説明

マンホールの安全構造及びその施工方法

【課題】 マンホールのセキュリティをほぼ完全に確保することが出来、さらに既設のマンホールを補修することによって簡単に施工して構築することが出来るマンホールの安全構造及びその施工方法を目的とするものである。
【解決手段】 外枠リング10内に開閉蓋11が開閉自在に取付けられ、かつこれ等の外枠リング10と開閉蓋11との間に、錠前12a及びレバー12b等よりなるロック機構12が取付けられて構成された防犯蓋9をマンホール1の調整材7と蓋受枠8との間に差込んで取付けて構成したマンホールの安全構造である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は下水道用のマンホール或は汚水ます等(以下単にマンホールと言う)のセキュリティをほぼ完全に確保することが出来、さらに既設のマンホールを補修することによって簡単に施工して構築することが出来るマンホールの安全構造及びその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下水道は、その管路の末端は各家庭まで、地下を利用してつながっている。一方、高度情報化社会を実現するためには、光ファイバー網を各家庭まで敷設する必要がある。また、都市景観の観点から電線の地中化が必要とされ、この新規に敷設する光ファイバー網も、地中化する必要がある。
【0003】しかし、新たにそのためのインフラを構築することは莫大な費用と時間が必要となる問題がある。従って、限りなく既存のインフラを利用しつつ光ファイバー網を敷設することを考えると、最近になって下水道網が、現実的なインフラとして注目されるようになって来た。
【0004】光ファイバー網は、情報が流れるため、ケーブルの切断などの事故があった場合それは大変大きな問題となるため、完全なセキュリティが必要となる。
【0005】下水道内に光ファイバー網を敷設した時に、一般の人との接点となる場所はマンホールであり、マンホール内には接続箱の設置または、ケーブルが通過することとなるが、現在の下水道マンホールは、一般の人が簡単に開けることのできないロック機能は有しているが、それは専用の冶具が入手出来れば、何人でも簡単に開くもので、セキュリティとしては不充分であるため、完全なセキュリティが必要となっていた。
【0006】前述の問題点を解決するために、マンホールにセキュリティ機能を持たせる必要があり、この目的を達成するために、マンホールの蓋に施錠機構を取付けてマンホールにセキュリティ機構を持たせることが提案され、既に一部では具体的に実施されている。
【0007】しかし、マンホールの蓋に施錠機能を持たせた構造のものは、マンホールの施錠機能の周りまたは施錠機能の中に土砂が流入して鍵が開かなくなる問題があった。
【0008】従って、この問題を解決するために、例えば実開平6−49538号公報(第1公知資料)、特開平9−100543号公報(第2公知資料)、特開平9−71960号公報(第3公知資料)及び特開平11−29951号公報(第4公知資料)等に示す如く、マンホールの蓋の下方、即ちマンホールの蓋受枠の中に中蓋を設け、この中蓋に施錠を施すことによってマンホールのセキュリティを確保しようとする技術が開発されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】然るに、前述の第1公知資料乃至第4公知資料に記載された技術は、いずれもマンホールの蓋の下方に中蓋を設け、かつこの中蓋に施錠を施す構造のマンホールである。これ等のマンホールは、土砂等によって鍵が開かなくなる等の問題は解決出来るが、この中蓋を収納するための極めて特殊な蓋受枠を使用しなければならず、既設のマンホールを簡単に補修して使用することが困難である等の問題があった。
【0010】また、従来一般に市場で使用されているマンホールの蓋及びその蓋を受けるための蓋受枠はメーカーによって寸法等が異なり、かつ使用する各自治体、電力会社、電話会社等によってその模様等が異なるために、互換性がなく、マンホールにセキュリティを持たせるためには、数多くの種類のものに夫々対応しなければならず、極めてコスト高になる問題があった。
【0011】本発明に係るマンホールの安全構造及びその施工方法は、前述の多くの問題点に鑑み開発された全く新しい技術であって、特にロック機能を具備した防犯蓋をマンホール蓋の蓋受枠下面とマンホールの上縁との間に挟み込んで構成することによって、寸法等の異なる多種多様のマンホールに対応させ、特に既設の全てのマンホールに簡単に補修作業によって、マンホールにセキュリティを施すことが出来るようにした新しいマンホールの安全構造と、その安全構造の施工方法の技術を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るマンホールの安全構造は、前述の従来の問題点を根本的に改善した発明であって、その第1発明の要旨は、ロック機能を具備した防犯蓋をマンホール蓋の蓋受枠下面とマンホールの上縁との間に挟み込んで設置して構成したことを特徴としたマンホールの安全構造である。
【0013】前述の第1発明に於ては、ロック機能を具備した防犯蓋をマンホール蓋の蓋受枠下面とマンホールの上縁との間に挟持したので、この防犯蓋によってマンホールのセキュリティを完全に維持することが出来る。かつ、該防犯蓋はマンホール蓋の下方に設けられているので、この防犯蓋が土砂等によって開閉出来なくなることを防止出来る。
【0014】また、該防犯蓋は、マンホールの蓋受枠とマンホールの上縁との間に挟持固定されて取付けられるので、前記既製のマンホールの蓋或は蓋受枠の寸法、形状等によって左右されることなく、一種類の防犯蓋によって種々のマンホールに対応させることが出来る。従って、マンホール蓋或は蓋受枠の形状、模様を考慮せずに標準化することが出来る。特に既設の種々のマンホールに対応させ、簡単な工事で施工することが出来る。
【0015】本発明に係るマンホールの安全構造の第2発明の要旨は、前記防犯蓋は、前記蓋受枠とマンホールの上縁との間に差込まれる外枠リングとこの外枠リングの内周に開閉自在に取付けられる開閉蓋とによって構成されることを特徴とした第1発明のマンホールの安全構造である。
【0016】前述の第2発明に於ては、前記防犯蓋が外枠リングと、この外枠リングの内周に開閉自在に取付けられる開閉蓋とで構成されているので、外枠リングはマンホールの上縁と蓋受枠との間に差込むことによって、この防犯蓋をマンホールの開口部の蓋受枠の下方に安定した状態で設置固定することが出来る。また、前記開閉蓋は外枠リングの一部を支点として自在に開閉することが出来る。
【0017】本発明に係るマンホールの安全構造の第3発明の要旨は、前記防犯蓋の外枠リングと開閉蓋とを相互にロックすることが可能なロック機構が防犯蓋の一部に取付けられて構成されることを特徴とした第2発明のマンホールの安全構造である。
【0018】前述の第3発明に於ては、前記防犯蓋の外枠リングと開閉蓋との間にはロック機構が取付けられているので、開閉蓋を外枠リングにロックすることによって、マンホールの入口を簡単にかつ完全に閉鎖することが出来、これによってマンホールのセキュリティを確実に確保することが出来る。
【0019】また、本発明に使用される防犯蓋は、前述のように、マンホール蓋の下方に、即ちマンホール蓋の内側に取付けられているので、マンホール蓋の周りに土砂が流入した場合にも、これ等の土砂によって防犯蓋の開閉作業が阻害される心配がない。
【0020】本発明に係るマンホールの安全構造の第4発明の要旨は、前記防犯蓋の開閉蓋が格子部材で構成されていることを特徴とした第2発明或は第3発明のマンホールの安全構造である。
【0021】前述の第4発明に於ては、防犯蓋の開閉蓋が格子部材で構成されているので、下水道管路等の地下構造物の内部で発生した圧力或は増水等を、この格子部材に於て外部に排出させることが出来る。
【0022】本発明に係るマンホールの安全構造の施工方法は、前述の従来の施工方法を根本的に改善した全く新しい技術であって、その施工方法の第1発明の要旨は、既設のマンホールの蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去し、かつマンホールの上縁の高さを調整した後該マンホールの上縁にロック機能を具備した防犯蓋を戴置し、さらに該防犯蓋の外枠リング上に蓋受枠を設置して防犯マンホールを構成することを特徴としたマンホールの安全構造の施工方法である。
【0023】前述の本発明の第1発明の施工方法は、既設のマンホールの蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去し、その後でマンホールの上縁にロック機能を具備した防犯蓋を戴置し、さらに該防犯蓋の外枠リング上に蓋受枠を設置して防犯マンホールを構成するので、既設のマンホールに取付けられた多様なマンホール蓋或は蓋受枠に関係なく、防犯蓋をマンホールの入口に取付けることが出来る。
【0024】また、マンホールの上縁の上に防犯蓋を戴置する際には、マンホールの上縁の高さを調整するので、マンホールの上縁に設けられた防犯蓋上には、一旦撤去してあった前記蓋受枠及びこの蓋受枠に取付けられていたマンホール蓋をそのまま設置して使用することが出来る。
【0025】本発明の第2発明の施工方法の要旨は、前記既設のマンホールから蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去するに当って、マンホール周囲の舗装路面を円形状に切断し、その円周内の舗装材と蓋受枠とを一体的に取り外して撤去することを特徴とした第1発明のマンホールの安全構造の施工方法である。
【0026】前述の第2発明の施工方法は、既設のマンホールから蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去するに当っては、マンホール周囲の舗装路面を円形状に切断し、その後で切断された円周内の舗装材と蓋受枠とを一体的に取り外して撤去するので、従来の如く舗装材を破砕することなくして蓋受枠を舗装材と一体的にかつ体裁良く除去することが出来る。
【0027】本発明に第3発明の施工方法の要旨は、前記既設のマンホールから蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去するに当って、該蓋受枠の周囲及び上面または内側から周囲の舗装材を非炎加熱してバインダと骨材とを分離して除去し、かつ該蓋受枠の固定ボルトによる締結を解除してから蓋受枠を撤去することを特徴とした第1発明のマンホールの安全構造の施工方法である。
【0028】前述の第3発明の施工方法は、既設のマンホールから蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去するに当っては、該マンホールの蓋受枠の周囲及び上面または内側から周囲の舗装材を非炎加熱して、バインダと骨材とに分離してから除去し、かつ該蓋受枠の固定ボルトによる締結を解除してから蓋受枠を撤去するので、施工作業が極めて簡単であると共に、施工時に大きな騒音が生ずることを完全に防止出来る。さらに一旦撤去した蓋受枠及び舗装材料、調整材等の再利用を容易にすることが出来る。
【0029】
【発明の実施の形態】図により本発明に係るマンホールの安全構造及びその施工方法の一実施例を具体的に説明すると、図1は本発明に係るマンホールの安全構造の縦断面図、図2は図1の安全構造の要部を示す平面図、図3R>3(a)、(b)は夫々図1の防犯蓋のロック機構を示す説明図、図4は本発明に係る第1施工方法の簡略説明図、図5は本発明に係る第2施工方法の簡略説明図である。
【0030】図1及び図2に於て、1は組立式のマンホールであって、その一部には斜壁管2が設置されている。この斜壁管2内には、マンホール内の昇降時に使用されるステップ3と、通信用に使用される接続箱4とが夫々取付けられており、かつ接続箱4には通信用のケーブル5が接続されている。
【0031】前記斜壁管2の上縁には、マンホール蓋6の高さを調整するための高さ調整リング等の調整材7が積層されている。前記マンホール蓋6は該調整材7上に戴置された蓋受枠8の開口部に嵌着されている。
【0032】9は防犯蓋であって、前述の蓋受枠8とマンホール1の上縁を形成する調整材7との間に差込まれて固定される外枠リング10と、この外枠リング10の内周に開閉自在に取付けられる開閉蓋11とより構成されている。
【0033】前記防犯蓋9の開閉蓋11は、図1及び図2に示す如く、格子状蓋より構成されており、マンホール1内が満水になった場合にも、水圧或は空気圧がこの開閉蓋11に直接作用することがないように構成されている。また、上方のマンホール蓋6の周りに漏水があった場合にも、開閉蓋11の格子部分から水を下方に逃すことが出来るように構成されている。
【0034】前記防犯蓋9の外枠リング10と開閉蓋11との間には、特に図3(a)、(b)に於て例示する如く、ロック機構12が取付けられている。このロック機構12は、キイ(図示せず)を差込んで作動する錠前12aの下部に、レバー12bが回動自在に取付けられており、このレバー12bの先端部を防犯蓋9の外枠リング10の下面に係合することによってロックし得る如く構成されている。
【0035】従って、前記マンホール1を管理する者は、錠前12aに適合するキイを常時用意することによって、防犯蓋9を自在に開閉することが出来、これによって第三者が防犯蓋9を開けて前述のマンホール内に設置された接続箱4等に対して、イタズラをすることを防止することができる。
【0036】前記実施例に於ては、比較的簡単な構造を持ったロック機構12について説明したが、この防犯蓋9には、前述の第1公知例乃至第4公知例に使用されているロック機構や、或は電子ロック機構等の種々の構造を持ったロック機構を利用することが出来る。
【0037】本発明に使用される防犯蓋9は、前述のように、マンホール1側の調整材7と蓋受枠8との間に防犯蓋9の外枠10を挿入することによって取付けることが出来るので、マンホール蓋6及び蓋受枠8の構造、寸法或は形状等に全く関係なく、マンホール1に簡単に取付けて使用することが出来る。従って、一種類の防犯蓋9を用意することによって、種々のマンホールに対応させることが出来る。また、既設の全てのマンホールにも簡単に取付けて使用することが出来る。
【0038】次に、本発明に係るマンホールの安全構造の施工方法について説明する。まず、最初に図4によって、既設のマンホールの周囲の舗装と及びマンホールの蓋受枠等とを一体的に除去して、本発明の安全構造を施工する第1施工方法について説明する。
【0039】この第1施工方法に於ては、逆V字脚13によって支持されたネジ軸14をマンホール蓋6上のほぼ中央部に起立すると共に、前記逆V字脚13の先端部をマンホール蓋6に取付けられたフック6aに係止して、ネジ軸14をマンホール蓋6に取付固定する。
【0040】次に、前記ネジ軸14に回転アーム15を介して連結された路面切断車16をネジ軸14を中心にして回動させながら、路面切断車16に取付けられた円盤状ブレード17の回転によってマンホール蓋6、蓋受枠8或は調整材7の周りに施こされている舗装18を所定の深さまで切断して、蓋受枠8等とその周りの舗装18とが一体となった円筒状ブロックを切除する。
【0041】図中19は路面切断車16の台車、20は路面切断車16の走行車輪、21は路面切断車16の下部に取付けられた変位車輪であって、この変位車輪21の調節によって、円盤状ブレード17で切断する舗装18の深さを調整することが出来るように構成されている。
【0042】従って、図4に示す第1施工方法に於ては、マンホール蓋6上に起立されたネジ軸14を中心にして路面切断車16を回動すると共に、路面切断車16の円盤状ブレード17で舗装18を切断することによって、既設のマンホール1の周りの舗装18と共に蓋受枠8、或はこの蓋受枠8と同時に調整材7も一体的に除去することが出来る。
【0043】前述のように舗装18及び蓋受枠8を除去した後では、調整材7の高さを調整した後で、前述の図1R>1及び図2に示す如く、防犯蓋9の外枠リング10を調整材7上に戴置し、かつ前述のように一旦除去した既設の蓋受枠8を外枠リング10上に積層し、次に調整材7、外枠リング10及び蓋受枠8の外周に沿って新しい舗装18を施すことによって、セキュリティに富んだ本発明の安全構造を比較的簡単に、かつ既設の一旦除去した蓋受枠8等の機材を利用しながら経済的に施工することが出来る。
【0044】図5によって、既設のマンホールの周囲の舗装とマンホールの蓋受枠等を除去して、本発明の安全構造を施工する第2施工方法について説明する。
【0045】前記第1施工方法は、既設のマンホールの周りに施こされた舗装18と、マンホール1の開口部に設置された蓋受枠8等とを、路面切断車16等を用いて一体的に取り除いた後で、本発明のマンホールの安全構造を施工する方法について説明した。
【0046】これに対して第2施工方法は、図5に示す如く、マンホール1の周囲及び上面または内側から周囲のアスファルト舗装22を非炎加熱し、該アスファルト舗装22を融化してバインダと骨材とに分離し、マンホール1の蓋受枠8を撤去し、その後で調整材7の高さを調整しながら、該調整材7上に前述の防犯蓋9を設置し、かつこの防犯蓋9の外枠リング10上に前記蓋受枠8を積層し、これ等の調整材7、防犯蓋9及び蓋受枠8の周りに新しいアスファルト舗装22を施工することによって、セキュリティに富んだ本発明の安全構造を比較的簡単に、かつ既設の機材を利用しながら経済的に施工することが出来る。
【0047】続いて、図5によって、マンホール1の周りのアスファルト舗装22を非炎加熱し、アスファルト舗装22を融化してバインダと骨材とに分離する施工について詳述すると次の通りである。
【0048】23はケーシングであって、マンホール1の開口部及びその周りのアスファルト舗装22の一部に被覆し得る寸法を有し、そのケーシング23の先端には刃24が設けられている。ケーシング23の内部には下方に彎曲した大径の反射板25と、マンホール1の蓋受枠8内に挿入し得る上方に彎曲した小径の反射板26とが上下に夫々配置され、ケーシング23の上部中央に固定された固定フレーム27に取付けられたジャッキ28によって昇降し得るように構成されている。
【0049】前記ジャッキ28の下端部両側には爪29が設けられており、ジャッキ28の操作によって、これ等の爪29を突出させて蓋受枠8の下面に当接し得るように構成されている。前記反射板25、26の下面側或は上面側には複数個の遠赤外線ヒータ30が取付けられている。図中31はボルトであって、調整材7及び蓋受枠8を斜壁管2に固定している。
【0050】従って、アスファルト舗装22を融化する場合には、ケーシング23をマンホール1の開口部及びその周りのアスファルト舗装22の一部に被覆し、ケーシング23内に配置された多数のヒータ30を加熱することによって、マンホール1の開口部の周りのアスファルト舗装22を上側及び内側から加熱して融化させ、アスファルト舗装22をバインダと骨材とに分離することが出来る。
【0051】このようにバインダと骨材とに分離されたアスファルト舗装22は、スコップ等を用いて掻き出し、蓋受枠8を固定しているボルト31を露出させ、ナットをゆるめて固定を解除する。
【0052】前述の解除が完了した後で、前記爪29を側方に伸ばして蓋受枠8の下面に係止し、ケーシング23に反力をとってジャッキ28を作動させて蓋受枠8を持ち上げると共に、融化された緩んだ状態のアスファルト舗装22の路面に反力でケーシング23の刃24を2〜5cm程度食い込ませ、周辺のアスファルト舗装22と縁切りをおこない、蓋受枠8を撤去する。
【0053】このように撤去された蓋受枠8及び加熱によって分離された骨材は回収保管することによって、そのまま再使用することが出来る。この第2施工方法は、前述の第1施工方法に比較して、極めて低騒音で補修することが出来、分解したアスファルト舗装22の骨材等は再利用することが出来、施工が容易であるので、低コストで施工することが出来る。また、アスファルト舗装22の加熱部分もケーシング23によって限定することが出来るので、その周りのアスファルト舗装22を劣化させる心配がない。しかも施工の工期を短縮することが出来る。
【0054】
【発明の効果】本発明に係るマンホールの安全構造は、前述のような構成と作用とを有するので、次のような多大な効果を有している。
【0055】即ち、本発明に於ては、ロック機能を具備した防犯蓋をマンホール蓋の蓋受枠下面とマンホールの上縁との間に挟持したので、この防犯蓋によってマンホールのセキュリティを完全に維持することが出来る。かつ、該防犯蓋はマンホール蓋の下方に設けられているので、この防犯蓋が土砂等によって開閉出来なくなることを防止出来る等の効果を有している。
【0056】また、該防犯蓋は、マンホールの蓋受枠とマンホールの上縁との間に挟持固定されて取付けられるので、前記既製のマンホールの蓋或は蓋受枠の寸法、形状等によって左右されることなく、一種類の防犯蓋によって種々のマンホールに対応させることが出来る。従って、マンホール蓋或は蓋受枠の形状、模様を考慮せずに標準化することが出来る。特に既設の種々のマンホールに対応させ、簡単な工事で施工することが出来る等の効果を有している。
【0057】前述のように、防犯蓋を外枠リングと、この外枠リングの内周に開閉自在に取付けられる開閉蓋とで構成した場合には、外枠リングはマンホールの上縁と蓋受枠との間に差込むことによって、この防犯蓋をマンホールの開口部の蓋受枠の下方に安定した状態で設置固定することが出来る。また、前記開閉蓋は外枠リングの一部を支点として自在に開閉することが出来る効果を有している。
【0058】前述のように、前記防犯蓋の外枠リングと開閉蓋との間にはロック機構が取付けした場合には、開閉蓋を外枠リングにロックすることによって、マンホールの入口を簡単にかつ完全に閉鎖することが出来、これによってマンホールのセキュリティを確実に確保することが出来る効果を有している。
【0059】また、本発明に使用される防犯蓋は、前述のように、マンホール蓋の下方に、即ちマンホール蓋の内側に取付けられているので、マンホールの施錠機能の周りまたは施錠機能の中に土砂が流入した場合にも、これ等の土砂によって防犯蓋の開閉作業が阻害される心配がない。さらに、防犯蓋の開閉蓋が格子部材で構成されているので、下水道管路等の地下構造物の内部で発生した圧力或は増水等を、この格子部材に於て外部に排出させることが出来る等の効果を有している。
【0060】前述の本発明の施工方法は、既設のマンホールの蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去し、その後でマンホールの上縁にロック機能を具備した防犯蓋を戴置し、さらに該防犯蓋の外枠リング上に蓋受枠を設置して防犯マンホールを構成するので、既設のマンホールに取付けられた多様なマンホール蓋或は蓋受枠に関係なく、防犯蓋をマンホールの入口に取付けることが出来る。また、マンホールの上縁の上に防犯蓋を戴置する際には、マンホールの上縁の高さを調整するので、マンホールの上縁に設けられた防犯蓋上には、一旦撤去してあった前記蓋受枠及びこの蓋受枠に取付けられていたマンホール蓋をそのまま設置して使用することが出来る等の効果を有している。
【0061】また、既設のマンホールから蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去するに当って、マンホール周囲の舗装路面を円筒状に切断し、その後で切断された円周内の舗装材と蓋受枠とを一体的に取り外して撤去した場合には、従来の如く舗装材を破砕することなくして蓋受枠を舗装材と一体的にかつ体裁良く除去することが出来る。
【0062】さらに、既設のマンホールから蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去するに当って、該マンホールの蓋受枠の周囲及び上面または内側から周囲の舗装材を非炎加熱して、バインダと骨材とに分離してから除去し、かつ該蓋受枠の固定ボルトによる締結を解除してから蓋受枠を撤去する場合には、施工作業が極めて簡単であると共に、施工時に大きな騒音が生ずることを完全に防止出来る。さらに一旦撤去した蓋受枠及び舗装材料、調整材等の再利用を容易にすることが出来る等の多大な効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るマンホールの安全構造の縦断面図である。
【図2】図2は図1の安全構造の要部を示す平面図である。
【図3】図3(a)、(b)は夫々図1の防犯蓋のロック機構を示す説明図である。
【図4】図4は本発明に係る第1施工方法の簡略説明図である。
【図5】図5は本発明に係る第2施工方法の簡略説明図である
【符号の説明】
1 …マンホール
2 …斜壁管
3 …ステップ
4 …接続箱
5 …ケーブル
6 …マンホール蓋
6a …フック
7 …調整材
8 …蓋受枠
9 …防犯蓋
10 …外枠リング
11 …開閉蓋
12 …ロック機構
12a…錠前
12b…レバー
13 …逆V字脚
14 …ネジ軸
15 …回転アーム
16 …路面切断車
17 …円盤状ブレード
18 …舗装
19 …台車
20 …走行車輪
21 …変位車輪
22 …アスファルト舗装
23 …ケーシング
24 …刃
25 …反射板
26 …反射板
27 …固定フレーム
28 …ジャッキ
29 …爪
30 …遠赤外線ヒータ
31 …ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】ロック機能を具備した防犯蓋をマンホール蓋の蓋受枠下面とマンホールの上縁との間に挟み込んで設置して構成したことを特徴としたマンホールの安全構造。
【請求項2】前記防犯蓋は、前記蓋受枠とマンホールの上縁との間に差込まれる外枠リングとこの外枠リングの内周に開閉自在に取付けられる開閉蓋とによって構成されることを特徴とした請求項1のマンホールの安全構造。
【請求項3】前記防犯蓋の外枠リングと開閉蓋とを相互にロックすることが可能なロック機構が防犯蓋の一部に取付けられて構成されることを特徴とした請求項2のマンホールの安全構造。
【請求項4】前記防犯蓋の開閉蓋が格子部材で構成されていることを特徴とした請求項2或は請求項3のマンホールの安全構造。
【請求項5】既設のマンホールの蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去し、かつマンホールの上縁の高さを調整した後該マンホールの上縁にロック機能を具備した防犯蓋を戴置し、さらに該防犯蓋の外枠リング上に蓋受枠を設置して防犯マンホールを構成することを特徴としたマンホールの安全構造の施工方法。
【請求項6】前記既設のマンホールから蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去するに当って、マンホール周囲の舗装路面を円形状に切断し、その円周内の舗装材と蓋受枠とを一体的に取り外して撤去することを特徴とした請求項5のマンホールの安全構造の施工方法。
【請求項7】前記既設のマンホールから蓋受枠もしくは蓋受枠と共に調整材までを撤去するに当って、該蓋受枠の周囲及び上面または内側から周囲の舗装材を非炎加熱してバインダと骨材とを分離して除去し、かつ該蓋受枠の固定ボルトによる締結を解除してから蓋受枠を撤去することを特徴とした請求項5のマンホールの安全構造の施工方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【公開番号】特開2002−105974(P2002−105974A)
【公開日】平成14年4月10日(2002.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−295399(P2000−295399)
【出願日】平成12年9月28日(2000.9.28)
【出願人】(000120146)株式会社ハネックス (56)
【Fターム(参考)】