説明

マンネンタケ抽出物の抽出方法及び該マンネンタケ抽出物を含有する美白剤

【課題】超臨界流体によるマンネンタケ抽出法において、マンネンタケ抽出物が有するメラニン生成抑制作用を低下させることなく抽出効率を向上させること、さらに該方法で得られたマンネンタケ抽出物を美白剤として皮膚外用剤等に応用することを目的とする。
【解決手段】マンネンタケからメラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物を抽出する方法であって、前記マンネンタケを、温度範囲30〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある流体で抽出することを特徴とする前記メラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物の抽出方法、及び該方法で抽出されたマンネンタケ抽出物を含有する美白剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンネンタケからメラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物を抽出する方法、及び該方法で抽出されたマンネンタケ抽出物を含有する美白剤に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け等によるしみ、そばかす、肝班等の皮膚の色素沈着は加齢に伴って発生し、加齢に伴って増加、あるいは消失しにくくなるため、中高年齢層にとって悩みとなっている。これらの色素沈着の発症機構は未だ明確にされていないが、太陽光線(特に紫外線)による日焼け等によって、表皮細胞に存在するメラノサイト内のメラノソームとよばれるメラニン生成顆粒においてメラニン色素が産生され、生成したメラニン色素が隣接細胞へ拡散することによって生じると考えられている。
【0003】
このような色素沈着を正常皮膚色にまで回復することが可能な物質の開発が強く望まれており、これまでに多くの物質が開発されてきている。例えば、L−アスコルビン酸、コウジ酸、アルブチン等が知られている。
【0004】
本出願人らは、以前から美白剤開発を進めてきており、例えば、エルゴステロール誘導体(例えば、特許文献1参照)、ガノデロールB(特許文献2参照)等からなる美白剤、鹿角霊芝抽出物と微小循環改善剤を含有するメラニン生成抑制剤(特許文献3参照)等について特許出願している。なかでも鹿角霊芝抽出物は、毒性もなく、美白効果も優れ、天然物由来の美白剤として有用な抽出物である。
【0005】
最近、鹿角霊芝等のマンネンタケについて、温度範囲20〜70℃、圧力範囲7〜40MPaの状態にある二酸化炭素によって抽出したマンネンタケ抽出物は、エタノールによる抽出物に比べて、メラニン生成抑制効果に優れるという特許が公開されている(特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−114685号公報
【特許文献2】特開2002−284690号公報
【特許文献3】特開2003−171254号公報
【特許文献4】特開2005−104873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
超臨界二酸化炭素抽出法は、抽出工程が簡便であること、刺激性がなく無害であり、また実用上はほとんど不活性であることから抽出物の化学変化による変質が少ない等の理由で注目されている抽出法であるが、アルコール等による抽出法に比べ、抽出効率がよくないという難点があり、マンネンタケを超臨界二酸化炭素によって抽出して得られるマンネンタケ抽出物についても抽出効率が低かった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、超臨界流体によってメラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物を抽出する方法において、メラニン生成抑制作用を低下させることなくマンネンタケ抽出物の抽出効率を向上させることができる抽出方法を提供すること、さらに該方法で抽出されたマンネンタケ抽出物を含有する美白剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために、超臨界流体によるマンネンタケ抽出法における抽出条件について研究を進めた結果、マンネンタケを温度範囲30〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある超臨界又はその近傍の流体によって抽出するとマンネンタケ抽出物の抽出効率が飛躍的に向上し、しかもその抽出物はアルコール抽出物に比べても数段優れたメラニン生成抑制作用を有し、さらに、従来の超臨界又はその近傍の流体によって抽出されるマンネンタケ抽出物に比べても同等又はそれ以上のメラニン生成抑制作用を有し、安全性も高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、第一発明は、マンネンタケからメラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物を抽出する方法であって、前記マンネンタケを、温度範囲30〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある流体で抽出することを特徴とする前記メラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物の抽出方法である。
【0011】
また、第二発明は、鹿角霊芝からメラニン生成抑制作用を有する鹿角霊芝抽出物を抽出する方法であって、前記鹿角霊芝を、温度範囲30〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある流体で抽出することを特徴とする前記メラニン生成抑制作用を有する鹿角霊芝抽出物の抽出方法である。
【0012】
また、第三発明は、マンネンタケからメラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物を抽出する方法であって、前記マンネンタケを、温度範囲30〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある二酸化炭素で抽出することを特徴とする前記メラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物の抽出方法である。
【0013】
また、第四発明は、鹿角霊芝からメラニン生成抑制作用を有する鹿角霊芝抽出物を抽出する方法であって、前記鹿角霊芝を、温度範囲30〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある二酸化炭素で抽出することを特徴とする前記メラニン生成抑制作用を有する鹿角霊芝抽出物の抽出方法である。
【0014】
さらに、第五発明は、前記いずれかの方法で抽出されたマンネンタケ抽出物を含有する美白剤である。
【0015】
また、第六発明は、前記いずれかの方法で抽出された鹿角霊芝抽出物を含有する美白剤である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、優れたメラニン生成抑制作用を有し、安全性の高いマンネンタケ抽出物が、特定条件下での超臨界流体抽出法によって効率よく高収率で得られる。前記マンネンタケ抽出物は、美白剤として、医薬部外品を含む化粧品、医薬品、食品等種々の分野に応用され、化粧料、医薬組成物、食品等の形態で使用される。特に、好適には、皮膚に外用される皮膚外用剤の形態で、皮膚に直接塗布又は散布する投与方法により使用され、優れた美白効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
【0018】
マンネンタケ(霊芝)は担子菌類のキノコであり、マンネンタケ科マンネンタケ属(学派によりサルノコシカケ科マンネンタケ属と称される。)に分類される。多く流通しているマンネンタケには赤霊芝(赤芝または単に霊芝、学名:Ganoderma lucidum)、黒霊芝(黒芝、紫芝、学名:Ganoderma japonicum,Ganoderma sinense,Ganoderma atrum)がある。本発明においてはこれらを用いることが好ましく、なかでも霊芝(赤芝)の一種である鹿角霊芝(鹿角芝、学名:Ganoderma amboinenseと記載されることが多い。)を用いることが特に好ましい。また、その他のマンネンタケ属のキノコを用いてもよい。なお、中国の古い薬物書「神農本草経」「本草綱目」では青芝、赤芝、黄芝、白芝、黒芝及び紫芝が効用のある霊芝として分類され挙げられており、これらに該当するものを使用してもよい。また、上述のマンネンタケはいずれも天然の自生品を用いてもよいし、栽培品を用いてもよい。
【0019】
抽出に使用されるマンネンタケの部位としては、子実体、菌糸体、菌糸体の培養物、胞子等であるが、好ましくは子実体である。抽出に当たっては、これらは、菌体そのものを用いても、また菌体を乾燥、粉砕や細切したりしたものを用いても構わない。
【0020】
本発明において、マンネンタケは、温度範囲30〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある流体によって抽出される。流体がこの範囲において、抽出効率に優れ、毒性が低く、有効性の高い抽出物を得ることができる。さらに好ましい流体は、温度範囲30〜90℃、圧力範囲42〜80MPaの状態にある流体である。
【0021】
前記範囲において、流体は超臨界またはその近傍の状態となる。
【0022】
前記流体としては、二酸化炭素、水、メタノール、フロン等が挙げられる。これらの中では二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素は、臨界点(温度30.9℃、圧力7.38MPa)以上の温度、圧力で超臨界二酸化炭素となり、本発明においては温度範囲30.9〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある超臨界二酸化炭素を用いることが好ましい。さらに好ましくは、温度範囲30.9〜90℃、圧力範囲42〜80MPaの状態にある超臨界二酸化炭素である。
【0023】
前記圧力範囲については、下限に臨界点があるので、その臨界圧力が重要であるが、抽出効率について後から述べる抽出物の実施例において明らかにしているように、また、実用的な点からも45〜60MPaがさらに好ましい。また、抽出時間、流体の供給量については特に限定されず任意の範囲で行われる。
【0024】
抽出に当たっては、共溶媒(エントレーナー)を用いることができる。共溶媒としては、水、エタノール、アセトン等が挙げられる。中でも、安全性の面から水、エタノールが好ましい。
【0025】
抽出法は、前記温度、圧力以外には特に限定されるものではなく、一般的な方法で行われるが、例えば、抽出槽において、上記抽出条件にある二酸化炭素等の流体をマンネンタケに連続的に吹き込むことによって行うことができる。抽出後は、マンネンタケの抽出物を含有する二酸化炭素等の流体を分離槽に導き、一般的に行われている方法、例えば、圧力や温度を下げる方法等で分離する。この際、分離槽には溶媒を充填しておき、マンネンタケ抽出物の溶液として分離することもできる。
【0026】
前記溶液として分離した場合は、そのままでもよいが、必要に応じて、ろ過された後、濃縮、希釈、脱臭、乾固等の処理を適宜行ってもよい。
【0027】
本発明に係る前記方法で抽出されたマンネンタケ抽出物(以下、単にマンネンタケ抽出物という。)は優れたメラニン生成抑制作用を有する。したがって、本発明に係るマンネンタケ抽出物は、成分としての美白剤(以下、美白剤(成分)という。)として有用である。
【0028】
前記美白剤(成分)は極めて応用範囲が広く、例えば、医薬部外品を含む化粧品、医薬品、食品等種々の分野に応用され、好適には皮膚外用剤に配合されて活用される。
【0029】
本発明においては、美白効果を有する成分としてマンネンタケ抽出物を含有して美白剤が調製され、該美白剤は優れた美白効果を発揮する。
【0030】
本発明において、美白剤を調製する場合、マンネンタケ抽出物の含有量は、美白剤全量中100質量%でもよいが、美白効果を発揮するのに有効な量で充分である。美白剤の調製や使用のしやすさから、また実用性の点から、美白剤全量中0.0001〜10.0質量%の範囲の有効量であることが好ましい。さらに好ましくは0.01〜5.0質量%である。
【0031】
したがって、本発明に係る美白剤において、含有量についての「含有する」は、「からなる」を含む概念である。
【0032】
本発明における美白剤には、マンネンタケ抽出物を100質量%含有する場合を除いて、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬部外品を含む化粧料、医薬組成物、食品等に通常用いられる他の成分を適宜配合することができる。前記他の成分としては、例えば、油分、界面活性剤、粉末、増粘剤、保湿剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、抗炎症剤、植物抽出物、上記以外の美白剤(成分)、香料、水、賦形剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、吸収促進剤、pH調整剤、稀釈剤、担体、溶解助剤、矯味剤、保存剤、着色剤、コーティング剤、甘味料、酸味料等が挙げられる。
【0033】
前記美白剤は、例えば、医薬部外品を含む化粧品、医薬品、食品等種々の分野において、医薬部外品を含む化粧料、医薬組成物(内服、外用)、栄養機能食品、特定保健用食品、飲料、一般食品等の食品等の形態で使用することができ、それぞれに適した種々の剤型をとることができる。
【0034】
具体的には、例えば、化粧水、化粧用油、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス(美容液)、パック・マスク、白粉・打粉、化粧下地、ファンデーション、日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼け用オイル、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、乳剤、トローチ剤、内用液剤、シロップ剤、軟膏剤、チンキ剤、酒精剤、パップ剤、貼付剤、エアゾール剤、乳剤、ローション剤、懸濁剤、溶液剤、乳濁剤、経口剤、注射剤、錠剤、座剤、飲料(アルコール飲料、炭酸飲料、果汁飲料、ビタミン飲料、栄養飲料、茶飲料、ミネラル飲料、乳酸菌飲料、乳飲料、スポーツ飲料、清涼飲料等)、クッキー、グミ、飴、キャラメル、チョコレート、ゼリー、錠菓、麺類、パン、米飯加工品、調味料(ソース、しょう油等)、ガム、キャンディー、菓子類、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、粉末分散系、油液系、ゲル系、ジェル系、軟膏系、エアゾール系、ムース系、水−油2層系、水−油−粉末3層系等の製品形態及び剤型を挙げることができる。
【0035】
前記医薬組成物の場合の美白剤の用法、用量は特に限定されるものではなく、症状、年齢、体重等の個人差等により適宜決定されるが、経口投与の場合、通常0.01〜100mg/kg、好ましくは0.1〜10mg/kgであり、この量を1日1回又は2〜4回に分けて投与することができる。また、経皮投与の場合は、通常一日当たり数回例えば1〜5回、適量例えば1cm当たり0.1〜1ml、肌に直接すり込むか、またその適量をガーゼ等に染み込ませてから肌に貼付して使用することができる。
【0036】
本発明に係る美白剤は、特に、好適には化粧料、医薬組成物のうちの、皮膚に外用される皮膚外用剤の形態で、皮膚に直接塗布又は散布するあるいはガーゼ等に染み込ませてそれを肌に貼付する投与方法により使用され、優れた美白効果を発揮する。
【実施例】
【0037】
本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0038】
[マンネンタケ抽出物の調製]
[実施例1〜10、比較例1〜7]
超臨界流体抽出装置の抽出槽に鹿角霊芝子実体乾燥品の粉砕物50gを投入し、表1に示した温度、圧力の超臨界二酸化炭素にて抽出した。同装置の分離槽において炭酸ガスと分離されて得られた抽出物は、エタノールに溶解して分離槽内から回収し、減圧乾固して秤量した。50gの投入原材料に対する抽出物回収量から抽出効率を求め表1に記した。
【0039】
【表1】

【0040】
表1から、圧力範囲45〜50MPa、温度範囲35〜80℃の状態にある超臨界二酸化炭素で抽出することにより、超臨界二酸化炭素の圧力が40MPa以下のものに比較して抽出効率は大幅に高く、臨界的に抽出効率がよいことが分かる。したがって、マンネンタケを、温度範囲30〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある流体、特に、温度範囲30.9〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある超臨界二酸化炭素で抽出すると、抽出効率が大幅に向上し、臨界的効果が得られることが明らかである。
【0041】
[実施例11]美白効果試験
[B16メラノーマ細胞におけるメラニン生成抑制作用]
メラニン生成抑制作用は、マウス由来のメラニン生成細胞であるB16メラノーマ細胞を用い、検体を培養液で稀釈した溶液を細胞に作用させメラニンの生成を観察し評価した。B16細胞の培養は10%FBS E−MEM培地を用いて行った。評価したサンプルは前記実施例及び比較例の方法によって得たものを用いた。さらに、比較として鹿角霊芝エタノール抽出物を用いた。以下に詳細を記す。
【0042】
[実験操作]
[培養液に添加する試料の調製]
種々の条件で抽出した鹿角霊芝超臨界二酸化炭素抽出末について濃度2mg/mlのエタノール溶液を調製した。比較として、鹿角霊芝粉砕物(200メッシュ)のエタノール抽出末を同濃度(2mg/ml)のエタノール溶液として準備した。対照として、溶媒であるエタノールを用意した。これらを原液として培地または10%エタノールを含む培地にて倍々希釈し、それぞれが10%のエタノールを含むように希釈系列を作成した。調製した各希釈段階のサンプルを培養中の細胞に20μl添加した。なお、エタノールは細胞への毒性があるので、培養液中の最終濃度が1%以下になるようにした。
【0043】
[培養操作]
予め70%コンフルエント程度まで培養しておいたB16細胞を剥離回収、計数し、播種・接着後の細胞密度が5.0×10cells/cmになるように細胞懸濁液を調製し、96wellプレートに180μlずつ播種した。3〜5時間培養後、細胞が接着していることを顕微鏡で確認し、サンプル溶液又は溶媒のみ(対照)を20μlずつ添加した。サンプル溶液又は溶媒添加の72時間後、倒立顕微鏡で各細胞内の黒色色素の蓄積状況を観察した。対照の細胞との比較により、色素の蓄積量を下記に示すように3段階で評価した。
【0044】
2:細胞内の色素量が対照と比べ明確に少ない。
1:細胞内の色素量が対照と比べ少ないと認められる。
0:細胞内の色素量が対照とほぼ同等である。
【0045】
同時に顕微鏡観察にて、細胞数を目視で比較して対照と大差ないかどうか確認した。
【0046】
[結果]
表1の各サンプルについて、メラニン生成抑制能を評価した結果を表2及び3に示した。細胞数は顕微鏡による目視観察で対照と同等程度であるか、または大きな差は認められなかった。したがって、試験した濃度の範囲では細胞に対する毒性は低いと考えられた。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
表2及び3から、実施例1〜10により得られた鹿角霊芝抽出物にはB16メラノーマ細胞に対して優れたメラニン生成抑制作用が見られ、美白剤(成分)として、また美白剤用として有用であることが分かる。なお、実施例1〜10により得られた鹿角霊芝抽出物は、鹿角霊芝エタノール抽出物及び比較例1〜7により得られた比較サンプルとの比較において、同程度以上のメラニン生成抑制効果をもつことが分かる。
【0050】
以上の結果から、圧力45MPa以上の条件下で高い抽出効率が認められ、しかもそれらの抽出物のメラニン生成抑制活性は高いものであった。したがって、圧力範囲42〜100MPa、温度範囲30〜150℃の状態にある二酸化炭素を用いて鹿角霊芝の抽出処理を行うことにより、美白剤(成分)として有用な、また美白剤用として有用な抽出物が効率よく得られることが明らかである。
【0051】
以下に本発明に係る美白剤の製剤例を示す。なお、配合した鹿角霊芝抽出物は、前記実施例の方法によって得られたものを用いた。
【0052】
[製剤例1]クリーム
成分 配合量(質量%)
ステアリン酸 6.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
POE(20モル)ソルビタンモノステアリン酸エステル 2.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
鹿角霊芝抽出物(実施例6) 1.0
イソプロピルミリステート 12.0
スクワラン 5.0
流動パラフィン 3.0
ビタミンE 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 適量
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0053】
[製剤例2]乳液
成分 配合量(質量%)
ステアリルアルコール 2.0
スクワラン 5.0
液状ラノリン 3.0
トリオクタン酸トリメチロールプロパン 2.0
トリオクタン酸グリセリル 5.0
グリセリンモノオレート 2.0
POE(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
ビタミンC 0.1
防腐剤 適量
鹿角霊芝抽出物(実施例7) 2.0
パラアミノ安息香酸 0.1
香料 適量
亜硫酸水素ナトリウム 適量
グリセリン 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
トリエタノールアミン 1.0
精製水 残余
【0054】
[製剤例3]ジェル
成分 配合量(質量%)
ジプロピレングリコール 10.0
PEG1500 5.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
エチルアルコール 2.0
POE(50モル)オレイルアルコールエーテル 2.0
水酸化カリウム 0.15
鹿角霊芝抽出物(実施例8) 0.5
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 0.05
防腐剤 適量
EDTA・3Na 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0055】
[製剤例4]エッセンス
成分 配合量(質量%)
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
エタノール 10.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.5
水酸化カリウム 0.1
POE(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 0.5
POE(20モル)オクチルドデカノールエーテル 1.0
オリーブ油 0.15
ビタミンEアセテート 0.1
鹿角霊芝抽出物(実施例9) 3.0
亜硫酸水素ナトリウム 適量
防腐剤 適量
EDTA・3Na 適量
香料 適量
精製水 残余
【0056】
[製剤例5]パック
成分 配合量(質量%)
ポリ酢酸ビニルエマルション 15.0
ポリビニルアルコール 10.0
ジプロピレングリコール 5.0
ソルビトール 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
オリーブ油 1.0
スクワラン 3.0
POE(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.5
酸化チタン 5.0
タルク 10.0
エタノール 7.0
鹿角霊芝抽出物(実施例10) 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
【0057】
[製剤例6]化粧水
成分 配合量(質量%)
1,3−ブチレングリコール 6.0
グリセリン 5.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.3
POE(20モル)ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.5
ポリオキシエチレン(20モル)オクチルドデカノールエーテル 0.5
エタノール 15.0
鹿角霊芝抽出物(実施例1) 0.1
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
【0058】
[製剤例7]軟膏
成分 配合量(質量%)
POE(30モル)硬化ヒマシ油 2.0
グリセリルモノステアレート 10.0
スクワラン 10.0
ワセリン 40.0
セタノール 6.0
鹿角霊芝抽出物(実施例2) 5.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
イオン交換水 残余
防腐剤 適量
香料 適量
【0059】
[製剤例8]ファンデーション
成分 配合量(質量%)
タルク 3.0
酸化チタン 5.0
ベンガラ 0.5
酸化鉄黄 1.5
酸化鉄黒 0.1
ベントナイト 0.5
POE(20モル)ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.0
トリエタノールアミン 1.0
グリセリン 5.0
プロピレングリコール 5.0
ステアリン酸 2.0
モノステアリン酸グリセリン 10.0
流動パラフィン 10.0
ジメチルポリシロキサン 5.0
ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン 3.0
鹿角霊芝抽出物(実施例3) 1.0
精製水 残余
防腐剤 適量
香料 適量
【0060】
[製剤例9]錠剤
成分 配合量(質量%)
鹿角霊芝抽出物(実施例4) 5.0
還元麦芽糖 59.0
トレハロース 14.0
グリセリン脂肪酸エステル 2.0
デキストリン 20.0
【0061】
[製剤例10]キャンディー
成分 配合量(質量%)
ショ糖 68.0
水飴 30.0
鹿角霊芝抽出物(実施例5) 1.0
香料 1.0
【0062】
[製剤例11]顆粒剤
成分 配合量(質量%)
還元麦芽糖 35.0
乳糖 20.0
結晶セルロース 31.0
鹿角霊芝抽出物(実施例1) 12.0
シュガーエステル 2.0
【0063】
[製剤例12]錠菓
成分 配合量(質量%)
鹿角霊芝抽出物(実施例6) 2.0
還元麦芽糖 20.0
エリスリトール 10.0
クエン酸 10.0
ブルーベリーエキス 5.0
乳糖 5.0
ショ糖脂肪酸エステル 3.0
香料 適量
デキストリン 残余
【0064】
[製剤例13]飲料
成分 配合量(質量%)
鹿角霊芝抽出物(実施例10) 0.1
還元麦芽糖水飴 5.0
エリスリトール 1.0
ビタミンC 1.0
ステビア 0.05
香料 0.1
水 残余

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンネンタケからメラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物を抽出する方法であって、前記マンネンタケを、温度範囲30〜150℃、圧力範囲42〜100MPaの状態にある流体で抽出することを特徴とする前記メラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物の抽出方法。
【請求項2】
マンネンタケが鹿角霊芝である請求項1記載のメラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物の抽出方法。
【請求項3】
流体が二酸化炭素である請求項1又は2記載のメラニン生成抑制作用を有するマンネンタケ抽出物の抽出方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法で抽出されたマンネンタケ抽出物を含有する美白剤。
【請求項5】
マンネンタケが鹿角霊芝である請求項4記載の美白剤。
【請求項6】
流体が二酸化炭素である請求項4又は5記載の美白剤。

【公開番号】特開2007−277120(P2007−277120A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103148(P2006−103148)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(398050261)株式会社坂本バイオ (11)
【出願人】(592156482)大峰堂薬品工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】