説明

マルチ型空気調和機

【課題】
室外機と複数の室内機とが同一冷媒配管で接続され、異なる系統の交流電源で動作するマルチ型空気調和機において、室内機の電源が遮断されても他の室内機の空調運転を継続できる信頼性の高いマルチ型空気調和機を提供する。
【解決手段】
室内機2a側の第一の制御用直流電圧と、ワイヤードリモコン40側の第二の制御用直流電圧とがリモコン線30とリモコン渡り線31を介して相互に電源供給する構成とすることにより、各室内機やワイヤードリモコンで供給電源の遮断が生じても、リモコングループ内の装置のうちいずれか1台でも電源供給を受けていれば、全室内機の制御ブロック31とワイヤードリモコン40のリモコン制御ブロック47へ電源供給の継続が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤードリモコンを備えた複数の室内機と室外機とで構成されるマルチ型空気調和機に係わり、より詳細には室内機からリモコン線を介して接続されるワイヤードリモコン側から室内機の制御部へ電源を供給する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチ型空気調和機では、圧縮機、四方弁、室外機熱交換器、室外機電子膨張弁とを順次接続し、さらに、室内機熱交換器と室内機電子膨張弁とを室内機の数だけ順次接続して冷凍サイクルを構成している。
このため、例えば運転中の複数の室内機のうち1台で電源遮断が発生し、この室内機の室内機電子膨張弁が運転中の開度のまま停止した場合、液バック現象による圧縮機の破損や冷媒配管内で冷媒の寝込み現象による冷媒不足を招いてしまう虞があった。
【0003】
上記のような問題を解決するために、電源が遮断された室内機が室外機による伝送線からの供給電力で、自らの制御部を動作させて電子膨張弁を閉止し、冷媒配管を主たる冷媒配管から分離する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、室内機の電源遮断時に電池などの補助電源からの供給電力で、電子膨張弁を閉止する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−77056号公報(第5〜6頁、図1〜3)
【特許文献2】特開2005−121333号公報(第6〜11頁、図1〜7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1は、停電が生じた各室内機が伝送線を介して室外機から電力供給を受けるため通信を一時的に中断させなければならず、この間に重要な情報の送受信(例えばエラー信号など)がある場合にはシステムの不安定化や運転能力の低下など安定した運転制御を阻害する問題となる場合がある。
【0007】
上記特許文献2は、補助電源となる電池は点検や交換作業を要するため利便性が低下する。また、電池切れにより制御不能となる可能性があり信頼性の課題が残されている。
【0008】
ところで室内機の電源遮断には、利用者が意図しない電源遮断(例えば、自然災害や漏電による停電など)と利用者の意図する電源遮断(節電を目的としたブレーカー切断)がある。従来のマルチ型空気調和機は一つの冷凍サイクルを複数の室内機で共有する構造のため、各室内機における後者の節電を目的としたブレーカー切断はマルチ型空気調和機全体に影響を及ぼすことから好ましくない。
しかしながら、近年の社会的な電力供給不足から利用者の節電意識は高まり、電気製品の待機電力を削減する目的で未使用時の電源切断対策なども広く報じられていることから
、マルチ型空気調和機の利用者が意図してブレーカーを切断するケースが増加傾向にありこの傾向を無視することができない。
この利用者が行う意図する電源遮断の行為に対しては、利用者への取扱い説明や配電盤やブレーカーに電源遮断をさせないための工夫を用いることで一定の予防ができるものであるが、一般にマルチ型空気調和機の構造や特徴を理解していない節電意識の高い利用者へは未使用室内機の電源遮断の禁止に理解を求めることが困難な状況にある。
【0009】
本発明は以上述べた問題点を解決し、利用者が節電を目的として室内機のブレーカーを切断しても、その他の利用者に影響を及ぼさず安定した運転制御が継続できる信頼性を備える機構としたマルチ型空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、室外機と同室外機との間で冷媒管と通信線とで接続され、熱交換器と同熱交換器の冷媒量を調節する電子膨張弁とを備えた複数の室内機と、同室内機に通信線と電源線とからなるリモコン線で接続され、前記室内機へ運転指示を行うリモコンとを備えたマルチ型空気調和機において

前記室内機は、交流電源から第一電源系統線を介して入力した交流電圧を駆動用電圧と第一の制御用直流電圧として出力する第一電源部と、前記駆動用電圧を入力して負荷を駆動する駆動ブロックと、前記室内機の制御を行う制御ブロックとを備え、
前記制御ブロックは、前記第一電源部へ供給される前記交流電源の遮断を検出する電圧検出部と、前記リモコンとの通信を行う室内機通信部と、記憶部と、前記電子膨張弁を駆動する電子膨張弁駆動部と、これらを制御する室内機制御部とを備え、
前記リモコンは、前記交流電源から第二電源系統線を介して入力した交流電圧を第二の制御用直流電圧として出力する第二電源部と、前記リモコンの制御を行うリモコン制御ブロックとを備え、
前記制御ブロックと前記リモコン制御ブロックとは前記電源線を介して前記第一電源部と前記第二電源部との出力端にそれぞれ接続されると共に、前記第一の制御用直流電圧と前記第二の制御用直流電圧とのいずれかの入力で動作し、
前記室内機制御部は、前記電圧検出部を介して前記第一電源系統の電源遮断を検出した場合、前記電子膨張弁を所定の位置に制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、前記室内機は、前記リモコン線に接続されると共に他の前記室内機へ接続されるリモコン渡り線に接続され、
前記室内機の前記制御ブロックと、前記リモコンの前記リモコン制御ブロックとは、前記リモコン渡り線を介して供給される他の室内機の前記第一の制御用直流電圧と、前記第二の制御用直流電圧とのいずれかの入力で動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の手段を用いることにより、本発明によるマルチ型空気調和機によれば、
利用者の意図に係わらず、一部の室内機やワイヤードリモコンへの交流電源が遮断された場合にも、室内機の制御電源はリモコン線を介して接続されるワイヤードリモコンやリモコングループ内の交流電源が遮断されていない室内機から直流電源の供給を受けることができる。
従ってこの直流電源を用いて運転モードに応じて同室内機の電子膨張弁を所定位置まで制御し、圧縮機の故障を回避しつつ他の室内機の運転を継続することが可能でありマルチ型空気調和機全体の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるマルチ型空気調和機の電源系統と冷媒系統と通信線の接続を示す説明図である。
【図2】本発明によるマルチ型空気調和機の室内機の実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明によるマルチ型空気調和機のワイヤードリモコンの実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明による室内機制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明によるリモコン制御部の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
なお、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明によるマルチ型空気調和機の交流電源系統と冷媒系統と通信線の接続を示す説明図である。なお、本発明と直接関係ない構成と、同一の構成となる3台目以降の室内機については図示と説明を省略している。
【0016】
まず、交流電源系統について説明する。図1に示すように、室外機1と少なくとも2台以上の室内機2a、室内機2bが同一の冷媒配管4a、4bに接続され、室外機1は交流電源65からの配線に備えられる室外機側ブレーカー60を介して接続され、室内機2aは同交流電源65からの配線に備えられる室内機側ブレーカー61を介して接続され、室内機2bは同交流電源65からの配線に備えられる室内機側ブレーカー62を介して接続され、ワイヤードリモコン40は同交流電源65からの配線に備えられるリモコン側ブレーカー63を介して接続され、室外機1と室内機2aと室内機2bとワイヤードリモコン40がそれぞれ異なる系統で交流電源65からの電源供給を受けるよう設置されている。
【0017】
次に冷媒系統について説明する。室外機1には圧縮機13と、圧縮機13から吐出/吸入される冷媒の循環方向を切り換える四方弁14と、四方弁14の一方の切換口に接続された室外機熱交換器12と、室外機熱交換器12の他方に一方が接続された室外機電子膨張弁11とを備えている。
また、四方弁14の他方には冷媒配管4aが接続され、室外機電子膨張弁11の他方には冷媒配管4bが接続されている。
【0018】
また、室内機2aは室内機熱交換器17aと室内機電子膨張弁16aとを備え、室内機熱交換器17aの一方に室内機電子膨張弁16aの一方が接続され、室内機2bは室内機熱交換器17bと室内機電子膨張弁16bとを備え、室内機熱交換器17bの一方に室内機電子膨張弁16bの一方が接続され、室内機2a、2bのそれぞれの室内機熱交換器17a、17bの他方には冷媒配管4aが接続され、室内機電子膨張弁16a、16bの他方には冷媒配管4bが接続されている。
【0019】
次に通信線について説明する。室外機1と室内機2aと室内機2bとは通信線5に接続されている。また、室内機2aとワイヤードリモコン40とはリモコン線50で接続され
、室内機2aと室内機2bとはリモコン線50と同様にリモコン渡り線51で接続されている。このリモコン線50とリモコン渡り線51で接続された室内機2aと室内機2bとワイヤードリモコン40とは、1台のワイヤードリモコンで複数の室内機を操作するリモコングループを構成している。
【0020】
なお、本発明の特徴である室内機とワイヤードリモコンが相互に電源供給する構成については、図2及び図3を用いて後述する。
【0021】
マルチ型空気調和機では図1で説明したように1つの冷媒系統に複数の室内機を接続し動作していることから、運転中の室内機でブレーカー切断などにより電源遮断が発生した場合、室内機電子膨張弁が運転中の開度のまま停止し液バック現象による圧縮機の破損や冷媒配管内で冷媒の寝込み現象による冷媒不足を招いてしまう虞があった。
【0022】
図2は、本発明によるマルチ型空気調和機の室内機2aの実施例を示すブロック図である。
室内機2aは、第一電源系統線66に接続される室内機側ブレーカー61を介して交流電源65を入力する第一電源部21と、第一電源部21が出力する駆動用電圧を駆動用電圧出力端35を介して入力し負荷を駆動する駆動ブロック30と、室内機2aの制御を行う制御ブロック31と、アノード側を第一の制御用直流電圧出力端36に、カソード側をリモコン線接続端32に接続されるダイオード33とを備えている。
【0023】
また、駆動ブロック30は、ドレンポンプ駆動部22及びファンモータ駆動部23を備え、制御ブロック31は、第一電源部21への入力電圧の低下により交流電源の遮断を検出する電圧検出部28と、リモコン線接続端32を介してリモコン線50内の通信線50aに接続される室内機通信部27と、通信線5を介して室外機1と室内機2bとの通信を行う通信部24と、室内機電子膨張弁16aを駆動する電子膨張弁駆動部25と、室内機2aの運転情報などを記憶する記憶部26と、これらを制御する室内機制御部29を備えている。
【0024】
図3は、本発明によるマルチ型空気調和機のワイヤードリモコン40の実施例を示すブロック図である。
ワイヤードリモコン40は、第二電源系統線67に接続されるリモコン側ブレーカー63を介して交流電源65を入力するAC−DCアダプター64(第二電源部)が接続され
、AC−DCアダプター64(第二電源部)から出力される第二の制御用直流電圧を取り入れる第二の制御用直流電圧入力端45と、ワイヤードリモコン40の制御を行うリモコン制御ブロック47と、アノード側を第二の制御用直流電圧入力端45に、カソード側をリモコン線接続端46に接続されるダイオード34とを備えている。
【0025】
また、リモコン制御ブロック47は、リモコン線接続端46を介してリモコン線50内の通信線50aに接続されるリモコン通信部43と、室内機の運転や電源遮断状況などを表示する表示部41と、利用者が室内機へ運転開始や終了と運転情報の変更などの操作を行うキー入力部42と、これらを制御するリモコン制御部44とを備えている。
【0026】
室内機2a内の制御ブロック31は、リモコン線接続端32を介してリモコン線50内の正極側線50bに接続され、ダイオード33とリモコン線50とリモコン渡り線51とのいずれかを介して供給される制御用直流電圧によって動作する。
また、制御ブロック31は、室内機制御部29からの指示により待機モードへ移行した場合にスリープ状態となり、電圧検出部28で交流電源の通電を検出した場合に室内機制御部29をウェイクアップし動作を開始するように設計されている。
【0027】
一方、室内機2aは、第一電源部21が第一の制御用直流電圧出力端36を介して出力する第一の制御用直流電圧を、リモコン線接続端32を介して接続されるワイヤードリモコン40やリモコン渡り線51を介して接続される他の室内機2bへ供給することも可能である。
【0028】
このように構成された室内機2aでは、室内機側ブレーカー61が遮断され第一電源系統線66からの電源供給が停止したとしても、リモコン線接続端32を介して接続されるワイヤードリモコン40や他の室内機2bから制御用直流電圧の供給を受けて制御ブロック31の動作を継続することができる。
【0029】
リモコン制御ブロック47は、リモコン線接続端46を介してリモコン線50内の正極側線50bに接続され、ダイオード34とリモコン線50とを介して供給される第二の制御用直流電圧又は第一の制御用直流電圧によって動作する。
一方、ワイヤードリモコン40は、リモコン線接続端46から出力する第二の制御用直流電圧をリモコン線接続端32を介してリモコン線50に接続される室内機2aや、室内機2aを介してリモコン渡り線51に接続される他の室内機2bへ供給することも可能である。
【0030】
なお、本実施例ではワイヤードリモコン40の外部にAC−DCアダプター64(第二電源部)を接続した構成としているが、ワイヤードリモコン40の内部で第二電源系統線67に接続され、第二の制御用直流電圧を出力する第二電源部64を備える構成としてもよい。
【0031】
このように構成されたワイヤードリモコン40では、第二電源系統線67や第一電源系統線66からの電源供給が遮断されたとしても、第二電源部64もしくはリモコン線接続端46を介して接続される室内機2aや他の室内機2bから制御用直流電圧の供給を受けてリモコン制御ブロック47の動作を継続することができ、電源供給が遮断された室内機の電源遮断状態を表示部41から利用者に通知することもできる。
【0032】
なお、ワイヤードリモコン40に図示しないリモコン電圧検出部を設け、第二電源部64への入力電圧の低下により交流電源の遮断を検出する構成としてもよい。この構成の場合リモコン制御部44は、第二電源部64への電源供給が遮断された時に自身の電源遮断状態を表示部41から利用者に通知することができる。
【0033】
このように図2及び図3で説明した室内機とワイヤードリモコンで構成されるマルチ型空気調和機では、複数の装置で供給電源の遮断が生じても、リモコングループに属する装置のうちいずれか1台でも電源供給を受けていれば、そのリモコングループ全室内機の制御ブロック31とワイヤードリモコン40のリモコン制御ブロック47とへ、第一の制御用直流電圧もしくは第二の制御用直流電圧のうち、より高い電圧を出力している一方の直流電圧を継続して供給することが可能となる。
制御ブロック31はこの直流電圧で電子膨張弁を所定位置まで制御し、これにより圧縮機13の故障や通信異常などを回避することができ、電源供給を受けている室内機が存在する場合にも利用者に影響を及ぼさず安定した運転を継続することができる。
また、リモコン制御ブロック47もこの直流電圧で動作を継続し、各装置の供給電源の遮断状態やその他の異常を表示することができる。
【0034】
なお、本実施例の構成は、第一電源部21への電源供給だけで室内機2aとワイヤードリモコン40とを動作させる従来の電源供給方法と共通設計とすることが可能である。
共通設計とした場合、本発明による信頼性を必要としない利用者又は第二電源系統線を設けることが困難な利用者へも従来のマルチ型空気調和機と同様の仕様で提供することができる。また、より信頼性を求める利用者には小型のAC−DCアダプターを別途リモコンに接続することで、低コストで容易に信頼性を高めることができるため、装置の汎用性や拡張性を高めることができる。
さらに第二電源系統線67に代えて無停電電源系統から第二電源部64に電源供給することで、全ての室内機の第一電源系統線を無停電とすることなく制御ブロック31とリモコン制御ブロック47とを無停電状態にすることが可能となり、室内機全体に無停電電源を供給する構成と比較してコストを低減させ、全ての室内機で電源供給の遮断が生じても圧縮機の故障などを回避する構成とすることができる。
【0035】
図4は、本発明による室内機制御部29の処理を説明するフローチャートである。図4に記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、また、YはYesをNはNoをそれぞれ表している。
【0036】
また、室内機制御部29の処理の開始については、室内機2aの電源投入または電圧検出部28からの交流電圧が印加された時の電圧検出信号によって停止状態もしくは待機モードから通常運転の制御が始動されるものとする。
【0037】
室内機制御部29は電圧検出部28からの電圧検出信号により第一電源系統線66の交流電源電圧の有無を確認し交流電源の遮断が発生しているか否かを判断する(ST1)。交流電源の遮断を検出した場合、つまり電圧検出信号の示す電圧が予め定めた供給電圧値未満の場合(ST1−Y)、通信部24を介して室外機1と、室内機通信部27を介してワイヤードリモコン40とへ交流電源の遮断通知信号を送信する(ST2)。
なお、室内機2aの制御ブロック31は、第一電源系統線66の交流電源が遮断しても
、カソード側をリモコン線接続端32に接続するダイオード33によって、リモコン線接続端32を介して他の室内機2bから供給される第一の制御用直流電圧、もしくはワイヤードリモコン40から供給される第二の制御用直流電圧のうち、より高い電圧を出力している一方の直流電圧が供給され継続して動作することが可能である。
【0038】
室内機制御部29は記憶部26に記憶されている運転情報から運転モードを確認する(ST3)。運転情報が冷房運転の場合(ST3−冷房)、電子膨張弁駆動部25を介して室内機電子膨張弁16aの開度を全閉にするよう制御する(ST4)。そして電圧検出部28を介して交流電源が復電しているか否かを判断する(ST5)。
【0039】
室内機制御部29は交流電源が復電した場合、つまり電圧検出信号の示す電圧が予め定めた供給電圧値以上の場合(ST5−Y)、通信部24を介して室外機1と、室内機通信部27を介してワイヤードリモコン40とへ交流電源の復電通知信号を送信する(ST6)。電子膨張弁駆動部25を介して室内機電子膨張弁16aを交流電源の遮断前の運転状況に応じた開度にするよう制御し同遮断前の運転を再開する(ST7)。そしてST1へジャンプする。
【0040】
一方、ST3にて確認した運転情報が暖房運転の場合(ST3−暖房)、電子膨張弁駆動部25を介して室内機電子膨張弁16aを少なくとも冷媒が循環する程度に開度を少し開くよう制御する(ST8)。そしてST5へジャンプする。
【0041】
また、ST5にて交流電源が復電していない場合(ST5−N)、室内機通信部27でワイヤードリモコン40からの運転停止要求信号を受信したか否かを確認する(ST9)
。ワイヤードリモコン40からの運転停止要求信号を受信していない場合(ST9−N)
、交流電源の遮断時間のタイマカウントを開始する(ST10)。なお、ST10のタイマカウントは初回のみ開始とし、以降はタイマカウントを継続する。
【0042】
室内機制御部29はタイマカウントの値により交流電源の遮断時間が予め設定した所定時間を経過したか否かを確認する(ST11)。タイマカウントの値が所定時間を経過している場合(ST11−Y)、室内機通信部27からワイヤードリモコン40へ待機モードへの移行通知信号を送信する(ST12)。そして待機モードへと移行する。
また、ST11にてタイマカウントの値が所定時間に到達していない場合(ST11−N)、ST5へジャンプする。
【0043】
一方、ST9にてワイヤードリモコン40からの運転停止要求信号を受信した場合(ST9−Y)、ST12へジャンプする。
【0044】
室内機制御部29はST1にて交流電源が供給されている場合(ST1−N)、例えば室温を利用者が指示した設定温度となるように制御するなど通常の運転制御を継続する(ST13)。そしてST1へジャンプする。
【0045】
このように図4で説明した室内機制御部29の処理を行うことで、交流電源65の遮断を検出した室内機2aの室内機電子膨張弁16aを所定開度に制御することができる。
なお、本実施例では交流電源65の遮断から所定時間経過後に待機モードへ移行しているが、所定時間を設けずに待機モードへ移行しても良い。
【0046】
図5は、本発明によるリモコン制御部44の処理を説明するフローチャートである。図5に記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、また、YはYesをNはNoをそれぞれ表している。
【0047】
また、リモコン制御部44の処理の開始については、AC−DCアダプター64(第二電源部)や、リモコングループに属する室内機2a,室内機2bから供給される第二の制御用直流電圧もしくは第一の制御用直流電圧を受けることにより開始されるものとする。
【0048】
リモコン制御部44はキー入力部42からの利用者による操作の有無を確認する(ST21)。利用者のキー入力操作が無い場合(ST21−N)、リモコングループに属する室内機からの信号をリモコン通信部43で受信したか否かを確認する(ST22)。室内機からの信号を受信していない場合(ST22−N)、ST21へジャンプする。
一方、室内機からの信号を受信している場合(ST22−Y)、受信した信号が交流電源の遮断通知信号であるか否かを確認する(ST23)。
【0049】
リモコン制御部44は室内機から受信した信号が交流電源の遮断通知信号の場合(ST23−Y)、表示部41へ信号送信元室内機の交流電源遮断状態を表示する(ST24)
。そしてST21へジャンプする。
また、室内機から受信した信号が交流電源の遮断通知信号では無い場合(ST23−N)、同信号が交流電源の復電通知信号もしくは、待機モードへの移行通知信号であるか否かを確認する(ST25)。同信号が交流電源の復電通知信号と待機モードへの移行通知信号とのいずれかの場合(ST25−Y)、表示部41の信号送信元室内機の交流電源遮断状態を消去する(ST26)。そしてST21へジャンプする。
また、室内機から受信した信号が交流電源の復電通知信号と待機モードへの移行通知信号とは異なる場合(ST25−N)、例えばエラーや装置故障の信号などのため、受信した信号に応じてワイヤードリモコン40を制御する(ST27)。そしてST21へジャンプする。
【0050】
一方、リモコン制御部44はST21にて利用者のキー入力操作が有る場合(ST21−Y)、利用者のキー入力が運転開始の操作であるか否かを確認する(ST28)。キー入力が運転開始の操作の場合(ST28−Y)、リモコン通信部44を介してリモコングループに属する室内機へ運転開始要求信号を送信する(ST29)。そしてST21へジャンプする。
また、キー入力が運転開始の操作では無い場合(ST28−N)、利用者のキー入力が運転停止の操作であるか否かを確認する(ST30)。キー入力が運転停止の操作の場合(ST30−Y)、リモコン通信部44を介してリモコングループに属する室内機へ運転停止要求信号を送信する(ST31)。そしてST21へジャンプする。
また、利用者のキー入力が運転停止の操作では無い場合(ST30−N)、例えば温度や風量の調節などの操作のため、入力操作に従いワイヤードリモコン40を制御する(ST32)。そしてST21へジャンプする。
【0051】
このように図5で説明したリモコン制御部44の処理を行うことで、室内機側の第一電源系統線66の電源遮断状態を表示部41から利用者に通知することができる。
なお、本実施例では室内機側の第一電源系統線66の電源遮断状態の表示を、同室内機が待機モードへ移行することに同期して消去しているが、同室内機からの復電通知信号を受信するまで表示させ利用者への通知を継続しても良い。
【0052】
なお、本実施例ではリモコン線50及びリモコン渡り線51を、正極側線50bと負極側線50cの電源線と通信線50aを備えた有極3線としているが、通信線に電源を重畳させる有極または無極の2線を使用する構成としても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 室外機
2a,2b 室内機
4a,4b 冷媒配管
5 通信線
11 室外機電子膨張弁
12 室外機熱交換機
13 圧縮機
14 四方弁
16a,16b 室内機電子膨張弁
17a,17b 室内機熱交換機
21 第一電源部
22 ドレンポンプ駆動部
23 ファンモータ駆動部
24 通信部
25 電子膨張弁駆動部
26 記憶部
27 室内機通信部
28 電圧検出部
29 室内機制御部
30 駆動ブロック
31 制御ブロック
32 リモコン線接続端
33,34 ダイオード
35 駆動用電圧出力端
36 第一の制御用直流電圧出力端
40 ワイヤードリモコン
41 表示部
42 キー入力部
43 リモコン通信部
44 リモコン制御部
45 第二の制御用直流電圧入力端
46 リモコン線接続端
47 リモコン制御ブロック
50 リモコン線
50a 通信線
50b 正極側線
50c 負極側線
51 リモコン渡り線
60 室外機側ブレーカー
61,62 室内機側ブレーカー
63 リモコン側ブレーカー
64 AC−DCアダプター(第二電源部)
65 交流電源
66 第一電源系統線
67 第二電源系統線









































【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と同室外機との間で冷媒管と通信線とで接続され、熱交換器と同熱交換器の冷媒量を調節する電子膨張弁とを備えた複数の室内機と、同室内機に通信線と電源線とからなるリモコン線で接続され、前記室内機へ運転指示を行うリモコンとを備えたマルチ型空気調和機において、
前記室内機は、交流電源から第一電源系統線を介して入力した交流電圧を駆動用電圧と第一の制御用直流電圧として出力する第一電源部と、前記駆動用電圧を入力して負荷を駆動する駆動ブロックと、前記室内機の制御を行う制御ブロックとを備え、
前記制御ブロックは、前記第一電源部へ供給される前記交流電源の遮断を検出する電圧検出部と、前記リモコンとの通信を行う室内機通信部と、記憶部と、前記電子膨張弁を駆動する電子膨張弁駆動部と、これらを制御する室内機制御部とを備え、
前記リモコンは、前記交流電源から第二電源系統線を介して入力した交流電圧を第二の制御用直流電圧として出力する第二電源部と、前記リモコンの制御を行うリモコン制御ブロックとを備え、
前記制御ブロックと前記リモコン制御ブロックとは前記電源線を介して前記第一電源部と前記第二電源部との出力端にそれぞれ接続されると共に、前記第一の制御用直流電圧と前記第二の制御用直流電圧とのいずれかの入力で動作し、
前記室内機制御部は、前記電圧検出部を介して前記第一電源系統の電源遮断を検出した場合、前記電子膨張弁を所定の位置に制御することを特徴とするマルチ型空気調和機。
【請求項2】
前記室内機は、前記リモコン線に接続されると共に他の前記室内機へ接続されるリモコン渡り線に接続され、
前記室内機の前記制御ブロックと、前記リモコンの前記リモコン制御ブロックとは、前記リモコン渡り線を介して供給される他の室内機の前記第一の制御用直流電圧と、前記第二の制御用直流電圧とのいずれかの入力で動作することを特徴とする、請求項1記載のマルチ型空気調和機。
























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113519(P2013−113519A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261218(P2011−261218)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】