法に従って調節されてもよい。例えば、連結機構として螺合が選択された場合には、区分505は、メンブレン520を越えて延びる上チャンバ510の壁の内側にねじ山が設けられ、対応するねじ山が下チャンバ515の外側に設けられるように形成されるのがよい。更に、オペレータでなく製造者によって螺合が行われる場合には、区分505毎に使用されるメンブレン525が一つになり、製造費が低減される。他の実施例では、各区分は、下メンブレン(例えば、525、425X−Z)しか備えていない。その結果、区分は物質によって充填され、その上に他の区分を連結したときに他の区分のメンブレンによってシールされる。図4a、図4b、及び図5のメンブレンは、ポリプロピレン、プラスチック、ワックス、ポリマー、ホイル、及び他の材料等の適当な形体をとってもよい。
【0040】
次に、図6を参照し、マルチ凝血試験カートリッジの別の実施例を説明する。例示及び説明を容易にするため、カートリッジの一つの容器605しか示してない。一般的には、カートリッジの容器605は、カートリッジ140の容器605の内容物を決定するため、モジュール150(図1参照)によって使用されるように、対応するリザーバ650に嵌着するように形成されている。例えば、各容器の外周には、好ましくは、一つ又はそれ以上の突出部又は他のインジケータ615を持つストッパ部材610が設けられている。カートリッジは、容器内の物質の特徴を識別するものとして突出部615の構成が使用されるように製造されてもよい。例えば、単一の突出部615はヘパリンを示し、二つの突出部615又は位置が異なる突出部615はプロタミンを示す。各リザーバは、好ましくは、容器605の部材610及び突出部615を受け入れるための複数のセンサ660A−Dを備えたカラー655を含む。使用では、カートリッジ140の容器605をリザーバ650に挿入するとき、ストッパ610が、好ましくは、カラー655に嵌まり、一つ又はそれ以上の突出部615が、好ましくは、センサ660A−Dを収容した複数の凹所に嵌まり、特定の位置がセンサ660A−Dによって検出され、接続部665によってモジュール150に伝送される。センサ660A−Dは、どのような形態をとってもよく、例えば突出部615によって閉じられる電気ラッチの形態をとってもよい。その後、モジュール150は、例えば部分標本メータ55及び用量メータ115A−Dを調節することによって、自動試験システム10の作動をこれに従って調節する。
【0041】
更に別の実施例では、挿入前に容器140A−Dの内部でカートリッジ容器の内容物の混合が行われる。これは、任意の多くの方法で、例えば、物質(例えば図3の315A及び320A)に金属球やプラスチック球等の好ましくは不活性の固体(図示せず)を入れ、カートリッジを振ることにより固体がメンブレン(例えば305A)を破り、容器の内容物を混合することによって行われてもよい。小さな固体は、メンブレンを誤って破ったり、物質の流れを妨げたりしないような大きさ及び形状を備えている。
【0042】
他の実施例では、カートリッジは、予備充填容器のキットの形状を備えていてもよい。例えば、キットは、異なる凝血影響物質が入った四個の密封された予備充填された容器が入ったボックスとして販売されてもよい。これらの個々の容器を、マルチ凝血試験システムのリザーバ又はポートに個々に挿入してもよく、又は最初にホルダに挿入し、容器をカートリッジに一緒に連結し、カートリッジに関して上文中に説明したのと同じ方法で使用してもよい。キット内の容器の構造、内容物、及び数は変化してもよく、これらの容器は、カートリッジの容器に関して上文中に説明した任意の構造を備えていてもよいということに着目されるべきである。
【0043】
本明細書中に記載したカートリッジは、任意の適当な材料から、任意の適当な方法で製造されてもよい。例えば、カートリッジの形状を持つ金型を提供し、この金型を液体ポリマーで充填した後、ポリマーを乾燥させることによって、メンブレンを持つカートリッジを形成してもよい。成形後、本明細書中に説明したように、カートリッジの各区分を必要な凝血促進物質又は凝血抑制物質で充填してもよい。充填を容易にするため、カートリッジの各容器にベントを形成し、次いでこのベントを通して充填を行ってもよい。充填後、溶融、ワックスシーリング、又は任意の他の方法によってベントを塞ぐ。
【0044】
カートリッジは、更に、区分をなして製造されてもよい。例えば、金型で各中空区分を形成してもよい。その後、メンブレンを区分の一方の側に接着した後、区分を必要な物質で充填し、最後に別のメンブレンで閉鎖するか或いは次の区分に直列をなして取り付ける。次いで、これらの区分を互いに連結して容器を形成し、これらの容器を互いに連結してカートリッジを形成する。
【0045】
カートリッジ140、容器140A−D、区分405X−Z及び505、及びリザーバ95A−Dは、プラスチック、ガラス、ポリマー、及び他の材料を含むがこれらに限定されない任意の適当な材料で形成されていてもよいということに着目されたい。
【0046】
以上の説明及び添付図面は、本発明の特定の実施例を示すけれども、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な追加、変更、及び交換を行ってもよいということは理解されよう。詳細には、本発明は、他の特定の形態、構造、構成、割合で、他のエレメント、材料、及び構成要素を備えて、本発明の精神及び要旨から逸脱することなく実施してもよく、本明細書中に説明した実施例の様々な特徴を様々な方法で組み合わせてもよいということは当業者には明らかであろう。本発明は、本発明を実施する上で使用される構造、構成、割合、材料、及び構成要素等に、本発明の原理から逸脱することなく、特定の環境及び作動要件に特に適合した多くの変更を行って使用してもよいということは当業者には理解されよう。更に、本明細書中に説明した特徴は、単独で、又は互いに又は他の特徴と組み合わせて使用してもよい。従って、本明細書中に開示した実施例は、全ての点に関し、例示であって限定ではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって表されており、以上の説明に限定されない。
【符号の説明】
【0047】
10 マルチ凝血試験システム(MCTS)
15 ホルダ
35 患者の血液
55 部分標本メータ
75A−D ウェル
75E 追加のウェル
95A−D リザーバ
105A−D 凝血促進物質
115A−D 計量供給メータ
125A−E 凝血検出器
135A−E 温度制御装置
140 マルチ凝血試験カートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血液の評価で使用する前に、一人の患者の血液中の凝血の評価で多数のポートを有するマルチ凝血試験システムで使用するための使い捨て一回使用カートリッジにおいて、該カートリッジは、
多数の容器を含み、各容器は、
少なくとも一つの凝血影響物質であって、該少なくとも一つの凝血影響物質が、治療的に有益な仕方で患者の凝結状態を改変するのに使用するのに適切であるかどうかを決定するために一人の患者の凝血の評価することで使用するのに適した量の少なくとも一つの凝血影響物質を含み、前記容器の一つの中の凝血影響物質は、少なくとも一つの他の前記容器の中の凝血影響物質と異なっており、
変形可能なシールを有し、該変形可能なシールは、前記少なくとも一つの凝血影響物質が容器内に収容される閉鎖形態と、前記カートリッジが前記マルチ凝血試験システムと結合され、前記容器が前記凝血試験システムのポートの少なくとも一つと流体連通し、患者の血液の凝血を評価するために前記少なくとも一つの凝血影響物質を前記容器から取り出すことができる開放形態とを有する、カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、
前記変形可能なシールのうちの少なくとも一つが取り外し自在のシールである、カートリッジ。
【請求項3】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、
前記変形可能なシールのうちの少なくとも一つが穿刺可能なメンブレンである、カートリッジ。
【請求項4】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、
前記容器は、直線状構成、円形構成、矩形構成、多角形構成、L字形状構成、平面的構成、及び多列容器構成から選択された構成を有する、カートリッジ。
【請求項5】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、
少なくとも一つの容器は、少なくとも部分的糖蛋白質IIb/IIIa放出−分泌機能を有する乾燥凍結血小板を含む、カートリッジ。
【請求項6】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、更に、
前記多数の容器の少なくとも一つに固定された少なくとも一つの機械読み取り可能識別子を含み、前記機械読み取り可能識別子は、前記カートリッジを使用した評価を行うための指令を示す情報を含む、カートリッジ。
【請求項7】
請求項6に記載のカートリッジにおいて、
前記カートリッジを使用した評価を行うための指令を示す情報は、前記カートリッジに含まれる前記凝血影響物質を識別する情報を含む、カートリッジ。
【請求項8】
請求項6に記載のカートリッジにおいて、
前記カートリッジは、前記マルチ凝血試験システムで使用するのに適したカートリッジであり、前記カートリッジを使用した評価を行うための指令を示す情報は、前記マルチ凝血試験システムを制御するための指令を示す情報を含む、カートリッジ。
【請求項9】
請求項6に記載のカートリッジにおいて、
前記識別子は、RFIDタグ、バーコード、及びピンコードからなる群から選択される、カートリッジ。
【請求項10】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、
前記密封容器のうちの少なくとも一つの容器は複数の区分を含み、各区分には、一人の患者で使用するのに適した量の異なる凝血影響物質が入っている、カートリッジ。
【請求項11】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、
少なくとも一つの容器は、少なくとも部分的糖蛋白質IIb/IIIa放出を有する乾燥凍結血小板を含む、カートリッジ。
【請求項12】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、
少なくとも一つの容器は、少なくとも部分的分泌機能を有する乾燥凍結血小板を含む、カートリッジ。
【請求項13】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、
少なくとも一つの容器は、多数の異なる凝血影響物質を含む、カートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−252022(P2012−252022A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204849(P2012−204849)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2010−537114(P2010−537114)の分割
【原出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(510233781)コアギュレイション サイエンシーズ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】