マンホール底版及び組立マンホール

【課題】マンホール躯体本体の浮上を防止すると共に当該躯体本体周りの配管を保護する。
【解決手段】組立マンホール1はマンホール躯体本体2とこの躯体本体2が設置されるマンホール底版3とを備える。マンホール底版3は、マンホール躯体本体2が設置される底版本体31と、マンホール躯体本体2の側面に接続される流入配管4,流出配管5の真下に各々配置できるように底版本体31の側面に形成された補助底版32a,32bとからなる。流入配管4,流出配管5はリブを有する変形可能な配管からなる。マンホール躯体本体2、マンホール底版3及びこの底版3上の流入配管4並びに流出配管5は砕石8によって埋設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地盤の液状化現象によるマンホールの浮上を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地盤の液状化現象によるマンホールの浮上を防止するための技術の開発が進められている。例えば特許文献1に開示された組立式マンホールはマンホール躯体本体とこの本体が裁置される底版とからなり、この底版の周縁部には当該本体との接続部に向かって高さが減少するようなテーパー面が形成されている。前記マンホール躯体本体のマンホール底版付近の側面には配管が接続されている。
【0003】
液状化現象が発生すると前記組立マンホールの底版は地盤から揚圧力を受ける一方で当該底版はその周縁部上の地盤から前記揚圧力に抵抗する方向に土圧力を受ける。これにより、前記底版に作用する揚圧力が打ち消されまたは低減されて組立式マンホールの浮上が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−291563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のマンホール浮上防止技術においてはマンホール躯体本体周りの配管の保護までは考慮されておらず、地盤の液状化現象が生じると当該配管が破損するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明のマンホール底版は、マンホール躯体本体が設置される底版本体と、前記躯体本体の側面に接続される流入配管及び流出配管の真下に各々配置できるように前記底版本体の側面に形成された補助底版とからなる。
【0007】
また、本発明の組立マンホールは、マンホール躯体本体と、この躯体本体が設置されるマンホール底版とを備え、前記マンホール底版は、前記躯体本体が設置される底版本体と、前記躯体本体の側面に接続される流入配管及び流出配管の真下に各々配置できるように前記底版本体の側面に形成された補助底版とからなり、前記流入配管及び流出配管はリブを有する変形可能な配管からなり、前記躯体本体、マンホール底版及びこの底版上の流入配管並びに流出配管は砕石によって埋設される。
【0008】
以上の発明によればマンホール底版の下面の表面積が補助底版の分だけ増加するので、液状化現象による地盤の揚圧力に対する抵抗力が高まる。また、補助底版が流入配管及び流出配管の真下に位置し、前記揚圧力が補助底版の抵抗を受けるようになっているので、当該配管に対する当該揚圧力の負荷が大幅に軽減する。特に、本発明の組立マンホールは、流入配管及び流出配管が変形可能となっているので、前記揚圧力の衝撃を吸収できる。また、マンホール躯体本体及びマンホール底版は砕石によって埋設されるので、組立マンホールの重量が増加して前記揚圧力に対する抵抗がさらに高まると共にマンホール躯体本体周りの地盤の土砂間隙水が消散して当該本体周りの地盤の液状化が抑制される。
【発明の効果】
【0009】
したがって、以上の発明によればマンホール躯体本体の浮上を防止できると共に当該躯体本体周りの配管を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る組立マンホールの断面図。
【図2】本発明の実施形態に係る組立マンホールの平面図。
【図3】本発明の実施形態に係るマンホール底版の側面図(a),当該マンホール底版の平面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に例示された本発明の実施形態に係る組立マンホール1はマンホール躯体本体2とこの躯体本体2が設置されるマンホール底版3とを備える。
【0012】
マンホール躯体本体2は図示されたように片斜壁タイプのものとなっている。すなわち、マンホール躯体本体2はマンホール蓋21,蓋受け枠22,調整壁23,片斜壁24,直壁25,底付躯体26とからなる。直壁25と底付躯体26は共に円筒状に形成され内径も同径に設定されている。尚、本発明に係るマンホール躯体本体は図示された片斜壁タイプに限定することなく両斜壁タイプのものを採用してもよい。
【0013】
底付躯体26には流入口261,流出口262が形成されている。図示された流入口261,流出口262は互い対向するように設けられる共に流入口261の底部は少なくとも流出口262の底部よりも高くなるように設定されている。尚、底付躯体26を中心する流入口261に対する流出口262の設置角度は図2に示されたような180°に限定することなく組立マンホール1が据え付けられる現場に応じて所定の角度に設定される。
【0014】
底付躯体26の流入口261,流出口262には流入配管4,流出配管5がそれぞれ可撓継ぎ手6,7を介して接続される。可撓継ぎ手6,7は従来の組立マンホールに採用されている周知の可撓継ぎ手を適用すればよい。流入配管4,流出配管5はリブを有する変形可能な配管からなる。この変形可能な配管としては例えば周知のリブ付硬質塩化ビニル管が適用される。
【0015】
底付躯体26の底部263は躯体26本体と一体的に形成されている。底部263には傾斜溝264,傾斜面265が形成されている。傾斜溝264は底付躯体26の流入口261,流出口262と連通すると共にその底部の曲率が流入口261,流出口262の曲率と略同等に形成され且つ導入された流体が流入口261から流出口262に移行するような勾配が確保されるように形成される。傾斜面265は面の高さが底付躯体26の内壁面側から傾斜溝264側に向かって逐次低くなるように形成されている。尚、底部263はマンホール底版3にマンホール躯体本体2が据え付けられた後に底付躯体26内にモルタルを打設して形成してもよい。
【0016】
マンホール底版3は図3(a)(b)に示したように底版本体31と補助底版32a,32bとからなる。
【0017】
底版本体31には図1に示したようにマンホール躯体本体2が設置される。底版本体31は底付躯体26の形状に応じて円盤状に形成され、その外径は底付躯体26の外径よりも大径に設定されている。底版本体31には図3(a)(b)に示したように底付躯体26が設置される凹部33が形成されている。凹部33は図1に示したようにその周縁部34が底付躯体26の下端縁部266と勘合するように形成されている。
【0018】
補助底版32a,32bは図1,図2に示したように底付躯体31の側面に接続される流入配管4,流出配管5の真下にそれぞれ配置できるように底版本体31の側面に形成されている。補助底版32a,32bは図3(b)に示されたように矩形板状に形成され、そして、図1,2に示示された底付躯体26の流入口261,流出口262の位置に対応するように底版本体31の側面から張り出すように底版本体31と一体的に予め形成されている。
【0019】
図2に示したように補助底版32a,32bの幅D1はそれぞれ少なくとも流入配管4,流出配管5の最大外径D2よりも長径に設定されている。また、補助底版32aの全長Laと補助底版32bの全長Lbは略同等に設定され且つ補助底版32aの一端側から底版本体31を隔てた補助底版32bの一端側までの長さが組立マンホール2の施工時の一般的な掘削幅Dと略同等となるように設定される。
【0020】
以上のマンホール躯体本体2、マンホール底版3及びこの底版3上の流入配管4,流出配管5は図1,図2に示されたように砕石8によって均等に埋設される。
【0021】
組立マンホール1は従来の施工方法によって施工すればよい。図1を参照しながら組立マンホール1の施工手順の一例について説明する。
【0022】
先ず、組立マンホール1が据え付けられる地盤11の掘削坑の底部に基礎材として栗石または砕石が均等且つ平滑に敷かれて基礎面が形成された後にこの面上にマンホール底版3が敷モルタルを介して敷設される。次いで、流入口261,流出口262がそれぞれ補助底版32a,補助底版32bの真上に配置されるように底付躯体26をマンホール底版3の凹部33に設置する。マンホール底版3と底付躯体26との外側目地にはモルタル9が充填される。次いで、この底付躯体26上に直壁25、片斜壁24、調整壁23、蓋受け枠22、マンホール蓋21が順次設置される。各部材23〜26間の目地にもモルタルが適宜に充填される。また、調整壁23と蓋受け枠22との間隙には調整モルタル10が充填される。そして、底付躯体26の流入口261、流出口262にそれぞれ流入配管4,流出配管5が可撓継ぎ手6,7を介して接続される。以上のように組立マンホール1の組立が終了すると掘削坑内は砕石8によって路盤12まで均等に埋め戻されて組立マンホール1が埋設される。尚、流入配管4,流出配管5と補助底版32a,32bとの間隙も砕石8が均等に充填される。
【0023】
図1を参照しながら組立マンホール1の作用効果について説明する。
【0024】
地震等によって地盤11の液状化現象が生じると組立マンホール1のマンホール底版3は下方から地盤11の揚圧力を受ける。マンホール底版3はその下面の表面積が補助底版32a,32bの分だけ増加するので前記揚圧力に対する抵抗力が高まっている。特に、補助底版32a,32bは流入配管4,流出配管5の真下に位置し、前記揚圧力が補助底版32a,32bの抵抗を受けるようになっているので流入配管4,流出配管5に対する当該揚圧力の負荷が大幅に軽減した状態となっている。これにより、マンホール躯体本体2周りの流入配管4,流出配管5の破損が回避される。また、流入配管4,流出配管5は変形可能となっているので前記揚圧力の衝撃が吸収され、当該配管4,5の破損をより一層防止できる。さらに、マンホール躯体本体2及びマンホール底版3は砕石8によって埋設されているので、組立マンホール1の重量が増加した状態となり、前記揚圧力に対する抵抗がさらに高まっている。また、砕石8による埋設によりマンホール躯体本体2周りの土砂間隙水が消散するので当該本体2周りの地盤11の液状化を抑制できる。以上のように組立マンホール1によれば地盤11の液状化現象によるマンホール躯体本体2の浮上を防止できると共に当該本体2周りの流入配管4,流出配管5を保護できる。
【0025】
尚、本発明は上記の実施の形態に限定されることなく特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、これらの変更も本発明の技術的範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0026】
1…組立マンホール
2…マンホール躯体本体
3…マンホール底版、31…底版本体、32a,32b…補助底版
4…流入配管
5…流出配管
8…砕石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール躯体本体が設置される底版本体と、
前記躯体本体の側面に接続される流入配管及び流出配管の真下に各々配置できるように前記底版本体の側面に形成された補助底版と
からなること
を特徴とするマンホール底版。
【請求項2】
マンホール躯体本体と、
この躯体本体が設置されるマンホール底版と
を備え、
前記マンホール底版は、前記躯体本体が設置される底版本体と、前記躯体本体の側面に接続される流入配管及び流出配管の真下に各々配置できるように前記底版本体の側面に形成された補助底版とからなり、
前記流入配管及び流出配管はリブを有する変形可能な配管からなり、
前記躯体本体、マンホール底版及びこの底版上の流入配管並びに流出配管は砕石によって埋設されること
を特徴とする組立マンホール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−60730(P2013−60730A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199040(P2011−199040)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(511223257)株式会社NSワーク (1)
【Fターム(参考)】