説明

マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法

【目的】マルチビーム形成アパーチャによって散乱した荷電粒子によるブランキング偏向器アレイへの帯電とコンタミ成長を抑制する装置を提供することを目的とする。
【構成】描画装置100は、荷電粒子ビームを放出する電子銃201と、マルチビームを形成するマルチビーム形成アパーチャ部材203と、マルチビームのうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う複数のブランカーが配置されたブランキングプレート204と、マルチビーム形成アパーチャ部材203とブランキングプレート204との間に配置された、電磁レンズ212,214と、電磁レンズ212,214の間であってマルチビームの集束点位置に配置され、集束点から外れた荷電粒子の通過を制限する制限アパーチャ部材216と、複数のブランカーによってビームoffの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する制限アパーチャ部材206と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。ここで、電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、ウェハ等へ電子線を使って描画することが行われている。
【0003】
例えば、マルチビームを使った描画装置がある。1本の電子ビームで描画する場合に比べて、マルチビームを用いることで一度に多くのビームを照射できるのでスループットを大幅に向上させることができる。
【0004】
図15は、従来のマルチビーム方式の描画装置での構成の一部を示す図である。かかるマルチビーム方式の描画装置では、例えば、図15に示すように、電子銃501から放出された電子ビーム500が複数の穴を持ったマスク(マルチビーム形成アパーチャ)510を通ることでマルチビーム502が形成される。そして、マスク510に近接したブランキング偏向電極アレイ(ブランカーアレイ)512によって、各々、ブランキング制御され、下流側のアパーチャで遮蔽されなかった各ビームが光学系で縮小され、偏向器で偏向され試料上の所望の位置へと照射される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−261342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかるマルチビーム方式の描画装置では、従来、マルチビームを形成する複数の穴を持ったマスク(マルチビーム形成アパーチャ)と各ビームを個別にブランキング制御するためのブランキング偏向電極アレイ(ブランカーアレイ)とが近接して配置されている。マルチビーム形成アパーチャによって散乱した電子がブランキング偏向電極アレイに流入し、絶縁物部分を帯電させてしまう。或いは、コンタミ520を成長させてしまうといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点を克服し、マルチビーム形成アパーチャによって散乱した荷電粒子による、ブランキング偏向器アレイへの帯電とコンタミ成長を抑制することが可能な装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のマルチ荷電粒子ビーム描画装置は、
荷電粒子ビームを放出する放出部と、
複数の開口部を有し、複数の開口部全体が含まれる領域に荷電粒子ビームの照射を受け、複数の開口部を荷電粒子ビームの一部がそれぞれ通過することにより、マルチビームを形成する第1のアパーチャ部材と、
第1のアパーチャ部材の複数の開口部を通過したマルチビームのうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う複数のブランカーが配置されたブランカーアレイと、
第1のアパーチャ部材とブランカーアレイとの間に配置された、第1と第2の電子レンズと、
第1と第2の電子レンズの間であってマルチビームの集束点位置に配置され、集束点から外れた荷電粒子の通過を制限する第2のアパーチャ部材と、
複数のブランカーによってビームoffの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する第3のアパーチャ部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、第1と第2の電子レンズに対し、逆向きかつ同じ大きさで励磁するレンズ制御部をさらに備えると好適である。
【0010】
また、第2のアパーチャ部材は、積層構造によって形成され、ビームの入射方向に対して上層部材が下層部材よりも低原子番号の材料によって形成され、上層部材の厚さが荷電粒子の飛程よりも厚く形成されると好適である。
【0011】
また、第2のアパーチャ部材は、ビームの上流側の真空チャンバと下流側の真空チャンバとを仕切る差動排気用部材として用いられると好適である。
【0012】
本発明の一態様のマルチ荷電粒子ビーム描画方法は、
荷電粒子ビームを放出する工程と、
複数の開口部を有する第1のアパーチャ部材を用いて、複数の開口部全体が含まれる領域に荷電粒子ビームの照射を受け、複数の開口部を荷電粒子ビームの一部がそれぞれ通過することにより、マルチビームを形成する工程と、
マルチビームのブランキング偏向を行う前に、第1のアパーチャ部材を通過したマルチビームを集束させる工程と、
マルチビームのブランキング偏向を行う前であって第1のアパーチャ部材を通過したマルチビームを集束させた後に、第2のアパーチャ部材を用いて、集束点から外れた荷電粒子の通過を制限する工程と、
第2のアパーチャ部材を通過したマルチビームを、複数のブランカーを有するブランカーアレイに投影する工程と、
複数のブランカーを用いて、ブランカーアレイに投影されたマルチビームのうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う工程と、
第3のアパーチャ部材を用いて、複数のブランカーによってビームoffの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する工程と、
第3のアパーチャ部材を通過したマルチビームを用いて、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、マルチビーム形成アパーチャによって散乱した荷電粒子を遮蔽できる。よって、ブランキング偏向器アレイへの帯電とコンタミ成長を抑制することができる。その結果、描画装置の寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
【図2】実施の形態1におけるアパーチャ部材の構成を示す概念図である。
【図3】実施の形態1におけるブランキングプレートの構成を示す概念図である。
【図4】実施の形態1におけるブランキングプレートの構成を示す上面概念図である。
【図5】実施の形態1における散乱電子遮蔽用の制限アパーチャ部材の構成を示す断面部である。
【図6】実施の形態1における描画動作を説明するための概念図である。
【図7】実施の形態1におけるラスタースキャンの描画動作を説明するための概念図である。
【図8】実施の形態1におけるビーム間ピッチのn倍の長さステージ移動させた場合の各ショットの照射位置の一例をより詳細に説明するための概念図である。
【図9】実施の形態1におけるビーム間ピッチのn倍の長さステージ移動させた場合の各ショットの照射位置の他の一例をより詳細に説明するための概念図である。
【図10】実施の形態1におけるビーム間ピッチのn倍の長さステージ移動させた場合の各ショットの照射位置の他の一例をより詳細に説明するための概念図である。
【図11】実施の形態1におけるビーム間ピッチのn倍の長さステージ移動させた場合の各ショットの照射位置の他の一例をより詳細に説明するための概念図である。
【図12】実施の形態2における描画装置の構成を示す概念図である。
【図13】実施の形態2におけるマルチビーム形成アパーチャ部材とブランキングプレート間でのマルチビームのサイズを説明するための概念図である。
【図14】実施の形態2におけるマルチビームで形成されるパターン像のサイズの一例を示す図である。
【図15】従来のマルチビーム方式の描画装置での構成の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画部150と制御部160を備えている。描画装置100は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例である。描画部150は、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、マルチビーム形成アパーチャ部材203、電磁レンズ212、制限アパーチャ部材216、電磁レンズ214、ブランキングプレート(ブランカーアレイ)204、電磁レンズ205、制限アパーチャ部材206、対物レンズ207、および偏向器208が配置されている。電磁レンズ212,214は、マルチビーム形成アパーチャ部材203とブランキングプレート204との間に配置されている。
電磁レンズ212,214によって、マルチビーム形成アパーチャ部材203の像がブランキングプレート(ブランカーアレイ)204の偏向中心及びその近傍に結像される。これは、ブランキングプレート動作時に試料面上のマルチビームの縮小された像の移動を抑制する為である。
また、電磁レンズ212,214の間に制限アパーチャ部材216が配置される。制限アパーチャ部材216は、電磁レンズ212,214の間であって電磁レンズ212によって集束されたマルチビームの集束点位置に配置される。制限アパーチャ部材216には、例えば、中央に開口部が形成され、集束点から外れたビームの通過を制限する。そして、制限アパーチャ部材216は、ビームの上流側の真空チャンバと下流側の真空チャンバとを仕切る差動排気用部材として用いられる。電子鏡筒102内の制限アパーチャ部材216より上部(上流側)は、真空ポンプ222によって真空引きされる。電子鏡筒102内の制限アパーチャ部材216より下部(下流側)は、真空ポンプ224によって真空引きされる。
【0017】
描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象基板となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスク、或いは、半導体装置が製造される半導体基板(シリコンウェハ)等が含まれる。また、試料101には、レジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。
【0018】
制御部160は、制御計算機110、メモリ112、磁気ディスク装置等の記憶装置140、レンズ制御回路120、偏向制御回路130,132、及びデジタル・アナログ変換(DAC)アンプ136を有している。制御計算機110、メモリ112、記憶装置140、レンズ制御回路120、及び偏向制御回路130,132は、図示しないバスを介して互いに接続されている。記憶装置140(記憶部)には、描画データが外部から入力され、格納されている。レンズ制御回路120、及び偏向制御回路130,132は、制御計算機110によって制御される。
【0019】
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
【0020】
図2は、実施の形態1におけるアパーチャ部材の構成を示す概念図である。図2(a)において、マルチビーム形成アパーチャ部材203には、縦(y方向)m列×横(x方向)n列(m,n≧2)の複数の穴(開口部)22が所定の配列ピッチで形成されている。図2(a)では、例えば、512×8列の穴22が形成される。各穴22は、共に同じ寸法形状の矩形例えば長方形或いは正方形で形成される。或いは、同じ外径の円形であっても構わない。ここでは、y方向の各列について、x方向にAからHまでの8つの穴22がそれぞれ形成される例が示されている。これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、マルチビーム20が形成されることになる。ここでは、縦横(x,y方向)が共に2列以上の穴22が配置された例を示したが、これに限るものではない。例えば、縦横(x,y方向)どちらか一方が複数列で他方は1列だけであっても構わない。また、穴22の配列の仕方は、図2(a)にように、縦横が格子状に配置される場合に限るものではない。図2(b)に示すように、例えば、縦方向(y方向)1段目の列と、2段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法aだけずれて配置されてもよい。同様に、縦方向(y方向)2段目の列と、3段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法bだけずれて配置されてもよい。
【0021】
図3は、実施の形態1におけるブランキングプレートの構成を示す概念図である。ブランキングプレート(「ブランカーアレイ」、「ブランキング偏向電極アレイ」或いは「ブランキング偏向器アレイ」ともいう。)204には、マルチビーム形成アパーチャ部材203の各穴22の配置位置に合わせて通過孔が形成され、各通過孔には、対となる2つの電極24,26の組(ブランカー)が、それぞれ配置される。このように、ブランキングプレート(ブランカーアレイ)204は、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う複数のブランカーが配置される。各通過孔を通過する電子ビーム20は、それぞれ独立にかかる対となる2つの電極24,26に印加される電圧によって偏向される。かかる偏向によってブランキング制御される。このように、複数のブランカーが、アパーチャ部材203の複数の穴22(開口部)を通過したマルチビームのうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う。
【0022】
図4は、実施の形態1におけるブランキングプレートの構成の一部を示す上面概念図である。ブランキングプレート204には、それぞれ対となる2つの電極24,26を制御するロジック回路28が配置される。ロジック回路28の制御によって、ブランキング偏向が行われる。
【0023】
電子銃201(放出部)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202によりほぼ垂直にマルチビーム形成アパーチャ部材203(第1のアパーチャ部材)全体を照明する。マルチビーム形成アパーチャ部材203には、矩形例えば長方形或いは正方形の複数の穴(開口部)が形成される。マルチビーム形成アパーチャ部材203は、複数の穴(開口部)22全体が含まれる領域に電子ビーム200の照射を受け、複数の穴(開口部)22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することにより、マルチビーム20を形成する。このように、マルチビーム形成アパーチャ部材203の複数の穴22を通過することによって、例えば矩形形状の複数の電子ビーム(マルチビーム)20a,b,c,・・・が形成される。かかるマルチビーム20は、電磁レンズ212によって集束され、集束位置に配置される制限アパーチャ部材216(第2のアパーチャ部材)によって、集束点から外れた散乱電子300の通過が制限される。これにより、マルチビーム形成アパーチャ部材203によって散乱した電子が遮蔽される。そのため、これより下流側のブランキングプレート204への散乱電子の侵入を防止できる。そして、制限アパーチャ部材216によって散乱電子がカットされたマルチビーム20は、電磁レンズ214によって、ブランキングプレート204にほぼ垂直に投影される。
【0024】
ここで、電磁レンズ212,214は、レンズ制御回路120によって、逆向きかつ同じ大きさで励磁される。これにより、電磁レンズ212を通過したマルチビームが電磁レンズ214を通過する際に回転してしまうことを回避できる。レンズ制御回路120は、レンズ制御部の一例である。
【0025】
そして、散乱電子がカットされたマルチビーム20は、ブランキングプレート204のそれぞれ対応するブランカー内を通過する。偏向制御回路130によって制御された制御信号が、ブランキングプレート204の各ブランカー用のロジック回路28に出力され、各ブランカーは、それぞれ、ロジック回路28によって制御され、個別に通過する電子ビーム20を偏向する。そして、ブランキングプレート204を通過したマルチビーム20a,b,c,・・・は、電磁レンズ205によって、集束され、制限アパーチャ部材206に形成された中心の穴に向かって進む。ここで、ブランキングプレート204のブランカーによって偏向された電子ビーム310は、制限アパーチャ部材206(第3のアパーチャ部材)の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ部材206によって遮蔽される。一方、ブランキングプレート204のブランカーによって偏向されなかった電子ビーム20は、制限アパーチャ部材206の中心の穴を通過する。かかるブランカーのon/offによって、ブランキング制御が行われ、ビームのon/offが制御される。このように、制限アパーチャ部材206は、複数のブランカーによってビームoffの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する。
【0026】
そして、ビームonになってからビームoffになるまでに形成された、制限アパーチャ部材206を通過したビームにより1回分のショットのビームが形成される。制限アパーチャ部材206を通過したマルチビーム20は、対物レンズ207により焦点が合わされ、偏向器208によって、制限アパーチャ部材206を通過した各ビーム(マルチビーム20全体)が同方向にまとめて偏向され、各ビームの試料101上のそれぞれの照射位置に照射される。また、例えばXYステージ105が連続移動している時、ビームの照射位置がXYステージ105の移動に追従するように偏向器208によって制御される。一度に照射されるマルチビーム20は、理想的にはアパーチャ部材203の複数の穴の配列ピッチに上述した所望の縮小率を乗じたピッチで並ぶことになる。描画装置100は、ショットビームを連続して順に照射していくラスタースキャン方式で描画動作を行い、所望のパターンを描画する際、不要なビームはブランキング制御によりビームoffに制御される。
【0027】
図5は、実施の形態1における散乱電子遮蔽用の制限アパーチャ部材の構成を示す断面部である。制限アパーチャ部材216は、上層側から第1の部材10、第2の部材12、第3の部材14、及び第4の部材16の積層構造によって形成される。制限アパーチャ部材216は、ビームの入射方向に対して上層部材の第1の部材10が下層部材の第4の部材よりも低原子番号の材料によって形成される。また、上層部材の第1の部材10の厚さは電子の飛程よりも厚く形成されると好適である。第1の部材10によって、散乱電子をカットする。第1の部材10の材料として、例えば、カーボン或いは導電性を与えたダイヤモンドライクカーボン等が好適である。
今、上層部材としてカーボンを用い、これに50keVの電子が入射する場合を考える。この時飛程Rとして、
R(μm)=0.0276A×E^1.67/(ρ×Z^0.889)
を使用する。右辺中、Aは部材の原子量、Zは原子番号、EはkV単位の加速電圧、ρは密度(g/cm3)であり、この時、右辺はμm単位で電子の飛程を与える。(Jon Orloff編:Handbook of Charged Particle Optics,1997年, CRC Press、p377)
A=12、Z=6とし、ρ=2.25g/cm3とすると、R=20.5μmである。
また、第4の部材16によって、マルチビーム形成アパーチャ部材203によって発生したX線を遮蔽する。第4の部材16の材料は、例えば、タングステン(W)等が好適である。第4の部材16の厚さは、X線を遮蔽するに十分な厚さにすることが好適である。また、第3の部材14によってアパーチャの開口部の形状寸法を高精度に加工する。よって、第1の部材10は、第3の部材14よりも若干大きく開口部が形成される。また、第1の部材10の開口部は、下側に細くなっていくテーパ状に形成されるとよい。そして、最小径の寸法が第3の部材14の開口部よりも若干大きく形成される。第3の部材14の材料として、例えば、シリコン(Si)等が好適である。また、また、第2の部材12によって、第1と第3の部材10,14の密着性を向上させる。第2の部材12の材料は、例えば、SiCが好適である。ここでは、一例として、4層の部材で構成されているが、これに限るものではない。例えば、第1と第4の部材10,16の2層によって構成されてもよい。かかる2層により、散乱電子とX線を遮蔽できる。
【0028】
従来のマルチビーム描画装置のように、マルチビーム形成アパーチャ部材とブランキングプレートとが近接して配置されている場合、マルチビーム形成アパーチャ部材で生じた散乱電子の他に、X線が発生する。かかるX線がブランキングプレートに侵入するとブランキングプレート内のロジック回路が損傷してしまうといった問題も起こる。実施の形態1によれば、制限アパーチャ部材216によって、マルチビーム形成アパーチャ部材203によって発生したX線を遮蔽できるので、X線がブランキングプレート204に侵入することを抑制できる。よって、とブランキングプレート204内のロジック回路28の損傷を回避できる。
【0029】
また、実施の形態1では、制限アパーチャ部材216がビームの上流側の真空チャンバと下流側の真空チャンバとを仕切る差動排気用部材として用いられる。そして、仕切られた電子鏡筒102内の制限アパーチャ部材216より上部(上流側)を高真空に保つことで、マルチビーム形成アパーチャ部材203で生じるコンタミの成長を抑制できる。
更に、マルチビーム形成アパーチャ部材203の周囲部分または保持部分に図示していない加熱手段を設けて、マルチビーム形成アパーチャ部材203の温度を例えば150℃以上に保つ様にすることもコンタミの成長を抑制する上で有効である。加熱手段としては例えば抵抗加熱を用いることができる。この時に抵抗に流す電流による磁場が電子ビーム軌道に影響を与えない様に電流の流れを規定することが望ましい。 例えば加熱用抵抗としてニクロム線を用いる場合は、電気的に絶縁させた、戻り電流を流す銅線とより線構造にすることが有効である。この時、制限アパーチャ部材216は、常温で一定温度になる様に温度制御された鏡筒本体に接続することにより、温度を一定に保つ様にする。これにより制限アパーチャ部材216は熱シールドとしても機能する。この様にすることで、ブランキングプレート204へのマルチビーム成型アパーチャ203からの熱輻射による熱流入を抑制することが出来る。
【0030】
以上のように、マルチビーム形成アパーチャ部材203とブランキングプレート204との間に電磁レンズ212,214が配置され、電磁レンズ212,214の間に制限アパーチャ部材216が配置されることで、散乱電子がブランキングプレート204に入射するのを防止できる。よって、ブランキングプレート204への帯電とコンタミ成長を抑制することができる。その結果、描画装置の寿命を向上させることができる。
【0031】
図6は、実施の形態1における描画動作を説明するための概念図である。図6(a)に示すように、試料101の描画領域30は、例えば、y方向に向かって所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域32に仮想分割される。かかる各ストライプ領域32は、描画単位領域となる。まず、XYステージ105を移動させて、第1番目のストライプ領域32の左端、或いはさらに左側の位置に一回のマルチビーム20の照射で照射可能な照射領域34が位置するように調整し、描画が開始される。第1番目のストライプ領域32を描画する際には、XYステージ105を例えば−x方向に移動させることにより、相対的にx方向へと描画を進めていく。XYステージ105は所定の速度で例えば連続移動させる。第1番目のストライプ領域32の描画終了後、ステージ位置を−y方向に移動させて、第2番目のストライプ領域32の右端、或いはさらに右側の位置に照射領域34が相対的にy方向に位置するように調整し、今度は、図6(b)に示すように、XYステージ105を例えばx方向に移動させることにより、−x方向にむかって同様に描画を行う。第3番目のストライプ領域32では、x方向に向かって描画し、第4番目のストライプ領域32では、−x方向に向かって描画するといったように、交互に向きを変えながら描画することで描画時間を短縮できる。但し、かかる交互に向きを変えながら描画する場合に限らず、各ストライプ領域32を描画する際、同じ方向に向かって描画を進めるようにしても構わない。各ストライプ32を描画する際、x方向に向かってXYステージ105が移動する中、偏向器208によってy方向に各ショットが順に移動する(スキャンする)ように偏向し、ショットビームを連続して順に照射していくラスタースキャン方式で描画する。例えば、x方向への移動速度とy方向へのスキャン速度が1:1であれば、図6(c)に示すように、アパーチャ部材203の1つの穴Aを通過したビームによるショットパターン36は、1回目に照射された位置からy方向から−x方向側に45度の角度の方向(135度の方向)に順にずれながら照射されていくことになる。同様に、アパーチャ部材203の1つの穴Bを通過したビームによるショットパターン36は、1回目に照射された位置からy方向から−x方向側に45度の角度の方向に順にずれながら照射されていくことになる。アパーチャ部材203の各穴CからHを通過した各ビームによるショットパターン36も、同様に、それぞれ1回目に照射された位置からy方向から−x方向側に45度の角度の方向に順にずれながら照射されていくことになる。このように、一度に照射される縦横2×2のビームで囲まれる各領域内をラスタースキャン方式で描画していくことになる。縦横2×2のビームで囲まれる各領域は、図中下側の横2つのビーム位置を含み、上側の2つのビーム位置は、当該領域の1段y方向側の領域に含まれる。
【0032】
図7は、実施の形態1におけるラスタースキャンの描画動作を説明するための概念図である。例えば、アパーチャ部材203についてx方向に8つの穴A〜Hが形成されている場合に、一度に照射されるx方向に隣り合うショットパターン36間をステージが移動する間に、一度に照射される縦横2×2のビームで囲まれる各領域内を複数回のショットのビームで照射する。例えば、所定の量子化寸法で格子状に配置した制御グリッド(AU:アドレスユニット)のサイズを一度に照射される縦横2×2のビームで囲まれる各領域内をnAU×nAUになるサイズに設定し、ステージ移動中、かかる縦横2×2のビームで囲まれる各領域をAU(制御グリッド)間隔でn回のショットのビームで照射する。ここでは、AUのサイズを一度に照射される理想的な縦横2×2のビームで囲まれる各領域内を8AU×8AUになるサイズに設定し、ステージ移動中、かかる縦横2×2のビームで囲まれる各領域をAU毎にショットし、8回のショットのビームで照射する。例えば、穴Aの8回目のショットは、隣りの穴Bの1回目のショットのy方向に8AU分ずれた位置に照射される。AU毎にショットする場合に、アパーチャ部材203の1つの穴Aを通過したビームによるショットパターン36について、x、y方向にショットパターン36同士が重なり合うように照射していく方法がパターン精度得る上で望ましい。ここでは、例えば、ビームサイズがAUの2倍になるように設定している。この場合、x、y方向にそれぞれ1/2ずつショットパターン36同士が重なり合うように照射していくことになる。
【0033】
図8は、実施の形態1におけるビーム間ピッチのn倍の長さステージ移動させた場合の各ショットの照射位置の一例をより詳細に説明するための概念図である。図8において、丸で囲まれた数字のうち、「1」はアパーチャ部材203の各穴Aを通過したビームによるショット位置を示す。図8において、丸で囲まれた数字のうち、「2」はアパーチャ部材203の各穴Bを通過したビームによるショット位置を示す。図8において、丸で囲まれた数字のうち、「3」はアパーチャ部材203の各穴Cを通過したビームによるショット位置を示す。図8において、丸で囲まれた数字のうち、「4」はアパーチャ部材203の各穴Dを通過したビームによるショット位置を示す。図8において、丸で囲まれた数字のうち、「5」はアパーチャ部材203の各穴Eを通過したビームによるショット位置を示す。図8において、丸で囲まれた数字のうち、「6」はアパーチャ部材203の各穴Fを通過したビームによるショット位置を示す。図8において、丸で囲まれた数字のうち、「7」はアパーチャ部材203の各穴Gを通過したビームによるショット位置を示す。図8において、丸で囲まれた数字のうち、「8」はアパーチャ部材203の各穴Hを通過したビームによるショット位置を示す。また、「11」から「18」は、アパーチャ部材203の各穴A〜HとはY方向に1段上に位置する別の各穴を示す。また、四角で囲まれた位置は、アパーチャ部材203の各穴A〜Hの位置を示す。アパーチャ部材203の各穴A〜Hを通過したビームによる各ショットパターン36は、理想的には互いにビーム間ピッチだけ離れた位置にそれぞれ照射される。そして、ビーム間ピッチをAU(制御グリッド)間隔でn回(ここでは8回)ショットしながらビーム間ピッチのn倍(ここでは8回)の長さをステージ移動させると、図8に示すように、一度に照射される縦横2×2のビームで囲まれる各領域内は、アパーチャ部材203の各穴A〜Hを通過したビームによる各ショットパターン36によって埋め尽くされることになる。描画したいパターンの形状に応じて、かかるショットのうち、不要なショットのビームをoffにすれば、残りのショットパターン36を繋ぎ合わせることによって試料101上に所望の形状のパターンを描画することができる。
【0034】
図8では、ステージ移動方向を+X方向とし、それと直行するY方向にビーム全体をスキャンするように制御する。この様子を同図の右側に概念的に矢印で図示している。また、アパーチャの開口(穴)位置の下にスキャン開始のタイミングを、T=0を基準として、T=−6〜7で示している。図6は、T=0の時点で、各ビームがスキャンを開始する描画位置を模式的に表している。この例では、ステージの+X方向ステージ移動に合わせてYスキャンを行うことで、描画位置が相対的に−X方向に移動しながら、全面をビームショットで塗りつぶして行く。T=0で0回目のY方向スキャンが終わると、ビーム位置は隣のビームの1AU(−X方向へ)ずれた所にあり、ここから1回目(T=1)のスキャンを開始する。ステージ移動速度は、1回のYスキャンが終わった時点でビーム位置が隣のビームの1AU(−X方向へ)ずれた所になるように制御される。Y方向上下のビームについても同様に描画が行われ、AU単位で全面を塗り潰すようにビームショットができる。これらのビームショットの各々にどの程度の照射量を与えるかで様々なパターンが描画されることになる。
【0035】
図9は、実施の形態1におけるビーム間ピッチのn倍の長さステージ移動させた場合の各ショットの照射位置の他の一例をより詳細に説明するための概念図である。図9において、丸で囲まれた数字と、アパーチャ部材203の各穴の位置との関係は図8と同様である。また、「11」から「18」は、アパーチャ部材203の各穴A〜HとはY方向に1段上に位置する別の各穴を示す。また、四角で囲まれた位置は、アパーチャ部材203の各穴A〜Hの位置を示す。図9では、図8の変形例を示す。この例は、図8の例に対して、さらにX方向のスキャンを組み合わせたものである。0回目(T=0)のYスキャンが終了すると、この図の例では、原点位置(スキャン開始位置)は左側の穴を通過したビームの0回目(T=0)のスキャン開始位置と一致する。言い換えれば、そのようにステージ速度を制御する。左の穴のビームの描画位置と重ならないように、1回目(T=1)のスキャン開始位置を左(−X方向)へ1制御ユニット(1AU)だけずらして(Xスキャンして)Yスキャンを開始する。このような処理を順次繰り返す。T=7の時点でのスキャンを終えると、X方向の偏向量は0に戻して、再び同じ処理を繰り返す。
【0036】
図10は、実施の形態1におけるビーム間ピッチのn倍の長さステージ移動させた場合の各ショットの照射位置の他の一例をより詳細に説明するための概念図である。図10では、図8のさらなる変形例を示す。図10において、丸で囲まれた数字と、アパーチャ部材203の各穴の位置との関係は図8と同様である。また、「11」から「18」は、アパーチャ部材203の各穴A〜HとはY方向に1段上に位置する別の各穴を示す。また、四角で囲まれた位置は、アパーチャ部材203の各穴A〜Hの位置を示す。図10の例では、Yスキャンをステージ移動に追従してほぼ45°方向に行う。その結果、図に示すように、Yスキャンによる照射位置はX方向には移動せずに+Y方向へ順次描画されることになる。ステージ移動速度は、1回のYスキャンが終わった時点でビーム位置が隣のビームの1AU(−X方向へ)ずれた所になるように制御される。このように描画を行うと、各ビームの照射位置がXYに整列した描画位置とすることができる。
【0037】
図11は、実施の形態1におけるビーム間ピッチのn倍の長さステージ移動させた場合の各ショットの照射位置の他の一例をより詳細に説明するための概念図である。図11では、図10のさらなる変形例を示す。図11において、丸で囲まれた数字と、アパーチャ部材203の各穴の位置との関係は図8と同様である。また、「11」から「18」は、アパーチャ部材203の各穴A〜HとはY方向に1段上に位置する別の各穴を示す。また、四角で囲まれた位置は、アパーチャ部材203の各穴A〜Hの位置を示す。図11には、図10の例にX方向スキャンを組み合わせた例を示す。Y方向スキャンと共に、ステージ速度に追従してX方向へ移動するように描画位置を順に制御すると、描画位置は順にY方向へ移動した位置へ描画される。0回目(T=0)のステージ移動に追従したYスキャンが終了すると、この図の例では、原点位置(スキャン開始位置)は左側の穴を通過したビームの0回目(T=0)のスキャン開始位置と一致する。言い換えれば、そのようにステージ速度を制御する。左の穴のビームの描画位置と重ならないように、1回目(T=1)のスキャン開始位置をXスキャンにより左(−X方向)へ1制御ユニット(1AU)だけずらしてステージ移動に追従したYスキャンを開始する。このような処理を順次繰り返す。T=7の時点でのスキャンを終えると、X方向の偏向量は0に戻して、再び同じ処理を繰り返す。ここで、例えば、さらにY方向のスキャン速度を変えると、Y方向のショット間隔が変えられる。
【0038】
図8〜図11で各ショットの照射位置の一例を示したように、ステージ移動と組み合わせたスキャンの方法は色々と選択できる。Y方向スキャンのみで描画する方法は制御がシンプルで済むというメリットがあるが、X方向のスキャンが無い分だけ融通性が乏しい。一方、XY両方向のスキャンを組み合わせた方法にはより選択肢があるというメリットがある。例えば、図8〜図11の例で示したように、スキャン方法を切り替えればビーム間のショット数を変えて(制御ユニットを変えて)描画することが可能となる。これらは、設計の要求に合わせて選択されれば良い。
【0039】
以上のように、マルチビーム形成後、マルチビームのブランキング偏向を行う前に、マルチビーム形成アパーチャ部材203を通過したマルチビームを集束させる。そして、マルチビームのブランキング偏向を行う前であってマルチビーム形成アパーチャ部材203を通過したマルチビームを集束させた後に、制限アパーチャ部材216を用いて、集束点から外れた荷電粒子の通過を制限する。そして、工程と、
制限アパーチャ部材216を通過したマルチビームを、複数のブランカーを有するブランカーアレイに投影する。かかる構成により、マルチビーム形成アパーチャ部材203で生じた散乱電子とX線とがブランカーアレイに入射することを抑制できる。
【0040】
実施の形態2.
実施の形態1では、ブランキングプレート204には、マルチビーム形成アパーチャ部材203の各穴22の配置位置に合わせて通過孔が形成された例を示した。これにより、ブランキングプレート204は、マルチビーム形成アパーチャ部材203で形成されたマルチビームと同じサイズのビームを偏向している。実施の形態2では、マルチビーム形成アパーチャ部材203で形成されたマルチビームのサイズを変更可能な装置構成について説明する。以下、特に説明する点以外の内容は実施の形態1と同様である。
【0041】
図12は、実施の形態2における描画装置の構成を示す概念図である。図12において、マルチビーム形成アパーチャ部材203と制限アパーチャ部材216との間に、複数の電磁レンズ212,213を配置し、制限アパーチャ部材216とブランキングプレート204との間に、複数の電磁レンズ215,214を配置した点以外は、図1と同様である。但し、図12において、ブランキングプレート204におけるマルチビームの通過孔は、マルチビーム形成アパーチャ部材203の各穴22の配置位置とは、その配置ピッチが異なっている。
【0042】
図13は、実施の形態2におけるマルチビーム形成アパーチャ部材とブランキングプレート間でのマルチビームのサイズを説明するための概念図である。図13において、マルチビーム形成アパーチャ部材203の複数の穴22を通過することによって、形成されたマルチビーム20は、電磁レンズ212によって屈折させられ、さらに、電磁レンズ213によって屈折させられて集束する。そして、集束位置に配置される制限アパーチャ部材216(第2のアパーチャ部材)によって、集束点から外れた散乱電子300の通過が制限される。そして、制限アパーチャ部材216によって散乱電子がカットされたマルチビーム20は、電磁レンズ215によって屈折させられ、さらに、電磁レンズ214によって屈折させられてブランキングプレート204にほぼ垂直に投影される。その際、複数の電磁レンズ212,213の励磁比R1/R2と、複数の電磁レンズ215,214の励磁比r1/r2と、を可変にすることで、電磁レンズの配置位置を動かさなくてもマルチビーム20のサイズを可変にできる。言い換えれば、マルチビーム形成アパーチャ部材203によって形成されたマルチビーム20のサイズd1と、ブランキングプレート204に投影されるマルチビーム20のサイズd2とを変更することができる。
【0043】
図14は、実施の形態2におけるマルチビームで形成されるパターン像のサイズの一例を示す図である。例えば、ビームサイズを縮小するように励磁することで、試料101へ照射されるパターンのサイズを図14(a)に示す1:1のサイズのショットパターン37から図14(b)に示す縮小サイズのショットパターン38へと調整することができる。
【0044】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した例では、電磁レンズ212,213,214,215を用いたが、静電レンズを用いても構わない。また、上述した例では、ビームon状態のマルチビームを偏向器208で試料101の所望の位置へと偏向しているが、これに限るものではない。偏向器208を搭載せずに、そのまま照射してもよい。また、上述した例では、ブランキングプレート204内の各ブランカーにロジック回路を設けたがこれに限るものではない。ロジック回路は、ブランキングプレート204の外部にあっても構わない。
【0045】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0046】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのマルチ荷電粒子ビーム描画装置及び方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0047】
20 マルチビーム
22 穴
24,26 電極
28 ロジック回路
30 描画領域
32 ストライプ領域
34 照射領域
36,37,38 ショットパターン
100 描画装置
101,340 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
112 メモリ
130,132 偏向制御回路
136 DACアンプ
140 記憶装置
150 描画部
160 制御部
200,310 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203 マルチビーム形成アパーチャ部材
204 ブランキングプレート
205 電磁レンズ
206,216 制限アパーチャ部材
207 対物レンズ
208 偏向器
212,213,214,215 電磁レンズ
222,224 真空ポンプ
300 散乱電子
500 電子ビーム
501 電子銃
510 マスク
512 ブランキング偏向電極アレイ
520 コンタミ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを放出する放出部と、
複数の開口部を有し、前記複数の開口部全体が含まれる領域に前記荷電粒子ビームの照射を受け、前記複数の開口部を前記荷電粒子ビームの一部がそれぞれ通過することにより、マルチビームを形成する第1のアパーチャ部材と、
前記第1のアパーチャ部材の複数の開口部を通過したマルチビームのうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う複数のブランカーが配置されたブランカーアレイと、
前記第1のアパーチャ部材と前記ブランカーアレイとの間に配置された、第1と第2の電子レンズと、
前記第1と第2の電子レンズの間であって前記マルチビームの集束点位置に配置され、前記集束点から外れた荷電粒子の通過を制限する第2のアパーチャ部材と、
前記複数のブランカーによってビームoffの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する第3のアパーチャ部材と、
を備えたことを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項2】
前記第1と第2の電子レンズに対し、逆向きかつ同じ大きさで励磁するレンズ制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項3】
前記第2のアパーチャ部材は、積層構造によって形成され、ビームの入射方向に対して上層部材が下層部材よりも低原子番号の材料によって形成され、上層部材の厚さが荷電粒子の飛程よりも厚く形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項4】
前記第2のアパーチャ部材は、ビームの上流側の真空チャンバと下流側の真空チャンバとを仕切る差動排気用部材として用いられることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項5】
荷電粒子ビームを放出する工程と、
複数の開口部を有する第1のアパーチャ部材を用いて、前記複数の開口部全体が含まれる領域に前記荷電粒子ビームの照射を受け、前記複数の開口部を前記荷電粒子ビームの一部がそれぞれ通過することにより、マルチビームを形成する工程と、
マルチビームのブランキング偏向を行う前に、前記第1のアパーチャ部材を通過したマルチビームを集束させる工程と、
マルチビームのブランキング偏向を行う前であって前記第1のアパーチャ部材を通過したマルチビームを集束させた後に、第2のアパーチャ部材を用いて、集束点から外れた荷電粒子の通過を制限する工程と、
前記第2のアパーチャ部材を通過したマルチビームを、複数のブランカーを有するブランカーアレイに投影する工程と、
複数のブランカーを用いて、ブランカーアレイに投影されたマルチビームのうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う工程と、
第3のアパーチャ部材を用いて、前記複数のブランカーによってビームoffの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する工程と、
前記第3のアパーチャ部材を通過したマルチビームを用いて、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−93566(P2013−93566A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219474(P2012−219474)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】