説明

マンホール改修工法及びマンホール改修構造

【課題】 軽量で高強度のレジンマンホールを既設マンホールに挿入して改修するので、耐酸性に優れ、工期が短く、耐久性に優れ、改修後の維持管理も容易なマンホール改修工法の提供。
【解決手段】 既設マンホールの内壁面及びインバートの劣化箇所を洗浄し除去する内部洗浄工程と、既設マンホールの斜壁又はスラブが露出する深さまで掘削する掘削工程と、既設マンホールの斜壁又はスラブから蓋及び既設マンホール内部の梯子を撤去する既設物撤去工程と、既設マンホール内に既設管の位置及び大きさに合わせて胴部に形成された削孔部又は底部に形成された切削部を備えたレジンマンホールを挿入しマンホール底部又はインバート上面に設置するレジンマンホール設置工程と、削孔部又は切削部と既設管とを繋ぐ連結工程と、既設マンホールの内壁とレジンマンホールの外壁隙間を充填材で埋める充填材注入工程と、を備える構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐酸性に優れ軽量で高強度のレジンマンホールを用い作業性に優れ工期が短く省力性に優れた、マンホール改修工法及び、耐酸性に優れ高強度で耐圧縮性、耐震性に優れたマンホール改修構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート製マンホールは、下水から発生する硫化水素ガス等に弱く、硫化水素に起因する硫酸腐食により劣化した鉄筋コンクリート製マンホールは、劣化の程度に合わせて、合成樹脂系等の材料による更正方法や敷設替えが行われている。また、マンホールの改修工事は、マンホールの周囲に重機を使用し、路面を掘削するため、交通の妨げとなる上に、施工中の下水の流入を防ぐため止水する必要もあり、作業の迅速化が求められている。
これら課題を解決するために、
(特許文献1)には、「下水道等における既設マンホール1内の硫化水素ガス等で劣化し又は老朽化した内壁面11をピッチング工程で削り、その削り面を高圧洗浄機で噴射洗浄した後、円形を複数に分割した耐酸性コンクリートパネル10をマンホール1内で内壁面11に沿って単一段又は複数段に組み立てた後、マンホール内壁面11と耐酸性コンクリートパネル10の外表面との隙間及び隣接するコンクリートパネル同士の継ぎ目の隙間g′を耐酸性モルタル11で充填して接着固定するマンホール補修及び補強方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−285066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)敷設替えの場合、水替えをして上流の下水を迂回させる必要であるため、交通の妨げになるという課題を有していた。
(2)(特許文献1)に開示の技術は、老朽化した内壁面を削った後、耐酸性コンクリートパネルを張り合わせるので、マンホールの劣化が酷ければ、補修後の構造強度が不足する可能性があるとともに、パネルを張り合わせるので、継ぎ目まで接着固着する必要があり、作業に時間が掛かるとともに、耐久性が施工技術に影響されるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、既設マンホールの躯体を残したまま、耐酸性に優れ、予め下水管などの既設管の位置や大きさに合わせて加工処理が施された軽量で高強度のレジンマンホールを既設マンホールに挿入して改修するので、作業性に優れ工期が短く、施工技術の影響を受けることなく新設のレジンマンホールと同等の耐久性を有し、改修後の維持管理も容易なマンホール改修工法を提供することを目的とする。
また、耐薬品性に優れ、軽量で高強度のレジンマンホールを用いるので、耐震性に優れ、車輌や土圧等の外力に対する機械的強度に優れ、マンホールとしての寿命が長いマンホール改修構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明のマンホール改修工法及びマンホール改修構造は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のマンホール改修工法は、既設マンホールの内壁面及びインバートの劣化箇所を洗浄し除去する内部洗浄工程と、前記既設マンホールの斜壁又はスラブが露出する深さまで掘削する掘削工程と、前記既設マンホールにおいてレジンマンホールの挿入に支障のある既設物(梯子等)を撤去する既設物撤去工程と、前記既設マンホール内に既設管の位置及び大きさに合わせて胴部に形成された削孔部又は下端部に形成された切削部を備えたレジンマンホールを挿入し前記既設マンホールの底部又は前記インバート上面に設置するレジンマンホール設置工程と、前記削孔部又は前記切削部と既設管とを繋ぐ連結工程と、前記既設マンホールの内壁と前記レジンマンホールの外壁隙間を充填材で埋める充填材注入工程と、を備える構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)既設マンホールの上端から斜壁又はスラブまでしか掘削しないので、土留めを必要としない場合が多く、掘削範囲も狭く、掘削深さも浅いので埋め戻しを容易に行うことができるとともに、施工時間も短縮でき、改修するための公道の交通規制も最小限にすることができる。
(2)既設マンホールに加工済レジンマンホールを挿入し、レジンマンホールの削孔部や切削部と既設管を連結し、既設マンホール内壁との隙間を充填材で埋めるだけでよく、工数が少ないので、工期を短縮することができる。
(3)レジンマンホールが耐酸性を有するので、下水から発生する硫化水素ガス等で腐食し難く、改修後の維持管理が容易であり、マンホールの寿命が長い。
(4)レジンコンクリートが機械的強度を有するので、レジンマンホールが薄肉で良く、軽量化できるので、運搬や設置等が容易であり、使用する重機を小型化でき作業性に優れる。
【0007】
ここで、レジンマンホールとは、レジンコンクリート製の直壁と、直壁の上端側に設置された頂版と、頂版に形成された開口部の上部に設置される調整リングと、調整リング上部に設置される蓋枠と、蓋枠に設置される蓋とを備えたものである。
頂版、調整リング、蓋の高さを微調整するための調整モルタルにおいても、レジンコンクリートやエポキシ樹脂系等の耐酸性のある素材を用いることが望ましい。
【0008】
内部洗浄工程は、既設マンホールの内壁及びインバートの劣化箇所や老化箇所を洗浄し除去することで、健全なコンクリート面を得ることが目的である。用いる洗浄機としては、劣化箇所等が切削、洗浄できるものであれば良く、高圧洗浄機が好適に用いられる。
【0009】
掘削工程において、掘削範囲や深さは、掘削機の使用に支障がない範囲で最小限にすることが好ましい。交通量の多い地域の工事であっても、改修工事のための公道の交通規制の範囲を最小限にするためである。
【0010】
既設物撤去工程において、レジンマンホールの挿入に支障のある既設物としては、既設マンホールのスラブ、斜壁、蓋枠及び蓋、梯子等が挙げられる。蓋や蓋枠の劣化の度合が小さい場合は、取り替えずにそのまま用いても良い。
【0011】
削孔部及び切削部は既設管の内径、高さ及び角度を測定し、既設管の位置に合うように、レジンマンホールに形成される。
【0012】
レジンマンホール設置工程において、レジンマンホールは、その底面とインバート上面とをエポキシ樹脂系、モルタル等のパテによって接着固定される。レジンマンホール挿入前に、予めインバート上面にパテを塗布しておくことで、レジンマンホール下端部とインバート上面との接着固定を容易に行うことができる。
インバートは既設管からの下水の流れに沿って半円柱状の凹部が形成されており、流水方向の上流から下流に向かって傾斜していることが一般的である。そのため、レジンマンホール下端部とインバート上面との接着固定箇所が水平になるように、早強性のレベリングモルタル等を用いて、レベル調整を行うことが望ましい。
また、インバート表面には、レジンマンホールの設置前又は設置後に、耐酸性のあるセメントモルタル、レジンモルタル等を上塗りしても良い。インバートの劣化が著しい場合は、インバートを撤去し、既設マンホールの底部までレジンマンホールを挿入し、耐酸性のある素材で製造したインバートを新設しても良い。また、底版及びインバートを備えたレジンマンホールを挿入しても良い。
レジンマンホールの上端側や下端側等に、ボルト、ナット、アンカー、等をインサートしてもよい。インサートはレジンマンホールの大きさにもよるが、3〜4箇所に等間隔に形成される。また、インサートは、レジンマンホールの外周面、内周面、縁等、どの位置に形成しても良い。インサートに、吊り金具取り付けることでレジンマンホールの吊り上げ作業が容易に行えるだけでなく、レジンマンホールを2つ以上結合する際に、緊結金具等を用いて結合を強固にすることもできる。
レジンマンホール直壁は、充填材との密着性を増すために、ポリウレタンやFRP等を用いて外表面を粗く加工したり、リブを形成しても良い。アンカー効果により充填材と強固に密着できる。
【0013】
ここで、レジンマンホールの材料樹脂としては、強度及び耐酸性を得られるものであれば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、その他硫黄ポリマー等種々の合成樹脂を用いることができる。中でも、強度及び耐酸性を得られる結合材としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、硫黄ポリマー、ビニル系オリゴマー等があげられる。
また、レジンマンホールのフィラーとしては、フライアッシュ、鉄鋼スラグ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維等が用いられ、骨材としては、砂、砂利、砕石、砂岩、スラグ骨材、珪砂等が用いられる。
【0014】
レジンマンホールの外径は、既設マンホールの内径に合わせて、挿入できる外径のものを製造することが望ましい。既設マンホールの内径に合わせることで、既設マンホールの内壁とレジンマンホールの外周との隙間が広くならず、充填材の使用量を抑えることができる。
また、通常、既設マンホールは、社団法人日本下水道協会における0号から5号までの規格に準じて作られており、その内径は0号から順に、75、90、120、150、180、220cmとなっている。
【0015】
レジンマンホールの壁厚としては、20〜150mmのものが用いられる。壁厚が20mmより小さいと、車輌等から受ける外力に対して十分な座屈強度を有し難い傾向があり好ましくない。また、150mmより大きいと、重量が重くなり作業性に欠けるうえ、改修後のマンホールの内径が小さくなり、特に小さい孔径のマンホールの改修には向かないため好ましくない。
【0016】
レジンマンホールの圧縮強度として、50〜100N/mm2、好ましくは90〜100N/mm2のものが用いられる。圧縮強度が50N/mm2より小さくなるにつれ、車輌等の荷重に耐久性を得るためレジンマンホールの壁厚を厚くする必要があり、レジンマンホールの重量が増し、工事に使用する重機等が大型になる傾向にがあり好ましくない。
【0017】
レジンマンホールの曲げ強度として、10〜35N/mm2、好ましくは20〜35N/mm2のものが用いられる。曲げ強度が10N/mm2より小さくなるにつれ、側圧に対して弱くなる傾向があり、壁厚を厚くする必要があるので好ましくない。
【0018】
レジンマンホールの耐酸性として、5wt%の硫酸水溶液に7日間浸漬後の質量変化率が0.1wt%以下のものが用いられる。0.1wt%より大きくなると、耐酸性に劣るので、レジンマンホールの寿命が短くなる傾向にあるため好ましくない。
【0019】
連結工程としては、既設管にアクリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、FRP等のプラスチック製型枠を既設管に挿入し、レジンマンホールに形成された削孔部又は切削部との隙間を樹脂系又はセメント系モルタル等で埋めることで連結される。セメント系モルタルを用いる場合は、露出面に樹脂系モルタルを塗布することが望ましい。樹脂系モルタルを塗布することで、連結部においても耐酸性を得ることができる。
【0020】
充填材注入工程において、充填材は、レジンマンホールと既設マンホールの隙間を充填できるものであれば種々のものが用いることができ、無収縮モルタル・セメントモルタル、高分子セメントモルタル、樹脂系モルタル等が挙げられる。その中でも、無収縮モルタルが好適に用いられる。無収縮モルタルは、硬化時に膨張し、硬化後は収縮しないため、乾燥による亀裂も生じ難く、マンホール内壁とレジンマンホールの間を隙間なく埋めることができる。また、一部又は全体に速硬性の無収縮モルタルを用いることで、現場での施工時間を短縮することもできる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマンホール改修工法であって、前記レジンマンホールが前記削孔部又は前記切削部が形成された下部直壁と、前記下部直壁の上端側に結合される上部直壁と、を有し、前記レジンマンホール設置工程において、前記既設マンホールに前記下部直壁を挿入し、前記既設マンホールの底部又は前記インバート上面に設置する下部直壁設置工程と、前記削孔部又は前記切削部と既設管とを繋ぐ連結工程と、前記下部直壁と1乃至複数の上部直壁を結合する結合工程と、を備える構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)レジンマンホールが複数連結されているので、既設マンホールの深さに関係なく、容易に改修することができる。
【0022】
ここで、下部直壁は、挿入前に既設管の位置に合わせた削孔部又は切削部が形成される他、充填材の注入孔を設けることが好ましい。注入孔から充填材を注入し、上部直壁を結合する前に、既設マンホール内壁と下部直壁の外周との隙間を埋めることで、注入斑を防止できるとともに、下部直壁が固定され安定するので、上部直壁との結合を容易に行うことができる。
【0023】
マンホールの深さによって上部直壁を設ける場合、下部直壁及び上部直壁の結合は、結合できれば方法は限定しないが、接着剤、鋼製やステンレス製、FPR製、FRTP製等の接合リング等を用いた結合方法、また、ボルト又はナット等を埋め込んだインサートに緊結金具等を用いて固定し、結合する方法等が挙げられる。結合方法は、1乃至複数の方法を同時に用いても良い。
接合リングは内側に突条を備えたリング状のもの等が用いられ、下部直壁の上端と上部直壁の下端を接合リングを介して嵌合し、接着剤等で結合される。
最上段の上部直壁は、請求項1のレジンマンホールと同様に、頂版、調節リング、蓋枠、蓋を備えており、上部直壁の上端側又は下端側には中間スラブを設けても良い。
上部直壁が2以上結合される場合、最上段の上部直壁以外には、下部直壁と同様に充填剤の注入孔を設けることが望ましい。
また、下部直壁や上部直壁、頂版等の当接面は嵌合手段等を設けると位置ずれを防止するとともに、接合強度を強化できる。
【0024】
請求項3に記載のマンホール改修構造は、既設マンホールと、前記既設マンホールと接続された既設管と、前記既設マンホールに配設された下水溝を有するインバートと、前記既設マンホールの底部又は前記インバートまで挿入された既設管と接続する削孔部や下水溝と対向する切削部が形成されたレジンマンホールと、前記既設管と前記レジンマンホールの胴部に形成された削孔部又は下端部に形成された切削部を連結する型枠と、前記既設マンホールの内壁と前記レジンマンホールの外周との隙間に充填された充填材と、を備える構成を有している。
この構成により、以下の作用が得られる。
(1)レジンマンホールは耐酸性を有するので、下水で発生する硫化水素ガス等により腐食することがなく、塩化物イオンの多い沿岸部や温泉地等の酸性土壌に対しても抵抗性を有し、維持管理が容易であり、寿命が長い。
(2)レジンマンホール自身が自立強度を持ち、車輌や土圧等の外力に対する耐久性も高く、既設マンホールの劣化の度合いに関係なく設置することができる。
(3)既設管とレジンマンホールが型枠によって連結されるので、レジンマンホールと型枠の隙間をセメント系や樹脂系モルタル等で埋めるだけで容易に連結できる。
(4)特別な技術を必要とせず、新設のレジンマンホールと同等の耐久性を有することができる。
【0025】
ここで、既設マンホールに接続された既設管とレジンマンホールに形成された削孔部又は切削部とを連結する型枠としては、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、FRP等のプラスチック製のものが用いられる。型枠を既設管に挿入し、隙間を樹脂系又はセメント系モルタルで埋めることで、既設管とレジンマンホールが連結される。
【0026】
請求項4に記載の発明は請求項3に記載のマンホール改修構造であって、前記レジンマンホールが前記既設管の位置及び大きさ合わせて削孔部又は切削部が形成された下部直壁と、前記下部直壁の上端側に形成された結合部と、前記結合部を介して前記下部直壁と結合された上部直壁と、を備える構成を有している。
この構成により、請求項3で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)直壁が複数連結されているため、既設マンホールの深さに合わせて適当な長さの直壁を連結することで、既設マンホールの深さに関係なく設置できる。
【0027】
ここで、結合部には、鋼製、ステンレス製、FRP製、FRTP製等の接合リングを用いることができる。接合リングにより、下部直壁と上部直壁とを嵌合し、接着剤を用いることで結合することができる。接合リングが繊維強化プラスチック製の場合、耐酸性があり、熱膨張や熱収縮を起こし難いので好適に用いることができる。
【0028】
また、レジンマンホールの外表面が、粗く加工されることが望ましい。
これにより、以下の作用が得られる。
(1)外表面が粗く加工されているので、アンカー効果が得られるとともに、充填材との密着性が増すので、地震等の時でもレジンマンホールが剥離し難くなる。
【0029】
レジンマンホールを表面の粗く加工する加工方法としては、特に限定はしないが、ポリウレタン、FRP等を表面に吹き付けたり、表面にリブや突起を形成したりする等の方法がある。
【0030】
以上のように、本発明のマンホール改修工法及びマンホール改修構造によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1によれば、
(1)土留めを必要としない場合が多く、掘削範囲も狭く、掘削深さも浅いので埋め戻しを容易に行うことができるとともに、施工時間も短縮でき、改修するための公道の交通規制も最小限にすることができるマンホール改修工法を提供できる。
(2)工数が少ないので、工期を短縮することができ、改修後の維持管理が容易で、マンホールの寿命が長いマンホール改修工法を提供できる。
(3)運搬や設置等が容易であり、使用する重機を小型化でき作業性に優れるマンホール改修工法を提供できる。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)既設マンホールの深さに関係なく、容易に改修することができるマンホール改修工法を提供できる。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、
(1)水で発生する硫化水素ガス等により腐食することがなく、塩化物イオンの多い沿岸部や温泉地等の酸性土壌に対しても抵抗性を有し、維持管理が容易であり、寿命が長いマンホール改修構造を提供できる。
(2)車輌や土圧等の外力に対する耐久性も高く、既設マンホールの劣化の度合いに関係なく設置することができるマンホール改修構造を提供できる。
(3)レジンマンホールと型枠の隙間をセメント系や樹脂系モルタル等で埋めるだけで容易に連結ができるマンホール改修構造を提供できる。
(4)特別な技術を必要とせず、新設のレジンマンホールと同等の耐久性を有することができるマンホール改修構造を提供できる。
【0033】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
(1)既設マンホールの深さに合わせて適当な長さのレジンマンホールを連結することで、既設マンホールの深さに関係なく設置できるマンホール改修構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施の形態1におけるマンホール改修工法で使用するレジンマンホールの斜視図
【図2】既設マンホールの断面図
【図3】実施の形態1のマンホール改修工法における既設物撤去後の既設マンホールの断面図
【図4】実施の形態1のマンホール改修工法におけるレジンマンホール設置時のマンホール断面図
【図5】実施の形態1のマンホール改修工法における改修後のマンホール断面図
【図6】実施の形態2におけるマンホール改修工法で使用するレジンマンホールの斜視図
【図7】実施の形態2のマンホール改修工法における結合部の拡大断面図
【図8】実施の形態2のマンホール改修工法における下部直壁設置時のマンホール下部断面図
【図9】実施の形態2のマンホール改修工法における上部直壁結合時のマンホール断面図
【図10】実施の形態2のマンホール改修工法における改修後のマンホール断面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるマンホール改修工法で使用されるレジンマンホールの斜視図である。
1は実施の形態1で用いるレジンマンホール、2はレジンマンホール1の躯体となる筒状の直壁、3は吊り金具等を取り付けるためのインサート、4は下水管等の既設管の位置及び大きさに合わせて直壁2の胴部に形成された削孔部、5はインバートの汚水溝と対向して直壁2の下端部5aに形成された切削部、6は直壁2の上端側に取り付けられ固定された頂版、7は頂版6に形成された開口部、8は開口部7の上部に連設された調整リング、9は調整リング8の上部に取り付けられた蓋枠、10は蓋枠に設置される蓋である。
【0036】
直壁2は、圧縮強度が80〜100N/mm2、曲げ強度が20〜35N/mm2となるように、材料樹脂として不飽和ポリエステル、骨材として珪砂及び砕石、フィラーとして硬質砂岩を材料とし、壁厚は35〜45mmで形成した。従来のコンクリート製マンホールに比べ壁厚が薄く軽いので、運搬や設置を容易に行うことができる。
また、直壁2は、改修する既設マンホールの内径より5cm程度小さい外径で形成した。これにより、既設マンホールに挿入する際に、既設マンホールの内壁等に引っかかり難く、施工性に優れる。
直壁2の外表面は、ポリウレタン等の樹脂を吹き付けて、粗く加工しアンカー効果を付与した。これにより、充填材との密着性を増すことができる。
【0037】
インサート3は、直壁2の大きさにもよるが3〜4箇所が等間隔に形成され、ナットがインサートされている。
インサート3には、直壁2の挿入時に吊り金具が取り付けられる。
【0038】
削孔部4及び切削部5は、既設管の内径、高さ及び既設マンホールとの角度を測定し、直壁2の製造工場で形成した。これにより、施工現場での作業が少なくなり、施工性に優れる。
【0039】
頂版6及び調整リング8は直壁2と同様に、レジンコンクリートで形成される。これにより、下水で発生した硫化水素等による腐食を防止できる。
頂版6は、接着剤や埋め込みボルト等により直壁2と結合した。
頂版6に形成した開口部7の上端側には、調整リング8の外径に合わせた嵌合部を形成した。これにより、調整リング8を設置する際、調整リング8が安定するため、調整リング8の設置作業が容易になる。蓋10の高さが調整リング8だけでは調整できない場合、調整モルタル(図示しない)を用いることができる。
また、開口部7の周囲に複数箇所のインサートナットを埋め込み、調整リング8及び蓋枠9にボルトを立て込むための貫通孔を形成した。これにより、頂版6、調整リング8、蓋枠9を連結することができる。
【0040】
以上のように形成された実施の形態1のレジンマンホールを用いて、以下、実施の形態1におけるマンホールの改修工法を図面を用いて説明する。
図2は、既設マンホールの断面図であり、図3は実施の形態1のマンホール改修工法における既設物撤去後の既設マンホールの断面図である。
11は鉄筋コンクリートで作製された既設マンホール躯体、12は既設マンホール躯体11に接続されている既設管、13は既設管12から流入する下水を導くインバート、14はインバート13が上面に設置される底部コンクリート、15は既設マンホール躯体11の上端側に取り付けられた既設スラブ、16は既設スラブ15の上部に設置された既設斜壁、17は既設斜壁16の上部に設置された既設蓋枠、18は既設蓋枠17に設置される既設蓋、19は既設マンホール躯体11に形成された既設梯子、20は既設マンホールが埋設された路面、21は改修工事のために掘削される掘削部である。
【0041】
図4は、実施の形態1のマンホール改修工法におけるレジンマンホール設置時のマンホール断面図である。
尚、図1及び図2と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
22はレジンマンホール1の底面とインバート13の上面を結合させるエポキシ樹脂系のパテ、23は既設管11に充填材が流れ込まないようにするための合成樹脂等で形成された型枠、24は型枠23と削孔部4及び切削部5の隙間を埋める急結セメント、24aは急結セメントの露出部に塗布される樹脂系モルタル、25はレジンマンホール1の外周と既設マンホール躯体11の内壁との隙間を埋める充填材、26は充填材を注入するための注入管、27はレジンマンホールに設置された梯子である。
【0042】
充填材25には、無収縮モルタルを用いた。無収縮モルタルは、硬化時に膨張し、硬化後は収縮しないため、乾燥による亀裂も生じ難く、既設マンホール躯体11の内壁とレジンマンホール1の外周との間を隙間無く埋めることができる。
【0043】
マンホールの改修工法は、洗浄圧が10MPa以上の高圧洗浄機で既設マンホール躯体11の内壁及びインバート13の劣化箇所を洗浄する内部洗浄を行う(内部洗浄工程)。
次に、公道に埋設された既設マンホールの既設スラブ15又は既設斜壁16までが路面20から露出するように、既設マンホールの周囲の掘削部21を掘削する(掘削工程)。このとき、掘削部21は、掘削機の使用に支障のない範囲で最小限とした。これにより、改修するための交通規制を最小限にすることができる。
次いで、既設蓋18及び既設蓋枠17、既設斜壁16、既設スラブ15を順次撤去し、必要であれば既設梯子19等を切断し、既設物を撤去する(既設物撤去工程)。次いで、既設マンホール躯体11の内壁面の清掃、インバート13上の堆積物等や欠損部の除去を行う。堆積物の除去後、レジンマンホール1の荷重がインバート13の上面に均一に分散するように、早強性のレベリングモルタル等(図示しない)を用いてレベル調整を行い、インバート13の上面とレジンマンホール1の底面が水平に設置できるようにする。
尚、インバート13の堆積物の除去後、インバート13上面に耐酸性を有するポリマーセメントを塗布してもよい。
【0044】
図4において、まず、予めレジンマンホール1の内壁にFRP製等の梯子27を取り付け、削孔部4及び切削部5を形成し、ポリウレタンを吹き付けて外表面を粗く加工したレジンマンホール1を、インサート3に取り付けた吊り金具を用いて吊り上げ、既設物が撤去された既設マンホール躯体11内に挿入する。レジンマンホール1の下端部5aとインバート13の上面は、予めインバート13に塗布しておいたエポキシ樹脂系のパテ22により接着固定する(レジンマンホール設置工程)。
インバート13の劣化が激しい場合は、インバート13を撤去し、耐酸性に優れたインバートを新設しても良い。また、レジンマンホール1と新設するインバートを別々に設置せずに、レジンマンホール1として、底版及びインバート部を備えるものを挿入し改修しても良い。
次に、既設管12に充填材25が侵入しないように、既設管12に合成樹脂製の型枠23を挿入し、削孔部4及び切削部5と型枠23の隙間を急結セメント24で埋め、各々既設管12と連結する(連結工程)。このとき、型枠23内に支保材を設置することで、自立強度を増すことができる。また、型枠23と削孔部4及び切削部5との隙間は急結セメント24で埋めているが、これは施工時間を短縮するためであり、隙間を埋めるものとしては特にこれに限定しない。急結セメント24の露出面には、樹脂系モルタル24aが塗布される。これにより、急結セメント24が硫化水素等によって腐食するのを防止する。
次いで、レジンマンホール1の外周と既設マンホール躯体11の内壁との隙間に充填材(裏込め材)25を注入管26から流し込む(充填材注入工程)。
尚、レジンコンクリート胴部が太かったり、長い場合は注入孔を胴壁に開け注入しても良い。これにより注入斑を防止できる。
【0045】
次に、図5に示すように、まず、頂版6に形成された開口部7の上部に、調節リング8、蓋枠9を設置し、開口部7と調節リング8及び蓋枠9をボルトで連結する。
次いで、蓋枠9にFRP製等の蓋10を設置し、掘削部21を埋め戻し、路面復旧工事を行うことで、既設マンホールが改修される。
【0046】
以上のように実施の形態1におけるマンホール改修工法によれば、以下の作用を有する。
(1)既設マンホールの躯体を残したまま改修するため、掘削する範囲が狭くて良いので、土留めを必要としない場合が多く、また、埋め戻し作業を容易に行うことができ、施工時間が短いので、交通規制する範囲も最小限で良い。
(2)既設マンホールの構造に合わせて予め加工されるので寸法精度が良く、後加工が少なく工期を短縮できる。
(3)既設マンホールの下水管等の既設管の位置や大きさに合わせた削孔部やインバート溝径に合わせた切削部が形成されたレジンマンホールを挿入するだけでよいため、施工現場での作業工数が少なく、施工時間が短い。また、施工時間が短いので、交通量の多い道路や止水時間が短い地域における改修工事にも適している。
(4)耐酸性に優れたレジンマンホールや樹脂製のパテ等で改修するので、既設マンホールの耐久性を著しく向上できる。
【0047】
以上のように実施の形態1におけるマンホール改修構造によれば、以下の作用を有する。
(1)レジンマンホール、頂版、調整リング、蓋等が耐酸性のある素材で形成されているので、下水で発生する硫化水素ガス等により劣化し難く、改修後の維持管理が容易であり、耐久性に優れ既設マンホールの寿命を著しく延ばすことができる。
(2)機械的強度に優れたレジンコンクリートを用いるので、既設マンホールと接着させるだけで強度を得ることができ、隙間は充填材で埋めるだけでよい。また、車両の荷重や土圧等の外力に対しても耐圧性が高く、曲げ強度にも優れる。
(3)レジンコンクリートを用いるので、結合材である熱硬化性樹脂の種類や壁厚を変えることで、耐圧性や耐酸性を向上させることができ、構造が緻密で遮塩性も高いので、塩化物イオンが多い沿岸地域や特殊な酸性土壌である温泉地、薬品が多く用いられる工業地帯等のマンホールの改修にも適している。
(4)レジンマンホールの外表面を粗く加工してあるので、充填材との密着性が増し、地震等の時でもレジンマンホールと充填材が剥離し難い。
(5)工場で生産されるので、高品質で且つ軽量で保管性、運搬性に優れる。
【0048】
(実施の形態2)
実施の形態2におけるマンホール改修工法について、以下、図面を用いて説明する。
図6は実施の形態2におけるマンホール改修工法で使用するレジンマンホールの斜視図であり、 図7は実施の形態2のマンホール改修工法における結合部の拡大断面図であり、図8は実施の形態2のマンホール改修工法における下部直壁設置時のマンホール下部断面図であり、図9は実施の形態2のマンホール改修工法における上部直壁結合時のマンホール断面図であり、図10は実施の形態2のマンホール改修工法における改修後のマンホール断面図である。
尚、実施の形態1におけるマンホール改修工法と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
30は実施の形態2のレジンマンホール、31は既設マンホール躯体11内に挿入され実施の形態2のレジンマンホール30を形成する下部直壁、32は下部直壁31に形成された充填材25の注入孔、33は既設マンホール躯体11内に挿入され下部直壁31の上部に結合される上部直壁、34は下部直壁31と上部直壁33の結合部、35は下部直壁31及び上部直壁33を結合する内側中央に突条35aを有する接合リング、36は下部直壁31及び上部直壁33のインサートボルトに各々挿着されナットなどで繋ぐ帯状の金属板等からなる緊結金具、37は下部直壁31と上部直壁33を結合する接着剤、38,38’は下部直壁31と上部直壁33の当接面に形成された嵌合凸部と嵌合凹部からなる嵌合部、38aは嵌合部38及び38’の浸水を防ぐ止水体、39はインサート孔にインサートされたナット、40はナット39に螺合されたボルト、41は挿入後の下部直壁31及び上部直壁32に設置される後付け梯子である。
【0049】
下部直壁31は、実施の形態1のレジンマンホールと同じ結合材、骨材、充填材を用いて形成した。また、下部直壁31には、充填材25の注入孔32を形成した。注入孔32は、下部直壁の外周と既設マンホール躯体11の内壁との隙間を埋める充填材の注入するために用いられるので、必要が無ければ形成しなくても良い。形成する場合は、状況に応じて1乃至複数形成される。
【0050】
上部直壁33は、下部直壁31と同じ素材で、インサート3は両端側に形成した。これにより、下側に形成されたインサート3に、緊結金具等を取り付けることで下部直壁31との結合に用いることができる。インサート3による結合が必要無ければ、下側のインサート3は形成しなくてもよい。
【0051】
接合リング35は、下部直壁31と上部直壁33の結合に用いられる。素材としては、鋼製、ステンレス製、FRP製、FRTP製等を用いることができる。中でも繊維強化プラスチック製のものは、耐酸性があり、熱収縮や熱膨張し難いため、好適に用いることができる。
接合リング35は、突条35aを内側中央部に備えている。そのため、接合リング35の内側と突条35aに接着剤を塗布することで、接着される表面積が広くなりレジンマンホールの接合が強固になるとともに、接合面の耐震性を増すことができる。
【0052】
接着剤37としては、エポキシ樹脂系のパテを用いた。
止水体38は、結合部34の浸水を防ぐために用いられ、シリコン系、ブチルゴム系、ウレタン系等のシール材又はテープ状のものを用いた。
【0053】
以上のように構成された実施の形態2のマンホール改修構造について、以下、そのマンホール改修工法を図面を用いて説明する。
図8は実施の形態2のマンホール改修工法における下部直壁設置時のマンホール下部断面図であり、図9は実施の形態2のマンホール改修工法における上部直壁結合時のマンホール断面図である。
尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態2のマンホール改修工法は、改修する既設マンホールの深さが、レジンマンホールの有効高さを超える場合に適用される。
実施の形態1と同様に既設物が撤去された後、図8に示すように、まず、削孔部4及び削孔部5と注入孔32を備えた下部直壁31を挿入し、パテ22でインバート13の上面と下部直壁31の底面を接着固定する(下部直壁設置工程)。
次に、削孔部4や切削部5と既設管12の間に型枠23を設置し、急結セメント24で削孔部4及び切削部5と既設管12の隙間を埋め連結を行う(連結工程)。次いで、無収縮モルタルからなる充填材25を注入孔32より注入する。注入孔32は充填材25により埋められる。このとき、注入孔32を複数形成する場合、下側にある注入孔32から注入する充填材25を速硬性のある充填材にすることで、施工時間を短縮することができる。
【0054】
次に、図9に示すように、まず、下部直壁31の上端に接着剤37を用いて接合リング35を結合し、頂版6が取り付けられた上部直壁33を挿入する。挿入された上部直壁33は、接合リング35を含む結合部34を介して下部直壁31と結合すると共に、インサート3に取り付けられる緊結金具36により、更に強固に結合する(結合工程)。
次いで、既設マンホール躯体11と下部直壁31及び上部直壁33の隙間を、注入管26から流し込まれる無収縮モルタルからなる充填材25により埋める(充填材注入工程)。
図10に示すように、後付け梯子41を取り付け、実施の形態1と同様に、頂版6に形成された開口部7の上部に調節リング8、蓋枠9を設置し、ボルトにより固定する。FRP製の蓋10を蓋枠9に設置し、掘削部21を埋め戻し、路面復旧工事を行うことで、既設マンホールの改修が終了する。
尚、下部直壁31の上端側、もしくは上部直壁の下端側又は上端側に、頂版と同様の構造をした中間スラブ(図示しない)を設けても良い。中間スラブを設けることで、落下事故等の際にマンホールの底まで落下する危険性が低くなり、安全性が向上する。
上部直壁33は、複数段に連結してもよい。このとき、最上段にあたる上部直壁33には頂版が結合される。上部直壁33同士の結合にインサート3を用いる場合は、最上段の上部直壁33以外は、インサート3を内周側に形成することが望ましい。外周側にインサート3を形成すると、インサート3による結合が困難になるためである。また、上部直壁33において、最上段の上部直壁33の径を小さくする等しても良い。
【0055】
実施の形態2における、マンホール改修工法によれば、以下の作用が得られる。
(1)レジンマンホールが下部直壁及び上部直壁により構成されているので、既設マンホールの深さが深い場合でも、上部直壁を連結し、改修工事を行うことができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態2におけるマンホール改修構造は構成されているので、実施の形態1のマンホール改修構造に加え以下の作用が得られる。
(1)直壁が複数連結されているため、既設マンホールの深さに合わせて適当な長さの直壁を連結することで、既設マンホールの深さに関係なく設置できる。
(2)接続リングを介して、下部直壁と上部直壁を勘合し、接着剤等により結合するので、結合作業を簡単に行うことができ、簡単な分、作業を確実に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、既設マンホールの躯体を残したまま、耐酸性に優れ、予め下水管などの既設管の位置や大きさに合わせて加工処理が施された軽量で高強度のレジンマンホールを既設マンホールに挿入して改修するので、作業性に優れ工期が短く、施工技術の影響を受けることなく新設のレジンマンホールと同等の耐久性を有し、改修後の維持管理も容易なマンホール改修工法を提供する。また、耐薬品性に優れ、軽量で高強度のレジンマンホールを用いるので、耐震性に優れ、車輌や土圧等の外力に対する機械的強度に優れ、マンホールとしての寿命が長いマンホール改修構造を提供する。
【符号の説明】
【0058】
1 レジンマンホール
2 直壁
3 インサート
4 削孔部
5 切削部
5a 下端部
6 頂版
7 開口部
8 調整リング
9 蓋枠
10 蓋
11 既設マンホール躯体
12 既設管
13 インバート
14 底部コンクリート
15 既設スラブ
16 既設斜壁
17 既設蓋枠
18 既設蓋
19 既設梯子
20 路面
21 掘削部
22 パテ
23 型枠
24 急結セメント
24a 樹脂系モルタル
25 充填材
26 注入管
27 梯子
30 レジンマンホール
31 下部直壁
32 注入孔
33 上部直壁
34 結合部
35 接合リング
35a 突条
36 緊結金具
37 接着剤
38、38’ 嵌合部
38a 止水体
39 ナット
40 ボルト
41 後付け梯子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設マンホールの内壁面及びインバートの劣化箇所を洗浄し除去する内部洗浄工程と、前記既設マンホールの斜壁又はスラブが露出する深さまで掘削する掘削工程と、前記既設マンホールにおいてレジンマンホールの挿入に支障のある既設物(梯子等)を撤去する既設物撤去工程と、前記既設マンホール内に既設管の位置及び大きさに合わせて胴部に形成された削孔部又は下端部に形成された切削部を備えたレジンマンホールを挿入し前記既設マンホールの底部又は前記インバート上面に設置するレジンマンホール設置工程と、前記削孔部又は前記切削部と既設管とを繋ぐ連結工程と、前記既設マンホールの内壁と前記レジンマンホールの外壁隙間を充填材で埋める充填材注入工程と、を備えることを特徴とするマンホール改修工法。
【請求項2】
前記レジンマンホールが前記削孔部又は前記切削部が形成された下部直壁と、前記下部直壁の上端側に結合される上部直壁と、を有し、前記レジンマンホール設置工程において、前記既設マンホールに前記下部直壁を挿入し、前記既設マンホールの底部又は前記インバート上面に設置する下部直壁設置工程と、前記削孔部又は前記切削部と既設管とを繋ぐ連結工程と、前記下部直壁と1乃至複数の前記上部直壁を結合する結合工程と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のマンホール改修工法。
【請求項3】
既設マンホールと、前記既設マンホールと接続された既設管と、前記既設マンホールに配設された下水溝を有するインバートと、前記既設マンホールの底部又は前記インバートまで挿入された既設管と接続する削孔部や下水溝と対向する切削部が形成されたレジンマンホールと、前記既設管と前記レジンマンホールの胴部に形成された削孔部又は下端部に形成された切削部を連結する型枠と、前記既設マンホールの内壁と前記レジンマンホールの外周との隙間に充填された充填材と、を備えることを特徴とするマンホール改修構造。
【請求項4】
前記レジンマンホールが前記既設管の位置及び大きさ合わせて削孔部又は切削部が形成された下部直壁と、前記下部直壁の上端側に形成された結合部と、前記結合部を介して前記下部直壁と結合された上部直壁と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のマンホール改修構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−154077(P2012−154077A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13113(P2011−13113)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(591287978)太陽インダストリー株式会社 (4)
【出願人】(500038662)麻生商事株式会社 (11)
【Fターム(参考)】