説明

マレイミド系高分子の組成物、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子

【課題】液晶配向剤に含有させたときに溶解度や塗布性が改善された新規な組成物を提供する。
【解決手段】特定の構造のビスマレイミドと特定の構造のジアミンとを反応させて得られるマレイミド系高分子、該高分子及び特定の溶剤を用いた組成物、ならびにこの組成物を用いた液晶配向剤及びその他の材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のビスマレイミドとジアミンとを重合させて得られるマレイミド系高分子、該高分子を含有する液晶配向剤、該液晶配向剤から形成される液晶配向膜、及び該液晶配向膜を用いた液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、ノートパソコンやデスクトップパソコンのモニターをはじめ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型のディスプレイ等の様々な液晶表示装置に使われており、最近ではテレビとしても用いられるようになってきた。さらに液晶表示素子は、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子としても利用されている。
【0003】
液晶表示素子は、通常は、1)対向配置されている一対の基板、2)前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極、3)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、及び4)前記一対の基板間に形成された液晶層、を有する。
【0004】
従来の液晶表示素子としては、ネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、1)90度ツイストしたTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子、2)通常180度以上ツイストしたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、3)薄膜トランジスタを使用したいわゆるTFT(Thin Film Transistor)型液晶表示素子が実用化されている。これらの液晶表示素子は、画像が適正に視認できる視野角が狭く、斜め方向から見たときに、輝度やコントラストの低下及び中間調での輝度反転を生じるという欠点を有している。
【0005】
近年、この視野角の問題については、1)光学補償フィルムを用いたTN−TFT型液晶表示素子、2)垂直配向と光学補償フィルムを用いたVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子、3)垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi Domain Vertical Alignment)型液晶表示素子、又は4)横電界方式のIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、5)ECB(Electrically Controlled Birefringence)型液晶表示素子、6)光学補償ベンド(Optically Compensated Bend又はOptically self−Compensated Birefringence:OCB)型液晶表示素子等の技術により改良されており、改良された技術が実用化、又は検討されている。
【0006】
液晶表示素子の技術の発展は、単にこれらの駆動方式や素子構造の改良のみならず、液晶表示素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は、液晶表示素子の表示品位に係わる重要な要素の一つであり、液晶表示素子の高品質化に伴って液晶配向膜の役割が年々重要になってきている。
【0007】
液晶配向膜は、液晶配向剤より調製される。従来用いられてきた液晶配向剤の代表的なものには、テトラカルボン酸無水物又はその誘導体と、ジアミン又はその誘導体とを反応させて得られる、ポリアミック酸又は可溶性のポリイミドを有機溶媒に溶解させた溶液が挙げられる。通常、ポリイミド系配向剤とは、上記方法で得られる高分子を用いたものを示す。
【0008】
一方、ポリイミド以外にも、ビスマレイミドとジアミンとを反応させて得られるマレイミド系高分子も液晶配向剤として使用できることが知られている(例えば、特許文献1、2、3、及び4参照)。さらに特許文献1によると、これらの高分子を使用した場合、良好な電気光学特性が得られることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平07−110483号公報
【特許文献2】特開平09−048852号公報
【特許文献3】特開平05−148360号公報
【特許文献4】特公昭48−043676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記引用文献に記載の技術では、実際に高分子を製造したとき、又は製造した高分子を組成物に含有させたとき、高分子の溶解度や塗布性に改善の余地がある。
そこで本発明は、高分子の溶解度や塗布性が改善された新規な組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意研究を行った。
その結果、特定のビスマレイミドと特定のジアミンとを用いた特定のマレイミド系高分子が、液晶配向剤に含有させたときに良好な溶解性を示すと共に、このマレイミド系高分子を用いることにより、液晶配向剤の塗布性を改善できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は以下の構成からなる。
【0013】
[1] ビスマレイミドとジアミンとを反応させて得られるマレイミド系高分子を含有する、以下の(W1)〜(W9)の何れかである組成物。
(W1):ビスマレイミドが下記式(M)で示される化合物を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−3)、(IV−1−4)、(V−1−20)、(V−1−21)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W2):ビスマレイミドが下記式(M2)で示される化合物を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W3):ビスマレイミドが下記式(M2)で示される化合物と下記式(M)及び(M3)〜(M6)で示される化合物の群から選択される一以上とを含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W4):ビスマレイミドが下記式(M3)で示される化合物を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、及び(V−1−20)〜(V−1−22)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W5):ビスマレイミドが下記式(M4)で示される化合物を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W6):ビスマレイミドが下記式(M4)で示される化合物と下記式(M)、(M2)、(M5)、及び(M6)で示される化合物の群から選択される一以上とを含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W7):ビスマレイミドが下記式(M5)及び下記式(M6)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W8):ビスマレイミドが下記式(M4)〜(M6)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、さらに溶剤として下記式(1)〜(8)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W9):ビスマレイミドが下記式(M)及び(M2)〜(M6)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−3)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、さらに溶剤として下記式(1)〜(8)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
【0014】
【化1】

(式(M)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜5の直鎖アルキルを表す。)
【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

(式(4)中、Rは炭素数1〜4のアルキルを表す。)
【0018】
[2] W1及びW9におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W2及びW5におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W3及びW6〜W8におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W4におけるジアミンが前記式(II−1−21)、(II−1−28)、及び(IV−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W8及びW9における溶剤が前記式(1)〜(6)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、[1]に記載の組成物。
【0019】
[3] W1におけるビスマレイミドが下記式(M1)で示される化合物を含み、
W1におけるジアミンが前記式(II−1−23)、(II−1−24)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W2におけるジアミンが前記式(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W3におけるビスマレイミドが前記式(M2)で示される化合物と下記式(M1)、前記式(M4)、及び(M5)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W3におけるジアミンが前記式(II−1−24)、(IV−1−1)及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W5におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−22)、(II−1−25)、(II−1−29)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W6におけるビスマレイミドが前記式(M4)で示される化合物と下記式(M1)及び前記式(M5)で示される化合物の群から選択される一以上とを含み、
W6におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−25)、(II−1−29)、及び(IV−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W7におけるジアミンが前記式(II−1−24)、(II−1−25)、(II−1−29)、及び(IV−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W8におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−22)、(II−1−24)、(II−1−25)、(II−1−29)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W9におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、[2]に記載の組成物。
【0020】
【化5】

【0021】
[4] マレイミド系高分子が、ビスマレイミドとジアミンと下記式(VS−1)、(HS−1)、及び(HS−2)で示される化合物の群から選択される一以上とを反応させて得られる、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の組成物。
【0022】
【化6】

【0023】
[5] 溶剤として水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を含む、[1]〜[4]に記載の組成物。
【0024】
[6] 水酸基を有する溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、又は、前記式(1)〜(8)で示される化合物の少なくとも1つであり、
プロトン性アミド系溶剤が下記式(9)〜(13)で示される化合物の少なくとも1つである、[5]に記載の組成物。
【0025】
【化7】

【0026】
[7] 水酸基を有する溶剤が前記式(1)で示される化合物である、[6]に記載の組成物。
【0027】
[8] マレイミド系高分子が、ビスマレイミドとジアミンとを含有する原料を、水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤中で重合させて高分子を得る工程により製造した、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の組成物。
【0028】
[9] 水酸基を有する溶剤が前記式(1)〜(8)で示される化合物の群から選択される一以上であり、プロトン性アミド系溶剤が前記式(9)〜(13)で示される化合物の群から選択される一以上である[8]に記載の組成物。
【0029】
[10] 水酸基を有する溶剤が前記式(1)で示される化合物である[9]に記載の組成物。
【0030】
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を含有する被覆材料。
【0031】
[12] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を含有する絶縁材料。
【0032】
[13] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を含有する接着剤。
【0033】
[14] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を含有する封止材。
【0034】
[15] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を含有するプリント配線基板用材料。
【0035】
[16] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を含有する成形材料。
【0036】
[17] [1]〜[10]の何れか一項に記載の組成物を含有する液晶配向剤。
【0037】
[18] [17]に記載の液晶配向剤の塗膜が焼成されて形成される液晶配向膜。
【0038】
[19] 一対の基板と、液晶分子を含有し、前記一対の基板の間に形成される液晶層と、液晶層に電圧を印加する電極と、前記液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜とを有する液晶表示素子において、
前記液晶配向膜が[18]に記載の液晶配向膜である液晶表示素子。
【発明の効果】
【0039】
本発明の組成物ではマレイミド系高分子が良好に溶解され、例えば液晶配向剤等の塗布用組成物としての塗布性を改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明のマレイミド系高分子は、下記式ビスマレイミドとジアミンとを反応させて得られるものである。
本発明で用いられる上記ビスマレイミドは、下記式(M)、(M2)〜(M6)で示される構造を有する。
【0041】
【化8】

(式(M)中、Rはそれぞれ独立して直鎖の炭素数1〜5のアルキルを表す。)
【0042】
上記式(M)において、Rの具体例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル等が挙げられる。
この中でも特に、メチル又はエチルであることが好ましく、下記式(M1)で示されるように、メチルとエチルの組み合わせであることが特に好ましい。
【0043】
【化9】

【0044】
本発明で用いられる上記ジアミンは、下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される構造を有するジアミン及びピペラジンである。
【0045】
【化10】

【0046】
【化11】

【0047】
本発明の組成物としては、以下に示す(W1)〜(W9)の組み合わせの組成物が挙げられる。
【0048】
W1は、ビスマレイミドが前記式(M)で示される化合物を含み、かつジアミンが前記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−3)、(IV−1−4)、(V−1−20)、(V−1−21)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物である。W1において、ビスマレイミドは前記の範囲で一種でも二種以上でもよく、ジアミンも前記の範囲で一種でも二種以上でもよい。
【0049】
W1において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)、(II−1−7)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−3)、(IV−1−4)、(V−1−20)、(V−1−21)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、高分子の溶解度、塗布性、耐ラビング性、配向性、及び電気特性の観点から好ましい。またW1において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−3)、(II−1−8)、(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(V−1−20)、(V−1−21)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からより好ましい。さらにW1において、ジアミンは、前記式(II−1−3)、(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からさらに好ましく、ビスマレイミドが前記式(M1)で示される化合物を含み、ジアミンが前記式(II−1−23)、(II−1−24)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点から特に好ましい。
【0050】
W2は、ビスマレイミドが前記式(M2)で示される化合物を含み、かつジアミンが前記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物である。W2において、ビスマレイミドは前記の範囲で一種でも二種以上でもよく、ジアミンも前記の範囲で一種でも二種以上でもよい。
【0051】
W2において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、高分子の溶解度、塗布性、耐ラビング性、配向性、及び電気特性の観点から好ましい。またW2において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)、(II−1−28)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からより好ましい。さらにW2において、ジアミンは、前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点からさらに好ましく、ジアミンが前記式(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点から特に好ましい。
【0052】
W3は、ビスマレイミドが前記式(M2)で示される化合物と前記式(M)及び(M3)〜(M6)で示される化合物の群から選択される一以上とを含み、かつジアミンが前記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物である。W3において、ビスマレイミドは前記の範囲で一種でも二種以上でもよく、ジアミンも前記の範囲で一種でも二種以上でもよい。
【0053】
W3において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、高分子の溶解度、塗布性、耐ラビング性、配向性、及び電気特性の観点から好ましい。またW3において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からより好ましい。さらにW3において、ジアミンは、前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点からさらに好ましく、ビスマレイミドが前記式(M2)で示される化合物と前記式(M1)、前記式(M4)、及び(M5)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、ジアミンが前記式(II−1−24)、(IV−1−1)及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点から特に好ましい。
【0054】
W4は、ビスマレイミドが前記式(M3)で示される化合物を含み、かつジアミンが前記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、及び(V−1−20)〜(V−1−22)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物である。W4において、ビスマレイミドは前記の範囲で一種でも二種以上でもよく、ジアミンも前記の範囲で一種でも二種以上でもよい。
【0055】
W4において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、及び(V−1−20)〜(V−1−22)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、高分子の溶解度、塗布性、耐ラビング性、配向性、及び電気特性の観点から好ましい。またW4において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−3)、(II−1−8)、(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)、(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、及び(V−1−20)〜(V−1−22)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からより好ましい。さらにW4において、ジアミンは、前記式(II−1−21)、(II−1−28)、及び(IV−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点から特に好ましい。
【0056】
W5は、ビスマレイミドが前記式(M4)で示される化合物を含み、かつジアミンが前記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物である。W5において、ビスマレイミドは前記の範囲で一種でも二種以上でもよく、ジアミンも前記の範囲で一種でも二種以上でもよい。
【0057】
W5において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、高分子の溶解度、塗布性、耐ラビング性、配向性、及び電気特性の観点から好ましい。またW5において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)、(II−1−28)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からより好ましい。さらにW5において、ジアミンは、前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点からさらに好ましく、ジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−22)、(II−1−25)、(II−1−29)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点から特に好ましい。
【0058】
W6は、ビスマレイミドが前記式(M4)で示される化合物と前記式(M)、(M2)、(M5)、及び(M6)で示される化合物の群から選択される一以上とを含み、かつジアミンが前記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物である。W6において、ビスマレイミドは前記の範囲で一種でも二種以上でもよく、ジアミンも前記の範囲で一種でも二種以上でもよい。
【0059】
W6において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、高分子の溶解度、塗布性、耐ラビング性、配向性、及び電気特性の観点から好ましい。またW6において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からより好ましい。さらにW6において、ジアミンは、前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点からさらに好ましく、ビスマレイミドが前記式(M4)で示される化合物と前記式(M1)及び前記式(M5)で示される化合物の群から選択される一以上とを含み、ジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−25)、(II−1−29)、及び(IV−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点から特に好ましい。
【0060】
W7は、ビスマレイミドが前記式(M5)及び前記式(M6)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、かつジアミンが前記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物である。W7において、ビスマレイミドは前記の範囲で一種でも二種以上でもよく、ジアミンも前記の範囲で一種でも二種以上でもよい。
【0061】
W7において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、高分子の溶解度、塗布性、耐ラビング性、配向性、及び電気特性の観点から好ましい。またW7において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からより好ましい。さらにW7において、ジアミンは、前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点からさらに好ましく、ジアミンが前記式(II−1−24)、(II−1−25)、(II−1−29)、及び(IV−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、前記の観点から特に好ましい。
【0062】
W8は、ビスマレイミドが前記式(M4)〜(M6)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、かつジアミンが前記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、さらに溶剤として後述する式(1)〜(8)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物である。W8において、ビスマレイミドは前記の範囲で一種でも二種以上でもよく、ジアミンも前記の範囲で一種でも二種以上でもよい。
【0063】
W8において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−8)、(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、高分子の溶解度、塗布性、耐ラビング性、配向性、及び電気特性の観点から好ましい。またW8において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からより好ましい。さらにW8において、ジアミンは、前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であって、後述の式(1)〜(6)で示される化合物の群から選択される一以上の溶剤をさらに含有する組成物であることが、前記の観点からさらに好ましく、ジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−22)、(II−1−24)、(II−1−25)、(II−1−29)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含むことが、前記の観点から特に好ましい。
【0064】
W9は、ビスマレイミドが前記式(M)及び(M2)〜(M6)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、かつジアミンが前記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−3)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、さらに溶剤として後述する式(1)〜(8)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物である。W9において、ビスマレイミドは前記の範囲で一種でも二種以上でもよく、ジアミンも前記の範囲で一種でも二種以上でもよい。
【0065】
W9において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−8)、(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−3)、(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが、高分子の溶解度、塗布性、耐ラビング性、配向性、及び電気特性の観点から好ましい。またW9において、ジアミンは、前記式(II−1−1)〜(II−1−3)、(II−1−8)、(II−1−9)、(II−1−11)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(V−1−20)〜(V−1−22)、(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であることが前記の観点からより好ましい。さらにW9において、ジアミンは、前記式(II−1−3)、(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む組成物であって、後述する式(1)〜(6)で示される化合物の群から選択される一以上の溶剤をさらに含有する組成物であることが、前記の観点からさらに好ましく、ジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含むことが、前記の観点から特に好ましい。
【0066】
本発明のマレイミド系高分子は、上記ビスマレイミドと上記ジアミンとを反応させて得ることができるが、ビスマレイミドの一部をビスビニルスルホン系化合物で、ジアミンの一部をビスチオール系化合物で置き換えてもよい。
【0067】
ビスビニルスルホン系化合物は、具体的には下記式(VS−1)及び(VS−2)で示された化合物が挙げられる。
【0068】
【化12】

【0069】
ビスビニルスルホン系化合物の添加量は、適切な分子量の高分子を得る観点から、ビスマレイミド/ビスビニルスルホン系化合物のモル比が100/0〜10/90であることが好ましい。
【0070】
ビスチオール系化合物は、具体的には下記式(HS−1)及び(HS−2)で示された化合物が挙げられる。
【0071】
【化13】

【0072】
ビスチオール系化合物の添加量は、適切な分子量の高分子を得る観点から、ジアミン/ビスチオール系化合物のモル比が100/0〜50/50であることが好ましい。
【0073】
本発明のマレイミド系高分子は、上記ビスマレイミドと上記ジアミンとを、さらに必要に応じてビスビニルスルホン系化合物又はビスチオール系化合物を反応させて得ることができる。上記反応は、溶剤中で行われることが好ましい。
【0074】
反応時に使用する溶剤としては、例えば、水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤が挙げられる。水酸基を有する溶剤において、好ましい水酸基としては、アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基が挙げられる。
【0075】
アルコール性水酸基を有する溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及び、1)アルコール性水酸基、並びに、2)環状アミド、鎖状エステル、鎖状アミド及び環状エーテルからなる群から選択される1つ以上の基を有する高極性アルコール、が挙げられる。
【0076】
アルコール性水酸基を有する好ましい溶剤として、1)アルコール性水酸基、並びに、2)環状アミド、鎖状エステル、鎖状アミド及び環状エーテルからなる群から選択される1つ以上の基を有する高極性アルコールが挙げられる。本発明において、プロトン性アミド系溶剤とは、アミド基を構成する窒素原子上の水素原子の少なくとも一つが、アルキル等で置換されず水素原子のままである溶剤を指す。
【0077】
上記高極性アルコールの具体例として、下記式(1)で示されるテトラヒドロフルフリルアルコール、下記式(2)で示されるN−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン、下記式(3)で示される3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、下記式(4)で示される乳酸アルキル、及び下記式(5)で示されるN−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド、下記式(6)で示される化合物、下記式(7)で示される化合物、及び下記式(8)で示される化合物等が挙げられる。これらの化合物は、反応時(重合時)における副反応(架橋反応)を抑制する観点から好ましい。これらの中でも下記式(1)、(4)、(6)、又は(8)で示される化合物を用いることが好ましく、特に、下記式(1)で示されるテトラヒドロフルフリルアルコールを用いることが好ましい。
【0078】
【化14】

(式(4)中、Rは炭素数1〜4のアルキルを表す。)
【0079】
フェノール性水酸基を有する溶剤としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物は、反応時(重合時)における副反応(架橋反応)を抑制する観点から好ましい。
【0080】
プロトン性アミド系溶剤の具体例として、下記式(9)〜(13)で示される化合物等が挙げられる。これらの化合物は、反応時(重合時)における副反応(架橋反応)を抑制する観点、及び溶解性の向上の観点から好ましい。
【0081】
【化15】

【0082】
反応時に使用する溶剤は、水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択される溶剤を少なくとも一種用いることが好ましい。反応時に使用する、水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択される溶剤は、単独でも2種以上を組み合わせてもよい。また、反応時に使用する溶剤として、水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤以外の溶剤を組み合わせてもよい。
【0083】
前記マレイミド系高分子は、上記ビスマレイミドと上記ジアミンとが、モル比で0.8:1.2〜1.2:0.8の割合で存在する原料を反応に供することで得ることが好ましく、原料中のモル比が0.9:1.1〜1.1:0.9であることがより好ましい。
【0084】
前記マレイミド系高分子を得る際の反応(重合)温度は、モノマーの反応性等に応じて適宜変更してよい。好ましくは、−50℃〜溶媒の沸点である。より好ましくは、−20℃〜溶媒の沸点である。
反応時間は、モノマーの反応性等に応じて適宜変更してよい。好ましくは、1〜200時間である。より好ましくは、2〜100時間である。
また、重合時の圧力としては常圧であることが好ましい。
【0085】
また、上記のモル比でビスマレイミドとジアミンを含有する原料を本発明の組成物の製造方法の原料として用いると、分子量が5千〜50万程度のマレイミド系高分子を含有する組成物が得られる。
なお、本発明において分子量を測定する際には、測定機器にAlliance2695、WATERS社製を、展開溶剤に1%リン酸含有N,N−ジメチルホルムアミドを用い、標準試料としてポリスチレンを用いて液体クロマトグラフィー分析を行う。ここで用いるカラムは、HSPgel(登録商標) RTMB−M、WATERS社製が挙げられる。また本発明でいう分子量とは重量平均分子量をいう。
【0086】
本発明は、特定のマレイミド系高分子を含有する組成物(W1〜W7)、並びに特定のマレイミド系高分子及び特定の溶剤を含有する組成物(W8及びW9)に係る。
前記溶剤としては、上述した高極性アルコールが好ましく例示できる。
前記組成物は、例えば、前記マレイミド高分子の製造時に、溶媒置換をすることなく得られるマレイミド高分子を含有する溶液に含まれる溶剤をそのまま組成物が含有する溶剤として用いることができる。
あるいは、得られたマレイミド系高分子を含有する溶液に、重合時に用いた溶剤とは別の、活性水素基を有する溶剤、又はそれ以外の溶剤を加えて前記組成物を得てもよい。
【0087】
重合時に用いた溶剤とそれ以外の溶剤とを合わせた全溶剤の含有量は、前記組成物全量に対して、50〜99.5重量%であることが好ましく、70〜99重量%であることが特に好ましい。また、上記全溶剤に含まれる重合時に用いた溶剤の含有量は、1〜100重量%であることが好ましく、5〜100重量%であることが特に好ましい。本発明の組成物は、該組成物全量に対してマレイミド系高分子を0.5〜50重量%含有することが作業性の観点から好ましく、1〜30重量%であることが特に好ましい。さらに、前記組成物に含まれる重合時に用いた溶剤の含有量は、1〜99.5重量%であることが好ましく、5〜99重量%であることが特に好ましい。前記組成物は、マレイミド系高分子と溶剤以外の成分をさらに含有していてもよい。このようなさらなる成分としては、例えば各種添加剤が挙げられる。
【0088】
前記重合時に用いた溶剤とそれ以外の溶媒は、使用目的に応じて適宜選択され得る。例えば前記重合時に用いた溶剤とそれ以外の溶剤は、組成物の粘度等の物性の調整、取り扱いの容易さ、工程の簡略化等の観点から用いることができる。溶媒は一種でも二種以上でもよい。前記溶媒としては、例えばマレイミド系高分子成分に対して易溶性である極性有機溶媒、及び表面張力を変えて塗布性改善等を目的とする塗布性改善溶媒が挙げられ、前記溶媒はこれらを含む混合溶媒であることも好ましい。
【0089】
前記極性有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びN,N,N’,N’−テトラメチル尿素、が挙げられる。好ましい極性有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0090】
前記塗布性改善溶媒としては、例えば前記高極性アルコールが挙げられるが、それ以外に3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキル又はフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びこれらアセテート類等のエステル化合物が挙げられる。前記塗布性改善溶媒は、前記高極性アルコール、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される一以上であることが好ましい。
【0091】
極性溶媒と塗布性改善溶媒の種類及び割合は、組成物の用途に応じて適宜調整することができる。例えば、前記組成物を液晶配向剤に含有させるときは、その印刷性、塗布性、溶解性及び保存安定性等を考慮して、適宜に設定することができる。極性溶媒は、塗布性改善溶媒よりも相対的に溶解性及び保存安定性に優れ、塗布性改善溶媒は印刷性及び塗布性に優れる傾向がある。
【0092】
前記添加剤は、前記組成物の特定の性質を向上させる目的で適宜選択することができる。例えば、前記組成物を液晶配向剤に含有させるとき、その特定の性質を向上させる目的で用いられる成分であればよく、一種でも二種以上でもよい。前記添加剤としては、それぞれの目的に応じて用いられるマレイミド系高分子以外の高分子化合物及び低分子化合物が挙げられる。上記高分子化合物としては、例えばポリアミド及びポリイミドが挙げられる。
また、上記低分子化合物としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。
【0093】
本発明の組成物は、用途に応じて他の成分を添加し、また物性を調整することによって、液晶配向剤等の、成膜性ポリイミド系成分を含有する溶液の通常の用途に用いることができる。
【0094】
例えば本発明の組成物は、必要に応じて、着色剤、鉱油、充填剤、エラストマー、酸化防止剤、安定剤、消泡剤、伸展剤、可塑剤、触媒、顔料、顔料ペースト、補強材、流動制御剤、レベリング剤、粘稠化剤、燃焼遅延剤、硬化剤、硬化可能な化合物、及び、他の樹脂等の、組成物の用途に応じた公知の添加剤を添加することによって、被覆材料、絶縁材料、接着剤、封止材、プリント配線基板用材料、又は成形材料とすることができる。他の樹脂としては、例えばポリアミドやポリイミドが挙げられる。被覆材料としては、例えば、塗料、印刷用インキ、表面保護材料等のコーティング剤が挙げられる。また成形材料としては、例えばFRP(繊維強化プラスチック)用材料が挙げられる。
【0095】
前記の用途の本発明の組成物におけるマレイミド系高分子の含有量は、各用途に応じても異なるが、前記組成物の全量に対して0.5〜70重量%であることが好ましく、0.5〜50重量%であることが、作業性の観点から好ましい。前記の用途の本発明の組成物は、マレイミド系高分子を主原料とし、必要に応じて前記の溶剤を添加し、さらに前記の添加剤を添加した後、攪拌や混練等の適当な混合操作を行うことによって得ることができる。
【0096】
前記組成物を液晶配向剤に含有させるとき、前記マレイミド系高分子の含有率は、液晶配向剤の基板への塗布方法によっても選択され得る。例えば、通常の液晶表示素子の製造工程で用いられる印刷機(オフセット印刷機やインクジェット印刷機を含む。以下、「印刷機」と略すことがある。)で使用される液晶配向剤であれば、前記マレイミド系高分子の含有率は0.5〜30重量%であることが好ましく、1〜15重量%であることがより好ましいが、液晶配向剤の粘度(後述)との関係で適宜調整される。
【0097】
前記液晶配向剤の粘度は、塗布する方法、マレイミド系高分子の濃度、使用するマレイミド系高分子の種類、溶媒の種類と割合によって多種多様である。例えば、印刷機による塗布の場合は、液晶配向剤の粘度は5〜100mPa・sであることが好ましく、10〜80mPa・sであることがより好ましい。液晶配向剤の粘度が5mPa・s以上であることで液晶配向膜の十分な膜厚を得ることができ、100mPa・s以下であると印刷ムラが大きくなることを防げる。スピンコートによる塗布の場合は、液晶配向剤の粘度は5〜200mPa・sであることが好ましく、10〜100mPa・sであることがより好ましい。
【0098】
液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業(株)製TVE−20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
【0099】
本発明の液晶配向膜は、前述した本発明の液晶配向剤の膜を焼成して形成される。液晶配向剤の膜の形成及びその焼成は、フォトレジストにおける通常の方法によって行うことができる。
【0100】
前記液晶配向膜は、例えば液晶表示素子用の基板、又はフッ化カルシウムやシリコン等の測定用の基板に本発明の液晶配向剤を塗布し、この液晶配向剤の膜を例えば150〜400℃、好ましくは180〜280℃に加熱することによって形成することができる。ここで液晶配向膜の膜厚は、10〜300nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。また、液晶配向膜は、IPS型液晶表示素子のような横電界方式の液晶表示素子の用途である場合は、ラビング処理されていることが好ましい。
【0101】
前記液晶配向膜の膜厚は、液晶配向剤の粘度や液晶配向剤の塗布方法によって調整することができる。また液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。さらに液晶配向膜中の成分は、必要に応じて加水分解等の処理を行い、IRやMS等の通常の分析手段を利用して分析することができる。
【0102】
本発明の液晶表示素子は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極と、前記一対の基盤それぞれの対向している面に形成されている本発明の液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成されている液晶層を有する。
【0103】
前記対向配置された一対の電極付き基板は、透明基板(例えばガラス基板)であることが好ましい。
【0104】
前記一対の基板の少なくとも一方又は両方の基板の表面には、液晶表示素子の形態に応じて電極が設けられる。前記電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。電極は、基板の表面の全体に形成されていてもよいし、例えばパターン化されている所定の形状に形成されていてもよい。また電極は一対の基板の一方のみに設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。例えば電極が設けられていない基板には基板の表面上に本発明の液晶配向膜が形成され、電極が設けられている基板には電極の上に本発明の液晶配向膜が形成される。本発明の液晶配向膜の形成については前述したとおりである。
【0105】
前記一対の基板間に挟持された液晶層は液晶組成物を含む。ここで液晶組成物は特に制限はされず、駆動モードに応じて、誘電率異方性が正の液晶組成物及び誘電率異方性が負の液晶組成物のいずれの組成物も用いることができる。
【0106】
誘電率異方性が正である好ましい液晶組成物の例は、特許第3086228号公報、特許第2635435号公報、特表平5−501735号公報、特開平8−157826号公報、特開平8−231960号公報、特開平9−241644号公報(EP885272A1)、特開平9−302346号公報(EP806466A1)、特開平8−199168号公報(EP722998A1)、特開平9−235552号公報、特開平9−255956号公報、特開平9−241643号公報(EP885271A1)、特開平10−204016号公報(EP844229A1)、特開平10−204436号公報、特開平10−231482号公報、特開2000−087040公報、特開2001−48822公報等に開示されている。
【0107】
VA型液晶表示素子において用いられる液晶組成物は、誘電率異方性が負の各種の液晶組成物とすることができる。好ましい液晶組成物の例は、特開昭57−114532号公報、特開平2−4725号公報、特開平4−224885号公報、特開平8−40953号公報、特開平8−104869号公報、特開平10−168076号公報、特開平10−168453号公報、特開平10−236989号公報、特開平10−236990号公報、特開平10−236992号公報、特開平10−236993号公報、特開平10−236994号公報、特開平10−237000号公報、特開平10−237004号公報、特開平10−237024号公報、特開平10−237035号公報、特開平10−237075号公報、特開平10−237076号公報、特開平10−237448号公報(EP967261A1)、特開平10−287874号公報、特開平10−287875号公報、特開平10−291945号公報、特開平11−029581号公報、特開平11−080049号公報、特開2000−256307公報、特開2001−019965公報、特開2001−072626公報、特開2001−192657公報等に開示されている。
【0108】
前記誘電率異方性が正又は負の液晶組成物に、一つ以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
【0109】
本発明の液晶表示素子は、もちろんその他の部材を有していてもよい。例えば、薄膜トランジスタを使用したカラー表示のTFT型液晶素子においては、第1の透明基板上に薄膜トランジスタ、絶縁膜、保護膜、信号電極及び画素電極等が形成されており、第2の透明基板上に画素領域以外の光を遮断するブラックマトリクス、カラーフィルター、平坦化膜及び画素電極等を有し得る。
【0110】
また、VA型液晶表示素子、特にMVA型液晶表示素子においては、第1の透明基板上にドメインと称される微小な突起物が形成されている。また、基板間のセルギャップの調整用にスペーサーが形成されていてもよい。
【0111】
本発明の液晶表示素子は任意の方法で製作され得るが、例えば、1)前記二枚の透明基板上に液晶配向剤を塗布する工程、2)塗布された液晶配向剤を乾燥する工程、3)乾燥された液晶配向剤を脱水・閉環反応させるために必要な加熱処理をする工程、4)得られた液晶配向膜を配向処理する工程、5)二枚の基板を張り合わせた後に、基板の間に液晶組成物を封入する工程、又は一方の基板に液晶組成物を滴下させた後に、もう一方の基板と張り合わせる工程を含む方法で製作される。
【0112】
前記液晶配向剤を塗布する工程における塗布方法としては、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。
【0113】
また、前記乾燥工程及び脱水反応に必要な加熱処理を施す工程の方法として、オーブン又は赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。乾燥工程は、溶媒の蒸発が可能な範囲内の比較的低温(50〜140℃)で実施することが好ましい。加熱処理の工程は一般に150〜300℃程度の温度で行うことが好ましい。
【0114】
液晶配向膜への配向処理は、IPS型液晶表示素子、OCB型液晶表示素子、TN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子では通常ラビング処理を行う。VA型液晶表示素子ではラビング処理を行わないことが多いが行ってもよい。
【0115】
次いで、一方の基板上に接着剤を塗布し貼りあわせ真空中で液晶を注入する。滴下注入法の場合には、貼りあわせる前に液晶組成物を基板上に滴下し、その後もう一方の基板で貼りあわせる。貼りあわせに使用した接着剤を熱又は紫外線で硬化させて本発明の液晶表示素子が作製される。
【0116】
本発明の液晶表示素子には、偏光板(偏光フィルム)、波長板、光散乱フィルム、駆動回路等が実装されてもよい。
【実施例】
【0117】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例において用いた化合物は次の通りである。
モノマー:ビスマレイミド
下記式(M1)〜(M6)で示される化合物をそれぞれM1〜M6として用いた。
【0118】
【化16】

【0119】
モノマー:ジアミン
下記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、(V−1−20)で示されるジアミンを用いた。
【0120】
【化17】

【0121】
モノマー:ビスビニルスルホン系化合物
下記式(VS−1)で示される化合物を用いた。
【0122】
【化18】

【0123】
モノマー:ビスチオール系化合物
下記式(HS−1)又は(HS−2)で示される化合物を用いた。
【0124】
【化19】

【0125】
溶剤:水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系の溶剤
下記式(S1)〜(S9)で示される化合物をS1〜S9として、またクレゾール(市販の異性体混合物)をS10として用いた。
【0126】
【化20】

【0127】
溶剤:その他
N−メチル−2−ピロリドン:L1
エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル:L2
1,4−ジオキサン:L3
【0128】
<1.マレイミド系高分子の合成>
[合成例1]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに(II−1−24)を0.978g(11.35mmol)、及びS1を47.0g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いでM1を5.022g(11.35mmol)加えて、室温環境下で24時間反応させた。反応液は重合した高分子が均一に溶解し、重合時の攪拌は容易であった。24時間後、L1を47.0g入れて攪拌し、濃度が6重量%の均一なマレイミド系高分子を含有する組成物(溶液)を得た。この組成物をPM1とする。
【0129】
[合成例10]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに(II−1−24)を0.978g(11.35mmol)、S1を47.0g、及びL1を47.0g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いでM1を5.022g(11.35mmol)加えて、室温環境下で17時間反応させた。反応液は重合した高分子が均一に溶解し、重合時の攪拌は容易であった。濃度が6重量%の均一なマレイミド系高分子を含有する組成物(溶液)を得た。この組成物をPM10とする。
【0130】
[合成例2〜9、11〜19及び比較合成例1〜6]
表1〜3に示したようにビスマレイミドとジアミンとの種類と組成、溶剤の種類と使用量、及び重合温度と重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例1に準拠してマレイミド系高分子を含有する組成物(溶液)PM2〜PM9、PM12〜PM19、RPM1〜RPM6を、又は合成例10に準拠してマレイミド系高分子を含有する組成物(溶液)PM11を調製した。合成例1及び10を含めて、結果を表1〜3にまとめた。
【0131】
【表1】

【0132】
【表2】

【0133】
【表3】

【0134】
比較合成例1〜4、及び合成例1〜19では、重合中も高分子が均一に溶解し、攪拌が容易であり、均一な溶液が得られた。
比較合成例5では、重合中に高分子が析出し、重合後に溶剤で希釈しても、均一な溶液が得られなかった。
比較合成例6では、重合中に高分子が析出し、攪拌が困難であった。重合後に溶剤で希釈しても、均一な溶液が得られなかった。
【0135】
[合成例20〜34及び比較合成例7]
表4及び5に示したようにビスマレイミドとジアミンとの種類と組成、溶剤の種類と使用量、及び重合温度と重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例1に準拠してマレイミド系高分子を含有する均一な組成物RPM7、PM20〜PM34を調製した。下記比較合成例8を含めて、結果を表4及び5にまとめた。
【0136】
[比較合成例8]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに(II−1−24)を0.978g(11.35mmol)、及びS1を47.0g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いでM2を5.022g(11.35mmol)加えて、室温環境下で24時間反応させた。反応液は重合した高分子が析出して凝集し、重合時の攪拌が困難であった。24時間後、L1を47.0g入れて24時間攪拌したが、完全には溶解させることができなかった。このマレイミド系高分子を含む組成物をRPM8とする。結果を表4に示す。
【0137】
【表4】

【0138】
【表5】

【0139】
比較合成例7、及び合成例20〜34では、重合中も高分子が均一に溶解し、攪拌が容易であり、均一な溶液が得られた。
比較合成例8では、重合中に高分子が析出し、攪拌が困難であった。
【0140】
[合成例35〜41]
表6に示したようにビスマレイミドとジアミンとの種類と組成、溶剤の種類と使用量、及び重合温度と重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例1に準拠して均一なマレイミド系高分子を含有する組成物PM35〜PM41を調製した。比較合成例7、8を含めて、結果を表6にまとめた。
【0141】
【表6】

【0142】
比較合成例7、及び合成例35〜41では、重合中も高分子が均一に溶解し、攪拌が容易であり、均一な溶液が得られた。
比較合成例8では、重合中に高分子が析出し、攪拌が困難であった。重合後に溶剤で希釈しても、均一な溶液が得られなかった。
【0143】
[比較合成例9〜12、合成例42〜44]
表7に示したようにビスマレイミドとジアミンとの種類と組成、溶剤の種類と使用量、及び重合温度と重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例1に準拠してマレイミド系高分子を含有する組成物RPM9〜12、PM42〜PM44を調製した。結果を表7にまとめた。
【0144】
【表7】

【0145】
比較合成例9〜11、及び合成例42〜44では、重合中も高分子が均一に溶解し、攪拌が容易であり、均一な溶液が得られた。
比較合成例12では、重合中に高分子が析出し、攪拌が困難であった。重合後に溶剤で希釈しても、均一な溶液が得られなかった。
【0146】
[比較合成例13]
表8に示したようにビスマレイミドの種類、溶剤の種類と使用量、及び重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例10に準拠して均一なマレイミド系高分子を含有する組成物RPM13を調製した。結果を表8に示す。
【0147】
【表8】

【0148】
[比較合成例14、合成例45〜51]
表9に示したようにビスマレイミドとジアミンとの種類と組成、溶剤の種類と使用量、及び重合温度と重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例1に準拠してマレイミド系高分子を含有する組成物RPM14、PM45〜PM51を調製した。結果を表9にまとめた。
【0149】
【表9】

【0150】
合成例45〜51では、重合中も高分子が均一に溶解し、攪拌が容易であり、均一な溶液が得られた。
比較合成例14では、重合中に高分子が析出し、攪拌が困難であった。重合後に溶剤で希釈しても、均一な溶液が得られなかった。
【0151】
[合成例53、58]
表10に示したようにビスマレイミドとジアミンとの種類と組成、溶剤の種類と使用量、及び重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例10に準拠して均一なマレイミド系高分子を含有する組成物PM54及びPM59を調製した。比較合成例13を含めて、結果を表10にまとめた。
【0152】
【表10】

【0153】
比較合成例13、合成例53、及び合成例58では、重合中も高分子が均一に溶解し、攪拌が容易であり、均一な溶液が得られた。
【0154】
[合成例52、54〜57、59]
表11に示したようにビスマレイミドとジアミンとの種類と組成、溶剤の種類と使用量、及び重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例1に準拠してマレイミド系高分子を含有する組成物PM53、PM55〜58、及びPM60を調製した。比較合成例14を含めて、結果を表11にまとめた。
【0155】
【表11】

【0156】
合成例53、55〜58、及び60では、重合中も高分子が均一に溶解し、攪拌が容易であり、均一な溶液が得られた。
比較合成例14では、重合中に高分子が析出し、攪拌が困難であった。重合後に溶剤で希釈しても、均一な溶液が得られなかった。
【0157】
[合成例60、61]
表12に示したようにビスマレイミドとジアミンとの種類と組成、溶剤の種類と使用量、及び重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例10に準拠して均一なマレイミド系高分子を含有する組成物PM61及びPM62を調製した。比較合成例13を含めて、結果を表12にまとめた。
【0158】
【表12】

【0159】
比較合成例13、合成例61、及び合成例62では、重合中も高分子が均一に溶解し、攪拌が容易であり、均一な溶液が得られた。
【0160】
[合成例62、63]
表13に示したようにビスマレイミドとジアミンとの種類と組成、溶剤の種類と使用量、及び重合温度と重合時間をそれぞれ変更した以外は、合成例1に準拠してマレイミド系高分子を含有する組成物PM63及びPM64を調製した。比較合成例14を含めて、結果を表13にまとめた。
【0161】
【表13】

【0162】
合成例62及び63では、重合中も高分子が均一に溶解し、攪拌が容易であり、均一な溶液が得られた。
比較合成例14では、重合中に高分子が析出し、攪拌が困難であった。重合後に溶剤で希釈しても、均一な溶液が得られなかった。
【0163】
<2.液晶表示素子の作製>
[実施例1]
合成例1で得られたマレイミド系高分子を含有する組成物(PM1)にL1/L2=1/1(重量比)の混合溶媒を加えて全体をマレイミド系高分子の濃度が4重量%となるように希釈して液晶配向剤を得た。得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
【0164】
<液晶表示素子の作製方法(実施例1、比較例1〜4)>
液晶配向剤を、二枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、210℃にて20分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。次いで、液晶配向膜が形成された基板の表面をラビング装置にてラビング処理して配向処理を行った。その後、液晶配向膜を超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
【0165】
一方のガラス基板に7μmのギャップ材を散布し、液晶配向膜を形成した面を内側にしてラビング方向が逆平行になるように対向配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ7μmのアンチパラレルセルを作製した。該セルに、下記に示す液晶組成物を注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。
【0166】
【化21】

【0167】
<3.塗布性の評価>
<2.液晶表示素子の作製>で示した方法において、下記の工程における評価を実施した。液晶配向剤を、ITO電極付きガラス基板に塗膜後、80℃にて約5分間加熱乾燥した後、表面の均一性を目視で観察した。表面が平滑であるものが、塗布性が良好といえる。結果を表14に示す。
【0168】
<4.耐ラビング性の評価>
<2.液晶表示素子の作製>で示した方法において、下記の工程における評価を実施した。液晶配向膜が形成された基板の表面をラビング装置にてラビング処理して、表面の傷を目視で観察した。傷の無いものが、耐ラビング性が良好といえる。結果を表14に示す。
【0169】
<5.配向性の評価>
<2.液晶表示素子の作製>で示した方法において、下記の工程における評価を実施した。作製した液晶表示素子において、液晶組成物を注入後加熱処理前の該素子を2枚の偏向板の間にはさみ、バックライトを当て、液晶の配向状態を観察し、流動配向の有無によって評価した。流動配向が無いものが、配向性が良好といえる。結果を表14に示す。
【0170】
<6.VHRの評価>
東陽テクニカ製液晶物性評価装置6254型を用いて液晶表示素子の電圧保持率の測定を行った。測定条件は、ゲ−ト幅60μs、周波数30Hz、波高±1Vであり、測定温度は60℃である。この値が大きいほど電気特性は良好であると言える。また、液晶表示素子を100℃で500時間保存した後、同様に測定を行った。結果を表14に示す。
【0171】
<7.イオン密度の評価>
東陽テクニカ製液晶物性評価装置6254型を用いて液晶表示素子のイオン密度の測定を行った。測定条件は、波形:三角波、周波数:0.01Hz、電圧:±10Vであり、測定温度は60℃とした。この値が小さいほど電気特性は良好であると言える。また、液晶表示素子を100℃で500時間保存した後、同様に測定を行った。結果を表14に示す。
【0172】
<8.残留DC電圧の評価>
液晶表示素子について、残留電圧の測定を行った。測定は、液晶表示素子に、直流3Vをバイアスした30Hz、1.62Vの矩形波を30分印加し、直流電圧を切った直後の液晶セル内に残留した電圧をフリッカー消去法により求めた。残留電圧の値が小さいほど焼き付き現象が発生しづらいと言える。結果を表14に示す。
【0173】
【表14】

【0174】
表14に示すように、実施例1の液晶配向剤を使用した液晶表示素子では、塗布性、耐ラビング性、配向性、イオン密度、電圧保持率(1V/30Hz、500時間後)が何れも優れている。一方、比較例1〜4の液晶配向剤では塗布性、耐ラビング性、配向性、イオン密度、電圧保持率(1V/30Hz、500時間後)、の何れかが十分ではなかった。
【0175】
[実施例2]
<9.塗膜の安定性>
合成例13で得られたマレイミド系高分子を含有する組成物(PM13)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗布用組成物を調製した。得られた塗布用組成物をITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布した。塗布後、25℃、湿度50%の室内に1時間放置して、塗膜の変化を観察した。
【0176】
[実施例3〜9、比較例5、6]
PM16〜19、PM42〜44、RPM2、及びRPM10を用いた以外は実施例1と同様にして、塗布用組成物を調製した。得られた塗布用組成物をITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布した。塗布後、25℃、湿度50%の室内に1時間放置して、塗膜の変化を観察した。実施例2を含めて、結果を表15にまとめた。
【0177】
【表15】

【0178】
表15に示すように、実施例2〜9の塗布用組成物を使用した塗膜では、試験後の塗膜は均一な状態を維持していた。一方、比較例5〜6の塗布用組成物を使用した塗膜では、試験後の塗膜は不均一な状態であった。
【産業上の利用可能性】
【0179】
マレイミド系高分子は、ビスマレイミドとジアミンとの反応によって形成されることから、ポリイミド系高分子では実現が困難な分子構造の高分子を採り得る。加えて本発明では、特定の溶剤との組み合わせにより溶解性や塗布性が高まることから、本発明は、ポリイミド系高分子の代替物質としての使用や、ポリイミド系高分子膜によりも優れた機能又は新たな機能を有する熱成膜の開発への貢献、が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスマレイミドとジアミンとを反応させて得られるマレイミド系高分子を含有する、以下の(W1)〜(W9)の何れかである組成物。
(W1):ビスマレイミドが下記式(M)で示される化合物を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−3)、(IV−1−4)、(V−1−20)、(V−1−21)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W2):ビスマレイミドが下記式(M2)で示される化合物を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W3):ビスマレイミドが下記式(M2)で示される化合物と下記式(M)及び(M3)〜(M6)で示される化合物の群から選択される一以上とを含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W4):ビスマレイミドが下記式(M3)で示される化合物を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、及び(V−1−20)〜(V−1−22)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W5):ビスマレイミドが下記式(M4)で示される化合物を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W6):ビスマレイミドが下記式(M4)で示される化合物と下記式(M)、(M2)、(M5)、及び(M6)で示される化合物の群から選択される一以上とを含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W7):ビスマレイミドが下記式(M5)及び下記式(M6)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W8):ビスマレイミドが下記式(M4)〜(M6)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、さらに溶剤として下記式(1)〜(8)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
(W9):ビスマレイミドが下記式(M)及び(M2)〜(M6)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、かつジアミンが下記式(II−1−1)〜(II−1−4)、(II−1−6)〜(II−1−14)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−29)、(III−1−1)〜(III−1−5)、(IV−1−3)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(IX−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、さらに溶剤として下記式(1)〜(8)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、組成物。
【化1】

(式(M)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜5の直鎖アルキルを表す。)
【化2】

【化3】

【化4】

(式(4)中、Rは炭素数1〜4のアルキルを表す。)
【請求項2】
W1及びW9におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W2及びW5におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−23)、(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W3及びW6〜W8におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−5)、(II−1−12)、(II−1−21)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、(IV−1−1)、(IV−1−2)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W4におけるジアミンが前記式(II−1−21)、(II−1−28)、及び(IV−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W8及びW9における溶剤が前記式(1)〜(6)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
W1におけるビスマレイミドが下記式(M1)で示される化合物を含み、
W1におけるジアミンが前記式(II−1−23)、(II−1−24)、(III−1−1)、(III−1−3)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W2におけるジアミンが前記式(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W3におけるビスマレイミドが前記式(M2)で示される化合物と前記式(M1)、前記式(M4)、及び(M5)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W3におけるジアミンが前記式(II−1−24)、(IV−1−1)及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W5におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−22)、(II−1−25)、(II−1−29)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W6におけるビスマレイミドが前記式(M4)で示される化合物と下記式(M1)及び前記式(M5)で示される化合物の群から選択される一以上とを含み、
W6におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−25)、(II−1−29)、及び(IV−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W7におけるジアミンが前記式(II−1−24)、(II−1−25)、(II−1−29)、及び(IV−1−1)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W8におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−22)、(II−1−24)、(II−1−25)、(II−1−29)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物の群から選択される一以上を含み、
W9におけるジアミンが前記式(II−1−3)、(II−1−12)、(II−1−21)、(II−1−23)〜(II−1−25)、(II−1−28)、(II−1−29)、(III−1−1)、(III−1−5)、及び(V−1−20)で示される化合物の群から選択される一以上を含む、請求項2に記載の組成物。
【化5】

【請求項4】
マレイミド系高分子が、ビスマレイミドとジアミンと下記式(VS−1)、(VS−2)、(HS−1)、及び(HS−2)で示される化合物の群から選択される一以上とを反応させて得られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【化6】

【請求項5】
溶剤として水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を含む、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
水酸基を有する溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、又は前記式(1)〜(8)で示される化合物の少なくとも1つであり、
プロトン性アミド系溶剤が下記式(9)〜(13)で示される化合物の少なくとも1つである、請求項5に記載の組成物。
【化7】

【請求項7】
水酸基を有する溶剤が前記式(1)で示される化合物である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
マレイミド系高分子が、ビスマレイミドとジアミンとを含有する原料を、水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤中で重合させて高分子を得る工程により製造した、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
水酸基を有する溶剤が前記式(1)〜(8)で示される化合物の群から選択される一以上であり、プロトン性アミド系溶剤が下記式(9)〜(13)で示される化合物の群から選択される一以上である請求項8に記載の組成物。
【化8】

【請求項10】
水酸基を有する溶剤が前記式(1)で示される化合物である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の組成物を含有する被覆材料。
【請求項12】
請求項1〜10の何れか一項に記載の組成物を含有する絶縁材料。
【請求項13】
請求項1〜10の何れか一項に記載の組成物を含有する接着剤。
【請求項14】
請求項1〜10の何れか一項に記載の組成物を含有する封止材。
【請求項15】
請求項1〜10の何れか一項に記載の組成物を含有するプリント配線基板用材料。
【請求項16】
請求項1〜10の何れか一項に記載の組成物を含有する成形材料。
【請求項17】
請求項1〜10の何れか一項に記載の組成物を含有する液晶配向剤。
【請求項18】
請求項17に記載の液晶配向剤の塗膜が焼成されて形成される液晶配向膜。
【請求項19】
一対の基板と、液晶分子を含有し、前記一対の基板の間に形成される液晶層と、液晶層に電圧を印加する電極と、前記液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜とを有する液晶表示素子において、
前記液晶配向膜が請求項18に記載の液晶配向膜である液晶表示素子。