説明

マンニッヒ化合物の第四級アンモニウム塩

【課題】第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供すること。
【解決手段】(a)第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および(b)上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤の反応の反応生成物より作製される第四級アンモニウム塩清浄剤、および吸気弁デポジットを低減するための上記第四級アンモニウム塩清浄剤の燃料組成物中での使用。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明の組成物は、第四級アンモニウム塩清浄剤、ならびに吸気弁デポジットを低減し、上記吸気弁上に存在するデポジットを除去または洗浄するための上記第四級アンモニウム塩清浄剤の燃料組成物中での使用、ならびに媒質(例えば、インキ、コーティング、ミルベース、プラスチックおよび塗料)中での上記第四級アンモニウム塩清浄剤の使用に関する。本出願において、用語清浄剤および分散剤は、交換可能に使用され得、および同じ意味を有する。
【0002】
液体燃料が機関動作の間に分解しデポジットを形成し得る構成要素を含むことは周知である。これらのデポジットは、より高い排気物およびより乏しい燃料経済を生じる、燃料の不完全な燃焼を導き得る。燃料添加物(例えば、清浄剤)は、液体燃料における制御を助け、またはデポジット形成を最小化する周知の添加物である。機関の原動力および体系が継続的に進歩するにつれて、燃料の必要条件はこれらの機関の進歩についていくために発展しなければならない。例えば、現在の機関は、より低い耐性を有し、およびより高い圧力において動作して圧力チャンバーまたは燃焼チャンバーに対する燃料のスプレーを促進する噴射系を有する。これらの新しい機関におけるデポジットの防止およびデポジットの低減は、現在の機関の最適動作に対して不可欠になってきた。燃料添加物技術における進歩(例えば、清浄剤)は、燃料がこれらの機関の進歩についていくことを可能にする。したがって、現在の機関の最適動作を促進するために液体燃料において受容可能な性能を提供することが可能な清浄剤への必要性が存在する。
【0003】
特許文献1は、2部のポリヒドロキシカルボン酸と1部のジアルキレントリアミンとの反応により得られ得るポリエステルアミン清浄剤を開示する。
【0004】
特許文献2は、スクシンイミドの第四級アンモニウム塩を含む自動車用燃料組成物を開示する。上記第四級アンモニウム塩は、ハロゲン化物イオン、スルホン酸イオン、またはカルボン酸イオンという対イオンを有する。
【0005】
特許文献3および特許文献4は、スクシンイミドの第四級アンモニウム塩を含む燃料組成物を開示し、ここでアンモニウムイオンは、複素環式芳香族(ピリジニウムイオン)である。
【0006】
特許文献5は、ピリジニウム塩で塩を形成した800〜1400のMwを有するC2〜C4ポリオレフィンを含む燃料または潤滑油組成物を開示する。
【0007】
特許文献6は、ポリアルキルコハク酸無水物とポリアミノヒドロキシアルキル第四級アンモニウム塩との反応生成物を含む燃料組成物を開示する。
【0008】
特許文献7は、トリエチレンジアミンに結合され、350〜3000のMwを有する炭化水素の第四級アンモニウム塩を含む潤滑油または燃料を開示する。この第四級アンモニウム塩のカウンターイオンは、ハロゲン化物、リン酸イオン、アルキルリン酸イオン、ジアルキルリン酸イオン、ホウ酸イオン、アルキルホウ酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、アルカン酸イオン、およびO,O−ジアルキルジチオリン酸イオンから選択される。
【0009】
特許文献8および特許文献9は、エステル−ラクトンの第四級アンモニウム塩を含む燃料組成物を開示する。
【0010】
特許文献10は、350〜3000のMwを有する炭化水素の第四級アンモニウム塩を含む潤滑油または燃料を開示し;そして第四級窒素に対する残りの基はC1〜C20アルキル、C2〜C8ヒドロキシアルキル、C2〜C20アルケニルまたは環式基の群から選択される。
【0011】
したがって本発明は、デポジットの形成の低減、最小化、および制御によって、最適な機関動作、すなわち、燃料経済の向上、より良好な乗物の動作、低減された排気およびより少ない機関の維持費を促進する。
【0012】
多くの処方物(例えば、インキ、塗料、ミルベース、およびプラスチック材料)は、有機媒質中に粒子状固体を均一に分布させるために有効な分散剤を必要とする。上記有機媒質は、極性有機媒質から非極性有機媒質まで変わり得る。末端塩基性基(例えば、ポリ(低級アルキレン)イミン鎖)を含む分散剤が周知であり、そして一般に、ポリイミンと末端酸性基を含むポリエステル鎖とを反応させることにより調製され、この反応はアミドおよび塩形態の混合物を生じる。しかし、多くのこれらの分散剤は、粘度および安定性性質に対して限定的な性能を有し、印刷インキまたは塗料と組み合わせられる場合、このインキおよび塗料に低い流れ特性を与える。したがって、受容可能な流れ特性を提供でき、そして安定性性質を有する分散剤の必要性がある。
【0013】
特許文献11は、非塩形成スクシンイミド分散剤より誘導される分散剤を使用しての銅フタロシアニン産物のための方法を開示する。このスクシンイミド分散剤は、アルキレンアミンおよびポリイソブチレンコハク酸無水物より誘導される。
【0014】
特許文献12は、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩、および少なくとも1つのカップリング剤を有するポリマーを含むポリマー改変顔料を開示する。上記ポリマーは、アシル化剤(例えば、酢酸無水物またはコハク酸無水物)と反応したポリアミン誘導体を含む。
【0015】
特許文献13は、ポリヒドロキシカルボン酸とジアミン(特にアルキレンジアミン)およびそれらの塩との反応より得られるポリエステルアミン分散剤を開示する。
【0016】
したがって、インキ、コーティング、ミルベース、プラスチックおよび塗料と組み合わされた場合に、上記インキ、コーティング、ミルベース、プラスチックまたは塗料に受容可能な流れ特性を与える、受容可能な性能を有する分散剤を有することが利点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5,000,792号明細書
【特許文献2】米国特許第4,171,959号明細書
【特許文献3】米国特許第4,338,206号明細書
【特許文献4】米国特許第4,326,973号明細書
【特許文献5】米国特許第4,108,858号明細書
【特許文献6】米国特許第5,254,138号明細書
【特許文献7】米国特許第4,056,531号明細書
【特許文献8】米国特許第4,253,980号明細書
【特許文献9】米国特許第4,306,070号明細書
【特許文献10】米国特許第3,778,371号明細書
【特許文献11】米国特許第5,721,358号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2003/0213410号明細書
【特許文献13】英国特許第1,373,660号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供し、上記第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む。
【0019】
本発明はさらに、内燃機関に燃料を供給する方法を提供し、上記方法は、
A.上記機関に:
i.室温で液体の燃料;および
ii. 第四級アンモニウム塩
を供給する工程を含み、上記第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、該マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む。
【0020】
本発明は加えて、内燃機関を潤滑する方法を提供し、上記方法は、
A.上記機関のクランク室に:
i.潤滑粘度の油;ならびに
ii.第四級アンモニウム塩
を供給する工程を含み、上記第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む。
【0021】
本発明はさらに、(i)粒子状固体;(ii)有機媒質;および(iii)第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供し、上記第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む。
【0022】
本発明はさらに、粒子状固体、有機液体、バインダーおよび第四級アンモニウム塩を含む塗料またはインキ組成物を提供し、上記第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤の反応生成物を含む。
【0023】
本発明はさらに、粒子状固体、有機液体および第四級アンモニウム塩を含むミルベースを提供し、上記第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
第四級アンモニウム塩を含む組成物であって、該第四級アンモニウム塩が、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、該マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.該第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む、組成物。
(項目2)
前記第四級化剤が、硫酸ジアルキル;アルキルハロゲン化物;ヒドロカルビル置換カーボネート;酸と組み合わされたヒドロカルビルエポキシド;およびこれらの混合物からなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記構成要素(a)のヒドロカルビル置換フェノールのヒドロカルビル置換基が、400〜3,000の数平均分子量を有するポリオレフィンである、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記構成要素(a)のアルデヒドが、ホルムアルデヒドまたはその反応等価体である、項目1に記載の組成物。
(項目5)
前記構成要素(a)のアミンが、ジメチルアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルアミンおよびこれらの混合物からなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(項目6)
前記(a)のアミン化合物が、ジメチルアミンである、項目1に記載の組成物。
(項目7)
室温で液体である燃料をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目8)
流動化剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目9)
潤滑粘度の油をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目10)
金属不活性化剤、項目1に記載のもの以外の清浄剤、分散剤、粘度改質剤、摩擦調整剤、分散粘度改質剤、極圧剤、耐磨耗剤、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、解乳化剤、流動点降下剤、シール膨張剤、ワックス制御ポリマー、スケール抑制剤、ガス−ハイドレート抑制剤およびこれらの混合物からなる群より選択される構成要素をさらに含む、項目9に記載の組成物。
(項目11)
前記構成要素が、オーバーベース化された金属含有清浄剤、亜鉛ジアルキルジチオ硫酸塩またはこれらの混合物である、項目10に記載の組成物。
(項目12)
内燃機関に燃料を供給する方法であって、該方法は、
A.該機関に:
i.室温で液体の燃料;ならびに
ii. 第四級アンモニウム塩
を供給する工程を含み、該第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、該マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.該第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む、方法。
(項目13)
前記第四級化剤が、硫酸ジアルキル;アルキルハロゲン化物;ヒドロカルビル置換カーボネート;酸と組み合わされたヒドロカルビルエポキシド;またはこれらの混合物からなる群から選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
内燃機関を潤滑する方法であって、該方法は、
A.該機関のクランク室に:
i.潤滑粘度の油;ならびに
ii. 第四級アンモニウム塩
を供給する工程を含み、該第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、該マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.該第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む、方法。
(項目15)
前記第四級化剤が、硫酸ジアルキル;アルキルハロゲン化物;ヒドロカルビル置換カーボネート;酸と組み合わされたヒドロカルビルエポキシド;およびこれらの混合物からなる群から選択される、項目14に記載の方法。
(項目16)
(i)粒子状固体;(ii)有機媒質;および(iii)第四級アンモニウム塩を含む組成物であって、該第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、該マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.該第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む、組成物。
(項目17)
前記有機媒質が、有機液体またはプラスチック材料である、項目16に記載の組成物。
(項目18)
前記有機液体が、全有機液体を基準として、少なくとも0.1重量%の極性有機液体を含む、項目16に記載の組成物。
(項目19)
前記粒子状固体が、顔料である、項目16に記載の組成物。
(項目20)
粒子状固体、有機液体、バインダーおよび第四級アンモニウム塩を含む塗料またはインキ組成物であって、該第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、該マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.該第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む、塗料またはインキ組成物。
(項目21)
粒子状固体、有機液体および第四級アンモニウム塩を含むミルベースであって、該第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、該マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.該第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む、ミルベース。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
種々の好ましい特徴および実施形態が、非限定的な例証として以下に記載される。
【0025】
(発明の分野)
本発明は、第四級アンモニウム塩、上記第四級アンモニウム塩を含む燃料組成物、および上記燃料組成物を用いて内燃機関を作動させる方法を含む。本発明の組成物および方法は、機関内のデポジットの形成を最小化し、低減し、および制限し、燃料消費を低減し、運転のしやすさおよび自動車の維持を促進し、ならびに排気を低減して、最適機関動作を可能にする。
【0026】
(燃料)
本発明の組成物は、室温で液体であり、機関に燃料を供給するのに有用な燃料を含み得る。燃料は、通常周囲温度、例えば室温(20〜30℃)で液体である。燃料は、炭化水素燃料、非炭化水素燃料またはこれらの混合物であり得る。炭化水素燃料は、ASTM規格D4814により規定されるガソリンを含む石油留出物またはASTM規格D975により規定されるディーゼル燃料であり得る。本発明のある実施形態において、燃料はガソリンであり、そして他の実施形態において、燃料は加鉛ガソリンまたは無鉛ガソリンである。本発明の別の実施形態において、燃料はディーゼル燃料である。炭化水素燃料は、気体から液体への方法により調製される炭化水素であり得、例えばフィッシャー・トロプシュ方法のような方法によって調製される炭化水素を含む。非炭化水素燃料は、しばしばオキシジェネートとして示される酸素含有組成物であり得、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸エステル、ニトロアルカンまたはこれらの混合物を含む。非炭化水素燃料としては、例えば、メタノール、エタノール、メチルt−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、エステル交換された油および/または植物および動物の油脂(例えば、菜種メチルエステルおよび大豆メチルエステル)ならびにニトロメタンが挙げられ得る。本発明のいくつかの実施形態において、燃料は、1重量パーセント、または10重量パーセント、または50重量パーセント、または85重量パーセントまでである、重量基準のオキシジェネート含有量を有し得る。炭化水素および非炭化水素燃料の混合物としては、例えば、ガソリンならびにメタノールおよび/またはエタノール、ディーゼル燃料およびエタノール、ならびにディーゼル燃料およびエステル交換された植物油(例えば、菜種メチルエステル)が挙げられ得る。本発明の実施形態において、液体燃料は、炭化水素燃料、非炭化水素燃料、またはこれらの混合物の中の水のエマルジョンであり得る。本発明のいくつかの実施形態において、燃料は、5000ppm以下、1000ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、30ppm以下、または10ppm以下である、重量基準の硫黄含有量を有し得る。別の実施形態において、燃料は、1〜100ppmの重量基準の硫黄含有量を有し得る。1つの実施形態において、燃料は、0ppm〜1000ppm、または0〜500ppm、または0〜100ppm、または0〜50ppm、または0〜25ppm、または0〜10ppm、または0〜5ppmのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属またはこれらの混合物を含む。別の実施形態において、燃料は重量に対して1〜10ppmのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属またはこれらの混合物を含む。アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属またはこれらの混合物を含む燃料は、より大きいデポジットを形成する傾向を有し、したがって噴射器をふさぐまたは詰まらせることが当該分野で周知である。本発明の燃料は、燃料組成物中に主要量で存在し得、一般に50重量パーセントより多く、そして他の実施形態において、90重量パーセントより多く、95重量パーセントより多く、99.5重量パーセントより多く、または99.8重量パーセントより多く存在する。
【0027】
(第四級アンモニウム塩)
本発明の組成物は、第四級アンモニウム塩を含み、上記第四級アンモニウム塩は、(a)第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物、および(b)上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤の反応生成物を含み、ここで上記第四級化剤は、硫酸ジアルキル、アルキルハロゲン化物、ヒドロカルビル置換カーボネート、酸と組み合わされたヒドロカルビルエポキシド、およびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0028】
第四級アンモニウム塩の例およびその調製方法は、以下の特許に記載され、これらは本明細書に参考として援用される:米国特許第4,253,980号、米国特許第3,778,371号、米国特許第4,171,959号、米国特許第4,326,973号、米国特許第4,338,206号、および米国特許第5,254,138号。
【0029】
(マンニッヒ反応生成物)
本発明のマンニッヒ反応生成物は、第三級アミノ基を有し、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応生成物より調製される。
【0030】
ヒドロカルビル置換フェノールのヒドロカルビル置換基は、10〜400個の炭素原子を有し得、別の例において、30〜180個の炭素原子を有し得、そしてさらなる例において、10または40〜110個の炭素原子を有し得る。このヒドロカルビル置換基は、オレフィンまたはポリオレフィンから誘導され得る。有用なオレフィンとしては、市販のα−オレフィン(例えば1−デセン)が挙げられる。
【0031】
ヒドロカルビル置換基を形成し得るポリオレフィンは、周知の重合方法によってオレフィンモノマーを重合させることにより調製され得、また市販されている。上記オレフィンモノマーとしては、2〜10個の炭素原子を有するモノオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、および1−デセン)を含むモノオレフィンが挙げられる。特に有用なモノオレフィン供給源は、35〜75重量パーセントブテン含有量および30〜60重量パーセントイソブテン含有量を有するC精製流(refinery stream)である。有用なオレフィンモノマーはまた、ジオレフィン(例えば、イソプレンおよび1,3−ブタジエン)を含む。オレフィンモノマーはまた、2つ以上のモノオレフィンの混合物、2つ以上のジオレフィンの混合物、または1つ以上のモノオレフィンおよび1つ以上のジオレフィンの混合物を含み得る。有用なポリオレフィンとしては、400〜3000の数平均分子量を有するポリイソブチレンが挙げられ、別の例において、400〜2500の数平均分子量を有するポリイソブチレンが挙げられ、そしてさらなる例において、400または500〜1500の数平均分子量を有するポリイソブチレンが挙げられる。上記ポリイソブチレンは、5〜69パーセントのビニリデン二重結合の含有量を有し得、第二の例において、50〜69パーセントのビニリデン二重結合の含有量を有し得、第三の例において、50〜95パーセントのビニリデン二重結合の含有量を有し得る。上記ポリオレフィンは、単一のオレフィンモノマーから調製されるホモポリマー、または2つ以上のオレフィンモノマーの混合物から調製されるコポリマーであり得る。またヒドロカルビル置換基供給源として可能なものは、2つ以上のホモポリマーの混合物、2つ以上のコポリマーの混合物、または1つ以上のホモポリマーおよび1つ以上のコポリマーの混合物である。
【0032】
ヒドロカルビル置換フェノールは、周知のアルキル化方法を用いて上記に記載のオレフィンまたはポリオレフィン(例えば、ポリイソブチレンまたはポリプロピレン)でフェノールをアルキル化することにより、調製され得る。
【0033】
マンニッヒ清浄剤を形成するのに使用されるアルデヒドは、1〜10個の炭素原子を有し得、そして一般に、ホルムアルデヒドまたはその反応等価体(例えば、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒド)である。
【0034】
マンニッヒ清浄剤を形成するのに使用されるアミンは、モノアミンまたはポリアミンであり得る。いずれの場合においても、これらアミンは式RNHによって特徴付けられ、式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、炭化水素、アミノ置換炭化水素、ヒドロキシ置換炭化水素、アルコキシ置換炭化水素、またはアシルイミドイル基であり、ただし、RおよびRの1つ以下が水素である。したがって、すべての場合において、これらアミンは、その構造中での少なくとも1つのH−N<基の存在によって特徴付けられる。したがって、これらアミンは、少なくとも1つの第一級(すなわち、HN−)基、または第二級アミノ(すなわち、H−N<)基を有する。モノアミンの例としては、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、ジブチルアミン、アリルアミン、イソブチルアミン、ココアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミン、メチルラウリルアミン、オレイルアミン、N−メチル−オクチルアミン、ドデシル−アミン、ジエタノールアミン、モルホリン、およびオクタデシルアミンが挙げられる。
【0035】
清浄剤を誘導するポリアミンは、大部分が、以下の式
【0036】
【化1】

と一致するアルキレンアミンを主に含む(式中、tは代表的に10未満の整数であり、Aは水素、または代表的に30個までの炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、そしてアルキレン基は、代表的に8個未満の炭素原子を有するアルキレン基である)。上記アルキレンアミンとしては、主に、エチレンアミン、ヘキシレンアミン、ヘプチレンアミン、オクチレンアミン、他のポリメチレンアミンが挙げられる。上記アルキレンアミンは、特に、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、デカメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ジ(ヘプタメチレン)トリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチレンジアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(−トリメチレン)トリアミン、アミノプロピルモルホリンおよびジメチルアミノプロピルアミンにより例示される。2つ以上の上記に示されるアルキレンアミンを縮合することにより得られるような高次の同族体は同様に有用である。テトラエチレンペンタミンは、特に有用である。
【0037】
エチレンアミンは、またポリエチレンポリアミンとしても示されるが、特に有用である。このエチレンアミンは、標題「Ethylene Amines」(Enシクロpedia of Chemical Technology,Kirk and Othmer,第5巻,898−905頁,Interscience Publishers,New York(1950))にいくらか詳細に記載される。
【0038】
1つの実施形態において、マンニッヒ清浄剤は、米国特許第5,697,988号に記載のように、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応により調製され得る。1つの実施形態において、マンニッヒ反応生成物は、ポリイソブチレンと、ホルムアルデヒドと、アミンから誘導されるアルキルフェノールより調製され得、上記アミンは、第一級モノアミン、第二級モノアミン、またはアルキレンジアミン、特にエチレンジアミンまたはジメチルアミンである。
【0039】
別の実施形態において、本発明のマンニッヒ反応生成物は、アルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物と、アルデヒドと、ポリアミンとを、米国特許第5,876,468号に記載される方法を含む周知の方法によって反応することにより調製され得る。
【0040】
なお別の実施形態において、マンニッヒ反応生成物は、米国特許5,876,468号に記載されるように、一般にヒドロカルビル置換ヒドロキシ芳香族化合物と、アルデヒドと、アミンとを50〜200℃の間の温度で溶媒または希釈剤の存在下で、反応水を除去しながら反応させることを含む周知の方法により調製され得る。
【0041】
いくつかのアミンに関しては、さらに上記マンニッヒ反応生成物を、エポキシド、またはカーボネート、または他のアルキル化剤と反応させて、第三級アミノ基を得ることが必要であり得る。
【0042】
(第四級化剤)
本発明の組成物は、第三級アミノ基を第四級窒素に変換するために適切な第四級化剤を含み、ここで第四級化剤は、硫酸ジアルキル、アルキルハロゲン化物、ヒドロカルビル置換カーボネート、酸と組み合わされたヒドロカルビルエポキシド、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
1つの実施形態において、第四級化剤としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物、ヨウ化物または臭化物);水酸化物;スルホネート;アルキル硫酸エステル(例えばジメチル硫酸エステル);スルトン;ホスフェート;C1−12アルキルリン酸エステル;ジC1−12アルキルリン酸エステル;ボレート;C1−12アルキルホウ酸エステル;ニトラ
イト;ニトレート;カーボネート;ジカーボネート;アルカノエート;O,O−ジC1−12アルキルジチオスルホン酸エステル;またはこれらの混合物が挙げられ得る。
【0044】
1つの実施形態において、第四級化剤は、ジメチル硫酸エステルなどのジアルキル硫酸エステル、N−オキシド、スルトン(例えば、プロパンスルトンおよびブタンスルトン);アルキルハロゲン化物またはアリールアルキルハロゲン化物(例えば、メチルおよびエチルの塩化物、臭化物もしくはヨウ化物、または塩化ベンジル)、ならびにヒドロカルビル(もしくはアルキル)置換カーボネートから誘導され得る。上記アルキルハロゲン化物が塩化ベンジルである場合、この芳香族環は必要に応じてさらにアルキル基またはアルケニル基で置換される。
【0045】
ヒドロカルビル置換カーボネートのヒドロカルビル(またはアルキル)基は、1つの基に対して、1〜50個、1〜20個、1〜10個または1〜5個の炭素原子を含み得る。1つの実施形態において、ヒドロカルビル置換カーボネートは、同じでも異なっていてもよい2つのヒドロカルビル基を含む。適切なヒドロカルビル置換カーボネートの例としては、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートが挙げられる。
【0046】
別の実施形態において、第四級化剤は、酸と組み合わされた以下の式
【0047】
【化2】

によって示されるヒドロカルビルエポキシドであり得、式中、R、R、RおよびRは、独立してHまたはC1−50ヒドロカルビル基であり得る。
【0048】
ヒドロカルビルエポキシドの例としては、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチルベンオキシドおよびC2−50エポキシドが挙げられ得る。
【0049】
(流動化剤)
本発明の組成物は、加えて流動化剤を含み得る。
【0050】
1つの実施形態において、流動化剤はポリエーテルアミンであり得、式R[OCHCH(R)]Aによって示され得、式中、Rは、ヒドロカルビル基であり、Rは、水素、1〜16個の炭素原子のヒドロカルビル基およびこれらの混合物からなる群より選択され、nは2〜約50の数であり、そしてAは、−OCHCHCHNRおよび−NRからなる群より選択され、式中、各Rは独立して、水素またはヒドロカルビルであり、そして各Rは独立して、水素、ヒドロカルビル、または−[RN(R)]であり、式中、Rは、C−C10アルキレンであり、RおよびRは独立して水素またはヒドロカルビルであり、そしてpは1〜7の数である。これらのポリエーテルアミンは、アルコールまたはアルキルフェノールをアルキレンオキシド、アルキレンオキシドの混合物またはいくつかのアルキレンオキシドと、連続した様式で、水素含有化合物とアルキレンオキシドが1:2−50のモル比ではじめに縮合してポリエーテル中間体を形成することにより調製され得る。米国特許第5,094,667号は、ポリエーテル中間体を調製する反応条件を提供し、この特許の開示は本明細書中に参考として援用される。1つの実施形態において、アルコールは1〜30個の炭素原子の直鎖または分枝鎖であり得、別の実施形態において、6〜20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖であり得、なお別の実施形態において、10〜16個の炭素原子の直鎖または分枝鎖であり得る。アルキルフェノールのアルキル基は、1〜30個の炭素原子であり得、別の実施形態において、10〜20個の炭素原子であり得る。アルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはブチレンオキシドが挙げられる。ポリエーテル中間体におけるアルキレンオキシド単位の数は、10−35または18−27であり得る。ポリエーテル中間体は、アンモニア、アミン、またはポリアミンによるアミノ化によってポリエーテルアミンに変換され得、Aが−NRであるタイプのポリエーテルアミンを形成する。欧州特許出願公開第310875号は、アミノ化反応の反応条件を提供し、この出願公開の開示は本明細書中に参考として援用される。あるいは、ポリエーテル中間体はまた、アクリロニトリルとの反応、続く水素化により、Aが−OCHCHCHNRであるタイプのポリエーテルアミンに変換され得る。米国特許第5,094,667号は、シアノエチル化および続く水素化の反応条件を提供し、この特許の開示は本明細書中に参考として援用される。Aが−OCHCHCHNHであるポリエーテルアミンが代表的に好ましい。市販のポリエーテルアミンの例は、ChevronからのTechron(登録商標)の種類およびHuntsmanからのJeffamine(登録商標)の種類である。
【0051】
別の実施形態において、流動化剤はポリエーテルであり得、式RO[CHCH(R)O]Hで示され得、式中、Rはヒドロカルビル基であり、Rは水素、1〜16個の炭素原子のヒドロカルビル基およびこれらの混合物からなる群より選択され、そしてqは2〜約50の数である。調製のための反応条件およびポリエーテルの種々の実施形態は、上述のポリエーテル中間体のためのポリエーテルアミンの説明に示される。市販のポリエーテルの例は、Lyondell ND(登録商標)シリーズである。他の適切なポリエーテルはまた、Dow Chemicals、Huntsman、およびICIから市販されている。
【0052】
なお別の実施形態において、流動化剤は、米国特許第5,503,644号に記載のヒドロカルビル末端ポリ−(オキシアルキレン)アミノカーバメートであり得る。
【0053】
なお別の実施形態において、流動化剤は、アルコキシレートであり得、ここで上記アルコキシレートは、(i)2つ以上のエステル末端基を含むポリエーテル;(ii)1つ以上のエステル基および1つ以上の末端エーテル基を含むポリエーテル;または(iii)1つ以上のエステル基および1つ以上の末端アミノ基を含むポリエーテルを含み得、ここで末端基は、ポリマーの末端から5つの連結する炭素または酸素原子内に位置する基として定義される。連結は、ポリマーまたは末端基における炭素および酸素原子の連結の合計として定義される。
【0054】
アルコキシレートは、式
【0055】
【化3】

として示され得、式中、R10は、H、TC(O)−、またはC1−36ヒドロカルビル基であり、式中、Tは獣脂脂肪酸中またはロジン酸を含まない脂肪酸中のC1−36脂肪酸ヒドロカルビル混合物であり;R20は、H、A、WC(O)−、またはこれらの混合物であり、ここでAは、−OCHCHCHNRおよび−NRからなる群より選択され、各Rは独立して、水素またはヒドロカルビルであり、そして各Rは独立して、水素、ヒドロカルビル、または−[RN(R)]であり、ここでRはC−C10アルキレンであり、RおよびRは、独立して水素またはヒドロカルビルであり、そしてpは1−7の数であり、Wは、C1−36ヒドロカルビル基であり;Rは、水素、1〜16個の炭素原子のヒドロカルビル基からなる群より選択され;Xは、1〜36の整数であり;Zは1〜3の整数であり;QはOまたはNであり得;ただし、QがNである場合、dは0〜2の整数であり得、そしてZは3−dの整数であり;QがOである場合、dは0〜1の整数であり得、そしてZは2−dの整数であり、そしてQがOであり、そしてRはC1−36ヒドロカルビル基である場合、RはWC(O)−である。
【0056】
上記アルコキシレートの例としては、C12−15アルコール開始ポリプロピレンオキシド(22−24)エーテルアミン、Bayer ACTACLEAR ND21−ATM(C12−15アルコール開始ポリプロピレンオキシド(22−24)エーテル−オール)、トールオイル脂肪酸開始ポリプロピレンオキシド(22−24)エステル−オール、ブタノール開始ポリプロピレンオキシド(23−25)エーテル−獣脂脂肪酸エステル、グリセロールジオレエート開始ポリプロピレンオキシド(23−25)エーテル−オール、プロピレングリコール開始ポリプロピレンオキシド(33−34)エーテル獣脂脂肪酸エステル、獣脂脂肪酸開始ポリプロピレンオキシド(22−24)エステル−オールおよびC12−15アルコール開始ポリプロピレンオキシド(22−24)エーテル獣脂脂肪酸エステルが挙げられ得る。
【0057】
これらのアルコキシレートは、酸性触媒、通常はメタンスルホン酸の存在下での、例えば、トールオイル脂肪酸(TOFA)、すなわち、大部分がオレイン酸およびリノール酸の脂肪酸の混合物であり、ならびに、大部分がステアリン酸、パルミチン酸、およびオレイン酸の脂肪酸の混合物である残りのロジン酸または獣脂酸を含む脂肪酸と、アルコール末端ポリエーテル(例えば、ポリプロピレングリコール)との反応により作製され得る。これらのアルコキシレートはまた、触媒存在下での、グリセロールジオレエートとプロピレンオキシドとの反応より作製され得る。
【0058】
(潤滑粘度の油)
本発明の組成物は、潤滑粘度の油を含み得る。潤滑粘度の油としては、潤滑粘度の天然油または合成油、水素化分解油、水素化油、水素化仕上げ(hydrofinishing)油、非精製油、精製油および再精製油またはこれらの混合物から誘導される油が挙げられる。1つの実施形態において、潤滑粘度の油は、分散剤および/または他の性能添加物のためのキャリアー流体である。
【0059】
天然油としては、動物油、植物油、鉱油、またはこれらの混合物が挙げられる。合成油としては、炭化水素油、シリコーンベースの油、リン含有酸の液体エステルが挙げられる。合成油は、フィッシャー・トロプシュ反応により生成され得、そして代表的に水素異性化フィッシャー・トロプシュ炭化水素またはワックスであり得る。
【0060】
潤滑粘度の油はまた、the American Petroleum Institute (API) Base Oil Interchangeability Guidelinesに明記されるように規定され得る。1つの実施形態において、潤滑粘度の油は、APIグループI、II、III、IV、Vまたはこれらの混合物を含み、そして別の実施形態において、APIグループI、II、IIIまたはこれらの混合物を含む。
【0061】
(種々のもの)
組成物は必要に応じて、1つ以上の追加の性能添加物を含む。性能添加物としては、金属不活性化剤、清浄剤、分散剤、粘度改質剤、摩擦調整剤、分散粘度改質剤、極圧剤、耐磨耗剤、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、解乳化剤、流動点降下剤、シール膨張剤、ワックス制御ポリマー、スケール抑制剤、ガス−ハイドレート抑制剤およびこれらの混合物が挙げられ得る。
【0062】
油を含まない状態をベースにして存在する追加の性能添加物の全合計量は、組成物の0重量%〜25重量%、または0.01重量%〜20重量%の範囲である。1つ以上の他の性能添加物は存在し得るが、他の性能添加剤はお互いに異なる量で存在することが一般的である。
【0063】
1つの実施形態において、組成物は、濃縮物形成量であり得る。本発明が濃縮物の形態であり得る場合(この濃縮物は、仕上げられた潤滑剤および/または液体燃料を完全または部分的に形成するために追加の油と組合され得る)、潤滑粘度の油および/または液体燃料中の本発明の添加物および/または他の追加の性能添加剤と希釈剤油との比は、重量で80:20〜10:90の範囲である。
【0064】
酸化防止剤としては、モリブデンジチオカーバメート、硫化オレフィン、ヒンダードフェノール、ジフェニルアミンが挙げられ;清浄剤としては、1つ以上のフェネート、硫化フェネート、スルホネート、カルボン酸、リン酸、モノ−および/またはジ−チオリン酸、サリゲニン、アルキルサリチレート、サリキサレート(salixarate)との、中性またはオーバーベース化の、ニュートンまたは非ニュートンの、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属の塩基性塩が挙げられる。
【0065】
分散剤としては、N置換長鎖アルケニルスクシンイミドならびにこれらの処理後の型が挙げられ、処理後の分散剤としては、ウレア、チオウレア、ジメルカプトチアジアゾール、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換コハク酸無水物、ニトリル、エポキシド、ホウ素化合物およびリン化合物との反応によるものが挙げられる。
【0066】
耐磨耗剤としては、金属チオリン酸塩、特に亜鉛ジアルキルジチオリン酸塩;そのリン酸エステルまたは塩;ホスファイト;ならびにリン含有カルボン酸エステル、エーテルおよびアミドが挙げられる。
【0067】
抗スカッフィング剤(anti−scuffing agent)としては、有機スルフィドおよびポリスルフィド、例えば、ベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、ジ−ターシャリーブチルポリスルフィド、ジ−tert−ブチルスルフィド、硫化ディールス−アルダー付加物またはアルキルスルフェニルN’N−ジアルキルジチオカーバメートが挙げられる。
【0068】
極圧(EP)剤としては、塩素化ワックス;有機スルフィドおよびポリスルフィド(例えば、ベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド)、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、および硫化ディールス−アルダー付加物;ホスホ硫化炭化水素;および金属チオカーバメート(例えば、亜鉛ジオクチルジチオカーバメート)が挙げられる。
【0069】
摩擦調整剤としては、脂肪アミン;エステル(例えば、ホウ酸グリセロールエステル);グリセロールの部分エステル(例えば、グリセロールモノオレエート);脂肪ホスファイト;脂肪酸アミド;脂肪エポキシド;ホウ酸脂肪エポキシド;アルコキシ化脂肪アミン;ホウ酸アルコキシ化脂肪アミン;脂肪酸の金属塩;脂肪イミダゾリン;カルボン酸およびポリアルキレン−ポリアミンの縮合生成物;ならびにアルキルリン酸のアミン塩が挙げられる。
【0070】
粘度改質剤としては、スチレン−ブタジエンの水素化コポリマー、エチレン−プロピレンポリマー、ポリイソブテン、水素化スチレン−イソプレンポリマー、水素化イソプレンポリマー、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアルキルスチレン、アルケニルアリール共役ジエンコポリマー、ポリオレフィン、ポリアルキルメタクリレートおよびマレイン酸無水物−スチレンコポリマーのエステルが挙げられる。
【0071】
分散粘度改質剤(しばしば、DVMと示される)としては、官能基化ポリオレフィン(例えば、マレイン酸無水物とアミンとの反応生成物により官能基化されたエチレン−プロピレンコポリマー;アミンで官能基化されたポリメタクリレート;ならびにアミンと反応されたスチレン−マレイン酸無水物コポリマー)が挙げられる。
【0072】
腐食防止剤としては、オクチルアミンオクタノエート;ドデセニルコハク酸またはコハク酸無水物および脂肪酸(例えば、オレイン酸)とポリアミンとの縮合生成物が挙げられる。

金属不活性化剤としては、ジメルカプトチオジアゾールの誘導体、1,2,4−トリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾールまたは2−アルキルジチオベンゾチアゾールが挙げられる。
【0073】
消泡剤としては、エチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートと必要に応じて酢酸ビニルとのコポリマーが挙げられる。
【0074】
解乳化剤としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、および(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ポリマーが挙げられ;流動点降下剤としては、マレイン酸無水物−スチレンのエステル、ポリメタクリレート,ポリアクリレートまたはポリアクリルアミドが挙げられる。
【0075】
シール膨張剤としては、Exxon Necton−37TM(FN 1380)およびExxon Mineral Seal Oilが挙げられる。
【0076】
(産業上の利用)
1つの実施形態において、本発明は、内燃機関のための液体燃料として有用である。内燃機関としては、火花点火機関および圧縮点火機関;2行程サイクルまたは4行程サイクル;直接噴射、間接噴射、ポート噴射および気化器を介して供給される液体燃料;共通レールおよびユニット噴射システム;軽量機関(例えば、乗用車)および重量機関(例えば、産業用トラック);ならびに炭化水素燃料および非炭化水素燃料およびこれらの混合物を燃料供給される機関が挙げられる。上記機関は、例えば以下の要素を組み込んだ、統合された排気システムの一部であり得、この要素としては例えば、EGRシステム;三元触媒、酸化触媒、NOx吸収剤および触媒、触媒化されたおよび触媒化されない粒子状トラップ(必要に応じて燃料による(fuel−borne)触媒を使用する)を含む後処理;種々の弁タイミング;ならびに噴射タイミングおよび噴射率成形(rate shaping)である。
【0077】
別の実施形態において、本発明は、コーティング、インキ、ミルベース、プラスチックおよび塗料、特に高固体性塗料;インキ、特にオフセットインキ、グラビアインキ、およびスクリーンインキ、放射線硬化性インキ;非水性セラミックプロセス、特にテープコーティング(tape−coating)、ドクターブレード(doctor−blade)、押し出しおよび噴射成形タイププロセス;複合材、化粧品、接着剤およびプラスチック材料において有用である。さらに、本発明の組成物は、有機媒質中で粒子状固体が均一に分布するために有効な分散剤である。適切な粒子状固体の例は、溶媒インキ用の顔料;塗料およびプラスチック材料用の顔料、エキステンダーおよび充填材;分散性染料;溶媒染浴、インキおよび他の溶媒適用システムのための光沢剤および繊維助剤;オイルベースおよび逆乳化(inverse−emulsion)掘穿泥水(drilling mud)のための固体;ドライクリーニング流体中の汚物粒子および固体粒子;粒子状セラミック材料;磁性材料および磁気記録媒体;ガラス繊維、スチール繊維、炭素繊維およびホウ素繊維のような複合体材料のための繊維;ならびに有機媒質中の分散物として適用される殺生物剤、農薬および医薬である。
【0078】
1つの実施形態において、本発明は、(i)粒子状固体;(ii)有機媒質;および(iii)第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供し、上記第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む。
【0079】
1つの実施形態において、有機媒質は、有機液体またはプラスチック材料である。
【0080】
1つの実施形態において、請求項1に記載の組成物において、有機液体は、全有機液体を基準として少なくとも0.1重量%の極性有機液体を含む。
【0081】
1つの実施形態において、粒子状固体は顔料である。
【0082】
1つの実施形態において、本発明は、粒子状固体、有機液体、バインダーおよび第四級アンモニウム塩を含む塗料またはインキ組成物を提供し、上記第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む。
【0083】
上記バインダーは、有機液体が揮発する際に、上記組成物と結合可能なポリマー性材料である。バインダーは、天然材料および合成材料を含むポリマー性材料である。1つの実施形態において、バインダーとしては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、アルキド、多糖類(例えば、セルロース)および天然タンパク質(例えば、カゼイン)が挙げられる。1つの実施形態において、上記バインダーは、組成物中に粒子状固体の量を基準として、100%より多く、200%より多く、300%より多く、または400%より多く存在し得る。
【0084】
1つの実施形態において、本発明は、粒子状固体、有機液体および第四級アンモニウム塩を含むミルベースを提供し、上記第四級アンモニウム塩は、
a.第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、上記マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物;および
b.上記第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤
の反応生成物を含む。
【0085】
1つの実施形態において、固体は、例えば、章表題「Pigments」の下、the
Colour Indexの第三版(1971)およびこの後の改訂版、およびその別冊に記載される、任意の認可された顔料のクラスからの有機顔料である。有機顔料の例は、アゾ、ジスアゾ、縮合アゾ、チオインジゴ、インダントロン、イソインダントロン、アントラトロン、アントラキノン、イソジベンゾアントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドンおよびフタロシアニンシリーズ、特に銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体からの顔料であり、ならびにまた酸性染料、塩基性染料および媒染染料のレーキからの顔料である。カーボンブラックは、正確には無機物であるが、その分散性性質においてより有機顔料のように振舞う。1つの実施形態において、有機顔料は、フタロシアニン、特に銅フタロシアニン、モノアゾ、ジスアゾ、インダントロン、アントラトロン、キナクリドンおよびカーボンブラックである。
【0086】
無機固体としては、エキステンダーおよび充填材(例えば、タルク、カオリン、シリカ、バライトおよびチョーク);粒子状セラミック材料(例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、混合ケイ素−アルミニウム窒化物および金属チタネート);粒子状磁性材料(たとえば、遷移金属、特に鉄およびクロムの磁性酸化物(例えば、γ−Fe、Fe、コバルト−ドープされた酸化鉄、酸化カルシウム、フェライト、特にバリウムフェライト);ならびに金属粒子、特に金属の鉄、ニッケル、コバルト、銅およびこれらの合金が挙げられる。
【0087】
1つの実施形態において、本発明の反応生成物と粒子状固体との組成物と共に存在し得る有機媒質は、プラスチック材料である。別の実施形態において、有機媒質は、有機液体であり得る。有機液体は、非極性有機液体または極性有機液体であり得る。1つの実施形態において、非極性有機液体は、脂肪族基、芳香族基またはこれらの混合物を含む化合物である。非極性有機液体としては、非ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、非ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、6つ以上の炭素原子を含む、完全飽和および部分的に飽和の、直鎖および分枝鎖脂肪族炭化水素)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエタン)および天然の非極性有機物(例えば、植物油、ヒマワリ油、アマニ油、テルペンおよびグリセリド)が挙げられる。1つの実施形態において、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート,セルロースおよびセルロース誘導体が挙げられる。組成物は、非常に多くの方法によって調製され得るが、溶解混合および乾燥固体混合が代表的な方法である。所望されるのであれば、組成物は他の成分、例えば樹脂(これらがまだ有機媒質を構成しない場合)、バインダー、流動化剤、沈殿防止剤(anti−sedimentation agent)、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、レオロジー改変剤、レベリング剤、光沢改変剤(gloss modifier)および防腐剤を含み得る。
【0088】
分散物は、分散物の調製において公知である任意の従来の方法により調製され得る。したがって、粒子状固体、有機媒質および分散剤は、任意の順番で混合され得、この混合物は次いで機械的処理に供されて、分散物が形成されるまで、例えば、ボールミル粉砕、ビーズミル粉砕、砂礫ミル粉砕(gravel milling)またはプラスチックミル粉砕により、固体粒子を適切なサイズに粉砕する。あるいは、固体は、その粒子サイズを減少させるために、独立して、または有機媒質もしくは分散剤のいずれかと混合されて処理され得、次いで他の成分(単数または複数)を加えられ、そして組成物を得るために混合物を撹拌する。
【0089】
本発明の組成物は、特に液体分散物として適切である。1つの実施形態において、このような分散物組成物は、
(a)0.5〜70部の粒子状固体;
(b)0.5〜30部の上記に記載の第四級アンモニウム塩の化合物;および
(c)20〜99部の有機液体;
を含み、ここですべての部は重量基準であり、そしてその量は(a)+(b)+(c)=100である。このような分散物は、(液体)インキ、塗料、およびミルベースとして有用である。
【0090】
本発明で使用される場合、用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」は、当業者に周知の、通常の意味で使用される。特に、上記用語は、分子の残りに直接結合される炭素原子を有し、大部分が炭化水素の特徴を有する基を示す。ヒドロカルビル基の例としては、炭化水素置換基、すなわち、脂肪族置換基(例えば、アルキルまたはアル
ケニル)、脂環式置換基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、ならびに芳香族
−、脂肪族−、および脂環式置換芳香族置換基、ならびに環式置換基(ここで環は分子の別の部分を介して完成している(例えば、2つの置換基が一緒に環を形成する));置換炭化水素置換基、すなわち、本発明の状況内で置換基の炭化水素の性質をほとんど変えない非炭化水素基を含む置換基(例えば、ハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、
アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ);ヘテロ置換基、すなわち大部分が炭化水素の特徴を有する一方で、本発明の状況内で、炭素原子からなる環または鎖中に炭素以外を含む置換基が挙げられる。ヘテロ原子は、硫黄、酸素、窒素を含み、ならびにピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基を包含する。一般に2つ以下の、好ましくは1つ以下の、非炭化水素置換基が、ヒドロカルビル基の10個の炭素ごとに存在し、代表的にヒドロカルビル基内に非炭化水素置換基はない。
【0091】
上記に記載のいくつかの材料は、最終処方物中で相互作用し得、その結果、最終処方物の構成要素が最初に添加した構成要素と異なり得ることは公知である。例えば、金属イオン(例えば、清浄剤の金属イオン)は、他の分子の酸性部位またはアニオン性部位へ移動し得る。それによって形成される生成物(本発明の組成物を意図される使用において利用する際に形成される生成物を含む)は、簡単に記載することが可能でない。それにもかかわらず、すべてのこのような改変および反応生成物は、本発明の範囲内に含まれ、本発明は、上記に記載の構成要素を混合することにより調製される組成物を包含する。
【実施例】
【0092】
実施例
本発明は、特に有利な実施形態を示す、以下の実施例によりさらに例証される。実施例は本発明を例証するために提供されるが、本発明を限定することは意図されない。
【0093】
本発明の洗浄剤は、改変されたASTM D5500 Driving Cycle Testにおいて評価される。この試験において使用される自動車は、1.8Lの4サイクル機関を有するBMWTM 318i自動車である。燃料は、10%エタノールと混合されたレギュラーの無鉛準等級85オクタンである。ポリエーテルベースの流動化剤が組成物に含まれる。吸気弁は、BMWTM吸気弁型番11−34−1−254−625である。
【0094】
この試験において使用される洗浄剤は、1000Mnポリイソブチレンフェノールと、ホルムアルデヒドと、ジメチルアミンとの市販のマンニッヒ反応生成物(比較例1)、および以下に記載のような本発明の実験用清浄剤(実施例1)を含む。
【0095】
調製実施例A:
調製実施例Aは、1000Mnポリイソブチレン(800グラム)および希釈剤油SO−44(240グラム)から調製されるアルキル化フェノールの混合物より調製され、窒素を適用し、そしてこの混合物を100rpmで撹拌する。この混合物に、ホルマリン(55.9グラム)を50分かけて(滴下して)加える。その後、ジメチルアミン(73.3グラム)をさらに50分かけて(滴下して)加える。全混合物を68℃に加熱し、そして68℃で1時間維持する。1時間後、混合物を106℃に加熱し、そしてさらに2時間維持する。混合物の温度を130℃まで上げ、そして30分維持し、その後一晩かけて冷却する。混合物を減圧蒸留(130℃、−0.9バール)により精製し、任意の残りの水を除去する。この生じた化合物はDMAマンニッヒである。
【0096】
実施例1
調製実施例Aの反応生成物(1700グラム)、スチレンオキシド(263グラム)、酢酸(66グラム)およびメタノール(4564グラム)を、窒素雰囲気下で6.5時間撹拌しながら還流まで(約75℃)加熱する。反応物を蒸留(30℃、−0.8バール)により精製する。この生じた化合物はスチレンオキシド第四級アンモニウム塩である。
【0097】
注記:比較例1において、活性な化学物質は、活性な化学物質と希釈剤油の重量比が約75:25で、不活性な希釈剤油を加えられる。
【0098】
注記:実施例1において、活性な化学物質は、活性な化学物質と希釈剤油の重量比が約75:25で、不活性な希釈剤油を加えられる。
【0099】
【表1】

試験結果は、本発明の第四級アンモニウム塩清浄剤を使用する処方物(実施例1)が、市販の清浄剤(比較例1)と比べて同等またはよりすぐれた、吸気弁注入器のデポジット形成における低減を示す、ということを示す。
【0100】
上記に示される文書はそれぞれ、本明細書中に参考として援用される。実施例、またはそうでないと明確に示される場合を除き、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを明記する本明細書中のすべての数量は、単語「約」により修飾されるように理解されるべきである。そうでないと示されない限り、本明細書中で示される化学物質または組成物のそれぞれは、市販の等級の材料であるように解釈されるべきであり、この市販の等級の材料は異性体、副生成物、誘導体、および通常市販の等級中に存在すると理解されるような他の材料を含み得る。しかし、それぞれの化学的構成要素の量は、そうでないと示されない限り、市販の材料中に慣例的に存在し得る任意の溶媒または希釈剤油を除いて示される。本明細書中に示される量、範囲および比の上限および下限は、独立して組み合わされ得ると理解されるべきである。同様に、本発明のそれぞれの要素の範囲および量は、任意の他の要素の範囲または量と一緒に使用され得る。本明細書中で使用される場合、語句「本質的に〜からなる」は、考えられる組成物の基本の特徴および新しい特徴に実質的に影響しない物質を含むことを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第四級アンモニウム塩を調製する方法であって、該方法は、
(i)第三級アミノ基を有するマンニッヒ反応生成物であって、該マンニッヒ反応生成物は、ヒドロカルビル置換フェノールと、アルデヒドと、アミンとの反応より調製される、マンニッヒ反応生成物、ならびに
(ii)該第三級アミノ基を第四級窒素に変換するのに適切な第四級化剤であって、該第四級化剤は、硫酸ジアルキル;ヒドロカルビル置換カーボネート;酸と組み合わされたヒドロカルビルエポキシド;およびこれらの混合物からなる群より選択される、第四級化剤
を反応させる工程を含む、方法。
【請求項2】
(i)における前記ヒドロカルビル置換フェノールのヒドロカルビル置換基は、400〜3000の数平均分子量を有するポリオレフィンである、請求項1に記載の第四級アンモニウム塩を調製する方法。
【請求項3】
(i)における前記アルデヒドは、ホルムアルデヒドまたはその反応等価体であり、該反応等価体は、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒドから選択される、請求項1に記載の第四級アンモニウム塩を調製する方法。
【請求項4】
(i)における前記アミンは、ジメチルアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルアミン、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の第四級アンモニウム塩を調製する方法。
【請求項5】
(i)における前記アミンは、モノアミン、またはポリアミンであって、該ポリアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、デカメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ジ(ヘプタメチレン)トリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチレンジアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(−トリメチレン)トリアミン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の第四級アンモニウム塩を調製する方法。
【請求項6】
吸気弁デポジットを低減するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法により得られ得る第四級アンモニウム塩の燃料組成物中での使用。

【公開番号】特開2013−79284(P2013−79284A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−10901(P2013−10901)
【出願日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【分割の表示】特願2009−526864(P2009−526864)の分割
【原出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】