説明

マンガンキレート並びに磁気共鳴イメージング(MRI)における造影剤としての使用

本発明は、マンガン(II)キレートに関する。本発明は、他の分子と結合したマンガン(II)キレート、並びに磁気共鳴イメージング(MRI)における造影剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンガン(II)キレート、他の分子と結合したマンガン(II)キレート、並びに磁気共鳴イメージング(MRI)における造影剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
MRIは、所定の原子核、特に水素原子核によって身体の領域を可視化する医用イメージング技術である。MRI信号は、可視化される核の周囲の環境、並びに核の縦緩和時間T1及び横緩和時間及びT2に依存する。例えば、可視化される核がプロトンである場合、MRI信号強度は、プロトン密度及びプロトンの化学環境のような要因に依存する。造影剤は画像コントラストを向上させるためMRIで多用される。造影剤はT1、T2及び/又はT2*緩和時間に影響することによって作用し、画像のコントラストに影響を与える。
【0003】
キレート化常磁性造影剤では、T1、T2及び/又はT2*緩和時間は構造的修飾によって最適化することができる。特に重要なのは、常磁性イオンに結合した水分子の存在及び滞留時間、並びに造影剤の回転相関時間である。常磁性イオンに結合した水分子の存在及び滞留時間は、常磁性イオン及びキレート基の選択によって調節できる。回転相関時間は、造影剤のサイズの変更によって調節することができる。
【0004】
常磁性イオンは生物学的経路を妨害し、毒性を誘発するおそれがあるので、常磁性イオンをキレート分子内に保つ必要がある。常磁性錯体の安定性は、キランド部分の構造設計によって調節することができる。特に興味深いのは、解離半減期として測定される速度論的安定性であり、これは化学的環境の変化(すなわち、内在性イオン)に対する不活性の程度を示す。
【0005】
数種類の造影剤がMRIに使用されている。血液プールMR造影剤(例えば、超常磁性酸化鉄粒子)は、血管系内に長時間保持される。これらは、肝臓でのコントラスト強調に極めて有用であるだけでなく、毛細血管透過性異常(例えば、腫瘍血管新生に起因する腫瘍中の「漏出性」毛細血管壁)の検出にも極めて有用であることが判明している。
【0006】
水溶性常磁性キレートつまりキレーターと常磁性金属イオンとの錯体(例えば、Omniscan(商標)(GE Healthcare社)のようなガドリニウムキレート)は、広く使用されているMR造影剤である。これらは低分子量であるので、血管系に投与すると、細胞外空間(すなわち、血液及び間質)に迅速に分布する。また、身体からのクリアランスが比較的速い。
【0007】
常磁性キレートをMRI用造影剤として使用する場合、比較的大用量で患者に投与されるので、水中におけるその溶解度も重要な因子である。常磁性キレートの水溶性が高いと、注入体積を減らすことができ、患者への投与が容易となって、不快感も減る。
【0008】
常磁性キレートに関する先行技術文献は、常磁性イオン全般について述べたものが多いが、通常はガドリニウムに関するもので、ガドリニウムに対して設計されたものである。キレートの構造設計は常磁性イオンの各々に特異的であるので、ガドリニウム用に設計されたキレートは、マンガン(II)や鉄(III)のような他の常磁性イオンに対して、緩和度や安定性の点で最適とはならないであろう。ガドリニウム(III)は、MRIキレートに最も広範に使用されている常磁性金属イオンである。
【0009】
国際公開第2006/080022号(Degani他)には、悪性腫瘍に関連する受容体リガンド部分と金属結合部分とを含む二官能性コンジュゲート、並びにそれらと常磁性ランタニド又は遷移金属との錯体が開示されている。
【0010】
米国特許第5334371号(Gries他)には、マンガン(II)イオンを含有する大環状ポリアザビシクロ化合物が開示されている。開示されたマンガン(II)化合物は、安定性及び信号生成能力の点で本発明の化合物よりも劣っており、造影剤としての適性に劣る。
【0011】
マンガン(II)イオンは、高いスピン数及び長い電子緩和時間を有する常磁性種であり、文献では、マンガン(II)系高緩和性造影剤の潜在能力について報告されている。しかし、マンガンキレートの安定性の低さが問題であることが判明しており、造影製剤での実用性が限られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2006/080022号
【特許文献2】米国特許第5334371号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、速度論的に安定であり、最適な水の交換速度を示し、MR造影剤として使用できるマンガン(II)系キレートを提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
そこで、本発明の第1の態様では、次の式(I)の化合物を提供する。
【0015】
【化1】

式中、
Xはアルキル、C(Y)2COOZ又はリンカーであり、
Yはアルキル、−PEG、−COOH、−PO(OH)2、−H又はリンカーであり、
Rはアルキル、−PEG、−N(アルキル)2、−N(PEG)2、−O(アルキル)、−O(PEG)、−NMe2、−NH2、−OMe、−OH、−H又はリンカーであり、
ZはMn(II)又は−Hであるが、
存在する3つのX基のうちの2つがC(Y)2COOZであること、及び
ZがMn(II)のときは2つのZ含有X基が1つのMn(II)を共有することを条件とする。
【0016】
C(Y)2COOZでないX基は、アルキル基又はリンカーである。
【0017】
「アルキル」という用語は、それ自体で又は他の基の一部として、炭化水素、好ましくは低級アルキル(例えばC1〜C6アルキル)、さらに好ましくは−CH3をいう。
【0018】
PEGという用語は、任意の分子量のポリエチレングリコール、好ましくは1〜5kDのPEG単位を意味する。
【0019】
Yは好ましくはメチル、−COOH、−PO(OH)2、−H又はリンカーである。最も好ましくは、Yは−H又はリンカーである。
【0020】
Rは好ましくはメチル、−NMe2、−NH2、−OMe、−OH又はリンカーである。最も好ましくは、Rはリンカーである。
【0021】
リンカーが存在する場合には、式(I)の化合物を他の分子と結合させる。他の分子の選択は、造影剤の生体内分布及び信号特性に影響するであろう。
【0022】
好ましくは、リンカー基は、以下の基からなる群から選択することができる。
【0023】
【化2】

式中、nは1〜7の整数であり、記号*は、式(I)の化合物及び上述の他の分子とリンカーとの結合位置を表す。
【0024】
好ましくは、リンカーは、以下の基からなる群から選択される。
【0025】
【化3】

最も好ましくは、リンカーは以下の基である。
【0026】
【化4】

したがって、式(I)の化合物の好ましい実施形態は、次式の化合物である。
【0027】
【化5】

式中、記号*は他の分子との結合位置を示す。
【0028】
この実施形態では、1つのXがCH3で、1つのXがC(Y)2COOZで、1つのXがC(Y)2COO−であり、ZはMn(II)であり、Yは−Hであり、リンカーは次式の基である。
【0029】
【化6】

本発明の化合物は、MR造影剤として使用することができ、上述の通り、他の分子、例えば、天然又は合成ペプチド、アミノ酸又はその誘導体、ポリアミン又はその誘導体、ペプチド模倣体、ポリペプチド、タンパク質又は抗体などに結合していてもよいし、結合していなくてもよい。本発明の化合物をこうした分子に連結することによって、例えば、ペプチド又はタンパク質が、受容体又は細胞表面マーカーのような標的に結合するベクターであると、ターゲティングMR造影剤を得ることができる。さらに、本発明の化合物は、ポリマー部分、例えば、天然又は合成ポリマー、又はデンドリマーなどに結合させてもよい。かかる連結によって、本発明の化合物の分子移動度がさらに低減し、最新のMRIスキャナーで使用される高磁界強度での緩和度が増大する。別の実施形態では、本発明の化合物は、親油性化合物に結合させてもよく、得られる両親媒性化合物を分散させることができる。かかる分散物は、腫瘍イメージング用のMR造影剤として使用できる。さらに別の実施形態では、本発明の化合物は、ナノ粒子に結合させてもよい。かかる連結によって、本発明の化合物の分子移動度がさらに低減し、その緩和度が増大する。
【0030】
したがって、本発明の第2の態様では、上述の式(I)の化合物がX基、Y基又はR基を介して他の分子と結合したものを提供する。これに関して、「他の分子」という用語は原子を含む。好ましい実施形態では、他の分子はO、S、P、又はN、最も好ましくはNである。別の好ましい実施形態では、他の分子は芳香族環、イノシトール又は炭水化物或いはそれらの誘導体である。別の好ましい実施形態では、他の分子は、天然又は合成ペプチド、アミノ酸又はその誘導体、ポリアミン又はその誘導体、ペプチド模倣体、ポリペプチド、タンパク質、抗体、天然又は合成ポリマー、デンドリマー、ナノ粒子又は親油性化合物である。式(I)の化合物を他の分子と結合させることによって、生体内分布が変化し、造影剤は、式(I)の化合物に結合した分子に親和性を有する細胞に内在化又は結合させることができる。
【0031】
当業者には自明であろうが、X基、Y基、又はR基のリンカー基は、当技術分野で公知の方法で他の分子と結合させることができる。
【0032】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、デンドリマーに結合している。デンドリマーは、繰返し枝分れした分子であり、多数の式(I)の化合物を結合するための足場として役立つ。その最も単純な形態では、デンドリマーは、コアの足場のみからなるが、多数の式(I)の化合物を結合させることができる。デンドリマー構築体は、モノマーキレートと比較して、変化した生体内分布及び増強された信号を有する。
【0033】
式(I)の化合物が組み込まれた適当なデンドリマー化合物は、以下のものである。
【0034】
【化7】

【0035】
【化8】

式(I)の化合物が組み込まれた適当な天然又は合成ペプチドの誘導体、そのアミノ酸誘導体、ポリアミン及びその誘導体、ペプチド模倣体、又はポリペプチドは、以下のものである。
【0036】
【化9】

他の分子が悪性腫瘍に関連した受容体リガンド部分である場合、Rは、C2〜C10ヒドロキシカルビレン鎖を含むリンカーとはなり得ない。
【0037】
式(I)の化合物は、以下の全般的な手順によって、市販の出発原料から、当技術分野で公知の幾つかの合成経路によって合成することができる。
【0038】
【化10】

メチル位置に脱離基(X)を有する2,6−ビス−メチル−ピリジン化合物は、市販の材料から当技術分野で周知の方法で得ることができる。適当な脱離基の例は、クロロ基、ブロモ基、トシル−ノシル基及びメシル基である。ピリジン環は基(R)で置換することができ、キレートを他の分子とカップリングさせるときの結合位置として使用できる。適当なR基の例は−NH2である。R基は、後段のカップリング反応で利用する基の不活性前駆体であってもよく、例えば−NO2基は−NH2基の前駆体である。ピリジン窒素に電子を非局在化させることによって、その後のマンガン錯体の安定性を増大させるという唯一の機能を有するR基も想定できる。かかるR基の例は、−CH3及び−OCH3である。次いで、上述の適当な脱離基を有する2,6−ビス−メチル−ピリジン化合物を、当技術分野で周知の方法によって適当なビス−アミノ求核体との反応で環化させてテトラアザマクロサイクルを形成させる。求核性窒素に、当技術分野で公知の環化反応に適したトシレート基を設けてもよい。続くトシレート基の除去は、当技術分野で公知の方法で実施できる。3つの脂肪族窒素の2つに2つのカルボキシメチル基を導入することは、慎重な位置選択的アルキル化、好ましくは、当技術分野で周知の方法による厳密なpH制御下で実施することができる。残りの2級窒素は、後段で、炭素求電子体によってアルキル化することができる。かかる炭素求電子体の例は、CH3I及びCF3SO2OCH3である。アルキル基は、環化反応前に、アルキル化ビス−トシルアミド誘導体と求電子性ピリジン化合物との反応によって導入することもできる。アルキル基の早期導入は、後段の反応ステップでカルボキシメチル基を位置選択的に導入する必要性をなくす。カルボキシメチル基は、エステル形態で保護することができる。これは、当技術分野で周知の方法を使用したR基の反応によってキランドを他の分子とカップリングする場合に特に有用であるが、それは、カップリング反応に有用な溶媒中での溶解度が遊離カルボン酸誘導体に対して劇的に低減するからである。かかるエステル基の例は、t−ブチル、エチル、及びメチルエステルである。エステル基の除去は当技術分野で周知である。錯化は、水溶液中で、当技術分野で周知の方法を用いて適当なマンガン(II)イオン源を用いた反応によって実施することができる。
【0039】
X基、Y基又はR基を介して他の分子と結合した本発明の化合物は、当技術分野で公知の方法で調製することができる。例えば、他の分子がペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質である場合、式(I)の化合物は、他の分子の適当な官能基(例えばカルボキシル基)に容易に結合させることができる。他の分子の官能基の活性化(例えば、カルボキシル基からの塩化アシルの生成)が必要とされることがある。官能基の反応性を高めるための官能基の活性化法は当技術分野で公知である(例えば、Sandler and Karo, eds. Organic Functional Group preparation, Academic Press, San Diego 1998を参照)。
【0040】
式(I)の化合物及び他の分子(好ましくは、天然又は合成ペプチド、アミノ酸及びその誘導体、ポリアミン及びその誘導体、ペプチド模倣体、ポリペプチド、タンパク質、抗体、天然又は合成ポリマー、デンドリマー、親油性化合物又はナノ粒子)と結合した式(I)の化合物は、MR造影剤として使用できる。そこで、本発明の第3の態様では、MR造影剤として使用するための化合物を提供する。
【0041】
この目的のために、式(I)の化合物又は他の分子と結合した式(I)の化合物を、水性担体のような従来の生理的に許容される担体(例えば、水及び緩衝液)及び、適宜、賦形剤と共に配合することができる。得られる組成物を「MR造影製剤」という。
【0042】
本発明の第4の態様では、式(I)の化合物又は他の分子と結合した式(I)の化合物と1種以上の生理的に許容される担体とを含む組成物を提供する。本組成物は、MRIでMR造影製剤として使用できる。
【0043】
ヒト及びヒト以外の動物の身体のMRIでMR造影製剤と使用するため、MR造影製剤は身体への投与に適している必要がある。好適には、式(I)の化合物又は他の分子と結合した式(I)の化合物と、適宜薬学的に許容される賦形剤及び添加剤とを、1種以上の生理的に許容される担体(例えば、水又は緩衝液)に懸濁又は溶解させればよい。適当な添加剤には、例えば、トロメタミン塩酸塩のような生理的に適合性の緩衝液、DTPA、DTPA−BMA、又は式(I)の化合物などのキレーター、カルシウムキレートなどの生理的に許容されるイオンの弱い錯体、例えば、カルシウムDTPA、CaNaDTPA−BMA、Xが式(I)の化合物のCa2+塩又はCa/Na塩と錯体を形成する式(I)の化合物、塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、又は乳酸カルシウムのようなカルシウム塩又はナトリウム塩が含まれる。賦形剤及び添加剤については、例えば、国際公開第90/03804号、欧州特許出願公開第463644号、欧州特許出願公開第258616号及び米国特許第5876695号に記載されており、それらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0044】
本発明の第5の態様は、MRイメージングの方法であって、式(I)の化合物又は他の分子と結合した式(I)の化合物と、1種以上の生理的に許容される担体とを含む組成物を被験体に投与し、被検体をMR検査に付して、被験体又は該組成物が分布した被験体の一部からMR信号を検出し、適宜、検出信号からMR画像及び/又はMRスペクトルを生成する方法である。好ましい実施形態では、被験体は、ヒト又はヒト以外の動物の生体である。
【0045】
好ましい実施形態では、組成物は、イメージングに有効な量、すなわち、MRイメージング法でコントラストの強調に適した量で投与される。
【0046】
別の好ましい実施形態では、被験体はヒト又はヒト以外の動物であり、MRイメージング法は、MR腫瘍検出の方法又は腫瘍描写イメージングの方法である。
【0047】
第6の態様では、本発明は、MRイメージングの方法であって、式(I)の化合物又はは他の分子と結合した式(I)の化合物と1種以上の生理的に許容される担体とを含む組成物が既に投与されている被験体をMR検査に付して、被験体又は該組成物が分布した被験体の一部からMR信号を検出し、適宜、検出信号からMR画像及び/又はMRスペクトルを生成する方法を提供する。
【0048】
「既に投与されている」という用語は、本発明のMRイメージング及び/又はMR分光法を開始する前に、組成物を患者に投与するために医療有資格者を必要とするステップが既に実施されていることを意味する。
【0049】
第7の態様では、本発明は、MR造影製剤として使用する診断薬を製造するための本発明の化合物の使用に関する。
【0050】
次に、本発明を、以下の非限定的な実施例によってより詳細に説明する。
【実施例】
【0051】
実施例1
a)3,6,9−トリス−(トルエン−4−スルホニル)−3,6,9,15−テトラアザ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエンの合成
【0052】
【化11】

ジメチルホルムアミド(DMF)(92mL)中のN,N’,N''−トリ−p−トシルジエチレン−トリアミン二ナトリウム塩(6.90g、11.4mmol)を、N2雰囲気下で100℃に加熱した。DMF(37mL)中の2,6−ビス(クロロメチル)ピリジン(2.01g、11.4mmol)を、45分間滴下した。添加完了後、反応混合物をN2雰囲気中で40℃で12時間撹拌した。反応混合物に水75mLを添加した。次いで、得られたスラリーを濾過し、固体を水洗し、真空乾燥した。粗生成物を1:1水/アセトニトリル混液に溶解させようと試みた。白色沈殿を濾別し、乾燥して、5.52g(72%)の生成物を得た。
【0053】
生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:669.3MH+、計算値m/z:669.2)。
【0054】
b)3,6,9,15−テトラアザ−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエンのHBr塩の合成
【0055】
【化12】

48%HBrと氷酢酸を65:35比で混合することによって、HBr/酢酸溶液を調製した。HBr/AcOH混液111mLに、ステップ1aで得た生成物(5.0g、7.5mmol)を添加し、反応混合物を撹拌し続けながら80時間穏やかに加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、元の体積の約1/10に濃縮した。残った混合物を激しく撹拌しながら50mlLのジエチルエーテルを添加した。生じたオフホワイトの固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥して、粗生成物3.8gを得た。粗生成物はそれ以上精製せずに使用した。粗生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:207.3MH+、計算値m/z:207.2)。
【0056】
c)3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(tert−ブチルカルボニルメチル)−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14)11(15),12−トリエンの合成
【0057】
【化13】

ステップ1bで得た化合物(1.5g、3.3mmol)を1:1ジオキサン/水混液(30mL)に溶解し、NaOH(2M)でpHを3に調整した後、ジオキサン/水混液(35mL)中のtert−ブチルブロモアセテート(0.66mL、4.5mmol)を添加した。添加後にNaOH(2M)でpHを9に調整した。3.5時間後に、さらにtert−ブチルブロモアセテート(0.10mL、0.68mmol)を添加し、NaOH(2M)でpHを9に調整した。14時間後及び17時間後に、tert−ブチルブロモアセテートの添加をさらに2度繰返した(2×0.116mL、0.79mmol)。pHは9に調整した。反応混合物をC18分取カラムにロードし、生成物を分取HPLCを用いて精製した。0.9g(63%)の純粋な化合物を単離した。
【0058】
生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:435.1MH+、計算値m/z:435.3)。
【0059】
d)3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(tert−ブチルカルボニルメチル)−6−メチル−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエンの合成
【0060】
【化14】

ジメチルホルムアミド(10mL)中のステップ1cで得た化合物(200mg、0.460mmol)に、トリエチルアミン(65.3mg、64.1μL、0.460mmol)及びヨードメタン(65.3mg、28.7μL、0.460mmol)を加えた。1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(58μL、0.46mmol)及びヨードメタン(29μL、0.46mmol)のアリコートを添加した。LC−MSを用いて反応を追跡し、水を添加した。反応混合物を分取HPLCで精製した。106mg、0.24mmol(51%)の純粋な化合物を単離した。
【0061】
生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:449.1MH+、計算値m/z:449.3)。
【0062】
e)3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(カルボキシメチル)−6−メチル−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエンの合成
【0063】
【化15】

ギ酸(30mL)中のステップ1dで得た化合物(0.11g、0.24mmol)を加熱還流し、室温に冷却した。ギ酸を減圧下で蒸発させた。トルエン(2×20mL)を添加し、減圧下で蒸発させた。粗生成物はそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0064】
生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:337.1MH+、計算値m/z:336.2)。
【0065】
f)3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(カルボキシメチル)−6−メチル−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエンのマンガン(II)錯体の合成
【0066】
【化16】

ステップ1eで得た化合物(81mg、0.24mmol)を脱気水(15mL)に溶解した後、脱気水中のNaOH 200μL(2.35M)でpHを2.8〜6.7に調整した。脱気水中の塩化マンガン(II)(10mL中465mg、0.23M)1.1mLを添加した。pHは3.5に低下した。NaOH(水溶液)のアリコートでpHを5.9に調整した。15分後、NaOH(水溶液)のアリコートでpHを9.3に調整し、混合物を15分間放置した。HCl(脱気水1mL中150μL)のアリコートでpHを7.0に調整した後、溶液を濾過し、C18分取カラムにロードし、生成物を分取HPLCを用いて精製した。0.11mmol、42mg(45%)の純粋な化合物を単離した。
【0067】
生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:390.0MH+、計算値m/z:390.1)。
【0068】
実施例2
a)ジメチル4−アミノピリジン−2,6−ジカルボキシレートの合成
【0069】
【化17】

塩化チオニル(2.5mL)を、窒素雰囲気下で氷冷メタノール(20mL)にゆっくりと添加した。次いで、4−アミノピリジン−2,6−ジカルボン酸(2.5g、11.5mmol)の塩酸塩を回分式に氷冷溶液に添加した。次いで反応混合物を4時間還流し、濃縮して、黄色の無定形固体を得た。固体をHCl水溶液(0.8M、50mL)に溶解し、溶液を濾過し、pH9に塩基性化した。生じた沈殿を濾別して、所望の生成物を得た(1.6g、66%)。生成物はNMRで分析した((CD3)2SO)、7.36(s、2H)、6.70(bs、2H)、3.84(s、6H))。
【0070】
b)(4−アミノピリジン−2,6−ジイル)ジメタノールの合成
【0071】
【化18】

ステップ2aで得た化合物(2.8g、13.3mmol)に、メタノール(100mL)を添加した。水素化ホウ素ナトリウム錠剤(合計4g、11mmol)を1時間かけて回分式に添加して、透明溶液を得た。次いで反応混合物を還流し、追加の水素化ホウ素ナトリウム錠剤(追加の4g、11mmol)を、1時間かけて回分式に添加した。次いで水(25mL)を添加し、反応混合物を濃縮して、白色無定形粉末を得た。固体を、酢酸エチル中で72時間ソックスレー抽出に付した。有機相を濃縮し、水(100mL)を添加した。pHを11に調整し、得られたスラリーを75℃で1時間加熱して透明な溶液を得た。pHを12に調整し、溶液を0℃に冷却した。生じた沈殿を濾別して、所望の生成物を無定形固体として得た(1.3g、66%)。生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:155.1MH+、計算値m/z:155.1)。
【0072】
c)2,6−ビス(クロロメチル)ピリジン−4−アミンの合成
【0073】
【化19】

ステップ2bで得た化合物(2.3g、14.9mmol)に、塩化チオニル(15mL)を添加し、生じた発泡性ゲルを2時間還流した。次いで反応混合物を濃縮して無定形固体を得て、これに水(30mL)を添加した。得られたスラリーをpH8に塩基性化し、沈殿を濾別して所望の生成物を得た(2.6g、88%)。生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:191.0MH+、計算値m/z:191.0)。
【0074】
d)13−アミノ−3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(トルエン−4−スルホニル)−6−メチル−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエンの合成
【0075】
【化20】

ステップ2cで得た化合物(2.5g、13.1mmol)と、N,N’−(2,2’−(メチルアザンジイル)ビス(エタン−2,1−ジイル))ビス(4−メチルベンゼンスルホンアミド)(2.8g、6.6mmol)及びK2CO3(11g、79.7mmol)に、ジメチルホルムアミド(250mL)を添加した。得られたスラリーを、窒素雰囲気中で100℃で2時間撹拌した。次いで、追加のN,N’−(2,2’−(メチルアザンジイル)ビス(エタン−2,1−ジイル))ビス(4−メチルベンゼンスルホンアミド)(2.8g、6.6mmol)を添加し、加熱を4時間継続した。次いで、ジメチルホルムアミド125mLを蒸発させ、残ったスラリーを、水(1.6L)を入れた容器に滴下した。得られたスラリーをpH1に酸性化し、次いで75℃に加熱した。溶液を一晩室温に冷却させ、得られた沈殿を濾別して所望の生成物を得た(5.1g、72%)。生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:544.1MH+、計算値m/z:544.2)。
【0076】
e)13−アミノ−3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(tert−ブチルカルボニルメチル)−6−メチル−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエンの合成
【0077】
【化21】

ステップ2dで得た化合物(2.5g、4.6mmol)に、濃硫酸(15mL)を添加した。得られたスラリーを100℃で8時間撹拌し、氷冷水(40mL)に浸漬した。NaOHの水溶液(25%、90mL)を添加して、白色スラリーを得た。スラリーに、アセトニトリル(50mL)、K2CO3(1.2g、8.7mmol)及びtert−ブチルブロモアセテート(1.36mL、9.2mmol)を添加した。二相性スラリーを5時間激しく撹拌し、追加のtert−ブチルブロモアセテート(1.36mL、9.2mmol)を添加した。12時間後に有機相を分離し、NaCl飽和緩衝液(0.1M、pH10のNaHCO3/Na2CO3)に添加した。二相性溶液に、tert−ブチルブロモアセテート(1.36mL、9.2mmol)を添加し、混合物を24時間激しく撹拌した。次いで、追加のtert−ブチルブロモアセテート(1.36mL、9.2mmol)を添加し、混合物を24時間激しく撹拌した。有機相を分離し、リン酸緩衝液(300mL、0.1M、pH7)に添加した。水溶液をジクロロメタンで繰返し抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過し、濃縮して、所望の生成物を得た(2.7g)。生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:464.2MH+、計算値m/z:464.3)。
【0078】
f)N1,N3,N5−トリス[3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(カルボニルメチル)−6−メチル−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−13−トリエニル]ベンゼン−1,3,5−トリカルボキサミドのマンガン(II)錯体の合成
【0079】
【化22】

ステップ2eで得た化合物(1.0g、1.1mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、次いで、N−エチルジイソプロピルアミン(185μL、1.1mmol)、及びベンゼントリカルボン酸塩化物(64μL、0.36mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで反応混合物を濃縮して、白色無定形固体を得た。固体をギ酸(10mL)に溶解し、1時間加熱還流した。次いで反応混合物を濃縮し、得られた物質を飽和NaHCO3緩衝液に溶解し、80℃で24時間加熱した。反応混合物を中和し、MnCl2(435mg、2.2mmol)を添加した。次いでpHを7.6に調整し、室温で1時間撹拌した。次いで反応混合物を濾過し、濃縮した。
【0080】
分取HPLCによって、三量体マンガン(II)錯体を得た。(3回のステップで230mg、47%)。生成物はLC−MSで分析した(実測値m/z:457.0 M3H+、計算値m/z:457.1)。
【0081】
実施例3
緩和度分析
緩和度測定は、0.05〜1mMの錯体溶液を使用し、Bruker Minispec PC120b−NA770を用いて20MHz又はBruker Minispec Mq 60mを用いて60MHz及び37℃で実施した。溶液は、脱気Millipore水又はヒト血清中に適量のキレートを溶解して得た。
【0082】
水交換測定
水交換測定は6〜15mMの錯体溶液を用いて実施した。溶液は、緩衝液(約3原子%の17O濃縮脱気Millipore水中、TRIS、0.05M、pH7.4)0.6mL中に適量の錯体を溶解して得た。温度可変フーリエ変換17O NMRスペクトルを、Varian Unity 300MHz分光計を用いて40.7MHzの周波数で記録した。温度はメタノール及びエチレングリコール標準物質を用いて測定した。各システムでの17Oラインブロードニングの温度依存性は、273.7〜356.1Kの温度域で測定した。温度はメタノール又はエチレングリコール標準物質を用いて較正した。
【0083】
【表1】

実施例4
安定性分析
マンガンキレートの速度論的安定性は、様々なpHに設定した酢酸塩緩衝液(10mM)中のZn2+との交換反応速度で特徴づけた。遊離マンガンイオンの増加は、Bruker Minispec PC120b−NA770を用いて20MHz及び25℃でモニターした。全イオン強度はKClで0.5Mに調整した。キレート濃度はすべての測定で約0.5mMであった。
【0084】
亜鉛イオンを与えた後のキレート化マンガンの濃度変化を分光学的にモニターした。遊離マンガンイオンは、約10mM-1-1の緩和度を有するが、試験したマンガンキレートは緩和度が低いので、亜鉛がマンガンイオンと入れ替わったとき、緩和度の正味の増大が観察された。
【0085】
疑似一次速度定数(kobs)は、緩和度データを以下の式にフィットさせて算出した。
【0086】
【数1】

式中、At、A0及びAeはそれぞれ時間t、反応開始時及び平衡状態での緩和度である。解離半減期はkobsから導いた。
【0087】
【表2】

実施例5
a)N,N’,N'',N''’,N'''',N''''’−(((ニトリロトリス(エタン−2,1−ジイル))トリス(アザントリイル))ヘキサキス(エタン−2,1−ジイル))ヘキサキス(4−メチルベンゼンスルホンアミド)の合成
【0088】
【化23】

トリス−(2−アミノエチル)−アミン(10g、68.5mmol)をアセトニトリル(500mL)に溶解し、次いでトシルアジリジン(97.2g、0.49mol)をゆっくりと添加する。溶液を室温で24時間撹拌し、次いでNaOH(2.7g、68.5mmol)を添加し、撹拌をさらに24時間継続する。次いで反応混合物を水(2L)中に浸漬し、得られた沈殿を濾別して純粋な生成物を得る。
【0089】
b)6,6’,6''−トリス−エチル−[3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(4−メチルベンゼンスルホンアミド)−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカトリエン]−アミンの合成
【0090】
【化24】

実施例5aで得た化合物(l0g、7.5mmol)をDMF(200mL)に溶解し、次いで2,6−ビス(クロロメチル)ピリジン(8.1g、46mmol)及び炭酸カリウム(12.7g、92mmol)を添加する。反応混合物を80℃に24時間加熱し、次いで水(1L)中に浸漬する。沈殿を濾別して、純粋な生成物を得る。
【0091】
【化25】

c)6,6’,6''−トリス−エチル−[3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(カルボニルメチル)−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカトリエン]−アミンのマンガン錯体の合成
実施例5bで得た化合物(10g、6.1mmol)に、濃硫酸(50mL)を添加し、得られたスラリーを100℃で12時間加熱し、次いで氷冷水(1L)中に浸漬する。次いでNaOHの水溶液(25%、300mL)を添加することによって白色スラリーを得る。このスラリーに、アセトニトリル(400mL)、K2CO3(5.1g、37mmol)及びtert−ブチルブロモアセテート(22.2mL、0.15mol)を添加する。二相性スラリーを15時間激しく撹拌し、次いで有機相を分離し、リン酸緩衝液(1L、0.1M、pH7)に添加する。次いで水溶液を、ジクロロメタンで繰返し抽出する。合わせた有機相を濃縮して無定形固体を得る。固体をギ酸(50mL)に溶解し、5時間還流する。反応混合物を濃縮し、得られた無定形固体を水(100mL)に溶解し、中和し、次いでMnCl2(3.5g、27.5mmol)を添加する。次いでpHを7.6に調整し、反応混合物を室温で1時間撹拌する。次いで反応混合物を濾過し、濃縮する。無定形固体を還流エタノールから結晶化させて、6,6’,6''−トリス−エチル−[3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(カルボニルメチル)−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカトリエン]−アミンのマンガン錯体を得る。
【0092】
実施例6
a)N,13−ベンズアミド−3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(tert−ブチルカルボニルメチル)−6−メチル−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12トリエンの合成
【0093】
【化26】

実施例2eで得た化合物(160mg、0.35mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、0℃に冷却する。次いで、塩化ベンゾイル(93μL、0.80mmol)及び炭酸カリウム(48mg、0.35mmol)を添加し、反応物を室温に到達させる。24時間後、反応混合物を濃縮して粗生成物を得る。それ以上精製せずに次のステップで使用する。
【0094】
b)N,13−ベンズアミド−3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(カルボキシメチル)−6−メチル−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエンのマンガン錯体の合成
【0095】
【化27】

実施例6aで得た粗化合物をギ酸に溶解し、反応混合物を1.5時間還流し、次いで溶媒を蒸発させた。粗固体を水(10mL)に溶解し、NaOH(1M)でpHを7.1に調整した。次いでMnCl2(69mg、0.35mmol)を添加し、NaOH(1M)でpHを7に調整した。2時間後、反応混合物を濃縮し、分取HPLCで精製して、N,13−ベンズアミド−3,6,9,15−テトラアザ−3,9−ビス−(カルボキシメチル)−6−メチル−ビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(14),11(15),12−トリエンのマンガン錯体を得た(60mg、33%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I)の化合物
【化1】

式中、
Xはアルキル、C(Y)2COOZ又はリンカーであり、
Yはアルキル、−PEG、−COOH、−PO(OH)2、−H又はリンカーであり、
Rはアルキル、−PEG、−N(アルキル)2、−N(PEG)2、−O(アルキル)、−O(PEG)、−NMe2、−NH2、−OMe、−OH、−H又はリンカーであり、
ZはMn(II)又は−Hであるが、
存在する3つのX基のうちの2つがC(Y)2COOZであること、及び
ZがMn(II)のときは2つのZ含有X基が1つのMn(II)を共有することを条件とする。
【請求項2】
Yがメチル、−COOH、−PO(OH)2、−H又はリンカーである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Yが−H又はリンカーである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
ZがMn(II)である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Rがメチル、−NMe2、−NH2、−OMe、−OH又はリンカーである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
リンカー基が、以下の基からなる群から選択される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の化合物。
【化2】

式中、nは1〜7の整数である。
【請求項7】
次の式(II)で表される、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の化合物。
【化3】

【請求項8】
リンカーを介して他の分子と結合している、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
他の原子が、O、S、P、又はN、好ましくはNである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
前記他の分子が、芳香族環、イノシトール又は炭水化物、又はそれらの誘導体である、請求項8記載の化合物。
【請求項11】
前記他の分子が、天然又は合成ペプチド、アミノ酸又はその誘導体、ポリアミン及びその誘導体、ペプチド模倣体、ポリペプチド、タンパク質、抗体、天然又は合成ポリマー、デンドリマー、ナノ粒子、又は親油性化合物である、請求項8記載の化合物。
【請求項12】
前記他の分子がデンドリマーである、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
MR造影剤として使用するための、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の化合物と1種以上の生理的に許容される担体とを含む組成物。
【請求項15】
MRIにおけるMR造影製剤として使用するための、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
MRイメージング方法であって、請求項14又は請求項15記載の組成物を被験体に投与し、被検体をMR検査に付して、被験体又は該組成物が分布した被験体の一部からMR信号を検出し、適宜、検出信号からMR画像及び/又はMRスペクトルを生成する方法。
【請求項17】
MR造影製剤として使用される診断薬を製造するための、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−514329(P2013−514329A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543778(P2012−543778)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070029
【国際公開番号】WO2011/073371
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【Fターム(参考)】