説明

マルチ映像再生装置及びマルチ映像再生方法

【課題】複数の映像を同時に画面に表示して再生するマルチ映像再生装置において、関連性のある複数の映像を簡便な操作で効率良く抽出して画面にレイアウト表示する。
【解決手段】複数の映像コンテンツを再生する際に、同時に表示する複数の映像間の撮影情報の相対条件が規定されたレイアウトテンプレート107をユーザが指定すると、マルチ画像再生制御回路102は、それらの相対条件を満たす映像コンテンツ103を自動的に抽出し、そのレイアウトテンプレート107に応じた画面レイアウトで前記抽出された複数の映像コンテンツ103を表示器109にレイアウト表示する。これにより、ユーザに複雑な編集作業を強いることなく、ユーザの意図に合わせた画面レイアウトでのマルチ映像再生を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の映像コンテンツを同時に画面に表示して再生する映像再生装置に関し、特に、撮影情報を利用した画面レイアウト処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルテレビに代表される映像再生機器の高精細化が進んでいる。高精細化により、高い解像度の映像再生を楽しむだけでなく、1つの画面に複数の映像を同時に表示して再生する利用方法が一般化することが想定されている。
【0003】
また、デジタルビデオカメラや、動画撮影機能を備えた携帯電話、スマートフォンなどの撮影装置が普及し、複数の撮影装置を用いて、同じ場面が撮影されるような状況も増えている。更に、デジタル機器による撮影では、撮影に失敗した場合でも撮影データを削除するだけでよいため、一つのシーンに対して、複数回の撮影を連続して行うことも多い。
【0004】
撮影された大量の映像を視聴する際には、関連性のある映像を抽出して、効率良くまとめて視聴する方法が、多くのユーザから望まれている。1つの画面に、関連性のある複数の映像を同時に表示して再生すれば、効率的に視聴でき、かつ、単体視聴では得られない楽しみが生まれるが、ユーザ自身が関連性のある映像を抽出したり、同時に複数の映像を視聴する際の画面レイアウトを決定するためには、複雑な編集作業を強いられることになるため、ユーザにとって簡便な操作によるマルチ映像再生技術が必要となる。
【0005】
画像のレイアウトに関する従来技術として、例えば、特許文献1には、画像の撮影情報を利用したレイアウト編集システムが開示されている。このレイアウト編集システムは、アルバム作成時の写真レイアウトを決定する際に、アルバムのページテンプレート毎に画像属性情報を定めておき、属性情報が一致する画像のみを選択対象とすることにより、効率の良いレイアウト編集を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−277065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、選択画像を絞り込む際に利用される画像属性情報は、単一の情報と一致する場合しか考慮されておらず、同時にレイアウトされる複数の画像に対する属性情報の相対関係は全く考慮されていない。
【0008】
また、抽出された画像群から、画像を取捨選択する操作はユーザ自身が実施する必要があり、属性情報の条件を満たす画像を抽出して、自動的にレイアウトを決定する技術は含まれていない。
【0009】
更に、ページテンプレートの所定の位置に画像を割り付けることでレイアウトを決定する技術であり、抽出された画像のサイズなどの条件に応じて、レイアウトを変更する技術までは含まれていない。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、その目的は、画面レイアウトを決定する際に、映像コンテンツが保持している撮影情報を利用して自動化することにより、ユーザに複雑な編集作業を強いることなく、ユーザの意図に合わせた画面レイアウトでのマルチ映像再生を実現することができるマルチ映像再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明のマルチ映像再生装置は、複数の映像コンテンツを同時に画面表示して再生する映像再生装置であって、撮影時の情報として映像コンテンツが保持している撮影情報をもとに、その撮影情報を保持する映像コンテンツを検索する撮影情報検索手段と、映像コンテンツを取得する映像コンテンツ取得手段と、レイアウトテンプレートを管理するレイアウト情報管理手段と、複数の映像コンテンツを同時に再生する制御を行うマルチ再生制御手段と、複数の映像コンテンツを同時に表示する表示手段とを備え、前記マルチ再生制御手段は、前記撮影情報検索手段、映像コンテンツ取得手段、レイアウト情報管理手段、マルチ再生制御手段を制御して、ユーザが指定するレイアウト情報を持つ前記レイアウトテンプレートをもとに、前記ユーザが指定する映像コンテンツとの相対条件を満たす撮影情報を保持する複数の映像コンテンツを取得し、その取得した複数の映像コンテンツを前記レイアウトテンプレートに従った画面レイアウトで同時に再生することを特徴とする。
【0012】
この構成により、本発明では、マルチ再生を楽しみたいユーザは、映像コンテンツを再生する際に、同時に表示する複数の映像間の撮影情報の相対条件が規定されたレイアウトテンプレートを指定するだけで、相対条件を満たす映像コンテンツが自動的に抽出され、それら抽出された複数の映像コンテンツがそのレイアウトテンプレートに応じてレイアウト表示されるので、複雑な編集作業を行うことなく、マルチ映像再生を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のマルチ映像再生装置によれば、ユーザに対して複雑な編集作業を強いることなく、再生する映像に合わせてレイアウトテンプレートを選択するだけで、関連した映像を自動的に検出し、ユーザの意図に合わせた画面レイアウトでのマルチ映像再生を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態におけるシステム全体の構成の一例を示す図である。
【図2】同実施形態における撮影情報として保持するデータの一例を示す図である。
【図3】同実施形態におけるレイアウトテンプレートとして保持するデータの一例を示す図である。
【図4】同実施形態における映像再生動作を示すフローチャート図である。
【図5】本実施形態の変形例における映像再生動作を示すフローチャート図である。
【図6】同変形例における比較対象を変更する場合の一例を模式的に示す図である。
【図7】同変形例における映像位置を変更する場合の一例を模式的に示す図である。
【図8】同変形例における映像コンテンツを切り替える場合の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態におけるマルチ映像再生装置のシステム全体の構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
同図において、マルチ映像再生装置101は、複数の映像コンテンツを同時に画面に表示して再生する映像再生装置であり、撮影情報を利用した画面レイアウト機能を実現する。
【0018】
マルチ映像再生装置101は、複数の映像を同時に再生する制御を行うマルチ再生制御回路(マルチ再生制御手段)102と、再生対象となる映像コンテンツ103を取得する映像コンテンツ取得回路(映像コンテンツ取得手段)104と、撮影時の情報として映像コンテンツが保持している撮影情報105を取得する撮影情報検索回路(撮影情報検索手段)106と、同時に表示する複数の映像間の撮影情報の相対条件が規定されたレイアウトテンプレート107を管理するレイアウト情報管理回路(レイアウト情報管理手段)108と、前記マルチ再生制御回路102によって決定されたレイアウトに従って、複数の映像コンテンツを同時に表示する表示器(表示手段)109とを備えている。
【0019】
前記マルチ再生制御回路102は、ユーザが指定したレイアウトテンプレートに規定されたレイアウト情報をレイアウト情報管理回路108から取得し、ユーザが指定した映像コンテンツを映像コンテンツ取得回路104から取得し、その取得した映像コンテンツが保持している撮影情報をもとに、前記ユーザが指定したレイアウトテンプレートに規定されたレイアウト情報として規定された相対条件を満たす撮影情報を保持する映像コンテンツを撮影情報検索回路106によって検索して抽出し、その抽出された複数の映像コンテンツを映像コンテンツ取得回路104から取得して、その取得した複数の映像コンテンツを前記ユーザが指定したレイアウトテンプレートに規定されたレイアウト情報に従った画面レイアウトで表示器109に表示させることにより、複数の映像を同時に再生する制御を行う。
【0020】
映像コンテンツ103は、再生対象となる映像データであり、映像コンテンツ103ごとに撮影情報105を保持している。映像コンテンツ103は、画面表示する映像データを保持していればよく、ビデオカメラで撮影された映像や、ビデオレコーダなどの録画装置で記録された映像や、DVDなどの記録メディアに記録された映像でもよい。
【0021】
映像コンテンツ取得回路104は、マルチ再生制御回路102からの要求に応じて、再生対象となる映像コンテンツを取得する機能を実現する。取得対象となる映像コンテンツは、マルチ映像再生装置101内に保持されている映像コンテンツだけでなく、外部の映像データベース110に保存された映像コンテンツでもよい。
【0022】
撮影情報105は、映像コンテンツが撮影された際の条件などのデータを保持する。
【0023】
図2は、本実施形態における映像コンテンツが保持する撮影情報の一例を示している。撮影情報は、撮影された映像の特徴を示す情報であればよく、代表的な例としては、撮影の開始日時及び終了日時、撮影された場所や方向、撮影された映像の画面サイズ、撮影された被写体までの距離、撮影された映像の輝度情報などがある。これらの情報は、撮影機器によって映像データとともに映像コンテンツごとに保存される。撮影機器が保持する時刻情報や、GPS、加速度センサなどの各種センシング情報、顔検出機能による人物情報などによって、撮影時の情報を付加することができる。尚、撮影された映像コンテンツに対して、被写体となっている人物の名前など、映像の特徴を示す情報としてユーザ自身が付加して保存してもよい。
【0024】
撮影情報検索回路106は、マルチ再生制御回路102からの要求に応じて、指定された条件を満たす撮影情報を保持する映像コンテンツが存在するかどうかを検索し、抽出された映像コンテンツの情報を提供する。
【0025】
レイアウトテンプレート107は、同時に画面に表示する複数の映像コンテンツのレイアウト情報を保持する。
【0026】
図3は、本実施形態におけるレイアウトテンプレートとして保持するデータの一例を示している。同図では、3つの映像コンテンツのレイアウト情報の例を示しており、各映像コンテンツの位置情報として、例えば表示画面上での左上座標と大きさの情報を保持することにより、表示画面上での各映像コンテンツの表示位置を指定することができる。各映像コンテンツの位置情報は、表示位置を確定できる情報であればよく、各映像間での相対座標で指定することや、予め定められた表示位置番号で指定することで実現してもよい。更に、レイアウト情報として、各映像コンテンツが保持する撮影情報の相対関係を規定した情報を、相対条件として保持する。図3では、3つの映像コンテンツ間の相対条件の例を示しており、例えば、映像[1]と映像[2]と映像[3]との相対条件として、それぞれ撮影時間と方向とが一定の差分範囲内であることを条件にすることにより、ほぼ同じ対象物を同時に撮影された映像コンテンツを条件に指定することができる。また、例えば、映像[1]の撮影日時が映像[2]よりも古く、映像[3]の撮影日時が映像[1]よりも古く、映像[3]の撮影日時が映像[2]よりも古い、と相対条件を指定することにより、映像[1]と映像[2]と映像[3]とが時系列で抽出されるように条件を指定することができる。尚、レイアウトテンプレート107は、マルチ映像再生装置101内に予め用意されているテンプレートだけでなく、ユーザ自身が相対条件を自由に規定したテンプレートを作成することにより、レイアウト情報を指定してもよい。
【0027】
レイアウト情報管理回路108は、マルチ再生制御回路102からの要求に応じて、指定されたレイアウトテンプレートによって規定されているレイアウト情報を提供する機能を実現する。
【0028】
表示器109は、マルチ再生制御回路102からの要求に応じて、指定されたレイアウトで、複数の映像コンテンツを同時に画面に表示する。
【0029】
映像データベース110は、マルチ映像再生装置101と通信ネットワークで接続されており、撮影情報を保持する映像コンテンツが保存されている。データ通信方法は、無線通信でも有線通信でもよく、また、撮影情報や映像コンテンツを保持しているメモリカードを直接接続することにより、データの送受信を実現してもよい。
【0030】
図4に示したフローチャートは、本実施形態におけるマルチ映像再生装置101により複数の映像コンテンツの同時再生を実現する場合の動作手順を示している。
【0031】
先ず、ユーザが再生したい映像コンテンツを選択する(ステップS401)。マルチ再生制御回路102は、ユーザから再生したい映像コンテンツが指定されると、映像コンテンツ取得回路104に対して、指定された映像コンテンツの取得を要求することにより、再生対象となる映像コンテンツのデータを取得する。
【0032】
次に、ユーザが選択した映像コンテンツのマルチ再生を行う際の画面レイアウトを指定するために、ユーザがレイアウトテンプレートを選択する(ステップS402)。マルチ再生制御回路102は、ユーザからレイアウトテンプレートが指定されると、レイアウト情報管理回路108に対して、指定されたレイアウトテンプレートが規定しているレイアウト情報の取得を要求することにより、マルチ再生を行う際の映像コンテンツのレイアウト情報を取得する。
【0033】
尚、レイアウトテンプレート107は、再生したい映像コンテンツの種類によって、よく利用されるレイアウトテンプレートが想定できるため、選択された映像コンテンツに合わせて、お勧めのレイアウトテンプレートをユーザに示すことにより、ユーザによるレイアウトテンプレートの選択操作を容易にすることができる。例えば、結婚式や運動会など、家族や友人も含めて、同じ撮影対象を同時に撮影した映像コンテンツが多数存在するような場合は、相対条件として、同じ撮影場所と日時で、異なるアングルを指定するようなレイアウトテンプレートが適していると考えられる。また、旅行先の観光地で撮影した映像コンテンツなど、同じ場所で、異なる日時に、複数のユーザが撮影した映像コンテンツが存在することが想定されるような場合は、同じ撮影場所で、異なる日時を指定するようなレイアウトテンプレートが適していると考えられる。撮影日時の相対条件は、例えば、撮影情報として保持された撮影日時をもとに、撮影時間が一定の差分範囲内に含まれるか、差分範囲よりも以前か以後かを確認することで判別できる。撮影アングルの相対条件は、例えば、撮影情報として保持された撮影場所、方向をもとに、撮影場所が一定の差分範囲内であり、かつ、撮影場所から撮影方向に向かうベクトルが交差するような条件かを確認することにより、ほぼ同じ対象物を異なるアングルで撮影したことを判別できる。
【0034】
尚、前記ステップS401とステップS402とは、何れを先に実施してもよい。
【0035】
次に、マルチ再生制御回路102が、前記ステップS401で取得した映像コンテンツが保持している撮影情報と、ステップS402で取得したレイアウト情報が保持している相対条件をもとに、相対条件を満たす撮影情報を持った映像コンテンツを取得する(ステップS403)。マルチ再生制御回路102は、取得したレイアウト情報が保持している相対条件に従って、再生対象となる映像コンテンツが保持している撮影情報を参照し、再生対象となる映像コンテンツの撮影情報を比較対象として、相対条件を満たす映像コンテンツが存在するかどうかを、撮影情報検索回路106に要求することにより、検索する。マルチ再生制御回路102は、撮影情報検索回路106から抽出された映像コンテンツの情報を受けると、映像コンテンツ取得回路104に対して、抽出された映像コンテンツの取得を要求することにより、マルチ再生対象となる映像コンテンツのデータを取得する。
【0036】
尚、取得対象となる映像コンテンツは、マルチ映像再生装置101内に保持されている映像コンテンツだけでなく、外部の映像データベース110に保存された映像コンテンツでもよい。
【0037】
マルチ再生対象となる映像コンテンツの取得は、前記ステップS402で取得したレイアウト情報が保持している全ての相対条件に対する確認が完了するまで繰り返される(ステップS404でNoの場合)。
【0038】
前記ステップS402で取得したレイアウト情報が保持している全ての相対条件に対する確認が完了すると(ステップS405でYesの場合)、マルチ再生制御回路102は、レイアウト情報に従って、取得した全ての映像コンテンツの画面レイアウトを決定し、表示器109に対して、複数の映像コンテンツの再生を要求することにより、マルチ再生を実現する(ステップS405)。
【0039】
(変形例)
図5に示したフローチャートは、マルチ映像再生装置101を用いて、複数の映像コンテンツの同時再生を実現する際に、レイアウト情報を変更する場合の動作手順を示している。
【0040】
先ず、ユーザによって、再生したい映像コンテンツと、マルチ再生に適用したいレイアウトテンプレートとが選択される(ステップS501)。このステップS501は、図4に示したステップS401及びステップS402と同様である。
【0041】
次に、マルチ再生制御回路102が、前記ステップS501で取得した映像コンテンツが保持している撮影情報と、レイアウトテンプレートに規定されたレイアウト情報が保持している相対条件をもとに、相対条件を満たす撮影情報を持った映像コンテンツを取得する(ステップS502)。マルチ再生制御回路102は、相対条件に従って再生対象となる映像コンテンツが保持している撮影情報を参照し、再生対象となる映像コンテンツの撮影情報を比較対象として、相対条件を満たす映像コンテンツが存在するかどうかを、撮影情報検索回路106に要求することにより、検索する。相対条件を満たす映像コンテンツが存在する場合(ステップS502でYesの場合)は、図4のステップS403と同様に、抽出された映像コンテンツのデータを、映像コンテンツ取得回路104によって取得する(ステップS503)。
【0042】
相対条件を満たす映像コンテンツが存在しなかった場合(ステップS502でNoの場合)は、存在しなかった表示位置には映像コンテンツを配置せずにマルチ再生を行うことも考えられるが、ユーザに快適な視聴環境を提供するためには、何らかの映像コンテンツを配置することが望ましい。そこで、相対条件を満たす映像コンテンツが存在しなかった場合は、ユーザが再生対象として指定した映像コンテンツが保持する撮影情報ではなく、既にステップS503で取得した映像コンテンツが存在する場合、そのステップS503で取得した映像コンテンツが保持する撮影情報に相対条件の比較対象を変更して、相対条件を満たす映像コンテンツが存在するかどうかを、撮影情報検索回路106に要求することにより、検索する。
【0043】
図6は、相対条件の比較対象を変更する場合の一例を模式的に示した図である。例えば、映像[1]の撮影日時が映像[2]よりも古く、映像[3]の撮影日時が映像[1]よりも古く、映像[3]の撮影日時が映像[2]よりも古い、と相対条件が指定されていた場合に、ユーザが再生対象として指定した映像[1]が保持する撮影情報をもとに、映像[1]よりも撮影日時が新しい映像[2]を検索して取得する。更に、映像[1]よりも撮影日時が古い映像[3]を検索するが、条件を満たす映像コンテンツが取得できなかった場合、既に取得した映像[2]が保持する撮影情報を比較対象として、相対条件を満たす映像コンテンツを検索する。また、映像コンテンツの配置も、比較対象の変更に連動して、映像[1]の表示位置に映像[2]を配置する。映像[2]を比較対象として、更に古い映像[4]を検索して取得することにより、映像[1]と映像[2]と映像[4]とを配置する形で、相対条件を満たす映像コンテンツを配置することができる。
【0044】
マルチ再生対象となる映像コンテンツの取得は、ステップS501で取得したレイアウト情報が保持している全ての相対条件に対する確認が完了するまで繰り返される(ステップS505でNoの場合)。
【0045】
前記ステップS501で取得したレイアウト情報が保持している全ての相対条件に対する確認が完了すると(ステップS505でYesの場合)、マルチ再生制御回路102によって画面レイアウトを決定する際に、相対条件を満たす表示位置に取得した映像コンテンツを配置するが、取得した映像コンテンツの大きさや再生時間に合わせて、レイアウト情報を変更することにより、よりユーザにとって視聴し易い画面レイアウトを実現することができる(ステップS506)。
【0046】
図7は、映像コンテンツの大きさに合わせて、レイアウト情報を変更する場合の一例を模式的に示した図である。例えば、3つの映像コンテンツを配置するレイアウトテンプレートの場合において、映像[1]は幅及び高さの画面比率が4:3のノーマル画面、映像[2]と映像[3]とは画面比率16:9のワイド画面を想定したレイアウト情報が規定されていたとする。それに対して、相対条件に従って取得した映像コンテンツが、映像[1]、映像[3]として取得した映像コンテンツはワイド画面、映像[2]として取得した映像コンテンツはノーマル画面であったとする。この場合、取得した映像コンテンツの大きさのまま画面配置して表示することや、画面配置はそのままでレイアウト情報で規定されたサイズに収まる範囲で、取得した映像コンテンツを拡大表示することも考えられるが、ユーザに快適な視聴環境を提供するためには、できる限り大きく表示される配置で映像コンテンツを再生することが望ましい。そこで、レイアウト情報を変更して、映像[1]と映像[2]との画面配置を入れ替えることにより、より大きく拡大表示される配置で、マルチ再生を実現することができる。
【0047】
図8は、映像コンテンツの再生時間に合わせて、レイアウト情報を変更する場合の一例を模式的に示した図である。例えば、3つの映像コンテンツを配置するレイアウトテンプレートでマルチ再生する際に、映像[1]及び映像[3]の各再生時間に対して、映像[2]の再生時間が短い場合に、映像[2]の再生は停止して、映像[1]と映像[3]との再生だけを継続することも考えられるが、ユーザに快適な視聴環境を提供するためには、何らかの映像コンテンツを配置することが望ましい。そこで、映像[1]と映像[2]との相対条件と同じ条件を満たす映像[4]が取得できる場合には、レイアウト情報を変更して、映像[2]の再生が終了すると、映像[4]の再生に切り替えることにより、ユーザの意図に合わせたマルチ再生を実現することができる。尚、切り替える対象となる映像コンテンツの取得は、マルチ再生を開始する前に、相対条件を満たす全ての映像コンテンツを取得してもよいし、最初に取得できた映像コンテンツを配置してマルチ再生を開始してから、映像コンテンツを再生しながら取得してもよい。
【0048】
図5のステップS506で画面レイアウトが決定すると、マルチ再生制御回路102は、表示器109に対して、複数の映像コンテンツの再生を要求することにより、マルチ再生を実現する(ステップS507)。
【0049】
尚、本実施形態では、主に3つの映像コンテンツを配置するレイアウトテンプレートの場合について例を挙げて説明したが、映像コンテンツの数や配置を限定するものではなく、2つ以上の映像コンテンツを1つの画面内に配置する場合に本特許を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明のマルチ映像再生装置は、複数の映像を同時に画面に表示して再生する際に、再生する映像に合わせてレイアウトテンプレートを選択するだけで、ユーザの意図に合わせたレイアウトでのマルチ映像再生を実現することができるので、高精細化された映像機器に対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
101 マルチ映像再生装置
102 マルチ再生制御回路(マルチ再生制御手段)
103 映像コンテンツ
104 映像コンテンツ取得回路(映像コンテンツ取得手段)
105 撮影情報
106 撮影情報検索回路(撮影情報検索手段)
107 レイアウトテンプレート
108 レイアウト情報管理回路(レイアウト情報管理手段)
109 表示器(表示手段)
110 映像データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の映像コンテンツを同時に画面表示して再生する映像再生装置であって、
撮影時の情報として映像コンテンツが保持している撮影情報をもとに、その撮影情報を保持する映像コンテンツを検索する撮影情報検索手段と、
映像コンテンツを取得する映像コンテンツ取得手段と、
レイアウトテンプレートを管理するレイアウト情報管理手段と、
複数の映像コンテンツを同時に再生する制御を行うマルチ再生制御手段と、
複数の映像コンテンツを同時に表示する表示手段とを備え、
前記マルチ再生制御手段は、
前記撮影情報検索手段、映像コンテンツ取得手段、レイアウト情報管理手段、マルチ再生制御手段を制御して、ユーザが指定するレイアウト情報を持つ前記レイアウトテンプレートをもとに、前記ユーザが指定する映像コンテンツとの相対条件を満たす撮影情報を保持する複数の映像コンテンツを取得し、その取得した複数の映像コンテンツを前記レイアウトテンプレートに従った画面レイアウトで同時に再生する
ことを特徴とするマルチ映像再生装置。
【請求項2】
請求項1記載のマルチ映像再生装置において、
前記撮影情報検索手段及び映像コンテンツ取得手段は、
マルチ映像再生装置内に保存された撮影情報と映像コンテンツだけでなく、通信ネットワークで接続された外部の映像データベースに保存された撮影情報と映像コンテンツも対象とする
ことを特徴とするマルチ映像再生装置。
【請求項3】
請求項1記載のマルチ映像再生装置において、
前記マルチ再生制御手段は、
相対条件を満たす撮影情報を保持する映像コンテンツを取得できなかった場合に、相対条件の比較対象となる映像コンテンツを取得済みの映像コンテンツに変更した上で、相対条件を満たす撮影情報を保持する映像コンテンツを取得する
ことを特徴とするマルチ映像再生装置。
【請求項4】
請求項1記載のマルチ映像再生装置において、
前記マルチ再生制御手段は、
相対条件を満たす撮影情報を保持する映像コンテンツを取得した際に、取得した映像コンテンツの幅及び高さに応じて、レイアウトテンプレートで規定されたレイアウト情報を変更して画面レイアウトを決定する
ことを特徴とするマルチ映像再生装置。
【請求項5】
請求項1記載のマルチ映像再生装置において、
前記マルチ再生制御手段は、
相対条件を満たす撮影情報を保持する映像コンテンツを取得した際に、取得した映像コンテンツの再生時間に応じて、配置する映像コンテンツを切り替えて再生する
ことを特徴とするマルチ映像再生装置。
【請求項6】
請求項1記載のマルチ映像再生装置において、
前記マルチ再生制御手段は、
撮影情報として保持された撮影日時をもとに、撮影時間が一定の差分範囲に含まれるかどうかを相対条件として判別することにより、画面レイアウトを決定する
ことを特徴とするマルチ映像再生装置。
【請求項7】
請求項1記載のマルチ映像再生装置において、
前記マルチ再生制御手段は、
撮影情報として保持された場所と方向とをもとに、撮影アングルが一定の差分範囲に含まれるかどうかを相対条件として判別することにより、画面レイアウトを決定する
ことを特徴とするマルチ映像再生装置。
【請求項8】
複数の映像を同時に画面表示して再生するマルチ映像再生方法において、
ユーザが、映像コンテンツと、レイアウトテンプレートを指定するステップと、
ユーザが指定したレイアウト情報をもとに、ユーザが指定した映像コンテンツとの相対条件を満たす撮影情報を保持する映像コンテンツを取得するステップと、
前記取得した映像コンテンツをもとに、レイアウトテンプレートに適合した画面レイアウトを確定するステップとを有する
ことを特徴とするマルチ映像再生方法。
【請求項9】
請求項8記載のマルチ映像再生方法において、
映像コンテンツを取得するステップにおいて、
マルチ映像再生装置内に保存された撮影情報と映像コンテンツだけでなく、通信ネットワークで接続された外部の映像データベースに保存された撮影情報と映像コンテンツも取得する
ことを特徴とするマルチ映像再生方法。
【請求項10】
請求項8記載のマルチ映像再生方法において、
映像コンテンツを取得するステップにおいて、
相対条件を満たす撮影情報を保持する映像コンテンツを取得できなかった場合に、相対条件の比較対象となる映像コンテンツを取得済みの映像コンテンツに変更した上で、相対条件を満たす撮影情報を保持する映像コンテンツを取得する
ことを特徴とするマルチ映像再生方法。
【請求項11】
請求項8記載のマルチ映像再生方法において、
画面レイアウトを確定するステップにおいて、
取得した映像コンテンツの幅及び高さに応じて、レイアウトテンプレートで規定されたレイアウト情報を変更して画面レイアウトを決定する
ことを特徴とするマルチ映像再生方法。
【請求項12】
請求項8記載のマルチ映像再生方法において、
画面レイアウトを確定するステップにおいて、取得した映像コンテンツの再生時間に応じて、配置する映像コンテンツを切り替えて再生する
ことを特徴とするマルチ映像再生方法。
【請求項13】
請求項8記載のマルチ映像再生方法において、
画面レイアウトを確定するステップにおいて、
撮影情報として保持された撮影日時をもとに、撮影時間が一定の差分範囲に含まれるかどうかを相対条件として判別することにより、画面レイアウトを決定する
ことを特徴とするマルチ映像再生方法。
【請求項14】
請求項8記載のマルチ映像再生方法において、
画面レイアウトを確定するステップにおいて、
撮影情報として保持された撮影場所と方向とをもとに、撮影アングルが一定の差分範囲に含まれるかどうかを相対条件として判別することにより、画面レイアウトを決定する
ことを特徴とするマルチ映像再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−244343(P2012−244343A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111405(P2011−111405)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】